案内部材
【課題】 回転子と案内軌道部との係合力を確保しつつ、これらの間に生じ得る相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供する。
【解決手段】 所定方向に沿って案内軌道部25が形成された案内レール21と、前記案内軌道部に係合して転動する回転子45を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダ61と、を備えた案内部材11である。前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの谷部26,26を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されている。
【解決手段】 所定方向に沿って案内軌道部25が形成された案内レール21と、前記案内軌道部に係合して転動する回転子45を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダ61と、を備えた案内部材11である。前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの谷部26,26を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の物体を所定方向に移動可能に案内するための案内部材が、従来から様々な装置に使用されている。図17にこの案内部材111の正面図を示すが、当該案内部材111は、前記所定方向(以下、案内方向とも言う。図17では紙面を貫く方向)に沿って案内軌道部125が形成されたレール123と、前記案内軌道部125に係合して転動する回転子145により前記案内方向に移動可能に案内されたスライダ161と、を備えている。
【0003】
この案内軌道部125の表面形状は、前記案内方向に関する任意位置の断面形状が、一つの谷部126からなるV字状に形成されている一方、この案内軌道部125に係合する前記回転子145は、その回転中心C145断面に関する外形形状が、一つの山部146からなるV字状に形成されている。よって、この谷部126と山部146とを前記回転子145の回転中心軸147方向に亘って当接させながら、当該回転子145に案内軌道部125を転動させることによって、前記スライダ161は前記案内方向に移動可能に案内される(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0004】
ちなみに、特許文献1及び2の例は、図17の例と山部146又は谷部126の形成され方が逆であり、すなわち、レール123の方に山部が形成され、回転子145の方に谷部が形成されているが、どちらの例も、係合する谷部126及び山部146が一つである点で同構成である。
【特許文献1】実用新案登録第2554549号公報
【特許文献2】英国特許第681412号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この回転子145の転動は、その外周面の大半の部分において相対滑りを伴うものであり、これに起因して回転子145又は案内軌道部125に大きな損耗や発熱を生じさせてしまう虞があって、その結果、この種の案内部材111は、高速移動体の案内には不向きであると考えられていた。
【0006】
詳細に言えば、V字外形に起因して回転子145の外径寸法は、その回転中心軸方向に関して変化しており、もって、その外周面の周速も回転中心軸方向に関して異なっている。例えば、外周面において山部146の山頂に相当する大径部146aは、その周速が速く、山部146の山麓に相当する小径部146bの周速は遅い。そして、スライダ161が前記案内方向に沿って所定の移動速度で移動する際には、その移動速度と同じ周速の部分は相対滑りをしないが、そのような部分は、例えば、図17に示すように前記回転中心軸方向の2点に対応する外周面の極僅かの部分146c,146cであって、それ以外の大半の部分は、前記移動速度よりも速いか遅いかとなっていて相対滑りを起こしている。
【0007】
このような相対滑りを小さくする方法としては、大径部146aと小径部146bとの外径差を小さくすることが考えられる。しかし、その場合には、山部146と谷部126との当接長が短くなって回転子145と案内軌道部125との係合力が小さくなる結果、回転子145がレール123から脱輪し易くなるという問題を生じ得る。すなわち、レール123のスライダ161を所定の案内方向に規制するための係合力の確保が困難になる。
【0008】
本発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関し、前記回転子と前記案内軌道部との係合力を確保しつつ、これらの間に生じ得る相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための主たる発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材である。
【0010】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関し、前記回転子と前記案内軌道部との係合力を確保しつつ、前記回転子と案内軌道部との相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【0014】
このような案内部材によれば、前記案内軌道部は、少なくとも2つの山部又は谷部を有し、また、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されている。
従って、回転子と案内軌道部との間の相対滑りを小さくする目的で、前記山部又は谷部における大径部と小径部との外径差を小さくした場合であっても、その小さくした分だけ、互いに係合する山部と谷部の数を増やしてやれば、前記回転子と案内軌道部との係合力を減らすこと無く所定の要求仕様に設定可能である。その結果、回転子と案内軌道部との係合力を確保しつつ、これらの間に生じ得る相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することができる。
【0015】
かかる案内部材において、前記少なくとも2つの山部又は谷部は、それぞれ同じ形状に形成されているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記少なくとも2つの山部又は谷部には等しい係合力が作用することとなり、もって、各山部又は各谷部に作用する負荷の均等化が図れる。その結果、特定の山部や谷部が選択的に摩耗等するという、前記案内軌道部又は回転子の部分的劣化を有効に抑制できて、当該案内部材は耐久性や寿命面で優れたものとなる。
【0016】
かかる案内部材において、前記案内軌道部には、2つの谷部が形成され、前記回転子の外周面には、前記谷部のそれぞれに係合するように2つの山部が形成されているのが望ましい。
このような案内部材によれば、上記作用効果を奏し得るなかで最も少ない数の山部又は谷部が、案内軌道部又は回転子に形成されている。よって、山部及び谷部の加工費を最も低く抑えることができる。
また、山部又は谷部の数が多いと、全ての山部又は谷部が、対応する谷部又は山部に対して均等に係合するようにするための加工精度の確保が困難になるが、上述の場合は、2つであるため加工精度の確保もさほど困難ではない。
【0017】
かかる案内部材において、前記所定方向は直進方向であるのが望ましい。
このような案内部材によれば、スライダを介して所望の物体を直進方向に移動可能に案内可能となる。
【0018】
