説明

果実等の物品の収納トレー

【課題】柔軟な合成樹脂フィルムを硬質なトレーに着脱可能とし、トレーの再利用を可能とした果実等の物品の収納トレーを提供する。
【解決手段】吊下用合成樹脂フィルム5の対向2辺に沿う各端縁に係合片8,8を接合すると共に、両係合片に対応する上面開口有底容器(トレー)3の上面開口縁に下向係合溝9,9を設け、上記各係合片の内側端縁に延長片部8b,8bを形成し、上記吊下用合成樹脂フィルム5を上記上面開口2に宛がい上記両係合片8,8を互いに対向する方向に回動させて上記延長片部8b,8bを対応する下向係合溝9,9に挿入し、上記フィルム5の戻りテンションによって各延長片部8b,8bが対応する上記下向係合溝内9,9に係合した状態となるように構成し、上記各延長片部8b,8bと上記下向係合溝9,9との係合により上記吊下用合成樹脂フィルム5を上記上面開口2に張設可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苺等の果実或いは他の物品を収納する果実等の物品の収納トレーに関するものであり、柔軟な吊下用又は被覆用の合成樹脂フィルムをトレー(上面開口有底容器)に着脱自在とした果実等の物品の収納トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟な合成樹脂フィルムに複数の果実収納凹部を塑性変形により形成し、当該フィルムを硬質なトレー(上面開口有底容器)の開口部に張設し、当該フィルムの果実収納凹部が上記トレー底面に接触しないように構成することで、当該果実収納凹部内に苺等の果実を宙吊り収納する果実収納トレーが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−81195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の果実収納トレーにおいて、その合成樹脂フィルムとトレーは、接着剤又は溶着等の手段により接着されているため、上記合成樹脂フィルムの果実収納凹部に果実を収納して輸送等に使用した後、果実を果実収納凹部から取り出した後は、再利用されることなく廃棄されていた。
【0005】
また、上記果実収納トレーにおいて、硬質なトレーの部分は本来再利用可能であるが、上記トレーを再利用するためには上記合成樹脂フィルムを上記トレーから分離することが必要である。しかしながら、上記合成樹脂フィルムは上記トレーに接着剤等により接着されているため、上記トレーからの合成樹脂フィルムの分離に多くの手間を要するという課題があった。
【0006】
そこで、特許文献1のような果実収納トレーにおいて、果実を確実に宙吊り収納する一方、使用後においては、硬質なトレーと柔軟な合成樹脂フィルムを容易に分離できるような構造が望まれている。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、柔軟な合成樹脂フィルムを硬質なトレー(上面開口有底容器)に容易に着脱することができ、トレーの部分の再利用等を可能とした果実等の物品の収納トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、方形の上面開口を有する上面開口有底容器と、該上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品を収納するための柔軟な凹部が塑性変形により形成された方形の吊下用合成樹脂フィルムとからなり、上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で上記凹部に果実等の物品を宙吊り状態で収納し得る果実等の物品の収納トレーにおいて、上記吊下用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記両係合片に対応する上記上面開口有底容器の上面開口対向縁部に、上記係合片が係合し得る下向係合溝を各々設け、上記各係合片の各々の内側端縁に上記フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に宛がい上記吊下用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を対応する上記下向係合溝に各々挿入した状態において、上記吊下用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持するように構成し、上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0009】
このように構成すると、係合片(8,8)と下向係合溝(9,9)との係合により吊下用合成樹脂フィルム(5)を上面開口有底容器(3)の上面開口(2)に張設することができ、上記吊下用合成樹脂フィルム(5)を上記容器(3)に張設するにあたり、接着剤或いは溶着等の手法を用いる必要がない。従って、使用後は吊下用合成樹脂フィルム(5)を上記容器(3)から容易に取り外すことができ、上記容器(3)を容易に再利用することができる。
【0010】
