説明

核医学診断装置

【課題】放出性同位体で標識された薬剤を被検体に投与することにより、薬剤が集積された特定の臓器や腫瘍から放出されたガンマ線を放射線検出器で検出することで得られる画像(薬剤分布に応じた画像)を用いて診断を行う核医学診断装置において、性質の異なる複数の薬剤投与による複数核種撮像を行った場合、放射線検出器内でのガンマ線散乱による画像劣化を防止し、良質な画像が得られる核医学診断装置を提供することを目的とする。
【解決手段】放射線検出器10で検出したガンマ線のエネルギーに対応する信号(放射線検出部10出力の信号)より生成され、放射線検出器10内でのガンマ線散乱によるコンタミネーション成分を含む画像(画像作成部31で生成される画像)から、画像補正演算部32での畳み込み演算により求めたコンタミネーション画像を補正画像作成部34で差し引くことにより、放射線検出器10内でのガンマ線散乱による画像劣化を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核医学診断装置に関し、特にガンマカメラ及びガンマカメラを用いて構成される単光子放出型断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography; SPECT)装置等における画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
核医学診断装置を用いた核医学診断では、放射性同位体で標識された薬剤を被検体に投与する。薬剤が特定の臓器や腫瘍に集積すると、そこからガンマ線が放出され、このガンマ線を放射線検出器(以下、検出器という)で検出することで、薬剤分布に応じた画像を得ることができる。
【0003】
また、性質の異なる複数の薬剤を投与することで、より精度の高い核医学診断が可能となる。例えば、心筋血流及び局所壁運動の情報が得られる99mTc-MIBIと、心筋代謝情報が得られる123I-BMIPPとを用い、核医学診断装置で2核種撮像を行うことで、より良好な心機能診断が期待できる。
【0004】
また、一つの核種でも、201Tlのように複数のエネルギーのガンマ線を放出する核種の場合は、エネルギーの低いガンマ線は透過力が低いため体表近くのみ、エネルギーの高いガンマ線は比較的深い領域まで、というように2つの集積部(投与した薬剤の集積部)を同時に見ることができ、有用である。以下、複数核種撮像と、複数のエネルギーのガンマ線を放出する核種を利用した撮像とを合わせて「複数核種撮像等」と呼ぶ。
【0005】
複数核種撮像等においては、所定のエネルギーのガンマ線に対応する画像に所定のエネルギーのガンマ線とは別のエネルギーのガンマ線からのコンタミネーションが生じる場合があり、補正が必要である。なお、コンタミネーションとは、所定のエネルギーとは別のエネルギーのガンマ線に対応する画像が所定のエネルギーのガンマ線に対応する画像に入り込むことにより、所定のエネルギーのガンマ線に対応する画像が劣化することである。コンタミネーションが発生する原因の一つは、検出器のエネルギー分解能が理想的なほど高くないことである。例えば、99mTcから放出される140keVのガンマ線と123Iから放出される159keVのガンマ線は互いにエネルギー(フォトピーク)が近いため、エネルギー分解能が不十分である場合には、図7のようにエネルギースペクトル上でピーク70及び71の裾同士が重なる。これについては従来からなされているように、例えば99mTcから放出される140keVのガンマ線に対応する画像のみを撮像した場合に、99mTc から放出されるガンマ線の全吸収ピーク70の、123Iから放出されるガンマ線のエネルギーに対する所定範囲(エネルギーウィンドウ73の範囲)へのコンタミネーション成分75を予め定量的に評価しておき、コンタミネーションの影響を推定すればよい。
【0006】
コンタミネーションの別の要因として、被検体内でのガンマ線の散乱がある。核医学診断装置では、投与した薬剤の集積部から真っ直ぐに飛来したガンマ線を基に、ガンマ線の発生位置の分布を画像化する。一方で、ガンマ線が被検体内で散乱を受けると進行方向が変わり、投与した薬剤の集積部位置情報を失ってしまうため、ノイズとなる。ガンマ線は散乱によってエネルギーを失うので、例えば99mTcと123Iの2核種撮像においては、123Iから放出される高エネルギー(159keV)のガンマ線が被検体内で散乱した場合、このガンマ線が、99mTcから放出される低エネルギー(140keV)のガンマ線に対応する画像へのコンタミネーションとなることがある。このコンタミネーションに対しては従来、非特許文献1や特許文献1にあるような手法によって補正が行われてきた。
【0007】
一方で近年、検出器として従来のアンガー型ではなく、半導体を素材としたピクセル型のものを採用した核医学診断装置が検討されつつある。なお、アンガー型検出器とは、図8の通り、大面積平板状の結晶シンチレータ81(例えばNaI(TI)単結晶)に多数の光電子増倍管82、83、84に代表される光デバイスを取り付けた検出器である。一方、ピクセル型検出器とは、図9の通り、小型の角柱状の放射線検出デバイス、例えばNaI(TI)単結晶91、92、93、94、95やCdTe半導体を方形に多数配列し、各NaI(TI)単結晶の場合はそれぞれに光電子増倍管96、97、98、99、100を取り付けた検出器である。アンガー型検出器においては、一つの結晶シンチレータ81に複数の光デバイス(光電子増倍管82、83、84など)を取り付け、光量の重心演算を行うことで検出位置を決定するため、この重心演算によって検出位置に誤差が生じる。ピクセル型ではこれと全く異なっており、ピクセル(各NaI(TI)単結晶91、92、93、94、95)ごとに信号を読み出すため、検出位置決定の不定性がない。また、CdTeなどの半導体を用いたピクセル型検出器は、エネルギー分解能に優れる、という性質から、次世代の核医学診断装置として注目を集めつつある。
【非特許文献1】The Journal of Nuclear Medicine, Vol. 34, No. 12, pp.2216-2221, 1993
