梱包箱
【課題】梱包箱において、物品搭載面部に対して物品を保持するフィルムの弛みを調整する。
【解決手段】梱包箱は、外装部20と、外装部20の内部に配置される梱包具10とを備え、梱包具10は、物品100が搭載される物品搭載面部11と、物品搭載面部11の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部16と、を含み、一対の下方曲げ部16には、物品100を覆って保持するフィルムFが接着され、下方曲げ部16には、下方曲げ部16の外側に配置され、下方曲げ部16に対して折り曲げられる外側折り曲げ部16gを有する。
【解決手段】梱包箱は、外装部20と、外装部20の内部に配置される梱包具10とを備え、梱包具10は、物品100が搭載される物品搭載面部11と、物品搭載面部11の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部16と、を含み、一対の下方曲げ部16には、物品100を覆って保持するフィルムFが接着され、下方曲げ部16には、下方曲げ部16の外側に配置され、下方曲げ部16に対して折り曲げられる外側折り曲げ部16gを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じる実施形態は、物品の梱包に用いられる梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包箱に配置され、物品をフィルム等により保持する梱包具が知られている。
梱包具としては、物品を保持する上下2枚のフィルムと、フィルムのテンションを調整するブロックとを有する梱包具が知られている。
【0003】
また、物品が載置される物品搭載面部と、この物品搭載面部上に搭載された物品を保持するフィルムと、物品搭載面部を下端において支持する側片とを有する梱包具が知られている。
【0004】
また、物品が載置される物品搭載面部と、この物品搭載面部上に搭載された物品を保持するフィルムと、物品搭載面部の両端から垂直に下方へ折り曲げられた脚部と、この脚部から垂直に物品搭載面部と平行に内側へ折り曲げられた底部分とを有する梱包具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−225873号公報
【特許文献2】実用新案登録第3146554号公報
【特許文献3】特開2006−248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、物品を保持する上下2枚のフィルムを有する梱包具は、物品がフィルムのみで保持されるため、自由落下の衝撃に弱い。また、フィルムの伸縮性が高い場合は、梱包箱の落下時の衝撃で一時的に物品と一緒にフィルムが動き、物品が外装部の内壁に当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。更には、フィルムのテンションを調整するためのブロック、およびブロックを支持する部材が配置されるため、梱包具の構造が複雑である。
【0007】
また、物品搭載面部とフィルムとを有する梱包具も、フィルムの伸縮性が高い場合は、梱包箱の落下時の衝撃で一時的に物品と一緒にフィルムが動き、物品が外装部の内壁に当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。また、フィルムが伸びた反動で、物品が元に戻る動きにより、物品が梱包具に直接当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。
【0008】
更には、物品が動かないようにするにはフィルムを緊張させるが、様々な大きさの物品を保持する場合、大きい物品に合わせてフィルムを大きくしなければならない。
本明細書で開示する梱包箱は、物品搭載面部に対して物品を保持するフィルムの弛みを調整できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示する梱包箱は、外装部と、前記外装部の内部に配置される梱包具とを備える。前記梱包具は、物品が搭載される物品搭載面部と、該物品搭載面部の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部と、を含む。前記一対の下方曲げ部には、前記物品を覆って保持するフィルムが接着される。前記下方曲げ部には、該下方曲げ部の外側に配置され、該下方曲げ部に対して折り曲げられる外側折り曲げ部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示する梱包箱によれば、物品搭載面部に対して物品を保持するフィルムの弛みを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る梱包箱の内部構造を示す、透視図法による正面図である。
【図2A】図1のII−II断面図(その1)である。
【図2B】図1のII−II断面図(その2)である。
【図3】第1実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図4】第1実施形態に係る、外装部の上面部を開いた状態梱包箱を示す、透視図法による平面図である。
【図5A】第1実施形態に係る梱包箱の落下試験結果を示す図表である。
【図5B】比較例に係る梱包箱の落下試験結果を示す図表である。
【図6】第2実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図7】第3実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図8】第3実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
【図9】第4実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図10】第4実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
【図11】第5実施形態に係る、外装部の上面部を開いた状態の梱包箱を示す、透視図法による平面図である。
【図12A】第5実施形態に係る梱包箱を示す断面図(その1)である。
【図12B】第5実施形態に係る梱包箱を示す断面図(その2)である。
【図13】第5実施形態における押さえ具を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る梱包箱について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る梱包箱1の内部構造を示す、透視図法による正面図である。
図2Aおよび図2Bは、図1のII−II断面図である。
図3は、第1実施形態における梱包具10を示す展開図である。
図4は、第1実施形態に係る梱包箱1(外装部20の上面部25が開いた状態)を示す、透視図法による平面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、梱包箱1は外側折り曲げ部16g,17gを有する梱包具10と、外装部20とを備える。梱包具10は、物品搭載面部11と、一対の吊り上げ部12,13と、一対の側面部14,15と、一対の下方曲げ部16,17とを含み、外装部20の内部に配置される。梱包具10は、例えば段ボールなどの1枚のベースボードから形成されている。
【0014】
外装部20は、左側面部21と、背面部22と、右側面部23と、正面部24と、上面部25と、底面部26とを含み、例えば上面部25が開閉可能な蓋として機能する。なお、ここでいう上下左右は、図1における上下・左右に対応する。また、図1における前後とは、図1の奥行方向の位置関係を指す。物品搭載面部11は、例えば、図1図示の前後方向よりも左右方向に長い矩形状を呈し、外装部20内に水平に維持されている。物品搭載面となる物品搭載面部11の上面には、例えば電子機器などの物品100が搭載される。
【0015】
物品100は、二点鎖線で示す例えば伸縮性を有するフィルムFによって物品搭載面部11上で覆わることで、物品搭載面部11上で保持される。フィルムFは、後述する梱包具10の下方曲げ部16,17の内側の面に形成された接着領域16f,17fにて両端が接着されている。なお、図3において、符号「M」の破線は山折り線を表し、符号「V」の破線は谷折り線を表し、符号「C」の実線はカットラインを表す。図1に示すように、上下に強い衝撃(例えば落下)が梱包箱1に加わっても物品100が外装部20に干渉しないように、上面部25と物品100との間に隙間S1が設けられ、底面部26と物品100(物品搭載面部11の下面)との間に隙間S2が設けられている。
【0016】
また、図4に示すように、外装部20に梱包具10が収容された状態で、物品搭載面部11の前端側および後端側は外装部20との間で隙間S3,S4を隔てて位置する。図1に示すように、一対の吊り上げ部12,13は、図3図示の谷折り線Vの位置で物品搭載面部11の左端および右端から上方に折り曲げられ、後述する一対の側面部14,15とともに物品搭載面部11を吊り上げる。一対の吊り上げ部12,13と物品搭載面部11とのなす角度θは、例えば、直角または鈍角である。
【0017】
