説明

核酸の蛍光検出のための二本鎖プローブ

本発明は、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出を目的とする二本鎖プローブであって、該二本鎖プローブが、式T’−Tの配列を含む標的核酸の第一の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第一の鎖;標的核酸の第二の鎖が存在する場合に、式T’−Tの配列を含む標的核酸の第二の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第二の鎖を含み、ここで、X、X、YおよびYのうち二つは蛍光供与体であり、一方で、他の二つは蛍光受容体であり、また、XおよびYが共に蛍光供与体であることはできない、二本鎖プローブに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は核酸の蛍光検出を目的とする二本鎖ヌクレオチドプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸定量は今や医学的に広く使用されており、特に、ウイルス学の分野で広く使用されている。実際、B型肝炎またはAIDSのごとき慢性ウイルス性疾患を患っている個人におけるウイルス負荷測定は、特に投薬計画の有効性をモニターするために、これらの病変の管理から今や切り離すことができない。
【0003】
核酸定量について知られている様々な方法のうち、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、その感度およびその特異性の双方を考慮して、現在最も高く評価されている方法である。
【0004】
リアルタイムPCRは、核酸増幅と増幅した核酸の蛍光検出とを結び付ける。簡潔に言うと、標的核酸の増幅を目的とする標準的なPCRを、標的核酸に結合した場合に蛍光シグナルを特異的に生じるプローブの存在下で実施し、PCRサイクルが進行する間、蛍光発光をモニターする。PCRから放出された蛍光が閾値を上回って(すなわち、バックグラウンド蛍光レベルを上回って)測定されるサイクルを閾値サイクル(Ct)と呼ぶ。Ctは、PCRにおいて最初に存在する標的核酸の量の常用対数に比例することが示されている(非特許文献1を参照のこと)。故に、Ctの測定は、試料中の標的核酸の初期濃度の測定を可能にする。
【0005】
この方法の成功により、標的核酸に結合しない場合に最小量の蛍光を生じ、かつ標的核酸に結合する場合に最大量の蛍光を生じることを目的とする様々な蛍光プローブが開発された。この目的を成し遂げる一つの方法は、プローブが標的核酸に結合しない場合にはクエンチング部分が近接して蛍光発光を防ぎ、また、プローブが標的核酸に結合する場合にはクエンチング部分が互いから十分に離れて蛍光発光を可能とするような、蛍光およびクエンチング部分で標識されたプローブを提供することである。
【0006】
故に、Morisson(特許文献1)は、鎖が互いにかつ標的核酸の鎖に完全に相補的である二本鎖ヌクレオチドプローブを提供し、該プローブの各鎖は、例えば、5’末端に蛍光供与体を有し、例えば、3’末端に蛍光受容体を有する。プローブが標的核酸に結合しない場合、二本鎖プローブにて蛍光およびクエンチング部分が互いに向かい合うために、蛍光発光が消失される。一方、プローブが標的核酸に結合する場合、蛍光およびクエンチング部分は互いに離れており、それ故、蛍光発光が可能となる。
【0007】
しかし、これらのプローブには重大な欠点がある。実際、二本鎖プローブそれ自体の融解温度と、プローブ鎖と標的核酸鎖の間の二本鎖の融解温度には有意な違いはない。故に、リアルタイムPCRサイクルのアニーリング段階の間に、一方でそれ自体に結合するプローブ鎖と、他方で標的核酸に結合するプローブ鎖との間で競合が生じ、それにより、蛍光発光の減少が生じ、結果として、リアルタイムPCRの感度が低下する。さらに、蛍光供与体の蛍光発光は、標的核酸に結合したプローブにより形成される二重DNAへリックスの末端にある核酸塩基により部分的に消失される。
【0008】
これらの問題は、特許文献2に特に開示されている、いわゆるモレキュラー・ビーコン・プローブを考慮すると、部分的に解決される。
【0009】
モレキュラー・ビーコン・プローブは通常、ステム−ループ構造に折り畳まれたヌクレオチドプローブの形態をとり、ここで、ステムの一方の末端は蛍光供与体に結合しており、一方で、他の末端は蛍光受容体に結合している。従って、ステム−ループ構造に折り畳まれる場合には、プローブから蛍光は全く放出されず、一方で、折り畳まれていない場合には、プローブから蛍光が放出される。さらに、これらのプローブは、標的核酸上のその相補的配列に対するステムの融解温度がループ配列の融解温度より低くなるように設計される。故に、PCRのアニーリング段階の間、それ自体に結合するプローブと、標的核酸に結合するプローブとの間には、非常に限られた競合しか存在しない。
【0010】
モレキュラー・ビーコン・プローブは比較的長いオリゴヌクレオチドである(35ないし45ヌクレオチド長)。これらのプローブを設計する場合、特に、検出されるべき標的が核酸配列の可変部分から構成される場合、かかる大きなサイズが問題となる可能性がある。さらに、二重標識されたかかる長いオリゴヌクレオチドの化学合成は労力を要し、かつ費用がかかる。
【0011】
加えて、ステムおよびループの融解温度の間に見出されるべきバランスを成し遂げるには細心の注意を要することが多いため、かかるプローブの設計は通常厄介な作業であることが分かる。実際、このバランスは用いる蛍光供与体−蛍光受容体の組み合わせ、ステムの長さおよび配列、ならびにループの長さおよび配列に特に依存する。狭い範囲のPCRアニーリング温度において全てのプローブが機能的である必要があるマルチプレックスアッセイの場合に、この問題は強調される。
【0012】
これらのプローブに関して注目に値する別の欠点は、プローブとその標的との特異的ハイブリダイゼーションを制限する、ハイブリダイゼーション工程の間の内部二次構造の形成にある。かかる制限は、マルチプレックスリアルタイム増幅アッセイにおいて重大となり得る。
【0013】
いわゆる「TaqMan」ハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いられる他のプローブ(Gelfandら 特許文献3、特許文献4;およびLivakら 特許文献5、特許文献6、特許文献7)もまた蛍光供与体−蛍光受容体系を利用する。これらのプローブは、プローブのいずれかの末端に位置し、それ故に、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)対を形成する蛍光供与体および蛍光受容体で標識された一本鎖オリゴヌクレオチドから構成される。標的鎖にハイブリダイズするとヌクレオチドプローブの切断により単一または複数のヌクレオチドを放出する、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼをアッセイにて用いる。この切断は蛍光供与体および蛍光受容体を引き離し、かくして、FRET対を破壊し、蛍光発光を可能とする。
【0014】
これらのプローブには二つの重大な欠点がある。初めに、TaqMan方法は、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する特定のTaqポリメラーゼ酵素の使用を必要とする。第二に、核酸ポリメラーゼによる伸長を阻止するために、特定の位置に二つの異なる標識を有し、かつ3’末端ヌクレオチドにブロッキング基を有するオリゴヌクレオチドを合成することは、結果として、多数の副産物を生じる。これらの副産物の存在により、手間のかかる精製が必要となり、より高い費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,928,862号
【特許文献2】国際特許出願WO98/10096
【特許文献3】米国特許第5,210,015号
【特許文献4】米国特許第5,487,972号
【特許文献5】米国特許第5,538,848号
【特許文献6】米国特許第5,723,591号
【特許文献7】米国特許第6,258,569号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】“Real−time PCR” Advanced Methods S.,Dorak MT編,TaylorおよびFrancis,Oxford,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、当該分野において既に知られているプローブに関連する欠点を有さない、蛍光供与体および受容体の使用を組み合わせた蛍光プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、図1および2に例示されている以下の二本鎖プローブを提供することにより、上記問題を解決した。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるプローブは、互いに部分的に相補的な二つの鎖から構成される。これらの鎖の各標的核酸鎖への結合は、それらの相互結合より優先され、これは、二本鎖プローブの各鎖上に、標的核酸に結合するが、プローブの他方の鎖には結合しないよう設計されたヌクレオチド配列を提供することにより成し遂げられる。かかる二本鎖プローブの融解温度は、二本鎖プローブの第一および第二の鎖と各々の標的核酸の第一および第二の鎖から形成される複合体の融解温度より低い。
【0020】
かかる二本鎖プローブは、任意の特定の標的核酸にマッチするよう容易に適合され得る。
【0021】
さらに、本発明によるプローブは一般的に、蛍光供与体とプローブの残りの間にスペーサー部分を提供し、それにより、プローブと標的核酸の鎖の間に形成される二重らせん体の末端にある核酸塩基の接近によりもたらされる可能性があるクエンチングを防ぐことにより、最適なPCR条件下で試験された場合に、当該分野にて知られている他の蛍光プローブよりも高い蛍光を提供する。
【0022】
本発明者らは、予想外にも、本発明による二本鎖プローブが特定のアニーリング温度に厳密に依存せず、故に、マルチプレックスアッセイにおいて真の利点を提供することも証明した。
【0023】
故に、本発明は、
− 式T’−Tの配列を含む標的核酸の第一の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第一の鎖;
− 標的核酸の第二の鎖が存在するならば、式T’−Tの配列を含む標的核酸の第二の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第二の鎖;
を含む、一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出を目的とする二本鎖プローブに関し、ここで、
− X、X、YおよびYのうち二つは蛍光供与体であり、一方で、他の二つは蛍光受容体であり、また、XおよびYが共に蛍光供与体であることはできず;
− a、b、cおよびdは0または1であり、ただし、X、X、YまたはYが蛍光供与体である場合、それぞれ、a、b、cまたはdは1であり;
− TおよびTは、10ないし35ヌクレオチド、より好ましくは、12ないし20ヌクレオチドを有する、互いに相補的なオリゴヌクレオチド配列であり;
− 互いに独立して、T’およびT’は、2ないし8ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり;
− SおよびSは、10ないし35ヌクレオチド、より好ましくは、12ないし20ヌクレオチドを有する、互いに相補的なオリゴヌクレオチド配列であり、SはTに対して少なくとも85%相補的であり、SはTに対して少なくとも85%相補的であり;
