説明

框状パネル製造方法

【課題】製造工程の簡略化を図り得るとともに、見栄えの良い框状パネルを製造し得る框状パネル製造方法を提供する。
【解決手段】框状パネル製造方法は、少なくとも一面側の両側端部に沿って一対の縦框状突部2,2を有する框状パネル1の製造方法であって、前記一対の縦框状突部を構成する一対の縦框状突基部11,11を両側端部に沿って設けたパネル芯材10を作製し、次いで、前記パネル芯材の一対の縦框状突基部によって形成される両入隅部13,13、及び各縦框状突基部の幅方向両出隅部14,14に対応させた折曲溝23,24を裏面22に設けた表面化粧材20を、これら一対の縦框状突基部の各表面11b,11b及び各対向面11a,11a並びに、これら一対の縦框状突基部間の表面12aに沿うように折り曲げて貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、框状の突部を有する框状パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内装建材や家具材などに使用されるパネル材としては、デザイン性や重厚感等を持たせるために、表面に凹凸形状を形成する框状の突部を有した框状のパネル材が知られている。
このような框状のパネル材としては、従来、矩形枠状に枠組みされた框体の内部に、この框体の厚さよりも薄い鏡板を配設したものがあった。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、鏡板の四周端部を、額縁の内側面に設けた凹部に係合させて鏡板ユニットを形成し、この鏡板ユニットを、框枠体としての芯材の開口部に配設し、さらに、框枠体の表裏面等に表面材を貼着してフラッシュパネルを製造する構成とした製造方法が提案されている。
また、下記特許文献2では、縦框間に、横桟や芯材等を配設してパネル基体を作製し、このパネル基体の裏面、縦框の両外側端面、縦框の表面及び縦框の対向面に亘って表面化粧材を貼着し、さらに、これら縦框の対向面間の表面に、化粧面板を貼着した構成とされたフラッシュ構造の扉本体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−124953号公報(図4参照)
【特許文献2】特開平9−287361号公報(図21〜図23参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたフラッシュパネルでは、鏡板ユニットの四周を框枠体で支持する構造とされているので、例えば、パネル体の上下や中間部位には横框状の突部を設けずに、戸体の両側端部のみに一対の縦框状の突部を設けた、いわゆる二方框状パネルを製造したい場合には、別構造の構成を採用する必要があった。また、この特許文献1に記載されたフラッシュパネルの製造方法では、額縁の加工工程や、該額縁への樹脂シートの貼着工程、さらには框枠体への表面材の貼着工程等、多くの工程を必要とし、製造工程の簡略化が望まれていた。
【0006】
また、この特許文献1に記載されたフラッシュパネルの製造方法、及び上記特許文献2に記載された扉本体の製造方法では、上記フラッシュパネルの額縁と鏡板との接合部等や、上記扉本体の縦框の対向面に貼着された表面化粧材とこれら縦框間の表面に貼着された化粧面板との間に、隙間等が形成される恐れがあった。このような隙間等を見栄え良く納めるには、額縁部材等をタッカーやフィニッシュネイル等の固定止具によって固定して納めることも考えられるが、構造が複雑化するとともに、止具自体乃至は止具跡が目立ち、見栄えが悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、製造工程の簡略化を図り得るとともに、見栄えの良い框状パネルを製造し得る框状パネル製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る框状パネル製造方法は、少なくとも一面側の両側端部に沿って一対の縦框状突部を有する框状パネルの製造方法であって、前記一対の縦框状突部を構成する一対の縦框状突基部を両側端部に沿って設けたパネル芯材を作製し、次いで、前記パネル芯材の一対の縦框状突基部によって形成される両入隅部、及び各縦框状突基部の幅方向両出隅部に対応させた折曲溝を裏面に設けた表面化粧材を、これら一対の縦框状突基部の各表面及び各対向面並びに、これら一対の縦框状突基部間の表面に沿うように折り曲げて貼着することを特徴とする。
【0009】
このような方法によれば、パネル芯材を作製した後、このパネル芯材の各縦框状突基部の各表面及び各対向面並びに、これら一対の縦框状突基部間の表面に沿わせるように折り曲げて表面化粧材を貼着することで框状パネルを製造することができる。従って、従来のような額縁や框枠体等に個別に樹脂シートや表面材を貼着するようなものと比べて、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、このように製造された框状パネルの一対の縦框状突部の各表面及び各対向面、並びにこれら一対の縦框状突部間の表面は、パネル芯材の表面に沿うように折り曲げられて貼着された表面化粧材によって構成されることとなる。従って、縦框状突部の各対向面と、これら縦框状突部間の表面とによって形成される入隅部に、隙間等が形成されず、見栄えを向上させることができる。
【0010】
本発明においては、前記パネル芯材の両側端面のそれぞれに、前記縦框状突基部の長手方向と同方向に沿って凹溝を形成し、このパネル芯材の一面側に対応して形成された前記表面化粧材、及び他面側に対応して形成された表面化粧材を、該パネル芯材の一面側、及び他面側にそれぞれ貼着し、これら表面化粧材の両端部を、前記凹溝にそれぞれ嵌め込んで納めるようにしてもよい。
これによれば、表面化粧材の継ぎ目が、框状パネルの端面に位置することとなるので、当該框状パネルの一面側、及び他面側において目立たず、見栄えの良い框状パネルを製造することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記表面化粧材を貼着して前記一対の縦框状突部を有した框状パネルを製造した後、この框状パネルの一対の縦框状突部間に配置させるように横框状板を取り付ける横框状板取付工程をさらに含むようにしてもよい。
これによれば、一対の縦框状突部に加えて、これらの間に取り付けられた横框状板によって、より立体感、重厚感のある框状パネルを製造することができる。
また、上記のように、一対の縦框状突部を有した框状パネル(二方框状パネル)を製造した後、その縦框状突部間の任意の位置に横框状板を取り付けることができ、二方框状パネルと、これに横框状板を取り付けた框状パネルとを製造する際に、製造ラインの一部を共通して利用でき、生産性を向上させることができる。
