説明

案内システム及びID装置

【課題】利用者を複数の場所へ好適に案内することが可能な案内システムを提供する。
【解決手段】施設の訪問者によって携帯されるICカード40と、施設の所定位置に配置されるICカードリーダと、ICカードリーダに対応して施設に配置されるディスプレイ及びスピーカと、を備える案内システムにおいて、ICカード40は、給電にも用いられるID通信用の信号を送受信するための第三のアンテナ41と、ID通信用以外の信号を送受信するための第四のアンテナ42A,42Bと、第三のアンテナ41及び第四のアンテナ42A,42Bを介して通信を行う制御部43と、第四のアンテナ42A,42Bと制御部43との間に設けられたスイッチ44A,44B,44Cと、スイッチ44A,44B44Cにおける接続状態を切り換えて、第四のアンテナ42A,42Bと制御部43とを接続したり切断したりするボタン45A,45B,45Cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内において利用者を案内する案内システム及びID装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設、ホテル、遊戯施設等の施設では、施設のレイアウトを知らない訪問者が施設内を移動するため、訪問者にIDが記憶されたICカードを携帯させ、施設の所定位置に設置されたICカードリーダが当該ICカードを読み取った際には、IDに対応する目的地をディスプレイに表示させる案内システムが採用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、訪問者は、当初の目的地以外にも、トイレ等の別の場所に移動したくなる場合があるが、従来の案内システムでは、案内可能なのは設定された1箇所のみであるため、複数の場所へ好適に案内することができなかった。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであり、利用者を複数の場所へ好適に案内することが可能な案内システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の案内システムは、施設の利用者によって携帯されるID装置と、前記施設に配置される読取装置と、前記読取装置に対応して前記施設に配置される通知装置と、を備える案内システムであって、前記読取装置は、給電用の信号を送信するか、前記ID装置を監視しており、前記ID装置は、前記給電用の信号を受信した場合には、前記利用者による操作部の操作に応じて異なる周波数の信号を発信し、前記ID装置によって監視されている場合には、前記利用者による操作部の操作に応じて異なる波長の信号を発信し、前記読取装置は、発信された前記信号を受信し、受信した前記信号の周波数又は波長に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ案内することを特徴とする。
【0007】
異なる周波数又は波長の信号としては、各種の電磁波を用いることができ、例えば、異なる周波数の電波を用いたり、異なる波長(色)の可視光を用いることができる。かかる構成によると、施設の利用者が目的地以外の場所に行きたくなった場合であっても、その行き先へ好適に案内することができる。
【0008】
前記読取装置は、給電にも用いられるID通信用の信号を送受信するための第一のアンテナと、ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上の第二のアンテナと、前記第一のアンテナ及び前記一以上の第二のアンテナを介して通信を行う制御部と、を備え、前記ID装置は、前記ID通信用の信号を送受信するための第三のアンテナと、前記一以上の第二のアンテナの周波数に対応しており、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上の第四のアンテナと、前記第三のアンテナ及び前記一以上の第四のアンテナを介して通信を行う制御部と、前記一以上の第四のアンテナと前記制御部との間に設けられたスイッチと、前記利用者の操作によって、前記スイッチにおける接続状態を切り換えて、前記一以上の第四のアンテナと前記制御部とを接続したり切断したりする操作部と、を備え、前記ID装置の前記制御部は、前記第三のアンテナ及び、前記一以上の第四のアンテナのうち当該制御部と接続されているものを介して信号を送信し、前記読取装置の前記制御部は、受信した信号の種類又は数に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する構成であってもよい。
【0009】
かかる構成によると、受信した信号の種類又は数に応じた行き先への案内を行うので、施設の利用者が目的地以外の場所に行きたくなった場合であっても、その行き先へ好適に案内することができる。
【0010】
