説明

梱包ケース

【課題】 少ない部品点数で、共通の素材を多く用いて、部品の再利用が容易にできる梱包ケースを提供する。
【解決手段】 電子機器2を裏面側から収納する透明なケース本体3と、ケース本体3の裏面側に配置される印刷用の台紙4と、この台紙4の裏面側を保護する透明な保護シート5とを備えた。従って、ケース本体3、台紙4、保護シート5の3つの部品で電子機器2を梱包することができるので、部品点数が少なくてすむ。また、透明なケース本体3と透明な保護シート5とを同じPETの合成樹脂で形成することができるので、部品の素材の種類を最小限に抑えることができる。これにより、部品の分別作業が簡単になるので、素材の再利用が容易にでき、素材の再利用率の高いものを提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器を梱包するための梱包ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を収納する収納ケースには、特許文献1に記載されているように、電子機器を保持する保持部材に装着し、この状態で電子機器を保持部材と共にケース本体の上辺側に設けられた開口部からケース本体内にスライドさせて収納し、このケース本体の開口部から突出した保持部材に補助部材を取り付けて、ケース本体の開口部を塞ぐように構成したものがある。
【特許文献1】特開2005−44973号
【0003】
このような電子機器の収納ケースは、ケース本体の表面に柔軟性を有する透明なフィルムシートが電子機器の操作部および表示部に対応して設けられていることにより、ケース本体内に電子機器を収納した状態で、電子機器の操作部を操作することができるように構成されているので、電子機器を商品として陳列する梱包ケースとしても利用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電子機器の収納ケースでは、電子機器をケース本体に収納する際、予め電子機器を保持部材に装着し、この状態でケース本体内にその上方からスライドさせて収納する構成であるから、電子機器を保持するための保持部材が必要であり、またケース本体の開口部を塞ぐための補助部材も必要であるから、部品点数が多く、しかも各部品の素材が異なるため、部品を再利用する際、分別作業が煩雑になり、素材の再利用が容易にできないという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、少ない部品点数で、共通の素材を多く用いて、素材の再利用が容易にできる梱包ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、キー入力部を有する電子機器を梱包するための梱包ケースであって、
前記電子機器を裏面側から収納する透明なケース本体と、このケース本体の裏面側に配置される印刷用の台紙と、この台紙の裏面側を保護する透明な保護シートとを備え、
前記ケース本体は、本体シートと、この本体シートにその表面側に向けて膨出形成されて前記電子機器を裏面側から収納する収納凸部と、この収納凸部における前記電子機器の前記キー入力部に対応する箇所に設けられた開口部の周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シートと、前記本体シートの周囲における3方向の縁部に裏面側へ折り返されて前記台紙と前記保護シートとの各縁部をスライド可能に挟み付けるスライド挟持部とを備えていることを特徴とする梱包ケースである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記ケース本体の前記本体シートにおける前記3方向以外の縁部に、少なくとも前記保護シートを係脱可能に係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の梱包ケースである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記保護シートに、付属品を表面側から収納する収納凹部が裏面側に向けて膨出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包ケースである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記軟質シートが、透明なポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包ケースである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、電子機器を裏面側から収納する透明なケース本体と、ケース本体の裏面側に配置される印刷用の台紙と、この台紙の裏面側を保護する透明な保護シートとの3つの部品で、電子機器を梱包することができるので、部品点数が少なく、また透明なケース本体と透明な保護シートとを同じ素材で形成することができるので、部品の素材の種類を最小限に抑えることができ、これにより部品の分別作業が簡単になるので、素材の再利用が容易にでき、素材の再利用率の高いものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、図1〜図6を参照して、この発明を適用した梱包ケースの実施形態1について説明する。
