説明

梁勝ち接合部における柱梁接合構造

【課題】梁勝ち梁部材の端部に、殆どの接合金物を取り付けておくことで、建設現場では、簡易な作業によって品質良い梁勝ち接合部を形成できるようにする。
【解決手段】梁勝ち梁部材13を設置した後に、これの端部13aに取り付けた側面接合金物23に、横方向梁部材14,15の端面に形成した接合溝14a,15aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて横方向梁部材14,15を梁勝ち梁部材13の端部13aに接合固定し、端面接合金物25に、継足し梁部材16の端面に形成した接合溝16aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて継足し梁部材16を梁勝ち梁部材13の端部13aに接合し、柱接合棒状金物26の先端側部分26aに、柱部材11,12の端面に形成した嵌合孔11a,12aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて柱部材11,12を梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面に接合固定することで、柱梁接合構造10を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁勝ち接合部における柱梁接合構造に関し、特に梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から柱部材が垂直に立設して接合されていると共に、梁勝ち梁部材の端部から他の梁部材が延設して接合されている梁勝ち接合部における柱梁接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば木造住宅建築物等の木造の建物においては、建物の骨組構造を構成する柱部材と梁部材との接合部は、柱部材を分断することなく1本物として通して、これの側面に接合金物等を介して梁部材が接合される、柱勝ち接合部とするのが一般的であるが、近年、例えば片持ち張り出しバルコニーや、オーバーハング部を形成するための柱部材と梁部材との接合部として、梁部材を挟んだ上下で柱部材を分断して、梁部材の端部の上面及び/又は下面から柱部材を垂直に立設させた、梁勝ち接合部が採用される場合がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このような梁勝ち接合部における柱梁接合構造では、柱部材の端面から突出させた棒状の接合金物を、梁勝ち梁部材を貫通させて梁部材の上面に締着固定したり(特許文献1参照)、梁勝ち梁部材の内部に挿入配置して固定することで(特許文献2参照)、柱部材を梁勝ち梁部材に接合するようになっている。また、梁勝ち梁部材の側面や端面に、ボルト部材を用いて例えば略コの字断面形状を有するプレート状の接合金物を取り付けておき、この接合金物の張り出しプレート部に、他の梁部材の端面に形成された接合溝を嵌め込んでドリフトピンを用いて固定することで、当該他の梁部材を梁勝ち梁部材に接合するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−233495号公報
【特許文献2】特開2009−68293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の梁勝ち接合部における柱梁接合構造では、柱部材と梁勝ち梁部材との接合は、柱部材に予め取り付けられた柱側の金物と、梁勝ち梁部材に予め取り付けられた梁側の金物とを、建設現場において互いに接合固定する必要があるため、これらの接合金物に製作誤差や取付け誤差があると、建設現場でこれらの誤差を調整しながら柱部材と梁部材とを接合する作業に多くの手間を要することになる。
【0006】
特に、梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から柱部材が垂直に立設して接合されると共に、梁勝ち梁部材の端部の少なくとも一方の側面から横方向梁部材が垂直に延設して接合され、且つ梁勝ち梁部材の端部の端面から継足し梁部材が直線状に延設して接合される梁勝ち接合部においては、これらの部材を接合させるための接合金物を、多数用いる必要を生じて金物が錯綜することから、柱部材と梁部材とを接合する作業にさらに多くの手間を要することになる。
【0007】
したがって、柱部材と横方向梁部材と継足し梁部材とが接合される梁勝ち梁部材の端部に、予め工場等において殆どの接合金物を容易に且つ精度良く取り付けておくことを可能にし、建設現場では、例えば接合される柱部材や横方向梁部材や継足し梁部材部材を位置決めした後にドリフトピンを打ち込むだけの簡易な作業によって、多くの手間を要することなく梁勝ち接合部を形成することを可能にする、新規な柱梁接合構造の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、柱部材と横方向梁部材と継足し梁部材とが接合される梁勝ち梁部材の端部に、予め工場等において殆どの接合金物を容易に且つ精度良く取り付けておくことができ、建設現場では、設置した梁勝ち梁部材に対して柱部材や横方向梁部材や継足し梁部材部材を位置決めした後に、ドリフトピンを打ち込むだけの簡易な作業によって、多くの手間を要することなく、品質の良い梁勝ち接合部を効率良く形成することのできる梁勝ち接合部における柱梁接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