説明

枠材の接合構造および建具

【課題】外観意匠を良好にしかつ止水性が確保できるとともに、低コスト化が実現できかつ接合状態が確実に維持できる枠材の接合構造および建具を提供すること。
【解決手段】上枠11の挿通部112に切欠き部113を形成しておき、縦枠12の裏板部123に一端が固着されたボルト161を挿通部112Aに挿通し、ボルト161の先端に螺合したナット162を挿通部112Aの端部に当接させることで、上枠11と縦枠12とが内部で接合され、縦枠12の外側にビス等が露出せずに建具の外観意匠を良好にすることができる。さらに、縦枠12をビス等で貫通する必要がないため、雨水等の浸入経路となる貫通孔がなく、シール材114からなる簡単な止水構造によって止水性を確保することができる。また、一般的なビス止め固定用のビスホールと同様の挿通部112を有した枠材が利用可能になり、低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠材の接合構造および建具に関し、詳しくは、互いの長手方向を交差して配設された第1枠材と第2枠材とを接合する枠材の接合構造、この接合構造で枠材同士を接合して形成された枠体を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
サッシ窓等の建具における窓枠や障子等を構成する枠材(上下左右の枠や上下左右の框)として、アルミ押出形材等の金属製のものが広く普及しており、これらの枠材同士の接合構造としては、一方枠材の長手方向に沿って一体に形成したビスホールに他方の枠材を外側から貫通するビスを螺合させるビス止め固定が一般的である。しかし、このビス止めによる固定構造では、ビスの頭が枠材の外側に露出して外観の意匠性が劣るとともに、ビスが枠材を貫通することから止水構造が複雑になってしまうという問題がある。
一方、枠材を貫通することなく枠材同士を接合可能な接合構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された接合構造は、縦枠や縦框等の枠材に中桟を接合するためのものであって、長手方向に沿ったビスホールを有した中桟と、見付け方向内方に開口した溝を有した枠材と、中桟のビスホールにビス止め固定されかつ枠材の溝に挿通される接合ブロックと、接合ブロックを貫通する固定用ビスとを有して構成されている。そして、中桟の端部に固定した接合ブロックを枠材の溝に挿通してから、固定用ビスを締め付けて接合ブロックを枠材の溝開口縁に押圧することで、接合ブロックが移動不能になり、中桟が枠材に固定されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】実公平1−13744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたような従来の接合構造では、接合ブロックを用意しなければならないとともに、接合ブロックを挿通させるための溝を枠材に形成する必要があるため、ビス止め固定により接合される一般的な枠材を用いることができず、部材の製造コストが増大してしまうという問題がある。
また、従来の接合構造では、固定用ビスを締め付けてその先端を枠材に当接させて接合ブロックを枠体の溝開口縁に押圧することで中桟が枠材に固定されるようになっているものの、長期間の使用により固定用ビスが緩んでしまうと中桟が枠材の溝に沿って移動する可能性があり、接合状態が不安定であるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、外観意匠を良好にしかつ止水性が確保できるとともに、低コスト化が実現できかつ接合状態が確実に維持できる枠材の接合構造および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の枠材の接合構造は、互いの長手方向を交差して配設された第1枠材と第2枠材とを接合する枠材の接合構造であって、前記第1枠材は、当該第1枠材の外面部を構成する第1枠材本体と、この第1枠材本体の内面に一体かつ長手方向に沿って連続形成された挿通部とを有して構成され、当該第1枠材には、長手方向端部から中央寄りの所定位置にて前記挿通部を切り欠いた切欠き部が形成され、前記第2枠材は、当該第2枠材の外面部を構成する第2枠材本体と、この第2枠材本体の内面側に設けられた裏板部とを有して構成され、前記第1枠材における前記切欠き部よりも長手方向端部側の前記挿通部に挿通されるとともに、前記第2枠材の裏板部に一端が固着され、かつ他端が当該挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される固着具を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、第1枠材の挿通部としては、一般的なビス止め固定による接合構造で用いられるビスホールと同様に断面O字形や断面C字形のものが採用でき、アルミ押出形材等の金属製枠材において、押出成形によって第1枠材本体と一体的に形成可能なものが好適である。