【特許文献1】特開平7-128450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ピクセル型検出器では、アンガー型検出器ではあまり目立たなかった新たなコンタミネーションの要因がある。その要因は、検出器内におけるガンマ線の散乱である。図10に示すように、ガンマ線は検出器10で必ずしも全吸収されるわけではなく、散乱を起こす場合もある。散乱を起こしたガンマ線が他のピクセルで全吸収を起こした場合には、複数のピクセルに対して全エネルギーを附与することになる。例えば、123Iが放出した159keVのガンマ線21が所定のピクセルで散乱23を起こして19keVを附与し、140keVの散乱されたガンマ線22が別のピクセル24で全吸収される場合がある。この場合、140keVと19keVという二つの独立なエネルギー附与があったとみなされる。19keVの信号が回路系の検出下限(Lower Level Discrimination;LLD)よりも低く、検出できない場合には、140keVの信号だけが残ることになる。この出力は、99mTc が放出した140keVのガンマ線が全吸収を起こした場合と区別ができず、99mTcが放出したガンマ線に対応する画像へのコンタミネーションが発生してしまうことになる。
【0009】
元の123Iが放出したガンマ線の線源分布が点状であったとしても、散乱によって本来とは違うピクセルにエネルギーを附与してしまうため、周辺の領域全体で前述のような99mTcが放出したガンマ線に対応する画像へのコンタミネーションが発生し得る。投与する薬剤が123Iと99mTcの組より高いエネルギーのガンマ線を放出する場合は、散乱されたガンマ線もより遠くまで輸送されやすくなるので、更に広い画像領域でコンタミネーションが発生することになる。このコンタミネーションによる偽の99mTcのガンマ線に対応する画像は、即ち、99mTcが放出したガンマ線に対応する画像と誤ってみなされた画像は、123Iのガンマ線の線源分布とは(相関はあるものの)異なるピクセルに発生し、もちろん99mTcのガンマ線の線源分布とも無関係である。これは、前述のような従来の補正では対応できず、画像の劣化を招くことになる。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、複数核種撮像等を行った場合に、検出器内散乱による画像の劣化を防止できるようにすることにより、良質な診断画像が得られる核医学診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するため、本発明は、複数のエネルギーのガンマ線を用いて診断を行う核医学診断装置において、前記ガンマ線を検出する検出部と、該検出部における各検出点のエネルギー情報及び位置情報を出力する信号処理部と、該信号処理部からの各検出点のエネルギー情報及び位置情報を基に、高エネルギー側のガンマ線に対応する画像と低エネルギー側のガンマ線に対応する画像を生成する画像作成部と、該画像作成部によって生成された高エネルギー側のガンマ線に対応する画像に対して畳み込み演算を行うことにより、低エネルギー側のガンマ線に対応する画像に重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する画像を生成する画像補正演算部と、前記重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する画像を、前記画像作成部により生成された低エネルギー側のガンマ線に対応する画像から減算する補正画像作成部を有し、前記減算により、低エネルギー側のガンマ線に対応する画像の劣化を防止するように構成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出器内散乱による画像の劣化を防止できるため、良質な診断画像が得られる核医学診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜6を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態である核医学診断装置の構成を示すブロック図、図2は、1ピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合のコンタミネーションの様子を示す図、図3は、本発明の第二の実施形態である核医学診断装置(SPECT装置)の構成を示すブロック図、図4は、123Iが放出する159keVのガンマ線の線源及び検出器との位置関係によって生成されるコンタミネーション画像の違いを示す模式図、図5は、畳み込み演算の仕方を示す図、図6は、補正データ用メモリに記憶されるコンタミネーション画像データ(補正データ)の一例を示す図である。
【0014】
《第一の実施形態》
本発明の第一の実施形態の核医学診断装置について説明する。被検体25に投与された薬剤は腫瘍などに集積する。腫瘍等、投与された薬剤の集積部からガンマ線21が放出される。放出されたガンマ線21は、ガンマカメラを構成する検出器10で検出される。ここで、検出器10の例としてはNaI(Tl)、GSO(Ce)、LSO(Ce)、BGOなどの結晶シンチレータに光デバイス(光電子増倍管、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオードなど)を付けたもの、あるいは半導体(シリコン、ゲルマニウム、CdTe、CZT、TlBr、HgI2など)が挙げられる。検出器10で検出されたガンマ線は電気信号へと変換され、後段の増幅・ADC(Analog-to-Digital Converter)回路12へ送出される。なお、この検出器10はピクセル型検出器である。
【0015】
増幅・ADC回路12において、ガンマ線の信号は典型的には前置増幅部・波形整形部・ピークホールド部・ADCを通してデジタルの波高値情報へと変換される。この波高値情報と、ガンマ線を検出した検出器の位置情報とが後段のデータ処理装置30中の画像作成部31へ送出される。検出器の位置情報は、例えばピクセル一つ一つに増幅・ADC回路12を設けている場合には、どの増幅・ADC回路から波高情報が送出されてきたかによって判別することができる。なお、波高値情報と検出器の位置情報については、例えば、特開2005−17142号公報の段落0034〜0037に記載の方法により、検出器10から出力された検出信号から生成される。
