説明

梱包用パレットおよび梱包装置

【課題】モータ、コンプレッサや発電機等の重量物を梱包可能であって、回収コストを低く抑えることが可能な梱包用パレットおよび梱包装置の提供。
【解決手段】プレス成型された梱包用パレット2であって、コンプレッサを載置するデッキ部7とこのデッキ部7を支持する複数の脚部8a,8bとを備え、脚部8a,8bは、デッキ部7側が開放された開口部9a,9bと、中心部が脚部8a,8bの底面10a,10bからデッキ部7に向かって立ち上げられコンプレッサをその重心軸上で支持する支持部11a,11bとを有し、かつ脚部8a,8bの底面側は、開口部9a,9bおよび支持部11a,11bと嵌合可能な形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、コンプレッサや発電機等の重量物の梱包用パレットおよび梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場で生産された包装貨物の保管・輸送・出荷用として段ボール箱、プラスチックコンテナ、パレットトレイ等の様々な包装物流部材が使用されている。工場からユーザである完成品メーカに出荷されるモータ、コンプレッサ(冷蔵庫用、カーエアコン用)や発電機等の部品の場合、工場から工場への工場間輸送であり、パレットにて集合包装する形態が多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、木枠で形成されたパレットと、このパレット上に敷かれた支持板と、この支持板上に搭載された多数の重量物と、この重量物上に配置された中間支持板と、この中間支持板上に搭載された多数の重量物と、この重量物上に配置された天板とで段積みされる重量物の梱包装置が記載されている。なお、支持板は、重量物のベース形状に合致した凹所を有する強化ダンボールで形成されたものであり、中間支持板は、上側に配置された前記支持板と下側に配置され重量物の上部形状に合致した切欠を有する箱状のダンボールとを接着して形成されたものである。
【0004】
また、特許文献2には、熱可塑性プラスチック材料からなる上シートおよび下シートから成形されたパレットが記載されている。パレットは、9つの脚により支持面の上方に一定の距離を隔てて支持されたパレットデッキを有している。脚は、水平断面がほぼ楕円形のシェルであり、上シートおよび下シートの融着により形成されたものである。また、各脚には、大きな剛性を与えるため、側壁に一連のリブが形成されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−41077号公報
【特許文献2】特開平9−183437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、特許文献1,2に記載のパレット等の包装材のリターナブル化が環境対応の面から強く求められているが、包装材をリターナブル化する場合、その回収コストが問題となる。例えば、特許文献1に記載の梱包装置では、木枠で形成されたパレットが厚く、回収時に各パレットを重ねると各パレットの厚さの合計の厚さとなってしまうため、回収時の輸送費が高くなる。
【0007】
一方、特許文献2に記載のパレットであれば、回収時には下のパレットの脚内側の空間部分に上のパレットの脚の部分を嵌め込んで重ねることにより、重ねたパレットの合計の厚さを小さくすることが可能である。しかしながら、このように脚内側に空間部分を有するパレットでは、例えリブで補強しても脚の強度がそれほど高められないため、モータ、コンプレッサや発電機等の重量物を輸送するのには適さない。
【0008】
そこで、本発明においては、モータ、コンプレッサや発電機等の重量物を梱包可能であって、回収コストを低く抑えることが可能な梱包用パレットおよび梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の梱包用パレットは、プレス成型された梱包用パレットであって、重量物を載置するデッキ部とこのデッキ部を支持する複数の脚部とを備え、脚部は、デッキ部側が開放された開口部と、中心部が脚部の底面からデッキ部に向かって立ち上げられ重量物をその重心軸上で支持する支持部とを有し、かつ脚部の底面側は、開口部および支持部と嵌合可能な形状としたものである。
【0010】
