説明

核医学診断装置

【課題】SUVを正確に算出することができる核医学診断装置を提供する。
【解決手段】体脂肪率算出部19は、被検体Mの生体電気インピーダンス、体重、身長などから被検体Mの体脂肪率を算出する。SUV補正部18は、SUV算出部17で算出されたSUVを被検体の体脂肪率に応じて補正する。これにより体脂肪率の高い肥満した被検体Mの場合にSUVが低めになるのを回避して正確なSUVを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET(Positron Emission Tomography)装置などの核医学診断装置に係り、特に、病巣を識別・判定するための客観的指標であるSUV(Standardized Uptake Value)を正確に算出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
PET装置は、ポジトロン放出性の放射性核種を用い、その消滅ガンマ線を検出して核種の分布像を撮影するものである。たとえば人体の特定の臓器に集積するポジトロン放出性の放射性核種で標識された薬剤を投与する。そのとき人体の外部に放出されてくるガンマ線を、人体外に配置した検出器で検出してデータを収集する。消滅ガンマ線は180゜反対の方向に放出されるので、1対の検出器に同時に入射したことを検出し、その1対の検出器を結ぶ線上に核種が存在していることのデータを得る。このような同時計数によって収集したデータを所定のアルゴリズムで処理することにより、所定の断面での核種の濃度分布像(RI分布画像)を再構成する。この再構成画像は特定の臓器の診断に用いられる。
【0003】
ところで、PET装置の画像診断では、薬剤の集積程度についてSUVと呼ばれる半定量評価量が広く用いられている。SUVは次式で定義される数値である。
SUV=(組織放射線カウント[cps]/組織重量[g])/(投与放射線カウント[cps]/体重[g])
すなわち、SUVは、体内特定領域で実測された放射能濃度(A)と放射能の全身均一分布を仮定したときの全身平均放射能濃度(B)との比(A/B)、つまり体内特定領域における放射能集積倍率である。例えば、仮に体内に全く偏りなく薬剤が分散されていればSUVは「1」になり、また、ある臓器に薬剤が集積されていると、その臓器のSUVは「2」や「3」といった「1」よりも大きな数値になる。このような半定量評価量を用いることにより、癌の発生や転移などを客観的に判断することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−153669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置におけるSUVの算出は、人体の約7割が水分なので体重分の水の中に一様に薬剤が分布していると仮定し、被検体の体重から算出された単位重さあたりの線量を分母にして計算している。しかし、人体には水以外に体脂肪が少なからずあり、しかも体重と体脂肪率との関係は個体差がある。体脂肪は、ガンマ線の散乱吸収体として働くので、体脂肪が多いとガンマ線が体外に出難くなる。そのため、従来装置によれば、体脂肪率の低い被検体ではSUVを高く、体脂肪率の高い被検体ではSUVを低く評価してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、SUVを正確に算出することができる核医学診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明に係る核医学診断装置は、(A)放射性薬剤が投与された被検体について体内の放射能濃度の分布を検出する放射能濃度検出手段と、(B)被検体に投与された放射性薬剤の全放射能を入力する全放射能入力手段と、(C)被検体の体重を入力する体重入力手段と、(C)全放射能入力手段から入力された放射性薬剤の全放射能と、体重入力手段から入力された被検体の体重とに基づき、放射性薬剤が被検体の全身に均一に分布すると仮定したときの全身平均放射能濃度を算出する放射能濃度算出手段と、(D)放射能濃度検出手段によって検出された被検体内の放射能濃度と、放射能濃度算出手段で算出された全身平均放射能濃度との比である放射能集積倍率を算出する集積倍率算出手段と、(E)被検体の体脂肪率を入力する体脂肪率入力手段と、(F)集積倍率算出手段で算出された放射能集積倍率を、体脂肪率入力手段で入力された被検体の体脂肪率を使って補正する補正手段とを備えたものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明の作用・効果は次の通りである。