【0016】
画像作成部31では、増幅・ADC回路12から送出された波高値情報を基に、検出したガンマ線のエネルギーが、ユーザが指定したエネルギーウィンドウに含まれるか否かを判定する。含まれている場合は有効なイベントと見做し、位置情報を基に画像上で対応する位置のカウント数を1増やす。エネルギーウィンドウは入力装置42を通じて複数指定できることにより、エネルギーの異なる各ガンマ線に対応する補正無しの画像が得られる。例えば、99mTcと123Iを用いた2核種撮像を行う場合、入力装置42を通じて99mTcのエネルギーウィンドウと123Iのエネルギーウィンドウを設定できることにより、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する補正無しの画像と、123Iが放出する159keVのガンマ線に対応する補正無しの画像が得られる。なお、図7のエネルギーウィンドウ72、エネルギーウィンドウ73は、それぞれ入力装置42を通じて設定された99mTcのエネルギーウィンドウ、123Iのエネルギーウィンドウである。
【0017】
画像作成部31で得られた画像には、検出器内におけるガンマ線の散乱によるコンタミネーション成分が含まれている。以下、データ処理装置30の動作について、例として99mTcと123Iを用いた2核種撮像を行った場合で説明する。エネルギーの高い123Iが放出する159keVのガンマ線に対応する画像に対して、画像補正演算部32において畳み込み演算が行われる(畳み込み演算については、後述する)。即ち、123Iが放出する159keVのガンマ線が検出器内散乱を起こすことにより、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する画像に重畳されるコンタミネーション画像(補正用画像)を畳み込み演算によって求める。
【0018】
画像補正演算部32で求められたコンタミネーション画像は、補正画像作成部34において、画像作成部31で生成された99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する補正無しの画像から減算される。その結果、検出器内散乱によるコンタミネーションが除去された良好な画像(99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する画像)が得られる。得られた画像は表示装置41を通じて核医学診断のために供せられる。
【0019】
なお、3つ以上のエネルギーのガンマ線による同時撮像の場合には、まず最も高いエネルギーのガンマ線の、2番目に高いエネルギーのガンマ線に対応する画像へのコンタミネーションを補正する。次に、最も高いエネルギーのガンマ線の画像と、2番目に高いエネルギーのガンマ線に対応する補正画像とを元に、両者の3番目に高いエネルギーのガンマ線に対応する画像へのコンタミネーションを補正する。以下、エネルギーの高いガンマ線から順次補正を行うことにより、全てのエネルギーのガンマ線に対し、検出器内散乱を補正した画像を得ることができる。
【0020】
画像補正演算部32における畳み込み演算について、具体的に説明する。この演算を行うには、例えば図2(a)のように、5行5列のピクセル型の検出器の1ピクセルだけに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出された場合、図2(b)のように、99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布がわかれば良い。その理由については、後述する。図2では、中央の1ピクセルだけに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布だけを示している。しかし、中央の1ピクセル以外の他の1ピクセルだけに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合についても、99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布がわかるようにする必要がある。即ち、5行5列のピクセル型の検出器の場合には、123Iが放出する159keVのガンマ線が入射されるピクセルは全部で25個あるが、各々のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射された場合、99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布がわかるようにする必要がある。そのため、補正データ用メモリ33には、5行5列のピクセル型の検出器を用いた場合で各々のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射され、100カウント検出されたときにおける、99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布を示す25通りのデータが記録される。
【0021】
畳み込み演算を行う際、前述の通り、例えば、5行5列のピクセル型の検出器の1ピクセルだけに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合、99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布がわかるようにすれば良いが、その理由について述べる。例えば、複数のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射する場合もあるが、この場合、下記(1)〜(5)に示す手順に従うことにより、123Iが放出する159keVのガンマ線が入射する場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を求めることができるからである。