この梱包ケース1は、図1〜図3に示すように、電子機器2を梱包するためのものであり、電子機器2を裏面側(図2では右側)から収納する透明なケース本体3と、このケース本体3の裏面側に配置される印刷用の台紙4と、この台紙4の裏面側を保護する透明な保護シート5とを備えている。
【0012】
この場合、電子機器2は、図3に示すように、例えば電卓などの小型電子式計算機であり、機器ケース6の表面にキー入力部7、表示部8、およびソーラーパネル9が設けられ、内部に計算機能に必要な各種の電子部品(図示せず)が組み込まれているほか、電池(図示せず)が交換可能に設けられている。梱包ケース1のケース本体3は、再利用が容易なPET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明な合成樹脂からなっている。
【0013】
すなわち、このケース本体3は、図1、図2および図4に示すように、本体シート10と、この本体シート10にその表面側(図2では左側)に向けて膨出形成されて電子機器2を裏面側(図2では右側)から収納する収納凸部11と、この収納凸部11における電子機器2のキー入力部7に対応する箇所に設けられた開口部11aの周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シート12と、本体シート10の周囲における上辺側を除く3方向の縁部に裏面側(図2では右側)へ折り返されて台紙4と保護シート5との各縁部4a、5aをスライド可能に挟み付けるスライド挟持部13とを備えている。
【0014】
この場合、本体シート10は、図4に示すように、縦長の長方形状に形成されている。収納凸部11は、図2および図4に示すように、電子機器2の外形とほぼ同じ形状で、表面側(図2では左側)に突出し且つ裏面側(図2では右側)に開放された状態で、図1および図4に示すように、本体シート10の左側に偏って設けられている。すなわち、この収納凸部11は、電子機器2の外形と同じ長方形の箱形状に形成されており、その表面には、開口部11aが電子機器2のキー入力部7に対応して設けられている。
【0015】
透明な軟質シート12は、透明な軟質合成樹脂、例えば透明なポリウレタン樹脂からなり、収納凸部11の表面に設けられた開口部11aを覆った状態で、その周囲12aが熱圧着、超音波溶着、接着剤などによって固着されている。また、本体シート10の各スライド挟持部13は、図2および図4に示すように、本体シート10の左右両側の縁部と、本体シート10の下辺側の縁部とに設けられている。
【0016】
すなわち、このスライド挟持部13は、図2に示すように、本体シート10の縁部を裏面側(図2では右側)へ向けて折り返すことにより、台紙4と保護シート5との各縁部4a、5aが重なり合った厚みとほぼ同じ隙間を有して形成されている。これにより、スライド挟持部13は、台紙4と保護シート5との左右両側の各縁部4a、5aが、本体シート10の上辺側の縁部から本体シート10の左右両側のスライド挟持部13に差し込まれてスライドしながらガイドされ、台紙4と保護シート5との下辺側の各縁部4a、5aが、本体シート10の下辺側のスライド挟持部13に差し込まれることにより、台紙4と保護シート5とを本体シート10の裏面側(図2では右側)に取り付けるように構成されている。
【0017】
この場合、本体シート10の上辺側の縁部には、台紙4および保護シート5を係脱可能に係止する係止部14が設けられている。この係止部14は、図2および図4に示すように、表面側(図2では左側)に向けて膨出形成された係止凸部15と、この係止凸部15の裏面側上辺に折り曲げ可能に設けられた折返し部16と、この折返し部16の上辺に設けられた一対の係止フック17と1つの解除片18とを備えている。この場合、係止凸部15は、裏面側(図2では右側)に開放された横方向に長い長方形の箱形状で、その高さ(図2では左右方向の長さ)が電子機器2を収納する収納凸部11の高さよりも低く形成されている。
【0018】
