説明

核酸の送達のためのリポペプチド

2〜100アミノ酸残基を有するペプチドを含み、該ペプチドの少なくとも一方の末端または該ペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基に結合された親油性基を有するリポペプチド化合物、ならびにその塩および使用。親油性基は、該ペプチドのN末端、C末端または両末端に結合され得る。親油性基は、少なくとも1つの内部アミノ酸残基(すなわち、該ペプチドのN末端またはC末端アミノ酸残基でないアミノ酸残基)に結合され得る。親油性基は、いずれかの末端または両末端と、少なくとも1つの内部アミノ酸残基に結合され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、細胞への種々の分子の送達に有用な脂質などの新規な薬物送達向上剤に関する。本発明は、かかる薬剤の一連の化合物、組成物、製剤、方法および使用を提供し、最終的に、薬物送達、治療薬、ならびに疾患および病状(例えば、被検体における遺伝子の発現または活性のモジュレーションに応答するもの)の診断および処置、に関する。より詳しくは、本発明は、化合物、リポソーム、ラメラベシクル、エマルジョン、ミセル、懸濁液、粒子、溶液および他の形態の送達向上組成物および製剤、ならびに治療方法およびこのような送達物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
被検体への治療用化合物の送達は、該化合物が標的細胞もしくは組織に達する能力の制限によって、または細胞内での該化合物の進入もしくは輸送の制限によって妨げられることがあり得る。治療用物質の送達は、一般に、細胞膜によって制限される。このような送達に対する障壁および制限により、ある結果を得るのに望ましい濃度よりずっと高い濃度の化合物を使用する必要性が生じ得、これは、毒性効果および副作用のリスクをもたらす。
【0003】
送達のストラテジーの一例は、脂質またはポリマー担体分子を用いて細胞内への化合物の輸送を改善することである。このような物質は、細胞内への選択的進入に存在する機構を利用するが、依然として核酸およびタンパク質などの外因性分子は排除し得るものである。例えば、カチオン性脂質は、薬物薬剤と相互作用し、細胞膜との接触をもたらし得るものである。また、脂質分子は、薬物薬剤用の担体としてリポソームまたは粒子に組織化させたものであり得る。リポソーム薬物担体は、薬物分子を分解から保護するとともに、その細胞による取込みを改善するものであり得る。また、リポソーム薬物担体は、静電気的および他の相互作用によって特定の化合物をカプセル封入または結合するものであり得、負電荷を有する細胞膜と相互作用して膜を通過する輸送を起こすものであり得る。
【0004】
調節性RNAの理解、ならびにとりわけ、RNA干渉(RNAi)、RNAi療法、RNA系薬物、アンチセンス療法、および遺伝子療法の開発により、細胞内への活性核酸薬剤の導入に有効な手段の必要性が増大している。一般に、核酸は、細胞または原形質内で限定的な期間のみ安定である。しかしながら、核酸系薬剤は、組成物および製剤中で安定化され得、次いで、これを細胞内送達のために分散させ得る。
【0005】
必要とされているものは、最終的に、細胞保護および比較的低い毒性を維持する治療薬としての使用のための核酸薬剤の細胞内およびインビボ送達のための組成物および製剤である。さらに、細胞に二本鎖RNAを送達してRNA干渉の応答をもたらすための組成物および方法の必要性が存在する。さらに、選択した細胞、組織または区画に干渉RNAを送達し、遺伝子発現を、表現型または疾患状態が改変される様式でモジュレートするための組成物および方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な概要
本発明は、干渉核酸またはその前駆体を、リポペプチド、脂質、および天然または合成ポリマーなどの種々の成分と組み合わせて用いる一連の新規な化合物、組成物、製剤および方法を提供することにより、このような必要性を満たし、さらなる目的および利点を実現するものである。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、2〜100アミノ酸残基と、該ペプチドの少なくとも一方の末端または少なくとも1つのアミノ酸残基に結合された親油性基とを有するペプチド、ならびにその塩および使用を包含する。親油性基は、該ペプチドのN末端、C末端または両末端に結合され得る。親油性基は、少なくとも1つの内部アミノ酸残基(すなわち、該ペプチドのN末端またはC末端アミノ酸残基でないアミノ酸残基)に結合され得る。親油性基は、いずれかの末端または両末端と、少なくとも1つの内部アミノ酸残基に結合され得る。
【0008】
この概要は、本発明の詳細説明、ならびに添付の実施例および特許請求の範囲とともに全体として本開示を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細説明
本発明は、一般的に、RNA干渉、RNA治療薬の送達、および脂質の化学の分野に関する。より詳しくは、本発明は、リボ核酸の組成物および製剤、ならびにその医薬のため、および治療薬としての送達のための使用に関する。本発明は、一般的に、哺乳動物における遺伝子発現の遺伝子特異的阻害のためのRNA干渉におけるリボ核酸の使用方法に関する。
【0010】
本発明は、干渉核酸またはその前駆体を、種々の成分、例えば、リポペプチド、脂質、リポイド部分、および天然または合成ポリマーとの組み合わせで含む一連の組成物、製剤および方法を提供する。
【0011】
一部の態様において、本発明は、細胞、組織、器官および生きている動物、例えば、哺乳動物およびヒトへの核酸、例えば、RNAi誘導剤、アンチセンスRNA薬剤、またはDNAの送達を助長する新規な組成物を提供する。
【0012】
リポペプチド
本発明は、干渉RNA薬剤またはアンチセンスRNAの送達および投与のための一連のリポペプチドを提供する。該リポペプチドは、カチオン性または非カチオン性であり得る。本明細書で用いる場合、非カチオン性は、中性およびアニオン性を含む。カチオン性リポペプチドは、1つ以上のカチオン性部位を有するものであり得る。
【0013】
本開示のリポペプチドは、ペプチドのN末端またはC末端、または該ペプチドの両末端の核酸送達向上基またはリポイド基を置換することにより形成され得る。一部の態様において、該核酸送達基またはリポイド基は、該ペプチドの1つ以上のアミノ酸残基のα−炭素または1つ以上のアミン基に連結され得、各アミン基は、該ペプチドのアミノ酸残基のα−炭素、またはN末端、C末端の組合せ、該ペプチドの1つ以上のアミノ酸残基のα−炭素、または1つ以上のアミン基に隣接しており、各アミン基は、該ペプチドのアミノ酸残基のα−炭素に隣接している。一部の実施形態において、該ペプチドのコア部には、2つ以上の連続するアミノ酸、または2〜100アミノ酸残基(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100アミノ酸残基)のペプチドが含まれ得る。
【0014】
一部の態様において、本発明は、式I:
−J−{NR−CR−(C=O)}−Z−R 式I
(式中、
は、独立して、各存在に対して、アミノ酸の非水素側鎖であり;
{NR−CR−(C=O)}は、中心ペプチドであり;
およびRは、互いに独立して、水素であるか、または炭素、酸素、窒素、イオウおよび水素原子からなり、1〜20個の炭素原子を有する有機基であるか、または、C(1〜22)アルキル、(6〜12)シクロアルキル、(6〜12)シクロアルキルアルキル、C(3〜18)アルケニル、C(3〜18)アルキニル、C(1〜5)アルカノイル、C(1〜5)アルカノイルオキシ、C(1〜5)アルコキシ、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルキル、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルコキシ、C(1〜5)アルキル−アミノ−C(1〜5)アルキル−、C(1〜5)ジアルキル−アミノ−C(1〜5)アルキル−、ニトロ−C(1〜5)アルキル、シアノ−C(1〜5)アルキル、アリール−C(1〜5)アルキル、4−ビフェニル−C(1〜5)アルキル、カルボキシル、もしくはヒドロキシルであり;
およびRは、互いに独立して、天然もしくは合成脂質、リン脂質、糖脂質、トリアシルグリセロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、もしくはガングリオシド由来の親油性テール部であり、該テール部は、ステロイド、または炭素、酸素、窒素、イオウおよび水素原子からなり、1〜20個の炭素原子を有する有機基、または置換もしくは非置換のC(1〜22)アルキル、C(6〜12)シクロアルキル、C(6〜12)シクロアルキル−アルキル、C(3〜18)アルケニル、C(3〜18)アルキニル、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルキル、またはスフィンガニン、(2R,3R)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール、イコサスフィンガニン、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、シス−4−スフィンゲニン、またはセラミドを含んでいてもよく;
Zは、NH、O、またはマレイミド、チオエーテル、アミド、システアミド、システイン、チオールを含むリンカー、またはジスルフィド基、または1〜400個の原子を含むポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド基、C、H、F、Cl、Br、N、O、S、Si、およびPの群から選択される1〜200個の原子を含むリンカーであり;
Jは、(C=O)、O、またはマレイミド、チオエーテル、アミド、システアミド、システイン、チオールを含むリンカー、またはジスルフィド基、または1〜400個の原子を含むポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド基、またはC、H、F、Cl、Br、N、O、S、Si、およびPの群から選択される1〜200個の原子を含むリンカーである;ならびに
nは、2〜100である)
に示される一連のリポペプチド構造を提供する。
【0015】
例えば、中心ペプチドが核酸に結合し得る本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0016】
例えば、中心ペプチドが両親媒性アミノ酸配列であり得る本開示のリポペプチドが作製され得る。例えば、該ペプチドは、疎水性配列ドメインまたはモチーフを構成する複数の非極性または疎水性アミノ酸残基を有するものであり得、該ドメインまたはモチーフは、電荷を有する配列ドメインまたはモチーフを構成する電荷を有する複数のアミノ酸残基に連結すると、両親媒性ペプチドが得られ得る。
【0017】
例えば、中心ペプチドが、Poly−Lys−Trp、4:1、M 20,000−50,000;Poly−Orn−Trp、4:1、M 20,000−50,000;メリチンタンパク質の断片またはバリアント、およびヒストンタンパク質(例えば、ヒストンH1、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3もしくはヒストンH4)の断片またはバリアントであり得る本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0018】
例えば、中心ペプチドが多数のカチオン性部位または正電荷を有する多数の残基を有する本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0019】
中心ペプチドは、正電荷を有する約2〜約45個の残基;正電荷を有する約3〜約45個の残基;正電荷を有する約4〜約45個の残基;正電荷を有する約5〜約45個の残基;正電荷を有する約10〜約45個の残基;正電荷を有する約15〜約45個の残基;正電荷を有する約20〜約45個の残基;正電荷を有する約25〜約45個の残基;正電荷を有する約30〜約45個の残基; 正電荷を有する約35〜約45個の残基;正電荷を有する約40〜約45個の残基を含むものであり得る。
【0020】
該ペプチドは、チオール化された実質的ポリリジンペプチドであってもよい。これは、少なくとも3、4、5、6、7、8程度のチオール基を含むものであってもよく、チオール基を2つしか有しないものであってもよい。
【0021】
例えば、中心ペプチドが、アルギニン(Arg)(配列番号341)、ホモアルギニン(homoArg)(側鎖−(CHNH(C=NH)NH)、ノルアルギニン(norArg)(側鎖−(CHNH(C=NH)NH)、ノル−ノルアルギニン(nornorArg)(側鎖−(CH)NH(C=NH)NH)、オルニチン(Om)、リジン(LyS)、(配列番号342)、ヒスチジン(His)n(配列番号343)(式中、nは、2〜100である)である本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0022】
例えば、中心ペプチドが、(Arg,His)、(Lys,His)、(Arg,Lys)、His−(Arg)−His(配列番号344)、His−(Lys)−His(配列番号345)、(His)−(Arg)−(His)(配列番号346)、または(His)−(Lys)−(His)(配列番号347)(式中、nは、2〜100である)である本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0023】
本開示のリポペプチドの中心ペプチドの例としては、表1に示したものが挙げられる。
【0024】
【表1−1】

【0025】
【表1−2】

【0026】
【表1−3】

【0027】
【表1−4】

【0028】
【表1−5】

【0029】
【表1−6】

【0030】
【表1−7】

【0031】
【表1−8】

【0032】
【表1−9】

【0033】
【表1−10】

【0034】
【表1−11】

【0035】
【表1−12】

【0036】
【表1−13】

本開示のリポペプチドの中心ペプチドの例としては、表2に示したものが挙げられる。
【0037】
【表2】

ここで、表2中のXaaは、独立して、各存在に対して、L、A、Q、H、E、R、またはKである。
【0038】
本開示のアミノ酸残基は、D−またはL−不斉中心であり得る。
【0039】
例えば、中心ペプチドがロイシン、バリン、アラニン、セリンのみ、またはその組合せを含む非カチオン性リポペプチドが作製され得る。
【0040】
例えば、中心ペプチドが、細胞または組織特異的標的化ペプチドであり得る本開示のリポペプチドが作製され得る。例えば、該ペプチドは、細胞表面(surfact)受容体と相互作用するリガンドもしくはその断片、または特定の細胞もしくは組織型の細胞表面上の脂質、ペプチド、糖類およびその組合せに選択的に結合する(the selectively binds)ペプチドであり得る。中心ペプチドは、以下の細胞型:肝細胞、内皮細胞、神経細胞、心筋細胞、骨格筋細胞(筋芽細胞または筋管)、平滑筋細胞、線維芽細胞、赤血球、T細胞、B細胞、白血球、骨芽細胞、軟骨細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞、および腫瘍細胞の1つ以上を標的化するものであり得る。
【0041】
例えば、中心ペプチドが膜融合ペプチドまたはその断片であり得る本開示のリポペプチドが作製され得る。
【0042】
例えば、中心ペプチドがSNARE(可溶性(solutable)NSF結合受容体)ペプチドまたはその断片(fragement)であり得る本開示のリポペプチドが作製され得る。例えば、中心ペプチドは、v−SNAREまたはt−SNAREであり得る。中心ペプチドは、NSF(N−エチルマレイミド(amaleimide)感受性因子)またはSNAP(可溶性NSF結合タンパク質)であり得る。
【0043】
一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは、構造1
【0044】
【化1】

(式中、R、R、R、J、Z、R、R、およびnは、上記に規定のとおりである)
で表される。
【0045】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、C14アルキル、C16アルキル、C18アルキル、または(C18:l)アルケニルであり得る。
【0046】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対してリポイド基であり得る。
【0047】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、膜を通過する送達または細胞による取込みをもたらすのに充分な親油性の特質または親油性(水/オクタノール分配などによって規定)を付与する脂質様テール部から選択され得る。一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、細胞膜アンカーリングをもたらすのに充分な親油性の特質または親油性を付与する脂質様テール部から選択され得る。このようなテール部は、アミノ酸脂質構造において使用すると、両親媒性分子をもたらす。脂質様テール部は、とりわけ、リン脂質、糖脂質、トリアシルグリセロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、またはガングリオシドに由来するものであり得、ステロイドを含むことがあり得る。
【0048】
一部の特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、グリセロール主鎖を有する脂質様テール部であり得る。
【0049】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、Cβアルキル、C7アルキル、C8アルキル、C9アルキル、C10アルキル、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキル、C16アルキル、C17アルキル、C18アルキル、C19アルキル、C20アルキル、C21アルキル、またはC22アルキルであり得る。
【0050】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、下記の構造:
【0051】
【化2】

の1つを有する親油性テール部であり得る。
【0052】
上記構造において、Xは、上記構造IのZ、J、N、またはα−炭素を表し、数字表示、例えば「18:3」にて原子の1つとしてカウントする。一部の実施形態において、Xは、炭素、窒素、または酸素原子であり得る。
【0053】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、下記の構造:
【0054】
【化3】

(式中、Xは、上記に規定のとおりである)
の1つを有する親油性テール部であり得る。
【0055】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、コレステロール、ステロールまたはステロイド(ゴナン、エストラン、アンドロスタン、プレグナン、コラン、コレスタン、エルゴスタン、カンペスタン、ポリフェラスタン、スチグマスタン、ゴルゴスタン、ラノスタン、シクロアルタンなど)、ならびに前述の任意のもののステロールまたは動物性ステロール誘導体、ならびにその生物学的中間体および前駆体(例えば、コレステロール、ラノステロール、スチグマスタノール、ジヒドロラノステロール、チモステロール、チモステノール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、ならびにその混合物および誘導体が挙げられ得る)を含むものであり得る選択した脂質様テール部であり得る。
【0056】
一部の特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、脂肪酸様テール部、例えば、ミリスチン酸(C14:0)アルケニル、パルミチン酸(C16:0)アルケニル、ステアリン酸(C18:0)アルケニル、オレイン酸(C18:1、炭素9に二重結合)アルケニル、リノール酸(C18:2、炭素9または12に二重結合)アルケニル、リノレン(linonenic)酸(C18:3、炭素9、12または15に二重結合)アルケニル、アラキドン酸(C20:4、炭素5、8、11または14に二重結合)アルケニル、およびエイコサペンタエン酸(C20:5、炭素5、8、11、14または17に二重結合)アルケニル由来のテール部に由来するものであり得る。脂肪酸様テール部の他の例は、Donald VoetおよびJudith Voet,Biochemistry,第3版(2005),p.383を見るとよい。
【0057】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、独立して、各存在に対して、イソプレノイドに由来するものであり得る。
【0058】
一部の実施形態において、Rが上記の親油性基であり得、R、RおよびRが水素であり得る。
【0059】
一部の実施形態において、Rが上記の親油性基であり得、R、RおよびRが水素であり得る。
【0060】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0061】
一部の実施形態において、R、R、Rが上記の親油性基であり得、Rが水素であり得る。
【0062】
一部の実施形態において、R、R、Rが上記の親油性基であり得、Rが水素であり得る。
【0063】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0064】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0065】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0066】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0067】
一部の実施形態において、RとRが上記の親油性基であり得、RとRが水素であり得る。
【0068】
一部の実施形態において、親油性基は、任意の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個の連続するアミノ酸残基のα−炭素に連結され得る。一部の実施形態において、親油性基は、中心ペプチドの1つおきのアミノ酸残基のα−炭素に連結され得る。一部の実施形態において、親油性基は、中心ペプチドの任意の2つの連続するアミノ酸残基のα−炭素に連結され得、該2つの連続するアミノ酸残基は各々、親油性基がα−炭素に連結されていない中心ペプチド内のアミノ酸残基に隣接している。
【0069】
一部の実施形態において、親油性基は、任意の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個の連続するアミノ酸残基のアミン基に連結され得、該アミン基は、中心ペプチドのアミノ酸残基のα−炭素に隣接している。一部の実施形態において、親油性基は、中心ペプチドの1つおきのアミノ酸残基のアミン基に連結され得る。一部の実施形態において、親油性基は、中心ペプチドの任意の2つの連続するアミノ酸残基のアミン基に連結され得、該2つの連続するアミノ酸残基は各々、親油性基がアミン基に連結されていない中心ペプチド内のアミノ酸残基に隣接しており、該アミン基は、中心ペプチドの該アミノ酸残基のα−炭素に隣接している。
【0070】
一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造2で表され、式中、zは、0〜20(すなわち、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは、0〜98(すなわち、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、または98)である。
【0071】
【化4】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造3で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0072】
【化5】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造4で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0073】
【化6】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造5で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0074】
【化7】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造6で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0075】
【化8】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造7で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0076】
【化9】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造8で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0077】
【化10】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造9で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0078】
【化11】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造10で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0079】
【化12】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造11で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0080】
【化13】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造12で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0081】
【化14】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造13で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0082】
【化15】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造14で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0083】
【化16】

一部の実施形態において、式Iに相当する一連のリポペプチドは構造15で表され、式中、zは0〜20であり、Xは、独立して各存在に対して任意のアミノ酸であり、Rは上記に規定のとおりであり、nは0〜98である。
【0084】
【化17】