また、固着具の一端を第2枠材の裏板部に固着する構造としては、溶接や圧接、螺合、係合等の適宜な固定構造が採用可能である。また、第2枠材に中空部(ホロー部)や固定片部(ヒレ部)が設けられた場合には、中空部を形成して外部に露出しない内面部や固定片部を裏板部として、これらの内面部や固定片部を貫通して固着具の一端を螺合により固定するものでもよい。
【0008】
以上の本発明によれば、第1枠材の挿通部に切欠き部を形成しておき、挿通部に挿通させた固着具の一端を第2枠材に固着するとともに他端を切欠き部側の挿通部の端部に当接させることで、第1枠材および第2枠材の交差部内側から固着具の固着作業を実施することができ、第2枠材を貫通して外側からビス止め固定する必要がないため、ビスが露出せずに外観意匠を良好にすることができる。さらに、第2枠材を貫通する必要がないため、雨水等の浸入経路となる貫通孔がなく、簡単な止水構造によっても止水性を確保することができる。
そして、第1枠材として、一般的なビス止め固定用のビスホールと同様の挿通部を有した枠材を用い、その挿通部に切欠き部を形成するだけでよいため、広く普及した枠材が転用可能になり、製造コストの増大を防止して低コスト化を図ることができる。また、固着具が挿通部に挿通されているので、万一、固着具の一端側または他端側の固着が緩んだとしても、固着具が挿通部からずれて第1枠材および第2枠材が互いに移動してしまうことが防止でき、接合状態を確実に維持させることができる。
【0009】
さらに、第2枠材の裏板部に固着具の一端を固着することで、裏板部の板厚を所定寸法にするだけで固着具との固着強度が確保でき、第2枠材本体の板厚を大きくする必要がなく、また裏板部を第2枠材本体と別体のピース材として用意し、これを第2枠材本体に取り付けるようにすれば、その分の材料増は限定的であり、全体の製造コストの増大を抑制することができる。また、第2枠材に中空部や固定片部等が設けられない場合であっても、裏板部に固着具の一端を固着することで、第2枠材本体側に固着具を固着する必要がなく、外観意匠性が良好に維持できる。
【0010】
そして、本発明の枠材の接合構造では、前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に固着された雄ねじ部材と、この雄ねじ部材の他端側に螺合されかつ前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される雌ねじ部材とを有して構成されていることが好ましい。
また、本発明の枠材の接合構造では、前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に固着された棒状部材と、この棒状部材の他端側に係合されかつ前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される係合部材とを有して構成されていてもよい。
さらに、本発明の枠材の接合構造では、前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に螺合される雄ねじ部と、この雄ねじ部の他端に形成されて前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される頭部とを有した頭付きねじ部材から構成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、第1枠材および第2枠材の形態や、適用部位、組立手順等の諸条件に応じて固着具の態様を適宜選択することができる。
そして、固着具を雄ねじ部材(ボルト)と雌ねじ部材(ナット)とを有して構成した場合には、広く一般的に利用されている材料を用いることができ、さらに製造コストを低減させることができるとともに、通常の工具を用いて固着作業を実施することができ、作業効率も向上させることができる。
また、固着具を棒状部材と係合部材とを有して構成した場合には、棒状部材の他端側に係合部材を係合するだけの簡単な固着作業により、第1枠材および第2枠材を固定することができるため、作業効率を格段に向上させることができる。
以上において、雄ねじ部材および棒状部材の一端と裏板部とは、適宜な固定構造(例えば、溶接や圧接、螺合、係合、ナット締め等)で固定されていればよい。
