説明

柱梁の接合構造および屋外構造体

【課題】組立作業の作業効率を向上させるとともに外観意匠が良好にできる柱梁の接合構造および屋外構造体を提供すること。
【解決手段】柱3が上側柱材31と下側柱材32とに分割されているので、上下が連続した一本の柱材で構成する場合と比較して、柱材31,32の製造効率や運搬効率が向上できるとともに、この分割位置で上側および下側の柱材31,32をスリーブ材33で連結することで、スリーブ材33の挿入やボルト45の固着などの接合作業が容易にできて作業性を向上させることができる。さらに、上側および下側の柱材31,32の連結位置を跨いで梁が接合されることで、柱材31,32同士の継ぎ目を梁で覆い隠すことができ、柱梁接合部の外観意匠を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁の接合構造および屋外構造体に関し、バルコニーやベランダ、カーポート、テラス、サンルーム、アプローチなどの屋外構造体において、柱と梁とを接合するための柱梁の接合構造、この接合構造を用いて構築された屋外構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋外に設けられるバルコニーにおいて、柱(側柱)と梁(桁梁、妻梁)とを接合するための構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された柱梁の接合構造は、柱の中空内部に挿入される中骨と、柱の外側に嵌め込まれる環状のブラケットとを備え、このブラケット、柱の側面および中骨を貫通するボルトと中骨内部のナットとを螺合させることで、ブラケットが柱に固定される。そして、ブラケットの側面に設けた突起部に梁の端部を連結することで、柱と梁とが接合されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】実開昭58−68502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の接合構造では、ブラケットを柱の外側に嵌め込んでいるため、柱の見付け寸法よりも大きなブラケットが露出することとなり、バルコニーの外観意匠性が低下してしまうという問題がある。
さらに、柱の長さ方向中間位置に梁を接合する場合には、柱の上下いずれかの端部から接合位置まで中骨を挿通させる必要があるとともに、この中骨にナットを保持させておかなくてはならず、接合位置での中骨の位置合わせや、ボルトとナットの締め付け作業に手間が掛かり、組立作業性が劣ってしまうという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、組立作業の作業効率を向上させるとともに外観意匠が良好にできる柱梁の接合構造および屋外構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の柱梁の接合構造は、上下に延びる柱の少なくとも一側面に梁の端部を接合する柱梁の接合構造であって、前記柱は、互いに上下に連結される上側柱材および下側柱材と、これらの柱材同士を連結する連結部材とを有して構成され、前記上側柱材および下側柱材は、それぞれ長尺かつ中空筒状断面を有するとともに、これら上側および下側の柱材に跨って中空内部に前記連結部材が挿入され、前記梁は、長尺状の梁材と、この梁材の端部を前記上側および下側の柱材の少なくとも一方に固定する端部部材とを有して構成され、前記端部部材と連結部材とは、前記少なくとも一方の柱材を貫通して当該連結部材に固着する固着具を介して連結されていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、上側柱材と下側柱材とに分けて柱を構成し、これら上側および下側の柱材を連結部材で連結することで、この連結位置における各柱材の端部に連結部材を挿入すればよく、柱材における中空内部の深い位置まで連結部材を挿通させる必要がないことから、接合作業が容易になって作業性を向上させることができる。さらに、柱材を上下に分割したことで、上下一体の柱材で構成した場合と比較して、柱の製造効率や運搬効率が向上できる。また、梁の端部部材が固着具を介して連結部材に連結される、つまり柱材の連結位置の近傍に端部部材が位置して梁が接合されることで、梁材によって柱材同士の継ぎ目や端部部材を覆い隠すことができ、柱梁接合部の外観意匠を良好にすることができる。さらに、梁の端部部材と柱の連結部材とを、柱材を貫通する固着具で連結することで、端部部材および連結部材をそれぞれ個別の固着具で柱材に連結する場合と比較して、固着具の部品点数および組立作業の工数が削減できるとともに、固着具同士の干渉が防止できることから、接合部の寸法を小型化して意匠性をさらに向上させることができる。
