説明

梅エキス及びその製造方法と使用

【課題】本発明の目的は、梅エキスを提供することにある。
【解決手段】スクアレンを0.5−50wt%含有する梅エキス。前述の梅エキスは、主に梅非果実部の脂溶性有効画分及び/或いは水溶性有効画分に由来するものである。主には超臨界CO2流体或いは非極性有機溶媒で抽出して脂溶性有効画分を得、そしてアルコール−水溶液で抽出残分を抽出して水溶性有効画分を得る、前述の梅エキスの製造方法。前述の梅エキスを含有する医薬組成物及びその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物エキス分野に関し、より具体的には、梅の非果実部(花、枝、葉)から抽出される有効画分群及びその製造方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
梅はバラ科(Rosaceae)の植物で、学名はPrunus mume Sieb. Et Zuccであり、園芸学では、梅が花梅と実梅に分かれ、実梅が白梅と青梅と紅梅に分かれる。
【0003】
WO00/39249(PCT/JP99/07285)では、薬効を持つ梅エキス及びそれを含有する組成物が開示されており、5倍の体積のメタノールで梅の茎・葉部、梅の核及び梅花から製造されたエキスは、酸化防止作用、胃粘膜傷害抑制作用、アルドースリダクターゼ阻害作用、血糖値上昇抑制作用、血小板凝集促進作用、アルコール吸収抑制作用及び炎症抑制作用を有することが開示されている。係る梅エキスはアルコール抽出法或いは乾留法によって得られるもので、梅の茎・葉部のメタノール抽出物は五環トリテルペノイド系化合物、梅花のメタノール抽出物はケルセチン配糖体などのフラボン系物質を含有するが、抽出プロセスへの系統的な探究が少ないだけでなく、梅エキスの可能な有効成分に対する定量的データもなく、有効画分の特定及び製剤の基準化も勿論ない。こんなメタノール粗抽出物は分離・精製されていなく、不純物の含有量が高く、有効成分の含有量が低く、色が深く、製品の吸湿性が強く、保管が困難で、加工に対する適応性が劣る。それに、使用される梅の品種が明確ではなく、エキスを医薬分野に適用する場合、植物の由来を特定しないと、薬品の有効性、安全性、安定性という三つの基本要求を満たすことができない。
【0004】
したがって、本分野では、梅林の非果実部の大量廃棄物に着眼して、漢方薬の現代化的なプロセスや手段を採用し、有効画分群を分離・抽出し、基準化された製剤を開発し、梅林資源を十分に利用し、効率的に環境を保全することが切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第00/39249号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、梅エキスを提供することにある。
【0007】
本発明の第二の目的は、前述の梅エキスの製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第三の目的は、前述の梅エキスを含有する製品を提供することにある。
【0009】
本発明の第四の目的は、前述の梅エキスの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一は、スクアレンを抽出物の全重量に対して0.5−50wt%含有する梅エキスを提供する。
【0011】
もう一つの好ましい例において、前述のエキスは、梅の花、枝及び/或いは葉の脂溶性有効画分である。
【0012】
もう一つの好ましい例において、前述のエキスは、さらに梅の花、枝及び/或いは葉の水溶性有効画分を含有する。
【0013】
もう一つの好ましい例において、前述の脂溶性有効画分は、超臨界CO2流体抽出物或いは非極性/低極性有機溶媒抽出物である。
【0014】
もう一つの好ましい例において、前述の脂溶性有効画分は、さらに長鎖アルカン、ポリエン、VE、植物ステロール及びトリテルペノイド系化合物を含有する。
【0015】
前述の水溶性有効画分はアルコール−水抽出物であり、フラボン配糖体、トリテルペノイドサポニン及び有機酸を含有する。
【0016】
もう一つの好ましい例において、前述の水溶性有効画分は、有機酸を水溶性有効画分の全重量に対して0.5−10wt%含有する。
【0017】
もう一つの好ましい例において、前述の梅エキスは、下記の十種の化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する。
【0018】
【化1】