吊り上げ部12,13にはそれぞれ、梱包具10を取り出す際などに人の指が挿入される貫通孔12a,13aが形成されている。これら貫通孔12a,13aは、後述する一対の側面部14,15の貫通孔14a,15aに連通している。
【0018】
図1、図2A、および図2Bに図示されるように、吊り上げ部12,13は、物品搭載面部11と連続する下側の部分が幅狭部12b,13bとなっており、側面部14,15と連続する吊り上げ部12,13の上側の部分が、幅狭部12b、13bよりも幅が広い幅広部12c,13cとなっている。
【0019】
幅狭部12b,13bの幅(前後方向の寸法)は、幅狭部12b,13bの下端では物品搭載面部11の前後方向の寸法と同一であり、そこから幅広部12c,13cに近づくほどその幅が小さくなる(図1、図2A、および図2B参照)。幅広部12c,13cの幅、つまり前後方向の寸法はほぼ一定であり、物品搭載面部11の前後方向の寸法よりも大きく、側面部14,15の前後方向の寸法と同一である。
【0020】
側面部14,15は、吊り上げ部12,13の上端から下方に外側、つまり物品搭載面部11と反対側へ、山折り線Mの位置で折り曲げられている。また、梱包具10が外装部20内に収容された際、側面部14,15はそれぞれ、外装部20の左側面部21および右側面部23(互いに対向する2つの壁面の一例)に面接触した状態に保持されている。
【0021】
なお、図3に示すように、梱包具10が段ボールなどにより形成されている場合、その段目(波目)10aは、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましい。但し、強度の条件しだいでは、段目10aは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0022】
図1に示す梱包具10の幅W、奥行きLおよび高さHは、外装部20の内寸法と同一または略同一(例えば、数mm小さい)である。梱包具10をこのような寸法とすることにより、外装部20に収容された梱包具10のガタつきが生じにくい。
【0023】
一対の側面部14,15は、上記の寸法関係、特に梱包具10の幅Wの関係によって位置決めされ、左側面部21および右側面部23に面接触した状態に保持されている。
外装部20に収容された状態の一対の側面部14,15の奥行きおよび高さは、図1に示すように、梱包具10の奥行きLおよび高さHと同一、即ち、外装部20の内寸法の奥行きおよび高さと同一または略同一である。そのため、一対の側面部14,15は、外装部20の底面部26、正面部24および背面部22に接触し、ガタつきが抑えられる。
【0024】
なお、側面部14,15の高さHを外装部20の内寸法よりも大きくすれば、外装部20の上面部25および底面部26によって側面部14,15を押しつぶすことで、側面部14,15の上端を外装部20に強固に接触させることができ、且つ、梱包箱1の圧縮強度も増す。
【0025】
また、側面部14,15の奥行きおよび高さは、外装部20の内寸法の奥行きおよび高さと同一または略同一であることが望ましいが、外装部20の内寸法より小さくして、上下あるいは前後に多少梱包具10が外装部20内部で移動するようにしてもよい。なお、側面部14,15と下方曲げ部16,17と外装部20との寸法を調整することで、物品100に対する衝撃力の伝播順序(伝わり速度)を調整することもできる。
外装部20の左側面部21と右側面部23とは互いに平行である。また、側面部14,15は、吊り上げ部12,13の上端から鉛直下方に折り曲げられている。
【0026】
図1、図2A、および図2Bに示すように、一対の下方曲げ部16,17は、物品搭載面部11の前端および後端から互いに近づく方向へ、図3図示左右方向に引かれた山折り線Mの位置で斜め下方に折り曲げられている。図3に示すように、下方曲げ部16,17は、本体部16a,17aと、左側略三角部16b,17bと、右側略三角部16c,17cと、左端部16d、17dと、右端部16e,17eと、接着領域16f,17fと、外側折り曲げ部16g,17gと、を有する。本体部16a,17aの左右方向の寸法は、上端では物品搭載面部11の左右方向の寸法と同一であり、そこから下方にいくほど小さくなる。
【0027】
左側略三角部16b,17bと右側略三角部16c,17cとは、略三角形状を呈し、本体部16a,17aの左右の端部から互いに遠ざかる方向に、本体部16a,17aと左側略三角部16b,17bとの間の山折り線Mの位置で、斜め上方に折り曲げられている。
【0028】
左端部16d、17dは、左側略三角部16b,17bとの間の山折り線Mの位置で、上方に折り曲げられる。同様に、右端部16e,17eは、右側略三角部16c,17cとの間の山折り線Mの位置で上方に折り曲げられる。折り曲げられた状態の左端部16d,17dおよび右端部16e,17eは、吊り上げ部12,13と側面部14,15との間に挿入される。なお、左端部16d,17dおよび右端部16e,17eは、吊り上げ部12,13との間の山折り線Mの位置でも折り曲げられている。
【0029】
外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の本体部16a,17aから外側、即ち、前端側の下方曲げ部16の前方および後端側の下方曲げ部17の後方に、本体部16a、本体部17aとの間の谷折り線Vの位置で折り曲げられている。
【0030】
図2A、図2B、および図3に示すように、外側折り曲げ部16g,17gの内側の面には、フィルムFが接着されている。フィルムFは、物品搭載面11または物品100の前端・後端と、外側折り曲げ部16g,17gの下端との間で弛むことが可能である。そのため、外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げる、或いは外側折り曲げ部16g,17gが折り曲がる角度によってフィルムFの弛みが調整される。なお、フィルムFは、図3に示すように梱包具10が展開された状態で接着される。
【0031】
図2Bに示すように、外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の本体部16a,17aと平行な状態(P0)と、本体部16a,17aとの間の折り曲げ角度の異なる複数の状態(P1,P2)とを取り得る。搭載される物品100が相対的に小さい場合には、物品搭載時において、図2Aのように本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を大きく取ることができる。一方、搭載される物品100が相対的に大きい場合には、物品搭載時において、図2Bのように本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を小さく取る。
【0032】
そして、フィルムFが張るように、本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を改めて調整することにより、搭載される物品の大きさに関わらず、フィルムFを適切に張ることが可能となる。
【0033】
なお、フィルムFの弛みの調整時に、下方曲げ部16,17を物品搭載面部11に対して折り曲げて、下方曲げ部16,17と物品搭載面部11との折り曲げ角度を調整するようにしてもよい。
【0034】
外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の下端に位置する。図2Aあるいは図2Bの状態では、外側折り曲げ部16g,17gは外装部20の底面部26には接触しないが、外側折り曲げ部16g,17gと底面部26とが接触するように外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げるようにしてもよい。
【0035】
なお、梱包箱1の緩衝性能に関する試験は、例えば10kg以下の梱包物の場合、梱包箱1の1角3稜6面に対して80cmの高さからの自由落下試験(例えば、JIS Z 0200)を行うとよい。図5は、落下試験の結果例を示す。
【0036】
図5Aは、本実施形態による梱包箱を用いた場合の落下試験の結果例を示す。この落下試験では、物品100の重量が1.0kgとしている。図5Aの例では、梱包箱の落下方向を、角(1)、角に連続する短稜(2)、中稜(3)、長稜(4)、前面(5)、後面(6)、左側面(7)、右側面(8)、底面(9)、天面(10)の10通りとして、落下試験を行っている。落下結果の結果、本実施形態による梱包箱に加わる衝撃は、最大値が57.84〔G〕であった。
【0037】
一方、図5Bは、比較例による梱包箱の落下試験結果を示す。図5Bでは、物品が載置される物品搭載面部と、物品搭載面部の両端から垂直に下方へ折り曲げられた脚部と、この脚部から垂直に物品搭載面部と平行に内側へ折り曲げられた底部分とを有する同様の寸法の梱包具を用いて、図5Aと同様の条件で試験を行った。結果は、加わる衝撃の最大値が133.7〔G〕であった。
【0038】
これにより、本実施形態の梱包具10では、吊り上げ部12,13、側面部14,15などによって緩衝性能を高められることがわかった。
外装部20は、図1、図2Aおよび図2Bでは簡易的に示しているが、図4に示すように、左側面部21および右側面部23(互いに対向する2つの壁面の一例)並びに正面部24が二重構造になっている。
【0039】
