説明

架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドプレポリマー

本発明は、水溶性架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを提供する。本発明の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーは、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップするアミン基と共反応する官能基と、を有する多官能価化合物と反応させることで製造される。アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、(a)少なくとも1種のポリ(オキシアルキレン)ジアミンと、(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミンと、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体と、(d)場合により、少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体と、および(e)カルボジイミドと、を含む混合物の共重合生成物である。本発明の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーは、改善された熱安定性を有するコンタクトレンズを経済的に製造することにおいて使用を見出すことができる。更に、本発明は、医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを製造する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー品、好ましくは眼科用装置、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズを製造するために有用な放射線硬化性プレポリマーに関する。特に本発明は、水溶性放射線硬化性ポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドに関する。
【0002】
背景
コンタクトレンズが美容および視力矯正のために使用できることは周知である。理想的なコンタクトレンズは、長時間の装用が快適であるだけでなく、最小の時間および労力のコストで容易に且つ再生可能に製造されるものである。
【0003】
迅速で効率の高いコンタクトレンズ製造方法を開発することに、多大な努力が払われてきた。そのような方法は、米国特許第5,508,317号、同第5,583,163号、同第5,789,464号および同第5,849,810号に記載されており、それらは、コンタクトレンズを空間的に限定した化学線照射下で注型する、迅速で効率の高い製造方法を記載している。「空間的に限定した化学線照射」は、例えば、マスクまたはスクリーンまたはその組み合わせを用いて、空間的に制限した手法で、光線の形態のエネルギー線を明確な境界のある領域に衝突させる行為または方法を指す。この場合、型キャビティー内の非マスク領域のレンズ形成材料のみが架橋され、マスクされた領域(マスクの裏側)のレンズ形成材料は、未架橋のままである。2個の再使用可能な精密型部分がつながっていなくても、正確度が著しく高いレンズ縁部が作製できる。レンズ形成材料として水溶性光架橋性プレポリマーを使用した場合、数秒以内で仕上げられた光学品質のレンズが型内で製造され、続く抽出ステップまたはコンタクトレンズへの仕上げステップが必要とならない。更に、水溶性のレンズ配合剤であるため、再使用可能な型の非架橋プレポリマーおよび残渣を、レンズの製造後に水で迅速且つ効果的に洗浄することができ、空気で風乾させることができる。そのような製造方法により、コンタクトレンズをかなり低コストで製造することができる。
【0004】
例えば、米国特許第5,508,317号、同第5,583,163号、同第5,665,840号、同第5,712,356号、同第5,789,464号、同第5,849,841号、同第5,849,810号、同第6,165,408号、同第6,221,303号、同第6,303,687号および同第6,479,587号、米国特許出願公開番号2004/0082680A1、欧州特許第932,635号、およびPCT特許出願WO2000/31150号に開示されたものなど、様々な水溶性架橋性プレポリマーが開発された。上記の水溶性架橋性プレポリマーから製造したコンタクトレンズは、ヒトの角膜との良好な適合性があり、装用時の快適性が高く刺激およびアレルギー作用がないなど、有利な性質を有する。しかし、それらの水溶性光架橋性プレポリマーから製造されたコンタクトレンズが、目的の使用に合う最も望ましい物理的/機械的性質の組合せ、例えば、引張り特性(破断応力、破断伸びおよびモジュラス)、水分量、生体適合性および熱安定性などを、必ずしも持ち合わせているわけではない。
【0005】
したがって、耐久性、熱安定性があり高弾性で所望の物理的/機械的性質を有するソフトコンタクトレンズを経済的に製造するための新規なプレポリマーが、依然として求められている。
【0006】
発明の概要
前述のことを達成する際に、本発明の一つの態様によれば、末端アミン基を有するポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドと、少なくとも1個のエチレン性不飽和基およびポリアミドのアミン基と共反応する官能基を有する多官能価化合物と、の反応生成物である水溶性化学線架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーであって、ポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドが、(a)少なくとも1種のアミンでキャプしたポリアルキレングリコールと、(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミンと、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体と、(d)場合により、少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体と、および(e)場合によりカルボジイミドと、を含む混合物の共重合生成物である、水溶性化学線架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーが提供される。
【0007】
別の態様において、本発明は、1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、上記の本発明の水溶性化学線架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを化学線架橋させた生成物であるポリマーを提供する。
【0008】
更なる態様において、本発明は、1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、上記の本発明の水溶性架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを化学線架橋させることで得られる医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを提供する。
【0009】
別の更なる態様において、本発明は、a)1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、そして場合により光開始剤の存在下で、室温で液体または易溶融性であり溶媒を本質的に含まない上記の本発明の水溶性架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを型に導入するステップと、b)水溶性架橋性プレポリマーを化学線で架橋させるステップと、およびc)型を開いて物品を型から取り出すことができるステップと、を含む眼科用装置を製造する方法を提供する。
【0010】
依然として更なる態様において、本発明は、a)1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、そして場合により光開始剤の存在下で、上記の本発明の水溶性化学線架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーの水溶液を型に導入するステップと;b)水溶性架橋性プレポリマーを化学線で架橋させるステップと、およびc)型を開いて物品を型から取り出すことができるステップと、を含む眼科用装置を製造する方法を提供する。
【0011】
本発明のこれらおよびその他の態様は、以下の好ましい実施形態の説明を、以下の図面と共に参照することにより明白となろう。当業者には自明であろうが、本発明の開示の新規な概念の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の多くの変更および修正を施してもよい。
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
今の参照が本発明の実施形態の詳細を得るだろう。本発明の範囲または精神を逸脱することなく、本発明において様々な修正および変更を施し得ることは、当業者には自明であろう。例えば、一つの実施形態の一部として図示または記載された特徴を別の実施形態に使用して、更なる実施形態を得ることができる。こうして本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等の範囲内で、そのような修正および変更を含むことを目的とする。本発明の他の目的、特徴および態様は、以下の詳細な記述に開示されているか、またはそれから自明である。本発明の議論が、例示的な実施形態の記述に過ぎず、本発明のより広い態様を限定するものでないことを、当業者は理解しなければならない。
【0013】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意義を有する。一般に、本明細書で使用される命名法および実験手順は、周知であり、当該技術分野で一般に使用される。これらの手順には、従来法、例えば当該技術分野および様々な一般的参考資料で提供されたものなどを使用している。用語が単数形で提供されている場合、発明者はその用語の複数形も意図する。本明細書において使用される命名法、および以下に記載された実験手順は周知で、当該技術分野で一般に使用されているものである。
【0014】
一つの態様において、本発明は、エチレン性不飽和基を、末端アミン基を備えたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミド(またはアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミド)に導入することで得られる水溶性化学線架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーに関する。
【0015】
例示的なエチレン性不飽和基としては、非限定的に、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基が挙げられる。
【0016】
「プレポリマー」は、化学線で、または熱的に、または化学的に硬化(例えば架橋および/または重合)させて、出発ポリマーよりもかなり高い分子量を有する架橋および/または重合ポリマーを得ることができる出発ポリマーを指す。「化学線架橋性プレポリマー」は、化学線により架橋して、出発ポリマーよりもかなり高い分子量を有する架橋ポリマーを得ることができる出発ポリマーを指す。化学線照射の例は、UV線照射、電離放射線照射(例えばγ線またはX線照射)、マイクロ波照射などである。
【0017】
本明細書において使用される、重合性組成物または材料の硬化または重合に関する「化学線で(actinically)」は、硬化(例えば架橋および/または重合)が、化学線照射、例えばUV線照射、電離放射線照射(例えばγ線またはX線照射)およびマイクロ波照射により実行されることを意味する。
【0018】
本発明によれば、末端アミン基を備えたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、それぞれが、
【0019】
【化27】

【0020】
(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜500の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000である)の二価基である、ポリ(オキシアルキレン)セグメントを含まなければならない。それぞれのポリ(オキシアルキレン)セグメントは、アミド結合:
【0021】
【化28】

【0022】
を経由して、本発明の末端アミン基を備えたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミド中の少なくとも1個のセグメントに結合する。アミド結合を備えた材料が、尿素またはウレタン結合を含有する同様の材料と比較して、改善された熱安定性を有することを発見した。ポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドの改善された熱安定性は、好ましくは、繰り返しの滅菌に耐える能力を有し、材料の性質(例えば、引張特性、レンズ直径、水分量など)が有意な変化(例えば約5%を超える変化)を受けないことを特徴とする。
【0023】
好ましくは、本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、主鎖および側鎖をはじめとするポリマー鎖のそれぞれが、第一級または第二級アミン基となることができる一つのキャップする基で末端とされる、分枝状共重合体である。
【0024】
本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、(a)少なくとも1種のアミンでキャップしたポリアルキレングリコール(またはポリ(オキシアルキレン))と、(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミンと、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体と、(d)場合により、少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体と、および(e)場合によりカルボジイミドと、を含む混合物の共重合生成物である。好ましくは、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有共重合体は、(a)少なくとも1種のポリ(オキシアルキレン)ジアミンと、(b)少なくとも1種の有機ポリアミンと、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体と、(d)場合により、少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体と、および(e)場合によりカルボジイミドと、を含む混合物の共重合生成物である。より好ましくは、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、(a)少なくとも1種のポリ(オキシアルキレン)ジアミンと、(b)少なくとも1種の有機ポリアミン(好ましくはトリアミン)と、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体と、(d)少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体(好ましくはトリカルボキシル誘導体)と、および(e)場合によりカルボジイミドと、を含む混合物の共重合生成物である。
【0025】
本発明によれば、「ポリ(オキシアルキレン)ジアミン」または「アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)」は、式(1):
【0026】
【化29】

【0027】
(式中、CGおよびCG'は、互いに独立して、第一級または第二級のアミノ(アミン)基またはアミノ−C1〜C12アルキルであり、R1、R2およびR3は、上で定義したとおりである。(n+m+p)の合計は、好ましくは8〜200、より好ましくは8〜100である)の化合物を指す。式(1)の好ましい化合物の例としては、様々な平均分子量のポリオキシアルキレンアミン類、例えば平均分子量が、例えば約200〜5000のいわゆるJeffamine(登録商標)が挙げられる。
【0028】
本発明によれば、有機ジアミンは、2個のアミノ基(第一級および/または第二級)を伴う化合物である。有機ジアミンは、直鎖もしくは分枝状のC2〜C24脂肪族ジアミン、C5〜C24脂環式もしくは脂肪族脂環式ジアミン、またはC6〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族ジアミンであってもよい。好ましい有機ジアミンは、ビス(ヒドロキシエチレン)エチレンジアミン(BHEEDA)およびイソホロンジアミンである。
【0029】
本発明によれば、有機ポリアミンは、式(2):
【0030】
【化30】

【0031】
(式中、R4およびR4'は、互いに独立して、水素、または非置換もしくは置換されたC1〜C6アルキルであるか、あるいは一緒になって直接の環形成結合であり、B1'は、少なくとも1個の二価アミン基(−NH−)で中断されているか、または第一級もしくは第二級アミン基(例えば、−NH2または−NHRなどであり、ここでRは、C1〜C6−アルキル、ヒドロキシ置換C1〜C6−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシ置換C1〜C6−アルキルである)を有する、二価の脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式、芳香族、または芳香脂肪族炭化水素基である)の化合物である。
【0032】
4およびR4'のそれぞれは、互いに独立して、水素、非置換C1〜C6アルキル、ヒドロキシ置換C1〜C6アルキル、またはC1〜C4アルコキシ置換C1〜C6アルキルである。R4およびR4'のそれぞれは、互いに独立して、好ましくは、水素、非置換C1〜C6アルキル、またはヒドロキシ置換C1〜C4アルキルであり、より好ましくは水素、C1〜C2アルキル、またはヒドロキシ−C1〜C2アルキルであり、最も好ましくは水素である。基R4およびR4'は、異なっていてもよいが、好ましくは同一であってもよい。
【0033】
基B1'は、例えば、それぞれが−NH−基の少なくとも1個で、好ましくは1〜3個で、より好ましくは1または2個で中断された、直鎖もしくは分枝状C3〜C24アルキレン、非置換もしくはC1〜C4アルキル置換C6〜C10アリーレン、C7〜C18アラルキレン、C6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレン、C3〜C8シクロアルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン、またはC1〜C6アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレンであってもよい。
【0034】
式(2)のポリアミンの例は、対称もしくは非対称のジアルキレントリアミンまたはトリアルキレンテトラアミンまたは脂環式トリアミンである。好ましいポリアミンは、非限定的に、ジエチレントリアミン、N−2'−アミノエチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ビス(6−アミノヘキシル)アミン、およびトリエチレンテトラミンが挙げられる。
【0035】
成分(b)は、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有共重合体を製造するための反応混合物中に存在しないことができ、または好ましくは存在することができる。成分(b)が存在する場合、それは好ましくは少なくとも1種の有機ポリアミンおよび場合により有機ジアミン、より好ましくは少なくとも1種のトリアミン、および場合により有機ジアミンを含む。
【0036】
本発明によれば、ジ−またはポリ−カルボキシル誘導体は、好ましくは、
【0037】
【化31】