第2に、方形の上面開口を有する上面開口有底容器と、該上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品の上部を被覆するために上記上面開口に張設される方形の柔軟な被覆用合成樹脂フィルムとからなる果実等の物品の収納トレーにおいて、上記被覆用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記両係合片に対応する上記上面開口有底容器の上面開口対向縁部に、上記係合片が係合し得る下向係合溝を各々設け、上記各係合片の各々の内側端縁に上記フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、上記被覆用合成樹脂フィルムを上記容器内の果実等の物品の上部に被覆し、上記被覆用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を対応する上記下向係合溝に各々挿入した状態において、上記被覆用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持し得るように構成し、上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記被覆用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0011】
このように構成すると、被覆用合成樹脂フィルム(10)の係合片(8,8)と下向係合溝(9’,9’)との係合により被覆用合成樹脂フィルム(10)を上面開口有底容器(3)に張設することができ、上記被覆用合成樹脂フィルム(10)を上記容器(3)に張設するにあたり、接着剤或いは溶着等の手法を用いる必要がない。従って、使用後は被覆用合成樹脂フィルム(10)を上記容器(3)から容易に取り外すことができ、上記容器(3)を容易に再利用することができる。
【0012】
第3に、上記第1記載の果実等の物品の収納トレーにおいて、上記上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品の上部を被覆するための柔軟な方形の被覆用合成樹脂フィルムを設け、上記被覆用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記各係合片の各々の内側端縁に上記被覆用合成樹脂フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、上記被覆用合成樹脂フィルムを上記容器内の果実等の物品の上部に被覆し、上記被覆用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を上記容器の対応する下向係合溝に各々挿入した状態において、上記被覆用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持し得るように構成し、上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記被覆用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0013】
このように構成すると、果実等の物品を宙吊り収納し得る吊下用合成樹脂フィルム(5)を上面開口有底容器(3)に張設することができ、果実等の物品を宙吊り包装し得ると共に、上記物品の上部を被覆用合成樹脂フィルム(10)により保護することができる。また、上記吊下用合成樹脂フィルム(5)及び上記被覆用合成樹脂フィルム(10)を上記容器(3)に張設するにあたり、接着剤或いは溶着等の手法を用いる必要がないので、使用後は吊下用合成樹脂フィルム(5)及び被覆用合成樹脂フィルム(10)を上記容器(3)から容易に取り外すことができ、上記容器(3)を容易に再利用することができる。
【0014】
第4に、上記上面開口有底容器の四辺の上記上面開口に沿って上記下向係合溝を設け、上記吊下用合成樹脂フィルムの一対の上記係合片を上記上面開口の一対の対向辺における上記下向係合溝に係合し、上記被覆用合成樹脂フィルムの一対の上記係合片を上記上面開口の他の一対の対向辺における上記下向係合溝に係合したものである上記第3記載の果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0015】
このように構成すると、吊下用合成樹脂フィルム(5)を上記容器(3)の一対の対向辺における下向係合溝(9,9)に係合し、被覆用合成樹脂フィルム(10)を他の一対の対向辺における下向係合溝(9’,9’)に係合することができ、両フィルム(5,10)を各専用の下向係合溝(9,9’)を以って確実に容器(3)に張設することができる。
【0016】
第5に、上記被覆用合成樹脂フィルムは、上記上面開口有底容器内に収納された果実等の物品の上部を被覆するための柔軟な凸部が塑性変形により形成されているものであることを特徴とする上記第2〜4の何れかに記載の果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0017】
このように構成すると、被覆用合成樹脂フィルム(10)の凸部(11)により果実等の物品の上部を被覆することができるため、収納物品に対して傷等を付けることなく、収納物品を保護することができる。
【0018】
第6に、上記下向係合溝に突起部を形成し、上記延長片部に上記突起部に対応する切欠部を形成し、上記延長片部を上記下向係合溝に係合した状態において、上記切欠部に上記突起部が位置するように構成したものであることを特徴とする上記第1〜5の何れかに記載の果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0019】