【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
もう一つの好ましい例において、前述の梅は、バラ科の梅であり、好ましくは青梅である。
【0025】
本発明の第二は、(i)超臨界CO2流体或いは非極性有機溶媒を用いて、花、枝及び/或いは葉を含む梅原料を抽出し、脂溶性有効画分を分離して、スクアレンを0.5−50wt%含有する梅エキスとする工程を含む、前述の梅エキスの製造方法を提供する。
【0026】
もう一つの好ましい例において、前述の梅は、バラ科の梅であり、好ましくは青梅である。
【0027】
もう一つの好ましい例において、前述の非極性/低極性有機溶媒は、n−ヘキサン、石油エーテル、クロロホルム、ジエチルエーテル、アセトン、6ソルベントナフサ或いはそれらの混合物である。
【0028】
もう一つの好ましい例において、該当方法はさらに、(ii)工程(i)で抽出された梅原料をアルコール−水溶媒で抽出し、フラボン配糖体、トリテルペノイドサポニン及び有機酸を含有する水溶性有効画分を得る工程を含む。
【0029】
もう一つの好ましい例において、前述のアルコール−水溶媒は、0−50v/v%のエタノール溶液やメタノール溶液である。
【0030】
もう一つの好ましい例において、前述の抽出方法は、熱還流抽出、マイクロ波支援抽出、超音波支援抽出或いはこれらの組合せである。
【0031】
もう一つの好ましい例において、この方法はさらに、メンブレン分離、カラムクロマトグラフィー或いはこれらの組合せから選ばれる精製方法によって水溶性有効画分を精製する工程(ii’)を含む。
【0032】
もう一つの好ましい例において、前述の抽出方法は超臨界CO2流体抽出であって、抽出圧力5−50MPa、抽出温度20−90℃、分離温度20−80℃、分離圧力2−10MPaという条件下で動的循環抽出を0.5−7時間行う方法であり、前述の非極性有機溶媒による抽出では、浸出温度10−70℃、浸出時間0.2−48時間、原料−溶液比W/V:1:3−30の浸漬法またはパーコレーション法が採用される。
【0033】
もう一つの好ましい例において、前述のアルコール−水溶媒による抽出温度は60−100℃で、抽出時間は0.1−5時間で、原料−溶液比W/V:1:3−30である。
【0034】
本発明の第三は、スクアレンを抽出物の全重量に対して0.5−50wt%含有する梅エキスを含有する組成物を提供する。
【0035】
もう一つの好ましい例において、前述のエキスは、梅の花、枝及び/或いは葉の脂溶性有効画分である。
【0036】
もう一つの好ましい例において、前述の梅は、バラ科の梅であり、好ましくは青梅である。
【0037】
もう一つの好ましい例において、前述の組成物は、さらに梅果実エキス、松花粉、竹フラボン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる追加の成分を含有する。
【0038】
もう一つの好ましい例において、前述の組成物は、薬物組成物、食品組成物や健康食品組成物、食品配合物組成物、サプリメント組成物、天然薬物原料組成物又は化粧品機能成分組成物を含む。
【0039】
もう一つの好ましい例において、前述の組成物は、
(i)カプセル、軟カプセル、粉剤、錠剤、顆粒剤、内用液、噴霧剤、クリーム剤、エマルジョン剤、水剤または軟膏と、
(ii)ドリンク又はワインと、
からなる群から選ばれるものである。
【0040】
本発明の第四は、抗ラジカル、酸化防止、抗菌、脱感、胃腸機能改善、血液酸性化防止、血液循環促進、疲労解消、ストレス解消、免疫機能増強、脂質代謝調節、体重降下、血圧降下、心・脳血管保護、癌予防、髪生長又は脱髪防止用組成物の製造に適用される、前述の梅エキスの使用を提供する。
【0041】
もう一つの好ましい例において、前述の組成物は、薬物組成物、食品組成物や健康食品組成物、食品配合物組成物、サプリメント組成物、天然薬物原料組成物又は化粧品機能成分組成物を含む。
【0042】
もう一つの好ましい例において、前述の組成物は、
(i)カプセル、軟カプセル、粉剤、錠剤、顆粒剤、内用液、噴霧剤、クリーム剤、エマルジョン剤、水剤または軟膏と、
(ii)ドリンク又はワインと、
からなる群から選ばれるものである。
【発明の効果】
【0043】
これにより、本発明は梅林非果実部から有効画分群を分離して抽出した。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、梅花脂溶性有効画分(超臨界CO2流体抽出物)のGC−MSスペクトルである。
【図2】図2は、梅枝脂溶性有効画分(超臨界CO2流体抽出物)のGC−MSスペクトルである。
【図3】図3は、梅葉脂溶性有効画分(超臨界CO2流体抽出物)のGC−MSスペクトルである。
【図4】図4は、梅花水溶性有効画分の赤外スペクトルである。臭化カリウム窓板で挟んで得られた赤外スペクトルは、該当抽出物が3404、2929、1606、1516、1403、1270、1078、868、818、780、612cm−1付近に特性吸収ピークを有することを示している。
【図5】図5は、梅枝水溶性有効画分の赤外スペクトルである。臭化カリウム窓板で挟んで得られた赤外スペクトルは、該当抽出物が3406、2926、1609、1519、1447、1394、1284、1070、611cm−1付近に特性吸収ピークを有することを示している。
【図6】図6は、梅葉水溶性有効画分の赤外スペクトルである。臭化カリウム窓板で挟んで得られた赤外スペクトルは、該当抽出物が3386、2932、1596、1516、1404、1314、1074、776、721、611、527cm−1付近に特性吸収ピークを有することを示している。
【図7】図7は、梅花水溶性有効画分の紫外スペクトルである。抽出物をスペクトル的に純粋なメタノールに溶解させて、190−700nmの波長範囲で走査した結果は、327nm強い吸收があり、290nmに2番目の強い吸收があることを示している。
【図8】図8は、梅枝水溶性有効画分の紫外スペクトルである。抽出物をスペクトル的に純粋なメタノールに溶解させて、190−700nmの波長範囲で走査した結果は、280nm強い吸收があり、320nmに2番目の強い吸收があることを示している。
【図9】図9は、梅葉水溶性有効画分の紫外スペクトルである。抽出物をスペクトル的に純粋なメタノールに溶解させて、190−700nmの波長範囲で走査した結果は、322nm強い吸收があり、285nmに2番目の強い吸收があることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0046】
発明者は幅広く深く研究したところ、意外なことに、梅エキス、特に梅の非果実部がスクアレンを大量に含有することを見出した。前述のスクアレンは、超臨界CO2抽出或いは非極性有機溶媒抽出によって得られる脂溶性有効画分に存在する。さらに、発明者は梅の非果実部をアルコール−水溶液で抽出して、水溶性有効画分を得た。見出されたこれらの有効画分は広範な生物学的な用途を持つ。
【0047】
本文に用いられるように、梅(Prunus mume Sieb. Et Zucc)はバラ科(Rosaceae)サクラ属の植物である。本発明に使用される梅は、白梅、青梅、紅梅を含み、好ましくは、蕭山大青梅のうちの“大葉青”(Prunus mume‘Da Ye Qing’)、“細葉青”(Prunus mume‘Xi Ye Qing’)、“紅豊”(Prunus mume‘Hong Feng’)と“紅頂”(Prunus mume‘Hong Ding’)から選ばれる青梅である。
【0048】
本発明により提供される梅エキスは、梅の全体に由来してもよいが、そのうちの非果実部に由来することが好ましい。前述の非果実部は、花、枝、幹、根又は葉を含み、なかでも、花、枝又は葉が好ましい。
【0049】
梅エキス
本発明により提供される梅エキスには、スクアレンをエキスに対して0.5−50%含有する(分子式I)。
【0050】
【化7】