被検体に投与された放射性薬剤の全放射能が全放射能入力手段から入力され、また、体重入力手段から被検体の体重が入力されると、放射能濃度算出手段は、放射性薬剤の全放射能と被検体の体重とに基づき、放射性薬剤が被検体の全身に均一に分布すると仮定したときの全身平均放射能濃度を算出する。続いて、放射能濃度検出手段が、放射性薬剤が投与された被検体について体内の放射能濃度の分布を検出する。全身平均放射能濃度と被検体内の放射能濃度の分布とが求まると、集積倍率算出手段は、被検体内の放射能濃度と全身平均放射能濃度との比である放射能集積倍率を算出する。一方、体脂肪率入力手段から被検体の体脂肪率が入力されると、補正手段は、この体脂肪率を使って放射能集積倍率を補正する。これにより、放射能集積倍率を正確に算出することができる。
【0008】
本発明において好ましくは、体重入力手段は、被検体が載置される寝台に付設されて被検体の体重を検出する体重検出計で構成される(請求項2記載の発明)。このように構成すれば、寝台に被検体が載置されると自動的に被検体の体重が計測されて入力されるので、放射能集積倍率を容易に算出することができる。
【0009】
また、本発明において好ましくは、体脂肪率入力手段は、(E1)被検体の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、(E2)被検体の身長を含む属性を入力する属性入力手段と、(E3)少なくとも、インピーダンス測定手段で測定された生体インピーダンス、属性入力手段で入力された被検体の身長、及び体重入力手段で入力された被検体の体重に基づき、被検体の体脂肪率を算出する体脂肪率算出手段とを備える(請求項3記載の発明)。このように構成すれば、被検体の体脂肪率を比較的簡単に、かつ精度よく求めることができ、ひいては放射能集積倍率を精度良く補正することができる。
【0010】
さらに、本発明において、(A1)前記放射能濃度検出手段は、リング状の放射線検出器を内蔵するガントリを含み、(G)かつ、前記寝台の天板上に載置された状態でガントリの開口軸心に沿って前後進する被検体の頭頂又は足先を検知する被検体検知手段と、(H)被検体検知手段からの検知信号に基づいて天板を前後動させて、ガントリに対する被検体の位置決めを行なう寝台制御手段とを備えるのが好ましい(請求項4記載の発明)。このように構成すれば、ガントリに対する被検体の位置決めを簡単かつ正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放射能集積倍率を被検体ごとに求めた体脂肪率を使って補正しているので、体脂肪率の高低にかかわらず、放射能集積倍率を正確に測定することができる。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る核医学装置の概略構成を示したブロックである。
この核医学装置はPET装置であって、円筒形のガントリ1内に、複数個のリング型検出器2がその軸心方向に並べて収納されている。ガントリ1の開口部の入り口側にあるリング型検出器2aはトランスミッションデータ収集用の検出器である。リング型検出器2aの隣にある複数個のリング型検出器2からなるマルチリング型検出器2bはエミッションデータ収集用の検出器群である。各リング型検出器2は、多数の放射線検出器をリング状に配列して構成されている。各放射線検出器は、内側に配置されたシンチレータブロックと、外側に配置されて内側のシンチレータブロックに光学的に結合している光電子増倍管(フォトマルチプライヤ)とから構成されている。リング型検出器2aの内側には開口軸心周りに回転する外部線源3が設けられている。
【0013】
被検体Mは、ポジトロン放出性の放射性核種で標識された薬剤が投与される。薬剤は被検体の特定の臓器に集積する。そのとき被検体Mの外部へ消滅γ線が180°反対方向に放出される。被検体がガントリ1に挿入されることにより、リング型検出器2(2a、2b)が被検体Mから放出されたγ線を検出する。検出された信号は同時計数データ収集部4に与えられる。同時計数データ収集部4は、一対の放射線検出器に同時に入射したγ線を検出する。具体的には、リング型検出器2aからは吸収補正用のトランスミッションデータが得られ、マルチリング型検出器2bからエミッションデータが得られる。ここで、トランスミッションデータ(透過データ)とは、被検体Mの内部から放射されるγ線によるデータであるエミッションデータ(放射データ)に対するもので、被検体Mの外部から放射され被検体Mを透過したγ線によるデータをいう。
【0014】
吸収補正部5は、トランスミッションデータから被検体Mの吸収分布を求め、これを使ってエミッションデータを補正することにより、被検体Mの内部におけるγ線の吸収による影響を低減させる。
【0015】
画像再構成部6は、吸収補正されたエミッションデータに基づいて、RI(放射性同位元素)分布像を再構成する。上述したリング型検出器2(2a、2b)、同時計数データ収集部4、吸収補正部5、及び画像再構成部6は、本発明における放射線濃度検出手段に相当する。