また、固着具を頭付きねじ部材から構成した場合には、裏板部にねじ孔を形成しておくだけで、頭付きねじ部材を裏板材に容易に螺合して固着させることができ、ナットや係合部材等を用意する必要がないため、部品点数を削減してコスト低減を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明の枠材の接合構造では、前記第1枠材本体と前記第2枠材本体との間には、シール材が介挿されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1枠材および第2枠材における外面部を構成する第1枠材本体と第2枠材本体との間にシール材を介挿したことで、第1枠材と第2枠材との交差部からの雨水等の浸入を確実に防止して止水性能を向上させることができる。そして、第1枠材や第2枠材を貫通する貫通孔がないことから、シール材の形状や第1および第2の枠材本体との密接部分の構造が簡単化でき、隙間等の発生を防止して止水性をさらに高めることができる。
【0013】
一方、本発明の建具は、上枠、下枠、および左右の縦枠のうち、少なくとも三方の枠材からなる枠体を備え、これらの枠材同士が前述したいずれかの枠材の接合構造によって接合されたことを特徴とする。
以上の本発明によれば、前述の接合構造と同様に、外観意匠を良好にしかつ止水性が確保できるとともに、低コスト化が実現できかつ接合状態が確実に維持できる枠体を有した建具が構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、主要構成部品の断面を示すハッチングを省略する場合がある。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る建具である外部ブラインド付き上げ下げ窓1を示す斜視図である。図2(A),(B)は、外部ブラインド3の枠体10の接合構造を示す横断面図および縦断面図である。図3〜図5は、枠体10の接合手順を示す斜視図である。
図1において、上げ下げ窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられるものであって、上下スライド開閉可能な障子を有した上げ下げ窓部2と、この上げ下げ窓部2の室外側に取り付けられた外部ブラインド3とを有して構成されている。外部ブラインド3は、上枠11および左右の縦枠12を三方枠組みした枠体10と、上枠11の室外側前方を覆う前面カバー13と、上枠11、縦枠12および前面カバー13で囲まれた内部に設置された駆動装置14と、駆動装置により縦枠12のレール部12Aに沿って上下開閉駆動されるとともに遮光−透光回動駆動される複数のスラット15とを有して構成されている。
【0016】
外部ブラインド3の上枠11および縦枠12は、それぞれアルミ押出形材製であり、互いに直交し、かつ互いの長手方向端部同士(上枠11の左右端部と左右の縦枠12の上端部)を突き合わせた状態で接合されている。
そして、図2〜図5に示すように、第1枠材としての上枠11は、その外面部である上面部を構成する第1枠材本体としての上枠本体111と、この上枠本体111に一体かつ長手方向に沿って連続形成された2本の挿通部112とを有して構成されている。これら2本の挿通部112は、上枠本体111の内面である下面から突出するとともに下方に開口した断面略C字形に形成されており、上枠11には、その長手方向端部から所定距離だけ中央寄りにおいて、当該挿通部112が切り欠かれた切欠き部113が形成されている。
【0017】
また、第2枠材としての縦枠12は、その外面部である側面部を構成する第2枠材本体としての縦枠本体121と、この縦枠本体121の内面(図2中、右側面)に一体かつ長手方向(上下方向)に沿って連続形成された2本の係止部122と、この係止部122に固定された裏板部123とを有して構成されている。2本の係止部122は、縦枠本体121から内方に突出するとともに互いに近づく方向に鉤状に折れ曲がって形成されており、裏板部123は、縦枠本体121と2本の係止部122との間に挿通されるとともに、2本の係止部122にビス124で固定されている。また、上枠11の上枠本体111の長手方向端縁と、縦枠12の縦枠本体121の長手方向端部内面との間には、図4、図5に示すように、ゴム製のシール材114が介挿され、枠体10内部への雨水等の浸入が防止されるようになっている。このシール材114は、上枠本体111の断面形状と略同形状かつ上枠本体111の板厚よりも若干大きな幅寸法に形成されている。
【0018】
