説明

染毛剤組成物

【課題】染料の分解を起こさずに毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを毛髪に適用することによる染毛方法の提供。
【解決手段】解離性直接染料(1)又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】


〔Arは置換基を有してもよい芳香族基又は複素環芳香族基を示し、Ar'はアルキル基又は電子吸引基が置換してもよい芳香族基又は特定の複素環芳香族基を示し、Wは電子吸引基を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解離性直接染料を含有する染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤は、使用される染料又はメラニンに対する脱色作用の有無によって分類することができる。代表的な染毛剤としては、第1剤にアルカリ剤、酸化染料、任意にニトロ染料等の直接染料を含み、第2剤に酸化剤を含む二剤型の永久染毛剤や、有機酸又はアルカリ剤と、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料等の直接染料の少なくとも1種を含む一剤型の半永久染毛剤が挙げられる。
【0003】
しかし、二剤型永久染毛剤は、酸化染料によって付与される色調がそれほど鮮やかでないという欠点があり、また通常直接染料として使用される鮮やかな色を生み出すニトロ染料は、染めた毛髪の褪色が時間経過と共に著しくなり、染毛直後は色調が非常に鮮やかでも急速にその鮮やかさがなくなるといった欠点を有する(例えば、特許文献1参照)。そこで、鮮やかな色を得るために、永久染毛剤において様々なカチオン性直接染料、ニトロ染料等の直接染料を併用することが行われている。
【0004】
しかしながら、現在入手し得る直接染料では十分な効果は得られない。更に、酸化染料と併用する直接染料には、染毛プロセス時にアルカリ性過酸化物に対する安定性が要求される点で、その数は限られている。また、いずれの場合においても、洗浄や光によって直接染料が失われることにより褪色が非常に急速に進み、これは損傷した毛髪やポーラスヘア(内部に空洞を生じた毛髪)において著しい。
【0005】
そこで本発明者らは、解離性プロトンを有するアゾ染料を、上記問題点を解決する有用な直接染料として提案した(例えば、特許文献2及び3参照)。しかし、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性や、アルカリ化剤や酸化剤に対する安定性に関しては、なお改善すべき点が残されていた。
【0006】
【特許文献1】特開平6-271435号公報
【特許文献2】特開2003-342139号公報
【特許文献3】特開2004-107343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、染料の分解を起こさずに毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない染毛剤組成物及びこれを用いた染毛方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、式(1)で表される解離性直接染料を含む染毛剤組成物が、染毛時に染料の分解を起こさずに、幅広い各種の色から選択される鮮やかな色を毛髪に堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対して優れた耐性を示すことを見出した。
【0009】
本発明は、次の一般式(1)で表される解離性直接染料又はその塩を含有する染毛剤組成物を提供するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、Ar及びAr'は、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基のいずれも有さず、Arは置換基を有してもよい芳香族基又は複素環芳香族基を示し、Ar'はアルキル基若しくは電子吸引基を置換基として有してもよい芳香族基又は下記式(Cp-1)〜(Cp-4)
【0012】
【化2】

【0013】
(*は式(1)中の窒素原子と結合する位置を示し、R1〜R5は水素原子又はC1〜C8のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基若しくはアリールチオ基を示し、R4とR5は同一でも異なってもよく、両者が結合して隣接する2個の炭素原子と共に、置換基を有してもよい飽和環、芳香環又はヘテロ芳香環を形成してもよい)
のいずれかで表される複素環芳香族基を示し、Wは電子吸引基を示す。〕
【0014】
更に本発明は、上記染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の染毛剤組成物は、染料の分解を起こすことなく毛髪に鮮やかな色を堅固に付与することができ、光、洗浄、汗、摩擦、熱に対する優れた耐性を有し、アルカリ化剤や酸化剤に対して安定で、高い染色力を有し、時間経過に伴う褪色が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明で使用される一般式(1)で表される解離性直接染料は、代表的には、下記の反応式に示すように、芳香環又はヘテロ芳香環のα位にあるオキソ基が、ケト−エノール互変異性に基づいて染毛剤系内で水酸基となり、使用条件下においてプロトンを解離して色相が変化し、所望の色相を与えるものである。また、互変異性体はケト−エノール型にとどまらず、例えばAr'中を介した互変異性体をも含み、更には下記式のような非解離状態の互変異性体だけでなく、それらの解離状態の場合も含むものである。
【0017】
【化3】