本発明の梱包用パレットによれば、脚部の中心部が脚部の底面からデッキ部に向かって立ち上げられ重量物をその重心軸上で支持する支持部であることにより、この脚部の中心部(支持部)がデッキ部の重量物と接触し、この重量物の重心軸上でその重量を受けて、脚部の底面まで伝えて支持する。このとき、支持部は、プレス成型されたものであるため、重量物の重量に耐えうる。また、回収時に梱包用パレットを重ねると、一方の梱包用パレットの脚部の底面側に、もう一方の梱包用パレットの開口部および支持部が嵌合するので、重ねた梱包用パレットの合計の厚さが小さくなる。
【0011】
支持部は、重量物の形状に合致した凸部または凹部を有することが望ましい。デッキ部の重量物と接触し、この重量物をその重心軸上で支持する支持部が、重量物の形状に合致した凸部または凹部を有することにより、この凸部または凹部に重量物が係合する。これにより、重量物はその重心軸上で支持部に固定され、梱包時に動かなくなる。
【0012】
脚部の外側に梱包用のバンドを掛ける溝部を有することが望ましい。重量物をその重心軸上で支持する脚部の外側の溝部に梱包用のバンドを掛けて固定することにより、重量物がその重心軸上で固定され、梱包時に動かなくなる。
【0013】
本発明の梱包装置は、上記梱包用パレットと、この梱包用パレットの支持部と同じ軸上の上下両面に重量物の形状に合致した凸部または凹部をそれぞれ有する第1トレイとから構成されるものである。
【0014】
本発明の梱包装置では、上記梱包用パレットの支持部上に上記のように重量物を配置し、この上に第1トレイを配置し、この第1トレイ上に重量物を配置する。さらに、必要に応じて第1トレイ、重量物を順次配置し、最上段の重量物上に第1トレイを配置することにより、梱包物を形成する。梱包用パレットの支持部上の重量物は、この梱包用パレットの支持部と同じ軸上の第1トレイの下面の凸部または凹部に係合する。また、上下2つの第1トレイ間に配置された重量物は、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の第1トレイの下面および上面の凸部または凹部に係合する。これにより、段積みされた重量物の重量は、すべて同じ軸上の第1トレイの上面および下面の凸部または凹部、および梱包用パレットの支持部によってその重心軸上で受けられ、脚部の底面まで伝えられて支持される。
【0015】
ここで、第1トレイの上面は、脚部底面の凹部と嵌り合う形状であることが望ましい。これにより、上記のように重量物が段積みされて形成された梱包物の最上面に配置された第1トレイの上面に、さらに上記梱包用パレットを配置して梱包物を重ね積みすることが可能となる。このとき、第1トレイの上面に配置される梱包用パレットは、その脚部底面の凹部が第1トレイの上面と係合するので、動かない。
【0016】
本発明の梱包装置は、さらに、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の下面に重量物の形状に合致した凸部または凹部を有する天蓋とから構成されるものとすれば、上記梱包用パレットの支持部上に上記のように重量物を配置し、必要に応じて第1トレイ、重量物を順次配置し、最上段の重量物上に天蓋を配置することにより、梱包物を形成することができる。最上段の重量物は、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の天蓋の下面の凸部または凹部に係合する。
【0017】
また、天蓋の上面についても、前述の第1トレイの上面と同様に、脚部底面の凹部と嵌り合う形状であることが望ましい。これにより、上記のように重量物が段積みされて形成された梱包物の最上面に配置された天蓋の上面に、さらに上記梱包用パレットを配置して梱包物を重ね積みすることが可能となる。このとき、天蓋の上面に配置される梱包用パレットは、脚部底面の凹部が天蓋の上面と係合するので、動かない。
【0018】
また、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の天蓋の上面に、梱包用のバンドを掛ける溝部を有することが望ましい。重量物をその重心軸上で支持する支持部と同じ軸上の天蓋の上面の溝部に梱包用のバンドを掛けて固定することにより、重量物がその重心軸上で固定され、梱包時に動かなくなる。
【0019】
