説明

梱包材

【課題】被梱包物を梱包する際の作業性に優れた梱包材を提供する。
【解決手段】凸部21は、被覆部19から起立して方向W2に向いているとともに一方向Dに沿って延びる第1起立面61と、被覆部19から起立して方向W1に向いているとともに一方向Dに沿って延びる第2起立面62とを有している。第1折り曲げ片51は、第1起立面61に対向配置されて第1起立面61に当接する第1縁部71を有し、第2折り曲げ片52は、第2起立面62に対向配置されて第2起立面62に当接する第2縁部72を有している。第1起立面61の起立高さは、第1縁部71の厚みよりも大きく、第2起立面62の起立高さは、第2縁部72の厚みよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機などの被梱包物を梱包するための梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空気調和機などのようにある程度の重量を有する製品を保管したり、輸送したりする際には、その製品は梱包材で梱包される。通常、この梱包材は、空気調和機などの被梱包物の長手方向の両端部にそれぞれ嵌合される一対の緩衝梱包材(例えば発泡スチロール成型品)と、筒形状に折り曲げられ、被梱包物の周囲を囲み、一対の緩衝梱包材に跨って配設される板状梱包材(例えば段ボール)と、を含む。
【0003】
前記被梱包物を前記梱包材により梱包した梱包品は、保管、輸送などの際には、横方向にほとんど隙間なく配列されるだけでなく、高さ方向にも段積みされて配列される。このような保管状態及び輸送状態においても、被梱包物は、梱包材により梱包されていることにより、保管時及び輸送時にかかる荷重や輸送時の衝撃などから保護される(例えば特許文献1)。
【0004】
被梱包物を梱包材により梱包する際には、段ボールなどの板状梱包材は、通常、4つの折り曲げ位置(角部)において四角柱状に折り曲げられて筒形状にされる。筒形状に折り曲げられた板状梱包材は、天面の部分(天面部)において、板状梱包材の両端部同士が突き合わされ、又は重ね合わされて、例えば粘着テープなどにより前記両端部同士が接合される。この天面部は、幅方向の一方側の角部において折り曲げられた第1折り曲げ片と、幅方向の他方側の角部において折り曲げられた第2折り曲げ片とにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−097359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記天面部において板状梱包材の両端部同士を粘着テープなどにより接合する作業においては、第1折り曲げ片及び第2折り曲げ片を各角部において折り曲げて、互いの端部同士を突き合わせた状態、又は重ね合わせた状態を保ちつつ粘着テープを貼り付ける必要がある。
【0007】
しかしながら、段ボールなどの板状梱包材は、折り曲げられた状態から元の状態に復元しようとするので、作業者が第1折り曲げ片及び第2折り曲げ片から手を離すと、第1折り曲げ片及び第2折り曲げ片は、互いに突き合わされた状態、又は重ね合わされた状態を保つことができない。したがって、粘着テープを貼り付ける接合作業においては、作業者が第1折り曲げ片及び第2折り曲げ片を手で押さえておく必要があり、作業性が必ずしもよいとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被梱包物を梱包する際の作業性に優れた梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の梱包材は、被梱包物を梱包するためのものである。前記梱包材は、一対の緩衝梱包材(11)と、板状梱包材(13)とを備えている。前記一対の緩衝梱包材(11)は、前記被梱包物における予め定められた一方向(D)の両端部にそれぞれ嵌合可能である。前記板状梱包材(13)は、天面部(31)、底面部(32)及び一対の側面部(33,34)を形成するように筒形状に折り曲げられ、前記天面部(31)、前記底面部(32)及び前記一対の側面部(33,34)のうちのいずれか1つの表面部において周方向の端部同士が突き合わされ又は重ね合わされることにより、前記被梱包物の周囲を囲むとともに前記一対の緩衝梱包材(11)に跨って配設される。
【0010】