から柱部材が垂直に立設して接合されており、梁勝ち梁部材の端部の少なくとも一方の側面から横方向梁部材が垂直に延設して接合されており、且つ梁勝ち梁部材の端部の端面から継足し梁部材が直線状に延設して接合されている、梁勝ち接合部における柱梁接合構造であって、前記梁勝ち梁部材の端部に形成された、当該端部を上下方向に貫通するパイプ嵌込み孔と、該パイプ嵌込み孔に埋め込まれた、ボルト挿入孔及びボルト螺着孔を周面に備えるジョイントパイプと、該ジョイントパイプの前記ボルト挿入孔に挿通された状態で前記梁勝ち梁部材の端部を横方向に貫通して設けられた長ボルト部材を用いて、前記梁勝ち梁部材の端部の側面に締着固定された側面接合金物と、前記ジョイントパイプの前記ボルト螺着孔に先端雄ネジ部が螺着されるボルト部材を用いて、前記梁勝ち梁部材の端部の端面に締着固定された端面接合金物と、前記ジョイントパイプの開口端面を介して前記ジョイントパイプに挿入装着されて、先端側部分が前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から突出した状態で固定された柱接合棒状金物とを含んで構成され、前記側面接合金物に、前記横方向梁部材の端面に形成された接合溝を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記横方向梁部材が前記梁勝ち梁部材の端部の側面に接合固定されており、前記端面接合金物に、前記継足し梁部材の端面に形成された接合溝を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記継足し梁部材が前記梁勝ち梁部材の端部の端面に接合固定されており、前記柱接合棒状金物の先端側部分に、前記柱部材の端面に形成された嵌合孔を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記柱部材が前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面に接合固定されている梁勝ち接合部における柱梁接合構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の梁勝ち接合部における柱梁接合構造は、前記柱接合棒状金物の前記ジョイントパイプに挿入装着された部分には、前記ジョイントパイプの前記ボルト挿入孔や前記ボルト螺着孔と合致する位置に、重ね合せボルト挿入孔が設けられており、前記側面接合金物や前記端面接合金物を前記梁勝ち梁部材の端部に接合固定する前記長ボルト部材や前記ボルト部材を用いて、前記柱接合棒状金物が前記ジョイントパイプに固定されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の梁勝ち接合部における柱梁接合構造は、前記ジョイントパイプが、前記開口端面を前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面と面一に配置した状態で、前記パイプ嵌込み孔に埋め込まれていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の梁勝ち接合部における柱梁接合構造は、前記側面接合金物及び前記端面接合金物が、略コの字断面形状を有するように加工されたプレート状の接合金物であることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の梁勝ち接合部における柱梁接合構造は、前記ボルト挿入孔と前記ボルト螺着孔とが、前記ジョイントパイプの軸方向の位置をずらして前記ジョイントパイプの周面に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の梁勝ち接合部における柱梁接合構造によれば、柱部材と横方向梁部材と継足し梁部材とが接合される梁勝ち梁部材の端部に、予め工場等において殆どの接合金物を容易に且つ精度良く取り付けておくことができ、建設現場では、設置した梁勝ち梁部材に対して柱部材や横方向梁部材や継足し梁部材部材を位置決めした後に、ドリフトピンを打ち込むだけの簡易な作業によって、多くの手間を要することなく、品質の良い梁勝ち接合部を効率良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る梁勝ち接合部における柱梁接合構造を説明する、柱部材を分解した状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る梁勝ち接合部における柱梁接合構造を説明する、各接合金物を透視した状態で示す斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る梁勝ち接合部における柱梁接合構造を説明する分解斜視図である。
【図4】梁勝ち梁部材の端部にジョイントパイプを取り付けるための構成を説明する分解斜視図である。
【図5】ジョイントパイプを介して梁勝ち梁部材の端部に柱接合棒状金物を取り付けるための構成を説明する、ジョイントパイプを透視した状態で示す分解斜視図である。
