説明

板状部品の接合方法及び接合部材

【課題】表示パネルと、前記表示パネルに対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された保護板とを、これらを貼合せるためのシート状接合部材の前記突出層に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせる。
【解決手段】表示パネル10と突出層31が形成された保護板30の一方に、これらの間に突出層31の一部と重なった状態で挟持される形状に形成され、且つ突出層31と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて突出層31との接触面積を小さくした応力緩和部41が形成されたシート状接合部材41を、突出層31に応力緩和部41が重なるように位置決めして貼付け、表示パネル10と保護板30とをシート状接合部材40を介して重ねて加圧し、表示パネル10と保護板30とをシート状接合部材40により貼合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板状部品の接合方法及び接合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば表示パネルの前側(観察側)に表示パネル保護板を配置した表示装置として、前記表示パネルと前記表示パネル保護板とを、両面粘着シート等のシート状接合部材により貼合わせたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−90053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記表示パネルと前記表示パネル保護板とをシート状接合部材により貼合わせる場合、前記保護板の前記表示パネルに対する貼付け面の所定部分、例えば前記表示パネルの画面エリア外の領域に対応する部分に、印刷層等の厚みをもった突出層が形成されていると、前記接合部材の前記突出層に重なった部分が押し潰されて応力を発生し、貼合わせ部に剥離等を生じさせる原因になる。
【0005】
これは、前記表示パネルと保護板との接合に限らず、第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とをシート状接合部材により貼合わせる場合にも言える。
【0006】
この発明は、第1の板状部品と前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とを貼合せるためのシート状接合部材の前記突出層に重なった部分に生じる応力を低減しつつ前記第1の板状部品と第2の板状部品とを貼合わせることができる板状部品の接合方法及びそのための前記シート状接合部材を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とをシート状接合部材により貼合わせて接合する方法であって、
前記第1の板状部品を準備する第1部品準備工程と、
前記突出層が形成された前記第2の板状部品を準備する第2部品準備工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される形状に形成され、且つ前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備する接合部材準備工程と、
前記第2の板状部品に、前記シート状接合部材を、前記突出層に前記応力緩和部が重なるように位置決めして貼付ける接合部材貼付け工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材を介して重ねて加圧し、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材により貼合わせる部品貼合わせ工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とをシート状接合部材により貼合わせて接合する方法であって、
前記第1の板状部品を準備する第1部品準備工程と、
前記突出層が形成された前記第2の板状部品を準備する第2部品準備工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される形状に形成され、且つ前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備する接合部材準備工程と、
前記第1の板状部品に前記シート状接合部材を貼付ける接合部材貼付け工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを、前記突出層に前記応力緩和部が重なるように位置決めして、前記シート状接合部材を介して重ねて加圧し、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材により貼合わせる部品貼合わせ工程と、
を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1または2に記載の板状部品の接合方法において、前記前記シート状接合部材は、両面粘着シートからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記部品貼合わせ工程を、真空圧下で行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記部品貼合わせ工程後に、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とに対して熱と圧力とを一定時間付与するオートクレーブを行うオートクレーブ工程をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、表示パネルを準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記表示パネルの画面エリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成された表示パネル保護板を準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項6に記載の板状部品の接合方法において、前記第1部品準備工程で、前記表示パネルとして、対向配置された2枚の基板間に液晶層が設けられた液晶表示パネルまたは基板上に有機エレクトロルミネッセンス発光層が設けられた有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを準備することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、タッチパネルを準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記タッチパネルのタッチエリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成されたタッチパネル保護板を準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の板状部品の接合方法において、前記第1