前記表面部は、前記一方向(D)に直交する直交方向の一方側(W1)に位置する角部(K1)において折り曲げられる第1折り曲げ片(51)と、前記直交方向の他方側(W2)に位置する角部(K2)において折り曲げられる第2折り曲げ片(52)と、により構成されている。各緩衝梱包材(11)は、前記第1折り曲げ片(51)及び前記第2折り曲げ片(52)により被覆される被覆部(19)と、前記被覆部(19)よりも前記第1折り曲げ片(51)及び前記第2折り曲げ片(52)の厚み方向外側に突出する凸部(21)と、を含む。前記凸部(21)は、前記被覆部(19)から起立して前記直交方向の前記他方側(W2)に向いているとともに前記一方向(D)に沿って延びる第1起立面(61)と、前記被覆部(19)から起立して前記直交方向の前記一方側(W1)に向いているとともに前記一方向(D)に沿って延びる第2起立面(62)と、を有している。
【0011】
前記第1折り曲げ片(51)は、前記第1起立面(61)に対向配置されて前記第1起立面(61)に当接する第1縁部(71)を有している。前記第2折り曲げ片(52)は、前記第2起立面(62)に対向配置されて前記第2起立面(62)に当接する第2縁部(72)を有している。前記第1起立面(61)の起立高さは、前記第1縁部(71)の厚みよりも大きく、前記第2起立面(62)の起立高さは、前記第2縁部(72)の厚みよりも大きい。
【0012】
このような構成を有する梱包材を用いた梱包作業は、次のような手順で行われる。以下の手順では、周方向の端部同士が天面部(31)において突き合わされ又は重ね合わされる場合を例に挙げて説明する。
【0013】
まず、被梱包物における前記一方向(D)の両端部に緩衝梱包材(11)をそれぞれ嵌合する。ついで、被梱包物を囲むように板状梱包材(13)を筒形状に折り曲げることにより、天面部(31)において第1折り曲げ片(51)及び第2折り曲げ片(52)の端部同士を突き合わせ又は重ね合わせて、第1折り曲げ片(51)及び第2折り曲げ片(52)を所定の接合位置に配置する。この接合位置においては、第1折り曲げ片(51)の第1縁部(71)は、凸部(21)の第1起立面(61)に対向配置された状態にあり、第1起立面(61)に当接している。また、第2折り曲げ片(52)の第2縁部(72)は、凸部(21)の第2起立面(62)に対向配置された状態にあり、第2起立面(62)に当接している。
【0014】
ここで、第1折り曲げ片(51)が前記接合位置まで折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態に戻る方向に移動するには、例えば、後述する図6(A)に示すように、第1折り曲げ片(51)は、第1折り曲げ片(51)の角部(K1)を中心として円弧軌道を描きながら回動する必要がある。本構成では、第1縁部(71)は、前記接合位置にあるときには第1起立面(61)に当接した状態にあり、しかも第1起立面(61)の起立高さは第1縁部(71)の厚みよりも大きいので、第1折り曲げ片(51)の角部(K1)側への第1縁部(71)の変位は、第1起立面(61)によって規制されている。したがって、第1折り曲げ片(51)を所定の接合位置に配置して第1縁部(71)を第1起立面(61)に当接して係合させることによって、第1折り曲げ片(51)を前記接合位置に仮止めすることができる。第2折り曲げ片(52)についても同様である。
【0015】
これにより、前記接合位置において作業者が第1折り曲げ片(51)及び第2折り曲げ片(52)を手で押さえる動作が不要になる。よって、本構成によれば、被梱包物を梱包する際の作業性を向上させることができる。
【0016】
また、前記第1起立面(61)及び前記第2起立面(62)は、前記被覆部(19)の表面とのなす角度(θ)が鋭角となるように傾斜していることが好ましい。
【0017】
この構成では、第1起立面(61)及び第2起立面(62)は、被覆部(19)とのなす角度(θ)が鋭角であるので、例えば被覆部(19)とのなす角度(θ)が直角である場合と比較して、第1折り曲げ片(51)及び第2折り曲げ片(52)の回動を規制する効果をさらに高めることができる。
【0018】
また、前記凸部(21)は、前記第1起立面(61)を含み前記一方向(D)に沿って延びる部位(211)と、前記第2起立面(62)を含み前記一方向(D)に沿って延びる部位(212)と、これらの部位(211,212)よりも前記一方向(D)の外側に位置し、前記直交方向に沿って延びる部位(213)と、を有し、前記直交方向に沿って延びる部位(213)は、前記被覆部(19)からの高さが前記板状梱包材(13)の厚みよりも大きいことが好ましい。
