染色体10q26上の加齢性黄斑変性症(ARM)に対する感受性遺伝子
遺伝子PLEKHA1およびLOC387715におけるアリル変異を、加齢性黄斑変性症(ARM)についてのリスク因子として特定する。したがって、PLEKHA1および/またはLOC387715中のアリル変異を特定することを含む、個体におけるARMの発祥のリスクを特定するための方法が提供される。関連する装置、たとえばアレイ、を、その様な方法を実施する際に有用であるものとして特定する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
加齢性黄斑変性症(Age-Related Maculopathy)(age-related macular degenerationとしても知られている)は、高齢者個体群における中枢性失明(central blindness)の主要な原因であり、そして多数の研究が、この複雑な症状に対する強力な原因となる遺伝子成分が存在することを示唆している。多人数の家系、罹患同胞ペア(affected sib pairs)、およびより最近では不一致同胞ペア(discordant sib pairs)を使用したゲノム規模での連鎖スキャニングにより、多数の潜在的な感受性遺伝子座が特定された(Klein et al. 1998 Age-related macular degeneration. Clinical features in a large family and linkage to Chromosome 1q. Archives of Ophthalmology 116:1082-1088;Weeks et al. 2000 A full genome scan for age-related maculopathy. Human Molecular Genetics 9:1329-1349;Majewski et al. 2003 Age-related macular degeneration--a genome scan in extended families. Am J Hum Genet 73:540-550;Schick et al. 2003 A whole-genome screen of a quantitative trait of age-related maculopathy in sibships from the Beaver Dam Eye Study. Am J Hum Genet 72:1412-1424;Seddon et al. 2003 A genomewide scan for age-related macular degeneration provides evidence for linkage to several chromosomal regions. Am J Hum Genet 73:780-790;Abecasis et al. 2004 - Age-related macular degeneration: a high-resolution genome scan for susceptibility Loci in a population enriched for late-stage disease. Am J Hum Genet 74:482-494;Iyengar et al. 2004 Dissection of genomewide-scan data in extended families reveals a major locus and oligogenic susceptibility for age-related macular degeneration. Am J Hum Genet 74:20-39;Kenealy et al. 2004 Linkage analysis for age-related macular degeneration supports a gene on Chromosome 10q26. Mol Vis 10:57-61;Schmidt et al. 2004 Ordered subset linkage analysis supports a susceptibility locus for age-related macular degeneration on Chromosome 16p12. BMC Genet 5:18;Weeks et al. 2004 Age-related maculopathy: a genomewide scan with continued evidence of susceptibility loci within the 1q31, 10q26, and 17q25 regions. Am J Hum Genet 75:174-189;Santangelo et al. 2005 A Discordant Sib-Pair Linkage Analysis of Age-Related Macular Degeneration. Ophthalmic Genetics 26:61-68)。ゲノム規模での連鎖スクリーニングは、加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration;AMD)遺伝子を含有する可能性があるものとして、10q26領域を強力に関係づけた(Weeks et al. 2004);この領域は、多数のその他の研究によっても示唆され、そして最近のメタ解析において上位にランキングされる領域である(Fisher et al. 2005 Meta-analysis of genome scans of age-related macular degeneration. Hum Mol Genet. 2005 Aug 1;14(15):2257-64)。最近、3つの論文(Science(Edwards et al. 2005 Complement Factor H Polymorphism and Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 421-424;Haines et al. 2005 Complement Factor H Variant Increases the Risk of Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 419-421. Klein et al. 2005 Complement Factor H Polymorphism in Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 385-389))が、補体因子H(CFH)におけるアリル変異を染色体1上に見られる連鎖シグナルの原因であるとして特定するようであり、そして家族性の事例および散発的な事例の両方において、ARMの顕著な起因するリスクの原因であるとされるようである。これらの知見が、以下の文献において確認された(Conley et al. 2005 Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy. Hum Mol Genet 14: 1991-2002. ;Hageman et al. (2005a) From The Cover: A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A 102:7227-7232;およびZareparsi et al. 2005a Strong Association of the Y402H Variant in complement factor H at 1q32 with Susceptibility to Age-Related Macular Degeneration. Am J Hum Genet 77:149-53)。CFHは、Hageman and Andersonの研究のために、ARMにおいて何らかの役割を果たしていると以前は考えられていた(Hageman and Mullins 1999 Molecular composition of drusen as related to substructural phenotype. Molecular Vision 5:28;Johnson et al. 2000 A potential role for immune complex pathogenesis in drusen formation. Experimental Eye Research 70:441-449 Complement activation and inflammatory processes in Drusen formation and age related macular degeneration. Experimental Eye Research 73:887-896;Mullins et al. 2000 Drusen associated with aging and age-related macular degeneration contain proteins common to extracellular deposits associated with atherosclerosis, elastosis, amyloidosis, and dense deposit disease. FASEB Journal 14:835-846;Hageman et al. 2001 An integrated hypothesis that considers drusen as biomarkers of immune-mediated processes at the RPE-Bruch's membrane interface in aging and age-related macular degeneration. Progress in Retinal & Eye Research 20:705-732;Johnson et al. 2001)。Hageman and Andersonは、多数のARM患者において観察された網膜下の沈着(ドルーゼ、drusen)が、補体因子を含有することを示した。しかしながら、ARMに寄与する別の遺伝子が特定されるまで、CFHは、パズルの特定された一つのピースであり続けており、これはARMの発症機序の一部として別の経路や炎症を関係づけているが、眼において観察される独特の病理学の原因となることはできない。
【0002】
概要
以下に記載する様に、この目的を達成するために、一塩基多型を含むアリル変異を、染色体10q26上で特定した。これらのアリル変異が、加齢性黄斑変性症を発症するリスクの増加と関連することが、本明細書中で示される。アリル変異は、染色体10q26上のLOC387715および/またはPLEKHA1遺伝子中に位置づけられる。一態様において、アリル変異は、LOC387715中にある。
【0003】
本発明の限定的ではない一態様において、加齢性黄斑変性症を発症するリスクが増加したヒト被検体を特定する方法が提供される。この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症を発症するリスクと関連する染色体10q26中に位置するアリル変異の発生を特定することを含む。限定的ではない一態様において、アリル変異は、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において発生する。例えば、そして限定的ではないが、アリル変異は、PLEKHA1およびLOC387715の一方または両方のアリル変異(例えば、限定的ではないが、LOC387715中のSer69Ala変異)である。
【0004】
別の限定的ではない態様において、変異は、rs4146894、rs10490924、rs1045216、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の変異に対応する多型である。アリル変異は、限定的ではないが、非機能的遺伝子生成物および遺伝子生成物の発現が変化したもののいずれかを生成する変異(例えば、フレームシフト変異、プロモータ変異、およびスプライシング変異の1またはそれ以上)であってもよい。
【0005】
一態様において、この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、補体因子Hのアリル変異(例えば、限定的ではないが、rs1853883として特定される一塩基多型に対応する変異)の発生を特定することをさらに含む。
【0006】
この方法は、いずれかの有用な技術、例えば、限定的ではないが:核酸増幅アッセイ(例えば、PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(例えば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅)を利用してもよい。アリル変異は、1被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の2またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するためのまたはそれ以上の試薬を具体的には含む、アレイを使用して特定されてもよい。
【0007】
別の限定的ではない態様において、被検体に由来する核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症の発症のリスクと関連する染色体10q26上に位置するアリル変異の発生を特定するための1またはそれ以上の試薬配列を含むアレイを提供する。このアリル変異は、限定的ではないが、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座中に発生してもよく、そして例えば、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応してもよい。
【0008】
詳細な説明
以下に記載する様に、一塩基多型を含むアリル変異が、染色体10q26上に特定された。これらのアリル変異は、加齢性黄斑変性症を発祥するリスクの増加と関連することが、本明細書において示される。実施例1は、ARMに関連するアリル変異の遺伝子座として、PLEKHA1および/またはLOC387715を特定した。実施例2に示されるさらなる研究により、ARMに対するマーカーとして、LOC387715における変異の特定された関連性について、確認され、そしてさらなるサポートが追加される。ARMに対するマーカーとして、PLEKHA1における変異の関連性が除かれたが、しかしもっとも最近の遺伝子的研究から得られた証拠は、LOC387715遺伝子内部の変異体に、より強力に関連する。
【0009】
したがって、加齢性黄斑変性症(ARM)を発症するリスクが高まったヒト被検体を特定するための方法が提供される。この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、PLEKHA1および/またはLOC387715の、そして一つの限定的ではない態様においてはLOC387715の、アリル変異の発生または特異的なハプロタイプ(いくつかのアリル変異からなる)の発生を特定することを含む。rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336およびrs763720として特定されたSNPsを含め(しかし、これらに限定されるわけではない)、特異的な一塩基多型(SNPs)が、これらの遺伝子座の中で特定された。この方法は、さらに、補体因子H(CFH)におけるアリル変異、たとえば、限定的ではないが、rs1853883として特定されるアリル変異、を特定することを含んでもよい。
【0010】
本明細書中で使用される場合、“アリル変異”は、核酸における変化のことを言い、そして典型的には、被検体(たとえばヒト患者)における1またはそれ以上のアリルにおける遺伝子の一次アミノ酸配列における変化のことを言う。アリル変異には、1または複数の核酸およびアミノ酸の置換、付加または欠失であって、転写を制御するプロモータ活性、フレームシフト、早期タンパク質終止、タンパク質のミスフォールディング、タンパク質プロセッシングの変化、タンパク質の活性部位または結合部位の破壊(または亢進)、mRNAのミススプライシング、または最終遺伝子生成物の発現および/または機能に作用する核酸またはタンパク質のいずれかその他の性質、を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)、タンパク質発現に対する多数の作用のいずれか一つを有するもの、が含まれる。アミノ酸および核酸配列変化は、サイレント、すなわち配列変化と関連する可能性のある表現型作用(たとえば疾患リスク)がないもの、であってもそうでなくてもよい。一方、アリル変異は、コンセンサス“野生型”核酸またはアミノ酸配列における変異であり、たとえばそして限定的ではないが、本明細書中で記載される統計的な方法により、それについての疾患状態(ARMなど)のリスクがその変異の結果であると考えられ、その変異と関連し、またはそうでなければ結びつけることができる。したがって、rs10490924(Ser69Ala)として特定されたLOC387715一塩基多型は、アリル変異である。
【0011】
ハイスループットの方法を含む多数の方法が、SNPsおよび/またはその他のアリル変異の検出のために利用可能である。たとえば、そして限定的ではないが、以下の実施例に記載されるPCRおよび制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphisms)法が含まれる。一態様において、サンプル由来のDNAをいずれかの方法により配列決定(再配列決定)して、SNPまたは小型のアリル変異を特定する。ハイスループットの方法を含め、非常に多様な再配列決定法が、当該技術分野において知られている。限定的ではないが、:PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温性増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(たとえば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅を含む、増幅に基づく方法もまた、SNPsなどのアリル変異を特定するために利用可能である。(1または複数の)変異アリルを特定するために適切かつ有効であるように、その他の方法(たとえば制限酵素断片長多型RFLP)もまた、利用可能である。アッセイを多重化することができ、すなわち、多重化反応の反応生成物を識別できる限りにおいて、2またはそれ以上の反応が同一の物理的位置(たとえば同一のチューブ内またはアレイ上の同一の位置)で同時に行われる。限定的ではない例として、2種類の異なる配列特異的プローブに対応する2種類の異なる蛍光色素を使用し、そしてその蓄積または減少をモニタリングすることにより、TAQMANアッセイまたはモレキュラービーコンアッセイを、多重化することができる。ほとんどの事例において、適切な方法は、個人的な選択、および手持ちの経験、装置、および試薬、ハイスループットおよび/または多重化方法の必要性、コスト、方法の正確性、およびアッセイを実施するテクニシャンの技能レベル、により指示される。それらの技術の設計および用具は、幅広く知られており、そして当業者の能力の十分範囲内のものである。
【0012】
本明細書において提供される方法の実施に際して、アレイを使用することができる。アレイは、ハイスループットのアッセイを実施する際に特に有用である。アレイは、典型的には、ヒト被検体由来の核酸サンプル中で、LOC387715および/またはPLEKHA1において特定される1またはそれ以上の一塩基多型(例えば、限定的ではないが、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、rs1853883およびrs1853886として特定されるSNPs)に対応する、アリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬、たとえばそして限定的ではないが、核酸プライマーおよび/またはプローブを含む。アレイは、LOC387715および/またはPLEKHA1における1またはそれ以上のアリル変異(例えば、限定的ではないが、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、rs1853883およびrs1853886として特定されるSNPs)を同時に試験しそして特定すること、およびCFH、その他の遺伝子/遺伝子座、および対照遺伝子/遺伝子座/核酸におけるアリル変異を同時に特定すること、を可能にする。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語“アレイ”は、2またはそれ以上の特定可能な場所に位置づけられる遺伝子中のアリル変異の特定を容易にするための試薬のことを言う。一態様において、アレイは、2またはそれ以上の別個の特定可能な反応チャンバー(例えば、限定的ではないが、96-ウェルディッシュ)を有する装置であり、そこでは特定された構成成分を含む反応が行われる。例示的な態様において、2またはそれ以上の核酸プライマーまたはプローブは、空間的に方向付け可能な方法で基材上に固定化され、それにより各個別のプライマーまたはプローブが、基材上の異なりそして(方向付け可能な)特定可能な位置に位置づけられる。基材には、限定的ではないが、マルチウェルプレート、シリコンチップ、およびビーズが含まれる。一態様において、アレイは、2またはそれ以上のセットのビーズであって、それぞれのセットが特定可能なマーカー(例えば、量子ドットまたは蛍光タグ)を含み、それにより、たとえば限定的ではないが、フローサイトメーターを使用して、そのビーズが個別に特定可能である様なもの、を含む。一態様において、本発明の開示の文脈において、アレイは、DNAを増幅してSNPsを特定するためのプライマーまたは特定の配列に結合するためのプローブを含む、2またはそれ以上のウェル反応チャンバーを含有するマルチウェルプレートであってもよい。このように、試薬(例えば、プローブおよびプライマー)を、アレイ上の特定の場所の上に、またはその中に、結合されるかまたは沈着させることができる。試薬は、いずれの適切な形であってもよく、限定的ではないが、溶液、乾燥物、凍結乾燥物、または結晶化(glassified)されたものが含まれる。
【0014】
有用なアレイ技術には、たとえば限定的ではないが、Affymetrix GeneChip(登録商標)Array、例えば、GeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Resequencing Arrays(Santa Clara, CaliforniaのAffymetrix Inc.から商業的に入手可能)および同様の技術が含まれる。インフォマティックソフトウェアおよび/または統計ソフトウェアまたはアレイデータを解析するためのおよび/または患者サンプルから得られたデータから遺伝的危険因子を特定するためのその他のコンピュータで利用されるプロセスが、当該技術分野において知られている。
【0015】
本明細書中で使用される場合、特異的に特定されるか、または遺伝子または遺伝子座の文脈において特定されるかのいずれかである“被検体由来の核酸サンプル中でアリル変異の発生を特定するための試薬”は、いずれかの適切な方法(たとえば限定的ではないが、PCR、再配列決定5’エキソヌクレアーゼ(TaqMan)アッセイおよび/またはアレイまたはハイスループットアッセイ)により、その特異的アリル変異の特定を可能にする試薬のことを言う。そのような試薬の限定的ではない例には、いずれかの有用なアッセイ系において使用するための、配列特異的プライマー、プライマーセット、およびプローブが含まれる。プライマーおよびプローブは、いずれかの有用な形をとることができ、典型的には核酸であるが、しかし核酸類似体(例えば、限定的ではないが、ホスホロチオエート)であってもよい。
【0016】
実施例1においては、家族性の連鎖研究およびケースコントロール関連性研究を、1q31および10q26上の2箇所の連鎖領域において高密度SNPパネルを使用して行った。染色体1q31についてのSNP連鎖および関連性の結果は、連鎖のピークおよびARMとの最強の関連性が、CFH遺伝子全体に存在することが確認された。染色体10q26上での家族性のデータおよびケースコントロールデータの両方を解析して、その次に重要なARM感受性-関連遺伝子を特定した。
【0017】
実施例2において記載された追跡研究は、加齢性黄斑変性症(ARM)の状況が確認のための因子ではない個体群ベースの集団であるCardiovascular Health Study(CHS)、そしてARM状況が確認のための因子である個体群ベースの集団であるAge-Related Eye Disease Study(AREDS)を通じて元々は動員された被検体を用いた、入れ子(nested)ケースコントロールデザインを使用した。これらの集団を使用して、異なる確認スキームを用いて2群の集団において、ARM感受性におけるCFH遺伝子、PLEKHA1遺伝子、LOC387715遺伝子およびELOVL4遺伝子を研究した。さらに、これらの2群の集団に加えて、11種類および4種類の追加のケースコントロール研究を、CFHおよびLOC387715のためのメタ-解析にそれぞれ含めた。CFHは、両群の集団におけるARM状況と顕著に関連し(p<0.00001)、そして、ヘテロ接合性状況またはホモ接合性状況におけるリスクアリル(それぞれ、OR、2.4および6.2;95%CI(信頼区間)、2.2-2.7および5.4-7.2)が、この感受性をもたらすことが、メタ-解析により確認された。LOC387715は、両群の集団におけるARM状況と顕著に関連し(p<0.00001)、そして、ヘテロ接合体状況またはホモ接合体状況におけるリスクアリル(それぞれ、OR、2.5および7.3;95%CI、2.2-2.9および5.7-9.4)が、この感受性をもたらすことが、メタ-解析により確認された。LOC387715と緊密に連鎖するPLEKHA1は、AREDS集団においてはARM状況と顕著に関連したが、CHS集団においてはそうではなく、そしてELOVL4は、いずれの集団においてもARMと有意には関連していなかった。この研究は、ARM状況に関する異なる確認スキームを有する集団の評価を介したARM感受性におけるCFH遺伝子およびLOC387715遺伝子についての追加的なサポート、並びにメタ解析を介したさらなるサポートを提供する。
【実施例】
【0018】
実施例1
材料と方法
家族性およびケースコントロール集団
全部で612例のAMD家族および184例の血縁関係のない対照を、遺伝子型決定のためにCenter for Inherited Disease Research(CIDR)に送った。個体群の潜在的な基礎構造があるため、解析を、本発明者らのデータのコーカソイドサブセット(Caucasian subset)に限定した。コーカソイドサブセットには、594例のAMD家族が含まれ、それには1443例の遺伝子型決定された個体、および179例の血縁関係のない対照が含有される。コーカソイド家族には、430例の遺伝子型決定された罹患同胞ペア(sib pairs)、38例の遺伝子型決定された罹患おじペア(avuncular pairs)、および52例の遺伝子型決定された罹患いとこペア(first cousin pairs)が含まれた。
【0019】
全部で323例のコーカソイド(Caucasian)家族、117例の血縁関係のない対照、および196例の血縁関係のない事例もまた、追加のSNPs用に局所的に遺伝子型決定した。局所的サブセットには、824例の遺伝子型決定された個体、298例の遺伝子型決定された罹患同胞ペア、23例の遺伝子型決定された罹患おじペア、および38例の遺伝子型決定された罹患いとこペアが含まれた。Merlinパッケージ由来のPedStats(Abecasis et al. 2000)を使用して、家族性データについての概要計測を容易に得た。
【0020】
罹患状況モデル
3種類の分類モデル(A、BおよびC)を、ARM状況の重症度に関して定義した(Weeks et al. 2004)。単純化のため、注目点を“Type A”の罹患個体に限定し、最も厳密で慎重な診断を行った。血縁関係のない対照のみが、3種の診断モデルすべてを使用した場合に、非罹患者であった。非罹患者は、眼の治療記録および/または眼底の写真から、その他のRPE変化は伴わず、黄斑変化のいずれか(ドルーゼを含む)または少数(10未満)の硬性ドルーゼ(50ミクロンまたはそれ未満の直径)の証拠のいずれも何も示されない個体であった。多数の黄斑外ドルーゼ(extramacular drusen)を伴う個体は、この情報が利用できたため、非罹患者としてコードされなかった。
【0021】
特異的なARMの部分表現型を調べる努力において、末期疾患を伴う患者のみ、いずれかの眼において脈絡膜新生血管膜(choroidal neovascular membrane;CNV)の兆候がある患者、またはいずれかの眼に地図状萎縮(geographic atrophic;GA)を有する患者を、観察のために選択した。地図状萎縮およびCNVを両方とも有することが報告された個体の数が有意であったが、地図状萎縮がCNVから生じる損傷の二次的なものであるのか、またはCNV成長を制限する様に与えられた治療(すなわち、レーザー、外科手術、または光線力学療法)から生じる二次的なものであるのかをこれらの事例において判断することはしばしば困難であるため、このことは問題である。ヒトがCNVの発症前に眼においてGAを有したかどうかを、写真または記録から識別することはしばしば困難であるため、CNV群内において両方の病態を有する患者が含まれた。しかしながら、具体的にはCNVの証拠を有さないが、片方の眼における地図状萎縮が報告された場合に、この重複群のサブセットのみが、地図状萎縮群に含まれることを認められた。表1は、3種類の事例セットのそれぞれについてのこのような個体数を示す。このアプローチは、同じ眼においてCNVを発症するが非対称性地図状萎縮を有していたか、または両側性の地図状萎縮を有していてもよいが両目にCNVを発症したか、のいずれかの地図状萎縮群に由来する同じ個体の小個体群を排除してもよい。
【0022】
【表1】
【0023】
カッコ内の数字は、CNVおよびGAを両方とも有し、そして同様に、オッズ比および寄与リスク推定および関連性テストについての、GA群に含まれる個体の数を示す(選択分類についてのテキストを参照)。
【0024】
家系および遺伝子型決定エラーおよびデータ取り扱い
プログラムPedCheck(O'Connell and Weeks 1998 PedCheck: A program for identifying genotype incompatibilities in linkage analysis. Am J Hum Genet 63:259-266)を使用して、メンデルの法則の矛盾点をチェックした。小さな家族内のどの遺伝子型が間違ったものであるかを決定することは非常に困難である可能性があるため(Mukhopadhyay et al. 2004 Comparative study of multipoint methods for genotype error detection. Hum-Hered 58:175-189)、それぞれの問題のあるマーカーにて、メンデルの法則の矛盾点を含むそれぞれの家族内での欠落に対して、すべての遺伝子型を設定した。Mega2(Mukhopadhyay et al., http://watson.hgen.pitt.edu/register)を使用して、連鎖解析のためのファイル並びに遺伝子カウントによるアリル頻度推定のためのファイルを設定した。
【0025】
アリル頻度およびハーディ・ワインベルグ平衡
連鎖解析において使用されたアリル頻度を、直接的カウントにより、血縁関係のない対照および非罹患者対照から推定した。すべての対照は、3種の罹患状況モデルのすべての下での非罹患者であった。子供無しの遺伝子型決定された配偶者または未だ研究の一部を構成していない子供を有する遺伝子型決定された配偶者を、この研究のために対照と組み合わせた。Mega2において行われたハーディ・ワインベルグ平衡の実際の試験(Mukhopadhyay et al. 2005 Mega2: data-handling for facilitating genetic linkage and association analyses. Bioinformatics)は、本発明者らのSNPsについて行われた。
【0026】
Mendelが、アリル頻度を推定しつつ、被検体の血縁関係性を適切に明らかにするため、Mendelバージョン5(Lange et al. 2001 MENDEL Version 4.0: A complete package for the exact genetic analysis of discrete traits in pedigree and population data sets. Am J of Hum Genet 69 (Supplement):A1886)を同様に使用して、家族のデータに直接的に由来するアリル頻度を推定した。遺伝子型決定された家族構成員の大半が罹患しているため、これらの推定は、血縁関係のない罹患者の事例を使用して得られた推定にきわめて近いものである。
【0027】
遺伝子マップ
Rutgersの複合連鎖(combined linkage)-物理的マッピング(バージョン2.0)(Kong et al. 2004 A combined linkage-physical map of the human genome. Am J Hum Genet 75:1143-1148)を使用して、Rutgersのマッピングにおいてこれまでに示されていなかったSNPsの遺伝子的位置を予測した。本発明者らのSNPsの分布は、目的とする領域中で非常に密度が高いため、いくつかのSNPs間での推定される組換えはゼロであった;これらの事例において、組換えは、0.000001と設定された。NCBI dbSNPデータベース(ヒト構築物35)から得た、本発明者らのSNPsのすべてについて、物理的位置を得た。
【0028】
連鎖不均衡構造
連鎖解析を行う際のSNPs間の高い連鎖不均衡(LD)を無視することにより、結果として偽陽性の知見が得られる可能性がある(Schaid et al. 2002 Caution on pedigree haplotype inference with software that assumes linkage equilibrium. Am J Hum Genet 71:992-995; Huang et al. 2004 Ignoring linkage disequilibrium among tightly linked markers induces false-positive evidence of linkage for affected sib pair analysis. Am J Hum Genet 75:1106-1112)。高いSNP-SNP LDを考慮する努力には、以下のものが含まれた:
1. 血縁関係のない対照におけるLD構造を、H-クラスター法を使用して研究し(Rinaldo et al. 2005 Characterization of multilocus linkage disequilibrium. Genetic Epidemiology 28:193-206)、これがR中で実行される(R Development Core Team 2004 R:A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0, R statistical software website, http://www.r-project.org/)。目的は、連鎖解析のためにハプロタイプ-タグ化SNPs(htSNPs)を決定することであった。この方法は、階層的クラスタ形成(hierarchical clustering)を使用して、非常に相関したSNPsをクラスター化する。クラスター化の後、H-クラスター法は、各クラスターについてhtSNPを選択する;htSNPは、そのクラスター中のすべてのその他のSNPsと最も相関するSNPである。各SNPが少なくとも1種のhtSNPと0.5より大きい相関係数(r2)を有する様に、SNPsを選択した;
2. プログラムHaploView(Barrett et al. 2005 Haploview: analysis and visualization of LD and haplotype maps. Bioinformatics 21:263-265.)を使用して、染色体1および染色体10にわたるSNP-SNP LDの画像(graphical view)を得た;そして
3. ハプロタイプ-ベースの関連性解析を、2種および3種の-SNP移動ウィンドウを使用して行った(以下を参照)。
【0029】
連鎖解析
1. 一点解析。本発明者らの以前の研究において(Weeks et al. 2004)、LODスコアを、一点単純優性遺伝子モデル(single simple dominant model)のもとでコンピュータで算出した(疾患アリル頻度= 0.0001および浸透用ベクター= [0.01 0.90 0.90])。ARM表現型の複雑性および晩発性のため、2種の疾患表現型のみを使用した:“モデルAでの罹患者”および“未知”。パラメトリックLODスコアを、不均一性のもとでコンピュータで算出し(HLOD)、一方モデルフリーのLODスコアを、直線Sall統計値を使用してコンピュータで算出した。これらのスコアは両方とも、Allegroを使用してコンピュータで算出した(Gudbjartsson et al. 2000 Allegro, a new computer program for multipoint linkage analysis. Nat Genet 25:12-13)。
【0030】
2. 連鎖不均衡を無視する多重点解析。マーカー間の距離はしばしば非常に短いため、SNPs間のLDは高い可能性があり、従ってほとんどの連鎖解析プログラムにより作成されるLDが無いという前提を妨害する。LDを無視する多重点解析を、Allegroを使用して行った(Gudbjartsson et al. 2000)。HLODおよびSall統計値は両方とも、コンピュータで算出した。
【0031】
3. htSNPsを使用した多重点解析。LODスコア計算のためにhtSNPsのみを使用する場合、SNPsの数は、染色体1上では533にまで、染色体10上では159にまで、減少する。多重点LOD解析を、以前と同様に行った(Weeks et al. 2004)。除外されたSNPsは、HaploViewにより推定されたSNP-SNP LD構造と、十分に適合する(Barrett et al. 2005)。
【0032】
関連性解析
家族に由来する事例のすべてを使用するために、新規のCCRELプログラム(Browning et al. 2005 Case-Control single-marker and haplotypic association analysis of pedigree data. Genet Epidomiol 28:110-122.)を使用した。このプログラムは、血縁関係のある事例を血縁関係のない対照と同時に使用して、関連性について試験することを可能にする。CCRELを使用して、染色体1および染色体10上の連鎖ピークのもとSNPsを解析し、関連性について試験した。CCREL試験は、有効事例数および有効対照数を計算することにより、生物学的に血縁関係のある被検体を明らかにする。これらの解析について、血縁関係のない対照には“正常”表現型と割り当てられ、一方、‘A型’ARMに罹患していない家族の構成員には“未知の”表現型と割り当てられた(CCRELのアプローチは、血縁関係のある事例および血縁関係のある対照の両方を同時に使用することを可能にするまでにはまだ拡張されていない)。従って、関連性試験のために使用された各SNP用の有効対照数は、そのSNPについて遺伝子型決定された対照の数である。アリル試験、2種のSNPスライドウィンドウを使用するハプロタイプ試験、3つのSNPスライドウィンドウを使用するハプロタイプ試験、および遺伝子型決定試験を行った。著者らにより提供されたCCREL Rパッケージを解析用に使用した(Browning et al. 2005)。
【0033】
GIST解析
アリル/SNPが連鎖シグナルに対して最も寄与することを調べるため、遺伝子型-IBD共有試験(GIST)を、局所的に遺伝子型決定されたSNPsおよびCCREL試験由来の大型のSNPsを使用して、染色体1および染色体10両方に対する連鎖ピーク周辺で行った。GIST試験は、アリルまたはアリルを伴うLD中のアリルが、部分的に、観察される連鎖シグナルの原因となるかどうかを決定する(Li et al. 2004)。3種の異なる疾患モデル(劣性モデル、優性モデル、付加モデル)のもと、各罹患者の親類関係についての重み付けをコンピュータで算出した - これらの重み付けは、疾患-マーカーの関連性なしとのヌル仮説のもとでは、バイアスがかかっていない。家族の重み付け変数と非パラメータ連鎖(NPL)スコアの間の相関性は、試験統計値の基礎である。GIST試験は、現在では罹患者血縁者ペアファミリーに対して適用されるだけであるため、NPLスコアをコンピュータで計算する前に、家族は、構成成分である核家族に分解された。根拠となる疾患モデルは未知であったため、本発明者らは、3種の異なる疾患モデル(劣性モデル、優性モデル、付加モデル)のもとで試験し、その後3種のモデルに対する多重試験にあわせて調節したp-値を使用して、最大値を取った。
【0034】
三部分(Tripartite)解析
解析は、3つの連続した工程で行われた。第一に、CIDRにて遺伝子型決定されたデータセットを解析した。第二に、染色体10上のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域における8つの追加のSNPsを局所的に遺伝子型決定した後、次に、局所的に遺伝子型決定されたデータセットを解析した。PLEKHA1からPRSS11領域における既知の非-同義のSNPsのすべてを調べた点に注目すべきである。これらの2種類のデータセットは、サイズおよび組成の点で異なっているため、それらを別々に解析することはもっとも直接的なことである(表2)。アリル頻度推定、CCREL関連性試験、およびGIST試験を、上述したこれらの(重複する)データセット両方に対して行った。第三に、本発明者らは、染色体1領域と染色体10領域との相関関係について試験し、並びにリスクが、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在の関数として異なっているかどうかを調べた。
【0035】
【表2】
【0036】
Part I:CIDR SNPsの解析
CIDR SNP遺伝子型決定
染色体10q26上の原因となる遺伝子を特定するため、Center for Inherited Disease Research(CIDR)は、本発明者らの目的とする領域を含む13.4 Mbp(26.7 cM)をカバーする199種のSNPsを用いて、612例のAMD家族および184例の血縁関係のない対照の高密度カスタムSNP遺伝子型決定を行った。解析のために、196種のSNPsを使用した:3例は対照中に多型が存在しないため使用しなかった(この点について家族のデータ内をチェックした際、失われたアリルは非常にまれなものであり、そしてヘテロ接合体中にのみ存在した)。染色体1q31上の45.7 Mbp(47.1 cM)をカバーする684種のSNPsもまた、遺伝子型決定された;5種のSNPsは対照中に多型が存在しないため使用しなかった - 失われたアリルは、存在しないかまたは非常にまれなものであり、そして家族のデータ中のヘテロ接合体中にのみ存在した。本明細書中で提供されるアリル標識と実際のアリルとの間の対応関係について、そして同義性のないSNPsのアミノ酸変化については、表3を参照。
【0037】
【表3−1】
【0038】
【表3−2】
【0039】
調査した各マーカーについて、アリル標識、同義性のないSNPsのアミノ酸変化、CIDR対照におけるアリル頻度(179例)、および局所対照におけるアリル頻度(117例はCIDR対照と重複)および限定的試験のHWE p-値。
【0040】
Part II:局所的に遺伝子型決定されたSNPsの解析
局所SNP遺伝子型決定 - 3種の感受性遺伝子、PLEKHA1、LOC387715およびPRSS11をカバーする、染色体10上の8種の追加のSNPs(すなわち、PLEKHA1(rs12258692、rs4405249およびrs1045216)、LOC387715(rs10490923、rs2736911、rs10490924)およびPRSS11(rs11538141、rs1803403))を遺伝子型決定した。この遺伝子型決定の作業には、NCBIデータベースにおいてはこれらの遺伝子について記録された同義性のないSNPsのすべてが含まれた(図1を参照)。別の研究(Conley et al. 2005 Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy)の一部として、2種のCFH変異体(rs10922093およびrs1061170)を遺伝子型決定し、これもここで使用した。GRK5/RGS10遺伝子座のもとでの追加のSNPsの遺伝子型決定は、現在進行中である。rs12258692、rs1803403、および新たに特性決定されたSNP、rs12258692の1塩基3’側であるrs4405249、についての遺伝子型データを、配列決定により回収し(Rexagen Corporation, Seattle, WA)、そしてSequencherソフトウェア(Gene Codes Corporation, Ann Arbor, MI)を使用して解析した。rs11538141、rs2736911、rs10490923およびrs10490924についての遺伝子型データを、RFLPを使用して回収した。プライマー、増幅条件、および制限エンドヌクレアーゼ(適切な場合)は、配列決定またはRFLPにより遺伝子型決定されたSNPsについては、表4において見いだすことができる。
【0041】
【表4】
【0042】
rs1045216についての遺伝子型データは、5’エキソヌクレアーゼAssay-on-Demand TaqManアッセイ(Applied Biosystems Incorporated, La Jolla, CA)を使用して回収した。増幅および遺伝子型決定は、ABI7000およびSDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して行った。2例の血縁関係のないCEPHサンプルが、各変異体について遺伝子型決定され、そして各ゲル上にそして各TaqManトレイ中に含まれ、遺伝子型判定における内部整合性を保証した。さらに、二重盲検遺伝子型決定の課題が、各変異体について行われ、比較され、そしてそれぞれの矛盾が、生データを使用してまたは再遺伝子型決定を使用して対処された。本明細書中で提供されたアリル標識と実際のアリルとの間の対応性について、および同義性のないSNPsのアミノ酸変化について、表3を参照。
【0043】
Part III:相互作用およびオッズ比(OR)解析