部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記タッチパネル保護板の貼付け面とは反対面に表示パネルが配置されたタッチパネルを準備することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、対向配置された2枚の基板間に液晶層が設けられた表示パネル本体または基板上に有機エレクトロルミネッセンス発光層が設けられた表示パネル本体を準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記表示パネル本体の画面エリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成された光学フィルムを準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記接合部材準備工程で、前記周縁部に、その外周縁から前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部を所定のピッチで形成した応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記接合部材準備工程で、前記周縁部に、その外周縁を前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった波形状に形成した応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、前記請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法において、前記接合部材準備工程で、前記周縁部の前記突出層と重なる部分に、複数の貫通孔を所定のピッチで設けた応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とを貼合わせるためのシート状接合部材であって、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される平面形状に形成され、前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート部材からなることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、前記請求項14に記載のシート状接合部材において、前記シート部材は、両面粘着シートからなることを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、前記請求項14または15に記載のシート状接合部材において、周縁部に前記応力緩和部が形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、前記請求項16に記載のシート状接合部材において、前記応力緩和部は、前記シート部材の外周縁から前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部を所定のピッチで形成した凹凸縁部からなっていることを特徴とする。
【0024】
請求項18に記載の発明は、前記請求項16に記載のシート状接合部材において、前記応力緩和部は、前記シート部材の外周縁を前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった波形状に形成した波状縁部からなっていることを特徴とする。
【0025】
請求項19に記載の発明は、前記請求項16に記載のシート状接合部材において、前記応力緩和部は、前記シート部材の周縁部の前記突出層と重なる部分に、複数の貫通孔を所定のピッチで設けた孔配列部からなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、第1の板状部品と前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とを貼合せるための前記シート状接合部材の前記突出層に重なった部分に生じる応力を低減しつつ前記第1の板状部品と第2の板状部品とを貼合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施例における第1及び第2の板状部品とシート状接合部材の斜視図。
【図2】第1実施例の部品接合方法により製造された表示装置の断面図。
【図3】前記表示装置における第2の板状部品に形成された突出層とシート状接合部材との位置関係を示す平面図。
【図4】前記シート状接合部材の使用前の状態の平面図。
【図5】前記シート状接合部材の使用前の状態の断面図。
【図6】第1実施例による板状部品の接合工程図。
【図7】前記接合工程において第1及び第2の板状部品とシート状接合部材との間に生じた空気溜まりを示す平面図。
【図8】前記シート状接合部材の第1変形例を示す平面図。
【図9】前記シート状接合部材の第2変形例を示す平面図。
【図10】前記シート状接合部材の第3変形例を示す平面図。
【図11】前記シート状接合部材の第4変形例を示す平面図。
【図12】第2実施例の部品接合方法により製造されたタッチ入力装置の断面図。
【図13】第3実施例の部品接合方法により製造された表示パネルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施例1]
まず、図2に示した表示装置について説明すると、この表示装置は、表示パネル10と、この表示パネル10の前側(観察側)に、透明なシート状接合部材40により前記表示パネル10と貼合わせて配置された透明な表示パネル保護板30とを備えている。
【0029】
この実施例において、前記表示パネル10は液晶表示パネルであり、図1及び図2のように、対向配置された2枚の透明基板12,13間に液晶層15が設けられた表示パネル本体11と、前記表示パネル本体11の各基板12,13の外面にそれぞれ貼付けられた前側光学フィルム16及び後側光学フィルム17とからなっている。
【0030】
前記表示パネル本体11は、TFT(薄膜トランジスタ)をアクティブイブ素子としたアクティブイブ型のものであり、図では省略しているが、前記2枚の透明基板12,13のうちの一方の基板、例えば後側基板13の液晶層15と対向する面に、行方向及び列方向に配列された複数の画素電極と、これらの画素電極にそれぞれ対応させて配置された複数のTFTと、各行の複数のTFTにゲート信号を供給する複数の走査線と、各列の複数のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ線とが設けられ、他方の基板、つまり前側基板12の液晶層15と対向する面に、前記複数の画素電極と対向する一枚膜状の共通電極が設けられている。
【0031】
さらに、他方の基板13の液晶層15と対向する面には、前記複数の画素電極と前記共通電極とが互いに対向する領域からなる複数の画素にそれぞれ対応させて、赤、緑、青の三色のカラーフィルタが設けられている。なお、前記共通電極は、前記カラーフィルタの前記液晶層15側の面上に形成されている。
【0032】