【0022】
(1)ガンマ線が入射された複数のピクセルの内、1つのピクセルを選択し、この選択したピクセルだけに仮に123Iが放出する159keVのガンマ線の内の規定量だけが入射された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を求める。この周辺カウント数分布を求めるにあたり、補正データ用メモリ33に記録されたデータを用いる。
【0023】
(2)上記(1)で選択したピクセル以外で、ガンマ線が入射されたピクセルを1つ選択し、この選択したピクセルだけに、仮に123Iが放出する159keVのガンマ線の内の規定量だけが入射された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を求める。この周辺カウント数分布を求めるにあたり、補正データ用メモリ33に記録されたデータを用いる。
【0024】
(3)ガンマ線が入射された複数のピクセルの内、まだ選択されていないピクセルが1つ以上ある場合、このピクセルを1つ選択し、この選択したピクセルだけに、仮に123Iが放出する159keVのガンマ線の内の規定量だけが入射された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を求める。この周辺カウント数分布を求めるにあたり、補正データ用メモリ33に記録されたデータを用いる。
【0025】
(4)ガンマ線が入射された全てのピクセルが選択され、そして、選択されたピクセルそれぞれに、仮に123Iが放出する159keVのガンマ線の内の規定量だけが入射された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布が得られるまで、上記(3)の動作を繰り返す。
【0026】
(5)123Iが放出する159keVのガンマ線の内の規定量だけが仮に各ピクセルに入射された場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布の和をとる。即ち、上記(1)〜(4)の処理で求めた周辺カウント数分布の和をとる。この周辺カウント数分布の和が、複数のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射する場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布である。
【0027】
以下、図5を用いて、複数のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を得るための具体的動作について、説明する。例えば、図5(a)のように、3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合、補正データ用メモリ33に記録されたデータを用いることにより、図5(b)のように、123Iが放出する159keVのガンマ線の内の50カウントだけが下記(1)に示す箇所にて仮に検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を求める。なお、図5(b)に示す周辺カウント数分布を得る方法については、後述する。同様にして、図5(c)のように、123Iが放出する159keVのガンマ線の内の30カウントだけが下記(2)に示す箇所にて仮に検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布と、図5(d)のように、123Iの放出する159keVのガンマ線の内の20カウントだけが下記(3)に示す場所にて仮に検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を得る。なお、図5(c)、(d)に示す周辺カウント数分布を得る方法については、後述する。
(1)中央のピクセル
(2)中央のピクセルに隣接すると共に中央のピクセルの真上にあるピクセル
(3)中央のピクセルに隣接すると共に中央のピクセルの真下にあるピクセル
【0028】
そして、123Iが放出する159keVのガンマ線の内の50カウントだけが上記(1)に示す箇所にて仮に検出されたときと、123Iが放出する159keVのガンマ線の内の30カウントだけが上記(2)に示す箇所にて仮に検出されたときと、123Iが放出する159keVのガンマ線の内の20カウントだけが上記(3)に示す場所にて仮に検出されたときとの、それぞれの99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布の和をとる。この和が、3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布である。即ち、図5(e)に示す周辺カウント分布が、3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布である。以上の通り、3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を得ることができる。
【0029】
本実施形態の核医学診断装置では、3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合における99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を得るための具体的動作について説明した。3つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合以外でも、2つのピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合や、4つ以上のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合でも、同様にして、99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を得ることができる。この周辺カウント数分布により生成された画像がコンタミネーション画像となる。なお、本実施形態の核医学診断装置では、5行5列のピクセル型の検出器を用いた場合で説明したが、5行5列以外のピクセル型の検出器でも同様にして、コンタミネーション画像を生成することができる。