血縁関係のない事例 - 血縁関係のない事例は、CIDRによっては何も遺伝子型決定されなかった。しかし、196例の血縁関係のない事例が、追加のSNPsについて局所的に遺伝子型決定された。オッズ比の計算のため、そして相互作用解析のため(以下を参照)、一組の血縁関係のない事例を、各家族から一人の“Type A”罹患者を採取することにより生成した。321例の局所的に遺伝子型決定された家族少なくとも一人の“Type A”罹患者を有した。家族が一人以上の“A”罹患者を有した場合、rs800292(CFH)、rs1061170(CFH)、rs1537576(GRK5)およびrs4146894(PLEKHA1)において最も遺伝子型決定されたヒトが選択された;遺伝子型決定されたSNPsの数が、2人のヒトの間で識別できない場合、疾患を発症したより若年のヒトが選択され、それ以外の場合は‘A’罹患者事例が最も遺伝子型決定されたヒトであって発症年齢の最も若かったヒトから無作為に選択された。577例のCIDR家族が少なくとも一人の“A”罹患者を有し、321例のこれらの家族もまた局所的に遺伝子型決定され、そして‘A’罹患者が局所セットに対する場合と同一のものとして選択された。残りの256家族について、選抜は、rs800292(CFH)、rs1537576(GRK5)、およびrs4146894(PLEKHA1)のみを使用して最も完全に遺伝子型決定したヒトを見いだした以外は、同一の分類に基づいていた。
【0044】
CFHとの相互作用の解析
CFH中のSNPsが染色体10上の連鎖シグナルに寄与し、そして染色体10上のSNPsが染色体1上の連鎖シグナルに寄与した場合、染色体1上のCFHおよび染色体10上の遺伝子との潜在的な相互作用は、GISTを用いた試験により調べられた。これは、一つの染色体上のSNPsからの重み付けおよび別のものから採取した家族ベースのNPLsからの重み付けを使用することにより行われた。
【0045】
ロジスティック回帰もまた使用して、異なる相互作用モデルを評価し、そしてNorthらにより記載されたアプローチの後の相互作用について試験した(North et al. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered 59:79-87)。このアプローチにおいて、両遺伝子座での追加の作用および優性効果を同時的に可能にする多数の異なる可能性のある相互作用モデルが適合され、そして最も可能性がありそして費用がかからないモデルについての推定を導き出すために、異なるモデルの相対的確率が比較される。以前に記載したように(North et al. 2005)、これらのモデル適合には、平均期間のみが推定されるMEANモデル、1つまたはその他の遺伝子座または両方の遺伝子座での追加的作用を仮定するADD1、ADD2およびADDモデル、さらに優性効果を組み込むDOM1、DOM2およびDOMモデル、および相互作用効果を可能にするさらに2種のモデルADDINTおよびDOMINTが含まれる(より詳細については、North et al. (2005)を参照)。これらのモデルのいくつかのペアは入れ子にされていないため、それらをAkaike情報基準(Akaike information criteria;AIC)を使用して比較した;このアプローチにおいて、最低のAICを有するモデルは、最も適合度がよく、そして最も費用がかからないものであると考えられる。これらの解析について、Northおよびその同僚により提供されたプログラムを使用した。本発明者らが見つけたいくつかのバグを修正した後、結果を、本発明者自身のRプログラムと二重チェックした。サンプルサイズを最大にするため、各遺伝子中で非常に大型の同義性を有しないSNPを伴う高LDにおけるCIDR SNPsを選択した。CIDR SNP rs800292は、rs10611710(CFHのY402H変異体)を示すために選択され、そしてCIDR SNP rs4146894はPLEKHA1におけるrs1045216を示す。同様に、GRK5、RGS10、およびPRSS11における代表的なCIDR SNPが選択された。
【0046】
関連性の程度
およそのオッズ比が計算され、そしてSNPsについての寄与リスクが各遺伝子において推定された。対照において最も頻度が低かったアリルが、リスクアリルであると考えられた。寄与リスクが、式
AF = 100×P×(OR - 1)/(1 + P×(OR - 1)
〔式中、ORはオッズ比であり、そしてPは対照から推定した場合の個体群中のリスクアリルの頻度である〕を使用して推定された。これは、対照と比較した‘Type A’罹患者、対照と比較したCNVを有する被験者、および対照と比較したGAを有する被験者、を使用して行われた。可能性ある最大のサンプルサイズを使用するため、異なるがしかし重複するサンプルを、CIDRについておよび局所的にタイピングされたSNPsについて使用した。家族から取り出した577例の事例および179例の血縁関係のない事例を、CIDR SNPsのORおよびARを計算するために使用したが、517例の事例(そのうち、321例が、577例のCIDR SNPの事例の中のものである)および117例の対照(すべてが179例のCIDR SNP対照の中のものである)を、局所的に遺伝子型決定されたSNPs上でのORおよびARを計算するために使用した。
【0047】
多重試験の問題
染色体10q26領域にARM-感受性遺伝子座が存在するという以前の研究に由来する非常に強力な証拠を考慮して、ここで行われた解析は、仮説検定ではなく、感受性遺伝子の位置を推定することを目的としている。多重試験の問題は、最も重要なものであり、そして仮説検定の文脈において関連性のあるものである。推定の際、これらの研究の焦点は、単純に、シグナルが最強である場合である。いずれにしても、多重試験についてのいずれかの補正は、結果の序列を変えるものではなかった。LDよる試験間でのいずれかの補正の原因とはならないボンフェローニ補正(Bonferroni correction)(196例の試験のための0.05レベルでの補正)は、0.05/196 = 0.00026の有意な閾値を導いた;LDによる補正はより大きな閾値を導いた
【0048】
結果
解析を、3つの連続する工程において行った。第一に、CIDRで遺伝子型決定されたデータセットを解析した。第二に、染色体10上のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域における8つの追加のSNPsを局所的に遺伝子型決定した後、次いで局所的に遺伝子型決定されたデータセットを解析した。アリル頻度推定、ハーディ・ワインベルグ平衡についての試験(表3)、CCREL関連性試験、およびGIST試験を、上述したこれらの(重複する)データセット両方について行った。第三に、染色体1領域と染色体10領域との間の相互作用を解析し、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在の関数としてリスクが異なるかどうかを調べた。
【0049】
Part I:CIDR SNPsの解析
CIDR連鎖の結果
本発明者の以前の研究の場合と同様に(Weeks et al. 2004)、CIDR SNPsを使用して、そして同一の連鎖解析アプローチを適用して、染色体10上のSall多重点曲線のピークをGRK5領域と関連づけるが(図2における‘G’;GRK5におけるrs1537576は1.87の単一点Sallを有し、一方3.86の最大単一点Sallが、GRK5の206 kbセントロメア側のrs555938に生じた)、しかしいくつかの亢進された二点の非-パラメトリックSall LODスコアおよびPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域に注目を集める本発明者らの最高不均質LODスコア(HLOD)を関係づける(図2における“P”)。この領域において、PLEKHA1におけるSNP rs4146894は、3.34の二点Sallおよび2.66の最高の二点HLODを有し、一方、PRSS11におけるSNPs rs760336およびrs763720は、それぞれ2.69および2.23の二点Sallを有した。しかしながら、サポート間隔は大きく(10.06 cM、図2)、そして連鎖解析のみからの局在化はむしろ不正確である。
【0050】
SNP-SNP LDを考慮することができない効果は、すべてのSNPsによる多重点スコア(図2、左パネル)を、htSNPsのみにより算出されたもの(図2、右パネル)と比較することにより、探索された。2つのピークは、H-clust SNPsを使用した場合にのみ、ほとんど完全に消失する(偽ピークと呼ぶ、“F”、図2、左パネル);興味深いことに、これら2つのピークは、ハプロタイプブロック中に存在し(図3Aおよび図3B)、一方最高値多重点LODスコアおよび2点LODスコア周辺のLDは低く(図3C、図3D-1および図3D-2)、このことから、連鎖解析を行う場合に、LDを考慮に入れることの重要性が示される。
【0051】
染色体1上での連鎖の結果は、2よりも大きいSallを有する3つのピークをもたらし、解析をhtSNPsに限定した場合に、それらのピークのうちのただ一つのみが、観察された(図4)。この残りのピークは、補体因子H(CFH)遺伝子の上にあり、そしてそれには非常に高い2点SallおよびHLODスコアを有する2種のSNPsが含まれる;CFHにおける同義性のないSNPであるrs800292は、1.53のSallおよび2.11のHLODを有し、一方CFHの165 kbテロメア側のSNP rs1853883は、4.06のSallおよび3.49のHLODを有した。これらの結果は、ARMにおいて、CFHが関与するという初期の知見を強力に支持する(Conley et al. 2005; Edwards et al. 2005; Hageman et al. 2005b A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A.; Haines et al. 2005; Klein et al. 2005; Zareparsi et al. 2005a)。消失するピーク(図4、左パネルにおける‘F’)は、連鎖解析において本発明者らのSNPsのすべてを使用する場合に見いだされたが、強力なハプロタイプブロック中に存在し(図5Aおよび図5B)、一方、CFHピーク下のLDは、相対的に低い(図5C)。
【0052】
CIDR関連性の結果
連鎖により得ることができる場合よりもより精密な局在化のため、関連性解析を使用した(これは、染色体1上でCFHを発見する際に非常に有用であった)。ここでは、CCRELアプローチを使用して関連性解析を行った。それにより、事例の同系性(relatedness)について適切に調整することにより、本発明における血縁関係のない対照および本発明における血縁関係のある家族の事例のすべてを、同時に使用することが可能になる。染色体10上のCIDRサンプルにおいて、本発明の連鎖ピーク中において、本発明者らは、非常に小さなp-値を有する4つの隣接するSNPs(rs4146894、rs1882907、rs760336およびrs763720)のクラスタであって、3つの遺伝子:PLEKHA1、LOC387715およびPRSS11をカバーするもの、が特定されることを見いだした。染色体10上の最強のCCRELの結果は、SNP rs4146894を用いたPLEKHA1におけるものであった(表5)。3つのSNPsを同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析(“ハプロ3”)は、結果として、PRSS11領域に対してPLEKHA1の全体にわたり、非常に小さなp-値をもたらす(表5)。関連性試験はまた、連鎖の最高の証拠が生じる場所であるGRK5領域におけるいくつかの適度に小さなp-値を生成する。
【0053】
CCRELが、染色体1上の連鎖ピークをカバーする56種のSNPsについて行われ、そしてCFHをカバーする2つの非常に大型のSNPs(rs800292およびrs1853883)が見いだされた(表5)。2つのSNPs(“ハプロ2”)および3つのSNPs(“ハプロ3”)を同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析は、結果として、CFH遺伝子全体にわたり、きわめて低いp-値をもたらし(表5)、そしてこれもCFHのARMとの強力な関連性の初期の知見を支持するものである。
【0054】
CIDR GISTの結果
GIST試験がCIDRデータセットについて行われる場合、染色体10q26における2つの最小のp-値(0.006、0.004)が、GRK5/RGS10領域において生じ、一方、3番目に小さいp-値(0.008)が、PLEKHA1において生じる(表5)。GRK5遺伝子中の4種のSNPsのすべてが、小さなGIST p-値を有する。GISTの結果は、GRK5およびPLEKHA1の両方が、染色体10上の連鎖シグナルに顕著に寄与し、そしてCFHが染色体1上の連鎖シグナルに顕著に寄与することを示唆する。PRSS11における2種のSNPsのいずれも、染色体10上の連鎖シグナルには特に寄与しない。染色体10上のこれら2つの遺伝子が、染色体1上で見られる連鎖シグナルに関連しているという証拠は、存在しなかった。
【0055】
PART II:局所的に遺伝子型決定されたSNPsの解析
局所的関連性の結果
追加のSNPsを局所的にタイピングした後、アリル試験および遺伝子型試験は、3つの遺伝子PLEKHA1/LOC387715/PRSS11のそれぞれにおいて、きわめて小さなp-値を生成する(表6)。3つのSNPsを同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析(“ハプロ3”)は、結果として、PLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域全体にわたり非常に小さなp-値をもたらす(表6)。従って、関連性がPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域に関連しているが、一方、それはこれらの遺伝子間で識別されない。
【0056】
表5 CIDRでタイピングされた家族(594)および対照(179)での、CCREL、GIST、およびアリル頻度推定。対照におけるより少ない方のアリルの頻度が、対照(カウントにより推定)および家族(Mendelバージョン5により推定)の両方ともについて報告され、アリル頻度が対照および家族の間で0.1よりも大きく異なる場合に、アリル頻度を太字にする。CCRELに由来するアリル試験、ハプロタイプ2 SNP Moving Window試験、ハプロタイプ3 SNP Moving Window試験、および遺伝子型試験についてのP-値は、≦0.05である場合に太字、≦0.001の場合に太字かつ下線とする。染色体1および染色体10に由来するNPLスコアを使用したGIST P-値が報告され、0.05未満の場合に太字、そして≦0.001の場合に太字かつ下線とする。
【0057】
【表5】
【0058】
表6 局所的にタイピングされた家族(323)および対照(117)での、CCREL、GIST、およびアリル頻度推定。対照におけるより少ない方のアリルの頻度が、対照(カウントにより推定)および家族(Mendelバージョン5により推定)の両方ともについて報告され、アリル頻度が対照および家族の間で0.1よりも大きく異なる場合に、アリル頻度を太字にする。CCRELに由来するアリル試験、ハプロタイプ2 SNP Moving Window試験、ハプロタイプ3 SNP Moving Window試験、および遺伝子型試験についてのP-値は、≦0.05である場合に太字、そして≦0.001である場合に太字かつ下線とする。染色体1および染色体10に由来するNPLスコアを使用したGIST P-値が報告され、0.05未満の場合に太字とする。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0059】
【表6】
【0060】
局所的GISTの結果
3種の遺伝子PLEKHA1/LOC387715/PRSS11のうち、GISTは、PLEKHA1と最も強力に関連している(表6)。それはまた、LOC387715(rs10490924)においては小さなp-値を生成し、しかしこのSNPは、PLEKHA1 SNPsにより高いLDである(図6Aを参照)。局所的にタイピングしたデータセットを使用する場合、GISTは、より大きなCIDRサンプルにおいて上述したように有意ではない結果が得られたのと同様に、PRSS11において何ら有意な結果を生成しない。このことは、PLEKHA1(またはそれを伴う強力なLDにおける遺伝子座)が、AMDに関与する可能性が最も高く、そして従ってLOC387715が依然として可能性を有することを意味している。
【0061】
どのSNPが領域にわたる連鎖シグナルを説明するかを公正に評価するため、局所的に遺伝子型決定された家族のみを使用してNPLsを算出した。このことにより、表6におけるPLEKHA1/LOC387715/PRSS11の結果を、GRK5/RGS10の結果と直接的に比較することが可能になる。局所的にタイピングしたデータセット上で、GRK5 GISTの結果もまた興味深いものであり、GISTをCFHに対して適用することから得られたp-値と同程度の適度に小さなp-値を有している(表6)。しかしながら、p-値が、CIDRデータセットを解析した場合に見られるp-値と、同じほどは小さくない、という点に注目すべきである。GRK5領域におけるSNPsのすべてがCIDR SNPsであるため、局所的にタイピングされたデータセットが、CIDRデータセットよりも小さいため(表2を参照)、この差異は、単にサンプルサイズの関数である。
【0062】
Part III:相互作用解析およびオッズ比(OR)解析
GISTの結果
染色体1領域と染色体10領域との間の相互作用についての強力な証拠は何も、GIST試験により見られなかった。CIDRデータセットを使用する場合、染色体10上のSNPsが染色体1上の連鎖シグナルに寄与するかどうかを試験するため(表5 ‘GIST(NPL 1)’)、PRSS11中のrs763720のみが0.05よりも低いp-値をもたらし、しかしながらrs763720は、染色体10上の連鎖シグナルには顕著に寄与せず、このために、このp-値はあまり説得力のあるものではなくなる。局所データセットのみを使用した場合、より大きなCIDRデータセットにおいては顕著ではなかった1つのGRK5変異(rs1537576)が、0.05未満のp-値をもたらす。同様に、CFH中のSNPsが染色体10上の連鎖シグナルに寄与するという証拠は見られなかった。わずか1つのSNP(rs955927)が0.05未満のp-値をもたらしたが、しかしながらこのSNPは、CFH中のものではなく、そしてCFH遺伝子中のいずれかのSNPsを伴う強力なLD中のものではない(図6Bを参照)。
【0063】
ロジスティック回帰の結果
ロジスティック回帰により、CFH由来の変異およびPLEKHA1由来の変異の両方を含む追加のモデルが、ケースコントロール状態を予測するための最良のモデルであることが、示唆される;このことは、両遺伝子が、ARM表現型にとって重要なものであることを示している。AIC基準により、追加の相互作用期間を含む追加のモデルが、次に最良のモデルであるが(表7)、しかし、相互作用期間は重要ではない(p-値 = 0.71)ことがもたらされる。同様の結果は、両方の変異を含む追加のモデルが最良のモデルであると思われる、CFHおよびPRSS11の間の相互作用について得られた。GRK5/RGS10領域内部では、CFH SNPのみを有するモデルが最良適合モデルであり、このことは、CFH遺伝子型を用いたケースコントロール状態の予測が、モデルに対してGRK5変異またはRGS10変異のいずれかを追加することにより改良されるのではないことを示唆している。
【0064】
【表7】
【0065】
オッズ比および寄与リスク
関連性の程度は、オッズ比(OR)および寄与リスク(AR)を計算することにより推定した;観察された顕著な関連性(表8)は、part Iおよびpart IIのCCREL試験から得られた結果と一致していた。PLEKHA1/LOC387715領域中の最も大型のSNPsのうちの2つは、SNPs rs4146894(PLEKHA1)およびrs10490924(LOC387715)で生じる;これら2つの試験は非常に相関している。というのも、それらのSNPsの間でのLDは非常に高いためである(D’=0.93)(図6Aを参照)。染色体10領域中で3番目に大型のSNP(rs1045216)は、PLEKHA1において、そしてrs4146894(D’=97)およびrs10490924(D’=0.91)の両方を伴う高いLDにおいて、同義性のないSNPである。
【0066】
表8 10000個の複製を使用したカイ二乗検定に由来する、オッズ比(OR)、寄与リスク(AR)、およびシミュレートされたp-値。“Type A”罹患者を対照と比較する。OR値およびAR値は、対応するp-値が0.001未満である場合には太字かつ下線とし、そして0.05未満である場合には太字とする。SNP.アリルは、測定されたSNP、およびリスクアリル(対照中で数の少ないアリル)を示す。RRはリスクアリルについてのホモ接合体を示し、RNはリスクアリルについてのヘテロ接合体を示し、そしてNNは正常アリルについてのホモ接合体を示す。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0067】
【表8−1】
【0068】
【表8−2】
【0069】
本発明者らは、他の研究者らがCFH遺伝子について報告したものと同様の結果および同様のOR値およびAR値を得た(表8)。3つの最も大型のSNPsは、rs1061170(Y402H変異)、rs800292(CFH中)、およびrs1853883(rs1061170を伴う強力なLD中、D’=91)であった。
【0070】
PLEKHA1/LOC387715中に見られる関連性の程度は、CFHとARMとの間で見られる関連性レベルと非常に類似している;両遺伝子座は、結果として、きわめて低いp-値(p-値<0.0001)をもたらす。OR値およびAR値もまた同様であり、CFH中においては優性のORは5.29(95%CI 3.35-8.35)であり、そしてPLEKHA1/LOC387715中においてはそれは5.03(95%CI 3.2-7.91)であり、またCFHおよびPLEKHA1/LOC387715についての優性のARは、それぞれ68%および57%であった。
【0071】
部分表現型(Sub-phenotype)解析
本発明者らは、滲出性疾患vs.対照を用いた事例、および地図状萎縮vs.対照を用いた事例、におけるオッズ比および寄与リスクを推定した(表9)。オッズ比および対応するp-値は、CCRELのアリル試験と同様の知見をもたらす(表5および表6)。本発明者らは、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかが存在することについて、オッズ比間での大きな差異は存在しないことを見いだした。
【0072】
表9 ARMサブタイプの解析から得たORおよびAR。ORおよびARは、対応するp-値(カイ二乗検定、10000個の複製を使用してシミュレートしたp-値)が0.001未満である場合には太字かつ下線とし、そして0.05未満である場合には太字とする。SNP.アリルは、測定されたSNPおよびリスクアリル(対照中で数の少ないアリル)を示す。RRはリスクアリルについてのホモ接合体を示し、RNはリスクアリルについてのヘテロ接合体を示し、そしてNNは正常アリルについてのホモ接合体を示す。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0073】
【表9−1】
【0074】
【表9−2】
【0075】
【表9−3】
【0076】
検討
ARM家族についての本発明者らの連鎖研究は、いくつかのそれ以外の遺伝子座に加えて、染色体1q31遺伝子座および染色体10q26遺伝子座を一貫して特定した。複合連鎖の研究がこの知見を再現し、そして従って、ARM家族並びに血縁関係のない罹患者個体および対照を使用して両方の領域の集中的なSNP解析を、行った。染色体1q31上に、他の研究グループにより報告された、CFHとの強力な関連性を本発明者らは確認し(同様に、Conley et al. (2005)を参照)、そしてCFH中のSNPsが、連鎖シグナルの顕著な原因となることが初めて示された。興味深いことに、本発明者らの最小のGIST p-値(<0.001)は、Y402H変異により0.91の高いD'を有するrs1853883によるものであり、そして“疾患関連”と予測されたY402H変異自体によるものではなかった。CFH遺伝子中の可能性のあるその他のARM-関連変異が依然として検討されなければならないかもしれず、そしてこれらのものがY402Hにより高いLDである可能性がある、という可能性が、このことにより生じる。
【0077】
本発明者らの染色体10q26の研究は、2つの可能性のある遺伝子座、すなわち、3つの緊密に連鎖する遺伝子、PLEKHA1、LOC387715、およびPRSS11を含め、非常に強力に関係する遺伝子座と、そして2種の遺伝子、GRK5およびRGS10を含むそれほどは強力に関係していない遺伝子座と、が関係した(図1)。GIST解析は、ARM-関連遺伝子と同様にPRSS11をサポートしないが、しかしそれは可能性のある候補物として完全にそれを排除する訳ではない。PLEHKA1は、最小のGIST-由来p-値を有し、一方でLOC387715は最強の関連性シグナルおよび最強のオッズ比を有するSNPを保持する。LOC387715におけるSNPsおよびPLEKHA1におけるSNPsの間での高い連鎖不均衡により、統計的解析のみから、これらの遺伝子間を明確には識別することができない。しかしながら、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座のARMに対するインパクトの程度は、CFH遺伝子座について観察された程度と比較することができることは、明らかである。Science誌における最近の研究のように(Edwards et al. 2005; Haines et al. 2005; Klein et al. 2005)、CFHアリル(ヘテロ接合体またはホモ接合体のいずれか)が、5.3 ORのオッズ比(CI:3.4-8.4)および68%の有意な個体群寄与リスクの原因となることを、本発明者らのケースコントロール個体群において見いだした。同様に、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座中の高リスクアリルは、ヘテロ接合体個体およびホモ接合体個体を両方とも考慮に入れる場合、5.0のオッズ比(CI:3.2-7.9)および57%の個体群寄与リスクの原因となる。Klein et al (2005)により注目されたように、ケースコントロール研究から決定されるオッズ比は、通常は、一生のリスクを決定するために必要とされる同等の相対リスクを、過剰に推定する可能性がある。
【0078】
染色体1上の補体因子H(CFH)の場合、CFHが関連する遺伝子の領域中に存在するにもかかわらず、関連性データは、単一遺伝子に関して、きわめて説得力のあるものである。複数の別個の研究グループにより見いだされた関連性データに加えて、ARM患者のドルーゼ沈着物中のタンパク質の局在を含む、CFHを関連づける追加の生物学的データが存在する。従って、本発明者らはまた、染色体10q26の本発明者らの研究により特定された可能性のあるARM-感受性遺伝子の生物学的関連性を考慮しなければならない。
【0079】
上述したように、GIST解析は、PLEKHA1と最も強力に関係し、特に本発明者らが遺伝子型決定に追加した追加の同義性のないSNPsを含めた場合に、最も強力に関係した。PLEKHA1(GenBank NM_001001974、NM_021622、NP_001001974およびNP_067635;MIM 607772;UniGene Hs.287830)は、タンパク質TAPP1をコードし、それは推定ホスファチジルイノシトール3,4,5-トリホスフェート-結合モチーフ(PPBM)および2つのプレクトストリンホモロジー(plectstrin homology;PH)ドメインを有する404アミノ酸のタンパク質である。最後の3つのC-末端アミノ酸は、MUPP1の1またはそれ以上の13個のPDZドメインと相互作用すると予想された(PRSS11中のPDZドメインと同様)。Dowler and colleagues(Dowler et al. 2000 Identification of pleckstrin-homology-domain-containing proteins with novel phosphoinositide-binding specificities. Biochem J 351:19-31.)は、TAPP1タンパク質全体およびC-末端PHドメインが、ホスファチジルイノシトール3,4-二リン酸(PtdIns(3,4)P2)と特異的に相互作用するが、その他のホスホイノシチド類のいずれとも相互作用しないことが示された。TAPP2の最初の300アミノ酸と58%の同一性を有するTAPP1は、PtdIns(3,4)P2に対してTAPP2よりも5倍高い親和性を示し、そしてこの結合は、PPBM領域(これは第二のPHドメインの一部である)中の保存性のarg212をロイシンに変異させることにより、ほとんど除去される。TAPP1(およびその類縁物質Bam32およびTAPP2)に関して最もよく解析された役割は、リンパ球のアクチベーターとしての役割である。脂質ホスファターゼ(SHIP)がPI3Ks(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)とともに活性化される場合、PtdIns(3,4)P2が、細胞膜に対して優先的に動員される。SHIPは、PIP3からPtdIns(3,4)P2への脱リン酸化に関与する。SHIPは、リンパ球活性化の負の制御因子であり、従って、TAPP1(およびTAPP2)は、マイトジェンのシグナル伝達のそしてPI3Kシグナル伝達経路の重要な負の制御因子である。従って、当業者であれば、局所的リンパ球活性化を修飾することにより、PLEKHA1およびそのタンパク質TAPP1の眼における役割を予想することができ、そのことは、ARMが炎症性プロセスと密接に連鎖しているという仮説と一致している。
【0080】
しかしながら、本発明の発明者らは、この遺伝子座中の2種の他の候補遺伝子、LOC387715およびPRSS11の生物学的妥当性を依然として考慮する必要がある。LOC387715(Genbank XM 373477およびXP 373477;UniGene Hs.120359)の生物学については、その発現が胎盤に限局されているらしいということ以外は、ほとんど知られていない。本発明者ら自身が行ったヒト網膜RNAを用いた逆転写実験により、PLEKHA1およびPRSS11の発現が確認されたが、しかしながら、胎盤RNAを用いてその発現が確認されたにも関わらず、標準的な条件下の網膜においては、LOC387715転写物は検出されなかった(データは示さず)。しかしながら、本発明者らは、LOC387715が、網膜または網膜色素上皮において非常に低レベルで発現されている可能性、または非-眼組織(例えば、樹状細胞(dendritic cell)または遊走性マクロファージ)におけるその発現がARMの病原性における因子である可能性を、排除することはできない。
【0081】
PRSS11(GenBank NM 002775およびNP 002766;MIM 602194およびUniGene Hs.501280)は、非常に保存されたC-末端PDZドメインを有する、哺乳動物HtrA(高温要求性A;high temperature requirement A)セリンプロテアーゼファミリーの遺伝子の一つである(Oka et al. 2004 HtrA1 serine protease inhibits signaling mediated by TGFfbeta family proteins. Development 131:1041-1053)。最初は、高温での生存および低温での分子シャペロン活性に対して必要とされる細菌型との間でのそれらのホモロジーに基づいて、これらの分泌性プロテアーゼが特定された。ATP-非依存性セリンプロテアーゼ活性は、ミスフォールドされたタンパク質を高温で分解すると考えられる。哺乳動物型であるHtrA1は、HtrA2とは対照的に、III型コラーゲンα1 Cプロペプチドにより、選択的に刺激されることが示された(Murwantoko et al. 2004 Binding of proteins to the PDZ domain regulates proteolytic activity of HtrA1 serine protease. Biochem J 381:895-904)。III型コラーゲンは、Bruchの膜における主要な構成成分であり(全コラーゲンの35〜39%)、そして網膜微小血管規定膜においても少量存在している。発生的な研究が、HtrA1の偏在性の発現について報告したが、しかしそれはTGF-βタンパク質が制御的役割を果たす領域と一致しているという、時間的および空間的領域の特異性を有するものであった(De Luca et al. 2004 Pattern of expression of HtrA1 during mouse development. J Histochem Cytochem 52:1609-1617.)。Okaとその同僚(Oka et al. 2004 HtrA1 serine protease inhibits signaling mediated by Tgfbeta family proteins. Development 131:1041-1053)により、HtrA1が、Bmp4、Bmp2およびTGF-β1を含む多数のTGF-βファミリータンパク質のシグナル伝達を、おそらくはHtrA1分子のプロテアーゼ活性を必要とすることによって受容体活性化を妨害することにより、阻害することができることが、示された。ARMに対するこれらの関連性の潜在的重要性に関する糸口の一つは、Hollbornらの研究(Hollborn et al (2004) Contrary effects of cytokines on mRNAs of cell cycle- and ECM-related proteins in hRPE cells in vitro. Curr Eye Res 28:215-223)からもたらされる。彼らは、ヒトRPE細胞が、TGF-β1およびTGF-β2の存在下にて、in vitroで増殖の低下を受け、そしてコラーゲンIIIおよびコラーゲンIV転写物のレベルの増加が生じたことを見いだした。通常は、コラーゲンIIIの上昇は、HtrA1を活性化させ、そしてそれがTGF-β1の作用の二次的な阻害をもたらす。しかしながら、セリンプロテアーゼがそれほど有効でなければ(合成の減少または非機能的変異のいずれかの理由で)、この制御経路は乱され、RPE細胞の増殖能力の全体的な減少が引き起こされ、それはおそらく、RPE萎縮またはARMの発症を引き起こす可能性のあるさらなる変化の原因となる。加齢とともに観察されるBruchの膜におけるIII型コラーゲンの可溶性の漸減は、部分的には、個体の年齢とともにHtrA1活性が全般的に減少することの原因となる可能性がある。
【0082】
PRSS11およびPLEKHA1は両方とも、網膜において発現され、そして中心網膜および周辺網膜のSAGE解析(GEO発現データ)は、中心部黄斑における両遺伝子の転写物レベルがより高いことが示される(PRSS11よりもPLEKHA1でなおさら)。複数の研究(GEOの分析結果において報告されたもの)により、PLEKHA1の発現が、特異的な炎症性サイトカインへ曝露されることに反応して、様々な細胞型において有意に誘導されることが示された。PRSS11もまた、正常なヒトとARM患者との間での比較において、酸化的に刺激された皮膚線維芽細胞のマイクロアレイ発現解析の一部として、研究された。その研究において、ARMサンプルの半分(9/18)が、正常サンプルのいずれと比較しても、Htra1発現レベルが低かった。ARM患者の非-眼組織におけるより低いレベルのHtra1から、正常個体と比較した場合に、これがこれらの患者の生物学における内因性の差異であること、そして眼における退行性変化の結果ではないこと、が示唆される。
【0083】
GRK5/RGS10遺伝子座は、いくつかの流れの証拠によりサポートされている。本発明者らのSall多重点曲線のピークは、GRK5のすぐ上であり、そして本発明者らの最大の単一点Sall = 3.86(rs555938)は、GRK5のわずか206 kb中心体よりである。GRK5/RGS10 CIDRデータのGIST解析についてのp-値は、0.004および0.006であり、それはPLEKHA1中のSNPについてのp-値(0.008)よりも遙かに小さい。本発明者らの局所的に遺伝子型決定されたサンプルを使用して、GRK5遺伝子座についてのGIST p-値は0.012であった。これは、CFHにおけるY402H変異について見いだされたp-値(p=0.011)に匹敵するものである。しかしながら、CCREL解析は、GRK5 SNPsについて非常に重要なものというわけではなく、そしてオッズ比は、ほとんど有意性がなかった。
【0084】
生物学的な証拠に基づいて、GRK5(GenBank NM 005308およびNP 005299;UniGene Hs.524625;MIM 600870;およびPharmGKB PA180)は、好中球の化学誘引物質に対する反応性を修飾する際のその役割およびToll 4受容体とのその相互作用を条件として(Haribabu and Snyderman 1993 Identification of additional members of human G-protein-coupled receptor kinase multigene family. Proc Natl Acad Sci U S A 90:9398-9402; Fan and Malik 2003 Toll-like receptor-4(TLR4)signaling augments chemokine-induced neutrophil migration by modulating cell surface expression of chemokine receptors. Nat Med 9:315-321.)、合理的なARM候補遺伝子であり、それはARMにも関与した(Zareparsi et al. 2005b Toll-like receptor 4 variant D299G is associated with susceptibility to age-related macular degeneration. Hum Mol Genet 12:1449-55)。GRK5の網膜での発現またはRPE発現は、因果関係の主張に特に関連する訳ではない。というのも、それがARMにおける病因の可能性がある免疫経路/炎症経路におけるその役割にとって重要なものである、遊走性リンパ球およびマクロファージにおけるGRK5の発現および機能である可能性があるためである。最強のGISTの結果は、rs2039488で生じ、それはGRK5およびRGS10の間の両遺伝子の末端に対して3’側に実際に位置していた。GRK5遺伝子中のいくつかのその他のSNPsもまた、小さなGIST p-値を有するが、一方RGS10 SNPは、有意なGIST p-値を有さない。しかしながら、本発明者らは、rs2039488と強力な連鎖不均衡の状態であるRGS10中のSNPが存在する可能性を、完全には排除することができない。
【0085】
RGS10(GenBank NM 001005339、NM 002925、NP 001005339およびNP 002916;UniGene Hs.501200;およびMIM 602856)は、ケモカイン-誘導性リンパ球遊走に関与するGタンパク質会合受容体ファミリーの一つであり(Moratz et al. 2004 Regulation of chemokine-induced lymphocyte migration by RGS proteins. Methods Enzymol 389:15-32.)、そして樹状細胞中でのその発現(ARM-関連性ドルーゼ沈着において特定された)は、Toll-様シグナル伝達経路により修飾される(Shi et al. 2004 Toll-like receptor signaling alters the expression of regulator of G protein signaling proteins in dendritic cells: implications for G protein-coupled receptor signaling. J Immunol 172:5175-5184)。AMD被検体および対照被検体における、酸化ストレスを与えた皮膚線維芽細胞の同一のマイクロアレイ研究でのRGS10の発現およびGRK5の発現は、サンプル間でわずかに揺らぎを示したが、しかし対照事例と罹患者事例との間での明確な差異ではなかった。このことは、これらの遺伝子がARMに関係している可能性を必ずしも低下させるものではない。というのも、皮膚線維芽細胞は、RGS10-および/またはGRK5-関連性タンパク質を修飾させると予想される細胞集団を有さないためである。
【0086】
本発明者らは、染色体1上のCFHに関して、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座およびGRK5/RGS10遺伝子座中の高リスクアリル間での潜在的相互作用を検出する様努力した。本件出願は、おそらくは、GISTを使用してこれらの相互作用を調べる初めての報告であり、そして本発明者らは、染色体1上のNPLデータが染色体10上のSNPデータにより説明できるという証拠は、何も見つけられなかった。逆に、本発明者らは、染色体10上のNPLデータとCFHアリル由来のSNPデータとの間にそのような関連性を何も見いださなかった。ロジスティック回帰解析によっても、相互作用を特定することはできなかった。そしてそのことが、単純な追加的リスクモデルが最も安上がりなものであるようである。本発明者らは、タバコの煙に対する曝露を含む、いくつかの初期のロジスティック解析を行った。タバコの煙と補体因子Hの生物学との相互作用が以前に示唆されていたため(Esparza-Gordillo et al. 2004 Genetic and environmental factors influencing the human factor H plasma levels. Immunogenetics 56:77-82.)、そしてタバコの煙と染色体10q26上の遺伝子座との間の相互作用を見いだした本発明者らの以前の研究があったため(Weeks et al. 2004)、これらの解析が始められた。これまでの所、本発明者らは、タバコの煙とCFHまたはPLEKHA1/LOC387715遺伝子座のいずれかとの間の強力な相互作用は何も見つけていないが、しかし本発明者らは、GRK5/RGS10遺伝子座との可能性のある相互作用や、異なるモデル化戦略を依然として模索している。本発明者らは、ARM部分表現型(subphenotype)の、染色体1および染色体10の両方の上のSNPsとの関連性を調べた(表9)。本発明者らは、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在に関して、オッズ比には大きな差がないことを見いだした。このことは、これらのARM遺伝子座が、共通の病原性経路に寄与し、それが疾患の末期状態型のいずれかを形成する可能性があることを示唆している。このことは、地図状萎縮の発症またはCNVの発症に対して、別個に特異的リスクを付与する可能性がある、その他の、しかしまだ記載されていない遺伝子座が存在する可能性を排除しない。
【0087】
まとめると、これらのSNPベースの連鎖および関連性研究は、原因となるアリルおよびARM感受性の裏に潜む遺伝子を特定するためのそのような方法の能力および限界の両方を示している。これらの遺伝的アプローチにより、本発明者らは、疾患に関与する可能性がある遺伝子およびその変異体について、組織特異的発現があるかどうかを検討することができる。高密度SNP遺伝子型決定を介して、本発明者らは、染色体10q26上で見いだされる連鎖ピーク内部の候補遺伝子のリストを、数百から最初にGRK5およびPLEKHA1にまで絞ったが、しかし本発明者らは、RGS10および/またはPRSS11およびLOC387715の可能性のある役割を完全には排除することができない。GRK5遺伝子内の同義性のない3’ SNPsの追加の遺伝子型決定は、GRK5とRGS10との間のさらなる識別の補助となりうるが、しかしそれは、因果関係の明確な付与をもたらすことはできない。他の研究による反復(例えば、CFHの事例において)により、一遺伝子に焦点を絞ることはできるが、しかし、本発明者らが、関連性研究によりさらなる解決が達成できないか、またはARM感受性の原因である遺伝子が染色体10q26上に2つ以上存在するかどうかを明確に確立できないという、注目すべき可能性も存在する。しかしながら、分子生物学者たちはいまや、これらの候補遺伝子それぞれの、ARMのマウスモデルにおける潜在的な役割を研究し、そして疾患の病原性の原因的役割の問題に対処することができる。
【0088】
実施例2 - 実施例1の追跡
この実施例は、実施例1において提供された結論および発見をサポートしそして確認する、追加のデータを提供する。この中で、PLEKHA1におけるアリル変異および仮説上のLOC387715遺伝子が、加齢性黄斑変性症のリスク因子として特定された。
【0089】
ARMの病因は複雑であり、環境的感受性および遺伝的感受性が役割を果たしている。関連性ベースの解析は、一般的には、小さな遺伝的作用に対して、連鎖ベースの解析よりも感受性が高く、そして疾患関連遺伝子の精密なマッピングにはきわめて有用である(Cordell et al (2005) Genetic association studies Lancet. 366,1121-1131)。血縁関係のない個体を用いたケースコントロール関連性研究は、特に、多重遺伝子座遺伝子モデルが期待される場合には、家族ベースの研究を超える利点を有する可能性がある。(Howson et al. (2005) Comparison of population-and family-based methods for genetic association analysis in the presense of interacting loci. Genet Epidemiol. 29, 51-67. Risch et al. (2001) Implications of multilocus inheritance for gene-disease association studies. Theor Popul Biol. 60, 215-220.)。しかしながら、そのような研究は、事例集団および対照集団についての確認スキームに対して潜在的に感受性である。このような理由から、様々な確認スキームにより、集団中の候補遺伝子を評価する際に価値が存在する。この実施例は、補体因子H(CFH)遺伝子、超長鎖脂肪酸様物質4(ELOVL4)遺伝子の伸長、PLEKHA1遺伝子、および2種の異なる集団中の仮説上のLOC387715遺伝子を研究した。
【0090】