そして、前記2枚の基板12,13は、前記複数の画素の配列領域からなる画面エリア11aを囲む枠状のシール材14を介して接合されており、これらの基板12,13間の間隙の前記シール材14で囲まれた領域に液晶層15が設けられている。
【0033】
この表示パネル本体11は、例えばTN(ツイステッドネマティック)型のものであり、前記液晶層15の液晶分子は、各基板12,13にそれぞれ前記各画素電極及び共通電極を覆って設けられた配向膜によりそれぞれの基板12,13面における配向方向を規定され、前記基板12,13において略90の捩れ角でツイスト配向している。
【0034】
また、前側光学フィルム16及び後側光学フィルム17はそれぞれ偏光板であり、これらの偏光板16,17は、それぞれの吸収軸を互いに直交させるか、或いは互いに平行にして配置されている。
【0035】
さらに、前記液晶表示パネル10の後側には、図2のように、前記液晶表示パネル10の画面エリア11aに向けて光を照射する面光源20が配置されている。なお、図では前記面光源20を簡略化しているが、この面光源20は、その一端面に光を入射させる入射端面が形成され、二つの板面の一方に前記入射端面から入射した光の出射面が形成され、他方の板面に前記入射端面から入射した光を前記出射面に向けて反射する反射面が形成された導光板と、前記導光板の入射端面に対向させて配置されたLED(発光ダイオード)等からなる複数の発光素子とを含む。そして、この面光源20は、前記導光板の出射面を前記液晶表示パネル10の後面に対向させて配置されている。
【0036】
一方、前記表示パネル保護板30は、強化ガラスまたは硬質樹脂からなっており、前記液晶表示パネル10に対する貼付け面の所定部分に、印刷層等からなる突出層31が形成されている。この実施例において、前記突出層31は、任意の色の着色層であり、前記液晶表示パネル10の画面エリア11aに対向する領域の外側に、前記画面エリア11aを囲む枠形状に形成されている。
【0037】
なお、前記表示パネル保護板30は、前記液晶表示パネル10の前面の面積よりもある程度大きい面積を有する矩形形状に形成されており、前記突出層31は、前記画面エリア10aの周縁に対向する位置から前記表示パネル保護板30の外周縁にわたって形成されている。
【0038】
また、前記液晶表示パネル10と前記表示パネル保護板30とを貼合わせるための前記シート状接合部材40は、可撓性及び圧縮変形性をもった透明なシート部材からなっている。この実施例のシート状接合部材40は、両面粘着シートからなっている。
【0039】
なお、図に示したシート状接合部材40は、粘着剤をシート状に成形した両面粘着シートであるが、前記シート状接合部材40は、ベースフィルムの両面にそれぞれ粘着剤層を設けた両面粘着シートでもよい。
【0040】
このシート状接合部材40は、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との間に、前記突出層31の一部と重なった状態で挟持される平面形状に形成されている。この実施例において、前記シート状接合部材40は、その外形が前記液晶表示パネル10の前面の外形よりも小さく、且つ周縁部が、前記表示パネル保護板30に形成された前記突出層31の内周側の縁部と重なる形状に形成されている。
【0041】
そして、前記シート状接合部材40の前記突出層31の周縁部には、図1〜図3のように、前記突出層31と重なる部分の略全域にわたって、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層31との接触面積を小さくした応力緩和部41が形成されている。この際、表示パネル保護板30側から見たシート状接合部材40の面積が、シート状接合部材40の全体を取り囲む最小の閉曲線で囲まれる領域の面積よりも小さくなるように、シート状接合部材40の突出層31との重なり部を部分的に欠落させることにより、突出層31との接触面積を小さくした応力緩和部41が形成される。
【0042】
この実施例のシート状接合部材40の応力緩和部41は、前記シート状接合部材40の外周縁から前記突出層31と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部42を所定のピッチで形成した凹凸縁部からなっている。
【0043】
前記複数の切欠部42は、できるだけ小さいピッチ、好ましくは5mm以下、より好ましくは2〜3mm以下のピッチで形成するのが望ましい。
【0044】
この実施例で、シート状接合部材40に、台形形状の複数の切欠部42を隣り合う切欠部42,42間に三角形状の切り残し部43を形成するピッチで設けた応力緩和部41を形成している。
【0045】
なお、前記両面粘着シートからなるシート状接合部材40は、図4及び図5のように、その両面をセパレータ(剥離紙)45a,45bにより保護されており、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを貼合わせるときに、前記セパレータ45a,45bを剥ぎ取って使用される。
【0046】
上記表示装置の製造において、前記液晶表示パネル10と、前記突出層31が形成された前記表示パネル保護板30との貼合わせは、第1部品準備工程、第2部品準備工程、接合部材準備工程、接合部材貼付け工程及び部品貼合わせ工程と、前記部品貼合わせ工程後に行うオートクレーブ工程とを含む次のような接合方法で行う。
【0047】
(第1部品準備工程)
第1の板状部品として、前記液晶表示パネル10を準備する。
【0048】
(第2部品準備工程)
第2の板状部品として、前記液晶表示パネル10の画面エリア11aに対向する領域の外側に前記突出層31が形成された前記表示パネル保護板30を準備する。
【0049】
(接合部材準備工程)
前記両面粘着シートからなり、周縁部のうち、前記表示パネル保護板30の突出層31と重なる部分に前記応力緩和部41が形成された前記シート状接合部材40を準備する。
【0050】
(接合部材貼付け工程)
前記表示パネル保護板30に前記シート状接合部材40を、前記突出層31に前記応力緩和部41が重なるように位置決めして貼付ける。
【0051】
この実施例では、図6(a)のように、前記突出層31が形成された表示パネル保護板30の前記液晶表示パネル10に対する貼付け面(突出層31が形成された面)に、前記シート状接合部材40の一方の面を、この一方の面側のセパレータ45aを剥ぎ取って対向させ、前記シート状接合部材40を前記表示パネル保護板30の前記貼付け面及び突出層31に押付けることにより、図6(b)のように、前記シート状接合部材40を前記表示パネル保護板30の前記貼付け面に、前記突出層31に前記応力緩和部41に重ねて貼付ける。
【0052】
この接合部材貼付け工程において、前記シート状接合部材40は可撓性をもっているため、このシート状接合部材40の周縁部を、前記突出層31の厚みに合わせて屈曲させ、前記表示パネル保護板30板面上と前記突出層31上との両方に当接した状態で貼付けることができる。
【0053】
(部品貼合わせ工程)