具体的には、左側面部21は、外側面部21aと、外側面部21aの上端から下方に折り曲げられた内側面部21bとを有する。右側面部23も、外側面部23aと内側面部23bとを有する。正面部24は外側面部24aと内側面部24bとを同様に有する。
【0040】
左側面部21と正面部24との間、および右側面部23と正面部24との間には、一対の側面部14,15が挿入されるガイド部Gとなる隙間が形成されている。側面部14,15は、上記の梱包具10の寸法関係(特に幅Wの関係)により外装部20内で位置決めされるだけでなく、ガイド部Gによっても位置決めされ、左側面部21および右側面部23に面接触した状態に保持される。
【0041】
図4に示すように、正面部24には、外側面部24aの上端中央に、左右の辺がカットされた台形の挿入基端部24cが形成されている。この挿入基端部24cは、底辺が外側、つまり正面側に折り返されている。
【0042】
挿入基端部24cの先端には、外装部20の内部側に折り返される挿入先端部24dが形成されている。外側面部24aと内側面部24bとの間の折り返し部分に形成された挿入口24fには、上面部25の凸部(図4には不図示)が挿入される。上面部25の凸部には挿入口が形成されており、この挿入口に挿入先端部24dが挿入される。
【0043】
挿入基端部24cの上端中央には、半円形状のツマミ部24eが形成されている。このツマミ部24eは、挿入基端部24cと挿入先端部24dとの間の折り返し部分である上端が直線部分になっており、円弧部分がカットされ、挿入先端部24dの折り返し方向とは反対側の外側(正面側)に突出している。
【0044】
梱包箱1から物品100を取り出す際には、図4に示す正面部24のツマミ部24eを人の手で引っ張ることで、正面部24の挿入先端部24dが上面部25の凸部から引き抜かれる。そして、上面部25の凸部が正面部24の挿入口24fから引き抜かれる。
【0045】
次に、物品100の上方にドキュメント等の同梱物が収容されている場合には、先に同梱物が取り出される。そして、吊り上げ部12,13の貫通孔12a,13aおよび側面部14,15の貫通孔14a,15aに人の指を入れて持ち上げることで、梱包具10が外装部20から取り出される。
【0046】
そして、側面部14,15の下端側を互いに遠ざかるように開くと共に、下方曲げ部16,17の下端側を互いに遠ざかるように開くことで、図3に示す展開図のように梱包具10が平らに拡がる。これにより、フィルムFの緊張が無くなり、物品100が取り出し可能となる。
【0047】
以上説明した第1実施形態では、梱包箱1の梱包具10は、物品搭載面部11の前端および後端から、物品100が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部16,17を含む。一対の下方曲げ部16,17には、物品100を覆って保持するフィルムFが接着される。また、下方曲げ部16,17は、この下方曲げ部から外側に折り曲げられた外側折り曲げ部16g,17gを有する。そのため、外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げることでフィルムFの撓みが調整される。
【0048】
よって、本実施形態によれば、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
【0049】
また、図2Aに示す通り、第1実施形態では、下方曲げ部16,17は、物品搭載面部11の前端および後端から互いに近づく方向へ斜め下方に折り曲げられている。そのため、外側折り曲げ部16g,17gの長さ調整によって、フィルムFの撓みを調整することが容易になる。そして、下方曲げ部16,17が落下時の衝撃で外装部20の底面部26に接触した場合でも、外側折り曲げ部16g,17gは下方曲げ部16,17が撓んで折れる事を防止し、下方曲げ部16,17と一緒に、鉛直上方の衝撃力を分散できる。
【0050】
尚、底面落下の衝撃をより吸収する手段として、図2Bに示すように、外側折り曲げ部16g,17gと外装部20の底面部26との間に、緩衝材70(例えば、袋に発泡材が複数入った汎用緩衝材)を追加する使用方法も有りえる。
【0051】
また、本実施形態では、梱包具10は、物品搭載面部11の左端および右端から上方に折り曲げられ物品搭載面部11を吊り上げる一対の吊り上げ部12,13と、これら一対の吊り上げ部の上端から下方に折り曲げられた一対の側面部14,15と、を含む。また、一対の側面部14,15は、外装部20の互いに対向する2つの壁面(左側面部21および右側面部23)に面接触した状態に保持されている。そのため、外装部20の左側面部21および右側面部23に面接触する一対の側面部14,15によって、吊り上げ部12,13を強固に支持することができる。
【0052】
従って、梱包具10と外装箱20だけの簡素な構成で梱包箱1の緩衝性能を高めることができる。そして、梱包箱1に用いるダンボールやフィルム材料の薄肉化や外装箱20の小型化を図ることができる。更に、外側折り曲げ部16g,17gの折り曲げ有無により、違うサイズの製品でも、一つの梱包箱で共通化できる。
【0053】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態における梱包具2を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0054】
本実施形態の図6に示すように、下方曲げ部16,17に、外側折り曲げ部16g,17gの折り線(V11〜V14,V21〜V24)を複数形成している。そのため、搭載される製品のサイズにより、適切な外側折り曲げ部16g,17gを選び、フィルムFの弛みを調整することができる。なお、折り線(V11〜V14,V21〜V24)は、互いに平行とするとよい。
【0055】
例えば、梱包する物品(挿入する物品100の外周の寸法)が違っても、上記の折り線(V11〜V14,V21〜V24)を折り分ける事で、フィルムFに必要なたるみを持たせることができる。
【0056】
そして、フィルムFのたるみにより、物品100を挿入する間口(フィルムFの隙間)を任意に変えられる。前述の折り線(V11〜V14,V21〜V24)で折った面は外側折り曲げ部16g,17gとなり、外側折り曲げ部16g,17gの先端にはフィルムとFの接合部が有り、下方曲げ部16,17と外側折り曲げ部16g,17gの境界(複数の折り線(V11〜V14,V21〜V24))には、谷折りの折り線を備える。
【0057】
谷折りの折り線は、フィルムF内に物品100を挿入してフィルムFを緊張する力で、一対の外側折り曲げ部16g,17gが外側に開く方向に「くの字」に折り曲がる。
外側折り曲げ部16g,17gが「くの字」に折り曲がった箇所のフィルムFは、下方曲げ部16,17及び外側折り曲げ部16g,17gの面に沿わず、外側折り曲げ部16g,17gの先端の接合領域から、下方曲げ部16,17と物品搭載面部11との境界角に向けて、直線で結ばれる。
【0058】
この作用により、下方曲げ部16,17と外側折り曲げ部16g,17gとフィルムFとで三角形の断面が形成され、フィルムの余分な長さがたるみになり、梱包具2との間に隙間が発生する。
【0059】
梱包する物品100の外周の寸法に応じて、折り線(V11〜V14,V21〜V24)の位置を折り分け、この隙間の大小を変える事で、フィルムFのたるみ長さを自在に変えられる。本実施形態では、外側折り曲げ部16g,17gの先端を巻き込み、裏面の接着領域16f,17fにフィルムFが接着されている。そのため、フィルムFは外側折り曲げ部16g,17gと物品搭載面部11との間、または外側折り曲げ部16g,17gと物品100との間で弛ませることができ、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0060】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態における梱包具30を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る梱包箱の断面図である。
本実施形態では、一対の下方曲げ部36,37が上述の第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
一対の下方曲げ部36,37は、本体部36a,37aと、左側略三角部36b,37bと、右側略三角部36c,37cと、左端部36d,37dと、右端部36e,37eと、外側折り曲げ部36g,37gと、を有する。
【0063】
また、下方曲げ部36,37は、接着領域36f,37fと、内側折り曲げ部36h,37hと、を有する。
内側折り曲げ部36h,37hは、外側折り曲げ部36g,37gの先端から外側折り曲げ部とは反対側に、36g、37gとの間の山折り線Mの位置で折り曲げられている。
【0064】
内側折り曲げ部36h,37hの外側の面には、フィルムFが接着される接着領域36f,37fが設けられている。
なお、外側折り曲げ部36g,37gの折り曲げ角度のみならず、内側折り曲げ部36h,37hの折り曲げ角度によっても、フィルムFの弛みが調整される。
【0065】
以上説明した第3実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