CFH遺伝子のARM感受性との関連性は、ヨーロッパ系アメリカ人家系のサンプル(Edwards et al. (2005), Haines et al. (2005), Klein et al. (2005), Hageman et al. (2005), Conley et al. (2005), Zareparsi et al. (2005))、並びに英国のサンプル(Sepp, T. et al (2006) Complement factor H variant Y402H is a major risk detriment for geographic atrophy and choroidal neovascularization in smokers and nonsmokers. Invest Ophthalmol Vis Sci. 47, 536-540, Germany - Rivera et al (2005) Hypothetical LOC387715 is a second major susceptibility genes for age-related macular degeneration, contributing independently of complement H to disease risk. Hum Mol Genet. 14, 3227-3236, France - Souied et al (2005) Y402H complement H polymorphism associated with exudative age-related macular degeneration in the French population. Mol Vis. 11, 1135-1140, Iceland- Magnusson et al (2006) CFH Y402H confers similar risk of soft drusen and both forms of advanced AMD. PLoS Med. 3, e5. and Japan - Okamoto et al (2006) Complement factor H polymorphisms in Japanese population with age-related macular degeneration. Mo Vis. 12, 156-158)において、確立された。
【0091】
3件の研究は、染色体10q26上のPLEKHA1/LOC387715遺伝子座をサポートする(Rivera et al (2005), Jakobsdottir Jr. et al (2005) and Schmidt et al (2006) Cigarette smoking strongly modifies the association of LOC387715 and age-related macular degeneration Am J Hum Genet. 78, 852-864)。Jakobsdottirらによる研究(Jakobsdottir et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)は、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座が、ARM状態に有意に関連しているが、しかしながら研究のために使用された独立した家族ベースの集団およびケースコントロール集団におけるPLEKHA1とLOC387715との間での強力な連鎖不均衡は、ある遺伝子の他の遺伝子に対する役割を決定することができなかったことを意味していると報告した(Jakobsdottir, et al. (2005))。Jakobsdottirらの刊行物以降、仮説上のLOC387715遺伝子が、ARMに対する感受性の原因となる遺伝子である可能性がより高いことを示す証拠が、非依存的な2件のケースコントロールサンプルを使用するRiveraらによる研究(Rivera et al. (2005))、および家族ベースの研究およびケースコントロール研究の両方を使用したSchmidtらの研究(Schmidt et al.)、において、発行された。3件の研究すべてにおいて、染色体10q26上のこの領域のARM状況との関連性が、3件の集団すべてにおいて以前に報告されたCFHとの関連性とは非依存的であることが示された(Haines et al. (2005, Conley et al. (2005), Rivera et al. (2005))。さらに、Schmidtらの研究に基づいて、LOC387715遺伝子座の作用が、喫煙履歴により修飾される様である(Schmidt et al.(2006))。
【0092】
2件の研究が、ヒトでのARMにおける潜在的なELOVL4の役割を評価した。Ayyagari らの文献(Ayyagari et al. (2001) Evaluation of the ELOVL4 gene in patients with age-related macular degeneration. Opthalmic Genet. 22, 233-239)は、遺伝子を評価し、そして彼らの散発性のケースコントロール解析では、ARM状況との有意な関連性を見いだせなかった。しかしながら、Conleyらは、本発明者らの家族性で散発性のケースコントロール解析においてはELOVL4とARM状況との有意な関連性を見いだした(Conley et al. (2005))。これらの研究の間での知見の相違は、各個体群における滲出性ARMを伴う事例の比率に関連する可能性がある。というのも、Conleyらは、ELOVL4が滲出性の部分表現型と特に関連していることを見いだしたためである。これらの結果は、追加の研究が、ELOVL4とARMとの関連性を確立するためまたは異議を唱えるために必要とされることを示す。
【0093】
本研究に関して使用された2種の集団は、ARM状況が確認のための因子ではない、開始時に65歳以上の個体の個体群ベースの集団、Cardiovascular Health Study(CHS)(Fried et al. (1991) The Cardiovascular Health Study:design and rationale. Ann Epidemiol. 1, 263-276)およびARM状況が確認のための因子である抗酸化物質および亜鉛介入(zinc intervention)の無作為で制御された臨床試験が関与する、55〜80歳の個体の集団であるAge-Related Eye Disease Study(AREDS)(Age-Related Eye Disease Study Research Group (1999) the Age-Related Eye Disease Study (AREDS):design implications. AREDS report no. 1. Control Clin Trials. 20, 573-600)であった。これらの集団は、以前に記述された(Klein, R., et al. (2003) Early age-related maculopathy in the cardiovascular health study. Ophthalmology. 110, 25-33 and Age-Related Eye Disease Study Research Group (2000) Risk factors associated with age-related macular degeneration. A case-control study in the age-related eye disease study: Age-Related Eye Disease Study Report Number 3. Ophthalmology. 107, 2224-2232)。
【0094】
本研究は、ARM状況に関して非常に異なる確認スキームを使用して、2例の独立した集団においてCFH遺伝子、ELOVL4遺伝子、PLEKHA1遺伝子、およびLOC387715遺伝子を評価し、その後それらの知見をメタ解析に導入するようにデザインされた。確認スキームとは関係なく、ある遺伝子のARMに対する感受性との関連性は、関連性が現実的であるという証拠をさらに増加させ、そしてこの(これらの)遺伝子の評価がリスク個体を正確に特定する可能性を高めるだろう。
【0095】
略語:ARM = 加齢性黄斑変性症;GA = 地図状萎縮;CNV = 脈絡膜新生血管膜;OR = オッズ比;PAR = 個体群寄与リスク;ORdom= 優性効果についてのオッズ比;ORrec = 劣性効果についてのオッズ比;ORhet = リスクアリルについてヘテロ接合体である被検体についてのオッズ比;そしてORhom= リスクアリルについてホモ接合体である被検体についてのオッズ比。
【0096】
材料と方法
Cardiovascular Health Study(CHS)参加者 - サンプリングおよび表現型解析
CHSは、65歳以上の個体における心臓血管疾患に関連する因子を特定するために主として設計された、個体群ベースの、長期的な研究である。網膜の評価を8年間の追跡訪問で行い、そしてこの集団の生存メンバーは18年の追跡評価をまさに完了したところである。コミュニティベースの動員は、Forsyth County, NC;Sacramento County, CA;Washington County, MD;およびPittsburgh, PAで行った。Health Care Financing Administrationのメディケア的確性リストを使用して、65歳以上である個体を特定した。リストメンバーの家族の中で生活する65歳以上の個体もまた、適格であった。試験対象患者基準(Inclusion criteria)は最小限であり、そして慣行化されたものではなく、少なくとも3年間この領域に残ることが期待され、インフォームドコンセントを与えることができ、車いすに束縛されておらず、ホスピスケアを受けておらず、そして癌のために放射線治療または化学療法を受けていないこと、が含まれた(Fried et al. (1991))。CHS由来のDNAサンプルが、本研究において使用された
【0097】
CHS被検体は、しばしば、一方の無作為に選択された眼の網膜を写真撮影し、そして、以前の刊行物において記載されたのと同一の分類モデルを使用して、その写真をDr. Gorinが分類した(Weeks et al. (2004) Age-related maculopathy: a genomewide scan with continued evidence of susceptibility loci within the 1q31, 10q26, and 17q25 regions. Am J Jum Genet. 75, 174-189)。ARMを有するその他の群のサンプルサイズが、合理的な結果を得るためには小さすぎるため、解析にはコーカソイド個体のみが含まれた:182例の黒人の対照がおり、しかしながら、わずか3例の事例および5例の対照のみがその他の人種であった。解析のために用いられたすべてのCHS事例(n=126)が“Type A”であり、それは、臨床的分類のための本発明者の最も厳密なモデルに含まれる(Weeks et al. (2004))。このカテゴリーにおける個体は、明らかに、拡張性(extensive)および/または癒着性(coalescent)ドルーゼに基づくARM、色素性変化(色素上皮剥離を含む)、および/または末期疾患[地図状萎縮(GA)および/または脈絡膜新生血管(CNV)膜]の存在、に罹患している。非常に少数のCHS事例が、末期のARM、GAまたはCNVを有した(表10);従って、ARMの特異的サブタイプの解析は行わなかった。すべてのCHS対照(n=1,051)は、AREDSグレード1のものであった。いくつかの潜在的対照(n=22)は、GAまたはCNVの不明確な兆候を示し、そして解析から除外された。
【0098】
表10 研究集団の特徴。AREDS集団において、平均年齢および表現型分類は、最後の眼底写真撮影の際の年齢に基づく。かっこ内の数字は、AREDS格付け法にしたがった疾患重症度を示す。CHS集団において、平均年齢は基準訪問時の年齢に基づくが、網膜評価は8年間の追跡訪問の際に行った。
【0099】
【表10】
【0100】
加齢性眼疾患研究(AREDS)の参加者 - サンプリングおよび表現型決定
AREDSは、ARMの博物学および本研究の中に埋め込まれる高用量ビタミンおよびミネラル添加の臨床試験による加齢性白内障の博物学についての予測的な多施設共同研究である。AREDS研究に動員された個体は、在籍者名簿の55〜80歳の男性および女性であった;これらの個体は、長期の追跡を妨害しうるいずれの症状または病気もないことが必要とされた。試験対象患者基準(Inclusion criteria)は最小限であり、基底部の写真撮影を許容する程度に十分に透明な眼球中膜(ocular media)を有することそしていずれの眼にもARMの証拠がないこと、または一方の視力は良好に維持されているが、他方においてARMを有すること、が含まれた(20/30またはそれ以上)(The Age-Related Eye Disease Study Research Group 1999)。NEI-AREDS Genetic Repository由来のDNAサンプルが、本研究のために使用された。
【0101】
ARM状況は、AREDS加齢性黄斑変性症評価システムを使用して、そして最も最近の追跡訪問で割り当てられた表現型に基づいて、割り当てられた。同様に、コーカソイド個体のみが解析に含まれる。というのも、その他の群のサンプルサイズが、合理的な結果を得るためには小さすぎるためである:15例のアフリカ系アメリカ人個体、2例のヒスパニック系個体、および3例のその他の人種の個体のみが存在する。AREDSの事例(n=701)は、グレード3、4および5から構成された。グレード3のAREDS被検体(n=96)は、ARMを有するが、末期ARMには罹患しておらず、グレード4の被検体(n=266)は、片方の眼に末期ARMを有し、そしてグレード5の被検体(n=339)は、両方の眼に末期ARMを有する。AREDS対照(n=175)は、AREDSグレード1を有する(グレード2個体は、解析の前に除外された)。
【0102】
遺伝子型決定
ELOVL4中のM299V変異体(rs3812153)、CFH中のY402H変異体(rs1061170)、およびLOC387715中のS69A変異体(rs10490924)が、RFLP技術を使用して遺伝子型決定された。各アッセイについての、プライマー、アニーリング温度、および制限エンドヌクレアーゼは:
ELOVL4について、5’-AGATGCCGATGTTGTTAAAAG-3’(F, SEQ ID NO: 13)、5’-CATCTGGGTATGGTATTAAC-3’(R, SEQ ID NO: 14)、50℃およびBspHI;
CFHについて、5’-TCTTTTTGTGCAAACCTTTGTTAG-3’(F, SEQ ID NO: 15)、5’-CCATTGGTAAAACAAGGTGACA-3’(R, SEQ ID NO: 16)、52℃およびNlaIII;
LOC387715について、5’-GCACCTTTGTCACCACATTA-3’(F, SEQ ID NO: 17)、5’-GCCTGATCATCTGCATTTCT-3’(R, SEQ ID NO: 18)、54℃およびPvuII。
【0103】
PLEKHA1中のA320T変異(rs1045216)を、5’エキソヌクレアーゼAssay-on-Demand TaqManアッセイ(Applied Biosystems Incorporated)を使用して、遺伝子型決定した。増幅および遺伝子型割り当てを、ABI7000およびSDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems Incorporated)を使用して行った。本研究のために行ったすべての遺伝子型決定に関して、二重盲検遺伝子型決定割り当てを、各変異について行い、比較し、そしてそれぞれの不一致を、生データを使用してまたは再配列決定を行うことにより、行った。
【0104】
関連性解析
SNP-疾患関連性は、アリルカイ二乗検定および遺伝子型カイ二乗検定を用いて測定され、そしてP-値は、100,000個の複製物を使用してシミュレートした;1またはそれ以上の5個未満であると予想された細胞数を有する場合、Fisherの限定的試験を使用した。関連性の強度は、大まかなオッズ比(OR)および集団寄与リスク(PAR)により推定された。以下の一般式を使用して、PARを計算した:
PAR = Pr(OR-1)/(1+Pr(OR-1))
〔式中、Prは一般的集団におけるリスク因子の保持率である〕。Prの推定値は、CHS対照に由来した;このことは合理的である。というのも、CHS被検体は、ARM疾患状況に基づいては選択されず、そしてCHS対照の数は多数である(n=1,051)ためである。比較の目的で、年齢および性別に対して調整されたオッズ比(ORadj)を推定した。ロジスティック回帰モデルを使用して、R(38)を使用して、大まかなオッズ比および調整されたオッズ比の両方を計算した。対照群におけるより頻度が低いアリルを、リスクアリルと考え、そしてORおよびORadjを、リスクアリルについてのホモ接合体(RR)の個体を基準群(正常アリルについてのホモ接合体[NN])と比較することにより、そしてリスクアリルについてのヘテロ接合体(RN)の個体を基準群と比較することにより、計算した。優性効果(RRおよびRN vs NN)および劣性効果(RR vs RNおよびNN)についての差異もまた、評価した。
【0105】
PLEKHA1およびLOC387715の間の識別
本発明者らは、ハプロタイプ法(Valdes, A.M. and Thomson, G. (1997) Detecting disease-predisposing variants: the haplotype method. Am J Hum Genet. 60, 703-716)を使用して、PLEKHA1中のA320TまたはLOC387715中のS69Aの2つの遺伝子座のうちのいずれが、10q26領域の変異という傾向をもたらす実際の疾患により似ているかを特定した。ハプロタイプ法の基礎は、単純で洗練されている(数学的な証明については、Valdes and Thomson (1997)を参照)。すべての素因性変異がハプロタイプ上に含まれるならば、特定の疾患-素因ハプロタイプに対する事例および対照の実際の比率は異なっている場合があるが、中立な変異は特定の疾患-素因ハプロタイプ上での事例および対照が同率であると予測される。一方、すべての素因性変異が特定されていない場合、非素因性変異のハプロタイプ頻度の比率の同等性は予想されない。
【0106】
A320T-S69Aハプロタイプについて予想される比率は、一方の変異がARM-素因性であり、そして他方が中立の変異であることを前提として、以下の式に示される。本発明者らは、A320TおよびS69Aが、染色体10q26上のPLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックにおけるARM-素因性変異のすべてであると考える。4つの可能性のあるA320T-S69Aハプロタイプが存在する:G-G、A-G、G-T、およびA-T。もしA320Tが原因となる遺伝子座であり、そしてS69Aが中立の遺伝子座である場合、本発明者らは以下の様に予測する:
【式1】
【0107】
【0108】
しかし、もしS69Aが原因となる遺伝子座であり、A320Tが中立の遺伝子座である場合、本発明者らは以下の様に予測する:
【式2】
【0109】
【0110】
ここで、fは対照または事例における特定のハプロタイプの頻度を示す。
興味の対象となる仮説は:
H0P:PLEKHA1におけるA329T変異が、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因についての十分な原因である。
【0111】
H0L:LOC387715におけるS69A変異が、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因についての十分な原因である。
これらの仮説のいずれかを否定することは、試験された変異がPLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックのみに対するARM素因についての十分な原因ではないことを意味する。4つの2×2の偶然性に関する表は、式1a、式1b、式2a、および式2bから導くことができる:
【式3】
【0112】
【0113】
H0Pのもとでは、本発明者らは、偶然性に関する表1aおよび表1bにおける均質性を予測し、そしてH0Lのもとでは、本発明者らは偶然性に関する表2cおよび表2dにおける均質性を予測する。正規カイ二乗統計値を、それぞれの偶然性に関する表から計算して、複合統計値を作成することができる。H0Pについては、統計は式1aおよび式1b由来の最大カイ二乗であり、そしてH0Lについては、統計は式2aおよび式2b由来の最大カイ二乗である。
【0114】
しかしながら、それぞれの偶然性に関する表のセットから導かれた統計の従属性から、複合統計の分配は明確ではない。独立性を欠くことにより、(1)素因性遺伝子座で様々なアリルに対応する測定値を組み合わせること、そして(2)素因性遺伝子座および非素因性遺伝子座間の連鎖不均衡、が引き起こされる。(1)変異は1より多いアリルを通常は有するため、そして(2)変異体が完全連鎖平衡の状態であるならばそれらの独立性関連性シグナル間を識別する必要がないため、これらの条件の両方とも、不可避である。
【0115】
データにおける依存性の結果として、素因性遺伝子座で(ヌル仮説のもと)アリル上で並べ替え試験(permutation testing)を条件付きで行うことが必要である。本発明者らは、素因性遺伝子座でのアリルにしたがって、ハプロタイプのグルーピングにより開始する(各ヒトについて2つ)。ついで、ケースコントロール標識を各グループ内で並べ替え、そして複合統計を各複製ペアについて計算する。この並べ替え手順は、Li Hにより提案された手順と類似する(Li H. (2001), A permutation procedure for the haplotype method for identification of disease-predisposing variants. Ann Hum Genet. 65:189-196)。段階的な(phased)遺伝子型データは利用できず、そしてハプロタイプが遺伝子型から推定されなければならない。ハプロタイプ頻度を、対照および事例において、別々に推定した。プログラムSNPHAP(39)を使用して、各被検体で、ハプロタイプ頻度および段階的な(phased)ハプロタイプを推定した。SNPHAPは、EMアルゴリズムを使用して、ハプロタイプ頻度の最尤推定を計算して、段階的ではない(unphased)遺伝子型データをもたらす。個体ハプロタイプ割り当てのその後の可能性は、A320TおよびS69Aの両方でタイピングしたすべての個体に対して94%を越える。推定ハプロタイプ頻度は、表11に示される。
【0116】
【表11】
【0117】
相互作用解析
相互作用の解析は3つから構成された:はじめに、本発明者らは、CHSサンプルおよびAREDSサンプルの両方において、CFH中のY402HおよびLOC387715中のS69Aの遺伝的作用を相互作用させることについて試験し、ついで本発明者らはCHSサンプルおよびAREDSサンプルの両方において、Y402HおよびS69Aの両方の喫煙歴との相互作用を試験し、そして最後に3つのリスク因子の組合せORsを計算した。
【0118】
本発明者らは、次に、Northら(North, B.V., Curtis, D. and Sham, P.C. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered. 59, 79-87)により提案されたモデリング戦略を行った。一連のロジスティック回帰モデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ効果を最もよく記載するモデルを見つけるため、AREDSデータセットおよびCHSデータセットに対して適合される。各遺伝子型について、追加的作用を許容するモデル(ADD1、ADD2およびADD-BOTH)および優性効果を導入するモデル(DOM1、DOM2、およびDOM-BOTH)を適合させる。ADD1モデルには、CFHの追加的作用として項(term)x1のみが含まれ、Y402Hでの遺伝子型TTについては-1としてコードされ、遺伝子型CTについては0としてコードされ、そして遺伝子型CCについては1としてコードされる。ADD2には、LOC387715の追加的作用としてモデル項x2のみが含まれ、S69Aでの遺伝子型GGについては-1としてコードされ、遺伝子型GTについては0としてコードされ、そして遺伝子型TTについては1としてコードされる。ADD-BOTHモデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ追加的作用を有する。DOM1は、ADD1に対する優性効果を取り込み、そしてそれにはx1およびz1が含まれ、遺伝子型CTについては0.5としてコードされ、Y402Hでの遺伝子型TTおよびCCについては-0.5としてコードされる。DOM2モデルは同様に、ADD2に対する優性効果を取り込み、そしてそれにはx2およびz2が含まれ、遺伝子型GTについては0.5としてコードされ、そしてS69Aでの遺伝子型GGおよびTTについては-0.5としてコードされる。DOM-BOTHモデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ優性効果を示す。CFHとLOC387715との間の相互作用をモデル化するさらに3つのモデルが適合される:ADD-INTには、生成物項x1*x2が含まれ、ADD-DOMにはx1*x2、x1*z2、およびz1*x2が含まれ、そしてDOM-INTにはx1*x2、x1*z2、z1*x2、およびz1*z2が含まれる。
【0119】
上述のモデリング戦略を改良して、CFHと喫煙との組合せ効果、およびLOC387715と喫煙との組合せ効果を調べた。改良されたアプローチは、LOC387715と喫煙との間の相互作用について試験するためにSchmidt et al. (2006)により使用されたものと同一である。コーディングの概略は、喫煙を、これまで一度も喫煙をしたことがないヒトについては0として、そしてこれまでに喫煙したことがあるヒトについては1としてコードする以外は、上述したものと同一である。CFHおよび喫煙の作用について適合化されたモデルは以下の通りである:ADD1、SMOKE、ADD1-SMOKE、DOM1、ADD1-SMOKE-INT、およびDOM1-SMOKE-INT。LOC387715と喫煙の作用について適合化されたモデルは以下の通りである:ADD2、SMOKE、ADD2-SMOKE、DOM2、ADD2-SMOKE-INT、およびDOM2-SMOKE-INT。
【0120】
すべてのモデルは、Akaike情報基準(AIC)により比較された。AICが<2で相違したモデルを、識別できないものと考え(North, B.V., Curtis, D. and Sham, P.C. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered. 59, 79-87)、およびより少ないパラメータを有するモデルを最も安上がりなモデルとして選択した。年齢および性別について調整することは、Y2402HやS69AについてのORsの推定に影響を与えないため(表12および表13)、そしてパラメータ数をできるだけ少なく維持するため、モデリング相互作用の際に、これらの共変量(covariate)については調整を行わなかった。上述の相互作用解析の結果に基づいて、組合せORsを計算した。
【0121】
【表12−1】
【0122】
【表12−2】
【0123】
注 - Nは正常なアリルを示し、そしてRはリスクアリルを示す。リスクアリルは、対照中での最も頻度の低いアリルとして定義される。優性効果についてのORは、1つのリスクアリルを保持する個体(RNおよびRR遺伝子型)を、正常アリルについてホモ接合体である個体(NN)と比較し、劣性効果についてのORは、RR遺伝子型を有する個体を、1つの正常アリルを保持する個体(NNおよびRN遺伝子型)と比較する。ヘテロ接合体ORおよびホモ接合体ORは、1つのリスクアリル(RN)および2つのリスクアリル(RR)を持つ個体を、NN遺伝子型の個体とそれぞれ比較する。GA = 地図状萎縮。CNV = 脈絡膜新生血管膜。
【0124】
【表13−1】
【0125】
【表13−2】
【0126】
注 - Nは正常なアリルを示し、そしてRはリスクアリルを示す。リスクアリルは、対照中での最も頻度の低いアリルとして定義される。優性効果についてのORは、1つのリスクアリルを保持する個体(RNおよびRR遺伝子型)を、正常アリルについてホモ接合体である個体(NN)と比較し、劣性効果についてのORは、RR遺伝子型を有する個体を、1つの正常アリルを保持する個体(NNおよびRN遺伝子型)と比較する。ヘテロ接合体ORおよびホモ接合体ORは、1つのリスクアリル(RN)および2つのリスクアリル(RR)を持つ個体を、NN遺伝子型の個体とそれぞれ比較する。GA = 地図状萎縮。CNV = 脈絡膜新生血管膜。
【0127】
APOE解析
以前の研究において、ARMにおけるアポリポタンパク質E(APOE)遺伝子の、可能性のある保護的な作用および有害作用が報告された。ε4アリルは、保護的作用を有する可能性がある(Klaver, C.C., et al. (1998) Genetic association of apolipoprotein E with age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. 63, 200-206; Schmidt, S., et al. (2000) Association of the apolipoprotein E gene with age-related macular degeneration: possible effect modification by family history, age, and gender. Mol Vis. 6, 287-293; Schmidt, S., et al. (2002) A pooled case-control study of the apolipoprotein E (APOE) gene in age-related maculopathy. Ophthalmic Genet. 23, 209-223; Baird, P.N., et al. (2004) The epsilon2 and epsilon4 alleles of the apolipoprotein gene are associated with age-related macular degeneration. Invest Ophthalmol Vis Sci. 45, 1311-1315 and Zareparsi, S., et al. (2004) Association of apolipoprotein E alleles with susceptibility to age-related macular degeneration in a large cohort from a single center. Invest Ophthalmol Vis Sci. 45, 1306-1310)が、一方、最低頻度のアリルであるε2は、ARMのリスクを増加させる可能性がある(Klaver, C.C., et al. (1998) and Zareparsi, S., et al. (2004)。APOE変異は、CHSにより遺伝子型決定され、そしてそのARMとの関連性を本研究において評価した。個体が、APOE-ε3/ε3遺伝子型を有する個体、およびAPOE-ε2キャリアおよびAPOE-ε4キャリア(それぞれ、APOE-ε2/*およびAPOE-ε4/*と示される)において、APOE遺伝子型により分類された;APOE-ε2/ε4遺伝子型を有する個体がAPOE-ε2/*群およびAPOE-ε4/*群の両方に含まれた。カイ二乗検定を使用して、APOE-ε3/ε3とAPOE-2ε/*、およびAPOE-3ε/3εとAPOE-4ε/*、対照および事例における遺伝子型の分布における差異について試験した。
【0128】
メタ解析
本発明者らは、CFHおよびLOC387715について以前に刊行物に記載された報告から推定されたORを蓄積するためのメタ-解析アプローチを行い、そして2件の報告をここで提示した。最初に、研究間の偏差が偶発的なものであると仮定してデータを解析し、そして固定化作用モデルを使用した。固定化作用モデルの下、蓄積されたORの最尤推定量は、個体推定値の平均であり、それらの偏差の逆数により重み付けされ、そして蓄積されたORの偏差は、個体重量の合計の逆数により推定される。ホモ接合性の下でのメタ解析を、R中で行った(R DevelopmentCoreTeam (2005) R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)。ホモ接合性の仮定をカイ二乗検定を使用して確認した。しかしながら、ホモ接合性の試験は、低出力しか有さないという傾向があり、そして従って、比較のため、本発明者らは、無作為化作用設定におけるORも蓄積した。ヘテロ接合性の下でのメタ解析を、制限付き最尤法(restricted maximum likelihood;REML)の方法を使用して、SAS Proc Mixed(SAS software release 8.2[SAS Institute Inc., Cary, NC, USA])において実行することにより行った。蓄積されたREML推定量は、ダーサイモニアン・レアード推定量(DerSimonian-Laird estimator)と同一である(DerSimonian, R. and Laird, N. (1986) Meta-analysis in clinical trials. Control Clin Trials. 7, 177-188 and van Houwelingen, H.C., Arends, L.R. and Stijnen, T. (2002) Advanced methods in meta-analysis: multivariate approach and meta-regression. Stat Med. 21, 589-624)。van Houwelingen et al. 2002によるSASコードは、ヘテロ接合性の下、解析を行うために改変された。
【0129】
CFH中でのY402H変異は、11例の研究において、ARMと強力に関連することが見いだされた(Edwards, A.O., et al. (2005) Complement factor H polymorphism and age-related macular degeneration. Science. 308, 421-424; Haines, J.L.,et al. (2005) Complement factor H variant increases the risk of age-related macular degeneration. Science. 308, 419-421; Klein, R.J., et al. (2005) Complement factor H polymorphism in age-related macular degeneration. Science. 308, 385-389; Hageman, G.S., et al. (2005) A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A; Conley, Y.P., et al. (2005) Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy. Hum Mol Genet. 14, 1991-2002; Zareparsi, S., et al. (2005) Strong association of the Y402H variant in complement factor H at 1q32 with susceptibility to age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. 77, 149-153; Sepp, T., et al. (2006) Complement factor H variant Y402H is a major risk determinant for geographic萎縮and choroidal neovascularization in smokers and nonsmokers. Invest Ophthalmol Vis Sci. 47, 536-540; Rivera, A., et al. (2005) Hypothetical LOC387715 is a second major susceptibility gene for age-related macular degeneration, contributing independently of complement factor H to disease risk. Hum Mol Genet. 14, 3227-3236; Souied, E.H., et al. (2005) Y402H complement factor H polymorphism associated with 滲出性age-related macular degeneration in the French population. Mol Vis. 11, 1135-1140; Magnusson, K.P., et al. (2006) CFH Y402H confers similar risk of soft drusen and both forms of advanced AMD. PLoS Med. 3, e5 and Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407);これらの11例の研究のうち2例は本発明者らのものであり、そしてすべての対比を評価した本発明者らのJakobsdottir et al. (2005)の論文に由来する結果のみを、メタ解析において使用した。Klein et al. (2005)の研究は、AREDSサンプルの小さなサブセットを使用し、そしてMagnusson et al. (2006)の論文は、アリルに基づくORsおよび遺伝子型カウントが存在しないことを報告したのみであった。従って、これら2例の研究は、含まれなかった。Haines et al. (2005)の研究に由来する結果は、ヘテロ接合体およびホモ接合体についてのORsの蓄積された推定値に含まれた;遺伝子型カウントは、優性効果および劣性効果についての対比を評価するために利用可能ではなかった。3例の研究が、仮定上のLOC387715中の変異体S69Aと強力に関連することを報告した(Rivera, A. et al. (2005);Jakobsdottir, et al. (2005);Schmidt et al. (2006)およびSchmidt (2006) Cigarette smoking strongly modifies the association of LOC387715 and age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. in press)。LOC387715についての3例の報告すべてを、メタ解析に含めた。CFHおよびLOC387715の研究すべてにおける研究参加者は、ヨーロッパ人の家系およびヨーロッパ系アメリカ人の家系の、非ヒスパニックの白人である。表14および表15は、それぞれ、CFHおよびLOC387715のメタ解析に含まれる研究をまとめたものである。
【0130】
【表14−1】
【0131】
【表14−2】
【0132】
a 遺伝子型カウントが利用可能である場合には遺伝子型決定されたヒトの総数に基づく、それ以外の場合には失われたデータの原因ではなく全サンプルサイズに基づく、サンプルサイズ。
b 平均年齢および対応する標準偏差、または元の文献から利用可能なその他の概要統計。
c 遺伝子型カウントが利用可能な場合、限定的試験(R Geneticsのパッケージにおいて実施)由来のP-値がもたらされる。
d Edwardsらの文献の2種のデータセットを、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.53および0.36である。
e Hainesらの文献由来の結果が、ヘテロ接合体個体およびホモ接合体個体についてのORsのメタ解析に含まれる。サンプルサイズは、CHFにおけるY402Hでの失われた遺伝子型データの原因ではなく個体の全数に基づくものである。
f Hagemanらの文献の2種のデータセットは、元の文献に従って組み合わせない。
g Riveraらの文献の2種のデータセットは、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.03および0.09である。
【0133】
【表15】
【0134】
a 遺伝子型カウントが利用可能である場合には遺伝子型決定されたヒトの総数に基づく、それ以外の場合には失われたデータの原因ではなく全サンプルサイズに基づく、サンプルサイズ。
b 平均年齢および対応する標準偏差、または元の文献から利用可能なその他の概要統計。
c 遺伝子型カウントが利用可能な場合、限定的試験(R Geneticsのパッケージにおいて実施)由来のP-値がもたらされる。
d Riveraらの文献の2種のデータセットは、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.03および0.01である。
e メタ解析においては、グレード1の被検体のみを対照として分類する(グレード2被検体は除く)。Schmidtらによる元々の研究は、グレード2の個体を対照として分類した。対照の平均年齢および%男性は、この文献から採用し、そしてグレード1および2の両方に基づいた。
【0135】
結果
ARMにおけるCFH、ELOVL4、PLEKHA1、およびLOC387715をさらに評価するため、本発明者らは、AREDS研究およびCHS研究に由来するサンプルにおいて、4種の遺伝子すべての内部で以前に報告されたSNPsを遺伝子型決定した。AREDS研究由来の合計701例の非ヒスパニック白人ARM患者および175例の対照、およびCHS研究由来の合計126例の非ヒスパニック白人ARM患者および1051例の対照を使用して、各データセットについて、別の解析を行った(データについてのサンプルサイズおよびその他の特徴については表10を参照、そして遺伝子型頻度については表16を参照)。最新の追跡訪問時の被検体の疾患の状況は、AREDS被検体に関して評価された主要な評価項目(endpoint)であった。AREDS被検体には、グレード1の対照および中程度のARMを有する事例、および片眼または両眼に進行型ARMを有する事例(グレード3〜5)が含まれる。CHS被検体のARM疾患の状況は、8年の追跡訪問時の撮影された単眼の非散瞳性の基底部写真を使用して、整合性(consistency)のために一人の専門家により評価された。CHS事例の大半は、色素上皮の変化を伴うかまたは伴わない複数のドルーゼを含む中程度のARM(AREDSグレード3と同等)を有し、少数の事例が地図状萎縮(GA)または脈絡膜新生血管膜(CNV)を有した。そしてCHS対照は、AREDSグレード1のものであり、有意な黄斑外ドルーゼ(斑外ドルーゼ)を有する事例を排除する。
【0136】
表16 AREDS集団およびCHS集団におけるARM状況による遺伝子型分布。比較のため、International HapMapプロジェクトのCEU集団に由来する推定(ヨーロッパ北部および西部に起源をもつユタ州の住民)が示される。AREDS事例は、グレード3-5であり、AREDS対照のグレードは1である。遺伝子型カウントは、17中の各グレードおよび部分表現型により利用可能である。HapMap CEU集団の記載は、ここに提供される。
【0137】
【表16】
【0138】
【表17】
【0139】
関連性解析
CFH、ELOVL4、PLEKHA1、およびLOC387715の各遺伝子について、ARMとの関連性をカイ二乗統計値により評価した。各遺伝子の作用の程度を、オッズ比(ORs)および集団寄与リスク(PARs)により推定した。遺伝子が初期ARMおよび進行型ARMに対して同様に寄与するかどうかを評価するため、AREDSデータを使用して、各グレードおよびサブタイプ(GAおよびCNV)について、ORsを個別に計算した。
【0140】
CFH:CFHにおけるY402H変異のARMとの関連性は、AREDS集団およびCHS集団の両方において有意であり(P≦0.00001)(表18)、このことから本発明者ら自身の初期の知見(Conley et al. (2005) and Jakobsdottir et al. (2005))および他の研究者らの初期の知見(Edwards et al. (2005; Haines et al. (2006); Klein et al. (2005) and Rivera et al. (2005))が確認される。CFH中のY402Hについて推定されるORsは、変異がARMのすべての段階に対して同様のリスクをもたらし、そして進行型のARMの両方の型、GAおよびCNVをもたらすことを示唆する(図7および表12)。
【0141】
【表18】
【0142】
2つのCアリルのキャリアが、1つのCアリルのキャリアよりもより高いARMリスクを有する、アリル-用量作用が存在するようである(表12および図8)。2つのCアリルのキャリアにおけるリスクの増加にもかかわらず、一般的な集団におけるCC遺伝子型と比較して、CT遺伝子型が相対的に高い頻度であるため、集団寄与リスク(PAR)は、2つのリスク遺伝子型について同様である。CHSデータセットに由来するPAR推定値は、CT遺伝子型およびCC遺伝子型が、非ヒスパニック白人個体群におけるARMの、それぞれ27%および25%を説明することが示唆される。
【0143】
ELOVL4:ELOVL4におけるM299V変異は、AREDSサンプルにおける滲出性ARMと有意に関連しており(P = 0.034)(表18)、これは本発明者らの以前の知見と一致している(Conley, Y.P., et al. (2005))。しかしながら、95%有意レベルで統計的に有意なORsは存在しない(図7および図9、および表12)。これらの結果は、ARMにおけるELOVL4の潜在的な役割を排除しないが、それを強力にサポートする訳ではない。滲出性ARMを有する個体がより少数であることは、CHS集団における部分表現型解析を許容しなかった。
【0144】
PLEKHA1およびLOC387715:ARMのすべての提示を有するLOC387715におけるS69A変異の関連性は、AREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、きわめて有意であり(P≦0.00001)(表18)、このことから本発明者ら自身の初期の知見が確認される(Conley, Y.P., et al. (2005) and Jakobsdottir, J., et al. (2005)) and others (Edwards, A.O., et al. (2005); Haines, J.L., et al. (2005); Klein, R.J., et al. (2005); Rivera, A., et al. (2005) and Schmidt, S., et al. (2006))。LOC387715と同一のハプロタイプブロック上に存在するPLEKHA1中のA320T変異は、AREDSサンプルにおいて非常に有意であるが(P = 0.00004)、CHSサンプルにおける有意性は境界線上のものでしかなかった(P = 0.08)。A320TとS69Aとの間の連鎖不均衡の程度は、AREDS対照(D’ = 0.66)およびCHS対照(D’ = 0.65)の両方において、統計的に有意である。PLEKHA1またはLOC387715のどちらの遺伝子が真のARM-素因性変異を有する可能性が高いかを特定するため、ハプロタイプ法を適用した(Valdes, A.M. and Thomson, G. (1997) Detecting disease-predisposing variants: the haplotype method. Am J Hum Genet. 60, 703-716)。ハプロタイプ法に従って、中立変異でのアリルの相対的頻度は、素因性変異すべてを含有するハプロタイプについての事例および対照において、同一であることが予想される。この方法を適用することに基づく結果は、LOC387715中のS69A(PLEKHA1中のA320Tではなく)が、ARM-素因性変異であることを示唆する(本明細書中の“PLEKHA1およびLOC387715の間の識別”の項を参照)。さらに、ヌル仮説:H0の並べ替え試験により、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因の完全な原因であるLOC387715中のS69A変異が拒絶されないが(AREDSデータにおいてP = 0.92、CHSデータにおいてP = 0.45)、一方、A320Tについての同様の仮説は拒絶される(AREDSデータにおいてP≦0.0001、CHSデータにおいてP = 0.0002)。
