梱包装置
【課題】薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態における薄板に対する緩衝性及び取り出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができる梱包装置を提供する。
【解決手段】ガラス板を支持する支持部材25は、ガラス板の下端縁を載置可能な肘掛け部31と、ガラス板の背面を凭せ掛け可能な支柱部30とを備え、支持部材25は、少なくとも肘掛け部31がダンボール紙により構成されている。また、肘掛け部31の上面には、ガラス板の荷重を受けた場合に弾性変形すると共に、その弾性変形状態においてガラス板の荷重が解消した場合には元の形状に復元するゴム部材53が配置されている。
【解決手段】ガラス板を支持する支持部材25は、ガラス板の下端縁を載置可能な肘掛け部31と、ガラス板の背面を凭せ掛け可能な支柱部30とを備え、支持部材25は、少なくとも肘掛け部31がダンボール紙により構成されている。また、肘掛け部31の上面には、ガラス板の荷重を受けた場合に弾性変形すると共に、その弾性変形状態においてガラス板の荷重が解消した場合には元の形状に復元するゴム部材53が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガラス板等の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス等に用いられるガラス板の大型化のニーズが高まっている。このような大型のガラス板を梱包して搬送する場合、ガラス板を横置きに複数枚積層して梱包すると、その積層状態において上側のガラス板の積載重量が下側のガラス板に加わってしまい、下側のガラス板が破損する虞があるため、梱包するガラス板の数量に制限があるという問題があった。そこで、従来から、こうした薄板の一種であるガラス板を梱包して搬送する場合には、複数枚のガラス板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する梱包装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のガラス板梱包体(梱包装置)は、底壁部と背側壁部とからなる側面視略L字形状のパレット(支持部材)を有している。そして、パレットの底壁部の上面が複数枚のガラス板の下端縁を載置させる載置面部(載置部)とされると共に、パレットの背側壁部の前面が各ガラス板を重ねて立て掛けさせる立掛面部(凭せ掛け部)とされている。
【特許文献1】特開2005−170399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガラス板がパレットに凭せ掛けられた支持状態にあるガラス板梱包体を搬送する場合、通常、そのようなガラス板梱包体はトラック等の車両の荷台に積載された状態で搬送されることが多い。そして、そのような場合には、トラック等の車両が走行する路面の凹凸に起因する車両の振動がパレットを介してガラス板に伝達されるのを抑制することが望ましい。また、ガラス板の梱包時及び搬送時における梱包装置の取り扱い性等を向上するためには、パレットを含むガラス板梱包体の軽量化も望まれる。そこで、従来は、耐久性を担保するために金属材料等の剛性材料にてガラス板梱包体を構成することが多かったのに対し、近時は、軽量であって且つ緩衝性を有するダンボール紙にてパレット等を構成したガラス板梱包体が使用されるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のガラス板梱包体において、例えばパレットをダンボール紙にて構成した場合には、パレットの底壁部の上面がガラス板の荷重を受けて下方に陥入することがある。そして、その陥入部位においては、ガラス板の下端縁が食い込むことにより、ダンボール紙が圧縮されて緩衝機能を阻害されてしまうことになる。特に、ガラス板をパレットに縦置きの凭せ掛け状態にして支持する場合には、ガラス板の荷重がパレットにおける底壁部の上面に対して局所的に作用するため、このような現象が顕著となる。
【0006】
そのため、こうしたガラス板梱包体においては、ガラス板の梱包状態においてガラス板に対する緩衝性を担保できなくなると共に、パレットからガラス板を取り出す際には、ガラス板の下端縁がパレットの底壁部に形成された陥入部位に食い込んで取り出し作業が容易に行い難くなる虞があった。また、ダンボール紙は復元力の低い材質であるため、一旦、パレットの底壁部の上面に陥入部位ができてしまうと、そのガラス板梱包体に関してはガラス板に対する緩衝性を担保しつつ繰り返し使用することが困難になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態における薄板に対する緩衝性及び取り出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができる梱包装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の梱包装置は、少なくとも1枚の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして支持可能な支持部材を有し、該支持部材上に前記薄板を支持した状態において、該薄板を前記支持部材と共に梱包可能な梱包装置であって、前記支持部材は、前記薄板の下端縁を載置可能な載置部と、該載置部上に前記薄板の下端縁が載置された場合に前記薄板の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部とを備え、少なくとも前記載置部がダンボール紙にて構成されると共に、該載置部上には、前記薄板の荷重を受けた場合には弾性変形する一方、その弾性変形状態において前記薄板の荷重が解消した場合には元の形状に復元する緩衝部材が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、支持部材は、少なくとも載置部がダンボール紙にて構成されるため、その分だけ軽量化が図られる。そして、その載置部上に薄板の下端縁が載置された場合、薄板の荷重は緩衝部材が弾性変形することにより緩和された状態で載置部に作用することになる。そのため、薄板の荷重が支持部材の載置部に対して局所的に作用することが回避され、支持部材の載置部が薄板の荷重を受けて下方に陥入することが抑制される。すなわち、支持部材の載置部には薄板の下端縁を食い込ませた陥入部位が形成されることはない。また、緩衝部材は、支持部材上から薄板が取り出されると、それまで加わっていた薄板の荷重が解消されるため、弾性変形前の形状に復元する。したがって、薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態における薄板に対する緩衝性及び取り出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができるようになる。
【0010】
また、本発明の梱包装置において、前記載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されることによりブロック状に形成されている。
上記構成によれば、支持部材の載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されたブロック状をなしているため、その載置部に対して緩衝部材を介して加わる薄板の荷重を重合状態にある各ダンボール紙の端面が共同して受けることになる。したがって、薄板の荷重に対する載置部の耐性を向上することができ、梱包状態において薄板の荷重により支持部材の載置部が変形することを抑制できる。
【0011】
また、本発明の梱包装置において、前記凭せ掛け部は、前記薄板の下端縁が前記載置部上に載置された場合に前記薄板の背面と対向した状態となる凭せ掛け面を有しており、該凭せ掛け面は、その上端側の方が下端側よりも前記薄板の凭せ掛け方向の奥側に位置した傾斜面状をなすように形成されている。
【0012】