【0019】
この構成では、前記直交方向に沿って延びる部位(213)は、複数の梱包品が保管、輸送などされる際に高さ方向に段積みされた場合に、上からの荷重を受け止める役割を果たす。また、前記直交方向に沿って延びる部位(213)は、前記被覆部(19)からの高さが前記板状梱包材(13)の厚みよりも大きいことにより、段積みされた梱包品が前記板状梱包材(13)に直接接触しにくくなるので、前記板状梱包材(13)が傷つくのを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の梱包材は、保管、輸送などのために複数の梱包品を配列する際の作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る梱包材を用いて室内機(被梱包物)を梱包した梱包品を示す斜視図である。
【図2】前記梱包材の緩衝梱包材を示す斜視図である。
【図3】(A)は前記緩衝梱包材を示す平面図であり、(B)はその背面図であり、(C)はその底面図である。
【図4】(A)は、前記梱包品の一部を示す平面図であり、(B)は、(A)のIVB−IVB線断面図であり、(C)は、(A)のIVC−IVC線断面図である。
【図5】(A)〜(C)は、前記梱包材により被梱包物を梱包する手順を示す平面図である。
【図6】(A)は、図4(B)の一部を拡大した図であり、(B)は、図4(C)の一部を拡大した図である。
【図7】前記緩衝梱包材の変形例1を示す断面図である。
【図8】(A)は、前記実施形態の変形例2に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す斜視図であり、(B)は、この梱包材の緩衝梱包材と板状梱包材とを別々に描いた斜視図である。
【図9】(A)は、前記実施形態の変形例3に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す平面図であり、(B)は、(A)のIXB−IXB線断面図である。
【図10】(A)は、前記実施形態の変形例4に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す平面図であり、(B)は、(A)のXB−XB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る梱包材10について図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示す本実施形態の梱包材10は、被梱包物としての空気調和機の室内機91(図5(A)参照)を梱包するためのものである。この梱包材10は、一対の緩衝梱包材11(右側緩衝梱包材11R,左側緩衝梱包材11L)と、板状梱包材13とを備えている。本実施形態では、緩衝梱包材11は、発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂の成型品であり、板状梱包材13は、段ボールである。
【0024】
右側緩衝梱包材11Rは、室内機91の長手方向Dの右側の端部91R(図1では手前側の端部)に嵌合されており、左側緩衝梱包材11Lは、室内機91の長手方向Dの左側の端部91L(図1では奥側の端部)に嵌合されている。板状梱包材13は、筒形状に折り曲げられ、室内機91の周囲を囲むように配設されている。
【0025】
図1に示すように、板状梱包材13は、天面部31、底面部32及び一対の側面部33,34を含む筒形状に折り曲げられている。すなわち、板状梱包材13は、断面が長方形となるように、4つの折り曲げ位置(角部)において折り曲げられている。板状梱包材13は、一対の緩衝梱包材11における後述の被覆部19に跨って配設されている。板状梱包材13は、周方向の端部同士が天面部31において突き合わされ、又は重ね合わされており、室内機91の周囲を囲んでいる。
【0026】
天面部31は、長手方向Dに直交する幅方向Wの一方側W1に位置する角部K11において折り曲げられる第1折り曲げ片51と、幅方向Wの他方側W2に位置する角部K12において折り曲げられる第2折り曲げ片52とにより構成されている。板状梱包材13は、被覆部19の各角部に対応する位置において折り曲げやすいように、おおよその折り曲げ位置が予め定められている。具体的には、例えば前記おおよその折り曲げ位置には、予め折り目が付けられている。