【0038】
(式中、Dは、ハロゲン化物(即ち塩化カルボニルまたは酸塩化物基)、OH(即ち、カルボン酸基)、またはアルコキシルもしくはシクロアルコキシルもしくはアラルコキシル(即ちエステル基)である)の基を2個以上有する有機化合物である。
【0039】
本発明によれば、ジカルボキシル誘導体は、直鎖もしくは分枝状のC3〜C24−脂肪族ジカルボン酸、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式ジカルボン酸、C6〜C24−芳香族もしくは芳香脂肪族ジカルボン酸、またはアミノ基、イミド基もしくはN−複素環を含有するジカルボン酸の誘導体(即ち、塩化カルボニル、カルボン酸、またはカルボン酸エステル)であってもよい。適切な脂肪族ジカルボン酸の例は:マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、オクタデシルコハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、およびダイマー酸(オレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸の二量体化生成物)である。適切な脂環式ジカルボン酸の例は:1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシルメチルシクロへキサン、4,4'−ジシクロヘキシルジカルボン酸である。適切な不飽和ジカルボン酸の例は:マレイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、またはイタコン酸である。適切な芳香族ジカルボン酸の例は:テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、1,3−、1,4−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシフェニル)インダン、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス−p−(カルボキシルフェニル)メタンである。
【0040】
本発明によれば、ポリカルボキシル誘導体は、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸またはカルボン酸エステル基を少なくとも3個含む化合物である。ポリカルボキシル誘導体は、直鎖または分枝状のC3〜C24−脂肪族ポリカルボキシル誘導体、C5〜C45−脂環式もしくは脂肪族もしくは脂環式ポリカルボキシル誘導体、またはC6〜C24−芳香族もしくは芳香脂肪族ポリカルボキシル誘導体であることができる。好ましくは、ポリカルボキシル誘導体は、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸、またはカルボン酸エステル基を3〜6個含有するC6〜C45−脂環式または脂肪族脂環式化合物である。最も好ましくは、ポリカルボキシル誘導体は、ハロゲン化カルボニル、カルボン酸、またはカルボン酸エステル基を3個含有するC6〜C45−脂環式または脂肪族もしくは脂環式化合物である。脂肪族トリカルボン酸の例は、アコニット酸およびクエン酸である。脂環式トリカルボン酸の例は、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸および1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸である。芳香族トリカルボン酸の例は、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、および1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)である。
【0041】
好ましい二酸または多酸ハロゲン化物(即ち、塩化ジカルボニルまたは塩化ポリカルボニル)は、トリ酸塩化物、トリ酸臭化物、ジ酸塩化物、およびジ酸臭化物である。ジ酸塩化物の例は、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸ジクロリド、塩化スクシニル、塩化グルタリル、塩化オキサリル、およびダイマー酸塩化物である。トリ酸塩化物の例は、トリメソイルクロリド、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボニルクロリド、トリマー酸塩化物などである。
【0042】
好ましい実施形態において、ジ−またはポリ−カルボキシル誘導体は、ハロゲン化ジ−またはポリ−カルボニル(またはハロゲン化ジ−もしくはポリ酸、またはハロゲン化ジ−もしくはポリ−アシル)である。
【0043】
別の好ましい実施形態において、ジ−またはポリ−カルボキシル誘導体は、ジ−またはポリ−カルボン酸である。この好ましい実施形態において、本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを製造するための反応混合物は、好ましくはカルボジイミドを含み、それはカルボキシルをアミンにカップリングさせて、アミドを形成させることができる。
【0044】
カルボジイミドをカルボキシルとアミンとのカップリングに使用した場合、カップリングする分子間に架橋は形成されない。カルボジイミドはアミド形成を促進する。カルボジイミドの例は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、またはその混合物である。所望なら、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)またはN−ヒドロキシスルホスクシンイミドを、カルボジイミド(例えばEDC)を介したカップリング反応に含めて、カップリング(共役)効率を改善してもよい。EDCは、NHSをカルボキシルにカップリングさせることにより、分子上のNHS活性化部位を得る。形成されたNHSエステルは、アミンと反応してアミドを形成することができる。
【0045】
好ましくは、樹脂結合カルボジイミドを使用して、カルボキシルとアミンとをカップリングさせる。樹脂結合試薬は、ろ過またはデカンテーションで容易に除去され、反応生成物の精製も簡単化する。本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを製造するために、樹脂結合1−ヒドロキシベンゾトリアゾール触媒を樹脂結合カルボジイミドと一緒に使用することが好ましい。
【0046】
カルボジイミドが、本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを製造するために反応混合物中に存在する場合、アミノ酸を反応混合物に添加してもよい。
【0047】
アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを、当業者に公知の方法で、少なくとも1個のエチレン性不飽和基およびキャップするアミン基と共反応する官能基を有する多官能性化合物と反応させることで、例えばアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを、塩化アクリロイル含有化合物もしくは塩化メタクリロイル含有化合物と反応させることで、またはそれとカルボジイミドの存在下で、少なくとも1個のエチレン性不飽和基およびカルボン酸基を含む化合物とカップリングさせることにより、エチレン性不飽和基をアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドに導入することができる。
【0048】
本発明の架橋性プレポリマーの1つの実施形態は、式(4):
【0049】
【化32】

【0050】
〔式中、qは、2以上、好ましくは3以上の整数であり、Qは、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含む有機基であり、CPは、セグメントA、A1、T、および場合によりセグメントGを含む多価直鎖または分枝状共重合体フラグメントであり、ここで
Aは、−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p−の二価基であり、ここでR1、R2、R3、n、mおよびpは、それぞれ上で定義されており;
Gは、直鎖もしくは分枝状C3〜C24脂肪族三価基、C5〜C45脂環式三価基、C5〜C45脂肪族脂環式三価基、またはC3〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族三価基であり;
1は、それぞれが少なくとも1個の−NRm−の基で中断された、直鎖または分枝状C2〜C24−脂肪族二価基、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式二価基、C6〜C24−芳香脂肪族二価基、または脂肪族複素環式二価基であり、ここでRmは、水素、上述の基Q、または式(4'):
【0051】
【化33】

【0052】
(式中、Qは、上で定義したとおりであり、CP'は、A、A1、TおよびGからなる群から選択されるセグメント1種以上を含む二価の共重合体フラグメントである)の基であり;
Tは、式(5):
【0053】
【化34】

【0054】
(式中、RAは、水素、非置換C1〜C6−アルキル、または置換されたC1〜C6−アルキルである)の二価基であるが、
ただし、共重合体フラグメントCPおよびCP'において、セグメントAが、セグメントTを介してセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
mが式(4')の基であるとき、−CO−のC原子がセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
Qが、セグメントTを介して共重合体フラグメントCPまたはCP'に結合していることを条件とする〕において示される。
【0055】
Qは、例えば、適切な方法で、例えば、ウレタン結合、尿素結合、好ましくはアミド結合を介して、共重合体フラグメントCPに結合するエチレン性不飽和共重合性基である。
【0056】
基Qは、例えば、炭素原子を2〜24個有し、更に置換されていてもよいオレフィン性不飽和共重合性基である基R5に相当するか、または式:−(NH)r−Q1または−O−Q1の基に相当し、ここでQ1は、式(6a)〜(6e):
【0057】
【化35】

【0058】
(式中、
Zは、直鎖または分枝状C2〜C12アルキレンであり、
5は、炭素原子を2〜24個有し、更に置換されていてもよいオレフィン性不飽和共重合性基であり、
Wは、C2〜C12アルキレン基、フェニレン基またはC7〜C12アラルキレン基であり、
6およびR6'のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
7は、二価の脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式、芳香族または芳香脂肪族の炭化水素基であり、
8は、水素またはC1〜C4アルキルであり、
alkおよびalk'のそれぞれは、互いに独立して、直鎖または分枝状C1〜C12アルキレン基であり、
rおよびsのそれぞれは、互いに独立して、0または1の数であり、
Z''は、C1〜C6アルキレンであり、
1およびP1'は、互いに独立して、式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基である)の基である。
【0059】
Zは、好ましくは直鎖または分枝状C2〜C8アルキレンであり、より好ましくは直鎖C2〜C6アルキレンであり、最も好ましくは直鎖C2〜C4アルキレンである。本発明の好ましい実施形態において、Zは、1,3−プロピレン、または特に1,2−エチレンである。
【0060】
オレフィン性C2〜C24基R5の適切な置換基は、例えばC1〜C4アルコキシ、ハロゲン、フェニルまたはカルボキシである。
【0061】
5は、例えば式(7):
【0062】
【化36】