かかる案内部材において、前記案内レールは、互いに対向させて平行に並設された一対のレールを備え、これらレールの互い対向する側面には、それぞれに前記案内軌道部が形成され、前記スライダには、各案内軌道部に対応させて回転子が少なくとも一つずつ設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記一対のレールを、互いの間に所定間隔だけ隔てて配置することが可能である。よって、スライダを、その両脇のレールで案内することができて、当該スライダの移動安定性を高めることができる。
【0019】
かかる案内部材において、前記案内軌道部は、前記案内レールの両側面に形成され、前記両側面のそれぞれに対応させて前記案内レールの両脇を挟むように、少なくとも一対の回転子が前記スライダに設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、一本の案内レールでスライダを案内できるため、当該案内部材の部品点数の削減を図れて廉価になる。
【0020】
かかる案内部材において、前記回転子は、回転中心軸によって前記回転中心回りに回転可能に支持され、前記回転中心軸の両端部を支持する支持部材を介して前記回転子は前記スライダに設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、回転子は両端支持されることになるので、その回転中心回りの回転動作の安定化が図れる。従って、スライダの移動安定性を高めることができる。
【0021】
かかる案内部材において、互いに対応する山部と谷部とは、前記回転子の回転中心軸方向に亘って当接しているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記回転中心軸方向のスライダの移動を確実に規制して、前記所定方向への高精度な案内が可能となる。
【0022】
===第1実施形態===
図1乃至図4Cは、本発明に係る第1実施形態の案内部材11を説明するための図である。図1は案内部材11の斜視図、図2は上面図、そして図3は正面図である。また、図4A乃至図4Cは、本発明に係る案内部材11の作用効果を説明するための正面図であって説明に必要な要部のみを示している。なお、図3中では、案内部材11の一部を破断して示している。また、説明の便宜上、各図に示すように、物体(不図示)は水平な直進方向に移動可能に案内される前提とし、当該案内方向を前後方向とも言う。また、この前後方向と直交する各方向を、それぞれに上下方向及び左右方向と定義する。
【0023】
先ず、本発明に係る案内部材11について概略説明する。
【0024】
図1乃至図3に示すように案内部材11は、所望の物体(不図示)を所定の案内方向に沿って移動する際に使用され、当該案内部材11は、前記案内方向に沿って案内軌道部25が形成された案内レール21と、前記案内軌道部25に係合して転動する回転子45を回転自在に軸支し、前記回転子45によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダ61と、を備えている。そして、前記スライダ61に物体を取り付けることによって、当該案内部材11は前記物体の案内機能を発揮する。
【0025】
ここで、本発明に係る案内軌道部25の表面形状は、図4Aに示すように、前記案内方向(図4Aでは紙面を貫く方向)に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの谷部26,26を有する形状に形成されている。また、この表面形状に対応させて、前記回転子45の回転中心C45断面に関する外形形状は、前記案内軌道部25における少なくとも2つの谷部26,26のそれぞれに係合するような2つの山部46,46を有する形状に形成されている。すなわち、この案内部材11は、互いに係合する山部46と谷部26とからなる係合部36のペアを少なくとも2ペア有している。
【0026】
よって、図4Bの従来例の如き係合部136を1ペアだけ具備する案内部材111と比較して、係合部36の係合力を従来例と同等に維持しながらも、回転子45と案内軌道部25との相対滑りを、従来例の回転子145と案内軌道部125との相対滑りよりも小さくすることが可能となっている。
【0027】
すなわち、本発明に係る図4Aの例にあっては、その山部46及び谷部26の断面形状を、図4Bの従来例の山部146及び谷部126と相似形状に維持しつつ、係合部36を2ペアに増やしている。そして、これによって、回転子45の山部46における大径部46aと小径部46bとの外形差を、従来例の山部146における大径部146aと小径部146bとの外形差の半分に小さくしながらも、従来例と同等の係合力を確保できているのである。
【0028】
なお、相対滑りの軽減効果は、前記外形差を小さくする程に良好になるので、図4Cに示すように、係合部36のペア数を多くして、その分だけ大径部46aと小径部46bとの外形差を小さくするのが望ましい。例えば、図4Cの例では、係合部36のペア数を3ペアにし、これに合わせて外形差を従来例の三分の一にしている。但し、これら係合部36のペア数が多くなると、各係合部36をそれぞれ確実に係合させるために、山部46及び谷部26に対する高度な加工精度が必要となり、加工コスト面で劣る虞がある。
【0029】
以下、図1乃至図5を参照して、この案内部材11について詳細に説明する。なお、図5は、図4Aの係合部36の係合を解いて示した正面図である。
【0030】
第1実施形態の案内レール11は、図1乃至図3に示すように一対のレール23,23を備えている。これら一対のレール23,23は、略矩形断面の真っ直ぐな長尺体であり、その長手方向を前記案内方向たる前後方向に沿わせつつ、互いに平行に対向させて適宜な基台1上に並設されている。これらレール23,23の互い対向する内側面には、それぞれに前記案内軌道部25,25が全長に亘って形成されている。各案内軌道部25の表面形状は、図5に示すように前記案内方向に関する任意位置の断面形状が2つの谷部26,26を有する略W型に形成されており、これら2つの谷部26,26を構成する計4つの斜面26aが、前記回転子45の転動面として機能する。
【0031】
なお、各斜面26aは、適宜な面加工によって平坦かつ平滑に形成されており、回転子45の転動時の摩擦抵抗の低減化が図られる一方、2つの谷部26,26の形状は互いに同形に形成され、もって、各谷部26,26に作用する回転子45の係合力の均等化が図られている。また、谷部26の各斜面26aの水平に対する傾斜角度は互いに等しく設定されており、もって、谷部26の形状は全体として二等辺三角形様に仕上がっている。
【0032】
スライダ61は、図1乃至図3に示すように水平配置された所定厚みの矩形平板を本体とし、上面61aには所望の物品を取り付けるための取り付け面が形成され、他方、下面61bの左右部分には、それぞれに、前記回転子45を軸支するためのユニット部材41,41(支持部材)がボルト止めされている。
【0033】
図3に示すように各ユニット部材41,41は、一つの側面が開口した直方体型箱体状のケース43を有し、このケース43の内部に、前記回転子45がその回転中心軸47を上下に向けながら収容されている。そして、この回転子45の外周部の一部は、前記ケース43の開口から外へ突出しており、当該突出する回転子45の外周部が、前記レール23の案内軌道部25の谷部26に係合してこれを転動するようになっている。ちなみに、前記ケース43の下面壁部43bは、これ以外の4つの各壁部とは別体の板材であって前記ケース43にボルト止めされている。よって、回転子45をケース43内に組み付ける際等に適宜取り外し可能である。
【0034】
図6にユニット部材41の縦断面図を示すが、回転子45は、その円心に前記回転中心軸47を通すための貫通孔45aが形成された略円盤部材である。そして、その外周面には、前記案内軌道部25の谷部26,26に対応させて2つの山部46,46が形成され、いわば2つの算盤玉が上下に連結したような外観を呈している。前記2つの山部46,46は、前記案内軌道部25の谷部26,26に対応させてほぼ同形の略逆W型に形成され、すなわち、図5に示すように当該2つの山部46,46は、前記谷部26,26の4つの斜面26aに対応する4つの周面46dから構成されている。そして、回転子45が案内軌道部25を転動する際には、各周面46dが、それぞれに対応する前記斜面26aに当接するようになっている。