裏板部123には、棒状外周面にねじ山が形成された雄ねじ部材としてのボルト161の一端が座金161Aおよびナット161Bによって固定されている。このボルト161は、上枠11における切欠き部113よりも長手方向端部側の挿通部112Aに挿通され、その先端を切欠き部113に突出させるだけの長さ寸法を有して形成されている。また、ボルト161の他端である先端には、雌ねじ部材としての2つのナット162が螺合されており、これらのナット162は、座金162Aを介して挿通部112Aにおける切欠き部113側の端部に当接されるようになっている。そして、これらのボルト161およびナット162によって本実施形態の固着具16が構成されており、切欠き部113を介してナット162を締め付けて挿通部112Aを押圧することで、上枠11と縦枠12とが接合されるようになっている。この際、ナット162が2つ設けられている(ダブルナット)ことで、ナット162が緩まない(あるいは緩みにくい)ようになっている。
【0019】
以上のような上枠11と縦枠12との接合手順を図3〜図5に基づいて説明すると、先ず、図3に示すように、裏板部123にボルト161を挿通するとともに、ボルト161の頭部と裏板部123を挟んで反対側から座金161Aをボルト161に挿通し、ナット161Bをボルト161に螺合して締め付け、裏板部123にボルト161の一端を固着する。次に、裏板部123を縦枠12における縦枠本体121と2本の係止部122との間に挿通し、係止部122を貫通してビス124を裏板部123に螺合し、裏板部123およびボルト161を縦枠12に固定する。
次に、図4に示すように、上枠本体111と縦枠本体121との間にシール材114を介挿させつつ、上枠11の挿通部112Aにボルト161を挿通し、上枠11と縦枠12とを互いに直交するように配設する。この際、上枠11においては、予め挿通部112を切り欠いて切欠き部113を形成しておく。
次に、図5に示すように、挿通部112Aから切欠き部113側に突出したボルト161の先端に座金162Aを挿通するとともに、ナット162を螺合して締め付けることで、上枠11と縦枠12との接合作業が完了する。
【0020】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、室外側に露出する外部ブラインド3の上枠11における挿通部112に切欠き部113を形成しておき、縦枠12の裏板部123に一端が固着されたボルト161が挿通部112Aに挿通されるとともに、ボルト161の先端に螺合したナット162が挿通部112Aの端部に当接されることで、上枠11と縦枠12とが内部で接合され、縦枠12を貫通して外側から上枠11にビス止めする必要がないため、ビスが露出せずに上げ下げ窓1の外観意匠を良好にすることができる。さらに、縦枠12を貫通する必要がないため、雨水等の浸入経路となる貫通孔がなく、シール材114からなる簡単な止水構造によって止水性を確保することができる。
【0021】
(2)また、上枠11として、一般的なビス止め固定用のビスホールと同様の挿通部112を有した枠材が用いられ、その挿通部112に切欠き部113を形成するだけでよいため、広く普及した枠材が転用可能になり、製造コストの増大を防止して低コスト化を図ることができる。また、固着具16のボルト161が挿通部112Aに挿通されているので、万一、ボルト161の基端側のナット161Bや先端側のナット162が緩んだとしても、ボルト161が挿通部112Aからずれることがなく、上枠11と縦枠12とが互いに移動してしまうことが防止でき、接合状態を確実に維持させることができる。
【0022】
(3)また、ボルト161の基端部が裏板部123に固着され、この裏板部123が縦枠本体121の係止部122に固定されているので、ボルト161を縦枠本体121に直接固定しなくてもよく、容易にボルト161を縦枠12に固定することができる。また、裏板部123がビス124によって係止部122に固定されているので、裏板部123が縦枠本体121に対して移動することなく、確実かつ簡単に固定することができる。
【0023】
(4)さらに、固着具16として、広く一般的に利用されているボルト161およびナット162を用いることで、さらに製造コストを低減させることができるとともに、通常の工具を用いて固着作業を実施することができ、作業効率も向上させることができる。また、ボルト161に2つのナット162を螺合させたことで、ナット162の緩みが防止でき、接合状態をより確実に維持させることができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る接合構造について図6に基づいて説明する。
図6は、第2実施形態に係る枠体10の接合構造を示す斜視図である。