【0012】
前記横框状板取付工程においては、前記一対の縦框状突部の各対向面における横框状板取付部位に、当該縦框状突部の長手方向に沿う凹溝をそれぞれ形成し、この凹溝に前記横框状板の両側端部を嵌め入れることで、該横框状板を取り付けるようにしてもよい。
また、前記横框状板取付工程においては、前記横框状板の裏面、及び前記一対の縦框状突部間における横框状板取付部位の一方に圧入手段を設け、他方にこの圧入手段が圧入される凹部を設けて、該圧入手段を該凹部に圧入させることで、前記横框状板を取り付けるようにしてもよい。
【0013】
上記のような横框状板の取り付け態様によれば、例えば、接着剤や両面接着テープ(両面粘着テープ)等の接着手段により、縦框状突部間の表面に横框状板を接着固定する態様に比べて、横框状板をより強固に取り付けることができる。
すなわち、縦框状突部間の表面は、上述のように貼着された表面化粧材により構成されており、このような表面化粧材の表面には、防汚性を付与するため等の観点等から、コーティング処理や化粧樹脂シートの貼着等により表面処理が施されている場合が多い。このような場合において、例えば、接着剤等により、表面化粧材の表面に横框状板を接着固定する場合、表面処理が施されている結果、表面化粧材の表面が難接着性となり、十分な接着強度が得られず取付強度が低くなる場合がある。一方、上記のような横框状板の取り付け態様によれば、縦框状突部間の表面を構成する表面化粧材の表面に、難接着性の表面処理が施されていた場合等においても、横框状板を強固に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る框状パネル製造方法によれば、上述のような構成としたことで、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、見栄えの良い框状パネルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の一実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図であり、図2(b)に対応させた概略横断面図である。
【図2】(a)は、パネル芯材の一例を模式的に示す概略正面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視に対応させた概略横断面図である。
【図3】(a)、(b)は、同製造方法に適用されるプレス工程の一例をそれぞれ示す概念的な説明図である。
【図4】同製造方法により製造された框状パネルの一例を模式的に示す概略斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
【図6】同製造方法により製造された框状パネルの一例を模式的に示す概略斜視図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の更に他の実施形態に係る框状パネル製造方法についてそれぞれ説明するための概念的な説明図であり、いずれも概略底面図である。
【図8】(a)は、本発明の更に他の実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図であり、図1(a)に対応させた図、(b)は、同製造方法により製造された框状パネルの一例を模式的に示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、第1実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
尚、図1、図3及び図8では、表面化粧材の断面表示(ハッチング)を省略している。
また、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0017】
本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された框状パネル1は、図4に示すように、上下(縦方向)に長尺の略矩形板状とされ、パネル体の表裏面の両側端部に沿って一対の縦框状突部2,2をそれぞれに有した、いわゆる二方框状パネル1とされている。
この二方框状パネル1は、折戸を構成する戸板や、開閉扉、引戸等の扉パネルとして施工されるものとしてもよく、その他、内壁パネルや天井パネル、或いは腰壁等の造作部材等の内装パネルとして施工されるものとしてもよい。さらには、家具材等のパネル材として用いられるものとしてもよい。
【0018】
この二方框状パネル1は、図1に示すように、パネル芯材10の表裏面のそれぞれに表面化粧材20,20を貼着した構成とされている。
まず、パネル芯材10について、図2を参照して説明する。
パネル芯材10は、一対の縦框状突部2,2を構成する一対の縦框状突基部11,11を表裏面のそれぞれに有し、これら一対の縦框状突基部11,11は、その間に、芯材凹部12,12を表裏のそれぞれに形成するように設けられている。
このパネル芯材10は、図2(a)に示すように、略角柱状に加工された複数の枠材や桟材等を枠組みして形成されており、これら部材間の空間に、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるコア材などを配設した、いわゆるフラッシュ構造の芯材とされている。
【0019】
図例では、左右両側に配された一対の縦枠材16,16と、これら一対の縦枠材16,16の内方側にそれぞれ配された一対の段部付縦枠材17,17とからなる複数(図例では四本)の縦枠材を備えている。
段部付縦枠材17は、図2(b)に示すように、外方側の縦枠材16の厚さ寸法(二方框状パネル1の厚さ寸法と同方向の厚さ寸法)と同厚さとされた外方側部位と、この外方側部位よりも厚さ寸法が薄く形成された内方側部位とを有し、これら外方側部位と内方側部位との厚さ寸法の差異によって厚さ方向両側に段部を形成している。
【0020】
各縦枠材16と各段部付縦枠材17との間には、上下枠及び横桟となる複数(図例では、左右それぞれ四本づつ)の横桟材18が架設されている。これら横桟材18は、図2(b)に示すように、縦枠材16及び段部付縦枠材17の上記外方側部位の厚さ寸法と同厚さとされている。
また、一対の段部付縦枠材17,17間には、上下枠及び横桟となる複数(図例では四本)の横桟材19が架設されている。これら横桟材19は、図2(b)に示すように、段部付縦枠材17の上記内方側部位の厚さ寸法と同厚さとされている。
【0021】