【0145】
LOC387715中のS69A変異は、CFHにおけるY402Hとは異なるリスクパターンを示す。疾患の重症度が差別化されるAREDSデータにおいては、変異は、重症ARMのリスクを、中程度のARMのリスクよりも高くに増加させるようである(図7および図10[図11は、PLEKHA1についての完全な結果を提供する]、および表12)。例えば、1つまたは2つのTアリルを保持するグレード3のAREDS事例についてのORは3.07であり(95%CI 1.82-5.17)、一方、両眼においてCNVを有し、1つまたは2つのTアリルを保持するAREDS事例についてのORは、7.21である(95%CI 4.24-12.27)。CFHと同様に、S69Aは、GT遺伝子型およびTT遺伝子型の集団寄与リスクにおいて劇的な差異を伴わずに、アリル-用量作用を示す(表12および図10)。4つのAREDS対照のみがS69AでTTホモ接合性であるため、通常のロジスティック回帰に由来する、劣性かつホモ接合体の対比に関する点推定および信頼区間を、限定的回帰由来の推定値と比較した(SASソフトウェア・リリース8.2[SAS Institute Inc., Cary, NC, USA]において適合化されたモデル)。これらの品質チェックは、点推定において、大きな差異(PAR推定値に基づく差異)が存在しないことを示し、そして信頼限界(ORsとの比較に基づく信頼限界)がより低く、しかし上限信頼限界はより高いことを示す(結果は示さず)。
【0146】
相互作用解析
本発明者らは、ロジスティック回帰モデリングを使用して、CFHとLOC387715、CFHと喫煙、およびLOC387715と喫煙の組合せ寄与のモデルを構築した。一連のモデルは、最も有望でそして最も安上がりな(1または複数の)モデルについての推定を導くために、適合させた。North et al. (2005)により記載される様に、モデルは、Akaike情報基準(AIC)を使用して比較した。もっとも安上がりのモデルが特定されたら、本発明者らは、リスク因子の組合せORsを推定した。別々の推定値を、各集団から計算した。AREDSサンプルのサイズを最大にするため、部分表現型解析または部分グレード解析は行わなかった;グレード3〜5のAREDS事例を、グレード1のAREDS対照と比較した。
【0147】
以前の論文(Jakobsdottir (2005))において、本発明者らは、CFHとPLEKHA1/LOC387715遺伝子座との相互作用性効果の証拠を見いだせなかった;2つの遺伝子座の組合せ作用は、非依存的な相乗効果により最も良く記載された(対数目盛上で付加的)。Rivera et al. (2005)は、LOC387715中のS69AがCFH中のY402Hとは非依存的に作用することを報告した。Schmidt et al. (2006a)はまた、同一の最も安上がりのモデルを想到し、そしてここでは、再び、このモデルがAREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、最も安上がりである(表19)。Y402HおよびS69Aでのリスク遺伝子型の結合についての組合せORsは、2つの遺伝子座の組合せ作用をさらに理解するために、コンピュータ処理された(表20)。重症度にかかわらずすべての事例を使用して、AREDSデータにより、遺伝子座の一つでのリスクアリルについての個体ヘテロ接合体およびもう一方での非リスクアリルについてのホモ接合体が、両方の遺伝子座でリスクアリルを有さない個体よりも、ARMに対する感受性が高いことが示唆される(CT-GG組合せ遺伝子型について、OR 2.8、95%CI 1.6-5.0;TT-GT組合せ遺伝子型について、OR 3.2、95%CI 1.7-6.0)。ARMリスクは、ヒトが両方の遺伝子座でヘテロ接合体である場合には二倍以上であり(CT-GT組合せ遺伝子型について、OR 7.2、95%CI 3.8-13.5)、そして少なくとも1つの遺伝子座についてのリスクアリルがホモ接合体である場合には、リスクはさらに増加する。CHSデータから推定される組合せORsは、同様のパターンを示すが、しかしながら、1つのリスクアリルのみを有する場合は、リスクを有意には増加させない(CT-GG組合せ遺伝子型について、OR 1.3、95%CI 0.6-2.7;TT-GT組合せ遺伝子型について、OR 1.2、95%CI 0.5-2.8)。
【0148】
表19 ロジスティック回帰による2因子モデルの適合の結果。詳細なモデル定義が、“材料と方法 - 相互作用解析”の項において記載される。AICの差異は、至適適合モデルのAIC由来の差異である。最も安上がりのモデルを太字で示す。至適適合を有するモデル(最小AIC)は、AICの差異 = 0を有する
【0149】
【表19】
【0150】
【表20】
【0151】
最近の研究(Schmidt et al. (2006a))は、二成分(これまでに喫煙歴ありvs.過去に喫煙歴なし)についても、および連続的スケール(長期間にわたる喫煙)についても、S69Aでの遺伝子型と喫煙との間の強力な統計的相互作用が報告された。本発明者らは、AREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、この知見を再現することができない(表19)。AREDSサンプルに由来する結果から、Y402Hと喫煙との組合せ作用が、有意な優性効果または相互作用性効果を伴わない非依存的な相乗効果により、最も良く記述されることが示唆される。一方、CHSデータを最もよく記述するモデルには、Y402Hの追加的作用のみが含まれる。AREDSデータに由来する結果から、S69Aと喫煙との組合せ作用は、有意な優性効果または相互作用性効果を伴わない非依存的な相乗効果により、最も良く記述されることが示唆される。CHSデータは、S69Aのみを有するモデルと関係する。喫煙曝露が連続的変数(長期間にわたる喫煙)でありそしてS69A遺伝子型が追加的な様式でコードされる場合、CHSデータにおいて、相互作用項目は有意なものではない(P=0.40)。長期間にわたる喫煙は、AREDS研究における参加者には利用できなかった。遺伝子と喫煙の複合作用をさらに理解するため、各遺伝子でのリスク遺伝子型と喫煙の組合せORsをAREDSデータから推定した(表21)。この結果は、リスク遺伝子型(Y402HおよびS69Aにおける)のいずれかのARMのリスクが喫煙者において上昇する一方、両方の遺伝子は、喫煙よりもARMリスクに対して実質的により大きな影響力を有することが示唆される。モデル適合化アプローチと単純カイ二乗検定(P=0.71)の両方により、CHSデータにおいては、喫煙の主作用が(二元スケールでは)重要ではないことが示される。
【0152】
【表21】
【0153】
APOEの結果:ARMにおけるAPOE遺伝子の主作用を、CHSデータを使用して試験した。APOE-ε4キャリアの分布(P=0.41)もAPOE-ε2キャリアの分布(P=0.42)のいずれも、APOE-ε3/ε3と比較した場合、事例と対照との間で有意には異ならなかった。
【0154】
メタ解析
CFHのメタ-解析:本発明者らは、メタ-解析アプローチを使用して、Y402Hについて推定されたORsを、11種の非依存的データセット(ここで報告されたCHS集団およびAREDS集団を含む)から蓄積した(表14)。これは、結果として、5,451例の事例および3,540例の対照(これらのすべてはヨーロッパ人の家系またはヨーロッパ系アメリカ人の家系である)の解析をもたらした。この結果から、非ヒスパニック白人個体群におけるCアリルによるARMリスクの増加が確認される(図12および表22)。蓄積された推定値は、個体研究のどれよりも狭いCIを有し、そして研究全体にわたるホモ接合性を仮定した場合、ヘテロ接合体のORおよびホモ接合体ORについての非重複性CIを有する:ORhet=2.43(95%CI 2.17-2.72)およびORhom=6.22(95%CI 5.38-7.19)。解析をヘテロ接合性のもとで行う場合、点推定は本質的に同一であり、そしてCIsはわずかに幅広い。固定化作用モデルの下では、1例を除き、感受性解析により、蓄積された推定値に対する劇的な作用を有する研究は存在しないことが示される(表22)。
【0155】
Rivera et al. (2005)による研究は、他のいずれの研究よりも推定値を変化させる;この研究が排除される場合、ORdomおよびORhetは、およそ0.2低くなったが、一方、ORrecおよびORhomは、およそ0.2高くなった。Rivera et al. (2005)の研究は、対照群における遺伝子型分布がHWEから逸脱する唯一の研究である(P = 0.03)。事例および対照におけるアリル分布および遺伝子型分布は、研究全体にわたり顕著に類似している。しかしながら、CHS事例における遺伝子型分布は、その他の研究とは異なり、そしてTTリスク遺伝子型の頻度は、他の集団と比較してより低い(図13)。
【0156】
【表22】
【0157】
LOC387715のメタ-解析:ARMにおけるS69Aと関係したリスクのメタ-解析には、5種の非依存的なデータセット(ここで報告したCHS集団およびAREDS集団を含む)が含まれた(図14および表15)。これは、結果として、3,193例の事例および2,405例の対照(これらのすべてはヨーロッパ人の家系またはヨーロッパ系アメリカ人の家系である)の解析をもたらした。LOC387715の研究は、CFHの研究と比較して、より不均質なものである;ORdomおよびORhetは、研究全体にわたり有意に異なる(それぞれ、P<0.01およびP<0.02)。これらの結果は、ARMリスクが増加したTアリルの関連性の初期の知見をサポートする(表23)。2つのTアリルのキャリアは、1つのTアリルキャリアよりも実質的により高いリスクを有する;研究間偏差を説明する場合、ORhetおよびORhomはそれぞれ、2.48(95%CI 1.67-3.70)および7.33(95%CI 4.33-12.42)である。遺伝子型分布は、CHS ARM集団を除く、すべての対照集団の間でそしてすべてのARM集団の間で同様である(図15)。
【0158】
【表23】
【0159】
CFH遺伝子およびPLEKHA1/LOC387715遺伝子のARMとの関連性についての大きな発見は、実施例1を見いだした後に発表された。多数の報告がCFHにおいてY402Hによりコードされる変化とARMとの強力な関連性を確立し、そして3件の報告が、LOC387715中でS69Aによりコードされる変化とARMとの関連性を見いだした(Y402Hの関連性と同様の程度である)。CFH遺伝子およびLOC387715遺伝子は両方とも、染色体領域中に存在し、CFHは1q31に、そしてLOC387715は10q26に存在し、家族に基づく連鎖研究により一貫して特定された(Seddon, J.M., et al. (2003); Majewski, J., et al. (2003); Iyengar, S.K., et al. (2004); Weeks, D.E., et al. (2001) Age-related maculopathy: an expanded genome-wide scan with evidence of susceptibility loci within the 1q31 and 17q25 regions. Am J Ophthalmol. 132, 682-692; Weeks, D.E., et al. (2004); Klein, M.L., et al. (1998); and Kenealy, S.J., et al. (2004))。
【0160】
Y402Hの研究の大半およびS69Aの3件の研究すべてが、ARMの複雑な病因に関与する遺伝子を検索する(そして見いだす)ために特別に設計されたものであったため、それらが、Y402HおよびS69Aでのリスクアリルの作用サイズを過大評価する可能性がある。従って、2種の非依存的なケースコントロール集団を、ARMの状況、AREDS集団およびCHS集団に基づいて、最小の包含基準および最小の排除基準を用いて解析した。AREDS集団は、眼疾患の状態に基づいた基準を含む、健康関連の包含基準および排除基準を実際に有した;しかしながら、罹患者個体および非-罹患者個体の両方とも、包含された(Age-Related Eye Disease Study Research Group (1999) The Age-Related Eye Disease Study (AREDS): design implications. AREDS report no. 1. Control Clin Trials. 20, 573-600)。CHS集団は、最小の包含基準および排除基準により、65歳以上の個体のコミュニティ-ベースの動員を利用した、個体群-ベースの集団である(Fried et al. (1991))。網膜評価を8年の追跡訪問のあいだ行ったが、網膜疾患は動員のための因子ではなかった。2種の研究中での被検体の確認における差異を前提として、両集団における候補遺伝子の関連性の反復は、ARMの病原性におけるその原因としての関与についてのサポートを、非常に強化する。
【0161】
本発明者らは、4つの遺伝子、CFH(1q31)、ELOVL4(6q14)、PLEKAH1(10q26)、およびLOC387715(10q26)の関連性を評価した。CFHおよびLOC387715の両方とも、AREDS集団およびCHS集団の両方において、ARMと非常に有意に関連している(P≦0.00001)。両遺伝子により、ARMリスクに対するアリル-用量作用を示し、および2つの遺伝子の非依存的な相乗的寄与のモデルが、AREDS集団およびCHS集団の両方において最も安上がりである。10q26上のLOC387715に隣接しそしてそれと連鎖不均衡の状態である、PLEKHA1遺伝子中のA320Tによりコードされる変化は、AREDS集団においてARMと有意に関連するが(P=0.00004)、しかしながらCHS集団においては有意には関連しない(P=0.08)。条件付きのハプロタイプ解析を使用して、そして網膜におけるLOC387715の弱い発現を初めて検出したRivera et al. (2005)の知見、およびPLEKHA1にて弱い関連性シグナルのみを検出したSchmidt et al. (2006)の知見と組み合わせた場合、AREDS集団およびCHS集団の両方に対してハプロタイプ法を適用することに基づくこれらの結果は、LOC387715におけるS69Aが、10q26上での主要なARM-素因性変異であることを強力に示す。ハプロタイプ法の結果は、PLEKHA1が10q26でのARM-素因を説明するためには十分とは言えないことを示す;しかしながら、PLEKHA1中のA320Tを、S69Aおよびその他の未知の変異を伴う、原因となるハプロタイプとして排除することはできない。
【0162】
異なる確認スキームを有する2つの集団であるAREDS集団およびCHS集団におけるCFH遺伝子およびLOC387715遺伝子のARMとの関連性の再現性は、ARMへのそれらの関与についての強力なサポートを提供し続ける。しかしながら、AREDS集団およびCHS集団におけるPLEKHA1についての様々な知見は、実際に、2つの集団の間での差異に照らして、考慮される必要がある。事例個体群および対照個体群の確認における差異に加えて、網膜の変化の評価、網膜の知見の文書化、そして進行型ARMの罹患率が、2つの集団の間で異なっていた。CHS研究において、基底部の写真撮影が、無作為に選択された片眼についてのみ利用可能であり、そして写真撮影は、瞳孔を散大させずに行われ、そしてこれらの限定は、初期の網膜変化の検出に影響を与える可能性がより高いものの、疾患写真を検出するための感受性に確実に影響を与えることができた。8年の追跡評価の際に評価された全CHS集団における進行型ARMの比率は、およそ1.3%であった(Klein, R., Klein, B.E., Marino, E.K., Kuller, L.H., Furberg, C., Burke, G.L. and Hubbard, L.D. (2003) Early age-related maculopathy in the cardiovascular health study. Ophthalmology. 110, 25-33)。これに対して、AREDSにおいてはおよそ17%であった(Age-Related Eye Disease Study Research Group (2000))。2つの集団の間の進行型ARM疾患の病因の比率のばらつきは、、特に遺伝子が疾患の進行に影響を与える可能性がより高い場合に、知見のばらつきを引き起こす可能性があった。さらに、これら2種の集団間の1つの重要な差異は、網膜評価のタイミングである。AREDSの参加者は、基準時に行われた網膜評価を受け、および追跡評価の間に行われた網膜評価を受けたが、一方CHSの参加者は、登録後8年またはそれ以上の年数の後に、彼らが少なくとも73歳となったとき、網膜評価を受けた。CHS参加者についての網膜評価に対して生存することは、この特定のタイプの研究のために利用可能な集団にバイアスをかける可能性がある。ビタミンおよびミネラルサプリメントを使用してARM進行に対するこれらの影響を評価することにより、AREDS集団において、非罹患者群以外のカテゴリーの被検体を、臨床試験において無作為化したことに、注目すべきでもある。この効果は、明確ではない。
【0163】
以前に記載したように、ARMの遺伝的病因を調査したほとんどの研究は、ARMに対する感受性遺伝子およびARM候補遺伝子試験に対する感受性遺伝子を保持するゲノムの領域の特定を最適化するように設計された。これらの回顧的な研究を使用して寄与リスクを推定することは、過大評価を引き起こす可能性がある。刊行物に記載された寄与リスクは、CFH中のY402H変異について43%〜68%の範囲であり(Edwards et al. (2005); Haines et al. (2005); Jakobsdottir (2005); and Schmidt et al. (2006))、そしてLOC387715中のS69A変異について36%〜57%の範囲である(Jakobsdottir (2005) and Schmidt et al. (2006))。興味深いことに、CHS個体群についての調節された集団寄与リスク(PARs)は、以前に刊行物に記載されたものよりも低いものである:CFH中のY402H変異について38%、そしてLOC387715中のS69A変異について25%(表13)。CHS事例の大半が中程度のARMを有しているため、CHSデータに由来するPAR推定値は、進行型ARMを有する患者の比率がかなり高かった以前の研究から得た推定値と、完全に匹敵するものという訳ではない。しかし、これらは、グレード3のAREDS事例を使用することに由来する推定値と、匹敵するものである。それらの推定値は、以前に刊行物に記載されたPARの範囲:CFH中のY402Hについて49%、そしてLOC387715中のS69Aについて46%、の範囲内である。CHS集団がARMの状況に基づいて確認されないならば、これらの知見は、これら2つの感受性変異が原因と考えられるARMのリスクが、以前に考えられていたよりも低い可能性があることを意味している可能性がある。予想される設計が、回顧的ケースコントロール設計から推定されるORsおよび対応するPARsにより概算される、相対的リスクをより正確に推定するために必要とされる。
【0164】
本発明者らは、ELOVL4のARM全般との関連性を再現することができなかった(Conley et al. (2005))。滲出性ARMを有する個体数により、AREDS集団における部分表現型解析を行うことができたが、しかしCHS集団においてはできなかった。部分表現型解析は、ELOVL4に関しては、特に重要であった。本発明者らの以前の知見は、滲出性ARMにおけるELOVL4の役割を示した;このことは、AREDS集団において(わずかながら)サポートされる。両集団でのARM感受性におけるELOVL4についての強力な関連性および有意なORsが存在しないこと、そしてAyyagari et al.により報告された関連性が存在しないことを前提として、ELOVL4がARM感受性において実質的な機能を果たしているというのは、非常に可能性が低いことである。ARM全般について0.6のORを検出する能力が合理的であり、I型誤り率5%を有し、より少ない方のアリル頻度が0.15であり、そして集団罹患率が6%である場合、能力は、AREDSにおいては約81%、そしてCHSにおいては約69%である。滲出性ARMにおける同一の作用を検出するための能力は、同一条件下、AREDSデータにおいてわずか約53%である。従って、ELOVL4がARM全般において機能を果たす可能性は、高いものではなく、しかし滲出性ARMにおける中程度の作用を否定することはできない。これらの能力推定は、QUANTOを使用して行った(Gauderman, W.J. and Morrison, J.M. (2006) QUANTO 1.1: A computer program for power and sample size calculations for genetic-epidemiology studies, http://hydra.usc.edu/gxe)。
【0165】
AREDSデータおよびCHSデータは、CFH中のY402HおよびLOC387715中のS69AのARM感受性に対する非依存的な寄与をサポートする。これら2つの変異体についての相乗的リスクモデルは、AREDS集団およびCHS集団の評価に基づいて、最も安上がりのものである;このモデルはまた、本発明者らの以前の論文(Jakobsdottir et al. (2005))並びに2件の論文により提示されたデータ(Rivera et al. (2005)およびSchmidt et al. (2006a))によりサポートされた。ARMリスクは、Y402HおよびS69Aでのリスクアリルの全数が増加するにつれて、増加するようである(表20)。
【0166】
CFHおよびLOC387715の発見よりも前に、喫煙は、より重要な既知のARM-関連性リスク因子の一つであった。喫煙は、一般的には、ARMについての変更可能なリスク因子として許容される;van Leeuwen et al.は、ARMの病因についてのレビューを提供し、そしてARMリスク因子としての喫煙のサポートについて検討する(van Leeuwen, R., Klaver, C.C., Vingerling, J.R., Hofman, A. and de Jong, P.T. (2003) Epidemiology of age-related maculopathy: a review. Eur J Epidemiol. 18, 845-854)。Schmidt et al. (2006)は最近、ARMにおいて、LOC387715と喫煙との間の統計的に有意な相互作用を報告した。彼らのデータは、LOC387715のARMとの関連性が、ヘビースモーカーにおける遺伝子作用により主として引き起こされることを示唆した。相互作用の本発明者ら自身の解析は、この知見をサポートせず、そしてAREDSデータはS69Aと喫煙との組合せ作用が相乗的であることを示唆する。
【0167】
ARM感受性におけるCFHおよびLOC387715の役割は、本発明者らのメタ解析の結果を通じてさらにサポートされる。本明細書中にて報告されるCHS集団およびAREDS集団を含むメタ解析により、CFHまたはLOC387715にて1または2コピーのリスクアリルを有することにより、ARMのリスクが増加し、そして2コピーを有する個体はより高いリスクを負うことが示される。すべての研究に由来する組み合わせた結果並びに各非依存的な研究に由来する結果は、著しく緊密であった(図12および図14)。メタ-解析の一つの既知の限定は、刊行物に記載されたバイアスに対する感受性である。一般的に、そのようなバイアスは、刊行物に記載されていないネガティブな知見の結果である(Normand, S.L. (1999) Meta-analysis: formulating, evaluating, combining, and reporting. Stat Med. 18, 321-359)。CFHおよびLOC387715の事例において、刊行物に記載されたすべての研究は、ヒスチジンをコードするアリルであるCFHについてのリスクアリルおよびセリンをコードするアリルであるLOC387715についてのリスクアリルと同一の方向性で、ARMとの強力な関連性を報告した。統計的に有意な関連性の優先的な(Preferential)刊行物は、有意な関連性が偽陽性の結果である場合には、無作為な方向性を示すことが期待された(Lohmueller, K.E., Pearce, C.L., Pike, M., Lander, E.S. and Hirschhorn, J.N. (2003) Meta-analysis of genetic association studies supports a contribution of common variants to susceptibility to common disease. Nat Genet. 33, 177-182)。従って、CFHおよびLOC387715のARMとの関連性の整合性は、刊行物に記載されたバイアスの結果である可能性はありそうもないことである。
【0168】
本発明者らの統計的解析の結果が10q26上の主要なARM-関連遺伝子であるLOC387715に従っている一方、それらは因果関係を証明しない。ARM病因において原因となる可能性のあるCFHの役割は、ARM患者のドルーゼ沈着物中のそのタンパク質の局在、および補体経路の活性化の関与により、さらにサポートされた。LOC387715に関して、遺伝子の生物学については現在のところほとんど知られておらず、そしてそのタンパク質がARM感受性に対してとのように影響を与える可能性があるかについては何も知られていない。最近になるまで、LOC387715の発現は胎盤に限定されると考えられてきたが、しかしながら、最近、弱い発現が網膜において報告され(Rivera et al. (2005))、これは、この遺伝子の組織特異的役割の可能性を開くものである。
【0169】
まとめると、この実施例において提示された結果は、CFHおよびLOC387715の両遺伝子がARMと非常に関連していることを前提として、被検体がどのようにして確認されるかに関わらず、CFHおよびLOC387715の両方のARMの病因における役割をサポートし続けている。PLEKHA1およびELOVL4のAREDS集団およびCHS集団における評価により、これらの遺伝子がARM感受性において役割を果たしている可能性はあまりないことが示される。CFH遺伝子およびLOC387715遺伝子は、いずれかの遺伝子座が最高値リスクをとるリスクアリルについて、相乗的様式でARM病因においてそして個体ホモ接合体において、非依存的に作用する用である。
【0170】
本発明を上述に記載したが、同一物を、条件、製剤、およびその他のパラメータの幅広くそして同等の範囲において行うことができることは、本発明の範囲およびいずれかの態様の範囲に影響を与えること無く、当業者には理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1:CIDRの位置および候補遺伝子に関して遺伝子型決定されたSNPsの位置。染色体10における位置、距離、およびヌクレオチド位置は、NCBI Entrez-遺伝子データベースおよびSNPデータベースに由来する。
【図2】図2:染色体10上での単一点連鎖および多重点連鎖の結果。左パネルは、すべてのSNPsが使用された場合の結果をまとめたものである。右パネルは、H-clust SNPsのみを解析用に使用した場合の結果をまとめたものである。“F”を付記したピークは、SNP-SNP LDが高いために偽ピークの可能性があることを示す。一方、“G”および“P”を付記したピークは、それぞれGRK5およびPLEKHA1を含有する遺伝子座であることを示す。水平線は、多重点Sallの1-ユニットのサポート間隔を意味する(CFH-1における最大Sall)。
【図3】図3A-3D:196個のCIDR SNPsおよび179個の血縁関係のない対照に基づく、染色体10上の連鎖不均衡パターン。図3A:135 cMでの偽ピーク(図2を参照)、図3B:142 cMでの偽ピーク(図2を参照)、図3C:連鎖ピーク。図3D-1および図3D-1は、図3Cの拡大図であり、A-A’で分割したものである。偽ピークにおける最大のSallを伴うSNP(図3Aおよび3B)が灰色で示され、そしてCCREL由来の5つの遺伝子(GRK5/RGS10/PLEKHA1/LOC387715/PRSS11)をカバーする大型のSNPs(表5)は、真の連鎖ピークにおいて灰色で示される。灰色の陰は、SNPペア間の有意なLDを示し(数字のない濃い灰色の四角はペアワイズD’=1であることを示す)、一方四角は、有意なLDの証拠がないことを示し、そして数字のない灰色の四角は、ペアワイズD’が1、統計的有意性なしであることを示す。LDは、D’を使用して測定され、そして四角の中の数は、D’*100においてペアワイズLDをもたらす。
【図4】図4:染色体1上での多重点連鎖の結果。左パネルはすべてのSNPsが使用された場合の結果をまとめたものであり、そして右パネルはH-clust SNPsのみを解析のために使用した場合の結果をまとめたものである。“F”を付記したピークは、SNP-SNP LDが高いために偽ピークの可能性が示され、一方“C”を付記したピークは、CFH遺伝子に対応する。水平線は、多重点Sallの1-ユニットのサポート間隔を意味する(CFH-1における最大Sall)。
【図5】図5A-5Cは:679個のCIDR SNPsおよび179個の血縁関係のない対照に基づく、染色体1上の連鎖不均衡パターンを提供する。図5A:188 cMでの偽ピークを示し(図4を参照)、図5B:202 cMでの偽ピークを示し(図4を参照)、図5C:CFH遺伝子座をカバーする連鎖ピークを示す。偽ピーク中の最大Sallを有するSNPは灰色で示され、そしてCCREL由来のCFHをカバーする大型のSNPs(表5)は、真の連鎖ピークにおいて灰色で示される。灰色の陰は、SNPペアの間での有意なLDを意味し(数字がない濃い灰色の四角は、ペアワイズD’=1であることを意味する)、白い四角は有意なLDの証拠が存在しないことを意味し、そして数字のない灰色の四角は統計的な有意性を伴わない1のペアワイズD’を意味する。LDは、D’を用いて測定され、そして四角の中の数字は、D’*100でのペアワイズLDをもたらす。
【図6】図6Aおよび6B:図6A:GRK5(Block 1)、RGS10(SNP 6)、PLEKHA1(Block 2)、LOC387715(Block 3)、PRSS11(Block 4)における連鎖不均衡パターンを示す。図6B:CFH(Block 1)における連鎖不均衡パターンを示す。灰色の影は、SNPペアの間の有意なLDを意味し(数字のない濃い灰色の四角はペアワイズD’=1であることを意味する)、白い四角は有意なLDの証拠が存在しないことを意味し、そして数字のない灰色の四角は統計的な有意性を伴わない1のペアワイズD’を意味する。LDはD’を用いて測定され、そして四角の中の数字は、D’*100でのペアワイズLDをもたらす。CCRELアリル試験に由来する大型のSNPsは、灰色で目立たせた(表6を参照)。3種のSNPs(rs6428352、rs12258692およびrs11538141)は、非常に低いヘテロ接合性のために含まれず、そして1種類のSNP、rs2736911、は、情報をもたらさなかったために含まれなかった。ブロックは、遺伝子の位置を明確に示す様に引かれたが、ハプロタイプブロックは示さないことに注意すべきである。
【図7】図7は、CFH、ELOVL4、PLKEHA1、およびLOC387715遺伝子についての、推定されたおよそのORsおよび95%CIsを示す。1つまたは2つのリスクアリル(RR+RN)のキャリアは、リスクのないアリル(NN)についてのホモ接合体である被検体と比較される。実線は、OR(白丸)に対応する95%CIを意味する。点線は、ORが1のヌル値を示す。AREDS集団(cohorts)およびCHS集団において評価されたコントラストが、縦軸に記載される。
【図8】図8は、CFHについての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果(dominance effects)の評価のためのORdomを示す(CT+CC vs. TT)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(CT vs. TT)。C:劣性効果(recessive effects)の評価のためのORrecを示す(CC vs. CT+TT)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(CC vs. TT)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図9】図9は、ELOVL4についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(AG+GG vs. AA)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(AG vs. AA)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(GG vs. AG+AA)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのをORhom示す(GG vs. AA)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図10】図10は、LOC387715についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(GT+TT vs. GG)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(GT vs. GG)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(TT vs. GT+GG)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(TT vs. GG)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図11】図11は、PLEKHA1についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(AG+AA vs. GG)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(AG vs. GG)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(AA vs. AG+GG)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(AA vs. GG)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図12】図12は、CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれ、そして固定効果モデル(fixed effect model)および変量効果モデル(random effect model)からの推定値が蓄積されたデータセットに由来する、推定ORsおよび95%CIsを提供する。上の図は、ORhet(TTと比較した場合のCTヘテロ接合体についてのOR)を示し、そして下の図は、ORhom(TTと比較した場合のCCホモ接合体についてのOR)を示す。‘Hage-C’および‘Hage-I’はそれぞれ、Hagemanらの論文(Hageman, G.S., et al. (2005) A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 May 17;102(20):7227-32. Epub 2005 May 3)のColumbiaの集団およびIowaの集団に由来する推定であることを示し、そして‘Jakobs’は、Jakobsdottirらの論文(Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)から得た推定であることを示す。“固定化”は、研究間の変数が偶発性によるものであることを前提としたすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。‘無作為化’は、研究を通じて異種性(ヘテロ接合性)を許容するすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。‘nAMD’は、推定に含まれるARM事例の全数であり、そして‘ncon’は、推定に含まれるARMを有さない対照の全数である。点線の縦線は、同質性のもとでの蓄積されたORの点推定を示す(‘固定化’)。
【図13】図13は、以下のものを提供する:A:CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれる集団をまたぐ、血縁関係のないARM事例における遺伝子型頻度(%)。B:CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれる研究をまたぐ、ARMを有さない血縁関係のない対照における遺伝子型頻度(%)。“Hage-C”および“Hage-I”はそれぞれ、Hagemanらの論文のColumbiaの集団およびIowaの集団に由来する推定を示し、そして“Jakobs”は、Jakobsdottirらの論文の文献に由来する推定を示す。
【図14】図14は、LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれるデータセットに由来の推定ORsおよび95%CIsを提供し、そして固定効果モデル(fixed effect model)および変量効果モデル(random effect model)に由来する蓄積された推定値を提供する。上の図は、ORhet(GGと比較した場合のGTヘテロ接合体についてのOR)を示し、そして下の図は、ORhom(GGと比較した場合のTTホモ接合体についてのOR)を示す。“Jakobs”は、Jakobsdottirらの論文(Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)に由来する推定を示す。“固定化”は、研究間の変数が偶発性によるものであることを前提とした、すべての研究に由来する蓄積された推定値を示す。“無作為化”は、研究を通じて異種性(ヘテロ接合性)を可能にするすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。“nARM”は、推定に含まれるARM事例の全数であり、そして“ncon”は、推定に含まれるARMを有さない対照の全数である。点線の縦線は、同質性のもとでの蓄積されたORの点推定を示す(‘固定化’)。
【図15】図15は、以下のものを提供する:A:LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれる集団をまたぐ、血縁関係のないARM事例における遺伝子型頻度(%)。B:LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれる研究をまたぐ、ARMを有さない血縁関係のない対照における遺伝子型頻度(%)。“Jakobs”は、Jakobsdottirらの文献に由来する推定を示す。
【図16】図16は、LOC387715についてのアミノ酸(SEQ ID NO: 19)およびヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 20)を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
加齢性黄斑変性症(Age-Related Maculopathy)(age-related macular degenerationとしても知られている)は、高齢者個体群における中枢性失明(central blindness)の主要な原因であり、そして多数の研究が、この複雑な症状に対する強力な原因となる遺伝子成分が存在することを示唆している。多人数の家系、罹患同胞ペア(affected sib pairs)、およびより最近では不一致同胞ペア(discordant sib pairs)を使用したゲノム規模での連鎖スキャニングにより、多数の潜在的な感受性遺伝子座が特定された(Klein et al. 1998 Age-related macular degeneration. Clinical features in a large family and linkage to Chromosome 1q. Archives of Ophthalmology 116:1082-1088;Weeks et al. 2000 A full genome scan for age-related maculopathy. Human Molecular Genetics 9:1329-1349;Majewski et al. 2003 Age-related macular degeneration--a genome scan in extended families. Am J Hum Genet 73:540-550;Schick et al. 2003 A whole-genome screen of a quantitative trait of age-related maculopathy in sibships from the Beaver Dam Eye Study. Am J Hum Genet 72:1412-1424;Seddon et al. 2003 A genomewide scan for age-related macular degeneration provides evidence for linkage to several chromosomal regions. Am J Hum Genet 73:780-790;Abecasis et al. 2004 - Age-related macular degeneration: a high-resolution genome scan for susceptibility Loci in a population enriched for late-stage disease. Am J Hum Genet 74:482-494;Iyengar et al. 2004 Dissection of genomewide-scan data in extended families reveals a major locus and oligogenic susceptibility for age-related macular degeneration. Am J Hum Genet 74:20-39;Kenealy et al. 2004 Linkage analysis for age-related macular degeneration supports a gene on Chromosome 10q26. Mol Vis 10:57-61;Schmidt et al. 2004 Ordered subset linkage analysis supports a susceptibility locus for age-related macular degeneration on Chromosome 16p12. BMC Genet 5:18;Weeks et al. 2004 Age-related maculopathy: a genomewide scan with continued evidence of susceptibility loci within the 1q31, 10q26, and 17q25 regions. Am J Hum Genet 75:174-189;Santangelo et al. 2005 A Discordant Sib-Pair Linkage Analysis of Age-Related Macular Degeneration. Ophthalmic Genetics 26:61-68)。ゲノム規模での連鎖スクリーニングは、加齢性黄斑変性症(age-related macular degeneration;AMD)遺伝子を含有する可能性があるものとして、10q26領域を強力に関係づけた(Weeks et al. 2004);この領域は、多数のその他の研究によっても示唆され、そして最近のメタ解析において上位にランキングされる領域である(Fisher et al. 2005 Meta-analysis of genome scans of age-related macular degeneration. Hum Mol Genet. 2005 Aug 1;14(15):2257-64)。最近、3つの論文(Science(Edwards et al. 2005 Complement Factor H Polymorphism and Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 421-424;Haines et al. 2005 Complement Factor H Variant Increases the Risk of Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 419-421. Klein et al. 2005 Complement Factor H Polymorphism in Age-Related Macular Degeneration. Science 308, 385-389))が、補体因子H(CFH)におけるアリル変異を染色体1上に見られる連鎖シグナルの原因であるとして特定するようであり、そして家族性の事例および散発的な事例の両方において、ARMの顕著な起因するリスクの原因であるとされるようである。これらの知見が、以下の文献において確認された(Conley et al. 2005 Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy. Hum Mol Genet 14: 1991-2002. ;Hageman et al. (2005a) From The Cover: A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A 102:7227-7232;およびZareparsi et al. 2005a Strong Association of the Y402H Variant in complement factor H at 1q32 with Susceptibility to Age-Related Macular Degeneration. Am J Hum Genet 77:149-53)。CFHは、Hageman and Andersonの研究のために、ARMにおいて何らかの役割を果たしていると以前は考えられていた(Hageman and Mullins 1999 Molecular composition of drusen as related to substructural phenotype. Molecular Vision 5:28;Johnson et al. 2000 A potential role for immune complex pathogenesis in drusen formation. Experimental Eye Research 70:441-449 Complement activation and inflammatory processes in Drusen formation and age related macular degeneration. Experimental Eye Research 73:887-896;Mullins et al. 2000 Drusen associated with aging and age-related macular degeneration contain proteins common to extracellular deposits associated with atherosclerosis, elastosis, amyloidosis, and dense deposit disease. FASEB Journal 14:835-846;Hageman et al. 2001 An integrated hypothesis that considers drusen as biomarkers of immune-mediated processes at the RPE-Bruch's membrane interface in aging and age-related macular degeneration. Progress in Retinal & Eye Research 20:705-732;Johnson et al. 2001)。Hageman and Andersonは、多数のARM患者において観察された網膜下の沈着(ドルーゼ、drusen)が、補体因子を含有することを示した。しかしながら、ARMに寄与する別の遺伝子が特定されるまで、CFHは、パズルの特定された一つのピースであり続けており、これはARMの発症機序の一部として別の経路や炎症を関係づけているが、眼において観察される独特の病理学の原因となることはできない。