前記ID装置の前記制御部は、前記第三のアンテナを介して、予め記憶されたIDを含めたID通信用の信号を送信するとともに、前記一以上の第四のアンテナのうち、前記制御部と接続されているものを介して、ID通信用以外の信号を送信し、前記読取装置の前記制御部は、前記第一のアンテナを介して、前記IDが含まれる前記ID通信用の信号を受信するとともに、前記一以上の第二のアンテナを介して、前記ID通信用以外の信号を受信し、前記読取装置の前記制御部は、前記ID通信用の信号のみを受信した場合には、前記IDに対応した目的地への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知し、前記ID通信用の信号に加えて前記ID通信用以外の信号を受信した場合には、受信した信号の種類又は数に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する構成であってもよい。
【0011】
前記第一のアンテナ及び前記第三のアンテナは、13.56MHzの信号を送受信可能であり、前記一以上の第二のアンテナ及び前記一以上の第四のアンテナは、125kHz、135kHz、950MHz帯、及び、2.4GHz帯の信号の少なくとも一つを送受信可能である構成であってもよい。
【0012】
また、本発明のID装置は、施設の利用者によって携帯されるID装置であって、給電にも用いられるID通信用の信号を送受信するためのアンテナと、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと、前記アンテナを介して通信を行う制御部と、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと前記制御部との間に設けられたスイッチと、前記利用者の操作によって、前記スイッチにおける接続状態を切り換えて、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと前記制御部とを接続したり切断したりする操作部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記案内システムにおいて、前記ID装置は、前記利用者のIDに対応する認証用画像を表示する表示部と、前記利用者によって操作される操作部と、前記利用者による前記操作部の操作に応じて、異なる色の前記認証用画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備え、前記読取装置は、前記認証用画像を撮影する撮影部と、撮影された前記認証用画像の色を判定し、判定された前記色に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する制御部と、を備える構成であってもよい。
【0014】
かかる構成によると、受信した認証用画像の色(波長)に応じた行き先への案内を行うので、施設の利用者が目的地以外の場所に行きたくなった場合であっても、その行き先へ好適に案内することができる。
【0015】
前記認証用画像は、一次元コード、二次元コード又は数字の列である構成であってもよい。
【0016】
また、本発明のID装置は、施設の利用者によって携帯されるID装置であって、前記利用者のIDに対応する認証用画像を表示する表示部と、前記利用者によって操作される操作部と、前記利用者による前記操作部の操作に応じて、異なる色の前記認証用画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、利用者を複数の場所へ好適に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る案内システムが適用された施設を示す模式図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るICカードリーダ、ディスプレイ及びスピーカを示す模式図である。
【図3】(a)は、本発明の第一の実施形態に係る第一のデータベースを示す模式図であり、(b)は、本発明の第一の実施形態に係る第二のデータベースを示す模式図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るICカードを示す模式図であり、(a)は、ICカードの外観を示す図、(b)は、ICカードの内部を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る案内システムが適用された施設を示す模式図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るID装置を示す模式図であり、(a)は、ID装置の外観を示す図、(b)は、ID装置の内部を示す図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る読取装置、ディスプレイ及びスピーカを示す模式図である。
【図8】(a)は、本発明の第二の実施形態に係る第一のデータベースを示す模式図であり、(b)は、本発明の第二の実施形態に係る第二のデータベースを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、本発明の案内システムを病院に適用した場合を例にとり、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る案内システム1は、施設(本実施形態では、病院)2内の所定位置に設置された複数のICカードリーダ10と、ICカードリーダ10に対応して設置された複数の通知装置としてのディスプレイ20及びスピーカ30と、施設2内を移動する訪問者(利用者。本実施形態では、通院治療者)3が携帯するICカード40と、を備える。
