説明

架橋シラン末端処理ポリマー及び前記ポリマーを用いて製造されたシーリング材組成物

【課題】揮発性有機物の少ないシリル化ポリウレタン樹脂を製造するための、シラン系末端封止剤(エンドキャッパー)を提供する。
【解決手段】イソシアネートにより末端処理されたプレポリマーと、複数個の加水分解可能部位及びイソシアネートに対して反応性を示す少なくとも1個の活性水素含有基を有するシランとの反応生成物を含む、架橋シランによって末端処理されたポリマーが提供され、加水分解に際してそのシランは、その全ての部位がアルコキシ基であって、それによってシランにより末端処理されたポリマーが形成される、モル当たり同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により生成されるものと比較して、少量の揮発性有機化合物を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋シランによって末端処理されたポリマー及び前記架橋シラン末端処理ポリマーにより製造される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、2005年2月15日に出願された米国特許仮出願第60/655,976号に対する優先権を主張するものであり、その内容を参照により本明細書中に組み入れるものとする。
【0003】
従来、ウレタン系プレポリマーは、各種の有機官能性シランを用いてイソシアネート基のいくつか又は全てをエンドキャッピング(末端封止)することにより、それらの基本的特性を向上又は付加するように改変されてきた。これらの方法のうち、米国特許第3,632,557号は、第1級及び第2級脂肪族アミノシランを用いた、標準的なポリウレタン系プレポリマーに対する完全なエンドキャッピングについて教示する。米国特許第3,979,344号は、シーリング材の硬化速度を向上させるための、少量の3−(N−2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン末端封止剤(エンドキャッパー)を含む室温硬化性末端処理シリコン有機シーリング材組成物について詳述している。米国特許第4,222,925号は、米国特許第3,979,344号に示されるものと同じ組成物であるが、補強的なカーボンブラック充填剤をも含む組成物について詳述している。向上された伸長性及び柔軟性を有するシーリング材が、米国特許第4,645,816号において、少なくとも1つのジアルコキシ基と少なくとも1つの活性水素原子を有する有機官能基とを有するシランモノマーから得られる、シランにより末端封止(エンドキャップ)されたポリウレタンポリマーを用いて調製された。
【0004】
しかしながら、第1級アミノ官能性シランにより末端封止(エンドキャップ)されたポリウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基とさらに反応し得る活性水素原子を含む。この反応性は、ポリマーとシーリング材組成物の両方に対して、望ましくない安定性をもたらしてしまう。第2級アミノ官能性シラン末端封止剤を使用したいくつかの方法が教示されている。例えば、米国特許第4,374,237号により、その末端のイソシアネート基の少なくとも一部が、2つのトリアルコキシシラン基を有するシランモノマーを含む第2級アミンと反応している、硬化性イソシアネート末端処理ポリウレタン系プレポリマーが教示される。米国特許第4,474,933号には、種々の第1級及び第2級二官能性アミノシランにより末端封止(エンドキャップ)されている架橋ポリウレタン樹脂混合物について記述されている。より最近では、米国特許第5,364,955号には、N−アルコキシシリルアルキルアスパラギン酸エステルにより末端封止(エンドキャップ)されたポリウレタン系プレポリマー及びそれから作られるシーリング材組成物について教示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、VOC吸収がより少ないシリル化ポリウレタン樹脂を製造するための、シランをベースとする末端封止剤(エンドキャッパー)に関する必要性が存在する。VOC吸収がより少ないシーリング材、接着剤及びコーティング材を製造するための、シランをベースとする接着促進剤の必要性もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施態様により、イソシアネートにより末端処理されたプレポリマーと、複数個の加水分解可能部位及びイソシアネートに対して反応性を示す少なくとも1個の活性水素含有基を有するシランとの反応生成物を含む、架橋シランによって末端処理されたポリマーが提供され、加水分解に際して前記シランは、その全ての部位がアルコキシ基であって、それによってシランにより末端処理されたポリマーが形成される、モル当たり同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により生成されるものと比較して、少量の揮発性有機化合物を生成する。
【0007】
本発明はまた、前記架橋シラン末端処理ポリマーにより製造される組成物、例えば、シーリング材、コーティング及び接着剤を含む。
【0008】
本明細書中で使用する時、「揮発性有機化合物」(VOC)という表現は、米国米国環境保護庁(EPA)第24法(Method 24)により揮発性であるとされる実質的に純粋な有機化合物に適用及び指定される、又は、蒸気圧若しくは沸点に関して欧州内の国々で確立されている具体的基準を満たさないこと、又は欧州連合指令2004/42/ECにおいてVOCとして挙げられていることが理解されるであろう。このようなVOCの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アセトキシシラン、2−メトキシエタノール等が挙げられる。
【0009】
本発明の様々なその他の特徴、態様及び利点は、以下の記載及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、より明らかとなるであろう。
【0010】
イソシアネートにより末端処理されたプレポリマーと、複数個の加水分解可能部位及びイソシアネートに対して反応性を示す少なくとも1個の活性水素含有基を有するシランとの反応生成物を含む、架橋シランによって末端処理されたポリマーが提供され、加水分解に際してそのシランは、その全ての部位がアルコキシ基である同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により生成されるものと比較して、少量の揮発性有機化合物を生成する。
【0011】
本発明のシランにより末端処理されたポリマーは、以下に記載するように、ほぼ化学量論的な量のイソシアネートにより末端処理されたポリウレタンプレポリマーと、ほぼ化学量論的な量のシラン化合物とを反応させることにより調製することができる。典型的には、プレポリマー上に存在する全てのイソシアネート末端基の完全な反応を保証するために、わずかに過剰なモル量のシラン化合物を使用する。通常、この反応は、湿気を含まない状態で行われ、第1の実施態様においては、0℃〜150℃の範囲又は所望であればより高い温度で、第2の実施態様においては、約20℃〜100℃の範囲の温度で、反応物間の良好な接触を保証するために混合しながら行われる。さらに、所望であれば、反応を促進させるために、不活性な希釈剤を使用することができる。反応は通常大気圧下で行われるが、所望であれば、大気圧よりも高い圧力、又は、大気圧よりも低い圧力を使用することもできる。所望により、前記イソシアネートプレポリマーとシランとの反応を、窒素雰囲気生成装置等の不活性雰囲気における無水条件下で行うことができる。
【0012】
イソシアネートにより末端処理されたポリウレタン系プレポリマーは、本発明において有用であり、過剰量の有機ジ−又はポリイソシアネートを、通常は触媒の存在下で、ポリオール又はポリオールの組み合わせと反応させることにより調製される。OHに対するNCOのモル比は通常約1.2〜4.0であり、ポリオールの選択に応じて変わる。このようなプレポリマーの製造に関するウレタンポリマー化学及び技術の概略は、Polyurethanes:Chemistry and Technology, Saunders and Frisch, Interscience Publishers (New York, 1963 (Part I) and 1964 (Part II)に記載されている。脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、又は芳香族のいずれか任意の好適な有機ジイソシアネートを使用することができる。好適な有機ジイソシアネートとしては、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナートエチル)シクロヘキサ−4−エン−1、ビス(2−イソシアナートエチル)カーボネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’ジフェニル−メタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−及び4,4’−異性体混合物を含有する各種液体ジフェニルメタンジイソシアネート、Desmodur N(登録商標)等、ならびにこれらの混合物が挙げられる。例えば、Siefken, Annalen, 565, 122−135 (1949)に開示されているような、当技術分野において知られているその他の有機ジイソシアネートも本発明において使用することができる。本発明のさらに別の実施態様によれば、イソシアネート官能性モノマーは、2,4−及び4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の混合物であり、商品名Mondur(登録商標)MLとしてBayer社から入手可能である。
【0013】
イソシアネートにより末端処理されたポリウレタン系プレポリマーを製造する際には、1以上のジオール及びトリオールを、有機ジイソシアネートとの反応において使用することができる。かかるポリオールは、第1の実施態様において、約250〜約20,000の範囲の分子量を有し、第2の実施態様において、約1000〜約15,000の範囲の分子量を有する。
【0014】
さらに、このポリオールは、ポリエーテル又はポリエステルポリオールのいずれかであることができる。本発明において使用し得る低不飽和度を示すポリエーテルポリオールは原則的に公知であり、また、例えば、欧州特許出願第EP−A 283 148号、米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同3,427,335号、同第3,829,505号、同第3,941,849号、同第4,355,188号、同4,472,560号及び同4,721,818号に記載されており、これらの文献の内容を参照することにより本明細書中に組み入れるものとする。
【0015】
上述のポリウレタン系プレポリマーの調製において使用し得る好適なポリオールとしては、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール及びトリオール等が挙げられる。本発明のさらに別の実施態様によれば、このポリオールは、約500〜約6000の範囲ならびにその間における全範囲の当量を有するポリプロピレングリコールである。
【0016】
前記ポリウレタン系プレポリマーの調製において使用し得る好適な触媒は、通常、有機塩基、カルボン酸及び、有機チタン酸塩を含む有機金属化合物、ならびに及び鉛、コバルト、鉄、ニッケル及びスズの錯体又はカルボン酸塩を含む群から選択される。触媒の具体例としては、ジラウリル酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、オクタン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、ジブチルスズオキシド、オクタン酸第1スズ、酢酸第1スズ、及びチタン−2−エチルヘキサオキシド等のチタン化合物が挙げられる。触媒は、第1の実施態様においては、プレポリマー処方の全重量の約0.01〜約1重量%の範囲で、第2の実施態様においては、プレポリマー処方の全重量の約0.05〜約0.5重量%の範囲で、第3の実施態様においては、プレポリマー処方の全重量の約0.1〜0.2重量%の範囲で添加することができる。
【0017】
加水分解の際に本明細書中で規定する低量のVOCを生じ、そのため本明細書中におけるシランにより末端処理されたポリマーを調製するために有用であるシランは、以下の一般式を有するシランを含む:
[Y[−G(−SiX (式1)