【0030】
以下、図5(b)、(c)、(d)に示す周辺カウント数分布を得る方法について、説明する。なお、補正データメモリ33には、前述の通り、5行5列のピクセル型の検出器を用いた場合で各々のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布を示す25通りのデータが記録されている。図5(b)、(c)、(d)に示す周辺カウント数分布を示すデータを得るために、前述の25通りのデータの内、上記(1)〜(3)の各々の箇所のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射したときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布を示すデータを用いる。
【0031】
図5(a)より、上記(1)の箇所のピクセルにて123Iが放出する159keVのガンマ線が50カウント検出される。そして、このガンマ線が50カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布の各ピクセル値は、上記(1)の箇所のピクセルだけに仮に123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布で対応する各ピクセル値の半分となる。
【0032】
同様にして、図5(a)より、上記(2)の箇所のピクセルにて123Iが放出する159keVのガンマ線が30カウント検出される。そして、このガンマ線が30カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布の各ピクセル値は、上記(2)の箇所のピクセルだけに仮に123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布で対応する各ピクセル値の30%となる。
【0033】
更に同様にして、図5(a)より、上記(3)の箇所のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が20カウント検出される。そして、このガンマ線が20カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布の各ピクセル値は、上記(3)の箇所のピクセルだけに仮に123Iが放出する159keVのガンマ線が入射し、100カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布で対応する各ピクセル値の20%となる。
【0034】
上記(1)の箇所のピクセルだけに、上記(2)の箇所のピクセルだけに、上記(3)の箇所のピクセルだけに仮に123Iが放出する159keVのガンマ線が入射されたとき、99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布を示すデータを、それぞれ図6(a)、(b)、(c)に示す。前述の通り、上記(1)の箇所のピクセルにて123Iが放出する159keVのガンマ線が50カウント検出されるため、このガンマ線が50カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布は、図6(a)より、図5(b)に対応するものとなる。
【0035】
同様にして、上記(2)の箇所のピクセルにて123Iが放出する159keVのガンマ線が30カウント検出されるため、このガンマ線が30カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布は、図6(b)より、図5(c)に対応するものとなる。更に同様にして、上記(3)の箇所のピクセルにて123Iが放出する159keVのガンマ線が20カウント検出されるため、このガンマ線が20カウント検出されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72での周辺カウント数分布は、図6(c)より、図5(d)に対応するものとなる。
【0036】
次に、5行5列のピクセル型の検出器を用い、各々のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布を示す25通りのデータ(補正データ用メモリ33に記録されるデータ)を得る方法について、説明する。この25通りのデータを得るにあたり、ガンマ線の検出器内散乱は確率過程(時間と共に推移する確率現象)であるため、例えば放射線輸送のモンテカルロシミュレーションを行うようにする。なお、放射線輸送のモンテカルロシミュレーションとは、物質中での放射線の3次元の挙動を取り扱うシミュレーションである。
【0037】
放射線輸送のモンテカルロシミュレーションを行う以外にも、実際に1ピクセルだけにガンマ線を照射する実験を行い、得られた実測データを基にして、5行5列のピクセル型の検出器を用い、各々のピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射されたときにおける99mTc側のエネルギーウィンドウ72でのそれぞれの周辺カウント数分布を示す25通りのデータを得るようにしても良い。
【0038】
《第二の実施形態》
本発明の第二の実施形態の核医学診断装置(SPECT装置)について、説明する。本発明の第一の実施形態の核医学診断装置と同様に、被検体25に投与された薬剤は腫瘍などに集積される。腫瘍等、投与された薬剤の集積部から放出されたガンマ線21は、検出器10で検出されることで電気信号に変換された後、前述の第一の実施形態の核医学診断装置と同様の処理が増幅・ADC回路12、画像作成部31で行われることにより、エネルギーの異なる各ガンマ線に対応する補正無しの画像が得られる。例えば、99mTcと123Iを用いた2核種撮像を行う場合、入力装置42を通じて99mTc側のエネルギーウィンドウ72と123I側のエネルギーウィンドウ73を設定することにより、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する補正無しの画像と、123Iが放出する159keVのガンマ線に対応する画像が得られる。本実施形態の核医学診断装置(SPECT装置)においては、検出器10の位置を変えながら測定することにより、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する補正無しの画像と、123Iが放出する159keVのガンマ線に対応する画像とがそれぞれ多数作成される。