また、従来のブラケットは、柱に嵌め込まれる環状部と梁を固定する突起部とが一体に形成されているため、鋳造(アルミダイカストなど)で製造するか、各部を溶接接合するなど、製造にかかる手間とコストが大きかったのに対し、本発明では、固着具を介して端部部材を連結部材に連結したことで、端部部材や連結部材の構造を簡単にでき、これらの部材を例えば押し出し形材等で製造することが可能になって、製造手間や製造コストを低減させることができる。
【0008】
この際、本発明の柱梁の接合構造では、前記梁材は、前記端部部材が挿入される中空筒状断面を有して形成され、この梁材と端部部材とは、当該梁材を貫通して当該端部部材に固着する梁固着具によって連結されていることが好ましい。
このような構成によれば、梁材の中空内部に端部部材を挿入し、梁材を貫通する梁固着具で梁材と端部部材とを連結することで、端部部材を梁材によって隠蔽することができるとともに、端部部材と連結部材を連結する固着具も梁材で覆い隠すことができ、柱梁接合部の意匠性をより一層向上させることができる。
【0009】
さらに、本発明の柱梁の接合構造では、前記上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、前記端部部材と連結部材とは、前記上側および下側の柱材を貫通する前記固着具を介して連結されていることが好ましい。
このような構成によれば、上側および下側の柱材を貫通する固着具で端部部材と連結部材とを連結することで、固着具の部品点数および組立作業の工数がさらに削減できるとともに、上側および下側の柱材同士の継ぎ目がより目立たなくできて柱梁接合部の外観が一層良好にできる。
【0010】
一方、本発明の屋外構造体は、上下に延びる少なくとも1本の柱と、この柱の側面に接合される梁とを備え、これらの柱と梁とが前記いずれかの柱梁の接合構造で接合されていることを特徴とする。
このような屋外構造体によれば、前述の接合構造と同様に、柱と梁の接合作業の作業性を向上させることができるとともに、柱梁接合部の外観を良好にして当該屋外構造体の意匠性を向上させることができる。
なお、本発明の屋外構造体としては、バルコニーやベランダ、カーポート屋根、テラス屋根、サンルーム、アプローチの屋根や庇など、少なくとも柱と梁とを備えたものであればよく、その用途や設置場所等は特に限定されない。
【0011】
この際、本発明の屋外構造体では、前記柱は、前後左右に隣り合って複数が立設されるとともに、これら複数の柱間に渡って前記梁が架設され、これらの梁には、バルコニー床面を構成する床材が支持されており、前記複数の柱のうち、前記バルコニー床面の角部に位置する角柱には、互いに交差する二側面に前記梁が接合され、前記バルコニー床面の側端縁に位置する外柱には、互いに対向する二側面およびバルコニー床面側の一側面に前記梁が接合され、前記角柱における上側および下側の柱材を連結する連結部材と、前記外柱における上側および下側の柱材を連結する連結部材とが共通部材で構成され、これらの連結部材の三側面において、固着具と固着する固着孔が同一位置に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、角柱と外柱とにおいて、固着孔を同一位置に設けた共通仕様の連結部材で上側および下側の柱材を連結することで、部品点数の増加を防止することができるとともに、組立作業の際に部品選択の手間を低減して作業性を向上させることができる。すなわち、梁が三方から接合する外柱用の連結部材では、固着孔が三側面に設けられることとなり、梁が二方から接合する角柱用の連結部材では、固着孔を二側面に設けておけばよいのであるが、角柱用の連結部材としても固着孔が三側面に設けられた外柱と共通の連結部材を用いることで、部材を共通化することができる。
【0012】
さらに、本発明の屋外構造体では、前記角柱において、上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記互いに交差する二側面に接合される梁の梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、これらの梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記上側および下側の柱材を貫通して設けられ、前記外柱において、上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記互いに対向する二側面に接合される梁の梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、これらの梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記上側および下側の柱材を貫通して設けられ、前記バルコニー床面側の一側面に接合される梁の梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記下側の柱材を貫通して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、角柱および外柱において、バルコニー床面側以外の側面、つまりバルコニーの外部から見える側面に接合される外周の梁の端部部材を、上側および下側の柱材を貫通する固着具で連結部材に連結することで、上側および下側の柱材同士の継ぎ目が目立たなくできて屋外構造体の外観が一層良好にできる。