【0016】
ガントリ1の近くには被検体Mが載置される寝台7がある。寝台7にはガントリ1の開口軸心に沿って前後動する天板8があり、この天板8上に被検体Mが置かれる。寝台7の底部に複数個のロードセル9が設けられている。これらのロードセル9の検出信号は体重検出部10に与えられる。体重検出部10は、被検体Mが載置されたときの寝台7の総重量から、被検体Mが載っていないときの寝台7の重量を差引くことにより、被検体Mの体重を算出する。ロードセル9及び体重検出部10は、本発明における体重入力手段及び体重検出計に相当する。
【0017】
寝台制御部11は、寝台9の天板8の前後動など、寝台9の駆動を制御する。ガントリ1の前面には赤外線の投光器と受光器とからなる被検体検知器12が設けられている。この被検体検知器12は天板8に載置された被検体Mの頭頂又は足先を検出する。被検体検知器12の検出信号は寝台制御部11に与えられる。被検体Mを載置した状態で天板8がガントリ1に向かって移動しているとき、被検体検知器12が被検体Mの頭頂(又は足先)を検出すると、その検出信号に基づいて、寝台制御部11は天板8の移動を停止させる。これによりガントリ1に対して被検体Mを簡単に位置決めすることができる。被検体検知器12は本発明の被検体検知手段に、寝台制御部11は本発明の寝台制御手段に、それぞれ相当する。
【0018】
放射線濃度算出部13は、放射能測定器14で測定された放射性薬剤の単位量当たりの放射能と、被検体Mに投与された放射性薬剤の全液量と、体重検出部10から与えられる被検体Mの体重とに基づき、放射性薬剤が被検体Mの全身に均一に分布すると仮定したときの全身平均放射能濃度を算出する。放射能測定器14としては、例えばウェルカウンタが用いられる。投与された放射性薬剤の全液量は、操作入力部15から技師の手入力により与えられる。入力された液量データは表示制御部16を介して放射能濃度算出部13に与えられる。放射能濃度算出部13は、放射性薬剤の単位量当たりの放射能に放射性薬剤の全液量を乗算し、その乗算値を被検体Mの体重で除算することにより、全身平均放射能濃度を算出する。放射能測定器14及び放射性薬剤の単位重量当たりの放射能に放射性薬剤の全液量を乗算して被検体の投与された放射性薬剤の全放射能を算出する放射能濃度算出部13の機能は、本発明における全放射能入力手段に相当する。また、投与された放射性薬剤の全放射能と被検体Mの体重とに基づき全身平均放射能濃度を算出する機能は、本発明における放射能濃度算出手段に相当する。
【0019】
算出された全身平均放射能濃度はSUV算出部17に与えられる。さらに、SUV算出部17には、画像再構成部6からRI分布像が与えられる。SUV算出部17は、RI分布画像の1ピクセルに相当する放射能(組織放射線カウント)を、1ピクセルに相当する組織重量(つまり、1ピクセルに相当する水の重量)で除算して、被検体Mの組織放射能濃度を算出する。そして、被検体Mの組織放射能濃度を全身平均放射能濃度で除算することにより、SUVを算出する。SUVは、本発明における放射能集積倍率に相当し、SUV算出部17は、本発明における集積倍率算出手段に相当する。
【0020】
算出されたSUVはSUV補正部18に与えられる。SUV補正部18は、体脂肪率算出部19で算出された被検体Mの体脂肪率を使ってSUVを補正する。被検体Mの体脂肪率は次のように測定される。本実施例で使用する体脂肪率の測定手法は、被検体Mの生体電気インピーダンス(Bioelectric Impedance)から体脂肪率を推定する生体電気インピーダンス法と呼ばれる手法である。以下にこの手法を説明する。被検体Mの手首と足首にそれぞれ電極20を巻き付ける。インピーダンス測定部21が、この電極20の間に微小電流を流すことによって、被検体Mの生体電気インピーダンスを測定する。体脂肪率算出部19は、測定された生体電気インピーダンスと、体重検出部10から与えられた被検体Mの体重と、操作入力部15から入力された被検体Mの身長や性別・年齢などの属性とに基づいて体脂肪率を推定する。操作入力部15は、本発明における属性入力手段に相当する。
【0021】
体脂肪率算出部19は、まず、次式により被検体Mの除脂肪重量(脂肪以外の組織の重量)LBMを算出する。ここで、Hは被検体Mの身長、Zは被検体Mの生体電気インピーダンスである。aは比例係数であって、性別・年齢に応じた数値が予め決められている。
LBM=a×H/Z
そして、被検体Mの体脂肪率FAT(%)を次式により算出する。
FAT=(W−LBM)/W
ここで、Wは被検体Mの体重である。
【0022】