【0039】
画像作成部31にて多数作成された123Iが放出する159keVのガンマ線に対応する多数の画像を基に、画像再構成部35は123Iが放出する159keVのガンマ線の線源(腫瘍等、投与された薬剤の集積部)の三次元的な分布を構成して画像補正演算部32Bに出力する。画像補正演算部32Bは、123Iが放出する159keVのガンマ線の線源(腫瘍等、投与された薬剤の集積部)の三次元的な分布と補正データ用メモリ33Bに記録されているコンタミネーション画像データを基にして、検出器10が各位置にあった場合における、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する画像に入り込むそれぞれのコンタミネーション画像を求める。つまり、123Iが放出する159keVのガンマ線をあてた際に生成されるコンタミネーション画像を求める。なお、コンタミネーション画像データとは、123Iが放出する159keVのガンマ線をあてた際、99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する画像に入り込むコンタミネーション画像のデータのことである。
【0040】
前述の各コンタミネーション画像を、それぞれ対応する画像作成部31出力の画像(99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する補正無しの画像)から補正画像作成部34において減算することにより、検出器内散乱によるコンタミネーションが除去された良好な画像(99mTcが放出する140keVのガンマ線に対応する画像)が得られる。この画像は画像再構成部36にて99mTcが放出する140keVのガンマ線の線源(腫瘍等、投与された薬剤の集積部)の三次的な分布の画像に再構成され、表示装置41を通じて核医学診断のために供せられる。
【0041】
画像補正演算部32Bにおけるコンタミネーション画像を求める演算について説明する。この演算を行うには、図4のように検出器10に対して123Iが放出する159keVのガンマ線の線源20が各位置(例えば、検出器10の真上、斜め上等)・各距離にあった場合に、それぞれ99mTc側のエネルギーウィンドウ72で如何に計数されるかがわかれば良い。如何に計数されているかについては、画像再構成部35にて得られた123Iが放出する159keVのガンマ線の線源(腫瘍等、投与された薬剤の集積部)の三次元的な分布を基に、画像補正演算部32B内で放射線輸送のモンテカルロシミュレーションを行うことで求めても良い。なお、放射線輸送のモンテカルロシミュレーションとは、前述の通り、物質中での放射線の3次元の挙動を取り扱うシミュレーションである。
【0042】
放射線輸送のモンテカルロシミュレーションを行う以外にも、代表点でのコンタミネーション画像を、例えば、123Iの放出する159keVのガンマ線の線源20が、ある検出器10の真上にある場合と隣の検出器の真上にある場合でのコンタミネーション画像を、補正データ用メモリ33Bに予め蓄えておき、内挿操作と共に、前述の第一の実施形態の核医学診断装置に記載したように、畳み込んでも同様にしてコンタミネーション画像を求める演算ができる。なお、内挿操作とは、連続的ではなく、離散的にしかデータを有していない場合でのデータを得るための操作のことである。例えば、123Iが放出する159keVのガンマ線の線源20が、検出器10の端部にあった場合のコンタミネーション画像を求める際、この線源20が検出器10の真上にあった場合及び隣の検出器の真上にあった場合の両コンタミネーション画像の平均をとり、この平均を線源20が検出器10の端部にあった場合のコンタミネーション画像とみなす操作が、内挿操作である。
【0043】
補正データ用メモリ33Bに記録する代表点でのデータは、前述の第一の実施形態の核医学診断装置と同様にして、モンテカルロシミュレーションを基にしても良いし、実測しても良い。
【0044】
《まとめ》
前述の第一、第二のいずれの実施形態の核医学診断装置においても、画像作成部31で各ガンマ線(例えば、123Iの放出する159keVのガンマ線、99mTcの放出する140keVのガンマ線)に対応する画像を作る際のエネルギーウィンドウを狭くすればコンタミネーションは小さくなるため、画像補正演算部32、32Bで生成されるコンタミネーション画像はエネルギーウィンドウに依存する。よって、代表的なエネルギーウィンドウでのデータを補正データ用メモリ33、33Bにデータベースとして蓄えておき、内挿操作によってコンタミネーション画像を作成すれば、補正に要する時間を短縮することができ、好適である。
【0045】
本発明による検出器内散乱の補正は、不十分なエネルギー分解能に起因する漏れ込みや、被検体内散乱といった従来のものとは補正の対象が全く異なっている。そのため、本発明の補正に加え、更に従来の補正を独立に加えることにより、検出器内散乱による画像の劣化だけでなく、不十分なエネルギー分解能に起因する洩れ込みや被検体内散乱による画像の劣化も防ぐことができる。
【0046】
また、前述の第一及び第二の実施形態の核医学診断装置では、検出器が1ピクセル1検出素子であるピクセル型検出器、即ち、方形に多数配列された小型の角柱状のNaI(TI)単結晶それぞれに光電子増倍管が取り付けられた検出器や方形に多数配列されたCdTe結晶それぞれに読み出し線が取り付けられた検出器である場合を想定して説明してきたが、必ずしも検出器が1ピクセル1検出素子である必要はない。例えば、ストリップ型検出器(例えば、特開2005−109269号公報の図10に記載の検出器)のように、互いに直交して延びる複数のX軸ストリップ電極と、複数のY軸ストリップ電極とを用い、放射線の入射位置をX軸検出位置、Y軸検出位置として得た後に、同時計測によって二次元入射位置情報を得るようにした検出器でも、同様にして、検出器内散乱による画像の劣化を防ぐことができる。