【0018】
一般式(1)中のAr及びAr'は、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基のいずれも含有しない。なお、ここにいう上記カルボキシ基及びスルホ基には、これら酸型の基のほか、-COONa、-SO3Na等、中和型の基も含まれる。すなわち、直接染料(1)は、これら酸型及び中和型のカルボキシ基及びスルホ基、並びに四級アンモニウム基のいずれの基も含有しない。
【0019】
一般式(1)において、Arで表される芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等が、複素環芳香族基としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、フリル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、インドリル基等が挙げられる。
【0020】
上記芳香族基又は複素環芳香族基は一以上の置換基を含むことができ、二以上の置換基を含む場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Arに置換可能な基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基及びシリル基が挙げられる。
【0021】
より詳細には、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、n-オクチル-2-クロロエチル-2-シアノエチル-2-エチルヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル)、アルケニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、シクロペンテン-1-イル)、アルキニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル)、アリール基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリール基、例えば、フェニル、p-トリル、ナフチル、3-クロロフェニル-2-アミノフェニル)、複素環基(5員環又は6員環の芳香族又は非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除くことによって得られる、1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する一価の基、例えば1-ピラゾリル-1-イミダゾリル-2-フリル-2-チエニル、4-ピリミジニル-2-ベンゾチアゾリル)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t-ブトキシ、シクロペンチルオキシ-2-ブテン-1-イルオキシ-2-メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールオキシ基、例えば、フェノキシ-2-メチルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、3-ニトロフェノキシ)、シリルオキシ基(3〜10個、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t-ブチルジメチルシリルオキシ)、複素環オキシ基(1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環オキシ基、例えば1-フェニルテトラゾール-5-オキシ-2-テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基 (1〜12個、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアシルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p-メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するカルバモイルオキシ基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ、N,N-ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N-オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t-ブトキシカルボニルオキシ、n-オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(7〜12個、好ましくは7〜10個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p-メトキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(アミノ基、1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアニリノ基、或いは1〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル-アニリノ、ジフェニルアミノ、イミダゾール-2-イルアミノ、ピラゾール-3-イルアミノを含む)、アシルアミノ基 (1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ基、6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールカルボニルアミノ基、或いは2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する複素環カルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、ピリジン-4-カルボニルアミノ、チオフェン-2-カルボニルアミノを含む)、アミノカルボニルアミノ基(1〜12個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリン-4-イルカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t-ブトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、4-メトキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(0〜10個、好ましくは0〜6個の炭素原子を有するスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ、N-(2-ヒドロキシエチル)スルファモイルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ)、アリールスルホニルアミノ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルホニルアミノ基、例えば、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5-トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p-メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p-クロロフェニルチオ、m-メトキシチオ)、複素環チオ基(2〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する複素環チオ基、例えば-2-ベンゾチアゾリルチオ-1-フェニルテトラゾール-5-イルチオ)、スルファモイル基(0〜10個、好ましくは0〜6個の炭素原子を有するスルファモイル基、例えば、スルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N-アセチルスルファモイル、N-ベンゾイルスルファモイル)、アルキルスルフィニル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルフィニル基、例えば、フェニルスルフィニル、p-メチルフェニルスルフィニル)、アルキルスルホニル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル)、アリールスルホニル基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールスルホニル基、例えば、フェニルスルホニル、p-クロロフェニルスルホニル)、アシル基(ホルミル基、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、或いは7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル-2-クロロアセチル、ベンゾイル、2,4-ジクロロベンゾイルを含む)、アルコキシカルボニル基(2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(7〜12個、好ましくは7〜9個の炭素原子を有するアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル-2-クロロフェノキシカルボニル、3-ニトロフェノキシカルボニル、4-t-ブチルフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するカルバモイル基、例えば、カルバモイル、N-メチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル、N-(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールアゾ基(6〜12個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリールアゾ基、例えば、フェニルアゾ、p-クロロフェニルアゾ)、複素環アゾ基(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する複素環アゾ基、例えば、ピラゾール-3-イルアゾ、チアゾール-2-イルアゾ-5-エチルチオ-1,3,4-チアジアゾール-2-イルアゾ)、イミド基(2〜10個、好ましくは4〜8個の炭素原子を有するイミド基、例えば、N-スクシンイミド、N-フタルイミド)、ホスフィノ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(2〜12個炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジブトキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(2〜12個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、及びシリル基(3〜12個、好ましくは3〜8個の炭素原子を有するシリル基、例えば、トリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0022】
これらの基が置換され得る基である場合は、更に置換基を含むことができる。置換基に置換可能な基としては、上記Arに置換可能な基として記載したものが挙げられる。これらの基が二以上の置換基で置換される場合、これらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0023】
これらArの置換基のうち、好ましい基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基及びカルバモイル基が挙げられ、より好ましい基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基及びカルバモイル基が挙げられる。
【0024】
Arとしては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アシルアミノ基又はカルバモイル基が置換してもよいフェニル基が好ましい。
【0025】
Ar'はアルキル基又は電子吸引基を置換基として有してもよい芳香族基又は下記式(Cp-1)〜(Cp-4)のいずれかで表される複素環芳香族基を示す。
【0026】
【化4】

【0027】
Ar'で表される芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。この芳香族基に置換してもよいアルキル基としては、炭素数1〜10、特に1〜6のもの、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、2-クロロエチル基、2-シアノエチル基、2-エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基等が挙げられる。上記芳香族基に置換してもよい電子吸引基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、スルファモイル基、アルキルアミノスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基、アシル基が挙げられる。これらのうち、シアノ基、アルコキシカルボニル基及びカルバモイル基が最も好ましい。Ar'が、二以上のアルキル基又は電子吸引基が置換したフェニル基の場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
また、前記式(Cp-1)〜(Cp-4)中のR1〜R5は、水素原子又はC1〜C8のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基若しくはアリールチオ基を示し、R4とR5は同一でも異なってもよい。これらの好ましい具体例は、一般式(1)のArにおける置換基の説明で挙げた基のうち炭素数1〜6のものである。
【0029】
また、(Cp-4)で表される複素環芳香族基におけるR4とR5は、上記の基のほか、互いに結合して、隣接する2個の炭素原子と共に、飽和環、芳香環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。これらの環は、一般式(1)のArにおける置換基の説明で挙げたものと同様の置換基を有してもよい。このような例としては、2,1-ベンズイソチアゾール-3-イル基、イソチアゾロ[4,3-b]ピリジン-3-イル基、イソチアゾロ[4,3-c]ピリジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-c]ピリジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-b]ピリジン-3-イル基、イソチアゾロ[4,3-c]ピリダジン-3-イル基、イソチアゾロ[4,3-d]ピリミジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-b]ピラジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-d]ピリダジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル基、イソチアゾロ[3,4-c]ピリダジン-3-イル基等を挙げることができる(次に構造式を示す)。
【0030】
【化5】

【0031】
Ar’としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基若しくはカルバモイル基が置換してもよいフェニル基、又は式(Cp-1)、式(Cp-2)若しくは式(Cp-4)で表される複素環芳香族基が好ましい。
【0032】
一般式(1)において、Wで表される電子吸引基としては、ハメットのσp 値が0.1以上の電子吸引基、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、一以上の水酸基で置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、スルファモイル基、アルキルアミノスルホニル基、ジアルキルアミノスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。これらのうち、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、特にアシル基、シアノ基が、染色の強度の観点から好ましい。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P. Hammetにより提唱された経験則であり、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数にはσp 値とσm 値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、J.A. Dean編「Langes Handbook of Chemistry」第12版,1979年(McGraw-Hill)や、「化学の領域増刊」,122号,96〜103頁,1979年(南江堂)、Chemical Review,91巻,165頁〜195頁,1991年に詳しい。
【0033】
本発明の一般式(1)によって表される直接染料の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

【0036】
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
一般式(1)で表される化合物は、常法により合成することができ、例えば下記反応式に従い、芳香族アミン化合物(a)を亜硝酸塩を用いてジアゾニウム塩とした後、芳香族カルボニル化合物(b)を反応させることによって得ることができる。
【0039】
【化10】

【0040】
また、直接染料(1)のpKaは、好ましくは1.5〜9、より好ましくは2〜8、最も好ましくは2〜7.5の範囲である。直接染料(1)のpKaは、染料の染色力を決定する一因子として用いることができる。
【0041】
直接染料(1)により得られる色は、主に、鮮明な黄色から金色の範囲である。
【0042】
直接染料(1)の含有量は、全組成(二剤式又は三剤式の場合は各剤の混合後。以下同じ。)中に0.0001〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0043】
直接染料(1)は、通常の染毛剤で用いられるpH2〜11の広い範囲で保存安定性に優れるため、本発明の染毛剤組成物は、上記範囲内の任意のpHで使用することができる。特に、pH5以上の範囲で使用するのが、染色性の点から好ましい。また、アルカリ剤に対する解離性直接染料(1)の高い安定性から、本発明の染毛剤組成物は、高い染色性が得られるpH8以上、特にpH8〜11で使用することができ、長期間の保存後においても直接染料が分解することなく、高い染色性が維持される。
【0044】
〔その他の染料〕
本発明の染毛剤組成物には、更に他の直接染料や酸化染料を配合して色調を変化させることもできる。
【0045】
他の直接染料としては、塩基性染料、カチオン染料、ニトロ染料、分散染料等の公知の直接染料も加えることができる。より具体的には、例えばベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド12(C.I.48070)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド46(C.I.110825)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、ベーシックイエロー28(C.I.48054)、ベーシックイエロー57(C.I.12719);特開昭58-2204号公報、特開平9-118832号公報、特表平8-501322号公報及び特表平8-507545号公報に記載されているカチオン染料;下記式で表されるシアニン構造を有するメチン型カチオン染料などが挙げられる。
【0046】
【化11】