式中、Gは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基の1以上の水素原子の置換により得られる多価性の基、又はヘテロ炭素における1以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含む基の群から独立に選択され、Gは約1〜約30の炭素原子を有し;Xは、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−又はRN−、−R、−(OSiR(OSiR)、及び−O(R10CR11OH、−HN(R10CR11NH、−OOC(R10CR11COOH、−O(R10CR11NH、−O(R10CR11COOH、−HN(R10CR11OHからなる群より独立して選択され、式中、それぞれ得られるR、R、R、R10、及びR11は独立してRであり;それぞれ生じるZは、(−O−)0.5、[−O(R10CR11O−]0.5、[−HN(R10CR11N(H)−]0.5、[−OOC(R10CR11COO−]0.5、[−O(R10CR11N(H)−]0.5及び[−O(R10CR11COO−からなる群より独立して選択され、式中、それぞれ生じるR10及びR11は独立してRであり;それぞれZは、−O(R10CR11O−、−HN(R10CR11N(H)−、−OOC(R10CR11COO−、−O(R10CR11N(H)−及び−O(R10CR11COO−からなる群より選択され、式中、それぞれR10及びR11は独立してRであり;それぞれRは、水素、直鎖状、環状又は分枝鎖状アルキル基の組から独立して選択され、不飽和の、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基;又は、ヘテロ炭素の1個以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含んでいてもよく;それぞれRは1〜約20個の炭素原子を含み;それぞれ下付き文字fは1〜約15の整数であり、それぞれnは1〜約100の整数であり,但し、nが1より大きい場合、vは0より大きく、Zに対する全ての原子価がそれらと結合するシリコン原子を有し、それぞれ下付き文字uは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字vは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字wは0〜約1の整数であり、但し、u+v+2w=3であり、それぞれ下付き文字rは1〜約6の整数であり、それぞれ下付き文字tは0〜約50の整数であり、及びそれぞれ下付き文字sは1〜約6の整数であり;それぞれの得られるYは原子価rを有する有機官能基であり、かつ、少なくとも1つの生じるZ又はZを含む環状架橋有機官能性シラン組成物を有する、少なくとも1つの環状架橋有機官能性シランである。
【0018】
本明書における基Yとしては、一価の有機官能基(r=1)、二価の有機官能基(r=2)、三価の有機官能基(r=3)、四価の有機官能基(r=4)、並びにさらに大きな原子価を有する有機官能基(本明細書中では多価有機官能基と呼ばれる)が挙げられる。本明細書中における多価有機官能基という用語は、一価、二価、三価、及び四価の有機官能基をも含むことが理解されるであろう。本発明の別の実施態様によれば、上述の一般式1におけるYは、CH=CH−、CHR=CH−、又はCR=CH−である。
【0019】
本明細書中における本発明の別の態様には、メルカプトなどの一価有機官能基、ならびに、アクリルオキシ、メタクリルオキシ及びアセトキシなどのアシルオキシ基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、グリシドオキシ、−O−CH−CO;エポキシシクロヘキシルエチル、−CH−CH−CO;エポキシシクロヘキシル、−CO;エポキシ、−CR(−O−)CR等の一価のエポキシが含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、ヒドロキシ、カルバメート、−NRC(=O)OR;ウレタン、−OC(=O)NR;チオカルバメート、−NRC(=O)SR;チオウレタン、−SC(=O)NR;チオノカルバメート、−NRC(=S)OR;チオノウレタン、−OC(=S)NR;ジチオカルバメート、−NRC(=S)SR;及びジチオウレタン、−SC(=S)NR等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、マレイミド;マレエート及び置換マレエート;フマレート及び置換フマレート;ニトリル、CN;シトラコンイミド等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、シアネート、−OCN;イソシアネート、−N=C=O;チオシアネート、−SCN;イソチオシアネート、−N=C=S;及びエーテル、−OR等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、フルオロ、−F;クロロ、−Cl;ブロモ、−Br;ヨード、−I;及びチオエーテル、−SR等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、ジスルフィド、−S−SR;トリスルフィド、−S−S−SR;テトラスルフィド、−S−S−S−SR;ペンタスルフィド、−S−S−S−S−SR;ヘキサスルフィド、−S−S−S−S−S−SR;及びポリスルフィド、−S等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、キサンテート、−SC(=S)OR;トリチオカーボネート、−SC(=S)SR;ジチオカーボネート、−SC(=O)SR;ウレイド、−NRC(=O)NR;チオノウレイド(チオウレイドとしてより周知である)、−NRC(=S)NR;アミド、RC(=O)NR−及び−C(=O)NR−;チオノアミド(チオアミドとしてより周知である)、RC(=S)NR−;一価のメラミノ;並びに、一価のシアヌラート等の一価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、第1級アミノ、−NH;第2級アミノ、−NHR;及び第3級アミノ、−NR;一価のジアミノ、−NR−L−NR;一価のトリアミノ、−NR−L(−NR及び−NR−L−NR−L−NR;並びに、一価のテトラアミノ、−NR−L(−NR、−NR−L−NR−L−NR−L−NR、及び−NR−L−NC−LNR等の一価の有機官能基が含まれ;ここで、それぞれL、L、及びLは、Gについて上記された構造の組から独立して選択され;それぞれR、R、R、R及びRはRについて前述した構造の一つによって独立して与えられ;並びに、それぞれ下付き文字xは、1〜10であるxによって独立して与えられる。
【0020】
本明細書中における本発明の別の態様には、エポキシ、−(−)C(−O−)CR及び−CR(−O−)CR−等の二価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、カルバメート、−(−)NC(=O)ORウレタン、−OC(=O)NR−;チオカルバメート、−(−)NC(=O)SR;チオウレタン、−SC(=O)NR−;チオノカルバメート、−(−)NC(=S)OR;チオノウレタン、−OC(=S)NR−;ジチオカルバメート、−(−)NC(=S)SR;ジチオウレタン、−SC(=S)NR−;及びエーテル、−O−等の二価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、マレエート及び置換マレエート;フマレート及び置換フマレート等の二価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様にはチオエーテル、−S−;ジスルフィド、−S−S−;トリスルフィド、−S−S−S−;テトラスルフィド、−S−S−S−S−;ペンタスルフィド、−S−S−S−S−S−;ヘキサスルフィド、−S−S−S−S−S−S−;及びポリスルフィド、−S−が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、キサンテート、−SC(=S)O−;トリチオカーボネート、−SC(=S)S−;ジチオカーボネート、−SC(=O)S−;ウレイド、−(−)NC(=O)NR及び−NRC(=O)NR−;チオノウレイド(チオウレイドとして周知である)、−(−)NC(=S)NR及び−NRC(=S)NR−;アミド、RC(=O)N(−)−及びC(=O)NR−;チオノアミド(チオアミドとしてより周知である)、RC(=S)N(−)−;二価のメラミノ;二価のシアヌラート等の二価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、第2級アミノ、−NH−;第3級アミノ、−NR−;二価のジアミノ、−(−)N−L−NR及び−NR−NR−;二価のトリアミノ、(−)NR−L−NR、−(−)N−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR、及び−NR−L−NR−L−NR−;及び、二価のテトラアミノ、−(−)N−L−(NR、(−NR−L−(NR、−(−)N−L−NR−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−NR−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR及び(−NR−)N−LNR等の二価の有機官能基が含まれ、ここで、それぞれL、L、及びLは、Gについて前述した構造の組から独立して選択され;それぞれR、R、R、及びRは、Rについて前述した構造の一つにより独立して選択され;及び、それぞれ下付き文字xは、1〜10であるxにより独立して与えられる。
【0021】
本明細書中における本発明の別の態様には、エポキシ、−(−)C(−O−)CR−等の三価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、カルバメート、−(−)NC(=O)O−;チオカルバメート、−(−)NC(=O)S−;チオノカルバメート、−(−)NC(=S)O−;及びジチオカルバメート、−(−)NC(=S)S−;ウレイド、−(−)NC(=O)NR−;チオノウレイド(チオウレイドとしてより周知である)、−(−)NC(=S)NR−;アミド、−C(=O)N(−)−;チオノアミド(チオアミドとしてより周知である)、−C(=S)N(−)−;三価のメラミノ;及び三価のシアヌラート等の三価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、第3級アミノ、−N(−)−;三価のジアミノ、−(−)N−L−NR−;三価のトリアミノ、(−NR−L、(−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−、及び−(−)N−L−NR−L−NR−;及び三価のテトラアミノ、−(−)N−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−(−)N−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR)(−LNR−)、及び(−NRN等の三価の有機官能基が含まれ、ここで、それぞれL、L、及びLは、Gについて前述した構造の組から独立して選択され;及び、それぞれR、R及びR、は、Rについて前述した構造の一つにより独立して与えられる。
【0022】
本明細書中における本発明の別の態様には、エポキシ、−(−)C(−O−)C(−)−等の四価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、ウレイド、−(−)NC(=O)N(−)−;チオノウレイド(チオウレイドとしてより周知である)、(−)NC(=S)N(−)−;及び、四価のメラミノ等の四価の有機官能基が含まれる。本明細書中における本発明の別の態様には、四価のジアミノ、−(−)N−L−N(−)−;四価のトリアミノ、(−NR−L、(−NR−L−N(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−NR−、及び−(−)N−L−NR−L(−)−;及び、四価のテトラアミノ、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−NR−L−N(−)−、及び−(−)N−L−N(−LNR−)等の四価の有機官能基が含まれ、ここで、それぞれL、L、及びLは、Gについて上記された構造の組から独立して選択され;及び、それぞれR及びRは、Rについて上記された構造の一つにより独立して与えられる。
【0023】
本明細書中における本発明の別の態様には、限定するものではないが、多価炭化水素基;五価のメラミノ、(−NR)(−N−);六価のメラミノ、(−N−);五価のトリアミノ、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−;五価のテトラアミノ、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−N(−)−L−N(−)−、及び[−(−)N−L−]N−LNR−;並びに、六価のテトラアミノ、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−N(−)−及び[−(−)N−L−]N等の有機官能基が含まれ、式中、それぞれL、L、及びLは、Gについて上記された構造の組から独立して選択され;及び、それぞれRは、Rについて上記された構造の一つにより独立して与えられる。
【0024】
本明細書中で使用する場合、ジオール、炭化水素ジオール、及び二官能性アルコールとは式2で示される任意の構造を意味する:
HO(R10CR11OH (式2)

式中、R10及びR11は上記定義の通りである。これらの構造は、2個の水素原子が式2で示される構造にしたがってOHと置換されている炭化水素又はヘテロ炭素を表す。
【0025】
本明細書中で使用する場合、ジアルコキシ及び二官能性アルコキシとは、本明細書で規定する任意の炭化水素ジオールをいい、そこにおいて2つのOH基における水素原子が除去されて二価のラジカルを与え、その構造は式3により与えられる:
−O(R10CR11O− (式3)