【0051】
本発明により提供される梅エキスは、梅非果実部の有効画分群を含み、即ち脂溶性有効画分と水溶性有効画分の抽出物或いはそれらの混合物を含有する。前述の脂溶性有効画分は長鎖アルカン、ポリエン、VE植物ステロール及びトリテルペノイド系化合物を含有する。脂溶性有効画分の含有量は乾物基準(梅花、梅枝及び/或いは梅葉)で1−15%である。前述の水溶性有効画分はフラボン配糖体、トリテルペノイドサポニン及び有機酸を含有する。水溶性有効画分の含有量は乾物基準(梅花、梅枝及び/或いは梅葉)で1−20%である。水溶性有効画分におけるフラボン配糖体の含有量はルチンで5−70%である。
【0052】
本発明により提供される梅エキスの形態は特に限定されないが、例えば粉末状、クリーム状または液状(ペースト状も含む)であってもよい。
【0053】
スクアレンは、主に深海鮫の肝臓から抽出・生成して得られるものであって、炭素元素と水素元素を含む(C3050)油状液体であり、通常の動物油脂のように低温下で塊状に凝固することがなく、極めて低い温度でも凝固しない。多くの実験により、スクアレンは深海鮫の肝臓のみに含まれ、他の魚類の肝臓油脂にスクアレン成分は殆ど存在しないことが証明された。
【0054】
深海鮫は、太陽光が殆どなく、水温が2℃程度で、水圧が0.1トン/立方フートで、深さが500−1000メートルの海底で生存している。太陽光がないため、植物と浮遊生物の生存が困難である。植物による光合成がないため、酸素が非常に貧しい。深海鮫はこんな厳酷な環境で生存できるが、その頑強な生命力の由来はその巨大な肝臓に含まれるスクアレンにある。スクアレンは、細胞に大量の酸素を供給し、細胞の活性を回復させ、生体の自然治癒力を向上させることができる。
【0055】
スクアレンの効果は主に、
(1)血液循環を促進すること、つまり心臓病、高血圧、低血圧及び卒中などの血液循環障害による病変の予防・治療に寄与すること、
(2)生体内の機能細胞を活性化すること、つまり胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸炎、肝炎、肝硬変、肺炎などの機能細胞の酸素不足による病変の予防・治療に寄与し、全面的に体質を強化させ、加齢を緩和させ、免疫力を向上させ、疾病(癌も含む)に対する抵抗力を高めること、
(3)消炎・殺菌、つまり風邪、皮膚病、耳鼻咽喉炎などの細菌による疾病のに寄与すること、がある。外用して切創や熱傷などに治療に使用してもよい。外用の場合は、針でカプセルを破って直接に塗る。
【0056】
スクアレンを入手するには、深海鮫を大量に狩ることが必要となり、こんなことは困難だけでなく、海洋の生態系を破壊してしまう。本発明は、はじめてバラ科サクラ属の梅の非果実部から大量のスクアレンを得て、植物由来スクアレンの新規な源を提供する。梅は中国の伝統的な栽培植物であり、悠久な歴史を有し、今は大量に栽培されている。しかしながら、従来では、梅の非果実部はまだ有効に開発・利用されていなく、その大部分が捨てられるので、資源が大きく浪費されるだけでなく、環境にも悪影響が与えられる。本発明は、梅非果実部から優れた生物学的効果を持つスクアレンを抽出し、上記問題を有効に解決できる。
【0057】
梅エキスの製造方法
本発明により提供される梅エキスは、梅の全体に由来してもよいが、そのうちの非果実部に由来することが好ましい。前述の非果実部は、花、枝、幹、根又は葉を含む。梅花は、主に着果していない花であり、人工的に採取してから、晒す、炒めるまたはベークすることで乾燥した後、使用に備える。梅枝は、春に枝抜きされた栄養枝や秋に剪定された枝であってもよく、梅樹が伐採された後の枝であってもよいが、晒して乾燥し、切断、粉砕した後、使用に備える。梅葉は通常、夏と秋に二回収集し、晒して乾燥した後、使用に備える。梅幹、梅根は伐採された後の梅樹に由来するものである。
【0058】
本発明に採用される梅原料は前処理されてもよく、前処理されなくても良い。好ましい原料は含水量が10%以下である10−20メッシュの欠片である。
【0059】
本発明により提供されるスクアレンを0.5−50%含有する梅エキスは、超臨界CO2流体または非極性有機溶媒で抽出することにより得られる。超臨界CO2流体または非極性有機溶媒で抽出することにより、梅エキスにおける他の脂溶性有効画分も得られる。
【0060】
好ましい例において、超臨界抽出は、抽出圧力5−50MPa、抽出温度20−90℃、分離温度20−80℃、分離圧力2−10MPaの抽出条件で動的循環抽出を0.5−7時間行い、好ましくは、抽出圧力15−35MPa、抽出温度40−70℃、分離温度40−60℃、分離圧力4−8MPaの抽出条件で動的循環抽出を1−5時間行う。超臨界CO2流体抽出では、エントレーナーを使用してもよく、使用しなくてもよい。
【0061】
本分野でよく知られる非極性/低極性有機溶媒、好ましくはn−ヘキサン、石油エーテル、クロロホルム、ジエチルエーテル、アセトン、6ソルベントナフサ或いはそれらの混合物を使用してもよく、本分野における通常方法、好ましくは抽出温度10−70℃、抽出時間0.2−48時間、原料−溶液比W/V:1:3−30の浸漬法またはパーコレーション法、より好ましくは抽出温度20−50℃、抽出時間0.5−36時間、原料−溶液比1:5−20(W/V)の浸漬法またはパーコレーション法を適用してもよい。
【0062】
本発明により提供される梅エキスにおける水溶性有効画分は、アルコール−水溶液で抽出することにより得られる。好ましい例において、梅原料を超臨界CO2で抽出したまたは極性有機溶媒で浸出したものから溶媒を揮発させ、アルコール−水溶液で浸出する。前述のアルコール−水溶液は体積比で0−50%のアルコール溶液であり、エタノールやメタノールのような本分野で常用なアルコールを使用してもよく、エタノールを使用することが好ましい。前述の抽出方法は、熱還流抽出、マイクロ波支援抽出、超音波支援抽出或いはこれらの組合せである。
【0063】
もう一つの好ましい例において、マイクロ波支援抽出のプロセスパラメータは、マイクロ波放射電力100−6000W、放射時間2分間−5時間、原料−溶液比1:3−30(W/V)であり、好ましくはマイクロ波放射電力200−4000W、放射時間5分間−2時間、原料−溶液比1:5−20(W/V)である。
【0064】
もう一つの好ましい例において、超音波支援抽出は、原料−溶液比1:3−30(W/V)、超音波電力50−800W、超音波作用時間0.2−5時間であり、好ましくは原料−溶液比1:5−20(W/V)、超音波電力100−500W、超音波作用時間0.5−3時間である。
【0065】
もう一つの好ましい例において、アルコール−水溶液で抽出して得られる水溶性有効画分は、他の高速分離手段を併用してさらに精製してもよい。本分野における通常方法、好ましくはメンブレン分離或いはカラムクロマトグラフィーを適用して、さらに分離・精製してもよい。
【0066】
もう一つの好ましい例において、メンブレン分離では、渦巻型限外濾過膜システムが採用され、操作圧力が0.3−3MPaで、操作温度が10−70℃であり、好ましくは、渦巻型限外濾過膜システムが採用され、操作圧力が0.6−1MPaで、操作温度が20−50℃である。
【0067】
前述の花、枝及び/或いは葉の脂溶性有効画分と水溶性有効画分を合併して均一に混合し、梅花、梅枝及び/或いは梅葉の有効画分群を得てもよい。
【0068】
組成物
本発明により提供される組成物は、梅エキス成分を主成分または有効成分とする。前述の梅エキスは、梅非果実部脂溶性有効画分、梅非果実部水溶性有効画分、梅非果実部アルコール抽出物、梅非果実部水抽出物、梅果実部抽出物或いはそれらの混合物を含んでもよい。梅非果実部の脂溶性有効画分、水溶性有効画分及び梅果実部抽出物を含むことが好ましく、梅非果実部の脂溶性有効画分と水溶性有効画分を含むことがより好ましい。
【0069】
組成物における前述の梅エキスは下記の十種の化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する。
【0070】
【化8】