上記構成によれば、薄板は、その下端縁を支持部材の載置部上に緩衝部材を介して載置された状態において、その背面を凭せ掛け部の凭せ掛け面に対して傾斜した状態で凭せ掛けられる。そのため、薄板を垂直方向に沿う凭せ掛け状態にして梱包する場合と比較して、薄板を凭せ掛け部に対して容易に且つ安定的に凭せ掛けた状態にて梱包することができるようになる。
【0013】
また、本発明の梱包装置において、前記凭せ掛け部は、少なくとも1枚のダンボール紙が複数の折り線を介して折り曲げられることにより角柱状に形成されている。
上記構成によれば、支持部材は、載置部に加えて凭せ掛け部もダンボール紙にて構成されるため、より一層、その軽量化を図ることが可能になると共に、その凭せ掛け部はダンボール紙が複数の折り線を介して角柱状をなすように折り曲げられた構成であるため、凭せ掛けられた薄板に対する剛性も担保できる。
【0014】
また、本発明の梱包装置は、前記支持部材を少なくとも一対有し、互いに対をなす支持部材同士は、両者の凭せ掛け部同士が互いに背もたれ状態となるように配置されている。
上記構成によれば、互いに対をなす各支持部材に薄板が凭せ掛け状態に支持された場合、各支持部材の凭せ掛け部には互いに逆方向の荷重が付与される。そのため、それらの荷重が相殺されることで、各支持部材は、薄板を凭せ掛けた状態を安定的に維持することができる。また、各支持部材には、互いに異なる2方向から薄板を凭せ掛け状態に支持することができるため、薄板の梱包時及び取り出し時における作業効率の向上が期待できる。
【0015】
また、本発明の梱包装置において、前記支持部材は、少なくとも前記載置部が強化ダンボール紙にて構成されている。
上記構成によれば、支持部材の載置部は、耐荷重性に優れた強化ダンボール紙にて構成されているため、梱包状態において薄板の荷重により支持部材の載置部が変形することを抑制できる。
【0016】
また、本発明の梱包装置において、前記薄板はガラス板である。
上記構成によれば、本発明の梱包装置を利用することにより、耐衝撃性の低いガラス板を好適に梱包することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9を参照しながら説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は図1等において矢印で示す方向を示すものとする。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態の梱包装置11は、平面視矩形状をなす例えば木製のパレット12の上面に載置される矩形箱状の筐体13を備えている。筐体13は、ダンボール紙からなる下蓋14、前蓋15、後蓋16及び上蓋17により構成されており、各蓋14〜17により全方位が囲繞された筐体13内の空間には、薄板としてのガラス板18が収納されている。なお、筐体13は、その周囲に沿って縦方向及び横方向に長尺状のバンド19を固縛させることにより、ガラス板18を安定に梱包することが可能となっている。
【0019】
パレット12は、矩形板状をなす複数(本実施形態では2つ)のデッキボード20と、該デッキボード20間に介設された四角柱状をなす複数(本実施形態では4つ)の桁部材21とより構成されている。そして、桁部材21は、隣り合う部材間にフォークを挿入するための隙間が形成されるように、左右方向に所定の間隔を隔てて並列状に配設されている。
【0020】
下蓋14は、略四角形状をなすダンボール紙がその四辺の端縁部を上方に折り曲げられることで底面部22及び側面部23を形成しており、底面部22及び側面部23に囲繞された空間の開口が上方となるようにパレット12における上側のデッキボード20の上面に載置されている。
【0021】
また、下蓋14の底面部22の上面には、該下蓋14の底面部22と平面視略同一形状をなすダンボール紙製の下敷24が配置されている。なお、下敷24には、ガラス板18を支持可能な支持部材25を位置決め固定するための長孔26a,26bが厚さ方向に貫通形成されている。また、パレット12における桁部材21の上面には、固定ボルト(図示略)の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有するボルト穴(図示略)が形成されている。さらに、下敷24、下蓋14の底面部22、及び上側のデッキボード20において、桁部材21のボルト穴と上下方向で各々対応する位置には、固定ボルトを挿通するための挿通孔(図示略)がそれぞれ貫通形成されている。そして、この桁部材21のボルト穴に下敷24、下蓋14、及びデッキボード20の各挿通孔を位置合わせした状態で固定ボルトを回動操作して固定ボルトの雄ねじ部と桁部材21のボルト穴の雌ねじ部を螺合させることにより、下敷24及び下蓋14は、パレット12に対して固定されるようになっている。
【0022】
また、下敷24の上面における前後方向の略中央部には、筐体13内の空間を前後二室に仕切る仕切り壁27が立設されている。仕切り壁27は、平面視コの字状をなす一対のダンボール紙からなる仕切り部材28により構成され、両仕切り部材28は、互いに背中合わせ状態となるように配置されている。なお、各仕切り部材28における左右両隅部には、断面L字状をなすダンボール紙製のアングル29がそれぞれ配置されている。
【0023】
また、下敷24の上面における仕切り壁27の前方及び後方には、ガラス板18を支持するための複数(本実施形態では、前側及び後側で各一対となる合計4つ)の支持部材25がそれぞれ載置されている。なお、各支持部材25は、それぞれ同じ構成を有しているため、以下においては、明細書の説明理解の便宜上、仕切り壁27の前方に配置された前側の支持部材25について説明し、仕切り壁27の後方に配置された後側の支持部材25については重複説明を省略する。
【0024】
前側の支持部材25は、左右方向に沿って複数(本実施形態では2つ)並列配置されている。各支持部材25は、略四角柱状をなす支柱30aが左右方向に複数(本実施形態では2つ)並設された支柱部30と、該支柱部30の左右両側面に接着剤を介して接着された側面視略L字状をなす一対の肘掛け部31とにより構成されている。そして、肘掛け部31上に下端縁を載置された状態で支柱部30に背面側を凭せ掛けるように並列配置されたガラス板18は、平板状をなす一対の保護プレート32により前後両側から挟まれた状態で支持部材25上に支持される。なお、凭せ掛け方向で隣り合うガラス板18同士の間には、ガラス板18の運搬過程でガラス板18同士が摩擦接触して擦れ傷を生じることを抑制するために、砕木パルプや古紙を主体としたガラス合紙(図示略)又は合成樹脂製の保護シート(図示略)が介装されている。
【0025】
このとき、各肘掛け部31は、ガラス板18の下端縁を載置可能な載置部として機能すると共に、支柱部30は、肘掛け部31の上面にガラス板18の下端縁が載置された場合にガラス板18の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部として機能する。なお、各肘掛け部31の間には左右方向に空隙が形成されており、この空隙を適宜活用する(例えば、乾燥剤を配置する等)ことにより梱包装置11の構成の自由度を高めている。
【0026】
また、仕切り壁27の前方に配置されたガラス板18の保護プレート32における前側隅部、及び仕切り壁27の後方に配置されたガラス板18の保護プレート32における後側隅部には、断面L字状をなすダンボール紙製のアングル33,34がそれぞれ配置されている。そして、各アングル33,34に形成された挿通孔35に長尺状のバンド36(図8参照)を挿通させて横方向に固縛させることにより、ガラス板18を支持部材25に対して密着させて安定に支持することが可能となっている。
【0027】
また、支持部材25の周囲には、仕切り壁27の前側の開口を閉塞するように下蓋14の端縁に沿って平面視コの字状をなす前蓋15が装着されると共に、仕切り壁27の後側の開口を閉塞するように下蓋14の端縁に沿って平面視コの字状をなす後蓋16が装着される。さらに、前蓋15及び後蓋16の上端部には、その上側開口を閉塞するように矩形箱状をなす上蓋17が装着される。その結果、梱包装置11は、ガラス板18を支持部材25に対して縦置きに凭せ掛けた状態で梱包することが可能となっている。なお、ガラス板18と前蓋15との間、及びガラス板18と後蓋16との間には、これらの空隙を前後方向に充填するように押さえ部材(図示略)が介設されており、該押さえ部材は、ガラス板18が梱包装置11内で前後方向に位置ずれすることを規制している。