本明細書で用いる場合、用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸と天然に存在しないアミノ酸を包含する。アミノ酸の例としては、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびValが挙げられる。したがって、本発明のリポペプチドは、遺伝子コードアミノ酸から作製されたもの、天然に存在する非遺伝子コードアミノ酸、または合成アミノ酸であり得る。アミノ酸の一例としては、2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2,3−ジアミノ酪酸、2,4−ジアミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、4−アミノイソ酪酸、2−アミノピメリン酸、2,2’−ジアミノピメリン酸、6−アミノヘキサン酸、6−アミノカプロン酸、2−アミノヘプタン酸、デスモシン、オルニチン、シトルリン、N−メチルイソロイシン、ノルロイシン、tert−ロイシン、フェニルグリシン、t−ブチルグリシン、N−メチルグリシン、サルコシン(sacrosine)、N−エチルグリシン、シクロヘキシルグリシン、4−オキソ−シクロヘキシルグリシン、N−エチルアスパラギン、シクロヘキシルアラニン、t−ブチルアラニン、ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、3−クロロアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−ハロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、2−チエニルアラニン、メチオニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、ノルアルギニン、ノル−ノルアルギニン、N−アセチルリジン、N−アミノフェニルアラニン、N−メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、6−N−メチルリジン、ノルバリン、O−アリル−セリン、O−アリル−トレオニン、α−アミノヘキサン酸、α−アミノ吉草酸、およびピログルタミン酸が挙げられる。
【0085】
本明細書で用いる場合、用語「アミノ酸」は、α−アミノ酸とβ−アミノ酸を包含する。
【0086】
他のアミノ酸残基は、Fasman,CRC Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,CRC Press,Inc.(1989)を見るとよい。
【0087】
一般に、化合物は、1つ以上のキラル中心を含むことがあり得る。1つ以上のキラル中心を含む化合物としては、「異性体」、「立体異性体」、「ジアステレオマー」、「エナンチオマー」、「光学異性体」または「ラセミ混合物」と示されるものが挙げられ得る。立体化学命名法の規則、例えば、Cahn,IngoldおよびPrelogの立体異性体の命名規則、ならびに立体化学の測定および立体異性体の分離のための方法は当該技術分野で知られている。例えば、Michael B. Smith and Jerry March “March’s Advanced Organic Chemistry”,第5版,2001を参照のこと。本開示の化合物および構造は、指定した化合物または構造について存在すると理解され得る可能なあらゆる異性体、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマーおよび/または光学異性体を包含するものとし、その任意の混合物、ラセミ物化合物などを包含する。
【0088】
用語「親油性基」または「リポイド基」または「脂質様テール部」または「脂溶性テール部」は、本明細書で用いる場合、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アリール、アシル、ヘテロアリール、複素環、ヘテロシクリル、アルカノイルオキシ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アロイル、およびアラルキル基 (その置換異型を含む)をいう。
【0089】
用語「アルキル」は、本明細書で用いる場合、1〜22個の炭素原子を含む分枝鎖もしくは非分枝鎖、置換もしくは非置換の飽和脂肪族基をいう。この定義は、例えば、アルコキシ、アルカノイル、アラルキルなどの他の基、および以下に定義する他の基のアルキル部分にも適用する。用語「シクロアルキル」は、本明細書で用いる場合、3〜12個の炭素原子を含む置換もしくは非置換の環状飽和アルキル環をいう。用語「アルケニル」は、本明細書で用いる場合、分枝鎖もしくは非分枝鎖、置換もしくは非置換の不飽和アルキル、または2〜22個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するシクロアルキルをいう。用語「アルキニル」は、本明細書で用いる場合、分枝鎖もしくは非分枝鎖、置換もしくは非置換の不飽和アルキル、または2〜22個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するシクロアルキルをいう。
【0090】
用語「アルコキシ」は、本明細書で用いる場合、酸素原子に共有結合されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、またはアルキニル基をいう。用語「アルカノイル」は、本明細書で用いる場合、−C(=O)−アルキルをいい、これは、択一的に「アシル」と称されることもあり得る。用語「アルカノイルオキシ」は、本明細書で用いる場合、−O−C(=O)−アルキル基をいう。用語「アルキルアミノ」は、本明細書で用いる場合、−NRR’基(式中、RおよびR’は各々、水素またはアルキルのいずれかであり、RとR’の少なくとも一方はアルキルである)をいう。アルキルアミノとしては、RとR’が環を形成しているピペリジノなどの基が挙げられる。用語「アルキルアミノアルキル」は、−アルキル−NRR’をいう。
【0091】
用語「アリール」は、本明細書で用いる場合、各環内の原子が4〜12個であり、少なくとも1つの環が芳香族である任意の安定な単環式、二環式または多環式の炭素環系をいう。アリールの一例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、およびビフェニルが挙げられる。アリール置換基が二環式であり環の1つが非芳香族である場合、結合は芳香族環に対してであることは理解されよう。アリールは置換または非置換であり得る。
【0092】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で用いる場合、各環内の原子が4〜12個であり、少なくとも1つの環が芳香族であり、酸素、窒素およびイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む任意の安定な単環式、二環式または多環式の炭素環系をいう。ヘテロアリールの一例としては、アクリジニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、およびテトラヒドロキノリニルが挙げられる。ヘテロアリールとしては、含窒素ヘテロアリールN−オキシド誘導体が挙げられる。
【0093】
用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は、本明細書で用いる場合、原子が5〜22個であり、環内原子の1〜4個が、酸素、窒素およびイオウから選択されるヘテロ原子である芳香族または非芳香族環系をいう。したがって、複素環は、ヘテロアリールまたはそのジヒドロもしくはテトラヒドロ(tetrathydro)型であり得る。
【0094】
用語「アロイル」は、本明細書で用いる場合、芳香族カルボン酸(置換安息香酸など)に由来するアリール原子団をいう。用語「アラルキル」は、本明細書で用いる場合、アルキル基に結合されたアリール基(例えば、ベンジル基)をいう。
【0095】
用語「カルボキシル」は、本明細書で用いる場合、式−C(=O)OHまたは−C(=O)Oの基を表す。用語「カルボニル」および「アシル」は、本明細書で用いる場合、酸素原子が炭素原子に二重結合で結合された基>C=Oをいう。用語「ヒドロキシル」は、本明細書で用いる場合、−OHまたは−Oをいう。用語「ニトリル」または「シアノ」は、本明細書で用いる場合、−CNをいう。用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ(−F)、クロロ(−Cl)、ブロモ(−Br)、およびヨード(−I)をいう。
【0096】
用語「置換(された)」は、本明細書で用いる場合、1つ以上の置換または置換基を有する原子をいい、該置換または置換基は同じであっても異なっていてもよく、水素置換基を包含する場合があり得る。したがって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アロイル、およびアラルキルという用語は、本明細書で用いる場合、置換異型を包含する基をいう。置換異型としては、直鎖、分枝鎖、および環状の異型、ならびに該基の任意の炭素原子に結合された1つ以上の水素と置き換えられた1つ以上の置換基を有する基が挙げられる。該基の炭素原子に結合され得る置換基としては、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アロイル、アラルキル、アシル、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アミノアシル、アルキルアミノアシル、アシルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、メルカプト、ニトロ、カルバミル、カルバモイル、および複素環が挙げられる。例えば、エチルという用語には、限定されないが、−CHCH、−CHFCH、−CFCH、−CHFCHF、−CHFCHF、−CHFCF、−CFCHF、−CFCHF、−CFCF、および上記の他の異型が包含される。
【0097】
充分に塩基性である本発明のペプチドまたはタンパク質の組成物の薬学的に許容され得る塩は、例えば、無機または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、クロロスルホン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、または酒石酸、ならびにアルカン−またはアレーンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、およびカンファースルホン酸)などとの酸付加塩であり得る。
【0098】
充分に酸性である本発明のペプチドまたはタンパク質の組成物の薬学的に許容され得る塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩)、またはアルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムもしくはマグネシウム塩)、またはアンモニウム塩、または生理学的に許容され得るカチオンをもたらす有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩であり得る。例えば、Bergeら,J. Pharm. Sci. 66:1,1971を参照のこと。
【0099】
本発明の一部の化合物、ペプチドおよび/またはタンパク質の組成物は、1つ以上のキラル中心および/または幾何異性中心(E−およびZ−異性体)を有するものであり得、本発明は、かかるあらゆる光学異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体を包含することを理解されたい。
【0100】
本発明は、本明細書に開示した化合物、ペプチドおよび/またはタンパク質の組成物の任意のあらゆる互変異性形態、溶媒和または非溶媒和形態、および水和または非水和形態を包含する。
【0101】
調節性RNAおよびRNA干渉の使用
一部の態様において、本開示は、一般的に、調節性RNAおよびRNA干渉、アンチセンス治療薬、ならびにRNA治療薬の送達の分野に関する。より詳しくは、本発明は、リボ核酸の組成物および製剤、ならびにその医薬のため、および治療薬としての送達のための使用に関する。本発明は、一般的に、疾患状態または表現型を改変するための、細胞または哺乳動物における遺伝子発現の遺伝子特異的阻害のためのRNA干渉におけるリボ核酸の使用方法に関する。
【0102】
RNA干渉は、低分子干渉RNA(siRNA)と称される二本鎖RNA(dsRNA)によって媒介される配列特異的転写後遺伝子サイレンシング方法をいう。Fireら,Nature 391:806,1998、およびHamiltonら,Science 286:950−951,1999を参照のこと。RNAiは、多様な動植物が共有しており、外来遺伝子の発現に対して進化的に保存された細胞の防御機構と考えられている。Fireら,Trends Genet. 75:358,1999を参照のこと。
【0103】
したがって、RNAiは、遺伝子発現のサイレンシングに低分子非コードRNAが使用されるユビキタスな内因性の機構である。Dykxhoorn,D.M.およびJ. Lieberman,Annu. Rev. Biomed. Eng. 5:377−402,2006を参照のこと。RNAiにより、細胞の死、分化および発生に関与している重要な遺伝子が調節され得る。また、RNAiにより、トランスポゾンおよびウイルスにコードされた遺伝子エレメントの侵入からゲノムが保護され得る。siRNAが細胞内に導入されると、これは、内因性のRNAi機構に結合して、高特異性を有する相補的な配列を含むmRNAの発現を破壊する。任意の疾患原因遺伝子および任意の細胞型または組織が潜在的に標的化され得る。この手法は、遺伝子機能の解析および薬物標的の発見と確認に、急速に利用されている。また、RNAiの利用は、治療に対して非常に有望であるが、インビボでの細胞内へのsiRNAの導入は、依然として重要な課題である。
【0104】
RNAiの機構は、まだ充分に特徴付けがなされていないが、標的mRNAの切断によるものである。RNAi応答は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られるエンドヌクレアーゼ複合体が関与しており、該複合体は、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的な単鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中央部で起こる(Elbashirら,Genes Dev. 75:188,2001)。
【0105】
RNAiを行なう様式の一例は、細胞内にsiRNAを導入すること、または細胞内でsiRNAを発現させることである。別の例の様式は、ダイサーと称される内因性リボヌクレアーゼIII酵素を利用することである。ダイサーの活性の一例は、長鎖のdsRNAをsiRNAにプロセッシングすることである。Hamiltonら,Science 286:950−951,1999;Bersteinら,Nature 409:363,2001を参照のこと。ダイサー由来のsiRNAは、典型的には、全体が約21〜23ヌクレオチド長であり、約19塩基対の二本鎖部分を有する。Hamiltonら(上掲);Elbashirら,Genes Dev. 15:188,2001を参照のこと。本質的に、長鎖のdsRNAは細胞内に、siRNAの前駆体として導入され得る。
【0106】
本発明は、調節性RNA、干渉核酸またはその前駆体を、種々の成分、例えば、脂質、アミノ酸脂質、および天然または合成ポリマーとの組み合わせで含む一連の組成物、製剤および方法を提供する。
【0107】
用語「dsRNA」は、本明細書で用いる場合、少なくとも1つのリボヌクレオチド分子を含み、例えば、RNA干渉(「RNAi」)または遺伝子サイレンシングを配列特異的様式で促進することにより遺伝子発現を阻害または下方調節し得る任意の核酸分子をいう。本開示のdsRNAは、ダイサーの好適な基質、またはRNAiによる遺伝子サイレンシングを媒介するためのRISCとの会合に好適な基質であり得る。dsRNAの一方または両方の鎖は、さらに、末端リン酸基(5’−リン酸または5’,3’−二リン酸など)を含んでいてもよい。本明細書で用いる場合、dsRNA分子は、少なくとも1つのリボヌクレオチドに加え、さらに、置換、化学修飾ヌクレオチド、および非ヌクレオチドを含んでいてもよい。一部の特定の実施形態において、dsRNA分子は、ヌクレオチドの位置の約100%までリボヌクレオチドを含むものである。
【0108】
dsRNA分子の例は、例えば、米国特許出願第11/681,725号、米国特許第7,022,828号および同第7,034,009号、ならびにPCT国際特許出願公開公報WO/2003/070897を見るとよい。
【0109】
また、本明細書で用いる場合、用語「dsRNA」は、配列特異的RNAiを媒介し得る核酸分子を示すのに使用する他の用語、とりわけ、例えば、メロデュプレックスRNA(mdRNA)、ニックの入ったdsRNA(ndsRNA)、ギャップのあるdsRNA(gdsRNA)、低分子干渉核酸(siNA)、siRNA、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉置換型オリゴヌクレオチド、低分子干渉修飾型オリゴヌクレオチド、化学修飾dsRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)と同義であることを意味する。用語「高分子二本鎖(ds)RNA」は、約40塩基対(bp)より長く約100bp以上、特に約300bp〜約500bpまでの任意の二本鎖RNAをいう。高分子dsRNAの配列は、mRNAのセグメントを表すものであってもよく、mRNA全体を表すものであってもよい。二本鎖構造は、自己相補的な核酸分子によって、または2つ以上の相違する相補的な核酸分子鎖のアニーリングによって形成され得る。
【0110】
一部の態様において、dsRNAは、第1の鎖(アンチセンス)と第2の鎖(センス)を含む2つの別々のオリゴヌクレオチドを含み、該アンチセンス鎖とセンス鎖は、自己相補的であり(すなわち、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、この別々の2つの鎖が二本鎖または二本鎖構造を形成し、例えば、該二本鎖領域は約15〜約24塩基対または約26〜約40塩基対である)、アンチセンス鎖は、標的核酸分子またはその一部分(例えば、ヒトmRNA)内のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、該標的核酸分子またはその一部分に対応する(すなわち、相同な)ヌクレオチド配列を含む(例えば、約15〜約25ヌクレオチドまたは約26〜約40ヌクレオチドのセンス鎖が標的核酸またはその一部分に対応する)。
【0111】
一部の態様において、dsRNAは、dsRNAの自己相補的なセンス鎖とアンチセンス鎖が核酸系リンカーまたは非核酸系リンカーによって一緒に連結された単一のオリゴヌクレオチドから合成され得る。一部の実施形態において、dsRNA分子の第1(アンチセンス)と第2(センス)の鎖は、本明細書に記載の当該技術分野で知られたヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによって共有結合される。一部の実施形態において、第1のdsRNA分子は、少なくとも1つの第2のdsRNA分子に当該技術分野で知られたヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによって共有結合され、ここで、第1のdsRNA分子は、同じ、または異なる、またはその任意の組合せであり得る複数の他のdsRNA分子に連結され得る。一部の実施形態において、連結されたdsRNAに、該連結されたdsRNAとのメロデュプレックスを形成する第3の鎖を含めてもよい。
【0112】
いくつかの点において、本明細書に記載のdsRNA分子は、3つ以上の鎖、例えば、「A」(第1またはアンチセンス)鎖、「S1」(第2)鎖、および「S2」(第3)鎖を有し、該「S1」鎖と「S2」鎖は「A」鎖の非オーバーラップ領域に相補的であり、該領域と塩基対(bp)を形成しているメロデュプレックスRNA(mdRNA)を形成する(例えば、mdRNAは、A:S1S2の形態を有するものであり得る)。S1鎖、S2鎖またはそれ以上の鎖は、本質的に一緒に「A」鎖に対するセンス鎖を構成する。「S1」鎖と「A」鎖のアニーリングによって形成される二本鎖領域は、「S2」鎖と「A」鎖のアニーリングによって形成される二本鎖領域と相違し、この領域とオーバーラップしない。mdRNA分子は「ギャップのある」分子(0ヌクレオチドから約10ヌクレオチドまでの範囲の「ギャップ」を意味する)である。一部の実施形態において、A:S1二本鎖はA:S2二本鎖とギャップによって分離されて、「A」鎖内に少なくとも1つの非対合ヌクレオチド(約10個までの非対合ヌクレオチド)が生じており、該非対合ヌクレオチドは、A:S1二本鎖とA:S2二本鎖の間の位置に存在し、「A」鎖、「S1」鎖または「S2」鎖の1つ以上の3’末端の任意の1つ以上の非対合ヌクレオチドとは異なる。一部の実施形態において、A:S1二本鎖はA:B2二本鎖と、A:S1二本鎖とA:S2二本鎖との間のゼロヌクレオチドのギャップ(すなわち、ポリヌクレオチド分子において、2つのヌクレオチド間のホスホジエステル結合のみが破壊または欠失しているニック)によって分離されており、これは、ニックの入ったdsRNA(ndsRNA)とも称され得る。例えば、A:S1S2は、合わせて合計約14塩基対〜約40塩基対である少なくとも2つの二本鎖領域を有し、該二本鎖領域が約0〜約10ヌクレオチドのギャップによって分離されており、任意選択で平滑末端を有するdsRNAで構成されていてもよく、A:S1S2は、10ヌクレオチドまでのギャップによって分離された少なくとも2つの二本鎖領域を有し、該二本鎖領域の少なくとも1つは約5塩基対〜13塩基対を含むdsRNAを含むものであってもよい。
【0113】
本明細書に記載のように、3つ以上の鎖を含むdsRNA分子は、「メロデュプレックス」RNA(mdRNA)と称されることがあり得る。mdRNA分子の例は、米国特許仮出願第60/934,930号および同第60/973,398号を見るとよい。
【0114】
dsRNAまたは高分子dsRNAは、置換または修飾を含むものであってもよく、該置換または修飾は、主鎖のリン酸基の結合、糖鎖、塩基またはヌクレオシドにおけるものであり得る。かかるヌクレオシドの置換としては、天然の非標準ヌクレオシド(例えば、5−メチルウリジンまたは5−メチルシチジンまたは2−チオリボチミジン)が挙げられ得、かかる主鎖、糖鎖またはヌクレオシドの修飾としては、アルキルまたはヘテロ原子での置換または付加(メチル、アルコキシアルキル、ハロゲン、窒素もしくはイオウなど)、あるいは当該技術分野で知られた他の修飾が挙げられ得る。
【0115】
用語「ピリミジン」は、本明細書で用いる場合、慣用的なピリミジン塩基、例えば、標準的なピリミジン塩基であるウラシルとシトシンをいう。また、ピリミジンという用語は、天然の非標準的ピリミジン塩基または酸、例えば、5−メチルウラシル、4−チオウラシル、プソイドウラシル、ジヒドロウラシル、オロチン酸、5−メチルシトシンなど、ならびに化学修飾塩基または「ユニバーサル塩基」などを包含することが想定され、これらは、本開示の核酸分子内の標準的なピリミジンの代わりに使用され得る。本開示のdsRNAにおける使用に適したピリミジンの例としては、米国特許第6,846,827号(引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたものが挙げられる。
【0116】
用語「プリン」は、本明細書で用いる場合、慣用的なプリン塩基、例えば、標準的なプリン塩基であるアデニンとグアニンをいう。また、プリンという用語は、天然の非標準的プリン塩基または酸、例えば、N2−メチルグアニン、イノシン、2,6−アミノプリンなど、ならびに化学修飾塩基または「ユニバーサル塩基」などを包含することが想定され、これらは、本開示の核酸分子内の標準的なプリンの代わりに使用され得る。
【0117】
また別の実施形態において、mdRNAまたはdsRNAは、式:
【0118】
【化18】