【0047】
検出器内散乱とは別のケースとして、ピクセルサイズが小さい場合には、一次電子、即ち、検出器でガンマ線を検知した際、ガンマ線からエネルギーを受け取ることにより、動き出す電子や、特性X線、即ち、一次電子が飛び出したことによって生じた正孔を他の電子で埋めた際、この正孔にたまったエネルギーで送出されるX線の飛程(一次電子や特性X線が動き出してから停止するまでに移動した距離)が無視できない長さである。その結果、一次電子、特性X線が別のピクセルへ移動する(エスケープする)ことがある。この移動により、例えば、159keVのガンマ線から受け取った一次電子、特性X線のエネルギーが140keVで、この一次電子、特性X線が140keVのエネルギーを別のピクセルで落とした場合、159keVのイベントが140keVに化けることがあり、その結果、コンタミネーションが発生することが考えられる。このようなエスケープ過程(一次電子、特性X線の別のピクセルへの移動)も検出器内散乱と同様に画質の劣化を招くことになるが、この画質の劣化も、本発明では、防止することができる。
【0048】
更に、1検出素子が複数のピクセルから成る場合、ピクセルの境界でイベントが発生したとき、エネルギー附与によって検出器内で生成した信号キャリア(結晶シンチレータの場合は紫外光もしくは可視光、半導体の場合は電子正孔対)が、両側のピクセルに分割されて読み出されることがあり、その結果、前述のエスケープ過程(一次電子、特性X線の別のピクセルへの移動)で生じたのと同様のコンタミネーションが発生し得る。その他にも、1つのガンマ線が複数のピクセルで検出されることにより、複数のピクセルから信号となって読み出される過程は全て同様のコンタミネーションを生じ得る。本発明では、これらの過程によって発生するコンタミネーションによる画像劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第一の実施形態の核医学診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】1ピクセルに123Iが放出する159keVのガンマ線が入射した場合のコンタミネーションの様子を示す図。
【図3】本発明の第二の実施形態の核医学診断装置の構成を示すブロック図。
【図4】123Iが放出する159keVのガンマ線の線源及び検出器との位置関係によって生成されるコンタミネーション画像の違いを示す模式図。
【図5】畳み込み演算の仕方を示す図。
【図6】補正データ用メモリに記憶されるコンタミネーション画像データ(補正データ)の一例を示す図。
【図7】不十分なエネルギー分解能に起因するコンタミネーションを表す、2核種撮像時に得られる検出器のエネルギースペクトルを示す図。
【図8】アンガー型検出器の動作原理を示す図。
【図9】ピクセル型検出器の動作原理を示す図。
【図10】ピクセル型検出器における検出器内散乱の様子を表した図。
【符号の説明】
【0050】
10 ピクセル型検出器
11 コリメータ
12 増幅・ADC回路
20 ガンマ線源
21 ガンマ線源からのガンマ線
22 散乱を受けたガンマ線
23 散乱が起きた場所
24 散乱を受けたガンマ線の全吸収が起きた場所
25 被検体
26 ベッド
30 データ処理装置
31 画像作成部
32 画像補正演算部
32B 画像補正演算部
33 補正データ用メモリ
33B 補正データ用メモリ
34 補正画像作成部
35 画像再構成部
36 画像再構成部
40 インターフェース
41 表示装置
42 入力装置
70 99mTcが放出するガンマ線による全吸収ピーク
71 123Iが放出するガンマ線による全吸収ピーク
72 99mTcが放出するガンマ線に対応するエネルギーウィンドウ
73 123Iが放出するガンマ線に対応するエネルギーウィンドウ
74 123Iが放出するガンマ線による、99mTcが放出するガンマ線のエネルギーウィンドウへのコンタミネーション成分
75 99mTcが放出するガンマ線による、123Iが放出するガンマ線のエネルギーウィンドウへのコンタミネーション成分
81 結晶シンチレータ
82 光電子増倍管
83 光電子増倍管
84 光電子増倍管
91 小型の角柱状のNaI(TI)単結晶
92 小型の角柱状のNaI(TI)単結晶
93 小型の角柱状のNaI(TI)単結晶
94 小型の角柱状のNaI(TI)単結晶
95 小型の角柱状のNaI(TI)単結晶
96 光電子増倍管
97 光電子増倍管
98 光電子増倍管
99 光電子増倍管
100 光電子増倍管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエネルギーのガンマ線を用いて診断を行う核医学診断装置において、
放射線を検出する検出器部と、
前記検出器部の信号からエネルギーおよび位置情報を得る信号処理部と、
前記信号処理部からのデータを基に各エネルギーのガンマ線に対応するエネルギー別の画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部によって作られたエネルギー別の画像のうち、高エネルギー側のガンマ線に対応する画像に対し、畳み込み演算を行って補正用画像を作成する画像補正演算部と、
前記補正用画像を、前記画像作成部によって作られたエネルギー別の画像のうち、低エネルギー側のガンマ線に対応する画像から差し引く補正画像作成部と、
を有することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項2】
複数のエネルギーのガンマ線を同時に用いて診断を行う核医学診断装置において、
放射線を検出する検出器部と、
前記検出器部の信号からエネルギーおよび位置情報を得る信号処理部と、