SUV補正部18は、算出された被検体Mの体脂肪率を使って次のようにSUVを補正する。SUV補正部18は、図2に示したようなSUV補正関数f(FAT)を予め記憶している。この補正関数f(FAT)に体脂肪率算出部19で算出された体脂肪率を代入することによりSUV補正係数αが求められる。SUV補正部18は、SUV算出部17で算出されたSUVに補正係数αを乗算することにより、SUVを補正する。このような補正関数は、被検体モデルを想定・作成し、別途実験により最適化する。図2から明らかなように、補正係数は体脂肪率が中位(標準)では「1」であり、体脂肪率が低い場合は「1」よりも小さい数値になり、体脂肪率が高い場合は「1」よりも大きい数値になる。したがって、例えば、肥満した被検体Mの場合、体脂肪の影響でSUVが低めに算出されても、そのSUVに体脂肪率に応じた「1」よりも大きな補正係数が乗じられるので、低めに評価されたSUVが適正に補正される。
【0023】
以上のようにして、画像再構成部6から与えられた被検体MのRI分布画像に基づいてSUV算出部17がSUVの分布画像を算出し、さらに、SUV補正部18が補正されたSUV分布画像を作成する。補正されたSUV分布画像は表示制御部16を介して表示部22に表示される。
【0024】
次に、上述した構成を備えた実施例装置の動作順序を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0025】
まず、操作入力部15を使って技師が被検体Mの身長、性別、年齢などの属性と、被検体Mに投与される放射性薬剤の液量を入力する(ステップS1)。被検体Mの身長、性別、年齢は体脂肪率算出部19に与えられる。放射性薬剤の液量は放射能濃度算出部13に与えられる。
【0026】
放射能測定器14で放射性薬剤の単位量の放射能が計測される(ステップS2)。放射能の測定結果は放射能濃度算出部13に与えられる。
【0027】
被検体Mが寝台9に載置されることにより、体重検出部10が被検体Mの体重を測定して、その結果が放射能濃度算出部13及び体脂肪率算出部19に与えられる(ステップS3)。
【0028】
放射能濃度算出部13は、測定された放射性薬剤の単位量当たりの放射能と、投与された放射性薬剤の全液量と、被検体Mの体重とに基づき、放射性薬剤が被検体Mの全身に均一に分布すると仮定したときの全身平均放射能濃度を算出する(ステップS4)。なお、放射能濃度算出部13は、被検体Mのエミッションデータ収集時刻t1と放射能測定器による測定時刻t2が異なる場合には、核種の種類に応じた減衰定数を用いてt1、t2の時間差に応じた放射能の減衰を補正する。
【0029】
被検体Mの生体電気インピーダンスを測定する(ステップS5)。体脂肪率算出部19が被検体Mの生体電気インピーダンスと体重と身長や性別・年齢に基づいて体脂肪率を推定する(ステップS6)。
【0030】
ガントリ1に対して被検体Mを位置決めし(ステップS7)、被検体Mとガントリ1とを開口軸心に沿って相対移動させることにより、トランスミッションデータ及びエミッションデータを収集して被検体MのRI分布画像(放射能濃度の分布図)を得る(ステップS8)。
【0031】
SUV算出部17が、RI分布画像の1ピクセルに相当する放射能(組織放射線カウント)を、1ピクセルに相当する組織重量(つまり、1ピクセルに相当する水の重量)で除算して、被検体Mの組織放射能濃度を算出し、この組織放射能濃度を全身平均放射能濃度で除算することにより、SUVを算出する(ステップS9)。そして、SUV補正部18が、体脂肪率算出部19で算出された被検体Mの体脂肪率を使ってSUVを補正する(ステップS10)。
【0032】
補正されたSUV分布画像を表示部22に表示する(ステップS11)。このとき診断の判定基準に応じて予めSUVの閾値を決めておき(例えば、SUV=4)、その閾値を超える領域を強調表示すれば診断を効果的に行なうことができる。また、操作入力部15を使って表示部22の画面上で関心領域(ROI)を設定し、その関心領域における補正されたSUVの平均値を表示部22の画面上に数値表示するようにしてもよい。
【0033】
以上のように本実施例によれば、SUVを被検体の体脂肪率に応じて補正しているので、被検体の体脂肪率の高低にかかわらず、SUVを正確に測定することができる。
【0034】
本発明は、上記実施例に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0035】
(1)上記の実施例では、被検体の体重を検出する体重検出計を、寝台7に取り付けたロードセル9によって構成したが、本発明はこれに限らず、例えば被検体が載置される天板8にエアーマットを設け、このエアーマットの圧力変化で被検体の体重を測定してもよい。また、本発明の体重入力手段は、上記のような体重検出計に限らず、別に測定した被検体の体重データを操作入力部15を介して入力するものであってもよい。