(式中、XはOまたはCHであり、YはOであり、ZはCHであり;Rは、アデニン、シトシン、グアニン、ヒポキサンチン、ウラシル、チミン、2,6−ジアミノプリン、C−フェニル、C−ナフチル、イノシン、アゾールカルボキサミド、1−β−D−リボフラノシル−4−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−6−ニトロインドール、または1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールおよび複素環からなる群より選択され、該複素環は、置換1,3−ジアジン、非置換1,3−ジアジンおよび非置換7Hイミダゾ[4,5]l,3ジアジンからなる群より選択され;R、Rは、独立して、H、OH、DMTO、TBDMSO、BnO、THPO、AcO、BzO、OP(NiPr)O(CHCN、OPOH、二リン酸、および三リン酸からなる群より選択され、該RとRは一緒にPhCHO、TIPDSOまたはDTBSOであってもよい)
を有する1つ以上のヌクレオチドを含む。
【0119】
また別の実施形態において、mdRNAまたはdsRNAは、1つ以上のユニバーサル結合ヌクレオチドを含む。ユニバーサル結合ヌクレオチドの非限定的な例としては、C−フェニル、C−ナフチル、イノシン、アゾールカルボキサミド、1−β−D−リボフラノシル−4−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−6−ニトロインドール、または1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールが挙げられる。一部の特定の態様において、本開示は、RNAiにより標的遺伝子の発現を低減させるmdRNAまたはdsRNAの使用方法、および1つ以上のmdRNAまたはdsRNAを含む組成物を提供し、ここで、少なくとも1つのmdRNAまたはdsRNAは、mdRNAまたはdsRNA二本鎖のアンチセンス鎖のアンチコドン内の第1、第2または第3の位置に1つ以上のユニバーサル結合ヌクレオチドを含み、mdRNAまたはdsRNAは、細胞によって発現されるRNAなどの標的配列に特異的に結合し得るものである。標的RNAの配列が1つ以上の単一ヌクレオチド置換を含む場合、ユニバーサル結合ヌクレオチドを含むmdRNAまたはdsRNAは、標的RNAに特異的に結合する能力を保持しており、それにより遺伝子サイレンシングを媒介し、その結果、標的のmdRNAまたはdsRNA媒介性遺伝子サイレンシングの逸出が克服される。
【0120】
上記の組成物の非限定的な例としては、mdRNAまたはdsRNA分子のアンチセンス鎖のアンチコドン内のチロシン(AUA)またはフェニルアラニン(AAAもしくはGAA)、システイン(ACAもしくはGCA)、ヒスチジン(AUGもしくはGUG)、アスパラギン(AUUもしくはGUU)、イソロイシン(UAU)およびアスパラギン酸(AUCもしくはGUC)のアンチコドンの修飾が挙げられる。
【0121】
例えば、一部の特定の実施形態において、AUAが対応するコドンであるイソロイシンのアンチコドンUAUは、第3位のウリジン(U)ヌクレオチドがユニバーサル結合ヌクレオチドイノシン(I)で置換され、アンチコドンUAIがもたらされるように修飾され得る。イノシンは、アデノシン(A)、ウリジン(U)、およびシチジン(C)ヌクレオチドとヌクレオチド対合し得るが、グアノシン(G)とはしない例示的なユニバーサル結合ヌクレオチドである。この修飾アンチコドンUAIにより、mdRNAまたはdsRNA分子の特異的結合能が増大し、したがって、mdRNAまたはdsRNAが、コード鎖の対応する位置内にAUA、UUAおよびCUAのいずれか1つを有するmRNAと対合することが可能となり、それにより、mdRNAまたはdsRNAが特異的に結合し得る利用可能なRNA分解標的の数が増大する。
【0122】
あるいはまた、アンチコドンAUAはまた、あるいは択一的に、アンチコドンの第3または第2位のユニバーサル結合ヌクレオチドを、UAI(第3位の置換)またはUIU(第2位の置換)で表されるアンチコドン(1つまたは複数)によってAUA、CUAおよびUUAならびにAAA、ACAおよびAUAに特異的に結合し得るmdRNAまたはdsRNAが得られるように置換することにより修飾され得る。
【0123】
一部の特定の態様において、本明細書に開示したmdRNAまたはdsRNAは、約1ユニバーサル結合ヌクレオチド〜約10ユニバーサル結合ヌクレオチドを含むものであり得る。一部の特定の態様において、ここに開示したmdRNAまたはdsRNAは、標的遺伝子の配列に相同なセンス鎖と、センス鎖に相補的なアンチセンス鎖とを含むものであり得るが、1つ以上のユニバーサル結合ヌクレオチドでの置き換え以外は相補的なmdRNAまたはdsRNA二本鎖のアンチセンス鎖の少なくとも1つのヌクレオチドは、1つ以上のユニバーサル結合ヌクレオチドで置き換えられているものとする。
【0124】
1つ以上のユニバーサル結合ヌクレオチドが置換される位置に関係なく、mdRNAまたはdsRNA分子は標的遺伝子およびその1つ以上のバリアントに結合し得るものであり、それにより、ダイサーまたはRISC複合体による該標的遺伝子またはそのバリアントの分解が助長され得ることは理解されよう。したがって、本開示のmdRNAまたはdsRNAは、細胞内に導入してTNF遺伝子またはそのバリアントの被標的化転写後遺伝子サイレンシングを媒介するのに適している。mdRNAまたはdsRNAが細胞内に挿入されると、mdRNAまたはdsRNA二本鎖が解かれ、アンチセンス鎖がmRNAとアニーリングし、ダイサー基質が形成されるか、またはアンチセンス鎖がタンパク質の合成に負荷され、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)が形成される。
【0125】
また別の実施形態において、mdRNAまたはdsRNAは、1つ以上の2’−糖鎖置換を含む。2’−糖鎖置換の非限定的な例としては、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル、2’−O−2−メトキシエチル、2’−糖鎖置換がハロゲンであるもの、または2’−糖鎖置換が2’−フルオロであるもの、または2’−糖鎖置換が2’−O−アリルであるものが挙げられる。
【0126】
また別の実施形態において、mdRNAまたはdsRNAは、少なくとも1、2、3、4、5またはそれ以上の塩基対(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の塩基対)を含み(comprising)、各塩基対が2,6−ジアミノプリンと対合した5−メチルウリジン塩基を含み、各塩基対の5−メチルウリジンがガイド鎖(アンチセンス鎖)内に存在するか、または各塩基対の5−メチルウリジンがパッセンジャー鎖(センス鎖)内に存在する。
【0127】
本開示の任意の一実施形態において、該RNAの二本鎖領域内に2,6−ジアミノプリンと対合した5−メチルウリジン塩基を含む塩基対
は以下のようなものであり得る:
【0128】
【化19】

この概略図において、5−メチルウリジン(uridne):2,6−ジアミノプリン塩基対は、3つの水素結合(鎖線は水素結合を表す)を有する。該塩基対は、1つ、2つまたは3つの水素結合を有するものであり得、好ましくは該塩基対は、1つの水素結合、より好ましくは2つの水素結合、最も好ましくは3つの水素結合を有する。
【0129】
本開示の任意の一実施形態において、該RNAの二本鎖領域は、
【0130】
【化20】

を含む少なくとも1つの非標準塩基対を含む。
【0131】
この概略図において、R、R、R、RおよびRは、独立して、炭素、酸素、窒素、イオウ、水素、セレン、ケイ素、ハロゲン、塩素、フッ素および臭素から選択される1〜20(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)個の原子からなる任意の1つまたはそれ以上の有機基である。断続線は、上記構造内に存在または非存在のいずれかである任意選択の結合を示す。この概略図において、上記構造に水素結合は表示していない。しかしながら、かかる水素結合は、RとRの水素結合供与基と水素結合受容基間、Rの水素結合供与基と上記のピリミジン構造の第3位の窒素(水素結合受容体)間、およびRとRの水素結合供与基と水素結合受容基間に形成され得る。本開示の一実施形態において、R4が水素結合供与基を有し、R7が水素結合受容基を有し、R5が水素結合供与基を有し、R6が水素結合供与基を有し、R9が水素結合受容基を有する。別の実施形態では、R4が水素結合受容基を有し、R7が水素結合供与基を有し、R5が水素結合供与基を有し、R6が水素結合供与基を有し、R9が水素結合受容基を有する。別の実施形態では、R4が水素結合受容基を有し、R7が水素結合供与基を有し、R5が水素結合供与基を有し、R6が水素結合受容基を有し、R9が水素結合供与基を有する。
【0132】
本開示の任意の一実施形態において、該RNAの二本鎖領域は、
【0133】
【化21】

を含む少なくとも1つの非標準塩基対を含む。
【0134】
この概略図において、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、炭素、酸素、窒素、イオウ、水素、セレン、ケイ素、ハロゲン、塩素、フッ素および臭素から選択される1〜20(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20)個の原子からなる任意の1つまたはそれ以上の有機基である。断続線は、上記構造内に存在または非存在のいずれかである任意選択の結合を示す。上記の2つの構造の置換基間の鎖線は、水素結合の存在を示す(この概略図には3つの水素結合が示されている)。別の実施形態において、R4は供与基を有し、R7は受容基を有する。別の実施形態では、R4が受容基を有し、R7が受容基を有する。別の実施形態では、R5が供与基を有し、R8が受容基を有する。別の実施形態では、R5が受容基を有し、R8が受容基を有する。別の実施形態では、R6が供与基を有し、R9が受容基を有する。別の実施形態では、R6が受容基を有し、R9が受容基を有する。
【0135】
本開示の別の態様は、非環式ヌクレオチドモノマーを含むmdRNAまたはdsRNAである。好ましい実施形態において、非環式ヌクレオチドモノマーは、2’−3’−セコ−ヌクレオチドモノマーである。好ましくは、非環式ヌクレオチドモノマーは、モノマーE、F、G、H、IまたはJ(下記参照)からなる群より選択される。
【0136】
【化22】

非環式ヌクレオチドモノマーの他の例は、例えば、PCT特許出願PCT/US2008/64417(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0137】
また、本明細書で用いる場合、用語「RNAi」は、配列特異的RNA干渉を示すのに使用する他の用語、例えば、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳の阻害、またはエピジェネティクスなどに相当することを意味する。例えば、本開示のdsRNA分子は、エピジェネティクスにより遺伝子を、転写後レベルまたは転写前レベルまたはその任意の組合せでサイレンシングするために使用され得る。
【0138】
一部の態様において、本発明は、1種類以上の標的転写物に標的化される1種類以上のRNAi誘導剤を、1種類以上の送達成分とともに含む組成物を提供する。送達成分の例としては、リポペプチド、脂質、結合リポイド部分または天然または合成結合ポリマーを有するペプチド、およびポリマー脂質が挙げられる。
【0139】
本発明の組成物および製剤は、RNAi誘導存在体(dsRNA、siRNA、mdRNA、miRNA、shRNA、またはRNAi誘導ベクターなど)をそのままの哺乳動物被検体の細胞に送達するために使用され得、またこのような薬剤を培養細胞に送達するためにも使用され得る。
【0140】
また、本発明は、1種類以上のRNAi誘導存在体を、哺乳動物の体内の器官および組織に送達するための方法を提供する。一部の実施形態において、RNAi誘導存在体と1種類以上のリポペプチド成分を含む組成物が、種々の経路によって導入され、体内で輸送され、1つ以上の器官または組織の細胞によって取り込まれ、そこで標的転写物の発現がモジュレートされる。
【0141】
本発明は、種々のリポペプチド、脂質、または核酸の治療用送達および遺伝子サイレンシングRNAに有用な結合リポイド部分もしくは天然または合成ポリマーを有するペプチドを有する薬学的に許容され得る核酸組成物を提供する。特に、本発明は、標的核酸配列の翻訳または遺伝子の発現を低減、下方調節またはサイレンシングするために、dsRNAをインビトロおよびインビボ送達するための組成物および方法を提供する。このような組成物および方法は、哺乳動物の疾患の予防および/または処置のために使用され得る。
【0142】
本発明の例示的な方法では、リボ核酸分子(dsRNA、siRNA、mdRNA、またはshRNAなど)をリポペプチドと接触させて組成物を製剤化し、これが、細胞または被検体(哺乳動物など)に投与され得る。一部の実施形態において、本発明は、核酸含有組成物を細胞と接触させることにより、干渉RNA薬剤(dsRNA、siRNA、mdRNA、またはshRNAなど)を細胞内送達するための方法を提供する。
【0143】
例示的な実施形態において、本発明は、核酸分子(二本鎖リボ核酸(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、メロデュプレックスRNA(mdRNA)、または低分子ヘアピンRNA(shRNA)など)を、核酸分子の細胞内送達を向上させる組成物を形成するためのリポペプチドと混合または複合体形成された状態で含む組成物を包含する。一部の実施形態において、本発明の送達組成物は、干渉RNA薬剤と、1種類、2種類またはそれ以上のリポペプチドと、1種類以上のポリマー脂質とを含むものであり得る。
【0144】
一部の特定の実施形態において、リポペプチドと核酸のN/P比は、約0.5〜約8、約1〜約4、または約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9もしくは約4である。
【0145】
本発明の組成物は、干渉RNA薬剤が組み込まれ得る安定な粒子を形成するものであり得る。本発明の組成物および製剤には、さらに、送達向上成分または賦形剤が含まれ得る。
【0146】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、約5nm〜約400nmの直径を有する安定なRNA−脂質粒子を含むものである。一部の実施形態において、該粒子は、約10nm〜約300nmの均一な直径を有するものであり得る。一部の実施形態において、該粒子は、約50nm〜約150nmの均一な直径を有するものであり得る。
【0147】
本発明の例示的な組成物において、干渉RNA薬剤は、標的細胞を裸のdsRNAと接触させた場合と比べてdsRNAの細胞内送達を向上させる組成物を形成するためのリポペプチドと混合または複合体形成され得る。
【0148】
RNAの送達および投与のための脂質
本発明の一部の態様において、リポペプチドおよびさらなる脂質が、RNA成分の送達および投与のために使用される。より詳しくは、本発明の組成物は、1種類以上のリポペプチド(カチオン性であり得る)を、他のカチオン性脂質および非カチオン性脂質とともに含むものであり得る。
【0149】
カチオン性脂質は、モノカチオン性またはポリカチオン性であり得る。非カチオン性脂質としては、中性脂質、および特定のpHにおいて正味電荷がほぼゼロである脂質(例えば、両性脂質)が挙げられる。また、非カチオン性脂質にはアニオン性脂質も包含される。
【0150】
一部の実施形態において、組成物は、RNA成分と、リポペプチドおよび(非リポペプチド)カチオン性脂質との混合物または複合体である。一部の実施形態において、組成物は、1種類以上の干渉RNA薬剤と、1種類以上のリポペプチドおよび1種類以上のカチオン性脂質との混合物または複合体であり得る。
【0151】
カチオン性脂質の例としては、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、1,2−ビス(ジミリストイルオキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DMTAP);1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);3−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール(DC−Chol);3β−[N’,N’−ジグアニジノエチル−アミノエタン)カルバモイルコレステロール(BGTC);2−(2−(3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)プロピルアミノ)アセトアミド)−N,N−ジテトラデシルアセトアミド(RPR209120);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0152】
カチオン性脂質の例としては、1,2−ジアルケノイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(EPC)、例えば、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリンなど、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0153】
ポリカチオン性脂質の例としては、テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン(TMTPS)、テトラメチルテトラオレイルスペルミン(TMTOS)、テトラメチル(methly)テトララウリルスペルミン(TMTLS)、テトラメチルテトラミリスチルスペルミン(TMTMS)、テトラメチルジオレイルスペルミン(TMDOS)、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0154】
ポリカチオン性脂質の例としては、2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジオクタデシルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS);2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジ(Z)−オクタデカ−9−ジエニルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS−9−エン);2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジ(9Z、12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DLinGS);3−β−(N−(N,N−ジカルボベンゾキシスペルミジン)カルバモイル)コレステロール(GL−67);(9Z,9’Z)−2−(2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)ペンタンアミド)プロパン−1,3−ジイル−ジオクタデス−9−エノエート(DOSPER);2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパナミニウム(propanaminium)トリフルオロアセテート(DOSPA);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0155】
カチオン性脂質の例としては、表3に示したものが挙げられる。
【0156】
【表3】

カチオン性脂質の例は、米国特許第4,897,355号;同第5,279,833号;同第6,733,777号;同第6,376,248号;同第5,736,392号;同第5,334,761号;同第5,459,127号;同第5,208,036号;同第5,264,618号;同第5,283,185号;同第5,753,613号;同第5,785,992号;および米国特許出願公開第2005/0064595号に記載されている。
【0157】
一部の実施形態において、該組成物は、RNA成分と、リポペプチドおよび非カチオン性脂質との混合物または複合体である。一部の実施形態において、該組成物は、1種類以上のRNA成分と、1種類以上のリポペプチドおよび1種類以上の非カチオン性脂質との混合物または複合体である。非カチオン性脂質には、中性、両性、およびアニオン性脂質が包含される。
【0158】
一部の実施形態において、該組成物は、RNA成分と、カチオン性リポペプチドおよび(非リポペプチド)非カチオン性または中性脂質との混合物または複合体である。
【0159】
一部の実施形態において、該組成物は、1種類以上のRNA成分と、1種類以上のカチオン性リポペプチド、1種類以上の(非リポペプチド)カチオン性脂質、および1種類以上の(非リポペプチド)非カチオン性または中性脂質との混合物または複合体である。
【0160】
非カチオン性脂質の例としては、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロール(DLG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール(DMG);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール(DSG);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DLPA);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DMPA);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DPPA);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DSPA);1,2−ジアラキドイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−0−エチル−3−ホスホコリン(クロリドまたはトリフレート;DPePC);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DLPE);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DLPG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DMPG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロール(アンモニウム塩;DMP−sn−1−G);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DPPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロ (ナトリウム塩;DSPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロール(ナトリウム塩;DSP−sn−1−G);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン(ナトリウム塩;DPPS);1−パルミトイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(PLinoPC);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(アンモニウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−4o−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(P−lyso−PC);1−ステアロイル−2−lyso−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(S−lyso−PC);およびその混合物が挙げられる。
【0161】
非カチオン性脂質の例としては、ポリマー化合物およびポリマー−脂質コンジュゲートまたはポリマー脂質、例えば、分子量300、500、1000、1500,2000、3500、5000、または10,000のPEG領域を有するペグ化脂質、例えば、ポリエチレングリコール、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000)−1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DMPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−5000)−1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DMPE−MPEG−5000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DPPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DPPE−MPEG−5000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール750)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−750);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−5000);硫酸コレステリルナトリウム(SCS);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0162】
非カチオン性脂質の例としては、ポリマー脂質(DOPE−PEG、DLPE−PEG、DDPE−PEG DLinPE−PEGなど)、およびジアシルグリセロール−PEG−2000、−5000または−10,000が挙げられる。
【0163】
非カチオン性脂質の例としては、ポリマー脂質、例えば多分枝鎖ペグ化化合物、例えば、DSPE−PTE020およびDSPE−AM0530Kが挙げられる。
【0164】
非カチオン性脂質の例としては、DSPE−PG8Gポリグリセリン脂質などのポリマー脂質が挙げられる。
【0165】
非カチオン性脂質の例としては、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジデカノイルホスファチジルコリン(DDPC)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(DPhPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、および1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPhPC)が挙げられる。
【0166】
非カチオン性脂質の例としては、コレステロール、ステロール、およびステロイド(ゴナン、エストラン、アンドロスタン、プレグナン、コラン、コレスタン、エルゴスタン、カンペスタン、ポリフェラスタン、スチグマスタン、ゴルゴスタン、ラノスタン、シクロアルタンなど)、ならびに前述の任意のもののステロールまたは動物性ステロール誘導体、ならびにその生物学的中間体および前駆体(例えば、コレステロール、ラノステロール、スチグマスタノール、ジヒドロラノステロール、チモステロール、チモステノール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、ならびにその混合物および誘導体が挙げられ得る)が挙げられる。
【0167】
非カチオン性脂質の例としては、ペグ化コレステロール、およびコレスタン3−オキソ(C1〜22アシル)誘導体、例えば、酢酸コレステリル、アラキドン酸コレステリル、酪酸コレステリル、ヘキサン酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、n−デカン酸コレステリル、ドデカン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ベヘン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ネルボン酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、n−バレリアン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、エライジン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、ヘプタン酸コレステリル、リノールエライジン酸コレステリル、リノール酸コレステリルなど、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0168】
非カチオン性脂質の例としては、植物ステロール、例えば、フィトステロール、β−シトステロール、カンプエステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、δ−7−スチグマステロール、δ−7−アベナステロールに由来する化合物ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0169】
非カチオン性脂質の例としては、胆汁酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、メチル−リトコール酸、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0170】
非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、グルココルチコイド、コルチゾール、ヒドロコルチゾン、コルチコステロン、Δ−プレグネノロン、プロゲステロン、デオキシコルチコステロン、17−OH−プレグネノロン、17−OH−プロゲステロン、11−ジオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩、アンドロステンジオン、アルドステロン、18−ヒドロキシコルチコステロン、テトラヒドロコルチゾール、テトラヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、6α−メチルプレジソン(predisone)、9α−フルオロ−16α−ヒドロキシプレドニゾロン、9α−フルオロ−16α−メチルプレドニゾロン、9α−フルオロコルチゾールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0171】
非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、アンドロゲン(adrogen)、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオン、アンドロステンジオン、3α,5α−アンドロスタンジオールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0172】
非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、エストロゲン、エストリオール、エストロン、エストラジオール、ならびにその混合物および誘導体に由来する化合物が挙げられる。
【0173】
非カチオン性脂質の例としては、ルミステロールおよびビタミンD化合物に由来する化合物が挙げられる。
【0174】
非カチオン性脂質の例としては、表4に示すC10:0〜C22:6ホスホエタノールアミンの範囲の脂質が挙げられる。
【0175】
【表4】