【0071】
【化9】

【0072】
【化10】

【0073】
【化11】

【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

【0076】
本発明に係る組成物は、さらに松花粉、竹フラボン或いはそれらの混合物のような、他の人体に必要な成分または人体に有益な成分を含有する。
【0077】
本発明において、各種な組成物は、活性成分と、「薬学的に許容される」または「食品学的に許容される」成分と、を混合するのような本分野でよく知られる方法によって調製されてもよい。「薬学的に許容される」または「食品学的に許容される」成分とは、ヒト及び/或いは動物に投与しても過剰な副反応(例えば毒性、刺激やアレルギー反応)がなく、即ち合理的な利益−リスク比を持つ物質である。
【0078】
「薬学的に許容される担体」とは、治療剤の投与に用いられる担体を指し、各種の賦形剤と希釈剤を含む。該当用語は、それ自身が必要な活性成分ではなく、且つ投与された後過剰な毒性がない薬剤担体を指す。「レミントンの医薬科学」(Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Pub. Co.,N.J. 1991年)において、薬学的に允許される賦形剤に関する十分な検討が見つけられる。組成物における薬学的に許容される担体は、水、食塩水、グリセリンとエタノールのような液体を含んでもよい。さらに、これらの担体には、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、沸騰剤、湿潤剤または乳化剤、矯味剤、pH緩衝物質などの補助的な物質が存在してもよい。
【0079】
本発明のもう一つの好ましい形態において、前述の食品学的に許容される担体または賦形剤は、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、沸騰剤、矯味剤、コーティング材、食用製品または緩慢放出/制御放出剤からなる群から選ばれるものである。
【0080】
本発明に係る組成物の剤形は特に限定されず、哺乳動物に投与できる剤形であればなんでもよく、好ましくは、カプセル、軟カプセル、粉剤、錠剤、顆粒剤、内用液、噴霧剤、クリーム剤、乳剤、水剤、軟膏などからなる群から選ばれるものであってもよい。
【0081】
本発明に係る組成物は、薬物組成物、食品組成物、健康食品組成物、食品配合物組成物、サプリメント組成物、天然薬物原料組成物又は化粧品機能成分組成物を含むが、健康ドリンク、ワインなどであってもよい。これらは梅エキスを含有するもの或いは実質的に梅エキスからなるものであればよい。
【0082】
梅エキスの用途
本発明により提供される梅エキスは、抗ラジカル、酸化防止、抗菌、脱感、胃腸機能改善、血液酸性化防止、血液循環促進、疲労解消、ストレス解消、免疫機能増強、脂質代謝調節、体重降下、血圧降下、心・脳血管保護、癌予防、髪生長又は脱髪防止効果を効率的に発揮することができる。したがって、本発明は、必要な被験者に有効量の前述梅エキスを投与することで、前述の疾病を予防・改善する方法も提供する。
【0083】
投与時、使用される梅エキスの有効投与量は投与形態及び治療しようとする疾病の重篤度によって変化する。具体的な情況は被験者の個体情況によって決定されることは、熟練医師が判断できる範囲に含まれる。
【0084】
本文に用いられるように、用語の「有効量」とは、ヒト及び/或いは動物に機能または活性を生じ、且つヒト及び/或いは動物に許容される量を指す。
【0085】
本発明の主な利点は、
1.梅、特に梅の非果実部から大量のスクアレンを抽出した。
【0086】
2.効率的な抽出プロセスを構築し、梅非果実部の有効画分群及びそれに関する製剤の基準化を特定することができる。
【0087】
3.薬品の有効性、安全性、安定性という三つの基本要求を満たすことが確保できる。
【0088】
4.従来捨てられる梅非果実部を十分に利用し、資源の浪費を低減し、環境保全に寄与する。
【0089】
5.梅資源の利用率を向上させ、梅林の経済的便益を向上させ、農民の収入増加に寄与する。
【0090】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いるものだけで、発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例に特に具体的な条件を説明しない実験方法は通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われる。特に説明しない限り、すべての%と部は重量基準である。
【0091】
別途に定義しない限り、文中に使用されるすべての専門・科学用語は、本分野の熟練者によく知られる意味と同じである。また、記載される内容に類似或は同等の方法及び材料はいずれも本発明の方法に使用することができる。文中に記載の好ましい実施形態及び材料は列挙だけのためである。
【0092】
測定方法
一.GC−MS分析方法
検出設備:6890−5973ガスクロマトグラフィー質量分析系(米国アジレント社から購入)。
【0093】
クロマトグラフィー条件:HP5−MSクロマトグラフィーカラム(5%フェニルメチルシロキサン、30m×250μm×0.25μm)、試様導入量1μL、試様導入口温度270℃、プログラム昇温方式、カラム温度を80℃に3min保持してから10℃/minで80℃から270℃まで昇温、ヘリウムガス流速1.0mL/min。
【0094】
質量分析条件:EIイオン源、源温度230℃、電子エネルギー70eV、増倍管電圧1376eV、質量分析計接続口温度280℃、走査範囲50.0〜600.0m/z。
【0095】
二.全フラボンの測定方法(硝酸アルミニウム−亜硝酸ナトリウム比色法、ルチンによる計算)
本方法は王亜光が編集の「健康食品機能成分検出方法」(中国軽工業出版社、2002、pp29−31)に参照する。
【0096】
所定量のサンプルまたは基準品(ルチン)を精密に秤量し、30%エタノール溶液で溶解させて定容し、且つ適宜な濃度まで希釈して全体積を記録する。所定の体積の被測定液を取り、5%亜硝酸ナトリウム溶液0.3mLを加え、振とうした後5min放置し、10%硝酸アルミニウム溶液0.3mLを加え、振とうした後6min放置し、1.0mol/L水酸化ナトリウム2mLを加え、30%エタノールで目盛りまで定容し、ブランク管をブランクとして、均一に振とうした後、1cmの比色皿を用いて波長510nmにおける吸光度を測定し、吸光度を縦座標、濃度を横座標として検量線を作成し、サンプルにおける全フラボンの含有量を算出する。
【0097】
全フラボン含有量(%)=(m1×V2)/(m×V1×10)×100
式中:m1――検量線から算出した被測定液におけるフラボンの全含有量(μg);
m2――被検品の採取量(g);
V1――被測定液の分取体積(mL);
V2――被測定液の全体積(mL)。
【0098】
三.全トリテルペノイドの測定方法
所定量のサンプルまたは基準品(ジンセノサイドRe)を精密に秤量し、ジクロロメタンで溶解させて定容し、それぞれ10mL栓つき試験管に入れ、溶媒を揮発させ、5%バニリンの氷酢酸溶液0.2mL及び過塩素酸0.8mLを加え、(60±1)℃の水浴に置き、15min加熱した後直ちに取り出し、氷水で冷却し、氷酢酸5mLを加え、均一に振とうする。分光光度法に従って、波長560nmにおける吸光度を測定し、吸光度を縦座標、濃度を横座標として検量線を作成し、サンプルにおける全フラボンの含有量を算出する。