一方、外柱において、バルコニー床面側の側面に接合される梁の端部部材を、下側の柱材のみを貫通する固着具で連結部材に連結することで、この梁の上端を外周の梁よりも低く位置させて、この梁の上側に支持した床材と外周の梁との納まりが良好にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る屋外構造体であるバルコニー1の骨組み2を示す斜視図である。図2および図3は、それぞれバルコニー1の一部を拡大して示す縦断面図および横断面図である。
図1〜図3において、バルコニー1は、図示しない建物の屋外に設置され、1階部分がカーポート等に利用されるものであって、地中の基礎から立設される複数の柱3、2階レベルに設けられる複数の梁4、および屋根レベルに設けられる複数の頂部梁5を組み合わせた骨組み2と、梁4で囲まれた内部に支持された複数のデッキ材(床材)6とを備えて構成されている。また、梁4で囲まれた内部には、梁4同士に渡って架設される副梁7や、交差する梁同士4に架設される火打8が設けられている。そして、デッキ材6は、梁4の側面に設けられた受け材9(図2参照)や副梁7で支持され、これら複数のデッキ材6によってバルコニー床(バルコニー床面)6Aが構成されている。
【0014】
柱3は、基礎から屋根レベルに渡って上下に延びて設けられ、バルコニー床6Aの高さレベルにおいて互いに上下に連結される上側柱材31および下側柱材32と、これら上側および下側の柱材31,32同士を連結する連結部材であるスリーブ材33とを有して構成されている。上側および下側の柱材31,32は、図3に示すように、それぞれアルミ形材製であって、全体長尺状でかつ断面中空角筒状に形成され、この中空内部にスリーブ材33が挿入されるようになっている。スリーブ材33は、アルミ形材製の短尺状かつ断面略角筒状の部材であって、上側および下側の柱材31,32に跨って設置され、その外周面には、上側および下側の柱材31,32の内面に当接する複数の突片が上下に延びて形成されている。そして、本実施形態において、柱3は、平面矩形状となるように4本が配置され、4本のうち建物側(図1の上側かつ左側)の2本がバルコニー床6Aの側端縁に位置する外柱3Aであり、建物と反対側(図1の下側かつ右側)の他の2本がバルコニー床6Aの角部に位置する角柱3Bである。
【0015】
梁4は、柱3同士の間および柱3と建物との間に架設され、アルミ形材製で長尺状の梁材41と、この梁材41の上下に取り付けられる端面カバー42と、梁材41の左右端部を柱3に固定する端部部材であるブラケット43とを有して構成されている。梁材41は、断面中空角筒状に形成され、この中空内部にブラケット43が挿入されるとともに、梁材41を上下から貫通する梁固着具であるボルト44をブラケット43に螺合することで、梁材41とブラケット43とが連結されている。そして、ブラケット43および上側および下側の柱材31,32を貫通する固着具であるボルト45をスリーブ材33に螺合することで、当該ブラケット43とスリーブ材33とが連結されるとともに、スリーブ材33を介して上側柱材31と下側柱材32とが連結され、これにより柱3と梁4とが互いに接合されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態において、梁4は、図1に示すように、角柱3B同士の間に架設される第1外梁4Aと、角柱3Bと外柱3Aとの間に架設される第2外梁4Bと、外柱3Aと建物との間に架設される第3外梁4Cと、外柱3A同士の間に架設される第1内梁4Dとを有して構成されている。すなわち、角柱3Bには、互いに交差する二側面に第1外梁4Aおよび第2外梁4Bが接合され、外柱3Aには、互いに対向する二側面に第2外梁4Bおよび第3外梁4Cが接合されるとともに、バルコニー床6A側の一側面(内側面)に第1内梁4Dが接合されている。そして、角柱3Bにおいて、上側柱材31と下側柱材32との連結位置は、第1外梁4Aおよび第2外梁4Bの梁材41の高さ寸法範囲内に設けられ、外柱3Aにおいて、上側柱材31と下側柱材32との連結位置は、第2外梁4Bおよび第3外梁4Cの梁材41の高さ寸法範囲内に設けられている。一方、第1内梁4Dの上面位置は、デッキ材6の厚さ寸法に応じた分だけ第1〜第3の外梁4A,4B,4Cよりも低く設けられ、つまり第1内梁4Dの高さ寸法が小さく設定されている。
【0017】
以下、角柱3Bにおける柱3と梁4との接合構造および接合手順について、図4〜図7も参照して説明する。図4〜図7は、それぞれ角柱3Bと梁4との接合手順を示す斜視図である。