また、本実施形態では、一対の下方折り曲げ部36,37は、外側折り曲げ部36g,37gから外側折り曲げ部36g,37gとは反対側に折り曲げられた内側折り曲げ部36h,37hを有する。そのため、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0066】
また、本実施形態では、内側折り曲げ部36h,37hの外側の面には、フィルムFが接着される(接着領域36f,37f)。そのため、フィルムFが梱包具10の一方の面側に位置するため、フィルムFが下方曲げ部36,37の内側の面に接着される場合に比較してフィルムFの量を減らすことができ、簡素な構成でフィルムFの弛みを調整することができる。
【0067】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態における梱包具40を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0068】
図10は、第4実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
本実施形態では、一対の下方曲げ部46,47が上述の第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
一対の下方曲げ部46,47は、本体部46a,47aと、左側略三角部46b,47bと、右側略三角部46c,47cと、左端部46d,47dと、右端部46e,47eと、接着領域46f,47fと、外側折り曲げ部46g,47gと、を有する。
【0070】
また、一対の下方曲げ部46,47は、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jを有する。角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、本体部46a,47aの両端から、本体部46a,47aとの間の山折り線Mの位置で物品搭載面部11に向けて折り曲げられて形成される。
【0071】
そして、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47の本体部46a,47aの折り曲げ角度が一定値以下とならないように、下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制している。
【0072】
図10は、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jが下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制している状態を示している。本体部46a,47aから図10図示上方に折り曲げられた角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、物品搭載面部11の裏面に当接する。これにより、物品搭載面部11に対する本体部の折り曲げ角度が規制される。
【0073】
なお、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47に切り込みを入れるなどして形成するようにしてもよく、また、物品搭載面部11に切り込みを入れるなどして形成するようにしてもよい。
【0074】
以上説明した第4実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができる。
また、本実施形態の梱包具は、一対の下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制する角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jを有する。そのため、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0075】
また、本実施形態では、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47から物品搭載面部11に向けて折り曲げられて形成されている。そのため、簡素な構成で、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0076】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態に係る、外装部20の上面部25を開いた状態の梱包箱51を示す、透視図法による平面図である。
【0077】
図12Aおよび図12Bは、第5実施形態に係る梱包箱51の側面断面図である。
図13は、第5実施形態における押さえ具52を示す展開図である。
本実施形態では、梱包箱51が、第1実施形態の梱包具10などに加え、押さえ具52を備える点で第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
押さえ具52は、外装部内に収容された状態で物品搭載面部11に対して平行となる平面部52aと、立ち上がり部52b,52cと、折り返し部52d,52eと、複数(本実施形態では4つ)の凸部52fと、を有し、物品100と外装部20の間に配置される。なお、凸部52fは必ずしも複数なくともよい。
【0079】
立ち上がり部52b、52cは、平面部52aの前端および後端から垂直に立ち上がるように形成されている。折り返し部52d,52eは、互いに近づくように、図12Aに示すように立ち上がり部52b、52cの上端から垂直に折り曲げられている。
【0080】
なお、折り返し部52d,52eは、図12Bに示すように立ち上がり部52b、52cの上端との間が曲面となるように形成することも可能である。この図12Bの形状に立ち上がり部を形成することで、上面部25からの衝撃をより吸収することができる。
【0081】
凸部52fは、平面面部52aに切り込みを入れることにより形成され、下方に曲げられている。図12に示すように、凸部52fは、例えば、物品100の周囲を押さえる。このように、押さえ具52は、物品100の物品搭載面部11上における移動を抑えることができる。
【0082】
以上説明した第5実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
また、本実施形態では、押さえ具52は、平面部52aに入れた切り込みにより形成され下方に曲げられた凸部52fを有する。そのため、簡素な構成で梱包箱51の緩衝性能をより高めることができる。
【0083】
なお、図13に示すように、押さえ具52が段ボールなどにより形成されている場合、その段目52gは、立ち上がり部52b,52cの平面部52aからの折り線(谷折りV)、および折り返し部52d,52eの立ち上がり部52b,52cからの折り線(山折りM)と平行な左右方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【符号の説明】
【0084】
1 梱包箱
10 梱包具
11 物品搭載面部
12,13 吊り上げ部
14,15 側面部
16,17 下方曲げ部
20 外装部
36,37 下方曲げ部
52 押さえ具
70 緩衝材
100 物品
F フィルム
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じる実施形態は、物品の梱包に用いられる梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包箱に配置され、物品をフィルム等により保持する梱包具が知られている。
梱包具としては、物品を保持する上下2枚のフィルムと、フィルムのテンションを調整するブロックとを有する梱包具が知られている。
【0003】
また、物品が載置される物品搭載面部と、この物品搭載面部上に搭載された物品を保持するフィルムと、物品搭載面部を下端において支持する側片とを有する梱包具が知られている。
【0004】
また、物品が載置される物品搭載面部と、この物品搭載面部上に搭載された物品を保持するフィルムと、物品搭載面部の両端から垂直に下方へ折り曲げられた脚部と、この脚部から垂直に物品搭載面部と平行に内側へ折り曲げられた底部分とを有する梱包具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−225873号公報
【特許文献2】実用新案登録第3146554号公報
【特許文献3】特開2006−248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、物品を保持する上下2枚のフィルムを有する梱包具は、物品がフィルムのみで保持されるため、自由落下の衝撃に弱い。また、フィルムの伸縮性が高い場合は、梱包箱の落下時の衝撃で一時的に物品と一緒にフィルムが動き、物品が外装部の内壁に当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。更には、フィルムのテンションを調整するためのブロック、およびブロックを支持する部材が配置されるため、梱包具の構造が複雑である。
【0007】
また、物品搭載面部とフィルムとを有する梱包具も、フィルムの伸縮性が高い場合は、梱包箱の落下時の衝撃で一時的に物品と一緒にフィルムが動き、物品が外装部の内壁に当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。また、フィルムが伸びた反動で、物品が元に戻る動きにより、物品が梱包具に直接当たることで、物品に大きな衝撃が加わる。