【0028】
次に、本発明の要部となる支持部材25の構成について図3〜図6を参照しながら説明する。
図3〜図5に示すように、支持部材25の支柱部30を構成する各支柱30aは、ダンボール紙からなる略台形状をなす板部材37が折り曲げられることにより中空の四角柱状をなすように形成される。具体的には、板部材37は、支柱30aとして折り曲げ形成された場合に、その支柱30aの各側面のうち前面を構成する前側面部38、後面を構成する後側面部39,40、左面を構成する左側面部41、右面を構成する右側面部42とを備えている。そして、これらの側面部38〜42は、板部材37の長手方向に沿って形成された複数(本実施形態では4つ)の折れ線43a,43b,43c,43dを介して連設されている。
【0029】
また、前側面部38の下端縁の中央部には嵌合溝44が切り欠き形成されると共に、左側面部41及び右側面部42の下端縁からは、下方に向かって幅広となるように前側面部38側の各側辺45a,46aを内側に傾斜させた略台形状をなす底面部45,46がそれぞれ延設されている。そして、各底面部45,46は、板部材37から支柱30aの折り曲げ形成時に各底面部45,46を上下に二分する折れ線47a,47bを介して直角に折り曲げられた状態で、更に左側面部41及び右側面部42の下端縁から内側に折り曲げられることにより、各底面部45,46の前側面部38側の各側辺45a,46aが嵌合溝44に嵌合されるようになっている(図5参照)。
【0030】
また、後側面部39の長手方向に沿う側端縁には複数(本実施形態では2つ)の支承爪48が突設されると共に、折れ線43d上において各支承爪48と対応する位置には係止孔49が形成されている。そして、板部材37は、支承爪48が係止孔49に挿入された状態で後側面部39,40を貼り合わせることにより四角柱状をなすように組み立てられる。なお、前側面部38及び後側面部39,40は長方形状をなすように形成されると共に、左側面部41及び右側面部42は上端側に向かうほど幅狭となる略台形状をなすように形成されている。
【0031】
そして、板部材37を各折れ線43a,43b,43c,43dにて折り曲げることにより支柱30aとして組み立てた場合、前側面部38は、その上端側の方が下端側よりも後方に位置する傾斜面状をなすように形成される。すなわち、ガラス板18の凭せ掛け面としての前側面部38は、上端側がガラス板18の凭せ掛け方向の手前側から奥側に傾斜するように形成される。また、後側面部39,40の下端縁には突部50a,50bがそれぞれ形成されており、板部材37から支柱30aを折り曲げ形成した場合には、これらの突部50a,50bが互いに重合して底面部45,46の後端縁から下方に突出するように構成される。
【0032】
ここで、梱包装置11を構成するダンボール紙製の各部材のうち、特に、ガラス板18の荷重を受圧する肘掛け部31は強化ダンボール紙により構成され、その他の部材は通常のダンボール紙により構成されている。なお、強化ダンボール紙とは、通常のダンボール紙に対して強度を高めることを目的として種々の加工(例えば、二層構造、三層構造などの多層構造の加工、ライナーの素材として古紙とは異なり繊維の長いバージンパルプを採用する等の加工)を施したものをいう。
【0033】
図3及び図6に示すように、支持部材25の肘掛け部31は、側面視略L字状をなす複数(本実施形態では6つ)の強化ダンボール紙が接着剤を介して互いに接着されることで縦向きに並列配置した状態で重合したブロック状をなすように形成されている。そして、肘掛け部31は、支柱部30の左右両側面の基端部に連結する連結部51と、該連結部51を基端として前方に延設された略直方体状の基部52とを備えている。
【0034】
連結部51は、前面51aが支柱部30を構成する各支柱30aの前側面部38と同一の傾斜角度を有する傾斜面をなすように形成されており、ガラス板18の背面を支持する支持面として機能する。なお、連結部51の前面51aは、一枚のダンボール紙により被覆されることで平面性が担保されている。その結果、肘掛け部31は、連結部51の前面51aが面全体で支柱部30を構成する各支柱30aの前側面部38と共同して均等にガラス板18の背面を支持して安定にガラス板18を縦置き配置することが可能となっている。
【0035】
基部52は、上面52aが一枚のダンボール紙により被覆されることで平面性が担保されている。その結果、基部52の上面52aは、平板状をなすゴム部材53を面全体に均等に接触させることで、ゴム部材53を接着剤にて安定に接着させることが可能となっている。そして、ゴム部材53は、ガラス板18の載置面として機能する上面53aがガラス板18の荷重を受けた場合には弾性変形して荷重を吸収することでガラス板18の荷重がダンボール製の基部52の上面52aに直接的にかかることを緩衝する緩衝部材として機能する。
【0036】
その一方、ゴム部材53は、その弾性変形状態において上面53a上からガラス板18が取り出される等してガラス板18の荷重が解消した場合には元の形状に復元する。なお、基部52の下面における前後方向の途中位置には、下方に向けて突出した矩形板状をなす突部54が形成されている。また、基部52の先端側には、上方に突出した側面視略半円状をなす係止部55が形成されており、該係止部55は、ゴム部材53が前後方向に位置ズレすることを規制している。
【0037】
なお、図7に示すように、下敷24には、支持部材25の組み付け時において肘掛け部31の基部52の下面に形成された突部54と対応する位置に、該突部54と平面視略同一形状をなす長孔26a,26bが形成されている。また、下敷24には、支持部材25の組み付け時において支柱部30の各支柱30aの下面に形成された突部50a,50bと対応する位置に、該突部50a,50bと同一幅を有する平面視長方形状をなす長孔26cが形成されている。
【0038】
そして、前後方向に対をなす支持部材25のうち、前側に配置された支持部材25の肘掛け部31の突部54が長孔26aに嵌挿されると共に、後側に配置された支持部材25の肘掛け部31の突部54が長孔26bに嵌挿される。また、前後方向に対をなす両支持部材25の支柱部30の突部50a,50bが長孔26cに嵌挿される。その結果、互いに対をなす支持部材25同士は、両者の支柱部30同士が互いに背もたれ状態となる配置態様で、下敷24に対して水平方向における相対移動不能に位置決め固定される。
【0039】
次に、上述した梱包装置11の作用を図8及び図9を参照しながら説明する。
さて、梱包装置11において、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態で梱包する場合には、ガラス板18の下端縁を支持部材25における肘掛け部31上に載置すると共にガラス板18の背面を支柱部30に凭せ掛けた状態で、その周囲をバンド36で固縛する(図8参照)。
【0040】
ここで、肘掛け部31をダンボール紙により構成する場合、ダンボール紙は金属等と比較して剛性の低い材質であるため、ガラス板18の荷重が肘掛け部31を構成する基部52の上面52aに局所的に作用することで肘掛け部31を大きく圧縮変形する虞があった。この点、本実施形態の梱包装置11では、肘掛け部31の基部52の上面52aにゴム部材53が配置されている。そのため、肘掛け部31上にガラス板18を載置する場合、その荷重に従って肘掛け部31が圧縮変形することをゴム部材53が次のようにして抑制する。
【0041】