− 互いに独立して、S’およびS’は、2ないし8ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり、S’はT’に対して少なくとも65%相補的であり、S’はT’に対して少なくとも65%相補的であり;
− LおよびLは、Lに対するSの連結部位およびLに対するSの連結部位に対するXおよびXの各回転半径が少なくとも3.4Åとなるようなスペーサー部分であり;
− L’およびL’は、L’に対するS’の連結部位およびL’に対するS’の連結部位に対するYおよびYの各回転半径が少なくとも3.4Åとなるようなスペーサー部分であり;
− 二本鎖プローブの融解温度は、二本鎖プローブの第一の鎖と標的核酸の第一の鎖の間で形成される複合体の融解温度よりも低く;標的核酸の第二の鎖が存在する場合には、二本鎖プローブの第二の鎖と該標的核酸の第二の鎖の間で成される複合体の融解温度よりも低い。
【0024】
本明細書にて意図される場合、別記されない限り、鎖、配列または部分に含まれる以下の式:X−(L−S−S’−(L’−Y、X−(L−S−S’−(L’−Y、T’−T、T’−T、S−S’、S−S’、S、S’、S、S’、L、L’、L、L’により示されるポリヌクレオチドは、5’から3’または3’から5’への方向であり得る。しかし、当業者には明らかであるように、同一の式においては、全てのポリヌクレオチドは同じ方向を有する。さらに、特定の二本鎖プローブについては、全ての式は同じ方向で読み取られるべきことが意図され、例えば、鎖に含まれるX−(L−S−S’−(L’−YおよびX−(L−S−S’−(L’−Yにより示されるポリヌクレオチドは、全て5’から3’への方向であるか、または全て3’から5’への方向である。
【0025】
本明細書にて意図される場合、「ヌクレオチド」は、全ての知られている天然および非天然ヌクレオチド、特に、天然および非天然リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0026】
本発明の範囲内で用いられるべき好ましい非天然ヌクレオチドは、(結合特性を高め、縮重度を減少させ、特異性を増大させることなどを目的として設計された)特異的ハイブリダイゼーションを可能とする修飾塩基部分および/または修飾糖部分を有する合成ヌクレオチド、例えば、C−5メチルピリミジンヌクレオシド、2,6−ジアミノプリン 2’−デオキシリボシド、G−クランプ(フェノキサジンアナログ)、N−4−エチル 2’−デオキシシチジン、2’−デオキシイノシン、2’−デオキシネブラリンおよび3−ニトロピロール 2’デオキシヌクレオシドから構成される群より選択され得る。
【0027】
本明細書にて意図される場合、「オリゴヌクレオチド」なる表現は、ヌクレオチド間に修飾された骨格および/または修飾された結合を有するかまたは有さずに2ないし100ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドに関する。ヌクレオチド間に修飾された骨格および/または修飾された結合を有するポリヌクレオチドは特にLNA(ロックド核酸)、PNA(ペプチド核酸)等を含む。ホスホジエステル結合のアナログは特にホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート等を含む。
【0028】
本明細書にて意図される場合、「核酸標的」は、上記定義のヌクレオチドの任意の天然由来または合成ポリマー、例えば、一本鎖または二本鎖のデオキシリボ核酸(以後、「DNA」)、リボ核酸(以後、「RNA」)に関する。特に、標的核酸は、rRNA、mRNA、プラスミドDNA、バクテリアDNA、ウイルスDNA、ウイルスRNAおよび染色体DNAに由来する。
【0029】
本明細書にて意図される場合、「蛍光供与体」は、フルオロフォア、すなわち、特定の波長(励起波長)のエネルギーを吸収すると、より長い特定の波長(発光波長)にて蛍光のシグナルを通じてエネルギーを再放出する分子に関する。フルオロフォアは当業者によく知られており、特に、欧州特許出願EP1 173 519;PCT公開 WO 2004/055117;Drexhage K.H.“Structure and properties of laser dyes” in Dye Lasers,Third Edition,F.P.Schaefer,Ed.,Springer−Verlag,(1990)pp.155−200;Valeur B.“Molecular Fluorescence:Principles and Applications”,Ed.WILEY−VCH Verlag GmbH,2001;Berlman,I.B.,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules”,Second Edition,Academic Press(1971);Griffiths J.“Colour and Constitution of Organic Molecules”,Academic Press(1976)に記載されている。
【0030】
本明細書にて意図される場合、「蛍光受容体」は、続いて別の波長での蛍光光子の発光が起こるか否かにかかわらず、関連するフルオロフォアから放出されたエネルギーを吸収する分子に関する。その後のエネルギー放出が生じるならば、蛍光受容体はそれ自体もフルオロフォアである。その後のエネルギー放出が生じないならば、蛍光受容体はクエンチャーである。蛍光受容体は当業者によく知られており、特に、Chenら(1998)Science 279:851−3;Haugland RP.“Handbook of Fluorescent probes and Research Chemicals”,1992−1994;PCT公開 WO 01/86001;Lukhtanovら(2001)American Biotechnology Laboratory 19:68−69;およびCleggら(1992)Methods in Enzymology 211:353−389に記載されている。
【0031】
本明細書にて意図される場合、二本鎖プローブの二本の鎖が互いにハイブリダイズした場合、蛍光供与体は蛍光受容体に接近して位置している。これは、二本鎖プローブから放出されるであろう蛍光供与体の発光波長にて最小の蛍光発光をもたらす。蛍光受容体がクエンチャーである場合は、いずれの波長でも、最小の蛍光が発光される。二本鎖プローブのいずれかの鎖がその各々の関連する標的と結合した場合、蛍光供与体と蛍光受容体との距離に起因して、この効果は除去される。
【0032】
文献、例えば、Wuら(1994)Anal.Biochem.218:1−13;Whiteら“Fluorescence Analysis:A Practical Approach” Marcel Dekker,New York,1970には、適切な供与体/受容体対を選択するための実際的な指針が多数存在する。
【0033】
蛍光供与体および受容体の多数の適切な形態は、オリゴヌクレオチドへ連結するための結合官能基としての置換基と共に市販されている。
【0034】
好ましくは、ホスホラミダイト部分で誘導体化された蛍光供与体および受容体が用いられる。というのも、それらは固相合成の終わりにオリゴヌクレオチドの5’OHへ直接連結するからである。故に、例えば、Mullahら(1999)Nucleosides & Nucleotides 18:1311−1312により記載されているように、合成は完全に自動化され得る。従って、例えば、米国特許第5,583,236号、米国特許第5,721,355号およびEP 0 652 167に記載されているように、このホスホラミダイトケミストリーを用いることにより、フルオレセイン色素および誘導体が都合よくオリゴヌクレオチドの5’末端に導入され得る。Yangら(1997)Methods in Enzymology 28:417−441により記載されているように、蛍光供与体または受容体で標識されたヌクレオチドを用いることもでき、それはその合成の間にオリゴヌクレオチド配列の任意の部分に取り込まれ得る。
【0035】
合成後または手動カップリングと呼ばれる、蛍光供与体または受容体を連結するための代替的方法も、例えば、以下の参考文献:Sproatら(1987)Nucleic Acids Research 15:4837−4848;Sproatら(1987)Nucleic Acids Research 15:6181−6196;Markiewiczら(1989)Nucleic Acids Research 17:7149−7158;Agrawal “Protocols in Oligonucleotide Conjugates” in Methods in Molecular Biology,Humana Press,Totowa,New Jersey,1994にて十分に記載されている。
【0036】
5’末端修飾オリゴヌクレオチドは、例えば、5’−チオール修飾因子C6および5’−アミノ修飾因子C6(例えば、Glen Researchから)を用いることによる、5’アミノ基または5’スルフヒドリル基の直接取り込みにより合成され得る。蛍光受容体または供与体のハロゲノアセトアミドまたはマレイミド誘導体がスルフヒドリル基にカップリングされるか、あるいは蛍光受容体または供与体のスクシニミジル誘導体がアミノ基にカップリングされる。このケミストリーは、自動合成の間に安定ではなく、および/または固体担体からの脱保護および開裂のために必要とされる処理(一般的に、濃縮アンモニア)により損傷を受ける敏感な蛍光供与体または受容体、例えば、テトラメチルローダミン(TAMRA)、シアニン色素または他のものについて非常に有用である。
【0037】
オリゴヌクレオチドの3’末端に標識を導入するために、修飾カラム(すなわち、孔径調整ガラスまたはポリスチレン)が、好ましくは、自動合成機にて直接用いられ得る。担体のアミノ基は標識に共有結合する。クエンチャーは特にこの方法により導入され得る。
【0038】
オリゴヌクレオチドの3’末端に標識を導入するための別のよく知られた方法は、例えば、Nelsonら(1989)Nucleic Acids Research 17:7187−7194により記載されているように、オリゴヌクレオチドの3’末端をアミノ基で官能基化すること、および蛍光供与体または受容体のスクシニミジル誘導体を使用することである。
【0039】
本明細書にて意図される場合、「スペーサー部分」なる表現は、核酸に結合する傾向がある任意の化学基に関する。このスペーサー部分は、プローブおよび標的核酸の鎖間で形成される二重らせん体の末端にある核酸塩基の近接により生じてもよい、蛍光供与体から発光される蛍光のクエンチングを防ぐのに有用である。
【0040】
本明細書にて意図される場合、「回転半径」なる表現は、最も伸びた立体配座のスペーサー部分において、スペーサー部分LおよびL上のSまたはSの連結部位と、それぞれ同スペーサー部分上のXまたはXの連結部位との間の距離に関するか、あるいは最も伸びた立体配座のスペーサー部分において、スペーサー部分L’およびL’上のS’またはS’の連結部位と、それぞれ同スペーサー部分上のYまたはYの連結部位との間の距離に関する。本明細書にて意図される場合、回転半径についての条件に従う限りは、例えば、並んで、または末端に、XおよびXがそれぞれLおよびLの任意の部分に連結され得、ならびにYおよびYがそれぞれL’およびL’の任意の部分に連結され得ることも留意されるべきである。
【0041】
またはSを構成する核酸塩基の近接により蛍光供与体のクエンチングが最小となることを確実にするために、少なくとも3.4Åの距離が必須であることが見出されている。実際、ヌクレオチド、特に、Gヌクレオチドは、クエンチング特性を有することがよく知られている。
【0042】
一例として、特定のフルオロフォアに対する天然ヌクレオチドのクエンチング効率(%)を以下の表に示す:
【表1】