上記コア材としては、段ボール原紙やクラフト紙質等の紙材を接着剤で重積接着して形成するようにしてもよい。また、このような紙材に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させたものとしてもよい。その他、アルミ材等の金属系材料や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂系材料から製されたものとしてもよい。
上記した各縦枠材16,17としては、例えば、繊維方向を上下に沿わせるように配置したLVL(単板積層材)等の木質積層板等から製されたものとしてもよい。
また、上記した各横桟材18,19としては、例えば、パーティクルボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等から製されたものとしてもよい。
【0022】
上記構成とされた各部材を例えば、以下のようにして組み付けてパネル芯材10を作製するようにしてもよい。
まず、各縦枠材16,17と各横桟材18,19とを、タッカーやステイプル等の固定止具、乃至は接着剤や両面接着テープ(両面粘着テープ)等の接着手段によって、互いに連結固定する。次いで、これら縦枠材16,17、及び横桟材18,19によって囲まれた各空間に、それぞれの部位の厚さ寸法に対応させた厚さとされた上記コア材をそれぞれ配設し、各コア材の外周部を、当該コア材を囲む縦枠材16,17、及び横桟材18,19に上記固定止具乃至は上記接着手段によって固着させるようにしてもよい。
または、各縦枠材16,17の間に、横桟材18,19の配設箇所を空けるように各コア材をそれぞれ配設し、各コア材の両側部を、上記固定止具乃至は上記接着手段によって縦枠材16,17に固着する。次いで、各縦枠材16,17の間に、各横桟材18,19を配設し、各縦枠材16,17と各横桟材18,19とを連結固定するような態様としてもよい。
【0023】
上記構成とされたパネル芯材10では、図2(b)に示すように、表面側(一方面側)及び裏面側(他方面側)がそれぞれ略同寸同形状とされている。すなわち、表面側及び裏面側が厚さ方向中心線を挟んで略対称な形状とされており、表面側及び裏面側のそれぞれに、一対の縦框状突基部11,11を有した構成とされている。
これら表面側及び裏面側の一対の縦框状突基部11,11の各表面11b,11bは、各縦枠材16、各段部付縦枠材17の上記外方側部位、及びこれらの間に配設された各横桟材18のそれぞれ表裏面、並びにこれら各縦枠材16,17及び各横桟材18の間に配設された上記コア材の表裏の開口縁によって構成されている。
【0024】
また、これら表面側及び裏面側の一対の縦框状突基部11,11の各対向面11a,11aは、各段部付縦枠材17,17の各段壁面によって構成されている。
また、これら表面側及び裏面側の一対の縦框状突基部11,11間の表面となる各芯材凹部底面12a,12aは、各段部付縦枠材17,17の各段底面及び横桟材19の表裏面、並びにこれら各段部付縦枠材17及び各横桟材19の間に配設された上記コア材の表裏の開口縁によって構成されている。
また、左右外方側にそれぞれ配設された一対の縦枠材16,16の外方側端面が、当該パネル芯材10の両側端面15,15をそれぞれ構成し、これら両側端面15,15には、当該パネル芯材10の上下方向(縦框状突基部11の長手方向と同方向)に沿って凹溝15a,15aがそれぞれ形成されている。
【0025】
二方框状パネル1の芯材を、このようなフラッシュ構造のパネル芯材10とすることで、軽量でありながらも適度な強度を有したものとなり、内装建材、特に、開閉扉や引戸、折戸、戸襖等の扉パネル(戸板)として好適なものとなる。
尚、パネル芯材10としては、厚さ方向に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるコア材を各部材間の空間に配設した態様に限られず、発泡体等をコア材として各部材間の空間に配設したものとしてもよい。または、コア材を配設せずに、各部材間の空間を中空としたものとしてもよい。
さらには、このようなフラッシュ構造の芯材に代えて、板状材料を、上記したパネル芯材10の外郭形状と同形状に加工した中実状のものとしてもよい。
【0026】
次に、上記したパネル芯材10の表裏面にそれぞれ貼着される表面化粧材20,20について、図1(a)を参照して説明する。尚、本実施形態では、上記したように、パネル芯材10は、その表面側及び裏面側がそれぞれ略同寸同形状とされており、その表裏に貼着される各表面化粧材20,20は、略同寸同形状とされている。
【0027】
表面化粧材20は、MDF等の木質繊維板を基材とし、その表面21には、表面処理が施されて、この表面21は、化粧面とされている。
この表面処理としては、防汚性塗料や耐光性塗料、撥水性塗料等の塗布によるコーティング処理が挙げられる。または、防汚性や耐光性、撥水性等を有し、木目模様等の種々の模様が施された合成樹脂化粧シート(フィルム)の貼着による表面処理が挙げられる。
尚、上記コーティング処理は、上記基材の表面に、天然銘木を薄くスライスして形成された突板等を貼着した後、該突板の表面に施すようにしてもよい。
【0028】
この表面化粧材20の裏面22には、図1(a)に示すように、パネル芯材10の形状に対応させて、折り曲げ用の複数本の折曲溝23,24,25が上下方向(二方框状パネル1の上下方向と同方向)に沿って形成されている。
図例では、パネル芯材10の一対の縦框状突基部11,11の各対向面11a,11aと芯材凹部底面12aとによって形成される入隅部13,13に対応させて形成された二本の入隅折曲溝23と、各縦框状突基部11,11の幅方向(二方框状パネル1の幅方向と同方向)両出隅部(対向面11aと表面11bとによって形成される出隅部及び表面11bと側端面15とによって形成される出隅部)14,14に対応させて形成された四本の出隅折曲溝24とを形成している。
また、表面化粧材20の両端部近傍の裏面22には、上記したパネル芯材10の両側端面15,15のそれぞれに形成された凹溝15a,15aに、当該表面化粧材20の端部26,26のそれぞれを折り曲げて嵌め入れるための端部折曲溝25,25がそれぞれ形成されている。
【0029】
これら折曲溝23,24,25は、断面略V字形状とされており、例えば、表面化粧材20の表面層の一部を残存させるように、裏面側からルーター等の切削工具等によって切削することで、形成するようにしてもよい。
この表面化粧材20の厚さは、適宜、設定可能であるが、例えば、1.0mm〜5.0mm程度としてもよい。