ところで、重量物は、本発明の梱包用パレット上に直に載置したり、この梱包用パレット上に第1トレイを載置し、この上に重量物を載置したりすることができるが、この梱包用パレット上に、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の上面に重量物の形状に合致した凸部または凹部を有し、かつ下面に梱包用パレットの支持部の形状に合致した凸部または凹部を有する第2トレイを載置し、この上に重量物を載置することもできる。
【発明の効果】
【0020】
(1)プレス成型された梱包用パレットであって、重量物を載置するデッキ部とこのデッキ部を支持する複数の脚部とを備え、脚部は、デッキ部側が開放された開口部と、中心部が脚部の底面からデッキ部に向かって立ち上げられ重量物を支持する支持部とを有し、かつ脚部の底面側は、開口部および支持部と嵌合可能な形状としたことにより、重量物を脚部の中心部が脚部の底面からデッキ部に向かって立ち上がった支持部により支持して梱包することが可能となる。また、回収時には梱包用パレットを重ねることにより、パレットの合計の厚さを小さくして回収コストを低く抑えることが可能となる。
【0021】
(2)支持部が、重量物の形状に合致した凸部または凹部を有することにより、この凸部または凹部に重量物が係合し、重量物はその重心軸上で支持部に固定され、梱包時に動かなくなるので、支持部が重量物の重心軸上から外れることがなく、より安定して重量物を支持した状態で梱包することが可能となる。
【0022】
(3)上記梱包用パレットと、この梱包用パレットの支持部と同じ軸上の上下両面に重量物の形状に合致した凸部または凹部をそれぞれ有する第1トレイとから構成される梱包装置により、段積みされた重量物の重量は、すべて同じ軸上の第1トレイの上面および下面の凸部または凹部、および梱包用パレットの支持部によってその重心軸上で受けられ、脚部の底面まで伝えられて支持されるので、安定した状態で重量物を梱包することができる。
【0023】
(4)さらに、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の下面に重量物の形状に合致した凸部または凹部を有する天蓋によって、上記梱包用パレットの支持部上に上記のように重量物を配置し、必要に応じて第1トレイ、重量物を順次配置し、最上段の重量物上に天蓋を配置することにより、梱包物を形成することができる。最上段の重量物は、梱包用パレットの支持部と同じ軸上の天蓋の下面の凸部または凹部に係合するので動かず、安定する。
【0024】
(5)第1トレイの上面または天蓋の上面が、脚部底面の凹部と嵌り合う形状であることにより、上記のように重量物が段積みされて形成された梱包物の最上面に配置された第1トレイまたは天蓋の上面に、さらに上記梱包用パレットを配置して梱包物を重ね積みすることが可能となる。このとき、第1トレイまたは天蓋の上面に配置される梱包用パレットは、その脚部底面の凹部が第1トレイまたは天蓋の上面と係合するので動かず、重ね積みされた梱包物は安定する。
【0025】
(6)脚部の外側、または梱包用パレットの支持部と同じ軸上の天蓋の上面に梱包用のバンドを掛ける溝部を有することより、この溝部に梱包用のバンドを掛けて固定すると、重量物がその重心軸上で固定され、梱包時に動かなくなるので、支持部が重量物の重心軸上から外れることがなく、より安定して重量物を支持した状態で梱包することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの梱包物の斜視図、図2はパレット上にトレイおよびコンプレッサを載置する状態を示す斜視図、図3は図2のパレットの斜視図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図、図6は図3のC−C線断面図、図7はパレットの重ね合わせ状態を示す図3のB−B線断面図、図8は図2のトレイの部分拡大図、図9はトレイ上にコンプレッサを載置した状態を示す部分斜視図、図10はコンプレッサによって挟持されるトレイを示す部分断面図、図11は図1の梱包物の部分断面図、図12は段積みされた梱包物の斜視図、図13は図12の段積みされた梱包物の部分断面図である。
【0027】