【0008】
更には、物品が動かないようにするにはフィルムを緊張させるが、様々な大きさの物品を保持する場合、大きい物品に合わせてフィルムを大きくしなければならない。
本明細書で開示する梱包箱は、物品搭載面部に対して物品を保持するフィルムの弛みを調整できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示する梱包箱は、外装部と、前記外装部の内部に配置される梱包具とを備える。前記梱包具は、物品が搭載される物品搭載面部と、該物品搭載面部の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部と、を含む。前記一対の下方曲げ部には、前記物品を覆って保持するフィルムが接着される。前記下方曲げ部には、該下方曲げ部の外側に配置され、該下方曲げ部に対して折り曲げられる外側折り曲げ部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示する梱包箱によれば、物品搭載面部に対して物品を保持するフィルムの弛みを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る梱包箱の内部構造を示す、透視図法による正面図である。
【図2A】図1のII−II断面図(その1)である。
【図2B】図1のII−II断面図(その2)である。
【図3】第1実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図4】第1実施形態に係る、外装部の上面部を開いた状態梱包箱を示す、透視図法による平面図である。
【図5A】第1実施形態に係る梱包箱の落下試験結果を示す図表である。
【図5B】比較例に係る梱包箱の落下試験結果を示す図表である。
【図6】第2実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図7】第3実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図8】第3実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
【図9】第4実施形態における梱包具を示す展開図である。
【図10】第4実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
【図11】第5実施形態に係る、外装部の上面部を開いた状態の梱包箱を示す、透視図法による平面図である。
【図12A】第5実施形態に係る梱包箱を示す断面図(その1)である。
【図12B】第5実施形態に係る梱包箱を示す断面図(その2)である。
【図13】第5実施形態における押さえ具を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る梱包箱について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る梱包箱1の内部構造を示す、透視図法による正面図である。
図2Aおよび図2Bは、図1のII−II断面図である。
図3は、第1実施形態における梱包具10を示す展開図である。
図4は、第1実施形態に係る梱包箱1(外装部20の上面部25が開いた状態)を示す、透視図法による平面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、梱包箱1は外側折り曲げ部16g,17gを有する梱包具10と、外装部20とを備える。梱包具10は、物品搭載面部11と、一対の吊り上げ部12,13と、一対の側面部14,15と、一対の下方曲げ部16,17とを含み、外装部20の内部に配置される。梱包具10は、例えば段ボールなどの1枚のベースボードから形成されている。
【0014】
外装部20は、左側面部21と、背面部22と、右側面部23と、正面部24と、上面部25と、底面部26とを含み、例えば上面部25が開閉可能な蓋として機能する。なお、ここでいう上下左右は、図1における上下・左右に対応する。また、図1における前後とは、図1の奥行方向の位置関係を指す。物品搭載面部11は、例えば、図1図示の前後方向よりも左右方向に長い矩形状を呈し、外装部20内に水平に維持されている。物品搭載面となる物品搭載面部11の上面には、例えば電子機器などの物品100が搭載される。
【0015】
物品100は、二点鎖線で示す例えば伸縮性を有するフィルムFによって物品搭載面部11上で覆わることで、物品搭載面部11上で保持される。フィルムFは、後述する梱包具10の下方曲げ部16,17の内側の面に形成された接着領域16f,17fにて両端が接着されている。なお、図3において、符号「M」の破線は山折り線を表し、符号「V」の破線は谷折り線を表し、符号「C」の実線はカットラインを表す。図1に示すように、上下に強い衝撃(例えば落下)が梱包箱1に加わっても物品100が外装部20に干渉しないように、上面部25と物品100との間に隙間S1が設けられ、底面部26と物品100(物品搭載面部11の下面)との間に隙間S2が設けられている。
【0016】
また、図4に示すように、外装部20に梱包具10が収容された状態で、物品搭載面部11の前端側および後端側は外装部20との間で隙間S3,S4を隔てて位置する。図1に示すように、一対の吊り上げ部12,13は、図3図示の谷折り線Vの位置で物品搭載面部11の左端および右端から上方に折り曲げられ、後述する一対の側面部14,15とともに物品搭載面部11を吊り上げる。一対の吊り上げ部12,13と物品搭載面部11とのなす角度θは、例えば、直角または鈍角である。
【0017】
吊り上げ部12,13にはそれぞれ、梱包具10を取り出す際などに人の指が挿入される貫通孔12a,13aが形成されている。これら貫通孔12a,13aは、後述する一対の側面部14,15の貫通孔14a,15aに連通している。
【0018】
図1、図2A、および図2Bに図示されるように、吊り上げ部12,13は、物品搭載面部11と連続する下側の部分が幅狭部12b,13bとなっており、側面部14,15と連続する吊り上げ部12,13の上側の部分が、幅狭部12b、13bよりも幅が広い幅広部12c,13cとなっている。
【0019】
幅狭部12b,13bの幅(前後方向の寸法)は、幅狭部12b,13bの下端では物品搭載面部11の前後方向の寸法と同一であり、そこから幅広部12c,13cに近づくほどその幅が小さくなる(図1、図2A、および図2B参照)。幅広部12c,13cの幅、つまり前後方向の寸法はほぼ一定であり、物品搭載面部11の前後方向の寸法よりも大きく、側面部14,15の前後方向の寸法と同一である。
【0020】
側面部14,15は、吊り上げ部12,13の上端から下方に外側、つまり物品搭載面部11と反対側へ、山折り線Mの位置で折り曲げられている。また、梱包具10が外装部20内に収容された際、側面部14,15はそれぞれ、外装部20の左側面部21および右側面部23(互いに対向する2つの壁面の一例)に面接触した状態に保持されている。
【0021】
なお、図3に示すように、梱包具10が段ボールなどにより形成されている場合、その段目(波目)10aは、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましい。但し、強度の条件しだいでは、段目10aは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0022】
図1に示す梱包具10の幅W、奥行きLおよび高さHは、外装部20の内寸法と同一または略同一(例えば、数mm小さい)である。梱包具10をこのような寸法とすることにより、外装部20に収容された梱包具10のガタつきが生じにくい。
【0023】
一対の側面部14,15は、上記の寸法関係、特に梱包具10の幅Wの関係によって位置決めされ、左側面部21および右側面部23に面接触した状態に保持されている。
外装部20に収容された状態の一対の側面部14,15の奥行きおよび高さは、図1に示すように、梱包具10の奥行きLおよび高さHと同一、即ち、外装部20の内寸法の奥行きおよび高さと同一または略同一である。そのため、一対の側面部14,15は、外装部20の底面部26、正面部24および背面部22に接触し、ガタつきが抑えられる。
【0024】
なお、側面部14,15の高さHを外装部20の内寸法よりも大きくすれば、外装部20の上面部25および底面部26によって側面部14,15を押しつぶすことで、側面部14,15の上端を外装部20に強固に接触させることができ、且つ、梱包箱1の圧縮強度も増す。
【0025】
また、側面部14,15の奥行きおよび高さは、外装部20の内寸法の奥行きおよび高さと同一または略同一であることが望ましいが、外装部20の内寸法より小さくして、上下あるいは前後に多少梱包具10が外装部20内部で移動するようにしてもよい。なお、側面部14,15と下方曲げ部16,17と外装部20との寸法を調整することで、物品100に対する衝撃力の伝播順序(伝わり速度)を調整することもできる。
外装部20の左側面部21と右側面部23とは互いに平行である。また、側面部14,15は、吊り上げ部12,13の上端から鉛直下方に折り曲げられている。
【0026】