すなわち、ガラス板18を垂直方向に対して所定の角度で傾斜させて凭せ掛ける場合、ガラス板18の下端面における傾斜方向前側の角部にガラス板18の荷重が集中して作用することで、ゴム部材53の上面53aにおけるガラス板18の角部と対応する部位が局所的に陥入する(図9参照)。そして、ゴム部材53の上面53aは、ガラス板18の下端面の傾斜角度に対応するように前後方向に波打ち形状をなすことで、ガラス板18の下端面全域に対応した当接状態でガラス板18を支持する。その結果、ガラス板18の荷重は、ガラス板18の下端面全域を通じてゴム部材53の上面53a全域に分散した状態で作用し、更には、その分散された荷重が肘掛け部31の基部52の上面52a全域に均等に作用する。
【0042】
すなわち、ゴム部材53は、その上面53aにガラス板18を縦置きに並列配置した場合でも、ガラス板18の荷重を分散して緩衝することで、肘掛け部31が局所的に大きく圧縮変形することを抑制する。したがって、肘掛け部31上からガラス板18を取り出す際には、ガラス板18の下端縁が肘掛け部31の基部52の上面52aに陥入して引っ掛かるようなこともなく、ガラス板18の取り出し作業の容易性を担保することが可能となる。
【0043】
なお、ガラス板18の取り出しに伴って肘掛け部31の基部52の上面52aに作用するガラス板18の荷重が解消された場合には、ゴム部材53は、ゴムの復元力に従ってほぼ変形前の形状に復元される。すなわち、ゴム部材53は、ガラス板18の荷重を緩衝するために必要な厚みを有すると共に、ガラス板18の下端縁を載置する上面53aが円滑な平面をなす平板形状を復元する。その結果、肘掛け部31は、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態にして載置する場合に、ガラス板18に対する緩衝性を担保しつつ繰り返し使用することが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、支持部材25は、少なくとも肘掛け部31がダンボール紙にて構成されるため、その分だけ軽量化が図られる。そして、その肘掛け部31上にガラス板18の下端縁が載置された場合、ガラス板18の荷重はゴム部材53が弾性変形することにより緩和された状態で肘掛け部31に作用することになる。そのため、ガラス板18の荷重が肘掛け部31に対して局所的に作用することが回避され、肘掛け部31がガラス板18の荷重を受けて下方に陥入することが抑制される。すなわち、肘掛け部31にはガラス板18の下端縁を食い込ませた陥入部位が形成されることはない。また、ゴム部材53は、肘掛け部31からガラス板18が取り出されると、それまで加わっていたガラス板18の荷重が解消されるため、弾性変形前の形状に復元される。したがって、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態におけるガラス板18に対する緩衝性及び取出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができるようになる。
【0045】
(2)上記実施形態では、肘掛け部31は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されたブロック状をなしているため、肘掛け部31に対してゴム部材53を介して加わるガラス板18の荷重を重合状態にある各ダンボール紙の端面が共同して受けることになる。したがって、ガラス板18の荷重に対する肘掛け部31の耐性を向上することができ、梱包状態においてガラス板18の荷重により肘掛け部31が変形することを抑制できる。特に、肘掛け部31は、通常のダンボール紙よりも強度に優れた強化ダンボール紙により構成されているので、ガラス板18の荷重による変形を効果的に抑制できる。
【0046】
(3)上記実施形態では、ガラス板18は、その下端縁を肘掛け部31上にゴム部材53を介して載置された状態において、その背面を支柱部30の前側面部38に対して傾斜した状態で凭せ掛けられる。そのため、ガラス板18を垂直方向に沿う凭せ掛け状態にして梱包する場合と比較して、ガラス板18を支柱部30に対して容易に且つ安定的に凭せ掛けた状態にて梱包することができるようになる。
【0047】
(4)上記実施形態では、支持部材25は、肘掛け部31に加えて支柱部30もダンボール紙にて構成されるため、より一層、その軽量化を図ることが可能になる。また、支柱部30はダンボール紙が複数の折れ線43a〜43dを介して角柱状をなすように折り曲げられた支柱30aを並列配置した構成であるため、凭せ掛けられたガラス板18に対する剛性も担保できる。
【0048】
(5)上記実施形態では、互いに対をなす各支持部材25にガラス板18が凭せ掛け状態に支持された場合、各支持部材25の支柱部30には互いに逆方向の荷重が付与される。そのため、それらの荷重が相殺されることで、各支持部材25は、ガラス板18を凭せ掛けた状態を安定に維持することができる。また、各支持部材25には、互いに異なる2方向からガラス板18を凭せ掛け状態に支持することができるため、ガラス板18の梱包時及び取り出し時における作業効率の向上が期待できる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、支持部材25は、ガラス板18の凭せ掛け方向と直交する左右方向に沿って単一列をなすように下敷24上に配置される構成であってもよい。すなわち、仕切り壁27の前方及び後方に各々配置された前側の支持部材25及び後側の支持部材25のうち一方の支持部材25を省略してもよい。この場合、図10及び図11に示すように、その支持部材25の支柱部30におけるガラス板18の凭せ掛け面(すなわち、支柱30aの前側面部38)とは反対側の面(すなわち、支柱30aの後側面部39,40)は、その下端側の方が上端側よりもガラス板18の凭せ掛け方向の奥側に位置する傾斜面状をなすように形成することが望ましい。この構成によれば、その支持部材25における支柱部30が他の支持部材25における支柱部30と互いに背凭れ状態とならない配置構成であっても、凭せ掛け面とは反対側の面がガラス板18の凭せ掛け荷重を受ける凭せ掛け面に対するつっかえ機能を果たすので、支持部材25の支柱部30を安定に立設することが可能となる。
【0050】
・上記実施形態において、図10及び図11に示すように、支持部材25の肘掛け部31は、基部52の上面が水平方向に対して傾斜面をなすように形成してもよい。すなわち、基部52の上面をガラス板18の凭せ掛け方向の手前側の方が奥側よりも上方に位置する傾斜面状をなすように形成してもよい。この場合、基部52の上面に載置されるゴム部材53も同様に水平方向に対して傾斜して配置される。そして、ガラス板18は、ゴム部材53上に載置された場合に、ゴム部材53の上面の傾斜角度に従って支柱部30の前側面部38側に凭れ掛かることとなる。そのため、この構成によれば、支持部材25は、ガラス板18に対してより確実に密接することで、ガラス板18をより安定に支持することが可能となる。また、肘掛け部31の基部52の先端側(ガラス板18の凭せ掛け方向の手前側)には、ゴム部材53の前後方向における位置ズレを規制するための係止部55を設けることが必須ではなくなる。
【0051】
・上記実施形態において、支持部材25の支柱部30は、単一の支柱30aにより構成してもよい。
・上記実施形態において、支柱30aは、複数枚のダンボール紙(通常のダンボール紙又は強化ダンボール紙)を貼り合わせた構成としてもよい。なお、この場合、各ダンボール紙はガラス板18の凭せ掛け方向と直交する方向が重合方向となるように貼り合わされるのが望ましい。
【0052】
・上記実施形態において、梱包装置11を構成するダンボール紙製の各部材は、肘掛け部31を含む全部材が強化ダンボール紙により構成されていてもよく、又は、それらの全部材が通常のダンボール紙により構成されていてもよい。さらには、ガラス板18の荷重を受ける部材となる支持部材25(肘掛け部31と支柱部30)だけが強化ダンボール紙にて構成され、その他の部材が通常のダンボール紙にて構成されていてもよい。
【0053】
・上記実施形態において、支柱30aの構造は角柱状に限定されず、円柱状又は角錐状をなすように構成してもよい。