【0043】
スペーサー部分(L、L、L’またはL’)は、蛍光供与体または受容体とカップリングするための特定のリンカー部分を含んでいてもよい。これは、例えば、好ましくは自動合成機ケミストリーに適合した、ジメトキシトリチル基または任意の他の酸に不安定な保護基により保護されたヒドロキシル官能基であり得る。
【0044】
本明細書にて意図される場合、「相補的な」なる表現は、塩基が完全にマッチしている同じ長さの二つのヌクレオチド配列を意味する。
【0045】
本明細書にて意図される場合、「X%の相補性」なる表現は、全長にわたって対で整列された同じ長さの二つの配列が、マッチした塩基をX%含むことを意味する。
【0046】
本明細書にて意図される場合、「融解温度」(Tm)なる表現は、ハイブリダイゼーション反応において、ヌクレオチドの半分が変性しており(一本鎖)、および半分がアニーリングまたはハイブリダイズしている(二本鎖)温度点に関する。融解温度は、ストリンジェンシーに言及する一連の条件、例えば、用いられるハイブリダイゼーションバッファーに依存する。それは、当業者によく知られている方法、例えば、Wallaceら(1979)Nucleic Acid Res.6:3543−3558;Breslauerら(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:376−3750;およびXiaら(1998)Biochemistry 37:14719−14735に記載されているものに従って決定され得る。
【0047】
例えば、Breslauerら(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:376−3750およびOwczarzyら(2004)Biochemistry 43:3537−3554により記載されているように、Tm値は最隣接熱力学パラメーターおよび特定の塩補正を用いて予測され得る。かかる予測は、10mMないし1.2Mの一価陽イオン濃度を有する中性緩衝液(pH7〜8)中、8ないし60塩基長のオリゴヌクレオチドについて正確であると考えられる。オリゴヌクレオチドの濃度は相補的な標的の濃度よりも有意に高いと考えられる。化学修飾の効果は無視される。二価陽イオンの効果は考慮されない。このように決定されるTmにおける平均誤差は通常+/−2℃である。
【0048】
有利には、スペーサー部分のおかげで、本発明による二本鎖プローブは一般的に、最適PCR条件にて試験される場合に、当該分野において知られている他の蛍光プローブよりも高い蛍光を提供する。加えて、先行技術の蛍光プローブと比較してより少量の本発明による二本鎖プローブが用いられ得、故に、それらを利用するアッセイの費用を軽減し、アッセイ、特に、マルチプレックスアッセイにおける立体障害に関連した問題を減少させる。さらに、本発明による二本鎖プローブは、非常に少量の核酸(例えば、1PCRアッセイあたり5〜10コピー)の検出を特に可能とする、頑強で、再現性があり、かつ高感度な系を提供する。
【0049】
同様に有利に、かつ予想外なことに、本発明による二本鎖プローブは特定のアニーリング温度に厳密には依存しない。これは、プローブのより容易な設計を可能にし、かつ標的核酸への結合のために用いられる傾向のある配列においてより重要な選択を可能にすることにより、用いられる様々なプローブが同じアニーリング温度で機能的である必要があるマルチプレックスアッセイを実施する場合に、特に有利である。
【0050】
本発明による二本鎖プローブは試料中の標的核酸を検出するために有用である。かかる標的核酸は、ウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV))またはバクテリア(例えば、リステリア、サルモネラ、マイコバクテリア)のごとき微生物に由来し得る。本発明の二本鎖プローブは、例えば、遺伝病または癌の診断または予後の枠内で、単一ヌクレオチド多型、または核酸中の挿入、欠失および多重変異を検出するためにも有用である。
【0051】
上記定義の二本鎖プローブの一の好ましい実施態様では、b=d=0であり(この場合、aおよびcは1である)、ならびにXおよびXは蛍光供与体であり、この場合、該二本鎖プローブは:
−式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
−式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される。
【0052】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、蛍光供与体はキサンテン色素、ローダミン色素、カルボピロニン色素およびカルボキサミド色素からなる群より選択される。
【0053】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、蛍光受容体はDabcyl、Dabsyl、BHQ1、BHQ2、BHQ3、Iowa Black、Eclipse、QSY−7/9、QSY−21、DABMI、マラカイトグリーン、クマリンおよびダーククエンチャーからなる群より選択される。
【0054】
本発明の枠内で用いられる傾向のある蛍光供与体および受容体の特徴を以下の表に示す:
【表2】