図1、図2A、および図2Bに示すように、一対の下方曲げ部16,17は、物品搭載面部11の前端および後端から互いに近づく方向へ、図3図示左右方向に引かれた山折り線Mの位置で斜め下方に折り曲げられている。図3に示すように、下方曲げ部16,17は、本体部16a,17aと、左側略三角部16b,17bと、右側略三角部16c,17cと、左端部16d、17dと、右端部16e,17eと、接着領域16f,17fと、外側折り曲げ部16g,17gと、を有する。本体部16a,17aの左右方向の寸法は、上端では物品搭載面部11の左右方向の寸法と同一であり、そこから下方にいくほど小さくなる。
【0027】
左側略三角部16b,17bと右側略三角部16c,17cとは、略三角形状を呈し、本体部16a,17aの左右の端部から互いに遠ざかる方向に、本体部16a,17aと左側略三角部16b,17bとの間の山折り線Mの位置で、斜め上方に折り曲げられている。
【0028】
左端部16d、17dは、左側略三角部16b,17bとの間の山折り線Mの位置で、上方に折り曲げられる。同様に、右端部16e,17eは、右側略三角部16c,17cとの間の山折り線Mの位置で上方に折り曲げられる。折り曲げられた状態の左端部16d,17dおよび右端部16e,17eは、吊り上げ部12,13と側面部14,15との間に挿入される。なお、左端部16d,17dおよび右端部16e,17eは、吊り上げ部12,13との間の山折り線Mの位置でも折り曲げられている。
【0029】
外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の本体部16a,17aから外側、即ち、前端側の下方曲げ部16の前方および後端側の下方曲げ部17の後方に、本体部16a、本体部17aとの間の谷折り線Vの位置で折り曲げられている。
【0030】
図2A、図2B、および図3に示すように、外側折り曲げ部16g,17gの内側の面には、フィルムFが接着されている。フィルムFは、物品搭載面11または物品100の前端・後端と、外側折り曲げ部16g,17gの下端との間で弛むことが可能である。そのため、外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げる、或いは外側折り曲げ部16g,17gが折り曲がる角度によってフィルムFの弛みが調整される。なお、フィルムFは、図3に示すように梱包具10が展開された状態で接着される。
【0031】
図2Bに示すように、外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の本体部16a,17aと平行な状態(P0)と、本体部16a,17aとの間の折り曲げ角度の異なる複数の状態(P1,P2)とを取り得る。搭載される物品100が相対的に小さい場合には、物品搭載時において、図2Aのように本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を大きく取ることができる。一方、搭載される物品100が相対的に大きい場合には、物品搭載時において、図2Bのように本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を小さく取る。
【0032】
そして、フィルムFが張るように、本体部16a,17aと外側折り曲げ部16g,17gとの間の折り曲げ角度を改めて調整することにより、搭載される物品の大きさに関わらず、フィルムFを適切に張ることが可能となる。
【0033】
なお、フィルムFの弛みの調整時に、下方曲げ部16,17を物品搭載面部11に対して折り曲げて、下方曲げ部16,17と物品搭載面部11との折り曲げ角度を調整するようにしてもよい。
【0034】
外側折り曲げ部16g,17gは、下方曲げ部16,17の下端に位置する。図2Aあるいは図2Bの状態では、外側折り曲げ部16g,17gは外装部20の底面部26には接触しないが、外側折り曲げ部16g,17gと底面部26とが接触するように外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げるようにしてもよい。
【0035】
なお、梱包箱1の緩衝性能に関する試験は、例えば10kg以下の梱包物の場合、梱包箱1の1角3稜6面に対して80cmの高さからの自由落下試験(例えば、JIS Z 0200)を行うとよい。図5は、落下試験の結果例を示す。
【0036】
図5Aは、本実施形態による梱包箱を用いた場合の落下試験の結果例を示す。この落下試験では、物品100の重量が1.0kgとしている。図5Aの例では、梱包箱の落下方向を、角(1)、角に連続する短稜(2)、中稜(3)、長稜(4)、前面(5)、後面(6)、左側面(7)、右側面(8)、底面(9)、天面(10)の10通りとして、落下試験を行っている。落下結果の結果、本実施形態による梱包箱に加わる衝撃は、最大値が57.84〔G〕であった。
【0037】
一方、図5Bは、比較例による梱包箱の落下試験結果を示す。図5Bでは、物品が載置される物品搭載面部と、物品搭載面部の両端から垂直に下方へ折り曲げられた脚部と、この脚部から垂直に物品搭載面部と平行に内側へ折り曲げられた底部分とを有する同様の寸法の梱包具を用いて、図5Aと同様の条件で試験を行った。結果は、加わる衝撃の最大値が133.7〔G〕であった。
【0038】
これにより、本実施形態の梱包具10では、吊り上げ部12,13、側面部14,15などによって緩衝性能を高められることがわかった。
外装部20は、図1、図2Aおよび図2Bでは簡易的に示しているが、図4に示すように、左側面部21および右側面部23(互いに対向する2つの壁面の一例)並びに正面部24が二重構造になっている。
【0039】
具体的には、左側面部21は、外側面部21aと、外側面部21aの上端から下方に折り曲げられた内側面部21bとを有する。右側面部23も、外側面部23aと内側面部23bとを有する。正面部24は外側面部24aと内側面部24bとを同様に有する。
【0040】
左側面部21と正面部24との間、および右側面部23と正面部24との間には、一対の側面部14,15が挿入されるガイド部Gとなる隙間が形成されている。側面部14,15は、上記の梱包具10の寸法関係(特に幅Wの関係)により外装部20内で位置決めされるだけでなく、ガイド部Gによっても位置決めされ、左側面部21および右側面部23に面接触した状態に保持される。
【0041】
図4に示すように、正面部24には、外側面部24aの上端中央に、左右の辺がカットされた台形の挿入基端部24cが形成されている。この挿入基端部24cは、底辺が外側、つまり正面側に折り返されている。
【0042】
挿入基端部24cの先端には、外装部20の内部側に折り返される挿入先端部24dが形成されている。外側面部24aと内側面部24bとの間の折り返し部分に形成された挿入口24fには、上面部25の凸部(図4には不図示)が挿入される。上面部25の凸部には挿入口が形成されており、この挿入口に挿入先端部24dが挿入される。
【0043】
挿入基端部24cの上端中央には、半円形状のツマミ部24eが形成されている。このツマミ部24eは、挿入基端部24cと挿入先端部24dとの間の折り返し部分である上端が直線部分になっており、円弧部分がカットされ、挿入先端部24dの折り返し方向とは反対側の外側(正面側)に突出している。
【0044】
梱包箱1から物品100を取り出す際には、図4に示す正面部24のツマミ部24eを人の手で引っ張ることで、正面部24の挿入先端部24dが上面部25の凸部から引き抜かれる。そして、上面部25の凸部が正面部24の挿入口24fから引き抜かれる。
【0045】
次に、物品100の上方にドキュメント等の同梱物が収容されている場合には、先に同梱物が取り出される。そして、吊り上げ部12,13の貫通孔12a,13aおよび側面部14,15の貫通孔14a,15aに人の指を入れて持ち上げることで、梱包具10が外装部20から取り出される。
【0046】
そして、側面部14,15の下端側を互いに遠ざかるように開くと共に、下方曲げ部16,17の下端側を互いに遠ざかるように開くことで、図3に示す展開図のように梱包具10が平らに拡がる。これにより、フィルムFの緊張が無くなり、物品100が取り出し可能となる。
【0047】
以上説明した第1実施形態では、梱包箱1の梱包具10は、物品搭載面部11の前端および後端から、物品100が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部16,17を含む。一対の下方曲げ部16,17には、物品100を覆って保持するフィルムFが接着される。また、下方曲げ部16,17は、この下方曲げ部から外側に折り曲げられた外側折り曲げ部16g,17gを有する。そのため、外側折り曲げ部16g,17gを折り曲げることでフィルムFの撓みが調整される。
【0048】
よって、本実施形態によれば、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
【0049】
また、図2Aに示す通り、第1実施形態では、下方曲げ部16,17は、物品搭載面部11の前端および後端から互いに近づく方向へ斜め下方に折り曲げられている。そのため、外側折り曲げ部16g,17gの長さ調整によって、フィルムFの撓みを調整することが容易になる。そして、下方曲げ部16,17が落下時の衝撃で外装部20の底面部26に接触した場合でも、外側折り曲げ部16g,17gは下方曲げ部16,17が撓んで折れる事を防止し、下方曲げ部16,17と一緒に、鉛直上方の衝撃力を分散できる。