【0047】
また、例えば、特開2002-275040号公報、特開2003-107222号公報、特開2003-107223号公報、特開2003-113055号公報、特開2004-107343号公報、特開2003-342139号公報、特開2004-155746号公報に記載されている直接染料も加えることができる。
【0048】
他の直接染料を併用する場合には、直接染料(1)と合計したときの全直接染料含有量が、全組成中に0.001〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
【0049】
本発明の染毛剤組成物においては、直接染料(1)とともに、酸化染料を併用することもできる。このような併用により、酸化染料単独では得られない、極めて鮮明で強い染色が可能となる。酸化染料としては、酸化型染毛剤に通常用いられる公知の顕色物質及びカップリング物質が用いられる。
【0050】
顕色物質としては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,2,2'-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール等、及びその塩が挙げられる。
【0051】
また、カップリング物質としては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジン等、及びその塩が挙げられる。
【0052】
これらの顕色物質及びカップリング物質は、それぞれ2種以上を併用することもでき、またそれらの含有量は、全組成中に合計で0.0005〜20重量%が好ましく、更には0.001〜19重量%、特に0.01〜15重量%、とりわけ0.5〜10重量%が好ましい。
【0053】
本発明の染毛剤組成物には、更にインドール類、インドリン類等に代表される自動酸化型染料を加えることもできる。
【0054】
本発明の染毛剤組成物中の直接染料(1)と他の直接染料や酸化染料、自動酸化型染料の全含有量は、全組成中に0.001〜20重量%、特に0.01〜20重量%、更に0.5〜15重量%が好ましい。
【0055】
〔その他の成分〕
本発明の染毛剤組成物に用いられるアルカリ剤としては、例えばアンモニア;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン又はこれらの塩等のアルカノールアミン;グアニジン炭酸塩等のグアニジウム塩;水酸化ナトリウム等の水酸化物などが挙げられる。アルカリ剤の含有量は、全組成中の0.01〜20重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%が特に好ましい。
【0056】
本発明で使用する直接染料(1)は、酸化剤に対して極めて安定なので、酸化剤と混合した後に毛髪に適用することができる。換言すれば、直接染料(1)を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料や酸化染料を含んでもよい)と、酸化剤を含有する第2剤の二剤式にすることができる。この場合、染色と脱色が同時に行われ、より鮮やかな染色が得られる。
【0057】
酸化剤としては、例えば過酸化水素;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩などが挙げられる。なかでも、毛髪に対する脱色性、直接染料(1)の安定性及び有効性の点から、過酸化水素が特に好ましい。また、過酸化水素と共に、酸化助剤として他の酸化剤を組み合わせて用いることもできる。なかでも過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いるのが特に好ましい。酸化剤の含有量は、全組成中の0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%が特に好ましい。過酸化水素と過硫酸塩とを組み合わせて用いる場合は、過酸化水素の含有量は、全組成中の0.5〜10重量%;過硫酸塩の含有量は、全組成中の0.5〜25重量%;両者の合計の含有量が1〜30重量%が特に好ましい。
【0058】
直接染料(1)を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合割合は、容積比で2:1〜1:3の範囲であるのが好ましい。
【0059】
また、アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤から構成される公知の二剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤;アルカリ剤を含有する第1剤(任意の他の知られている直接染料を含んでもよい)と酸化剤を含有する第2剤、酸化助剤を含有する第3剤から構成される公知の三剤式酸化型染毛剤又はブリーチ剤に、酸化型染毛剤の色調を変化させるために、直接染料(1)を含有する一剤式染毛剤組成物を使用前あるいは使用中に追加して組み合わせて用いることもできる。
【0060】
直接染料(1)は、芳香族アルコール、低級アルキレンカーボネート、N-アルキルピロリドン及びホルムアミド類から選ばれる毛髪浸透性のある有機溶剤を染毛剤組成物に配合して、その染毛性や洗髪堅牢性をより高めることもできる。芳香族アルコールとしては、例えばベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられ、低級アルキレンカーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜6のアルキレン基を有するカーボネートが挙げられ、N-アルキルピロリドンとしては、例えばN-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等が挙げられ、ホルムアミド類としては、例えばN-シクロヘキシルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド等が挙げられ、染毛性や洗髪堅牢性の点からベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、プロピレンカーボネート等が好ましい。このような有機溶剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、染毛性や洗髪堅牢性の点から、全組成中に1〜50重量%、特に5〜45重量%が好ましい。
【0061】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への適用に好適なコンディショニング成分を含むことができ、その量は、全組成中の0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。コンディショニング成分は、通常、染毛剤組成物に溶解又は分散可能なポリマー又はオイル類であり、リンス時又は水やシャンプーで希釈された時に毛髪へ付着する。
【0062】
本発明の染毛剤組成物に使用される好適なコンディショニング成分は、一般にシリコーン(例えばシリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、シリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪酸エステル)として特徴付けられるコンディショニング剤、あるいはこれらの組み合わせである。更には、これら以外に水性界面活性剤中に分散液体粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0063】
本発明の染毛剤組成物に使用されるコンディショニング成分は、好ましくは不溶性シリコーンコンディショニング剤である。このシリコーンコンディショニング剤の粒子は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン又はこれらを組み合わせたものを含んでいてもよいが、不揮発性シリコーンコンディショニング剤が好ましい。
【0064】
ここで用いられるシリコーンオイルの好適な例としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテル・シロキサンコポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。この他、不溶性・不揮発シリコーン液で、ヘアコンディショニング性を有するものを用いてもよい。
【0065】
シリコーンオイルの例としては、式(2)で表されるポリアルキル若しくはポリアリールシロキサンが挙げられる。
【0066】
【化12】

【0067】
〔式中、R6は脂肪族、好ましくはアルキル又はアルケニル、あるいはアリールであり、R6は置換又は非置換であってよい。x1は1〜8,000の整数である。〕
【0068】
ここで用いることができる不揮発性ポリアルキルシロキサン液としては、例えば低分子量のポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのシロキサンは、例えばゼネラルエレクトリック社のViscasil R及びSF96シリーズや、ダウコーニング社のダウコーニング200シリーズとして入手可能である。ここで用いてもよいポリアルキルアリールシロキサン液には、例えばポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。これらのシロキサンは、例えばゼネラルエレクトリック社のSF1075メチルフェニル液やダウコーニング社の556コスメティックグレード液が挙げられる。ここで用いてもよいポリエーテル・シロキサンコポリマーとしては、例えばポリプロピレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサン(例えば、ダウコーニングDC-1248)が挙げられる。エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物も用いてもよいが、エチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドの濃度は、水や本明細書に記載する各種組成物への溶解を避けるために十分低くなければならない。
【0069】
ここで好適に用いられるアルキルアミノ置換シリコーンとしては、式(3)で表されるアルキルアミノ置換シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。このポリマーはアモジメチコーンとしても知られている。
【0070】
【化13】