また、この係止部14の折返し部16は、図2および図4に示すように、係止凸部15の上辺に沿って設けられた第1ミシン目線16aと、この第1ミシン目線16aから係止凸部15の上辺の深さだけ離れた箇所に設けられた第2ミシン目線16bとを有し、この第1、第2ミシン目線16a、16bによって図2に示すようにそれぞれ折り曲げられることにより、係止凸部15の内面に接近して配置されるように構成されている。一対の係止フック17は、図4に示すように、折返し部16の上辺における両側に設けられた突起部であり、図2に示すように、その先端(図2では下端)が後述するように台紙4と保護シート5とを係脱可能に係止するように構成されている。
【0019】
また、解除片18は、図4に示すように、折返し部16の上辺における中間部に第3ミシン目線18aによって折り曲げ可能に設けられ、図2に示すように、係止凸部15の下辺側の内面に沿って配置されるように構成されている。この場合、係止凸部15の表面とこれに対応する箇所の折返し部16とには、図1および図4に示すように、電子機器2を商品として陳列するための陳列棒(図示せず)が挿入する吊下げ孔19が、それぞれ互いに重なり合うように対応して設けられている。
【0020】
ところで、台紙4は、素材が紙であり、図2および図5に示すように、ケース本体3の係止部14を含む本体シート10とほぼ同じ大きさに形成されている。すなわち、台紙4は、本体シート10の裏面(図2では右側面)とほぼ同じ大きさで、その上辺に係止部14の係止凸部15内に折り曲げられて配置される折曲配置部20が設けられている。この折曲配置部20は、図5に示すように、係止凸部15の下辺側の立ち上がり面に対応する下辺部20aと、係止凸部15の表面における内面に対応する表面部20bと、係止凸部15の上辺側の立ち上がり面に対応する上辺部20cと、係止凸部15の左右両側の内面に対応する両側の側面部20dとを備えている。
【0021】
この場合、表面部20bには、吊下げ孔21が係止部14の互いに重なり合った吊下げ孔19に対応して設けられており、この表面部20bと下辺部20aとの折り曲げ部分には、係止部14の一対の係止フック17がそれぞれ差し込まれる係止孔22が設けられている。また、この台紙4の表面には、図5に示すように、ケース本体3の収納凸部11に対応する領域を除く全ての領域、つまり収納凸部11の右側に位置する本体シート10に対応する広告領域E1、および収納凸部11の上側に位置する係止凸部15に対応する広告領域E2が設けられている。この広告領域E1、E2には、商品である電子機器2を宣伝するための広告が印刷されている。また、この台紙4の裏面(図2では右側)における本体シート10に対応する全域には、商品である電子機器2の仕様や簡単な取扱い説明などの文句(図示せず)が印刷されている。
【0022】
一方、保護シート5は、ケース本体3と同じ材料、つまり再利用が容易なPET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明な合成樹脂からなり、図2に示すように、本体シート10の裏面側を保護するものである。すなわち、この保護シート5は、図6に示すように、本体シート10の裏面とほぼ同じ大きさに形成されており、その上辺には、係止部14の係止凸部15内に折り曲げられる折曲部23が設けられている。この折曲部23は、図2および図6に示すように、係止凸部15の下辺側の立ち上がり面に対応する下辺部23aと、この下辺部23aから係止凸部15の表面に沿って折り曲げられた押え部23bとを備えている。この場合、下辺部23aと押え部23bとの折り曲げ部分には、係止部14の一対の係止フック17がそれぞれ差し込まれる係止孔24が台紙4の係止孔22に対応して設けられている。
【0023】
このような梱包ケース1で電子機器2を梱包する場合には、まず、電子機器2を本体ケース3の収納凸部11内に裏面側から収納する。このときには、電子機器2のキー入力部7を収納凸部11の軟質シート12に対面させる。この状態で、電子機器2の裏面側に取扱説明書などの付属品25を配置し、ケース本体3の上辺側から本体シート10の左右両側のスライド挟持部13に台紙4の両側の縁部4aを差し込んで、本体シート10の両側のスライド挟持部13に沿って台紙4の両側の縁部4aをスライドさせて台紙4の下辺の縁部4aを本体シート10の下辺のスライド挟持部13に差し込む。
【0024】
そして、台紙4の上辺に設けられた折曲配置部20をケース本体3の係止部14の係止凸部15内に折り曲げて配置する。すなわち、折曲配置部20の下辺部20aを係止凸部15の下辺側の内面に密着させ、折曲配置部20の表面部20bを係止凸部15の表面に対応する内面に密着させ、折曲配置部20の上辺部20cを係止凸部15の上辺側の内面に密着させ、折曲配置部20の左右両側の側面部20dを係止凸部15の左右両側の内面に密着させる。これにより、台紙4がケース本体3の裏面側に取り付けられている。この状態では、折曲配置部20の上面部20bに設けられた吊下げ孔21が係止凸部15の互いに重なり合った吊下げ孔19に対応し、台紙4の広告領域E1、E2がケース本体3を通して表面側から見える。