【0035】
この回転子45の回転中心軸47は、図6に示すように、その上下端部が小径で中間部が大径の略丸棒部材である。そして、前記中間部に回転子45が位置するように前記回転子45の貫通孔45aに通されて、その上下端部が、それぞれ、前記ケース43の上面壁部43a及び下面壁部43bの孔部44a,44bに嵌入固定されることによって、前記回転子45を両端支持する。
【0036】
なお、この貫通状態においては、前記回転子45の貫通孔45aと回転中心軸47との間には環状間隙Gが形成されている。この環状間隙Gの幅は、前記回転中心軸方向に関して一定ではなく、その上部及び下部においてのみ広く形成され、ここには球体48,48,…48が収容されている。当該球体48,48,…48は、前記回転中心軸47に対して前記回転子45を円滑に回転させるための軸受け部材であり、環状間隙Gの円周方向に沿って複数が配置されている。そして、これら球体48,48,…48は回転子45の回転に伴って、回転中心軸47の外周面に形成された転動面R47と前記貫通孔45aの内周面に形成された転動面R45とに当接しつつこれらを転動する。これら上部及び下部以外の部分、すなわち、上端部、下端部、及び中間部については、前記環状間隙Gの幅は狭く形成されており、これによって、これら球体48,48,…48の前記回転中心軸方向に関する移動は規制されている。
【0037】
このような環状間隙Gには、前記球体48の潤滑用にグリースや油等の潤滑剤を充填若しくは供給するのが望ましい。但し、その場合には、前記環状間隙Gの上端及び下端から潤滑剤が外に漏れ出る虞があるため、図7に示すように、回転子45の上端面及び下端面のそれぞれに、前記環状間隙Gの上端開口及び下端開口を覆って蓋をするシール部材49,49を設けると良い。なお、上端開口用及び下端開口用のシール部材49,49は互いに上下反転の関係にあるので、ここでは上端開口用のシール材49についてのみ詳しく説明する。このシール部材49は、有蓋円筒体状を呈し、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、その筒部49a上端の円盤部49bが前記回転中心軸47の段部47aとケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。このようなシール部材49の素材は、前記回転中心軸方向に関する前記回転中心軸47の位置決め精度の観点からは、鋼製であるのが望ましいが、状況によってはゴムや樹脂等の弾性素材を用いても良い。
【0038】
なお、上述のような形状の環状間隙Gの形成は、前記回転中心軸47の中間部の外周面にU字状溝部47bを形成するとともに、このU字状溝部47bに対応させて前記回転子の貫通孔45aの内周面に凸部45bを形成することによって達成される。
【0039】
ところで、以上説明してきた第1実施形態では、ユニット部材41を、案内方向たる前後方向の一カ所にのみ設けたが、ユニット部材41の設置カ所数はこれに限るものではなく、例えば図8の上面図に示すように、案内方向に関する前後2カ所に設けるようにしても良い。そして、このようにすればスライダ61を4点支持することになって、その移動安定性を更に高めることができる。
【0040】
ここで、図9乃至図12を参照してユニット部材41の変形例について説明する。なお、図9乃至図12の何れもユニット部材41を縦断面視で示している。また、何れのユニット部材41も、回転子45に供する前記軸受け部材及びその関連部分において相違し、それ以外の構成は同じである。よって、第1実施形態と同じ構成については、図中同一の符号を付して示しその説明は省略する。
【0041】
図9の第1変形例では、軸受け部材にニードル51,52が使用されている。すなわち、回転子45の上端面とケース43の上面壁部43aの下面との間隙G1、及び、回転子45の下端面とケース43の下面壁部43bの上面との間隙G2には、それぞれに、複数の第1ニードル50,50,…50が、前記回転中心軸47を中心として放射状に配置されており、これによって、上下方向の荷重の作用下においても、回転子45は円滑に回転可能となっている。また、回転中心軸47の外周面と回転子45の貫通孔45aの内周面との間の環状間隙G3にも、その周方向に沿って複数の第2ニードル51,51,…51が配置されており、これによって、左右方向の荷重の作用下においても回転子45は円滑に回転可能となっている。
【0042】
なお、言うまでもないが、この場合には、回転子45の上端面及びケース43の上面壁部43aの下面、並びに、回転子45の下端面及びケース43の下面壁部43bの上面が、それぞれに第1ニードル50の転動面として機能し、他方、第2ニードル51の転動面は、回転中心軸47の外周面及び回転子45の貫通孔45aの内周面である。
【0043】
ここで、第1ニードル50は、前記間隙G1内又は前記間隙G2内に保持され、また、第2ニードル51は、前記環状間隙G3内に保持されるが、これらの保持は次のようにして達成されている。前者の第1ニードル50については、前記回転子45の上端面及び下端面の外周縁に沿って、その全周に亘り凸部45cが形成されており、当該凸部45cに第1ニードル50の一端部が当接して、径方向外方への第1ニードル50の移動が規制される。他方、径方向内方への第1ニードル50の移動は、第1ニードル50の他端部が前記回転中心軸47の外周面に当接することで規制される。また、後者の第2ニードル51については、回転中心軸47の外周面に、円周方向に沿って形成されたU字状溝47cによって回転中心軸方向の移動が規制される。すなわち、前記U字状溝47cの回転中心軸方向の幅は第2ニードル51の全長よりも若干長く形成され、当該U字状溝47c内に第2ニードル51を収めることによって当該第2ニードル51は前記回転中心軸方向の移動が規制されている。
【0044】
ところで、このような第1変形例においても、第1及び第2ニードル50,51用の潤滑剤を、前記間隙G1,G2及び環状間隙G3に充填等すると良く、その場合には、当該潤滑剤の前記間隙G1,G2,G3からの漏れ出しを防ぐべく、第1実施形態と同様のシール部材49を設けるのが望ましい。このシール部材49は、図10に示すように鋼製の有蓋円筒体であり、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、筒部49aの上端の円盤部49bが前記回転中心軸47の段部47aとケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。この場合には、前記円盤部49bはケース43の上面壁部43aの下面に当接して設けられることから、前記円盤部49bの下面を第1ニードル50が転動することになるが、当該円盤部49bは鋼製であるため転動面として十分に耐用し得る。但し、このシール部材49の素材は何等これに限るものではなく、状況によってはゴムや樹脂等の弾性素材を用いても良い。なお、以上の説明は、回転子45の下端面に設けられるシール部材49についても同じであり、その説明は省略する。
【0045】
図11の第2変形例では、軸受け部材にテーパーローラ52が使用されており、もって、前述の第1変形例と同様に、上下方向及び左右方向のいずれの荷重の作用下でも、前記回転子45は円滑に回転可能である。
【0046】