【0021】
<ICカードリーダ10>
図2に示すように、ICカードリーダ10は、第一のアンテナ11と、一以上(本実施形態では、2つ)の第二のアンテナ12A,12Bと、これらのアンテナ11,12A,12Bを介してICカード40と通信を行う制御部13と、を備える。
【0022】
第一のアンテナ11は、ID通信用の信号を送受信するためのアンテナであり、第二のアンテナ12A,12Bは、ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を受信するためのアンテナである。
【0023】
これらのアンテナ11,12A,12Bは、それぞれ異なる周波数に対応している。例えば、第一のアンテナ11は、13.56MHzの信号を送受信可能に設計されている。また、第二のアンテナ12Aは、950MHz帯(951〜956MHz)の信号を受信可能に設計されている。また、第二のアンテナ12Bは、2.4GHz帯(2400〜2497MHz、すなわち、既存の2471〜2497MHzの26MHz幅に2400〜2483.5MHzの83.5MHz幅を加えた帯域の周波数)の信号を受信可能に設計されている。
【0024】
制御部13は、CPU、ROM、RAM等から構成されており、ICカード40との間で、第一のアンテナ11を介してID通信用の信号(13.56MHz)を送受信したり、第二のアンテナ12A,12Bを介してID通信用以外の信号(950MHz帯、2.4GHz帯)を受信したりする。かかる制御部13は、図示しない変調部及び復調部を備えており、例えば、周波数変調方式及び周波数復調方式を用いて信号を送受信する。
【0025】
より詳細には、制御部13は、パッシブ型のICカード40への給電用の信号として、第一のアンテナ11を介してID通信用の信号を定期的に送信する。
【0026】
記憶部13aは、受信した信号及び行き先(訪問者3が目的地へ移動する途中において、目的地とは別に所望する行き先)が関連付けて記憶された第一のデータベース13a1(図3(a)参照)と、ID番号及び目的地(訪問者の当初の行き先)が関連付けて記憶されてた第二のデータベース13a2(図3(b)参照)と、を備える。第二のデータベース13a2は、ICカードリーダ10と通信可能に接続されたコンピュータ(図示せず)によって更新可能である。
【0027】
制御部13は、これらのデータベース13a1,12a2を参照することによって訪問者3の行き先を調べ、行き先に応じた画像案内信号及び音声案内信号を、それぞれディスプレイ20及びスピーカ30へ出力する。
【0028】
<ディスプレイ20>
ディスプレイ20は、制御部13から出力された画像案内信号によって、行き先への経路を案内する画像を表示して訪問者3へ通知する。
【0029】
<スピーカ30>
スピーカ30は、制御部13から出力された音声案内信号によって、行き先への経路を案内する音声を発話して訪問者3へ通知する。
【0030】
<ICカード40>
図4(a)(b)に示すように、ICカード40は、給電が必要なパッシブ型であり、第三のアンテナ41と、一以上(本実施形態では、2つ)の第四のアンテナ42A,42Bと、これらのアンテナ41,42A,42Bとを介してICカードリーダ10と通信を行う制御部43と、スイッチ44A,44B,44Cと、操作部としてのボタン45A,45B,45Cと、を備える。第三のアンテナ41、第四のアンテナ42A,42B、制御部43、スイッチ44A,44B,44Cは、ICカード40内部の基板上に実装されており、図4(b)に示すような回路を構成している。ボタン45A,45B,45Cは、図4(a)に示すようにICカード40の表面に設けられており、当該ICカード40を携帯する訪問者3によって操作される。また、ICカード40は、制御部43に固有のIDを記憶するものであり、外部装置によって当該IDを書き換え可能に構成されている。
【0031】
第三のアンテナ41は、ID通信用の信号を送受信するためのアンテナであり、第四のアンテナ42A,42Bは、ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送信するためのアンテナである。
【0032】
これらのアンテナ41,42A,42Bは、それぞれ異なる周波数に対応している。例えば、第三のアンテナ41は、前記した第一のアンテナ11と同様、13.56MHzの信号を送受信可能に設計されている。また、第四のアンテナ42Aは、前記した第二のアンテナ12Aと同様の950MHz帯の信号を送信可能に設計されている。また、第四のアンテナ42Bは、前記した第二のアンテナ12Bと同様の2.4GHz帯の信号を送信可能に設計されている。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る案内システム1において、13.56MHzの信号は、第一のアンテナ11と第三のアンテナ41との間で伝送される。また、950MHz帯の信号は、第二のアンテナ12Aと第四のアンテナ42Aとの間で伝送される。また、2.4GHz帯の信号は、第二のアンテナ12Bと第四のアンテナ42Bとの間で伝送される。