【0071】
〔式中、x2及びx3は整数を示す。〕
【0072】
カチオン性シリコーンの例としては、トリメチルシリルアモジメチコーンとして知られるポリマーが挙げられ、これは次式(4)で表される。
【0073】
【化14】

【0074】
〔式中、x4及びx5は整数を示す。〕
【0075】
使用し得る他のシリコーンカチオン性ポリマーとしては、式(5)で表されるものが挙げられる。
【0076】
【化15】

【0077】
〔式中、R7 はC1 〜C18 の炭化水素基(好ましくはメチル等のアルキル基又はアルケニル基)を示し、R8 はアルキレン基又はアルキレンオキシ基(好ましくはC1 〜C18 アルキレン基又はC1 〜C18 アルキレンオキシ基、より好ましくはC1 〜C8 アルキレンオキシ基)を示し、Q- は、ハロゲン化物イオン(好ましくは塩化物イオン)を示し、x6は統計的平均値であって2〜20(好ましくは2〜8)の数を示し、x7は統計的平均値であって20〜200(好ましくは20〜50)の数を示す。〕
【0078】
ここで好適に用いられる他のシリコーン液としては不溶性シリコーンガムが挙げられる。シリコーンガムは通常200,000を超える平均分子量を有し、好ましくは200,000〜1,000,000の平均分子量を有する。ここで用いるシリコーンガムの具体例としては、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の染毛剤組成物に使用されるコンディショニング成分は、シリコーン樹脂を含むことができる。これらの樹脂は、高度の架橋高分子シロキサン系からなる。架橋は、シリコーン樹脂の製造中に、三官能や四官能のシラン類を一官能又は二官能のシラン、あるいは両者へ添加することによって形成される。
【0080】
本発明の染毛剤組成物に使用されるコンディショニング成分は、更に少なくとも一種の有機コンディショニングオイルを含むことができ、その量は組成物中0.05〜3重量%、好ましくは0.08〜1.5重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。有機コンディショニングオイルはそれのみでも、あるいは上記シリコーン等の他のコンディショニング成分と共に含まれていてもよい。コンディショニングオイルは、毛髪に輝きとつやを与えることができ、更には、髪をとかす際や毛髪自身のさらさら感を向上させ得る。
【0081】
ここでコンディショニング成分として好適に用いられる有機コンディショニングオイルは、好ましくは低粘度、水不溶性の液体であって、炭化水素オイル、ポリオレフィン、脂肪族エステル及びこれらの混合物より選択される。このような有機コンディショニングオイルの粘度は、40℃における測定において、好ましくは1〜200mPa・s、より好ましくは1〜100mPa・s、更に好ましくは2〜50mPa・sである。
【0082】
本発明の組成物におけるコンディショニング成分として用いられる好適な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも炭素数10を有する炭化水素オイル、例えば環状炭化水素や直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)や分枝鎖肪族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられ、これらのポリマーや混合物も含まれる。直鎖炭化水素オイルは、好ましくは炭素数12〜19である。分枝鎖炭化水素オイルは、炭化水素ポリマーを含み、通常炭素数19を超える。
【0083】
本発明の組成物に用いる有機コンディショニングオイルは、液状ポリオレフィン、より好ましくは液状ポリ-α-オレフィン、最も好ましくは、水素化液状ポリ-α-オレフィンを含むことができる。ここで用いられるポリオレフィンは、C4 〜C14 、好ましくはC6 〜C12 のオレフィンモノマーを重合して調製する。
【0084】
本組成物のコンディショニング剤として用いられる、他の好適な有機コンディショニングオイルとしては、例えば少なくとも炭素数10の脂肪族エステルが挙げられる。これら脂肪族エステルの例としては、脂肪酸とアルコールから誘導される炭化水素鎖を有するエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、ジ−及びトリカルボン酸エステル)が挙げられる。これら脂肪族エステルの炭化水素基は、アミドやアルコキシ基(例えばエトキシ又は他の結合等)等の他の相溶性官能部を有していてもよく、またそれらに共有結合していてもよい。
【0085】
本発明の組成物においては、炭素数10〜22の脂肪族鎖を有する脂肪酸のアルキル及びアルケニルエステル、炭素数10〜22のアルキル及び/又はアルケニルアルコールから誘導された脂肪族鎖を有する脂肪族アルコール・カルボン酸エステル、及びこれらの混合物が好適に用いられる。好ましい脂肪族エステルの具体例としては、イソプロピルイソステアレート、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、ジヘキサデシルアジペート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテート、オレイルステアレート、オレイルオレエート、オレイルミリステート、ラウリルアセテート、セチルプロピオネート及びジオレイルアジペートが挙げられる。
【0086】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への適用に適した少なくとも一種の有機カチオン性で、付着性を有するコンディショニングポリマーを含むことができ、その量は、該組成物中0.02〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.5〜1重量%である。更に、アニオン性、ノニオン性及び/又は両性ポリマーを含むこともでき、その場合、ポリマーの総量はこれらいずれのタイプでも上記の範囲内である。
【0087】
カチオン性ポリマーに関するアニオン性対イオンは、カチオン性ポリマーが組成物中で溶解状態にあり且つ該対イオンが染毛剤組成物の必須成分と物理的にも化学的にも相溶であるか、若しくは製品の性能、安定性又は美観を著しく損ねない限り、どのような対イオンを用いてもよい。このような対イオンの例としては、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、硫酸イオン、メチル硫酸イオン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本染毛剤組成物において好適に用いることのできるカチオン性ポリマーの例としては、カチオン性多糖類(例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアー等)、ビニルモノマーのコポリマー、ビニルピロリドンコポリマー、カチオン性タンパク質及びある種の高分子四級塩が挙げられるが、これらに限定されない。このようなカチオン性ポリマーについて、以下詳細に説明する。
【0088】
本発明の染毛剤組成物に使用する好ましいカチオン性ポリマーは、カチオン性多糖類として知られるポリマーである。カチオン性多糖類は、C5 〜C6 の糖類と、多糖類骨格へカチオン性基をグラフトすることによりカチオン化した誘導体とからなるポリマーであり、四級アンモニウム若しくはカチオン性アミン置換モノマー単位のホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等を含む。上記ポリマーは、これらのモノマー単位と、必要に応じて他の非カチオン性モノマー単位とを含むことができる。多糖類は一種又は二種以上の糖類からなっていてもよい。カチオン性アミンは、染毛剤組成物の特定種や選択したpHにより、一級、二級又は三級アミン(好ましくは二級又は三級アミン)が選択できる。これらのモノマーは直鎖配置であっても、分枝鎖配置であってもよい。これらのモノマー単位すべてに、カチオン性窒素を含む基が付加されていてもよいが、モノマー単位の一部が上記のような基を含まないことが好ましい。
【0089】
カチオン性多糖類ポリマーとしては、次に記載するカチオン性セルロース、カチオン性スターチ等を含む。
【0090】
本発明の染毛剤組成物に使用する好ましい多糖類カチオン性ポリマーは、カチオン性セルロース誘導体やカチオン性スターチ誘導体である。このようなカチオン性ポリマーとしては、式(6)で表されるポリマーが挙げられる。
【0091】
【化16】