アニオン性脂質の例としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、血小板活性化因子(PAF)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル−DL−グリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトール(pi(4)p、pi(4,5)p2)、カルジオリピン(ナトリウム塩)、リゾホスファチド、水素添加リン脂質、スフィンゴ脂質、ガングリオシド、フィトスフィンゴシン、スフィンガニン、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0176】
一部の特定の態様において、リポペプチドは、核酸(例えば、RNA)を含めない送達成分の約10%〜約100モル%の割合である。他の一部の実施形態において、リポペプチドは、送達成分の約20%〜約80%、もしくは約30%〜約70%、もしくは約40%〜約60モル%の割合であるか、または送達成分の約20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95モル%の割合である。
【0177】
さらなる送達脂質
本発明の一部の態様において、アミノ酸脂質とさらなる非アミノ酸脂質が、調節性RNA成分、RNAアンタゴニスト、干渉RNA、または核酸の送達および投与のために使用され得る。より詳しくは、本発明の組成物は、1種類以上のアミノ酸脂質を、非アミノ酸カチオン性脂質および非アミノ酸非カチオン性脂質とともに含むものであり得る。
【0178】
非アミノ酸カチオン性脂質は、モノカチオン性またはポリカチオン性であり得る。非アミノ酸カチオン性脂質の一例としては、中性脂質、および特定のpHにおいて正味電荷がほぼゼロである脂質(例えば、両性脂質)が挙げられる。また、非アミノ酸非カチオン性脂質には、アニオン性脂質も包含される。
【0179】
一部の実施形態において、組成物は、RNA成分とアミノ酸脂質および非アミノ酸カチオン性脂質との混合物または複合体である。一部の実施形態において、該組成物は、1種類以上の調節RNA薬剤または干渉RNA薬剤と1種類以上のアミノ酸脂質および1種類以上の非アミノ酸カチオン性脂質との混合物または複合体であり得る。
【0180】
本開示の化合物および組成物は、活性剤を生物体の細胞、組織、器官または領域に送達するための種々の標的化リガンドもしくは標的化剤と混合され得るか、またはこれらに結合され得る。標的化剤の例としては、抗体、受容体のリガンド、ペプチド、タンパク質、レクチン、(多)糖類、ガラクトース、マンノース、シクロデキストリン、核酸、DNA、RNA、アプタマー、およびポリアミノ酸が挙げられる。
【0181】
非アミノ酸カチオン性脂質の例としては、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、1,2−ビス(ジミリストイルオキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DMTAP);1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB);3−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル)コレステロール(DC−Choi);3β−[N’,N’−ジグアニジノエチル−アミノエタン)カルバモイルコレステロール(BGTC);2−(2−(3−(ビス(3−アミノプロピル)アミノ)プロピルアミノ)アセトアミド)−N,N−ジテトラデシルアセトアミド(RPR209120);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0182】
非アミノ酸カチオン性脂質の例としては、1,2−ジアルケノイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン(EPCs)、例えば、1,2−ジオレイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0183】
非アミノ酸カチオン性脂質の例としては、1,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DSDMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,Nジメチル−3−アミノプロパン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLinDMA)、および1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLenDMA)が挙げられる。
【0184】
非アミノ酸ポリカチオン性脂質の例としては、テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン(TMTPS)、テトラメチルテトラオレイルスペルミン(TMTOS)、テトラメチルテトララウリルスペルミン(TMTLS)、テトラメチルテトラミリスチルスペルミン(TMTMS)、テトラメチルジオレイルスペルミン(TMDOS)、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0185】
非アミノ酸ポリカチオン性脂質の例としては、2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジオクタデシルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS);2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジ(Z)−オクタデカ−9−ジエニルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DOGS−9−エン);2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)−N−(2−(ジ(9Z、12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニルアミノ)−2−オキソエチル)ペンタンアミド(DLinGS);3−β−(N−(N−ジカルボベンゾキシスペルミジン)カルバモイル)コレステロール(GL−67);(9Z,9’Z)−2−(2,5−ビス(3−アミノプロピルアミノ)ペンタンアミド)プロパン−1,3−ジイル−ジオクタデス−9−エノエート(DOSPER);2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパナミニウム トリフルオロアセテート(DOSPA);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0186】
非アミノ酸カチオン性脂質の例としては、DS404−28 BGTC(CAS 182056−06−0)、DOSPER(CAS 178532−92−8)、GL−67 (179075−30−0)、RPR209120(CAS 433292−13−8)、DOGS(12050−77−7)、DOGS(9−エン、C18:l)、DLinGS(C1 8:2)、およびDOTMA(104162−48−3)が挙げられる。
【0187】
非アミノ酸カチオン性脂質の例は、米国特許第4,897,355号;同第5,279,833号;同第6,733,777号;同第6,376,248号;同第5,736,392号;同第5,334,761号;同第5,459,127号;米国特許出願公開第2005/0064595号;米国特許第5,208,036号;同第5,264,618号;同第5,279,833号;同第5,283,185号;同第5,753,613号;および同第5,785,992号に記載されている。
【0188】
一部の実施形態において、該組成物は、RNA成分と、アミノ酸脂質および非アミノ酸非カチオン性脂質との混合物または複合体である。一部の実施形態において、該組成物は、1種類以上のRNA成分と、1種類以上のアミノ酸脂質および1種類以上の非アミノ酸非カチオン性脂質との混合物または複合体である。
【0189】
非アミノ酸非カチオン性脂質には、中性、両性、およびアニオン性脂質が包含される。したがって、非カチオン性両性脂質には、カチオン性ヘッド基が含まれることがあり得る。
【0190】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロール(DLG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール(DMG);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール(DPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール(DSG);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DLPA);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DMPA);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DPPA);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジン酸(ナトリウム塩;DSPA);1,2−ジアラキドイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DAPC);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DLPC);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DMPC);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−O−エチル−3−ホスホコリン(クロリドまたはトリフレート;DPePC);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DLPE);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DMPE);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE);1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DLPG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DMPG);1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロール(アンモニウム塩;DMP−sn−1−G);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;DPPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロ(ナトリウム塩;DSPG);1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−sn−1−グリセロール(ナトリウム塩;DSP−sn−1−G);1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン(ナトリウム塩;DPPS);1−パルミトイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(PLinoPC);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(POPC);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(ナトリウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホグリセロール(アンモニウム塩;POPG);1−パルミトイル−2−4o−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(P−lyso−PC);1−ステアロイル−2−lyso−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(S−lyso−PC);およびその混合物が挙げられる。
【0191】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ポリマー化合物およびポリマー−脂質コンジュゲートまたはポリマー脂質、例えば、分子量300、500、1000、1500,2000、3500、または5000のPEG領域を有するペグ化脂質、例えば、ポリエチレングリコール、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−2000)−1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DMPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール−5000)−1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DMPE−MPEG−5000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DPPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DPPE−MPEG−5000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール750)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−750);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−2000);N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール5000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(ナトリウム塩;DSPE−MPEG−5000);硫酸コレステリルナトリウム(SCS);その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0192】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ポリマー脂質、例えば、DOPE−PEG、DLPE−PEG、DDPE−PEG DLinPE−PEG、およびジアシルグリセロール−PEG−2000または−5000などが挙げられる。
【0193】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ポリマー脂質、例えば多分枝鎖ペグ化化合物、例えば、DSPE−PTE020およびDSPE−AM0530Kなどが挙げられる。
【0194】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、DSPE−PG8Gポリグリセリン脂質などのポリマー脂質が挙げられる。
【0195】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン(DPhPE)、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、および1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPhPC)が挙げられる。
【0196】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、コレステロール、ステロール、およびステロイド(ゴナン、エストラン、アンドロスタン、プレグナン、コラン、コレスタン、エルゴスタン、カンペスタン、ポリフェラスタン、スチグマスタン、ゴルゴスタン、ラノスタン、シクロアルタンなど)、ならびに前述の任意のもののステロールまたは動物性ステロール誘導体、ならびにその生物学的中間体および前駆体(例えば、コレステロール、ラノステロール、スチグマスタノール、ジヒドロラノステロール、チモステロール、チモステノール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、ならびにその混合物および誘導体が挙げられ得る)が挙げられる。
【0197】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ペグ化コレステロール、およびコレスタン3−オキソ(C1〜22アシル)誘導体、例えば、酢酸コレステリル、アラキドン酸コレステリル、酪酸コレステリル、ヘキサン酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、n−デカン酸コレステリル、ドデカン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ベヘン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ネルボン酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、n−バレリアン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、エライジン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、ヘプタン酸コレステリル、リノールエライジン酸コレステリル、リノール酸コレステリルなど、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0198】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、植物ステロール、例えば、フィトステロール、β−シトステロール、カンプエステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、δ−7−スチグマステロール、δ−7−アベナステロールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0199】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、胆汁酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、メチル−リトコール酸、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0200】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、グルココルチコイド、コルチゾール、ヒドロコルチゾン、コルチコステロン、Δ−プレグネノロン、プロゲステロン、デオキシコルチコステロン、17−OH−プレグネノロン、17−OH−プロゲステロン、11−ジオキシコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩、アンドロステンジオン、アルドステロン、18−ヒドロキシコルチコステロン、テトラヒドロコルチゾール、テトラヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、6α−メチルプレジソン、9α−フルオロ−16α−ヒドロキシプレドニゾロン、9α−フルオロ−16α−メチルプレドニゾロン、9α−フルオロコルチゾールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0201】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、アンドロゲン、テストステロン、ジヒドロテストステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオン、アンドロステンジオン、3α,5α−アンドロスタンジオールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0202】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ステロイド、例えば、エストロゲン、エストリオール、エストロン、エストラジオールに由来する化合物、ならびにその混合物および誘導体が挙げられる。
【0203】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、ルミステロールおよびビタミンD化合物に由来する化合物が挙げられる。
【0204】
非アミノ酸非カチオン性脂質の例としては、C10:0〜C22:6の範囲のテール部を有する脂質、例えば、DDPE (C10:0)(CAS 253685−27−7)、DLPE (C12:0)(CAS 59752−57−7)、DSPE (C18:0)(CAS 1069−79−0)、DOPE (C18:l)(CAS 4004−05−1)、DLinPE (C 18:2)(CAS 20707−71−5)、DLenPE (C 18:3)(CAS 34813−40−6)、DARAPE (C20:4)(CAS 5634−86−6)、DDHAPE (C22:6)(CAS 123284−81−1)、DPhPE (16:0[(CH])(CAS 201036−16−0)が挙げられる。
【0205】
非アミノ酸アニオン性脂質の例としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、血小板活性化因子(PAF)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル−DL−グリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトール(pi(4)p、pi(4,5)p2)、カルジオリピン(ナトリウム塩)、リゾホスファチド、水素添加リン脂質、スフィンゴ脂質、ガングリオシド、フィトスフィンゴシン、スフィンガニン、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物が挙げられる。
【0206】
投与のための組成物および製剤
本発明の核酸組成物および製剤は、例えば、静脈内、非経口または腹腔内経路によって全身送達がもたらされる種々の経路によって投与され得る。一部の実施形態において、siRNAは、例えば、標的組織(肺もしくは肝臓など)または炎症組織の細胞内に細胞内送達され得る。本開示には、被検体の細胞を取り出し、取り出した細胞にsiRNA薬剤を送達し、被検体に該細胞を再導入することによる、siRNA薬剤の送達のための組成物および方法が包含される。一部の実施形態において、本発明は、インビボでのsiRNA送達のための方法を提供する。核酸組成物は被検体に、静脈内、皮下または腹腔内投与され得る。一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被検体の肺への干渉RNAのインビボ送達のための方法を提供する。
【0207】
一部の実施形態において、本発明は、哺乳動物被検体の疾患または障害の処置方法を提供する。干渉RNA、リポペプチド、ならびに任意選択で非カチオン性脂質、ポリマー脂質、および1種類以上の送達向上成分または賦形剤を含む本発明の組成物の治療有効量が、遺伝子の発現または過剰発現(これは、該組成物によって低下、低減、下方調節、またはサイレンシングされ得る)と関連している疾患または障害を有する被検体に投与され得る。
【0208】
本発明は、被検体に治療有効量の組成物を投与することにより、肺の疾患、例えば、呼吸困難、喘息、嚢胞性線維症、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、または気腫などを処置するための方法を包含する。
【0209】
本発明は、関節リウマチ、肝臓疾患、脳炎、骨折、心臓疾患、ウイルス疾患(例えば、肝炎およびインフルエンザ)、または癌を処置するための方法を包含する。
【0210】
本開示の組成物および製剤は、インビトロでのさまざまな細胞への薬物薬剤または生体活性剤の送達のために使用され得る。インビトロ送達が想定される細胞の例としては、とりわけ、上皮細胞(A549など)、不死化細胞株(HeLaなど)、ヘパトーマ細胞(HepG2など)、ラット神経膠肉腫細胞(9L/LacZなど)、ヒト単球細胞(THP−1など)、メイディン・ダービー・イヌ腎臓細胞(MDCK)、種々の線維芽細胞細胞株、および種々の血清の存在下または非存在下で培養した一次細胞が挙げられる。
【0211】
本開示の組成物および製剤は、インビボでのさまざまな細胞、組織または器官への薬物薬剤または生体活性剤の送達のために使用され得る。インビボでの薬剤送達モダリティとしては、経表面、腸内、および非経口経路が挙げられる。インビボでの薬剤送達モダリティの例としては、粒子または液滴の吸入、鼻内または鼻咽頭内への液滴、粒子または懸濁液の送達、経皮および経粘膜経路、ならびに筋肉内、皮下、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、骨内、腹腔内、および硬膜外経路による注射または注入が挙げられる。
【0212】
一部の実施形態において、薬剤は、哺乳動物被検体由来の細胞、組織または器官への直接曝露によってエキソビボで投与され得る。
【0213】
本開示の組成物または製剤を用いて送達される薬物薬剤または生体活性剤は、任意の形態、例えば、純粋形態、結晶質形態、固形形態、ナノ粒子、凝縮形態、複合体形態、またはコンジュゲート形態などで見られるものであり得る。
【0214】
また、本発明は、哺乳動物の体内の器官および組織への1種類以上のRNAi誘導存在体の送達のための方法を提供する。一部の実施形態において、RNAi誘導存在体、1種類以上のアミノ酸脂質、および1種類以上のさらなる脂質成分を含む組成物が、種々の経路によって導入され、体内で輸送され、1つ以上の器官または組織の細胞によって取り込まれ、そこで標的転写物の発現がモジュレートされる。
【0215】
本発明に有用なリボ核酸薬剤は、種々の遺伝子に標的化され得る。標的として好適なヒト遺伝子の例としては、とりわけ、TNF、PLKl、BIRC5、APOB、FLTl、VEGFファミリー、ERBBファミリー、PDGFRファミリー、BCR−ABL、およびMAPKファミリーが挙げられる。標的として好適なヒト遺伝子およびその核酸配列の例としては、PCT/US08/55333、PCT/US08/55339、PCT/US08/55340、PCT/US08/55341、PCT/US08/55350、PCT/US08/55353、PCT/US08/55356、PCT/US08/55357、PCT/US08/55360、PCT/US08/55362、PCT/US08/55365、PCT/US08/55366、PCT/US08/55369、PCT/US08/55370、PCT/US08/55371、PCT/US08/55372、PCT/US08/55373、PCT/US08/55374、PCT/US08/55375、PCT/US08/55376、PCT/US08/55377、PCT/US08/55378、PCT/US08/55380、PCT/US08/55381、PCT/US08/55382、PCT/US08/55383、PCT/US08/55385、PCT/US08/55386、PCT/US08/55505、PCT/US08/55511、PCT/US08/55515、PCT/US08/55516、PCT/US08/55519、PCT/US08/55524、PCT/US08/55526、PCT/US08/55527、PCT/US08/55532、PCT/US08/55533、PCT/US08/55542、PCT/US08/55548、PCT/US08/55550、PCT/US08/55551、PCT/US08/55554、PCT/US08/55556、PCT/US08/55560、PCT/US08/55563、PCT/US08/55597、PCT/US08/55599、PCT/US08/55601、PCT/US08/55603、PCT/US08/55604、PCT/US08/55606、PCT/US08/55608、PCT/US08/55611、PCT/US08/55612、PCT/US08/55615、PCT/US08/55618、PCT/US08/55622、PCT/US08/55625、PCT/US08/55627、PCT/US08/55631、PCT/US08/55635、PCT/US08/55644、PCT/US08/55649、PCT/US08/55651、PCT/US08/55662、PCT/US08/55672、PCT/US08/55676、PCT/US08/55678、PCT/US08/55695、PCT/US08/55697、PCT/US08/55698、PCT/US08/55701、PCT/US08/55704、PCT/US08/55708、PCT/US08/55709、PCT/US08/55711、米国特許仮出願第61/086,435号、および米国特許仮出願第61/086,445号に開示されたものが挙げられる。
【0216】
本発明の組成物および方法は被検体に、さまざまな粘膜経由の投与様式、例えば、経口、経直腸、経膣、鼻腔内、肺内、もしくは経皮送達、または目、耳、皮膚もしくは他の粘膜表面への経表面送達によって投与され得る。本発明の一部の態様において、粘膜組織層には上皮細胞層が包含される。上皮細胞は、肺、気管、気管支、肺胞、鼻、口腔、表皮、または胃腸のものであり得る。本発明の組成物は、慣用的なアクチュエーター、例えば、機械的噴霧デバイス、ならびに加圧式で電動式のもの、または他の型のアクチュエーターなどを用いて投与され得る。
【0217】
本発明の組成物は、当業者にわかるさまざまな方法によって鼻内または肺内スプレー剤として水性液剤にて投与されてもよく、スプレー剤の形態にて施与されてよい。本発明の組成物の肺内送達は、該組成物を液滴、粒子またはスプレー(これは、例えば、エーロゾル化されたもの、霧状(atomize/nebulize)にされたものであり得る)の形態で投与することによりによって行なわれ得る。肺内送達は、該組成物を液滴、粒子またはスプレーの形態で、鼻道または気道経由で投与することにより行なわれ得る。該組成物の粒子、スプレー剤またはエーロゾル剤は、液状形態または固形形態のいずれかであり得る。鼻内スプレー剤としての液状形態の施与に好ましい系は、米国特許第4,511,069号に開示されている。かかる製剤は、本発明による組成物を水に溶解して水性液剤を得、前記溶液を滅菌状態にすることにより簡便に調製され得る。製剤は反復用量容器にて、例えば、米国特許第4,511,069号に開示された密封施与系にて提示され得る。他の好適な鼻内スプレー剤送達系は、Transdermal Systemic Medication,Y.W. Chien編,Elsevier Publishers,New York,1985;および米国特許第4,778,810号に記載されている。さらなるエーロゾル剤の送達形態としては、例えば、圧縮空気式−、ジェット式−、超音波式−、および圧電式ネブライザーが挙げられ得、これらは、医薬用溶媒、例えば、水、エタノールまたはその混合物に溶解または懸濁させた生体活性剤を送達するものである。
【0218】
本発明の鼻内および肺内スプレー剤用液剤は、典型的には、表面活性剤、例えば、非イオン界面活性剤(例えば、ポリソルベート−80)、および1種類以上のバッファーを用いて任意選択で製剤化された薬物または送達対象薬物を含む。本発明の一部の実施形態において、鼻内スプレー剤用液剤には、さらに、噴射剤が含まれる。鼻内スプレー剤用液剤のpHは約pH6.8〜7.2であり得る。また、使用される医薬用溶媒は、pH4〜6のわずかに酸性の水性バッファーであってもよい。化学安定性を向上または維持するための他の成分、例えば、保存料、界面活性剤、分散剤またはガスを添加してもよい。
【0219】
一部の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を含有する溶液と、肺内、粘膜経由または鼻腔内スプレー剤またはエーロゾル剤用のアクチュエーターとを含む医薬品である。
【0220】
本発明の組成物の投薬形態は、液滴剤もしくは乳剤の形態、またはエーロゾル剤の形態の液状であり得る。
【0221】
本発明の組成物の投薬形態は固形であってもよく、投与前に液体中で再構成されるものであってもよい。固形投薬形態は粉末剤として投与されてもよい。固形投薬形態はカプセル剤、錠剤またはゲル剤の形態であってもよい。
【0222】
組成物を本発明における肺内送達用に製剤化するため、生体活性剤は、種々の薬学的に許容され得る添加剤または送達向上成分、ならびに活性剤(1種類または複数種)の分散用の基剤または担体と合わされ得る。添加剤または送達向上成分の例としては、pH調整剤、例えば、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸、およびその混合物が挙げられる。他の添加剤または送達向上成分としては、局所麻酔剤(例えば、ベンジルアルコール)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、Tween 80)、可溶性向上剤(例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体)、安定剤(例えば、血清アルブミン)、ならびに還元剤(例えば、グルタチオン)が挙げられる。粘膜経由送達の組成物が液状である場合、製剤の張度(統一のため0.9%(w/v)生理食塩水溶液の張度に関して測定)は、典型的には、投与部位の粘膜に実質的に不可逆的な組織損傷が誘導されない値に調整される。一般的に、液剤の張度は、約1/3〜3、より典型的には1/2〜2、ほとんどの場合3/4〜1.7の値に調整される。
【0223】
生体活性剤は基剤またはビヒクル中に分散させ得、基剤またはビヒクルは、活性剤および任意の所望の添加剤の分散能を有する親水性化合物を含むものであり得る。基剤は、適当な広範な担体、例えば限定されないが、ポリカルボン酸またはその塩、無水カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸など)とのコポリマー、親水性ビニルポリマー(ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど)、セルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、および天然ポリマー(キトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸など)、ならびにその無毒性の金属塩から選択され得る。生分解性ポリマーは、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール酸)コポリマーおよびその混合物が基剤または担体として選択され得る。あるいはまたはさらに、合成脂肪酸エステル、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなどが担体として使用され得る。親水性ポリマーおよび他の担体は、単独または組合せで使用され得、部分結晶化、イオン結合、架橋などによって、担体に構造の完全性の向上が付与され得る。担体は、鼻粘膜への直接適用のためのさまざまな形態で、例えば、流動体または粘性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフェアおよびフィルムにて提供され得る。選択した担体の使用により、この状況において、生体活性剤の吸収の促進がもたらされ得る。
【0224】
生体活性剤は基剤または担体と、さまざまな方法に従って合わされ得、活性剤の放出は、拡散、担体の崩壊、または水路への製剤の会合によるものであり得る。場合によっては、活性剤は、適当なポリマー、例えば、イソブチル2−シアノアクリレート(例えば、Michaelら,J. Pharmacy Pharmacol. 43:1−5,1991参照)で作製し、鼻粘膜に適用される生体適合性分散媒体中に分散させたマイクロカプセル剤(ミクロスフェア)またはナノカプセル剤(ナノスフェア)中に分散させ、これにより、長期間にわたる持続性送達および生物学的活性がもたらされる。
【0225】
粘膜経由、鼻内または肺内送達用の製剤には、親水性低分子量化合物が基剤または賦形剤として含まれ得る。かかる親水性低分子量化合物は、水溶性の活性剤(生理活性ペプチドまたはタンパク質など)が基剤中から体表面(ここで活性剤が吸収される)に拡散し得る通過手段をもたらす。親水性低分子量化合物は、任意選択で、粘膜または投与雰囲気から水分を吸収し、水溶性の活性ペプチドを溶解させるものである。親水性低分子量化合物の分子量は、一般的に10,000以下、好ましくは3,000以下である。親水性低分子量化合物の例としては、ポリオール化合物、例えば、オリゴ糖、二糖および単糖、例えば、スクロース、マンニトール、ラクトース、L−アラビノース、D−エリトロース、D−リボース、D−キシロース、D−マンノース、D−ガラクトース、ラクツロース、セロビオース、ゲンチオビオース(gentibiose)、グリセリン、ポリエチレングリコールなど、およびその混合物が挙げられる。親水性低分子量化合物のさらなる例としては、N−メチルピロリドン、アルコール(例えば、オリゴビニルアルコール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、およびその混合物が挙げられる。
【0226】
本発明の組成物には、択一的に、薬学的に許容され得る担体物質として、適切な生理学的条件に対する必要に応じて、pH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、および湿潤剤、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレイン酸など、およびその混合物が含まれ得る。固形組成物には、慣用的な無毒性の薬学的に許容され得る担体が使用され得、該担体としては、例えば、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0227】
本発明の一部の特定の実施形態において、生体活性剤は、時限放出製剤にて、例えば、低速放出ポリマーを含む組成物にて投与され得る。活性剤は、即時放出に対する保護をもたらす担体、例えば、制御放出ビヒクル、例えば、ポリマー系のマイクロカプセル封入送達系または生体接着性ゲルを用いて調製され得る。本発明の種々の組成物における活性剤の長期送達は、該組成物中に吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチン)を含めることによりもたらされ得る。
【0228】
本発明の一部の特定の実施形態において、siNA組成物には、1種類以上の天然または合成界面活性剤が含まれ得る。特定の天然界面活性剤がヒト肺において見い出されており(肺内界面活性剤)、これは、肺胞の空気−液体界面で単層を形成しているリン脂質とタンパク質の複合体混合物であり、呼息時に表面張力をほぼゼロまで低下させ、肺胞の崩壊を抑制する。肺内界面活性剤の90%(重量基準)より多くはリン脂質で構成されており、ほぼ40〜80%がDPPCであり、残部は不飽和ホスファチジルコリンPOPG、POPCおよびホスファチジルグリセロールである。該界面活性剤の残り10%(重量基準)は、血漿タンパク質およびアポタンパク質(表面タンパク質(SP)−A、SP−B、SP−CおよびSP−Dなど)で構成されている。
【0229】
本発明に使用され得る天然界面活性剤の例としては、SURVANTA(商標)(ベラクタント)、CUROSURF(商標)(ポラクタントα)およびINFASURF(商標)(カルファクタント)、およびその混合物が挙げられる。
【0230】
合成界面活性剤の例としては、シナプルチド;ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロールおよびパルミチン酸の組合せ;SURFAXIN(商標)(ルシナクタント);ならびにEXOSURF(商標)(コルホスセリル);チロキサポール、DPPC、およびヘキサデカノールを含むものであり得る成分;ならびにその混合物が挙げられる。
【0231】
本発明の組成物は、当該技術分野で知られた方法によって調製され得る。脂質組成物の作製方法としては、エタノール注射法および押出し法(規定の孔径の積層ポリカーボネート膜フィルターを有するノザン Lipids Lipex Extruderシステムを使用)が挙げられる。プローブチップと浴型超音波装置を用いる超音波処理を使用すると、均一なサイズの脂質粒子が得られ得る。核酸成分の添加なしで均一で単分散の粒径が得られ得る。インビトロトランスフェクション組成物では、核酸成分は、さらなるバッファー成分によってトランスフェクション薬剤を作製および安定化させた後に添加され得る。インビボ送達組成物では、核酸成分は製剤の一部である。
【0232】
バッファーのエタノールでの段階的置換を伴う混合手順を使用すると、狭いホモ分散粒径分布が得られ得る。脂質成分とリポペプチドはUSP無水エタノールに溶解させ得、RNA成分は水性バッファーに、例えば0.9mg/mLで溶解させ得る。両混合物は、HPLCミキシングティー内の20mMクエン酸バッファー(pH7.2)中にインジェクトされ得る。エタノールの初期濃度は、脂質では90%およびRNA成分では0%であり得る。45%エタノール混合物に混合後、RNA−脂質粒子は、直ちに、最終濃度30%のエタノールを有するクエン酸バッファー中に希釈され得る。エタノールとクエン酸バッファーは、2K MWCO膜を有するPierce透析カセット内での一夜透析によってPBS(pH7.2)で交換され得る。各siRNA脂質粒子の粒径調整およびPAGEゲル解析を行なうと、良好な捕捉が確認され得る。PAGEゲルの結果により、siRNAが、多処理工程への曝露後も無傷であることが確認され得る。
【0233】
核酸成分、リポペプチド、および任意のさらなる成分は、最初に適当な培地(例えば、細胞培養培地)中で一緒に混合され得、その後、1種類以上のさらなる脂質または化合物が混合物に添加され得る。あるいはまた、リポペプチドを最初に適当な培地(細胞培養培地など)中で一緒に混合し、その後、核酸成分を添加してもよい。
【0234】
本発明の一部の特定の実施形態において、dsRNAは、1種類以上のリポペプチドまたは1種類以上のリポペプチドと非カチオン性脂質の組合せと混合される。
【0235】
また、干渉RNA薬剤を、リポペプチドまたはポリマー脂質と複合体形成またはコンジュゲートさせ、1種類以上の非カチオン性脂質または1種類以上の非カチオン性脂質とカチオン性脂質の組合せと混合してもよい。
【0236】
干渉RNA薬剤とリポペプチドは、最初に一緒に混合された後、1種類以上の非カチオン性脂質が添加され得るか、または非カチオン性脂質とカチオン性脂質の組合せが適当な培地(細胞培養培地など)に添加され得る。あるいはまた、リポペプチドと脂質成分を最初に混合した後、RNA薬剤を適当な培地に添加してもよい。
【0237】
RNA治療薬およびRNA干渉
本発明は、RNA干渉によって遺伝子発現をモジュレートするための組成物および方法を提供する。本発明の組成物は、リボ核酸薬剤を細胞に送達し、RNAiの応答をもたらし得るものである。本発明に有用な核酸薬剤の例としては、二本鎖核酸、修飾または分解抵抗性核酸、RNA、siRNA、siNA、mdRNA、shRNA、単鎖核酸、DNA−RNAキメラ、アンチセンス核酸、およびリボザイムが挙げられる。本明細書で用いる場合、siRNA、siNA、およびshRNAという用語は、siRNA、siNA、およびshRNAのそれぞれの前駆体を包含する。例えば、siRNAという用語は、ダイサー基質として好適なRNAまたは二本鎖RNAを包含する。
【0238】
メロデュプレックスRNA(mdRNA)は、米国特許仮出願第60/934,930号ならびに国際特許出願公開公報WO/2007/056153に記載されている。
【0239】
本発明に有用なリボ核酸薬剤は、種々の遺伝子に標的化され得る。例えば、本発明のsiRNA薬剤は、TNF−α遺伝子の一領域に相補的な配列を有するものであり得る。本発明の一部の実施形態において、該化合物および組成物は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の発現を調節するのに有用である。TNF−αは、例えば肺疾患において生じる炎症過程に関連している可能性があり、抗炎症効果を有することがあり得る。本発明の組成物の送達によるTNF−αのブロックは、関節リウマチの徴候および/または症状の処置または予防に有用であり得る。本発明は、RNA干渉によってTNF−αの発現および活性をモジュレートするための組成物および方法を提供する。
【0240】
TNF−αの発現および/または活性は、細胞に、例えばsiRNA分子Inm−4を送達することによりモジュレートされ得る。Inm−4は、マウスTNF−α遺伝子と配列相同性を有する二本鎖21−nt siRNA分子である。Inm−4は、センス鎖に3’dTdT突出端およびアンチセンス鎖に3’dAdT突出端を有する。Inm−4の一次構造は:
【0241】
【化23】