【0034】
制御部43は、ICチップから構成されており、ICカード40との間で、第三のアンテナ41を介してID通信用の信号(13.56MHz)を送受信したり、第四のアンテナ42A,42Bを介してID通信用以外の信号(950MHz帯、2.4GHz帯)を送信したりする。かかる制御部43は、図示しない変調部及び復調部を備えており、例えば、周波数変調方式及び周波数復調方式を用いて信号を送受信する。
【0035】
より詳細には、制御部43は、第三のアンテナ41を介してID通信用の信号を受信すると、第三のアンテナ41における電磁誘導にて発生した電力によって起動し、予め記憶されたIDを含めたID通信用の信号を生成し、第三のアンテナ41を介して送信する。また、制御部43は、ID通信用以外の信号を、第四のアンテナ42A,42Bのうち制御部43と接続されているものを介して送信する。
【0036】
スイッチ44Aは、2つの第四のアンテナ42A,42Bと制御部43との接続状態を切り換えるためのものであり、第四のアンテナ42A,42Bと制御部43とを接続したり、第四のアンテナ42A,42Bと制御部43とを切断したりする。通常状態(ボタン45Aが押下されていない状態)では、スイッチ44Aは、第四のアンテナ42A,42Bと制御部43とを切断している。
【0037】
スイッチ44Bは、1つの第四のアンテナ42Aと制御部43との接続状態を切り換えるためのものであり、第四のアンテナ42Aと制御部43とを接続したり、第四のアンテナ42Aと制御部43とを切断したりする。通常状態(ボタン45Bが押下されていない状態)では、スイッチ44Bは、第四のアンテナ42Aと制御部43とを切断している。
【0038】
スイッチ44Cは、1つの第四のアンテナ42Bと制御部43との接続状態を切り換えるためのものであり、第四のアンテナ42Bと制御部43とを接続したり、第四のアンテナ42Bと制御部43とを切断したりする。通常状態(ボタン45Cが押下されていない状態)では、スイッチ44Cは、第四のアンテナ42Bと制御部43とを切断している。
【0039】
ボタン45Aは、スイッチ44Aを覆うように設けられており、訪問者がボタン45Aを押下すると、スイッチ44Aが第四のアンテナ42A,42Bと制御部43とを接続するように構成されている。
【0040】
ボタン45Bは、スイッチ44Bを覆うように設けられており、訪問者がボタン45Bを押下すると、スイッチ44Bが第四のアンテナ42Aと制御部43とを接続するように構成されている。
【0041】
ボタン45Cは、スイッチ44Cを覆うように設けられており、訪問者がボタン45Cを押下すると、スイッチ44Cが第四のアンテナ42Bと制御部43とを接続するように構成されている。
【0042】
なお、ICカード40の外面のボタン45A,45B,45Cの近傍には、ボタン45A,45B,45Cに対応する行き先の名称(本実施形態では、それぞれ、「喫煙所」、「エレベータ」、「トイレ」に設定されている)が記載されており、訪問者は、これらの行き先に行きたくなった場合に、該当するボタンを押下したままICカード40をICカードリーダ20にかざす動作を行う。
【0043】
これらのボタン45A,45B,45Cの操作状態によって、制御部43による通信は、以下のように変更される。
【0044】
(1)ボタン45A,45B,45Cがいずれも押下されていない場合
スイッチ44A,44B,44Cはいずれも切断状態のままなので、2つの第四のアンテナ42A,42Bは、制御部43と切断されている。かかる状態において、制御部43は、第三のアンテナ41を介してICカードリーダ10と通信を行うことはできるが、2つの第四のアンテナ42A,42Bを介してICカードリーダ10と通信を行うことはできない。
【0045】
(2)ボタン45Aが押下された場合
スイッチ44Aが接続されるので、2つの第四のアンテナ42A,42Bが制御部43と接続される。かかる状態において、制御部43は、第三のアンテナ41及び2つの第四のアンテナ42A,42Bを介してICカードリーダ10と通信を行うことができる。
【0046】
(3)ボタン45Bが押下された場合
スイッチ44Bが接続されるので、1つの第四のアンテナ42Aが制御部43と接続される。かかる状態において、制御部43は、第三のアンテナ及び1つの第四のアンテナ42Aを介してICカードリーダと通信を行うことができるが、残り1つの第四のアンテナ42Bを介してICカードリーダ10と通信を行うことはできない。
【0047】
(4)ボタン45Cが押下された場合
スイッチ44Cが接続されるので、1つの第四のアンテナ42Bが接続部43と接続される。かかる状態において、制御部43は、第三のアンテナ及び1つの第四のアンテナ42Bを介してICカードリーダと通信を行うことができるが、残り1つの第四のアンテナ42Aを介してICカードリーダ10と通信を行うことはできない。
【0048】
<動作例>