式中、f、R10、及びR11は上記に規定する通りである。
【0026】
本明細書中で使用する場合、環状ジアルコキシとは、シラン又は、ジオールにおいて共通的にみられるような共通する二価の炭化水素又はヘテロ炭素基へとそれぞれが結合した2つの酸素原子により、そこにおいてシリコンに関する環状化が起こる基をいう。本明細書中、ジアルコキシ基はZで表される。
【0027】
本明細書中で使用する場合、架橋ジアルコキシとは、2つの異なるシリコン原子がそれぞれ一つの酸素原子と結合しており、同様に、本明細書中で定義される共通の二価の炭化水素又はヘテロ炭素基(通常はジオール中に見られる)と結合しているシラン又は基を意味する。本明細書中、架橋ジアルコキシ基はZで表される。
【0028】
本明細書中で使用する場合、環状架橋とは、環のみを含み、架橋を有さないシラン又は基;架橋のみを含み、環を有さないもの;並びに、環状及び架橋両方の任意の組み合わせを意味する。すなわち、環状架橋シランとは、例えば、環状ジアルコキシ基と結合しているシリコン原子を有するシラン、環状ジアルコキシ基とは結合せずに、架橋ジアルコキシ基のみと結合しているシリコン原子を有するシラン、架橋ジアルコキシ基のそれぞれの一端及び環状ジアルコキシ基の両端と結合しているシリコンを有するシラン、(同じ分子において少なくとも一つの他のシリコン原子が少なくとも一つの環状又は架橋ジアルコキシ基と結合している限りにおいて)ジアルコキシ基とは全く結合していないシリコン原子を有するシラン等を意味し得る。
【0029】
本明細書中で使用する場合、炭化水素をベースとするジオールとは、炭化水素又はヘテロ炭素構造上に2つのOH基を含むジオールを意味する。用語「炭化水素をベースとするジオール」とは、2つの酸素原子間の骨格が完全に炭素原子からなり、炭素原子間の炭素−炭素結合、及び、2つの炭素−酸素結合がアルコキシ末端を含むという事実を意味する。上記構造中のヘテロ炭素は、炭素骨格に対して張り出して存在する。
【0030】
式2で示される構造は、本明細書中の特定ケースのいくつかにおいて、適当なジオールとして言及され、グリコールがより一般的に使用される用語であり、2つのOH基と結合する特定の炭化水素又はヘテロ炭素基によって接頭語が付与される。例としては、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールが挙げられる。式3で示される構造の基は、適当なジアルコキシとして言及され、2つのOH基と結合する特定の炭化水素又はヘテロ炭素基によって接頭語が付与される。すなわち、例えば、ジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールは、本発明において、それぞれ、ジアルコキシ基、ネオペンチルグリコキシ、1,3−ブタンジアルコキシ、及び2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシに対応している。
【0031】
本発明において使用される環状架橋ジアルコキシ有機官能性シランは、シランが一般的にグリコールと呼ばれるジオールから誘導され、グリコキシシランに相等する。さらに、本発明において使用される環状架橋有機官能ジアルコキシシランは、シランが一般的にジオールと呼ばれるジオールから誘導され、ジアルコキシシランに相等するように命名される。
【0032】
本明細書中で使用する場合、表記(−O−)0.5及び[−O(R10CR11O−]0.5は、それぞれ、シロキサン基、Si−O−Siの半分、及び、架橋ジアルコキシ基の半分を意味する。これらの表記はシリコン原子と関連して使用され、本明細書中において、それらはそれぞれ、酸素原子の片方、すなわち、特定のシリコン原子と結合している片方、又は、ジアルコキシ基の片方、すなわち、特定のシリコン原子と結合している片方を意味すると解釈されている。酸素原子又はジアルコキシ基のもう片方及びシリコンへのその結合が、全体の分子構造における他の場所で生じていることが記載されていることがわかる。すなわち、(−O−)0.5シロキサン基及び[−O(R10CR11O−]0.5ジアルコキシ基は、2つのシリコン原子が分子間的又は分子内的に存在する2つの別々のシリコン原子を保持する化学結合に介在する。[−O(R10CR11O−]0.5の場合、炭化水素基(R10CR11は非対称であれば、[−O(R10CR11O−]0.5のいずれかの端は、式1において示される構造を完成させるのに必要とされる2つのシリコン原子のうちの一方と結合していてもよい。
【0033】
本明細書中で使用する場合、環状キレートとは、環化がシリコンに関し、2つの酸素原子によって、それぞれ共通の二価の炭化水素又はヘテロ炭素基(通常はジオール中に見られる)と結合しているシラン又は基を意味する。本明細書中、環状キレート基はZで表される。本明細書中で使用する場合、架橋基とは、2つの異なるシリコン原子がそれぞれ一つの酸素原子と結合しており、同様に、本明細書中で定義される共通の二価の炭化水素又はヘテロ炭素基(通常はジオール中に見られる)と結合しているシラン又は基を意味する。本明細書中、架橋基はZで表される。本明細書中で使用する場合、環状架橋とは、環のみを含み、架橋を有さないシラン又は基;架橋のみを含み、環を有さないもの;並びに、環状及び架橋両方の任意の組み合わせを意味する。すなわち、環状架橋シランとは、例えば、環状キレート基と結合しているシリコン原子を有するシラン、環状キレート基とは結合せずに、架橋基とのみ結合しているシリコン原子を有するシラン、架橋基のそれぞれの一端及び環状キレート基の両端と結合しているシリコンを有するシラン、(同じ分子において、少なくとも一つの他のシリコン原子が少なくとも一つの環状又は架橋基と結合している限りにおいて)キレート又は架橋基とは全く結合していないシリコン原子を有するシラン等を意味し得る。
【0034】
同様に、(式4によって表されるような)二官能性アミン及び(式5によって表されるような)ジカルボキシ環状酸は、上記二官能性アルコール
N(R10CR11NH (式4)
HOOC(R10CR11COOH (式5)

(両方の場合において、f、R10及びR11は上記定義の通りである)と置換することができる。代表的な例としては、限定するものではないが、ジアミン及びコハク酸、アジピン酸及びヘキサン酸の場合に、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン及び1,4−ジアミノブタンが挙げられる。
【0035】
さらに、複合官能性アミン(式6)及び酸(式7)も本発明において有用である。

HO(R10CR11NH (式6)
HO(R10CR11COOH (式7)

代表的な例としては、限定するものではないが、それぞれエタノールアミン及びグリコール酸が挙げられる。
【0036】
上記から、二官能性アルコールと同様に、2つの−NH及び−COOH基のそれぞれから水素原子を除去すると、二官能性アミン及びカルボキシ環状酸は、それぞれ、式8及び式9で表される構造の二価のラジカルを生じる:

−HN(R10CR11N(H)− (式8)
−OOC(R10CR11COO− (式9)

複合官能性アルカノールアミン及びヒドロキシ酸は、水素分離後に、それぞれ、式10及び11で示される同様の混合ジラジカルを生成する:

−O(R10CR11N(H)− (式10)
−O(R10CR11COO− (式11)