【0027】
右側緩衝梱包材11Rと左側緩衝梱包材11Lとは、細部の形状を除いてほぼ左右対称の形状を有しているので、以下では主に右側緩衝梱包材11Rの構造について具体的に説明する。図2、図3(A)〜(C)は、右側緩衝梱包材11Rをそれぞれ示している。なお、以下の説明では、左右の特定が必要な場合を除き、右側緩衝梱包材11Rを単に緩衝梱包材11という。
【0028】
図3(B)に示すように、緩衝梱包材11は、その背面側に、室内機91の対応する端部91に嵌合される凹部111を有している。この凹部111の内面は、室内機91の端部91の外面にフィットする凹凸形状を有している。緩衝梱包材11は、正面視で略長方形である。
【0029】
緩衝梱包材11は、緩衝梱包材11の上面を形成する上面部42と、緩衝梱包材11の下面を形成する下面部43と、緩衝梱包材11の一方の側面を形成する側面部44と、他方の側面を形成する側面部45と、緩衝梱包材11の略長方形の正面を形成する正面部50とを有している。正面部50は、長手方向Dに略垂直な長方形の端面50aを有している。端面50aには、作業者が梱包品を運搬する際に梱包品を把持する把持部95が設けられている。
【0030】
上面部42、下面部43及び一対の側面部44,45は、板状梱包材13が被覆される被覆部19をそれぞれ有している。被覆部19は、上部被覆部19a、下部被覆部19b及び一対の側部被覆部19c,19dを含む。図3(B)に示すように、これらの被覆部19の外形は、背面視で略長方形である。したがって、この略長方形の被覆部19に巻き付けられた板状梱包材13は、その被覆部19の形状に沿って断面が略長方形の筒形状となる。
【0031】
上面部42は、第1折り曲げ片51及び第2折り曲げ片52により被覆される被覆部19aと、この被覆部19aよりも第1折り曲げ片51及び第2折り曲げ片52の厚み方向外側、すなわち上方に突出する一対の凸部21(21a,21b)と、を含む。各凸部21は、平面視で略L字形状を有している(図3(A)参照)。
【0032】
図3(A),(B)及び図4(A),(B)に示すように、幅方向Wの一方側W1の凸部21aは、被覆部19aから上方に起立する第1起立面61を有している。幅方向Wの他方側W2の凸部21bは、被覆部19aから上方に起立する第2起立面62を有している。第1起立面61は、幅方向Wの他方側W2に向いて配設されており、第2起立面62は、幅方向Wの一方側W1に向いて配設されている。第1起立面61及び第2起立面62は、とともに長手方向Dに沿って延びている。本実施形態では、第1起立面61及び第2起立面62は、幅方向Wにほぼ垂直で、かつ、長手方向Dにほぼ平行な面である。
【0033】
また、本実施形態では、各凸部21が平面視で略L字形状を有しているので、図3(A),(B)及び図4(A),(C)に示すように、凸部21aは、第3起立面63をさらに有しており、凸部21bは、第4起立面64をさらに有している。第3起立面63は、第1起立面61よりも長手方向DのD1側に位置し、かつ、幅方向WのW2側に位置している。第4起立面64は、第2起立面62よりも長手方向DのD1側に位置し、かつ、幅方向WのW1側に位置している。
【0034】
第3起立面63は、第1起立面61と同様に、被覆部19aから上方に起立しており、幅方向Wの他方側W2に向いて配設されており、長手方向Dに沿って延びている。また、第4起立面64は、第2起立面62と同様に、被覆部19aから上方に起立しており、幅方向Wの一方側W1に向いて配設されており、長手方向Dに沿って延びている。本実施形態では、第3起立面63及び第4起立面64は、幅方向Wにほぼ垂直で、かつ、長手方向Dにほぼ平行な面である。
【0035】
言い換えると、凸部21は、第1起立面61を含み長手方向Dに沿って延びる部位211と、第2起立面62を含み長手方向Dに沿って延びる部位212と、これらの部位211,212よりも長手方向Dの外側D1に位置し、幅方向Wに沿って延びる部位213と、を有している。この部位213に、第3起立面63及び第4起立面64が形成されている。
【0036】
後述するように、凸部21aの第1起立面61及び第3起立面63は、第1折り曲げ片51の第1縁部71及び第3縁部73がそれぞれ係合する部位であり、凸部21bの第2起立面62及び第4起立面64は、第2折り曲げ片52の第2縁部72及び第4縁部74がそれぞれ係合する部位である。
【0037】