【0055】
幾つかの蛍光受容体の吸光度(Abs)の特徴を以下の表に示す:
【表3】

【0056】
本発明に関して用いることができる適当な蛍光供与体/受容体対の例を、最大励起(Exc)および最大発光(Em)を含めて、以下の表に示す:
【表4】

【0057】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、XおよびXが蛍光部分である場合、LおよびLは各々XおよびXの蛍光の25%未満を消失し、そして、YおよびYが蛍光部分である場合、L’およびL’は各々YおよびYの蛍光の25%未満を消失する。
【0058】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、L、L、L’および/またはL’は少なくとも一つの正電荷を含む。スペーサー部分における少なくとも一つの正電荷の存在は、二本鎖プローブの両鎖が共に結び付く場合に、正電荷および負に荷電したDNA鎖のリン酸骨格の間に生じる静電相互作用のおかげで、蛍光およびクエンチング部分が互いに近接することを確実にする。
【0059】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、L、L、L’およびL’は、同一または異なって、2ないし10ヌクレオチドを有するポリヌクレオチド、3ないし12個の炭素原子を有するアルキルまたはアミノアルキル基、および2ないし6の重合度を有するポリエチレングリコール基からなる群より選択される。
【0060】
上記定義の二本鎖プローブのさらなる一の実施態様では、L、L、L’およびL’は、同一または異なって、ポリTポリヌクレオチドである。有利には、ポリTポリヌクレオチドは他のポリヌクレオチドに関して最小のクエンチングを提供する。
【0061】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、Lおよび/またはLがポリヌクレオチドである場合、Lおよび/またはLの長さは各々S’および/またはS’の長さより短い。有利には、かかる配置において、本発明による二本鎖プローブの鎖が共に結合する場合、スペーサー部分に結合された蛍光供与体はS’および/またはS’のヌクレオチドに近接し得、その結果、特に、S’および/またはS’がGヌクレオチドを含むならば、クエンチされ得る。
【0062】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、Lおよび/またはLがポリヌクレオチドである場合、Lおよび/またはLは各々S’および/またはS’に関して35%未満の相補性を示す。かかる低いパーセントの相補性は、本発明による二本鎖プローブの鎖がそれらの相互結合よりも各々の標的核酸鎖に特に優先的に結合可能となるため、有利である。
【0063】
上記定義の二本鎖プローブのさらなる別の好ましい実施態様では、プローブの第二の鎖に対するプローブの第一の鎖の融解温度は、各標的核酸鎖に対するプローブのいずれかの融解温度よりも少なくとも10%低い。かかる融解温度は、本発明による二本鎖プローブの鎖がそれらの相互結合よりも各々の標的核酸鎖に特に優先的に結合可能となるため、好ましい。
【0064】
上記定義の二本鎖プローブの一の好ましい実施態様において:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは3ないし6ヌクレオチドを有するポリTポリヌクレオチドであり;
− SおよびSは14ないし18ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり;
− S’およびS’は4ないし6ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列である。
【0065】
上記定義の二本鎖プローブの別の好ましい実施態様では、S−S’は:
・5’−CACCTCTCTTTACGCGGACTCCCCGTCTGT−3’(配列番号:31);
この場合、S−S’は5’−GGAGTCCGCGTAAAGAGAGGTGCGCCCCGT−3’(配列番号:32)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブはHBV Aゾーンの検出を特に目的とする);
・5’−CGAGGGAGTTCTTCTTCTAGGGGACCTGCCTCG−3’(配列番号:33);
この場合、S−S’は5’−GTCCCCTAGAAGAAGAACTCCCTCGCCTCGCAG−3’(配列番号:34)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブはHBV Bゾーンの検出を特に目的とする);
・5’−CCAAGCGGTGGCGGCGGAGGACGGCACTGC−3’(配列番号:35);
この場合、S−S’は5’−GTCCTCCGCCGCCACCGCTTGGCGATTGTC−3’(配列番号:36)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブは内部対照の検出を特に目的とする);
・5’−ATAGTGGCCAGCTGTGATAAATGTCAGCTAAAA−3’(配列番号:37);
この場合、S−S’は5’−GACATTTATCACAGCTGGCTACTATTTCTTTTT−3’(配列番号:38)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブはHIV−1Mの検出を特に目的とする);
・5’−AGTCTACCTGACCATGAATTGCTTCCCCTTTTATATGGCAT−3’(配列番号:39);
この場合、S−S’は5’−TAAAAGGGGAAGCAATTCATGGTCAGGTAGACTACAGTCCA−3’(配列番号:40)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブはHIV−1Oの検出を特に目的とする);
・5’−CTGAATATTGTCAGAATAGTGAGCGTGCCTTACCGACGATA−3’(配列番号:84);
この場合、S−S’は5’−TATCGTCGGTAAGGCACGCTCACTATTCTGACAATATTCAG−3’(配列番号:85)のフラグメントである(かかる二本鎖プローブはサルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)の検出を特に目的とする);
からなる群より選択される配列のフラグメントである。
【0066】
本発明は、HBVの検出のために用いることができる以下の上記定義の二本鎖プローブにも関し、該二本鎖プローブは、
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖
および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成され、ここで、
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTT−3’(配列番号:41)であり;
− Sは5’−GGAGTTCTTCTTCTAGGG−3’(配列番号:42)であり;
− S’は5’−GACC−3’(配列番号:43)であり;
− Sは5’−CCCTAGAAGAAGAACTCC−3’(配列番号:44)であり;
− S’は5’−CTCG−3’(配列番号:45)であり;
かかる二本鎖プローブはHBV Bゾーンの検出を特に目的としており;
または:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTTTT−3’(配列番号:46)であり;
− Sは5’−GGGAGTTCTTCTTC−3’(配列番号:47)であり;
− S’は5’−TAGGGG−3’(配列番号:48)であり;
− Sは5’−GAAGAAGAACTCCC−3’(配列番号:49)であり;
− S’は5’−TCGCCT−3’(配列番号:50)であり;
かかる二本鎖プローブはHBV Bゾーンの検出を特に目的としており;
または:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTTTT−3’(配列番号:46)であり;
− Sは5’−CTCTTTACGCGGAC−3’(配列番号:51)であり;
− S’は5’−TCCCCG−3’(配列番号:52)であり;
− Sは5’−GTCCGCGTAAAGAG−3’(配列番号:53)であり;
− S’は5’−AGGTGC−3’(配列番号:54)であり;
かかる二本鎖プローブはHBV Aゾーンの検出を特に目的としており;
または:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTT−3’(配列番号:41)であり;
− Sは5’−CTCTCTTTACGCGGACTC−3’(配列番号:76)であり;
− S’は5’−CCCG−3’(配列番号:77)であり;
− Sは5’−GAGTCCGCGTAAAGAGAG−3’(配列番号:78)であり;
− S’は5’−GTGC−3’(配列番号:79)であり;
かかる二本鎖プローブはHBV Aゾーンの検出を特に目的としている。
【0067】
本発明は、HIVの検出のために用いることができる以下の上記定義の二本鎖プローブにも関し、該二本鎖プローブは、
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖
および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成され、ここで、
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTT−3’(配列番号:41)であり;
− Sは5’−CCAGCTGTGATAAATG−3’(配列番号:55)であり;
− S’は5’−TCAG−3’(配列番号:56)であり;
− Sは5’−CATTTATCACAGCTGG−3’(配列番号:57)であり;
− S’は5’−CTAC−3’(配列番号:58)であり;
かかる二本鎖プローブはHIV−1Mの検出を特に目的としており;
または:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTT−3’(配列番号:41)であり;
− Sは5’−CTGACCATGAATTGCTTC−3’(配列番号:59)であり;
− S’は5’−CCCT−3’(配列番号:60)であり;
− Sは5’−GAAGCAATTCATGGTCAG−3’(配列番号:61)であり;
− S’は5’−GTAG−3’(配列番号:62)であり;
かかる二本鎖プローブはHIV−1Oの検出を特に目的としている。
【0068】
本発明は、内部対照の検出のために用いることができる以下の上記定義の二本鎖プローブにも関し、該二本鎖プローブは、
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖
および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成され、ここで、
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTTTT−3’(配列番号:46)であり;
− Sは5’−AAGCGGTGGCGGCG−3’(配列番号:63)であり;
− S’は5’−GAGGAC−3’(配列番号:64)であり;
− Sは5’−CGCCGCCACCGCTT−3’(配列番号:65)’であり;
− S’は5’−GGCGAT−3’(配列番号:66)であるか;
または:
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTTT−3’(配列番号:41)であり;
− Sは5’−AAGCGGTGGCGGCGGA−3’(配列番号:80)であり;
− S’は5’−GGAC−3’(配列番号:81)であり;
− Sは5’−TCCGCCGCCACCGCTT−3’(配列番号:82)であり;
− S’は5’−GGCG−3’(配列番号:83)である。
【0069】
本発明は、サルモネラ・ティフィの検出のために用いることができる以下の上記定義の二本鎖プローブにも関し、該二本鎖プローブは、
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖
および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成され、ここで、
− XおよびXはFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYはDabcylであり;
− LおよびLは5’−TTT−3’(配列番号:86)であり;
− Sは5’−GAATAGTGAGCGTGCCT−3’(配列番号:87)であり;
− S’は5’−TACCG−3’(配列番号:88)であり;
− Sは5’−AGGCACGCTCACTATTC−3’(配列番号:89)であり;
− S’は5’−TGACA−3’(配列番号:90)である。
【0070】
本発明はさらに、上記定義の式X−(L−S−S’−(L’−Yの第一の核酸鎖および上記定義の式X−(L−S−S’−(L’−Yの第二の核酸鎖を含む、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出のためのキットに関する。
【0071】
本発明はまた、特に、核酸ハイブリダイゼーションの少なくとも一つの工程を含む方法における、一本鎖または二本鎖標的核酸を蛍光検出するための、本発明による二本鎖プローブの使用にも関する。
【0072】
上記定義の使用の一の好ましい実施態様では、標的核酸は生物試料中に存在する。
【0073】
上記定義の使用の別の好ましい実施態様では、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖核酸の検出は酵素ベース核酸増幅法において実施される。
【0074】
「酵素ベース核酸増幅法」なる表現は、酵素に触媒される核酸合成が生じる任意の方法に関する。
【0075】
かかる酵素ベース核酸増幅法は、LCR、Q−ベータ複製、NASBA、LLA(連鎖的線形増幅法(Linked Linear Amplification))、TMA、3SR、当該分野において知られているPCRに基づく全ての方法を特に含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、例えば、逆転写PCR(RT−PCR)、シンプレックスおよびマルチプレックスPCR、リアルタイムPCR、エンドポイントPCR、定量的または定性的PCRおよびそれらの組み合わせからなる群より優先的に選択され得る。これらの酵素ベース核酸増幅法は当業者によく知られており、Saikiら(1988)Science 239:487,EP 200 362およびEP 201 184(PCR);Fahyら(1991)PCR Meth.Appl.1:25−33(3SR,自家持続配列複製法);EP 329 822(NASBA,核酸配列ベース増幅法);米国特許第5,399,491号(TMA,転写媒介増幅法),Walkerら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:392−396(SDA,鎖置換増幅法);EP 0 320 308(LCR,リガーゼ連鎖反応);Bustin & Mueller(2005)Clin.Sci.(London)109:365−379(リアルタイム逆転写PCR)に特に記載されている。
【0076】
好ましくは、酵素ベース核酸増幅法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および逆転写−PCR(RT−PCR)、マルチプレックスPCRまたはRT−PCR、およびリアルタイムPCRまたはRT−PCRからなる群より選択される。最も好ましくは、酵素ベース核酸増幅法は、リアルタイムの、所望により、マルチプレックスのPCRまたはRT−PCR方法である。
【0077】
本明細書にて意図される場合、「マルチプレックス」は、少なくとも二つの本発明による二本鎖プローブを用いることによる、少なくとも二つの異なる核酸標的の検出に関し、ここで、該標的核酸の各々は、該二本鎖プローブの少なくとも一つにより検出される傾向がある。好ましくは、異なる蛍光供与体で各プローブを標識することにより、それらの標的核酸に結合した異なるプローブにより放出されたシグナルを別々に検出することが可能となる。
【0078】
別の実施態様では、上記定義の使用は、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖核酸標的の蛍光定量に適用される。これは、内部定量対照を実施するか、または標準曲線を用いることにより、当業者により容易に成し遂げられてもよい。
【0079】
本発明は、酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出のためのキットであって、
− 少なくとも一つの上記定義の二本鎖プローブ;
− 酵素ベース核酸増幅のための酵素;
− 酵素ベース核酸増幅に適した試薬混合物;
を含むキットにも関する。
【0080】
一の好ましい実施態様では、酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出のための上記定義のキットは、標的核酸の酵素ベース増幅に適したヌクレオチドプライマーをさらに含む。
【0081】
別の好ましい実施態様では、酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出のための上記定義のキットは、マルチプレックス酵素ベース核酸増幅法における幾つかの一本鎖または二本鎖標的核酸の検出にさらに特に適しており、該キットは、幾つかの上記定義の二本鎖プローブを含み、該標的核酸の各々は、該二本鎖プローブの少なくとも一つにより検出される傾向がある。
【0082】
本発明は、酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を検出するための方法であって、以下の工程:
a)少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を、
該標的核酸の検出を目的とする少なくとも一つの上記定義の二本鎖プローブ、または上記キットにて定義した二つの核酸鎖の少なくとも一対、
酵素ベース核酸増幅のための酵素、
標的核酸の酵素ベース増幅に適したヌクレオチドプライマー、
酵素ベース核酸増幅に適した試薬混合物
と混合して、反応混合物を得る工程;
b)該反応混合物を加熱することにより、反応混合物中に存在する核酸を融解する工程;
c)反応混合物を冷却することにより、二本鎖プローブおよびヌクレオチドプライマーを標的核酸にハイブリダイズさせる工程;
d)酵素に核酸合成を触媒させる工程;
e)工程b)ないしd)を繰り返す工程;
を含む方法にも関し、ここで、
反応混合物からの蛍光発光の強度は、工程b)ないしd)の少なくとも一つにて測定され、また、少なくとも蛍光発光の強度がバックグラウンドレベルを上回って測定されるまで、工程b)ないしd)は繰り返される。
【0083】
本明細書にて意図される場合、上記工程c)およびd)は同時に進行し得る。
【0084】
酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸の検出のための上記定義の方法の一の実施態様では、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸はリアルタイムで検出される。
【0085】
酵素ベース核酸増幅法における少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を検出するための上記定義の方法の別の実施態様では、少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸は定量される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明による二本鎖プローブおよびその標的核酸への結合の一般的図式である。XおよびXはフルオロフォアであり、YおよびYはクエンチャーである。
【図2】図2は、本発明による二本鎖プローブおよびその標的核酸への結合の一例である。Fはフルオロフォアであり、Qはクエンチャーである。
【図3】図3は、本発明による二本鎖プローブ(上部パネル)およびモレキュラー・ビーコン・プローブ(下部パネル)を用いて実施されたPCRの電気泳動ゲル移動(上から下)である。左から右へ、レーンは:EZ分子量マーカー − 無負荷レーン − 水対照×3レーン − 5コピーのHBV/PCR ×3レーン − 10コピーのHBV/PCR ×3レーン − 50コピーのHBV/PCR ×3レーン − 500コピーのHBV/PCR ×2レーン − 5000コピーのHBV/PCR ×2レーン − 無負荷レーン − EZ分子量マーカーに対応する。
【図4】図4Aおよび図4Bは各々、本発明による二本鎖プローブ(図4B)または参照モレキュラー・ビーコン・プローブ(図4A)の存在下での、HIV−1Mの検出のためのリアルタイムRT−PCRアッセイ(実施例7に記載の通り)における、サイクル数に対する正規化蛍光の曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0088】
実施例1
オリゴヌクレオチド合成
用いたオリゴヌクレオチドはEurogentecから購入したものか、または製造元推奨の条件ならびにApplied BiosystemsおよびGlen Researchから購入した試薬を用いて、Expedite 8909 DNA/RNA合成機(Perkin Elmer)にて合成した。
【0089】
オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にDabcyl蛍光受容体を、そして、5’末端にフルオレセイン(FAM)またはAtto532フルオロフォア部分を含んだ。
【0090】
Dabcyl部分は、孔径調整ガラスカラム(Glen Researchからの3’Dabcyl−CPG)を用いて、自動オリゴヌクレオチド合成の間に導入した。
【0091】
次いで、Glen Researchからの特定の5’−チオール修飾リンカーを用いて、オリゴヌクレオチドの5’末端を官能基化した。
【0092】
次いで、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、オリゴヌクレオチドを精製した。精製後、5’末端にあるスルフィドリル基から保護基を除去し、次いで、オリゴヌクレオチドの5’SH末端をフルオレセイン(FAM)ヨードアセトアミド誘導体(Molecular Probesからの6−IAF,品番I−30452)またはAtto532マレイミド誘導体(Atto-TEC,品番AD532−4)にカップリングさせた。
【0093】
NAP−5カラム(Pharmacia,スウェーデン)を用いる排除クロマトグラフィーにより、未反応色素を除去した。
【0094】
最後に、当業者によく知られた手順により、二重標識されたオリゴヌクレオチドをHPLCにより精製し、脱塩し、凍結乾燥した。
【0095】
二本鎖プローブの融解温度(Tm)の実験的測定
温度の関数として蛍光をモニターすることにより、融解温度を測定した。
【0096】
簡潔に言うと、FAMフルオロフォア(490nmで励起、530nmで発光)で標識したハイブリッドについての熱変性特性は、Varian分光蛍光光度計(品番85−102023−00、Cary Eclipse Bio)を用いて得た。全ての測定は以下のハイブリダイゼーションバッファーにて実施した:2.5mM MgCl(品番11558147,Qiagen)、PCRバッファー 1×(PCRバッファー 10×,品番12182201,Qiagen)。最終容量50μl中、FAM−標識オリゴヌクレオチドの濃度は0.1μMであり、標的オリゴヌクレオチドの濃度は0.2μMであった。温度は25から95℃まで0.5℃ずつ段階的に上昇させ、各段階を60秒間持続させた。最後の30秒間に蛍光を測定した。励起および発光スリットは10nmであり、PMT(光電子増倍管)の電圧を600Vに設定した。
【0097】
変性実験の前に以下の手順を用いてハイブリダイゼーションを促進するように全二本鎖溶液を処理した:30分間95℃で加熱、180分間室温で冷却、次いで、一晩4℃で貯蔵。
【0098】
Eclipse Thermal software(Varian)にて一次導関数手法を用いてTmを算出した。
【0099】
室温にて、二本鎖プローブの二本の鎖をアニールさせる。低い蛍光が観察される(DabcylおよびFAMが近接している)。温度が増大するにつれ、ハイブリッドが融解して離れ、DabcylがFAMから離れ、クエンチングが減少し、FAMからの蛍光発光の強度の増大が生じる。逆に、二本鎖プローブの一本の鎖が室温にてその標的とアニールした場合、FAMはDabcylから分離されており、これが高い蛍光シグナルを生じる。温度が上昇するにつれ、ハイブリッドが融解して離れ、蛍光シグナルが減少する。
【0100】
測定されたTm値(実験的Tm)を以下の表に示す。
【表5】