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態における重量物としてのコンプレッサ1を梱包するための梱包装置は、プレス成型されたパレット2、同じくプレス成型された複数のトレイ3、バンド4および保護カバ5から構成される。トレイ3は同じものであり、最上段を除くトレイ3上には、5列×4列の計20台のコンプレッサ1が載置される。コンプレッサ1が載置されたトレイ3はパレット2上に複数段積み重ねられ、さらに最上段のコンプレッサ1の上にトレイ3が被せられ、バンド4にて一体に結束されて梱包物6となる。
【0028】
図3に示すように、パレット2は、矩形平板状のデッキ部7と、このデッキ部7の4つの角部にデッキ部7を支持する脚部8aとを備える。デッキ部7の裏面には補強用のリブ7a(図4〜図6参照。)が設けられている。また、デッキ部7の長手方向の脚部8a,8a間の中央には、脚部8aと同じ脚部8bを備える。デッキ部7の短手方向の脚部8a,8a間および脚部8b,8b間のそれぞれの中央には、脚部8aと同様の脚部8cを備える。
【0029】
図4、図5および図6に示すように、脚部8a,8b,8cは、いずれも二股形状であり、デッキ部7側がそれぞれ2箇所開放されている(開口部9a,9b,9c)。また、脚部8a,8bは、その中心部がそれぞれの脚部8a,8bの底面10a,10bからデッキ部7に向かって立ち上げられた支持部11a,11bを備える。
【0030】
支持部11a,11bは、デッキ部7上に突出している。デッキ部7上に突出した支持部11a,11bは、このデッキ部7上にトレイ3を介して載置される各コンプレッサ1の重心軸上に形成され、コンプレッサ1をその重心軸上で支持する。なお、デッキ部7上には、脚部8a,8b以外の部分にも、トレイ3を介して載置される各コンプレッサ1の重心軸上に、それぞれ支持部11a,11bの上端部と同形状の突起部11cが形成されている。
【0031】
また、支持部11a,11bの底面側は開放され、中は空洞12a,12b,12cとなっており、脚部8a,8b,8cの底面側は、図7に示すように、複数のパレット2を同じ方向に重ねたときに開口部9a,9b,9cおよび支持部11a,11bと嵌合可能な形状となっている。なお、デッキ部7上には突起部11cが突出しているが、パレット2を重ねた際、突起部11cは、デッキ部7の裏面の補強用リブ7aによって形成された空間13内に収容される。
【0032】
また、パレット2のデッキ部7の4隅には、トレイ3をパレット2上に置いた際にトレイ3の角部内側と係合する突起14が形成されている。これにより、パレット2上に置いたトレイ3が固定され、動かないようになる。また、この突起14は、図7に示すようにパレット2同士を重ねたときにも、各パレット2の角部内側と係合する。なお、梱包用のバンド4は、図5および図6に示すように、二股形状の脚部8a,8b,8cの外側の溝部15に掛けるようになっている。
【0033】
図8に示すように、トレイ3の上面には、5列×4列の計20箇所のコンプレッサ収容部20が形成されている。コンプレッサ収容部20は、パレット2上の支持部11a,11bおよび突起部11cに対応する位置に形成されている。なお、コンプレッサ収容部20には、あらゆる種類のコンプレッサ1の形状に合致する凸部または凹部が形成されており、図9に示すようにコンプレッサ1を収容した際、コンプレッサ1がこれらの凸部または凹部に嵌り合うことによってコンプレッサ1が固定されるようになっている。
【0034】
また、トレイ3の下面には、図10に示すようにコンプレッサ1の形状に合致してこのコンプレッサ1の頭頂部1aと嵌り合うとともに、図11に示すようにパレット2上に置いた際にパレット2上の支持部11a,11bおよび突起部11cの上面と当接する凹部21が形成されている。また、この凹部21の裏面側(トレイ3の上面側)には、トレイ3の上面のコンプレッサ収容部20に収容されたコンプレッサ1の下底部1bが当接する。
【0035】
これにより、図11に示すように、パレット2上に置いたトレイ3の下面の凹部21はパレット2上の支持部11aと当接し、この凹部21のトレイ3の上面側にはこのトレイ3上に置いたコンプレッサ1の下底部1bが当接する。また、このコンプレッサ1上に置いたトレイ3の下面の凹部21はコンプレッサ1の頭頂部1aと当接し、この凹部21のトレイ3の上面側のコンプレッサ収容部20にはこのトレイ3上に置いたコンプレッサ1の下底部1bが当接する。すなわち、トレイ3は上下からコンプレッサ1によって挟持される。
【0036】