図4に示すように、下側柱材32が立設された状態において、下側柱材32の頂部から中空内部にスリーブ材33を挿入するとともに、角柱3Bにおいて梁4が接合される二側面にブラケット43をセットし、ブラケット43および下側柱材32に貫通させたボルト45をスリーブ材33に螺合する。これにより下側柱材32、スリーブ材33およびブラケット43が固定される。ここで、ブラケット43は、上側アングル部43Aおよび下側アングル部43Bと、これら上側および下側のアングル部43A,43Bを連結する連結板43Cとを有して構成され、上側および下側のアングル部43A,43Bには、ボルト44,45を挿通させる複数のボルト孔が設けられている。一方、スリーブ材33には、上側アングル部43Aのボルト孔を貫通したボルト45(図5参照)と固着する固着孔33Aと、下側アングル部43Bのボルト孔を貫通したボルト45と固着する固着孔33Bと、後述する副ブラケット47を貫通したボルト48と固着する固着孔33Cとが設けられている。
【0018】
次に、図5に示すように、下側柱材32に固定したスリーブ材33の上方から上側柱材31を下ろして、その下端部から中空内部にスリーブ材33を挿入するとともに、ブラケット43の上側アングル部43Aおよび上側柱材31に貫通させたボルト45をスリーブ材33の固着孔33A(図4参照)に螺合する。これにより上側柱材31、スリーブ材33およびブラケット43が固定され、従って、上側および下側の柱材31,32がスリーブ材33を介して連結され、この角柱3Bの二側面にブラケット43が固定されることとなる。なお、上側柱材31の頂部には、頂部梁5を接合するための頂部ブラケット51が図示しない裏板を介して取り付けられるとともに、上側柱材31の上端部開口を塞ぐ蓋材34が固定されている。
【0019】
次に、図6に示すように、第1外梁4Aおよび第2外梁4Bの梁材41端部に、それぞれブラケット43を挿通させ、梁材41を上方から貫通させたボルト44をブラケット43の上側アングル部43Aに螺合するとともに、梁材41を下方から貫通させたボルト44をブラケット43の下側アングル部43Bに螺合する。これにより梁材41およびブラケット43が固定され、従って、角柱3Bの二側面にそれぞれ第1外梁4Aおよび第2外梁4Bが接合されることとなる。なお、梁材41をブラケット43に固定する際には、梁材41とブラケット43の上側および下側のアングル部43A,43Bとをビス46で仮止めしておき、バルコニー1の骨組み2全体の位置や傾きを調整してからボルト44を本締めする。
このように梁材41を角柱3Bに接合してから、図7に示すように、梁材41の上下に端面カバー42を取り付け、これにより角柱3Bと第1外梁4Aおよび第2外梁4Bとの接合作業が完了する。
【0020】
次に、外柱3Aにおける柱3と梁4との接合構造および接合手順について、図8も参照して説明する。図8は、外柱3Aと梁4との接合構造を示す斜視図である。
図8に示すように、下側柱材32の頂部から中空内部にスリーブ材33を挿入するとともに、外柱3Aにおいて第2および第3の外梁4B,4Cが接合される互いに対向する二側面にブラケット43をセットし、ブラケット43および下側柱材32に貫通させたボルト45をスリーブ材33に螺合する。さらに、外柱3Aにおける第1内梁4Dが接合される一側面に2つの副ブラケット47をセットし、副ブラケット47および下側柱材32に貫通させたボルト48をスリーブ材33の固着孔33Cに螺合する。この副ブラケット47は、第1内梁4Dの端部を外柱3Aに連結させるもので、下側柱材32に固定されるものの上側柱材31には固定されないようになっている。この後、前述の角柱3Bと同様に、上側柱材31とスリーブ材33およびブラケット43を固定し、上側および下側の柱材31,32を連結する。そして、第2および第3の外梁4B,4Cの梁材41をブラケット43に固定するとともに、第1内梁4Dを副ブラケット47に固定し、これにより外柱3Aと、三方向の梁4(第2および第3の外梁4B,4C、第1内梁4D)とが接合される。
【0021】
以上において、外柱3Aに用いられるスリーブ材33と角柱3Bに用いられるスリーブ材33とは、ともに共通仕様の部材から構成されている。すなわち、スリーブ材33には、三方向からの梁4を固定するブラケット43および副ブラケット47に対応した三側面に前記固着孔33A,33B,33Cが形成されている。具体的には、図8に示すように、柱3の対向する側面に固定される一対のブラケット43に対応したスリーブ材33の対向する二側面(第1側面331および第2側面332)には、固着孔33Aおよび固着孔33Bが上下に離隔した所定位置に設けられている。そして、第1および第2の側面331,332と交差する一側面(第1内梁4Dが接合される側の面であり、第3側面333)には、上下に離隔した所定位置の固着孔33Aおよび固着孔33Bと併せ、固着孔33Bの上下に並んで固着孔33Cが設けられている。