次に、前記シート状接合部材40の他方の面側のセパレータ45bを剥ぎ取り、図6(c)のように、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを前記シート状接合部材40を介して重ねて加圧することにより、図6(d)のように、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを前記シート状接合部材40により貼合わせる。この実施例において、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との前記シート状接合部材40による貼合わせは、図示しない真空チャンバ等を利用して真空圧下において行う。ここで真空として例えば30Pa(2.961×10−4atm)以下程度にまで真空引きを行うことが好ましい。しかしながら、空気介在部が発生することを抑制できれば、必ずしも30Pa以下まで真空引きしなくてもよい。
【0054】
このように、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを前記シート状接合部材40を介して重ねて加圧すると、前記シート状接合部材40の前記突出層31に重ねられた周縁部が押し潰されて前記シート状接合部材40がその全域において前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とに密着し、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とが前記シート状接合部材40により貼合わされる。
【0055】
この部品貼合わせ工程において、前記シート状接合部材40は、前記突出層31に重ねられた周縁部を押し潰されるため、このシート状接合部材40の押し潰された部分に応力が発生する。
【0056】
しかし、前記シート状接合部材40の前記突出層31と重なる部分には、上記のように、前記シート状接合部材40の外周縁から前記突出層31と重なる部分の略全幅にわたる深さの複数の切欠部42を周縁部の全周に所定のピッチで形成した凹凸縁部からなる応力緩和部41が形成されているため、前記シート状接合部材40の押し潰された部分に発生する応力を小さくすることができる。
【0057】
すなわち、前記シート状接合部材40の押し潰された部分に発生する応力の大きさは、その押し潰された部分の面積に略比例する。前記シート状接合部材40は、前記突出層31と重なる部分に前記凹凸縁部からなる応力緩和部41を形成したものであるため、前記突出層31と重なって押し潰される部分の面積は、前記応力緩和部41のうちの前記複数の切欠部42,42の間の各切り残し部43の面積と略同じである。従って、前記シート状接合部材40の押し潰された部分に発生する応力を、各辺の縁部をそれぞれ前記複数の切欠部42の無い直線縁部に形成したシート状接合部材に発生する応力に比べて小さくすることができる。
【0058】
そのため、前記液晶表示パネル10と、前記突出層31が形成された前記表示パネル保護板30とを、前記シート状接合部材40の前記突出層31に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができる。
【0059】
なお、前記接合部材貼付け工程において、前記シート状接合部材40は、図6(b)のように、その周縁部を屈曲させて前記表示パネル保護板30板面上から前記突出層31上にわたって貼付けるが、そのときに、前記表示パネル保護板30板面と前記突出層31の内周縁との間の段差部に、空気が閉じ込められることがある。
【0060】
また、前記部品貼合わせ工程において、前記液晶表示パネル10は、図6(c)のように、前記表示パネル保護板30に一方の面を貼付けられた前記シート状接合部材40の他方の面に押付けられるが、そのときに、前記シート状接合部材40の前記突出層31上に重なった周縁部で囲まれた部分と前記液晶表示パネル10との間の隙間に空気が閉じ込められる。なお、上記実施例では、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との貼合わせを真空圧下で行っているが、真空圧下での貼合わせでも、ある程度の量の空気が閉じ込められる。
【0061】
前記表示パネル保護板30及び液晶表示パネル10と前記シート状接合部材40との間に閉じ込められた空気の殆んどは、図7のように、前記突出層31の内周に沿った部分(平行斜線を施した部分)に集まって空気溜まりAを形成する。
【0062】
前記空気溜まりAができると、その部分の表示パネル保護板30とシート状接合部材40との密着力及び液晶表示パネル10とシート状接合部材40との密着力が弱くなる。また、前記空気溜まりAがあると、その部分を透過する光が屈折したり散乱したりするため、表示装置の表示品質を低下させてしまう。
【0063】
(オートクレーブ工程)
そのため、この実施例では、前記貼合わされた液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とに対して熱と圧力とを一定時間付与するオートクレーブを行ない、前記接合部材貼付け工程及び前記部品貼合わせ工程において前記表示パネル保護板30及び液晶表示パネル10と前記シート状接合部材40との間に閉じ込められた空気を前記シート状接合部材40中に溶け込ませて前記空気溜まりAを消去している。
【0064】
このように、上記接合方法は、前記液晶表示パネル10と、前記突出層31が形成された前記表示パネル保護板30とを、前記突出層31に重なる部分に前記応力緩和部41を形成したシート状接合部材40により接合しているため、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを、前記シート状接合部材40の前記突出層31に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができ、従って、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との貼合わせ部に、前記応力による剥離等が生じるのを抑制することができる。
【0065】
しかも、前記シート状接合部材40の応力緩和部41は、前記シート状接合部材40の外周縁から前記突出層31と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部42を所定のピッチで形成した凹凸縁部からなっているため、このシート状接合部材40の応力緩和部41においても、前記複数の切欠部42の間の各切り残し部43により、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30とを充分な強度で貼合わせることができる。
【0066】
また、上記接合方法は、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との貼合わせ後に、前記オートクレーブを行なっているため、前記表示パネル保護板30及び液晶表示パネル10と前記シート状接合部材40との間に空気が閉じ込められた場合には、その閉じ込められた空気を前記シート状接合部材40中に溶け込ませ、前記液晶表示パネル10と表示パネル保護板30との貼合わせ強度を、前記シート状接合部材40による貼合わせ領域の全域において高く維持すると共に、前記空気溜まりAによる透過光の屈折や散乱をなくし、高い表示品質の表示装置を得ることができる。
【0067】