・上記実施形態において、支柱30aの前側面部38は、ガラス板18の凭せ掛け方向と直交する垂直面をなすように形成してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、支持部材25の肘掛け部31は、複数枚のダンボール紙を横置きに並列配置した状態で重合することでブロック状をなすように形成してもよい。
・上記実施形態において、肘掛け部31上に配置される緩衝部材はゴム部材53に限定されず、ガラス板18の荷重に対する緩衝性及び復元力を兼備した部材であれば他の部材を適用できる。
【0055】
・上記実施形態において、梱包装置11が梱包する薄板はガラス板18に限定されず、例えば半導体ウエハ等の薄板を梱包する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の梱包装置を示す斜視図。
【図2】本実施形態の梱包装置を示す分解斜視図。
【図3】本実施形態の支持部材を示す斜視図。
【図4】本実施形態の支持部材を構成する支柱を示す展開図。
【図5】本実施形態の支持部材を構成する支柱を示す斜視図。
【図6】本実施形態の支持部材を構成する肘掛け部を示す斜視図。
【図7】本実施形態の下敷を示す斜視図。
【図8】ガラス板が載置された状態の梱包装置を示す正面図。
【図9】図8の梱包装置を一部破断した要部拡大正面図。
【図10】別の実施形態の支持部材を示す概略斜視図。
【図11】図10の支持部材を示す概略正面図。
【符号の説明】
【0057】
11…梱包装置、18…薄板としてのガラス板、25…支持部材、30…凭せ掛け部としての支柱部、31…載置部としての肘掛け部、38…凭せ掛け面としての前側面部、43a〜43d…折れ線、53…緩衝部材としてのゴム部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガラス板等の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス等に用いられるガラス板の大型化のニーズが高まっている。このような大型のガラス板を梱包して搬送する場合、ガラス板を横置きに複数枚積層して梱包すると、その積層状態において上側のガラス板の積載重量が下側のガラス板に加わってしまい、下側のガラス板が破損する虞があるため、梱包するガラス板の数量に制限があるという問題があった。そこで、従来から、こうした薄板の一種であるガラス板を梱包して搬送する場合には、複数枚のガラス板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する梱包装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のガラス板梱包体(梱包装置)は、底壁部と背側壁部とからなる側面視略L字形状のパレット(支持部材)を有している。そして、パレットの底壁部の上面が複数枚のガラス板の下端縁を載置させる載置面部(載置部)とされると共に、パレットの背側壁部の前面が各ガラス板を重ねて立て掛けさせる立掛面部(凭せ掛け部)とされている。
【特許文献1】特開2005−170399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガラス板がパレットに凭せ掛けられた支持状態にあるガラス板梱包体を搬送する場合、通常、そのようなガラス板梱包体はトラック等の車両の荷台に積載された状態で搬送されることが多い。そして、そのような場合には、トラック等の車両が走行する路面の凹凸に起因する車両の振動がパレットを介してガラス板に伝達されるのを抑制することが望ましい。また、ガラス板の梱包時及び搬送時における梱包装置の取り扱い性等を向上するためには、パレットを含むガラス板梱包体の軽量化も望まれる。そこで、従来は、耐久性を担保するために金属材料等の剛性材料にてガラス板梱包体を構成することが多かったのに対し、近時は、軽量であって且つ緩衝性を有するダンボール紙にてパレット等を構成したガラス板梱包体が使用されるようになっている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のガラス板梱包体において、例えばパレットをダンボール紙にて構成した場合には、パレットの底壁部の上面がガラス板の荷重を受けて下方に陥入することがある。そして、その陥入部位においては、ガラス板の下端縁が食い込むことにより、ダンボール紙が圧縮されて緩衝機能を阻害されてしまうことになる。特に、ガラス板をパレットに縦置きの凭せ掛け状態にして支持する場合には、ガラス板の荷重がパレットにおける底壁部の上面に対して局所的に作用するため、このような現象が顕著となる。
【0006】
そのため、こうしたガラス板梱包体においては、ガラス板の梱包状態においてガラス板に対する緩衝性を担保できなくなると共に、パレットからガラス板を取り出す際には、ガラス板の下端縁がパレットの底壁部に形成された陥入部位に食い込んで取り出し作業が容易に行い難くなる虞があった。また、ダンボール紙は復元力の低い材質であるため、一旦、パレットの底壁部の上面に陥入部位ができてしまうと、そのガラス板梱包体に関してはガラス板に対する緩衝性を担保しつつ繰り返し使用することが困難になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態における薄板に対する緩衝性及び取り出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができる梱包装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の梱包装置は、少なくとも1枚の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして支持可能な支持部材を有し、該支持部材上に前記薄板を支持した状態において、該薄板を前記支持部材と共に梱包可能な梱包装置であって、前記支持部材は、前記薄板の下端縁を載置可能な載置部と、該載置部上に前記薄板の下端縁が載置された場合に前記薄板の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部とを備え、少なくとも前記載置部がダンボール紙にて構成されると共に、該載置部上には、前記薄板の荷重を受けた場合には弾性変形する一方、その弾性変形状態において前記薄板の荷重が解消した場合には元の形状に復元する緩衝部材が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、支持部材は、少なくとも載置部がダンボール紙にて構成されるため、その分だけ軽量化が図られる。そして、その載置部上に薄板の下端縁が載置された場合、薄板の荷重は緩衝部材が弾性変形することにより緩和された状態で載置部に作用することになる。そのため、薄板の荷重が支持部材の載置部に対して局所的に作用することが回避され、支持部材の載置部が薄板の荷重を受けて下方に陥入することが抑制される。すなわち、支持部材の載置部には薄板の下端縁を食い込ませた陥入部位が形成されることはない。また、緩衝部材は、支持部材上から薄板が取り出されると、それまで加わっていた薄板の荷重が解消されるため、弾性変形前の形状に復元する。したがって、薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態における薄板に対する緩衝性及び取り出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができるようになる。
【0010】
また、本発明の梱包装置において、前記載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されることによりブロック状に形成されている。
上記構成によれば、支持部材の載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されたブロック状をなしているため、その載置部に対して緩衝部材を介して加わる薄板の荷重を重合状態にある各ダンボール紙の端面が共同して受けることになる。したがって、薄板の荷重に対する載置部の耐性を向上することができ、梱包状態において薄板の荷重により支持部材の載置部が変形することを抑制できる。