【0050】
尚、底面落下の衝撃をより吸収する手段として、図2Bに示すように、外側折り曲げ部16g,17gと外装部20の底面部26との間に、緩衝材70(例えば、袋に発泡材が複数入った汎用緩衝材)を追加する使用方法も有りえる。
【0051】
また、本実施形態では、梱包具10は、物品搭載面部11の左端および右端から上方に折り曲げられ物品搭載面部11を吊り上げる一対の吊り上げ部12,13と、これら一対の吊り上げ部の上端から下方に折り曲げられた一対の側面部14,15と、を含む。また、一対の側面部14,15は、外装部20の互いに対向する2つの壁面(左側面部21および右側面部23)に面接触した状態に保持されている。そのため、外装部20の左側面部21および右側面部23に面接触する一対の側面部14,15によって、吊り上げ部12,13を強固に支持することができる。
【0052】
従って、梱包具10と外装箱20だけの簡素な構成で梱包箱1の緩衝性能を高めることができる。そして、梱包箱1に用いるダンボールやフィルム材料の薄肉化や外装箱20の小型化を図ることができる。更に、外側折り曲げ部16g,17gの折り曲げ有無により、違うサイズの製品でも、一つの梱包箱で共通化できる。
【0053】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態における梱包具2を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0054】
本実施形態の図6に示すように、下方曲げ部16,17に、外側折り曲げ部16g,17gの折り線(V11〜V14,V21〜V24)を複数形成している。そのため、搭載される製品のサイズにより、適切な外側折り曲げ部16g,17gを選び、フィルムFの弛みを調整することができる。なお、折り線(V11〜V14,V21〜V24)は、互いに平行とするとよい。
【0055】
例えば、梱包する物品(挿入する物品100の外周の寸法)が違っても、上記の折り線(V11〜V14,V21〜V24)を折り分ける事で、フィルムFに必要なたるみを持たせることができる。
【0056】
そして、フィルムFのたるみにより、物品100を挿入する間口(フィルムFの隙間)を任意に変えられる。前述の折り線(V11〜V14,V21〜V24)で折った面は外側折り曲げ部16g,17gとなり、外側折り曲げ部16g,17gの先端にはフィルムとFの接合部が有り、下方曲げ部16,17と外側折り曲げ部16g,17gの境界(複数の折り線(V11〜V14,V21〜V24))には、谷折りの折り線を備える。
【0057】
谷折りの折り線は、フィルムF内に物品100を挿入してフィルムFを緊張する力で、一対の外側折り曲げ部16g,17gが外側に開く方向に「くの字」に折り曲がる。
外側折り曲げ部16g,17gが「くの字」に折り曲がった箇所のフィルムFは、下方曲げ部16,17及び外側折り曲げ部16g,17gの面に沿わず、外側折り曲げ部16g,17gの先端の接合領域から、下方曲げ部16,17と物品搭載面部11との境界角に向けて、直線で結ばれる。
【0058】
この作用により、下方曲げ部16,17と外側折り曲げ部16g,17gとフィルムFとで三角形の断面が形成され、フィルムの余分な長さがたるみになり、梱包具2との間に隙間が発生する。
【0059】
梱包する物品100の外周の寸法に応じて、折り線(V11〜V14,V21〜V24)の位置を折り分け、この隙間の大小を変える事で、フィルムFのたるみ長さを自在に変えられる。本実施形態では、外側折り曲げ部16g,17gの先端を巻き込み、裏面の接着領域16f,17fにフィルムFが接着されている。そのため、フィルムFは外側折り曲げ部16g,17gと物品搭載面部11との間、または外側折り曲げ部16g,17gと物品100との間で弛ませることができ、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0060】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態における梱包具30を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0061】
図8は、第3実施形態に係る梱包箱の断面図である。
本実施形態では、一対の下方曲げ部36,37が上述の第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
一対の下方曲げ部36,37は、本体部36a,37aと、左側略三角部36b,37bと、右側略三角部36c,37cと、左端部36d,37dと、右端部36e,37eと、外側折り曲げ部36g,37gと、を有する。
【0063】
また、下方曲げ部36,37は、接着領域36f,37fと、内側折り曲げ部36h,37hと、を有する。
内側折り曲げ部36h,37hは、外側折り曲げ部36g,37gの先端から外側折り曲げ部とは反対側に、36g、37gとの間の山折り線Mの位置で折り曲げられている。
【0064】
内側折り曲げ部36h,37hの外側の面には、フィルムFが接着される接着領域36f,37fが設けられている。
なお、外側折り曲げ部36g,37gの折り曲げ角度のみならず、内側折り曲げ部36h,37hの折り曲げ角度によっても、フィルムFの弛みが調整される。
【0065】
以上説明した第3実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
また、本実施形態では、一対の下方折り曲げ部36,37は、外側折り曲げ部36g,37gから外側折り曲げ部36g,37gとは反対側に折り曲げられた内側折り曲げ部36h,37hを有する。そのため、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0066】
また、本実施形態では、内側折り曲げ部36h,37hの外側の面には、フィルムFが接着される(接着領域36f,37f)。そのため、フィルムFが梱包具10の一方の面側に位置するため、フィルムFが下方曲げ部36,37の内側の面に接着される場合に比較してフィルムFの量を減らすことができ、簡素な構成でフィルムFの弛みを調整することができる。
【0067】
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態における梱包具40を示す展開図である。段目(波目)10aは、本実施形態においても、吊り上げ部12,13と物品搭載面部11との間の折り線(谷折り線V)、および側面部14,15と吊り上げ部12,13との間の折り線(山折り線M)と平行な方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【0068】
図10は、第4実施形態に係る梱包箱を示す断面図である。
本実施形態では、一対の下方曲げ部46,47が上述の第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
一対の下方曲げ部46,47は、本体部46a,47aと、左側略三角部46b,47bと、右側略三角部46c,47cと、左端部46d,47dと、右端部46e,47eと、接着領域46f,47fと、外側折り曲げ部46g,47gと、を有する。
【0070】
また、一対の下方曲げ部46,47は、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jを有する。角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、本体部46a,47aの両端から、本体部46a,47aとの間の山折り線Mの位置で物品搭載面部11に向けて折り曲げられて形成される。
【0071】
そして、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47の本体部46a,47aの折り曲げ角度が一定値以下とならないように、下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制している。
【0072】
図10は、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jが下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制している状態を示している。本体部46a,47aから図10図示上方に折り曲げられた角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、物品搭載面部11の裏面に当接する。これにより、物品搭載面部11に対する本体部の折り曲げ角度が規制される。
【0073】
なお、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47に切り込みを入れるなどして形成するようにしてもよく、また、物品搭載面部11に切り込みを入れるなどして形成するようにしてもよい。
【0074】
以上説明した第4実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができる。