【0092】
〔式中、G1 は、アンヒドログルコース残基(例えばスターチ若しくはセルロース アンヒドログルコース残基)を示し;R9 は、アルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、ヒドロキシアルキレン基又はそれらの組み合わせを示し;R10 、R11 及びR12はそれぞれ独立に、炭素数18までのアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル又はアルコキシアリール基を示し、カチオン性基の総炭素数(すなわち、R10 、R11 及びR12 の炭素数の合計)が好ましくは20以下であり;x8 は整数を示し;X- はアニオン性対イオンを示す。〕
【0093】
好ましいカチオン性ポリマーとしては、アマーコール社より入手可能なポリマー、すなわちポリマーJR及びLRシリーズや、当業界(CTFA)で知られている、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であるポリクオタニウム10(例えば、JR30M;アマーコール社)等が挙げられるが、これらに限定されない。ここで用いられる好ましいポリクオタニウム10ポリマーは、通常電荷密度0.3〜3meq/g、分子量200,000〜1,500,000を有する。カチオン性セルロースの好ましいタイプの更なる例としては、当業界(CTFA)で知られている、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの高分子四級アンモニウム塩であるポリクオタニウム24(例えば、ポリマーLM 200;アマーコール社)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
本発明の染毛剤組成物に使用する好適なカチオン性多糖類ポリマーの他の例としては、カチオン性グアーポリマーが挙げられる。グアーは、カチオン性となるように置換されたガラクトマンナン(グアー)ガム誘導体である。このような誘導体の分子量は、通常50,000〜2,500,000、好ましくは50,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜700,000である。
【0095】
これらのグアーガム誘導体を調製するために使用されるグアーガムは、通常グアーの木の種子より得られる天然材料として得られる。グアーの分子それ自身は、直鎖マンナンであり、単一メンバーのガラクトース単位が一定の間隔で交互のマンノース単位に分枝している。マンノース単位はそれぞれβ(1-4)グリコシド結合によって結合している。ガラクトースの分枝は、α(1-6)結合により生じる。グアーガムのカチオン性誘導体は、ポリガラクトマンナンのヒドロキシル基と反応性四級アンモニウム化合物との反応により得られる。グアー構造へのカチオン性基の置換の度合いは、既出のような好ましいカチオン電荷密度を提供できるよう、十分なものとしなければならない。
【0096】
カチオン性グアーポリマーの例としては、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドがあり、式(7)で表される。
【0097】
【化17】

【0098】
〔式中、G2 はグアーガムを示す。〕
【0099】
本発明の染毛剤組成物に使用される他の好適なカチオン性ポリマーは、ビニルモノマーのコポリマーであって、このビニルモノマーはカチオンとなるようにプロトン化されたアミン又は四級アンモニウム官能部を有し、水溶性モノマーと反応する。このようなモノマーの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、 アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ビニルピロリドン及びこれらの混合物が挙げられる。アルキル及びジアルキル 置換モノマーは、好ましくはC1〜C7 のアルキル基を、より好ましくはC1 〜C3 アルキル基を有する。他、好適なモノマーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解によって製造)、無水マレイン酸、プロピレングリコール、エチレングリコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0100】
本染毛剤組成物のカチオン性ポリマーに包含させる、カチオンとなるようにプロトン化されたアミン及び四級アンモニウムモノマーの好適な例としては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、又はジアリル四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物;及びカチオン性環窒素を含有する環(ピリジニウム、イミダゾリウム、四級化ピロリドン等の)を有するビニル四級アンモニウムモノマー、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩が挙げられる。これらモノマーのアルキル部は、C1 〜C3 アルキル等の低級アルキルであることが好ましい。
【0101】
ここで用いられる好適なアミン置換ビニルモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドやジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドが挙げられる。ここで、アルキル基は好ましくはC1 〜C7の炭化水素基、より好ましくはC1 〜C3 のアルキル基である。
【0102】
本発明の染毛剤組成物に使用する、他の好適なカチオン性ポリマーとしては、当業界(CTFA)で知られている1-ビニル-2-ピロリドンと1-ビニル-3-メチルイミダゾリウム塩(例えば塩化物)とのコポリマーである、 ポリクオタニウム16(例えば、Luviquat FC370;BASF Wyandotte社); 当業界(CTFA)で知られている1-ビニル-2-ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーである、ポリクオタニウム11(例えば、Gafquat 755N;ISP社);当業界(CTFA)で知られている、カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマーである、ポリクオタニウム6(例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー);当業界(CTFA)で知られている、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーである、ポリクオタニウム7;及び不飽和C3 〜C5 カルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのアミノアルキルエステルの鉱酸塩が挙げられる。
【0103】
本発明の染毛剤組成物に使用する、更なる他のカチオン性ポリマーは、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピルコラーゲン(例えば、Croquat L;Croda社)やココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解毛髪ケラチン(例えば、Croquat HH;Croda社)等のカチオン性タンパク質である。他のカチオン性ポリマーの例としては、当業界(CTFA)で知られている、ジクロロエチルエーテルと反応したジメチルアミノプロピルアミンとアジピン酸との反応で調製される高分子四級塩である、ポリクオタニウム2 (例えば、Mirapol AD-1;Rhodia社)や、当業界(CTFA)で知られている、アゼライン酸とジメチルアミノプロピルエーテルとの反応で調製される高分子四級塩である、ポリクオタニウム18(例えば、Mirapol AZ-1;Rhodia社)が挙げられる。
【0104】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪への適用に適するように選択されたポリアルキレングリコールを更に含むことができ、その量は、該組成物中0.005〜1.5重量%、好ましくは0.025〜1.2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。このようなポリアルキレングリコールは、本明細書に記載した必須成分と物理的にも化学的にも相溶であり、かつ製品の安定性、美観又は性能を著しく損ねないことが必要である。
【0105】
本染毛剤組成物への使用に好適なポリアルキレングリコールは、式(8)で表される。
【0106】
【化18】