詳細には、回転中心軸47の中間部の上下の部分には、それぞれに内輪部材53,53が嵌合されて内側の転動面R53,R53が形成されており、これに対応させて、回転子45の貫通孔45aの内周面には、外側の転動面R45,R45が直接形成されている。そして、これら内側及び外側の転動面R53,R45の間の間隙G4には複数のテーパーローラ52,52,…52が、これら転動面R53,R45の周方向に沿って等間隔を隔てて配列されている。そして、これらテーパーローラ52は回転子45の回転に伴って転動し、これによって回転子45の円滑な回転が達成されている。ちなみに、テーパーローラ45,45同士の前記周方向の間隔は、前記転動面R53,R45の間に配された保持器54によって維持されている。
【0047】
ところで、このような第2変形例においても、テーパーローラ52用の潤滑剤を、前記転動面R53,R45同士の間の間隙G4に充填等すると良く、その場合には、当該潤滑剤の前記間隙G4からの漏れ出しを防ぐべく、第1実施形態と同様のシール部材49を設けるのが望ましい。このシール部材49は有蓋円筒体状を呈し、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、筒部49aの上端の円盤部49bが前記内輪部材52の上端面とケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。以上の説明は、回転子45の下端面に設けられるシール部材49についても同じであり、その説明は省略する。
【0048】
===第2実施形態===
図13乃至図15を参照しつつ第2実施形態について説明する。図13は斜視図、図14は上面図、図15は正面図である。なお、図15中では、案内部材11の一部を破断して示している。
【0049】
前述の第1実施形態の案内レール21は、左右に一本ずつの計二本のレール23,23を備えたツインレール構成であったが、本第2実施形態では、一本のレールからなるモノレール構成を採用している点で相違する。
【0050】
すなわち、案内レール21は、略矩形断面の真っ直ぐな一本の長尺体であり、その左右の両側面にはそれぞれ案内軌道部25,25が長手方向に沿って形成されている。そして、この案内レール21の両側面を回転子25,25で挟み込むように、前記一対のユニット部材41,41が前記案内レール21の両脇に配置されている。詳しく言えば、図15に示すように、前記一対のユニット部材41,41は、そのケース43の開口が左右方向の内側を向くように配置されており、各開口から突出した回転子45,45は、それぞれに案内レール21の両脇の案内軌道部25,25に係合し、当該案内レール21を挟み込んでいる。そして、このような構成によれば、一本の案内レール21でスライダ61を案内できるため、当該案内部材11の部品点数の削減を図れて廉価にできる。
【0051】
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0052】
(a)前述の実施形態では、図4Aに示すように回転子45の方に山部46が形成され、案内レール21の方に谷部26が形成されていたが、図16Aに示すように逆にしても良い。すなわち、回転子45の方に谷部26を形成し、案内レール21の方に山部46を形成しても良い。
【0053】
(b)前述の実施形態では、回転子45の山部46の外形形状は、二等辺三角形が二つ並んだW型であったが、これに限るものではなく、例えば、図16Bに示すように、二等辺三角形の頂点が面取りされてなる台形が二つ並んだ形状であっても良く、更には、図16Cに示すように、前記山部46に倣わせて案内軌道部25の方も台形が2つ並んだ形状にしても良い。
また、図16Dに示すように、2つの山部46,46’の三角形の大きさや形状を互いに異ならせても良い。但し、そうした場合には、各山部46,46’に作用する係合力の均等化が図れずに、特定の山部46,46’が選択的に摩耗する虞があって耐久性の観点からは望ましくない。
【0054】
(c)前述の実施形態では、案内軌道部25をレール23の左右の側面に形成していたが、これに限るものではなく、案内部材11の用途に応じて適宜変更可能である。例えば、案内軌道部25をレール23の上下面に形成しても良く、その場合には、回転子25の回転中心軸47は水平方向を向くのは言うまでもない。
【0055】
(d)前述の実施形態では、案内方向を直進方向にしていたが、何等これに限るものではなく、例えば所定曲率でカーブする方向を案内方向にしても良い。なお、この場合には、前記所定曲率で曲がったレールを用いるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態の案内部材11を説明するための斜視図である。
【図2】同上面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】本発明に係る案内部材11の作用効果を説明するための正面図である。
【図5】係合部36の係合を解いて示した案内部材11の正面図である。
【図6】ユニット部材41の縦断面図である。
【図7】シール部材49を備えたユニット部材41の縦断面図である。
【図8】ユニット部材41の設置カ所数の変形例の上面図である。
【図9】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図10】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図11】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図12】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態の案内部材11を説明するための斜視図である。
【図14】同上面図である。
【図15】同正面図である。
【図16】本発明に係るその他の実施形態を説明するための正面図である。
【図17】従来の案内部材111の正面図である。
【符号の説明】
【0057】
11 案内部材
21 案内レール
25 案内軌道部
26 谷部
45 回転子
46 山部
61 スライダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の物体を所定方向に移動可能に案内するための案内部材が、従来から様々な装置に使用されている。図17にこの案内部材111の正面図を示すが、当該案内部材111は、前記所定方向(以下、案内方向とも言う。図17では紙面を貫く方向)に沿って案内軌道部125が形成されたレール123と、前記案内軌道部125に係合して転動する回転子145により前記案内方向に移動可能に案内されたスライダ161と、を備えている。
【0003】
この案内軌道部125の表面形状は、前記案内方向に関する任意位置の断面形状が、一つの谷部126からなるV字状に形成されている一方、この案内軌道部125に係合する前記回転子145は、その回転中心C145断面に関する外形形状が、一つの山部146からなるV字状に形成されている。よって、この谷部126と山部146とを前記回転子145の回転中心軸147方向に亘って当接させながら、当該回転子145に案内軌道部125を転動させることによって、前記スライダ161は前記案内方向に移動可能に案内される(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0004】
ちなみに、特許文献1及び2の例は、図17の例と山部146又は谷部126の形成され方が逆であり、すなわち、レール123の方に山部が形成され、回転子145の方に谷部が形成されているが、どちらの例も、係合する谷部126及び山部146が一つである点で同構成である。
【特許文献1】実用新案登録第2554549号公報
【特許文献2】英国特許第681412号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この回転子145の転動は、その外周面の大半の部分において相対滑りを伴うものであり、これに起因して回転子145又は案内軌道部125に大きな損耗や発熱を生じさせてしまう虞があって、その結果、この種の案内部材111は、高速移動体の案内には不向きであると考えられていた。
【0006】