このように構成すると、係合片(8,8)の容器(3)に対するズレを防止して、合成樹脂フィルム(5,10)を容器(3)に確実に張設することができる。
【0020】
第7に、上記下向係合溝は上記上面開口から外方向に設けられた断面「コ」字状の下向係合溝から構成されており、上記下向係合溝の縦方向の深さbは、上記下向係合溝の上底部の横幅a、上記下向係合溝の下開口部の横幅a’とすると、「b>a かつ b>a’」の関係を有しているものである上記第1〜6の何れかに記載の果実等の物品の収納トレーにより構成される。
【0021】
このように構成すると、合成樹脂フィルム(5又は10)の戻りテンション(矢印R又はR’方向)が作用することにより、係合片(8)が下向係合溝(9又は9’)に係合した状態が維持されるので、上記合成樹脂フィルム(5又は10)を確実に上面開口有底容器(3)に張設することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のように、吊下用合成樹脂フィルム又は被覆用合成樹脂フィルムを上面開口有底容器に張設するにあたり、接着剤或いは溶着等の手法を用いる必要がないため、収納トレーの使用後、即ち、果実等の物品の取り出し後は、吊下用合成樹脂フィルム又は被覆用合成樹脂フィルムを上記上面開口有底容器から容易に取り外すことができ、従って、使用後の上面開口有低容器を再利用することができ、収納トレーのリサイクル性を飛躍的に向上させることができる。
【0023】
また、吊下用合成樹脂フィルムだけではなく、被覆用合成樹脂フィルムを併せて使用する場合においても、何れのフィルムも接着剤、溶着等の手法を用いることなく、上記開口有底容器に張設可能であるため、同様に、収納トレーのリサイクル性を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
また、接着剤等を用いることなく、係合片と下向係合溝との係合により、簡単かつ確実に吊下用合成樹脂フィルム又は被覆用合成樹脂フィルムを上面開口有底容器に張設することができるし、各フィルムの上記容器からの取り外しも極めて容易に行い得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る果実等の物品の収納トレーの分解斜視図である。
【図2】同上収納トレーと被覆用合成樹脂フィルムを示す斜視図である。
【図3】(a)(b)は各々同上収納トレーの吊下用合成樹脂フィルムと下向係合溝との係合の状態を示す一部拡大断面図である。
【図4】(a)〜(c)は各々同上収納トレーの吊下用合成樹脂フィルムを下向係合溝に係合していく状態を示す下向係合溝近傍の一部断面斜視図である。
【図5】同上収納トレーのトレーに吊下用合成樹脂フィルムを張設する状態を示す図であり、(a)は同上フィルムの一部平面図、(b)は同上トレーの側面図である。
【図6】同上収納トレーのトレーに吊下用合成樹脂フィルムを張設する状態を示す図であり、(a)は同上フィルムの一部平面図、(b)は同上トレーの側面図である。
【図7】同上収納トレーのトレーに吊下用合成樹脂フィルムを張設する状態を示す図であり、(a)は同上フィルムの一部平面図、(b)は同上トレーの側面図である。
【図8】同上収納トレーのトレーに吊下用合成樹脂フィルムを張設する状態を示す図であり、(a)は同上フィルムの一部平面図、(b)は同上収納トレーの側面図である。
【図9】同上フィルムを製造する状況を示す側面断面図である。
【図10】同上収納トレーの側面断面図である。
【図11】同上収納トレーの分解斜視図である。
【図12】同上収納トレーの斜視図である。
【図13】被覆用合成樹脂フィルムのみを使用した場合の同上収納トレーの図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る果実等の物品の収納トレーを詳細に説明する。尚、以下の説明において、収納される果実として苺と桃を例に説明するが、収納物はこれに限らず、他の果実或いは果実以外の物品(例えば野菜等の食品、食品以外であれば電子部品等)であっても良い。また、本明細書において、単にトレーという場合は上面開口有底容器3を意味し、上面開口有底容器3に吊下用合成樹脂フィルム5、又は被覆用合成樹脂フィルム10を張設したものを果実等の物品の収納トレー、又は単に収納トレーという。
【0027】
図1に示すように、本発明に係る果実等の物品の収納トレー1は、方形(本実施形態では長方形)の上面開口2を有する上面開口有底容器(トレー)3と、該上面開口有底容器3の上記上面開口2に張設され果実等の物品を宙吊り収納するための複数の柔軟な凹部4が塑性変形により形成された柔軟な方形(本実施形態では長方形)の吊下用合成樹脂フィルム5とからなり、上記吊下用合成樹脂フィルム5を上記上面開口2に張設した状態(上記合成樹脂フィルム5を張設状態の収納トレー1を図2に示す)で上記複数の凹部4に果実等の物品(本実施形態では苺)を宙吊り状態で収納し得るものである。
【0028】
上記上面開口有底容器3は、合成樹脂により一体成型された硬質のものであり、底面6には上記吊下用合成樹脂フィルム5の凹部4に苺を収納した場合に、苺の底部下方に空間S’(図8(b)参照)を形成して苺Fを宙吊り状態とするための凹部6aが複数凹設されている。尚、上記凹部6aは上記合成樹脂フィルム5の上記凹部4の形成位置に対応する位置に凹設されている。