【0063】
(式中、tは、0または1の数であり、
9は、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
10およびR11のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、フェニル、カルボキシまたはハロゲンであり、
Z'は、直鎖もしくは分枝状C1〜C12アルキレン、非置換もしくはC1〜C4アルキル−もしくはC1〜C4アルコキシ−置換のフェニレン、またはC7〜C12アラルキレンである)の基である。
【0064】
Z'がフェニレン基であるとき、それは、例えば非置換またはメチル−もしくはメトキシ−置換の1,2−、1,3−または1,4−フェニレンである。好ましくはフェニレン基としてのZ'は、1,3−または1,4−フェニレンである。
【0065】
Z'がアラルキレン基であるとき、それは、例えば、非置換またはメチル−もしくはメトキシ−置換のベンジレンであり、ここでメチレン基は、それぞれの場合のアミン窒素に結合している。好ましくはアラルキレン基としてのZ'は、1,3−または1,4−フェニレンメチレン基であり、ここでメチレン基は、それぞれの場合のアミン窒素−NH−に結合している。
【0066】
Z'は、好ましくは非置換またはメチル−もしくはメトキシ−置換のフェニレン、フェニレンメチレン、またはC1〜C12アルキレンであり、より好ましくは1,3−もしくは1,4−フェニレン、またはC1〜C6アルキレンであり、特にC1〜C2アルキレンであり、最も好ましくはメチレンである。
【0067】
tは、1の数であるか、または好ましくは0の数である。
【0068】
9は、好ましくは、水素、メチルまたは塩素であり、最も好ましくは水素またはメチルである。
【0069】
10およびR11のそれぞれは、互いに独立して、好ましくは、水素、カルボキシ、塩素、メチルまたはフェニルである。本発明の好ましい実施形態において、R10は水素、塩素、メチルまたはフェニルであり、R11は水素またはカルボキシである。最も好ましくは、R10およびR11は、それぞれ水素である。
【0070】
適切な基R5の例は、ビニル、2−プロペニル、アリル、2−ブテニル、o−、m−もしくはp−ビニルフェニル、スチリル、2−カルボキシビニル、2−クロロ−2−カルボキシビニル、1,2−ジクロロ−2−カルボキシビニル、1,2−ジメチル−2−カルボキシビニルおよび2−メチル−2−カルボキシビニルである。
【0071】
特に好ましい基R5は、tが0であり、R9が水素またはメチルであり、R10が水素、メチル、塩素またはフェニルであり、R11が水素またはカルボキシである、式(7)に相当する。
【0072】
他の特に好ましい基R5は、tが1であり、Z'が1,3−もしくは1,4−フェニレン、またはC1〜C6アルキレンであり、特にC1〜C2アルキレンであり、R9が水素またはメチルであり、R10およびR11がそれぞれ水素である、上の式(7)に相当する。
【0073】
Z''は、好ましくはC1〜C4アルキレンであり、特にメチレンまたは1,1−ジメチルメチレンである。
【0074】
適切な基Qの1つの群は、rが0であり、Q1が上の式(6a)(式中、sは0であり、R5に関しては、上で示した意味および好ましさが適用される)の基である、上の式−(NH)r−Q1に対応する。
【0075】
適切な基Qの第二の群は、rが1であり、Q1が上の式(6a)(式中、sは0であり、R5およびZに関しては、先に示した意義および好ましさが適用される)の基である、上の式−(NH)r−Q1に対応する。
【0076】
適切な基Qの更なる群は、rが1であり、Q1が上の式(6a)(式中、sは1であり、R5およびZに関しては、先に示した意義および好ましさが適用される)の基である、上の式−(NH)r−Q1に対応する。
【0077】
適切な基:Qの更なる群は、rが0であり、Q1が先の式(6e)(式中、R5およびZ''に関しては、先に示した意義および好ましさが適用される)の基である、先の式:−(NH)r−Q1に対応する。
【0078】
式(6b)および(6c)において、Wは、好ましくはC2〜C6アルキレン基、または1,3−もしくは1,4−フェニレン基であり、最も好ましくはC2〜C3アルキレン基である。R6およびR6'のそれぞれは、互いに独立して好ましくは、水素、メチルまたは塩素である。最も好ましくは、R6およびR6'のそれぞれは、互いに独立して、水素またはメチルである。
【0079】
式(6d)において、R7は、例えば、直鎖または分枝状C3〜C18アルキレン、非置換またはC1〜C4アルキル−もしくはC1〜C4アルコキシ−置換のC6〜C10アリーレン、C7〜C18アラルキレン、C6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレン、C3〜C8シクロアルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン、C1〜C6アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、あるいはヒダントイン基を少なくとも1個含む脂肪族複素環基である。
【0080】
アルキレンとしてのR7は、好ましくは、直鎖または分枝状C3〜C14アルキレン基であり、より好ましくは直鎖または分枝状C4〜C12アルキレン基であり、最も好ましくは直鎖状または分枝状C6〜C10アルキレン基である。幾つかの好ましいアルキレン基は、1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2,2−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、2,2,3−または2,2,4−トリメチル−1,5−ペンチレン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキシレン、2,2,3−、2,2,4−または2,2,5−トリメチル−1,6−ヘキシレン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプチレン、2,2,3−、2,2,4−、2,2,5−または2,2,6−トリメチル−1,7−ヘプチレン、1,8−オクチレン、2,2−ジメチル−1,8−オクチレン、および2,2,3−、2,2,4−、2,2,5−、2,2,6−、または2,2,7−トリメチル−1,8−オクチレンである。
【0081】
7がアリーレンであるとき、それは例えば、ナフチレンであるか、または特にフェニレンであり、それぞれは、例えばC1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで置換されていてもよい。好ましくはアリーレンとしてのR7は、少なくとも1箇所の結合部位に対してオルト位でC1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルコキシで置換されている1,3−または1,4−フェニレンである。置換されたアリーレンの例は、1−メチル−2,4−フェニレン、1,5−ジメチル−2,4−フェニレン、1−メトキシ−2,4−フェニレンおよび1−メチル−2,7−ナフチレンである。
【0082】
アラルキレンとしてのR7は、好ましくはナフチルアルキレンであり、最も好ましくはフェニルアルキレンである。アラルキレン中のアルキレン基は、炭素原子を、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜6個、最も好ましくは1〜4個含む。最も好ましくは、アラルキレン中のアルキレン基は、メチレンまたはエチレンである。幾つかの例は、1,3−または1,4−ベンジレン、ナフタ−2−イル−7−メチレン、6−メチル−1,3−または−1,4−ベンジレン、および6−メトキシ−1,3−または−1,4−ベンジレンである。
【0083】
7がシクロアルキレンであるとき、それは好ましくは、C5〜C6シクロアルキレンであり、最も好ましくは、非置換またはメチルで置換されたシクロへキシレンである。いくつかの例は、1,3−シクロブチレン、1,3−シクロペンチレン、1,3−または1,4−シクロヘキシレン、1,3−または1,4−シクロヘプチレン、1,3−、1,4−または1,5−シクロオクチレン、4−メチル−1,3−シクロペンチレン、4−メチル−1,3−シクロヘキシレン、4,4−ジメチル−1,3−シクロヘキシレン、3−メチル−または3,3−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、3,5−ジメチル−1,3−シクロヘキシレン、および2,4−ジメチル−1,4−シクロヘキシレンである。
【0084】
7がシクロアルキレンアルキレンであるとき、それは好ましくは、シクロペンチレン−C1〜C4アルキレンであり、特にシクロへキシレン−C1〜C4アルキレンであり、それぞれは非置換であるか、またはC1〜C4アルキル、特にメチルで一置換もしくは多置換されている。より好ましくは、基シクロアルキレンアルキレンは、シクロへキシレンエチレンであり、最も好ましくはシクロヘキシレンメチレンであり、それぞれは非置換であるか、またはシクロへキシレン基内がメチル基1〜3個で置換されている。いくつかの例は、シクロペンタ−1−イル−3−メチレン、3−メチルシクロペンタ−1−イル−3−メチレン、3,4−ジメチルシクロペンタ−1−イル−3−メチレン、3,4,4−トリメチルシクロペンタ−1−イル−3−メチレン、シクロヘキサ−1−イル−3−または−4−メチレン、3−、4−または5−メチル−シクロヘキサ−1−イル−3−または−4−メチレン、3,4−または3,5−ジメチル−シクロヘキサ−1−イル−3−または−4−メチレン、および3,4,5−、3,4,4−または3,5,5−トリメチル−シクロヘキサ−1−イル−3−または−4−メチレンである。
【0085】
7がアルキレンシクロアルキレンアルキレンであるとき、それは好ましくは、C1〜C4アルキレンシクロペンチレン−C1〜C4アルキレンであり、特にC1〜C4アルキレンシクロへキシレン−C1〜C4アルキレンであり、それぞれは非置換であるか、またはC1〜C4アルキル、特にメチルで一置換もしくは多置換されている。より好ましくは、基:アルキレンシクロアルキレンアルキレンは、エチレンシクロへキシレンエチレンであり、最も好ましくはメチレンシクロヘキシレンメチレンであり、それぞれは非置換であるか、またはシクロへキシレン基内がメチル基1〜3個で置換されている。いくつかの例は、シクロペンタン−1,3−ジメチレン、3−メチルシクロペンタン−1,3−ジメチレン、3,4−ジメチルシクロペンタン−1,3−ジメチレン、3,4,4−トリメチルシクロペンタン−1,3−ジメチレン、シクロヘキサン−1,3−または−1,4−ジメチレン、3−、4−または5−メチルシクロヘキサン−1,3−または−1,4−ジメチレン、3,4−または3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−または−1,4−ジメチレン、3,4,5−、3,4,4−または3,5,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3−または1,4−ジメチレンである。
【0086】
3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレンまたはC6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレンとしてのR7は、好ましくはC5〜C6シクロアルキレンメチレン−C5〜C6シクロアルキレンまたはフェニレンメチレンフェニレンであり、それぞれは非置換であってもよいか、またはシクロアルキルもしくはフェニル環内がメチル基1個以上で置換されていてもよい。
【0087】
7がヒダントイン基を含む脂肪族複素環基であるとき、それは、例えば式:
【0088】
【化37】

【0089】
(式中、R12およびR12'は、それぞれC1〜C6アルキレン、好ましくはC2〜C4アルキレンであり、特にC2〜C3アルキレンであり、R13、R13'、R14およびR14'は、それぞれ互いに独立して、水素、C1〜C6アルキルまたはC5〜C7シクロアルキルであり、好ましくはそれぞれ互いに独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、特にそれぞれメチルであり、R15はC1〜C12アルキレンであり、好ましくはC1〜C6アルキレンであり、R16およびR16'は、それぞれ互いに独立して、水素またはC1〜C4アルキルであり、好ましくは水素またはメチルである)に対応してもよい。
【0090】
式(6d)内の基R7は、対称構造を有するか、または好ましくは非対称構造を有する。
【0091】
式(6d)の基Q1の好ましい群は、R7が直鎖状または分枝状のC6〜C10アルキレン;それぞれが非置換であるか、もしくはシクロヘキシル部分がメチル基1〜3個で置換されているシクロヘキシレンメチレンもしくはシクロヘキシレンメチレンシクロヘキシレン;またはそれぞれが非置換であるか、もしくはメチルでフェニル部分が置換されているフェニレンもしくはフェニレンメチレンフェニレンであるものを含む。
【0092】
二価基:R7は、好ましくはジイソシアナートから誘導され、最も好ましくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)、トルイレン−2,4−ジイソシアナート(TDI)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチル−n−ヘキサン(TMHDI)、メチレンビス(フェニルイソシアナート)、メチレンビス(シクロヘキシル−4−イソシアナート)、およびヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)の群から選択されるジイソシアナートから誘導される。
【0093】
基alkおよびalk'のそれぞれは、互いに独立して、好ましくはC2〜C8アルキレン基であり、より好ましくはC2〜C4アルキレン基であり、最も好ましくは1,2−エチレン基である。
【0094】
8は、好ましくはメチルであるか、または特に水素である。
【0095】
1は、Q1を先の式(6a)、(6b)または(6c)の基であり、そこに含まれる変数に関しては、先に示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される、式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基である。
【0096】
1は、Q1が好ましくは先の式(6a)の基であり、最も好ましくは式(6')または(6'')の基である、式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基である。
【0097】
Qが基R5である場合、R5に関しては、先に示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される。
【0098】
特に好ましい基:Qは、式(6')〜(6b''):
【0099】
【化38】

【0100】
(式中、R7に関しては、上で示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される)に対応する。
【0101】
基Qとして特に好ましいのは、式(6')〜(6''')の基である。
【0102】
−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p−の二価基において、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4アルキレン、またはヒドロキシ−置換のC2〜C8アルキレン基であり、n、mおよびpは、互いに独立して、それぞれ0〜500の数で、(n+m+p)の合計は、5〜1000である。(n+m+p)の合計は、好ましくは8〜200であり、より好ましくは8〜100である。Aは、好ましくは様々な平均分子量のビス−アミノアルキレンポリアルキレングリコールから誘導される。
【0103】
本発明のプレポリマーは、均質なセグメントA、または2個以上の構造的に異なるセグメントA、例えば2または3個の、好ましくは2個の異なるセグメントAを有していてもよい。
【0104】
1は、好ましくは脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式、芳香族、または芳香脂肪族ジアミンまたはジカルボキシル誘導体、特にC5〜C24脂環式または脂肪族脂環式ジアミンまたはジカルボキシル誘導体から誘導される。本発明のプレポリマーは、均質なセグメントA1、または2個以上の構造的に異なるセグメントA1を有していてもよい。
【0105】
本発明のプレポリマーは、均質なセグメントTまたは2個以上の構造的に異なるセグメントTを有していてもよい。
【0106】
好ましくは少なくとも1個のセグメントA1は、−NRm−の二価アミン基1〜3個で、好ましくは1または2個で、より好ましくは1個で中断されている、直鎖状または分枝状C4〜C24アルキレン基である。より好ましくは少なくとも1個のセグメントA1は、炭素原子を3〜14個有し、式:−NRm−の二価アミン基1個で中断されている、直鎖または分枝状アルキレンである。
【0107】
mが基Qまたは式(4')の基であるとき、次いで、それらに含まれるセグメントA、A1、TおよびG、ならびに基Qについては、先に示した意義、好ましさおよび条件が、それぞれの場合に適用される。
【0108】
好ましい基A1の1つの群は、式(8):
【0109】
【化39】