【0037】
本明細書中で使用する場合、アルキルには、直鎖状、分枝鎖状及び環状アルキル基が含まれ;アルケニルには、1以上の炭素−炭素二重結合を含み、置換の場所が炭素−炭素二重結合又は基の他の場所のいずれかであり得る、任意の直鎖状、分枝鎖状又は環状アルケニル基が含まれる。さらに、アルキニルには、1以上の炭素−炭素三重結合、及び、場合により、1以上の炭素−炭素二重結合も同様に含み、置換の場所が炭素−炭素三重結合、炭素−炭素二重結合又は基の他の場所のいずれかであり得る、任意の直鎖状、分枝鎖状又は環状アルキニル基が含まれる。アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチルが挙げられる。アルケニルの具体例としては、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネン及びエチリデンノルボルネニルが挙げられる。アルキニルの具体例としては、アセチレニル、プロパルギル及びメチルアセチレニルが挙げられる。
【0038】
本明細書中で使用する場合、アリールには、1個の水素原子が除去されている任意の芳香族炭化水素が含まれ;アラルキルには、1以上の水素原子が同数の同じ及び/又は異なる(本明細書中で定義されるような)アリール置換基によって置換されている、任意の上記アルキル基が含まれ;及び、アレニルには、1以上の水素原子が同数の同じ及び/又は異なる(本明細書中で定義されるような)アルキル置換基によって置換されている、任意の上記アリール基が含まれる。アリールの具体例としては、フェニル及びナフタレニルが挙げられる。アラルキルの具体例としては、ベンジル及びフェネチルが挙げられる。アレニルの具体例としては、トリル及びキシリルが挙げられる。
【0039】
本明細書中で使用する場合、環状アルキル、環状アルケニル及び環状アルキニルには、二環式、三環式及びさらに多い環状構造物、並びに、アルキル、アルケニル及び/又はアルキニル基によってさら二置換された上記環状構造物も含まれる。代表的な例としては、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、及びシクロドデカトリエニルが挙げられる。
【0040】
本明細書中で使用する場合、ヘテロ炭素という用語は、炭素−炭素結合骨格が窒素及び/又は酸素原子との結合により中断されているか;又は、炭素−炭素結合骨格がシアヌラート(C)等の窒素及び/又は酸素を含む原子の基と結合することにより中断されている、任意の炭化水素構造を意味する。すなわち、ヘテロ炭素としては、限定するものではないが、場合によっては、酸素原子を介したエーテル官能性(それぞれが2つ別々の炭素原子と結合している)、窒素原子を介した第3級アミン官能性(それぞれが3つ別々の炭素原子と結合している)を含む、分枝鎖状、直鎖状、環状及び/又は多環式脂肪族炭化水素、メラミノ基及び/又はシアヌラート基;芳香族炭化水素;並びに、上記芳香族と、分枝鎖状又は直鎖状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及び/又はアラルキル基との置換により誘導されるアレーンが挙げられる。
【0041】
Gの代表的な例としては、−(CH−(式中、mは1〜12);ジエチレンシクロヘキサン;1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン;ジエチレンベンゼン;フェニレン;−(CH−(式中、pは1〜20であり)、もう一方の端でさらに末端置換されている末端直鎖アルキルを表す、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、及び−CHCHCHCHCHCHCHCH−、並びに、それらのβ置換−CHCHC(CHCH−;メタリルクロリド、−CHCH(CH)CH−から誘導可能な構造;表記Cが二置換ベンゼン環を表す、−CHCH(C)CHCH−及びCHCH(C)CH(CH)−等のジビニルベンゼンから誘導可能ないずれかの構造;表記Cが二置換ベンゼン環を表す、−CHCH(CH)(C)CH(CH)CH−等のジプロペニルベンゼンから誘導可能ないずれかの構造;−CHCHCHCH−、−CHCHCH(CH)−、及び−CHCH(CHCH)−等のブタジエンから誘導可能ないずれかの構造;−CHCHCHCH(CH)−、−CHCHCH(CHCH)−、及び−CHCH(CHCHCH)−等のピペリレンから誘導可能ないずれかの構造;−CHCH(CH)CHCH−、CHCH(CH)CH(CH)−、−CHC(CH)(CHCH)−、−CHCHCH(CH)CH−、−CHCHC(CH−及び−CHCH[CH(CH]−等のイソプロペンから誘導可能ないずれかの構造;−CHCH−ノルボルニル−、−CHCH−シクロヘキシル−のいずれかの異性体;2つの水素原子の除去により、ノルボルナン、シクロヘキサン、シクロペンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、又はシクロドデセンから取得可能ないずれかのジラジカル;表記Cが2位の置換を欠如するトリ置換シクロヘキサン環を表す、リモネン、−CHCH(4−メチル−1−C−)CHから誘導可能な構造;表記Cがトリ置換シクロヘキサン環のいずれかの異性体を表す、CHCH(ビニルC)CHCH−及びCHCH(ビニルC)CH(CH)−等のトリビニルシクロヘキサンから誘導可能ないずれかのモノビニル含有構造;−CHCH[CHCHCH=C(CH]CHCH−、−CHCH[CHCHCH=C(CH]CH(CH)−、−CHC[CHCHCH=C(CH](CHCH)−、−CHCHCH[CHCHCH=C(CH]CH−、−CHCH(C−)(CH)[CHCHCH=C(CH]、及び−CHCH[CH(CH)[CHCHCH=C(CH]]−等のトリ置換C=Cを含むミルセンから誘導可能ないずれかの単不飽和構造;並びに、−CHCH(CH=CH)CHCHCHC(CH−、CHCH(CH=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHC(=CH−CH)CHCHCHC(CHs)−、−CHC(=CH−CH)CHCHCH[CH(CH]−、CHCHC(=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCHC(=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCH=C(CHCHCHCHC(CH−、及びCHCH=C(CHCHCHCH[CH(CH]等のトリ置換C=Cを欠如するミルセンから誘導可能ないずれかの単不飽和構造が挙げられる。
【0042】
R基の代表的な例は、H、1〜20個の炭素原子からなる分枝鎖状及び直鎖状アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、オクテニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、ジメチルアミノエチル、シアノエチル等である。別の実施態様において、代表的なR10及びR11基は、水素、メチル、及びエチルであり、その中でも、水素及びメチルが最も好ましい。さらに別の実施態様において、代表的なR及びR基は、水素、メチル、エチル、プロピルであり得る。さらに別の実施態様において、R、R、R、R、R、及びR基の代表的な例は、H、C〜Cの直鎖状又は分枝鎖状アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及び、アリール、例えば、フェニル、ベンジル等であり得る。
【0043】
Xの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、アセトキシ、メトキシエトキシ、及び、オキシマト、並びに、「ダングリングジオール」として知られるジオールから誘導される一価のアルコキシ基、特に、アルコール及び−O−CHCH−OH等のアルコキシ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−l,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びピナコールである。別の実施態様において、Xの具体例は、メトキシ、アセトキシ及びエトキシ、並びに、ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールから誘導される一価のアルコキシ基である。
【0044】
及びZの具体例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びピナコール等のジオールから誘導される二価のアルコキシ基であることができる。別の実施態様において、Z及びZの具体例は、ジオールから誘導された二価のアルコキシ基であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールが好ましい。二価のアルコキシ基はジオール類から誘導された、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールである。本発明における環状架橋有機官能性シラン組成物の架橋(Z)含有率は、ゲル化をもたらし得る過剰な平均分子量及び架橋形成を防ぐために、十分に低く維持する必要がある。
【0045】
さらなる実施態様は、式1におけるv及びwが、w/vの比が1〜9の範囲となり得るものであり;XはRO−、RC(=O)O−であり;Z及びZはジオールから誘導された、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンであり、Rは、C〜Cのアルキル及びHであり;及び、Gは、2〜18個の炭素原子からなる二価の直鎖アルキルである。その他の実施態様としては、w/vが2〜8の範囲であり;Xが、エトキシ、又は、ジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−l,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールから誘導された1以上のダングリングジオールであり;並びに、GがC−C12の直鎖アルキル誘導体であるものが挙げられる。別の実施態様は、式1においてvが0であり;XがRO−、RC(=O)O−であり;RがC〜Cのアルキル及びHであり;及び、Gは2〜18個の炭素原子からなる二価の直鎖状アルキルである。
【0046】
本発明において記載される環状架橋有機官能性シランの代表的な例としては:2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルアミン;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルメルカプタン;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピルクロリド;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルブロミド;3−(1,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルヨウ化物;3−(1,3−ブタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルクロリド;N−[3−(1,3−プロパンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピル]フェニルアミン;N−[3−(1,3−プロパンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピル]メチルアミン;3−(1,2−プロパンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルグリシジルエーテル及び3−(1,2−プロパンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルメタクリレート、両者ともプロピレングリコールから誘導可能である;3−(1,2−エタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルアクリレート及び3−(1,2−エタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルアセテート、両者ともエチレングリコールから誘導可能である;3−(ネオペンチルグリコキシエトキシシリル)−1−プロピルアミン及び3−(ネオペンチルグリコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルグリシジルエーテル、両者ともネオペンチルグリコールから誘導可能である;3−(2,3−ジメチル−2,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルアクリレート及び3−(2,3−ジメチル−2,3−ブタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピルメタクリレート、両者ともピナコールから誘導可能である;3−(2,2−ジエチル−1,3−プロパンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルメルカプタン;S−[3−(2,2−ジエチル−l,3−プロパンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピル]エチルチオエーテル;ビス[3−(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピル]ジスルフィド;ビス[3−(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピル]トリスルフィド;ビス[3−(1,3−ブタンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピル]テトラスルフィド;ビス[3−(1,3−プロパンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピル]チオエーテル;3−(1,3−プロパンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルグリシジルチオエーテル;トリス−N,N’,N’’−[3−(1,2−プロパンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピル]メラミン及びトリス−N,N’,N’’−[3−(1,2−プロパンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピル]メラミン、両者ともプロピレングリコールから誘導可能である;3−(1,2−エタンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピルクロリド及び3−(1,2−エタンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルブロミド、両者ともエチレングリコールから誘導可能である;3−(ネオペンチルグリコキシメチルシリル)−1−プロピルアセテート及び3−(ネオペンチルグリコキシフェニルシリル)−1−プロピルオクタノエート、両者ともネオペンチルグリコールから誘導可能である;3−(2,3−ジメチル−2,3−ブタンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピルアミン及び3−(2,3−ジメチル−2,3−ブタンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルアミン、両者ともピナコールから誘導可能である;3−(2,2−ジエチル−l,3−プロパンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピルアクリレート;3−(2,2−ジエチル−1,3−プロパンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルメタクリレート;3−(2−メチル−l,3−プロパンジアルコキシエチルシリル)−1−プロピルグリシジルエーテル;3−(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシフェニルシリル)−1−プロピルアセテート;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−エチルアクリレート;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシメトキシシリル)−1−エチルブロミド;2−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシメチルシリル)−1−エチルベンゼンスルホネート;2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリルメチルメタクリレート;2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシイソプロポキシシリルメチルブロミド;ネオペンチルグリコキシプロポキシシリルメチルアミン;プロピレングリコキシメチルシリルメチルメルカプタン;ネオペンチルグリコキシエチルシリルメチルグリシジルエーテル;2−(ネオペンチルグリコキシイソプロポキシシリル)−1−エチルブチラート;2−(ネオペンチルグリコキシメチルシリル)−1−エチルプロピオネート;2−(1,3−ブタンジアルコキシメチルシリル)−1−エチルアクリレート;3−(1,3−ブタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−4−ブチルメタクリレート;3−(1,3−ブタンジアルコキシエチルシリル)−1−プロピルメルカプタン;3−(1,3−ブタンジアルコキシメチルシリル)−1−プロピルメタンスルホネート;6−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−ヘキシルアミン;1−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−5−ヘキシルアクリレート;8−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−オクチルメタクリレート;10−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−デシルグリシジルエーテル;3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピルトリフルオロメタンスルホネート;3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシプロポキシシリル)−1−プロピルアミン;N−[3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピル]エチレンジアミン;トリス−N,N’,N’’−[3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシブトキシシリル)−1−プロピル]ジエチレントリアミン;テトラキス−N,N’,N’’,N’’’−[3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシイソプロポキシシリル)−1−プロピル]メチレンテトラアミン;ビス−(3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピル)スルフィド;6−(1,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−1−ヘキシルアミン;1−(1,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−5−ヘキシルグリシジルエーテル;8−(1,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−1−オクチルアクリレート;10−(1,3−ブタンジアルコキシエトキシシリル)−1−デシルメタクリレート;ビス−(3−(2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシエトキシシリル)−1−プロピル)チオエーテル;[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH)(HNCHCHNH)];[[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH(HNCHCHNH)];[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH)(HNCHCHCHNH)];[[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH(HNCH2CH2CHNH)];[HNCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHNH)];[HS CHCHCHSi(OCH)(HNCHCHNH)];[HNCHCHNHCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHNH)];[[HNCHCHNHCHCHCHSi(OCH(HNCHCHNH)];[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH)(OCCHCHCO)];[HNCHCHCHSi(OCH)(OCCHCHCO)];[[HNCHCHCHSi(OCH(OCCHCHCO)];[HNCHCHCHSi(OCHCH)(OCCHCHCO)];[HN(C)CHCHCHSi(OCHXOCCHCHCO)];[CH=C(CH)COCHCHCHSi(OCH)(OCCHCHCO)];[[CH=C(CH)COCHCHCHSi(OCH(OCCHCHCO)];[CH=C(CH)COCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHNH)];[(CHCHO)CHCHOCHCHCHSi(OCH)(OCCHCHCO)];[HNC(O)HNCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHCHNH)];[HNC(O)HNCHCHCHSi(OCH)(OCCHCHCO)];[[HNC(O)HNCHCHCHSi(OCH(OCCHCHCO)];[HN(CHCH)CHCH(CH)CHSi(OCH)(HNCHCHO)];[HNCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHO)];[[HN(C
)CHCHCHSi(OCH(HNCHCHO)];[(CHCHO)CHCHOCHCHCHSi(OCH)(HNCHCHO)];及び[[HNCHCHCHSi(OCH(HNCHCHO)が挙げられる。
【0047】
別の実施態様において、環状有機官能性シランは、例えば、本明細書中でTESPTと呼ばれるトリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、本明細書中でTESPDと呼ばれるトリエトキシシリルプロピルジスルフィド等のポリスルフィドシラン等のシランカップリング剤の製造開始時点で使用される3−クロロ−1−プロピルトリエトキシシラン(3−トリエトキシシリル−1−プロピルクロリド)に対する環状架橋類似物である。環状架橋ハロアルキルシランは、VOC放出の低いことが望まれる用途のための、3−トリエトキシシリル−1−プロピルクロリドに対する新規で優れた代替物である。
【0048】
本明細書中に含まれる環状架橋有機官能性シラン組成物は、個々の環状架橋有機官能性シラン成分の一成分又は、各種混合物を含むことができ、一官能性アルコキシ基のみを含む有機官能性シランと、所望により、さらにその他の種類のものを含み得る。合成法により各種シランが供給され、当該方法においては、出発成分の混合物が、環状架橋有機官能性シラン生成物の混合物を生成のために使用される。さらに、これらの環状架橋有機官能性シランの部分的加水分解物及び/または縮合物は、環状架橋有機官能シロキサン及び/またはシラノールとも称され、環状架橋有機官能性シランの製造方法のほとんどにおける副生成物として、本明細書中シランに包含され得ることが理解される。さらに、部分的加水分解物及び/又は濃縮物は、環状架橋有機官能性シランの保存時、特に、湿気の多い条件、又は、調製後に、それらの調製物から、残存する水分が完全に除去されていない条件下で、生じ得る。さらに、環状架橋有機官能性シランにおける部分的から十分な程度の加水分解を、好適な化学量又は過剰量の水を、本明細書中のシランの調製方法へと組み込むことにより意図的に行うことができる。また、環状架橋有機官能性シランにおけるシロキサン含量も、好適な化学量又は過剰量の水を、本明細書中のシランの調製方法へと組み込むことにより意図的に調製することができる。加水分解物及びシロキサンを含む本発明のシラン構造は、式1で示される構造で記載され、ここで、Z=(−O−)0.5の下付き文字v及び/又はX=OHのuは実質的であることができ、実質的に0よりも大きいことを意味する。