続いて、本発明の第一の実施形態に係る案内システム1の動作例について、内科へ通院している訪問者3を例にとって説明する。
【0049】
まず、訪問者3は、病院である施設2に到着すると、受付にて自身のIDが記憶されたICカード40を受け取り、当該ICカード40を携帯して施設2内を移動する。ここで、訪問者のID及び行き先は、受付に設けられたコンピュータからICカードリーダ10に送信されて記憶部13aに記憶される。なお、再診時には、訪問者3は、持参したICカード40を携帯して施設2内を移動することもできる。
【0050】
ここで、ICカードリーダ10の制御部13は、給電用の信号として、第一のアンテナ11を介して、ID通信用の信号(13.56MHz)を定期的に送信している。
【0051】
≪内科への移動経路を調べる場合≫
訪問者3は、内科の診察室への移動経路を調べたくなると、ICカード40のボタン45A,45B,45Cをいずれも押下していない状態で、当該ICカード40を近くにあるICカードリーダ10へかざす。
【0052】
ICカード40の制御部43は、第三のアンテナ41を介して、ID通信用の信号(13.56MHz)を受信する。
【0053】
続いて、ICカード40の制御部43は、第三のアンテナ41を介して、予め記憶されたIDを含めたID通信用の信号(13.56MHz)を送信する。
【0054】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、第一のアンテナ11を介して、IDが含まれるID通信用の信号(13.56MHz)を受信する。
【0055】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、受信した信号に含まれるIDに基づいて第一のデータベース13a1を検索して、訪問者3の行き先を抽出する。本実施形態では、制御部13は、ID通信用の信号(13.56MHz)のみを受信しているので、さらに第二のデータベース13a2を検索して訪問者3の行き先を抽出し、訪問者3の行き先は内科の診察室であると認識する。
【0056】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、行き先に応じた画像案内信号をディスプレイ20へ出力するとともに、行き先に応じた音声案内信号をスピーカ30へ出力する。制御部13は、行き先ごとの画像案内信号として、MAP、WAVファイル等を記憶しており、かかる画像案内信号をディスプレイ20へ出力することによって、ICカードリーダ10が設けられた場所から行き先への移動経路を表示させる。
【0057】
画像案内信号を取得したディスプレイ20は、当該ディスプレイ20の設置場所から内科の診察室までの移動経路を示す画像を表示し、音声案内信号を取得したスピーカ30は、当該スピーカ30の設置場所から内科の診察室までの移動経路を示す音声を発話する。訪問者3は、かかる画像を見たり音声を聞いたりすることで、内科の診察室までの移動経路を知ることができる。
【0058】
≪喫煙所へ行きたくなった場合≫
一方、訪問者3は、内科の診察室へ移動している途中で喫煙したくなると、ICカード40のボタン45Aを押下した状態で、当該ICカード40を近くにあるICカードリーダ10へかざす。
【0059】
ICカード40の制御部43は、第三のアンテナ41を介して、ID通信用の信号(13.56MHz)を受信する。
【0060】
続いて、ICカード40の制御部43は、第三のアンテナ41を介して、予め記憶されたIDを含めたID通信用の信号(13.56MHz)を送信するとともに、第四のアンテナ42A,42Bを介して、ID通信用以外の信号(950MHz帯、2.4GHz帯)を送信する。
【0061】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、第一のアンテナ11を介して、IDが含まれるID通信用の信号(13.56MHz)を受信するとともに、第二のアンテナ12A,12Bを介して、ID通信用以外の信号(950MHz帯、2.4GHz帯)を受信する。
【0062】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、受信した信号に基づいて第一のデータベース13a1を検索して、訪問者3の行き先を抽出する。本実施形態では、制御部13は、ID通信用の信号(13.56MHz)及びID通信用以外の信号(950MHz帯、2.4GHz帯)を受信しているので、判定結果として、訪問者3の行き先は喫煙所であると認識する。
【0063】
続いて、ICカードリーダ10の制御部13は、行き先に応じた画像案内信号をディスプレイ20へ出力するとともに、行き先に応じた音声案内信号をスピーカ30へ出力する。
【0064】
画像案内信号を取得したディスプレイ20は、当該ディスプレイ20の設置場所から喫煙所までの移動経路を示す画像を表示し、音声案内信号を取得したスピーカ30は、当該スピーカ30の設置場所から喫煙所までの移動経路を示す音声を発話する。訪問者3は、かかる画像を見たり音声を聞いたりすることで、喫煙所までの移動経路を知ることができる。
【0065】