また、部位211,212よりも長手方向Dの外側D1に位置し、幅方向Wに沿って延びる部位213は、複数の梱包品が保管、輸送などされる際に高さ方向に段積みされた場合に、上からの荷重を受け止める役割を果たす。また、この部位213は、被覆部19からの高さが板状梱包材13の厚みよりも大きい。これにより、上に梱包品が段積みされた場合であっても、その梱包品が板状梱包材13に直接接触しにくくなるので、板状梱包材13が傷つくのを抑制できる。
【0038】
第1折り曲げ片51の長手方向Dの端部、及び第2折り曲げ片52の長手方向Dの端部は、緩衝梱包材11の被覆部19aの形状に適合するように設計されている。具体的には、第1折り曲げ片51は、第1起立面61に対向配置されて第1起立面61に当接する第1縁部71と、第3起立面63に対向配置されて第3起立面63に当接する第3縁部73とを有している。第2折り曲げ片52は、第2起立面62に対向配置されて第2起立面62に当接する第2縁部72と、第4起立面64に対向配置されて第4起立面64に当接する第4縁部74とを有している。
【0039】
第1起立面61及び第3起立面63の起立高さ(上下方向の寸法)は、第1縁部71及び第3縁部73の厚みよりも大きい。第2起立面62及び第4起立面64の起立高さは、第2縁部72及び第4縁部74の厚みよりも大きい。第1起立面61、第2起立面62、第3起立面63及び第4起立面64は、被覆部19aとのなす角度がほぼ直角である。
【0040】
本実施形態では、梱包材10を用いて、次のような手順で室内機91の梱包作業が行われる。まず、図5(A),(B)に示すように、室内機91における長手方向Dの端部91R,91Lに緩衝梱包材11R,11Lをそれぞれ嵌合する。この状態では、図5(B)に示すように、室内機91の端部91R,91Lに嵌合された一対の緩衝梱包材11R,11Lは、互いに離隔している。したがって、室内機91の両端部91R,91L以外の部分は、緩衝梱包材11では覆われていない。
【0041】
ついで、折り曲げられていない展開した状態の板状梱包材13を、緩衝梱包材11及び室内機91の下に配置し、室内機91の周囲を囲むように筒形状に折り曲げる(図5(C)参照)。この状態では、板状梱包材13は、右側緩衝梱包材11Rの被覆部19と左側緩衝梱包材11Lの被覆部19との間に跨るように配置され、これらの被覆部19を覆っている。天面部31において第1折り曲げ片51及び第2折り曲げ片52は、互いの端部同士が突き合わされ又は重ね合わされており、所定の接合位置S1に配置されている。
【0042】
この接合位置S1においては、図4(B)に示すように、第1折り曲げ片51の第1縁部71は、凸部21aの第1起立面61に対向配置された状態にあり、第1起立面61に当接している。また、第2折り曲げ片52の第2縁部72は、凸部21bの第2起立面62に対向配置された状態にあり、第2起立面62に当接している。また、図4(C)に示すように、第1折り曲げ片51の第3縁部73は、凸部21aの第3起立面63に対向配置された状態にあり、第3起立面63に当接している。また、第4折り曲げ片54の第4縁部74は、凸部21bの第4起立面64に対向配置された状態にあり、第4起立面64に当接している。
【0043】
ここで、第1折り曲げ片51が接合位置S1の状態から折り曲げられる前の状態に戻る方向に移動するには、図6(A)に示すように、第1折り曲げ片51は、第1折り曲げ片51の角部K1を中心として円弧軌道を描きながら、位置S2,S3の方向に回動する必要がある。
【0044】
仮にこの回動動作が生じた場合、この動作に伴って第1縁部71は、第1折り曲げ片51の角部K1を中心とした円弧軌道に沿って移動することになる。このような円弧軌道に沿った第1縁部71の移動が生じるためには、図6(A)に示すように、第1縁部71の位置は、上方に変位しつつ第1折り曲げ片51の角部K1側(幅方向WのW1側)にも変位する必要があり、図6(B)に示すように、第3縁部73の位置は、上方に変位しつつ第1折り曲げ片51の角部K1側にも変位する必要がある。
【0045】
ところが、本実施形態では、第1縁部71は、接合位置S1にあるときには第1起立面61に当接した状態にあり、しかも第1起立面61の起立高さは第1縁部71の厚みよりも大きいので、第1折り曲げ片51の角部K1側への第1縁部71の変位は、第1起立面61によって規制されている。すなわち、第1縁部71は、第1起立面61によって前記円弧軌道に沿った移動が規制されている。同様に、第3縁部73は、接合位置S1にあるときには第3起立面63に当接した状態にあり、しかも第3起立面63の起立高さは第3縁部73の厚みよりも大きいので、第1折り曲げ片51の角部K1側への第3縁部73の変位は、第3起立面63によって規制されている。