【0101】
SciTool中のOligoAnalyzer 3.0のTm計算機(Integrated DNA Technologies)を用いて、理論的な融解温度(理論的Tm)を算出した。
【0102】
実験的Tm値は理論的Tm値より若干高い。二本鎖プローブについてのTmと、二本鎖プローブの各鎖とその関連する標的とのハイブリッドについてのTmとの差異は、実際(実験的ΔTm)および理論上(理論的ΔTm)で同様である。Tm値を用いて、以下のPCR実験での最適アニーリング温度(最適Ta)を決定した。通常、アニーリング温度は、二本鎖プローブについてのTmより高く、および二本鎖プローブの各鎖とそれらの各標的とのハイブリッドについてのTmより低くなるように選択した。
【0103】
NB:以下のプローブについては理論的Tm値のみを決定した:
【表6】

【0104】
実施例2
HBV C遺伝子(Bゾーン)の3’末端部分およびHBV DNAポリメラーゼコード化領域の開始部分を標的化することによるHBVゲノムの検出
初めに、HBVゲノムのBゾーン(参照株 adw n° M98077のヌクレオチド(nt)2300−2435)の検出のために、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイにて本発明による二本鎖プローブを試験し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【0105】
材料および手法
QIAamp DSPウイルスキット(Qiagen,品番60704)を製造元の指示に従って用いて、BBI Diagnosticから入手したHBV DNA陽性対照Accurun325(品番A325−5723)から、HBVゲノムDNAを抽出した。使用前にHBVゲノムDNAを水で希釈した。
【0106】
ヌクレオチドプローブおよびプライマーはEurogentecに注文した。以下のプローブおよびプライマーを用いた:
【表7】

【0107】
PCR混合物は以下の通りであった:HBV DNA 1PCRあたり0〜50,000コピー、モレキュラー・ビーコン・プローブ 0.6μMまたは二本鎖プローブの各鎖 0.3μM、HBVプライマー 0.6μM、HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203205) 2.5U、MgCl 6mM、d(ACGU)TP 200μM、dTTP 100μM、0.25U UDG、PVP 0.3%、グリセロール 5%。
【0108】
BioRad Chromo4蛍光サーモサイクラーにて以下の熱特性を用いてリアルタイムPCRを実施した:

【0109】
結果
本発明による二本鎖プローブおよび参照モレキュラー・ビーコン・プローブを比較するために、幾つかのパラメーターを研究した:
− 混合物中の様々な開始量のDNAについて閾値サイクル(Ct)を評価した;Ctは、バックグラウンドの蛍光より高い蛍光シグナルを生じるのに必要なサイクル数である;Ct値はDNAの開始量のlog10に比例する;
− 検出限界は検出されるDNAの最低量に対応する;
− PCR混合物中の初期DNA量に対するCtの曲線の直線性(少なくとも0.95の相関係数を対象とする);
− 蛍光強度レベル、およびバックグラウンドの蛍光とプローブによる蛍光発光との差異(差異が重きいほど、少数のDNAコピーの区別がより簡単かつ有意となる)。
【0110】
平均Ctは、所定の初期数の標的DNAコピーについて測定された異なるCt値から算出し、SDは標準偏差であり、CVは変動係数である。
【0111】
参照モレキュラー・ビーコン・プローブおよび本発明による二本鎖プローブについて得られた結果を以下の表に示す。
【0112】
【表8】

【0113】
【表9】

【0114】
本発明の二本鎖プローブを用いることにより得られた蛍光増加を以下の表にまとめる:
【表10】

【0115】
本発明による二本鎖プローブを用いて測定されたCt値は、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと同様である。
【0116】
両プローブを用いての感度は同様であるが、本発明による二本鎖プローブを用いた場合、平均して35.6%の最大蛍光の増大が得られる。
【0117】
参照モレキュラー・ビーコン・プローブについてのように、本発明による二本鎖プローブについて、標的DNAコピーの初期数に関するCtの線形回帰は、高い相関係数(R=0,9788)を示す。
【0118】
本発明による二本鎖プローブを用いるリアルタイムPCRは、広範囲に及ぶアニーリング温度の範囲内(51℃ないし60℃)で引き続き機能する。
【0119】
実際、51℃および60℃のアニーリング温度を用いて二本鎖プローブを試験した場合、同様の結果が得られた(以下の表を参照のこと)。
【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【0122】
さらに、同じ二本鎖プローブを各鎖0.2μMのより低い濃度にて用いて実施したリアルタイムPCRは同様の結果をもたらした(0.6μMの濃度の参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した場合)。
【0123】
実施例3
HBVゲノムのBゾーンの検出
本発明による別の二本鎖プローブを設計して、アニーリング温度を50℃に設定したこと以外は実施例2に示したものと同じ条件で用い、モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【表13】

【0124】
【表14】

【0125】
実施例1に示した二本鎖プローブについてのように、本発明による二本鎖プローブを用いて測定されたCtは、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと同様である。
【0126】
さらに、両プローブを用いての感度は同様である。
【0127】
参照モレキュラー・ビーコン・プローブについてのように、本発明による二本鎖プローブについての標的DNAコピーの初期数に関するCtの線形回帰もまた高い相関係数(R=0,9746)を示す。
【0128】
この二本鎖プローブを用いるリアルタイムPCRは、広範囲に及ぶアニーリング温度の範囲内(46℃ないし55℃)で引き続き機能する。55℃のアニーリング温度を用いて二本鎖プローブを試験した場合、同様の結果が得られた(以下の表を参照のこと)。
【0129】
【表15】

【0130】
さらに、同じ二本鎖プローブを各鎖0.2μMのより低い濃度にて用いて実施したリアルタイムPCRは同様の結果をもたらした(0.6μMの濃度の参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した場合)。
【0131】
実施例4
HBVゲノムのオーバーラップ領域(Aゾーン)を標的化することによるHBVゲノムの検出
次に、二本鎖プローブ濃度を0.2μMに設定したこと以外は実施例2に示したものと同じ条件を用いて、HBVゲノムのAゾーン(HBV DNAポリメラーゼコード化の末端およびHBV X蛋白質コード化配列の開始部分 − 参照株 adw n° M98077のヌクレオチド(nt)1440−1602)の検出のために、本発明による二本鎖プローブをリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイにて試験し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【0132】
以下のプローブおよびプライマーを用いた:
【表16】

【0133】
モレキュラー・ビーコン・プローブおよび本発明による二本鎖プローブについて得られた結果を以下の表に示す。
【0134】
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブ(Ta=55℃):
【表17】

【0135】
・二本鎖(DS)プローブ(Ta=55℃):
【表18】

【0136】
結果を以下の表にまとめる:
【表19】

【0137】
本発明による二本鎖プローブを用いて測定されたCtは、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと一致する。
【0138】
両プローブを用いての感度は同様であるが、本発明による二本鎖プローブを用いる場合、平均して49.1%の最大蛍光の増大が得られる。
【0139】
参照モレキュラー・ビーコン・プローブについてのように、本発明による二本鎖プローブについて、標的DNAコピーの初期数に関するCtの線形回帰は、高い相関係数(R=0,9826)を示す。
【0140】
本発明による二本鎖プローブを用いるリアルタイムPCRは、広範囲に及ぶアニーリング温度の範囲内(51℃ないし60℃)で引き続き機能する。
【0141】
実際、51℃および60℃のアニーリング温度を用いて二本鎖プローブを試験した場合、同様の結果が得られた(以下の表を参照のこと)。
【0142】
【表20】

【0143】
【表21】

【0144】
さらに、同じ二本鎖プローブを各鎖0.1μMのより低い濃度および0.3μMのより高い濃度にて用いて実施したリアルタイムPCRは共に同様の結果をもたらした(0.6μMの濃度の参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した場合)。
【0145】
実施例5
内部対照(IC)の検出
また、本発明による二本鎖プローブを内部対照(IC)の検出のためにリアルタイムPCRアッセイにて試験し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【0146】
ICをマルチプレックスアッセイにて用いて、PCR結果をその標的Ctおよびその信頼区間により検証する。さらに、それにより、試料中の阻害剤の検出が可能となり、故に、それらの定量の検証に役立つ。ICは通常、標的核酸と同じPCR効率および同じ長さの単位複製配列を有するように設計される。
【0147】
現在使用されているICは、以下の特定のプライマー:
ADH5Fc:5’−TGC CAT CGC TGT GCT ACA AC−3’(配列番号18)
ADH5Rc:5’−AAC GAC GGG AAG GAG GGT GC−3’(配列番号19)
を用いてADHトウモロコシ遺伝子(トウモロコシGMOスタンダード ERM−BF411a,品番91528 Fluka)からPCRにより生成された408ヌクレオチドのフラグメントである。
【0148】
次いで、QiaQuick PCR Purification Kit(Qiagen,品番28104)を製造元の指示に従って用いて、ICフラグメントDNAを抽出した。UV照射後であって使用前にICフラグメントDNAを水で希釈した。
【0149】
使用したPCR混合物は、増幅すべきDNA:IC DNA 1PCRあたり0〜10,000コピー;プローブの濃度:モレキュラー・ビーコン・プローブ 0.2μM、本発明による二本鎖プローブ 各鎖0.1μM;およびプライマーの濃度 0.3μMであること以外は実施例2にて記載した通りであった。
【0150】
プローブおよびプライマーの配列を以下に示す:
【表22】

【0151】
モレキュラー・ビーコン・プローブおよび本発明による二本鎖プローブについて得られた結果を以下の表に示す。
【0152】
【表23】

【0153】
【表24】

【0154】
結果を以下の表にまとめる:
【表25】

【0155】
本発明による二本鎖プローブを用いて測定されたCtは、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと同様である。
【0156】
両プローブを用いての感度および最大蛍光は同様である。
【0157】
モレキュラー・ビーコン・プローブについてのように、本発明による二本鎖プローブについて、標的DNAコピーの初期数に関するCtの線形回帰は、高い相関係数(R=0,9767)を示す。
【0158】
本発明による二本鎖プローブを用いるリアルタイムPCRは、広範囲に及ぶアニーリング温度の範囲内(51℃ないし60℃)で引き続き機能する。
【0159】
実際、51℃および60℃のアニーリング温度を用いて二本鎖プローブを試験した場合、同様の結果が得られた(以下の表を参照のこと)。
【0160】
【表26】