【0049】
本発明の別の実施態様において、第2級アミン及び/又はメルカプト基を含む環状架橋有機官能性シランは、優れた弾力性を有するポリマーを生成する。言い換えると、第2級アミン及び/又はメルカプト基を含む有機官能性シランは、第1級アミンを含む従来のシランと比べて低い架橋密度を有するポリマーを生成する。
【0050】
本明細書中に含まれるヘテロ環シリコン基を有するシラン化合物は、触媒の有無に関わらず、有機官能アルコキシ−置換シラン及びジオールのエステル交換によって、有機官能シリルハライドのジオールによるエステル化によって、又は、環状架橋シラン組成物を生成させるための、ヘテロ環シリコン基を含むハイドロシランによる置換アルケンのハイドロシリル化によって、調製することができる。
【0051】
有機官能アルコキシ−置換シラン及びジオールのエステル交換は、触媒の有無に関わらず、行うことができる。触媒は、酸、塩基又は遷移金属触媒であることができる。好適な酸触媒は、塩酸、p−トルエンスルホン酸等である。典型的な塩基触媒は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドである。好適な遷移金属触媒は、テトライソプロピルチタン酸塩、ジブチルスズジラウレートである。
【0052】
有機官能シリルハライドのジオールによるエステル化中、生成するハロゲン化水素を除去しながら、シリルハライドにジオールが添加される。ハロゲン化水素は、窒素を挿入することにより、又は、減圧にすることにより、除去することができる。いずれの残存しているハロ基も、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールの添加により除去することができる。
【0053】
本発明の別の実施態様において、ジオールから誘導された有機官能性シランは、触媒添加した有機官能性シラン反応物とジオールの混合物を、同時蒸留しながら、反応させることにより調製することができる。この反応は、有機官能性シラン反応物のシリコン原子の位置において、選択的に1以上のアルコキシ基とジオールとのアルコール交換をもたらす。この反応は、より揮発性の副生成アルコールの蒸留除去によって引き起こされる。好適な触媒としては、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、クロロシラン、クロロ酢酸、リン酸、それらの混合物等の酸;ナトリウムエトキシド等の塩基;並びに、チタンアルコキシド、チタン含有キレート、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウム含有キレート及びそれらの混合物等の遷移金属含有触媒が挙げられる。
【0054】
本発明のさらに別の実施態様において、ジオールから誘導された有機官能性シランは、有機官能性シランとジオールの混合物に触媒作用を及ぼすことにより調製することができ、本発明の実施態様においては、アルコキシシリル基あたり少なくとも約0.5モルのジオールのモル比でエステル交換される。本発明の別の実施態様によれば、モル比は、トリアルコキシシランについて、約0.5〜約1.5である。本発明のさらに別の実施態様によれば、モル比は、トリアルコキシシランについて、約1.0〜約1.5である。上記各実施態様において、反応温度は、約10℃〜約150℃の範囲であることができ、別の実施態様においては、絶対圧力約0.1〜約2000mmHg、別の実施態様においては、絶対圧力約1〜約80mmHgの範囲で圧力を維持しながら、約30℃〜90℃の範囲であることができる。反応速度を増大させるために過剰量のジオールを利用することができる。
【0055】
別の実施態様において、ジオールから誘導された有機官能性シランは、所望の反応温度及び真空下、触媒存在下で、ジオールを有機官能性シランにゆっくりと添加することにより調製することができる。所望であれば、使用し得る任意の酸又は塩基触媒を中和し、それにより、生成物の保存を向上させるために、中和工程を利用してもよい。
【0056】
場合によっては、上記工程中に不活性溶媒を使用してもよい。この溶媒は、希釈剤、担体、安定剤、還流補助剤又は加熱剤として使用することができる。通常、任意の不活性溶媒、すなわち、反応の中に入っていかないもの、又は反応に悪影響を与えないものを使用することができる。一実施態様において、溶媒は、通常の条件下で液体であって、約150℃より低い沸点を有するものである。例としては、芳香族、炭化水素、エーテル、非プロトン性溶媒及び塩素化炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ブタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、四塩化炭素、メチレンクロリド等が挙げられる。
【0057】
式4−11の二官能性反応物により得られる式1のシランは、式2及び3のジオール反応物について上記した方法と同様の手順により調製することができる。
【0058】
本発明の別の実施態様において、ジオールから誘導された有機官能性シランは、有機官能性シラン反応物、ジオール、及び(使用する場合には)触媒の連続流体を適当な比率で連続的に予め混合し、次いで、予め混合された混合物を、一実施態様においては、所望の反応温度と真空条件下で稼動し得る薄膜蒸留装置の反応蒸留系に導入することにより、調製することができる。真空下、薄膜中で反応を実施させることは、アルコール副生成物の除去を促進し、エステル交換反応速度を向上させる。膜からの副生成アルコールの蒸発及び除去は、所望の生成物の形成に有利に働き、所望でない副反応を最小限にするように、反応の化学平衡をシフトさせる。
【0059】
本発明の上記実施態様の工程は、以下の工程を含む:a)ジオールから誘導された有機官能性シラン及び副生アルコールを提供するために、薄膜反応器中で、チオカルボキシレートシラン等の有機官能性シラン、ジオール及び触媒を含む薄膜反応媒体を反応させる工程;b)反応を進めるために薄膜から副生アルコールを蒸発させる工程;c)ジオールから誘導された有機官能性シラン反応生成物を回収する工程;d)所望により、濃縮により副生アルコールを回収する工程;及び、e)その保存安定性を向上させるために、所望により、ジオールから誘導された有機官能性シラン生成物を中和する工程。
【0060】
上記連続薄膜工程において用いられるジオールと有機官能性シラン反応物質のモル比は、ジオールと交換されることが望まれるアルコキシ基の数によって変わる。薄膜工程の一実施態様において、化学量論的に1と等しいモル比が使用され、ここで、ジオール1に対してアルコキシ基2が置換される。通常、本実施態様の実施のためには、ジオール対有機官能性シランのモル比は、それぞれアルコキシ−シリル基についてエステル交換するには、化学量論的当量の約95〜約125%の範囲内で変動してよい。特定の実施態様において、ジオール対有機官能性シランのモル比は、化学量論的当量の約100〜約110%の範囲内でよい。別の実施態様において、モル比は、ジオール対有機官能性シランのモル比に関して、化学量論的当量の約100〜約105%の範囲内でよい。当業者であれば、過剰量のジオールを使用すれば反応速度を増大させ得るが、薄膜中で反応を実施する場合には、通常、大きな利点は無く、費用が増加するに過ぎないことを理解するであろう。
【0061】
薄膜を形成させるための装置及び方法は重要ではなく、当技術分野において知られている任意のものでよい。典型的な既知の装置としては、流下膜式蒸発器又は拭き取り膜式蒸発器がある。最小の膜の厚さ及び流速は、膜形成面に対する最小湿潤速度に応じて変わる。最大の膜の厚さ及び流速は、膜及び装置に対する冠水点に応じて変わる。膜からのアルコールの蒸発は、膜を加熱すること、膜上の圧力を減少させること又はこれらの組み合わせにより影響を受ける。本発明のジオールから誘導された有機官能性シランを形成させるためには、穏やかな加熱と低い圧力を利用することが好ましい。薄膜工程を実行するための最適な温度及び圧力(真空度)は、工程中で使用される具体的な出発有機官能性シランのアルコキシ基及びジオールに応じて変わる。
【0062】
本発明において、シランは、既知の技術分野において広範な用途が見いだされている従来のカップリング剤、接着促進剤及び架橋剤と比較して大きな利点を提供する。これらの環状架橋有機官能性シラン組成物は、使用時に生じる揮発成分の量を低減する。揮発成分は、安全上問題であり、環境を汚染する。従来のカップリング剤としては、例えば、GEのSilquest(登録商標)A−1110等のアミノシランがある。これは、その分子構造中、各シリコン原子上に3つのメトキシ基を含み、これによって、,シランシリコンがシーリング材組成物と基材との間の接着を促進させるように機能するシーリング材処方物の硬化中に、それぞれシランシリコン当量に対して、最大3モルのメタノールが放出される。メタノールは可燃性であるので、火事の危険性をもたらすこと、及び、VOC放出に対して非常に大きく寄与するので、環境に対して潜在的に有害であることから、メタノールの放出は大きな欠点である。本明細書中で記載される、修飾された有機官能性シラン組成物は、シラン当量あたりわずか1、1未満、又は実質的に0モルにさえメタノール放出を制限することにより、この問題を解消又は大きく軽減する。
【0063】
本発明を例示する実施態様に関して、ジオールから誘導された有機官能性シランを提供するために、少なくとも1つの有機官能性シランを、触媒の存在下または非存在下でジオールと反応させることを含む、シラン組成物の調製方法が提供される。
【0064】
本明細書中に含まれる環状架橋有機官能性シラン組成物は、単官能基のみの基、および所望によりさらにその他の種類のものを含む、単一の成分または個々の環状架橋有機官能性シラン成分、有機官能性シラン成分の多様な混合物を含み得る。合成方法により各種のシランが供給され、当該方法において出発成分の混合物は、環状架橋ジアルコキシ有機官能性シラン生成物の混合物を生成する目的で利用される。さらに、これらの環状架橋有機官能性シランの部分的加水分解物及び/または縮合物は、環状架橋有機官能シロキサン及び/またはシラノールとも称され、環状架橋有機官能性シランの製造方法のほとんどにおける副生成物として、本明細書中シランに包含され得ることが理解される。さらに、部分的加水分解物及び/又は濃縮物は、環状架橋有機官能性シランの保存時、特に、湿気の多い条件、又は、調製後に、それらの調製物から、残存する水分が完全に除去されていない条件下で、生じ得る。さらに、環状架橋有機官能性シランにおける部分的から十分な程度の加水分解を、好適な化学量又は過剰量の水を、本明細書中のシランの調製方法へと組み込むことにより意図的に行うことができる。また、環状架橋有機官能性シランにおけるシロキサン含量も、好適な化学量又は過剰量の水を、本明細書中のシランの調製方法へと組み込むことにより意図的に調製することができる。
【0065】
本発明の別の実施態様によれば、アミノ及び/又はメルカプト官能基を有する任意の有機官能性シランは、そのアミノ及び/又はメルカプト官能基がプレポリマーにおけるイソシアネート基と反応して低減されたVOC性を有するシリル化ウレタンポリマーを形成する場合に、シリル化ウレタンポリマーの形成に有用なイソシアネートにより末端処理されたポリウレタンプレポリマーと反応することができる。
【0066】
シーリング材組成物は、上述のシランにより末端処理されたポリウレタンポリマー、硬化における触媒、及び充填剤、可塑剤、チキソトロープ剤、抗酸化剤、紫外線安定化剤及び接着促進剤等の、1以上の通常の機能的補助成分と共に十分に混合することにより、上記のシランにより末端処理されたポリウレタンポリマーから得ることができる。各種成分の効果的な混合は、ダブルプラネタリーミキサーを用いて達成可能である(バッチ法)。しかしながら、シーリング材は、連続的な工程により製造することもできる。典型的には、シランにより末端処理されたポリウレタンポリマー、充填剤、安定剤及び可塑剤を約60℃で約60〜約90分間混合する。約50℃まで冷却後、所望のシラン接着促進剤、脱水剤及び硬化触媒を添加し、この混合物を約30分間混合する。
【0067】
好適なシランは、本明細書中で上述されるシランと同様のものである。
【0068】
充填剤は、ステアレート又はステアリン酸などの化合物と共に処理される、磨砕された、沈降させた、及びコロイド状の炭酸カルシウム;ヒュームド・シリカ、沈降シリカ、シリカゲル及び疎水化シリカ及びシリカゲル等の強化シリカ;破砕及び磨砕された石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック及びグラファイト又は例えばカオリン、ベントナイト又はモンモリロナイト等の粘土を含む。これらの充填剤を単独で、又は組み合わせて用いることができる。充填剤は、第1の実施態様において、シランにより末端処理されたポリマー100部あたり200部まで含むことができ、第2の実施態様において、シランにより末端処理されたポリマーの約80〜約150部、及び第3の実施態様において、シランにより末端処理されたポリマーの約100部含むことができる。
【0069】
この分野で利用される可塑剤は、通常、より高い充填剤レベルの使用を可能にするように伸張を増加させるための本発明における使用に好適である。可塑剤には例えば、フタル酸類、ジプロピレン及びジエチレングリコールジベンゾエート及びそれらの混合物、エポキシ化された大豆油等がある。ジオクチル及びジイソデシルフタル酸塩の有用な供給源としては、ExxonMobil Chemicalから商品名Jayflex(登録商標)DOP及びJayflex(登録商標)DIDPの名で入手可能なものが挙げられる。ジベンゾエートは、Benxoflex(登録商標)9−88、Benxoflex(登録商標)400として、Velsicol Chemical Corporationから入手可能である。可塑剤は通常、第1の実施態様において、シランにより末端処理されたポリウレタンポリマー100部あたり約100部までの量で存在し、第2の実施態様において、シランにより末端処理されたポリウレタンポリマー100部あたり約40〜約80部までの量で存在する。
【0070】
本発明のシーリング材組成物は、通常、紫外線及び/又は抗酸化剤を組み入れ、第1の実施態様においては、シランにより末端処理されたポリウレタンポリマー100部あたり約0〜約5部の範囲の量で、第2の実施態様においては、シランにより末端処理されたポリウレタンポリマー100部あたり約0.5〜約2部の範囲の量で組み入れる。代表的な添加剤は、限定されるものではないが、Tinuvin(登録商標)770、Tinuvin(登録商標)327、Tinuvin(登録商標)213、Tinuvin(登録商標)622及びIrganox(登録商標)1010である。これらの安定剤は単独で、又は組み合わせて使用することができる。
【0071】
好適な硬化触媒は、ポリウレタン系プレポリマーの調製用の前述と同様のものである。本発明のその他の実施態様によれば、硬化触媒は、スズ又はチタンからなる群から選択される金属触媒でよい。
【0072】
各種のチキソトロープ剤又は抗沈降剤は、各種のカスターワックス、ヒュームド・シリカ、硬化済みの粘土およびポリアミドを含む。これらの添加剤は、シリル化ウレタン成分100部において通常約1〜約10部を占める。本発明の別の実施態様によれば、これらの添加剤は、シリル化ウレタン成分100部あたり約1〜約6部を占める。チキソトロープ剤には以下のように入手可能なものを含む:Degussa由来のAerosil(登録商標)、Cabot由来のCab−O−Sil(登録商標) TS 720、CasChem由来のCastorwax(登録商標)、Rheox由来のThixatrol(登録商標)及びThixcin(登録商標)、及びKing Industries由来のDisparlon(登録商標)。
【0073】
本発明の別の実施態様によれば、混合後、シーリング材を、約23℃、相対湿度約50%にて3日間硬化し、約37℃で約95%の相対湿度にてさらに4日間硬化する。次いで、硬化シーリング材の物理的特性を、American Society for Testing and Materials (ASTM) Methods D412及びD624を用いた、伸張、引き裂き、及び延長試験により決定する。
【0074】
本発明のポリマーは、水分(水蒸気、液体の水、水溶液系等)に曝された際に加硫され、又は架橋されて3次元ネットワーク硬化へと硬化する。硬化速度は大気温度、相対湿度等に応じて変わる。本発明の別の実施態様によれば、本ポリマーは、そのポリマー及び触媒を含むシーリング材組成物の形態で利用され、そのポリマーの架橋又は加硫を達成する。これらの組成物は本発明の一部を形成する。
【0075】
本発明のシランはまた、別の表面へと接着する能力が強く望まれる場合において、シーリング材組成物のための接着促進剤として有用である。この用途において、シランは、通常、シーリング材又は接着剤組成物の混合における後期段階にて添加される。これらの素材は通常、第1の実施態様においては組成物の約0.25〜約5重量%のレベルで用いられ、第2の実施態様においては組成物の約0.50〜約2.5重量%のレベルで用いられ、第3の実施態様においては、組成物の0.8〜1.5重量%のレベルで用いられる。本発明のシランに加えて、好適な接着促進剤としては、限定するものではないが、General Electric社から入手可能である、Silquest(登録商標)A−1120シラン、Silquest(登録商標)A−2120シラン、Silquest(登録商標)A−1170シラン及びSilquest(登録商標)A−187シランを挙げることができる。
【0076】
本発明の別の実施態様の例により、シーリング材組成物が提供され、前記シーリング材組成物は、シラン接着促進剤であって、加水分解の際、その全ての部位が加水分解性アルコキシ基である同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により生じるものと比較して、低量の揮発性有機化合物を生成するシラン接着促進剤と、チキソトロープ剤、可塑剤、安定剤、色素及び充填剤からなる群から選択される1以上の付加的な成分とを含む。
【0077】
本発明のさらなる別の実施態様の例に拠れば、シーリング材組成物が提供され、それはシリル化ポリウレタン樹脂と、触媒、シラン接着促進剤であって、加水分解の際、その全ての部位が加水分解性アルコキシ基である同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により生じるものと比較して、低量の揮発性有機化合物を生成するシラン接着促進剤と、チキソトロープ剤、可塑剤、安定剤、色素及び充填剤からなる群から選択される1以上の付加的な成分とを含む。
【発明の効果】
【0078】
架橋可能な、又は硫化可能なシランにより末端処理された本発明のポリマーは、建物、飛行機、浴室設備、自動車用設備、又は、向上された伸張性及び柔軟性を有し、弾性を有するポリマーが所望される場所であれば何処でも、コーティング用途及びコーキング及びシーリング用途において有用である。これらの架橋ポリマーにおけるその他の所望される特徴は、湿った又は濡れた表面へと適用でき、悪影響を及ぼすことなく架橋されたエラストマーに対し硬化を行う能力であり、これにより生成物を相対的に短時間で不粘着とする。さらに、本発明において硬化されたポリマーは、単独で又は下塗り剤の助けと共に、ガラス、磁器、木材、金属、ポリマー性素材等の広範な基材に対し強度に接着し、それらを特に任意のタイプのコーキング、接着、又はラミネート用途に対し好適なものとする。
【0079】
本発明における硬化されたポリマーは、ヒドロカルボキシシランにより末端処理されたポリウレタンポリマーにおける所望の特性、例えば引き裂き耐性、伸展性、弾性回復等の組み合わせを提供し、一方で同時に、改良された伸張及び柔軟性及び、より低い弾性係数を提供する。改良された伸張及び柔軟性及び、より低い弾性係数は、例えば、接合部を伸縮させた時に基材との接触面においてポリウレタンシーリング材にかかるストレスを顕著に低減させることができる。これらの特性は、シーリング材の接着不良を最小限に抑える一助となる。
【0080】
多数の実施態様を参照して、本発明を記述してきたが、多様な変化が適用可能であり、本発明の範囲を逸脱することなく、その要素を均等物に置き換えることができることが当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明の教示に対し、その根本的な範囲を逸脱せずに特定の状況又は材料を適合させるための多くの改変を行うことができる。従って、本発明が本明細書中に開示される何らかの特定な実施態様に限定されることがない。以下の非限定的実施例により、本発明をさらに示す。
【実施例】
【0081】
実施例1
本実施例は、シリル化ポリウレタン樹脂(SPUR)の製造における末端封止剤として後で使用する、有機官能性シラン(シランAと表す)の調製について示す。
【0082】
シランAの調製
シランAは以下の方法により調製した:128.6グラム(0.55モル)のN−エチル−(3−ジエトキシメチルシリル)−2−メチルプロパンアミン、74.1グラム(0.63モル)の2−メチル−2,4−ペンタンジオール(74.1g、0.63モル)及び4.6グラム(0.014モル)のナトリウムエトキシド溶液(エタノール中、21重量%)を、5枚板のオールダーショー蒸留カラム、短路蒸留ヘッド、受液フラスコ、温度プローブ、及び加熱マントルを装備した250mL容丸底フラスコ中で混合した。このフラスコを次いで約30rnmHgの真空下で約45℃まで加温し、エタノールを除去した。真空度をゆっくりと5時間かけて0.5mmHgまで徐々に増加させ、温度は95℃まで徐々に増加させた。0.5mmHgにおいて、容器の温度を110〜116℃に、かつヘッドの温度を55〜75℃にすることにより、未反応の2−メチル−2,4−ペンタンジオールを揮散させて除去した。容器の温度を110〜116℃に、かつヘッドの温度を82〜84℃にすることにより、生成物を蒸留し、約115.3グラム、理論収率80.1%のシランAを得た。
【0083】
実施例2及び比較例1
実施例2は、シランA(実施例1)を末端封止(エンドキャップ)剤として用いたSPURポリマーの調製について記述する。対照として提供される比較例1は、N−エチル−(ジエトキシメチルシリル)−2−メチルプロパンアミンを末端封止(エンドキャップ)剤として用いるSPURポリマーの調製を記述する。これらの実施例において使用するために、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を用いて、NCOにより末端処理されたプレポリマーを調製した。
【0084】
実施例2及び比較例1はそれぞれ、以下の方法を用いて調製した。反応容器において、表1中に示す量のポリオール成分を、80℃において攪拌しながら窒素を吹き込むことにより、ポリオールの水分含量が200ppm以下に低減するまで乾燥させた。次いで、反応容器を約45℃まで冷却した。次にIPDIを、表1に示す量で乾燥させたポリオールへと添加し、混合した。約5分後、触媒を、表1に示す量で、得られた乾燥ポリオールとIPDIとの混合物へと添加した。連続的攪拌条件下で、得られた乾燥ポリオール、IPDI及び触媒の混合物を約75℃まで加温した。温度を75℃に維持し、かつ、理論上の封止(キャッピング)の状態に至るまでの間、1時間半毎にn−ジブチルアミン滴定法を用いてNCO含量を確認した。次に、表1中に記載の末端封止(エンドキャップ)剤を、表1に示す量でこの混合物に対し添加した。滴定により反応完了が判断されるまで、75℃にて反応を進行させた。反応継続時間は、約24〜約28時間であった。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例2及び比較例1における粘度を測定した。次いで、1重量%の触媒を追加して、厚さ2.5mmの実施例2及び比較例1のシートを成型することにより、それぞれのサンプルを調製した。硬化を完了するために、このシートを湿度90%及び温度38℃のチャンバ内に3日間置いた。次に、シートを、50℃で4日間、オーブン中に置いた。硬化後、「犬の骨」型サンプルをこのシートから切り出し、このサンプルの物理的特性を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0087】
【表2】