【0011】
また、本発明の梱包装置において、前記凭せ掛け部は、前記薄板の下端縁が前記載置部上に載置された場合に前記薄板の背面と対向した状態となる凭せ掛け面を有しており、該凭せ掛け面は、その上端側の方が下端側よりも前記薄板の凭せ掛け方向の奥側に位置した傾斜面状をなすように形成されている。
【0012】
上記構成によれば、薄板は、その下端縁を支持部材の載置部上に緩衝部材を介して載置された状態において、その背面を凭せ掛け部の凭せ掛け面に対して傾斜した状態で凭せ掛けられる。そのため、薄板を垂直方向に沿う凭せ掛け状態にして梱包する場合と比較して、薄板を凭せ掛け部に対して容易に且つ安定的に凭せ掛けた状態にて梱包することができるようになる。
【0013】
また、本発明の梱包装置において、前記凭せ掛け部は、少なくとも1枚のダンボール紙が複数の折り線を介して折り曲げられることにより角柱状に形成されている。
上記構成によれば、支持部材は、載置部に加えて凭せ掛け部もダンボール紙にて構成されるため、より一層、その軽量化を図ることが可能になると共に、その凭せ掛け部はダンボール紙が複数の折り線を介して角柱状をなすように折り曲げられた構成であるため、凭せ掛けられた薄板に対する剛性も担保できる。
【0014】
また、本発明の梱包装置は、前記支持部材を少なくとも一対有し、互いに対をなす支持部材同士は、両者の凭せ掛け部同士が互いに背もたれ状態となるように配置されている。
上記構成によれば、互いに対をなす各支持部材に薄板が凭せ掛け状態に支持された場合、各支持部材の凭せ掛け部には互いに逆方向の荷重が付与される。そのため、それらの荷重が相殺されることで、各支持部材は、薄板を凭せ掛けた状態を安定的に維持することができる。また、各支持部材には、互いに異なる2方向から薄板を凭せ掛け状態に支持することができるため、薄板の梱包時及び取り出し時における作業効率の向上が期待できる。
【0015】
また、本発明の梱包装置において、前記支持部材は、少なくとも前記載置部が強化ダンボール紙にて構成されている。
上記構成によれば、支持部材の載置部は、耐荷重性に優れた強化ダンボール紙にて構成されているため、梱包状態において薄板の荷重により支持部材の載置部が変形することを抑制できる。
【0016】
また、本発明の梱包装置において、前記薄板はガラス板である。
上記構成によれば、本発明の梱包装置を利用することにより、耐衝撃性の低いガラス板を好適に梱包することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9を参照しながら説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は図1等において矢印で示す方向を示すものとする。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態の梱包装置11は、平面視矩形状をなす例えば木製のパレット12の上面に載置される矩形箱状の筐体13を備えている。筐体13は、ダンボール紙からなる下蓋14、前蓋15、後蓋16及び上蓋17により構成されており、各蓋14〜17により全方位が囲繞された筐体13内の空間には、薄板としてのガラス板18が収納されている。なお、筐体13は、その周囲に沿って縦方向及び横方向に長尺状のバンド19を固縛させることにより、ガラス板18を安定に梱包することが可能となっている。
【0019】
パレット12は、矩形板状をなす複数(本実施形態では2つ)のデッキボード20と、該デッキボード20間に介設された四角柱状をなす複数(本実施形態では4つ)の桁部材21とより構成されている。そして、桁部材21は、隣り合う部材間にフォークを挿入するための隙間が形成されるように、左右方向に所定の間隔を隔てて並列状に配設されている。
【0020】
下蓋14は、略四角形状をなすダンボール紙がその四辺の端縁部を上方に折り曲げられることで底面部22及び側面部23を形成しており、底面部22及び側面部23に囲繞された空間の開口が上方となるようにパレット12における上側のデッキボード20の上面に載置されている。
【0021】
また、下蓋14の底面部22の上面には、該下蓋14の底面部22と平面視略同一形状をなすダンボール紙製の下敷24が配置されている。なお、下敷24には、ガラス板18を支持可能な支持部材25を位置決め固定するための長孔26a,26bが厚さ方向に貫通形成されている。また、パレット12における桁部材21の上面には、固定ボルト(図示略)の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有するボルト穴(図示略)が形成されている。さらに、下敷24、下蓋14の底面部22、及び上側のデッキボード20において、桁部材21のボルト穴と上下方向で各々対応する位置には、固定ボルトを挿通するための挿通孔(図示略)がそれぞれ貫通形成されている。そして、この桁部材21のボルト穴に下敷24、下蓋14、及びデッキボード20の各挿通孔を位置合わせした状態で固定ボルトを回動操作して固定ボルトの雄ねじ部と桁部材21のボルト穴の雌ねじ部を螺合させることにより、下敷24及び下蓋14は、パレット12に対して固定されるようになっている。
【0022】
また、下敷24の上面における前後方向の略中央部には、筐体13内の空間を前後二室に仕切る仕切り壁27が立設されている。仕切り壁27は、平面視コの字状をなす一対のダンボール紙からなる仕切り部材28により構成され、両仕切り部材28は、互いに背中合わせ状態となるように配置されている。なお、各仕切り部材28における左右両隅部には、断面L字状をなすダンボール紙製のアングル29がそれぞれ配置されている。
【0023】
また、下敷24の上面における仕切り壁27の前方及び後方には、ガラス板18を支持するための複数(本実施形態では、前側及び後側で各一対となる合計4つ)の支持部材25がそれぞれ載置されている。なお、各支持部材25は、それぞれ同じ構成を有しているため、以下においては、明細書の説明理解の便宜上、仕切り壁27の前方に配置された前側の支持部材25について説明し、仕切り壁27の後方に配置された後側の支持部材25については重複説明を省略する。
【0024】
前側の支持部材25は、左右方向に沿って複数(本実施形態では2つ)並列配置されている。各支持部材25は、略四角柱状をなす支柱30aが左右方向に複数(本実施形態では2つ)並設された支柱部30と、該支柱部30の左右両側面に接着剤を介して接着された側面視略L字状をなす一対の肘掛け部31とにより構成されている。そして、肘掛け部31上に下端縁を載置された状態で支柱部30に背面側を凭せ掛けるように並列配置されたガラス板18は、平板状をなす一対の保護プレート32により前後両側から挟まれた状態で支持部材25上に支持される。なお、凭せ掛け方向で隣り合うガラス板18同士の間には、ガラス板18の運搬過程でガラス板18同士が摩擦接触して擦れ傷を生じることを抑制するために、砕木パルプや古紙を主体としたガラス合紙(図示略)又は合成樹脂製の保護シート(図示略)が介装されている。
【0025】
このとき、各肘掛け部31は、ガラス板18の下端縁を載置可能な載置部として機能すると共に、支柱部30は、肘掛け部31の上面にガラス板18の下端縁が載置された場合にガラス板18の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部として機能する。なお、各肘掛け部31の間には左右方向に空隙が形成されており、この空隙を適宜活用する(例えば、乾燥剤を配置する等)ことにより梱包装置11の構成の自由度を高めている。
【0026】
また、仕切り壁27の前方に配置されたガラス板18の保護プレート32における前側隅部、及び仕切り壁27の後方に配置されたガラス板18の保護プレート32における後側隅部には、断面L字状をなすダンボール紙製のアングル33,34がそれぞれ配置されている。そして、各アングル33,34に形成された挿通孔35に長尺状のバンド36(図8参照)を挿通させて横方向に固縛させることにより、ガラス板18を支持部材25に対して密着させて安定に支持することが可能となっている。