上記構成により、コンプレッサ1をパレット2に積み重ねるときは、トレイ3の角部内側をパレット2の突起14に係合させて載置し、コンプレッサ1をトレイ3に形成したコンプレッサ収容部20に収容する。そして、このコンプレッサ1の上にトレイ3を載置し、さらにコンプレッサ1をトレイ3に形成したコンプレッサ収容部20に収容する。順次この作業を繰り返して複数段積み重ね、最上段のコンプレッサ1にトレイ3を載せ置くことにより、図11に示す段積みが完成する。
【0037】
この段積み状態では、パレット2の6箇所の脚部8a,8bの真上に、各トレイ3を介して連続的に当接して連なるコンプレッサ1の荷重が掛かり、この荷重は脚部8a,8bの底面10a,10bからデッキ部7に向かって立ち上げられた支持部11a,11bによって底面10a,10bまで伝えて支持される。これにより、肉厚大な鉄板で造られた剛性大なコンプレッサ1がパレット2の6本の柱となる。
【0038】
また、トレイ3には、パレット2の支持部11a,11bと同じ軸上の上下両面にコンプレッサ1の形状に合致した凸部または凹部としてのコンプレッサ収容部20および凹部21を有するので、段積みされたコンプレッサ1の重量は、すべて同じ軸上のトレイ3の上面および下面のコンプレッサ収容部20および凹部21、並びにパレット2の支持部11a,11bによってその重心軸上で受けられ、脚部8a,8bの底面10a,10bまで伝えられて支持されるので、安定した状態で梱包される。さらに、梱包用のバンド4を、この二股形状の脚部8a,8bの中心の溝部15に掛けて締め上げることにより、図1に示す梱包物6は6本の柱の重心軸上で一体に結束された高強度の包装集合体となる。
【0039】
なお、パレット2の脚部8a,8bの底面10a,10bには凹部16が形成されているが、この凹部16は、図1に示す梱包物6を図12に示すように段積みする際、最上段のトレイ3のコンプレッサ収容部20と係合し、嵌り込むものである。図13はこの係合部分の断面図である。したがって、梱包物6を段積みした場合にも、脚部8a,8bの真上に各トレイ3およびパレット2の脚部8a,8bを介して連続的に当接して連なるコンプレッサ1の荷重が掛かり、この荷重は最も下の脚部8a,8bの底面10a,10bからデッキ部7に向かって立ち上げられた支持部11a,11bによって底面10a,10bまで伝えて支持される。
【0040】
また、本実施形態におけるパレット2は、回収時には重ねると、一方のパレット2の脚部8a,8b,8cの底面側に、もう一方のパレット2の開口部9a,9b,9cおよび支持部11a,11bが嵌合するので、重ねたパレット2の合計の厚さが小さくなる。したがって、回収時にはパレット2を重ねることにより、パレット2の合計の厚さを小さくして回収コストを低く抑えることが可能である。
【0041】
なお、本実施形態においては、コンプレッサ1上に重ねて置くトレイ3と、パレット2上に置くトレイ3とを同じ形状のものとしたが、これらは異なる形状とすることも可能である。要するに、コンプレッサ1上に重ねて置くトレイ3を、パレット2の支持部11a,11bと同じ軸上の上下両面にコンプレッサ1の形状に合致した凸部または凹部を有する第1トレイとし、パレット2上に置くトレイ3を、パレット2の支持部11a,11bと同じ軸上の上面にコンプレッサ1の形状に合致した凸部または凹部を有し、かつ下面にパレット2の支持部11a,11bの形状に合致した凸部または凹部を有する第2トレイとすることもできる。
【0042】
(実施の形態2)
図14は本発明の第2実施形態におけるコンプレッサの梱包物の斜視図、図15はパレット上にコンプレッサを載置する状態を示す斜視図、図16はパレットの斜視図、図17は図16のパレットの部分拡大図、図18はパレット上にコンプレッサを載置した状態を示す部分斜視図、図19は天蓋の部分拡大図、図20は天蓋上にパレットを載置する状態を示す部分斜視図である。
【0043】
図14および図15に示すように、本発明の第2実施形態における梱包装置は、第1実施形態におけるパレット2に代えてパレット30を用いたものである。また、第1実施形態における最上段のトレイ3に代えて天蓋40を用いる。なお、パレット30は、パレット2とトレイ3の両方の機能を兼ね備えたものであり、コンプレッサ1はトレイ3を用いることなく、パレット30上に直接載置される。
【0044】