本実施形態の接合構造は、前記第1実施形態と固着具の構成が相違し、他の構成は略同様である。すなわち、本実施形態において、固着具17は、縦枠12の裏板部123に一端である基端部が固着された棒状部材としての係合ピン171と、この係合ピン171の他端である先端側に係合可能な係合部材としての係合フック172とを有して構成されている。そして、係合ピン171の先端部には、係合フック172と係合する小径部171Aが形成され、係合フック172には、小径部171Aにクリップ式に嵌る係合溝172Aが形成されている。また、上枠11の切欠き部113は、係合フック172の板厚寸法よりも若干広く形成され、係合フック172を受け入れ可能になっている。
【0025】
このような固着具17を用いた接合構造では、前述の第1実施形態と同様に、先ず係合ピン171を固着した裏板部123を縦枠12の係止部122に固定してから、係合ピン171を上枠11の挿通部112Aに挿通し、上枠11の下側から係合フック172を切欠き部113に挿入して係合溝172Aを係合ピン171の小径部171Aに係合させる。これにより、係合フック172が挿通部112Aにおける切欠き部113側の端部に当接され、係合ピン171が挿通部112Aから抜けなくなり、上枠11と縦枠12とが接合されるようになっている。
【0026】
このような本実施形態によれば、前記(1)〜(3)の効果と略同様の効果に加えて以下の効果が得られる。
(5)すなわち、係合ピン171の小径部171Aに係合フック172の係合溝172Aをクリップ式に係合するだけの簡単な固着作業により、上枠11と縦枠12とを接合することができるため、作業効率を格段に向上させることができる。
【0027】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る接合構造について図7に基づいて説明する。
図7は、第3実施形態に係る枠体10の接合構造を示す斜視図である。
本実施形態の接合構造は、前記第1および第2実施形態と固着具の構成が相違し、他の構成は略同様である。すなわち、本実施形態において、固着具18は、上枠11の挿通部112Aに挿通されるとともに一端である先端部が裏板部123のねじ孔123Aに螺合される雄ねじ部181Aと、この雄ねじ部181Aの他端側(縦枠12と反対側)形成され頭部181Bと、を有した頭付きねじ部材181から構成されている。そして、挿通部112Aに挿通した雄ねじ部181Aの先端を裏板部123のねじ孔123Aに螺合してドライバー等の工具で締め付けることで、頭部181Bが座金181Cを介して挿通部112Aにおける切欠き部113側の端部に当接され、上枠11と縦枠12とが接合されるようになっている。なお、本実施形態の裏板部123は、縦枠12の係止部122に係止される部分から縦枠12の内方側にコ字形に折り曲げ加工されており、この折り曲げられた部分にねじ孔123Aが形成されている。
なお、頭付きねじ部材181の頭部181Bの形態としては、図7に示したものに限らず、六角柱形状のものでもよく、その場合には、頭付きねじ部材181の軸に直交する方向(上枠11の下方)から六角レンチ等を用いて締め付け作業を実施することができるようになる。
【0028】
このような本実施形態によれば、前記(1)〜(3)の効果と略同様の効果に加えて以下の効果が得られる。
(6)すなわち、裏板部123にねじ孔123Aを形成しておくだけで、頭付きねじ部材181を裏板部123に容易に螺合して固着させることができ、前記実施形態のようなナット162や係合フック172等を用意する必要がないため、部品点数を削減してコスト低減を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、上げ下げ窓1の室外側に設けられる外部ブラインド3の枠体10における上枠11と縦枠12とを接合する接合構造について説明したが、本発明の接合構造は、前述のものに限らず、任意の窓枠や開口枠における枠材同士の接合構造として適用可能である。さらに、本発明の接合構造をサッシ窓における障子の框材同士の接合構造としても用いてもよい。また、外側にビスが露出しない本発明の接合構造は、室外や室内に露出した枠体に適しており、前記実施形態の外部ブラインド3の他に、外部シャッターや、半外付けサッシの窓枠などに好適である。
【0030】
また、前記第1および第2実施形態では、ボルト161や係合ピン171を縦枠12の裏板部123に固着する構成を採用したが、これに限らず、ボルト161や係合ピン171を縦枠12の縦枠本体121や係止部122に固定してもよい。すなわち、縦枠本体121と別体で用意したピース材の裏板部123を固定する構成に限らず、縦枠本体121や係止部122を裏板部として利用してもよい。この場合の固着方法としては、溶接や圧接によるものでもよく、また係止部122に螺合してもよい。さらに、縦枠本体121が中空部(ホロー部)を有したものであれば、ボルト161や係合ピン171の基端部(一端部)が中空部内に突出するように螺合すればよく、このような固着方法によれば、外部に露出することなくボルト161や係合ピン171を縦枠12に固着することができる。