トリテルペノイドサポニン含有量(%)=(m1×V2)/(m×V1×10)×100
式中:m1――検量線から算出した被測定液におけるトリテルペノイドサポニンの全含有量(μg);
m2――被検品の採取量(g);
V1――被測定液の分取体積(mL);
V2――被測定液の全体積(mL)。
【0099】
四.全酸の滴定方法
適量のサンプルを取り、少量の二酸化炭素フリーの蒸留水を加え、サンプルを250mL定容瓶に溶解させ、75−80℃の水浴で0.5時間加熱して、冷却し、定容し、乾燥したろ紙でろ過し、最初の液を捨て、ろ過液を収集して使用に備える。調製したろ過液50mLを正確に取り、フェノールフタレイン指示薬を2−3滴加え、0.1mol/L基準アルカリ液を用いて微紅色になって30秒で褪色しない状態まで滴定し、使用量を記録するとともに、ブランク実験を行う。下記式でサンプルの酸含有量を算出する。
【0100】
全酸度(%)=C×(V1−V2)×K×V3×100/(m×V4)
式中:C――基準水酸化ナトリウム溶液の濃度mol/L;
V1――滴定で消耗される基準アルカリ液の体積mL;
V2――ブランクが消耗される基準アルカリ液の体積mL;
V3――サンプル希釈液の全体積mL;
V4――滴定時に取られるサンプル液の体積mL;
M――サンプルの質量または体積(gまたはmL)
K=0.064
五.有機酸によるHPLC測定方法
設備条件:Waters 2695高速液体クロマトグラフィー、Waters 2996ダイオードアレイ検出器及びC18クロマトグラフィーカラム;
クロマトグラフィー条件:移動相は3%メタノールと0.01mol/LKHPO水溶液(pH値=2.85)、流速1mL/min、カラム温度30℃、検出波長210nm、試様導入量20μL;
前処理方法:青梅の花、枝、葉のエキス粉末をそれぞれ2g取って超純水50mLに溶解させ、ろ過してローディングし、サンプルにおける酒石酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、蓚酸、フマル酸及びクロロゲン酸の含有量を測定する。
【実施例】
【0101】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0102】
[実施例1]
梅花抽出物
蕭山大青梅の大葉青(Prunus mume‘Da Ye Qing’)の花を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取り、CO2超臨界抽出用クレーブに入れて抽出した。
【0103】
抽出圧力35MPa、抽出温度60℃、分離温度40℃、分離圧力4MPaの抽出条件で動的循環抽出を2時間行い、分離用クレーブ中で梅花の脂溶性抽出物を72g得た(Dietmate(登録商標)(杭州尤美特科技株式会社の商標)-F01)。
【0104】
GC−MS分析により、この抽出物には主に長鎖アルカン、ポリエン、V、植物ステロール及びトリテルペノイド系化合物が含まれ、そのうちの特性化合物であるスクアレン(トリアコンタヘキサエン)は、脂溶性有効画分における含有量が質量分数で1.04%であった。結果は表1及び図1に示す。
【0105】
抽出用クレーブから抽出残分を取り出し、30%エタノール−水溶液で熱還流抽出を行った。
【0106】
温度80℃、原料−溶液比1:10(W/V)の抽出条件で熱還流抽出を2時間行い、梅花の水溶性抽出物を114g得た(Dietmate(登録商標)-F02)。
【0107】
分析により、全フラボン含有量は18.84%、全トリテルペノイドサポニン含有量は7.08%、全酸は5.64%であった。結果は表2に示す。
【0108】
赤外スペクトルにより、この抽出物は図4に示すように、3404、2929、1606、1516、1403、1270、1078、868、818、780、612cm−1付近に特性吸収ピークを有した。紫外スペクトルにより、この抽出物は図7に示すように、327nmに強い吸收を示し、290nmに2番目の強い吸收を示した。
【0109】
F01とF02を合併して、梅花の有効画分群を得た(Dietmate(登録商標)-F0)。
【0110】
[実施例2]
梅枝抽出物
蕭山大青梅の細葉青(Prunus mume‘Xi Ye Qing’)の枝を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取り、超臨界抽出用クレーブに入れて抽出した。
【0111】
抽出圧力30MPa、抽出温度55℃、分離温度45℃、分離圧力4MPaの抽出条件で動的循環抽出を2時間行い、梅枝の脂溶性抽出物を64.5g得た(Dietmate(登録商標)-B01)。
【0112】
GC−MS分析により、この抽出物には主に長鎖アルカン、ポリエン、V、植物ステロール及びトリテルペノイド系化合物が含まれ、そのうちの特性化合物であるスクアレン(トリアコンタヘキサエン)は、脂溶性有効画分における含有量が質量分数で4.87%であった。結果は表1及び図2に示す。
【0113】
抽出用クレーブから抽出残分を取り出し、30%エタノール−水溶液で熱還流抽出を行った。
【0114】
温度80℃、原料−溶液比1:15(W/V)の抽出条件で還流抽出を2時間行い、梅枝の水溶性抽出物を24g得た(Dietmate(登録商標)、B02)。
【0115】
分析により、全フラボン含有量は40.59%、全トリテルペノイドサポニン含有量は19.07%、全酸は3.70%であった。結果は表2に示す。
【0116】
赤外スペクトルにより、この抽出物は図5に示すように、3406、2926、1609、1519、1447、1394、1284、1070、611cm−1付近に特性吸収ピークを有した。紫外スペクトルにより、この抽出物は図8に示すように、280nmに強い吸收を示し、320nmに2番目の強い吸收を示した。
【0117】
B01とB02を合併して、梅枝の有効画分群を得た(Dietmate(登録商標)-B0)。
【0118】
[実施例3]
梅葉抽出物
蕭山大青梅の品種である紅頂(Prunus mume ‘Hong Ding’)の葉を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取り、超臨界抽出用クレーブに入れて抽出した。
【0119】
抽出圧力35MPa、抽出温度55℃、分離温度40℃、分離圧力6MPaの抽出条件で動的循環抽出を2時間行い、梅葉の脂溶性抽出物を97.5g得た(Dietmate(登録商標)-L01)。
【0120】
GC−MS分析により、この抽出物には主に長鎖アルカン、ポリエン、V、植物ステロール及びトリテルペノイド系化合物が含まれ、そのうちの特性化合物であるスクアレン(トリアコンタヘキサエン)は、脂溶性有効画分における含有量が質量分数で44.15%であった。結果は表1及び図3に示す。
【0121】
抽出用クレーブから抽出残分を取り出し、30%エタノール−水溶液で熱還流抽出を行った。
【0122】
温度70℃、原料−溶液比1:12(W/V)の抽出条件で抽出を3時間行い、梅葉の水溶性抽出物を168g得た(Dietmate(登録商標)-L02)。