詳細に言えば、V字外形に起因して回転子145の外径寸法は、その回転中心軸方向に関して変化しており、もって、その外周面の周速も回転中心軸方向に関して異なっている。例えば、外周面において山部146の山頂に相当する大径部146aは、その周速が速く、山部146の山麓に相当する小径部146bの周速は遅い。そして、スライダ161が前記案内方向に沿って所定の移動速度で移動する際には、その移動速度と同じ周速の部分は相対滑りをしないが、そのような部分は、例えば、図17に示すように前記回転中心軸方向の2点に対応する外周面の極僅かの部分146c,146cであって、それ以外の大半の部分は、前記移動速度よりも速いか遅いかとなっていて相対滑りを起こしている。
【0007】
このような相対滑りを小さくする方法としては、大径部146aと小径部146bとの外径差を小さくすることが考えられる。しかし、その場合には、山部146と谷部126との当接長が短くなって回転子145と案内軌道部125との係合力が小さくなる結果、回転子145がレール123から脱輪し易くなるという問題を生じ得る。すなわち、レール123のスライダ161を所定の案内方向に規制するための係合力の確保が困難になる。
【0008】
本発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関し、前記回転子と前記案内軌道部との係合力を確保しつつ、これらの間に生じ得る相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための主たる発明は、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材である。
【0010】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材に関し、前記回転子と前記案内軌道部との係合力を確保しつつ、前記回転子と案内軌道部との相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【0014】
このような案内部材によれば、前記案内軌道部は、少なくとも2つの山部又は谷部を有し、また、前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されている。
従って、回転子と案内軌道部との間の相対滑りを小さくする目的で、前記山部又は谷部における大径部と小径部との外径差を小さくした場合であっても、その小さくした分だけ、互いに係合する山部と谷部の数を増やしてやれば、前記回転子と案内軌道部との係合力を減らすこと無く所定の要求仕様に設定可能である。その結果、回転子と案内軌道部との係合力を確保しつつ、これらの間に生じ得る相対滑りを小さく抑制可能な案内部材を提供することができる。
【0015】
かかる案内部材において、前記少なくとも2つの山部又は谷部は、それぞれ同じ形状に形成されているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記少なくとも2つの山部又は谷部には等しい係合力が作用することとなり、もって、各山部又は各谷部に作用する負荷の均等化が図れる。その結果、特定の山部や谷部が選択的に摩耗等するという、前記案内軌道部又は回転子の部分的劣化を有効に抑制できて、当該案内部材は耐久性や寿命面で優れたものとなる。
【0016】
かかる案内部材において、前記案内軌道部には、2つの谷部が形成され、前記回転子の外周面には、前記谷部のそれぞれに係合するように2つの山部が形成されているのが望ましい。
このような案内部材によれば、上記作用効果を奏し得るなかで最も少ない数の山部又は谷部が、案内軌道部又は回転子に形成されている。よって、山部及び谷部の加工費を最も低く抑えることができる。
また、山部又は谷部の数が多いと、全ての山部又は谷部が、対応する谷部又は山部に対して均等に係合するようにするための加工精度の確保が困難になるが、上述の場合は、2つであるため加工精度の確保もさほど困難ではない。
【0017】
かかる案内部材において、前記所定方向は直進方向であるのが望ましい。
このような案内部材によれば、スライダを介して所望の物体を直進方向に移動可能に案内可能となる。
【0018】
かかる案内部材において、前記案内レールは、互いに対向させて平行に並設された一対のレールを備え、これらレールの互い対向する側面には、それぞれに前記案内軌道部が形成され、前記スライダには、各案内軌道部に対応させて回転子が少なくとも一つずつ設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記一対のレールを、互いの間に所定間隔だけ隔てて配置することが可能である。よって、スライダを、その両脇のレールで案内することができて、当該スライダの移動安定性を高めることができる。
【0019】
かかる案内部材において、前記案内軌道部は、前記案内レールの両側面に形成され、前記両側面のそれぞれに対応させて前記案内レールの両脇を挟むように、少なくとも一対の回転子が前記スライダに設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、一本の案内レールでスライダを案内できるため、当該案内部材の部品点数の削減を図れて廉価になる。
【0020】
かかる案内部材において、前記回転子は、回転中心軸によって前記回転中心回りに回転可能に支持され、前記回転中心軸の両端部を支持する支持部材を介して前記回転子は前記スライダに設けられているのが望ましい。
このような案内部材によれば、回転子は両端支持されることになるので、その回転中心回りの回転動作の安定化が図れる。従って、スライダの移動安定性を高めることができる。
【0021】
かかる案内部材において、互いに対応する山部と谷部とは、前記回転子の回転中心軸方向に亘って当接しているのが望ましい。
このような案内部材によれば、前記回転中心軸方向のスライダの移動を確実に規制して、前記所定方向への高精度な案内が可能となる。
【0022】
===第1実施形態===
図1乃至図4Cは、本発明に係る第1実施形態の案内部材11を説明するための図である。図1は案内部材11の斜視図、図2は上面図、そして図3は正面図である。また、図4A乃至図4Cは、本発明に係る案内部材11の作用効果を説明するための正面図であって説明に必要な要部のみを示している。なお、図3中では、案内部材11の一部を破断して示している。また、説明の便宜上、各図に示すように、物体(不図示)は水平な直進方向に移動可能に案内される前提とし、当該案内方向を前後方向とも言う。また、この前後方向と直交する各方向を、それぞれに上下方向及び左右方向と定義する。
【0023】
先ず、本発明に係る案内部材11について概略説明する。
【0024】
図1乃至図3に示すように案内部材11は、所望の物体(不図示)を所定の案内方向に沿って移動する際に使用され、当該案内部材11は、前記案内方向に沿って案内軌道部25が形成された案内レール21と、前記案内軌道部25に係合して転動する回転子45を回転自在に軸支し、前記回転子45によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダ61と、を備えている。そして、前記スライダ61に物体を取り付けることによって、当該案内部材11は前記物体の案内機能を発揮する。
【0025】
ここで、本発明に係る案内軌道部25の表面形状は、図4Aに示すように、前記案内方向(図4Aでは紙面を貫く方向)に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの谷部26,26を有する形状に形成されている。また、この表面形状に対応させて、前記回転子45の回転中心C45断面に関する外形形状は、前記案内軌道部25における少なくとも2つの谷部26,26のそれぞれに係合するような2つの山部46,46を有する形状に形成されている。すなわち、この案内部材11は、互いに係合する山部46と谷部26とからなる係合部36のペアを少なくとも2ペア有している。