本発明の第一の実施形態に係る案内システム1は、訪問者3によるボタン45A,45B,45Cの操作に応じた行き先までの移動経路を訪問者3に通知することができるので、訪問者3を複数の場所へ好適に案内することができる。
【0066】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る案内システムについて、第一の実施形態に係る案内システム1との相違点を中心に説明する。
【0067】
図5に示すように、本発明の第二の実施形態に係る案内システム101は、ICカードリーダ10及びICカード40に代えて、読取装置110及びID装置140を備える。
【0068】
<ID装置140>
図6に示すように、ID装置140は、制御部43と、スイッチ44A,44B,44Cと、ボタン45A,45B,45Cと、表示部146と、を備える。表示部146は、例えば、液晶パネル、電子ペーパ等から構成される。
【0069】
制御部43は、訪問者3によるボタン45A,45B,45Cの操作に応じて、異なる色の認証用画像(本実施形態では、一次元コード(バーコード))を表示部146に表示させる。制御部43は、後記するスイッチ44A,44B,44Cの接続信号の入力状況と表示すべきバーコードの色との関係を表すデータベース(図示せず)を備えており、かかるデータベースを参照して、スイッチ44A,44B,44Cの接続状況に応じた色のバーコードを表示部146に表示させる。すなわち、制御部43は、スイッチ44A,44B,44Cの接続状況に応じた波長の可視光信号を表示部146に発信させる。
【0070】
(1)ボタン45A,45B,45Cがいずれも押下されていない場合
スイッチ44A,44B,44Cはいずれも切断状態のままであり、かかる状態において、制御部43は、黒色のバーコードを表示部146に表示させる。
【0071】
(2)ボタン45Aが押下された場合
スイッチ44Aが接続されており、スイッチ44Aは、接続信号を制御部43へ出力する。スイッチ44Aからの接続信号が制御部43に入力されると、制御部43は、所定時間、黄色のバーコードを表示部146に表示させる。
【0072】
(3)ボタン45Bが押下された場合
スイッチ44Bが接続されており、スイッチ44Bは、接続信号を制御部43へ出力する。スイッチ44Bからの接続信号が制御部43に入力されると、制御部43は、所定時間、青色のバーコードを表示部146に表示させる。
【0073】
(4)ボタン45Cが押下された場合
スイッチ44Cが接続されており、スイッチ44Cは、接続信号を制御部43へ出力する。スイッチ44Cからの接続信号が制御部43に入力されると、制御部43は、所定時間、赤色のバーコードを表示部146に表示させる。
【0074】
なお、訪問者3がボタン45A,45B,45Cの押下をやめて、スイッチ44A,44B,45Cからの接続信号の制御部43への入力が所定時間のうちに無い場合には、制御部43は、黒色のバーコードを表示部146に表示させる。
【0075】
<読取装置110>
図7に示すように、読取装置110は、ID装置140を監視するものであって、制御部13と、撮影部114と、を備える。
【0076】
撮影部114は、訪問者3によってかざされたID装置140の表示部146に表示されたバーコードを撮影し、撮影結果(画像データ)を制御部13へ出力する。
【0077】
制御部13は、色認識機能を備えており、撮影されたバーコードの色を判定し、判定された色に応じた行き先への画像案内信号及び音声案内信号を通知装置であるディスプレイ20及びスピーカ30へそれぞれ出力する。
【0078】
記憶部13aは、撮影されたバーコードの色と、行き先(ID装置140の表面に記載されたもの)と、が関連付けて記憶された第一のデータベース113a1(図8(a)参照)と、撮影されたバーコードによって特定されるID番号と、目的地(訪問者の当初の行き先)と、が関連付けて記憶されてた第二のデータベース13a2(図8(b)参照)と、を備える。第二のデータベース13a2は、ICカードリーダ10と通信可能に接続されたコンピュータ(図示せず)によって更新可能である。
【0079】
制御部13は、撮影されたバーコードの色(波長、輝度等)を判定するとともに、必要に応じてバーコードに基づいてID番号を特定し、これらのデータベース113a1,13a2を検索することによって訪問者3の行き先を抽出し、行き先に応じた画像案内信号及び音声案内信号を、それぞれディスプレイ20及びスピーカ30へ出力する。なお、バーコードに基づいてID番号を特定する手法は、公知であるので説明を省略する。また、ID装置140の表示部146が電気泳動方式の電子ペーパーである場合には、読取装置110は、表示部146へ白色光を照射する光照射部を備えることが望ましい。
【0080】