【0110】
(式中、alk*、alk**、およびalk***のそれぞれは、互いに独立して、C2〜C12アルキレン基であり、好ましくはC2〜C6アルキレン基であり、最も好ましくはC2〜C4アルキレン基であり;Iは、0または1の数であり、特に0の数であり、RmおよびRm'については、独立して、Rmについて上で示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される)に対応する。
【0111】
三価基Gは、直鎖状または分枝状のC3〜C24脂肪族三価基、C5〜C45脂環式もしくは脂肪族・脂環式三価基、またはC6〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族三価基であってもよい。好ましくは三価基Gは、酸素および窒素からなる群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含むC6〜C45脂環式または脂肪族脂環式三価基である。
【0112】
ポリマーフラグメントCPの平均分子量は、例えば約350〜25000、好ましくは500〜15000、最も好ましくは1000〜10000の範囲内である。
【0113】
本発明の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーは、当業者に公知の手法で、例えば2ステップ工程で、製造することができる。第1のステップにおいて、本発明のアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、(a)少なくとも1種のアミンでキャプしたポリアルキレングリコール(またはポリ(オキシアルキレン))、(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミンと、(c)少なくとも1種のジカルボキシル誘導体、(d)場合により、少なくとも1種のポリカルボキシル誘導体、および(e)場合によりカルボジイミド、を含む混合物を一緒に反応させることで製造される。第2のステップにおいて、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、第一のステップで得られたアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップのアミン基と共反応する官能基と、を有する多官能価化合物と、カルボジイミドの存在下または非存在下で、反応させる。
【0114】
スキーム1〜6は、エチレン性不飽和基でキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを合成するための様々な可能なスキームを例示する。
【0115】
【化40】