【0002】
概要
以下に記載する様に、この目的を達成するために、一塩基多型を含むアリル変異を、染色体10q26上で特定した。これらのアリル変異が、加齢性黄斑変性症を発症するリスクの増加と関連することが、本明細書中で示される。アリル変異は、染色体10q26上のLOC387715および/またはPLEKHA1遺伝子中に位置づけられる。一態様において、アリル変異は、LOC387715中にある。
【0003】
本発明の限定的ではない一態様において、加齢性黄斑変性症を発症するリスクが増加したヒト被検体を特定する方法が提供される。この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症を発症するリスクと関連する染色体10q26中に位置するアリル変異の発生を特定することを含む。限定的ではない一態様において、アリル変異は、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において発生する。例えば、そして限定的ではないが、アリル変異は、PLEKHA1およびLOC387715の一方または両方のアリル変異(例えば、限定的ではないが、LOC387715中のSer69Ala変異)である。
【0004】
別の限定的ではない態様において、変異は、rs4146894、rs10490924、rs1045216、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の変異に対応する多型である。アリル変異は、限定的ではないが、非機能的遺伝子生成物および遺伝子生成物の発現が変化したもののいずれかを生成する変異(例えば、フレームシフト変異、プロモータ変異、およびスプライシング変異の1またはそれ以上)であってもよい。
【0005】
一態様において、この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、補体因子Hのアリル変異(例えば、限定的ではないが、rs1853883として特定される一塩基多型に対応する変異)の発生を特定することをさらに含む。
【0006】
この方法は、いずれかの有用な技術、例えば、限定的ではないが:核酸増幅アッセイ(例えば、PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(例えば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅)を利用してもよい。アリル変異は、1被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の2またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するためのまたはそれ以上の試薬を具体的には含む、アレイを使用して特定されてもよい。
【0007】
別の限定的ではない態様において、被検体に由来する核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症の発症のリスクと関連する染色体10q26上に位置するアリル変異の発生を特定するための1またはそれ以上の試薬配列を含むアレイを提供する。このアリル変異は、限定的ではないが、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座中に発生してもよく、そして例えば、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応してもよい。
【0008】
詳細な説明
以下に記載する様に、一塩基多型を含むアリル変異が、染色体10q26上に特定された。これらのアリル変異は、加齢性黄斑変性症を発祥するリスクの増加と関連することが、本明細書において示される。実施例1は、ARMに関連するアリル変異の遺伝子座として、PLEKHA1および/またはLOC387715を特定した。実施例2に示されるさらなる研究により、ARMに対するマーカーとして、LOC387715における変異の特定された関連性について、確認され、そしてさらなるサポートが追加される。ARMに対するマーカーとして、PLEKHA1における変異の関連性が除かれたが、しかしもっとも最近の遺伝子的研究から得られた証拠は、LOC387715遺伝子内部の変異体に、より強力に関連する。
【0009】
したがって、加齢性黄斑変性症(ARM)を発症するリスクが高まったヒト被検体を特定するための方法が提供される。この方法は、被検体由来の核酸サンプル中で、PLEKHA1および/またはLOC387715の、そして一つの限定的ではない態様においてはLOC387715の、アリル変異の発生または特異的なハプロタイプ(いくつかのアリル変異からなる)の発生を特定することを含む。rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336およびrs763720として特定されたSNPsを含め(しかし、これらに限定されるわけではない)、特異的な一塩基多型(SNPs)が、これらの遺伝子座の中で特定された。この方法は、さらに、補体因子H(CFH)におけるアリル変異、たとえば、限定的ではないが、rs1853883として特定されるアリル変異、を特定することを含んでもよい。
【0010】
本明細書中で使用される場合、“アリル変異”は、核酸における変化のことを言い、そして典型的には、被検体(たとえばヒト患者)における1またはそれ以上のアリルにおける遺伝子の一次アミノ酸配列における変化のことを言う。アリル変異には、1または複数の核酸およびアミノ酸の置換、付加または欠失であって、転写を制御するプロモータ活性、フレームシフト、早期タンパク質終止、タンパク質のミスフォールディング、タンパク質プロセッシングの変化、タンパク質の活性部位または結合部位の破壊(または亢進)、mRNAのミススプライシング、または最終遺伝子生成物の発現および/または機能に作用する核酸またはタンパク質のいずれかその他の性質、を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)、タンパク質発現に対する多数の作用のいずれか一つを有するもの、が含まれる。アミノ酸および核酸配列変化は、サイレント、すなわち配列変化と関連する可能性のある表現型作用(たとえば疾患リスク)がないもの、であってもそうでなくてもよい。一方、アリル変異は、コンセンサス“野生型”核酸またはアミノ酸配列における変異であり、たとえばそして限定的ではないが、本明細書中で記載される統計的な方法により、それについての疾患状態(ARMなど)のリスクがその変異の結果であると考えられ、その変異と関連し、またはそうでなければ結びつけることができる。したがって、rs10490924(Ser69Ala)として特定されたLOC387715一塩基多型は、アリル変異である。
【0011】
ハイスループットの方法を含む多数の方法が、SNPsおよび/またはその他のアリル変異の検出のために利用可能である。たとえば、そして限定的ではないが、以下の実施例に記載されるPCRおよび制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphisms)法が含まれる。一態様において、サンプル由来のDNAをいずれかの方法により配列決定(再配列決定)して、SNPまたは小型のアリル変異を特定する。ハイスループットの方法を含め、非常に多様な再配列決定法が、当該技術分野において知られている。限定的ではないが、:PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温性増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(たとえば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅を含む、増幅に基づく方法もまた、SNPsなどのアリル変異を特定するために利用可能である。(1または複数の)変異アリルを特定するために適切かつ有効であるように、その他の方法(たとえば制限酵素断片長多型RFLP)もまた、利用可能である。アッセイを多重化することができ、すなわち、多重化反応の反応生成物を識別できる限りにおいて、2またはそれ以上の反応が同一の物理的位置(たとえば同一のチューブ内またはアレイ上の同一の位置)で同時に行われる。限定的ではない例として、2種類の異なる配列特異的プローブに対応する2種類の異なる蛍光色素を使用し、そしてその蓄積または減少をモニタリングすることにより、TAQMANアッセイまたはモレキュラービーコンアッセイを、多重化することができる。ほとんどの事例において、適切な方法は、個人的な選択、および手持ちの経験、装置、および試薬、ハイスループットおよび/または多重化方法の必要性、コスト、方法の正確性、およびアッセイを実施するテクニシャンの技能レベル、により指示される。それらの技術の設計および用具は、幅広く知られており、そして当業者の能力の十分範囲内のものである。
【0012】
本明細書において提供される方法の実施に際して、アレイを使用することができる。アレイは、ハイスループットのアッセイを実施する際に特に有用である。アレイは、典型的には、ヒト被検体由来の核酸サンプル中で、LOC387715および/またはPLEKHA1において特定される1またはそれ以上の一塩基多型(例えば、限定的ではないが、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、rs1853883およびrs1853886として特定されるSNPs)に対応する、アリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬、たとえばそして限定的ではないが、核酸プライマーおよび/またはプローブを含む。アレイは、LOC387715および/またはPLEKHA1における1またはそれ以上のアリル変異(例えば、限定的ではないが、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、rs1853883およびrs1853886として特定されるSNPs)を同時に試験しそして特定すること、およびCFH、その他の遺伝子/遺伝子座、および対照遺伝子/遺伝子座/核酸におけるアリル変異を同時に特定すること、を可能にする。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語“アレイ”は、2またはそれ以上の特定可能な場所に位置づけられる遺伝子中のアリル変異の特定を容易にするための試薬のことを言う。一態様において、アレイは、2またはそれ以上の別個の特定可能な反応チャンバー(例えば、限定的ではないが、96-ウェルディッシュ)を有する装置であり、そこでは特定された構成成分を含む反応が行われる。例示的な態様において、2またはそれ以上の核酸プライマーまたはプローブは、空間的に方向付け可能な方法で基材上に固定化され、それにより各個別のプライマーまたはプローブが、基材上の異なりそして(方向付け可能な)特定可能な位置に位置づけられる。基材には、限定的ではないが、マルチウェルプレート、シリコンチップ、およびビーズが含まれる。一態様において、アレイは、2またはそれ以上のセットのビーズであって、それぞれのセットが特定可能なマーカー(例えば、量子ドットまたは蛍光タグ)を含み、それにより、たとえば限定的ではないが、フローサイトメーターを使用して、そのビーズが個別に特定可能である様なもの、を含む。一態様において、本発明の開示の文脈において、アレイは、DNAを増幅してSNPsを特定するためのプライマーまたは特定の配列に結合するためのプローブを含む、2またはそれ以上のウェル反応チャンバーを含有するマルチウェルプレートであってもよい。このように、試薬(例えば、プローブおよびプライマー)を、アレイ上の特定の場所の上に、またはその中に、結合されるかまたは沈着させることができる。試薬は、いずれの適切な形であってもよく、限定的ではないが、溶液、乾燥物、凍結乾燥物、または結晶化(glassified)されたものが含まれる。
【0014】
有用なアレイ技術には、たとえば限定的ではないが、Affymetrix GeneChip(登録商標)Array、例えば、GeneChip(登録商標)CustomSeq(登録商標)Resequencing Arrays(Santa Clara, CaliforniaのAffymetrix Inc.から商業的に入手可能)および同様の技術が含まれる。インフォマティックソフトウェアおよび/または統計ソフトウェアまたはアレイデータを解析するためのおよび/または患者サンプルから得られたデータから遺伝的危険因子を特定するためのその他のコンピュータで利用されるプロセスが、当該技術分野において知られている。
【0015】
本明細書中で使用される場合、特異的に特定されるか、または遺伝子または遺伝子座の文脈において特定されるかのいずれかである“被検体由来の核酸サンプル中でアリル変異の発生を特定するための試薬”は、いずれかの適切な方法(たとえば限定的ではないが、PCR、再配列決定5’エキソヌクレアーゼ(TaqMan)アッセイおよび/またはアレイまたはハイスループットアッセイ)により、その特異的アリル変異の特定を可能にする試薬のことを言う。そのような試薬の限定的ではない例には、いずれかの有用なアッセイ系において使用するための、配列特異的プライマー、プライマーセット、およびプローブが含まれる。プライマーおよびプローブは、いずれかの有用な形をとることができ、典型的には核酸であるが、しかし核酸類似体(例えば、限定的ではないが、ホスホロチオエート)であってもよい。
【0016】
実施例1においては、家族性の連鎖研究およびケースコントロール関連性研究を、1q31および10q26上の2箇所の連鎖領域において高密度SNPパネルを使用して行った。染色体1q31についてのSNP連鎖および関連性の結果は、連鎖のピークおよびARMとの最強の関連性が、CFH遺伝子全体に存在することが確認された。染色体10q26上での家族性のデータおよびケースコントロールデータの両方を解析して、その次に重要なARM感受性-関連遺伝子を特定した。
【0017】
実施例2において記載された追跡研究は、加齢性黄斑変性症(ARM)の状況が確認のための因子ではない個体群ベースの集団であるCardiovascular Health Study(CHS)、そしてARM状況が確認のための因子である個体群ベースの集団であるAge-Related Eye Disease Study(AREDS)を通じて元々は動員された被検体を用いた、入れ子(nested)ケースコントロールデザインを使用した。これらの集団を使用して、異なる確認スキームを用いて2群の集団において、ARM感受性におけるCFH遺伝子、PLEKHA1遺伝子、LOC387715遺伝子およびELOVL4遺伝子を研究した。さらに、これらの2群の集団に加えて、11種類および4種類の追加のケースコントロール研究を、CFHおよびLOC387715のためのメタ-解析にそれぞれ含めた。CFHは、両群の集団におけるARM状況と顕著に関連し(p<0.00001)、そして、ヘテロ接合性状況またはホモ接合性状況におけるリスクアリル(それぞれ、OR、2.4および6.2;95%CI(信頼区間)、2.2-2.7および5.4-7.2)が、この感受性をもたらすことが、メタ-解析により確認された。LOC387715は、両群の集団におけるARM状況と顕著に関連し(p<0.00001)、そして、ヘテロ接合体状況またはホモ接合体状況におけるリスクアリル(それぞれ、OR、2.5および7.3;95%CI、2.2-2.9および5.7-9.4)が、この感受性をもたらすことが、メタ-解析により確認された。LOC387715と緊密に連鎖するPLEKHA1は、AREDS集団においてはARM状況と顕著に関連したが、CHS集団においてはそうではなく、そしてELOVL4は、いずれの集団においてもARMと有意には関連していなかった。この研究は、ARM状況に関する異なる確認スキームを有する集団の評価を介したARM感受性におけるCFH遺伝子およびLOC387715遺伝子についての追加的なサポート、並びにメタ解析を介したさらなるサポートを提供する。
【実施例】
【0018】
実施例1
材料と方法
家族性およびケースコントロール集団
全部で612例のAMD家族および184例の血縁関係のない対照を、遺伝子型決定のためにCenter for Inherited Disease Research(CIDR)に送った。個体群の潜在的な基礎構造があるため、解析を、本発明者らのデータのコーカソイドサブセット(Caucasian subset)に限定した。コーカソイドサブセットには、594例のAMD家族が含まれ、それには1443例の遺伝子型決定された個体、および179例の血縁関係のない対照が含有される。コーカソイド家族には、430例の遺伝子型決定された罹患同胞ペア(sib pairs)、38例の遺伝子型決定された罹患おじペア(avuncular pairs)、および52例の遺伝子型決定された罹患いとこペア(first cousin pairs)が含まれた。
【0019】
全部で323例のコーカソイド(Caucasian)家族、117例の血縁関係のない対照、および196例の血縁関係のない事例もまた、追加のSNPs用に局所的に遺伝子型決定した。局所的サブセットには、824例の遺伝子型決定された個体、298例の遺伝子型決定された罹患同胞ペア、23例の遺伝子型決定された罹患おじペア、および38例の遺伝子型決定された罹患いとこペアが含まれた。Merlinパッケージ由来のPedStats(Abecasis et al. 2000)を使用して、家族性データについての概要計測を容易に得た。
【0020】
罹患状況モデル
3種類の分類モデル(A、BおよびC)を、ARM状況の重症度に関して定義した(Weeks et al. 2004)。単純化のため、注目点を“Type A”の罹患個体に限定し、最も厳密で慎重な診断を行った。血縁関係のない対照のみが、3種の診断モデルすべてを使用した場合に、非罹患者であった。非罹患者は、眼の治療記録および/または眼底の写真から、その他のRPE変化は伴わず、黄斑変化のいずれか(ドルーゼを含む)または少数(10未満)の硬性ドルーゼ(50ミクロンまたはそれ未満の直径)の証拠のいずれも何も示されない個体であった。多数の黄斑外ドルーゼ(extramacular drusen)を伴う個体は、この情報が利用できたため、非罹患者としてコードされなかった。
【0021】
特異的なARMの部分表現型を調べる努力において、末期疾患を伴う患者のみ、いずれかの眼において脈絡膜新生血管膜(choroidal neovascular membrane;CNV)の兆候がある患者、またはいずれかの眼に地図状萎縮(geographic atrophic;GA)を有する患者を、観察のために選択した。地図状萎縮およびCNVを両方とも有することが報告された個体の数が有意であったが、地図状萎縮がCNVから生じる損傷の二次的なものであるのか、またはCNV成長を制限する様に与えられた治療(すなわち、レーザー、外科手術、または光線力学療法)から生じる二次的なものであるのかをこれらの事例において判断することはしばしば困難であるため、このことは問題である。ヒトがCNVの発症前に眼においてGAを有したかどうかを、写真または記録から識別することはしばしば困難であるため、CNV群内において両方の病態を有する患者が含まれた。しかしながら、具体的にはCNVの証拠を有さないが、片方の眼における地図状萎縮が報告された場合に、この重複群のサブセットのみが、地図状萎縮群に含まれることを認められた。表1は、3種類の事例セットのそれぞれについてのこのような個体数を示す。このアプローチは、同じ眼においてCNVを発症するが非対称性地図状萎縮を有していたか、または両側性の地図状萎縮を有していてもよいが両目にCNVを発症したか、のいずれかの地図状萎縮群に由来する同じ個体の小個体群を排除してもよい。
【0022】
【表1】
【0023】
カッコ内の数字は、CNVおよびGAを両方とも有し、そして同様に、オッズ比および寄与リスク推定および関連性テストについての、GA群に含まれる個体の数を示す(選択分類についてのテキストを参照)。
【0024】
家系および遺伝子型決定エラーおよびデータ取り扱い
プログラムPedCheck(O'Connell and Weeks 1998 PedCheck: A program for identifying genotype incompatibilities in linkage analysis. Am J Hum Genet 63:259-266)を使用して、メンデルの法則の矛盾点をチェックした。小さな家族内のどの遺伝子型が間違ったものであるかを決定することは非常に困難である可能性があるため(Mukhopadhyay et al. 2004 Comparative study of multipoint methods for genotype error detection. Hum-Hered 58:175-189)、それぞれの問題のあるマーカーにて、メンデルの法則の矛盾点を含むそれぞれの家族内での欠落に対して、すべての遺伝子型を設定した。Mega2(Mukhopadhyay et al., http://watson.hgen.pitt.edu/register)を使用して、連鎖解析のためのファイル並びに遺伝子カウントによるアリル頻度推定のためのファイルを設定した。
【0025】
アリル頻度およびハーディ・ワインベルグ平衡
連鎖解析において使用されたアリル頻度を、直接的カウントにより、血縁関係のない対照および非罹患者対照から推定した。すべての対照は、3種の罹患状況モデルのすべての下での非罹患者であった。子供無しの遺伝子型決定された配偶者または未だ研究の一部を構成していない子供を有する遺伝子型決定された配偶者を、この研究のために対照と組み合わせた。Mega2において行われたハーディ・ワインベルグ平衡の実際の試験(Mukhopadhyay et al. 2005 Mega2: data-handling for facilitating genetic linkage and association analyses. Bioinformatics)は、本発明者らのSNPsについて行われた。
【0026】
Mendelが、アリル頻度を推定しつつ、被検体の血縁関係性を適切に明らかにするため、Mendelバージョン5(Lange et al. 2001 MENDEL Version 4.0: A complete package for the exact genetic analysis of discrete traits in pedigree and population data sets. Am J of Hum Genet 69 (Supplement):A1886)を同様に使用して、家族のデータに直接的に由来するアリル頻度を推定した。遺伝子型決定された家族構成員の大半が罹患しているため、これらの推定は、血縁関係のない罹患者の事例を使用して得られた推定にきわめて近いものである。
【0027】
遺伝子マップ
Rutgersの複合連鎖(combined linkage)-物理的マッピング(バージョン2.0)(Kong et al. 2004 A combined linkage-physical map of the human genome. Am J Hum Genet 75:1143-1148)を使用して、Rutgersのマッピングにおいてこれまでに示されていなかったSNPsの遺伝子的位置を予測した。本発明者らのSNPsの分布は、目的とする領域中で非常に密度が高いため、いくつかのSNPs間での推定される組換えはゼロであった;これらの事例において、組換えは、0.000001と設定された。NCBI dbSNPデータベース(ヒト構築物35)から得た、本発明者らのSNPsのすべてについて、物理的位置を得た。
【0028】
連鎖不均衡構造
連鎖解析を行う際のSNPs間の高い連鎖不均衡(LD)を無視することにより、結果として偽陽性の知見が得られる可能性がある(Schaid et al. 2002 Caution on pedigree haplotype inference with software that assumes linkage equilibrium. Am J Hum Genet 71:992-995; Huang et al. 2004 Ignoring linkage disequilibrium among tightly linked markers induces false-positive evidence of linkage for affected sib pair analysis. Am J Hum Genet 75:1106-1112)。高いSNP-SNP LDを考慮する努力には、以下のものが含まれた:
1. 血縁関係のない対照におけるLD構造を、H-クラスター法を使用して研究し(Rinaldo et al. 2005 Characterization of multilocus linkage disequilibrium. Genetic Epidemiology 28:193-206)、これがR中で実行される(R Development Core Team 2004 R:A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0, R statistical software website, http://www.r-project.org/)。目的は、連鎖解析のためにハプロタイプ-タグ化SNPs(htSNPs)を決定することであった。この方法は、階層的クラスタ形成(hierarchical clustering)を使用して、非常に相関したSNPsをクラスター化する。クラスター化の後、H-クラスター法は、各クラスターについてhtSNPを選択する;htSNPは、そのクラスター中のすべてのその他のSNPsと最も相関するSNPである。各SNPが少なくとも1種のhtSNPと0.5より大きい相関係数(r2)を有する様に、SNPsを選択した;
2. プログラムHaploView(Barrett et al. 2005 Haploview: analysis and visualization of LD and haplotype maps. Bioinformatics 21:263-265.)を使用して、染色体1および染色体10にわたるSNP-SNP LDの画像(graphical view)を得た;そして
3. ハプロタイプ-ベースの関連性解析を、2種および3種の-SNP移動ウィンドウを使用して行った(以下を参照)。
【0029】
連鎖解析
1. 一点解析。本発明者らの以前の研究において(Weeks et al. 2004)、LODスコアを、一点単純優性遺伝子モデル(single simple dominant model)のもとでコンピュータで算出した(疾患アリル頻度= 0.0001および浸透用ベクター= [0.01 0.90 0.90])。ARM表現型の複雑性および晩発性のため、2種の疾患表現型のみを使用した:“モデルAでの罹患者”および“未知”。パラメトリックLODスコアを、不均一性のもとでコンピュータで算出し(HLOD)、一方モデルフリーのLODスコアを、直線Sall統計値を使用してコンピュータで算出した。これらのスコアは両方とも、Allegroを使用してコンピュータで算出した(Gudbjartsson et al. 2000 Allegro, a new computer program for multipoint linkage analysis. Nat Genet 25:12-13)。
【0030】
2. 連鎖不均衡を無視する多重点解析。マーカー間の距離はしばしば非常に短いため、SNPs間のLDは高い可能性があり、従ってほとんどの連鎖解析プログラムにより作成されるLDが無いという前提を妨害する。LDを無視する多重点解析を、Allegroを使用して行った(Gudbjartsson et al. 2000)。HLODおよびSall統計値は両方とも、コンピュータで算出した。
【0031】
3. htSNPsを使用した多重点解析。LODスコア計算のためにhtSNPsのみを使用する場合、SNPsの数は、染色体1上では533にまで、染色体10上では159にまで、減少する。多重点LOD解析を、以前と同様に行った(Weeks et al. 2004)。除外されたSNPsは、HaploViewにより推定されたSNP-SNP LD構造と、十分に適合する(Barrett et al. 2005)。
【0032】
関連性解析
家族に由来する事例のすべてを使用するために、新規のCCRELプログラム(Browning et al. 2005 Case-Control single-marker and haplotypic association analysis of pedigree data. Genet Epidomiol 28:110-122.)を使用した。このプログラムは、血縁関係のある事例を血縁関係のない対照と同時に使用して、関連性について試験することを可能にする。CCRELを使用して、染色体1および染色体10上の連鎖ピークのもとSNPsを解析し、関連性について試験した。CCREL試験は、有効事例数および有効対照数を計算することにより、生物学的に血縁関係のある被検体を明らかにする。これらの解析について、血縁関係のない対照には“正常”表現型と割り当てられ、一方、‘A型’ARMに罹患していない家族の構成員には“未知の”表現型と割り当てられた(CCRELのアプローチは、血縁関係のある事例および血縁関係のある対照の両方を同時に使用することを可能にするまでにはまだ拡張されていない)。従って、関連性試験のために使用された各SNP用の有効対照数は、そのSNPについて遺伝子型決定された対照の数である。アリル試験、2種のSNPスライドウィンドウを使用するハプロタイプ試験、3つのSNPスライドウィンドウを使用するハプロタイプ試験、および遺伝子型決定試験を行った。著者らにより提供されたCCREL Rパッケージを解析用に使用した(Browning et al. 2005)。
【0033】
GIST解析
アリル/SNPが連鎖シグナルに対して最も寄与することを調べるため、遺伝子型-IBD共有試験(GIST)を、局所的に遺伝子型決定されたSNPsおよびCCREL試験由来の大型のSNPsを使用して、染色体1および染色体10両方に対する連鎖ピーク周辺で行った。GIST試験は、アリルまたはアリルを伴うLD中のアリルが、部分的に、観察される連鎖シグナルの原因となるかどうかを決定する(Li et al. 2004)。3種の異なる疾患モデル(劣性モデル、優性モデル、付加モデル)のもと、各罹患者の親類関係についての重み付けをコンピュータで算出した - これらの重み付けは、疾患-マーカーの関連性なしとのヌル仮説のもとでは、バイアスがかかっていない。家族の重み付け変数と非パラメータ連鎖(NPL)スコアの間の相関性は、試験統計値の基礎である。GIST試験は、現在では罹患者血縁者ペアファミリーに対して適用されるだけであるため、NPLスコアをコンピュータで計算する前に、家族は、構成成分である核家族に分解された。根拠となる疾患モデルは未知であったため、本発明者らは、3種の異なる疾患モデル(劣性モデル、優性モデル、付加モデル)のもとで試験し、その後3種のモデルに対する多重試験にあわせて調節したp-値を使用して、最大値を取った。
【0034】
三部分(Tripartite)解析
解析は、3つの連続した工程で行われた。第一に、CIDRにて遺伝子型決定されたデータセットを解析した。第二に、染色体10上のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域における8つの追加のSNPsを局所的に遺伝子型決定した後、次に、局所的に遺伝子型決定されたデータセットを解析した。PLEKHA1からPRSS11領域における既知の非-同義のSNPsのすべてを調べた点に注目すべきである。これらの2種類のデータセットは、サイズおよび組成の点で異なっているため、それらを別々に解析することはもっとも直接的なことである(表2)。アリル頻度推定、CCREL関連性試験、およびGIST試験を、上述したこれらの(重複する)データセット両方に対して行った。第三に、本発明者らは、染色体1領域と染色体10領域との相関関係について試験し、並びにリスクが、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在の関数として異なっているかどうかを調べた。
【0035】
【表2】
【0036】
Part I:CIDR SNPsの解析
CIDR SNP遺伝子型決定
染色体10q26上の原因となる遺伝子を特定するため、Center for Inherited Disease Research(CIDR)は、本発明者らの目的とする領域を含む13.4 Mbp(26.7 cM)をカバーする199種のSNPsを用いて、612例のAMD家族および184例の血縁関係のない対照の高密度カスタムSNP遺伝子型決定を行った。解析のために、196種のSNPsを使用した:3例は対照中に多型が存在しないため使用しなかった(この点について家族のデータ内をチェックした際、失われたアリルは非常にまれなものであり、そしてヘテロ接合体中にのみ存在した)。染色体1q31上の45.7 Mbp(47.1 cM)をカバーする684種のSNPsもまた、遺伝子型決定された;5種のSNPsは対照中に多型が存在しないため使用しなかった - 失われたアリルは、存在しないかまたは非常にまれなものであり、そして家族のデータ中のヘテロ接合体中にのみ存在した。本明細書中で提供されるアリル標識と実際のアリルとの間の対応関係について、そして同義性のないSNPsのアミノ酸変化については、表3を参照。
【0037】
【表3−1】
【0038】
【表3−2】
【0039】
調査した各マーカーについて、アリル標識、同義性のないSNPsのアミノ酸変化、CIDR対照におけるアリル頻度(179例)、および局所対照におけるアリル頻度(117例はCIDR対照と重複)および限定的試験のHWE p-値。
【0040】
Part II:局所的に遺伝子型決定されたSNPsの解析
局所SNP遺伝子型決定 - 3種の感受性遺伝子、PLEKHA1、LOC387715およびPRSS11をカバーする、染色体10上の8種の追加のSNPs(すなわち、PLEKHA1(rs12258692、rs4405249およびrs1045216)、LOC387715(rs10490923、rs2736911、rs10490924)およびPRSS11(rs11538141、rs1803403))を遺伝子型決定した。この遺伝子型決定の作業には、NCBIデータベースにおいてはこれらの遺伝子について記録された同義性のないSNPsのすべてが含まれた(図1を参照)。別の研究(Conley et al. 2005 Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy)の一部として、2種のCFH変異体(rs10922093およびrs1061170)を遺伝子型決定し、これもここで使用した。GRK5/RGS10遺伝子座のもとでの追加のSNPsの遺伝子型決定は、現在進行中である。rs12258692、rs1803403、および新たに特性決定されたSNP、rs12258692の1塩基3’側であるrs4405249、についての遺伝子型データを、配列決定により回収し(Rexagen Corporation, Seattle, WA)、そしてSequencherソフトウェア(Gene Codes Corporation, Ann Arbor, MI)を使用して解析した。rs11538141、rs2736911、rs10490923およびrs10490924についての遺伝子型データを、RFLPを使用して回収した。プライマー、増幅条件、および制限エンドヌクレアーゼ(適切な場合)は、配列決定またはRFLPにより遺伝子型決定されたSNPsについては、表4において見いだすことができる。
【0041】
【表4】
【0042】
rs1045216についての遺伝子型データは、5’エキソヌクレアーゼAssay-on-Demand TaqManアッセイ(Applied Biosystems Incorporated, La Jolla, CA)を使用して回収した。増幅および遺伝子型決定は、ABI7000およびSDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems)を使用して行った。2例の血縁関係のないCEPHサンプルが、各変異体について遺伝子型決定され、そして各ゲル上にそして各TaqManトレイ中に含まれ、遺伝子型判定における内部整合性を保証した。さらに、二重盲検遺伝子型決定の課題が、各変異体について行われ、比較され、そしてそれぞれの矛盾が、生データを使用してまたは再遺伝子型決定を使用して対処された。本明細書中で提供されたアリル標識と実際のアリルとの間の対応性について、および同義性のないSNPsのアミノ酸変化について、表3を参照。
【0043】
Part III:相互作用およびオッズ比(OR)解析
血縁関係のない事例 - 血縁関係のない事例は、CIDRによっては何も遺伝子型決定されなかった。しかし、196例の血縁関係のない事例が、追加のSNPsについて局所的に遺伝子型決定された。オッズ比の計算のため、そして相互作用解析のため(以下を参照)、一組の血縁関係のない事例を、各家族から一人の“Type A”罹患者を採取することにより生成した。321例の局所的に遺伝子型決定された家族少なくとも一人の“Type A”罹患者を有した。家族が一人以上の“A”罹患者を有した場合、rs800292(CFH)、rs1061170(CFH)、rs1537576(GRK5)およびrs4146894(PLEKHA1)において最も遺伝子型決定されたヒトが選択された;遺伝子型決定されたSNPsの数が、2人のヒトの間で識別できない場合、疾患を発症したより若年のヒトが選択され、それ以外の場合は‘A’罹患者事例が最も遺伝子型決定されたヒトであって発症年齢の最も若かったヒトから無作為に選択された。577例のCIDR家族が少なくとも一人の“A”罹患者を有し、321例のこれらの家族もまた局所的に遺伝子型決定され、そして‘A’罹患者が局所セットに対する場合と同一のものとして選択された。残りの256家族について、選抜は、rs800292(CFH)、rs1537576(GRK5)、およびrs4146894(PLEKHA1)のみを使用して最も完全に遺伝子型決定したヒトを見いだした以外は、同一の分類に基づいていた。
【0044】
CFHとの相互作用の解析
CFH中のSNPsが染色体10上の連鎖シグナルに寄与し、そして染色体10上のSNPsが染色体1上の連鎖シグナルに寄与した場合、染色体1上のCFHおよび染色体10上の遺伝子との潜在的な相互作用は、GISTを用いた試験により調べられた。これは、一つの染色体上のSNPsからの重み付けおよび別のものから採取した家族ベースのNPLsからの重み付けを使用することにより行われた。
【0045】
ロジスティック回帰もまた使用して、異なる相互作用モデルを評価し、そしてNorthらにより記載されたアプローチの後の相互作用について試験した(North et al. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered 59:79-87)。このアプローチにおいて、両遺伝子座での追加の作用および優性効果を同時的に可能にする多数の異なる可能性のある相互作用モデルが適合され、そして最も可能性がありそして費用がかからないモデルについての推定を導き出すために、異なるモデルの相対的確率が比較される。以前に記載したように(North et al. 2005)、これらのモデル適合には、平均期間のみが推定されるMEANモデル、1つまたはその他の遺伝子座または両方の遺伝子座での追加的作用を仮定するADD1、ADD2およびADDモデル、さらに優性効果を組み込むDOM1、DOM2およびDOMモデル、および相互作用効果を可能にするさらに2種のモデルADDINTおよびDOMINTが含まれる(より詳細については、North et al. (2005)を参照)。これらのモデルのいくつかのペアは入れ子にされていないため、それらをAkaike情報基準(Akaike information criteria;AIC)を使用して比較した;このアプローチにおいて、最低のAICを有するモデルは、最も適合度がよく、そして最も費用がかからないものであると考えられる。これらの解析について、Northおよびその同僚により提供されたプログラムを使用した。本発明者らが見つけたいくつかのバグを修正した後、結果を、本発明者自身のRプログラムと二重チェックした。サンプルサイズを最大にするため、各遺伝子中で非常に大型の同義性を有しないSNPを伴う高LDにおけるCIDR SNPsを選択した。CIDR SNP rs800292は、rs10611710(CFHのY402H変異体)を示すために選択され、そしてCIDR SNP rs4146894はPLEKHA1におけるrs1045216を示す。同様に、GRK5、RGS10、およびPRSS11における代表的なCIDR SNPが選択された。
【0046】
関連性の程度
およそのオッズ比が計算され、そしてSNPsについての寄与リスクが各遺伝子において推定された。対照において最も頻度が低かったアリルが、リスクアリルであると考えられた。寄与リスクが、式
AF = 100×P×(OR - 1)/(1 + P×(OR - 1)
〔式中、ORはオッズ比であり、そしてPは対照から推定した場合の個体群中のリスクアリルの頻度である〕を使用して推定された。これは、対照と比較した‘Type A’罹患者、対照と比較したCNVを有する被験者、および対照と比較したGAを有する被験者、を使用して行われた。可能性ある最大のサンプルサイズを使用するため、異なるがしかし重複するサンプルを、CIDRについておよび局所的にタイピングされたSNPsについて使用した。家族から取り出した577例の事例および179例の血縁関係のない事例を、CIDR SNPsのORおよびARを計算するために使用したが、517例の事例(そのうち、321例が、577例のCIDR SNPの事例の中のものである)および117例の対照(すべてが179例のCIDR SNP対照の中のものである)を、局所的に遺伝子型決定されたSNPs上でのORおよびARを計算するために使用した。
【0047】
多重試験の問題
染色体10q26領域にARM-感受性遺伝子座が存在するという以前の研究に由来する非常に強力な証拠を考慮して、ここで行われた解析は、仮説検定ではなく、感受性遺伝子の位置を推定することを目的としている。多重試験の問題は、最も重要なものであり、そして仮説検定の文脈において関連性のあるものである。推定の際、これらの研究の焦点は、単純に、シグナルが最強である場合である。いずれにしても、多重試験についてのいずれかの補正は、結果の序列を変えるものではなかった。LDよる試験間でのいずれかの補正の原因とはならないボンフェローニ補正(Bonferroni correction)(196例の試験のための0.05レベルでの補正)は、0.05/196 = 0.00026の有意な閾値を導いた;LDによる補正はより大きな閾値を導いた
【0048】
結果
解析を、3つの連続する工程において行った。第一に、CIDRで遺伝子型決定されたデータセットを解析した。第二に、染色体10上のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域における8つの追加のSNPsを局所的に遺伝子型決定した後、次いで局所的に遺伝子型決定されたデータセットを解析した。アリル頻度推定、ハーディ・ワインベルグ平衡についての試験(表3)、CCREL関連性試験、およびGIST試験を、上述したこれらの(重複する)データセット両方について行った。第三に、染色体1領域と染色体10領域との間の相互作用を解析し、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在の関数としてリスクが異なるかどうかを調べた。
【0049】
Part I:CIDR SNPsの解析
CIDR連鎖の結果
本発明者の以前の研究の場合と同様に(Weeks et al. 2004)、CIDR SNPsを使用して、そして同一の連鎖解析アプローチを適用して、染色体10上のSall多重点曲線のピークをGRK5領域と関連づけるが(図2における‘G’;GRK5におけるrs1537576は1.87の単一点Sallを有し、一方3.86の最大単一点Sallが、GRK5の206 kbセントロメア側のrs555938に生じた)、しかしいくつかの亢進された二点の非-パラメトリックSall LODスコアおよびPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域に注目を集める本発明者らの最高不均質LODスコア(HLOD)を関係づける(図2における“P”)。この領域において、PLEKHA1におけるSNP rs4146894は、3.34の二点Sallおよび2.66の最高の二点HLODを有し、一方、PRSS11におけるSNPs rs760336およびrs763720は、それぞれ2.69および2.23の二点Sallを有した。しかしながら、サポート間隔は大きく(10.06 cM、図2)、そして連鎖解析のみからの局在化はむしろ不正確である。
【0050】