【図6】梁勝ち梁部材の端部に側面接合金物や端面接合金物を取り付けるための構成を説明する、ジョイントパイプを透視した状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2に示す本発明の好ましい一実施形態に係る梁勝ち接合部における柱梁接合構造10は、例えば木造住宅建築物において、例えば片持ち張り出しバルコニーや、オーバーハング部を設けるための、柱部材11,12と梁部材13,14,15,16との接合部として、梁勝ち梁部材13を挟んだ上下で柱部材11,12を分断して、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面から柱部材11,12を垂直に立設させると共に、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面から一対の横方向梁部材14,15を各々垂直横方向に延設させ、且つ梁勝ち梁部材13の端部13aの端面から継足し梁部材16を直線状に延設させることで構成される梁勝ち接合部20を、工場等において梁勝ち梁部材13に予め取り付けられた複数の接合金物19,23,25,26を介して、建設現場では多くの手間を要することなく、容易に且つスムーズに形成できるようにする接合構造として採用されたものである。
【0017】
すなわち、本実形態の梁勝ち接合部における柱梁接合構造10は、図3に示すように、ドリフトピン21を除く全ての接合金物19,23,25,26を、予め工場等において主梁部材13の端部13aに容易に且つ精度良く取り付けておき、建設現場では、設置した梁勝ち主梁部材13の端部13aに柱部材11,12や一対の横方向梁部材14,15や継足し梁部材16を位置決めした後に、ドリフトピン21を打ち込むだけの簡易な作業によって、品質の良い梁勝ち接合部20を効率良く形成できるようになっている。
【0018】
そして、本実施形態の梁勝ち接合部における柱梁接合構造10は、図1〜図3に示すように、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び/又は下面(本実施形態では、上面及び下面)から柱部材11,12が垂直に立設して接合されており、梁勝ち梁部材13の端部13aの少なくとも一方の側面(本実施形態では、両側の側面)から横方向梁部材14,15が垂直横方向に延設して接合されており、且つ梁勝ち梁部材13の端部13aの端面から継足し梁部材16が直線状に延設して接合されている、梁勝ち接合部20の接合構造であって、梁勝ち梁部材13の端部13aに形成された、当該端部13aを上下方向に貫通するパイプ嵌込み孔17と、このパイプ嵌込み孔17に埋め込まれた、ボルト挿入孔18a及びボルト螺着孔18b(図4参照)を周面に備えるジョイントパイプ19と、このジョイントパイプ19のボルト挿入孔18aに挿通された状態で梁勝ち梁部材13の端部13aを横方向に貫通して設けられた長ボルト部材22(図6参照)を用いて、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に各々締着固定された側面接合金物23(図3参照)と、ジョイントパイプ19のボルト螺着孔18bに先端雄ネジ部24aが螺着されるボルト部材24(図6参照)を用いて、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に締着固定された端面接合金物25(図3参照)と、ジョイントパイプ19の開口端面19aを介してジョイントパイプ19に挿入装着されて、先端側部分26aが梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び/又は下面(本実施形態では、上面及び下面)から突出した状態で固定された柱接合棒状金物26(図5参照)とを含んで構成される。
【0019】
本実施形態では、これらのジョイントパイプ19、一対の側面接合金物23、端面接合金物25、及び一対の柱接合棒状金物26が、長ボルト部材22やボルト部材24を用いて、建設現場に搬入される前に、予め工場等において梁勝ち梁部材13の端部13aに精度良く取り付けられている。
【0020】
本実施形態では、建設現場における作業によって、搬入した梁勝ち梁部材13を所定の箇所に設置した後に、これの端部13aに取り付けられた側面接合金物23に、横方向梁部材14,15の端面に形成された接合溝14a,15aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて横方向梁部材14,15が梁勝ち梁部材13の端部13aの側面に接合固定されており、端面接合金物25に、継足し梁部材16の端面に形成された接合溝16aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて継足し梁部材16が梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に接合固定されており、柱接合棒状金物26の先端側部分26aに、柱部材11,12の端面に形成された嵌合孔11a,12a(図3参照)を嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて上下の柱部材11,12が梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面に接合固定されていることで、柱梁接合構造10が形成されている。
【0021】
本実施形態では、柱梁接合構造10を構成する梁勝ち梁部材13は、図4にも示すように、例えば幅105mm程度、高さ240mm程度の大きさの縦長の矩形断面を有する木製の角材からなる。梁勝ち梁部材13の端部13aには、これの上下の面を貫通して、ジョイントパイプ19を埋め込むための、例えば34mm程度の内径の円形断面を有するパイプ嵌込み孔17が形成されている。
【0022】