なお、上記第1実施例における表示パネル保護板30は、前記液晶表示パネル10の前面の面積よりもある程度大きい面積を有するものであるが、この表示パネル保護板30は、前記液晶表示パネル10の前面の面積と同程度の面積を有するものでもよい。
【0068】
また、前記シート状接合部材40は、その周縁部が、前記表示パネル保護板30に形成された前記突出層31の略全幅にわたって重なる外形を有し、前記周縁部の前記突出層31と重なる部分に前記応力緩和部41が形成されたものでもよい。
【0069】
さらに、上記第1実施例における表示パネル保護板30は、その外周縁から前記突出層31と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部42を所定のピッチで形成した凹凸縁部からなる応力緩和部41を形成したものであるが、この応力緩和部は、前記突出層31との重なり部を部分的に欠落させて前記突出層31との接触面積を小さくした形状であれば、他の形状に形成してもよい。
【0070】
またさらに、前記接合部材貼付け工程では、前記表示パネル保護板30に前記シート状接合部材40を前記突出層31に前記応力緩和部41が重なるように位置決めして貼付けたが、前記液晶表示パネル10に前記シート状接合部材40を貼付けてもよい。この場合、部品貼合わせ工程において、前記液晶表示パネル10と前記表示パネル保護板30とを、前記突出層31に前記応力緩和部41が重なるように位置決めして、前記シート状接合部材40を介して重ねて加圧し、前記液晶表示パネル10と前記表示パネル保護板30とを前記シート状接合部材40により貼合わせるとよい。
【0071】
図8に示した第1変形例のシート状接合部材40aは、両面粘着シートからなるシート部材の外周縁を、前記表示パネル保護板30に形成された突出層31と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった三角波形状に形成した波状縁部からなる応力緩和部41aを形成したものである。
【0072】
図9に示した第2変形例のシート状接合部材40bは、両面粘着シートからなるシート部材の外周縁を、前記表示パネル保護板30に形成された突出層31と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった矩形波形状に形成した波状縁部からなる応力緩和部41bを形成したものである。
【0073】
図10に示した第3変形例のシート状接合部材40cは、両面粘着シートからなるシート部材の外周縁を、前記表示パネル保護板30に形成された突出層31と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった正弦波形状に形成した波状縁部からなる応力緩和部41cを形成したものである。
【0074】
なお、上記第1〜第3変形例のシート状接合部材40a,40b,40cにおいて、前記応力緩和部41a,41b,41cは、できるだけ小さいピッチ、好ましくは5mm以下、より好ましくは2〜3mm以下のピッチの波形状に形成するのが望ましい。
【0075】
また、第1乃至第3変形例ではシート状接合部材40bの外周縁を前記突出層31と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった形状に形成したが、前記外周縁を前記突出層31と重なる部分の一部の幅にわたる振幅をもった形状に形成してもよい。
【0076】
図11に示した第4変形例のシート状接合部材40dは、両面粘着シートからなるシート部材の周縁部の前記突出層31と重なる部分に、複数の貫通孔44を所定のピッチで設けた孔配列部からなる応力緩和部41dを形成したものである。
【0077】
この第4変形例のシート状接合部材40dにおいて、前記応力緩和部41dの複数の貫通孔44は、できるだけ小さいピッチ、好ましくは5mm以下、より好ましくは2〜3mm以下のピッチで設けるのが望ましい。
【0078】
また、上記実施例の接合方法は、液晶表示パネル10と突出層31が形成された表示パネル保護板30との貼合わせに限らず、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)発光層が設けられ、前記基板の外面に例えばプリズムシート等の光学フィルムが貼付けられた有機EL表示パネルと前記表示パネル保護板30との貼合わせにも適用することができる。その場合は、前記第1部品準備工程で、第1の板状部品として前記有機EL表示パネルを準備する。また、有機EL表示パネルの他にもプラズマ表示装置やフィールドエミッション表示装置等といった他の表示装置に適用してもよい。
【0079】
[実施例2]
図12に示したタッチ入力装置は、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式または超音波方式の何れかのタッチパネル18と、前記タッチパネル18の前面に、シート状接合部材46により前記タッチパネル18と貼合わせて配置されたタッチパネル保護板32とを備えている。
【0080】
なお、この実施例において、前記タッチパネル18は、前記タッチパネル保護板32の貼付け面とは反対面に配置された表示パネル10を備えたものであり、前記表示パネル10は、上記第1実施例の液晶表示パネルからなっている。
【0081】
前記液晶表示パネル10は、その前面(前側偏光板16の外面)を図示しない透明な両面粘着シート等により前記タッチパネル18に貼付けて配置されており、この液晶表示パネル10の後側に、上記第1実施例と同様な面光源20が配置されている。
【0082】
このタッチ入力装置の製造において、前記タッチパネル18と前記タッチパネル保護板32との貼合わせは、第1部品準備工程、第2部品準備工程、接合部材準備工程、接合部材貼付け工程及び部品貼合わせ工程と、前記部品貼合わせ工程後に行うオートクレーブ工程とを含む次のような接合方法で行う。
【0083】
(第1部品準備工程)
第1の板状部品として、前記タッチパネル保護板32の貼付け面とは反対面に前記液晶表示パネル10が配置されたタッチパネル18を準備する。
【0084】
(第2部品準備工程)
第2の板状部品として、前記タッチパネル18の外形と略同じ形状に形成され、前記タッチパネル18に対する貼付け面の周縁部に、前記タッチパネル18のタッチエリア(図示せず)に対向する領域の外側に印刷層等からなる枠形状の突出層33が形成されたタッチパネル保護板32を準備する。
【0085】
なお、この第2部品準備工程において、前記タッチパネル18がタッチ圧による抵抗膜同士の接触を検知する抵抗膜方式のタッチパネルである場合は、前記タッチパネル保護板32として可撓性保護板を準備する。また、前記タッチパネル18が静電容量方式または電磁誘導方式のタッチパネルである場合は、前記タッチパネル保護板32として誘電性保護板を準備する。さらに、前記タッチパネル18が光学方式のタッチパネルである場合は、前記タッチパネル保護板32として光の屈折性が小さい保護板を準備し、前記タッチパネル18が超音波方式のタッチパネルである場合は、前記タッチパネル保護板32として超音波伝達性の高い保護板を準備する。
【0086】
(接合部材準備工程)