である。
【0242】
TNF−αの発現および/または活性は、細胞に、例えば、siRNA分子LC20を送達することによりモジュレートされ得る。LC20は、ヒトTNF−α遺伝子と配列相同性を有する二本鎖21−nt siRNA分子である。LC20は、ヒトTNF−αの3’−UTR領域に対して指向される。LC20は、19塩基対と、センス鎖に3’dTdT突出端およびアンチセンス鎖に3’dAdT突出端とを有する。そのナトリウム塩形態の分子量は14,298である。LC20の一次構造は:
【0243】
【化24】

である。
【0244】
β−ガラクトシドレポーター細胞株を使用し、種々の製剤のRNAi活性をアッセイした。Lac−Zの構造は:
【0245】
【化25】

である。
【0246】
本発明のsiRNAは、ウイルス遺伝子の一領域に相補的な配列を有するものであり得る。例えば、本発明の一部の組成物および方法は、インフルエンザのウイルスゲノムの発現を調節するのに有用である。
【0247】
これに関連して、本発明は、RNA干渉によってインフルエンザの発現および感染活性をモジュレートするための組成物および方法を提供する。インフルエンザの発現および/または活性は、細胞に、例えば、インフルエンザのRNAポリメラーゼサブユニットの一領域に相補的な配列を有する低分子干渉RNA分子を送達することによりモジュレートされ得る。例えば、表5に、インフルエンザのRNAポリメラーゼサブユニットと配列相同性を有する二本鎖siRNA分子を示す。
【0248】
【表5】