【0116】
【化41】

【0117】
【化42】

【0118】
【化43】

【0119】
【化44】

【0120】
【化45】

【0121】
第1のステップの反応は、例えば、水性媒体、水性有機媒体、または有機溶媒(例えば、酢酸エチル、THF、イソプロパノールなど)中で実施してもよい。適切な媒体は、特に、水と、水に易溶解性の有機溶媒(アルカノール、例えばメタノール、エタノールもしくはイソプロパノール、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、またはケトン、例えばアセトン)との混合物であることが見出された。特に適した反応媒体は、水と、水に易溶解性の溶媒と、の混合物であり、50〜85℃の沸点、好ましくは50〜70℃の沸点を有し、特に水/テトラヒドロフランまたは水/アセトン混合物である。
【0122】
方法の第1の反応ステップにおける反応温度は、例えば−20〜85℃、好ましくは−10〜50℃、最も好ましくは−5〜30℃である。
【0123】
方法の第1の反応ステップにおける反応時間は、広い制限内で変動してもよいが、約1〜10時間、好ましくは2〜8時間、最も好ましくは2〜3時間の時間が、実行可能であることが立証されている。
【0124】
本発明の好ましい実施形態によれば、成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の反応における化学量論は、有利には、成分(a)および(b)に含まれるアミノ基の当量数が、成分(c)および(d)に含まれるカルボキシル誘導体基の当量数よりも大きくなるように選択する。例えば成分(a)および(b)中のアミノ基の当量数は、成分(c)および(d)中のカルボキシル誘導体基の当量数の1〜50倍、好ましくは1.1〜20倍、より好ましくは1.1〜5倍、最も好ましくは1.1〜3倍である。
【0125】
更に、成分(b)が好ましくは存在する場合には、成分(a)が成分(b)に対して過剰に使用されることが好ましい。
【0126】
成分(a)および(b)の、成分(c)および(d)との反応が完了したら、得られたアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップするアミン基と共反応する官能基と、を有する多官能価化合物と直接反応させて、本発明の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを製造することができる。場合により、得られたアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドを、多官能価化合物と反応させる前に精製することができる。
【0127】
第1の反応ステップにおいて得られたアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミド、および/または第2の反応ステップにおいて得られた架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーの単離および精製は、公知の方法、例えば抽出、析出、結晶化、限外ろ過、またはクロマトグラフィー精製法で実施してもよい。
【0128】
本発明によるプレポリマーは、放射線硬化性であるが、非架橋であるか、または少なくとも実質的に非架橋であり;それにもかかわらずそれらは安定している、即ち単独重合による自発的な架橋が実質的に起こらない。プレポリマーに関する用語「放射線硬化性」は、プレポリマーが化学線、例えばUV線、γ線またはX線などの電離放射線、マイクロ波などにより架橋または重合できることを意味する。
【0129】
放射線硬化性プレポリマーは、有利には、液体であるか、または易溶融性もしく水溶性であり;放射線硬化性プレポリマーは、最も好ましくは水溶性である。本発明の放射線硬化性プレポリマーの平均分子量は、広範囲で変動してもよい。例えば平均分子量1000〜50,000が、本発明の放射線硬化性プレポリマーにとって有利であることが立証された。
【0130】
更に、本発明の放射線硬化性プレポリマーは、それ自体が公知の方法、例えば有機溶媒による沈殿、透析、または好ましくは限外ろ過で精製してもよい。この精製工程の結果として、本発明の放射線硬化性プレポリマーは、極めて純粋な形態で、例えば無溶媒の液体もしくは溶融体として、または濃縮された水溶液として、塩などの反応生成物および出発原料または他の非ポリマー成分を含まずに、または実質的に含まずに得てもよい。
【0131】
本発明のプレポリマーの好ましい精製方法である限外ろ過は、それ自体が公知の手法で実施してもよい。こうして限外ろ過を、繰り返して、例えば2〜10回実施することができる。あるいは限外ろ過を、所望の純度に達するまで連続して実施してもよい。所望の純度は、基本的に所望のレベルに選択してもよい。
【0132】
別の態様において、本発明は、1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、本発明の(上記の)放射線硬化性プレポリマーを架橋させた生成物であるポリマーに関する。既に上述したとおり、本発明の放射線硬化性プレポリマーは、化学線照射により、特にUV線照射で極めて効果的に、且つ正しく方向付けされた手法で架橋させてもよい。架橋は、更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で起こしてもよい。得られた架橋ポリマーは、水に不溶性である。
【0133】
本発明のポリマーはヒドロゲルであり、完全に水和される(即ち、水分量が生理食塩溶液と平衡状態になり、典型的にはポリマーのコンタクトレンズ成形片では45分以内に達する)と、水分量30〜90重量%、好ましくは45〜80重量%を有する。好ましくは、ポリマーは、完全に水和されると、平均接触角75°以下、より好ましくは65°以下を有する。
【0134】
「平均接触角」は、材料表面の水の接触角を指し(Sessile Drop法で測定)、少なくとも3個の別々の試料(例えばコンタクトレンズ)の測定値を平均することで得られる。コンタクトレンズの平均接触角(Sessile Drop)は、マサチューセッツ州ボストンのAST, IncのVCA 2500 XE接触角測定装置を使用して測定することができる。この装置は、前進もしくは後退接触角、または固着(sessile)(静的)接触角を測定することができる。測定は、好ましくは完全に水和した材料で実施する。
【0135】
接触角は、コンタクトレンズまたは物品(例えば容器の空洞表面)の表面親水性の一般的尺度である。特に、低い接触角は、より親水性の高い表面に対応する。
【0136】
本明細書において用いられる「ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基を有し、化学線により、または熱的に重合することができる低分子量化合物を指す。低分子量は、典型的には700ダルトン未満の平均分子量を意味する。
【0137】
例示的なエチレン性不飽和基としては、非限定的に、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基が挙げられる。
【0138】
更なる態様において、本発明は、1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、上記の本発明の放射性硬化性プレポリマーを架橋させることで得られる医療装置、好ましくは眼科用装置、より好ましくはコンタクトレンズを提供する。
【0139】
本明細書において使用される「医療装置」は、それらの操作または実用の際に、患者の組織、血液または他の体液に接触する表面を1箇所以上有する装置またはその一部を指す。例示的な医療装置としては、(1)手術に使用される体外装置、例えば、血液酸素付加装置(blood oxygenators)、血液ポンプ、血液センサー、血液運搬用チューブ、および血液に接触し、その後、血液を患者に戻すその他のもの;(2)ヒトまたは動物に移植される補てつ、例えば、血管移植片、ステント、ペースメーカー、心臓弁、および血管または心臓に移植されるその他のもの;(3)一時的に血管内で使用される装置、例えば、カテーテル、ガイドワイヤ、およびモニタリングまたは修復の目的で血管または心臓に留置されるその他のもの;(4)人工組織、例えば熱傷患者の人工皮膚;(5)歯磨き粉、歯科用型;(6)眼科用装置、が挙げられる。好ましい実施形態において、医療装置は、眼科用装置;および(7)眼科用装置または眼科用溶液を貯蔵するための箱または容器である。
【0140】
本明細書において用いられる「眼科用装置」は、目に接触して、または目の周辺で使用される、コンタクトレンズ(ハードまたはソフト)、眼内レンズ、角膜アンレー、他の眼科用装置(例えばステントなど)を指す。
【0141】
眼科用装置は、好ましくはコンタクトレンズであり、好ましくは、水分量約30〜約90重量%、好ましくは約45〜約75重量%;破断伸び、少なくとも25%、好ましくは少なくとも100%、より好ましくは少なくとも150%、およびモジュラス約0.05〜約2.0Mpa、好ましくは約0.2〜約1.5MPa、より好ましくは約0.3〜約1.0MPaを有することを特徴とする。好ましくはコンタクトレンズは、完全に水和すると、平均接触角75°以下、より好ましくは65°以下を有する。
【0142】
光架橋の場合、適切には、ラジカル架橋を開始することができる光開始剤を添加する。これらの例は、当業者によく知られており、列挙できる適切な光開始剤、詳細にはベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Darocure(登録商標)1173またはIrgacure(登録商標)類である。架橋は、化学線(例えばUV光)で、または電離放射線(例えばγ線またはX線)で開始してもよい。
【0143】
光架橋は、例えば、放射線硬化性プレポリマーが液体もしくは易溶融性のプレポリマーである場合、または光架橋が適切な溶媒中で起こる場合、溶媒を添加せずに実施してもよい。適切な溶媒は、本発明の放射線硬化性プレポリマー、および場合により更なるビニルモノマーを溶解する、基本的には全種の溶媒であり、例えば水、低級アルカノールなどのアルコール、例えばエタノールもしくはメタノール、更にカルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、またはジメチルスルホキシド、および同じく適切な溶媒の混合物、例えば水/エタノールまたは水/メタノール混合物などの水とアルコールとの混合物である。
【0144】
光架橋は、好ましくは無溶媒もしくは本質的に無溶媒で実行するか、または直接、本発明のプレポリマーの水溶液から実行し、本発明のプレポリマーを、場合により更なるビニルモノマーを添加した後に、好ましい精製ステップである限外ろ過の結果として得てもよい。例えば光架橋は、15〜90%水溶液から行ってもよい。
【0145】
本発明の架橋ポリマーの製造方法は、本発明の放射線硬化性プレポリマー、および場合により更なる共重合性ビニルモノマーを、特に実質的に純粋な形態で、即ち、例えば、更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、好ましくは光開始剤を用いて、1回以上の限外ろ過の後に無溶媒または実質的に無溶媒で、または溶液中、特に水溶液中で、放射線架橋させることを含む。
【0146】
プレポリマーの製造に使用される、成分の相対比を調整することで、放射線硬化性プレポリマーの水分量および機械的性質を調整することができる。例えば、高割合の架橋性基を含有するプレポリマーは、高モジュラスのレンズを生成すると予測される。疎水性成分(例えば、短鎖二酸塩化物に対する長鎖二酸塩化物)を多く含む配合物は、機械的強度が高く水分量が低いヒドロゲルを生成すると予測される。機械的強度は、多くの場合、分子量に応じて高まる。それゆえ、高分子量のJeffamineを含有する配合物は、弾性の改善されたヒドロゲルを生じると思われる。
【0147】
本発明により光架橋させるために更に使用されてもよいビニルモノマーは、親水性もしくは疎水性であってもよく、または疎水性ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーとの混合物であってもよい。適切なビニルモノマーとしては、特に、コンタクトレンズの製造に通常使用されるものが挙げられる。
【0148】
本明細書において使用される「ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基を有し、化学線により、または熱的に重合することができる低分子量化合物を指す。低分子量は、典型的には700ダルトン未満の平均分子量を意味する。例示的なエチレン性不飽和基としては、非限定的に、アクリロイル、メタクリロイル、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基が挙げられる。
【0149】
「親水性ビニルモノマー」は、典型的には水溶性または水を少なくとも10重量%吸収することができるポリマーを単独重合体として生成するモノマーを指す。「疎水性ビニルモノマー」は、典型的には水に不溶性であるか、または水を10重量%未満吸収することができるポリマーを単独重合体として生成するモノマーを指す。
【0150】
疎水性ビニルモノマー、または疎水性ビニルモノマーを少なくとも50重量%含有する、疎水性ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーとの混合物を使用することが好ましい。これにより、ポリマーの機械的性質が、水分量を実質的に低下させなくとも改善されてもよい。従来の疎水性ビニルモノマーおよび従来の親水性ビニルモノマーの両方が、本発明の放射線硬化性プレポリマーとの共重合に適している。
【0151】
適切な疎水性ビニルモノマーとしては、非限定的に、C1〜C18−アルキルアクリラートおよび−メタクリラート、C3〜C18−アルキルアクルアミドおよび−メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニル−C1〜C18−アルアルカノアート、C2〜C18−アルケン、C2〜C18−ハロアルケン、スチレン、C1〜C6−アルキルスチレン、アルキル部分が炭素原子を1〜6個有するビニルアルキルエーテル、C2〜C10−ペルフルオロアルキル−アクリラートおよび−メタクリラート、または対応する部分フッ素化アクリラートおよびメタクリラート、C3〜C12−ペルフルオロアルキルエチルチオカルボニルアミノエチルアクリラートおよび−メタクリラート、アクリルオキシ−およびメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1〜C12−アルキルエステルが挙げられる。好ましいのは、例えば、炭素原子を3〜5個含むビニル性不飽和カルボン酸のC1〜C4−アルキルエステル、または炭素原子を5個まで含むカルボン酸のビニルエステルである。
【0152】
適切な疎水性ビニルモノマーの例としては、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルアクリラート、シクロヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、プロピルメタクリラート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリラート、イソボルニルメタクリラート、トリフルオロエチルメタクリラート、ヘキサフルオロイロプロピルメタクリラート、ヘキサフルオロブチルメタクリラート、トリス−トリメチルシリルオキシシリルプロピルメタクリラート、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンおよびビス(メタクリルオキシプロピル)−テトラメチルジシロキサンが挙げられる。
【0153】
適切な親水性ビニルモノマーとしては、非限定的に、ヒドロキシ置換の低級アルキル−アクリラートおよび−メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキル−アクリルアミドおよび−メタクリルアミド、エトキシル化アクリラートおよびメタクリラート、ヒドロキシ置換の低級アルキル−アクリルアミドおよび−メタクリルアミド、ヒドロキシ置換の低級アルキルビニル−エーテル、エチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリドン、2−または4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アミノ−(ここで用語「アミノ」は、第四級アンモニウムも包含する)、モノ低級アルキルアミノ−またはジ低級アルキルアミノ−低級アルキルアクリラートおよび−メタクリラート、アリルアルコールなどが挙げられる。好ましいのは、例えば、ヒドロキシ置換のC2〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、5〜7員環N−ビニルラクタム、N,N−ジ−C1〜C4−アルキル−メタクリルアミド、および炭素原子を合計で3〜5個含むビニル性不飽和カルボン酸である。
【0154】
適切な親水性ビニルモノマーの例としては、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、グリセロールメタクリラート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0155】
好ましい疎水性ビニルモノマーは、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルである。アセタート基がオートクレーブの間に加水分解されてもよく、そしてそのような加水分解工程によりPVA単位に変換されると親水性が付与されてもよいことが理解される。好ましい親水性ビニルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリルアミドである。
【0156】
放射線硬化性プレポリマーを眼科用品、特にコンタクトレンズに成形するための本発明の方法は、それ自体が公知の手法で、例えば適切なコンタクトレンズ型内で本発明の放射線硬化性プレポリマーを光架橋させることにより行ってもよい。コンタクトレンズ以外の本発明の成形品の更なる例は、例えば眼内レンズまたは眼帯、更に、手術に使用されてもよい生体医療品、例えば心臓弁、人工動脈など、薄膜もしくは膜、例えば拡散制御用の膜、データ保存用光構築性(photo-structurable)薄膜、またはフォトレジスト材料、例えばエッチレジストプリントまたはスクリーンレジストプリント用の膜または成形品である。
【0157】
別の更なる態様において、本発明は、a)1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、そして場合により光開始剤の存在下で、室温で液体または易溶融性であり基本的に溶媒を含まない上記の本発明の放射線硬化性プレポリマーを型に導入するステップ、b)放射線硬化性プレポリマーを化学線により架橋させるステップ、および(c)型を開いて装置を型から取り出すことができるステップ、を含む眼科用装置を製造する方法を提供する。
【0158】
更なる態様において、本発明は、a)1種以上の更なるビニルモノマーの存在下または好ましくは非存在下で、そして場合により光開始剤の存在下で、上記の本発明の放射線硬化性プレポリマーの水溶液を型に導入するステップ、b)放射線硬化性プレポリマーを化学線により架橋させるステップ、およびc)型を開いて装置を型から取り出すことができるステップ、を含む眼科用装置を製造する方法を提供する。
【0159】
好ましくは水性配合物の粘度は、室温で、15〜100000cpsであり、より好ましくは50〜2000cpsである。
【0160】
本発明の放射線硬化性プレポリマーは、それ自体が公知の方法で、特に従来の分配、例えば滴下により、型に導入してもよい。ビニルモノマーが存在する場合、用いられるモノマーは、所望の量の上述のものである。場合により存在するいずれのビニルモノマーも、有利には、最初に本発明のプレポリマーと混合し、その後、型に導入する。
【0161】
適切な型は、例えばポリプロピレンから製造される。再使用可能な型のための適切な材料は、例えば、水晶、サファイヤガラス、金属またはそれらの組み合わせである。
【0162】
製造される成形品がコンタクトレンズである場合、これらはそれ自体が周知の手法で、例えば米国特許第3,408,429号に記載された従来の「スピンキャスティング成形」において、または例えば米国特許第4,347,198号、同第5,508,317号、同第5,583,463号、同第5,789,464号、および同第5,849,810号において記載された静的型(static form)のいわゆるフルモールド法により製造してもよい。
【0163】
架橋は、化学線照射、例えばUV線照射、電離放射線照射(例えば、γ線またはX線照射)により型内で開始してもよい。
【0164】
既に述べた通り、光架橋は、有利にはラジカル架橋を開始することができる光開始剤の存在下で実施する。有利には、好ましくはポリマーと光開始剤とを一緒に混合することで、光開始剤を本発明のプレポリマーに添加した後、型にそれらを導入する。光開始剤の量は、広い範囲から選択してもよく、0.05g/gまでのポリマー、特に0.003g/gまでのポリマーの量が好ましいことが立証されている。
【0165】
注目に値することは、本発明による架橋が非常に短時間で、例えば60分以内で、有利には20分以内で、好ましくは10分以内で、最も好ましくは5分以内で、特に好ましくは1〜60秒で、最も特には1〜30秒以内で実施してもよいことである。
【0166】