図16に示すように、パレット30は、矩形平板状のデッキ部31に第1実施形態における脚部8a,8b,8cと同様の脚部32a,32b,32cを備え、この脚部32a,32b,32cのデッキ部31側には5列×1列の計20箇所のコンプレッサ収容部33a,33bが形成されている。なお、脚部32a,32b,32cと第1実施形態における脚部8a,8b,8cとの相違点については後述する。
【0045】
図17に示すように、コンプレッサ収容部33aは、デッキ部31の4つの角部の脚部32aと、デッキ部31の長手方向の脚部32a,32a間の中央の脚部32bの位置に設けられている。脚部32a,32bは、その中心部がそれぞれの脚部32a,32bの底面からデッキ部31に向かって立ち上げられた支持部34を備える。コンプレッサ収容部33aは、この支持部34の中央にコンプレッサ1の下底部1bが嵌り込む凹部35aを形成したものである。図18はコンプレッサ収容部33aにコンプレッサ1を収容した状態を示している。なお、コンプレッサ収容部33bの中央にも、コンプレッサ1の下底部1bが嵌り込む凹部35bを備える。
【0046】
天蓋40は、図19に示すように、裏面にコンプレッサ1の頭頂部1aに覆い被さるように嵌り込む凹部が形成されたキャップ部41と、各キャップ部41を井形に連結するリブ42とを有する。一方、パレット30の脚部32a,32b,32cには、梱包物を段積みできるように、図20に示すように、この天蓋40のリブ42上に重ねたときに、リブ42に嵌り込む凹部36が形成されている。また、脚部32a,32bに対応する位置のリブ42の端部には、バンド4を掛けたときにバンド4がずれないように凸状のストッパ43が形成されている。
【0047】
上記構成により、コンプレッサ1をパレット30に積み重ねるときは、コンプレッサ1をパレット30のコンプレッサ収容部33aに直に収容する。そして、このコンプレッサ1の上にトレイ3を載置し、さらにコンプレッサ1をトレイ3に形成したコンプレッサ収容部20に収容する。順次この作業を繰り返して複数段積み重ね、最上段のコンプレッサ1に天蓋40を載せ置くことにより、図14に示す段積みが完成する。
【0048】
この段積み状態でも、第1実施形態と同様に、パレット30の6箇所の脚部32a,32bの真上に、各トレイ3を介して連続的に当接して連なるコンプレッサ1の荷重が掛かり、この荷重は脚部32a,32bの底面からデッキ部31に向かって立ち上げられた支持部34によって底面まで伝えて支持される。また、梱包用のバンド4を、第1実施形態と同様にこの脚部32a,32bの中心の溝部に掛け、さらにリブ42上の凸状のストッパ43に掛けて締め上げることにより、梱包物は6本の柱の重心軸上で一体に結束された高強度の包装集合体となる。
【0049】
また、この梱包物を段積みする際、天蓋40とパレット30の脚部32a,32bの凹部36が嵌り込むので、脚部32a,32bの真上に各トレイ3、パレット30の脚部8a,8bおよび天蓋40を介して連続的に当接して連なるコンプレッサ1の荷重が掛かり、この荷重は最も下の脚部32a,32bの底面からデッキ部31に向かって立ち上げられた支持部34によって底面まで伝えて支持される。
【0050】
なお、上記第1実施形態および第2実施形態におけるパレット2,30、トレイ3、天蓋40は、適宜組み合わせて使用することが可能である。また、本実施形態におけるコンプレッサ1を梱包した梱包物の重量は約900kg程度であるが、本実施形態におけるパレット2,30は、プレス成型された梱包用パレットであって、各脚部8a,8b,32a,32bの中心部がそれぞれの脚部8a,8b,32a,32bの底面10a,10bからデッキ部7,31に向かって立ち上げられた支持部11a,11b,34であり、コンプレッサ1の重量をこの支持部11a,11b,34により底面まで伝えて支持するので充分にこの重量に耐えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る梱包用パレットおよび梱包装置は、モータ、コンプレッサや発電機等の重量物を梱包するための梱包用パレットおよび梱包装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態におけるコンプレッサの梱包物の斜視図である。
【図2】パレット上にトレイおよびコンプレッサを載置する状態を示す斜視図である。