また、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面には、当該側面からパイプ嵌込み孔17に向けて穿孔された、長ボルト部材22を挿通させるためのボルト挿通孔27が、縦方向に所定の間隔をおいて各々3箇所に開口形成されている(図4参照)。これらのボルト挿通孔27は、梁勝ち梁部材13の側面側の部分が拡径した2段構造を備えている。これらの側面側の拡径部分27aに、後述する側面接合金物23の当接プレート部23aから外側に突出して設けられた位置決め突部23c(図6)を装着することで、側面接合金物23を梁勝ち梁部材13の側面に安定した状態で位置決めさせて、側面接合金物23を、長ボルト部材22及びナット22aを用いて梁勝ち梁部材13の側面に強固に締着固定できるようになっている。なお、ボルト挿通孔27は、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に、各々1又は2箇所、或いは4箇所以上設けることもできる。
【0023】
さらに、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面には、当該端面からパイプ嵌込み孔17に向けて穿孔された、ボルト部材24を挿通させるためのボルト挿通孔28が、縦方向に所定の間隔をおいて3箇所に開口形成されている。これらのボルト挿通孔28は、梁勝ち梁部材13の側面のボルト挿通孔27と同様に、梁勝ち梁部材13の端面側の部分が拡径した2段構造を備えている。これらの端面側の拡径部分28aに、後述する端面接合金物25の当接面部25aから外側に突出して設けられた位置決め突部25cを装着することで、端面接合金物25を梁勝ち梁部材13の端面に安定した状態で位置決めさせて、端面接合金物25を、ボルト部材24を用いて梁勝ち梁部材13の端面に強固に締着固定できるようになっている。なお、ボルト挿通孔28は、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に、1又は2箇所、或いは4箇所以上設けることもできる。
【0024】
ここで、梁勝ち梁部材13の端部13aの側面に開口するボルト挿通孔27と、端面に開口するボルト挿通孔28とは、後述するジョイントパイプ19に設けられたボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bと対応させて、高さ方向の位置をずらした状態で開口形成されている。
【0025】
梁勝ち梁部材13の端部13のパイプ嵌込み孔17に埋め込まれるジョイントパイプ19は、図4及び図5に示すように、例えば金属材料からなる、両端が開口端面19aとして開口する中空円筒形状のパイプ部材である。ジョイントパイプ19は、梁勝ち梁部材13の高さと同様の長さを備えると共に、パイプ嵌込み孔17の内径と同様の外径を備えていて、パイプ嵌込み孔17にぴったりと嵌め込まれるようにして、上下の開口端面19aを梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面と面一に配置した状態で、パイプ嵌込み孔17に埋め込まれている。
【0026】
ジョイントパイプ19が、上下の開口端面19aを梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面と面一に配置した状態で、パイプ嵌込み孔17に埋め込まれていることで、ジョイントパイプ19のボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bを、梁部材13の端部13aのボルト挿通孔28,27の位置とぴったりと合わせ易くなると共に、上下の柱部材11,12に作用する水平力に効果的に抵抗することが可能になる。ジョイントパイプ19の上部の開口端面19aには、これの外周縁部から外側に突出して、食込み爪19bが複数箇所に設けられている。これらの食込み爪19bをパイプ嵌込み孔17の開口縁部に食い込ませることで、ジョイントパイプ19を、上下の開口端面19aを梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面と面一に配置した状態で、容易にパイプ嵌込み孔17に埋め込んで固定することが可能になる。なお、ジョイントパイプ19の上下の開口端面19aの双方が、梁勝ち梁部材13の端部13aと面一に配置されていなくても良く、例えば下方の開口端面19aは、梁勝ち梁部材13の端部13aの下面と面一になっていなくても良い。
【0027】
また、ジョイントパイプ19の周面には、これの径方向に対向する位置に開口形成された各一対のボルト挿入孔18aが、ジョイントパイプ19の軸方向に所定の間隔をおいて各々3箇所、合計6箇所に開口形成されている。さらに、ジョイントパイプ19の周面には、各一対のボルト挿入孔18aが対向する径方向から、周方向に90度離れた位置に開口形成されて、ボルト螺着孔18bが、ジョイントパイプ19の軸方向に所定の間隔をおいて3箇所に開口形成されている。なお、ボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bは、梁勝ち梁部材13の端部13aに設けられたボルト挿通孔27,28と同様に、上下方向に1又は2箇所、或いは4箇所以上設けることもできる。
【0028】