同じく注目に値することは、本発明のコンタクトレンズが、先行技術に比較して、非常に簡便且つ効率的な方法で、放射線硬化性プレポリマーから製造できることである。これは多くの要因に基づいている。一方で出発原料は、取得しても、または安価に製造してもよい。第二に、プレポリマーは、意外にも安定しているため、高度の精製を受けてもよいという利点がある。それゆえ架橋では、その後の精製、特に未重合成分の複雑な抽出が事実上必要とされないポリマーが用いられる。更に、架橋が無溶媒または水性溶媒中で起こってもよく、その後の溶媒交換または水和ステップが必要でなくなる。最後に、光重合を短時間内で実行するため、この観点から、本発明のコンタクトレンズの製造方法を極めて経済的な方法で設定してもよい。
【0167】
型を開いて成形品を型から取り出すことができることは、それ自体が公知の手法で実行してもよい。
【0168】
本発明により製造した成形品が、既に精製した本発明のプレポリマーから無溶媒で製造したコンタクトレンズである場合、成形品を取り出した後、通常は続いて抽出などの精製ステップを行う必要はない。これは、用いられたプレポリマーが低分子量の望ましくない成分を含まず、その結果、架橋生成物が、そのような成分を含まず、または実質的に含まず、その後の抽出を免除できるためである。したがってコンタクトレンズは、水和で、通常の方法ですぐに使用できるコンタクトレンズに直接変換することができる。水和の適切な実施形態は、当業者に知られており、それにより非常に様々な水分量の、すぐに使用できるコンタクトレンズを得てもよい。コンタクトレンズは、例えば水中、水性塩溶液中、特に、1000ml中にオスモル濃度約200〜450ミリオスモル(単位:mOsm/l)、好ましくは約250〜350mOsm/l、特に約300mOsm/lを有する水性塩溶液中、または水もしくは水性塩溶液と生理学的に適合性のある極性有機溶媒、例えばグリセリンとの混合物中で膨潤させる。好ましいのは、水中または水性塩溶液中での物品の膨潤である。
【0169】
水和に使用される水性塩溶液は、有利には、生理学的に適合性のある塩、例えばコンタクトレンズケアの分野で従来から使用される緩衝塩、例えばリン酸塩の溶液、またはコンタクトレンズケアの分野で従来から使用される等張剤、特にハロゲン化アルカリ、例えば塩化ナトリウムの溶液、またはその混合物の溶液である。特に適した塩溶液の一例は、pH値およびオスモル濃度に関して天然の涙液に適合させた人工の、好ましくは緩衝された、涙液、例えば未緩衝の、または好ましくは緩衝された、例えばリン酸緩衝液で緩衝された、一般的な塩溶液であり、そのオスモル濃度およびpH値は、ヒト涙液のオスモル濃度およびpH値に対応する。
【0170】
上で定義した水和液は、好ましくは純粋であり、即ち望ましくない成分を含まないか、または実質的に含まない。これは、最も好ましくは純水、または上記の人工涙液である。
【0171】
本発明により製造した成形品が既に精製された本発明のプレポリマーの水溶液から製造されたコンタクトレンズである場合、架橋生成物は、いずれの面倒な不純物も含まない。それゆえ、その後の抽出を実施する必要がない。架橋は本質的に水性溶液中で実施されるため、更に、その後の水和を実施する必要がない。それゆえ、この方法で得られるコンタクトレンズは、有利な実施形態によれば、抽出しなくても目的の使用に適しているという事実が注目に値する。この文脈における目的の使用で、コンタクトレンズがヒトの目において使用できるということが理解される。
【0172】
本発明により得られたコンタクトレンズは、通常にはない広範囲で極めて有利な特性を有している。列挙され得るこれらの特性の一つは、例えば、ヒト角膜への優れた適合性であり、それは、水分量と酸素透過性と良好な機械的性質(例えば弾性および耐久性)とのバランスのとれた関係に基づいている。更に、本発明のコンタクトレンズは、形状の耐性が高い。例えば約120℃でオートクレーブにかけた後でも、形状の変化を検出することができない。本発明により得られたコンタクトレンズは、水分量約30%〜約90%、破断伸び少なくとも150%、モジュラス約0.3〜約1.0Mpaで、高い熱安定性と、オートクレーブによるモジュラス変化への低い感受性も有することができる。
【0173】
本発明の光硬化性プレポリマーは、カラーコンタクトレンズの製造用インク中のバインダーポリマーとして使用を見出すこともできる。本発明は、本発明の光硬化性プレポリマーおよび着色剤を含む水性インクにも関する。
【0174】
「バインダーポリマー」は、当該技術分野で知られるとおり、架橋剤により架橋され、または化学的もしくは物理的手段(例えば、浸潤、加熱、UV照射など)で架橋を開始して、着色剤をコンタクトレンズ上またはコンタクトレンズ内に封入または結合させることができる架橋性ポリマーを指す。
【0175】
「カラーコンタクトレンズ」は、表面に印刷された着色像をを有するコンタクトレンズ(ハードまたはソフト)を指す。着色像は、美容的なパターン、例えば虹彩様のパターン、Wild Eye(商標)パターン、特注(MTO)パターンなど;ユーザーがコンタクトレンズを容易に取り扱い挿入できる反転マーク;円環状マーク,またはコンタクトレンズ最小在庫管理単位(SKUs)、例えば番号もしくはバーコードのいずれかの形態であってもよい。着色像は、単色像または多色像であることができる。着色像は、好ましくはデジタル像であるが、アナログ像であることができる。
【0176】
着色コンタクトレンズは、パッド印刷および/もしくはインクジェット印刷技術により、またはRawlings他への米国特許第5,034,166号に記載されたプリントオンモールド法を使用して、高品質の着色像をコンタクトレンズ上に直接印刷することで製造することができる。コンタクトレンズは、印刷する前は透明であることができる。あるいはコンタクトレンズは、着色される前に淡色を帯びることができる。即ち、当該技術分野で周知の方法を使用して着色剤をレンズに添加した後に、印刷法を使用して印刷してもよい。
【0177】
「カラーコート」は、物体のコーティングおよび、そこに印刷された着色像を有することを指す。
【0178】
「着色剤」は、物品上に着色像を印刷するのに使用される染料、顔料またはその混合物のいずれかを意味する。
【0179】
「顔料」は、液体に懸濁させた不溶性の粉末物質を意味する。顔料は、色を付けるのに使用される。顔料は一般に、染料よりも不透明である。それらは、従来の顔料、または非真珠光沢顔料、または真珠光沢顔料であってもよい。
【0180】
「染料」は、溶媒に可溶性で着色するのに使用される物質を意味する。染料は、典型的には、半透明で光を吸収し散乱させない。染料はコンタクトレンズの光学領域と非光学領域の両方に及ぶことができる。以下に記載する装置で使用できる限り、ほとんどいずれの染料も本発明において使用することができる。これらの染料としては、蛍光染料、リン光染料、および従来の染料が挙げられる。
【0181】
本発明のインクは、熱開始剤または光開始剤も含むことができる。開始剤の識別性は重要でなく、本発明の一部ではない。当業者は、本発明において良好な結果を与えるであろう開始剤(光開始剤または熱開始剤)の種類および量を容易に認識するであろう。適切な光開始剤は、インク配合剤中で使用することができる。本発明者による現在好ましい光開始剤は、Irgacure 2959、Irgacure 907、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Darocure 1173、およびDarocure 4265である。加えて、開始剤の組合せを使用することができる。
【0182】
本発明のインクは、場合により架橋剤を含むことができる(しかし好ましくは含まない)。「架橋剤」は、当該技術分野で公知のとおり官能基を2種以上含む化合物を指す。架橋剤分子を使用して、モノマーまたはポリマー分子を2個以上架橋させることができる。架橋剤は、当該技術分野で公知であり、様々な米国特許に開示されている。硬化インクの物理的性質(例えばモジュラス)を適用する硬化レンズのそれに適合させるために、そのような架橋剤をインクに添加してもよい。
【0183】
本発明のインクは、場合により界面活性剤を含むことができる。本明細書において用いられる用語「界面活性剤」は、当該技術分野で公知の表面活性化合物、例えば、Surfynol 420およびSurfynol 104(Air Products製)、Pluronic F108およびF38(BASF製)を指す。界面活性剤は、以下の機能:インクの表面張力を調整する機能、脱泡する機能、顔料粒子の分離を改善する機能、および顔料粒子の沈降または凝集を防ぐ機能、を1種以上有することができる。
【0184】
本発明のインクは、場合により、抗微生物化合物を含むことができる(しかし好ましくは含まない)。いくつかの適切な抗微生物材料は、ポリ第四級アンモニウム化合物(polyquaternary ammonium compounds)例えば、Green他への米国特許第3,931,319号に記載のもの(例えばPOLYQUAT)が挙げられる。本発明に利用することができる他の抗微生物剤または抗菌剤は、ペプチド、他のPOLYQUAT、ムチン、ムチン類似体(micin mimics)、糖ペプチド、糖蛋白質、シルクプロテイン、セルロース、デキストラン、または他の抗微生物剤もしくは抗菌剤の類である。
【0185】
本発明のインクは、更に、ビニルモノマーまたはマクロマーを1種以上含むことができ、好ましくはヒドロキシル基−OH、アミノ基−NHR(式中、Rは、水素またはC1〜C8アルキルである)、カルボキシル基−COOH、エポキシ基、アミド基−CONHR、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を少なくとも1種含有する官能基化ビニルモノマーを少なくとも1種含むことができる。
【0186】
本発明のインクは、更に、保湿剤、抗酸化剤、抗凝固剤、および当該技術分野で公知の他の添加剤からなる群から選択される成分を1種以上含むことができる。
【0187】
本発明のインクは、溶媒としての水を、バインダーポリマーを可溶化して粘度約50センチポアズを超えるのを実現するのに十分な量含む。
【0188】
インクは、水に加えて溶媒を含んでいてもよい(しかし好ましくは含まない)。溶媒は、いずれの適切な有機または無機溶媒であることができる。バインダーポリマーを沈殿させず着色剤の安定性に悪影響を及ぼさない限り、いずれの公知の適切な溶媒を使用することができる。例示的な溶媒としては、非限定的に、アセトン、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、グリコール、ケトン、エステル、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトフェノン、二塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、二塩化エチレン、イソホロン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、2−ニトロプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、炭酸プロピレン、シクロヘキサノール、クロロホルム、トリクロロエチレン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、クロロベンゼン、ニトロエタン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン、トルエン、エタノール、ジエチレングリコール、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールアミン、四塩化炭素、プロピレングリコール、ヘキサン、エチレングリコールおよびホルムアミドが挙げられる。
【0189】
インク溶液の粘度は、約5,000センチポアズ(cps)ほど高くできるが、好ましくは約1000〜約3500cpsである。粘度は、好ましくは100cpsを超え;より好ましくは200cpsを超える。最も好ましくはインクの粘度は、250〜350cpsである。粘度を自然対数粘度で表すと、最も好ましい範囲は、5.5〜5.9log(cps)である。
【0190】
好ましいインク粘度を実現するためのバインダーポリマーおよび着色剤の水中での適切な濃度は、例えば、実験のデザインを、二次D‐最適混合デザイン(quadratic D-optimal mixture design)としてモデリングするデザインで決定することができる。これは、例えば、米国特許出願公開第2004/0044099A1に記載されたものと類似の手順により、市販のソフトウエアプログラム、例えばDesign Expert(ミネソタ州ミネアポリスのStat-Easeによるv.6.0.0)を用いて実行することができる。
【0191】
本発明のインクは、水を約30〜98重量%、好ましくは約50〜93重量%の量で;水溶性化学線硬化性バインダーポリマーを約2〜40重量%、好ましくは約6〜30重量%の量で;そして着色剤を約0.5〜30重量%、好ましくは約1.5〜20重量%の量で含む。好ましくは、インクは、更に光開始剤を約0.05〜2.0重量%の量で含む。
【0192】
上述の利点は全てコンタクトレンズのみならず、本発明による他の成形品にも適用される。
【0193】
先の開示により、当業者は本発明を実施することができるだろう。特定の実施形態およびその利点を読み手によりよく理解させるために、以下の非限定的実施例の参照を示唆する。しかし以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0194】
実施例1:ポリ(アルキレンオキシド)含有ポリアミドの合成
O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール800(Jeffamine-800)61.87g、O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール1900(Jeffamine-1900)19.39g、ジエチレントリアミン(DETA)3.738g、N,N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(BHEEDA)9.89g、テトラヒドロフラン(THF)410g、水800mL、および水中の20%(w/v)Na2CO3200mLからなる混合物を、約21℃、約600RPMで撹拌した。この混合物の数滴を、FT−IRで分析した。NaClディスク上に反応混合物の数滴を塗布して得られた薄膜を約60℃で約15分間乾燥させることで、IR試料を調製した。THF約35gに溶解した塩化アジポイル約31.34gを、反応混合物に約7分間かけて緩やかに添加した。塩化アジポイル溶液の添加が完了した後、反応容器の温度を約28℃に上昇させた。塩化アジポイル添加の約15分後に、反応混合物を数滴取り出して、FT−IRで分析した。IR試料を上記のとおり調製した。FT−IRスペクトルは、塩化アジポイル添加の後に1645cm-1にアミド結合の吸収特性を示した。
【0195】
ポリ(アルキレンオキシド)含有ポリアミドのエチレン性官能基化
20%Na2CO3溶液100mLを、上で得られた反応混合物に添加し、その後、反応混合物に塩化アクリロイル約3.0gを直ちに添加した。約30分後に、反応混合物に更に20%Na2CO3溶液50mLを添加し、その後、塩化アクリロイル約3.0gを直ちに添加した。約30分後に、3回目の20%Na2CO3溶液50mLを反応混合物に添加し、その後、反応混合物に塩化アクリロイル約3.0gを直ちに添加した。4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ・フリーラジカル(CAS#2226−96−2)(4−ヒドロキシ−TEMPO)約60mgを、次いで混合物に添加し、THFが存在しなくなるまでロータリーエバポレーションで、次いで濃縮した(浴温〜55℃)。試料を段型ガラスろ過器(course fritted glass filter)でろ過し、次いで、限外ろ過で精製した。3キロダルトンのカットオフである十字流限外ろ過膜のカートリッジを用いた。透過液の導電率が約54マイクロシーメンス/cmになるまで、限外ろ過を進めた。次いで、溶液中の水の割合が約44%になるまで、約55℃でロータリーエバポレーションで試料を濃縮した。濃縮したプレポリマー溶液を数滴、NaClディスクに薄く塗って、得られた薄膜を約70℃で約15分間乾燥させた後、FT−IRで分析した。GPC分析により、得られたプレポリマーがMw=3650、Mn=2670、Mw/Mn=1.37であることを示した。
【0196】
実施例2:ポリ(アルキレンオキシド)含有ポリアミドの合成
O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール800(Jeffamine-800)60.29g、O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール1900(Jeffamine-1900)35.79g、ジエチレントリアミン(DETA)0.2075g、2−メチルペンタメチレンジアミン1.1039g、テトラヒドロフラン(THF)500mL、水400mL、および水中の20%(w/v)Na2CO3200mLからなる混合物を、約20℃、約800回転で撹拌した。THF約30mLに溶解した塩化セバシル約18.59gを、反応混合物に約5分間かけて添加した。
【0197】
ポリ(アルキレンオキシド)含有ポリアミドのエチレン性官能基化
塩化アジポイルの添加が完了して約15分後に、20%(w/v)炭酸ナトリウム50mLを反応混合物に添加し、その後、塩化アクリロイル5gを直ちに添加した。20%炭酸ナトリウムの添加と、その後の塩化アクリロイルの添加を、2回以上繰り返した。得られた溶液を4−ヒドロキシ−TEMPO約60mgで安定化させて真空ろ過し、沈殿したNaClを除去し、次いで、THFがもはや存在しなくなるまでロータリーエバポレーションで濃縮した(浴温〜55℃)。次いで、水性ポリマー溶液を、限外ろ過(Millipore Prep Scale 十字流再生セルロース、TTF、2.5ft2膜)で更に精製した。ステンレス鋼限外ろ過装置に電動ポンプを取り付け、5バールに加圧して液流を促進した。透過液の導電率が4.3ミリシーメンス/cmから約28マイクロシーメンス/cmに降下するまで、限外ろ過を続けた。次いで、ポリマー溶液が水を約48%含むまで、試料をロータリーエバポレーションで濃縮した。得られたポリマー溶液を、次いで水50%に調整した。FT−IR分析:この溶液を数滴、NaClディスクに薄く塗って、得られた薄膜を70℃で約15分間乾燥させた。FT−IRピークの選択:3312、2868、1667、1648、1540、1455、1350、1302、1250、1110、950、853cm-1、GPC分析:Mw=9510、Mn=4790、Mw/Mn=1.98
【0198】
実施例3:ポリ(アルキレンオキシド)含有ポリアミドの合成
O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール800(Jeffamine-800)60.29g、O,O'−ビス(2−アミノプロピル)ポリプロピレングリコール・ブロック・ポリエチレングリコール・ブロック・ポリプロピレングリコール1900(Jeffamine-1900)35.79g、ジエチレントリアミン(DETA)1.9475g、2−メチルペンタメチレンジアミン5.4900g、水400mL、20%炭酸ナトリウム200mL、および塩化メチレン400mLからなる混合物を、約6℃、約800回転で撹拌した。塩化メチレン約35mLに溶解した塩化セバシル約15.7gを、反応混合物に約3分間かけて添加した。THF約1500mLを添加し、イソプロパノール1リットルおよび水200mLで、得られた懸濁液を分解した。塩化アクリロイル約5gおよび20%炭酸ナトリウム50mLを、反応混合物に添加した。塩化アクリロイルおよび20%炭酸ナトリウムの添加を2回以上繰り返し、次いで、反応混合物を4−ヒドロキシ−TEMPOで安定化させた。反応混合物を、次いでろ過し、次いで有機溶媒が除去されるまでロータリーエバポレーションで濃縮した(浴温〜55℃)。得られた水性ポリマー溶液を、限外ろ過で更に精製した。電動ポンプおよび3キロダルトン再生セルロース膜(2.5ft2、TTF、十字流カートリッジ)を取り付けたステンレス鋼限外ろ過(UF)装置を、この操作に使用した。UF装置を5バールで加圧して液流を促進した。透過液の導電率が4.96マイクロシーメンス/cmに低下するまで、UF処理を続けた。ポリマー溶液の水分量が約55%になるまでポリマー溶液を限外ろ過で濃縮し、次いで、ロータリーエバポレーション(浴温55℃)で濃縮した。水中の45%ポリマー溶液約82gを得た。ポリマー溶液を数滴、NaClディスクに薄く塗って、得られた薄膜を70℃で数分間乾燥させることで、試料をFT−IR分析用に製造した。FT−IRピークの選択:3305、2866、1674、1644、1539、1456、1349、1292、1251、1108、949、862cm-1、GPC分析:Mw=14100、Mn=8050、Mw/Mn=1.75
【0199】
実施例4:コンタクトレンズの製造
実施例1〜3で製造した化学線架橋性プレポリマーおよび光開始剤(Irgacure 2959)を含有する水溶液をポリ(プロピレン)型に充填し、充填した型に300nm付近のUV光(Grobel Lamp)を照射させることで、透明のヒドロゲルコンタクトレンズを製造した。各レンズ配合剤の組成を、表1に示し、ここで百分率の全ては重量による。Grobel Lampは、300nm付近のUV光を発生する。フィルター厚が2mmであるときに305nmで透過率50%になるように設計した305nmフィルターを、Grobel装置に取り付けた。
【0200】
【表1】