本発明の第二の実施形態に係る案内システム101は、第一の実施形態に係る案内システム1と同様、訪問者3によるボタン45A,45B,45Cの操作に応じた行き先までの移動経路を訪問者3に通知することができるので、訪問者3を複数の場所へ好適に案内することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について実施形態を参照して説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、スイッチ44A,44B,44Cの状態を切り換えるための操作部として、スイッチ44A,44B,44Cに代えて、訪問者3の手指によって覆われた際に光が遮断されたことを検出する光遮断センサ、訪問者3の手指によって触られた際に体温を検出する温度センサ等を採用する構成であってもよい。また、ID装置として、ICカード40に代えてICタグを採用する構成であってもよい。なお、参考例として、給電用の信号の受信が不要なアクティブ型のICカード、ICタグ等を採用する構成であってもよい。
【0082】
また、利用者が特定のボタンを操作した状態でID装置(ICカード)を読取装置(ICカードリーダ)に読み取らせた場合に、ICカードリーダの制御部がナースコールを行う構成であってもよい。この場合には、当該制御部が、看護師室に設置されたコンピュータ等へICカードリーダの位置を通知することによって、看護師がその場所へ移動して訪問者3に対応することが可能となる。また、ICカードリーダ10の制御部13及び読取装置110の制御部113は、診療科ごとに受診予定者名を順番に格納したデータベース(図示せず)を参照することによって、行き先に加えて受診までの待ち人数をディスプレイ20及びスピーカ30を介して案内する構成であってもよい。
【0083】
さらに、読取装置(ICカードリーダ)に対応してマイクを備える構成であってもよい。この場合には、看護師室に設置されたコンピュータ等のスピーカ及びマイクと、読取装置(ICカードリーダ)に対応して設置されたスピーカ及びマイクと、を用いることによって、訪問者3と看護師とが会話することが可能となる。また、通知装置としてのディスプレイ20及びスピーカ30は、いずれか一方が設けられている構成であってもよい。
【0084】
また、第二の実施形態に係る認証用画像は、一次元コードであるバーコードに限定されず、二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))、数字の列等であってもよい。
【0085】
また、記憶部13aが、ICカードリーダ10とは別体の装置(サーバ等)に設けられており、制御部13が、かかる別体の装置に行き先を問い合わせる構成であってもよい。これは、第二の実施形態に係る読取装置110に関しても同様である。
【0086】
また、第二のアンテナ及び第四のアンテナは、前記した2組の第二のアンテナ12A,12B及び第四のアンテナ42A,42Bに限定されず、周波数が125kHz、135kHz、950MHz帯、及び、2.4GHz帯の少なくとも一つの信号を送受信可能な第二のアンテナ及び第四のアンテナの組を適宜採用することによって、案内先を増減させることができる。
【0087】
また、第一の実施形態において、第一のアンテナ及び第三のアンテナは、13.56MHz以外の周波数(例えば、125kHz、135kHz、950MHz帯、2.4GHz帯等)の信号を送受信可能であってもよく、この場合には、第二のアンテナ及び第三のアンテナは、それ以外の周波数の信号を送受信可能であればよい。
【0088】
また、第一の実施形態において、ICカード40の制御部43は、第三のアンテナ41及び第四のアンテナ42A,42Bで送受信される全ての信号を一括して処理するように構成されているが、かかる構成に限定されず、第三のアンテナ41で送受信される信号を処理する制御部と、第四のアンテナ42Aで送受信される信号を処理する制御部と、第四のアンテナ42Bで送受信される信号を処理する制御部と、に別体で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,101 案内システム
10 ICカードリーダ(読取装置)
11 第一のアンテナ
12A,12B 第二のアンテナ
13 制御部
20 ディスプレイ(通知装置)
30 スピーカ(通知装置)
40 ICカード(ID装置)
41 第三のアンテナ
42A,42B 第四のアンテナ
43 制御部
44A,44B,44C スイッチ
45A,45B,45C ボタン(操作部)
110 読取装置
114 撮影部
140 ID装置
146 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の利用者によって携帯されるID装置と、前記施設に配置される読取装置と、前記読取装置に対応して前記施設に配置される通知装置と、を備える案内システムであって、
前記読取装置は、給電用の信号を送信するか、前記ID装置を監視しており、
前記ID装置は、前記給電用の信号を受信した場合には、前記利用者による操作部の操作に応じて異なる周波数の信号を発信し、前記ID装置によって監視されている場合には、前記利用者による操作部の操作に応じて異なる波長の信号を発信し、
前記読取装置は、発信された前記信号を受信し、受信した前記信号の周波数又は波長に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ案内する
ことを特徴とする案内システム。
【請求項2】
前記読取装置は、
給電にも用いられるID通信用の信号を送受信するための第一のアンテナと、