本実施形態では、これらのボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bは、ジョイントパイプ19における軸方向の位置をずらした状態で、ジョイントパイプ19の周面に形成されている。ボルト挿入孔18aとボルト螺着孔18bとが、ジョイントパイプ19における軸方向の位置をずらして形成されていることで、ボルト挿入孔18aに挿通される長ボルト部材22と、ボルト螺着孔18bに螺着されるボルト部材24とを、互いに干渉させることなく、梁勝ち梁部材13の端部13aに締着させることが可能になる。
【0029】
そして、ジョイントパイプ19は、各一対のボルト挿入孔18aを、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に各々3箇所づつ開口形成されたボルト挿通孔27aに合致させると共に、3箇所のボルト螺着孔18bを、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に開口形成された3箇所のボルト挿通孔28aに各々合致させた状態で、パイプ嵌込み孔17に埋め込まれる。埋め込まれたジョイントパイプ19には、上下の開口端面19aを介して、上下一対の柱接合棒状金物26が各々挿入装着される。
【0030】
柱接合棒状金物26は、例えば金属材料からなり、ジョイントパイプ19の内径と同様の外径を備えると共に、ジョイントパイプ19よりも長さの短い円筒形状のスリーブ部材である。柱接合棒状金物26は、ジョイントパイプ19の内部に挿入配置される挿入側部分26bと、挿入側部分26bとは反対側の先端側部分26aとからなり、先端側部分26aを、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面や下面から突出させて所定の高さで立設させた状態で、ジョイントパイプ19を介して梁勝ち梁部材13の端部13aに固定される。柱接合棒状金物26を、ジョイントパイプ19を介して固定して梁勝ち梁部材13の端部13aから所定の高さで立設させることにより、梁勝ち梁部材13の断面(梁せい)に左右されずに、同一寸法の柱接合棒状金物26を使用することが可能になる。なお、柱接合棒状金物26として、ジョイントパイプ19よりも長さの長いものを使用することもでき、これの両側の端部を、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面や下面から各々突出させることもできる。
【0031】
また、本実施形態では、柱接合棒状金物26のジョイントパイプ19に挿入装着される部分である挿入側部分26bには、ジョイントパイプ19のボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bと合致する位置に、重ね合せボルト挿入孔29a,29bが設けられている。側面接合金物23や端面接合金物25を梁勝ち梁部材13の端部13aに接合固定する長ボルト部材22やボルト部材24を用いて、側面接合金物23や端面接合金物25が梁勝ち梁部材13の端部13aの側面や端面に固定される際に、これと同時に、柱接合棒状金物26が、長ボルト部材22やボルト部材24を重ね合せボルト挿入孔29a,29bに挿入することによって、ジョイントパイプ19に取り付けれるようになっている。
【0032】
本実施形態では、ジョイントパイプ19の周面に形成されたボルト挿入孔18aやボルト螺着孔18bの位置と対応させて、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面側に取り付けられる柱接合棒状金物26の挿入側部分26bの周面には、径方向に対向する一対の第1重ね合せボルト挿入孔29a及び1箇所の第2重ね合せボルト挿入孔29bが開口形成されている。一方、梁勝ち梁部材13の端部13aの下面側に取り付けられる柱接合棒状金物26の挿入側部分26bの周面には、径方向に対向する一対の第1重ね合せボルト挿入孔29aが開口形成されている(図5参照)。なお、第1重ね合せボルト挿入孔29aや第2重ね合せボルト挿入孔29bは、柱接合棒状金物26に一対以上又は1箇所以上設けることもできる。
【0033】
さらに、本実施形態では、柱接合棒状金物26の、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面や下面から立設する部分である先端側部分26aには、当該先端側部分26aを介して上下の柱部材11,12を各々梁勝ち梁部材13の端部13aに接合する際に使用する、ドリフトピン21を貫通係止させるためのドリフトピン係合孔30が形成されている。
【0034】
梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に各々接合固定される側面接合金物23は、図2、図3、及び図6に示すように、金属製のプレート部材に折り曲げ加工等を施すことによって、略コの字断面形状を有するように加工形成されたプレート状の接合金物である。側面接合金物23は、略コの字断面形状の中間辺部による当接プレート部23aと、略コの字断面形状の一対の側辺部による張出しプレート部23bとからなる。当接プレート部23aには、上述のように、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に形成されたボルト挿通孔27の拡径部分27aに位置決め装着される位置決め突部23cが、外側に突出して、縦方向に所定の間隔をおいて3箇所に形成されている。これらの位置決め突部23cの中央部分には、ボルト締着孔23d(図6参照)が開口形成されており、側面接合金物23を梁勝ち梁部材13の側面に固定するための長ボルト部材22の頭部やナット22aは、必要に応じてワッシャー部材を介在させた状態で、これらの位置決め突部23cの中空内部において締着されるようになっている。なお、ボルト締着孔23dが開口形成された位置決め突部23cは、梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に形成されたボルト挿通孔27と同様に、各々1又は2箇所、或いは4箇所以上設けることもできる。