【0123】
分析により、全フラボン含有量は30.46%、全トリテルペノイドサポニン含有量は4.93%、全酸は5.96%であった。結果は表2に示す。
【0124】
赤外スペクトルにより、この抽出物は図6に示すように、3386、2932、1596、1516、1404、1314、1074、776、721、611、527cm−1付近に特性吸収ピークを有した。紫外スペクトルにより、この抽出物は図9に示すように、322nmに強い吸收を示し、285nmに2番目の強い吸收を示した。
【0125】
L01とL02を合併して、梅葉の有効画分群を得た(Dietmate(登録商標)-L0)。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
[実施例4]
梅花抽出物
蕭山大青梅の品種である紅豊(Prunus mume ‘Hong Feng’)の花を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取って抽出タンクに入れ、n−へキサンを加えて浸出を行った。
【0130】
温度25℃、原料−溶液比1:10(W/V)の浸出条件で浸出を4時間行って、抽出液が得られた後、n−へキサンを回収し、梅花脂溶性抽出物を85g得た(Dietmate(登録商標)-F11)。
【0131】
梅花残渣から溶媒を揮発させた後、純水を加え、マイクロ波支援抽出を適用した。
【0132】
マイクロ波放射電力2000W、放射時間30min、原料−溶液比1:12(W/V)の条件で抽出し、抽出液を濃縮、乾燥して、梅花水溶性抽出物を102g得た(Dietmate(登録商標)-F12)。
【0133】
F11とF12を合併して、Dietmate(登録商標)-F1を得た。
【0134】
[実施例5]
梅枝抽出物
蕭山大青梅の品種である大葉青(Prunus mume‘Da Ye Qing’)の枝を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取って抽出タンクに入れ、石油エーテルを加えて浸出を行った。
【0135】
温度20℃、原料−溶液比1:15(W/V)の浸出条件で浸出を3時間行って、抽出液が得られた後、石油エーテルを回収し、梅枝脂溶性抽出物を65g得た(Dietmate(登録商標)-B11)。
【0136】
梅枝残渣から溶媒を揮発させた後、50%エタノールで熱還流抽出を行った。
【0137】
原料−溶液比1:13(W/V)、温度80℃の条件で抽出を2時間行って、抽出液をメンブレン分離、濃縮、マイクロ波真空乾燥して、梅枝水溶性抽出物を20.7g得た(Dietmate(登録商標)-B12)。
【0138】
B11とB12を合併して、Dietmate(登録商標)-B1を得た。
【0139】
[実施例6]
梅葉抽出物
蕭山大青梅の品種である細葉青(Prunus mume‘Xi Ye Qing’)の葉を採取、乾燥して、10メッシュ程度の粗粉末に粉砕し、1.5kgを取って抽出タンクに入れ、ジエチルエーテルを加えて浸出を行った。
【0140】
温度20℃、原料−溶液比1:16(W/V)の浸出条件で浸出を1.5時間行って、抽出液が得られた後、ジエチルエーテルを回収し、梅葉脂溶性抽出物を102.6g得た(Dietmate(登録商標)-L11)。
【0141】
梅葉残渣から溶媒を揮発させた後、純水超音波支援抽出を適用した。
【0142】
原料−溶液比1:10(W/V)、超音波電力500W、超音波作用時間1時間の条件で抽出し、抽出液をろ過、マクロポア樹脂吸着解析、濃縮、噴霧乾燥して、梅葉水溶性抽出物を178.4g得た(Dietmate(登録商標)-L12)。
【0143】
L11とL12を合併して、Dietmate(登録商標)-L1を得た。
【0144】
[実施例7]
上記実施例1、2及び3で製造されたDietmate(登録商標)-F02、B02及びL02のラジカル(DPPH・、・OHとO・2-)消去活性について測定した。
方法は以下の通りであった。
【0145】
(1)DPPHラジカルに対する消去作用
正確にDPPH 20mgを秤量し、無水エタノールで250mL定容瓶に定容し、濃度が2×10−4mol/LのDPPH溶液を得た。DPPH溶液の517nm波長における特性吸収ピークを利用して、721紫外・可視分光光度計を用いて、試料(梅エキスシリーズ)及びその対照品(竹葉抗酸化物)が加えられた後のA517の降下値を測定し、それらのDPPHラジカルに対する消去能の強さを示した。反応の全体積を3mLとし、表4に示すようにサンプルを導入し、均一に混合した後30mins反応させ、517nm波長における吸光値の変化を測定した。下記式に従って抗酸化物質のDPPH・に対する抑制率を算出した。
【0146】
抑制率(%)=1−[DPPH・]/ [DPPH・]t=0×100
式中:[DPPH・]t=0-零時点での反応系におけるジフェニルピクリルヒドラジルラジカルの開始濃度。
【0147】
[DPPH・]-t時点での反応系におけるジフェニルピクリルヒドラジルラジカルの開始濃度。
【0148】
結果は表4に示す。
【0149】
結果から、青梅枝抽出物は、竹葉抗酸化物よりも強いDPPH・消去能を有し、そのIC50(抑制率が50%になる時点の試料濃度)が19.18 μg/mLであった。
【0150】
(2)ヒドロキシラジカルに対する消去作用
Vc-Cu2+-H2O2-酵母多糖系にて・OHを生じ、それぞれ異なる濃度のサンプル0と1で抑制し、化学発光法により測定し、6秒ごとに発光強度積分(CP6s)を記録した。ブランクは、サンプルの代わりに0.05 mol/L pH7.8のPBSを使用した。試料が発光強度に対する抑制率により、その・OH消去能を示した。抑制率(I)の算出方法は以下の通りであった。
【0151】
抑制率(%)=(CP6sブランク−CP6sサンプル)×100/CP6sブランク
抑制率が50%になる時点の試料濃度を半抑制濃度とし、IC50と記載した。その値は小さいほど、その抗酸化能が強いことを意味する。試料濃度と抑制率の間の一次反応線形回帰方程式からIC50を求め、試料と対照の・OH消去能の強さを比較した。
【0152】
結果は表4に示す。
【0153】
(3)スーパーオキシドアニオンラジカルに対する消去作用
ピロガロール−ルミノール発光系にてO・2-を生じ、それぞれ異なる濃度のサンプル0と1で抑制し、化学発光法により測定し、36秒ごとに発光強度積分(CP36s)を記録した。ブランクは、サンプルの代わりに0.05 mol/L pH7.8のPBSを使用した。試料が発光強度に対する抑制率により、そのO・2-消去能を示した。抑制率(I)の算出方法は・OH消去能の測定と同様であった。試料濃度と抑制率の間の一次反応線形回帰方程式からIC50を求め、試料と対照のO・2-消去能の強さを比較した。
結果は表4に示す。
【0154】
(4)総抗酸化能の測定
生体内では多くの抗酸化物質があり、これらはFe3+をFe2+に還元することができ、後者がフェナントロリン系物質と強固な錯体を形成することができ、比色によっては、それらの抗酸化能の強さを測定できる。南京建成生物工学研究所により市販される血清(漿)中総抗酸化能の測定キットを用いて、青梅枝抽出物の血清における総抗酸化能を検出した。
【0155】
結果は表5に示す。
【0156】
【表4】