【0029】
また、上記底面6における4つの上記凹部6aに囲まれた中央部には上向突起7(3箇所)が形成されている。この上向突起7は、上記合成樹脂フィルム5を上記上面開口2に張設したとき、上記上向突起7の上面7aが上記合成樹脂フィルム5の裏面5bに当接し、上記上面開口2の縁部2aと共に、上記合成樹脂フィルム5の凹部4内に収納された苺Fを宙吊り状態に支持するものである(図2、図8(b)参照)。
【0030】
上記吊下用合成樹脂フィルム5は、その厚さが10μm〜300μmの極めて薄い柔軟性のあるフィルムであり、その材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン等の薄膜透明又は半透明の熱可塑性合成樹脂フィルムが用いられる。尚、以下の実施形態において、上記吊下用合成樹脂フィルム5の厚さは例えば30〜150μmとする。
【0031】
この吊下用合成樹脂フィルム1は、図1に示すように、平坦面(表面)5aに長手方向に4個の凹部4を2列に形成し、合計8個の凹部4が熱による塑性変形により形成されている。上記凹部4の個数及び凹部の形状は任意であり、収納する物品の個数、形状により変更可能である。
【0032】
このような吊下用合成樹脂薄フィルム5は、図9に示す真空成型法により形成することができる。即ち、複数の凹部20が形成され、さらに複数の吸引用貫通孔21が形成された略直方体形状の金型22を網状板23上に水平に載置し、当該金型22上に加熱して軟化させた合成樹脂薄フィルム5を被覆し、その状態で上記吸引用貫通孔21を介して真空吸引(矢印y方向)することで、図1に示す柔軟な凹部4を有する柔軟な吊下用合成樹脂薄フィルム5を形成することができる。
【0033】
この吊下用合成樹脂薄フィルム5は、成型後においては図1に示すような形状を維持しているが、その厚さが極めて薄いため、凹部4を含め全体的に柔軟性を有しており、2つ折り或いは3つ折りに折り畳む等によりコンパクトに収納できるし、上下方向に積み重ねた場合は上記凹部4が上下方向に不定形に圧縮された状態となり、多数の合成樹脂フィルム5を積み重ねても嵩張らずに収納、運搬が可能となる。尚、上記凹部4等は不定形に圧縮した後においても、塑性変形しているため元の形状を維持しており、物品を収納することに関して何ら支障はない。
【0034】
このような上記吊下用合成樹脂フィルム5の少なくとも対向2辺に沿う各端縁5’,5’に各々細長板状の係合片8,8を接合(例えば接着剤による接着等)すると共に、上記両係合片8,8に対応する上記上面開口有底容器3の上記上面開口対向縁部3’,3’に、上記係合片8,8が係合し得る断面下向「コ」字状の下向係合溝9,9を各々設ける(図3参照)。そして、上記各係合片8,8の各々の内側端縁8a,8aに上記フィルム5に接着(接合)せずに上記フィルム5の裏面5b側に位置する延長片部8b,8bを、上記係合片8,8の略全長に亘り形成する。
【0035】
上記係合片8及び延長片部8b,8bは、細長い略長方形の板状に形成されたものであり、厚さ1mm程度の厚紙或いは合成樹脂板により一体的に形成されている。上記係合片8と上記フィルム5との接合は、上記係合片8,8の上面側の外側端部8c,8c(図1中ハッチングを施した部分)が上記合成樹脂フィルム5の裏面5b側と接着されており、上記延長片部8b,8bの上面8b’,8b’と上記合成樹脂フィルム5の裏面5b側は接着されていない(図3(a)(b)参照)。
【0036】
従って、図3(a)(b)に示すように、上記係合片8は、合成樹脂フィルム5の端縁5’を中心縁として矢印P方向(上記延長片部8b,8bが上記フィルム5の裏面5bから離間する方向)に回動可能に構成されている。
【0037】
また、上記フィルム5の上記両端縁5’,5’間の長さT1(短辺側の長さT1)は、当該フィルム5を上記上面開口有底容器3の上面開口2に張設したとき、上記平坦面5aがピンと張った状態(図2のような張設状態)となるような長さに設定されている。
【0038】
また、上記吊下用合成樹脂フィルム5を、上記上面開口2に宛がい上記吊下用合成樹脂フィルム5を張設しながら(矢印S,S方向に引っ張りながら)、上記フィルム5を互いに対向する方向(矢印Q方向)に折り曲げて、上記両係合片8,8を互いに対向する方向(矢印Q方向)に回動させて(図3(a)参照)、上記両延長片部8b,8bを対応する上記下向係合溝9,9に、図3(b)、図8のように、各々挿入した状態において(図7、図8参照)、上記吊下用合成樹脂フィルム5の戻りテンション(矢印R,R方向のテンション)によって、図3(b)に示すように、両係合片8が略「ハ」の字状に傾斜した状態で、上記各延長片部8b,8bが対応する上記下向係合溝9内に係合した状態を維持するように構成し、上記各延長片部8b,8bと上記下向係合溝9,9との上記係合により、上記吊下用合成樹脂フィルム5を上記上面開口2に張設した状態が維持されるように構成する。
【0039】
より具体的には、上記係合片8,8に上記戻りテンション(矢印R方向のテンション)が作用すると、図3(b)、図8に示すように、上記係合片8は上記端縁5’を中心縁として矢印P方向に回動するが、上記延長片部8bの先端部8b”が上記下向係合溝9,9の内側コーナー部9aに当接することで上記係合片8の矢印P方向の回動が阻止され、かかる状態で左右の戻りテンションが釣り合って、上記左右の係合片8,8が対応する上記下向係合溝9,9に係合した状態が維持され(図8の状態)、その結果、上記合成樹脂フィルム5は上記上面開口2にピンと張った状態(張設状態)で上記上面開口2の閉鎖状態を維持する(図2参照)。