【0025】
この後、ケース本体3の上辺側から本体シート10の左右両側のスライド挟持部13に、保護シート5の両側の縁部5aを差し込んで、本体シート10の両側のスライド挟持部13に沿って保護シート5の両側の縁部5aをスライドさせて保護シート5の下辺の縁部5aを本体シート10の下辺のスライド挟持部13に差し込む。これにより、保護シート5が台紙4の裏面側を覆ってケース本体3に配置される。そして、この保護シート5の上辺の折曲部23を折り曲げてケース本体3の係止凸部15内に折り込む。すると、折曲部23の下辺部23aが係止凸部15に配置された台紙4の折曲配置部20における下辺部20aに密着し、折曲部23の押え部23bが係止凸部15内に配置された台紙4の表面部20bに密着して押える。
【0026】
この状態で、ケース本体3の係止部14における折返し部16を第1、第2ミシン目線16a、16bで折り曲げて係止凸部15内に配置された台紙4の上辺部20cおよび表面部20bに密着させ、折返し部16の上辺(図2では下辺)に設けられた一対の係止フック17を保護シート5の係止孔24に差し込むと共に、台紙4の係止孔22にも差し込む。これにより、保護シート5が台紙4の裏面を覆ってケース本体3に固定される。
【0027】
このときには、台紙4の吊下げ孔21が折返し部16の吊下げ孔19と係止凸部15の上面の吊下げ孔19とに対応していることにより、この吊下げ孔19、21に陳列棒(図示せず)を挿入させて電子機器2を商品として吊下げて陳列することができる。この状態では、台紙4の裏面に印刷された電子機器2の仕様や簡単な取扱い説明などの文句(図示せず)を透明な保護シート5を通して裏面側から見ることができる。
【0028】
また、この電子機器2を梱包ケース1から取り出す場合には、まず、ケース本体3の係止部14における解除片18を裏面側に向けて引き出すことにより、一対の係止フック17を保護シート5の係止孔24および台紙4の係止孔22から引き出し、一対の係止フック17による保護シート5と台紙4との係止を解除する。この後、ケース本体3の係止部14における折返し部16を第1、第2ミシン目線16a、16bで折り曲げて広げる。
【0029】
この状態で、保護シート5を本体シート10の左右両側のスライド挟持部13に沿って上辺側から引き出し、保護シート5をケース本体3から取り外す。この後、台紙4の折曲配置部20をケース本体3の係止部14の係止凸部15内から抜き出す。この状態で、台紙4を本体シート10の左右両側のスライド挟持部13に沿って上方にスライドさせて上辺側から引き出し、台紙4をケース本体3から取り外す。これにより、ケース本体3の収納凸部11が裏面側に開放されるので、電子機器2を収納凸部11内から裏面側に取り出すことができる。
【0030】
このように、この梱包ケース1によれば、電子機器2を裏面側から収納する透明なケース本体3と、ケース本体3の裏面側に配置される印刷用の台紙4と、この台紙4の裏面側を保護する透明な保護シート5との3つの部品で、電子機器2を梱包することができるので、部品点数が少なく、また透明なケース本体3と透明な保護シート5とを同じPETの合成樹脂で形成することができるので、部品の素材の種類を最小限に抑えることができ、これにより部品の分別作業が簡単になるので、素材の再利用が容易にでき、素材の再利用率の高いものを提供することができる。
【0031】
この場合、ケース本体3は、本体シート10と、この本体シート10にその表面側に向けて膨出形成されて電子機器2を裏面側から収納する収納凸部11と、この収納凸部11における電子機器2のキー入力部7に対応する箇所に設けられた開口部11aの周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シート12と、本体シート10の周囲における上辺側を除く3方向の縁部に裏面側へ折り返されて台紙4と保護シート5との各縁部4a、5aをスライド可能に挟み付けるスライド挟持部13とを備えた構成であることにより、電子機器2を梱包して商品として陳列した状態でも、収納凸部11の開口部11aを覆った軟質シート12を介して電子機器2のキー入力部7を操作することができる。
【0032】
すなわち、軟質シート12は、ポリウレタン樹脂で形成されているので、キー入力部7を繰り返し操作しても、軟質シート12に皺ができず、製品である電子機器2に傷を付けないように良好に保護することができる。また、この軟質シート12は、梱包ケース1の使用後にケース本体3から切り取って低温で焼却する際、ポリ塩化ビニルを用いた場合に比べて、ダイオキシンの発生量を軽減することができるので、環境対策上、好ましいものを提供することができる。また、ケース本体3および保護シート5はPET樹脂であるから、梱包ケース1の使用後に破砕することにより、容易に再利用することができ、これによっても環境対策上、好ましいものを提供することができる。