前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上の第二のアンテナと、
前記第一のアンテナ及び前記一以上の第二のアンテナを介して通信を行う制御部と、
を備え、
前記ID装置は、
前記ID通信用の信号を送受信するための第三のアンテナと、
前記一以上の第二のアンテナの周波数に対応しており、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上の第四のアンテナと、
前記第三のアンテナ及び前記一以上の第四のアンテナを介して通信を行う制御部と、
前記一以上の第四のアンテナと前記制御部との間に設けられたスイッチと、
前記利用者の操作によって、前記スイッチにおける接続状態を切り換えて、前記一以上の第四のアンテナと前記制御部とを接続したり切断したりする操作部と、
を備え、
前記ID装置の前記制御部は、前記第三のアンテナ及び、前記一以上の第四のアンテナのうち当該制御部と接続されているものを介して信号を送信し、
前記読取装置の前記制御部は、受信した信号の種類又は数に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。
【請求項3】
前記ID装置の前記制御部は、前記第三のアンテナを介して、予め記憶されたIDを含めた前記ID通信用の信号を送信するとともに、前記一以上の第四のアンテナのうち、前記制御部と接続されているものを介して、ID通信用以外の信号を送信し、
前記読取装置の前記制御部は、前記第一のアンテナを介して、前記IDが含まれる前記ID通信用の信号を受信するとともに、前記一以上の第二のアンテナを介して、前記ID通信用以外の信号を受信し、
前記読取装置の前記制御部は、
前記ID通信用の信号のみを受信した場合には、前記IDに対応した目的地への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知し、
前記ID通信用の信号に加えて前記ID通信用以外の信号を受信した場合には、受信した信号の種類又は数に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する
ことを特徴とする請求項2に記載の案内システム。
【請求項4】
前記第一のアンテナ及び前記第三のアンテナは、13.56MHzの信号を送受信可能であり、
前記一以上の第二のアンテナ及び前記一以上の第四のアンテナは、125kHz、135kHz、950MHz帯、及び、2.4GHz帯の信号の少なくとも一つを送受信可能である
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の案内システム。
【請求項5】
施設の利用者によって携帯されるID装置であって、
給電にも用いられるID通信用の信号を送受信するためのアンテナと、
前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと、
前記アンテナを介して通信を行う制御部と、
前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと前記制御部との間に設けられたスイッチと、
前記利用者の操作によって、前記スイッチにおける接続状態を切り換えて、前記ID通信用の信号とは周波数が異なる信号を送受信するための一以上のアンテナと前記制御部とを接続したり切断したりする操作部と、
を備えることを特徴とするID装置。
【請求項6】
前記ID装置は、
前記利用者のIDに対応する認証用画像を表示する表示部と、
前記利用者によって操作される操作部と、
前記利用者による前記操作部の操作に応じて、異なる色の前記認証用画像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記読取装置は、
前記認証用画像を撮影する撮影部と、
撮影された前記認証用画像の色を判定し、判定された前記色に応じた行き先への案内を前記通知装置によって前記利用者へ通知する制御部と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。
【請求項7】
前記認証用画像は、一次元コード、二次元コード又は数字の列である
ことを特徴とする請求項6に記載の案内システム。
【請求項8】
施設の利用者によって携帯されるID装置であって、
前記利用者のIDに対応する認証用画像を表示する表示部と、
前記利用者によって操作される操作部と、
前記利用者による前記操作部の操作に応じて、異なる色の前記認証用画像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備えることを特徴とするID装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−118905(P2012−118905A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270059(P2010−270059)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】