【0022】
従って、外柱3Aにおいては、第1および第2の側面331,332の固着孔33Aおよび固着孔33Bに、それぞれブラケット43を固定するボルト45が螺合され、第3側面333の固着孔33Cに、副ブラケット47を固定するボルト48が螺合されるものの、第3側面333の固着孔33Aおよび固着孔33Bにはボルトが螺合されず、これらの固着孔33A,33Bは、利用されないものとなっている。一方、図4に示すように、角柱3Bにおいては、第1側面331の固着孔33Aおよび固着孔33Bに、ブラケット43を固定するボルト45が螺合され、第3側面333の固着孔33Aおよび固着孔33Bに、交差するブラケット43を固定するボルト45が螺合されるものの、第2側面332の固着孔33A,33Bおよび第3側面333の固着孔33Cにはボルトが螺合されず、これらの固着孔33A,33B,33Cは、利用されないものとなっている。以上のような共通仕様のスリーブ材33によれば、スリーブ材33を回転させて適切な側面331,332,333を選択するだけで、柱3と梁4との接合パターンおよび接合方法に対応することができ、複数種類のスリーブ材33を準備したり、現場で固着孔33A,33B,33Cの加工をしたりする必要がなくなり、作業性が向上できるようになっている。
【0023】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、柱3が上側柱材31と下側柱材32とに分割されているので、上下が連続した一本の柱材で構成する場合と比較して、柱材31,32の製造効率や運搬効率が向上できるとともに、この分割位置で上側および下側の柱材31,32をスリーブ材33で連結することで、スリーブ材33の挿入やボルト45の固着などの接合作業が容易にできて作業性を向上させることができる。
【0024】
(2)また、上側および下側の柱材31,32の連結位置を跨いで梁4が接合されることで、梁材41によって柱材31,32同士の継ぎ目を覆い隠すことができ、柱梁接合部の外観意匠を良好にすることができる。さらに、梁材41の中空内部にブラケット43を挿入して梁4を接合することで、ブラケット43を梁材41によって隠蔽することができるとともに、ブラケット43と柱材31,32およびスリーブ材33を連結するボルト45も梁材41で覆い隠すことができ、柱梁接合部の意匠性をより一層向上させることができる。
【0025】
(3)また、梁4のブラケット43と柱3のスリーブ材33とが、上側および下側の柱材31,32をそれぞれ貫通するボルト45で連結されている。すなわち、上側および下側の柱材31,32同士をスリーブ材33で連結するための連結用ボルトと、ブラケット43を柱材31,32に固定するための固定用ボルトとが、ボルト45によって兼用されているので、ボルトの部品点数および組立作業の工数が削減できるとともに、ボルト同士の干渉が防止できることから、接合部の寸法を小型化して意匠性をさらに向上させることができる。
【0026】
(4)また、外柱3Aと角柱3Bとにおいて、上側および下側の柱材31,32同士を連結するスリーブ材33が共通化されている、すなわち各スリーブ材33の第1〜第3の側面331,332,333において、それぞれ同一位置に固着孔33A,33B,33Cが設けられているので、部品点数を減少させることができるとともに、組立作業の際に部品選択の手間を低減して作業性を向上させることができる。また、外柱3Aにおいて、第2および第3の外梁4B,4Cがブラケット43を介して上側および下側の柱材31,32に接合され、第1内梁4Dが副ブラケット47を介して下側柱材32に接合されているので、柱梁接合部の接合強度を確保しつつ、デッキ材6を受ける第1内梁4Dの高さを下げることができ、第1内梁4Dの上側に支持したデッキ材6と第2および第3の外梁4B,4Cとを外観良好に納めることができる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、建物の屋外に設置されるバルコニー1について説明したが、本発明の屋外構造体としては、バルコニー1に限らず、屋外に設置されるカーポートやテラスやサンルーム、アプローチ等の屋根などに利用されるものであってもよい。その際、柱に接合される梁の設置レベルとしては、カーポート等の屋根の高さ位置に合わせて設けられ、この梁に屋根面材等が支持されることが好ましい。
また、前記実施形態では、4本の柱3を平面矩形状となるように配置したが、柱3の本数や配列形態は特に限定されず、3本以上の柱が一直線状に並んで配置されていてもよい。
また、前記実施形態では、外柱3Aに2本の外梁4B,4Cと1本の内梁4Dとが接合されていたが、外柱に3本の外梁が接合されてもよい。すなわち、上側および下側の柱材31,32に固定される前記ブラケット43を介して3本の外梁が外柱に接合されていてもよく、この場合でも前記スリーブ材33を兼用することができる。