尚、本実施形態では、断面略矩形状とされた縦框状突基部11の両出隅部14,14の形状に対応させて、出隅折曲溝24,24を、溝底の角度を略直角としたものを例示しているが、この出隅部14に、C面取り形状やR面取り形状等の面取り部が形成されている場合には、その形状に対応させた本数、及び溝形状の折曲溝を設けるようにすればよい。または、出隅用として、複数条の出隅折曲溝を設けることで、当該表面化粧材によって、二方框状パネル1の縦框状突部2の出隅部に、C面取り形状やR面取り形状等の面取り部を形成するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る二方框状パネル1の製造方法の一例について、図1〜図3に基づいて説明する。
まず、上記のようにパネル芯材10を作製し、その作製したパネル芯材10の表裏面(芯材凹部底面12a、縦框状突基部対向面11a、縦框状突基部表面11b)及び両側端面15,15に、接着剤を塗布する。
この接着剤としては、各種水性接着剤やエマルション接着剤等としてもよく、例えば、酢酸ビニル系接着剤やゴムラテックス系エマルション接着剤としてもよい。また、パネル芯材10側に接着剤を塗布する態様に代えて、または加えて、各表面化粧材20の裏面22に接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0031】
そして、図1(a)、(b)に示すように、表面側用及び裏面側用の表面化粧材20,20を、パネル芯材10の表面側及び裏面側に貼着する。
尚、本実施形態では、これら表裏の各表面化粧材20,20は、いずれも同寸同形状とされているので、一方の表面化粧材20をパネル芯材10の一方面側に貼着する態様について以下、説明する。
【0032】
表面化粧材20を、入隅折曲溝23,23で折り曲げ、これらの間の裏面22を、パネル芯材10の芯材凹部底面12aに当接させ、また、入隅折曲溝23,23の各外方側の裏面22のそれぞれを、パネル芯材10の各縦框状突基部11,11の各対向面11a,11aに当接させる。
また、上記した四本の出隅折曲溝24のうち、内方側の各出隅折曲溝24,24で折り曲げて、左右それぞれの出隅折曲溝24,24間の裏面22のそれぞれを、パネル芯材10の各縦框状突基部11,11の各表面11b,11bに当接させる。
また、上記した四本の出隅折曲溝24のうち、外方側の各出隅折曲溝24,24で折り曲げる。また、その左右両側の端部折曲溝25,25で折り曲げて、各出隅折曲溝24と各端部折曲溝25との間の裏面22のそれぞれを、パネル芯材10の両側端面15,15にそれぞれ当接させるとともに、当該表面化粧材20の両端部26,26のそれぞれを、パネル芯材10の各凹溝15a,15aに嵌め入れる。
尚、表面化粧材20を、各折曲溝で折り曲げる順序は、どのような順序でもよい。
【0033】
次いで、上記のように、パネル芯材10の外周、すなわちその表裏面及び両側端面の全体に亘って表面化粧材20,20が貼着された状態で、図3に示すようにプレス手段に導入し、プレスして接着剤を乾燥、硬化させる。
このプレス手段としては、図3(a)に示すように、二方框状パネル1の表面側及び裏面側に配設された複数のローラー対5,6によってプレスするローラープレスを採用するようにしてもよい。
この場合は、二方框状パネル1の表面側及び裏面側の両側端部にそれぞれ形成された一対の縦框状突部2,2の表面2b,2bを押圧する縦框状突部押圧ローラー対5,5と、二方框状パネル1の表面側及び裏面側の略中央に、上下方向に沿ってそれぞれ形成された凹溝状の凹部3,3の底面3a,3aを押圧する凹部押圧ローラー対6,6とを配設した構成としてもよい。
これら各ローラー対5,6によって、二方框状パネル1の表面側及び裏面側を押圧することで、パネル芯材10の外周に沿って、表裏の表面化粧材20,20をそれぞれ接着固定するようにしてもよい。
【0034】
または、上記プレス手段としては、図3(b)に示すように、上下一対のプレス板7,7によってプレスする平面プレスを採用するようにしてもよい。
この場合は、それぞれ平面状とされたプレス板7,7のプレス面と、二方框状パネル1の凹部3,3の底面3a,3aとの間に、この凹部3,3に対応させた平板状のプレス用治具8,8を介在させて押圧するようにしてもよい。つまり、プレス板7,7のプレス面によって、二方框状パネル1の表面側及び裏面側の一対の縦框状突部2,2の表面2b,2bを押圧し、プレス用治具8,8によって、二方框状パネル1の表面側及び裏面側の凹部3,3の底面3a,3aを押圧するようにしてもよい。
または、このような態様に代えて、上下一対のプレス板7,7の各プレス面の形状を、二方框状パネル1の一対の縦框状突部2,2及び凹部3の形状にそれぞれ対応させた形状としたものを採用するようにしてもよい。
【0035】
上記したプレス手段の各例は、一般的な平板状のフラッシュパネル(凹凸形状のないパネル材)の製造ラインの一部に組み込まれており、このようなプレス手段を採用することで、当該二方框状パネル1を、既存のフラッシュパネルの製造ラインの一部を共用して製造することができ、生産性を向上させることができる。
尚、二方框状パネル1の表面側及び裏面側を押圧するプレス手段としては、図例のようなものに限られず、他のプレス手段を採用するようにしてもよい。
また、上記した各例では、二方框状パネル1の両側端面4,4及び縦框状突部2,2の各対向面2a,2aを押圧する押圧部を設けていない例を示しているが、例えば、上記各プレス手段の上流側乃至は下流側に、二方框状パネル1の両側端面4,4及び表裏の縦框状突部2,2の各対向面2a,2aを押圧する押圧部を配設し、これら両側端面4,4及び表裏の縦框状突部2,2の各対向面2a,2aを押圧するようにしてもよい。
【0036】
このような工程を経て、図4に示すように、表面側及び裏面側の両側端部のそれぞれに一対の縦框状突部2,2を有した二方框状パネル1が製造される。
このような本実施形態に係る框状パネル製造方法によれば、上述のように、パネル芯材10の表面側及び裏面側にそれぞれ沿わせるようにして、各表面化粧材20,20を折り曲げて貼着することで、二方框状パネル1を製造することができる。従って、従来のような額縁や框枠体等に個別に樹脂シートや表面材を貼着するようなものと比べて、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、このように製造された二方框状パネル1は、パネル芯材10の表面側及び裏面側の略全面が、表裏のそれぞれにおいて連続的に貼着された表面化粧材20,20によって被覆され、その外周面(表裏面及び両側端面)を、化粧面とされたこれら表面化粧材20,20の表面21,21によって構成することができ、見栄えが良い。