【0157】
【表5】

【0158】
結果から明らかなように、Dietmate(登録商標)-F02、Dietmate(登録商標)-B02及びDietmate(登録商標)-L02は比較的に良好なDPPH/・OH/O・2-消去能を有し、ブランク対照に比べて、Dietmate(登録商標)-F02、Dietmate(登録商標)-B02及びDietmate(登録商標)-L02はいずれも血清の総抗酸化能を顕著に向上させることができる(p<0.05)。
【0159】
[実施例8]
上記実施例1、2及び3で製造されたDietmate(登録商標)-F02及びL02のヒト単離毛包成長に対する促進作用について測定した。
【0160】
方法は以下の通りであった。
【0161】
マイクロダイセクション法でヒト単離毛包を分離し、48ウェルプレートにウェルにつき1−2個の単離毛包を接種し、群ごとに8つの重複ウェルを設け、M199培地で培養し、サンプルと培地とを用いて1:19の比率で配合培地を調製して培養に適用し、一日おきに培地を入れ替えた。単離毛包接種の1日目から、一日おきに接眼マイクロメーターで単離毛包全長と毛幹全長を合計5回計測し、9日目と1日目の毛包及び毛幹の長さの差(mm)を算出した。
【0162】
結果は表6に示す。
【0163】
【表6】

【0164】
結果から明らかなように、Dietmate(登録商標)-F02の低投与量群(5.45μg/mL)は単離毛包の成長に顕著な促進作用を有し、Dietmate(登録商標)-L02の中投与量群(50μg/mL)は単離毛包の成長に比較的に顕著な促進作用を有する。
【0165】
[実施例9]
上記実施例1、2及び3で製造されたDietmate(登録商標)-F02、B02及びL02の抗紫外線放射作用について測定した。
【0166】
方法は以下の通りであった。
【0167】
Dietmate(登録商標)-F02、B02及びL02を取り、エタノールで異なる濃度に定容し、それぞれに100−400nm波長範囲で紫外線走査を行った。
【0168】
結果から明らかなように、Dietmate(登録商標)-F02(1mg/mL)は290−370nm波長範囲において紫外線吸収能が非常に強く、Dietmate(登録商標)-B02(1mg/mL)は290−355nm波長範囲において紫外線吸収能が非常に強く、Dietmate(登録商標)-L02(1mg/mL)は290−350nm波長範囲において紫外線吸収能が非常に強かった。
【0169】
[実施例10]
上記実施例1、2及び3で製造されたDietmate(登録商標)-F02、B02及びL02の美白作用について測定した。
【0170】
方法は以下の通りであった。
【0171】
色素細胞内のメラノソームがメラニンを合成する時の主要な酵素はチロシナーゼであり、サンプルのチロシナーゼに対する抑制効果を測定することにより、その美白効果について評価した。被験溶液1mLにチロシナーゼ溶液0.5mLとリン酸緩衝液0.9mLを加え、25℃で10min保温し、そして25℃で保温したままこの反応混合液に試料1mLを加え、5min反応させた後、475nm波長における吸光度D1を測定して、もう一つの試験においては、失活した酵素を使用して同様な反応を行い、475nm波長における吸光度D2を測定して、さらに被験溶液なしで吸光度D3を測定して、試料のチロシナーゼ活性に対する抑制率を算出した。
【0172】
抑制率(%)=(D3−D1)×100/(D3−D2)、抑制活性は通常IC50、即ち半抑制濃度で表される。
【0173】
結果から明らかなように、Dietmate(登録商標)-F02、B02、L02は、いずれもチロシナーゼ活性を顕著に抑制し、それらの半抑制濃度はそれぞれ6.59、2.37、4.41mg/mLであった。
【0174】
[実施例11]
実施例3で製造した梅葉超臨界抽出物(Dietmate(登録商標)-L01、スクアレン含有量44.15%)を以下に示す配合(表7)にしたがって軟カプセルにした。
【0175】
【表7】