実施例3及び比較例2実施例3及び比較例2を、表3中に示される材料および量を使用して、実施例2及び比較例1中で前述した方法と同様の手法を用いて調製した。これらの実施例において使用される、NCOにより末端処理されたプレポリマーは、メチレンジフェニレンジイソシアネート(MDI)を用いて調製した。.
【0088】
【表3】

【0089】
物理的及び機械的特性を、以下の表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
実施例4及び5
これらの実施例は、シーリング材組成物における接着促進剤として後に使用される有機官能性シラン(それぞれシランB及びCと称する)の調製を説明する。
【0092】
実施例4:シランBの調製
シランBは以下の方法により調製した:2306グラム(10.4モル)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン、936グラム(10.4モル)の2−メチル−1,3−プロパンジオール及び13.95グラム(0.036モル)のナトリウムエトキシド溶液(エタノール中、21重量%)を、磁気スターラー、12’’ビグリューカラム、短路蒸留ヘッド、受液フラスコ、温度プローブ、及び加熱マントルを装備した5L容丸底フラスコ中で混合した。エタノールを除去するために、このフラスコを、120mmHgの真空下で60℃に加熱した。エタノールを除去しながら、真空度を5時間かけて0.5mmHgまで徐々に増加させ、温度は85℃まで徐々に増加させた。約2221グラムのシランBが回収された。
【0093】
実施例5:シランCの調製
シランCは以下の方法により調製した:199.9グラム(1.05モル)の3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、94.2グラム(1.05モル)の2−メチル−l,3−プロパンジオール及び7.0グラム(0.02モル)のナトリウムエトキシド溶液(エタノール中、21重量%)を、磁気スターラー、12’’ビグリューカラム、短路蒸留ヘッド、受液フラスコ、温度プローブ、及び加熱マントルを装備した500mL溶丸底フラスコ中で混合した。エタノールを除去するために、このフラスコを、120mmHgの真空下で60℃に加熱した。エタノールを除去しながら、真空度を5時間かけて0.5mmHgまで徐々に増加させ、温度は85℃まで徐々に増加させた。約197.2グラムのシランCが回収された。
【0094】
実施例6〜8;比較例3
【0095】
実施例6:シーリング材組成物の調製
実施例6はシーリング材組成物の調製について示す。シーリング材組成物は、Ross PDMパワーミキサー中で以下の表5に示すような量及び混合時間で成分を混合することにより調製した。
【0096】
【表5】