【0037】
特に、本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された二方框状パネル1の表面側及び裏面側の一対の縦框状突部2,2の表面2b及び対向面2a、並びに凹部3の底面3aは、パネル芯材10の表面側及び裏面側に沿うようにそれぞれ折り曲げられて貼着された表面化粧材20,20によって構成されることとなる。従って、各縦框状突部2,2の対向面2a,2aと、これら縦框状突部2,2間の表面、すなわち凹部底面3aとによって形成される入隅部に、隙間等が形成されず、見栄えを向上させることができる。これにより、この入隅部に従来のような額縁部材を設けないようにすることもできる。
【0038】
さらに、本実施形態では、パネル芯材10の両側端面15,15のそれぞれに、当該パネル芯材10の上下方向に沿って凹溝15a,15aをそれぞれ形成し、この凹溝15a,15aに、表裏の表面化粧材20,20の各両端部26,26を嵌め込んで、これら表面化粧材20,20の各両端部26,26を納めるようにしている。従って、表裏の表面化粧材20,20の継ぎ目が、二方框状パネル1の両側端面4,4に位置することとなるので、当該二方框状パネル1の表面側、及び裏面側において目立たず、より見栄えの良い二方框状パネル1を製造することができる。
【0039】
尚、扉パネル等では、その上下端面は施工された状態では、目立ち難いことから、本実施形態では、二方框状パネルの上下端面には、表面化粧材を貼着していない例を示しているが、上下端面にも表面化粧材を貼着するようにしてもよい。
また、本実施形態では、パネル芯材の表面側、及び裏面側にそれぞれ対応させて、二枚の表面化粧材を用いた例を示しているが、一枚の表面化粧材によってパネル芯材の外周面(表裏面及び両側端面)の全面を被覆するような態様としてもよい。この場合は、パネル芯材の両側端面の一方に凹溝を設け、この凹溝に、一枚の表面化粧材の両端部を嵌め込んで納めるような態様としてもよい。
または、表面化粧材の継ぎ目を、二方框状パネルの側端部に位置させる態様に代えて、裏面側の適所、例えば、裏面側縁部や、裏面側の縦框状突部の入隅部等に、表面化粧材の継ぎ目を位置させるような態様としてもよい。この場合は、適宜、表面化粧材の幅寸法や折曲溝の形成箇所等を、継ぎ目の位置に対応させて適宜の変形するようにすればよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、パネル芯材の表面側及び裏面側の形状を、厚さ方向中心線を挟んで略対称な形状としたものを例示しているが、このような態様に限られない。例えば、一方面側の縦框状突基部の凹部底面からの突出高さと、他方面側の縦框状突基部の凹部底面からの突出高さとを異ならせたものとしてもよい。この場合は、パネル芯材の形状に対応させて、表面化粧材の形状を適宜、変形するようにすればよい。
【0041】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5及び図6は、第2実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
尚、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
【0042】
本実施形態では、一対の縦框状突部2,2を表面側及び裏面側のそれぞれに有した二方框状パネル9を、上記第1実施形態と同様にして作製した後、この二方框状パネル9の一対の縦框状突部2,2間に配置させるように横框状板30を更に取り付けるようにしている。
本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された框状パネル1Aは、図6に示すように、二方框状パネル9の表面側及び裏面側のそれぞれに、上下方向の全体に亘って形成された各凹部3,3の上下端部に、横框状板30(図6では、裏面側の上端部に設けられた横框状板の図示を省略している)を設けている。すなわち、図例では、表裏に二枚づつの横框状板30を設けている。
【0043】
各横框状板30は、略矩形板状とされ、上記した表面化粧材20と同様、MDF等の木質繊維板を基材とし、その表面31及び内方側端面(二方框状パネル9に取り付けられた状態における凹部3側の端面)には、上記同様の表面処理が施されて、これら表面31及び内方側端面は、化粧面とされている。
また、各横框状板30は、本実施形態では、図6に示すように、二方框状パネル9に取り付けられた状態で、その表面31が、一対の縦框状突部2,2の各表面2b,2bから段落ち状に位置するように設けられている。つまり、各縦框状突部2,2の凹部底面3aからの突出高さよりも、横框状板30の厚さ寸法が小さく形成されている。
このように、横框状板30を、その表面31が、一対の縦框状突部2,2の各表面2b,2bから段落ち状に位置するように設けることで、一対の縦框状突部2,2の各表面2b,2bと横框状板30の表面31とを略面一状としたものと比べて、段差が形成され、立体感を持たせることができるとともに、縦框状突部2,2と横框30との間の目地を目立ち難くすることができ、見栄えを向上させることができる。
【0044】
本実施形態では、二方框状パネル9の表面側及び裏面側のそれぞれの一対の縦框状突部2,2の各対向面2Aa,2Aaにおける横框状板が取り付けられる部位(横框状板取付部位)に、各縦框状突部2,2の長手方向に沿う係合凹溝9a,9aをそれぞれ形成し、この係合凹溝9a,9aに、係合部としての横框状板の両側端部33,33を嵌め入れることで、横框状板30を二方框状パネル9に対して取り付けるようにしている。
これら各係合凹溝9aは、下端部側に設けられたものを例にすれば、図5に示すように、互いに対向する方向に向けて開口するとともに、当該二方框状パネル9の下端面から下方に向けて開口した構成とされている。また、図示は省略しているが、上端部側に設けられた各係合凹溝9aも同様、互いに対向する方向に向けて開口するとともに、当該二方框状パネル9の上端面から上方に向けて開口した構成とされている。
【0045】
これら各係合凹溝9aの上下方向(当該二方框状パネル9の上下方向と同方向)の長さ寸法は、取り付けられる横框状板30の上下長さに対応させた長さ寸法とされ、また、その断面形状は、横框状板30の側端部33の嵌め入れが可能な形状とされている。また、横框状板30が取り付けられた状態で、横框状板30の裏面32と、二方框状パネル9の凹部底面3aとが略密着するよう、係合凹溝9aの一内側壁(当該二方框状パネル9の厚さ方向内層側の側壁)と、二方框状パネル9の凹部底面3aとが略同一平面となるように形成されている。