【0046】
したがって、第1折り曲げ片51を接合位置S1に配置して第1縁部71を第1起立面61に当接して係合させ、第3縁部73を第3起立面63に当接して係合させることによって、第1折り曲げ片51を接合位置S1に仮止めすることができる。第2折り曲げ片52についても同様に、接合位置S1においては、第2縁部72が第2起立面62に当接して係合し、第4縁部74が第4起立面64に当接して係合するので、第2折り曲げ片52を接合位置S1に仮止めすることができる。これにより、接合位置S1において作業者が第1折り曲げ片51及び第2折り曲げ片52を手で押さえる動作が不要になる。
【0047】
最後に、第1折り曲げ片51と第2折り曲げ片52の端部同士は、例えば粘着テープなどを用いて互いに接合される。これにより、梱包品が完成する。
【0048】
(変形例1)
図7は、前記実施形態における緩衝梱包材11の変形例を示す断面図である。この変形例では、第1起立面61及び第2起立面62は、被覆部19aの表面とのなす角度θが鋭角となるように傾斜している。図7には図示していないが、第3起立面63及び第4起立面64についても同様に、被覆部19aの表面とのなす角度が鋭角であってもよい。
【0049】
この変形例では、前記角度θが直角である場合と比較して、第1折り曲げ片51及び第2折り曲げ片52の回動を規制する効果をさらに高めることができる。
【0050】
(変形例2)
図8(A)は、前記実施形態の変形例2に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す斜視図であり、図8(B)は、この梱包材の緩衝梱包材と板状梱包材とを別々に描いた斜視図である。
【0051】
図4(A)に示す前記実施形態では、凸部21aと凸部21bとが離れて配置されていたが、この変形例2では、凸部21aと凸部21bとが長手方向DのD1側において互いにつながっている。したがって、この変形例2では、幅方向Wに沿って延びる部位213の領域を大きくすることができるので、高さ方向に他の梱包品が段積みされる際に、より大きな荷重を安定して受け止めることができる。
【0052】
(変形例3)
図9(A)は、前記実施形態の変形例3に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す平面図であり、図9(B)は、(A)のIXB−IXB線断面図である。
【0053】
この変形例3では、図4(A)に示す前記実施形態のように凸部21がL字形状ではなく、平面視で略長方形である。この変形例3では、第1起立面61に第1縁部71が当接し、第2起立面62に第2縁部72が当接する。
【0054】
(変形例4)
図10(A)は、前記実施形態の変形例4に係る梱包材を用いて被梱包物を梱包した梱包品を示す平面図であり、図10(B)は、(A)のXB−XB線断面図である。
【0055】
この変形例4では、図4(A)に示す前記実施形態のように凸部21が緩衝梱包材11の長手方向Dの最端部に配置されているのではなく、凸部21a,21bが長手方向Dの最端部からD2側にずれた位置に配置されている。そして、この位置に合わせて板状梱包材13に一対の貫通穴が設けられており、これらの貫通穴に凸部21a,21bがそれぞれ嵌め込まれる。嵌め込まれた状態では、第1起立面61に第1縁部71が当接し、第2起立面62に第2縁部72が当接する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0057】
例えば、前記実施形態では、緩衝梱包材11が発泡ポリスチレンなどの発泡樹脂の成型品であり、板状梱包材13が段ボールである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。緩衝梱包材11及び板状梱包材13としては、発泡樹脂成型品及び段ボールと同様の機能を有するものであれば、他の梱包材を採用することもできる。
【0058】