SNP-SNP LDを考慮することができない効果は、すべてのSNPsによる多重点スコア(図2、左パネル)を、htSNPsのみにより算出されたもの(図2、右パネル)と比較することにより、探索された。2つのピークは、H-clust SNPsを使用した場合にのみ、ほとんど完全に消失する(偽ピークと呼ぶ、“F”、図2、左パネル);興味深いことに、これら2つのピークは、ハプロタイプブロック中に存在し(図3Aおよび図3B)、一方最高値多重点LODスコアおよび2点LODスコア周辺のLDは低く(図3C、図3D-1および図3D-2)、このことから、連鎖解析を行う場合に、LDを考慮に入れることの重要性が示される。
【0051】
染色体1上での連鎖の結果は、2よりも大きいSallを有する3つのピークをもたらし、解析をhtSNPsに限定した場合に、それらのピークのうちのただ一つのみが、観察された(図4)。この残りのピークは、補体因子H(CFH)遺伝子の上にあり、そしてそれには非常に高い2点SallおよびHLODスコアを有する2種のSNPsが含まれる;CFHにおける同義性のないSNPであるrs800292は、1.53のSallおよび2.11のHLODを有し、一方CFHの165 kbテロメア側のSNP rs1853883は、4.06のSallおよび3.49のHLODを有した。これらの結果は、ARMにおいて、CFHが関与するという初期の知見を強力に支持する(Conley et al. 2005; Edwards et al. 2005; Hageman et al. 2005b A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A.; Haines et al. 2005; Klein et al. 2005; Zareparsi et al. 2005a)。消失するピーク(図4、左パネルにおける‘F’)は、連鎖解析において本発明者らのSNPsのすべてを使用する場合に見いだされたが、強力なハプロタイプブロック中に存在し(図5Aおよび図5B)、一方、CFHピーク下のLDは、相対的に低い(図5C)。
【0052】
CIDR関連性の結果
連鎖により得ることができる場合よりもより精密な局在化のため、関連性解析を使用した(これは、染色体1上でCFHを発見する際に非常に有用であった)。ここでは、CCRELアプローチを使用して関連性解析を行った。それにより、事例の同系性(relatedness)について適切に調整することにより、本発明における血縁関係のない対照および本発明における血縁関係のある家族の事例のすべてを、同時に使用することが可能になる。染色体10上のCIDRサンプルにおいて、本発明の連鎖ピーク中において、本発明者らは、非常に小さなp-値を有する4つの隣接するSNPs(rs4146894、rs1882907、rs760336およびrs763720)のクラスタであって、3つの遺伝子:PLEKHA1、LOC387715およびPRSS11をカバーするもの、が特定されることを見いだした。染色体10上の最強のCCRELの結果は、SNP rs4146894を用いたPLEKHA1におけるものであった(表5)。3つのSNPsを同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析(“ハプロ3”)は、結果として、PRSS11領域に対してPLEKHA1の全体にわたり、非常に小さなp-値をもたらす(表5)。関連性試験はまた、連鎖の最高の証拠が生じる場所であるGRK5領域におけるいくつかの適度に小さなp-値を生成する。
【0053】
CCRELが、染色体1上の連鎖ピークをカバーする56種のSNPsについて行われ、そしてCFHをカバーする2つの非常に大型のSNPs(rs800292およびrs1853883)が見いだされた(表5)。2つのSNPs(“ハプロ2”)および3つのSNPs(“ハプロ3”)を同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析は、結果として、CFH遺伝子全体にわたり、きわめて低いp-値をもたらし(表5)、そしてこれもCFHのARMとの強力な関連性の初期の知見を支持するものである。
【0054】
CIDR GISTの結果
GIST試験がCIDRデータセットについて行われる場合、染色体10q26における2つの最小のp-値(0.006、0.004)が、GRK5/RGS10領域において生じ、一方、3番目に小さいp-値(0.008)が、PLEKHA1において生じる(表5)。GRK5遺伝子中の4種のSNPsのすべてが、小さなGIST p-値を有する。GISTの結果は、GRK5およびPLEKHA1の両方が、染色体10上の連鎖シグナルに顕著に寄与し、そしてCFHが染色体1上の連鎖シグナルに顕著に寄与することを示唆する。PRSS11における2種のSNPsのいずれも、染色体10上の連鎖シグナルには特に寄与しない。染色体10上のこれら2つの遺伝子が、染色体1上で見られる連鎖シグナルに関連しているという証拠は、存在しなかった。
【0055】
PART II:局所的に遺伝子型決定されたSNPsの解析
局所的関連性の結果
追加のSNPsを局所的にタイピングした後、アリル試験および遺伝子型試験は、3つの遺伝子PLEKHA1/LOC387715/PRSS11のそれぞれにおいて、きわめて小さなp-値を生成する(表6)。3つのSNPsを同時に使用するMoving Windowハプロタイプ解析(“ハプロ3”)は、結果として、PLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域全体にわたり非常に小さなp-値をもたらす(表6)。従って、関連性がPLEKHA1/LOC387715/PRSS11領域に関連しているが、一方、それはこれらの遺伝子間で識別されない。
【0056】
表5 CIDRでタイピングされた家族(594)および対照(179)での、CCREL、GIST、およびアリル頻度推定。対照におけるより少ない方のアリルの頻度が、対照(カウントにより推定)および家族(Mendelバージョン5により推定)の両方ともについて報告され、アリル頻度が対照および家族の間で0.1よりも大きく異なる場合に、アリル頻度を太字にする。CCRELに由来するアリル試験、ハプロタイプ2 SNP Moving Window試験、ハプロタイプ3 SNP Moving Window試験、および遺伝子型試験についてのP-値は、≦0.05である場合に太字、≦0.001の場合に太字かつ下線とする。染色体1および染色体10に由来するNPLスコアを使用したGIST P-値が報告され、0.05未満の場合に太字、そして≦0.001の場合に太字かつ下線とする。
【0057】
【表5】
【0058】
表6 局所的にタイピングされた家族(323)および対照(117)での、CCREL、GIST、およびアリル頻度推定。対照におけるより少ない方のアリルの頻度が、対照(カウントにより推定)および家族(Mendelバージョン5により推定)の両方ともについて報告され、アリル頻度が対照および家族の間で0.1よりも大きく異なる場合に、アリル頻度を太字にする。CCRELに由来するアリル試験、ハプロタイプ2 SNP Moving Window試験、ハプロタイプ3 SNP Moving Window試験、および遺伝子型試験についてのP-値は、≦0.05である場合に太字、そして≦0.001である場合に太字かつ下線とする。染色体1および染色体10に由来するNPLスコアを使用したGIST P-値が報告され、0.05未満の場合に太字とする。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0059】
【表6】
【0060】
局所的GISTの結果
3種の遺伝子PLEKHA1/LOC387715/PRSS11のうち、GISTは、PLEKHA1と最も強力に関連している(表6)。それはまた、LOC387715(rs10490924)においては小さなp-値を生成し、しかしこのSNPは、PLEKHA1 SNPsにより高いLDである(図6Aを参照)。局所的にタイピングしたデータセットを使用する場合、GISTは、より大きなCIDRサンプルにおいて上述したように有意ではない結果が得られたのと同様に、PRSS11において何ら有意な結果を生成しない。このことは、PLEKHA1(またはそれを伴う強力なLDにおける遺伝子座)が、AMDに関与する可能性が最も高く、そして従ってLOC387715が依然として可能性を有することを意味している。
【0061】
どのSNPが領域にわたる連鎖シグナルを説明するかを公正に評価するため、局所的に遺伝子型決定された家族のみを使用してNPLsを算出した。このことにより、表6におけるPLEKHA1/LOC387715/PRSS11の結果を、GRK5/RGS10の結果と直接的に比較することが可能になる。局所的にタイピングしたデータセット上で、GRK5 GISTの結果もまた興味深いものであり、GISTをCFHに対して適用することから得られたp-値と同程度の適度に小さなp-値を有している(表6)。しかしながら、p-値が、CIDRデータセットを解析した場合に見られるp-値と、同じほどは小さくない、という点に注目すべきである。GRK5領域におけるSNPsのすべてがCIDR SNPsであるため、局所的にタイピングされたデータセットが、CIDRデータセットよりも小さいため(表2を参照)、この差異は、単にサンプルサイズの関数である。
【0062】
Part III:相互作用解析およびオッズ比(OR)解析
GISTの結果
染色体1領域と染色体10領域との間の相互作用についての強力な証拠は何も、GIST試験により見られなかった。CIDRデータセットを使用する場合、染色体10上のSNPsが染色体1上の連鎖シグナルに寄与するかどうかを試験するため(表5 ‘GIST(NPL 1)’)、PRSS11中のrs763720のみが0.05よりも低いp-値をもたらし、しかしながらrs763720は、染色体10上の連鎖シグナルには顕著に寄与せず、このために、このp-値はあまり説得力のあるものではなくなる。局所データセットのみを使用した場合、より大きなCIDRデータセットにおいては顕著ではなかった1つのGRK5変異(rs1537576)が、0.05未満のp-値をもたらす。同様に、CFH中のSNPsが染色体10上の連鎖シグナルに寄与するという証拠は見られなかった。わずか1つのSNP(rs955927)が0.05未満のp-値をもたらしたが、しかしながらこのSNPは、CFH中のものではなく、そしてCFH遺伝子中のいずれかのSNPsを伴う強力なLD中のものではない(図6Bを参照)。
【0063】
ロジスティック回帰の結果
ロジスティック回帰により、CFH由来の変異およびPLEKHA1由来の変異の両方を含む追加のモデルが、ケースコントロール状態を予測するための最良のモデルであることが、示唆される;このことは、両遺伝子が、ARM表現型にとって重要なものであることを示している。AIC基準により、追加の相互作用期間を含む追加のモデルが、次に最良のモデルであるが(表7)、しかし、相互作用期間は重要ではない(p-値 = 0.71)ことがもたらされる。同様の結果は、両方の変異を含む追加のモデルが最良のモデルであると思われる、CFHおよびPRSS11の間の相互作用について得られた。GRK5/RGS10領域内部では、CFH SNPのみを有するモデルが最良適合モデルであり、このことは、CFH遺伝子型を用いたケースコントロール状態の予測が、モデルに対してGRK5変異またはRGS10変異のいずれかを追加することにより改良されるのではないことを示唆している。
【0064】
【表7】
【0065】
オッズ比および寄与リスク
関連性の程度は、オッズ比(OR)および寄与リスク(AR)を計算することにより推定した;観察された顕著な関連性(表8)は、part Iおよびpart IIのCCREL試験から得られた結果と一致していた。PLEKHA1/LOC387715領域中の最も大型のSNPsのうちの2つは、SNPs rs4146894(PLEKHA1)およびrs10490924(LOC387715)で生じる;これら2つの試験は非常に相関している。というのも、それらのSNPsの間でのLDは非常に高いためである(D’=0.93)(図6Aを参照)。染色体10領域中で3番目に大型のSNP(rs1045216)は、PLEKHA1において、そしてrs4146894(D’=97)およびrs10490924(D’=0.91)の両方を伴う高いLDにおいて、同義性のないSNPである。
【0066】
表8 10000個の複製を使用したカイ二乗検定に由来する、オッズ比(OR)、寄与リスク(AR)、およびシミュレートされたp-値。“Type A”罹患者を対照と比較する。OR値およびAR値は、対応するp-値が0.001未満である場合には太字かつ下線とし、そして0.05未満である場合には太字とする。SNP.アリルは、測定されたSNP、およびリスクアリル(対照中で数の少ないアリル)を示す。RRはリスクアリルについてのホモ接合体を示し、RNはリスクアリルについてのヘテロ接合体を示し、そしてNNは正常アリルについてのホモ接合体を示す。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0067】
【表8−1】
【0068】
【表8−2】
【0069】
本発明者らは、他の研究者らがCFH遺伝子について報告したものと同様の結果および同様のOR値およびAR値を得た(表8)。3つの最も大型のSNPsは、rs1061170(Y402H変異)、rs800292(CFH中)、およびrs1853883(rs1061170を伴う強力なLD中、D’=91)であった。
【0070】
PLEKHA1/LOC387715中に見られる関連性の程度は、CFHとARMとの間で見られる関連性レベルと非常に類似している;両遺伝子座は、結果として、きわめて低いp-値(p-値<0.0001)をもたらす。OR値およびAR値もまた同様であり、CFH中においては優性のORは5.29(95%CI 3.35-8.35)であり、そしてPLEKHA1/LOC387715中においてはそれは5.03(95%CI 3.2-7.91)であり、またCFHおよびPLEKHA1/LOC387715についての優性のARは、それぞれ68%および57%であった。
【0071】
部分表現型(Sub-phenotype)解析
本発明者らは、滲出性疾患vs.対照を用いた事例、および地図状萎縮vs.対照を用いた事例、におけるオッズ比および寄与リスクを推定した(表9)。オッズ比および対応するp-値は、CCRELのアリル試験と同様の知見をもたらす(表5および表6)。本発明者らは、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかが存在することについて、オッズ比間での大きな差異は存在しないことを見いだした。
【0072】
表9 ARMサブタイプの解析から得たORおよびAR。ORおよびARは、対応するp-値(カイ二乗検定、10000個の複製を使用してシミュレートしたp-値)が0.001未満である場合には太字かつ下線とし、そして0.05未満である場合には太字とする。SNP.アリルは、測定されたSNPおよびリスクアリル(対照中で数の少ないアリル)を示す。RRはリスクアリルについてのホモ接合体を示し、RNはリスクアリルについてのヘテロ接合体を示し、そしてNNは正常アリルについてのホモ接合体を示す。イタリック体で記載されたSNPsは、局所的にタイピングされたSNPsである。
【0073】
【表9−1】
【0074】
【表9−2】
【0075】
【表9−3】
【0076】
検討
ARM家族についての本発明者らの連鎖研究は、いくつかのそれ以外の遺伝子座に加えて、染色体1q31遺伝子座および染色体10q26遺伝子座を一貫して特定した。複合連鎖の研究がこの知見を再現し、そして従って、ARM家族並びに血縁関係のない罹患者個体および対照を使用して両方の領域の集中的なSNP解析を、行った。染色体1q31上に、他の研究グループにより報告された、CFHとの強力な関連性を本発明者らは確認し(同様に、Conley et al. (2005)を参照)、そしてCFH中のSNPsが、連鎖シグナルの顕著な原因となることが初めて示された。興味深いことに、本発明者らの最小のGIST p-値(<0.001)は、Y402H変異により0.91の高いD'を有するrs1853883によるものであり、そして“疾患関連”と予測されたY402H変異自体によるものではなかった。CFH遺伝子中の可能性のあるその他のARM-関連変異が依然として検討されなければならないかもしれず、そしてこれらのものがY402Hにより高いLDである可能性がある、という可能性が、このことにより生じる。
【0077】
本発明者らの染色体10q26の研究は、2つの可能性のある遺伝子座、すなわち、3つの緊密に連鎖する遺伝子、PLEKHA1、LOC387715、およびPRSS11を含め、非常に強力に関係する遺伝子座と、そして2種の遺伝子、GRK5およびRGS10を含むそれほどは強力に関係していない遺伝子座と、が関係した(図1)。GIST解析は、ARM-関連遺伝子と同様にPRSS11をサポートしないが、しかしそれは可能性のある候補物として完全にそれを排除する訳ではない。PLEHKA1は、最小のGIST-由来p-値を有し、一方でLOC387715は最強の関連性シグナルおよび最強のオッズ比を有するSNPを保持する。LOC387715におけるSNPsおよびPLEKHA1におけるSNPsの間での高い連鎖不均衡により、統計的解析のみから、これらの遺伝子間を明確には識別することができない。しかしながら、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座のARMに対するインパクトの程度は、CFH遺伝子座について観察された程度と比較することができることは、明らかである。Science誌における最近の研究のように(Edwards et al. 2005; Haines et al. 2005; Klein et al. 2005)、CFHアリル(ヘテロ接合体またはホモ接合体のいずれか)が、5.3 ORのオッズ比(CI:3.4-8.4)および68%の有意な個体群寄与リスクの原因となることを、本発明者らのケースコントロール個体群において見いだした。同様に、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座中の高リスクアリルは、ヘテロ接合体個体およびホモ接合体個体を両方とも考慮に入れる場合、5.0のオッズ比(CI:3.2-7.9)および57%の個体群寄与リスクの原因となる。Klein et al (2005)により注目されたように、ケースコントロール研究から決定されるオッズ比は、通常は、一生のリスクを決定するために必要とされる同等の相対リスクを、過剰に推定する可能性がある。
【0078】
染色体1上の補体因子H(CFH)の場合、CFHが関連する遺伝子の領域中に存在するにもかかわらず、関連性データは、単一遺伝子に関して、きわめて説得力のあるものである。複数の別個の研究グループにより見いだされた関連性データに加えて、ARM患者のドルーゼ沈着物中のタンパク質の局在を含む、CFHを関連づける追加の生物学的データが存在する。従って、本発明者らはまた、染色体10q26の本発明者らの研究により特定された可能性のあるARM-感受性遺伝子の生物学的関連性を考慮しなければならない。
【0079】
上述したように、GIST解析は、PLEKHA1と最も強力に関係し、特に本発明者らが遺伝子型決定に追加した追加の同義性のないSNPsを含めた場合に、最も強力に関係した。PLEKHA1(GenBank NM_001001974、NM_021622、NP_001001974およびNP_067635;MIM 607772;UniGene Hs.287830)は、タンパク質TAPP1をコードし、それは推定ホスファチジルイノシトール3,4,5-トリホスフェート-結合モチーフ(PPBM)および2つのプレクトストリンホモロジー(plectstrin homology;PH)ドメインを有する404アミノ酸のタンパク質である。最後の3つのC-末端アミノ酸は、MUPP1の1またはそれ以上の13個のPDZドメインと相互作用すると予想された(PRSS11中のPDZドメインと同様)。Dowler and colleagues(Dowler et al. 2000 Identification of pleckstrin-homology-domain-containing proteins with novel phosphoinositide-binding specificities. Biochem J 351:19-31.)は、TAPP1タンパク質全体およびC-末端PHドメインが、ホスファチジルイノシトール3,4-二リン酸(PtdIns(3,4)P2)と特異的に相互作用するが、その他のホスホイノシチド類のいずれとも相互作用しないことが示された。TAPP2の最初の300アミノ酸と58%の同一性を有するTAPP1は、PtdIns(3,4)P2に対してTAPP2よりも5倍高い親和性を示し、そしてこの結合は、PPBM領域(これは第二のPHドメインの一部である)中の保存性のarg212をロイシンに変異させることにより、ほとんど除去される。TAPP1(およびその類縁物質Bam32およびTAPP2)に関して最もよく解析された役割は、リンパ球のアクチベーターとしての役割である。脂質ホスファターゼ(SHIP)がPI3Ks(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)とともに活性化される場合、PtdIns(3,4)P2が、細胞膜に対して優先的に動員される。SHIPは、PIP3からPtdIns(3,4)P2への脱リン酸化に関与する。SHIPは、リンパ球活性化の負の制御因子であり、従って、TAPP1(およびTAPP2)は、マイトジェンのシグナル伝達のそしてPI3Kシグナル伝達経路の重要な負の制御因子である。従って、当業者であれば、局所的リンパ球活性化を修飾することにより、PLEKHA1およびそのタンパク質TAPP1の眼における役割を予想することができ、そのことは、ARMが炎症性プロセスと密接に連鎖しているという仮説と一致している。
【0080】
しかしながら、本発明の発明者らは、この遺伝子座中の2種の他の候補遺伝子、LOC387715およびPRSS11の生物学的妥当性を依然として考慮する必要がある。LOC387715(Genbank XM 373477およびXP 373477;UniGene Hs.120359)の生物学については、その発現が胎盤に限局されているらしいということ以外は、ほとんど知られていない。本発明者ら自身が行ったヒト網膜RNAを用いた逆転写実験により、PLEKHA1およびPRSS11の発現が確認されたが、しかしながら、胎盤RNAを用いてその発現が確認されたにも関わらず、標準的な条件下の網膜においては、LOC387715転写物は検出されなかった(データは示さず)。しかしながら、本発明者らは、LOC387715が、網膜または網膜色素上皮において非常に低レベルで発現されている可能性、または非-眼組織(例えば、樹状細胞(dendritic cell)または遊走性マクロファージ)におけるその発現がARMの病原性における因子である可能性を、排除することはできない。
【0081】
PRSS11(GenBank NM 002775およびNP 002766;MIM 602194およびUniGene Hs.501280)は、非常に保存されたC-末端PDZドメインを有する、哺乳動物HtrA(高温要求性A;high temperature requirement A)セリンプロテアーゼファミリーの遺伝子の一つである(Oka et al. 2004 HtrA1 serine protease inhibits signaling mediated by TGFfbeta family proteins. Development 131:1041-1053)。最初は、高温での生存および低温での分子シャペロン活性に対して必要とされる細菌型との間でのそれらのホモロジーに基づいて、これらの分泌性プロテアーゼが特定された。ATP-非依存性セリンプロテアーゼ活性は、ミスフォールドされたタンパク質を高温で分解すると考えられる。哺乳動物型であるHtrA1は、HtrA2とは対照的に、III型コラーゲンα1 Cプロペプチドにより、選択的に刺激されることが示された(Murwantoko et al. 2004 Binding of proteins to the PDZ domain regulates proteolytic activity of HtrA1 serine protease. Biochem J 381:895-904)。III型コラーゲンは、Bruchの膜における主要な構成成分であり(全コラーゲンの35〜39%)、そして網膜微小血管規定膜においても少量存在している。発生的な研究が、HtrA1の偏在性の発現について報告したが、しかしそれはTGF-βタンパク質が制御的役割を果たす領域と一致しているという、時間的および空間的領域の特異性を有するものであった(De Luca et al. 2004 Pattern of expression of HtrA1 during mouse development. J Histochem Cytochem 52:1609-1617.)。Okaとその同僚(Oka et al. 2004 HtrA1 serine protease inhibits signaling mediated by Tgfbeta family proteins. Development 131:1041-1053)により、HtrA1が、Bmp4、Bmp2およびTGF-β1を含む多数のTGF-βファミリータンパク質のシグナル伝達を、おそらくはHtrA1分子のプロテアーゼ活性を必要とすることによって受容体活性化を妨害することにより、阻害することができることが、示された。ARMに対するこれらの関連性の潜在的重要性に関する糸口の一つは、Hollbornらの研究(Hollborn et al (2004) Contrary effects of cytokines on mRNAs of cell cycle- and ECM-related proteins in hRPE cells in vitro. Curr Eye Res 28:215-223)からもたらされる。彼らは、ヒトRPE細胞が、TGF-β1およびTGF-β2の存在下にて、in vitroで増殖の低下を受け、そしてコラーゲンIIIおよびコラーゲンIV転写物のレベルの増加が生じたことを見いだした。通常は、コラーゲンIIIの上昇は、HtrA1を活性化させ、そしてそれがTGF-β1の作用の二次的な阻害をもたらす。しかしながら、セリンプロテアーゼがそれほど有効でなければ(合成の減少または非機能的変異のいずれかの理由で)、この制御経路は乱され、RPE細胞の増殖能力の全体的な減少が引き起こされ、それはおそらく、RPE萎縮またはARMの発症を引き起こす可能性のあるさらなる変化の原因となる。加齢とともに観察されるBruchの膜におけるIII型コラーゲンの可溶性の漸減は、部分的には、個体の年齢とともにHtrA1活性が全般的に減少することの原因となる可能性がある。
【0082】
PRSS11およびPLEKHA1は両方とも、網膜において発現され、そして中心網膜および周辺網膜のSAGE解析(GEO発現データ)は、中心部黄斑における両遺伝子の転写物レベルがより高いことが示される(PRSS11よりもPLEKHA1でなおさら)。複数の研究(GEOの分析結果において報告されたもの)により、PLEKHA1の発現が、特異的な炎症性サイトカインへ曝露されることに反応して、様々な細胞型において有意に誘導されることが示された。PRSS11もまた、正常なヒトとARM患者との間での比較において、酸化的に刺激された皮膚線維芽細胞のマイクロアレイ発現解析の一部として、研究された。その研究において、ARMサンプルの半分(9/18)が、正常サンプルのいずれと比較しても、Htra1発現レベルが低かった。ARM患者の非-眼組織におけるより低いレベルのHtra1から、正常個体と比較した場合に、これがこれらの患者の生物学における内因性の差異であること、そして眼における退行性変化の結果ではないこと、が示唆される。
【0083】
GRK5/RGS10遺伝子座は、いくつかの流れの証拠によりサポートされている。本発明者らのSall多重点曲線のピークは、GRK5のすぐ上であり、そして本発明者らの最大の単一点Sall = 3.86(rs555938)は、GRK5のわずか206 kb中心体よりである。GRK5/RGS10 CIDRデータのGIST解析についてのp-値は、0.004および0.006であり、それはPLEKHA1中のSNPについてのp-値(0.008)よりも遙かに小さい。本発明者らの局所的に遺伝子型決定されたサンプルを使用して、GRK5遺伝子座についてのGIST p-値は0.012であった。これは、CFHにおけるY402H変異について見いだされたp-値(p=0.011)に匹敵するものである。しかしながら、CCREL解析は、GRK5 SNPsについて非常に重要なものというわけではなく、そしてオッズ比は、ほとんど有意性がなかった。
【0084】
生物学的な証拠に基づいて、GRK5(GenBank NM 005308およびNP 005299;UniGene Hs.524625;MIM 600870;およびPharmGKB PA180)は、好中球の化学誘引物質に対する反応性を修飾する際のその役割およびToll 4受容体とのその相互作用を条件として(Haribabu and Snyderman 1993 Identification of additional members of human G-protein-coupled receptor kinase multigene family. Proc Natl Acad Sci U S A 90:9398-9402; Fan and Malik 2003 Toll-like receptor-4(TLR4)signaling augments chemokine-induced neutrophil migration by modulating cell surface expression of chemokine receptors. Nat Med 9:315-321.)、合理的なARM候補遺伝子であり、それはARMにも関与した(Zareparsi et al. 2005b Toll-like receptor 4 variant D299G is associated with susceptibility to age-related macular degeneration. Hum Mol Genet 12:1449-55)。GRK5の網膜での発現またはRPE発現は、因果関係の主張に特に関連する訳ではない。というのも、それがARMにおける病因の可能性がある免疫経路/炎症経路におけるその役割にとって重要なものである、遊走性リンパ球およびマクロファージにおけるGRK5の発現および機能である可能性があるためである。最強のGISTの結果は、rs2039488で生じ、それはGRK5およびRGS10の間の両遺伝子の末端に対して3’側に実際に位置していた。GRK5遺伝子中のいくつかのその他のSNPsもまた、小さなGIST p-値を有するが、一方RGS10 SNPは、有意なGIST p-値を有さない。しかしながら、本発明者らは、rs2039488と強力な連鎖不均衡の状態であるRGS10中のSNPが存在する可能性を、完全には排除することができない。
【0085】
RGS10(GenBank NM 001005339、NM 002925、NP 001005339およびNP 002916;UniGene Hs.501200;およびMIM 602856)は、ケモカイン-誘導性リンパ球遊走に関与するGタンパク質会合受容体ファミリーの一つであり(Moratz et al. 2004 Regulation of chemokine-induced lymphocyte migration by RGS proteins. Methods Enzymol 389:15-32.)、そして樹状細胞中でのその発現(ARM-関連性ドルーゼ沈着において特定された)は、Toll-様シグナル伝達経路により修飾される(Shi et al. 2004 Toll-like receptor signaling alters the expression of regulator of G protein signaling proteins in dendritic cells: implications for G protein-coupled receptor signaling. J Immunol 172:5175-5184)。AMD被検体および対照被検体における、酸化ストレスを与えた皮膚線維芽細胞の同一のマイクロアレイ研究でのRGS10の発現およびGRK5の発現は、サンプル間でわずかに揺らぎを示したが、しかし対照事例と罹患者事例との間での明確な差異ではなかった。このことは、これらの遺伝子がARMに関係している可能性を必ずしも低下させるものではない。というのも、皮膚線維芽細胞は、RGS10-および/またはGRK5-関連性タンパク質を修飾させると予想される細胞集団を有さないためである。
【0086】
本発明者らは、染色体1上のCFHに関して、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座およびGRK5/RGS10遺伝子座中の高リスクアリル間での潜在的相互作用を検出する様努力した。本件出願は、おそらくは、GISTを使用してこれらの相互作用を調べる初めての報告であり、そして本発明者らは、染色体1上のNPLデータが染色体10上のSNPデータにより説明できるという証拠は、何も見つけられなかった。逆に、本発明者らは、染色体10上のNPLデータとCFHアリル由来のSNPデータとの間にそのような関連性を何も見いださなかった。ロジスティック回帰解析によっても、相互作用を特定することはできなかった。そしてそのことが、単純な追加的リスクモデルが最も安上がりなものであるようである。本発明者らは、タバコの煙に対する曝露を含む、いくつかの初期のロジスティック解析を行った。タバコの煙と補体因子Hの生物学との相互作用が以前に示唆されていたため(Esparza-Gordillo et al. 2004 Genetic and environmental factors influencing the human factor H plasma levels. Immunogenetics 56:77-82.)、そしてタバコの煙と染色体10q26上の遺伝子座との間の相互作用を見いだした本発明者らの以前の研究があったため(Weeks et al. 2004)、これらの解析が始められた。これまでの所、本発明者らは、タバコの煙とCFHまたはPLEKHA1/LOC387715遺伝子座のいずれかとの間の強力な相互作用は何も見つけていないが、しかし本発明者らは、GRK5/RGS10遺伝子座との可能性のある相互作用や、異なるモデル化戦略を依然として模索している。本発明者らは、ARM部分表現型(subphenotype)の、染色体1および染色体10の両方の上のSNPsとの関連性を調べた(表9)。本発明者らは、地図状萎縮または脈絡膜新生血管膜のいずれかの存在に関して、オッズ比には大きな差がないことを見いだした。このことは、これらのARM遺伝子座が、共通の病原性経路に寄与し、それが疾患の末期状態型のいずれかを形成する可能性があることを示唆している。このことは、地図状萎縮の発症またはCNVの発症に対して、別個に特異的リスクを付与する可能性がある、その他の、しかしまだ記載されていない遺伝子座が存在する可能性を排除しない。
【0087】
まとめると、これらのSNPベースの連鎖および関連性研究は、原因となるアリルおよびARM感受性の裏に潜む遺伝子を特定するためのそのような方法の能力および限界の両方を示している。これらの遺伝的アプローチにより、本発明者らは、疾患に関与する可能性がある遺伝子およびその変異体について、組織特異的発現があるかどうかを検討することができる。高密度SNP遺伝子型決定を介して、本発明者らは、染色体10q26上で見いだされる連鎖ピーク内部の候補遺伝子のリストを、数百から最初にGRK5およびPLEKHA1にまで絞ったが、しかし本発明者らは、RGS10および/またはPRSS11およびLOC387715の可能性のある役割を完全には排除することができない。GRK5遺伝子内の同義性のない3’ SNPsの追加の遺伝子型決定は、GRK5とRGS10との間のさらなる識別の補助となりうるが、しかしそれは、因果関係の明確な付与をもたらすことはできない。他の研究による反復(例えば、CFHの事例において)により、一遺伝子に焦点を絞ることはできるが、しかし、本発明者らが、関連性研究によりさらなる解決が達成できないか、またはARM感受性の原因である遺伝子が染色体10q26上に2つ以上存在するかどうかを明確に確立できないという、注目すべき可能性も存在する。しかしながら、分子生物学者たちはいまや、これらの候補遺伝子それぞれの、ARMのマウスモデルにおける潜在的な役割を研究し、そして疾患の病原性の原因的役割の問題に対処することができる。
【0088】
実施例2 - 実施例1の追跡
この実施例は、実施例1において提供された結論および発見をサポートしそして確認する、追加のデータを提供する。この中で、PLEKHA1におけるアリル変異および仮説上のLOC387715遺伝子が、加齢性黄斑変性症のリスク因子として特定された。
【0089】
ARMの病因は複雑であり、環境的感受性および遺伝的感受性が役割を果たしている。関連性ベースの解析は、一般的には、小さな遺伝的作用に対して、連鎖ベースの解析よりも感受性が高く、そして疾患関連遺伝子の精密なマッピングにはきわめて有用である(Cordell et al (2005) Genetic association studies Lancet. 366,1121-1131)。血縁関係のない個体を用いたケースコントロール関連性研究は、特に、多重遺伝子座遺伝子モデルが期待される場合には、家族ベースの研究を超える利点を有する可能性がある。(Howson et al. (2005) Comparison of population-and family-based methods for genetic association analysis in the presense of interacting loci. Genet Epidemiol. 29, 51-67. Risch et al. (2001) Implications of multilocus inheritance for gene-disease association studies. Theor Popul Biol. 60, 215-220.)。しかしながら、そのような研究は、事例集団および対照集団についての確認スキームに対して潜在的に感受性である。このような理由から、様々な確認スキームにより、集団中の候補遺伝子を評価する際に価値が存在する。この実施例は、補体因子H(CFH)遺伝子、超長鎖脂肪酸様物質4(ELOVL4)遺伝子の伸長、PLEKHA1遺伝子、および2種の異なる集団中の仮説上のLOC387715遺伝子を研究した。
【0090】
CFH遺伝子のARM感受性との関連性は、ヨーロッパ系アメリカ人家系のサンプル(Edwards et al. (2005), Haines et al. (2005), Klein et al. (2005), Hageman et al. (2005), Conley et al. (2005), Zareparsi et al. (2005))、並びに英国のサンプル(Sepp, T. et al (2006) Complement factor H variant Y402H is a major risk detriment for geographic atrophy and choroidal neovascularization in smokers and nonsmokers. Invest Ophthalmol Vis Sci. 47, 536-540, Germany - Rivera et al (2005) Hypothetical LOC387715 is a second major susceptibility genes for age-related macular degeneration, contributing independently of complement H to disease risk. Hum Mol Genet. 14, 3227-3236, France - Souied et al (2005) Y402H complement H polymorphism associated with exudative age-related macular degeneration in the French population. Mol Vis. 11, 1135-1140, Iceland- Magnusson et al (2006) CFH Y402H confers similar risk of soft drusen and both forms of advanced AMD. PLoS Med. 3, e5. and Japan - Okamoto et al (2006) Complement factor H polymorphisms in Japanese population with age-related macular degeneration. Mo Vis. 12, 156-158)において、確立された。
【0091】
3件の研究は、染色体10q26上のPLEKHA1/LOC387715遺伝子座をサポートする(Rivera et al (2005), Jakobsdottir Jr. et al (2005) and Schmidt et al (2006) Cigarette smoking strongly modifies the association of LOC387715 and age-related macular degeneration Am J Hum Genet. 78, 852-864)。Jakobsdottirらによる研究(Jakobsdottir et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)は、PLEKHA1/LOC387715遺伝子座が、ARM状態に有意に関連しているが、しかしながら研究のために使用された独立した家族ベースの集団およびケースコントロール集団におけるPLEKHA1とLOC387715との間での強力な連鎖不均衡は、ある遺伝子の他の遺伝子に対する役割を決定することができなかったことを意味していると報告した(Jakobsdottir, et al. (2005))。Jakobsdottirらの刊行物以降、仮説上のLOC387715遺伝子が、ARMに対する感受性の原因となる遺伝子である可能性がより高いことを示す証拠が、非依存的な2件のケースコントロールサンプルを使用するRiveraらによる研究(Rivera et al. (2005))、および家族ベースの研究およびケースコントロール研究の両方を使用したSchmidtらの研究(Schmidt et al.)、において、発行された。3件の研究すべてにおいて、染色体10q26上のこの領域のARM状況との関連性が、3件の集団すべてにおいて以前に報告されたCFHとの関連性とは非依存的であることが示された(Haines et al. (2005, Conley et al. (2005), Rivera et al. (2005))。さらに、Schmidtらの研究に基づいて、LOC387715遺伝子座の作用が、喫煙履歴により修飾される様である(Schmidt et al.(2006))。
【0092】
2件の研究が、ヒトでのARMにおける潜在的なELOVL4の役割を評価した。Ayyagari らの文献(Ayyagari et al. (2001) Evaluation of the ELOVL4 gene in patients with age-related macular degeneration. Opthalmic Genet. 22, 233-239)は、遺伝子を評価し、そして彼らの散発性のケースコントロール解析では、ARM状況との有意な関連性を見いだせなかった。しかしながら、Conleyらは、本発明者らの家族性で散発性のケースコントロール解析においてはELOVL4とARM状況との有意な関連性を見いだした(Conley et al. (2005))。これらの研究の間での知見の相違は、各個体群における滲出性ARMを伴う事例の比率に関連する可能性がある。というのも、Conleyらは、ELOVL4が滲出性の部分表現型と特に関連していることを見いだしたためである。これらの結果は、追加の研究が、ELOVL4とARMとの関連性を確立するためまたは異議を唱えるために必要とされることを示す。
【0093】
本研究に関して使用された2種の集団は、ARM状況が確認のための因子ではない、開始時に65歳以上の個体の個体群ベースの集団、Cardiovascular Health Study(CHS)(Fried et al. (1991) The Cardiovascular Health Study:design and rationale. Ann Epidemiol. 1, 263-276)およびARM状況が確認のための因子である抗酸化物質および亜鉛介入(zinc intervention)の無作為で制御された臨床試験が関与する、55〜80歳の個体の集団であるAge-Related Eye Disease Study(AREDS)(Age-Related Eye Disease Study Research Group (1999) the Age-Related Eye Disease Study (AREDS):design implications. AREDS report no. 1. Control Clin Trials. 20, 573-600)であった。これらの集団は、以前に記述された(Klein, R., et al. (2003) Early age-related maculopathy in the cardiovascular health study. Ophthalmology. 110, 25-33 and Age-Related Eye Disease Study Research Group (2000) Risk factors associated with age-related macular degeneration. A case-control study in the age-related eye disease study: Age-Related Eye Disease Study Report Number 3. Ophthalmology. 107, 2224-2232)。
【0094】
本研究は、ARM状況に関して非常に異なる確認スキームを使用して、2例の独立した集団においてCFH遺伝子、ELOVL4遺伝子、PLEKHA1遺伝子、およびLOC387715遺伝子を評価し、その後それらの知見をメタ解析に導入するようにデザインされた。確認スキームとは関係なく、ある遺伝子のARMに対する感受性との関連性は、関連性が現実的であるという証拠をさらに増加させ、そしてこの(これらの)遺伝子の評価がリスク個体を正確に特定する可能性を高めるだろう。
【0095】
略語:ARM = 加齢性黄斑変性症;GA = 地図状萎縮;CNV = 脈絡膜新生血管膜;OR = オッズ比;PAR = 個体群寄与リスク;ORdom= 優性効果についてのオッズ比;ORrec = 劣性効果についてのオッズ比;ORhet = リスクアリルについてヘテロ接合体である被検体についてのオッズ比;そしてORhom= リスクアリルについてホモ接合体である被検体についてのオッズ比。
【0096】
材料と方法
Cardiovascular Health Study(CHS)参加者 - サンプリングおよび表現型解析