【0107】
〔式中、R13 は、水素原子、メチル基又はそれらの組み合わせ(好ましくは水素原子)であり、nは平均値で1,500〜120,000(好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,500〜25,000、最も好ましくは3,500〜15,000)の整数を示す。〕
【0108】
13 が水素原子の場合、これらの材料はエチレンオキシドのポリマーであり、ポリエチレングリコールとしても知られている。R13 がメチル基の場合、これらの材料はプロピレンオキシドのポリマーであり、ポリプロピレングリコールとしても知られている。R13 がメチル基の場合、得られるポリマーの種々の位置異性体が存在し得ることもわかっている。ここで使用するのに好適なものは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの混合物である。
【0109】
本発明の安定でアルカリ性の染毛剤組成物に使用されるポリエチレングリコールポリマーの具体例としては、PEG 2M(R13 が水素、nが平均値で2,000、例えばPolyvox WSR N-10;Amerchol社);PEG5M(R13 が水素、nが平均値で5,000、例えばPolyvox WSR N-35及びPolyvox WSR N-80;Amerchol社);PEG 7M(R13 が水素、nが平均値で7,000、例えばPolyvox WSR N-750;Amerchol社);PEG 9M(R13 が水素、nが平均値で9,000、例えばPolyvox WSRN-3333;Amerchol社);PEG 14M(R13 が水素、nが平均値で14,000、例えばPolyvox WSR N-3000;Amerchol社);PEG 23M(R13 が水素、nが平均値で23,000、例えばPolyvox WSR N-12k;Amerchol社);PEG 90M(R13 が水素、nが平均値で90,000、例えばPolyvox WSR 301;Amerchol社);PEG 100M(R13 が水素、nが平均値で100,000、例えばCarbowax PEG 4600;Amerchol社)等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいポリエチレングリコールの例としてはPEG 7M、PEG 14M、PEG 25M、PEG 90M及びこれらの混合物が挙げられる。
【0110】
本発明の染毛剤組成物は、更なる任意成分としてキレート剤を含むことができる。キレート剤成分は、重金属イオンの封鎖剤(キレート化又はスカベンジによる)として作用することが分かっている。これらの成分は、カルシウムやマグネシウムに対するキレート能も有することができるが、鉄、マンガン、銅等の重金属イオンに対する結合選択性を示すことが好ましい。このようなキレート剤は、ヘアカラー製品に良好な保存安定性を提供するのみならず、制御された酸化作用を与えるという理由で、本明細書に記載する染毛剤組成物に有用なものである。
【0111】
キレート剤は本組成物中通常、0.005〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜2重量%存在する。
【0112】
このような用途のキレート剤としては、アミノホスホネート(Dequest;モンサント社)、ニトリロアセテート、ヒドロキシエチル-エチレントリアミン等、種々知られている。
【0113】
上記のうち、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホネート)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)及びヒドロキシエチレン-1,1-ジホスホネートが好ましい。
【0114】
重金属イオン封鎖剤は、それらのアルカリ又はアルカリ土類金属塩の形態で用いることができる。
【0115】
本発明の染毛剤組成物は、界面活性剤も含むことができる。本発明の染毛剤組成物には、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性又は双イオン性界面活性剤を添加することができる。また、上記の界面活性剤を併せて使用するならば、それらは相溶性を有する。
【0116】
アニオン界面活性剤の例としては、サルフェート型、スルホネート型、カルボキシレート型及びアルキルホスフェート型界面活性剤が挙げられる。これらは通常シャンプーに使用されているものである。
【0117】
サルフェート型アニオン界面活性剤の例としては、よく知られたC10 〜C18 アルキルサルフェートや、特に適切なエーテルサルフェート、例えばC12 〜C14 アルキルエーテルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、特に1〜4個のエチレンオキシド基を分子中に含むものが挙げられる。更に、モノグリセリド(エーテル)サルフェート;エトキシ化と、対応する脂肪酸アルカノールアミドへのサルフェート導入により製造される脂肪酸アミドサルフェート;及び温和な洗浄剤であり毛髪に適用可能な、これらのアルカリ塩と長鎖モノ及びジアルキルホスフェートも使用することができる。
【0118】
好適なスルホネート型アニオン界面活性剤の例としては、α-オレフィンスルホネート又はその塩が挙げられる。特に、スルホコハク酸ハーフエステルのアルカリ塩、例えばモノオクチルスルホコハク酸二ナトリウム塩や長鎖モノアルキルエトキシスルホコハク酸アルカリ塩が挙げられる。
【0119】
好適なカルボキシレート型界面活性剤の例としては、アルキルポリエーテルカルボン酸又はそれらの塩やアルカミドポリエーテルカルボン酸又はそれらの塩が挙げられる。このような製品はよく知られており、例えば商標AKYPO及びAKYPO-SOFTとして、長い間市場に流通している。
【0120】
更に、C8 〜C20 イセチオン酸アシルや類似のスルホ脂肪酸及びそのエステルも、他の界面活性剤との混合物であれば使用できる。
【0121】
数種のアニオン界面活性剤の混合物も使用できる。例えば、α-オレフィンサルフェートとスルホサクシネートとの混合物(好ましくは1:3〜3:1)や、エーテルサルフェートとポリエーテルカルボン酸若しくはアルキルアミドエーテルカルボン酸との混合物が使用できる。
【0122】
アニオン界面活性剤の濃度は、0.5〜10重量%が好ましく、特に1〜5重量%が好ましい。
【0123】
好適な非イオン界面活性剤の他の例としては、アルキルポリグリコシド;ポリエチレングリコールソルビタンステアレート等のソルビタンエステル;及び脂肪酸ポリグリコールエステル又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合重合ポリグリコールと脂肪酸とのエステルが挙げられる。これらは、例えば商標Pluronicsとして市場に流通している。
【0124】
更に任意に適用可能な界面活性剤は、アミンオキシドである。このようなアミンオキシドは、長い間技術水準に属してきたものであり、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド等のC12 〜C18 アルキルジメチルアミンオキシド;C12 〜C18 アルキルアミドプロピルアミドオキシド又はアルキルアミドエチルアミンオキシド;C12 〜C18 アルキルジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシド又はアルキルジ(ヒドロキシプロピル)アミンオキシド;更に、アルキル鎖にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド基を有するアミンオキシドが挙げられる。好適なアミンオキシドは、例えば商標Ammonyx、Aromox又はGenaminoxとして市場に流通している製品である。
【0125】
更なる任意の界面活性剤成分としては、ココ脂肪酸−モノエタノールアミドやミリスチン酸−モノイソプロパノールアミド等の脂肪酸モノ及びジアルカノールアミドが挙げられる。
【0126】
好適な両性又は双イオン性界面活性剤の例としては、特によく知られた脂肪酸−アミドアルキルベタインやスルホベタイン等(例えばラウリルヒドロキシスルホベタイン)のベタイン類や、ココアミノアセテート、ココアミノプロピオネート、ナトリウムココアンホプロピオネート、ナトリウムココアンホアセテート等の長鎖アルキルアミノ酸が挙げられる。
【0127】
好適なカチオン性界面活性剤の例としては、長鎖四級アンモニウム化合物が挙げられ、これらは単独でも組み合わせても用いることができる。例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルステアリルアンモニウムクロリド、トリメチルアセチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルステアリルベンジルアンモニウムクロリド、ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジ−水素化−牛脂アンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、トリス(オリゴオキシ−エチル)アルキルアンモニウムホスフェート、セチルピリジニウムクロリド等が挙げられる。
【0128】
本発明の組成物は、更に油脂等の保存料も含むことができる。これらの例としては、ヒマワリ油、アーモンド油、ピーチカーネル油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、更にはオリーブ油や大豆油、ラノリン及びその誘導体、同様にパラフィン油、ワセリン等の鉱物系油や、これらの混合物が挙げられる。
【0129】
本発明の組成物がエマルジョンの形状である場合には、該組成物は通常用いられる乳化剤を含むことができる。本発明の組成物は、長鎖脂肪酸を含むことができる。脂肪酸としては、C10 〜C24 、特にC12 〜C22 の脂肪酸が好ましく、組成物全量に対して計算して、0.5〜15重量%、特に1〜10重量%含めることができる。べヘン酸とステアリン酸は特に好適であるが、他の脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、更にココ脂肪酸等の天然及び合成脂肪酸の混合物も添加することができる。
【0130】
本発明の染毛剤組成物は、増粘剤を全組成中の0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%のレベルで含むことができる。本組成物への使用に好適な増粘剤は、オレイン酸、セチルアルコール、オレイルアルコール、塩化ナトリウム、セテアリルアルコール及びステアリルアルコールから選択される。
【0131】
水は本発明の組成物のための好ましい希釈剤である。しかしながら、本発明に係る組成物はまた、付加的材料として一種以上の溶媒を含有してもよい。一般に、本発明染料組成物中での使用に適している溶媒は、水との相溶性を有するものが選択され、毛髪及び/又は頭皮に有害ではない。ここに付加的希釈剤として使用するのに適している溶媒としては、C1 〜C20 の一価又は多価アルコール及びそれらのエーテル、グリセリン等が挙げられ、一価及び多価アルコール及びそれらのエーテルが好ましい。これらの化合物において、炭素原子を2〜10含むアルコール性残基が好ましい。従って、好ましい基としては、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、ブタノール、n-ペンタノール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、ブトキシエタノール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、及びそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物のための更に好ましい溶媒は、1,2-及び1,3-プロパンジオール1-メトキシ-2-プロパノール-1-エトキシ-2-プロパノール、1,3-及び1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコールとそのモノメチル及びモノエチルエーテル、及びジプロピレングリコールとそのモノメチル及びモノエチルエーテルである。これらのジオールの割合は、全組成の好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%、特に5〜10重量%である。これらのC3 〜C6 アルカンジオールやそれらのエーテルの他に、エタノール、1-プロパノールや2-プロパノール等の一価アルコール;グリセリンやヘキサントリオール等の多価アルコール;エチルカルビトール;ベンジルアルコール;ベンジルオキシエタノール;プロピレンカーボネート(4-メチル-1,3-ジオキサン-2-オン);n-アルキルピロリドン;及び尿素もまた適しており使用できる。
【0132】
水は、本発明の組成物における、好ましい主希釈剤である。ここで定義されている主希釈剤とは、存在するその希釈剤のレベルが他の希釈剤の総計レベルよりも高いことを意味する。
【0133】
溶媒の含有量は、全組成中の0.01〜99重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜50重量%、更に好ましくは0.1〜15重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%である。
【0134】
本発明の染毛剤組成物は、常法に従って、一剤型組成物、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とを有する二剤型組成物、又はこれら二剤に加え、過硫酸塩等の粉末状酸化剤を有する三剤型組成物とすることができる。直接染料(1)は、二剤型又は三剤型組成物における上記剤の一方又は両方に組み入れられてもよい。本発明の染毛剤組成物が一剤型である場合には、染毛剤組成物は毛髪に直接適用されるが、二剤型又は三剤型は、染毛に際してこれら成分を混合した後に毛髪に適用される。あるいは、直接染料(1)を含有する一剤型組成物を二剤型又は三剤型組成物の混合の際に併せて混合し、毛髪に適用することもできる。
【0135】
またその形態は、粉末状、透明液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアゾール、エアゾールフォーム状等とすることができる。毛髪に適用する段階(二剤型又は三剤型の場合は混合後)における粘度は、1,000〜100,000mPa・sが好ましく、更には5,000〜50,000mPa・s、特に10,000〜40,000mPa・sが好ましい。ここで、粘度は、ブルックフィールド回転粘度計(No.5スピンドル、5rpm)を用いて20℃で測定した値である。
【0136】
本発明の染毛剤組成物は、ヒト又は動物の毛の染色に使用することができ、このような染色方法は、染毛剤組成物の毛への適用、染色終了後の毛の洗浄、及び洗浄後の毛の乾燥からなる。
【実施例】
【0137】
合成例1
下記方法により、化合物(DS-6)を合成した。
(1) 粗(DS-6)の合成
【0138】
【化19】