【0027】
また、支持部材25の周囲には、仕切り壁27の前側の開口を閉塞するように下蓋14の端縁に沿って平面視コの字状をなす前蓋15が装着されると共に、仕切り壁27の後側の開口を閉塞するように下蓋14の端縁に沿って平面視コの字状をなす後蓋16が装着される。さらに、前蓋15及び後蓋16の上端部には、その上側開口を閉塞するように矩形箱状をなす上蓋17が装着される。その結果、梱包装置11は、ガラス板18を支持部材25に対して縦置きに凭せ掛けた状態で梱包することが可能となっている。なお、ガラス板18と前蓋15との間、及びガラス板18と後蓋16との間には、これらの空隙を前後方向に充填するように押さえ部材(図示略)が介設されており、該押さえ部材は、ガラス板18が梱包装置11内で前後方向に位置ずれすることを規制している。
【0028】
次に、本発明の要部となる支持部材25の構成について図3〜図6を参照しながら説明する。
図3〜図5に示すように、支持部材25の支柱部30を構成する各支柱30aは、ダンボール紙からなる略台形状をなす板部材37が折り曲げられることにより中空の四角柱状をなすように形成される。具体的には、板部材37は、支柱30aとして折り曲げ形成された場合に、その支柱30aの各側面のうち前面を構成する前側面部38、後面を構成する後側面部39,40、左面を構成する左側面部41、右面を構成する右側面部42とを備えている。そして、これらの側面部38〜42は、板部材37の長手方向に沿って形成された複数(本実施形態では4つ)の折れ線43a,43b,43c,43dを介して連設されている。
【0029】
また、前側面部38の下端縁の中央部には嵌合溝44が切り欠き形成されると共に、左側面部41及び右側面部42の下端縁からは、下方に向かって幅広となるように前側面部38側の各側辺45a,46aを内側に傾斜させた略台形状をなす底面部45,46がそれぞれ延設されている。そして、各底面部45,46は、板部材37から支柱30aの折り曲げ形成時に各底面部45,46を上下に二分する折れ線47a,47bを介して直角に折り曲げられた状態で、更に左側面部41及び右側面部42の下端縁から内側に折り曲げられることにより、各底面部45,46の前側面部38側の各側辺45a,46aが嵌合溝44に嵌合されるようになっている(図5参照)。
【0030】
また、後側面部39の長手方向に沿う側端縁には複数(本実施形態では2つ)の支承爪48が突設されると共に、折れ線43d上において各支承爪48と対応する位置には係止孔49が形成されている。そして、板部材37は、支承爪48が係止孔49に挿入された状態で後側面部39,40を貼り合わせることにより四角柱状をなすように組み立てられる。なお、前側面部38及び後側面部39,40は長方形状をなすように形成されると共に、左側面部41及び右側面部42は上端側に向かうほど幅狭となる略台形状をなすように形成されている。
【0031】
そして、板部材37を各折れ線43a,43b,43c,43dにて折り曲げることにより支柱30aとして組み立てた場合、前側面部38は、その上端側の方が下端側よりも後方に位置する傾斜面状をなすように形成される。すなわち、ガラス板18の凭せ掛け面としての前側面部38は、上端側がガラス板18の凭せ掛け方向の手前側から奥側に傾斜するように形成される。また、後側面部39,40の下端縁には突部50a,50bがそれぞれ形成されており、板部材37から支柱30aを折り曲げ形成した場合には、これらの突部50a,50bが互いに重合して底面部45,46の後端縁から下方に突出するように構成される。
【0032】
ここで、梱包装置11を構成するダンボール紙製の各部材のうち、特に、ガラス板18の荷重を受圧する肘掛け部31は強化ダンボール紙により構成され、その他の部材は通常のダンボール紙により構成されている。なお、強化ダンボール紙とは、通常のダンボール紙に対して強度を高めることを目的として種々の加工(例えば、二層構造、三層構造などの多層構造の加工、ライナーの素材として古紙とは異なり繊維の長いバージンパルプを採用する等の加工)を施したものをいう。
【0033】
図3及び図6に示すように、支持部材25の肘掛け部31は、側面視略L字状をなす複数(本実施形態では6つ)の強化ダンボール紙が接着剤を介して互いに接着されることで縦向きに並列配置した状態で重合したブロック状をなすように形成されている。そして、肘掛け部31は、支柱部30の左右両側面の基端部に連結する連結部51と、該連結部51を基端として前方に延設された略直方体状の基部52とを備えている。
【0034】
連結部51は、前面51aが支柱部30を構成する各支柱30aの前側面部38と同一の傾斜角度を有する傾斜面をなすように形成されており、ガラス板18の背面を支持する支持面として機能する。なお、連結部51の前面51aは、一枚のダンボール紙により被覆されることで平面性が担保されている。その結果、肘掛け部31は、連結部51の前面51aが面全体で支柱部30を構成する各支柱30aの前側面部38と共同して均等にガラス板18の背面を支持して安定にガラス板18を縦置き配置することが可能となっている。
【0035】
基部52は、上面52aが一枚のダンボール紙により被覆されることで平面性が担保されている。その結果、基部52の上面52aは、平板状をなすゴム部材53を面全体に均等に接触させることで、ゴム部材53を接着剤にて安定に接着させることが可能となっている。そして、ゴム部材53は、ガラス板18の載置面として機能する上面53aがガラス板18の荷重を受けた場合には弾性変形して荷重を吸収することでガラス板18の荷重がダンボール製の基部52の上面52aに直接的にかかることを緩衝する緩衝部材として機能する。
【0036】
その一方、ゴム部材53は、その弾性変形状態において上面53a上からガラス板18が取り出される等してガラス板18の荷重が解消した場合には元の形状に復元する。なお、基部52の下面における前後方向の途中位置には、下方に向けて突出した矩形板状をなす突部54が形成されている。また、基部52の先端側には、上方に突出した側面視略半円状をなす係止部55が形成されており、該係止部55は、ゴム部材53が前後方向に位置ズレすることを規制している。
【0037】
なお、図7に示すように、下敷24には、支持部材25の組み付け時において肘掛け部31の基部52の下面に形成された突部54と対応する位置に、該突部54と平面視略同一形状をなす長孔26a,26bが形成されている。また、下敷24には、支持部材25の組み付け時において支柱部30の各支柱30aの下面に形成された突部50a,50bと対応する位置に、該突部50a,50bと同一幅を有する平面視長方形状をなす長孔26cが形成されている。
【0038】
そして、前後方向に対をなす支持部材25のうち、前側に配置された支持部材25の肘掛け部31の突部54が長孔26aに嵌挿されると共に、後側に配置された支持部材25の肘掛け部31の突部54が長孔26bに嵌挿される。また、前後方向に対をなす両支持部材25の支柱部30の突部50a,50bが長孔26cに嵌挿される。その結果、互いに対をなす支持部材25同士は、両者の支柱部30同士が互いに背もたれ状態となる配置態様で、下敷24に対して水平方向における相対移動不能に位置決め固定される。
【0039】
次に、上述した梱包装置11の作用を図8及び図9を参照しながら説明する。
さて、梱包装置11において、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態で梱包する場合には、ガラス板18の下端縁を支持部材25における肘掛け部31上に載置すると共にガラス板18の背面を支柱部30に凭せ掛けた状態で、その周囲をバンド36で固縛する(図8参照)。
【0040】
ここで、肘掛け部31をダンボール紙により構成する場合、ダンボール紙は金属等と比較して剛性の低い材質であるため、ガラス板18の荷重が肘掛け部31を構成する基部52の上面52aに局所的に作用することで肘掛け部31を大きく圧縮変形する虞があった。この点、本実施形態の梱包装置11では、肘掛け部31の基部52の上面52aにゴム部材53が配置されている。そのため、肘掛け部31上にガラス板18を載置する場合、その荷重に従って肘掛け部31が圧縮変形することをゴム部材53が次のようにして抑制する。