前記信号処理部からのデータを基に各エネルギーのガンマ線に対応するエネルギー別の画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部によって作られたエネルギー別の画像からエネルギー別の立体像を作成する立体像作成部と、
前記エネルギー別の立体像のうち、高エネルギー側のガンマ線に対応するものを畳み込んで補正用画像を作成する画像補正演算部と、
前記補正用画像を、前記画像作成部によって作られたエネルギー別の立体像画像のうち、低エネルギー側のガンマ線に対応する立体像から差し引く補正画像作成部と、
を有することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項3】
請求項1乃至2記載の核医学診断装置において、
前記検出部は、複数の検出素子から成ることを特徴とする核医学診断装置。
【請求項4】
請求項3記載の核医学診断装置において、
前記検出部は、複数のピクセルを有し、該各ピクセルが1検出素子から成ることを特徴とする核医学診断装置。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の核医学診断装置において、
前記検出部は、半導体放射線検出器から成ることを特徴とする核医学診断装置。
【請求項6】
複数のエネルギーのガンマ線を用いて診断を行う核医学診断装置において、
前記ガンマ線を検出する検出部と、
該検出部における各検出点のエネルギー情報及び位置情報を出力する信号処理部と、
該信号処理部からの各検出点のエネルギー情報及び位置情報を基に、高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像と低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像を作成する画像作成部と、
該画像作成部によって作成された高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像に対して畳み込み演算を行うことにより、低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像に重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を作成する画像補正演算部と、
前記重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を、前記画像作成部により作成された低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像から減算する補正画像作成部と、
を有することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項7】
複数のエネルギーのガンマ線を用いて診断を行う核医学診断装置において、
前記ガンマ線を検出する検出部と、
該検出部における各検出点のエネルギー情報及び位置情報を出力する信号処理部と、
該信号処理部からの各検出点のエネルギー情報及び位置情報を基に、高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像と低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像を作成する画像作成部と、
該画像作成部によって作成された高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像から高エネルギー側のガンマ線に対応する立体画像を作成する第1の立体像作成部と、
該第1の立体像作成部によって作成された前記立体画像に対して畳み込み演算を行うことにより、低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像に重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を作成する画像補正演算部と、
前記重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を、前記画像作成部により作成された低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像から減算する補正画像作成部と、
該補正画像作成部での減算によって作成された画像から、低エネルギー側のガンマ線に対応する立体画像を作成する第2の立体像作成部と、
を有することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項8】
複数のエネルギーのガンマ線を用いて診断を行う核医学診断装置の画像処理方法において、
前記ガンマ線を検出した際、該検出点のエネルギー情報と位置情報を検知し、
該検知した検出点のエネルギー情報と位置情報とに基づいて、高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像と低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像を作成し、
該作成された高エネルギー側のガンマ線に対応する第1の画像に対して畳み込み演算を行うことにより、低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像に重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を作成し、
前記重畳される高エネルギー側のガンマ線に対応する第3の画像を、前記低エネルギー側のガンマ線に対応する第2の画像から減算するようにしたことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−309683(P2008−309683A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158554(P2007−158554)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】