【0201】
硬化条件を表2に列挙する。透明のヒドロゲルレンズを得て、ホウ酸緩衝生理食塩水を含有するガラス管に入れた。管を密閉して、レンズの熱安定性/オートクレーブ安定性を下記のとおり評価した。
【0202】
【表2】

【0203】
熱安定性テスト
約121℃で0分間(無オートクレーブの対照)、45分(オートクレーブ)、および90分(ダブルオートクレーブ)オートクレーブにかけたレンズの直径を測定することにより、レンズの熱安定性を評価した。工具顕微鏡を用いてホウ酸緩衝生理食塩水中、室温でレンズの直径を測定した。直径および水分量のデータを、表3(レンズ配合剤I)および4(レンズ配合剤II)に要約する。Sartorius Moisture Analyzerを使用して、重量測定法でレンズの水分量(重量%)を測定した。
【0204】
【表3】

【0205】
【表4】

【0206】
非滅菌(オートクレーブ)、1回滅菌(オートクレーブ)、および2回滅菌(オートクレーブ)のレンズの直径は、等しかった。
【0207】
配合剤IおよびIIから得られたコンタクトレンズは、表3および4に示したとおり複数回のオートクレーブ処理に対して安定であった。室温で測定した3群のレンズの直径は、表3および4に示すとおり等しいことが見出された。更に、レンズの水分量は、レンズがオートクレーブ処理を受けた場合に変動しなかった。
【0208】
本発明の様々な実施形態を、特定の用語、装置および方法を用いて記載したが、そのような記載は、単に例示を目的としたものである。使用した言葉は、限定ではなく説明のための言葉である。当業者が、以下の特許請求の範囲に示した、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、変更および改良を施してもよいことを理解しなければならない。更に、様々な実施形態の態様が、全体として、または部分的に相互に交換可能であってもよいこと理解しなければならない。つまり添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる好ましい形態の説明に限定されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーであって、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドと、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップしたアミン基と共反応する官能基とを有する多官能価化合物との反応生成物であり、ここで、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、
(a)少なくとも1種の式(1):
【化1】


(式中、CGおよびCG'は、互いに独立して、第一級または第二級のアミノ基またはアミノ−C1〜C12アルキルであり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜500の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000である)のアミノアルキルポリアルキレングリコール、
(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミン(ここで、有機ジアミンは、直鎖もしくは分枝状のC2〜C24脂肪族ジアミン、C5〜C24脂環式もしくは脂肪族脂環式ジアミン、またはC6〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族(araliphatic)ジアミンであり、そして、ここで、有機ポリアミンは、式(2):
【化2】


(式中、R4およびR4'は、互いに独立して、水素、または非置換もしくは置換されたC1〜C6アルキルであるか、あるいは一緒になって直接の環形成結合であり、B1'は、それぞれが少なくとも1個の二価アミン基(−NH−)で中断されたか、第一級もしくは第二級アミン基を有する、直鎖もしくは分枝状C3〜C24アルキレン、非置換C6〜C10アリーレン、C1〜C4アルキル置換C6〜C10アリーレン、C7〜C18アラルキレン、C6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレン、C3〜C8シクロアルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン、またはC1〜C6アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレンからなる群から選択される二価の基である)の化合物である)、
(c)
【化3】


(式中、Dは、ハロゲン化物、OH、またはアルコキシル、シクロアルコキシル、またはアラルコキシルである)の基を2個有する有機化合物である、少なくとも1種のジカルボキシル誘導体、
ここで、ジカルボキシル誘導体は、直鎖もしくは分枝状のC3〜C24−脂肪族ジカルボン酸、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式ジカルボン酸、C6〜C24−芳香族もしくは芳香脂肪族ジカルボン酸、またはアミノ基、イミド基もしくはN−複素環を含有するジカルボン酸から誘導される、
(d)
【化4】


(式中、Dは、上記のとおりである)の基を3個以上有する有機化合物である、少なくとも1種のポリカルボニル誘導体、
(e)場合によりカルボジイミド、
の成分を含む混合物の共重合生成物である、架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項2】
Dが、ハロゲン化物である、請求項1記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項3】
Dが、塩化物である、請求項2記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項4】
ジカルボキシル誘導体が、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸クロリド、塩化スクシニル、塩化グルタリル、塩化オキサリル、シクロブタンジカルボニルクロリド、シクロペンタンジカルボニルクロリド、シクロヘキサンジカルボニルクロリド、メチルシクロヘキサンジカルボニルクロリド、ジシクロヘキシルジカルボニルクロリド、ダイマー酸塩化物、またはその混合物である、二酸クロリドである、請求項3記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項5】
混合物がトリカルボニルハロゲン化物を含有する、請求項2記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項6】
トリカルボニルハロゲン化物が、脂環式トリカルボニルハロゲン化物、脂肪族脂環式脂肪族トリカルボニル塩化物、ベンゼントリカルボニル塩化物、またはその混合物である、請求項5記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項7】
トリカルボニルハロゲン化物が、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボニルクロリド、1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボニルクロリド、トリメソイルクロリド、またはその混合物である、請求項6記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項8】
Dが、OHであり、混合物が、カルボジイミドを含む、請求項1記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項9】
カルボジイミドが、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、またはその混合物である、請求項8記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項10】
カルボジイミドが、樹脂結合カルボジイミドであり、混合物が場合により触媒として、樹脂結合1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを含む、請求項8記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項11】
混合物が更にアミノ酸を含む、請求項8記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項12】
多官能性化合物が、エチレン性不飽和基およびカルボン酸基を含み、多官能性化合物とアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドとの間の反応が、カルボジイミドの存在下で起こる、請求項1記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項13】
カルボジイミドが樹脂結合カルボジイミドである、請求項12記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項14】
式(4):
【化5】


〔式中、qは、3以上の整数であり、Qは、少なくとも1個の架橋性基を含む有機基であり、CPは、セグメントA、A1、T、および場合によりセグメントGを含む多価直鎖または分枝状共重合体フラグメントであり、ここで
Aは、−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p−の二価基であり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜500の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000であり;
Gは、直鎖もしくは分枝状C3〜C24脂肪族三価基、C5〜C45脂環式三価基、C5〜C45脂肪族脂環式三価基、またはC3〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族三価基であり;
1は、それぞれが少なくとも1個の−NRm−の基で中断された、直鎖または分枝状C2〜C24−脂肪族二価基、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式二価基、C6〜C24−芳香脂肪族二価基、または脂肪族複素環式二価基であり、ここでRmは、水素、上述の基Q、または式(4'):
【化6】


(式中、Qは、上で定義したとおりであり、CP'は、A、A1、TおよびGからなる群から選択されるセグメント1種以上を含む二価の共重合体フラグメントである)の基であり;
Tは、式(5):
【化7】


(式中、RAは、水素、非置換C1〜C6−アルキル、または置換されたC1〜C6−アルキルである)の二価基であるが、
ただし、共重合体フラグメントCPおよびCP'において、セグメントAが、セグメントTを介してセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
mが式(4')の基であるとき、−CO−のC原子がセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
Qが、セグメントTを介して共重合体フラグメントCPまたはCP'に結合していることを条件とする〕を有する、架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマー。
【請求項15】
Qが、
(i)炭素原子を2〜24個有し、更に置換されていてもよいオレフィン性不飽和共重合性基である有機基R5であるか、あるいは
(ii)式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基であり、ここでQ1は、
【化8】


(式中、
Zは、直鎖または分枝状C2〜C12アルキレンであり、
Wは、C2〜C12アルキレン基、フェニレン基またはC7〜C12アラルキレン基であり、
6およびR6'のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
7は、二価の脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式、芳香族または芳香脂肪族の炭化水素基であり、
8は、水素またはC1〜C4アルキルであり、
alkおよびalk'のそれぞれは、互いに独立して、直鎖または分枝状C1〜C12アルキレン基であり、
rおよびsのそれぞれは、互いに独立して、0または1の数であり、
Z''は、C1〜C6アルキレンであり、
1およびP1'は、互いに独立して、−(NH)r−Q1または−O−Q1
(式中、Qは上式(6a)、(6b)、(6c)または(6e)の基である)の基である)である、請求項14記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項16】
Qが、式−(NH)r−Q1
(式中、rが0であり、Q1が式(6a)の基であり、ここでmは0であり、R5は、式
【化9】


(式中、tは、0または1の数であり、
9は、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
10およびR11のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、フェニル、カルボキシ、またはハロゲンであり、
Z'は、直鎖もしくは分枝状C1〜C12アルキレン、非置換もしくはC1〜C4アルキル−もしくはC1〜C4アルコキシ−置換のフェニレン、またはC7〜C12アラルキレンである)の基である)の基である、請求項15記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項17】
Qが、式−(NH)r−Q1
(式中、rが1であり、Q1が式(6a)の基であり、ここでsは1であり、R5は、式
【化10】


(式中、tは、0であり、
9は、水素、C1〜C4アルキルであり、R10は、水素、メチル、塩素またはフェニルであり、R11は、水素、カルボキシであり、Z'は、直鎖もしくは分枝状C1〜C12アルキレンである)の基である)の基である、請求項15記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項18】
Qが、式:
【化11】


(式中、R7に関しては、上で示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される)の基である、請求項15記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項19】
Qが、式(6')または(6''')である、請求項18記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマー。
【請求項20】
更なるビニルモノマーの存在下または非存在下で、請求項1〜13のいずれか1項記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを架橋することにより得られるポリマー。
【請求項21】
更なるビニルモノマーの非存在下で、請求項1〜13のいずれか1項記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーを架橋することにより得られる、請求項20記載のポリマー。
【請求項22】
更なるビニルモノマーの存在下または非存在下で、請求項14〜19のいずれか1項記載の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーを架橋することにより得られるポリマー。
【請求項23】
更なるビニルモノマーの存在下または非存在下で、および場合により光開始剤の存在下で、架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーの化学線で架橋した生成物である、ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体ヒドロゲル
〔ここで、プレポリマーは、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドと、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップするアミン基と共反応する官能基とを有する多官能価化合物との反応生成物であり、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、
(a)少なくとも1種の式(1):
【化12】


(式中、CGおよびCG'は、互いに独立して、第一級または第二級のアミノ基またはアミノ−C1〜C12アルキルであり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜100の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000である)のアミノアルキルポリアルキレングリコール、
(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミン(ここで、有機ジアミンは、直鎖もしくは分枝状のC2〜C24脂肪族ジアミン、C5〜C24脂環式もしくは脂肪族脂環式ジアミン、またはC6〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族ジアミンであり、そして、ここで、有機ポリアミンは、式(2):
【化13】