【0161】
【表27】

【0162】
さらに、同じ二本鎖プローブを各鎖0.1μMのより低い濃度にて用いて実施したリアルタイムPCRは同様の結果をもたらした(0.2μMの濃度の参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した場合)。
【0163】
マルチプレックスアッセイ
HBVゲノムのAゾーンおよび内部対照の検出を組み合わせたマルチプレックスアッセイ(PCRの間の抽出量および阻害量の測定が可能となる)は実施例4および実施例5のプローブおよびプライマーを用いて設定された。
【0164】
簡潔に言うと、以下の鋳型DNA、プローブおよびプライマー濃度を、ほかの点については実施例2と同様の混合物にて用いた:
−IC DNA 1PCRあたり300コピー;ICプライマー 0.3μM;
−HBV DNA 1PCRあたり0〜50,000コピー;HBVプライマー 0.6μM;
−モレキュラー・ビーコン ICプローブ 0.2μM または二本鎖ICプローブ 各鎖0.1μM;
−モレキュラー・ビーコン HBVプローブ 0.6μM または二本鎖HBVプローブ 各鎖0.2μM。
【0165】
リアルタイムPCR条件は、上で設定したものと比較して不変であった。
【0166】
FAM蛍光の検出(HBV DNA検出):
【表28】

【0167】
【表29】

【0168】
結果を以下の表にまとめる:
【表30】

【0169】
Atto532蛍光の検出(IC DNA検出):
予想通り、この検出は両プローブ系について本質的に一定の結果をもたらした。FAMとAtto532色素との間の干渉に起因して、Ctの若干の低下のみが、高濃度のHBV DNA(50,000コピー/PCR)にて観察された。
【0170】
全体として、マルチプレックスアッセイについて得られた結果は、本発明による二本鎖プローブがかかる検出系において十分に機能することを示す。
【0171】
さらに、本発明の二本鎖プローブを用いてもたらされた結果は、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて得られたものと同様である。さらに、これらの結果は、モレキュラー・ビーコン・プローブと比べてより低い濃度の二本鎖プローブを用いて成し遂げられ得る。
【0172】
本発明による二本鎖プローブが広範囲に及ぶアニーリング温度において機能することも注目に値する。これは、用いられる様々なプローブが同じアニーリング温度で機能する必要があるマルチプレックスアッセイを実施する場合に特に有利である。
【0173】
最後に、本発明による二本鎖プローブはまた広範囲に及ぶMgCl濃度(4〜7mM)において機能することが示された(以下の表を参照のこと)。
【0174】
【表31】

【0175】
実施例6
単位複製配列の検証
上記PCR反応を用いて得られたPCR産物の性質をアガロースゲル電気泳動により検証した。結果を図3に示す。
【0176】
モレキュラー・ビーコン・プローブの存在下または二本鎖プローブの存在下、予想サイズを163塩基対とするPCRにより、1つの核酸フラグメントのみが増幅する。非特異的増幅は観察されない。さらに、本発明による二本鎖プローブの使用は、モレキュラー・ビーコン・プローブが用いられる場合のように、さらなるプライマーダイマー(MW≦50bp)を生じない。
【0177】
実施例7
HIV1−Mゲノムの検出
本発明による二本鎖プローブを、HIV−1Mの様々な遺伝子型(A、B、C、D、E、F、GおよびH)のリアルタイムPCR検出に適用し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【0178】
材料および手法:
アッセイされる試料は、1mlあたり7.75 10個のHIV−1MサブタイプBのウイルス粒子のウイルス力価を有するリンパ芽球様CEM細胞の培養液の上清であるか、または1mlあたり50,000個のウイルス粒子にて8遺伝子型(A、B、C、D、E、F、GおよびH)のHIV1−Mを含むPRD201パネル(BBIダイアグノスティック)のいずれかであった。
【0179】
QIAamp DSP Virus Kit(Qiagen,品番60704)を製造元の指示に従って用いて、HIV RNAを抽出する。次いで、抽出されたRNAを水およびキャリアRNA(1ng/ml,Qiagen,品番1009615)で希釈する。
【0180】
用いたプローブおよびプライマーの配列を以下に示す:
【表32】

【0181】
SH1BM14プローブは、HIV1−MのB遺伝子型の検出を目的としており、SH1BM17はCおよびD遺伝子型、およびSH1BM18はE遺伝子型の検出を目的としている。
【0182】
本発明による二本鎖プローブはSH1BM14と同じ標的核酸に結合する。それはまた、C遺伝子型の対応する標的核酸について3つのミスマッチを含み、D遺伝子型の対応する標的核酸について2つのミスマッチを含む。
【0183】
二本鎖プローブの特徴を以下の表に示す:
【表33】

【0184】
モレキュラー・ビーコン・プローブと共に用いられる場合、PCR混合物は以下の通りであった:
HIV RNA 表に示される通り、SH1BM14 0.4μM、SH1BM17 0.2μM、SH1BM18 0.2μM、HIV1−Mプライマー 0.6μM、4U HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203207)、100μM MgCl、d(ACGU)TP 400μM、Quantitect RT Mix 0.5×(Qiagen)、2.5% DMSO。
【0185】
本発明の二本鎖プローブと共に用いられる場合、PCR混合物は以下の通りであった:
HIV RNA 表に示される通り、二本鎖プローブ 0.1μM、HIV1−Mプライマー 0.15μM、4U HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203207)、100μM MgCl、d(ACGU)TP 400μM、Quantitect RT Mix 0.5×(Qiagen)、2.5% DMSO。
【0186】
リアルタイムRT−PCRは、BioRad Chromo4蛍光サーモサイクラーにて以下の熱特性を用いて実施した:

【0187】
結果
A.リンパ芽球様CEM細胞の培養液の上清由来の試料(HIV1−M Bサブタイプ)
【0188】
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14(Ta=55℃):
【表34】

【0189】
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14/17/18(Ta=55℃):
【表35】

【0190】
モレキュラー・ビーコン・プローブと比較される二本鎖プローブについては、アニーリング温度を50℃に設定したこと以外は同じ熱特性を用いる。
【0191】
・本発明による二本鎖プローブ(Ta=50℃):
【表36】

【0192】
結果を以下の表にまとめる:
・二本鎖プローブに対する参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14
【表37】

【0193】
・二本鎖プローブに対する参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14/17/18
【表38】

【0194】
上記の表から分かるように、本発明による二本鎖プローブは、検出閾値(1PCRあたり2コピー)、Ct値、直線性(相関係数)および再現性(SD)に関して、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと同様の結果をもたらす。
【0195】
さらに、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較して、平均194.6%の蛍光増加が得られることが注目されるべきである。
【0196】
さらに、二本鎖プローブ(図4A)およびSH1BM14/17/18モレキュラー・ビーコン・プローブ(図4B)についての、サイクル数に対する蛍光の曲線の比較は、二本鎖プローブを用いて得られた曲線がより顕著なS字状を示し、また、曲線がさらに再グループ化されることを明確に示しており、それにより、陰性対照(水)と少量の標的核酸を用いたアッセイとの間のより良好な識別が可能となる。
【0197】
加えて、本発明の二本鎖プローブを用いる場合、SH1BM14/17/18モレキュラー・ビーコン・プローブを用いる場合よりも4分の1量のプローブおよびプライマーが必要とされる。
【0198】
リアルタイムRT−PCRのアニーリング温度を48ないし55℃で変化させたところ、本発明者らは、本発明の二本鎖プローブが引き続き十分に機能することを示した。
【0199】
B.PRD201パネル(HIV1−MサブタイプA、B、C、D、E、F、GおよびH)
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14(Ta=55℃):
【表39】

【0200】
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブSH1BM14/17/18(Ta=55℃):
【表40】

【0201】
・本発明による二本鎖プローブ(Ta=50℃):
【表41】

【0202】
本発明による二本鎖プローブにより、AないしHのすべての遺伝子型、特に、SH1BM14モレキュラー・ビーコン・プローブにより検出されないか(サブタイプC)、または高いCt値で検出されるか(サブタイプE)、またはさらにバックグラウンドを僅かに上回るだけの非常に低い蛍光強度で検出されるか(サブタイプD)のいずれかである、サブタイプC、DおよびEの検出が可能となることに注目されるべきである。
【0203】
3つのモレキュラー・ビーコン・プローブに対して二本鎖プローブを用いることにより、遺伝子型の大部分について、平均して74.4%の蛍光増加が観察される。
【0204】
さらに、3つのモレキュラー・ビーコン・プローブと比較して4分の1量のプローブおよびプライマーが本発明による二本鎖プローブと共に使用される必要がある。
【0205】
実施例8
HIV1−MおよびHIV1−Oゲノムのマルチプレックス検出
以下のさらなるプローブを用いた:
【表42】

【0206】
二本鎖プローブの特徴を以下の表に示す:
【表43】

【0207】
本発明の二本鎖プローブと共に用いられる場合、PCR混合物は以下の通りであった:
二本鎖プローブHIV1−M 0.1μM、二本鎖プローブHIV1−O 0.1μM、HIV1−M/Oプライマー 配列番号25 0.15μM、HIV1−Mプライマー 配列番号26 0.075μM、HIV1−Oプライマー 配列番号30 0.15μM、4U HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203207)、100μM MgCl、d(ACGU)TP 400μM、Quantitect RT Mix 1×(Qiagen)、2.5% DMSO。
【0208】
リンパ芽球様CEM細胞の培養液の上清由来の試料を用いて、上記HIV1−Oプローブと混合されたHIV1−Mの検出のためのプローブについて得られた結果を以下の表に示す(Ta=50℃):
【表44】

【0209】
良好な検出閾値、Ct、直線性および再現性がこのように証明され得た。
【0210】
蛍光は十分に常用標準内である。
【0211】
サイクル数に対する正規化蛍光の曲線はS字状であり、また、初期DNA濃度の全範囲にわたって再グループ化され、それにより、HIV1−Mシンプレックス検出について証明されたように、水陰性対照と少量のDNAコピーを用いた試料との間の良好な識別が可能となる。
【0212】
従って、本発明者らは、少量(0.1μM)の本発明による二本鎖プローブがデュプレックスアッセイにおいても効果的であることを示した。
【0213】
さらに、PRD201パネル(HIV−1M)およびBBI301パネル(HIV1−O)にて、実施例7で記載したものと混合されたHIV1−Oの検出のためのプローブについて得られた結果を以下の2つの表に示す:(Ta=50℃):
【表45】