【0046】
上記構成とされた二方框状パネル9の表面側かつ下端部側に、横框状板30を取り付ける態様について説明すれば、図5に示すように、表面側の一対の縦框状突部2,2の各対向面2Aa,2Aaに形成された各係合凹溝9a,9aに、横框状板30の両側端部33,33を嵌め入れることで、取り付けるようにしている。本実施形態では、各係合凹溝9a,9aの下端を下方に向けて開口させた構成としているので、この下端側開口から、横框状板30の両側端部33,33の各上端部を嵌め入れて、当該横框状板30を上方に向けてスライドさせることで、取り付けるようにしてもよい。尚、二方框状パネル9の裏面側かつ下端部側、並びに表面側及び裏面側の各上端部側への横框状板30の取り付け態様についても略同様にして、横框状板をスライドさせることで取り付けるようにしてもよい。
【0047】
上記のように、横框状板30が取り付けられた框状パネル1Aは、図6に示すように、表面側及び裏面側において、一対の縦框状突部2,2と、上下の横框状板30,30とによって、四周端部に框部が形成されたような外観となり、上記第1実施形態において説明した二方框状パネル1に比べて、より立体感、重厚感のある框状パネルとなる。
また、上記のように、一対の縦框状突部2,2を有した二方框状パネル9を製造した後、横框状板30を取り付けることができ、二方框状パネル9と、これに横框状板30を取り付けた框状パネル1Aとを製造する際に、製造ラインの一部を共通して利用でき、生産性を向上させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態によれば、例えば、接着剤や両面接着テープ(両面粘着テープ)等の接着手段により、縦框状突部間の表面(凹部底面)に横框状板を接着固定する態様に比べて、横框状板30を、より強固に二方框状パネル9に取り付けることができる。
すなわち、縦框状突部2,2間の表面である凹部底面3aは、上述のように貼着された表面化粧材20により構成されており、この表面化粧材20の表面21には、上記のように表面処理が施されている。このような場合において、例えば、接着剤等により、表面化粧材の表面に横框状板を接着固定する場合、表面処理が施されている結果、表面化粧材の表面が難接着性となり、十分な接着強度が得られず取付強度が低くなる場合がある。一方、本実施形態によれば、凹部底面3aを構成する表面化粧材20の表面21に、難接着性の表面処理が施されていた場合等においても、横框状板30を強固に取り付けることができる。すなわち、当該横框状板20の取り付け強度、特に厚さ方向に沿う取り付け強度が向上し、横框状板20の脱離等を防止することができる。
【0049】
尚、横框状板30を上記のように取り付ける際に、横框状板30の両側端部33,33乃至は裏面32に、接着剤等を塗布して取り付けるようにしてもよい。
また、横框状板30の内方側端部の表面側縁部に、C面取り形状やR面取り形状等の面取り部を形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、横框状板30を、二方框状パネル9の表面側及び裏面側の各凹部3,3の上端部及び下端部に取り付けた例について説明したが、上下端部のうち、いずれか一方のみに横框状板を取り付けるようにしてもよい。
または、このような上下の横框状板に代えて、若しくは加えて、凹部の途中部位に横框状板を取り付けるようにしてもよい。この場合は、横框状板を撓ませて、その両側端部を二方框状パネルの縦框状突部の各対向面に形成した係合凹溝に嵌め入れることで取り付けるようにすればよい。また、このように凹部の途中部位に横框状板を取り付ける場合には、当該横框状板の上端面及び下端面のそれぞれを化粧面とするようにすればよい。
【0050】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図7(a)は、第3実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
尚、上記第2実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
【0051】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様にして、二方框状パネル9Aを作製した後、この二方框状パネル9Aの表面側及び裏面側の凹部底面3aにおける、横框状板が取り付けられる部位(横框状板取付部位)となる上端部及び下端部のそれぞれに、複数(図例では、各部で三本づつ)の係合凹溝3bを当該二方框状パネル9Aの上下方向に沿って形成している。
これら各係合凹溝3bは、当該二方框状パネル9Aの表面側かつ下端部側に設けられた係合凹溝3bを例にすれば、図7(a)に示すように、表面側に向けて開口するとともに、当該二方框状パネル9Aの下端面から下方に向けて開口した構成とされている。当該二方框状パネル9Aの裏面側かつ下端部側に設けられた係合凹溝3bも同様、図7(a)に示すように、裏面側に向けて開口するとともに、当該二方框状パネル9Aの下端面から下方に向けて開口した構成とされている。
また、図示は省略しているが、上端部側に設けられた各係合凹溝3bも同様、表面側または裏面側に向けて開口するとともに、当該二方框状パネル9Aの上端面から上方に向けて開口した構成とされている。
【0052】
また、本実施形態では、横框状板30Aの裏面32Aに、圧入手段として、上記係合凹溝3bに対応させた複数条の矢尻状突条部34を設けている。これら各矢尻状突条部34は、二方框状パネル9Aの凹部底面3aに向けて横框状板30Aの裏面32Aから突設されており、その両側側部には抜け止めの複数条(図例では左右それぞれに二本づつ)の係止爪部がそれぞれ形成されている。尚、上端部側に配される横框状板の図示は省略しているが、同様の構成である。
【0053】
本実施形態では、上記構成とされた二方框状パネル9Aに、横框状板30Aを取り付ける際には、横框状板30Aの裏面32Aに設けた矢尻状突条部34を、二方框状パネル9Aの凹部底面3aに形成された係合凹溝3bに圧入させることで、取り付けるようにしている。
このように横框状板30Aが取り付けられた框状パネル1Bは、上記第2実施形態と同様、表面側及び裏面側において、一対の縦框状突部2,2と、上下の横框状板30A,30Aとによって、四周端部に框部が形成されたような外観となり、上記第2実施形態と同様の効果を奏する。
尚、本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された框状パネル1Bの外観は、図6と略同様であるので、図示を省略する。