【0028】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る屋外構造体の骨組みを示す斜視図である。
【図2】前記屋外構造体の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】前記屋外構造体の一部を拡大して示す横断面図である。
【図4】前記屋外構造体における柱梁接合部の接合手順を示す斜視図である。
【図5】前記接合手順を示す斜視図である。
【図6】前記接合手順を示す斜視図である。
【図7】前記接合手順を示す斜視図である。
【図8】前記屋外構造体の他の柱梁接合部における接合手順を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1…バルコニー(屋外構造体)、3…柱、3A…外柱、3B…角柱、4…梁、6…デッキ材(床材)、6A…バルコニー床(バルコニー床面)、31…上側柱材、32…下側柱材、33…スリーブ材(連結部材)、33A,33B,33C…固着孔、41…梁材、43…ブラケット(端部部材)、44,48…ボルト(梁固着具)、45…ボルト(固着具)、47…副ブラケット(端部部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる柱の少なくとも一側面に梁の端部を接合する柱梁の接合構造であって、
前記柱は、互いに上下に連結される上側柱材および下側柱材と、これらの柱材同士を連結する連結部材とを有して構成され、前記上側柱材および下側柱材は、それぞれ長尺かつ中空筒状断面を有するとともに、これら上側および下側の柱材に跨って中空内部に前記連結部材が挿入され、
前記梁は、長尺状の梁材と、この梁材の端部を前記上側および下側の柱材の少なくとも一方に固定する端部部材とを有して構成され、
前記端部部材と連結部材とは、前記少なくとも一方の柱材を貫通して当該連結部材に固着する固着具を介して連結されている柱梁の接合構造。
【請求項2】
前記梁材は、前記端部部材が挿入される中空筒状断面を有して形成され、この梁材と端部部材とは、当該梁材を貫通して当該端部部材に固着する梁固着具によって連結されている請求項1に記載の柱梁の接合構造。
【請求項3】
前記上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、前記端部部材と連結部材とは、前記上側および下側の柱材を貫通する前記固着具を介して連結されている請求項1または請求項2に記載の柱梁の接合構造。
【請求項4】
上下に延びる少なくとも1本の柱と、この柱の側面に接合される梁とを備え、これらの柱と梁とが請求項1から請求項3のいずれかに記載の柱梁の接合構造で接合されている屋外構造体。
【請求項5】
前記柱は、前後左右に隣り合って複数が立設されるとともに、これら複数の柱間に渡って前記梁が架設され、これらの梁には、バルコニー床面を構成する床材が支持されており、
前記複数の柱のうち、前記バルコニー床面の角部に位置する角柱には、互いに交差する二側面に前記梁が接合され、前記バルコニー床面の側端縁に位置する外柱には、互いに対向する二側面およびバルコニー床面側の一側面に前記梁が接合され、
前記角柱における上側および下側の柱材を連結する連結部材と、前記外柱における上側および下側の柱材を連結する連結部材とが共通部材で構成され、これらの連結部材の三側面において、固着具と固着する固着孔が同一位置に設けられている請求項4に記載の屋外構造体。
【請求項6】
前記角柱において、上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記互いに交差する二側面に接合される梁の梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、これらの梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記上側および下側の柱材を貫通して設けられ、
前記外柱において、上側柱材と前記下側柱材との連結位置は、前記互いに対向する二側面に接合される梁の梁材の高さ寸法範囲内に設けられ、これらの梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記上側および下側の柱材を貫通して設けられ、前記バルコニー床面側の一側面に接合される梁の梁材の端部を固定する端部部材と前記連結部材とを連結する固着具は、前記下側の柱材を貫通して設けられている請求項5に記載の屋外構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−221748(P2009−221748A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67572(P2008−67572)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】