【0040】
この状態では、上記係合片8,8は図3(b)に示すように、水平状態から先端部8b”を内側に若干傾けた略起立状態となり、上記戻りテンション(矢印R方向)が作用しても矢印P方向の回転が阻止された係合状態が維持される。
【0041】
上記係合片8,8の図3(b)に示す上記下向係合溝9,9への係合状態が維持されるためには、図3(a)に示すように、上記下向係合溝9,9の上底部の横幅をa、下向係合溝9,9の下開口部の横幅をa’、上記下向係合溝9,9の縦方向の深さをbとすると、「b>aかつb>a’」の関係が成立するように構成することが好ましい。さらに、上記延長片部8bの幅をcとすると、c>bとすることが好ましい。即ち、上記a,a’,b,cの関係は、「a<a’<b<c<(a+b)」とすることが好ましい。尚、b≦a又はb≦a’とすると(bがa又はa’に等しいか或いは小さい場合)、上記戻りテンション(矢印R方向)による係合片8,8の矢印P方向の回転を阻止することが難しくなり、上記フィルム5の上記上面開口2への張設状態を維持できなくなる場合がある。
【0042】
また、図1に示すように、上記下向係合溝9内には、所定間隔を以って3箇所に下向きの突起部12が形成されており、一方、上記係合片8の上記延長片部8b,8bには上記突起部12に対応する3箇所の位置に切欠部8dを形成し、上記係合片8を上記下向係合溝9に係合した状態において、上記切欠部8dに上記突起部12が位置するように構成している。これにより、上記延長片部8bを上記係合溝9に係合した状態において、上記係合片8のズレ(主に、容器3の長辺方向のズレ)を防止するものである。また上記突起部12は上記係合溝(フランジ部)9,9’の変形を防止して補強する機能を有する。尚、突起部12の形状、大きさ、数は収納する内容物等に応じて適宜設定し、形成することができる。
【0043】
本発明は上述のように構成されているため、以下本発明の果実等の物品の収納トレー1を構成する手順を説明する。
【0044】
まず、上面開口有底容器3の上面開口2に吊下用合成樹脂フィルム5を宛がう。このとき、上記フィルム5の長辺側の係合片8,8を上記上面開口有底容器3の長辺側の上記下向係合溝9,9に対応させた状態で宛がう(図5(a)(b)、図4(a)の状態)。
【0045】
そして、上記合成樹脂フィルム5の両側の上記係合片8,8を図5、図6、図3(a)に示すように矢印P方向に回転し、上記延長片部8bを上記フィルム5裏面5bから離間させてから、図7、図4(c)に示すように、上記フィルム5を上記上面開口有底容器3の上面開口2に被せ、上記フィルム5の長辺の端縁5’を上記上面開口2の縁部2aに接触させた状態で、上記フィルム5を張設しながら(矢印S,S方向にテンションをかけながら)、上記係合片8,8及び両端部のフィルム5を互いに対向する方向(矢印Q方向)に折り曲げて(回動させて)、上記延長片部8b,8bを上記下向係合溝9,9内に挿入係合する(図7、図8参照)。
【0046】
すると、上記吊下用合成樹脂フィルム5の矢印R,R方向の戻りテンションによって上記係合辺8,8は端縁5’を中心縁として矢印P方向に若干回転するが、かかる回転により上記延長片部8bの先端部8b”が上記下向係合溝9内の内側コーナー部9aに当接して当該係合片9,9の上記下向係合溝9,9内における係合状態が維持される(図3(b)、図8(b)の状態)。
【0047】
このとき、上記下向係合溝9はb>a,b>a’の上記条件を満たしているので、上記係合片8はその先端部8b”を上記コーナー部9aに当接した状態で起立した状態(図8(b)に示す略「ハ」の字傾斜状態)を維持するので、上記戻りテンション(矢印R方向)が作用しても上記係合状態を維持し得る。よって、かかる係合状態において、吊下用合成樹脂フィルム5は上記上面開口有底容器3の上面開口2にピンと張った状態で張設することができ(この状態を図2に示す)、これにより果実等の物品の収納トレー1を形成することができる。
【0048】
その後は、苺Fを上記吊下用合成樹脂フィルム5の各凹部4内に収納すれば良い。上記凹部4内に苺Fを収納すると、凹部4を構成する柔軟なフィルム5は苺Fの下半部(下部)に密着して苺Fを保持すると共に、上記凹部4内の苺Fは、上記縁部2aと上記上向突起7の上面7aによって宙吊り状態で収納支持される(図8(b)参照)。
【0049】
このとき、苺Fを上記凹部4内に収納すると、苺Fの重量により上記合成樹脂フィルム5に上記戻りテンション(矢印R方向)が作用する。しかしながら、上記戻りテンション(矢印R方向)が作用すると上記係合片8,8に矢印P方向の回転力が作用して、上記延長片部8bの先端部8b”と上記コーナー部9aとの係合が維持される。よって、上記苺Fの重量による戻りテンション(矢印R方向)が作用しても、係合片8と上記下向係合溝9との係合状態は維持され、上記苺Fを宙吊り状態で確実に収納支持することができる。
【0050】
上記苺Fを上記収納トレー1から取り出した後は、上記係合片8,8を上記下向係合溝9,9から取り外せば良い。具体的には、上記係合片8,8を矢印Qとは反対方向に回動することで、上記係合片8,8と上記下向係合溝9,9との係合を解除した後、当該フィルム5を上記容器3から取り外せば良い。上記吊下用合成樹脂フィルム5は、上記容器3から取り外した後は容易に廃棄することができる。