【0214】
【表46】

【0215】
本発明による二本鎖プローブは、デュプレックスアッセイにて、HIV1−Mの遺伝子型(AないしH、特に、SH1BM14モレキュラー・ビーコン・プローブ単独では検出されないC、DおよびEサブタイプ)およびHIV1−Oパネルの全ての遺伝子型を検出し得る。
【0216】
実施例9
マルチプレックスアッセイHBV Aゾーン(FAM/Atto647N)−定量
IC検出のためにAtto532色素の代わりにAtto647N色素を用い、実施例4および5のプローブおよびプライマー(以後、「系1」と称する)、ならびに本発明による別の二本鎖プローブ(以後、「系2」と称する)を用いて、(i)HBVゲノムのAゾーンおよび内部対照(IC)の検出ならびに(ii)HBVの定量を組み合わせたマルチプレックスアッセイを設計した。
【0217】
簡潔に言うと、以下の鋳型DNA、プローブおよびプライマー濃度を、ほかの点については実施例2と同様の混合物にて用いた:
− IC DNA 1PCRあたり300コピー、
− HBV DNA 1PCRあたり100〜10コピー、
− HBVプライマー 0.6μM、
− ICプライマー 0.3μM;
− モレキュラー・ビーコン ICプローブ(0.2μM)、系1 二本鎖ICプローブ(各鎖0.1μM)、または系2 二本鎖ICプローブ(各鎖0.05μM);
− モレキュラー・ビーコン HBVプローブ(0.6μM)、系1 二本鎖HBVプローブ(各鎖0.2μM)、または系2 二本鎖HBVプローブ(各鎖0.05μM);
− HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203205) 2.5U、MgCl 6mM、d(ACGU)TP 200μM、dTTP 100μM、0.25U UDG、PVP 0.3%、グリセロール 5%。
【0218】
用いた熱特性は実施例7についてと同じである。
系2について以下の二本鎖プローブを用いた:
【表47】

【0219】
【表48】

【0220】
FAM蛍光の検出(HBV DNA検出):
・参照モレキュラー・ビーコン(MB)・プローブ(Ta=55℃):
【表49】

【0221】
・二本鎖(DS)プローブ(系1)(Ta=55℃):
【表50】

【0222】
・二本鎖(DS)プローブ(系2)(Ta=55℃):
【表51】

【0223】
系1についての結果を以下の表にまとめる:
【表52】

【0224】
系2についての結果を以下の表にまとめる:
【表53】

【0225】
Atto647N蛍光の検出(IC DNA検出):
予想通り、この検出は本質的に一定の結果をもたらし、両プローブ系について同等である。
【表54】

【0226】
HBV DNAの定量
【表55】

【0227】
本発明による二本鎖プローブの2つの異なる系を用いて測定されたCt値は、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと同様であり、両プローブを用いての感度は同様であり、また、二本鎖プローブの2つの系について、標的DNAコピーの初期数に対するCtの線形回帰は高い相関係数(R=0,992)を示し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブについて観察され得るものと一致する。
【0228】
既に観察されたように、該結果は、モレキュラー・ビーコン・プローブと比べてより低い濃度の二本鎖プローブを用いて成し遂げられ得る。
【0229】
さらに、このマルチプレックスアッセイについて得られた結果は、Atto647Nのごとき高い発光波長を有する蛍光色素に関して、本発明による二本鎖プローブが十分に機能することを示す。
【0230】
最後に、このマルチプレックスアッセイについて得られた結果は、本発明による二本鎖プローブがHBV DNAの定量のために十分に機能することを示す。
【0231】
実施例10
シンプレックスアッセイHIV(FAM)−代替的配置5’FAM/3’FAMおよび5’Dabcyl/3’Dabcyl
HIV−1Mの様々な遺伝子型の検出のために、2つの代替的配置の本発明による二本鎖プローブを用い(同じ鎖上に2つのフルオロフォア、および他の同じ鎖上に2つのクエンチャー、および逆もまた同様:系Aおよび系B)、実施例7のプローブおよびプライマーを用いて、シンプレックスアッセイを設計した。
【0232】
簡潔に言うと、以下の鋳型RNA、プローブおよびプライマー濃度を、ほかの点については実施例7と同様の混合物にて用いた:
− HIV RNA 表に示される通り;
− プライマー 0.15μM;
− 二本鎖HIVプローブ各鎖0.1μM;
− HotStarTaq Polymerase(Qiagen,品番203207) 4U、MgCl 0.1mM、d(ACGU)TP 100mM、2.5% DMSO;
− Quantitect RT Mix 1×(Qiagen)。
【0233】
用いられる熱特性は、アニーリング温度を48℃に設定したこと以外は実施例7のものと同じである。
【0234】
系AおよびBのために以下の二本鎖プローブを用いた:
【表56】

【表57】

【0235】
【表58】

【0236】
結果
A.リンパ芽球様CEM細胞の培養液の上清由来の試料(HIV−1M Bサブタイプ)
・参照二本鎖(DS)プローブ:
【表59】

【0237】
・系A 二本鎖(DS)プローブ:
【表60】

【0238】
・系B 二本鎖(DS)プローブ:
【表61】

【0239】
上記の表から分かるように、代替的配置(同じ鎖上に2つの色素、および別の同じ鎖上に2つのクエンチャー)を有する二本鎖プローブは、検出閾値(1PCRあたり10コピー)、Ct値および再現性(SD)に関して、参照二本鎖プローブと同様の結果をもたらす。
【0240】
B.PRD201パネル(HIV1−MサブタイプA、B、C、D、E、F、GおよびH)
・参照二本鎖(DS)プローブ:
【表62】

【0241】
・系A 二本鎖(DS)プローブ:
【表63】

【0242】
・系B 二本鎖(DS)プローブ:
【表64】

【0243】
フルオロフォア/クエンチャーの配置に関係なく、AないしHの全ての遺伝子型は本発明による二本鎖プローブにより検出され得る。
【0244】
実施例11
サルモネラ・ティフィの検出
本発明による二本鎖プローブを、サルモネラ・ティフィ(iagA遺伝子のヌクレオチド1501ないし1655に及ぶ155ヌクレオチドのフラグメント、NCBI CoreNucleotide 参照X80892)の検出のために設計されたリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)シンプレックスアッセイにてさらに試験し、参照モレキュラー・ビーコン・プローブと比較した。
【0245】
材料および手法
古典的なプラスミド調製キットを製造元の指示に従って用いて、サルモネラ・ティフィ標的化配列を含むDNAプラスミド(iagA遺伝子由来の619塩基対(X80892由来の1114ないし1732の位置)のHindIII−BamHIフラグメントを含むpUC18プラスミド)を抽出した。使用前にDNAプラスミドを水で希釈した。
【0246】
以下のプローブおよびプライマーを用いた:
【表65】

【0247】
PCR混合物は以下の通りであった:
− プラスミドDNA:0〜20,000コピー/PCR;
− サルモネラプライマー 0.5μM;
− モレキュラー・ビーコンサルモネラプローブ 0.2μM または二本鎖サルモネラプローブ 各鎖0.1μM;
− ポリメラーゼ(Fast Start Taq DNAポリメラーゼ(Roche) 3U/反応、HotStarTaq Plus(Qiagen) 2.5U/反応、NovaTaqTM Hot Start(Novagen) 2U/反応、DynazymeTM II DNAポリメラーゼ(Finnzymes) 3U/反応、Taq DNAポリメラーゼ(Roche) 3U/反応);
− MgCl 4mM;d(ACGT)TP 100μM。
【0248】
リアルタイムPCRは、BioRad Chromo4蛍光サーモサイクラーにて以下の熱特性を用いて実施した:

【0249】
結果
FAM蛍光の検出(サルモネラDNA検出):
・HotStarTaq Polymerase
【表66】

【0250】
・他のポリメラーゼ
【表67】

【0251】
全体として、シンプレックスアッセイについて得られた結果は、本発明による二本鎖プローブがサルモネラ・ティフィDNAの検出のために十分に機能することを示す。
【0252】
本発明による二本鎖プローブを用いて測定されたCt値は、参照モレキュラー・ビーコン・プローブを用いて測定されたものと同様であるか、または有利にはそれよりも低い。
【0253】
両プローブを用いての感度は同様であるが、本発明による二本鎖プローブを用いた場合には、最大蛍光の有利な200%増大が平均して得られる。
【0254】
最後に、化学修飾されているか否かに関わらず、5つの異なる市販ポリメラーゼを用いて同じ結果が観察されたので、本実験は、二本鎖プローブを用いることにより得られた蛍光増加が用いるポリメラーゼに無関係であることも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 式T’−Tの配列を含む標的核酸の第一の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第一の鎖;
− 標的核酸の第二の鎖が存在するならば、式T’−Tの配列を含む標的核酸の第二の鎖の検出を目的とする、式X−(L−S−S’−(L’−Yの第二の鎖;
を含む、一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出を目的とする二本鎖プローブであって、ここで、
− X、X、YおよびYのうち二つは蛍光供与体であり、一方で、他の二つは蛍光受容体であり、また、XおよびYが共に蛍光供与体であることはできず;
− a、b、cおよびdは0または1であり、ただし、X、X、YまたはYが蛍光供与体である場合、それぞれ、a、b、cまたはdは1であり;
− TおよびTは、互いに相補的な10ないし35ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり;
− T’およびT’は互いに独立して、2ないし8ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり;
− SおよびSは、互いに相補的な10ないし35ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり、SはTに対して少なくとも85%相補的であり、SはTに対して少なくとも85%相補的であり;
− S’およびS’は互いに独立して、2ないし8ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり、S’はT’に対して少なくとも65%相補的であり、S’はT’に対して少なくとも65%相補的であり;
− LおよびLは、Lに対するSのの連結部位およびLに対するSの連結部位に対するXおよびXの各回転半径が少なくとも3.4Åとなるようなスペーサー部分であり;
− L’およびL’は、L’に対するS’の連結部位およびL’に対するS’の連結部位に対するYおよびYの各回転半径が少なくとも3.4Åとなるようなスペーサー部分であり;
− 二本鎖プローブの融解温度は、二本鎖プローブの第一の鎖と標的核酸の第一の鎖との間で形成された複合体の融解温度より低く;標的核酸の第二の鎖が存在するならば、二本鎖プローブの第二の鎖と該標的核酸の第二の鎖との間で形成された複合体の融解温度より低いものである、
二本鎖プローブ。
【請求項2】
b=d=0であり、XおよびXが蛍光供与体である請求項1記載の二本鎖プローブであって、故に、
−式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
−式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される二本鎖プローブ。
【請求項3】
蛍光供与体がキサンテン色素、ローダミン色素、カルボピロニン色素およびカルボキサミド色素からなる群より選択される、請求項1または2記載の二本鎖プローブ。
【請求項4】
蛍光受容体がDabcyl、Dabsyl、BHQ1、BHQ2、BHQ3、Iowa Black、Eclipse、QSY−7/9、QSY−21、DABMI、マラカイトグリーン、クマリンおよびダーククエンチャーからなる群より選択される、請求項1ないし3いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項5】
およびXが蛍光部分である場合、LおよびLそれぞれXおよびXの蛍光の25%未満を消失させ、YおよびYが蛍光部分である場合、L’およびL’がそれぞれYおよびYの蛍光の25%未満を消失させる、請求項1ないし4いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項6】
、L、L’および/またはL’が少なくとも一つの正電荷を含む、請求項1ないし5いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項7】
、L、L’およびL’が、同一または異なって、2ないし10ヌクレオチドを有するポリヌクレオチド、3ないし12個の炭素原子を有するアルキルまたはアミノアルキル基、および2ないし6の重合度を有するポリエチレングリコール基からなる群より選択される、請求項1ないし5いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項8】
、L、L’およびL’が、同一または異なって、ポリTポリヌクレオチドである、請求項7記載の二本鎖プローブ。
【請求項9】
および/またはLがポリヌクレオチドである場合に、Lおよび/またはLの長さがそれぞれS’および/またはS’の長さよりも短い、請求項7または8記載の二本鎖プローブ。
【請求項10】
および/またはLがポリヌクレオチドである場合に、Lおよび/またはLがそれぞれS’および/またはS’に対して35%未満の相補性を示す、請求項7ないし9いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項11】
プローブの第二の鎖に対するプローブの第一の鎖の融解温度が、各標的核酸鎖に対するプローブのいずれかの鎖の融解温度よりも少なくとも10%低い、請求項1ないし10いずれかに記載の二本鎖プローブ。
【請求項12】
− 式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
− 式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される請求項1ないし11いずれかに記載の二本鎖プローブであって、ここで、
− XおよびXが、FAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが3ないし6ヌクレオチドを有するポリTポリヌクレオチドであり;
− SおよびSが14ないし18ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列であり;
− S’およびS’が4ないし6ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド配列である、
二本鎖プローブ。
【請求項13】
−S’が以下のものからなる群より選択される配列のフラグメントである、請求項12記載の二本鎖プローブ:
・5’−CACCTCTCTTTACGCGGACTCCCCGTCTGT−3’(配列番号31);
この場合、S−S’は5’−GGAGTCCGCGTAAAGAGAGGTGCGCCCCGT−3’(配列番号32)のフラグメントである;
・5’−CGAGGGAGTTCTTCTTCTAGGGGACCTGCCTCG−3’(配列番号33);
この場合、S−S’は5’−GTCCCCTAGAAGAAGAACTCCCTCGCCTCGCAG−3’(配列番号34)のフラグメントである;
・5’−CCAAGCGGTGGCGGCGGAGGACGGCACTGC−3’(配列番号35);
この場合、S−S’は5’−GTCCTCCGCCGCCACCGCTTGGCGATTGTC−3’(配列番号36)のフラグメントである;
・5’−ATAGTGGCCAGCTGTGATAAATGTCAGCTAAAA−3’(配列番号37);
この場合、S−S’は5’−GACATTTATCACAGCTGGCTACTATTTCTTTTT−3’(配列番号38)のフラグメントである;
・5’−AGTCTACCTGACCATGAATTGCTTCCCCTTTTATATGGCAT−3’(配列番号39);
この場合、S−S’は5’−TAAAAGGGGAAGCAATTCATGGTCAGGTAGACTACAGTCCA−3’(配列番号40)のフラグメントである;
・5’−CTGAATATTGTCAGAATAGTGAGCGTGCCTTACCGACGATA−3’(配列番号84);
この場合、S−S’は5’−TATCGTCGGTAAGGCACGCTCACTATTCTGACAATATTCAG−3’(配列番号85)のフラグメントである。
【請求項14】
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される、HBV検出を目的とする請求項12または13記載の二本鎖プローブであって、ここで、
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTT−3’(配列番号41)であり;
− Sが5’−GGAGTTCTTCTTCTAGGG−3’(配列番号42)であり;
− S’が5’−GACC−3’(配列番号43)であり;
− Sが5’−CCCTAGAAGAAGAACTCC−3’(配列番号44)であり;
− S’が5’−CTCG−3’(配列番号45)であるか;
または
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTTTT−3’(配列番号46)であり;
− Sが5’−GGGAGTTCTTCTTC−3’(配列番号47)であり;
− S’が5’−TAGGGG−3’(配列番号48)であり;
− Sが5’−GAAGAAGAACTCCC−3’(配列番号49)であり;
− S’が5’−TCGCCT−3’(配列番号50)であるか;
または
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTTTT−3’(配列番号46)であり;
− Sが5’−CTCTTTACGCGGAC−3’(配列番号51)であり;
− S’が5’−TCCCCG−3’(配列番号52)であり;
− Sが5’−GTCCGCGTAAAGAG−3’(配列番号53)であり;
− S’が5’−AGGTGC−3’(配列番号54)であるか;
または
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTT−3’(配列番号41)であり;
− Sが5’−CTCTCTTTACGCGGACTC−3’(配列番号76)であり;
− S’が5’−CCCG−3’(配列番号77)であり;
− Sが5’−GAGTCCGCGTAAAGAGAG−3’(配列番号78)であり;
− S’が5’−GTGC−3’(配列番号79)である、
二本鎖プローブ。
【請求項15】
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される、HIV−1検出を目的とする請求項12または13記載の二本鎖プローブであって、ここで、
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTT−3’(配列番号41)であり;
− Sが5’−CCAGCTGTGATAAATG−3’(配列番号55)であり;
− S’が5’−TCAG−3’(配列番号56)であり;
− Sが5’−CATTTATCACAGCTGG−3’(配列番号57)であり;
− S’が5’−CTAC−3’(配列番号58)であるか;
または
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTT−3’(配列番号41)であり;
− Sが5’−CTGACCATGAATTGCTTC−3’(配列番号59)であり;
− S’が5’−CCCT−3’(配列番号60)であり;
− Sが5’−GAAGCAATTCATGGTCAG−3’(配列番号61)であり;
− S’が5’−GTAG−3’(配列番号62)である、
二本鎖プローブ。
【請求項16】
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される、内部対照の検出を目的とする請求項12または13記載の二本鎖プローブであって、ここで、
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTTTT−3’(配列番号46)であり;
− Sが5’−AAGCGGTGGCGGCG−3’(配列番号63)であり;
− S’が5’−GAGGAC−3’(配列番号64)であり;
− Sが5’−CGCCGCCACCGCTT−3’(配列番号65)であり;
− S’が5’−GGCGAT−3’(配列番号66)であるか;
または
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTTT−3’(配列番号41)であり;
− Sが5’−AAGCGGTGGCGGCGGA−3’(配列番号80)であり;
− S’が5’−GGAC−3’(配列番号81)であり;
− Sが5’−TCCGCCGCCACCGCTT−3’(配列番号82)であり;
− S’が5’−GGCG−3’(配列番号83)である、
二本鎖プローブ。
【請求項17】
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第一の核酸鎖、および
− 5’から3’への方向に式X−L−S−S’−Yの第二の核酸鎖
から構成される、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typhi)の検出を目的とする請求項12または13記載の二本鎖プローブであって、ここで、
− XおよびXがFAM、Atto532、NK141、NK230およびAtto647Nからなる群より選択され;
− YおよびYがDabcylであり;
− LおよびLが5’−TTT−3’(配列番号86)であり;
− Sが5’−GAATAGTGAGCGTGCCT−3’(配列番号87)であり;
− S’が5’−TACCG−3’(配列番号88)であり;
− Sが5’−AGGCACGCTCACTATTC−3’(配列番号89)であり;
− S’が5’−TGACA−3’(配列番号90)である、
二本鎖プローブ。
【請求項18】
− 請求項1ないし17いずれかに記載の式X−(L−S−S’−(L’−Yの第一の核酸鎖、および
− 請求項1ないし17いずれかに記載の式X−(L−S−S’−(L’−Yの第二の核酸鎖
を含む、一本鎖または二本鎖標的核酸の蛍光検出を目的とするキット。
【請求項19】
少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を蛍光検出するための、請求項1ないし17いずれかに記載の二本鎖プローブまたは請求項18記載のキットの使用。
【請求項20】
標的核酸が生物試料中に存在する、請求項19記載の使用。
【請求項21】
少なくとも一つの一本鎖または二本鎖核酸の検出が、酵素ベース核酸増幅法にて実施される、請求項19または20記載の使用。
【請求項22】
酵素ベース核酸増幅法がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、マルチプレックスPCRまたはRT−PCR、およびリアルタイムPCRまたはRT−PCRからなる群より選択される、請求項21記載の使用。
【請求項23】
少なくとも一つの一本鎖または二本鎖核酸を蛍光定量するための、請求項19ないし22いずれかに記載の使用。
【請求項24】
− 請求項1ないし17いずれかに記載の少なくとも一つの二本鎖プローブ;
− 酵素ベース核酸増幅のための酵素;
− 酵素ベース核酸増幅に適した試薬混合物;
を含む、酵素ベース核酸増幅法にて少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を蛍光検出するためのキット。
【請求項25】
標的核酸の酵素ベース増幅に適したヌクレオチドプライマーをさらに含む、請求項24記載のキット。
【請求項26】
マルチプレックス酵素ベース核酸増幅法にていくつかの一本鎖または二本鎖標的核酸を検出するための請求項24または25記載のキットであって、該キットが請求項1ないし17いずれかに記載のいくつかの二本鎖プローブを含んでおり該標的核酸の各々が該二本鎖プローブの少なくとも一つにより検出される傾向がある、キット。
【請求項27】
以下の工程:
a)少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸と、
− 該標的核酸の検出を目的とする請求項1ないし17いずれかに記載の少なくとも一つの二本鎖プローブ、または請求項18記載の二つの核酸鎖の少なくとも一対、
− 酵素ベース核酸増幅のための酵素、
− 標的核酸の酵素ベース増幅に適したヌクレオチドプライマー、
− 酵素ベース核酸増幅に適した試薬混合物、
とを混合して反応混合物を得る工程;
b)該反応混合物を加熱することにより、反応混合物中に存在する核酸を融解させる工程;
c)該反応混合物を冷却することにより、二本鎖プローブおよびヌクレオチドプライマーを標的核酸にハイブリダイズさせる工程;
d)酵素に核酸合成を触媒させる工程;
e)工程b)ないしd)を繰り返す工程;
を含む、酵素ベース核酸増幅法にて少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸を検出するための方法であって、ここで、反応混合物からの蛍光発光の強度が工程b)ないしd)の少なくとも一つにて測定され、また、少なくとも蛍光発光の強度がバックグラウンドレベルを上回って測定されるまで工程b)ないしd)が繰り返される、方法。
【請求項28】
少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸がリアルタイムで検出される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一つの一本鎖または二本鎖標的核酸が定量される、請求項27または28記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505440(P2010−505440A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531936(P2009−531936)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003029
【国際公開番号】WO2008/044129
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(592096719)
【氏名又は名称原語表記】Bio−Rad Pasteur 
【Fターム(参考)】