(式中、R4およびR4'は、互いに独立して、水素、または非置換もしくは置換されたC1〜C6アルキルであるか、あるいは一緒になって直接の環形成結合であり、B1'は、それぞれが少なくとも1個の二価アミン基(−NH−)で中断されたか第一級もしくは第二級アミン基を有する、直鎖もしくは分枝状C3〜C24アルキレン、非置換C6〜C10アリーレン、C1〜C4アルキル置換C6〜C10アリーレン、C7〜C18アラルキレン、C6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレン、C3〜C8シクロアルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン、またはC1〜C6アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレンからなる群から選択される二価の基である)の化合物である)、
(c)
【化14】


(式中、Dは、ハロゲン化物、OH、またはアルコキシル、シクロアルコキシル、アラルコキシルである)の基を2個有する有機化合物である、少なくとも1種のジカルボキシル誘導体、
ここで、ジカルボキシル誘導体は、直鎖もしくは分枝状のC3〜C24−脂肪族ジカルボン酸、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式ジカルボン酸、C6〜C24−芳香族もしくは芳香脂肪族ジカルボン酸、またはアミノ基、イミド基もしくはN−複素環を含有するジカルボン酸から誘導される、
(d)
【化15】


(式中、Dは、上記のとおりである)の基を3個以上有する有機化合物である、少なくとも1種のポリカルボニル誘導体、
(e)場合によりカルボジイミド、
の成分を含む混合物の共重合生成物である〕を含む、医療装置。
【請求項24】
Dが、ハロゲン化物である、請求項23記載の医療装置。
【請求項25】
Dが、塩化物である、請求項24記載の医療装置。
【請求項26】
ジカルボキシル誘導体が、塩化フマリル、塩化スベロイル、塩化スクシニル、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル、塩化セバコイル、塩化アジポイル、塩化トリメチルアジポイル、塩化アゼラオイル、ドデカン二酸クロリド、塩化スクシニル、塩化グルタリル、塩化オキサリル、シクロブタンジカルボニルクロリド、シクロペンタンジカルボニルクロリド、シクロヘキサンジカルボニルクロリド、メチルシクロヘキサンジカルボニルクロリド、ジシクロヘキシルジカルボニルクロリド、ダイマー酸塩化物、またはその混合物である、二酸クロリドである、請求項25記載の医療装置。
【請求項27】
混合物がトリカルボニルハロゲン化物を含有する、請求項24記載の医療装置。
【請求項28】
トリカルボニルハロゲン化物が、脂環式トリカルボニルハロゲン化物、脂肪族脂環式脂肪族トリカルボニル塩化物、ベンゼントリカルボニル塩化物、またはその混合物である、請求項27記載の医療装置。
【請求項29】
トリカルボニルハロゲン化物が、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボニルクロリド、1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボニルクロリド、トリメソイルクロリド、またはその混合物である、請求項28記載の医療装置。
【請求項30】
Dが、OHであり、混合物が、カルボジイミドを含む、請求項23記載の医療装置。
【請求項31】
カルボジイミドが、樹脂結合カルボジイミドであり、混合物が場合により触媒として、樹脂結合1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを含む、請求項30記載の医療装置。
【請求項32】
混合物が更にアミノ酸を含む、請求項30記載の医療装置。
【請求項33】
多官能性化合物が、エチレン性不飽和基およびカルボン酸基を含み、多官能性化合物とアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドとの間の反応が、カルボジイミドの存在下で起こる、請求項23記載の医療装置。
【請求項34】
カルボジイミドが樹脂結合カルボジイミドである、請求項33記載の医療装置。
【請求項35】
架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有プレポリマーが、式(4):
【化16】


〔式中、qは、3以上の整数であり、Qは、少なくとも1個の架橋性基を含む有機基であり、CPは、セグメントA、A1、T、および場合によりセグメントGを含む多価直鎖または分枝状共重合体フラグメントであり、ここで
Aは、−(R1−O)n−(R2−O)m−(R3−O)p−の二価基であり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜500の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000であり;
Gは、直鎖もしくは分枝状C3〜C24脂肪族三価基、C5〜C45脂環式三価基、C5〜C45脂肪族脂環式三価基、またはC3〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族三価基であり;
1は、それぞれが少なくとも1個の−NRm−の基で中断された、直鎖または分枝状C2〜C24−脂肪族二価基、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式二価基、C6〜C24−芳香脂肪族二価基、または脂肪族複素環式二価基であり、ここでRmは、水素、上述の基Q、または式(4'):
【化17】


(式中、Qは、上で定義したとおりであり、CP'は、A、A1、TおよびGからなる群から選択されるセグメント1種以上を含む二価の共重合体フラグメントである)の基であり;
Tは、式(5):
【化18】


(式中、RAは、水素、非置換C1〜C6−アルキル、または置換されたC1〜C6−アルキルである)の二価基であるが、
ただし、共重合体フラグメントCPおよびCP'において、セグメントAが、セグメントTを介してセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
mが式(4')の基であるとき、−CO−のC原子がセグメントA1またはGに結合していることを条件とし;
Qが、セグメントTを介して共重合体フラグメントCPまたはCP'に結合していることを条件とする〕を有する、請求項23記載の医療装置。
【請求項36】
Qが、
(i)炭素原子を2〜24個有し、更に置換されていてもよいオレフィン性不飽和共重合性基である有機基R5であるか、あるいは
(ii)式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基であり、ここでQ1は、
【化19】


(式中、
Zは、直鎖または分枝状C2〜C12アルキレンであり、
5は、炭素原子を2〜24個有し、更に置換されていてもよいオレフィン性不飽和共重合性基であり、
Wは、C2〜C12アルキレン基、フェニレン基またはC7〜C12アラルキレン基であり、
6およびR6'のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
7は、二価の脂肪族、脂環式、脂肪族脂環式、芳香族または芳香脂肪族の炭化水素基であり、
8は、水素またはC1〜C4アルキルであり、
alkおよびalk'のそれぞれは、互いに独立して、直鎖または分枝状C1〜C12アルキレン基であり、
rおよびsのそれぞれは、互いに独立して、0または1の数であり、
Z''は、C1〜C6アルキレンであり、
1およびP1'は、互いに独立して、式−(NH)r−Q1または−O−Q1の基である)の基である、
請求項35記載の医療装置。
【請求項37】
Qが、式:
【化20】


(式中、R7に関しては、上で示した意義および好ましさがそれぞれの場合に適用される)の基である、請求項19記載の医療装置。
【請求項38】
Qが、式−(NH)r−Q1
(式中、rが0であり、Q1が式(6a)の基であり、ここでmは0であり、R5は、式
【化21】


(式中、tは、0または1の数であり、
9は、水素、C1〜C4アルキル、またはハロゲンであり、
10およびR11のそれぞれは、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、フェニル、カルボキシまたはハロゲンであり、
Z'は、直鎖もしくは分枝状C1〜C12アルキレン、非置換もしくはC1〜C4アルキル−もしくはC1〜C4アルコキシ−置換のフェニレン、またはC7〜C12アラルキレンである)の基である)の基である、請求項37記載の医療装置。
【請求項39】
Qが、式−(NH)r−Q1
(式中、rが1であり、Q1が式(6a)の基であり、ここでsは1であり、R5は、式
【化22】


(式中、tは、0であり、
9は、水素、C1〜C4アルキルであり、R10は、水素、メチル、塩素またはフェニルであり、R11は、水素、カルボキシであり、Z'は、直鎖もしくは分枝状C1〜C12アルキレンである)の基である)の基である、請求項37記載の医療装置。
【請求項40】
医療装置が、コンタクトレンズである、請求項23記載の医療装置。
【請求項41】
コンタクトレンズを製造する方法であって、:
(I)流体レンズ形成材料を、型に導入するステップと、
(ここで流体レンズ形成材料は、
(i)1種以上の更なるビニルコモノマーの存在下または非存在下での、そして場合により光開始剤の存在下での、架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーの液体または溶融体であるか、あるいは
(ii)30重量パーセントから90重量パーセントの濃度の架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーの水溶液であり、
ここで、場合により液体または溶融体は、基本的に溶媒を含まず、場合により水溶液は、生理学的に適合性のある塩、コンタクトレンズケアの分野で従来から使用される等張剤、ビニルコモノマーおよび光開始剤からなる群から選択される1以上の化合物を含有する);
(II)架橋性ポリ(オキシアルキレン)含有共重合体プレポリマーの架橋を化学線照射で開始するステップと;及び
(III)型を開いてコンタクトレンズを型から取り出すステップと、
を含む方法であり、ここで
プレポリマーは、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドと、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とアミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドのキャップしたアミン基と共反応する官能基とを有する多官能価化合物との反応生成物であり、アミンでキャップしたポリ(オキシアルキレン)含有ポリアミドは、
(a)少なくとも1種の式(1):
【化23】


(式中、CGおよびCG'は、互いに独立して、第一級または第二級のアミノ基またはアミノ−C1〜C12アルキルであり、R1、R2およびR3は、互いに独立して、それぞれ直鎖もしくは分枝状C2〜C4−アルキレン、またはヒドロキシ置換C2〜C8−アルキレン基であり、n、m、およびpは、互いに独立して、それぞれ0〜100の数であり、ここで(n+m+p)の合計は、5〜1000である)のアミノアルキルポリアルキレングリコール、
(b)場合により、少なくとも1種の有機ジ−またはポリ−アミン(ここで、有機ジアミンは、直鎖もしくは分枝状のC2〜C24脂肪族ジアミン、C5〜C24脂環式もしくは脂肪族脂環式ジアミン、またはC6〜C24芳香族もしくは芳香脂肪族ジアミンであり、そして、ここで、有機ポリアミンは、式(2):
【化24】


(式中、R4およびR4'は、互いに独立して、水素、または非置換もしくは置換されたC1〜C6アルキルであるか、あるいは一緒になって直接の環形成結合であり、B1'は、それぞれが少なくとも1個の二価アミン基(−NH−)で中断されたか、第一級もしくは第二級アミン基を有する、直鎖もしくは分枝状C3〜C24アルキレン、非置換C6〜C10アリーレン、C1〜C4アルキル置換C6〜C10アリーレン、C7〜C18アラルキレン、C6〜C10アリーレン−C1〜C2アルキレン−C6〜C10アリーレン、C3〜C8シクロアルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレン、C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C2アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン、またはC1〜C6アルキレン−C3〜C8シクロアルキレン−C1〜C6アルキレンからなる群から選択される二価の基である)の化合物である)、
(c)
【化25】


(式中、Dは、ハロゲン化物、OH、またはアルコキシル、シクロアルコキシル、またはアラルコキシルである)の基を2個有する有機化合物である、少なくとも1種のジカルボキシル誘導体、
ここで、ジカルボキシル誘導体は、直鎖もしくは分枝状のC3〜C24−脂肪族ジカルボン酸、C5〜C24−脂環式もしくは脂肪族脂環式ジカルボン酸、C6〜C24−芳香族もしくは芳香脂肪族ジカルボン酸、またはアミノ基、イミド基もしくはN−複素環を含有するジカルボン酸から誘導される、
(d)
【化26】


(式中、Dは、上記のとおりである)の基を3個以上有する有機化合物である、少なくとも1種のポリカルボニル誘導体、
(e)場合によりカルボジイミド、
の成分を含む混合物の共重合生成物である、
を含む方法。
【請求項42】
前記放射線硬化性プレポリマーが、導入するステップの前に実質的に精製される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
流体形成材料が、水溶液であり、前記放射線硬化性プレポリマーが導入するステップの前に実質的に精製される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記水溶液が、コンタクトレンズケアの分野で従来から使用される緩衝塩、および/または、コンタクトレンズケアの分野で従来から使用される等張剤を含有する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
流体形成材料が、液体または溶融体である、請求項42記載の方法。
【請求項46】
(IV)水中で、約200〜450mOsm/mlのオスモル濃度を有する水性塩溶液中で、または水もしくは水性塩溶液と生理学的適合性のある極性有機溶媒との混合物中で、水和するステップを更に含む、請求項45記載の方法。

【公表番号】特表2008−520781(P2008−520781A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541811(P2007−541811)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012438
【国際公開番号】WO2006/053777
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】