また、図例では、二方框状パネル9Aの係合凹溝3bを、パネル芯材10の上下枠を構成する横桟材19に至るまで形成した例を示しており、この場合は、横桟材19の上下幅寸法を、係合凹溝3bの上下長さ寸法以上のものとすることが係合性の観点から好ましい。
さらに、上記第2実施形態と同様、横框状板の取り付け箇所は、二方框状パネルの凹部の上端部及び下端部に限られず、いずれか一方としたり、このような態様に代えて、または加えて、凹部の途中部位としたりしてもよい。この場合は、凹部底面に形成する係合凹溝の形成箇所を適宜、変形するようにすればよく、その形成箇所に応じて、横桟材を設けるようにしてもよい。
【0054】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図7(b)は、第4実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
尚、上記第3実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
【0055】
本実施形態では、横框状板30Bの取り付け対象としての二方框状パネル9Aは、上記第3実施形態と同様であり、圧入手段の構成が上記第3実施形態とは異なる。
すなわち、本実施形態では、図7(b)に示すように、圧入手段として、二方框状パネル9Aの係合凹溝3bに対応させて上下に長尺とされた複数本の雇い実36を用いるようにしている。また、各横框状板30Bの裏面32Bには、この雇い実36が圧入される複数本の係合凹溝35がそれぞれ形成されている。
雇い実36の両側側部には、各係合凹溝3b,35との抜け止めとしての係止爪部がそれぞれ形成されている。尚、上端部側に配される横框状板及び雇い実の図示は省略しているが、同様の構成である。
【0056】
本実施形態では、上記構成とされた二方框状パネル9Aに、横框状板30Bを取り付ける際には、横框状板30Bの裏面32Bに設けられた係合凹溝35または二方框状パネル9Aの凹部底面3aに形成された係合凹溝3bに、雇い実36の一片部を圧入し、他方の係合凹溝3b,35に、雇い実36の他片部を圧入させることで、取り付けるようにしている。
このように横框状板30Bが取り付けられた框状パネル1Cは、上記第2実施形態と同様、表面側及び裏面側において、一対の縦框状突部2,2と、上下の横框状板30B,30Bとによって、四周端部に框部が形成されたような外観となり、上記第2実施形態と同様の効果を奏する。
尚、本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された框状パネル1Cの外観は、図6と略同様であるので、図示を省略する。
【0057】
尚、上記第3実施形態及び第4実施形態では、係合凹溝3bを、二方框状パネル9Aの上下方向に沿って形成した例を示しているが、幅方向に沿って形成するようにしてもよい。この場合は、係合凹溝の形状に対応させて、横框状板の裏面の矢尻状突条部や、横框状板裏面の係合凹溝及び雇い実を、適宜、変形すればよい。
また、上記第3実施形態及び第4実施形態において説明した各圧入手段や横框状板の裏面に、接着剤等を塗布して横框状板を取り付けるようにしてもよい。
【0058】
さらに、二方框状パネルへの横框状板の取り付け態様は、上記した第2実施形態乃至第4実施形態で説明した態様に限られず、種々の取り付け態様で取り付けるようにしてもよい。例えば、上記各例と同様、横框状板の係合部(両側端部、矢尻状突条部及び雇い実など)と、二方框状パネルの係合部(係合凹溝など)とを係合させる他の例を挙げれば、横框状板の裏面に、ありホゾを設ける一方、凹部底面に、このありホゾに係合するあり溝を設けて、蟻継ぎ構造によって横框状板を取り付ける態様としてもよい。
さらにまた、圧入手段としては、上記第3実施形態及び第4実施形態において説明した矢尻状突条部や雇い実に限られず、これらに代えて、抜け止めの係止爪部を有したダボを圧入手段とし、このダボが圧入される穴形状の凹部を凹部底面及び横框状板の裏面に設け、このダボを圧入させることで、横框状板を二方框状パネルに取り付ける態様としてもよい。
【0059】
または、上記各例のように、横框状板の係合部と、二方框状パネルの係合部とを係合させて、横框状板を二方框状パネルに取り付ける態様に代えて、横框状板の裏面と凹部底面との間に上記したような接着手段を介在させて、横框状板を凹部底面に対して接着固定するようにしてもよい。この場合は、十分な接着強度を確保するために、化粧面とされて難接着性の物性とされた凹部底面の表面層を、剥離して、または研磨や切削等することによって除去して接着固定する取り付け態様としてもよい。
さらには、上記した各取り付け態様を組み合わせて、二方框状パネルの縦框状突部間に、横框状板を取り付けるようにしてもよい。
【0060】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第5実施形態に係る框状パネル製造方法について説明するための概念的な説明図である。
尚、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
【0061】
本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された二方框状パネル1Dは、図8(b)に示すように、上記第1実施形態とは異なり、一方面側(表面側)にのみ一対の縦框状突部2,2を有し、裏面側が略フラットな形状とされている。
また、この二方框状パネル1Dの形状に対応させて、パネル芯材10A及び表面化粧材20,20Aの構成が上記第1実施形態とは異なる。
【0062】
パネル芯材10Aは、図8(a)に示すように、一方面側(表面側)の両側端部に沿って一対の縦框状突基部11,11を有し、裏面10aは、略フラットな形状とされている。
このような形状に対応させて、各段部付縦枠材17A,17A及びこれら段部付縦枠材17A,17A間に配設される各横桟材19A、並びにこれらによって囲まれた空間に配設される各コア材が形成されている。
【0063】
このパネル芯材10Aの表面側に貼着される表面化粧材20は、上記第1実施形態と同様の構成である。
一方、パネル芯材10Aの裏面側に貼着される表面化粧材(裏面側表面化粧材)20Aは、パネル芯材10Aの裏面側の形状に対応させた形状とされている。すなわち、この裏面側表面化粧材20Aは、その裏面22に、パネル芯材10Aの幅方向両側端部の裏面側の各出隅部14A,14Aに対応させた二本の出隅折曲溝24A,24Aと、上記同様の二本の端部折曲溝25,25とを有した構成とされている。また、その幅寸法は、表面側の表面化粧材20に比べて、縦框状突基部11,11の各対向面11a,11aに貼着される部分に略相当する分だけ短く形成されている。