【0031】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る建具を示す斜視図である。
【図2】(A),(B)は、前記建具における枠体の接合構造を示す横断面図および縦断面図である。
【図3】前記枠体の接合手順を示す斜視図である。
【図4】前記枠体の接合手順を示す斜視図である。
【図5】前記枠体の接合手順を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る枠体の接合構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る枠体の接合構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
10…枠体、11…第1枠材である上枠、12…第2枠材である縦枠、16,17,18…固着具、111…第1枠材本体である上枠本体、112,112A…挿通部、113…切欠き部、114…シール材、121…第2枠材本体である縦枠本体、122…係止部、123…裏板部、161…雄ねじ部材であるボルト、162…雌ねじ部材であるナット、171…棒状部材である係合ピン、172…係合部材である係合フック、181…頭付きねじ部材、181A…雄ねじ部、181B…頭部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの長手方向を交差して配設された第1枠材と第2枠材とを接合する枠材の接合構造であって、
前記第1枠材は、当該第1枠材の外面部を構成する第1枠材本体と、この第1枠材本体の内面に一体かつ長手方向に沿って連続形成された挿通部とを有して構成され、当該第1枠材には、長手方向端部から中央寄りの所定位置にて前記挿通部を切り欠いた切欠き部が形成され、
前記第2枠材は、当該第2枠材の外面部を構成する第2枠材本体と、この第2枠材本体の内面側に設けられた裏板部とを有して構成され、
前記第1枠材における前記切欠き部よりも長手方向端部側の前記挿通部に挿通されるとともに、前記第2枠材の裏板部に一端が固着され、かつ他端が当該挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される固着具を備えた枠材の接合構造。
【請求項2】
前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に固着された雄ねじ部材と、この雄ねじ部材の他端側に螺合されかつ前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される雌ねじ部材とを有して構成されている請求項1に記載の枠材の接合構造。
【請求項3】
前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に固着された棒状部材と、この棒状部材の他端側に係合されかつ前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される係合部材とを有して構成されている請求項1に記載の枠材の接合構造。
【請求項4】
前記固着具は、前記挿通部に挿通されかつ一端が前記裏板部に螺合される雄ねじ部と、この雄ねじ部の他端に形成されて前記挿通部における前記切欠き部側の端部に当接される頭部とを有した頭付きねじ部材から構成されている請求項1に記載の枠材の接合構造。
【請求項5】
前記第1枠材本体と前記第2枠材本体との間には、シール材が介挿されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の枠材の接合構造。
【請求項6】
上枠、下枠、および左右の縦枠のうち、少なくとも三方の枠材からなる枠体を備え、これらの枠材同士が請求項1から請求項5のいずれかに記載の枠材の接合構造によって接合された建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−239329(P2007−239329A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63962(P2006−63962)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】