【0051】
一方、上記フィルム5を取り外した上面開口有底容器3は、フィルム5と接着剤又は溶着等による接着箇所等が全く存在しないので、そのまま再利用することができる。具体的には、上記容器3の上面開口2に新たな吊下用合成樹脂フィルム5を同様に張設することで、上記容器3をそのまま再利用することができる。
【0052】
図10に示すものは、図2に示すように本発明の果実等の物品の収納トレー1の凹部4に苺Fを宙吊り収納した状態において、苺Fの上部(上半部)を被覆するための方形の被覆用合成樹脂フィルム10を示すものである(図2に斜視図を示す)。この被覆用合成樹脂フィルム10は、上記吊下用合成樹脂フィルム5と同様の薄い柔軟な合成樹脂フィルムからなるものであるが、上記フィルム5と異なり、果実の上部(上半部)を被覆するための柔軟な凸部11が塑性変形により形成されたものである。上記凸部11は上記吊下用合成樹脂フィルム5の凹部4に対応して8個(4個の凸部11が2列に)設けられている。尚、この被覆用合成樹脂フィルム10も上記吊下用合成樹脂フィルム5と同様の図9の真空成型法により形成されている。
【0053】
そして、図2に示すように、上記被覆用合成樹脂フィルム10の少なくとも対向2辺(上記吊下用合成樹脂フィルム5の係合片8,8が形成された長辺とは異なる対向2辺(短辺))に沿う各端縁10’,10’に各々係合片8,8を接合すると共に、上記各係合片8,8の各々の内側端縁8a,8aに上記フィルム10に接合せずに上記フィルムの裏面側10bに位置する延長片部8b,8bが形成されている。即ち、上記被覆用合成樹脂フィルム10に接着された係合片8,8の構成は、上記吊下用合成樹脂フィルム5に形成された係合片8,8と同様の構成からなるものである。
【0054】
また、上記上面開口有底容器3の上面開口2の短辺側の対向2辺(上面開口対向縁3”、3”)には断面下向「コ」字状の下向係合溝9’,9’が各々形成されている(図2参照)。尚、図1、図2に示す上記容器3はその上面開口2の開口端部の全周に亘り下向係合溝9又は9’が連続して形成されている(図2、図12参照)。
【0055】
従って、上記上面開口2に上記吊下用合成樹脂フィルム5を張設し上記凹部4に果実等の物品(例えば苺F)を宙吊り収納した状態において(図10参照)、上記被覆用合成樹脂フィルム10の各凸部11により上記各苺Fの上部(上半部)を被覆した状態で上記上面開口2に宛がい、上記被覆用合成樹脂フィルム10を張設しながら上記両係合片8,8及び上記フィルム10の両端部を互いに対向する方向に折り曲げて(回動させて)、上記延長片部8b,8bを対応する短辺側の上記下向係合溝9’,9’に各々挿入した状態において、上記合成樹脂フィルム10の戻りテンション(矢印R’方向、図2、図12参照)によって上記各延長片部8b,8bが対応する上記下向係合溝9’,9’内に係合した状態となるように構成する。
【0056】
このように、上記各延長片部8b,8bと上記下向係合溝9’,9’との上記係合状態を維持することにより、上記被覆用合成樹脂フィルム10を上記被覆用合成樹脂フィルム10の上記上面開口2に張設した状態で取り付けることができる(図10の2点鎖線参照)。尚、上記延長片部8b,8bと上記下向係合溝9’,9’との係合は図3(b)に示す係合状態と同様である。
【0057】
このように構成すると、宙吊り状態に収納支持した苺Fの上半部を被覆用合成樹脂フィルム10で保護することができ、安全に傷付けることなく苺Fを包装することができる。
【0058】
また、苺Fを取り出す場合は、上記被覆用合成樹脂フィルム10をその係合片8,8と下向係合溝9’,9’との係合を解除して苺Fから取り外した後、苺Fを凹部4から取り出し、その後は、吊下げ用合成樹脂フィルム5をその係合片8,8と下向係合溝9,9との係合を解除して容器3から取り外せば良い。この場合においても、上記フィルム10,5と上記容器3は何ら接着剤等による接着は行われていないので、上記被覆用合成樹脂フィルム10及び吊下用合成樹脂フィルム5を取り外した後、上記容器3を何ら支障なく再利用することができる。
【0059】
図11に示すものは、果実として桃Fを2個収納するための収納トレー1を示すものである。
【0060】
尚、図11の実施形態において、上記図1及び図2で示した実施形態と同一部分については同一符号を付す。この実施形態における上面開口有底容器3は、その底面6には図1に示すような凹部6aは存在せず、また上向突起7も存在しない。吊下用合成樹脂フィルム5は桃Fの下部(下半部)を支持するための柔軟な凹部4が2個隣接して形成されており、当該フィルム5の係合片8,8を上記実施形態と同様の方法にて容器3の下向係合溝9,9に係合することで上記容器3の上面開口2に張設する。
【0061】
また、この実施形態における被覆用合成樹脂フィルム10は同図に示すように、そのフィルム10表面には凸部11は形成されておらず、平坦なフィルム10により構成されている。この合成樹脂フィルム10は幅が狭い帯状に形成されており、一対の短辺側に上記実施形態と同様の係合片8,8が形成されている。
【0062】