【0139】
17.2gの化合物T-1に氷水80mLと濃塩酸25.7mLを添加し、氷冷下攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム/水=7.25g/22mL)を内温が5℃を超えないように滴下した。滴下終了後、5℃以下で1時間反応を行い、化合物T-1のジアゾニウム液を調製した。14.36gの化合物T-2にメタノール150mLと酢酸ナトリウム27.1gを添加し、氷−メタノール浴にて冷却し攪拌を行った。次いで、前述の化合物T-1のジアゾニウム液を内温が15℃を超えないように滴下した後、10℃以下で1時間反応を行った。反応液に水を450mL添加し、析出した結晶を濾取し、500mLの水で洗浄し、(DS-6)の粗結晶を淡黄色結晶として31.8g得た。
【0140】
(2) 化合物(DS-6)の精製
30.1gの粗(DS-6)に150mLのメタノールを添加し攪拌を行い、懸濁状態とした。ここにトリエチルアミン25.1mLを添加して溶液状態とした。次いで、塩酸水(濃塩酸/水=17mL/300mL)を添加し、析出した結晶を濾取し、混合比2/1のメタノール/水100mLで洗浄し、(DS-6)を淡黄色結晶として25.6g得た。
【0141】
合成例2
下記方法により、化合物(DS-7)を合成した。
(1) 粗(DS-7)の合成
【0142】
【化20】