前記タッチパネル18と前記タッチパネル保護板32との間に前記突出層33の略全体と重なった状態で挟持される平面形状に形成され、前記突出層33と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層33との接触面積を小さくした応力緩和部47が形成された両面粘着シートからなるシート状接合部材46を準備する。
【0087】
なお、このシート状接合部材46の応力緩和部47は、上記第1の実施例及びその第1〜第4変形例のシート状接合部材40,40a,40b,40c,40dの応力緩和部41,41a,41b,41c,41dの何れかと同じ形状に形成されている。
【0088】
(接合部材貼付け工程)
前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32の一方、望ましくは前記突出層33が形成されたタッチパネル保護板32に、前記シート状接合部材46を、前記突出層33に前記応力緩和部47が重なるように位置決めして貼付ける。
【0089】
(部品貼合わせ工程)
次に、真空圧下において、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを前記シート状接合部材46を介して重ねて加圧することにより、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを前記シート状接合部材46により貼合わせる。
【0090】
このように、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを前記シート状接合部材46を介して重ねて加圧すると、前記シート状接合部材46の前記突出層33に重ねられた周縁部が押し潰されて前記シート状接合部材46がその全域において前記タッチパネル18と前記タッチパネル保護板32とに密着し、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とが前記シート状接合部材46により貼合わされる。
【0091】
このタッチパネル18とタッチパネル保護板32との貼合わせにおいて、前記シート状接合部材46の前記突出層31と重なる部分に前記応力緩和部47が形成されているため、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを、前記シート状接合部材46の前記突出層33に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができる。
【0092】
(オートクレーブ工程)
次に、前記貼合わされたタッチパネル18とタッチパネル保護板32とに対して熱と圧力を一定時間付与するオートクレーブを行ない、前記接合部材貼付け工程及び前記部品貼合わせ工程において前記タッチパネル保護板32及びタッチパネル18と前記シート状接合部材46との間に閉じ込められた空気を前記シート状接合部材46中に溶け込ませる。
【0093】
このように、上記接合方法は、前記タッチパネル18と、前記突出層33が形成された前記タッチパネル保護板32とを、前記突出層33に重なる部分に前記応力緩和部47を形成したシート状接合部材46により接合しているため、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを、前記シート状接合部材46の前記突出層33に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができ、従って、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32との貼合わせ部に、前記応力による剥離等が生じることを抑制することができる。
【0094】
しかも、前記シート状接合部材46の応力緩和部47は、前記突出層33と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層33との接触面積を小さくした形状に形成されているため、このシート状接合部材46の応力緩和部47においても、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32とを充分な強度で貼合わせることができる。
【0095】
また、上記接合方法は、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32との貼合わせ後に、前記オートクレーブを行なっているため、前記タッチパネル保護板32及びタッチパネル18と前記シート状接合部材46との間に閉じ込められた空気を前記シート状接合部材46中に溶け込ませ、前記タッチパネル18とタッチパネル保護板32との貼合わせ強度を、前記シート状接合部材46による貼合わせ領域の全域において高く維持することができる。
【0096】
なお、この実施例の接合方法は、タッチパネル保護板32の貼付け面とは反対面に液晶表示パネル10が配置されたタッチパネル18と前記タッチパネル保護板32との貼合わせに限らず、タッチパネル保護板32の貼付け面とは反対面に前記有機EL表示パネルやプラズマ表示装置、フィールドエミッション表示装置等といった他の表示装置が配置されたタッチパネル18と前記タッチパネル保護板32との貼合わせにも適用することができる。
【0097】
さらに、この実施例の接合方法は、タッチパネル保護板32の貼付け面とは反対面に表示パネル等を配置していない単体のタッチパネル18と前記タッチパネル保護板32との貼合わせにも適用することができる。
【0098】
[実施例3]
図13に示した液晶表示パネル10aは、上記第1及び第2実施例における液晶表示パネル10の2枚の偏光板16,17のうちの前側偏光板16の表示パネル本体11に対する貼付け面の周縁部に、印刷層等からなる突出層35を、前記表示パネル本体11の画面エリア11a(図1参照)を囲む枠形状に形成し、前記表示パネル本体11と前記前側偏光板16とを、シート状接合部材48により貼合わせたものである。
【0099】
なお、前記液晶表示パネル10aの後側偏光板17は、前記突出層35等を形成しない偏光板であり、図示しない両面粘着シート等により前記表示パネル本体11の後面(後側基板13の外面)に貼付けられている。また、前記液晶表示パネル10aの後側には、上記第1実施例と同様な面光源20が配置されている。
【0100】
この液晶表示パネル10aの製造において、前記表示パネル本体11と前記前側偏光板16との貼合わせは、第1部品準備工程、第2部品準備工程、接合部材準備工程、接合部材貼付け工程及び部品貼合わせ工程と、前記部品貼合わせ工程後に行うオートクレーブ工程とを含む次のような接合方法で行う。
【0101】
(第1部品準備工程)
第1の板状部品として、対向配置された2枚の透明基板12,13間に液晶層15が設けられ、後面に前記後側偏光板17が貼付られた表示パネル本体11を準備する。
【0102】
(第2部品準備工程)
第2の板状部品として、前記表示パネル本体11の外形と略同じ形状に形成され、前記表示パネル本体11に対する貼付け面の周縁部に前記突出層35が形成された前側偏光板16を準備する。
【0103】
(接合部材準備工程)
前記表示パネル本体11と前記前側偏光板16との間に前記突出層33の略全体と重なった状態で挟持される平面形状に形成され、前記突出層35と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層33との接触面積を小さくした応力緩和部49が形成された両面粘着シートからなるシート状接合部材48を準備する。