【0035】
また、側面接合金物23の、略コの字断面形状の一対の側辺部による張出しプレート部23bには、各々、当該側面接合金物23を介して両側の横方向梁部材14,15を梁勝ち梁部材13の側面に接合する際に使用する、ドリフトピン21を係止させるためのドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠き32が、複数箇所に形成されている。
【0036】
梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に接合固定される端面接合金物25は、側面接合金物23と同様に、金属製のプレート部材に折り曲げ加工等を施すことによって、略コの字断面形状を有するように加工形成されたプレート状の接合金物である。端面接合金物25は、略コの字断面形状の中間辺部による当接プレート部25aと、略コの字断面形状の一対の側辺部による張出しプレート部25bとからなる。当接プレート部25aには、上述のように、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に形成されたボルト挿通孔28の拡径部分28aに位置決め装着される位置決め突部25cが、外側に突出して、縦方向に所定の間隔をおいて3箇所に形成されている。これらの位置決め突部25cの中央部分には、ボルト締着孔25d(図6参照)が開口形成されており、端面接合金物25を梁勝ち梁部材13の端面に固定するためのボルト部材24の頭部は、必要に応じてワッシャー部材を介在させた状態で、これらの位置決め突部25cの中空内部において締着されるようになっている。なお、ボルト締着孔25dが開口形成された位置決め突部25cは、梁勝ち梁部材13の端部13aの端面に形成されたボルト挿通孔28と同様に、1又は2箇所、或いは4箇所以上設けることもできる。
【0037】
また、端面接合金物25の、略コの字断面形状の一対の側辺部による張出しプレート部25bには、各々、当該端面接合金物25を介して継足し梁部材16を梁勝ち梁部材13の端面に接合する際に使用する、ドリフトピン21を係止させるためのドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠き32が、複数箇所に形成されている。
【0038】
本実施形態では、柱梁接合構造10を構成する柱部材11,12は、図1〜図3に示すように、例えば縦横105mm程度の大きさの正方形断面を有する木製の角材からなる。梁勝ち梁部材13の端部13aの上面から垂直上方に立設して取り付けられる上方柱部材11には、これの下端面の中央部分に開口すると共に、軸方向に穿孔形成された嵌合孔11aが設けられている。嵌合孔11aは、梁勝ち梁部材13の端部13aの上面から突出する柱接合棒状金物26の先端側部分26aの外径と同様の内径を備えており、嵌合孔11aには、柱接合棒状金物26の先端側部分26aが、ぴったりと嵌め込まれるようにして装着される。上方柱部材11の下端部には、一対の対向する側面の間を貫通するようにして、嵌合孔11aに装着された際の柱接合棒状金物26の先端側部分26aに形成されたドリフトピン係合孔30と合致する位置に、柱側ドリフトピン係合孔33が穿孔形成されている。
【0039】
梁勝ち梁部材13の端部13aの下面から垂直下方に立設して取り付けられる下方柱部材12には、これの上端面の中央部分に開口すると共に、軸方向に穿孔形成された嵌合孔12aが設けられている。嵌合孔12aは、梁勝ち梁部材13の端部13aの下面から突出する柱接合棒状金物26の先端側部分26aの外径と同様の内径を備えており、嵌合孔12aには、柱接合棒状金物26の先端側部分26aが、ぴったりと嵌め込まれるようにして装着される。下方柱部材12の下端部には、一対の対向する側面の間を貫通するようにして、嵌合孔12aに装着された際の柱接合棒状金物26の先端側部分26aに形成されたドリフトピン係合孔30と合致する位置に、柱側ドリフトピン係合孔33が穿孔形成されている。
【0040】
本実施形態では、柱梁接合構造10を構成する左右一対の横方向梁部材14,15は、梁勝ち梁部材13と同様に、例えば幅105mm程度、高さ240mm程度の大きさの縦長の矩形断面を有する木製の角材からなる。これらの横方向梁部材14,15の、梁勝ち梁部材13の端部13aの側面と接合される端面には、各々、当該端面と垂直な方向に切り込まれた一対の平行な接合溝14a,15aを含む、略コの字断面形状の切欠き凹部14b,15bが形成されている。すなわち、切欠き凹部14b,15bは、横方向梁部材14,15の端面に沿って薄く切り欠かれた、略コの字断面形状の中間辺部による端面切欠き部14c,15cと、端面切欠き部14c,15cの両端部から横方向梁部材14,15の軸方向に向けて垂直に切り込まれた、略コの字断面形状の一対の側辺部による接合溝14a,15aとからなる。
【0041】
横方向梁部材14,15を、側面接合金物23を介して梁勝ち梁部材13の端部13aの両側の側面に各々接合固定する際に、梁勝ち梁部材13の側面に固定された側面接合金物23の一対の張出しプレート部23bは、横方向梁部材14,15の端面に形成された切欠き凹部14b,15bの一対の接合溝14a,15aに、各々ぴったりと嵌め込まれるようにして装着される。また側面接合金物23の当接プレート部23aは、切欠き凹部14b,15bの端面切欠き部14c,15cに納められた状態で取り付けられる。