CHSは、65歳以上の個体における心臓血管疾患に関連する因子を特定するために主として設計された、個体群ベースの、長期的な研究である。網膜の評価を8年間の追跡訪問で行い、そしてこの集団の生存メンバーは18年の追跡評価をまさに完了したところである。コミュニティベースの動員は、Forsyth County, NC;Sacramento County, CA;Washington County, MD;およびPittsburgh, PAで行った。Health Care Financing Administrationのメディケア的確性リストを使用して、65歳以上である個体を特定した。リストメンバーの家族の中で生活する65歳以上の個体もまた、適格であった。試験対象患者基準(Inclusion criteria)は最小限であり、そして慣行化されたものではなく、少なくとも3年間この領域に残ることが期待され、インフォームドコンセントを与えることができ、車いすに束縛されておらず、ホスピスケアを受けておらず、そして癌のために放射線治療または化学療法を受けていないこと、が含まれた(Fried et al. (1991))。CHS由来のDNAサンプルが、本研究において使用された
【0097】
CHS被検体は、しばしば、一方の無作為に選択された眼の網膜を写真撮影し、そして、以前の刊行物において記載されたのと同一の分類モデルを使用して、その写真をDr. Gorinが分類した(Weeks et al. (2004) Age-related maculopathy: a genomewide scan with continued evidence of susceptibility loci within the 1q31, 10q26, and 17q25 regions. Am J Jum Genet. 75, 174-189)。ARMを有するその他の群のサンプルサイズが、合理的な結果を得るためには小さすぎるため、解析にはコーカソイド個体のみが含まれた:182例の黒人の対照がおり、しかしながら、わずか3例の事例および5例の対照のみがその他の人種であった。解析のために用いられたすべてのCHS事例(n=126)が“Type A”であり、それは、臨床的分類のための本発明者の最も厳密なモデルに含まれる(Weeks et al. (2004))。このカテゴリーにおける個体は、明らかに、拡張性(extensive)および/または癒着性(coalescent)ドルーゼに基づくARM、色素性変化(色素上皮剥離を含む)、および/または末期疾患[地図状萎縮(GA)および/または脈絡膜新生血管(CNV)膜]の存在、に罹患している。非常に少数のCHS事例が、末期のARM、GAまたはCNVを有した(表10);従って、ARMの特異的サブタイプの解析は行わなかった。すべてのCHS対照(n=1,051)は、AREDSグレード1のものであった。いくつかの潜在的対照(n=22)は、GAまたはCNVの不明確な兆候を示し、そして解析から除外された。
【0098】
表10 研究集団の特徴。AREDS集団において、平均年齢および表現型分類は、最後の眼底写真撮影の際の年齢に基づく。かっこ内の数字は、AREDS格付け法にしたがった疾患重症度を示す。CHS集団において、平均年齢は基準訪問時の年齢に基づくが、網膜評価は8年間の追跡訪問の際に行った。
【0099】
【表10】
【0100】
加齢性眼疾患研究(AREDS)の参加者 - サンプリングおよび表現型決定
AREDSは、ARMの博物学および本研究の中に埋め込まれる高用量ビタミンおよびミネラル添加の臨床試験による加齢性白内障の博物学についての予測的な多施設共同研究である。AREDS研究に動員された個体は、在籍者名簿の55〜80歳の男性および女性であった;これらの個体は、長期の追跡を妨害しうるいずれの症状または病気もないことが必要とされた。試験対象患者基準(Inclusion criteria)は最小限であり、基底部の写真撮影を許容する程度に十分に透明な眼球中膜(ocular media)を有することそしていずれの眼にもARMの証拠がないこと、または一方の視力は良好に維持されているが、他方においてARMを有すること、が含まれた(20/30またはそれ以上)(The Age-Related Eye Disease Study Research Group 1999)。NEI-AREDS Genetic Repository由来のDNAサンプルが、本研究のために使用された。
【0101】
ARM状況は、AREDS加齢性黄斑変性症評価システムを使用して、そして最も最近の追跡訪問で割り当てられた表現型に基づいて、割り当てられた。同様に、コーカソイド個体のみが解析に含まれる。というのも、その他の群のサンプルサイズが、合理的な結果を得るためには小さすぎるためである:15例のアフリカ系アメリカ人個体、2例のヒスパニック系個体、および3例のその他の人種の個体のみが存在する。AREDSの事例(n=701)は、グレード3、4および5から構成された。グレード3のAREDS被検体(n=96)は、ARMを有するが、末期ARMには罹患しておらず、グレード4の被検体(n=266)は、片方の眼に末期ARMを有し、そしてグレード5の被検体(n=339)は、両方の眼に末期ARMを有する。AREDS対照(n=175)は、AREDSグレード1を有する(グレード2個体は、解析の前に除外された)。
【0102】
遺伝子型決定
ELOVL4中のM299V変異体(rs3812153)、CFH中のY402H変異体(rs1061170)、およびLOC387715中のS69A変異体(rs10490924)が、RFLP技術を使用して遺伝子型決定された。各アッセイについての、プライマー、アニーリング温度、および制限エンドヌクレアーゼは:
ELOVL4について、5’-AGATGCCGATGTTGTTAAAAG-3’(F, SEQ ID NO: 13)、5’-CATCTGGGTATGGTATTAAC-3’(R, SEQ ID NO: 14)、50℃およびBspHI;
CFHについて、5’-TCTTTTTGTGCAAACCTTTGTTAG-3’(F, SEQ ID NO: 15)、5’-CCATTGGTAAAACAAGGTGACA-3’(R, SEQ ID NO: 16)、52℃およびNlaIII;
LOC387715について、5’-GCACCTTTGTCACCACATTA-3’(F, SEQ ID NO: 17)、5’-GCCTGATCATCTGCATTTCT-3’(R, SEQ ID NO: 18)、54℃およびPvuII。
【0103】
PLEKHA1中のA320T変異(rs1045216)を、5’エキソヌクレアーゼAssay-on-Demand TaqManアッセイ(Applied Biosystems Incorporated)を使用して、遺伝子型決定した。増幅および遺伝子型割り当てを、ABI7000およびSDS 2.0ソフトウェア(Applied Biosystems Incorporated)を使用して行った。本研究のために行ったすべての遺伝子型決定に関して、二重盲検遺伝子型決定割り当てを、各変異について行い、比較し、そしてそれぞれの不一致を、生データを使用してまたは再配列決定を行うことにより、行った。
【0104】
関連性解析
SNP-疾患関連性は、アリルカイ二乗検定および遺伝子型カイ二乗検定を用いて測定され、そしてP-値は、100,000個の複製物を使用してシミュレートした;1またはそれ以上の5個未満であると予想された細胞数を有する場合、Fisherの限定的試験を使用した。関連性の強度は、大まかなオッズ比(OR)および集団寄与リスク(PAR)により推定された。以下の一般式を使用して、PARを計算した:
PAR = Pr(OR-1)/(1+Pr(OR-1))
〔式中、Prは一般的集団におけるリスク因子の保持率である〕。Prの推定値は、CHS対照に由来した;このことは合理的である。というのも、CHS被検体は、ARM疾患状況に基づいては選択されず、そしてCHS対照の数は多数である(n=1,051)ためである。比較の目的で、年齢および性別に対して調整されたオッズ比(ORadj)を推定した。ロジスティック回帰モデルを使用して、R(38)を使用して、大まかなオッズ比および調整されたオッズ比の両方を計算した。対照群におけるより頻度が低いアリルを、リスクアリルと考え、そしてORおよびORadjを、リスクアリルについてのホモ接合体(RR)の個体を基準群(正常アリルについてのホモ接合体[NN])と比較することにより、そしてリスクアリルについてのヘテロ接合体(RN)の個体を基準群と比較することにより、計算した。優性効果(RRおよびRN vs NN)および劣性効果(RR vs RNおよびNN)についての差異もまた、評価した。
【0105】
PLEKHA1およびLOC387715の間の識別
本発明者らは、ハプロタイプ法(Valdes, A.M. and Thomson, G. (1997) Detecting disease-predisposing variants: the haplotype method. Am J Hum Genet. 60, 703-716)を使用して、PLEKHA1中のA320TまたはLOC387715中のS69Aの2つの遺伝子座のうちのいずれが、10q26領域の変異という傾向をもたらす実際の疾患により似ているかを特定した。ハプロタイプ法の基礎は、単純で洗練されている(数学的な証明については、Valdes and Thomson (1997)を参照)。すべての素因性変異がハプロタイプ上に含まれるならば、特定の疾患-素因ハプロタイプに対する事例および対照の実際の比率は異なっている場合があるが、中立な変異は特定の疾患-素因ハプロタイプ上での事例および対照が同率であると予測される。一方、すべての素因性変異が特定されていない場合、非素因性変異のハプロタイプ頻度の比率の同等性は予想されない。
【0106】
A320T-S69Aハプロタイプについて予想される比率は、一方の変異がARM-素因性であり、そして他方が中立の変異であることを前提として、以下の式に示される。本発明者らは、A320TおよびS69Aが、染色体10q26上のPLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックにおけるARM-素因性変異のすべてであると考える。4つの可能性のあるA320T-S69Aハプロタイプが存在する:G-G、A-G、G-T、およびA-T。もしA320Tが原因となる遺伝子座であり、そしてS69Aが中立の遺伝子座である場合、本発明者らは以下の様に予測する:
【式1】
【0107】
【0108】
しかし、もしS69Aが原因となる遺伝子座であり、A320Tが中立の遺伝子座である場合、本発明者らは以下の様に予測する:
【式2】
【0109】
【0110】
ここで、fは対照または事例における特定のハプロタイプの頻度を示す。
興味の対象となる仮説は:
H0P:PLEKHA1におけるA329T変異が、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因についての十分な原因である。
【0111】
H0L:LOC387715におけるS69A変異が、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因についての十分な原因である。
これらの仮説のいずれかを否定することは、試験された変異がPLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックのみに対するARM素因についての十分な原因ではないことを意味する。4つの2×2の偶然性に関する表は、式1a、式1b、式2a、および式2bから導くことができる:
【式3】
【0112】
【0113】
H0Pのもとでは、本発明者らは、偶然性に関する表1aおよび表1bにおける均質性を予測し、そしてH0Lのもとでは、本発明者らは偶然性に関する表2cおよび表2dにおける均質性を予測する。正規カイ二乗統計値を、それぞれの偶然性に関する表から計算して、複合統計値を作成することができる。H0Pについては、統計は式1aおよび式1b由来の最大カイ二乗であり、そしてH0Lについては、統計は式2aおよび式2b由来の最大カイ二乗である。
【0114】
しかしながら、それぞれの偶然性に関する表のセットから導かれた統計の従属性から、複合統計の分配は明確ではない。独立性を欠くことにより、(1)素因性遺伝子座で様々なアリルに対応する測定値を組み合わせること、そして(2)素因性遺伝子座および非素因性遺伝子座間の連鎖不均衡、が引き起こされる。(1)変異は1より多いアリルを通常は有するため、そして(2)変異体が完全連鎖平衡の状態であるならばそれらの独立性関連性シグナル間を識別する必要がないため、これらの条件の両方とも、不可避である。
【0115】
データにおける依存性の結果として、素因性遺伝子座で(ヌル仮説のもと)アリル上で並べ替え試験(permutation testing)を条件付きで行うことが必要である。本発明者らは、素因性遺伝子座でのアリルにしたがって、ハプロタイプのグルーピングにより開始する(各ヒトについて2つ)。ついで、ケースコントロール標識を各グループ内で並べ替え、そして複合統計を各複製ペアについて計算する。この並べ替え手順は、Li Hにより提案された手順と類似する(Li H. (2001), A permutation procedure for the haplotype method for identification of disease-predisposing variants. Ann Hum Genet. 65:189-196)。段階的な(phased)遺伝子型データは利用できず、そしてハプロタイプが遺伝子型から推定されなければならない。ハプロタイプ頻度を、対照および事例において、別々に推定した。プログラムSNPHAP(39)を使用して、各被検体で、ハプロタイプ頻度および段階的な(phased)ハプロタイプを推定した。SNPHAPは、EMアルゴリズムを使用して、ハプロタイプ頻度の最尤推定を計算して、段階的ではない(unphased)遺伝子型データをもたらす。個体ハプロタイプ割り当てのその後の可能性は、A320TおよびS69Aの両方でタイピングしたすべての個体に対して94%を越える。推定ハプロタイプ頻度は、表11に示される。
【0116】
【表11】
【0117】
相互作用解析
相互作用の解析は3つから構成された:はじめに、本発明者らは、CHSサンプルおよびAREDSサンプルの両方において、CFH中のY402HおよびLOC387715中のS69Aの遺伝的作用を相互作用させることについて試験し、ついで本発明者らはCHSサンプルおよびAREDSサンプルの両方において、Y402HおよびS69Aの両方の喫煙歴との相互作用を試験し、そして最後に3つのリスク因子の組合せORsを計算した。
【0118】
本発明者らは、次に、Northら(North, B.V., Curtis, D. and Sham, P.C. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered. 59, 79-87)により提案されたモデリング戦略を行った。一連のロジスティック回帰モデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ効果を最もよく記載するモデルを見つけるため、AREDSデータセットおよびCHSデータセットに対して適合される。各遺伝子型について、追加的作用を許容するモデル(ADD1、ADD2およびADD-BOTH)および優性効果を導入するモデル(DOM1、DOM2、およびDOM-BOTH)を適合させる。ADD1モデルには、CFHの追加的作用として項(term)x1のみが含まれ、Y402Hでの遺伝子型TTについては-1としてコードされ、遺伝子型CTについては0としてコードされ、そして遺伝子型CCについては1としてコードされる。ADD2には、LOC387715の追加的作用としてモデル項x2のみが含まれ、S69Aでの遺伝子型GGについては-1としてコードされ、遺伝子型GTについては0としてコードされ、そして遺伝子型TTについては1としてコードされる。ADD-BOTHモデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ追加的作用を有する。DOM1は、ADD1に対する優性効果を取り込み、そしてそれにはx1およびz1が含まれ、遺伝子型CTについては0.5としてコードされ、Y402Hでの遺伝子型TTおよびCCについては-0.5としてコードされる。DOM2モデルは同様に、ADD2に対する優性効果を取り込み、そしてそれにはx2およびz2が含まれ、遺伝子型GTについては0.5としてコードされ、そしてS69Aでの遺伝子型GGおよびTTについては-0.5としてコードされる。DOM-BOTHモデルは、CFHおよびLOC387715の組合せ優性効果を示す。CFHとLOC387715との間の相互作用をモデル化するさらに3つのモデルが適合される:ADD-INTには、生成物項x1*x2が含まれ、ADD-DOMにはx1*x2、x1*z2、およびz1*x2が含まれ、そしてDOM-INTにはx1*x2、x1*z2、z1*x2、およびz1*z2が含まれる。
【0119】
上述のモデリング戦略を改良して、CFHと喫煙との組合せ効果、およびLOC387715と喫煙との組合せ効果を調べた。改良されたアプローチは、LOC387715と喫煙との間の相互作用について試験するためにSchmidt et al. (2006)により使用されたものと同一である。コーディングの概略は、喫煙を、これまで一度も喫煙をしたことがないヒトについては0として、そしてこれまでに喫煙したことがあるヒトについては1としてコードする以外は、上述したものと同一である。CFHおよび喫煙の作用について適合化されたモデルは以下の通りである:ADD1、SMOKE、ADD1-SMOKE、DOM1、ADD1-SMOKE-INT、およびDOM1-SMOKE-INT。LOC387715と喫煙の作用について適合化されたモデルは以下の通りである:ADD2、SMOKE、ADD2-SMOKE、DOM2、ADD2-SMOKE-INT、およびDOM2-SMOKE-INT。
【0120】
すべてのモデルは、Akaike情報基準(AIC)により比較された。AICが<2で相違したモデルを、識別できないものと考え(North, B.V., Curtis, D. and Sham, P.C. (2005) Application of logistic regression to case-control association studies involving two causative loci. Hum Hered. 59, 79-87)、およびより少ないパラメータを有するモデルを最も安上がりなモデルとして選択した。年齢および性別について調整することは、Y2402HやS69AについてのORsの推定に影響を与えないため(表12および表13)、そしてパラメータ数をできるだけ少なく維持するため、モデリング相互作用の際に、これらの共変量(covariate)については調整を行わなかった。上述の相互作用解析の結果に基づいて、組合せORsを計算した。
【0121】
【表12−1】
【0122】
【表12−2】
【0123】
注 - Nは正常なアリルを示し、そしてRはリスクアリルを示す。リスクアリルは、対照中での最も頻度の低いアリルとして定義される。優性効果についてのORは、1つのリスクアリルを保持する個体(RNおよびRR遺伝子型)を、正常アリルについてホモ接合体である個体(NN)と比較し、劣性効果についてのORは、RR遺伝子型を有する個体を、1つの正常アリルを保持する個体(NNおよびRN遺伝子型)と比較する。ヘテロ接合体ORおよびホモ接合体ORは、1つのリスクアリル(RN)および2つのリスクアリル(RR)を持つ個体を、NN遺伝子型の個体とそれぞれ比較する。GA = 地図状萎縮。CNV = 脈絡膜新生血管膜。
【0124】
【表13−1】
【0125】
【表13−2】
【0126】
注 - Nは正常なアリルを示し、そしてRはリスクアリルを示す。リスクアリルは、対照中での最も頻度の低いアリルとして定義される。優性効果についてのORは、1つのリスクアリルを保持する個体(RNおよびRR遺伝子型)を、正常アリルについてホモ接合体である個体(NN)と比較し、劣性効果についてのORは、RR遺伝子型を有する個体を、1つの正常アリルを保持する個体(NNおよびRN遺伝子型)と比較する。ヘテロ接合体ORおよびホモ接合体ORは、1つのリスクアリル(RN)および2つのリスクアリル(RR)を持つ個体を、NN遺伝子型の個体とそれぞれ比較する。GA = 地図状萎縮。CNV = 脈絡膜新生血管膜。
【0127】
APOE解析
以前の研究において、ARMにおけるアポリポタンパク質E(APOE)遺伝子の、可能性のある保護的な作用および有害作用が報告された。ε4アリルは、保護的作用を有する可能性がある(Klaver, C.C., et al. (1998) Genetic association of apolipoprotein E with age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. 63, 200-206; Schmidt, S., et al. (2000) Association of the apolipoprotein E gene with age-related macular degeneration: possible effect modification by family history, age, and gender. Mol Vis. 6, 287-293; Schmidt, S., et al. (2002) A pooled case-control study of the apolipoprotein E (APOE) gene in age-related maculopathy. Ophthalmic Genet. 23, 209-223; Baird, P.N., et al. (2004) The epsilon2 and epsilon4 alleles of the apolipoprotein gene are associated with age-related macular degeneration. Invest Ophthalmol Vis Sci. 45, 1311-1315 and Zareparsi, S., et al. (2004) Association of apolipoprotein E alleles with susceptibility to age-related macular degeneration in a large cohort from a single center. Invest Ophthalmol Vis Sci. 45, 1306-1310)が、一方、最低頻度のアリルであるε2は、ARMのリスクを増加させる可能性がある(Klaver, C.C., et al. (1998) and Zareparsi, S., et al. (2004)。APOE変異は、CHSにより遺伝子型決定され、そしてそのARMとの関連性を本研究において評価した。個体が、APOE-ε3/ε3遺伝子型を有する個体、およびAPOE-ε2キャリアおよびAPOE-ε4キャリア(それぞれ、APOE-ε2/*およびAPOE-ε4/*と示される)において、APOE遺伝子型により分類された;APOE-ε2/ε4遺伝子型を有する個体がAPOE-ε2/*群およびAPOE-ε4/*群の両方に含まれた。カイ二乗検定を使用して、APOE-ε3/ε3とAPOE-2ε/*、およびAPOE-3ε/3εとAPOE-4ε/*、対照および事例における遺伝子型の分布における差異について試験した。
【0128】
メタ解析
本発明者らは、CFHおよびLOC387715について以前に刊行物に記載された報告から推定されたORを蓄積するためのメタ-解析アプローチを行い、そして2件の報告をここで提示した。最初に、研究間の偏差が偶発的なものであると仮定してデータを解析し、そして固定化作用モデルを使用した。固定化作用モデルの下、蓄積されたORの最尤推定量は、個体推定値の平均であり、それらの偏差の逆数により重み付けされ、そして蓄積されたORの偏差は、個体重量の合計の逆数により推定される。ホモ接合性の下でのメタ解析を、R中で行った(R DevelopmentCoreTeam (2005) R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)。ホモ接合性の仮定をカイ二乗検定を使用して確認した。しかしながら、ホモ接合性の試験は、低出力しか有さないという傾向があり、そして従って、比較のため、本発明者らは、無作為化作用設定におけるORも蓄積した。ヘテロ接合性の下でのメタ解析を、制限付き最尤法(restricted maximum likelihood;REML)の方法を使用して、SAS Proc Mixed(SAS software release 8.2[SAS Institute Inc., Cary, NC, USA])において実行することにより行った。蓄積されたREML推定量は、ダーサイモニアン・レアード推定量(DerSimonian-Laird estimator)と同一である(DerSimonian, R. and Laird, N. (1986) Meta-analysis in clinical trials. Control Clin Trials. 7, 177-188 and van Houwelingen, H.C., Arends, L.R. and Stijnen, T. (2002) Advanced methods in meta-analysis: multivariate approach and meta-regression. Stat Med. 21, 589-624)。van Houwelingen et al. 2002によるSASコードは、ヘテロ接合性の下、解析を行うために改変された。
【0129】
CFH中でのY402H変異は、11例の研究において、ARMと強力に関連することが見いだされた(Edwards, A.O., et al. (2005) Complement factor H polymorphism and age-related macular degeneration. Science. 308, 421-424; Haines, J.L.,et al. (2005) Complement factor H variant increases the risk of age-related macular degeneration. Science. 308, 419-421; Klein, R.J., et al. (2005) Complement factor H polymorphism in age-related macular degeneration. Science. 308, 385-389; Hageman, G.S., et al. (2005) A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A; Conley, Y.P., et al. (2005) Candidate gene analysis suggests a role for fatty acid biosynthesis and regulation of the complement system in the etiology of age-related maculopathy. Hum Mol Genet. 14, 1991-2002; Zareparsi, S., et al. (2005) Strong association of the Y402H variant in complement factor H at 1q32 with susceptibility to age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. 77, 149-153; Sepp, T., et al. (2006) Complement factor H variant Y402H is a major risk determinant for geographic萎縮and choroidal neovascularization in smokers and nonsmokers. Invest Ophthalmol Vis Sci. 47, 536-540; Rivera, A., et al. (2005) Hypothetical LOC387715 is a second major susceptibility gene for age-related macular degeneration, contributing independently of complement factor H to disease risk. Hum Mol Genet. 14, 3227-3236; Souied, E.H., et al. (2005) Y402H complement factor H polymorphism associated with 滲出性age-related macular degeneration in the French population. Mol Vis. 11, 1135-1140; Magnusson, K.P., et al. (2006) CFH Y402H confers similar risk of soft drusen and both forms of advanced AMD. PLoS Med. 3, e5 and Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407);これらの11例の研究のうち2例は本発明者らのものであり、そしてすべての対比を評価した本発明者らのJakobsdottir et al. (2005)の論文に由来する結果のみを、メタ解析において使用した。Klein et al. (2005)の研究は、AREDSサンプルの小さなサブセットを使用し、そしてMagnusson et al. (2006)の論文は、アリルに基づくORsおよび遺伝子型カウントが存在しないことを報告したのみであった。従って、これら2例の研究は、含まれなかった。Haines et al. (2005)の研究に由来する結果は、ヘテロ接合体およびホモ接合体についてのORsの蓄積された推定値に含まれた;遺伝子型カウントは、優性効果および劣性効果についての対比を評価するために利用可能ではなかった。3例の研究が、仮定上のLOC387715中の変異体S69Aと強力に関連することを報告した(Rivera, A. et al. (2005);Jakobsdottir, et al. (2005);Schmidt et al. (2006)およびSchmidt (2006) Cigarette smoking strongly modifies the association of LOC387715 and age-related macular degeneration. Am J Hum Genet. in press)。LOC387715についての3例の報告すべてを、メタ解析に含めた。CFHおよびLOC387715の研究すべてにおける研究参加者は、ヨーロッパ人の家系およびヨーロッパ系アメリカ人の家系の、非ヒスパニックの白人である。表14および表15は、それぞれ、CFHおよびLOC387715のメタ解析に含まれる研究をまとめたものである。
【0130】
【表14−1】
【0131】
【表14−2】
【0132】
a 遺伝子型カウントが利用可能である場合には遺伝子型決定されたヒトの総数に基づく、それ以外の場合には失われたデータの原因ではなく全サンプルサイズに基づく、サンプルサイズ。
b 平均年齢および対応する標準偏差、または元の文献から利用可能なその他の概要統計。
c 遺伝子型カウントが利用可能な場合、限定的試験(R Geneticsのパッケージにおいて実施)由来のP-値がもたらされる。
d Edwardsらの文献の2種のデータセットを、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.53および0.36である。
e Hainesらの文献由来の結果が、ヘテロ接合体個体およびホモ接合体個体についてのORsのメタ解析に含まれる。サンプルサイズは、CHFにおけるY402Hでの失われた遺伝子型データの原因ではなく個体の全数に基づくものである。
f Hagemanらの文献の2種のデータセットは、元の文献に従って組み合わせない。
g Riveraらの文献の2種のデータセットは、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.03および0.09である。
【0133】
【表15】
【0134】
a 遺伝子型カウントが利用可能である場合には遺伝子型決定されたヒトの総数に基づく、それ以外の場合には失われたデータの原因ではなく全サンプルサイズに基づく、サンプルサイズ。
b 平均年齢および対応する標準偏差、または元の文献から利用可能なその他の概要統計。
c 遺伝子型カウントが利用可能な場合、限定的試験(R Geneticsのパッケージにおいて実施)由来のP-値がもたらされる。
d Riveraらの文献の2種のデータセットは、メタ解析において組み合わせる。組み合わせた対照および事例についてのHWE P-値は、それぞれ0.03および0.01である。
e メタ解析においては、グレード1の被検体のみを対照として分類する(グレード2被検体は除く)。Schmidtらによる元々の研究は、グレード2の個体を対照として分類した。対照の平均年齢および%男性は、この文献から採用し、そしてグレード1および2の両方に基づいた。
【0135】
結果
ARMにおけるCFH、ELOVL4、PLEKHA1、およびLOC387715をさらに評価するため、本発明者らは、AREDS研究およびCHS研究に由来するサンプルにおいて、4種の遺伝子すべての内部で以前に報告されたSNPsを遺伝子型決定した。AREDS研究由来の合計701例の非ヒスパニック白人ARM患者および175例の対照、およびCHS研究由来の合計126例の非ヒスパニック白人ARM患者および1051例の対照を使用して、各データセットについて、別の解析を行った(データについてのサンプルサイズおよびその他の特徴については表10を参照、そして遺伝子型頻度については表16を参照)。最新の追跡訪問時の被検体の疾患の状況は、AREDS被検体に関して評価された主要な評価項目(endpoint)であった。AREDS被検体には、グレード1の対照および中程度のARMを有する事例、および片眼または両眼に進行型ARMを有する事例(グレード3〜5)が含まれる。CHS被検体のARM疾患の状況は、8年の追跡訪問時の撮影された単眼の非散瞳性の基底部写真を使用して、整合性(consistency)のために一人の専門家により評価された。CHS事例の大半は、色素上皮の変化を伴うかまたは伴わない複数のドルーゼを含む中程度のARM(AREDSグレード3と同等)を有し、少数の事例が地図状萎縮(GA)または脈絡膜新生血管膜(CNV)を有した。そしてCHS対照は、AREDSグレード1のものであり、有意な黄斑外ドルーゼ(斑外ドルーゼ)を有する事例を排除する。
【0136】
表16 AREDS集団およびCHS集団におけるARM状況による遺伝子型分布。比較のため、International HapMapプロジェクトのCEU集団に由来する推定(ヨーロッパ北部および西部に起源をもつユタ州の住民)が示される。AREDS事例は、グレード3-5であり、AREDS対照のグレードは1である。遺伝子型カウントは、17中の各グレードおよび部分表現型により利用可能である。HapMap CEU集団の記載は、ここに提供される。
【0137】
【表16】
【0138】
【表17】
【0139】
関連性解析
CFH、ELOVL4、PLEKHA1、およびLOC387715の各遺伝子について、ARMとの関連性をカイ二乗統計値により評価した。各遺伝子の作用の程度を、オッズ比(ORs)および集団寄与リスク(PARs)により推定した。遺伝子が初期ARMおよび進行型ARMに対して同様に寄与するかどうかを評価するため、AREDSデータを使用して、各グレードおよびサブタイプ(GAおよびCNV)について、ORsを個別に計算した。
【0140】
CFH:CFHにおけるY402H変異のARMとの関連性は、AREDS集団およびCHS集団の両方において有意であり(P≦0.00001)(表18)、このことから本発明者ら自身の初期の知見(Conley et al. (2005) and Jakobsdottir et al. (2005))および他の研究者らの初期の知見(Edwards et al. (2005; Haines et al. (2006); Klein et al. (2005) and Rivera et al. (2005))が確認される。CFH中のY402Hについて推定されるORsは、変異がARMのすべての段階に対して同様のリスクをもたらし、そして進行型のARMの両方の型、GAおよびCNVをもたらすことを示唆する(図7および表12)。
【0141】
【表18】
【0142】
2つのCアリルのキャリアが、1つのCアリルのキャリアよりもより高いARMリスクを有する、アリル-用量作用が存在するようである(表12および図8)。2つのCアリルのキャリアにおけるリスクの増加にもかかわらず、一般的な集団におけるCC遺伝子型と比較して、CT遺伝子型が相対的に高い頻度であるため、集団寄与リスク(PAR)は、2つのリスク遺伝子型について同様である。CHSデータセットに由来するPAR推定値は、CT遺伝子型およびCC遺伝子型が、非ヒスパニック白人個体群におけるARMの、それぞれ27%および25%を説明することが示唆される。
【0143】
ELOVL4:ELOVL4におけるM299V変異は、AREDSサンプルにおける滲出性ARMと有意に関連しており(P = 0.034)(表18)、これは本発明者らの以前の知見と一致している(Conley, Y.P., et al. (2005))。しかしながら、95%有意レベルで統計的に有意なORsは存在しない(図7および図9、および表12)。これらの結果は、ARMにおけるELOVL4の潜在的な役割を排除しないが、それを強力にサポートする訳ではない。滲出性ARMを有する個体がより少数であることは、CHS集団における部分表現型解析を許容しなかった。
【0144】
PLEKHA1およびLOC387715:ARMのすべての提示を有するLOC387715におけるS69A変異の関連性は、AREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、きわめて有意であり(P≦0.00001)(表18)、このことから本発明者ら自身の初期の知見が確認される(Conley, Y.P., et al. (2005) and Jakobsdottir, J., et al. (2005)) and others (Edwards, A.O., et al. (2005); Haines, J.L., et al. (2005); Klein, R.J., et al. (2005); Rivera, A., et al. (2005) and Schmidt, S., et al. (2006))。LOC387715と同一のハプロタイプブロック上に存在するPLEKHA1中のA320T変異は、AREDSサンプルにおいて非常に有意であるが(P = 0.00004)、CHSサンプルにおける有意性は境界線上のものでしかなかった(P = 0.08)。A320TとS69Aとの間の連鎖不均衡の程度は、AREDS対照(D’ = 0.66)およびCHS対照(D’ = 0.65)の両方において、統計的に有意である。PLEKHA1またはLOC387715のどちらの遺伝子が真のARM-素因性変異を有する可能性が高いかを特定するため、ハプロタイプ法を適用した(Valdes, A.M. and Thomson, G. (1997) Detecting disease-predisposing variants: the haplotype method. Am J Hum Genet. 60, 703-716)。ハプロタイプ法に従って、中立変異でのアリルの相対的頻度は、素因性変異すべてを含有するハプロタイプについての事例および対照において、同一であることが予想される。この方法を適用することに基づく結果は、LOC387715中のS69A(PLEKHA1中のA320Tではなく)が、ARM-素因性変異であることを示唆する(本明細書中の“PLEKHA1およびLOC387715の間の識別”の項を参照)。さらに、ヌル仮説:H0の並べ替え試験により、PLEKHA1-LOC387715ハプロタイプブロックに対するARM素因の完全な原因であるLOC387715中のS69A変異が拒絶されないが(AREDSデータにおいてP = 0.92、CHSデータにおいてP = 0.45)、一方、A320Tについての同様の仮説は拒絶される(AREDSデータにおいてP≦0.0001、CHSデータにおいてP = 0.0002)。
【0145】
LOC387715中のS69A変異は、CFHにおけるY402Hとは異なるリスクパターンを示す。疾患の重症度が差別化されるAREDSデータにおいては、変異は、重症ARMのリスクを、中程度のARMのリスクよりも高くに増加させるようである(図7および図10[図11は、PLEKHA1についての完全な結果を提供する]、および表12)。例えば、1つまたは2つのTアリルを保持するグレード3のAREDS事例についてのORは3.07であり(95%CI 1.82-5.17)、一方、両眼においてCNVを有し、1つまたは2つのTアリルを保持するAREDS事例についてのORは、7.21である(95%CI 4.24-12.27)。CFHと同様に、S69Aは、GT遺伝子型およびTT遺伝子型の集団寄与リスクにおいて劇的な差異を伴わずに、アリル-用量作用を示す(表12および図10)。4つのAREDS対照のみがS69AでTTホモ接合性であるため、通常のロジスティック回帰に由来する、劣性かつホモ接合体の対比に関する点推定および信頼区間を、限定的回帰由来の推定値と比較した(SASソフトウェア・リリース8.2[SAS Institute Inc., Cary, NC, USA]において適合化されたモデル)。これらの品質チェックは、点推定において、大きな差異(PAR推定値に基づく差異)が存在しないことを示し、そして信頼限界(ORsとの比較に基づく信頼限界)がより低く、しかし上限信頼限界はより高いことを示す(結果は示さず)。
【0146】
相互作用解析
本発明者らは、ロジスティック回帰モデリングを使用して、CFHとLOC387715、CFHと喫煙、およびLOC387715と喫煙の組合せ寄与のモデルを構築した。一連のモデルは、最も有望でそして最も安上がりな(1または複数の)モデルについての推定を導くために、適合させた。North et al. (2005)により記載される様に、モデルは、Akaike情報基準(AIC)を使用して比較した。もっとも安上がりのモデルが特定されたら、本発明者らは、リスク因子の組合せORsを推定した。別々の推定値を、各集団から計算した。AREDSサンプルのサイズを最大にするため、部分表現型解析または部分グレード解析は行わなかった;グレード3〜5のAREDS事例を、グレード1のAREDS対照と比較した。
【0147】
以前の論文(Jakobsdottir (2005))において、本発明者らは、CFHとPLEKHA1/LOC387715遺伝子座との相互作用性効果の証拠を見いだせなかった;2つの遺伝子座の組合せ作用は、非依存的な相乗効果により最も良く記載された(対数目盛上で付加的)。Rivera et al. (2005)は、LOC387715中のS69AがCFH中のY402Hとは非依存的に作用することを報告した。Schmidt et al. (2006a)はまた、同一の最も安上がりのモデルを想到し、そしてここでは、再び、このモデルがAREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、最も安上がりである(表19)。Y402HおよびS69Aでのリスク遺伝子型の結合についての組合せORsは、2つの遺伝子座の組合せ作用をさらに理解するために、コンピュータ処理された(表20)。重症度にかかわらずすべての事例を使用して、AREDSデータにより、遺伝子座の一つでのリスクアリルについての個体ヘテロ接合体およびもう一方での非リスクアリルについてのホモ接合体が、両方の遺伝子座でリスクアリルを有さない個体よりも、ARMに対する感受性が高いことが示唆される(CT-GG組合せ遺伝子型について、OR 2.8、95%CI 1.6-5.0;TT-GT組合せ遺伝子型について、OR 3.2、95%CI 1.7-6.0)。ARMリスクは、ヒトが両方の遺伝子座でヘテロ接合体である場合には二倍以上であり(CT-GT組合せ遺伝子型について、OR 7.2、95%CI 3.8-13.5)、そして少なくとも1つの遺伝子座についてのリスクアリルがホモ接合体である場合には、リスクはさらに増加する。CHSデータから推定される組合せORsは、同様のパターンを示すが、しかしながら、1つのリスクアリルのみを有する場合は、リスクを有意には増加させない(CT-GG組合せ遺伝子型について、OR 1.3、95%CI 0.6-2.7;TT-GT組合せ遺伝子型について、OR 1.2、95%CI 0.5-2.8)。
【0148】
表19 ロジスティック回帰による2因子モデルの適合の結果。詳細なモデル定義が、“材料と方法 - 相互作用解析”の項において記載される。AICの差異は、至適適合モデルのAIC由来の差異である。最も安上がりのモデルを太字で示す。至適適合を有するモデル(最小AIC)は、AICの差異 = 0を有する
【0149】
【表19】
【0150】
【表20】
【0151】
最近の研究(Schmidt et al. (2006a))は、二成分(これまでに喫煙歴ありvs.過去に喫煙歴なし)についても、および連続的スケール(長期間にわたる喫煙)についても、S69Aでの遺伝子型と喫煙との間の強力な統計的相互作用が報告された。本発明者らは、AREDSデータセットおよびCHSデータセットの両方において、この知見を再現することができない(表19)。AREDSサンプルに由来する結果から、Y402Hと喫煙との組合せ作用が、有意な優性効果または相互作用性効果を伴わない非依存的な相乗効果により、最も良く記述されることが示唆される。一方、CHSデータを最もよく記述するモデルには、Y402Hの追加的作用のみが含まれる。AREDSデータに由来する結果から、S69Aと喫煙との組合せ作用は、有意な優性効果または相互作用性効果を伴わない非依存的な相乗効果により、最も良く記述されることが示唆される。CHSデータは、S69Aのみを有するモデルと関係する。喫煙曝露が連続的変数(長期間にわたる喫煙)でありそしてS69A遺伝子型が追加的な様式でコードされる場合、CHSデータにおいて、相互作用項目は有意なものではない(P=0.40)。長期間にわたる喫煙は、AREDS研究における参加者には利用できなかった。遺伝子と喫煙の複合作用をさらに理解するため、各遺伝子でのリスク遺伝子型と喫煙の組合せORsをAREDSデータから推定した(表21)。この結果は、リスク遺伝子型(Y402HおよびS69Aにおける)のいずれかのARMのリスクが喫煙者において上昇する一方、両方の遺伝子は、喫煙よりもARMリスクに対して実質的により大きな影響力を有することが示唆される。モデル適合化アプローチと単純カイ二乗検定(P=0.71)の両方により、CHSデータにおいては、喫煙の主作用が(二元スケールでは)重要ではないことが示される。
【0152】
【表21】
【0153】
APOEの結果:ARMにおけるAPOE遺伝子の主作用を、CHSデータを使用して試験した。APOE-ε4キャリアの分布(P=0.41)もAPOE-ε2キャリアの分布(P=0.42)のいずれも、APOE-ε3/ε3と比較した場合、事例と対照との間で有意には異ならなかった。
【0154】
メタ解析