【図3】図2のパレットの斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】図3のC−C線断面図である。
【図7】パレットの重ね合わせ状態を示す図3のB−B線断面図である。
【図8】図2のトレイの部分拡大図である。
【図9】トレイ上にコンプレッサを載置した状態を示す部分斜視図である。
【図10】コンプレッサによって挟持されるトレイを示す部分断面図である。
【図11】図1の梱包物の部分断面図である。
【図12】段積みされた梱包物の斜視図である。
【図13】図12の段積みされた梱包物の部分断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態におけるコンプレッサの梱包物の斜視図である。
【図15】パレット上にコンプレッサを載置する状態を示す斜視図である。
【図16】パレットの斜視図である。
【図17】図16のパレットの部分拡大図である。
【図18】パレット上にコンプレッサを載置した状態を示す部分斜視図である。
【図19】天蓋の部分拡大図である。
【図20】天蓋上にパレットを載置する状態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 コンプレッサ
1a 頭頂部
1b 下底部
2,30 パレット
3 トレイ
4 バンド
5 保護カバ
6 梱包物
7,31 デッキ部
7a リブ
8a,8b,8c,32a,32b,32c 脚部
9a,9b,9c 開口部
10a,10b 底面
11a,11b,34 支持部
11c 突起部
12a,12b,12c 空洞
13 空間
14 突起
15 溝部
16,21,35a,35b,36 凹部
20,33a,33b コンプレッサ収容部
40 天蓋
41 キャップ部
42 リブ
43 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成型された梱包用パレットであって、
重量物を載置するデッキ部とこのデッキ部を支持する複数の脚部とを備え、
前記脚部は、前記デッキ部側が開放された開口部と、中心部が脚部の底面から前記デッキ部に向かって立ち上げられ前記重量物をその重心軸上で支持する支持部とを有し、かつ前記脚部の底面側は、前記開口部および支持部と嵌合可能な形状とした梱包用パレット。
【請求項2】
前記支持部は、前記重量物の形状に合致した凸部または凹部を有することを特徴とする請求項1記載の梱包用パレット。
【請求項3】
前記脚部の外側に梱包用のバンドを掛ける溝部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の梱包パレット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の梱包用パレットと、この梱包用パレットの支持部と同じ軸上の上下両面に前記重量物の形状に合致した凸部または凹部をそれぞれ有する第1トレイとから構成される梱包装置。
【請求項5】
前記第1トレイの上面は、前記脚部底面の凹部と嵌り合う形状としたことを特徴とする請求項4記載の梱包装置。
【請求項6】
さらに、前記梱包用パレットの支持部と同じ軸上の下面に前記重量物の形状に合致した凸部または凹部を有する天蓋とから構成される請求項4または5に記載の梱包装置。
【請求項7】
前記天蓋の上面は、前記脚部底面の凹部と嵌り合う形状としたことを特徴とする請求項6に記載の梱包装置。
【請求項8】
前記梱包用パレットの支持部と同じ軸上の前記天蓋の上面に、梱包用のバンドを掛ける溝部を有することを特徴とする請求項6または7に記載の梱包装置。
【請求項9】
前記梱包用パレット上に、前記梱包用パレットの支持部と同じ軸上の上面に前記重量物の形状に合致した凸部または凹部を有し、かつ下面に前記梱包用パレットの支持部の形状に合致した凸部または凹部を有する第2トレイを備えた請求項4から8のいずれかに記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−27706(P2006−27706A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212031(P2004−212031)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(599115170)
【Fターム(参考)】