【0176】
本発明では、ボランティア10名に前述の軟カプセルを一日につき2カプセル投与した。結果から明らかなように、該当カプセルは顕著な、免疫力を向上させる、体質を強化させる、酸素不足状態を改善させる、大脳及び全身の疲労を解消する、元気を出させる、コレステロールを降下させる、心・脳血管疾病を予防・治療する、細胞の代謝を加速させる、潰瘍の癒しを促進する、護膚・美容などの機能を有する。
【0177】
[実施例12]
実施例2で製造したDietmate(登録商標)-B0と破壁松花粉を主要原料として、以下に示す配合にしたがって錠剤に製作し、1錠ごとに2gとした。配合は表8に示す。
【0178】
【表8】

【0179】
ボランティア20名に一日につき2錠投与した結果から明らかなように、製作された錠剤は顕著な人体免疫力強化作用を有する。
【0180】
[実施例13]
実施例3で製造したDietmate(登録商標)-L0と竹フラボンを原料として(1:1)、何の他の成分も添加せず、正味重量で1粒につき300mgの0カプセルに製作した。
ボランティア6名に一日につき2粒投与した結果から明らかなように、このカプセルは人体免疫力を顕著に強化させることができる。
【0181】
[実施例14]
実施例2で製造したDietmate(登録商標)-B02を原料として、梅の精、糖、天然糖蜜、クエン酸などと複方配合してドリンクを調整した。その重量配合は、飲用水1000グラムにつき、Dietmate(登録商標)-B02 2−6グラム、梅の精1−3グラム、食用糖20−40グラム、天然糖蜜1−3グラム及びクエン酸1−2グラムが配合される。配合工程は、原料配合、ろ過、均質殺菌、封口充填及び品質検査を含む。
【0182】
ボランティア12名に一日500mLで飲ませた結果から明らかなように、該当ドリンクは老若男女問わず楽しめる健康ドリンクであって、アルカリ食品に属し、血液酸性化を防止する、生体の免疫を強化させ、亜健康状態を改善する、及び知力を上げる効果を有する。
【0183】
[実施例15]
実施例1で製造したDietmate(登録商標)-F02(100g)を原料として、そのままアルコール度が18%の紹興酒1000Lに添加して、十分に溶解させ、均一に混合し、缶に入れて得られた梅花健康酒は、遐齢延年という保健作用を有する。
【0184】
[実施例16]
実施例1で製造したDietmate(登録商標)-F01を適用し、通常のプロセスにより製造した本発明に係る香水は、雅な梅花の微かな香りがして、且つ抗菌・消炎の作用を有する。
【0185】
【表9】

【0186】
[実施例17]
実施例1で製造したDietmate(登録商標)-F02を適用し、「化粧品」(徐艶萍、杜薇薇、バージョン2003、科学技術文献出版社)に記載の育毛剤通常プロセスにより、本発明に係る育毛剤を製造した。ボランティア10名(年齢45−67歳)に試用させ、二日おきに一回につき5mLで頭を洗わせ、2ヶ月続けた結果から明らかなように、この育毛剤は脱髪を防止し、髪生長を促進する作用を有する。
【0187】
【表10】

【0188】
[実施例18]
実施例2で製造したDietmate(登録商標)-B02を適用し「化粧品原理、配合、生産プロセス」(王培義、バージョン1999年、化学工業出版社)に記載のサンタンクリーム通常プロセスにより、本発明に係るサンタンクリームを製造した。ボランティア10名(女性)に試用させ、毎日出かける前に手の甲に塗り、1ヶ月続けた結果から明らかなように、このサンタンクリームは顕著な日よけ及び美白皮膚の作用を有する。
【0189】
【表11】

【0190】
以上で記述されたのは本発明の好適な実施例に過ぎないものであり、本発明に係る実質的な技術内容の範囲はこれによって限定されるものではない。本発明の実質的な技術内容は、広汎に特許請求の範囲内に定義される。他人に完成された如何なる技術実体や方法は、特許請求の範囲に定義されたものとまったく同一であり、又は同等効果の変更であれば、特許請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクアレンを抽出物の全重量に対して0.5−50wt%含有する梅エキス。
【請求項2】
前述のエキスは、梅の花、枝及び/或いは葉の脂溶性有効画分であることを特徴とする、請求項1に記載の梅エキス。
【請求項3】
前述の梅は、バラ科の梅であり、好ましくは青梅であることを特徴とする、請求項1に記載の梅エキス。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【請求項4】
(i)超臨界CO2流体或いは非極性有機溶媒を用いて、花、枝及び/或いは葉を含む梅原料を抽出し、脂溶性有効画分を分離して、スクアレンを0.5−50wt%含有する梅エキスとする工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の梅エキスの製造方法。
【請求項5】
該当方法はさらに、(ii)工程(i)で抽出された梅原料をアルコール−水溶媒で抽出し、フラボン配糖体、トリテルペノイドサポニン及び有機酸を含有する水溶性有効画分を得る工程を含むことを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前述の抽出方法は超臨界CO2流体抽出であって、抽出圧力5−50MPa、抽出温度20−90℃、分離温度20−80℃、分離圧力2−10MPaという条件下で動的循環抽出を0.5−7時間行う方法であり、前述の非極性有機溶媒による抽出では、浸出温度10−70℃、浸出時間0.2−48時間、原料−溶液比W/V:1:3−30の浸漬法またはパーコレーション法が採用されることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前述のアルコール−水溶媒による抽出温度は60−100℃で、抽出時間は0.1−5時間で、原料−溶液比W/V:1:3−30であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の梅エキスを含有することを特徴とする組成物。
【請求項9】
前述の組成物は、さらに梅果実エキス、松花粉、竹フラボン及びそれらの混合物からなる群から選ばれる追加の成分を含有することを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
抗ラジカル、酸化防止、抗菌、脱感、胃腸機能改善、血液酸性化防止、血液循環促進、疲労解消、ストレス解消、免疫機能増強、脂質代謝調節、体重降下、血圧降下、心・脳血管保護、癌予防、髪生長又は脱髪防止用組成物の製造に適用されることを特徴とする、請求項1に記載の梅エキスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−519872(P2011−519872A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507773(P2011−507773)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/CN2008/070876
【国際公開番号】WO2009/135352
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510292788)ハンゾウ ユー‐メイト サイエンス アンド テクニック カンパニー., リミテッド (2)
【出願人】(510292799)ヤンタイ ニュー エラ ヘルス インダストリー カンパニー, リミテッド (2)
【Fターム(参考)】