また、前記実施形態では、一対の緩衝梱包材11が被梱包物の長手方向Dの両端部に嵌合される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。一対の緩衝梱包材11は、被梱包物の例えば長手方向に直交する幅方向の両端部に嵌合されてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、天面部31において板状梱包材13の端部同士が突き合わされ又は重ね合わされる場合を例示したが、これに限定されない。板状梱包材13の端部同士は、底面部32や側面部33(34)などにおいて突き合わされ又は重ね合わされていてもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、被梱包物が室内機である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0061】
10 梱包材
11 緩衝梱包材
13 板状梱包材
19 被覆部
21 凸部
31 天面部
32 底面部
33,34 側面部
51 第1折り曲げ片
52 第2折り曲げ片
61 第1起立面
62 第2起立面
63 第3起立面
64 第4起立面
71 第1縁部
72 第2縁部
73 第3縁部
74 第4縁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を梱包するための梱包材であって、
前記被梱包物における予め定められた一方向(D)の両端部にそれぞれ嵌合可能な一対の緩衝梱包材(11)と、
天面部(31)、底面部(32)及び一対の側面部(33,34)を形成するように筒形状に折り曲げられ、前記天面部(31)、前記底面部(32)及び前記一対の側面部(33,34)のうちのいずれか1つの表面部において周方向の端部同士が突き合わされ又は重ね合わされることにより、前記被梱包物の周囲を囲むとともに前記一対の緩衝梱包材(11)に跨って配設される板状梱包材(13)と、を備え、
前記表面部は、前記一方向(D)に直交する直交方向の一方側(W1)に位置する角部(K1)において折り曲げられる第1折り曲げ片(51)と、前記直交方向の他方側(W2)に位置する角部(K2)において折り曲げられる第2折り曲げ片(52)と、により構成されており、
各緩衝梱包材(11)は、前記第1折り曲げ片(51)及び前記第2折り曲げ片(52)により被覆される被覆部(19)と、前記被覆部(19)よりも前記第1折り曲げ片(51)及び前記第2折り曲げ片(52)の厚み方向外側に突出する凸部(21)と、を含み、
前記凸部(21)は、前記被覆部(19)から起立して前記直交方向の前記他方側(W2)に向いているとともに前記一方向(D)に沿って延びる第1起立面(61)と、前記被覆部(19)から起立して前記直交方向の前記一方側(W1)に向いているとともに前記一方向(D)に沿って延びる第2起立面(62)と、を有し、
前記第1折り曲げ片(51)は、前記第1起立面(61)に対向配置されて前記第1起立面(61)に当接する第1縁部(71)を有し、
前記第2折り曲げ片(52)は、前記第2起立面(62)に対向配置されて前記第2起立面(62)に当接する第2縁部(72)を有し、
前記第1起立面(61)の起立高さは、前記第1縁部(71)の厚みよりも大きく、前記第2起立面(62)の起立高さは、前記第2縁部(72)の厚みよりも大きい、梱包材。
【請求項2】
前記第1起立面(61)及び前記第2起立面(62)は、前記被覆部(19)の表面とのなす角度(θ)が鋭角となるように傾斜している、請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記凸部(21)は、
前記第1起立面(61)を含み前記一方向(D)に沿って延びる部位(211)と、
前記第2起立面(62)を含み前記一方向(D)に沿って延びる部位(212)と、
これらの部位(211,212)よりも前記一方向(D)の外側に位置し、前記直交方向に沿って延びる部位(213)と、を有し、
前記直交方向に沿って延びる部位(213)は、前記被覆部(19)からの高さが前記板状梱包材(13)の厚みよりも大きい、請求項1又は2に記載の梱包材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−116504(P2012−116504A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266587(P2010−266587)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】