【0036】
(2)上述した実施例では、被検体の体脂肪率を生体電気インピーダンス法によって測定したが、本発明はこれに限らず、例えば、キャリパー法、超音波法、近赤外線法など、他の測定手法によって被検体の体脂肪率を測定してもよい。ここで、キャリパー法は、上腕背部と肩甲骨下部を皮脂厚計でつまんで測定し、その測定値から体脂肪率を算出する方法である。超音波法は、上腕背部と肩甲骨下部の皮脂厚を超音波により測定し、その測定値から体脂肪率を算出する方法である。近赤外線法は、上腕二頭筋上に近赤外線を当て、脂肪からの反射光を測定して体脂肪率を推定する方法である。また、本発明の体脂肪率入力手段は、実施例のように測定した体脂肪率は自動的に取り込むものに限らず、別に測定した被検体の体脂肪率を操作入力部15を介して入力するものであってもよい。
【0037】
(3)上述した実施例では、放射能測定器14で測定した薬剤の放射能を自動的に取り込むようにしたが、本発明はこれに限らず、測定した結果を操作入力部15を介して入力するものであってもよい。
【0038】
(4)上述した実施例では、核医学診断装置としてPET装置を例に採ったが、本発明は、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に係るPET装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】体脂肪率とSUV補正係数の関係を示した図である。
【図3】実施例装置の動作順序を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 … ガントリ
2 … リング型検出器
6 … 画像再構成部
7 … 寝台
9 … ロードセル
10 … 体重検出部
13 … 放射線濃度算出部
14 … 放射能測定器
15 … 操作入力部
17 … SUV算出部
18 … SUV補正部
19 … 体脂肪率算出部
20 … 電極
21 … インピーダンス測定部
22 … 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)放射性薬剤が投与された被検体について体内の放射能濃度の分布を検出する放射能濃度検出手段と、(B)被検体に投与された放射性薬剤の全放射能を入力する全放射能入力手段と、(C)被検体の体重を入力する体重入力手段と、(C)全放射能入力手段から入力された放射性薬剤の全放射能と、体重入力手段から入力された被検体の体重とに基づき、放射性薬剤が被検体の全身に均一に分布すると仮定したときの全身平均放射能濃度を算出する放射能濃度算出手段と、(D)放射能濃度検出手段によって検出された被検体内の放射能濃度と、放射能濃度算出手段で算出された全身平均放射能濃度との比である放射能集積倍率を算出する集積倍率算出手段と、(E)被検体の体脂肪率を入力する体脂肪率入力手段と、(F)集積倍率算出手段で算出された放射能集積倍率を、体脂肪率入力手段で入力された被検体の体脂肪率を使って補正する補正手段とを備えたことを特徴とする核医学診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の核医学診断装置において、前記体重入力手段は、被検体が載置される寝台に付設されて被検体の体重を検出する体重検出計である核医学診断装置。
【請求項3】
請求項1記載の核医学診断装置において、前記体脂肪率入力手段は、(E1)被検体の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、(E2)被検体の身長を含む属性を入力する属性入力手段と、(E3)少なくとも、インピーダンス測定手段で測定された生体インピーダンス、属性入力手段で入力された被検体の身長、及び体重入力手段で入力された被検体の体重に基づき、被検体の体脂肪率を算出する体脂肪率算出手段とを備える核医学診断装置。
【請求項4】
請求項1記載の核医学診断装置において、(A1)前記放射能濃度検出手段は、リング状の放射線検出器を内蔵するガントリを含み、(G)かつ、前記寝台の天板上に載置された状態でガントリの開口軸心に沿って前後進する被検体の頭頂又は足先を検知する被検体検知手段と、(H)被検体検知手段からの検知信号に基づいて天板を前後動させて、ガントリに対する被検体の位置決めを行なう寝台制御手段とを備える核医学診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−333471(P2007−333471A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163631(P2006−163631)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】