【0064】
上記構成とされたパネル芯材10Aの表面側への表面化粧材20の貼着態様は、上記第1実施形態と同様である。
一方、裏面側表面化粧材20Aは、出隅折曲溝24A,24A間の裏面22を、パネル芯材10Aの裏面10aに当接させ、各出隅折曲溝24A,24Aで折り曲げる。また、上記同様にして、その左右両側の端部折曲溝25,25で折り曲げて、各出隅折曲溝24Aと各端部折曲溝25との間の裏面22のそれぞれを、パネル芯材10Aの両側端面15,15にそれぞれ当接させるとともに、当該裏面側表面化粧材20Aの両端部26,26のそれぞれを、パネル芯材10の各凹溝15a,15aに嵌め入れる(図8(b)参照)。
次いで、上記第1実施形態と同様、適宜のプレス手段によって、二方框状パネル1Dの表面側及び裏面側を押圧することで、パネル芯材10Aの外周に沿って、表裏の表面化粧材20,20Aをそれぞれ接着固定するようにしてもよい。この場合は、上記プレス手段において、二方框状パネル1Dの裏面側を押圧する構成を、適宜、変形するようにすればよい。
本実施形態に係る框状パネル製造方法によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0065】
尚、本実施形態において説明したような一方面側(表面側)にのみ一対の縦框状突部2,2を有した二方框状パネル1Dは、例えば、裏面側が目立ち難いクローゼット等の収納空間の扉パネルや、裏面側が露出しない壁材として施工されるものとしてもよい。このように、裏面側が目立ち難い、若しくは露出しない場合には、裏面側に貼着する表面化粧材を表面処理が施されていないものとしてもよく、若しくは、裏面側に表面化粧材を貼着しないようにしてもよい。
または、裏面側に襖紙を貼着するために、裏面側をフラットにする必要がある、和室と洋室とを仕切る内壁の開口部に施工される和洋建具(戸襖引戸)として施工されるものとしてもよい。この場合は、裏面側の表面化粧材を、適宜、襖紙等で構成するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態に係る框状パネル製造方法によって製造された框状パネル1Dの縦框状突部2,2間の適所に、上記第2実施形態乃至は第4実施形態において説明したように、横框状板を更に取り付けるようにしてもよい。
さらに、上記第1実施形態において説明したように、一枚の表面化粧材によって、パネル芯材の外周を被覆させるような態様としてもよく、また、表面化粧材の両端部を納める部位についても、側端面に限られず、他の部位で納めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1D 二方框状パネル(框状パネル)
1A,1B,1C 框状パネル
2 縦框状突部
2Aa 縦框状突部の対向面
3Aa 凹部底面(一対の縦框状突部間における横框状板取付部位)
3b 係合凹溝(凹部)
9,9A 二方框状パネル(框状パネル)
9a 係合凹溝(凹溝)
10,10A パネル芯材
11 縦框状突基部
11a 縦框状突基部の対向面
11b 縦框状突基部の表面
12a 芯材凹部底面(一対の縦框状突基部間の表面)
13 縦框状突基部によって形成される入隅部
14 縦框状突基部の出隅部
15 パネル芯材の側端面
15a パネル芯材の凹溝
20 表面化粧材
20A 裏面側表面化粧材(表面化粧材)
22 表面化粧材の裏面
23 入隅折曲溝(入隅部に対応させた折曲溝)
24 出隅折曲溝(出隅部に対応させた折曲溝)
26 表面化粧材の端部
30,30A,30B 横框状板
32A,32B 横框状板の裏面
33 横框状板の側端部
34 矢尻状突条部(圧入手段)
36 雇い実(圧入手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面側の両側端部に沿って一対の縦框状突部を有する框状パネルの製造方法であって、
前記一対の縦框状突部を構成する一対の縦框状突基部を両側端部に沿って設けたパネル芯材を作製し、
次いで、前記パネル芯材の一対の縦框状突基部によって形成される両入隅部、及び各縦框状突基部の幅方向両出隅部に対応させた折曲溝を裏面に設けた表面化粧材を、これら一対の縦框状突基部の各表面及び各対向面並びに、これら一対の縦框状突基部間の表面に沿うように折り曲げて貼着することを特徴とする框状パネル製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記パネル芯材の両側端面のそれぞれに、前記縦框状突基部の長手方向と同方向に沿って凹溝を形成し、
このパネル芯材の一面側に対応して形成された前記表面化粧材、及び他面側に対応して形成された表面化粧材を、該パネル芯材の一面側、及び他面側にそれぞれ貼着し、これら表面化粧材の両端部を、前記凹溝にそれぞれ嵌め込んで納めることを特徴とする框状パネル製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表面化粧材を貼着して前記一対の縦框状突部を有した框状パネルを製造した後、この框状パネルの一対の縦框状突部間に配置させるように横框状板を取り付ける横框状板取付工程をさらに含んでいることを特徴とする框状パネル製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記横框状板取付工程においては、前記一対の縦框状突部の各対向面における横框状板取付部位に、当該縦框状突部の長手方向に沿う凹溝をそれぞれ形成し、この凹溝に前記横框状板の両側端部を嵌め入れることで、該横框状板を取り付けることを特徴とする框状パネル製造方法。
【請求項5】
請求項3において、
前記横框状板取付工程においては、前記横框状板の裏面、及び前記一対の縦框状突部間における横框状板取付部位の一方に圧入手段を設け、他方にこの圧入手段が圧入される凹部を設けて、該圧入手段を該凹部に圧入させることで、前記横框状板を取り付けることを特徴とする框状パネル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−111737(P2011−111737A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267041(P2009−267041)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】