よって、上記吊下用合成樹脂フィルム5を容器3の上面開口2に張設し、上記凹部4,4に果実としての桃Fを収納して桃Fを宙吊り状態で支持した後、その桃Fの上面側において、容器3の長手方向に沿って被覆するように被覆用合成樹脂フィルム10を中央に宛がい、その係合片8,8を上記容器の下向係合溝9’,9’側に係合することで、同フィルム10を張設することができる(図12参照)。尚、係合片8,8と下向係合溝9’,9’との係合状態は上記図3(b)と同様である。
【0063】
かかる実施形態の収納トレー1によると、桃等の果実を宙吊り状態で収納支持し得ると共に、その上面側を被覆して、上記収納果実を保護することができる。また、この実施形態においても、上記被覆用合成樹脂フィルム10及び吊下用合成樹脂フィルム5は上記容器から容易に取り外すことができ、上記各フィルム10,5と上記容器3とは何ら接着等されていないので、上記合成樹脂フィルム10,5を取り外した後は、上記容器3をそのまま再利用することができる。
【0064】
尚、上記図2、図10〜図12の実施形態では、容器3に吊下用合成樹脂フィルム5を張設して果実等の物品を宙吊り収納してから、被覆用合成樹脂フィルム10を果実等の物品の上部に被覆する構成を説明したが、図13に示すように、上記吊下用合成樹脂フィルム5を用いることなく、上面開口有底容器3に直接果実等の物品を収納し、収納果実の上部を被覆用合成樹脂フィルム10で被覆するように構成しても良い。
また、上記吊下用合成樹脂フィルム5は下向係合溝9,9に係合し、被覆用合成樹脂フィルム10は上記係合溝9,9とは90度異なる位置の下向係合溝9’,9’に係合する場合を説明したが、両フィルム5,10の係合片8を同一方向に設け、何れのフィルム5,10も例えば同一の下向係合溝9,9に係合するように構成しても良い。
【0065】
本発明は以上のように、吊下用合成樹脂フィルム5又は被覆用合成樹脂フィルム10を上面開口有底容器3に張設するにあたり、接着剤、粘着剤或いは溶着等の接合手法を用いる必要がないため、収納トレー1の使用後、即ち、果実等の物品の取り出し後は、吊下用合成樹脂フィルム5又は被覆用合成樹脂フィルム10を上記上面開口有底容器3から容易に取り外すことができ、従って、使用後の上面開口有低容器3を再利用することができ、収納トレー1のリサイクル性を飛躍的に向上させることができる。
【0066】
また、吊下用合成樹脂フィルム5だけではなく、被覆用合成樹脂フィルム10を併せて使用する場合においても、何れのフィルム5,10も接着剤、粘着剤、溶着等の手法を用いることなく、上記開口有底容器3に張設可能であるため、同様に、収納トレー1のリサイクル性を飛躍的に向上させることができる。
【0067】
また、接着剤等を用いることなく、係合片8と下向係合溝9又は9’との係合により、簡単かつ確実に吊下用合成樹脂フィルム5又は被覆用合成樹脂フィルム10を上面開口有底容器3に張設することができるし、各フィルム5,10の上記容器3からの取り外しも極めて容易に行い得るものである。
【0068】
また、吊下用合成樹脂フィルム5、或いは被覆用合成樹脂フィルム10の何れの場合も、係合片8,8が存在しない対向辺は、上面開口有底容器3と接合されずに開口しているため、張設時の収納トレー1内外の通気性を確保することができ、特に果実等の食品を収納する場合に非常に有効である。
また、果実等の物品の収納トレー1が上面開口有底容器3、上記吊下用合成樹脂フィルム5又は被覆用合成樹脂フィルム10のパーツ別にスタッキング保管及び運送が可能であり、フィルム類は嵩張らないため、保管効率、運送効率を高めることもできる。
また、使用後に各パーツに分離が容易であるため、使用後パーツの分別回収を容易に行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の果実等の物品の収納トレーは、苺等の果実の緩衝宙吊り包装に適しているが、果実に限らず野菜等の食品の他、電子部品、電気機器の緩衝宙吊り包装用の収納トレーとしても利用することができるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 果実等の物品の収納トレー
2 上面開口
3 上面開口有底容器(トレー)
3’,3’ 上面開口対向縁部
3”,3” 上面開口対向縁部
4 凹部
5 吊下用合成樹脂フィルム
5b 裏面
5’,5’ 対向2辺に沿う各端縁(端縁)
8 係合片
8a 内側端縁
8b 延長片部
8d 切欠部
9,9’ 下向係合溝
10 被覆用合成樹脂フィルム
10b 裏面
10’,10’ 対向2辺に沿う各端縁(端縁)
11 凸部
12 突起部
a,a’ 横幅
b 深さ
R 戻りテンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の上面開口を有する上面開口有底容器と、該上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品を収納するための柔軟な凹部が塑性変形により形成された方形の吊下用合成樹脂フィルムとからなり、上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で上記凹部に果実等の物品を宙吊り状態で収納し得る果実等の物品の収納トレーにおいて、
上記吊下用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記両係合片に対応する上記上面開口有底容器の上面開口対向縁部に、上記係合片が係合し得る下向係合溝を各々設け、