【0104】
なお、このシート状接合部材48の応力緩和部49は、上記第1の実施例及びその第1〜第4変形例のシート状接合部材40,40a,40b,40c,40dの応力緩和部41,41a,41b,41c,41dの何れかと同じ形状に形成されている。
【0105】
(接合部材貼付け工程)
前記表示パネル本体11と前側偏光板16の一方、望ましくは前記突出層35が形成された前側偏光板16に、前記シート状接合部材48を、前記突出層35に前記応力緩和部49が重なるように位置決めして貼付ける。
【0106】
(部品貼合わせ工程)
次に、真空圧下において、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを前記シート状接合部材48を介して重ねて加圧することにより、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを前記シート状接合部材48により貼合わせる。
【0107】
このように、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを前記シート状接合部材48を介して重ねて加圧すると、前記シート状接合部材48の前記突出層35に重ねられた周縁部が押し潰されて前記シート状接合部材48がその全域において前記表示パネル本体11と前側偏光板16とに密着し、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とが前記シート状接合部材48により貼合わされる。
【0108】
この表示パネル本体11と前側偏光板16との貼合わせにおいて、前記シート状接合部材48の前記突出層35と重なる部分に前記応力緩和部49が形成されているため、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを、前記シート状接合部材48の前記突出層35に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができる。
【0109】
(オートクレーブ工程)
次に、前記貼合わされた表示パネル本体11と前側偏光板16とに対して熱と圧力とを一定時間付与するオートクレーブを行ない、前記接合部材貼付け工程及び前記部品貼合わせ工程において前記表示パネル本体11及び前側偏光板16と前記シート状接合部材48との間に閉じ込められた空気を前記シート状接合部材48中に溶け込ませる。
【0110】
このように、上記接合方法は、前記表示パネル本体11と、前記突出層35が形成された前記前側偏光板16とを、前記突出層35に重なる部分に前記応力緩和部49を形成したシート状接合部材48により接合しているため、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを、前記シート状接合部材48の前記突出層35に重なった部分に大きな応力を生じさせることなく貼合わせることができ、従って、前記表示パネル本体11と前側偏光板16との貼合わせ部に、前記応力による剥離等が生じることを抑制することができる。
【0111】
しかも、前記シート状接合部材48の応力緩和部49は、前記突出層35と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層35との接触面積を小さくした形状に形成されているため、このシート状接合部材48の応力緩和部49においても、前記表示パネル本体11と前側偏光板16とを充分な強度で貼合わせることができる。
【0112】
また、上記接合方法は、前記表示パネル本体11と前側偏光板16との貼合わせ後に、前記オートクレーブを行なっているため、前記前側偏光板16及び表示パネル本体11と前記シート状接合部材48との間に閉じ込められた空気を前記シート状接合部材48中に溶け込ませ、前記表示パネル本体11と前側偏光板16との貼合わせ強度を、前記シート状接合部材48による貼合わせ領域の全域において高く維持することができる。
【0113】
なお、この実施例の接合方法は、前記表示パネル本体11と前側偏光板16との貼合わせに限らず、基板上に有機EL発光層が設けられた表示パネル本体と、前記表示パネル本体に対する貼付け面の周縁部に突出層を形成したプリズムシート等の光学フィルムとの貼合わせにも適用することができる。また、有機EL表示パネルの他にもプラズマ表示装置やフィールドエミッション表示装置等といった他の表示装置に適用してもよい。
【0114】
[他の実施例]
なお、上記各実施例においては、第1の板状部品と第2の板状部品とを貼合わせるためのシート状接合部材40,46,48として両面粘着シートを用いているが、前記シート状接合部材40,46,48は、両面粘着シートに限らず、例えば両面に熱重合性または光重合性接着剤を塗布した樹脂シート等でもよく、その場合は、前記オートクレーブ工程後に、前記熱重合性または光重合性接着剤を重合させればよい。
【0115】
また、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品は、上記各実施例のものに限らず、他の板状部品でもよい。さらに、前記第2の板状部品は、周縁部に限らず、周縁部以外の部分(例えば表示パネルの画面エリア内に対向する部分)に突出層を形成したものでもよく、その場合は、シート状接合部材の前記突出層に重なる部分に、複数の貫通孔を所定のピッチで設けた応力緩和部を形成すればよい。
【符号の説明】
【0116】
10…液晶表示パネル、11…表示パネル本体、11a…画面エリア、12,13…透明基板、15…液晶層、16,17…光学フィルム(偏光板)、18…タッチパネル、20…面光源、30…表示パネル保護板、32…タッチパネル保護板、31,33,35…突出層、40,40a,40b,40c,40d,46,48…シート状接合部材、41,41a,41b,41c,41d,47,49…応力緩和部、42…切欠部、43…切り残し部、44…貫通孔、45a,45b…セパレータ、A…空気溜まり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とをシート状接合部材により貼合わせて接合する方法であって、
前記第1の板状部品を準備する第1部品準備工程と、
前記突出層が形成された前記第2の板状部品を準備する第2部品準備工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される形状に形成され、且つ前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備する接合部材準備工程と、
前記第2の板状部品に、前記シート状接合部材を、前記突出層に前記応力緩和部が重なるように位置決めして貼付ける接合部材貼付け工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材を介して重ねて加圧し、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材により貼合わせる部品貼合わせ工程と、