【0026】
よって、図4Bの従来例の如き係合部136を1ペアだけ具備する案内部材111と比較して、係合部36の係合力を従来例と同等に維持しながらも、回転子45と案内軌道部25との相対滑りを、従来例の回転子145と案内軌道部125との相対滑りよりも小さくすることが可能となっている。
【0027】
すなわち、本発明に係る図4Aの例にあっては、その山部46及び谷部26の断面形状を、図4Bの従来例の山部146及び谷部126と相似形状に維持しつつ、係合部36を2ペアに増やしている。そして、これによって、回転子45の山部46における大径部46aと小径部46bとの外形差を、従来例の山部146における大径部146aと小径部146bとの外形差の半分に小さくしながらも、従来例と同等の係合力を確保できているのである。
【0028】
なお、相対滑りの軽減効果は、前記外形差を小さくする程に良好になるので、図4Cに示すように、係合部36のペア数を多くして、その分だけ大径部46aと小径部46bとの外形差を小さくするのが望ましい。例えば、図4Cの例では、係合部36のペア数を3ペアにし、これに合わせて外形差を従来例の三分の一にしている。但し、これら係合部36のペア数が多くなると、各係合部36をそれぞれ確実に係合させるために、山部46及び谷部26に対する高度な加工精度が必要となり、加工コスト面で劣る虞がある。
【0029】
以下、図1乃至図5を参照して、この案内部材11について詳細に説明する。なお、図5は、図4Aの係合部36の係合を解いて示した正面図である。
【0030】
第1実施形態の案内レール11は、図1乃至図3に示すように一対のレール23,23を備えている。これら一対のレール23,23は、略矩形断面の真っ直ぐな長尺体であり、その長手方向を前記案内方向たる前後方向に沿わせつつ、互いに平行に対向させて適宜な基台1上に並設されている。これらレール23,23の互い対向する内側面には、それぞれに前記案内軌道部25,25が全長に亘って形成されている。各案内軌道部25の表面形状は、図5に示すように前記案内方向に関する任意位置の断面形状が2つの谷部26,26を有する略W型に形成されており、これら2つの谷部26,26を構成する計4つの斜面26aが、前記回転子45の転動面として機能する。
【0031】
なお、各斜面26aは、適宜な面加工によって平坦かつ平滑に形成されており、回転子45の転動時の摩擦抵抗の低減化が図られる一方、2つの谷部26,26の形状は互いに同形に形成され、もって、各谷部26,26に作用する回転子45の係合力の均等化が図られている。また、谷部26の各斜面26aの水平に対する傾斜角度は互いに等しく設定されており、もって、谷部26の形状は全体として二等辺三角形様に仕上がっている。
【0032】
スライダ61は、図1乃至図3に示すように水平配置された所定厚みの矩形平板を本体とし、上面61aには所望の物品を取り付けるための取り付け面が形成され、他方、下面61bの左右部分には、それぞれに、前記回転子45を軸支するためのユニット部材41,41(支持部材)がボルト止めされている。
【0033】
図3に示すように各ユニット部材41,41は、一つの側面が開口した直方体型箱体状のケース43を有し、このケース43の内部に、前記回転子45がその回転中心軸47を上下に向けながら収容されている。そして、この回転子45の外周部の一部は、前記ケース43の開口から外へ突出しており、当該突出する回転子45の外周部が、前記レール23の案内軌道部25の谷部26に係合してこれを転動するようになっている。ちなみに、前記ケース43の下面壁部43bは、これ以外の4つの各壁部とは別体の板材であって前記ケース43にボルト止めされている。よって、回転子45をケース43内に組み付ける際等に適宜取り外し可能である。
【0034】
図6にユニット部材41の縦断面図を示すが、回転子45は、その円心に前記回転中心軸47を通すための貫通孔45aが形成された略円盤部材である。そして、その外周面には、前記案内軌道部25の谷部26,26に対応させて2つの山部46,46が形成され、いわば2つの算盤玉が上下に連結したような外観を呈している。前記2つの山部46,46は、前記案内軌道部25の谷部26,26に対応させてほぼ同形の略逆W型に形成され、すなわち、図5に示すように当該2つの山部46,46は、前記谷部26,26の4つの斜面26aに対応する4つの周面46dから構成されている。そして、回転子45が案内軌道部25を転動する際には、各周面46dが、それぞれに対応する前記斜面26aに当接するようになっている。
【0035】
この回転子45の回転中心軸47は、図6に示すように、その上下端部が小径で中間部が大径の略丸棒部材である。そして、前記中間部に回転子45が位置するように前記回転子45の貫通孔45aに通されて、その上下端部が、それぞれ、前記ケース43の上面壁部43a及び下面壁部43bの孔部44a,44bに嵌入固定されることによって、前記回転子45を両端支持する。
【0036】
なお、この貫通状態においては、前記回転子45の貫通孔45aと回転中心軸47との間には環状間隙Gが形成されている。この環状間隙Gの幅は、前記回転中心軸方向に関して一定ではなく、その上部及び下部においてのみ広く形成され、ここには球体48,48,…48が収容されている。当該球体48,48,…48は、前記回転中心軸47に対して前記回転子45を円滑に回転させるための軸受け部材であり、環状間隙Gの円周方向に沿って複数が配置されている。そして、これら球体48,48,…48は回転子45の回転に伴って、回転中心軸47の外周面に形成された転動面R47と前記貫通孔45aの内周面に形成された転動面R45とに当接しつつこれらを転動する。これら上部及び下部以外の部分、すなわち、上端部、下端部、及び中間部については、前記環状間隙Gの幅は狭く形成されており、これによって、これら球体48,48,…48の前記回転中心軸方向に関する移動は規制されている。
【0037】
このような環状間隙Gには、前記球体48の潤滑用にグリースや油等の潤滑剤を充填若しくは供給するのが望ましい。但し、その場合には、前記環状間隙Gの上端及び下端から潤滑剤が外に漏れ出る虞があるため、図7に示すように、回転子45の上端面及び下端面のそれぞれに、前記環状間隙Gの上端開口及び下端開口を覆って蓋をするシール部材49,49を設けると良い。なお、上端開口用及び下端開口用のシール部材49,49は互いに上下反転の関係にあるので、ここでは上端開口用のシール材49についてのみ詳しく説明する。このシール部材49は、有蓋円筒体状を呈し、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、その筒部49a上端の円盤部49bが前記回転中心軸47の段部47aとケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。このようなシール部材49の素材は、前記回転中心軸方向に関する前記回転中心軸47の位置決め精度の観点からは、鋼製であるのが望ましいが、状況によってはゴムや樹脂等の弾性素材を用いても良い。
【0038】
なお、上述のような形状の環状間隙Gの形成は、前記回転中心軸47の中間部の外周面にU字状溝部47bを形成するとともに、このU字状溝部47bに対応させて前記回転子の貫通孔45aの内周面に凸部45bを形成することによって達成される。
【0039】
ところで、以上説明してきた第1実施形態では、ユニット部材41を、案内方向たる前後方向の一カ所にのみ設けたが、ユニット部材41の設置カ所数はこれに限るものではなく、例えば図8の上面図に示すように、案内方向に関する前後2カ所に設けるようにしても良い。そして、このようにすればスライダ61を4点支持することになって、その移動安定性を更に高めることができる。
【0040】