【0033】
また、台紙4は、素材が紙であるから、再利用が容易にできるほか、台紙4の表裏面に印刷が簡単にできる。この場合、ケース本体3が透明であるから、ケース本体3の裏面側に台紙4を配置しても、電子機器2に対応する箇所を除いて、台紙4の表面における広告領域E1、E2に印刷された宣伝を透明なケース本体3を通して見ることができる。また、台紙4の裏面に印刷された仕様や簡単な取扱い説明などの文句を透明な保護シート5を通して見ることができる。このため、電子機器2を梱包ケース1に梱包して陳列しても、台紙4が汚れることがなく、長期間に亘って台紙4を保護することができる。
【0034】
また、この梱包ケース1によれば、ケース本体3の本体シート10における3方向以外の縁部つまり上辺側の縁部に、台紙4および保護シート5を係脱可能に係止する係止部14が設けられているので、係止部14で台紙4および保護シート5を係止することにより、ケース本体3に対して台紙4および保護シート5を固定することができる。また、台紙4および保護シート5に対する係止部14の係止を解除することにより、台紙4および保護シート5をケース本体3から容易に取り外すことができ、これによりケース本体3を容易に分解することができる。
【0035】
すなわち、係止部14は、表面側に向けて膨出形成された係止凸部15と、この係止凸部15の上辺に折り曲げ可能に設けられた折返し部16と、この折返し部16の上辺(図2では下辺)に設けられた一対の係止フック17と1つの解除片18とを備えているので、台紙4をケース本体3の裏面側に配置して台紙4の折曲配置部20を係止凸部15内に折り曲げて配置することにより、ケース本体3に対して台紙4を固定することができる。また、保護シート5を台紙4の裏面側に配置して折曲部23を係止凸部15内に折り曲げて配置し、この状態で係止部14の折返し部16を係止凸部15内に折り曲げて配置し、この折返し部16の一対の係止フック17を保護シート5の係止孔24に差し込むと共に、台紙4の係止孔22にも差し込むことにより、台紙4および保護シート5をケース本体3に確実に固定することができる。
【0036】
また、係止部14による台紙4と保護シート5とに対する係止を解除する場合には、折返し部16の解除片18をケース本体3の裏面側に向けて引き出すことにより、一対の係止フック17を保護シート5の係止孔24と台紙4の係止孔22とから引き出すことができ、これにより一対の係止フック17による保護シート5と台紙4との係止を簡単に解除することができる。このため、保護シート5および台紙4を本体シート10のスライド挟持部13に沿って上辺側にスライドさせて引き出すことができるので、保護シート5および台紙4をケース本体3から容易に取り外すことができる。
【0037】
これにより、梱包ケース1を簡単に分解することができるので、これによっても部品の再利用が容易にできる。また、梱包ケース1が簡単に分解できることにより、例えば陳列中に電子機器2の電池が切れても、梱包ケース1から電子機器2を容易に取り出すことができるので、簡単に電池を交換することができると共に、電池を交換した電子機器2を再び梱包ケース1で容易に梱包することができ、これにより使い勝手の良いものを提供することができる。
【0038】
(実施形態2)
次に、図7〜図11を参照して、この発明を適用した梱包ケースの実施形態2について説明する。なお、図1〜図6に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この梱包ケース30は、電子機器31が折り畳み式の小型電子式計算機であり、これに伴ってケース本体3の収納凸部32が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0039】
すなわち、この梱包ケース30に梱包される電子機器31は、図7および図8に示すように、キー入力部7を有する第1ケース33と、表示部8を有する第2ケース34とを備え、この第1ケース33と第2ケース34とがヒンジ部35によって開閉可能に連結されている。これにより、電子機器31は、ヒンジ部35を中心にして第1、第2ケース33、34が相対的に回転して開いた際に、キー入力部7と表示部8とが露出し、逆にヒンジ部35を中心にして第1、第2ケース33、34が相対的に回転して閉じた際に、キー入力部7と表示部8とが互いに対面して第1、第2ケース33、34が重なり合うように構成されている。
【0040】
一方、梱包ケース30は、実施形態1と同様、電子機器31を裏面側(図8では右側)から収納する透明なケース本体3と、このケース本体3の裏面側に配置される印刷用の台紙4と、この台紙4裏面側を保護する透明な保護シート5とを備えている。この場合にも、ケース本体3は、再利用が容易なPETなどの透明な合成樹脂からなっている。