【0042】
また、横方向梁部材14,15の、切欠き凹部14b,15bが形成された端面と近接する部分の側面には、両側の側面の間を貫通するようにして、接合溝14a,15aに装着された側面接合金物23の張出しプレート部23bに形成された複数のドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠32のうちの、選択された一部のドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠32と合致する位置に、梁側ドリフトピン係合孔34が穿孔形成されている。
【0043】
本実施形態では、柱梁接合構造10を構成する継足し梁部材16もまた、梁勝ち梁部材13と同様に、例えば幅105mm程度、高さ240mm程度の大きさの縦長の矩形断面を有する木製の角材からなる。継足し梁部材16の、梁勝ち梁部材13の端面と接合される端面には、当該端面と垂直な方向に切り込まれた一対の平行な接合溝16aを含む、略コの字断面形状の切欠き凹部16bが形成されている。すなわち、切欠き凹部16bは、継足し梁部材16の端面に沿って薄く切り欠かれた、略コの字断面形状の中間辺部による端面切欠き部16cと、端面切欠き部16cの両端部から継足し梁部材16の軸方向に向けて垂直に切り込まれた、略コの字断面形状の一対の側辺部による接合溝16aとからなる。
【0044】
継足し梁部材16を、端面接合金物25を介して梁勝ち梁部材13の端面に接合固定する際に、梁勝ち梁部材13の端面に固定された端面接合金物25の一対の張出しプレート部25bは、継足し梁部材16の端面に形成された切欠き凹部16bの一対の接合溝16aに、各々ぴったりと嵌め込まれるようにして装着される。また端面接合金物25の当接プレート部25aは、切欠き凹部16bの端面切欠き部16cに納められた状態で取り付けられる。
【0045】
また、継足し梁部材16の、切欠き凹部16bが形成された端面と近接する部分の側面には、両側の側面の間を貫通するようにして、接合溝16aに装着された端面接合金物25の張出しプレート部25bに形成された複数のドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠32のうちの、選択された一部のドリフトピン係合孔31やドリフトピン係合切欠32と合致する位置に、梁側ドリフトピン係合孔34が穿孔形成されている。
【0046】
そして、上述の構成を備える本実施形態の梁勝ち接合部における柱梁接合構造10によれば、ドリフトピン21を除く、接合金物としての側面接合金物23と、端面接合金物25と、柱接合棒状金物26とを、ジョイントパイプ19と長ボルト部材22やボルト部材24を用いて、予め工場等において、梁勝ち梁部材13の端部13aに、容易に且つ精度良く一体として取り付けておくことができる。
【0047】
すなわち、本実施形態では、図4〜図6に示すように、例えば梁勝ち梁部材13の端部13aのパイプ嵌込み孔17にジョイントパイプ19を埋め込んだ後に、ジョイントパイプ19に柱接合棒状金物26を挿入して位置決めすると共に、ボルト挿通孔27,28の拡径部分27a,28aや接合金物23,25の位置決め突部23c,25cを介して、側面接合金物23や端面接合金物25を梁勝ち梁部材13の端部13aに位置決めした状態で、長ボルト部材22やボルト部材24を、合致させたボルト挿入孔18a,29aやボルト螺着孔18b,29bやボルト挿通孔27,28に挿通して締着させることで、これらの接合金物23,25,26を、強固に且つ安定した状態で、梁勝ち梁部材13の端部13aに精度良く固定しておくことができる。
【0048】
一方、建設現場では、接合金物23,25,26が端部13aに予め精度良く取り付けらた状態で搬入された梁勝ち梁部材13を、所定の箇所に設置した後に、図1〜図3に示すように、端部13aの側面に取り付けられた側面接合金物23に、横方向梁部材14,15の端面に形成された接合溝14a,15aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて左右一対の横方向梁部材14,15を梁勝ち梁部材13の端部13aに接合固定すると共に、端部13aの端面に取り付けられた端面接合金物25に、継足し梁部材16の端面に形成された接合溝16aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて継足し梁部材16を梁勝ち梁部材13の端部13aに接合固定し、且つ上下一対の柱接合棒状金物26の先端側部分26aに、柱部材11,12の端面に形成された嵌合孔11a,12aを嵌め込んで、ドリフトピン21を用いて上下一対の柱部材11,12を梁勝ち梁部材13の端部13aの上面及び下面に接合固定するだけの簡易な作業によって、梁勝ち主梁部材13の端部13aに一対の柱部材11,12と一対の横方向梁部材14,15と継足し梁部材16とが一体として接合された、品質の良い梁勝ち接合部20を、効率良く形成することが可能になる。
【0049】