本発明のsiRNAは、インフルエンザのRNAポリメラーゼサブユニットの一領域に相補的な配列を有するものであり得る。
【0249】
本発明は、インフルエンザのmRNAに対して指向され、インフルエンザRNAを有効に下方調節し、それによりインフルエンザ感染を低減、予防または改善するsiNAを投与するための組成物および方法を提供する。
【0250】
一部の実施形態において、本発明は、被検体に、有効量のRNAi誘導化合物(低分子干渉オリゴヌクレオチド分子、またはその前駆体など)を含む組成物を投与することにより、被検体において標的転写物の発現を阻害するための組成物および方法を提供する。RNAiでは、メッセンジャーRNA(mRNA)を標的化し、翻訳を減衰させる低分子干渉RNA(siRNA)が使用される。本発明において使用されるsiRNAは、例えば、siRNAにプロセッシングされる長鎖のdsRNAなどのダイサープロセッシングの前駆体であってもよい。本発明は、標的転写物の発現または標的転写物にコードされたペプチドもしくはタンパク質の活性と関連している疾患または病状の処置または予防方法を提供する。
【0251】
RNAiに基づく治療ストラテジーは、ウイルスまたは微生物の増殖または機能を遮断することにより、ならびに疾患経路内の内因性遺伝子産物の機能を遮断することにより、広範な疾患を処置するために使用され得る。
【0252】
一部の実施形態において、本発明は、RNAi誘導存在体(低分子干渉オリゴヌクレオチド分子など)、およびその前駆体の送達に新規な組成物および方法を提供する。特に、本発明は、被検体の細胞、組織、および/または器官の1種類以上の転写物に標的化されるRNAi誘導存在体を含む組成物を提供する。
【0253】
siRNAは、相補的な約19ヌクレオチド長の領域を有する2つのRNA鎖であり得る。siRNAは、任意選択で、1つまたは2つの単鎖突出端またはループを含む。
【0254】
shRNAは、自己相補的な領域を有する単一のRNA鎖であってもよい。単一のRNA鎖は、幹部とループおよび、任意選択で、該RNAの5’および/または3’部分に1つ以上の非対合部分を有するヘアピン構造を形成したものであり得る。
【0255】
活性な治療用薬剤は、ヌクレアーゼ分解インビボに対する改善された抵抗性、および/または改善された細胞内取込みを有し、RNAi活性を保持している化学修飾siNAであり得る。
【0256】
本発明のsiRNA薬剤は、標的遺伝子の一領域に相補的な配列を有するものであり得る。本発明のsiRNAは、29〜50塩基対を有するものであって、例えば、標的遺伝子の一領域に相補的な配列を有するdsRNAであり得る。あるいはまた、該二本鎖核酸はdsDNAであり得る。
【0257】
一部の実施形態において、活性剤は、遺伝子産物の発現をモジュレートし得る低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA、または低分子ヘアピンRNA(shRNA)であり得る。
【0258】
被検体の特定の疾患状態と関連している1つ以上の異なる遺伝子(例えば、その発現が、選択した疾患状態と関連している原因因子または寄与因子として異常に高いことがわかっている多数の遺伝子のいずれか)の発現を標的化する同等の方法および組成物が提供される。
【0259】
本発明のRNAi誘導化合物は、疾患状態の既知の他の処置剤とともに投与してもよい。
【0260】
一部の実施形態において、本発明は、送達向上化合物と混合または複合体形成またはコンジュゲートさせた低分子核酸分子(低分子干渉核酸、低分子干渉RNA、二本鎖RNA、マイクロRNA、または低分子ヘアピンRNAなど)を含む組成物を取り上げて記載する。
【0261】
本明細書で用いる場合、用語「低分子干渉核酸」、「siNA」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」、「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」および「化学修飾低分子干渉核酸分子」は、例えば、RNA干渉(RNAi)または遺伝子サイレンシングを配列特異的様式で媒介することにより、遺伝子発現またはウイルス複製を阻害または下方調節し得る任意の核酸分子をいう。
【0262】
一部の実施形態において、siNAは、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む二本鎖ポリヌクレオチド分子であり、アンチセンス領域が、発現の下方調節のための標的リボ核酸分子内のヌクレオチド配列またはその一部分に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域が、標的リボ核酸配列またはその一部分に対応する(すなわち、配列が実質的に同一である)ヌクレオチド配列を含むものである。
【0263】
「siNA」は、低分子干渉核酸を意味し、例えば、鎖長の短い二本鎖の核酸であるsiRNA、または任意選択で、より長鎖のsiRNA前駆体である。本発明において有用なsiNAの長さは、一部の実施形態において、ほぼ20〜50bpであることが好ましい。しかしながら、有用なsiNA(例えば、siRNA)の長さに特に制限はない。例えば、siNAは、最初に細胞に前駆体形態で提示され得、該前駆体形態は、標的細胞への送達時または送達後に存在し、遺伝子サイレンシング活性を発揮するsiNAの最終またはプロセッシング形態とは相当異なる。siNAの前駆体形態は、例えば、送達時点または送達後にプロセッシング、分解、改変または切断されて細胞内で活性となり、遺伝子サイレンシングを媒介するsiNAをもたらす前駆体配列エレメントを含むものであり得る。一部の実施形態において、有用なsiNAは、例えば、ほぼ100〜200塩基対、または50〜100塩基対、または約50塩基対未満の前駆体長さを有するものであって、標的細胞内で活性なプロセッシングsiNAをもたらすものである。他の一部の実施形態において、有用なsiNAまたはsiNA前駆体は、ほぼ10〜49bp、または15〜35bp、または約21〜30bp長のものである。
【0264】
本発明の一部の実施形態において、ポリヌクレオチド送達向上ポリペプチドは、慣用的なsiNAよりも大きな核酸分子(例えば、siNAの高分子核酸前駆体)の送達を容易にするために使用される。例えば、本明細書の方法および組成物は、所望のsiNAの「前駆体」である大きな核酸送達を向上させるために使用され得、該前駆体アミノ酸は、標的細胞への送達前、送達中または送達後に切断あるいはプロセッシングされ、標的細胞内で遺伝子発現をモジュレートする活性なsiNAが形成され得る。
【0265】
例えば、siNA前駆体ポリヌクレオチドは、2つ以上のループ構造と、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む幹部とを有する環状の単鎖ポリヌクレオチドとして選択され得、アンチセンス領域が標的核酸分子内のヌクレオチド配列またはその一部分に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域が標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を有し、該環状のポリヌクレオチドは、インビボまたはインビトロのいずれかでプロセッシングされて、RNAiを媒介し得る活性なsiNA分子が生成され得る。
【0266】
本発明のsiNA分子、特に非前駆体形態は、30塩基対未満、または約17〜19bp、または19〜21bp、または21〜23bpのものであり得る。
【0267】
siRNAは、哺乳動物の系内で選択的遺伝子サイレンシングを媒介するものであり得る。また、短鎖ループと19〜27塩基対の幹部を有するヘアピンRNAも、該幹部の二本鎖の配列に相同な遺伝子の発現を選択的にサイレンシングする。哺乳動物細胞では、低分子ヘアピンRNAがsiRNAに変換され、選択的遺伝子サイレンシングが媒介され得る。
【0268】
RISCは、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する単鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域内で起こる。21ヌクレオチドのsiRNA二本鎖は、2つのヌクレオチド3’突出端を含む場合、典型的に最も活性である。
【0269】
2−ヌクレオチド3’突出端を有する21量体iRNA二本鎖の3’突出端セグメントのデオキシリボヌクレオチドでの置き換えは、RNAi活性に対して有害効果を有しないものであり得る。siRNAの各末端において4ヌクレオチドまでをデオキシリボヌクレオチドで置き換えることが許容され得るが、完全にデオキシリボヌクレオチドで置換すると、RNAi活性は得られない。
【0270】
あるいはまた、siNAは、単一または多様なsiNAをコードし、標的細胞内でのその発現を指令するポリヌクレオチドベクターによって発現される単一または多様な転写産物として送達され得る。このような実施形態において、標的細胞内で発現されるsiRNAの最終転写産物の二本鎖部分は、例えば、15〜49bp、15〜35bp、または約21〜30bp長であり得る。
【0271】
本発明の一部の実施形態において、2つの鎖が対合しているsiNAの二本鎖領域には、隆起部、ミスマッチ部分またはその両方が含まれ得る。2つの鎖が対合しているsiNAの二本鎖部分は、完全に対合したヌクレオチドセグメントに限定されず、例えば、ミスマッチ(対応するヌクレオチドが相補的でない)、隆起部(一方の鎖に対応する相補的なヌクレオチドがない)、または突出端による非対合部分が含まれていてもよい。非対合部分は、siNAの形成が妨げられない程度に含まれ得る。一部の実施形態において、「隆起部」は1〜2非対合ヌクレオチドであり得、2つの鎖が対合しているsiNAの二本鎖領域には、約1〜7つ、または約1〜5つの隆起部が含まれ得る。また、siNAの二本鎖領域内に含まれる「ミスマッチ」部分は、約1〜7つ、または約1〜5つ存在し得る。ミスマッチの場合、たいてい、ヌクレオチドの一方がグアニンであり、他方がウラシルである。かかるミスマッチは、例えば、センスRNAをコードする対応DNA内のCからT、GからAへの変異またはその混合型によるものであり得るが、他の原因もまた想定される。
【0272】
本発明のsiNAの末端構造は、siNAが、標的遺伝子の発現をサイレンシングする活性を保持している限り、平滑端または付着(突出)端のいずれであってもよい。付着(突出)端構造は3’突出端に限定されず、遺伝子サイレンシング誘導活性が保持される限り、5’突出端構造も含む。また、突出端ヌクレオチドの数は2または3ヌクレオチドに限定されず、遺伝子サイレンシング誘導活性が保持される限り、任意のヌクレオチド数であり得る。例えば、突出端には、1〜約8ヌクレオチド、または2〜4ヌクレオチドが含まれ得る。
【0273】
付着(突出)末端構造を有するsiNAの長さは、対合している二本鎖部分と各末端の任意の突出端部分に関して表示され得る。例えば、2−bp 3’アンチセンス突出端を有する25/27量体iNA二本鎖は、25量体のセンス鎖と27量体のアンチセンス鎖を有し、対合している部分は25bpの長さを有する。
【0274】
任意の突出端配列は、標的遺伝子に対して低特異性を有するものであってもよく、標的遺伝子配列に対して相補的(アンチセンス)または同一(センス)でないものであってもよい。siNAは、遺伝子サイレンシング活性を保持している限り、その突出端部分に低分子量構造、例えば、天然RNA分子(tRNA、rRNA、ウイルスRNA、または人工RNA分子など)が含まれていてもよい。
【0275】
siNAの末端構造は、二本鎖核酸の一方側の両方の末端同士がリンカー核酸(例えば、リンカーRNA)によって連結された幹部−ループ構造を有するものであり得る。二本鎖領域(幹部部分)の長さは、例えば、15〜49bp、または15〜35bp、または約21〜30bp長であり得る。あるいはまた、標的細胞内で発現されるsiNAの最終転写産物である二本鎖領域の長さは、例えば、ほぼ15〜49bp、または15〜35bp、または約21〜30bp長であり得る。
【0276】
siNAは、標的核酸分子内のヌクレオチド配列またはその一部分に相補的なヌクレオチド配列を有する単鎖ポリヌクレオチドを含むものであり得、該単鎖ポリヌクレオチドは、末端リン酸基(5’−リン酸(例えば、Martinezら,Cell. 110:563−574,2002、およびSchwarzら,Molecular Cell 70:537−568,2002参照)、または5’,3’−二リン酸を含むものであり得る。
【0277】
本明細書で用いる場合、siNA分子という用語は、天然に存在するRNAまたはDNAのみを含む分子に限定されず、化学修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドも包含する。一部の実施形態において、本発明の低分子干渉核酸分子は、2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドがないものである。一部の実施形態において、低分子干渉核酸は、RNAiを媒介するための2’−ヒドロキシ基を有するヌクレオチドの存在を必要とせず、したがって、本発明の低分子干渉核酸分子は、任意選択でリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を全く含まないものである。しかしながら、siNA分子内にRNAiを補助するためのリボヌクレオチドの存在を必要としないsiNA分子は、2’−OH基を有する1つ以上のヌクレオチドを含む結合リンカー(1つもしくは複数)または他の結合もしくは会合された基、部分もしくは鎖を有することがあり得る。siNA分子には、ヌクレオチド位置の少なくとも約5、10、20、30、40または50%にリボヌクレオチドが含まれ得る。
【0278】
本明細書で用いる場合、siNAという用語は、配列特異的RNAiを媒介し得る核酸分子、とりわけ、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)分子、二本鎖RNA(dsRNA)分子、マイクロRNA分子、低分子ヘアピンRNA(shRNA)分子、低分子干渉オリゴヌクレオチド分子、低分子干渉核酸分子、低分子干渉修飾型オリゴヌクレオチド分子、化学修飾siRNA分子、および転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)分子などを包含する。
【0279】
一部の実施形態において、siNA分子は、分離したセンスおよびアンチセンス配列または領域を含み、センス領域とアンチセンス領域が、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合されているか、あるいはイオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用および/またはスタッキング相互作用によって非共有結合されている。
【0280】
「アンチセンスRNA」は、標的遺伝子mRNAに相補的な配列を有し、標的遺伝子mRNAに結合することによりRNAiを誘導し得るRNA鎖である。
【0281】
「センスRNA」は、アンチセンスRNAに相補的な配列を有するRNA鎖であり、その相補的なアンチセンスRNAにアニーリングしてsiRNAを形成する。
【0282】
本明細書で用いる場合、用語「RNAi構築物」または「RNAi前駆体」は、RNAi誘導化合物、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、ヘアピンRNAなど、およびインビボで切断されてsiRNAを形成し得る他のRNA種をいう。また、本明細書におけるRNAi前駆体は、細胞内でdsRNAもしくはヘアピンRNAを形成する転写物、および/またはインビボでsiRNAを生成させ得る転写物をもたらし得る発現ベクター(RNAi発現ベクターとも称される)を包含する。
【0283】
siハイブリッド分子は、siRNAと同様の機能を有する二本鎖核酸である。siハイブリッドは、二本鎖RNA分子ではなく、RNA鎖とDNA鎖で構成されている。好ましくは、RNA鎖が、標的mRNAに結合するアンチセンス鎖である。DNA鎖とRNA鎖のハイブリダイゼーションによって得られるsiハイブリッドは、ハイブリダイズした相補部分と、好ましくは少なくとも1つの3’突出末端とを有する。
【0284】
本発明における使用のためのsiNAは、2つの別々のオリゴヌクレオチドから合成されたものであり得、この場合、一方の鎖がセンス鎖であり、他方がアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖とセンス鎖は自己相補的である(すなわち、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む;例えば、アンチセンス鎖とセンス鎖が二本鎖または二本鎖構造を形成している場合などであって、例えば、該二本鎖領域は約19塩基対である)。アンチセンス鎖は、標的核酸分子内のヌクレオチド配列またはその一部分に相補的なヌクレオチド配列を含むものであり得、センス鎖は、標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を含むものであり得る。あるいはまた、siNAは、単一のオリゴヌクレオチドから合成されたものであり得、この場合、siNAの自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域は、核酸系または非核酸系リンカー(1つまたは複数)によって連結されている。
【0285】
一部の実施形態において、細胞内送達のためのsiNAは、二本鎖、非対称二本鎖、ヘアピンまたは非対称ヘアピン二次構造を有し、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を有するポリヌクレオチドであって、アンチセンス領域が、別個の標的核酸分子またはその一部分のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域が、標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を含むものであり得る。
【0286】
siNAにおいて行なわれ得る化学修飾の例としては、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、および末端グリセリルおよび/または逆位デオキシ脱塩基残基の組込みが挙げられる。
【0287】
siNA分子のアンチセンス領域には、その3’末端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合が含まれていてもよい。アンチセンス領域には、その5’末端に約1〜約5個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合が含まれていてもよい。siNA分子の3’末端ヌクレオチド突出端に、核酸糖鎖、塩基または主鎖が化学修飾されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドが含まれていてもよい。3’末端ヌクレオチド突出端に、1つ以上のユニバーサル塩基リボヌクレオチドが含まれていてもよい。3’末端ヌクレオチド突出端に、1つ以上の非環式ヌクレオチドが含まれていてもよい。
【0288】
例えば、化学修飾siNAは、1、2、3、4、5、6、7、8つ、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を一方の鎖に有するものであってもよく、1〜8つ、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を各鎖に有するものであってもよい。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、siNA二本鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖に存在させ得る。
【0289】
siNA分子には、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合が、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の3’末端、5’末端、3’末端と5’末端の両方に含まれ得る。例えば、例示的なsiNA分子は、1、2、3、4、5つ、またはそれ以上の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖の5’末端に含むものであり得る。
【0290】
一部の実施形態において、siNA分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖に含む。
【0291】
一部の実施形態において、siNA分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖に含む。
【0292】
siNA分子は環状核酸分子を含ものであってもよく、該siNAは、約38〜約70、例えば、約38、40、45、50、55、60、65または70ヌクレオチド長であり、約18〜約23、例えば、約18、19、20、21、22または23塩基対を有し、該環状オリゴヌクレオチドは、約19塩基対と2つのループを有するダンベル形状の構造を形成している。
【0293】
環状siNA分子は、2つのループモチーフを含むものであり得、該siNA分子の一方または両方のループ部分が生分解性である。例えば、環状siNA分子のループ部分はインビボで変換されることがあり得、3’−末端突出端(約2つのヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチド突出端など)を有する二本鎖siNA分子が生成され得る。
【0294】
siNA分子内の修飾ヌクレオチドは、アンチセンス鎖、センス鎖または両方に存在し得る。例えば、修飾ヌクレオチドは、ノザンコンホメーション(例えば、ノザンプソイド回転環(pseudorotation cycle);例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag編,1984参照)を有するものであり得る。ノザンコンフィギュレーションを有するヌクレオチドの例としては、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド)、2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド、2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、および2’−O−メチルヌクレオチドが挙げられる。
【0295】
化学修飾ヌクレオチドは、ヌクレアーゼ分解に対して抵抗性であると同時にRNAi媒介能を維持しているのものであり得る。
【0296】
二本鎖siNA分子のセンス鎖は、末端キャップ部分、例えば、逆位デオキシ脱塩基部分を、センス鎖の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方に有するものであってもよい。
【0297】
コンジュゲートの例としては、Vargeeseら,米国特許出願第10/427,160号(2003年4月30日出願)(引用により、図面を含むその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されたコンジュゲートおよびリガンドが挙げられる。
【0298】
本発明の一部の実施形態において、該コンジュゲートは化学修飾siNA分子に、生分解性リンカーによって共有結合され得る。例えば、コンジュゲート分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれか、または両方の鎖の3’末端に結合され得る。
【0299】
一部の実施形態において、コンジュゲート分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれか、または両方の鎖の5’末端に結合される。一部の実施形態において、コンジュゲート分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれか、または両方の鎖、またはその任意の組合せの3’末端と5’末端の両方に結合される。
【0300】
一部の実施形態において、コンジュゲート分子は、生体の系(例えば、細胞)内への化学修飾siNA分子の送達を助長する分子を含むものであり得る。
【0301】
一部の実施形態において、化学修飾siNA分子に結合されたコンジュゲート分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または細胞内取込みを媒介し得る細胞の受容体に対するリガンドである。化学修飾siNA分子に結合され得る本発明で想定される具体的なコンジュゲート分子の例は、Vargeeseら,米国特許出願公開第2003/0130186号および同第2004/0110296号に記載されている。
【0302】
siNAは、siNAのセンス領域をsiNAのアンチセンス領域に連接するヌクレオチド、非ヌクレオチドまたはヌクレオチド/非ヌクレオチド混合型のリンカーを含むものであってもよい。一部の実施形態において、ヌクレオチドリンカーは、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態において、ヌクレオチドリンカーは核酸アプタマーであり得る。本明細書で用いる場合、用語「アプタマー」または「核酸アプタマー」は、標的分子に特異的に結合する核酸分子であって、天然環境で標的分子によって認識される配列を含む核酸分子を包含する。あるいはまた、アプタマーは、天然状態では核酸に結合しない標的分子に結合する核酸分子であり得る。
【0303】
例えば、アプタマーは、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合させ、それにより天然に存在するリガンドと該タンパク質との相互作用を妨げるために使用され得る。例えば、Goldら,Annu. Rev. Biochem. 64:763,1995;BrodyおよびGold,J. Biotechnol. 74:5,2000;Sun,Curr. Opin. Mol. Ther. 2:100,2000;Kusser,J. Biotechnol. 74:21,2000;HermannおよびPatel,Science 257:820,2000;ならびにJayasena,Clinical Chemistry 45:1628,1999を参照のこと。
【0304】
非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物(例えば、ポリエチレングリコール(2〜100個のエチレングリコール単位を有するものなど))であり得る。具体例としては、SeelaおよびKaiser,Nucleic Acids Res. 18:6353,1990、およびNucleic Acids Res. 15:3113,1987;CloadおよびSchepartz,J. Am. Chem. Soc. 113:6324,1991;RichardsonおよびSchepartz,J. Am. Chem. Soc. 113:5109,1991;Maら,Nucleic Acids Res. 27:2585,1993、ならびにBiochemistry 32:1751,1993;Durandら,Nucleic Acids Res. 18:6353,1990;McCurdyら,Nucleosides & Nucleotides 70:287,1991;Jaschkeら,Tetrahedron Lett. 54:301−304,1993;Onoら,Biochemistry 30:9914,1991;Arnoldら,国際特許出願公開公報WO/1989/02439;Usmanら,国際特許出願公開公報WO/1995/06731;Dudyczら,国際特許出願公開公報WO/1995/11910、ならびにFerentzおよびVerdine、J. Am. Chem. Soc. 775:4000,1991に記載のものが挙げられる。
【0305】
「非ヌクレオチドリンカー」は、1つ以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖内に組み込まれ得る基または化合物(例えば、糖鎖および/またはリン酸基いずれかの置換)であって、残りの塩基がその酵素活性を発揮することを可能にするものをいう。該基または化合物は、例えば、一般に認知されているヌクレオチド塩基(アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなど)を糖鎖のC1位に含まない脱塩基であってもよい。
【0306】
一部の実施形態において、修飾siNA分子は、主鎖にリン酸基修飾、例えば、1つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミダート カルバメート、カルボキシメチル、アセトアミダート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/またはアルキルシリル置換を有するものであり得る。オリゴヌクレオチド主鎖の修飾の例は、HunzikerおよびLeumann,Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,pp.331−417,1995、ならびにMesmaekerら,Novel Backbone Replacements for Oligonucleotide,in Carbohydrate Modifications in Antisense Research,ACS,pp.24−39,1994に示されている。
【0307】
siNA分子(化学修飾されたものであってもよい)は、(a)siNA分子の2つの相補鎖の合成;および(b)二本鎖siNA分子が得られるのに適した条件下での2つの相補鎖の互いのアニーリングによって合成され得る。一部の実施形態において、siNA分子の相補部分の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成または固相タンデムオリゴヌクレオチド合成によるものである。
【0308】
オリゴヌクレオチド(例えば、特定の修飾型オリゴヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのないオリゴヌクレオチドの一部分)は、当該技術分野で知られ、例えば、Caruthersら,Methods in Enzymology 211:3−19,1992;Thompsonら,国際特許出願公開公報WO/1999/54459;Wincottら,Nucleic Acids Res. 25:2677−2684,1995;Wincottら,Methods Mol. Bio. 74:59,1997;Brennanら,Biotechnol Bioeng. 61:33−45,1998;およびBrennan,米国特許第6,001,311号に記載されたプロトコルを用いて合成される。RNA(本発明の特定のsiNA分子を含む)の合成は、例えば、Usmanら,J. Am. Chem. Soc. 109:7845,1987;Scaringeら,Nucleic Acids Res. 18:5433,1990;およびWincottら,Nucleic Acids Res. 25:2677−2684,1995;Wincottら,Methods Mol. Bio. 74:59,1997に記載された一般的な手順に従う。
【0309】
「非対称ヘアピン」は、本明細書で用いる場合、アンチセンス領域と、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むものであり得るループ部分と、センス領域とを含む直鎖siNA分子であって、センス領域が、アンチセンス領域と塩基対合してループを有する二本鎖が形成されるのに充分な相補ヌクレオチドを有する程度にアンチセンス領域より少ないヌクレオチドを含むものである。
【0310】
「非対称二本鎖」は、本明細書で用いる場合、センス領域とアンチセンス領域を含む2つの別々の鎖を有するsiNA分子であって、センス領域が、アンチセンス領域と塩基対合して二本鎖が形成されるのに充分な相補ヌクレオチドを有する程度にアンチセンス領域より少ないヌクレオチドを含むものである。
【0311】
「遺伝子発現をモジュレートする」とは、本明細書で用いる場合、標的遺伝子の発現を上方調節または下方調節することであり、細胞内に存在するmRNAのレベル、mRNAの翻訳、または標的遺伝子にコードされたタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの合成の上方調節または下方調節も包含され得る。
【0312】
用語「阻害する」、「下方調節する」または「発現を低減する」は、本明細書で用いる場合、遺伝子の発現、または1種類以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子もしくは同等RNA分子のレベル、または標的遺伝子にコードされた1種類以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットのレベルもしくは活性が、本発明の核酸分子(例えば、siNA)の非存在下で観察されるものより下まで低減されることを意味する。
【0313】
「遺伝子サイレンシング」は、本明細書で用いる場合、細胞における遺伝子発現の一部または完全な阻害をいい、「遺伝子ノックダウン」と称されることもあり得る。遺伝子サイレンシングの程度は、当該技術分野で知られた方法(その一部は、国際特許出願公開公報WO/1999/32619に要約されている)によって測定され得る。
【0314】
本明細書で用いる場合、用語「リボ核酸」および「RNA」は、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子をいう。リボヌクレオチドは、β−D−リボ−フラノース部分の2’位置にヒドロキシル基を有するヌクレオチドである。これらの用語は、二本鎖RNA、単鎖RNA、単離RNA、例えば、部分精製RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより産生させたRNA、ならびに、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、修飾および/または改変により天然に存在するRNAと異なる修飾型および改変型のRNAを包含する。RNAの改変としては、非ヌクレオチド物質の付加(siNAの末端(1つもしくは複数)または内部に対するものなど、例えば、RNAの1つ以上のヌクレオチドにおいて)が挙げられ得る。
【0315】
RNA分子内のヌクレオチドには、非標準的ヌクレオチド、例えば、天然に存在しないヌクレオチドまたは化学合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドが含まれる。このような改変RNAは類縁体と称されることがあり得る。
【0316】
「高度に保存された配列領域」により、標的遺伝子内の1つ以上の領域のヌクレオチド配列が、世代間または生体の系間であまり有意に異ならないことを意図する。
【0317】
「センス領域」により、siNA分子のヌクレオチド配列が、該siNA分子のアンチセンス領域と相補性を有することを意図する。また、siNA分子のセンス領域は、標的核酸配列と相同性を有する核酸配列を含むものであり得る。
【0318】
「アンチセンス領域」により、siNA分子のヌクレオチド配列が標的核酸配列と相補性を有することを意図する。また、siNA分子のアンチセンス領域は、該siNA分子のセンス領域と相補性を有する核酸配列を含むものであり得る。
【0319】
「標的核酸」により、その発現または活性がモジュレートされる任意の核酸配列を意図する。標的核酸はDNAまたはRNAであり得る。
【0320】
「相補性」により、核酸が別の核酸配列と、従来のワトソン・クリック結合様式または従来のものでない他の結合様式のいずれかによって、水素結合(1つまたは複数)を形成し得ることを意図する。
【0321】
用語「生分解性リンカー」は、本明細書で用いる場合、ある分子を別の分子に(例えば、生体活性分子をsiNA分子に、またはsiNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖を)連結させる生分解性リンカーとして設計された核酸または非核酸リンカー分子をいう。生分解性リンカーは、その安定性が、特定の目的(特定の組織または細胞型への送達など)のためにモジュレートされ得るように設計される。核酸系生分解性リンカー分子の安定性は、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、および化学修飾ヌクレオチド(2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、および他の2’−修飾または塩基修飾ヌクレオチドなど)の組合せによって、種々にモジュレートされ得る。生分解性核酸リンカー分子は、二量体、三量体、四量体またはそれより長鎖の核酸分子(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド)であってもよく、リン系結合(例えば、ホスホルアミダートまたはホスホジエステル結合)を有する単一のヌクレオチドを含むものであってもよい。また、生分解性核酸リンカー分子は、核酸主鎖、核酸糖鎖、または核酸塩基修飾を含むものであってもよい。
【0322】
本明細書に記載の2’−修飾ヌクレオチドに関連して、「アミノ」により、修飾型または非修飾であり得る2’−NHまたは2’−0−NHを意図する。かかる修飾された基は、例えば、Ecksteinら,米国特許第5,672,695号およびMatulic−Adamicら,米国特許第6,248,878号に記載されている。
【0323】
本発明(then invention)における使用のための核酸分子の送達のための補助的または補足的な方法は、例えば、Akhtarら,Trends Cell Bio. 2:139,1992;“Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,” Akhtar編,1995,Maurerら,Mol. Membr. Biol. 7(5:129−140,1999;HoflandおよびHuang,Handb. Exp. Pharmacol. 137:165−192,1999;ならびにLeeら,ACS Symp. Ser. 752:184−192,2000に記載されている。Sullivanら,国際特許出願公開公報WO/1994/02595には、さらに、酵素的核酸分子の送達のための一般的な方法が記載されている。
【0324】
核酸分子は、1種類以上のさらなる成分、例えば、薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤、佐剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、または保存料を含む製剤にて投与され得る。
【0325】
本明細書で用いる場合、用語「担体」は、薬学的に許容され得る固形または液状の充填剤、希釈剤またはカプセル封入材料を意味する。含水液状担体には、薬学的に許容され得る添加剤、例えば、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌性保存料、抗酸化剤、緩衝剤、キレート化剤、錯化剤、可溶化剤、保湿剤、溶媒、懸濁化剤および/または増粘剤、等張剤、湿潤剤など、または他の生体適合性の物質が含有され得る。上記カテゴリーの成分の例は、U.S. Pharmacopeia National Formulary,1990、pp.1857−1859、ならびにRaymond C. Roweら,Handbook of Pharmaceutical Excipients,第5版,2006、および“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”第21版,2006, David B. Troy編を見るとよい。