を含むことを特徴とする板状部品の接合方法。
【請求項2】
第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とをシート状接合部材により貼合わせて接合する方法であって、
前記第1の板状部品を準備する第1部品準備工程と、
前記突出層が形成された前記第2の板状部品を準備する第2部品準備工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される形状に形成され、且つ前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備する接合部材準備工程と、
前記第1の板状部品に前記シート状接合部材を貼付ける接合部材貼付け工程と、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを、前記突出層に前記応力緩和部が重なるように位置決めして、前記シート状接合部材を介して重ねて加圧し、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とを前記シート状接合部材により貼合わせる部品貼合わせ工程と、
を含むことを特徴とする板状部品の接合方法。
【請求項3】
前記前記シート状接合部材は、両面粘着シートからなることを特徴とする請求項1または2に記載の板状部品の接合方法。
【請求項4】
前記部品貼合わせ工程を、真空圧下で行うことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項5】
前記部品貼合わせ工程後に、前記第1の板状部品と前記第2の板状部品とに対して熱と圧力とを一定時間付与するオートクレーブを行うオートクレーブ工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項6】
前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、表示パネルを準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記表示パネルの画面エリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成された表示パネル保護板を準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項7】
前記第1部品準備工程で、前記表示パネルとして、対向配置された2枚の基板間に液晶層が設けられた液晶表示パネルまたは基板上に有機エレクトロルミネッセンス発光層が設けられた有機エレクトロルミネッセンス表示パネルを準備することを特徴とする請求項6に記載の板状部品の接合方法。
【請求項8】
前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、タッチパネルを準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記タッチパネルのタッチエリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成されたタッチパネル保護板を準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項9】
前記第1部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記タッチパネル保護板の貼付け面とは反対面に表示パネルが配置されたタッチパネルを準備することを特徴とする請求項8に記載の板状部品の接合方法。
【請求項10】
前記第1部品準備工程で、前記第1の板状部品として、対向配置された2枚の基板間に液晶層が設けられた表示パネル本体または基板上に有機エレクトロルミネッセンス発光層が設けられた表示パネル本体を準備し、前記第2部品準備工程で、前記第2の板状部品として、前記表示パネル本体の画面エリアに対向する領域の外側に枠形状の突出層が形成された光学フィルムを準備し、前記接合部材準備工程で、周縁部が前記突出層の少なくとも内周側の縁部と重なる形状に形成され、且つ前記周縁部に、前記突出層と重なる部分の略全域にわたって前記応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項11】
前記接合部材準備工程で、前記周縁部に、その外周縁から前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部を所定のピッチで形成した応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項12】
前記接合部材準備工程で、前記周縁部に、その外周縁を前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった波形状に形成した応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項13】
前記接合部材準備工程で、前記周縁部の前記突出層と重なる部分に、複数の貫通孔を所定のピッチで設けた応力緩和部が形成されたシート状接合部材を準備することを特徴とする請求項6から10の何れかに記載の板状部品の接合方法。
【請求項14】
第1の板状部品と、前記第1の板状部品に対する貼付け面の所定部分に突出層が形成された第2の板状部品とを貼合わせるためのシート状接合部材であって、
前記第1の板状部品と前記第2の板状部品との間に前記突出層の一部と重なった状態で挟持される平面形状に形成され、前記突出層と重なる部分に、その重なり部を部分的に欠落させて前記突出層との接触面積を小さくした応力緩和部が形成されたシート部材からなることを特徴とするシート状接合部材。
【請求項15】
前記シート部材は、両面粘着シートからなることを特徴とする請求項14に記載のシート状接合部材。
【請求項16】
周縁部に前記応力緩和部が形成されていることを特徴とする請求項14または15に記載のシート状接合部材。
【請求項17】
前記応力緩和部は、前記シート部材の外周縁から前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる形状の複数の切欠部を所定のピッチで形成した凹凸縁部からなっていることを特徴とする請求項16に記載のシート状接合部材。
【請求項18】
前記応力緩和部は、前記シート部材の外周縁を前記突出層と重なる部分の略全幅にわたる振幅をもった波形状に形成した波状縁部からなっていることを特徴とする請求項16に記載のシート状接合部材。
【請求項19】
前記応力緩和部は、前記シート部材の周縁部の前記突出層と重なる部分に、複数の貫通孔を所定のピッチで設けた孔配列部からなっていることを特徴とする請求項16に記載のシート状接合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−127072(P2011−127072A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289629(P2009−289629)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】