ここで、図9乃至図12を参照してユニット部材41の変形例について説明する。なお、図9乃至図12の何れもユニット部材41を縦断面視で示している。また、何れのユニット部材41も、回転子45に供する前記軸受け部材及びその関連部分において相違し、それ以外の構成は同じである。よって、第1実施形態と同じ構成については、図中同一の符号を付して示しその説明は省略する。
【0041】
図9の第1変形例では、軸受け部材にニードル51,52が使用されている。すなわち、回転子45の上端面とケース43の上面壁部43aの下面との間隙G1、及び、回転子45の下端面とケース43の下面壁部43bの上面との間隙G2には、それぞれに、複数の第1ニードル50,50,…50が、前記回転中心軸47を中心として放射状に配置されており、これによって、上下方向の荷重の作用下においても、回転子45は円滑に回転可能となっている。また、回転中心軸47の外周面と回転子45の貫通孔45aの内周面との間の環状間隙G3にも、その周方向に沿って複数の第2ニードル51,51,…51が配置されており、これによって、左右方向の荷重の作用下においても回転子45は円滑に回転可能となっている。
【0042】
なお、言うまでもないが、この場合には、回転子45の上端面及びケース43の上面壁部43aの下面、並びに、回転子45の下端面及びケース43の下面壁部43bの上面が、それぞれに第1ニードル50の転動面として機能し、他方、第2ニードル51の転動面は、回転中心軸47の外周面及び回転子45の貫通孔45aの内周面である。
【0043】
ここで、第1ニードル50は、前記間隙G1内又は前記間隙G2内に保持され、また、第2ニードル51は、前記環状間隙G3内に保持されるが、これらの保持は次のようにして達成されている。前者の第1ニードル50については、前記回転子45の上端面及び下端面の外周縁に沿って、その全周に亘り凸部45cが形成されており、当該凸部45cに第1ニードル50の一端部が当接して、径方向外方への第1ニードル50の移動が規制される。他方、径方向内方への第1ニードル50の移動は、第1ニードル50の他端部が前記回転中心軸47の外周面に当接することで規制される。また、後者の第2ニードル51については、回転中心軸47の外周面に、円周方向に沿って形成されたU字状溝47cによって回転中心軸方向の移動が規制される。すなわち、前記U字状溝47cの回転中心軸方向の幅は第2ニードル51の全長よりも若干長く形成され、当該U字状溝47c内に第2ニードル51を収めることによって当該第2ニードル51は前記回転中心軸方向の移動が規制されている。
【0044】
ところで、このような第1変形例においても、第1及び第2ニードル50,51用の潤滑剤を、前記間隙G1,G2及び環状間隙G3に充填等すると良く、その場合には、当該潤滑剤の前記間隙G1,G2,G3からの漏れ出しを防ぐべく、第1実施形態と同様のシール部材49を設けるのが望ましい。このシール部材49は、図10に示すように鋼製の有蓋円筒体であり、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、筒部49aの上端の円盤部49bが前記回転中心軸47の段部47aとケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。この場合には、前記円盤部49bはケース43の上面壁部43aの下面に当接して設けられることから、前記円盤部49bの下面を第1ニードル50が転動することになるが、当該円盤部49bは鋼製であるため転動面として十分に耐用し得る。但し、このシール部材49の素材は何等これに限るものではなく、状況によってはゴムや樹脂等の弾性素材を用いても良い。なお、以上の説明は、回転子45の下端面に設けられるシール部材49についても同じであり、その説明は省略する。
【0045】
図11の第2変形例では、軸受け部材にテーパーローラ52が使用されており、もって、前述の第1変形例と同様に、上下方向及び左右方向のいずれの荷重の作用下でも、前記回転子45は円滑に回転可能である。
【0046】
詳細には、回転中心軸47の中間部の上下の部分には、それぞれに内輪部材53,53が嵌合されて内側の転動面R53,R53が形成されており、これに対応させて、回転子45の貫通孔45aの内周面には、外側の転動面R45,R45が直接形成されている。そして、これら内側及び外側の転動面R53,R45の間の間隙G4には複数のテーパーローラ52,52,…52が、これら転動面R53,R45の周方向に沿って等間隔を隔てて配列されている。そして、これらテーパーローラ52は回転子45の回転に伴って転動し、これによって回転子45の円滑な回転が達成されている。ちなみに、テーパーローラ45,45同士の前記周方向の間隔は、前記転動面R53,R45の間に配された保持器54によって維持されている。
【0047】
ところで、このような第2変形例においても、テーパーローラ52用の潤滑剤を、前記転動面R53,R45同士の間の間隙G4に充填等すると良く、その場合には、当該潤滑剤の前記間隙G4からの漏れ出しを防ぐべく、第1実施形態と同様のシール部材49を設けるのが望ましい。このシール部材49は有蓋円筒体状を呈し、その筒部49aの下端が回転子45の前記上端面の外周縁に略当接するとともに、筒部49aの上端の円盤部49bが前記内輪部材52の上端面とケース43の上面壁部43aの下面とに挟まれて固定されている。以上の説明は、回転子45の下端面に設けられるシール部材49についても同じであり、その説明は省略する。
【0048】
===第2実施形態===
図13乃至図15を参照しつつ第2実施形態について説明する。図13は斜視図、図14は上面図、図15は正面図である。なお、図15中では、案内部材11の一部を破断して示している。
【0049】
前述の第1実施形態の案内レール21は、左右に一本ずつの計二本のレール23,23を備えたツインレール構成であったが、本第2実施形態では、一本のレールからなるモノレール構成を採用している点で相違する。
【0050】
すなわち、案内レール21は、略矩形断面の真っ直ぐな一本の長尺体であり、その左右の両側面にはそれぞれ案内軌道部25,25が長手方向に沿って形成されている。そして、この案内レール21の両側面を回転子25,25で挟み込むように、前記一対のユニット部材41,41が前記案内レール21の両脇に配置されている。詳しく言えば、図15に示すように、前記一対のユニット部材41,41は、そのケース43の開口が左右方向の内側を向くように配置されており、各開口から突出した回転子45,45は、それぞれに案内レール21の両脇の案内軌道部25,25に係合し、当該案内レール21を挟み込んでいる。そして、このような構成によれば、一本の案内レール21でスライダ61を案内できるため、当該案内部材11の部品点数の削減を図れて廉価にできる。
【0051】
===その他の実施形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形が可能である。
【0052】
(a)前述の実施形態では、図4Aに示すように回転子45の方に山部46が形成され、案内レール21の方に谷部26が形成されていたが、図16Aに示すように逆にしても良い。すなわち、回転子45の方に谷部26を形成し、案内レール21の方に山部46を形成しても良い。
【0053】
(b)前述の実施形態では、回転子45の山部46の外形形状は、二等辺三角形が二つ並んだW型であったが、これに限るものではなく、例えば、図16Bに示すように、二等辺三角形の頂点が面取りされてなる台形が二つ並んだ形状であっても良く、更には、図16Cに示すように、前記山部46に倣わせて案内軌道部25の方も台形が2つ並んだ形状にしても良い。
また、図16Dに示すように、2つの山部46,46’の三角形の大きさや形状を互いに異ならせても良い。但し、そうした場合には、各山部46,46’に作用する係合力の均等化が図れずに、特定の山部46,46’が選択的に摩耗する虞があって耐久性の観点からは望ましくない。