したがって、本実施形態の梁勝ち接合部における柱梁接合構造10によれば、柱部材11,12と横方向梁部材14,15と継足し梁部材16とが接合される梁勝ち梁部材13の端部13aに、予め工場等において殆どの接合金物23,25,26を容易に且つ精度良く取り付けておくことができ、建設現場では、設置した梁勝ち梁部材13に対して柱部材11,12や横方向梁部材14,15や継足し梁部材部材16を位置決めした後に、ドリフトピン21を打ち込むだけの簡易な作業によって、多くの手間を要することなく、品質の良い梁勝ち接合部20を効率良く形成することが可能になる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の対象となる梁勝ち接合部は、梁勝ち梁部材の端部の上面及び下面の双方から柱部材が立設するものである必要は必ずしも無く、上面又は下面の一方のみから柱部材が立設するものであっても良い。また、横方向梁部材は、梁勝ち梁部材の端部の両側の側面に接合されている必要は必ずしも無く、一方の側面に1本のみ接合されているものであっても良い。
【符号の説明】
【0051】
10 梁勝ち接合部における柱梁接合構造
11 上方柱部材
11a 嵌合孔
12 下方柱部材
12a 嵌合孔
13 梁勝ち梁部材
13a 端部
14,15 横方向梁部材
14a,15a 接合溝
16 継足し梁部材
17 パイプ嵌込み孔
18a ボルト挿入孔
18b ボルト螺着孔
19 ジョイントパイプ
20 梁勝ち接合部
21 ドリフトピン
22 長ボルト部材
23 側面接合金物
23b 張出しプレート部
24 ボルト部材
25 端面接合金物
25b 張出しプレート部
26 柱接合棒状金物
26a 先端側部分
26b 挿入側部分
27,28 ボルト挿通孔
29a 第1重ね合せボルト挿入孔
29b 第2重ね合せボルト挿入孔
30,31 ドリフトピン係合孔
32 ドリフトピン係合切欠
33 柱側ドリフトピン係合孔
34 梁側ドリフトピン係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から柱部材が垂直に立設して接合されており、梁勝ち梁部材の端部の少なくとも一方の側面から横方向梁部材が垂直に延設して接合されており、且つ梁勝ち梁部材の端部の端面から継足し梁部材が直線状に延設して接合されている、梁勝ち接合部における柱梁接合構造であって、
前記梁勝ち梁部材の端部に形成された、当該端部を上下方向に貫通するパイプ嵌込み孔と、該パイプ嵌込み孔に埋め込まれた、ボルト挿入孔及びボルト螺着孔を周面に備えるジョイントパイプと、該ジョイントパイプの前記ボルト挿入孔に挿通された状態で前記梁勝ち梁部材の端部を横方向に貫通して設けられた長ボルト部材を用いて、前記梁勝ち梁部材の端部の側面に締着固定された側面接合金物と、前記ジョイントパイプの前記ボルト螺着孔に先端雄ネジ部が螺着されるボルト部材を用いて、前記梁勝ち梁部材の端部の端面に締着固定された端面接合金物と、前記ジョイントパイプの開口端面を介して前記ジョイントパイプに挿入装着されて、先端側部分が前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面から突出した状態で固定された柱接合棒状金物とを含んで構成され、
前記側面接合金物に、前記横方向梁部材の端面に形成された接合溝を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記横方向梁部材が前記梁勝ち梁部材の端部の側面に接合固定されており、前記端面接合金物に、前記継足し梁部材の端面に形成された接合溝を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記継足し梁部材が前記梁勝ち梁部材の端部の端面に接合固定されており、前記柱接合棒状金物の先端側部分に、前記柱部材の端面に形成された嵌合孔を嵌め込んで、ドリフトピンを用いて前記柱部材が前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面に接合固定されている梁勝ち接合部における柱梁接合構造。
【請求項2】
前記柱接合棒状金物の前記ジョイントパイプに挿入装着された部分には、前記ジョイントパイプの前記ボルト挿入孔や前記ボルト螺着孔と合致する位置に、重ね合せボルト挿入孔が設けられており、前記側面接合金物や前記端面接合金物を前記梁勝ち梁部材の端部に接合固定する前記長ボルト部材や前記ボルト部材を用いて、前記柱接合棒状金物が前記ジョイントパイプに固定されている請求項1記載の梁勝ち接合部における柱梁接合構造。
【請求項3】
前記ジョイントパイプは、前記開口端面を前記梁勝ち梁部材の端部の上面及び/又は下面と面一に配置した状態で、前記パイプ嵌込み孔に埋め込まれている請求項1又は2記載の梁勝ち接合部における柱梁接合構造。
【請求項4】
前記側面接合金物及び前記端面接合金物が、略コの字断面形状を有するように加工されたプレート状の接合金物である請求項1〜3のいずれか1項記載の梁勝ち接合部における柱梁接合構造。
【請求項5】
前記ボルト挿入孔と前記ボルト螺着孔とが、前記ジョイントパイプの軸方向の位置をずらして前記ジョイントパイプの周面に形成されている請求項1〜4のいずれか1項記載の梁勝ち接合部における柱梁接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11134(P2013−11134A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145623(P2011−145623)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(398041764)株式会社カナイ (27)
【Fターム(参考)】