【0326】
保存料の例としては、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオメルサール、塩化ベンジルアルコニウム、およびその混合物が挙げられる。
【0327】
界面活性剤の例としては、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン、種々の長鎖ジグリセリドおよびリン脂質、ならびにその混合物が挙げられる。
【0328】
リン脂質の例としては、ホスファチジルコリン、レシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルエタノールアミン、およびその混合物が挙げられる。
【0329】
分散剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸が挙げられる。
【0330】
ガスの例としては、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、二酸化炭素、空気、およびその混合物が挙げられる。
【0331】
一部の特定の実施形態において、siNAおよび/またはポリペプチドは、リポソーム内にカプセル封入してもよく、リポソームの内側または外側に存在させてもよく、リポソーム層内に存在させてもよく、イオン導入によって投与してもよく、他の媒体(例えば、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル剤、生体接着性ミクロスフェア、もしくはタンパク質系ベクター)内に組み込んでもよい。例えば、O’HareおよびNormand,国際特許出願公開公報WO/2000/53722を参照のこと。あるいはまた、核酸組成物は、直接注射または注入ポンプの使用によって局所送達され得る。本発明の核酸分子の直接注射は、皮下、筋肉内または皮内のいずれであれ、標準的な針とシリンジによる方法論、またはCornyら,Clin. Cancer Res. 5:2330−2337,1999、およびBarryら,国際特許出願公開公報WO/1999/31262に記載されたものなどの無針手法を用いて行なわれ得る。
【0332】
本発明の組成物は、医薬用薬剤として有効に使用され得る。医薬用薬剤は、患者の疾患状態または他の有害な状態の発生もしくは重症度を予防、モジュレートするもの、または処置する(1つ以上の症状を検出可能もしくは測定可能な程度まで軽減する)ものである。
【0333】
一部の実施形態において、本発明は、脂質と結合、複合体形成またはコンジュゲートさせ、薬学的に許容され得る担体(希釈剤、安定剤またはバッファーなど)を用いてさらに製剤化され得る1種類以上のポリ核酸、典型的には1種類以上のsiNAの存在または投与を特徴とする医薬組成物および方法を提供する。
【0334】
典型的には、siNAは、被検体の疾患状態または有害な状態と関連している原因因子または寄与因子として高レベルで発現される遺伝子を標的化するものである。これに関連して、siNAは、該遺伝子の発現を、1つ以上の関連疾患症状の重症度または再発が予防、軽減または低減されるレベルまで有効に下方調節するものである。あるいはまた、標的遺伝子の発現が疾患または他の有害な状態の結果または続発症として必ずしも上昇していない種々の相違する疾患モデルであっても、標的遺伝子の下方調節によって、遺伝子発現の低減(すなわち、選択したmRNAおよび/または標的遺伝子のタンパク質産物のレベルの低減)により治療成果が得られる。あるいはまた、本発明のsiNAは、低発現の遺伝子に標的化され得、それにより、標的遺伝子の産物または活性によって発現が負に調節された「下流」遺伝子の上方調節がもたらされ得る。
【0335】
本発明のこのsiNAは、任意の形態で、例えば、経皮または局所注射(例えば、乾癬を処置するために乾癬プラーク部位、または乾癬性関節炎もしくはRAに罹患した患者の関節内への局所注射)で投与され得る。より詳細な実施形態において、本発明は、TNF−αのmRNAに対して指向されるsiNAの治療有効量を投与するための製剤および方法を提供する。これは、TNF−α RNAを有効に下方調節し、それにより1つ以上のTNF−α関連炎症状態が低減または予防される。動物被検体の選択した疾患状態と関連している1つ以上の異なる遺伝子(例えば、その発現が、選択した疾患状態と関連している原因因子または寄与因子として異常に高いことがわかっている多数の遺伝子のいずれか)の発現を標的化する同等の方法および組成物が提供される。
【0336】
また、本発明の組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル剤、経直腸投与のための坐剤、注射による投与のための滅菌液剤、懸濁剤、および当該技術分野で知られた他の形態として製剤化および使用され得る。
【0337】
薬理学的組成物または製剤は、投与、例えば、全身投与、細胞または患者(例えば、ヒトなど)への投与に適した形態の組成物または製剤をいう。好適な形態は、一部において、用途または進入経路(例えば、経口、経皮、経上皮、または注射)に依存する。かかる形態は、該組成物または製剤が標的細胞 (すなわち、負電荷を有する核酸が送達に望ましい細胞)に達するのを妨げないものであるのがよい。例えば、血流中に注射される薬理学的組成物は可溶性であるのがよい。他の要素は当該技術分野で知られており、毒性などの考慮事項が挙げられる。
【0338】
「全身投与」により、インビボでの全身吸収、または血流中への薬物の蓄積後の全身への分布を意図する。全身吸収をもたらす投与経路としては、限定されないが、静脈内、皮下、腹腔内、吸入、経口、肺内および筋肉内が挙げられる。
【0339】
本発明の核酸分子の製剤化に適した薬剤の例としては、P−糖タンパク質阻害薬(Pluronic P85など)(これにより、CNS内への薬物の進入が向上し得る)(Jolliet−RiantおよびTillement,Fundam. Clin. Pharmacol. 13:16−26,1999);生分解性ポリマー、例えば、脳内埋入後の徐放送達のためのポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)ミクロスフェア(Emerich,D. F.ら,Cell Transplant 5:47−58,1999,Alkermes,Inc.,Cambridge,Mass.);および負荷ナノ粒子、例えば、ポリブチルシアノアクリレート製のもの(これにより、薬物が血液脳関門を通過して送達され得、神経内取込み機構が改変され得る)(Prog. Neuropsychopharmacol Biol. Psychiatry 25:941−949,1999)が挙げられる。本発明の核酸分子の送達ストラテジーの他の例としては、Boadoら,J. Pharm. Sci. 57:1308−1315,1998;Tylerら,FEBS Lett. 427:280−284,1999;Pardridgeら,PNAS USA. 92:5592−5596,1995;Boado,Adv. Drug Delivery Rev. 75:73−107,1995;Aldrian−Herradaら,Nucleic Acids Res. 26:4910−4916,1998;およびTylerら,PNAS USA. 96:7053−7058,1999に記載された物質が挙げられる。
【0340】
また、本発明は、保存または投与のために調製される組成物であって、医薬有効用量の所望の化合物を薬学的に許容され得る担体または希釈剤中に含む組成物を含む。治療的使用のための許容され得る担体または希釈剤は、製薬分野でよく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro編 1985)に記載されている。例えば、保存料、安定剤、色素およびフレーバー剤が供給され得る。このようなものとしては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。また、抗酸化剤および懸濁化剤が使用され得る。
【0341】
医薬有効用量は、ある程度の疾患状態の症状の予防、その発生の抑止、処置、または軽減がもたらされるのに必要とされる用量である。0.01mg/kg〜50mg/kg体重/日の量の活性核酸が投与されるのがよい。
【0342】
水性懸濁剤には、活性物質が、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合された状態で含有される。かかる賦形剤は、懸濁化剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなど)であり;分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとへキシトールとの縮合生成物(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなど)、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとへキシトール無水物との縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)であり得る。また、水性懸濁剤には、1種類以上の保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1種類以上の着色剤、1種類以上のフレーバー剤、および1種類以上の甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど)が含有され得る。
【0343】
油性懸濁剤は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、または鉱油(例えば、液状パラフィン)中に懸濁することにより製剤化され得る。油性懸濁剤には、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールが含有され得る。口当たりのよい経口調製物を得るため、甘味剤およびフレーバー剤を添加してもよい。このような組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0344】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散性粉末剤および顆粒剤では、活性成分が、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種類以上の保存料との混合物の状態で提供される。また、さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、フレーバー剤および着色剤を存在させてもよい。
【0345】
また、本発明の医薬組成物は、水中油型エマルジョンの形態であり得る。油相は、植物油または鉱油またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は、天然ゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズ、レシチン、および脂肪酸とへキシトールのエステルまたは部分エステル)、無水物(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン)であり得る。また、エマルジョンに甘味剤およびフレーバー剤を含めてもよい。
【0346】
医薬組成物は、滅菌された注射用の水性または油性懸濁剤の形態であり得る。この懸濁剤は、上記の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用し、既知の技術に従って製剤化され得る。また、滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌された注射用の液剤または懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオール中の液剤)であってもよい。とりわけ、使用され得る許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌された固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用されている。この目的のため、任意の無刺激性の固定油、例えば、合成モノ−またはジ−グリセリドが使用され得る。また、オレイン酸などの脂肪酸は、注射用剤の調製における有用性が見い出されている。
【0347】
また、siNAは、例えば、薬物の経直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。このような組成物は、薬物を、常温では固形であるが直腸温度では液状となり、したがって直腸内で融解して該薬物を放出する適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製され得る。かかる物質としては、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0348】
siNAは、ヌクレアーゼ抵抗性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−Hによる修飾によって安定性が向上するように広範に修飾され得る。概説については、UsmanおよびCedergren,TIBS 17:34,1992;Usmanら,Nucleic Acids Symp.Ser.57:163,1994を参照のこと。siNA構築物は、一般的な方法を用いてゲル電気泳動によって精製してもよく、高圧液体クロマトグラフィーおよび水中への再懸濁によって精製してもよい。
【0349】
修飾(塩基、糖鎖および/またはリン酸基)を有する核酸分子の化学合成により、該分子の血清リボヌクレアーゼによる分解が抑制され得、それにより効力が増大し得る。例えば、Ecksteinら,国際特許出願公開公報WO/1992/07065;Perraultら,Nature 344:565,1990;Piekenら,Science 253,314,1991;UsmanおよびCedergren,Trends in Biochem.Sci.77:334,1992;Usmanら,国際特許出願公開公報WO/1993/15187;ならびにRossiら,国際特許出願公開公報WO/1991/03162;Sproat,米国特許第5,334,711号;ならびにGoldら,米国特許第6,300,074号を参照のこと。上記の参考文献にはすべて、本明細書に記載の核酸分子の塩基、リン酸基および/または糖鎖部分に対して行なわれ得る種々の化学修飾が記載されている。
【0350】
当該技術分野において、核酸分子に導入され得る糖鎖、塩基およびリン酸基の修飾であって、ヌクレアーゼの安定性と有効性の有意な向上を伴う修飾が報告された例がいくつかある。例えば、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−H、ヌクレオチド塩基修飾による修飾によって安定性が向上するように、および/または生物学的活性が向上するように修飾される。概説については、UsmanおよびCedergren,TIBS 17:34,1992;Usmanら,Nucleic Acids Symp.Ser.31:163,1994;Burginら,Biochemistry 35:14090,1996を参照のこと。核酸分子の糖鎖の修飾は、当該具術分野において広範に報告されている。Ecksteinら,国際特許出願公開公報WO/1992/07065;Perraultら Nature 344:565−568,1990;Piekenら Science 255:314−317,1991;UsmanおよびCedergren,Trends in Biochem.Sci.77:334−339,1992;Usmanら 国際特許出願公開公報WO/1993/15187;Sproat,米国特許第5,334,711号およびBeigelmanら,J.Biol.Chem.270:25102,1995;Beigelmanら,国際特許出願公開公報WO/1997/26270;Beigelmanら,米国特許第5,716,824号;Usmanら,米国特許第5,627,053号;Woolfら,国際特許出願公開公報WO/1998/13526;Thompsonら,Karpeiskyら,Tetrahedron Lett.39:1131,1998;EarnshawおよびGait,Biopotymers(Nucleic Acid Sciences)48:39−55,1998;VermaおよびEckstein,Annu.Rev.Biochem.67:99−134,1998;ならびにBurlinaら,Bioorg.Med.Chem.5:1999−2010,1997を参照のこと。かかる刊行物には、触媒作用をモジュレートすることなく核酸分子内に糖鎖、塩基および/またはリン酸基の修飾などを組み込む位置を決定するための一般的な方法およびストラテジーが記載されている。かかる教示に鑑み、siNAが細胞においてRNAiを促進する能力が有意に阻害されない限り、同様の修飾が、本明細書に記載のようにして、本発明のsiNA核酸分子を修飾するために使用され得る。
【0351】
ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合および/または5’−メチルホスホネート結合によるオリゴヌクレオチドヌクレオチド間結合の化学修飾によって安定性が改善され得るが、過剰に修飾すると、多少の毒性または活性の低下がもたらされることがあり得る。したがって、核酸分子を設計する場合、このようなヌクレオチド間結合の量は、最小限にしておくのがよい。このような結合の濃度を少なくすることにより、毒性を下げ、該分子の有効性の増大および特異性の上昇がもたらされるようにするのがよい。
【0352】
一実施形態において、本発明では、1つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミダートカルバメート、カルボキシメチル、アセトアミダート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/またはアルキルシリル置換を含む主鎖のリン酸基の修飾を有する修飾siNA分子を取り上げて記載する。オリゴヌクレオチド主鎖修飾の概説については、HunzikerおよびLeumann,Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,1995,pp.331−417,ならびにMesmaekerら,”Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides,in Carbohydrate Modifications in Antisense Research,”ACS,1994,pp.24−39を参照のこと。
【0353】
核酸分子の送達方法は、Akhtarら,Trends Cell Bio.2:139,1992;“Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,”Akhtar編,1995;Maurerら,Mol.Membr.Biol.7(5:129−140,1999;HoflandおよびHuang,Handb.Exp.Pharmacol.137:165−192,1999;ならびにLeeら,ACSSymp.Ser.752:184−192,2000に記載されている。Beigelmanら,米国特許第6,395,713号、およびSullivanら,国際特許出願公開公報WO/1994/02595には、さらに、核酸分子の送達のための一般的な方法が記載されている。このようなプロトコルは、事実上任意の核酸分子の送達に使用され得る。核酸分子は細胞に、当業者にわかるさまざまな方法、例えば限定されないが、リポソーム、イオン導入、または他の媒体(生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例えば、Gonzalezら,Bioconjugate Chem.10:1068−1074,1999;Wangら,国際特許出願公開公報WO/2003/47518およびWO/2003/46185)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)ならびにPLCAミクロスフェア(例えば、米国特許第6,447,796号および米国特許出願公開第US2002/130430号)、生分解性ナノカプセル剤、および生体接着性ミクロスフェアなど)中への組込み、またはタンパク質系ベクター(O’HareおよびNormand、国際特許出願公開公報WO/2000/53722)による内部または外部からのカプセル封入によって投与され得る。あるいはまた、核酸/ビヒクルの組合せは、直接注射または注入ポンプの使用によって局所送達される。本発明の核酸分子の直接注射は、皮下、筋肉内または皮内のいずれであれ、標準的な針とシリンジによる方法論、またはCornyら,Clin.Cancer Res.5:2330−2337,1999、およびBarryら,国際特許出願公開公報WO/1999/31262に記載されたものなどの無針手法を用いて行なわれ得る。本発明の分子は、医薬用薬剤として使用され得る。医薬用薬剤は、被検体の疾患状態を予防、その発生をモジュレート、または処置する(症状をある程度軽減する、好ましくはあらゆる症状を軽減する)ものである。
【0354】
「RNA」により、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意図する。「リボヌクレオチド」により、β−D−リボ−フラノース部分の2’位置にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを意図する。この用語は、二本鎖RNA、単鎖RNA、単離RNA、例えば、部分精製RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより産生させたRNA、ならびに、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変により天然に存在するRNAと異なる改変型RNAを包含する。かかる改変としては、非ヌクレオチド物質の付加(siNAの末端(1つもしくは複数)または内部に対するものなど、例えば、RNAの1つ以上のヌクレオチドにおいて)が挙げられ得る。また、本発明のRNA分子内のヌクレオチドには、非標準的ヌクレオチド、例えば、天然に存在しないヌクレオチドまたは化学合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドが含まれ得る。このような改変RNAは類縁体または天然に存在するRNAの類縁体と称されることがあり得る。
【0355】
「キャップ構造」により、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意図する(例えば、Adamicら,米国特許第5,998,203号(引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。このような末端修飾により、核酸分子がエキソヌクレアーゼ分解から保護され、細胞内への送達および/または局在が補助され得る。キャップは、5’末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在させてもよく、両末端に存在させてもよい。非限定的な例において、5’−キャップとしては、限定されないが、グリセリル、逆位デオキシ脱塩基残基(部分);4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド;炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒドロへキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;α−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆位ヌクレオチド部分;3’−3’−逆位脱塩基部分;3’−2’−逆位ヌクレオチド部分;3’−2’−逆位脱塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸基;3’−ホスホルアミダート;ヘキシルリン酸基;アミノヘキシルリン酸基;3’−リン酸;3’−ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または橋絡もしくは非橋絡メチルホスホネート部分が挙げられる。
【0356】
3’−キャップの例としては、限定されないが、グリセリル、逆位デオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(β−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸基;1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸基;3−アミノプロピルリン酸基;6−アミノヘキシルリン酸基;1,2−アミノドデシルリン酸基;ヒドロキシプロピルリン酸基;1,5−アンヒドロへキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;α−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分;5’−5’−逆位脱塩基部分;5’−ホスホルアミダート;5’−ホスホロチオエート;1,4−ブタンジオールリン酸基;5’−アミノ;橋絡および/または非橋絡5’−ホスホルアミダート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、橋絡または非橋絡メチルホスホネートならびに5’−メルカプト部分が挙げられる(より詳細については、BeaucageおよびLyer,Tetrahedron 49:1925,1993を参照のこと;引用により本明細書に組み込まれる)。
【0357】
用語「非ヌクレオチド」により、1つ以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖内に組み込まれ得る任意の基または化合物(例えば、糖鎖および/またはリン酸基いずれかの置換)であって、残りの塩基がその酵素活性を発揮することを可能にするものを意図する。該基または化合物は、一般に認知されているヌクレオチド塩基(アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなど)を含まず、したがって、l’位置に塩基がないため、脱塩基である。
【0358】
「ヌクレオチド」は、本明細書で用いる場合、当該技術分野で認識されているとおりのものであり、天然の塩基(標準的)、および当該技術分野でよく知られた修飾塩基が包含される。かかる塩基は一般的に、ヌクレオチドの糖鎖部分の1’位置に存在する。ヌクレオチドは、一般的に、塩基、糖鎖およびリン酸基で構成されている。ヌクレオチドは、糖鎖、リン酸基および/または塩基部分が修飾されていないもの、または修飾されているものであり得る(互換的に、ヌクレオチド類縁体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準的ヌクレオチドなどとも称される;例えば、UsmanおよびMcSwiggen(上掲);Ecksteinら,国際特許出願公開公報WO/1992/07065;Usmanら,国際特許出願公開公報WO/1993/15187;Uhlman & Peyman(上掲)(すべて、引用により本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。当該技術分野では、修飾核酸塩基の例がいくつか知られており、これらは、Limbachら,Nucleic Acids Res.22:2183,1994に要約されている。核酸分子に導入され得る塩基修飾の非限定的な一例としては、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、プソイドウラシル、2、4、6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)または6−アザピリミジンまたは6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピンなど(Burginら,Biochemistry 55:14090,1996;Uhlman & Peyman(上掲))が挙げられる。この態様における「修飾塩基」は、1’位のアデニン、グアニン、シトシンおよびウラシルまたはその等価物以外のヌクレオチド塩基を意図する。
【0359】
「標的部位」または「標的配列」または「被標的化配列」により、アンチセンス領域内に標的配列に相補的な配列を含むsiNA構築物によって媒介されるの切断のために「標的化される」標的核酸(例えば、RNA)内の配列を意図する。
【0360】
siNA分子は、カチオン性脂質と複合体形成させてもよく、リポソーム内に封入してもよく、あるいは細胞または組織に送達してもよい。核酸または核酸複合体は、注射、注入ポンプまたはステントによって、バイオポリマーに組み込まれた状態で、または組込み無しで局所投与され得る。別の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)を、本発明のsiNA化合物、ポリペプチドまたは両方に共有結合させ得る。結合させるPEGは、任意の分子量、好ましくは約2,000〜約50,000ダルトン(Da)であり得る。
【0361】
センス領域はアンチセンス領域に、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子によって連結され得る。
【0362】
「逆位反復配列」は、該反復配列が転写されると、二本鎖siRNAが形成され得るように配置されたセンスエレメントとアンチセンスエレメントを含む核酸配列をいう。逆位反復配列には、任意選択で、該反復配列の2つのエレメント間にリンカーまたは非相同配列(自己切断リボザイムなど)が含まれることがあり得る。逆位反復配列のエレメントは、二本鎖RNAが形成されるのに充分な長さを有する。典型的には、逆位反復配列の各エレメントは、約15〜約100ヌクレオチド長、好ましくは約20〜30塩基ヌクレオチド、好ましくは約20〜25ヌクレオチド長、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。
【0363】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそのポリマーであって、単鎖形態または二本鎖形態のものをいう。該用語は、既知ヌクレオチド類縁体または修飾主鎖残基もしくは結合を含む核酸であって、合成、天然および非天然であり、参照核酸と同様の結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される核酸を包含する。かかる類縁体の例としては、限定されないが、、ホスホロチオエート、ホスホルアミダート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられる。
【0364】
「高分子二本鎖RNA」は、約40bpより大きい、例えば100bp以上、特に300bpより大きいサイズを有する任意の二本鎖RNAをいう。高分子dsRNAの配列は、mRNAのセグメントを表すものであってもよく、mRNA全体を表すものであってもよい。高分子dsRNAの最大サイズは、本明細書において限定されない。二本鎖RNAは修飾塩基を含むものであってもよく、該修飾は、リン酸基糖鎖主鎖またはヌクレオシドに対するものであり得る。かかる修飾は、窒素もしくはイオウヘテロ原子または任意の他の当該技術分野で知られた修飾を含むものであり得る。
【0365】
二本鎖構造は、自己相補的なRNA鎖(ヘアピンもしくはマイクロRNAに存在するものなど)によって、または2つの相違する相補的なRNA鎖のアニーリングによって形成され得る。
【0366】
「オーバーラップ」は、2つのRNA断片が、一方の鎖における複数のヌクレオチドがオーバーラップした配列を有する場合をいい、例えば、該複数のヌクレオチド(nt)の数は2〜5ヌクレオチド程度の小さいもの、または5〜10ヌクレオチドまたはそれ以上である。
【0367】
「1つ以上のdsRNA」は、一次配列に基づいて互いに異なるdsRNAをいう。
【0368】
「標的遺伝子またはmRNA」は、対象の任意の遺伝子またはmRNAをいう。実際には、遺伝子試験または配列決定によって既に同定されている任意の遺伝子が標的となり得る。標的遺伝子またはmRNAとしては、発生遺伝子および調節遺伝子ならびに代謝遺伝子もしくは構造遺伝子または酵素をコードする遺伝子が挙げられ得る。標的遺伝子は、表現型が研究対象である細胞において、または生物体において、表現型の特徴に直接または間接的に影響が及ぼされる様式で発現させ得る。標的遺伝子は内因性または外因性のものであり得る。かかる細胞としては、成体もしくは胚性の動物もしくは植物の体内の任意の細胞(例えば、配偶子)、または任意の単離細胞(不死化細胞株に存在するものなど)または一次培養細胞が挙げられる。
【0369】
本明細書に挙げたすべての刊行物、参考文献、特許、特許出願公開公報および特許出願は、各々、引用によりその全体が具体的に本明細書に組み込まれる。
【0370】
本発明を一部の特定の実施形態に関して説明したが、多くの詳細事項は例示の目的で示したものであり、当業者には、本発明がさらなる実施形態を包含すること、および本明細書に記載した詳細事項の一部は、本発明から逸脱することなく大幅に変更されることがあり得ることが自明であろう。本発明は、かかるさらなる実施形態、変形例および均等物を包含する。特に、本発明は、種々の例示した構成要素および実施例の特徴、用語または要素の任意の組合せを包含する。
【0371】
本発明を説明する際に本明細書で、および特許請求の範囲で用いた用語「a」、「an」、「the」および同様の用語は、単数形と複数形の両方を含むと解釈されたい。用語「含む」、「を有する」、「含んでいる」および「を含有する」は、非限定的用語であり、例えば、「限定されないが、〜を含む」を意味すると解釈されたい。本明細書におけるある範囲の値に対する記載は、個々について、当該範囲内の値がいくつか明示されていようと、そうでなかろうと、当該範囲内に含まれる任意の個々の各値が、本明細書においてあたかも個々に記載されているかのごとく示されているものとする。例えば、「4〜12」という範囲は、限定されないが、値5、5.1、5.35、および4以上12以下の任意の他の自然数、整数、分数または有理数の値を含む。本明細書で用いた具体的な値は、例示であって本発明の範囲を限定するものでないことは理解されよう。
【0372】
本明細書に示した技術用語の定義は、記載がなければ、当業者にわかる当該用語から連想される意味を含むものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではないと解釈されたい。本明細書に示した技術用語の定義は、当該技術分野における択一的な定義、または引用により本明細書に、該択一的定義が本明細書に示した定義と矛盾する程度まで組み込まれた定義よりも優先されると解釈されたい。
【0373】
本明細書に示した実施例、および本明細書で用いた例示的な文言は、単なる例示の目的のためであって、本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0374】
例示の羅列(本発明に適した化合物または分子の羅列など)が示されている場合、当業者には、羅列した化合物または分子の混合物もまた好適であることが自明であろう。
【実施例】
【0375】
実施例1
9L細胞におけるLacZ遺伝子発現ノックダウンのインビトロアッセイ
9L/LacZは、細菌ガラクトシダーゼをコードするLacZ遺伝子を安定的に発現するラット神経膠肉腫細胞株である。LacZ遺伝子ノックダウンの測定は、活性に基づいたインビトロでの干渉RNA送達製剤の一次アッセイとして使用され得る。
【0376】
LacZ遺伝子ノックダウンの測定のため、9L/LacZ細胞をRNAi製剤でトランスフェクトし、β−ガラクトシダーゼアッセイを、トランスフェクションの3日後に回収した細胞において行なった。タンパク質濃度を定量するためのさらなるアッセイを行なった。
【0377】
9L/LacZ細胞を8000細胞/ウェル(96ウェル)で平板培養し、培地中で一晩インキュベートした。トランスフェクションの時点で、コンフルエンシーは約15〜20%であった。トランスフェクション複合体は、干渉RNAをOptiMEM(商標)培地に添加し、ボルテックスし、別途、送達製剤をOptiMEM(商標)培地に添加し、ボルテックスし、最後に培地中の干渉RNAを培地中の送達製剤と混合してトランスフェクション複合体を作製することにより調製した。インキュベーションした細胞の培地を、新鮮無血清培地(血清を含なまいOptiMEM(商標))と交換し、トランスフェクション複合体を各ウェルに添加した。細胞を5時間インキュベートし、次いで、100マイクロリットルの完全培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)の添加後、37℃および5%COで一晩インキュベートした。翌日、トランスフェクションの24時間後、培地を新鮮完全培地に交換し、細胞をさらに48時間、37℃および5%COでインキュベートした。
【0378】
LacZ遺伝子ノックダウンのため、回収した9L/LacZ細胞をPBS中で洗浄し、M−PER(商標)試薬(Pierce)中で溶解させ、室温で15分間インキュベートした。ライセートを各ウェルから採取し、Micro BCAキット(Pierce,Thermo Fisher Scientific)を用いたタンパク質アッセイ、およびAll−in−One(商標)β−ガラクトシダーゼアッセイ試薬(Pierce)を用いたβ−galアッセイを行なった。
【0379】
A549細胞におけるPPIB遺伝子発現ノックダウンのインビトロアッセイ
シクロフィリンB(PPIB)遺伝子ノックダウンの測定は、活性に基づいたインビトロでの干渉RNA送達製剤の一次アッセイとして使用され得る。シクロフィリンB(PPIB)遺伝子発現ノックダウンは、A549ヒト肺胞基底上皮細胞において測定した。PPIB遺伝子ノックダウンの測定のため、A549細胞を干渉RNA製剤でトランスフェクトし、トランスフェクションの24時間後に全RNAを調製し、PPIB mRNAをRT−PCRによってアッセイした。標準化のため、36B4(酸性のリボソームホスホタンパク質PO)mRNA発現のQRT−PCRを行なった。
【0380】
A549細胞を7,500細胞/ウェル(96ウェル)で播種し、培地中で一晩インキュベートした。トランスフェクションの時点でコンフルエンシーは約50%であった。トランスフェクション複合体は、干渉RNAを培地(OptiMEM(商標))に添加し、ボルテックスし、別途、送達製剤を培地(OptiMEM(商標))に添加し、ボルテックスし、最後に培地中の干渉RNAを培地中の送達製剤と混合し、20分間室温でインキュベートしてトランスフェクション複合体を作製することにより調製した。インキュベーションした細胞の培地を、新鮮OptiMEM(商標)と交換し、トランスフェクション複合体を各ウェルに添加した。細胞を37℃および5%COで5時間インキュベートし、次いで、完全培地を添加し(最終ウシ胎仔血清濃度10%まで)、トランスフェクションの24時間後までインキュベーションを継続した。
【0381】
PPIB遺伝子ノックダウンのため、細胞を溶解させ、RNAを調製した(Invisorb RNA Cell HTS 96−Kit/C,Invitek,Berlin、またはRNeasy 96 Kit,Qiagen)。DNA Engine Opticon2サーマルサイクラー(BioRad)において、One−Step qRT−PCRキット(Invitrogen)を使用し、定量的RT−PCRを行なった。
【0382】
PPIBに使用したプライマーは:
【0383】
【化26】