【0041】
すなわち、ケース本体3は、図7、図8および図9に示すように、本体シート10と、この本体シート10にその表面側(図8では左側)に向けて膨出形成されて電子機器31を裏面側(図8では右側)から収納する収納凸部32と、この収納凸部32における電子機器31のキー入力部7に対応する箇所に設けられた開口部32aの周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シート12と、本体シート10の周囲における上辺側を除く3方向の縁部に裏面側(図8では右側)へ折り返されて台紙4と保護シート5との各縁部4a、5aをスライド可能に挟み付けるスライド挟持部13とを備えている。
【0042】
この場合、ケース本体3の収納凸部32は、図7、図8および図9に示すように、電子機器31の第1、第2ケース33、34を所定角度(例えば120°)に開いた状態で収納するために、上辺部側36aが第2ケース34の厚みとほぼ同じ高さで形成され、下辺部側36bが第1ケース33の傾きに応じて下辺側が次第に高くなるように傾斜して形成されている。この下辺部側36bの傾斜した部分には、第1ケース33のキー入力部7に対応する箇所に開口部32aが設けられており、この開口部32aの周囲には、これを覆う軟質シート12が実施形態1と同様に固着されている。この場合にも、ケース本体3の上辺には、実施形態1と同様に係止部14が設けられている。
【0043】
また、このケース本体3の収納凸部32内には、第1ケース33の裏面側を支持する支持台37が配置されている。この支持台37は、図8および図10に示すように、台紙4と同じ紙、またはケース本体3および保護シート5と同じPETなどの合成樹脂からなり、全体がほぼ楔形状に形成されている。すなわち、この支持台37は、その表面部37a(図8では左側)が第1ケース33の裏面(図8では右側)と同じ傾斜で形成され、裏面部37b(図8では右側)が台紙4の表面と平行に形成され、下辺部37cが裏面部37bに対してほぼ垂直に形成され、これにより台紙4上に配置されて第1ケース33の裏面を支持するように構成されている。
【0044】
ところで、保護シート5には、図8および図11に示すように、説明書や充電器などの付属品39を表面側(図8では左側)から収納する収納凹部38が裏面側に向けて膨出形成されている。この保護シート5は、実施形態1と同様、本体シート10とほぼ同じ大きさに形成され、収納凹部38内に表面側から付属品39を収納した状態で、左右両側の縁部5aが本体シート10のスライド挟持部13に挟まれてガイドされるように構成されている。この場合にも、保護シート5の上辺には、係止部14の係止凸部15内に折り曲げられる折曲部23が設けられている。この折曲部23における下辺部23aと押え部23bとの折り曲げ部分には、図11に示すように、係止部14の一対の係止フック17がそれぞれ差し込まれる係止孔24が台紙4の係止孔22に対応して設けられている。
【0045】
このような梱包ケース30によれば、実施形態1と同様の作用効果がある。すなわち、この梱包ケース30においても、電子機器31を裏面側から収納する透明なケース本体3と、ケース本体3の裏面側に配置される印刷用の台紙4と、この台紙4の裏面側を保護する透明な保護シート5との3つの部品で、電子機器31を梱包することができるので、部品点数が少なく、また透明なケース本体3と透明な保護シート5とを同じPETの合成樹脂で形成することができるので、部品の素材の種類を最小限に抑えることができ、これにより部品の分別作業が簡単になるので、素材の再利用が容易にでき、素材の再利用率の高いものを提供することができる。
【0046】
この場合、ケース本体3は、本体シート10と、この本体シート10にその表面側に向けて膨出形成されて電子機器31を裏面側から収納する収納凸部32と、この収納凸部32における電子機器31のキー入力部7に対応する箇所に設けられた開口部32aの周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シート12と、本体シート10の周囲における上辺側を除く3方向の縁部に裏面側へ折り返されて台紙4と保護シート5との各縁部4a、5aをスライド可能に挟み付けるスライド挟持部13とを備えた構成であることにより、電子機器31の第1、第2ケース33、34を所定角度に開いた状態で電子機器31をケース本体3内に収納し、この状態で商品として陳列しても、収納凸部32の開口部32aを覆った軟質シート12を介して電子機器31のキー入力部7を操作することができる。
【0047】