また、本実施形態の梱包具は、一対の下方曲げ部46,47の折り曲げ角度を規制する角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jを有する。そのため、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0075】
また、本実施形態では、角度規制折り曲げ片46i,46j,47i,47jは、下方曲げ部46,47から物品搭載面部11に向けて折り曲げられて形成されている。そのため、簡素な構成で、フィルムFの弛みを調整することができる。
【0076】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態に係る、外装部20の上面部25を開いた状態の梱包箱51を示す、透視図法による平面図である。
【0077】
図12Aおよび図12Bは、第5実施形態に係る梱包箱51の側面断面図である。
図13は、第5実施形態における押さえ具52を示す展開図である。
本実施形態では、梱包箱51が、第1実施形態の梱包具10などに加え、押さえ具52を備える点で第1実施形態と相違する。そのため、共通の構成には、図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
押さえ具52は、外装部内に収容された状態で物品搭載面部11に対して平行となる平面部52aと、立ち上がり部52b,52cと、折り返し部52d,52eと、複数(本実施形態では4つ)の凸部52fと、を有し、物品100と外装部20の間に配置される。なお、凸部52fは必ずしも複数なくともよい。
【0079】
立ち上がり部52b、52cは、平面部52aの前端および後端から垂直に立ち上がるように形成されている。折り返し部52d,52eは、互いに近づくように、図12Aに示すように立ち上がり部52b、52cの上端から垂直に折り曲げられている。
【0080】
なお、折り返し部52d,52eは、図12Bに示すように立ち上がり部52b、52cの上端との間が曲面となるように形成することも可能である。この図12Bの形状に立ち上がり部を形成することで、上面部25からの衝撃をより吸収することができる。
【0081】
凸部52fは、平面面部52aに切り込みを入れることにより形成され、下方に曲げられている。図12に示すように、凸部52fは、例えば、物品100の周囲を押さえる。このように、押さえ具52は、物品100の物品搭載面部11上における移動を抑えることができる。
【0082】
以上説明した第5実施形態によっても、物品搭載面部11に対して物品100を保持するフィルムFの弛みを簡素な構成で調整することができるようにすることができる。
また、本実施形態では、押さえ具52は、平面部52aに入れた切り込みにより形成され下方に曲げられた凸部52fを有する。そのため、簡素な構成で梱包箱51の緩衝性能をより高めることができる。
【0083】
なお、図13に示すように、押さえ具52が段ボールなどにより形成されている場合、その段目52gは、立ち上がり部52b,52cの平面部52aからの折り線(谷折りV)、および折り返し部52d,52eの立ち上がり部52b,52cからの折り線(山折りM)と平行な左右方向に延びることが望ましいが、強度の条件しだいでは、上記の折り線(谷折り線V,山折り線M)と直角な方向、又は斜め方向に延び折る場合が望ましいこともある。
【符号の説明】
【0084】
1 梱包箱
10 梱包具
11 物品搭載面部
12,13 吊り上げ部
14,15 側面部
16,17 下方曲げ部
20 外装部
36,37 下方曲げ部
52 押さえ具
70 緩衝材
100 物品
F フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部と、
前記外装部の内部に配置される梱包具と
を備え、
前記梱包具は、物品が搭載される物品搭載面部と、該物品搭載面部の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部と、を含み、
前記一対の下方曲げ部には、前記物品を覆って保持するフィルムが接着され、
前記下方曲げ部には、該下方曲げ部の外側に配置され、該下方曲げ部に対して折り曲げられる外側折り曲げ部を有する、
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記梱包具は、前記物品搭載面部の左端および右端から上方に折り曲げられる一対の吊り上げ部と、該一対の吊り上げ部の上端から下方に折り曲げられた一対の側面部と、を含むことを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記一対の側面部は、前記外装部の互いに対向する2つの壁面に面接触した状態に保持されることを特徴とする請求項2記載の梱包箱。
【請求項4】
前記一対の下方折り曲げ部は、前記外側折り曲げ部から該外側折り曲げ部とは反対側に折り曲げられた内側折り曲げ部を更に有することを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項5】
前記一対の下方曲げ部には、前記外側折り曲げ部の折り線が複数形成されることを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項6】
前記折り線は、互いに平行であることを特徴とする請求項5記載の梱包箱。
【請求項7】
前記一対の下方曲げ部の折り曲げ角度を規制する角度規制折り曲げ片を更に有することを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項8】
前記角度規制折り曲げ片は、前記下方曲げ部から前記物品搭載面部に向けて折り曲げられて形成されることを特徴とする請求項7記載の梱包箱。
【請求項9】
前記下方曲げ部は、前記物品搭載面部の前端および後端から互いに近づく方向へ斜め下方に折り曲げられることを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項10】
前記物品の上部に配置される押さえ具を更に備え、
前記押さえ具は、前記物品搭載面部に平行な平面部と、該平面部において切り込みにより形成され下方に曲げられた凸部とを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項1】
外装部と、
前記外装部の内部に配置される梱包具と
を備え、
前記梱包具は、物品が搭載される物品搭載面部と、該物品搭載面部の前端および後端から、物品が搭載される側に対して下方に折り曲げられた一対の下方曲げ部と、を含み、
前記一対の下方曲げ部には、前記物品を覆って保持するフィルムが接着され、
前記下方曲げ部には、該下方曲げ部の外側に配置され、該下方曲げ部に対して折り曲げられる外側折り曲げ部を有する、
ことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記梱包具は、前記物品搭載面部の左端および右端から上方に折り曲げられる一対の吊り上げ部と、該一対の吊り上げ部の上端から下方に折り曲げられた一対の側面部と、を含むことを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記一対の側面部は、前記外装部の互いに対向する2つの壁面に面接触した状態に保持されることを特徴とする請求項2記載の梱包箱。
【請求項4】
前記一対の下方折り曲げ部は、前記外側折り曲げ部から該外側折り曲げ部とは反対側に折り曲げられた内側折り曲げ部を更に有することを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項5】
前記一対の下方曲げ部には、前記外側折り曲げ部の折り線が複数形成されることを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項6】
前記折り線は、互いに平行であることを特徴とする請求項5記載の梱包箱。
【請求項7】
前記一対の下方曲げ部の折り曲げ角度を規制する角度規制折り曲げ片を更に有することを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項8】
前記角度規制折り曲げ片は、前記下方曲げ部から前記物品搭載面部に向けて折り曲げられて形成されることを特徴とする請求項7記載の梱包箱。
【請求項9】
前記下方曲げ部は、前記物品搭載面部の前端および後端から互いに近づく方向へ斜め下方に折り曲げられることを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項10】
前記物品の上部に配置される押さえ具を更に備え、
前記押さえ具は、前記物品搭載面部に平行な平面部と、該平面部において切り込みにより形成され下方に曲げられた凸部とを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図3】
【図6】
【図7】
【図9】
【図13】
【公開番号】特開2013−39950(P2013−39950A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178637(P2011−178637)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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