【0097】
シーリング材組成物を十分に混合した後、実施例6のシーリング材組成物を3等分して、それぞれ、実施例7及び8及び比較例3の調製物中で使用した。
【0098】
実施例7及び8;比較例3
実施例7及び8は、それぞれ実施例4及び実施例5、触媒及び実施例6のシーリング材組成物を含む物理的混合物の調製について記載する。比較例3は、対照として提供され、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、触媒及び実施例6のシーリング材組成物を含む物理的混合物の調製について記載する。物理的混合物は以下の方法により調製した:実施例6のシーリング材組成物とシランを、Flack Tek(登録商標)スピードミキサーに、表6に示した量で充填し、約1〜2分間、2000 rpmで混合した。次に触媒を、表6に示した量で、得られた混合物に添加し、約1分間、2000rpmで混合した。
【0099】
【表6】

【0100】
実施例9〜10;比較例4
これらの実施例は、実施例7〜8及び比較例3(上掲)の物理的混合物の硬化を示す。
【0101】
実施例7〜8及び比較例3の物理的混合物の一部でそれぞれ2.5mmのシートを形成した。物理的混合物の硬化を達成させるために、シートを高湿度チャンバ内に、湿度90%、温度38℃の条件にて3日間置いた。次に、シートを、50℃で4日間、オーブン中に置いた。硬化後、型抜きプレス及び型抜き型を用いて、硬化したシートからサンプルを打ち抜いた。引っ張り強度、伸長度及び切断時における係数を、ASTM D412にしたがって全サンプルについて測定した。硬化したサンプルの物理的及び機械的特性を以下の表7に示す。
【0102】
【表7】

【0103】
物理的混合物の残りの部分をガラス、アルミニウム及びPVC基材上に配置し、さらにサンプルを調製した。サンプルの硬化を達成させるため、基材を、その上の物理的混合物と共に、高湿度チャンバ内に、湿度90%、温度38℃の条件で最初に3日間置いた。続いて、基材を、低湿度チャンバ内に、湿度50%、温度23℃の条件で4日間置いた。次に基材を、水浴中に、23℃、7日間置いた。硬化後、全てのサンプルの剥離強度を測定した。硬化したサンプルの物理的及び機械的特性を以下の表8に示す。
【0104】
【表8】

【0105】
実施例11及び12
実施例11及び12は、使用したシリル化ポリウレタンプロポリマーがWitton Chemicalsから入手可能なWSP 725−80であり、使用した接着促進剤が両者ともそれぞれGE Advanced Materialsから入手可能なSilquest(登録商標)Y−15656及びSilquest(登録商標)Y−15686であったこと以外は、実施例6〜8に記載したシーリング材と同じ処方及び調製物を用いて調製した。
【0106】
さらに、実施例9〜10において記載した試験手順をここで使用した。試験の結果を以下の表9に記載する。
【0107】
【表9】

【0108】
一般的に、本発明のシランは、現在使用されているシランと比較して同等又は優れた性能を示し、放出される揮発性有機化合物量の低減という点において大きな利点を提供する。
【0109】
本発明はいくつかの実施態様の例を参照することにより記述されてきたが、様々な変更を行うことができ、発明の範囲を逸脱することなく、その要素を均等物と置換できることが当業者には理解されるであろう。さらに、本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に対して適合させるように、多くの改変を行うことができる。したがって、本発明は、本明細書中に開示されているいずれかの特定の例示的実施態様に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネートにより末端処理されたプレポリマーと、複数個の加水分解可能部位及びイソシアネートに対して反応性を示す少なくとも1個の活性水素含有基を有するシランとの反応生成物を含む、架橋シラン末端処理ポリマーであって、前記シランが加水分解の際に、同等数の加水分解可能部位を有し、その全てが加水分解性アルコキシ基であるシランの加水分解により生成される揮発性有機化合物の量と比べて低量の揮発性有機化合物を生成する、前記架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項2】
前記イソシアネートにより末端処理されたプレポリマーがポリイソシアネート及びポリオールの反応生成物である、請求項1に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び芳香族有機ジイソシアネートからなる群より選択される、請求項2に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項4】
前記ポリオールが、1,000〜20,000の範囲の分子量を有する、請求項2に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項5】
前記ポリオールが、ジオール、トリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びその任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項6】
前記シランが以下の一般式を有する:
[Y[−G(−SiX (式1)

式中、Gは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基の1以上の水素原子の置換により得られる多価性の基、又はヘテロ炭素における1以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含む基の群から独立に選択され、Gは約1〜約30の炭素原子を有し;Xは、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−又はRN−、−R、−(OSiR(OSi R)、及び −O(R10CR11OHからなる群より独立して選択され、ここで、それぞれ、R、R、R、R10、及びR11は独立してRであり;Zは、(−O−)0.5、[−O(R10CR11O−]0.5、[−HN(R10CR11N(H)−]0.5、[−OOC(R10CR11COO−]、[−O(R10CR11N(H)−]及び [−O(R10CR11COO−からなる群より独立して選択され、ここで、それぞれR10及びR11は独立してRであり;Zは、−O(R10CR11O−、−HN(R10CR11N(H)−、−OOC(R10CR11COO−、−O(R10CR11N(H)−及び−O(R10CR11COO−からなる群より選択され、ここで、それぞれR10及びR11は独立してRであり;Rは、水素、直鎖状、環状又は分枝鎖状アルキル基の組から独立して選択され、不飽和の、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基;又は、ヘテロ炭素の1個以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含んでいてもよく;Rは1〜約20個の炭素原子を含んでおり;それぞれ下付き文字fは1〜約15の整数であり、それぞれnは1〜約100の整数であり,但し、nが1より大きい場合、vは0より大きく、Zに対する全ての原子価がそれらと結合するシリコン原子を有し、それぞれ下付き文字uは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字vは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字wは0〜約1の整数であり、但し、u+v+2w=3であり、それぞれ下付き文字rは1〜約6の整数であり、それぞれ下付き文字tは0〜約50の整数であり、及びそれぞれ下付き文字sは1〜約6の整数であり;及び、それぞれYは、原子価rの有機官能基であり;並びに、少なくとも一つの環状架橋有機官能性シランは、少なくとも一つのZ又はZを含む環状架橋有機官能性シラン組成物を含む、請求項1に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項7】
Yが、一価の有機官能基、二価の有機官能基、三価の有機官能基、四価の有機官能基及び多価有機官能基からなる群より選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項8】
前記一価有機官能基が、CH=CH−、CHR=CH−、CR=CH−、メルカプト、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、アセトキシ、−O−CH−CO、−CH−CH−CO、−CO、−CR(−O−)CR、−OH、−NRC(=O)OR、−OC(=O)NR、−NRC(=O)SR、−SC(=O)NR、−NRC(=S)OR、−OC(=S)NR、−NRC(=S)SR、−SC(=S)NR、マレイミド、マレエート、置換マレエート、フマレート、置換フマレート、−CN、シトラコンイミド、−OCN、−N=C=O、−SCN、−N=C=S、−OR、−F、−Cl、−Br;−I、−SR、−S−SR、−S−S−SR、−S−S−S−SR、−S−S−S−S−SR、−S−S−S−S−S−SR、−S、−SC(=S)OR、−SC(=S)SR、−SC(=O)SR、−NRC(=O)NR、−NRC(=S)NR、RC(=O)NR−、−C(=O)NR−、RC(=S)NR−、メラミン、シアヌラート、−NHからなる群より選択され;前記二価有機官能基が、−(−)C(−O−)CR、−CR(−O−)CR−、−(CR10CR11O−、−(−)NC(=O)OR、−OC(=O)NR−、−(−)NC(=O)SR、−SC(=O)NR−、−(−)NC(=S)OR、−OC(=S)NR−、−(−)NC(=S)SR、−SC(=S)NR−、−O−、マレエート、置換マレエート、フマレート、置換フマレート、−S−、−S−S−、−S−S−S−、−S−S−S−S−、−S−S−S−S−S−、−S−S−S−S−S−S−、−S−、−SC(=S)O−、−SC(=S)S−、−SC(=O)S−、−(−)NC(=O)NR、−NRC(=O)NR−、−(−)NC(=S)NR、−NRC(=S)NR−、RC(=O)N(−)−、−C(=O)NR−、RC(=S)N(−)−、二価のメラミン、二価のシアヌラート、−NH−、−NR−、−(−)N−L−NR、−NR−L−NR−、(−)NR−L−NR、−(−)N−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−(NR、(−NR−L−(NR、−(−)N−L−NR−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−NR−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR及び(−NR−)N−LNRからなる群より選択され;前記三価有機官能基が、−(−)C(−O−)CR−、−(−)NC(=O)O−、−(−)NC(=O)S−、−(−)NC(=S)O−、−(−)NC(=S)S−、−(−)NC(=O)NR−、−(−)NC(=S)NR−、−C(=O)N(−)−、−C(=S)N(−)−、三価のメラミノ;三価のシアヌラート、−N(−)−、−(−)N−L−NR−、(−NR−L、(−NR−L−NR−、−(−)N−LN(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−(−)N−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR)(−LNR−)及び(−NR−)Nからなる群より選択され;前記四価有機官能基が、−(−)C(−O−)C(−)−、−(−)NC(=O)N(−)−、−(−)NC(=S)N(−)−、四価メラミノ、−(−)N−L−N(−)−、(−NR−L、(−NR−L−N(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−NR−L−N(−)−及び−(−)N−L−N(−LNR−)からなる群より選択され;並びに、前記多価有機官能基が、多価炭化水素基、(−NR)(−N−)、(−N−)、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−N(−)−L−N(−)−、[−(−)N−L−]N−LNR−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−N(−)−及び[−(−)N−L−]からなる群より選択される(式中、それぞれL、L、及びLは、Gについて上記された構造の組から独立して選択され、それぞれRは、R及びR1−11について上記された構造の一つにより独立して与えられ、xは1〜10の独立した整数である)、請求項7に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項9】
Gが、一価の炭化水素基、CH(CH−(式中、pは1〜20)、ジエチレンシクロヘキサン、1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン、ジエチレンベンゼン、フェニレン、−(CH−、(式中、mは1〜12)、及び、CH(CHCH(CH)−、(式中、qは0〜17)、からなる群より選択される、請求項6に記載された架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項10】
R及びR1−11が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、オクテニル、シクロヘキシル、ブチル、フェニル、ベンジル、トリル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、ジメチルアミノエチル及びシアノエチルからなる群より独立して選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項11】
10及びR11がそれぞれ、水素、メチル及びエチルからなる群より独立して選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項12】
及びRが、水素、メチル、エチル及びプロピルからなる群より独立して選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項13】
、R、R、R、R及びRが、フェニル、メチル、ブチル、H及びエチルからなる群より独立して選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項14】
Xが、メトキシ、エトキシ、イソブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アセトキシ、メトキシエトキシ、オキシマト及びジオールから誘導される一価のアルコキシ基からなる群より選択される、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項15】
vが0であり、XがRO−又はRC(=O)−であり、RがC〜Cのアルキル又はHであり、及び、Gが2〜18個の炭素原子からなる二価の直鎖状アルキルである、請求項6に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項16】
水分に曝した際にポリマーが硬化することによって水分硬化性シランにより末端処理されたポリマーが形成されるのに十分な量の触媒と混合される、請求項1に記載の架橋シラン末端処理ポリマー。
【請求項17】
請求項6に記載の硬化された組成物。
【請求項18】
少なくとも一つの充填剤と組み合わせて、請求項16に記載の水分硬化性シランにより末端処理されたポリマーを含む、水分硬化性シーリング材組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の硬化シーリング材。
【請求項20】
請求項1に記載の架橋シラン末端処理ポリマーを含む接着剤又はコーティング組成物。
【請求項21】
接着促進シランを含むシーリング材組成物であって、加水分解の際に前記シランが、その全てが加水分解性アルコキシ基である同等数の加水分解可能部位を有するシランの加水分解により形成されるものと比較して低量の揮発性有機化合物を生じる、前記シーリング材組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の架橋シラン末端処理ポリマーであって、前記シランが以下の一般式を有する:
[Y[−G(−SiX (式1)