すなわち、収納凸部32は、電子機器31の第1、第2ケース33、34を所定角度(例えば120°)に開いた状態で収納するために、上辺部側36aが第2ケース34の厚みとほぼ同じ高さで形成され、下辺部側36bが第1ケース33の傾きに応じて次第に高くなるように傾斜して形成されており、これに伴って収納凸部32内に第1ケース33の裏面側を支持する支持台37を配置した構成であるから、電子機器31の第1、第2ケース33、34を所定角度に開いた状態で、収納凸部32内に確実に且つ安定した状態で収納することができる。
【0048】
また、この梱包ケース30では、保護シート5に説明書や充電器などの付属品39を表面側から収納する収納凹部38が裏面側に向けて膨出形成されているので、電子機器31の第1、第2ケース33、34を所定角度に開いた状態で、収納凸部32内に電子機器31を収納しても、説明書や充電器などの付属品39を確実に且つ良好に収納することができる。
【0049】
なお、上記実施形態1、2では、電子機器2、31のキー入力部7に対応する軟質シート12をポリウレタン樹脂で透明に形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば半透明に着色すれば、店頭で製品が目立つようにすることができ、また軟質シート12に製品である電子機器2、31の宣伝文句を印刷すれば、宣伝用シールを廃止することができる。
【0050】
また、上記実施形態1、2では、電子機器2、31として電卓などの小型電子式計算機に適用した場合について述べたが、必ずしも電卓などの小型電子式計算機である必要はなく、電子辞書、電子手帳、PDA(携帯情報端末機:パーソナル・デジタル・アシスタント)などの各種の電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明を適用した梱包ケースの実施形態1を示した正面図である。
【図2】図1のA−A矢視における断面図である。
【図3】図1の梱包ケースに梱包される電子機器を示した正面図である。
【図4】図2のケース本体を示した正面図である。
【図5】図2の台紙を示した展開図である。
【図6】図2の保護シートを示した展開図である。
【図7】この発明を適用した梱包ケースの実施形態2を示した正面図である。
【図8】図7のB−B矢視における断面図である。
【図9】図8のケース本体を示した正面図である。
【図10】図8の支持台を示した斜視図である。
【図11】図8の保護シートを示した正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1、30 梱包ケース
2、31 電子機器
3 ケース本体
4 台紙
5 保護シート
7 キー入力部
8 表示部
10 本体シート
11、32 収納凸部
11a、32a 開口部
12 軟質シート
13 スライド挟持部
14 係止部
17 係止フック
22、24 係止孔
37 支持台
38 収納凹部
25、39 付属品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー入力部を有する電子機器を梱包するための梱包ケースであって、
前記電子機器を裏面側から収納する透明なケース本体と、このケース本体の裏面側に配置される印刷用の台紙と、この台紙の裏面側を保護する透明な保護シートとを備え、
前記ケース本体は、本体シートと、この本体シートにその表面側に向けて膨出形成されて前記電子機器を裏面側から収納する収納凸部と、この収納凸部における前記電子機器の前記キー入力部に対応する箇所に設けられた開口部の周囲にこれを覆って固着された透明な軟質シートと、前記本体シートの周囲における3方向の縁部に裏面側へ折り返されて前記台紙と前記保護シートとの各縁部をスライド可能に挟み付けるスライド挟持部とを備えていることを特徴とする梱包ケース。
【請求項2】
前記ケース本体の前記本体シートにおける前記3方向以外の縁部には、少なくとも前記保護シートを係脱可能に係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の梱包ケース。
【請求項3】
前記保護シートには、付属品を表面側から収納する収納凹部が裏面側に向けて膨出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包ケース。
【請求項4】
前記軟質シートは、透明なポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−265769(P2008−265769A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107766(P2007−107766)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】