【0054】
(c)前述の実施形態では、案内軌道部25をレール23の左右の側面に形成していたが、これに限るものではなく、案内部材11の用途に応じて適宜変更可能である。例えば、案内軌道部25をレール23の上下面に形成しても良く、その場合には、回転子25の回転中心軸47は水平方向を向くのは言うまでもない。
【0055】
(d)前述の実施形態では、案内方向を直進方向にしていたが、何等これに限るものではなく、例えば所定曲率でカーブする方向を案内方向にしても良い。なお、この場合には、前記所定曲率で曲がったレールを用いるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態の案内部材11を説明するための斜視図である。
【図2】同上面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】本発明に係る案内部材11の作用効果を説明するための正面図である。
【図5】係合部36の係合を解いて示した案内部材11の正面図である。
【図6】ユニット部材41の縦断面図である。
【図7】シール部材49を備えたユニット部材41の縦断面図である。
【図8】ユニット部材41の設置カ所数の変形例の上面図である。
【図9】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図10】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図11】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図12】ユニット部材41の変形例を説明するための縦断面図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態の案内部材11を説明するための斜視図である。
【図14】同上面図である。
【図15】同正面図である。
【図16】本発明に係るその他の実施形態を説明するための正面図である。
【図17】従来の案内部材111の正面図である。
【符号の説明】
【0057】
11 案内部材
21 案内レール
25 案内軌道部
26 谷部
45 回転子
46 山部
61 スライダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、
前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、
前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、
前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項2】
請求項1に記載の案内部材において、
前記少なくとも2つの山部又は谷部は、それぞれ同じ形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の案内部材において、
前記案内軌道部には、2つの谷部が形成され、
前記回転子の外周面には、前記谷部のそれぞれに係合するように2つの山部が形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の案内部材において、
前記所定方向は直進方向であることを特徴とする案内部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の案内部材において、
前記案内レールは、互いに対向させて平行に並設された一対のレールを備え、
これらレールの互い対向する側面には、それぞれに前記案内軌道部が形成され、
前記スライダには、各案内軌道部に対応させて回転子が少なくとも一つずつ設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の案内部材において、
前記案内軌道部は、前記案内レールの両側面に形成され、
前記両側面のそれぞれに対応させて前記案内レールの両脇を挟むように、少なくとも一対の回転子が前記スライダに設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の案内部材において、
前記回転子は、回転中心軸によって前記回転中心回りに回転可能に支持され、
前記回転中心軸の両端部を支持する支持部材を介して前記回転子は前記スライダに設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の案内部材において、
互いに対応する山部と谷部とは、前記回転子の回転中心軸方向に亘って当接していることを特徴とする案内部材。
【請求項1】
所定方向に沿って案内軌道部が形成された案内レールと、
前記案内軌道部に係合して転動する回転子を回転自在に軸支し、前記回転子によって前記所定方向に沿って移動可能に案内されたスライダと、を備えた案内部材であって、
前記案内軌道部の表面形状は、前記所定方向に関する任意位置の断面形状が少なくとも2つの山部又は谷部を有する形状に形成されているとともに、
前記回転子の回転中心断面に関する外形形状は、前記案内軌道部における少なくとも2つの山部又は谷部のそれぞれに係合するような形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項2】
請求項1に記載の案内部材において、
前記少なくとも2つの山部又は谷部は、それぞれ同じ形状に形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の案内部材において、
前記案内軌道部には、2つの谷部が形成され、
前記回転子の外周面には、前記谷部のそれぞれに係合するように2つの山部が形成されていることを特徴とする案内部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の案内部材において、
前記所定方向は直進方向であることを特徴とする案内部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の案内部材において、
前記案内レールは、互いに対向させて平行に並設された一対のレールを備え、
これらレールの互い対向する側面には、それぞれに前記案内軌道部が形成され、
前記スライダには、各案内軌道部に対応させて回転子が少なくとも一つずつ設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の案内部材において、
前記案内軌道部は、前記案内レールの両側面に形成され、
前記両側面のそれぞれに対応させて前記案内レールの両脇を挟むように、少なくとも一対の回転子が前記スライダに設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の案内部材において、
前記回転子は、回転中心軸によって前記回転中心回りに回転可能に支持され、
前記回転中心軸の両端部を支持する支持部材を介して前記回転子は前記スライダに設けられていることを特徴とする案内部材。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の案内部材において、
互いに対応する山部と谷部とは、前記回転子の回転中心軸方向に亘って当接していることを特徴とする案内部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−153069(P2006−153069A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341758(P2004−341758)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(390006585)株式会社三共製作所 (46)
【Fターム(参考)】
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