式中、Gは、アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基の1以上の水素原子の置換により得られる多価性の基、又はヘテロ炭素における1以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含む基の群から独立に選択され、Gは約1〜約30の炭素原子を有し;Xは、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−又はRN−、−R、−(OSiR(OSi R)、及び −O(R10CR11OHからなる群より独立して選択され、ここで、それぞれ、R、R、R、R10、及びR11は独立してRであり;Zは、(−O−)0.5、[−O(R10CR11O−]0.5、[−HN(R10CR11N(H)−]0.5、[−OOC(R10CR11COO−]、[−O(R10CR11N(H)−]及び [−O(R10CR11COO−からなる群より独立して選択され、ここで、それぞれR10及びR11は独立してRであり;Zは、−O(R10CR11O−、−HN(R10CR11N(H)−、−OOC(R10CR11COO−、−O(R10CR11N(H)−及び−O(R10CR11COO−からなる群より選択され、ここで、それぞれR10及びR11は独立してRであり;Rは、水素、直鎖状、環状又は分枝鎖状アルキル基の組から独立して選択され、不飽和の、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基;又は、ヘテロ炭素の1個以上の水素原子が除去されることにより得られる分子成分を含んでいてもよく;それぞれRは1〜約20個の炭素原子を含んでおり;それぞれ下付き文字fは1〜約15の整数であり、それぞれnは1〜約100の整数であり,但し、nが1より大きい場合、vは0より大きく、Zに対する全ての原子価がそれらと結合するシリコン原子を有し、それぞれ下付き文字uは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字vは0〜約3の整数であり、それぞれ下付き文字wは0〜約1の整数であり、但し、u+v+2w=3であり、それぞれ下付き文字rは1〜約6の整数であり、それぞれ下付き文字tは0〜約50の整数であり、及びそれぞれ下付き文字sは1〜約6の整数であり;及び、それぞれYは、原子価rの有機官能基であり;並びに、少なくとも一つの環状架橋有機官能性シランは、少なくとも一つのZ又はZを含む環状架橋有機官能性シラン組成物を含む、請求項21に記載のシーリング材組成物。
【請求項23】
Yが、一価の有機官能基、二価の有機官能基、三価の有機官能基、四価の有機官能基及び多価有機官能基からなる群より選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項24】
前記一価有機官能基が、CH=CH−、CHR=CH−、CR=CH−、メルカプト、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、アセトキシ、−O−CH−CO、−CH−CH−CO、−CO、−CR(−O−)CR、−OH、−NRC(=O)OR、−OC(=O)NR、−NRC(=O)SR、−SC(=O)NR、−NRC(=S)OR、−OC(=S)NR、−NRC(=S)SR、−SC(=S)NR、マレイミド、マレエート、置換マレエート、フマレート、置換フマレート、−CN、シトラコンイミド、−OCN、−N=C=O、−SCN、−N=C=S、−OR、−F、−Cl、−Br;−I、−SR、−S− SR、−S−S−SR、−S−S−S−SR、−S−S−S−S−SR、−S−S−S−S−S−SR、−S、−SC(=S)OR、− SC(=S)SR、−SC(=O)SR、−NRC(=O)NR、−NRC(=S)NR、RC(=O)NR−、−C(=O)NR−、RC(=S)NR−、メラミン、シアヌラートからなる群より選択され;前記二価有機官能基が、−(−)C(−0−)CR、−CR(−O−)CR−、−(CR10CR11O−、−(−)NC(=O)OR、−OC(=O)NR−、−(−)NC(=O)SR、−SC(=O)NR−、−(−)NC(=S)OR、−OC(=S)NR−、−(−)NC(=S)SR、−SC(=S)NR−、−O−、マレエート、置換マレエート、フマレート、置換フマレート、−S−、−S−S−、−S−S−S−、−S−S−S−S−、−S−S−S−S−S−、−S−S−S−S−S−S−、−S−、−SC(=S)O−、−SC(=S)S−、−SC(=O)S−、−(−)NC(=O)NR、−NRC(=O)NR−、−(−)NC(=S)NR、−NRC(=S)NR−、RC(=O)N(−)−、−C(=O)NR−、RC(=S)N(−)−、二価のメラミン、二価のシアヌラート、−NH−、−NR−、−(−)N−L−NR、−NR−L−NR−、(−)NR−L−NR、−(−)N−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−(NR、(−NR−L−(NR、−(−)N−L−NR−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−L−NR−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR及び(−NR−)N−LNRからなる群より選択され;前記三価有機官能基が、−(−)C(−O−)CR−、−(−)NC(=O)O−、−(−)NC(=O)S−、−(−)NC(=S)O−、−(−)NC(=S)S−、−(−)NC(=O)NR−、−(−)NC(=S)NR−、−C(=O)N(−)−、−C(=S)N(−)−、三価のメラミノ;三価のシアヌラート、−N(−)−、−(−)N−L−NR−、(−NR−L、(−NR−L−NR−、−(−)N−LN(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−)−L−NR−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−(−)N−L−NR−L−N(−)−L−NR、−NR−LN(−)−L−NR−L−NR−、−(−)N−L−N(−LNR)(−LNR−)及び(−NRNからなる群より選択され;前記四価有機官能基が、−(−)C(−O−)C(−)−、−(−)NC(=O)N(−)−、−(−)NC(=S)N(−)−、四価メラミノ、−(−)N−L−N(−)−、(NR−L、(−NR−L−N(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR、−NR−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−L−NR−L−NR−L−N(−)−及び−(−)N−L−N(−LNR−)からなる群より選択され;並びに、前記多価有機官能基が、多価炭化水素基、(−NR)(−N−)、(−N−)、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−NR−、−(−)N−LNR−L−N(−)−L−N(−)−、[−(−)N−L−]N−LNR−、−(−)N−L−N(−)−L−N(−)−L−N(−)−及び[−(−)N−L−]からなる群より選択される(式中、それぞれL、L、及びLは、Gについて上記された構造の組から独立して選択され、及び、それぞれRは、R及びR1−11について上記された構造の一つにより独立して与えられ、xは1〜10の独立した整数である)、請求項23記載のシーリング材組成物。
【請求項25】
Gが、一価の炭化水素基、CH(CH−、(式中、pは1〜20)、ジエチレンシクロヘキサン、1,2,4−トリエチレンシクロヘキサン、ジエチレンベンゼン、フェニレンル、−(CH−(式中、mは1〜12)、及びCH(CHCH(CH)−、(式中、qは0〜17)、からなる群より選択される、請求項22記載のシーリング材組成物。
【請求項26】
R及びR1−11が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、オクテニル、シクロヘキシル、ブチル、フェニル、ベンジル、トリル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、ジメチルアミノエチル及びシアノエチルからなる群より独立して選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項27】
10及びR11がそれぞれ、水素、メチル及びエチルからなる群より独立して選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項28】
及びRが、水素、メチル、エチル及びプロピルからなる群より独立して選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項29】
、R、R、R、R及びRが、フェニル、メチル、ブチル、H及びエチルからなる群より独立して選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項30】
Xが、メトキシ、エトキシ、イソブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アセトキシ、メトキシエトキシ、オキシマト及びジオールから誘導される一価のアルコキシ基からなる群より選択される、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項31】
vが0であり、XがRO−又はRC(=O)−であり、RがC〜Cのアルキル又はHであり、及び、Gが2〜18個の炭素原子からなる二価の直鎖状アルキルである、請求項22に記載のシーリング材組成物。
【請求項32】
前記シラン接着促進剤が、シーリング材組成物の約0.25〜約5重量%の範囲で存在する、請求項21に記載のシーリング材組成物。
【請求項33】
水分に曝した際に前記ポリマーを硬化させるために十分な量の触媒をさらに含む、請求項21に記載のシーリング材組成物。
【請求項34】
前記触媒が、スズ又はチタンの化合物からなる群より選択される金属触媒である、請求項33に記載のシーリング材組成物。
【請求項35】
請求項33に記載の硬化シーリング材。
【請求項36】
チキソトロープ剤、可塑剤、安定剤、色素及び充填剤からなる群より選択される1以上の成分をさらに含む、請求項21に記載のシーリング材組成物。

【公表番号】特表2008−530310(P2008−530310A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555334(P2007−555334)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005126
【国際公開番号】WO2006/088839
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507267193)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (23)
【Fターム(参考)】