であった。
【0384】
36B4では、プライマーは:
【0385】
【化27】

であった。
【0386】
マウスにおけるインフルエンザウイルス力価のノックダウンのインビボアッセイ
マウスにおけるインフルエンウイルス力価のノックダウンの測定は、干渉RNAリポペプチド送達製剤の有効性のインビボ評価として使用され得る。
【0387】
このアッセイでは、典型的には、50uLの干渉RNAリポペプチド製剤、または対照群としてPBSを、ケタミン/キシラジンで麻酔した7〜9週齢のBalb/Cマウスに鼻腔内投与した。毎日の投与を、第−2日、第−1日および第0日の連続3日間行なった。最後の投与の4時間後、感染が誘導された。
【0388】
インフルエンザ感染は、インフルエンA/Puerto Rico/8/34(PR8、サブタイプHlNl)を用いて誘導した。感染のため、50μlの20pfu PR8(0.3%BSA/lXPBS/PS中で希釈)を、ケタミン/キシラジンで麻酔したマウスに鼻腔内投与した。感染の48時間後、肺を採取し、600uLの0.3%BSA/lXPBS/PS中でホモジナイズした。ホモジネートを凍結/解凍を2回行ない、ウイルスを放出させた。TCID50アッセイ(Tissue−Culture Infectious Dose 50)を行ない、肺ホモジネート中のウイルスの力価を測定した。平底96ウェルプレートに、ウェル1つあたり2×10個のMDCK細胞を播種し、24時間後、血清含有培地を除去した。30uLの肺ホモジネートを、未希釈または希釈(10倍〜10倍(10倍ずつ段階的))のいずれかとし、4連でウェルに添加した。1時間のインキュベーション後、4μg/mlのトリプシンを含有する170μlの感染培地(DMEM/0.3%BSA/10mM HEPES/PS)を各ウェルに添加した。37℃の48時間のインキュベーション後、培養上清み中のウイルスの有無を、ニワトリ赤血球の血球凝集によって測定した。スピアマン−カルバーの式を使用し、ウイルス力価を推定した。
【0389】
siRNA濃度のSYBR(商標)Goldアッセイ
製剤中のdsRNAの濃度は、SYBR(商標)Goldアッセイによって、以下のようにして測定され得る。10ulのdsRNA製剤を100ulのMeOHに添加し、55℃で5分間インキュベートする。50ulのヘパリン(200mg/ml)を添加し、溶液を55℃で5分間インキュベートする。790ulのPBS(リン酸基緩衝生理食塩水)を添加し、試料を微量遠心管内でスピンダウンし、ペレット化する。90ulのペレット試料を10ulのSYBR(商標)Gold試薬(Molecular Probes,Eugene,Oregon)とともにインキュベートする。Em535nmにおける蛍光を読み取る(励起495nm)。
【0390】
実施例2
本開示の一部の二本鎖RNAの構造を表6に示す。
【0391】
【表6】

実施例3
本開示の活性RNA製剤は、干渉RNAをバッファーまたは細胞培養培地中に溶解させ、ボルテックスし、別途、送達製剤をバッファーまたは細胞培養培地と混合し、ボルテックスし、最後に干渉RNA混合物を送達製剤混合物と混合して、活性RNAiトランスフェクション製剤を作製することにより調製され得る。
【0392】
送達製剤を調製するため、リポペプチドを他の脂質および/または賦形剤とともに、CHCl/MeOH中で可溶化させ、N下で乾燥させ、5%デキストロース含有10mM HEPES(pH7.4)中で水和させ得る。混合物には、超音波処理または押出し、透析および/またはタンジェンシャルフロー濾過が行なわれ得る。
【0393】
本開示の例示的な干渉RNA製剤を表7に示す。この実施例では、リポペプチドにより、干渉siRNA治療薬の細胞内送達のための該ペプチド自体の製剤がもたらされる。リポペプチドの量を、活性RNA薬剤を含めていない送達成分に対するモルパーセントで示す。
【0394】
【表7】

本開示の例示的な干渉RNA製剤を表8に示す。この実施例では、リポペプチドにより、干渉siRNA治療薬の細胞内送達のための該ペプチド自体の製剤がもたらされる。リポペプチドの量を、活性RNA薬剤を含めていない送達成分に対するモルパーセントで示す。前の表の各ペプチドの親油性基の長さを「(CX)」で表す。ここで、「X」は、親油性基内の炭素の数を表す。例えば、C20は、20炭素鎖長を有する親油性基を表す。
【0395】
【表8】

本開示の例示的なRNAi製剤を表9に示す。この実施例では、リポペプチドを非カチオン性脂質と合わせて共送達製剤にしている。
【0396】
【表9】

本開示の例示的なRNAi製剤を表10に示す。この実施例では、リポペプチドをカチオン性脂質、非カチオン性脂質、およびペグ化脂質と合わせて多成分送達製剤にしている。
【0397】
【表10】

本開示のRNAi製剤のためのさらなる脂質の例を表11に示す。
【0398】
【表11】

実施例4
本開示の干渉RNA組成物の実施例製剤のノックダウン活性を表12に示す。
【0399】
【表12】

表12のリポペプチドでは、結果により、少なくとも2つのリポペプチド(C20)−(H)(R)(H)K−NH−(C20)(配列番号13)と(C18)−HHHHHKHHHKKKHKHKKK−システアミド(配列番号355)が、少なくともA549/PPIBアッセイにおいて、Qnegおよびビヒクル(ビヒクルのデータは表示せず)の両方と比べて有意なノックダウンを示すことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
−J−{NR−CR−(C=O)}−Z−R 式I
(式中、
は、独立して、各存在に対して、アミノ酸の非水素側鎖であり;
{NR−CR−(C=O)}は、中心ペプチドであり;
およびRは、互いに独立して、水素であるか、または炭素、酸素、窒素、イオウおよび水素原子からなり、1〜20個の炭素原子を有する有機基であるか、またはC(1〜22)アルキル、(6〜12)シクロアルキル、(6〜12)シクロアルキルアルキル、C(3〜18)アルケニル、C(3〜18)アルキニル、C(1〜5)アルカノイル、C(1〜5)アルカノイルオキシ、C(1〜5)アルコキシ、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルキル、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルコキシ、C(1〜5)アルキル−アミノ−C(1〜5)アルキル−、C(1〜5)ジアルキル−アミノ−C(1〜5)アルキル−、ニトロ−C(1〜5)アルキル、シアノ−C(1〜5)アルキル、アリール−C(1〜5)アルキル、4−ビフェニル−C(1〜5)アルキル、カルボキシル、もしくはヒドロキシルであり;
およびRは、互いに独立して、天然もしくは合成脂質、リン脂質、糖脂質、トリアシルグリセロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド、もしくはガングリオシド由来の親油性テール部であり、該テール部は、ステロイド、または炭素、酸素、窒素、イオウおよび水素原子からなり、1〜20個の炭素原子を有する有機基、または置換もしくは非置換のC(1〜22)アルキル、C(6〜12)シクロアルキル、C(6〜12)シクロアルキル−アルキル、C(3〜18)アルケニル、C(3〜18)アルキニル、C(1〜5)アルコキシ−C(1〜5)アルキル、またはスフィンガニン、(2R,3R)−2−アミノ−l,3−オクタデカンジオール、イコサスフィンガニン、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、シス−4−スフィンゲニン、またはセラミドを含んでいてもよく;
Zは、NH、O、またはマレイミド、チオエーテル、アミド、システアミド、システイン、チオールを含むリンカー、またはジスルフィド基、または1〜400個の原子を含むポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド基、C、H、F、Cl、Br、N、O、S、Si、およびPの群から選択される1〜200個の原子を含むリンカーであり;
Jは、(C=O)、O、またはマレイミド、チオエーテル、アミド、システアミド、システイン、チオールを含むリンカー、またはジスルフィド基、または1〜400個の原子を含むポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド基、C、H、F、Cl、Br、N、O、S、Si、およびPの群から選択される1〜200個の原子を含むリンカーである;ならびに
nは、2〜100である)
に示す構造を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項2】
中心ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号1〜300および350〜356からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
中心ペプチドのアミノ酸配列が、GALFLAFLAAALXaaLMGLWXaaQXaaKKKRKV(配列番号291)、WSQPKKKRKV(配列番号292)、WWHHKKRRCCRRKKHHWW(配列番号94)、XaaWSQPKKKRKVXaa(配列番号293)、WXaaQPKKKRKXaa(配列番号294)XaaaaQPKKKRKV(配列番号295)、LIRLWXaaHLIHIWFQXaaRRLKWKKK(配列番号297)、QNRRLKWKKK(配列番号298)、XaaQNRRLKWKKKXaa(配列番号299)、およびQXaaRRLKWKKK(配列番号300)からなる群より選択され、ここで、Xaaは、独立して、各存在に対して、L、A、Q、H、E、R、またはKである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
中心ペプチドに側鎖が連結されており、該側鎖が、3,5−ジヨードチロシン、1−メチルヒスチジン、2−メチルブタン酸、2−o−アニシルプロパン酸、メソ−酒石酸、4,6−ジメチルピリミジナミン、p−フタル酸、クレアチニン、ブタン酸、N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン、ペンタン酸、4−メチルペンタン酸、N−メチルアニリン、1,10−フェナントロリン、3−ピリジンカルボン酸、ヘキサン酸、プロパン酸、4−アミノ(animo)安息香酸、2−メチルプロパン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、キノリン、3−キノリンアミン、2−アミノ安息香酸、4−ピリジンカルボン酸、ノナン酸、メラミン、8−キノリノール、トリメチル酢酸、6−メトキシキノリン、4−(メチルアミノ)安息香酸、p−メチルアニリン、3−(メチルアミノ)安息香酸、リンゴ酸、N−エチルアニリン、2−ベンジルピリジン、3,6−ジニトロフェノール、N,N−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルピペラジン、p−フェネチジン、5−メチルキノリン、2−フェニルベンゾイミダゾール、ピリジン、ピコリン酸、3,5−ジヨード(diiodi)チロシン、p−アニシジン、2−(メチルアミノ)安息香酸、2−チアゾールアミン、グルタル酸、アジピン酸、イソキノリン、イタコン酸、o−フタル酸、ベンゾイミダゾール、ピペラジン、ヘプタン二酸、アクリジン、フェナントリジン、コハク酸、メチルコハク酸、4−メチルキノリン、3−メチルピリジン、7−イソキノリノール、マロン酸、メチル(methy)マロン酸、2−メチルキノリン、2−エチルピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、ヒスタミン、ヒスチジン、マレイン酸、シス−1,2−シクロヘキサンジアミン、3,5−ジメチルピリジン、2−エチルベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、カコジル酸、ペリミジン、クエン酸、イソクエン酸、2,5−ジメチルピリジン、パパベリン、6−ヒドロキシ−4−メチルプテリジン、L−サイロキシン、3,4−ジメチルピリジン、メトキシピリジン、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン、2,5−ピリジンジアミン、l−1−メチルヒスチジン、l−3−メチルヒスチジン、2,3−ジメチルピリジン、キサントプテリン、1,2−プロパンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、アロキサン酸、2,6−ジメチルピリジン、L−カルノシン、2−ピリジンアミン、N−b−アラニルヒスチジン、ピロカルピン、1−メチルイミダゾール、1H−イミダゾール、2,4−ジメチルピリジン、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、チロシンアミド、5−ヒドロキシ(hydoxxy)キナゾリン、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、2,4,6−トリメチルピリジン、ベロナール、2,3−ジクロロフェノール、1,2−エタンジアミン、1−イソキノリンアミン、およびその組合せから選択される放出性官能基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
干渉RNA薬剤および1種類以上の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項6】
前記干渉RNA薬剤がsiRNAである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記干渉RNA薬剤がmdRNAである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
干渉RNA薬剤、1種類以上の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る、1種類以上の非カチオン性脂質、およびポリマー脂質を含む医薬組成物。
【請求項9】
前記干渉RNA薬剤がsiRNAである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記干渉RNA薬剤がmdRNAである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記1種類以上の化合物が
(C20)−(H)(R)(H)K−NH−(C20)(配列番号13)
である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記非カチオン性脂質が、DDPE、DLPE、DSPE、DOPE、DLinPE、DLenPE、DARAPE、DDHAPE、DPhPE、DSPC、DPPC、DDPC、DPPS、DSPS、コレステロール、ラノステロール、スチグマスタノール、ジヒドロラノステロール、チモステロール、チモステノール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロール、ペグ化コレステロール、酢酸コレステリル、アラキドン酸コレステリル、酪酸コレステリル、ヘキサン酸コレステリル、カプリル酸コレステリル、n−デカン酸コレステリル、ドデカン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ベヘン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ネルボン酸コレステリル、ペラルゴン酸コレステリル、n−バレリアン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、エライジン酸コレステリル、エルカ酸コレステリル、ヘプタン酸コレステリル、リノールエライジン酸コレステリル、リノール酸コレステリル、ならびにその混合物および誘導体から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマー脂質が、DMPE−MPEG−2000、DMPE−MPEG−5000、DPPE−MPEG−2000、DPPE−MPEG−5000、DSPE−MPEG−750、DSPE−MPEG−2000、DSPE−MPEG−5000、硫酸コレステリルナトリウム、ペグ化コレステロール、その薬学的に許容され得る塩、およびその混合物から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
請求項8に記載の組成物を調製すること、および細胞を該組成物で処理することを含む、干渉RNA薬剤を細胞に送達するための方法。
【請求項15】
請求項8に記載の組成物を調製すること、および細胞を該組成物で処理することを含む、細胞における遺伝子の発現を阻害するための方法。
【請求項16】
請求項8に記載の組成物を調製すること、および該組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における遺伝子の発現を阻害するための方法。
【請求項17】
疾患、障害または病状の処置のための医薬の製造のための請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項18】
疾患または病状が、癌、代謝疾患もしくは代謝障害、または炎症性疾患である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
ウイルス感染の処置のための医薬の製造のための請求項8に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2011−501742(P2011−501742A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528138(P2010−528138)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/078627
【国際公開番号】WO2009/046220
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(507328184)エムディーアールエヌエー,インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】