上記各係合片の各々の内側端縁に上記フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、
上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に宛がい上記吊下用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を対応する上記下向係合溝に各々挿入した状態において、上記吊下用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持するように構成し、
上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記吊下用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレー。
【請求項2】
方形の上面開口を有する上面開口有底容器と、該上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品の上部を被覆するために上記上面開口に張設される方形の柔軟な被覆用合成樹脂フィルムとからなる果実等の物品の収納トレーにおいて、
上記被覆用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記両係合片に対応する上記上面開口有底容器の上面開口対向縁部に、上記係合片が係合し得る下向係合溝を各々設け、
上記各係合片の各々の内側端縁に上記フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、
上記被覆用合成樹脂フィルムを上記容器内の果実等の物品の上部に被覆し、上記被覆用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を対応する上記下向係合溝に各々挿入した状態において、上記被覆用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持し得るように構成し、
上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記被覆用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレー。
【請求項3】
請求項1記載の果実等の物品の収納トレーにおいて、
上記上面開口有底容器の上記上面開口に張設され果実等の物品の上部を被覆するための柔軟な方形の被覆用合成樹脂フィルムを設け、
上記被覆用合成樹脂フィルムの少なくとも対向2辺に沿う各端縁に各々係合片を接合すると共に、上記各係合片の各々の内側端縁に上記被覆用合成樹脂フィルムに接合せずに上記フィルムの裏面側に位置する延長片部を形成し、
上記被覆用合成樹脂フィルムを上記容器内の果実等の物品の上部に被覆し、上記被覆用合成樹脂フィルムの上記両延長片部を上記容器の対応する下向係合溝に各々挿入した状態において、上記被覆用合成樹脂フィルムの戻りテンションによって上記各延長片部が対応する上記下向係合溝内に係合した状態を維持し得るように構成し、
上記各延長片部と上記下向係合溝との上記係合により上記被覆用合成樹脂フィルムを上記上面開口に張設した状態で取り付け可能に構成したものであることを特徴とする果実等の物品の収納トレー。
【請求項4】
上記上面開口有底容器の四辺の上記上面開口に沿って上記下向係合溝を設け、
上記吊下用合成樹脂フィルムの一対の上記係合片を上記上面開口の一対の対向辺における上記下向係合溝に係合し、
上記被覆用合成樹脂フィルムの一対の上記係合片を上記上面開口の他の一対の対向辺における上記下向係合溝に係合したものである請求項3記載の果実等の物品の収納トレー。
【請求項5】
上記被覆用合成樹脂フィルムは、上記上面開口有底容器内に収納された果実等の物品の上部を被覆するための柔軟な凸部が塑性変形により形成されているものであることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の果実等の物品の収納トレー。
【請求項6】
上記下向係合溝に突起部を形成し、上記延長片部に上記突起部に対応する切欠部を形成し、上記延長片部を上記下向係合溝に係合した状態において、上記切欠部に上記突起部が位置するように構成したものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の果実等の物品の収納トレー。
【請求項7】
上記下向係合溝は上記上面開口から外方向に設けられた断面「コ」字状の下向係合溝から構成されており、
上記下向係合溝の縦方向の深さbは、上記下向係合溝の上底部の横幅a、上記下向係合溝の下開口部の横幅a’とすると、
b>a かつ b>a’
の関係を有しているものである請求項1〜6の何れかに記載の果実等の物品の収納トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−25433(P2012−25433A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165910(P2010−165910)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000206392)大石産業株式会社 (34)
【Fターム(参考)】