CFHのメタ-解析:本発明者らは、メタ-解析アプローチを使用して、Y402Hについて推定されたORsを、11種の非依存的データセット(ここで報告されたCHS集団およびAREDS集団を含む)から蓄積した(表14)。これは、結果として、5,451例の事例および3,540例の対照(これらのすべてはヨーロッパ人の家系またはヨーロッパ系アメリカ人の家系である)の解析をもたらした。この結果から、非ヒスパニック白人個体群におけるCアリルによるARMリスクの増加が確認される(図12および表22)。蓄積された推定値は、個体研究のどれよりも狭いCIを有し、そして研究全体にわたるホモ接合性を仮定した場合、ヘテロ接合体のORおよびホモ接合体ORについての非重複性CIを有する:ORhet=2.43(95%CI 2.17-2.72)およびORhom=6.22(95%CI 5.38-7.19)。解析をヘテロ接合性のもとで行う場合、点推定は本質的に同一であり、そしてCIsはわずかに幅広い。固定化作用モデルの下では、1例を除き、感受性解析により、蓄積された推定値に対する劇的な作用を有する研究は存在しないことが示される(表22)。
【0155】
Rivera et al. (2005)による研究は、他のいずれの研究よりも推定値を変化させる;この研究が排除される場合、ORdomおよびORhetは、およそ0.2低くなったが、一方、ORrecおよびORhomは、およそ0.2高くなった。Rivera et al. (2005)の研究は、対照群における遺伝子型分布がHWEから逸脱する唯一の研究である(P = 0.03)。事例および対照におけるアリル分布および遺伝子型分布は、研究全体にわたり顕著に類似している。しかしながら、CHS事例における遺伝子型分布は、その他の研究とは異なり、そしてTTリスク遺伝子型の頻度は、他の集団と比較してより低い(図13)。
【0156】
【表22】
【0157】
LOC387715のメタ-解析:ARMにおけるS69Aと関係したリスクのメタ-解析には、5種の非依存的なデータセット(ここで報告したCHS集団およびAREDS集団を含む)が含まれた(図14および表15)。これは、結果として、3,193例の事例および2,405例の対照(これらのすべてはヨーロッパ人の家系またはヨーロッパ系アメリカ人の家系である)の解析をもたらした。LOC387715の研究は、CFHの研究と比較して、より不均質なものである;ORdomおよびORhetは、研究全体にわたり有意に異なる(それぞれ、P<0.01およびP<0.02)。これらの結果は、ARMリスクが増加したTアリルの関連性の初期の知見をサポートする(表23)。2つのTアリルのキャリアは、1つのTアリルキャリアよりも実質的により高いリスクを有する;研究間偏差を説明する場合、ORhetおよびORhomはそれぞれ、2.48(95%CI 1.67-3.70)および7.33(95%CI 4.33-12.42)である。遺伝子型分布は、CHS ARM集団を除く、すべての対照集団の間でそしてすべてのARM集団の間で同様である(図15)。
【0158】
【表23】
【0159】
CFH遺伝子およびPLEKHA1/LOC387715遺伝子のARMとの関連性についての大きな発見は、実施例1を見いだした後に発表された。多数の報告がCFHにおいてY402Hによりコードされる変化とARMとの強力な関連性を確立し、そして3件の報告が、LOC387715中でS69Aによりコードされる変化とARMとの関連性を見いだした(Y402Hの関連性と同様の程度である)。CFH遺伝子およびLOC387715遺伝子は両方とも、染色体領域中に存在し、CFHは1q31に、そしてLOC387715は10q26に存在し、家族に基づく連鎖研究により一貫して特定された(Seddon, J.M., et al. (2003); Majewski, J., et al. (2003); Iyengar, S.K., et al. (2004); Weeks, D.E., et al. (2001) Age-related maculopathy: an expanded genome-wide scan with evidence of susceptibility loci within the 1q31 and 17q25 regions. Am J Ophthalmol. 132, 682-692; Weeks, D.E., et al. (2004); Klein, M.L., et al. (1998); and Kenealy, S.J., et al. (2004))。
【0160】
Y402Hの研究の大半およびS69Aの3件の研究すべてが、ARMの複雑な病因に関与する遺伝子を検索する(そして見いだす)ために特別に設計されたものであったため、それらが、Y402HおよびS69Aでのリスクアリルの作用サイズを過大評価する可能性がある。従って、2種の非依存的なケースコントロール集団を、ARMの状況、AREDS集団およびCHS集団に基づいて、最小の包含基準および最小の排除基準を用いて解析した。AREDS集団は、眼疾患の状態に基づいた基準を含む、健康関連の包含基準および排除基準を実際に有した;しかしながら、罹患者個体および非-罹患者個体の両方とも、包含された(Age-Related Eye Disease Study Research Group (1999) The Age-Related Eye Disease Study (AREDS): design implications. AREDS report no. 1. Control Clin Trials. 20, 573-600)。CHS集団は、最小の包含基準および排除基準により、65歳以上の個体のコミュニティ-ベースの動員を利用した、個体群-ベースの集団である(Fried et al. (1991))。網膜評価を8年の追跡訪問のあいだ行ったが、網膜疾患は動員のための因子ではなかった。2種の研究中での被検体の確認における差異を前提として、両集団における候補遺伝子の関連性の反復は、ARMの病原性におけるその原因としての関与についてのサポートを、非常に強化する。
【0161】
本発明者らは、4つの遺伝子、CFH(1q31)、ELOVL4(6q14)、PLEKAH1(10q26)、およびLOC387715(10q26)の関連性を評価した。CFHおよびLOC387715の両方とも、AREDS集団およびCHS集団の両方において、ARMと非常に有意に関連している(P≦0.00001)。両遺伝子により、ARMリスクに対するアリル-用量作用を示し、および2つの遺伝子の非依存的な相乗的寄与のモデルが、AREDS集団およびCHS集団の両方において最も安上がりである。10q26上のLOC387715に隣接しそしてそれと連鎖不均衡の状態である、PLEKHA1遺伝子中のA320Tによりコードされる変化は、AREDS集団においてARMと有意に関連するが(P=0.00004)、しかしながらCHS集団においては有意には関連しない(P=0.08)。条件付きのハプロタイプ解析を使用して、そして網膜におけるLOC387715の弱い発現を初めて検出したRivera et al. (2005)の知見、およびPLEKHA1にて弱い関連性シグナルのみを検出したSchmidt et al. (2006)の知見と組み合わせた場合、AREDS集団およびCHS集団の両方に対してハプロタイプ法を適用することに基づくこれらの結果は、LOC387715におけるS69Aが、10q26上での主要なARM-素因性変異であることを強力に示す。ハプロタイプ法の結果は、PLEKHA1が10q26でのARM-素因を説明するためには十分とは言えないことを示す;しかしながら、PLEKHA1中のA320Tを、S69Aおよびその他の未知の変異を伴う、原因となるハプロタイプとして排除することはできない。
【0162】
異なる確認スキームを有する2つの集団であるAREDS集団およびCHS集団におけるCFH遺伝子およびLOC387715遺伝子のARMとの関連性の再現性は、ARMへのそれらの関与についての強力なサポートを提供し続ける。しかしながら、AREDS集団およびCHS集団におけるPLEKHA1についての様々な知見は、実際に、2つの集団の間での差異に照らして、考慮される必要がある。事例個体群および対照個体群の確認における差異に加えて、網膜の変化の評価、網膜の知見の文書化、そして進行型ARMの罹患率が、2つの集団の間で異なっていた。CHS研究において、基底部の写真撮影が、無作為に選択された片眼についてのみ利用可能であり、そして写真撮影は、瞳孔を散大させずに行われ、そしてこれらの限定は、初期の網膜変化の検出に影響を与える可能性がより高いものの、疾患写真を検出するための感受性に確実に影響を与えることができた。8年の追跡評価の際に評価された全CHS集団における進行型ARMの比率は、およそ1.3%であった(Klein, R., Klein, B.E., Marino, E.K., Kuller, L.H., Furberg, C., Burke, G.L. and Hubbard, L.D. (2003) Early age-related maculopathy in the cardiovascular health study. Ophthalmology. 110, 25-33)。これに対して、AREDSにおいてはおよそ17%であった(Age-Related Eye Disease Study Research Group (2000))。2つの集団の間の進行型ARM疾患の病因の比率のばらつきは、、特に遺伝子が疾患の進行に影響を与える可能性がより高い場合に、知見のばらつきを引き起こす可能性があった。さらに、これら2種の集団間の1つの重要な差異は、網膜評価のタイミングである。AREDSの参加者は、基準時に行われた網膜評価を受け、および追跡評価の間に行われた網膜評価を受けたが、一方CHSの参加者は、登録後8年またはそれ以上の年数の後に、彼らが少なくとも73歳となったとき、網膜評価を受けた。CHS参加者についての網膜評価に対して生存することは、この特定のタイプの研究のために利用可能な集団にバイアスをかける可能性がある。ビタミンおよびミネラルサプリメントを使用してARM進行に対するこれらの影響を評価することにより、AREDS集団において、非罹患者群以外のカテゴリーの被検体を、臨床試験において無作為化したことに、注目すべきでもある。この効果は、明確ではない。
【0163】
以前に記載したように、ARMの遺伝的病因を調査したほとんどの研究は、ARMに対する感受性遺伝子およびARM候補遺伝子試験に対する感受性遺伝子を保持するゲノムの領域の特定を最適化するように設計された。これらの回顧的な研究を使用して寄与リスクを推定することは、過大評価を引き起こす可能性がある。刊行物に記載された寄与リスクは、CFH中のY402H変異について43%〜68%の範囲であり(Edwards et al. (2005); Haines et al. (2005); Jakobsdottir (2005); and Schmidt et al. (2006))、そしてLOC387715中のS69A変異について36%〜57%の範囲である(Jakobsdottir (2005) and Schmidt et al. (2006))。興味深いことに、CHS個体群についての調節された集団寄与リスク(PARs)は、以前に刊行物に記載されたものよりも低いものである:CFH中のY402H変異について38%、そしてLOC387715中のS69A変異について25%(表13)。CHS事例の大半が中程度のARMを有しているため、CHSデータに由来するPAR推定値は、進行型ARMを有する患者の比率がかなり高かった以前の研究から得た推定値と、完全に匹敵するものという訳ではない。しかし、これらは、グレード3のAREDS事例を使用することに由来する推定値と、匹敵するものである。それらの推定値は、以前に刊行物に記載されたPARの範囲:CFH中のY402Hについて49%、そしてLOC387715中のS69Aについて46%、の範囲内である。CHS集団がARMの状況に基づいて確認されないならば、これらの知見は、これら2つの感受性変異が原因と考えられるARMのリスクが、以前に考えられていたよりも低い可能性があることを意味している可能性がある。予想される設計が、回顧的ケースコントロール設計から推定されるORsおよび対応するPARsにより概算される、相対的リスクをより正確に推定するために必要とされる。
【0164】
本発明者らは、ELOVL4のARM全般との関連性を再現することができなかった(Conley et al. (2005))。滲出性ARMを有する個体数により、AREDS集団における部分表現型解析を行うことができたが、しかしCHS集団においてはできなかった。部分表現型解析は、ELOVL4に関しては、特に重要であった。本発明者らの以前の知見は、滲出性ARMにおけるELOVL4の役割を示した;このことは、AREDS集団において(わずかながら)サポートされる。両集団でのARM感受性におけるELOVL4についての強力な関連性および有意なORsが存在しないこと、そしてAyyagari et al.により報告された関連性が存在しないことを前提として、ELOVL4がARM感受性において実質的な機能を果たしているというのは、非常に可能性が低いことである。ARM全般について0.6のORを検出する能力が合理的であり、I型誤り率5%を有し、より少ない方のアリル頻度が0.15であり、そして集団罹患率が6%である場合、能力は、AREDSにおいては約81%、そしてCHSにおいては約69%である。滲出性ARMにおける同一の作用を検出するための能力は、同一条件下、AREDSデータにおいてわずか約53%である。従って、ELOVL4がARM全般において機能を果たす可能性は、高いものではなく、しかし滲出性ARMにおける中程度の作用を否定することはできない。これらの能力推定は、QUANTOを使用して行った(Gauderman, W.J. and Morrison, J.M. (2006) QUANTO 1.1: A computer program for power and sample size calculations for genetic-epidemiology studies, http://hydra.usc.edu/gxe)。
【0165】
AREDSデータおよびCHSデータは、CFH中のY402HおよびLOC387715中のS69AのARM感受性に対する非依存的な寄与をサポートする。これら2つの変異体についての相乗的リスクモデルは、AREDS集団およびCHS集団の評価に基づいて、最も安上がりのものである;このモデルはまた、本発明者らの以前の論文(Jakobsdottir et al. (2005))並びに2件の論文により提示されたデータ(Rivera et al. (2005)およびSchmidt et al. (2006a))によりサポートされた。ARMリスクは、Y402HおよびS69Aでのリスクアリルの全数が増加するにつれて、増加するようである(表20)。
【0166】
CFHおよびLOC387715の発見よりも前に、喫煙は、より重要な既知のARM-関連性リスク因子の一つであった。喫煙は、一般的には、ARMについての変更可能なリスク因子として許容される;van Leeuwen et al.は、ARMの病因についてのレビューを提供し、そしてARMリスク因子としての喫煙のサポートについて検討する(van Leeuwen, R., Klaver, C.C., Vingerling, J.R., Hofman, A. and de Jong, P.T. (2003) Epidemiology of age-related maculopathy: a review. Eur J Epidemiol. 18, 845-854)。Schmidt et al. (2006)は最近、ARMにおいて、LOC387715と喫煙との間の統計的に有意な相互作用を報告した。彼らのデータは、LOC387715のARMとの関連性が、ヘビースモーカーにおける遺伝子作用により主として引き起こされることを示唆した。相互作用の本発明者ら自身の解析は、この知見をサポートせず、そしてAREDSデータはS69Aと喫煙との組合せ作用が相乗的であることを示唆する。
【0167】
ARM感受性におけるCFHおよびLOC387715の役割は、本発明者らのメタ解析の結果を通じてさらにサポートされる。本明細書中にて報告されるCHS集団およびAREDS集団を含むメタ解析により、CFHまたはLOC387715にて1または2コピーのリスクアリルを有することにより、ARMのリスクが増加し、そして2コピーを有する個体はより高いリスクを負うことが示される。すべての研究に由来する組み合わせた結果並びに各非依存的な研究に由来する結果は、著しく緊密であった(図12および図14)。メタ-解析の一つの既知の限定は、刊行物に記載されたバイアスに対する感受性である。一般的に、そのようなバイアスは、刊行物に記載されていないネガティブな知見の結果である(Normand, S.L. (1999) Meta-analysis: formulating, evaluating, combining, and reporting. Stat Med. 18, 321-359)。CFHおよびLOC387715の事例において、刊行物に記載されたすべての研究は、ヒスチジンをコードするアリルであるCFHについてのリスクアリルおよびセリンをコードするアリルであるLOC387715についてのリスクアリルと同一の方向性で、ARMとの強力な関連性を報告した。統計的に有意な関連性の優先的な(Preferential)刊行物は、有意な関連性が偽陽性の結果である場合には、無作為な方向性を示すことが期待された(Lohmueller, K.E., Pearce, C.L., Pike, M., Lander, E.S. and Hirschhorn, J.N. (2003) Meta-analysis of genetic association studies supports a contribution of common variants to susceptibility to common disease. Nat Genet. 33, 177-182)。従って、CFHおよびLOC387715のARMとの関連性の整合性は、刊行物に記載されたバイアスの結果である可能性はありそうもないことである。
【0168】
本発明者らの統計的解析の結果が10q26上の主要なARM-関連遺伝子であるLOC387715に従っている一方、それらは因果関係を証明しない。ARM病因において原因となる可能性のあるCFHの役割は、ARM患者のドルーゼ沈着物中のそのタンパク質の局在、および補体経路の活性化の関与により、さらにサポートされた。LOC387715に関して、遺伝子の生物学については現在のところほとんど知られておらず、そしてそのタンパク質がARM感受性に対してとのように影響を与える可能性があるかについては何も知られていない。最近になるまで、LOC387715の発現は胎盤に限定されると考えられてきたが、しかしながら、最近、弱い発現が網膜において報告され(Rivera et al. (2005))、これは、この遺伝子の組織特異的役割の可能性を開くものである。
【0169】
まとめると、この実施例において提示された結果は、CFHおよびLOC387715の両遺伝子がARMと非常に関連していることを前提として、被検体がどのようにして確認されるかに関わらず、CFHおよびLOC387715の両方のARMの病因における役割をサポートし続けている。PLEKHA1およびELOVL4のAREDS集団およびCHS集団における評価により、これらの遺伝子がARM感受性において役割を果たしている可能性はあまりないことが示される。CFH遺伝子およびLOC387715遺伝子は、いずれかの遺伝子座が最高値リスクをとるリスクアリルについて、相乗的様式でARM病因においてそして個体ホモ接合体において、非依存的に作用する用である。
【0170】
本発明を上述に記載したが、同一物を、条件、製剤、およびその他のパラメータの幅広くそして同等の範囲において行うことができることは、本発明の範囲およびいずれかの態様の範囲に影響を与えること無く、当業者には理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】図1:CIDRの位置および候補遺伝子に関して遺伝子型決定されたSNPsの位置。染色体10における位置、距離、およびヌクレオチド位置は、NCBI Entrez-遺伝子データベースおよびSNPデータベースに由来する。
【図2】図2:染色体10上での単一点連鎖および多重点連鎖の結果。左パネルは、すべてのSNPsが使用された場合の結果をまとめたものである。右パネルは、H-clust SNPsのみを解析用に使用した場合の結果をまとめたものである。“F”を付記したピークは、SNP-SNP LDが高いために偽ピークの可能性があることを示す。一方、“G”および“P”を付記したピークは、それぞれGRK5およびPLEKHA1を含有する遺伝子座であることを示す。水平線は、多重点Sallの1-ユニットのサポート間隔を意味する(CFH-1における最大Sall)。
【図3】図3A-3D:196個のCIDR SNPsおよび179個の血縁関係のない対照に基づく、染色体10上の連鎖不均衡パターン。図3A:135 cMでの偽ピーク(図2を参照)、図3B:142 cMでの偽ピーク(図2を参照)、図3C:連鎖ピーク。図3D-1および図3D-1は、図3Cの拡大図であり、A-A’で分割したものである。偽ピークにおける最大のSallを伴うSNP(図3Aおよび3B)が灰色で示され、そしてCCREL由来の5つの遺伝子(GRK5/RGS10/PLEKHA1/LOC387715/PRSS11)をカバーする大型のSNPs(表5)は、真の連鎖ピークにおいて灰色で示される。灰色の陰は、SNPペア間の有意なLDを示し(数字のない濃い灰色の四角はペアワイズD’=1であることを示す)、一方四角は、有意なLDの証拠がないことを示し、そして数字のない灰色の四角は、ペアワイズD’が1、統計的有意性なしであることを示す。LDは、D’を使用して測定され、そして四角の中の数は、D’*100においてペアワイズLDをもたらす。
【図4】図4:染色体1上での多重点連鎖の結果。左パネルはすべてのSNPsが使用された場合の結果をまとめたものであり、そして右パネルはH-clust SNPsのみを解析のために使用した場合の結果をまとめたものである。“F”を付記したピークは、SNP-SNP LDが高いために偽ピークの可能性が示され、一方“C”を付記したピークは、CFH遺伝子に対応する。水平線は、多重点Sallの1-ユニットのサポート間隔を意味する(CFH-1における最大Sall)。
【図5】図5A-5Cは:679個のCIDR SNPsおよび179個の血縁関係のない対照に基づく、染色体1上の連鎖不均衡パターンを提供する。図5A:188 cMでの偽ピークを示し(図4を参照)、図5B:202 cMでの偽ピークを示し(図4を参照)、図5C:CFH遺伝子座をカバーする連鎖ピークを示す。偽ピーク中の最大Sallを有するSNPは灰色で示され、そしてCCREL由来のCFHをカバーする大型のSNPs(表5)は、真の連鎖ピークにおいて灰色で示される。灰色の陰は、SNPペアの間での有意なLDを意味し(数字がない濃い灰色の四角は、ペアワイズD’=1であることを意味する)、白い四角は有意なLDの証拠が存在しないことを意味し、そして数字のない灰色の四角は統計的な有意性を伴わない1のペアワイズD’を意味する。LDは、D’を用いて測定され、そして四角の中の数字は、D’*100でのペアワイズLDをもたらす。
【図6】図6Aおよび6B:図6A:GRK5(Block 1)、RGS10(SNP 6)、PLEKHA1(Block 2)、LOC387715(Block 3)、PRSS11(Block 4)における連鎖不均衡パターンを示す。図6B:CFH(Block 1)における連鎖不均衡パターンを示す。灰色の影は、SNPペアの間の有意なLDを意味し(数字のない濃い灰色の四角はペアワイズD’=1であることを意味する)、白い四角は有意なLDの証拠が存在しないことを意味し、そして数字のない灰色の四角は統計的な有意性を伴わない1のペアワイズD’を意味する。LDはD’を用いて測定され、そして四角の中の数字は、D’*100でのペアワイズLDをもたらす。CCRELアリル試験に由来する大型のSNPsは、灰色で目立たせた(表6を参照)。3種のSNPs(rs6428352、rs12258692およびrs11538141)は、非常に低いヘテロ接合性のために含まれず、そして1種類のSNP、rs2736911、は、情報をもたらさなかったために含まれなかった。ブロックは、遺伝子の位置を明確に示す様に引かれたが、ハプロタイプブロックは示さないことに注意すべきである。
【図7】図7は、CFH、ELOVL4、PLKEHA1、およびLOC387715遺伝子についての、推定されたおよそのORsおよび95%CIsを示す。1つまたは2つのリスクアリル(RR+RN)のキャリアは、リスクのないアリル(NN)についてのホモ接合体である被検体と比較される。実線は、OR(白丸)に対応する95%CIを意味する。点線は、ORが1のヌル値を示す。AREDS集団(cohorts)およびCHS集団において評価されたコントラストが、縦軸に記載される。
【図8】図8は、CFHについての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果(dominance effects)の評価のためのORdomを示す(CT+CC vs. TT)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(CT vs. TT)。C:劣性効果(recessive effects)の評価のためのORrecを示す(CC vs. CT+TT)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(CC vs. TT)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図9】図9は、ELOVL4についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(AG+GG vs. AA)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(AG vs. AA)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(GG vs. AG+AA)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのをORhom示す(GG vs. AA)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図10】図10は、LOC387715についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(GT+TT vs. GG)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(GT vs. GG)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(TT vs. GT+GG)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(TT vs. GG)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図11】図11は、PLEKHA1についての推定ORsおよび95%CIsを示す。A:優性効果の評価のためのORdomを示す(AG+AA vs. GG)。B:ヘテロ接合体のリスクの評価のためのORhetを示す(AG vs. GG)。C:劣性効果の評価のためのORrecを示す(AA vs. AG+GG)。D:ホモ接合体のリスクの評価のためのORhomを示す(AA vs. GG)。点線の縦線は、ORが1のヌル値を示す。
【図12】図12は、CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれ、そして固定効果モデル(fixed effect model)および変量効果モデル(random effect model)からの推定値が蓄積されたデータセットに由来する、推定ORsおよび95%CIsを提供する。上の図は、ORhet(TTと比較した場合のCTヘテロ接合体についてのOR)を示し、そして下の図は、ORhom(TTと比較した場合のCCホモ接合体についてのOR)を示す。‘Hage-C’および‘Hage-I’はそれぞれ、Hagemanらの論文(Hageman, G.S., et al. (2005) A common haplotype in the complement regulatory gene factor H (HF1/CFH) predisposes individuals to age-related macular degeneration. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 May 17;102(20):7227-32. Epub 2005 May 3)のColumbiaの集団およびIowaの集団に由来する推定であることを示し、そして‘Jakobs’は、Jakobsdottirらの論文(Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)から得た推定であることを示す。“固定化”は、研究間の変数が偶発性によるものであることを前提としたすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。‘無作為化’は、研究を通じて異種性(ヘテロ接合性)を許容するすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。‘nAMD’は、推定に含まれるARM事例の全数であり、そして‘ncon’は、推定に含まれるARMを有さない対照の全数である。点線の縦線は、同質性のもとでの蓄積されたORの点推定を示す(‘固定化’)。
【図13】図13は、以下のものを提供する:A:CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれる集団をまたぐ、血縁関係のないARM事例における遺伝子型頻度(%)。B:CFHにおけるY402Hのメタ-解析に含まれる研究をまたぐ、ARMを有さない血縁関係のない対照における遺伝子型頻度(%)。“Hage-C”および“Hage-I”はそれぞれ、Hagemanらの論文のColumbiaの集団およびIowaの集団に由来する推定を示し、そして“Jakobs”は、Jakobsdottirらの論文の文献に由来する推定を示す。
【図14】図14は、LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれるデータセットに由来の推定ORsおよび95%CIsを提供し、そして固定効果モデル(fixed effect model)および変量効果モデル(random effect model)に由来する蓄積された推定値を提供する。上の図は、ORhet(GGと比較した場合のGTヘテロ接合体についてのOR)を示し、そして下の図は、ORhom(GGと比較した場合のTTホモ接合体についてのOR)を示す。“Jakobs”は、Jakobsdottirらの論文(Jakobsdottir, J., et al. (2005) Susceptibility genes for age-related maculopathy on Chromosome 10q26. Am J Hum Genet. 77, 389-407)に由来する推定を示す。“固定化”は、研究間の変数が偶発性によるものであることを前提とした、すべての研究に由来する蓄積された推定値を示す。“無作為化”は、研究を通じて異種性(ヘテロ接合性)を可能にするすべての研究に由来する、蓄積された推定値を示す。“nARM”は、推定に含まれるARM事例の全数であり、そして“ncon”は、推定に含まれるARMを有さない対照の全数である。点線の縦線は、同質性のもとでの蓄積されたORの点推定を示す(‘固定化’)。
【図15】図15は、以下のものを提供する:A:LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれる集団をまたぐ、血縁関係のないARM事例における遺伝子型頻度(%)。B:LOC387715におけるS69Aのメタ-解析に含まれる研究をまたぐ、ARMを有さない血縁関係のない対照における遺伝子型頻度(%)。“Jakobs”は、Jakobsdottirらの文献に由来する推定を示す。
【図16】図16は、LOC387715についてのアミノ酸(SEQ ID NO: 19)およびヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 20)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢性黄斑変性症(Age-Related Maculopathy)を発症するリスクと関連する染色体10q26に位置するアリル変異の発生を、ヒト被検体由来の核酸サンプル中で特定することを含む、加齢性黄斑変性症を発症するリスクが増加したヒト被検体を特定する方法。
【請求項2】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PLEKHA1およびLOC387715の一方または両方のアリル変異の発生を、被検体由来の核酸サンプル中で特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アリル変異が、一塩基多型rs4146894に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アリル変異が、LOC387715のSer69Alaに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アリル変異が、rs10490924として特定される一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アリル変異が、rs1045216として特定される一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アリル変異が、rs1882907として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アリル変異が、rs760336として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アリル変異が、rs763720として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アリル変異が、rs800292として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アリル変異が、rs1483883として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アリル変異が、rs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アリル変異が、PLEKHA1におけるアリル変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アリル変異が、LOC387715におけるアリル変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アリル変異が、非機能的な遺伝子生成物および遺伝子生成物の発現が変化されたもののいずれか一方を生成する変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
変異が、フレームシフト変異、プロモータ変異およびスプライシング変異の1またはそれ以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被検体由来の核酸サンプル中で、補体因子Hのアリル変異の発生を特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アリル変異が、rs1853883として特定される一塩基多型に対応する、補体因子Hのものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
アリル変異が、核酸増幅アッセイを使用して特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
核酸増幅アッセイが、PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(例えば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅のいずれか一つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アリル変異が、アレイを用いて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アレイが、被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の1またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬、配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アレイが、被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の2またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
被検体に由来する核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症の発症のリスクと関連する染色体10q26上に位置するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬を、特定可能な遺伝子座中に含む基質を含む、アレイ。
【請求項27】
アリル変異が、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座に発生する、請求項26に記載のアレイ。
【請求項29】
アリル変異が、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項26に記載のアレイ。
【請求項30】
被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される2またはそれ以上の一塩基多型に対応するアリル変異の発生を特定するための試薬を含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項31】
試薬が、PLEKHA1またはLOC387715におけるアリル変異を特異的に特定するためのプライマーまたはプローブを含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項32】
アレイが、PLEKHA1またはLOC387715におけるアリル変異を特異的に特定するための再配列決定用プライマーを含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項33】
2またはそれ以上の反応ウェル、およびPLEKHA1またはLOC387715の一方または両方に対して特異的なPCRプライマーセットを含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項1】
加齢性黄斑変性症(Age-Related Maculopathy)を発症するリスクと関連する染色体10q26に位置するアリル変異の発生を、ヒト被検体由来の核酸サンプル中で特定することを含む、加齢性黄斑変性症を発症するリスクが増加したヒト被検体を特定する方法。
【請求項2】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PLEKHA1およびLOC387715の一方または両方のアリル変異の発生を、被検体由来の核酸サンプル中で特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アリル変異が、一塩基多型rs4146894に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アリル変異が、LOC387715のSer69Alaに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アリル変異が、rs10490924として特定される一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アリル変異が、rs1045216として特定される一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アリル変異が、rs1882907として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アリル変異が、rs760336として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アリル変異が、rs763720として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
アリル変異が、rs800292として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アリル変異が、rs1483883として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アリル変異が、rs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アリル変異が、PLEKHA1におけるアリル変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アリル変異が、LOC387715におけるアリル変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アリル変異が、非機能的な遺伝子生成物および遺伝子生成物の発現が変化されたもののいずれか一方を生成する変異である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
変異が、フレームシフト変異、プロモータ変異およびスプライシング変異の1またはそれ以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被検体由来の核酸サンプル中で、補体因子Hのアリル変異の発生を特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アリル変異が、rs1853883として特定される一塩基多型に対応する、補体因子Hのものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
アリル変異が、核酸増幅アッセイを使用して特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
核酸増幅アッセイが、PCR、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、等温増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、5’蛍光ヌクレアーゼアッセイ(例えば、TAQMANアッセイ)、モレキュラービーコンアッセイ、およびローリングサークル増幅のいずれか一つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アリル変異が、アレイを用いて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
アレイが、被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の1またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬、配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アレイが、被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される一塩基多型の2またはそれ以上に対応するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座において生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
被検体に由来する核酸サンプル中で、加齢性黄斑変性症の発症のリスクと関連する染色体10q26上に位置するアリル変異の発生を特定するための、1またはそれ以上の試薬を、特定可能な遺伝子座中に含む基質を含む、アレイ。
【請求項27】
アリル変異が、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アリル変異が、染色体10q26のPLEKHA1/LOC387715/PRSS11遺伝子座に発生する、請求項26に記載のアレイ。
【請求項29】
アリル変異が、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される1またはそれ以上の一塩基多型に対応する、請求項26に記載のアレイ。
【請求項30】
被検体由来の核酸サンプル中で、rs4146894、rs1045216、rs10490924、rs1882907、rs760336、rs763720、rs800292、rs1483883、およびrs1853886として特定される2またはそれ以上の一塩基多型に対応するアリル変異の発生を特定するための試薬を含む、請求項29に記載のアレイ。
【請求項31】
試薬が、PLEKHA1またはLOC387715におけるアリル変異を特異的に特定するためのプライマーまたはプローブを含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項32】
アレイが、PLEKHA1またはLOC387715におけるアリル変異を特異的に特定するための再配列決定用プライマーを含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項33】
2またはそれ以上の反応ウェル、およびPLEKHA1またはLOC387715の一方または両方に対して特異的なPCRプライマーセットを含む、請求項26に記載のアレイ。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D−1】
【図3D−2】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D−1】
【図3D−2】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−545438(P2008−545438A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515869(P2008−515869)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022114
【国際公開番号】WO2006/133295
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/022114
【国際公開番号】WO2006/133295
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(501102988)ユニバーシティ オブ ピッツバーグ オブ ザ コモンウェルス システム オブ ハイヤー エデュケイション (24)
【Fターム(参考)】
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