【0143】
17.2gの化合物T-1に氷水80mLと濃塩酸25.74mLを添加し、氷冷下攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム/水=7.25g/22mL)を内温が5℃を超えないように滴下した。滴下終了後、5℃以下で1時間反応を行い化合物T-1のジアゾニウム液を調製した。12.83gの化合物T-3にメタノール130mLと酢酸ナトリウム27.1gを添加し、氷−メタノール浴にて冷却し攪拌を行った。次いで、前述の化合物T-1のジアゾニウム液を内温が15℃を超えないように滴下した後、10℃以下で1時間反応を行った。反応液に水を450mL添加し、析出した結晶を濾取、500mLの水で洗浄し、化合物(DS-7)の粗結晶を淡黄色結晶として27.2g得た。
【0144】
(2) 化合物(DS-7)の精製
25.7gの粗(DS-7)に130mLのメタノールを添加し攪拌を行い、懸濁状態とした。ここにトリエチルアミン22.5mLを添加して溶液状態とした。次いで、塩酸水(濃塩酸/水=16mL/260mL)を添加し、析出した結晶を濾取し、混合比2/1のメタノール/水100mLで洗浄し、化合物(DS-7)を淡黄色結晶として22.6g得た。
【0145】
合成例3
下記方法により、化合物(DS-8)を合成した。
(1) 粗(DS-8)の合成
【0146】
【化21】

【0147】
23.Ogの化合物T-4に燐酸350mLを添加し、内温45℃で溶解を確認した後、氷浴で冷却した。次いで、亜硝酸ナトリウム15.2gを内温が10℃を超えないように分割添加した。添加終了後、5℃以下で1時間反応を行い、化合物T-5の酢酸液(酢酸300mL/T-5 26.2g)を内温が15℃を超えないように滴下した。10℃以下で1時間反応を行った後、反応液に水を1450mL添加し、析出した結晶を濾取し、500mLの水で洗浄し、化合物(DS-8)の粗結晶を黄色結晶として29.3g得た。
【0148】
(2) 化合物(DS-8)の精製
27.1gの粗(DS-8)に300mLのメタノールを添加し攪拌を行い、懸濁状態とした。ここにトリエチルアミン21mLを添加して溶液状態とした。次いで、塩酸水(濃塩酸/水=21mL/160mL)を添加し、析出した結晶を濾取、メタノール/水100mLで洗浄し、化合物(DS-8)を黄色結晶として24.4g得た。
【0149】
実施例1〜7
常法に従い、表1に示すフォーム型染毛剤を調製した。
【0150】
【表1】

【0151】
【化22】

【0152】
上記フォーム型染毛剤を30℃で山羊毛に適用し、20分間の作用時間を置いて山羊毛を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0153】
実施例8〜14
常法に従い、表2に示す一剤式染毛剤を調製した。
【0154】
【表2】

【0155】
【化23】

【0156】
上記一剤式染毛剤を30℃で山羊毛に適用し、20分間の作用時間を置いて山羊毛を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0157】
実施例15〜21
常法に従い、表3に示す一剤式染毛剤を調製した。
【0158】
【表3】

【0159】
上記一剤式染毛剤を30℃で山羊毛に適用し、20分間の作用時間を置いて山羊毛を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0160】
実施例22〜26
常法に従い、表4に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤及び表5に示す第2剤Aを調製した。
【0161】
【表4】

【0162】
【化24】

【0163】
【表5】

【0164】
第1剤1重量部に対し第2剤Aを2重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0165】
実施例27〜32 パーマ剤との併用例
常法に従い、表6に示すチオグリコール酸型パーマ液第1剤を調製し、表4に示したクリーム状二剤式染毛剤第1剤(実施例22〜26)及び表5に示した第2剤A又は表7に示したパーマ液第2剤と併用した。
【0166】
【表6】

【0167】
【表7】

【0168】
チオグリコール酸型パーマ液第1剤を30℃で山羊毛に適量適用し、30分間の作用時間を置いた後、実施例20〜24のクリーム状二剤式染毛剤第1剤を山羊毛と等量適用した。パーマ用ロッドに巻きつけて形を整え、更に20分間の作用時間を置いた後、第2剤A又はパーマ液第2剤を等量〜倍量適用し、30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られたパーマ染色毛は所期の形付け効果が得られていると同時に、得られた色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0169】
実施例33〜42
常法に従い、表8に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤及び表9に示す共通第2剤B及び共通第2剤Cを調製した。
【0170】
【表8】

【0171】
【表9】

【0172】
第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0173】
実施例43〜52
常法に従い、表10に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤を調整した。
【0174】
【表10】

【0175】
【化25】

【0176】
第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0177】
実施例53〜62
常法に従い、表11に示す液状二剤式染毛剤第1剤を調製した。
【0178】
【表11】

【0179】
第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0180】
実施例63〜71
常法に従い、表12に示すクリーム状二剤式染毛剤第1剤及び表13に示すカラーブースターを調製した。
【0181】
【表12】

【0182】
【表13】

【0183】
第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。また、第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部、第1剤それぞれに対応するカラーブースター各0.1重量部を混合した後、30℃で山羊毛に適用し30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し、乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。
【0184】
実施例72〜77
常法に従い、表14に示すクリーム状三剤式染毛剤第1剤及び第3剤を調整した。
【0185】
【表14】

【0186】
第1剤1重量部に対し共通第2剤B又は共通第2剤Cを1重量部、第3剤を0.3〜1重量部混合した後、30℃で山羊毛に適用し、30分間の作用時間を置いて毛髪を通常シャンプーで洗浄し乾燥した。得られた染色毛の色調を観察した結果、いずれも染色性・シャンプー堅牢性は良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)で表される解離性直接染料又はその塩を含有する染毛剤組成物。
【化1】

〔式中、Ar及びAr'は、カルボキシ基、スルホ基及び四級アンモニウム基のいずれも有さず、Arは置換基を有してもよい芳香族基又は複素環芳香族基を示し、Ar'はアルキル基若しくは電子吸引基を置換基として有してもよい芳香族基又は下記式(Cp-1)〜(Cp-4)
【化2】

(*は式(1)中の窒素原子と結合する位置を示し、R1〜R5は水素原子又はC1〜C8のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基若しくはアリールチオ基を示し、R4とR5は同一でも異なってもよく、両者が結合して隣接する2個の炭素原子と共に、置換基を有してもよい飽和環、芳香環又はヘテロ芳香環を形成してもよい)
のいずれかで表される複素環芳香族基を示し、Wは電子吸引基を示す。〕
【請求項2】
一般式(1)中のArがハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アシルアミノ基又はカルバモイル基が置換してもよいフェニル基;Wがニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基及びカルバモイル基から選ばれる基;Ar'がハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルファモイル基若しくはカルバモイル基が置換してもよいフェニル基、又は式(Cp-1)、式(Cp-2)若しくは式(Cp-4)で表される複素環芳香族基である解離性直接染料を含有する請求項1記載の染毛剤組成物。
【請求項3】
更に、アルカリ剤を含有する請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【請求項4】
更に、酸化剤を含有する請求項1又は2記載の染毛剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する染毛方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物を脱色した毛髪に適用する染毛方法。

【公開番号】特開2006−213663(P2006−213663A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29183(P2005−29183)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】