【0041】
すなわち、ガラス板18を垂直方向に対して所定の角度で傾斜させて凭せ掛ける場合、ガラス板18の下端面における傾斜方向前側の角部にガラス板18の荷重が集中して作用することで、ゴム部材53の上面53aにおけるガラス板18の角部と対応する部位が局所的に陥入する(図9参照)。そして、ゴム部材53の上面53aは、ガラス板18の下端面の傾斜角度に対応するように前後方向に波打ち形状をなすことで、ガラス板18の下端面全域に対応した当接状態でガラス板18を支持する。その結果、ガラス板18の荷重は、ガラス板18の下端面全域を通じてゴム部材53の上面53a全域に分散した状態で作用し、更には、その分散された荷重が肘掛け部31の基部52の上面52a全域に均等に作用する。
【0042】
すなわち、ゴム部材53は、その上面53aにガラス板18を縦置きに並列配置した場合でも、ガラス板18の荷重を分散して緩衝することで、肘掛け部31が局所的に大きく圧縮変形することを抑制する。したがって、肘掛け部31上からガラス板18を取り出す際には、ガラス板18の下端縁が肘掛け部31の基部52の上面52aに陥入して引っ掛かるようなこともなく、ガラス板18の取り出し作業の容易性を担保することが可能となる。
【0043】
なお、ガラス板18の取り出しに伴って肘掛け部31の基部52の上面52aに作用するガラス板18の荷重が解消された場合には、ゴム部材53は、ゴムの復元力に従ってほぼ変形前の形状に復元される。すなわち、ゴム部材53は、ガラス板18の荷重を緩衝するために必要な厚みを有すると共に、ガラス板18の下端縁を載置する上面53aが円滑な平面をなす平板形状を復元する。その結果、肘掛け部31は、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態にして載置する場合に、ガラス板18に対する緩衝性を担保しつつ繰り返し使用することが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、支持部材25は、少なくとも肘掛け部31がダンボール紙にて構成されるため、その分だけ軽量化が図られる。そして、その肘掛け部31上にガラス板18の下端縁が載置された場合、ガラス板18の荷重はゴム部材53が弾性変形することにより緩和された状態で肘掛け部31に作用することになる。そのため、ガラス板18の荷重が肘掛け部31に対して局所的に作用することが回避され、肘掛け部31がガラス板18の荷重を受けて下方に陥入することが抑制される。すなわち、肘掛け部31にはガラス板18の下端縁を食い込ませた陥入部位が形成されることはない。また、ゴム部材53は、肘掛け部31からガラス板18が取り出されると、それまで加わっていたガラス板18の荷重が解消されるため、弾性変形前の形状に復元される。したがって、ガラス板18を縦置きの凭せ掛け状態にして梱包する場合に、その梱包状態におけるガラス板18に対する緩衝性及び取出し時における作業の容易性を担保しつつ繰り返し使用することができるようになる。
【0045】
(2)上記実施形態では、肘掛け部31は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されたブロック状をなしているため、肘掛け部31に対してゴム部材53を介して加わるガラス板18の荷重を重合状態にある各ダンボール紙の端面が共同して受けることになる。したがって、ガラス板18の荷重に対する肘掛け部31の耐性を向上することができ、梱包状態においてガラス板18の荷重により肘掛け部31が変形することを抑制できる。特に、肘掛け部31は、通常のダンボール紙よりも強度に優れた強化ダンボール紙により構成されているので、ガラス板18の荷重による変形を効果的に抑制できる。
【0046】
(3)上記実施形態では、ガラス板18は、その下端縁を肘掛け部31上にゴム部材53を介して載置された状態において、その背面を支柱部30の前側面部38に対して傾斜した状態で凭せ掛けられる。そのため、ガラス板18を垂直方向に沿う凭せ掛け状態にして梱包する場合と比較して、ガラス板18を支柱部30に対して容易に且つ安定的に凭せ掛けた状態にて梱包することができるようになる。
【0047】
(4)上記実施形態では、支持部材25は、肘掛け部31に加えて支柱部30もダンボール紙にて構成されるため、より一層、その軽量化を図ることが可能になる。また、支柱部30はダンボール紙が複数の折れ線43a〜43dを介して角柱状をなすように折り曲げられた支柱30aを並列配置した構成であるため、凭せ掛けられたガラス板18に対する剛性も担保できる。
【0048】
(5)上記実施形態では、互いに対をなす各支持部材25にガラス板18が凭せ掛け状態に支持された場合、各支持部材25の支柱部30には互いに逆方向の荷重が付与される。そのため、それらの荷重が相殺されることで、各支持部材25は、ガラス板18を凭せ掛けた状態を安定に維持することができる。また、各支持部材25には、互いに異なる2方向からガラス板18を凭せ掛け状態に支持することができるため、ガラス板18の梱包時及び取り出し時における作業効率の向上が期待できる。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、支持部材25は、ガラス板18の凭せ掛け方向と直交する左右方向に沿って単一列をなすように下敷24上に配置される構成であってもよい。すなわち、仕切り壁27の前方及び後方に各々配置された前側の支持部材25及び後側の支持部材25のうち一方の支持部材25を省略してもよい。この場合、図10及び図11に示すように、その支持部材25の支柱部30におけるガラス板18の凭せ掛け面(すなわち、支柱30aの前側面部38)とは反対側の面(すなわち、支柱30aの後側面部39,40)は、その下端側の方が上端側よりもガラス板18の凭せ掛け方向の奥側に位置する傾斜面状をなすように形成することが望ましい。この構成によれば、その支持部材25における支柱部30が他の支持部材25における支柱部30と互いに背凭れ状態とならない配置構成であっても、凭せ掛け面とは反対側の面がガラス板18の凭せ掛け荷重を受ける凭せ掛け面に対するつっかえ機能を果たすので、支持部材25の支柱部30を安定に立設することが可能となる。
【0050】
・上記実施形態において、図10及び図11に示すように、支持部材25の肘掛け部31は、基部52の上面が水平方向に対して傾斜面をなすように形成してもよい。すなわち、基部52の上面をガラス板18の凭せ掛け方向の手前側の方が奥側よりも上方に位置する傾斜面状をなすように形成してもよい。この場合、基部52の上面に載置されるゴム部材53も同様に水平方向に対して傾斜して配置される。そして、ガラス板18は、ゴム部材53上に載置された場合に、ゴム部材53の上面の傾斜角度に従って支柱部30の前側面部38側に凭れ掛かることとなる。そのため、この構成によれば、支持部材25は、ガラス板18に対してより確実に密接することで、ガラス板18をより安定に支持することが可能となる。また、肘掛け部31の基部52の先端側(ガラス板18の凭せ掛け方向の手前側)には、ゴム部材53の前後方向における位置ズレを規制するための係止部55を設けることが必須ではなくなる。
【0051】
・上記実施形態において、支持部材25の支柱部30は、単一の支柱30aにより構成してもよい。
・上記実施形態において、支柱30aは、複数枚のダンボール紙(通常のダンボール紙又は強化ダンボール紙)を貼り合わせた構成としてもよい。なお、この場合、各ダンボール紙はガラス板18の凭せ掛け方向と直交する方向が重合方向となるように貼り合わされるのが望ましい。
【0052】
・上記実施形態において、梱包装置11を構成するダンボール紙製の各部材は、肘掛け部31を含む全部材が強化ダンボール紙により構成されていてもよく、又は、それらの全部材が通常のダンボール紙により構成されていてもよい。さらには、ガラス板18の荷重を受ける部材となる支持部材25(肘掛け部31と支柱部30)だけが強化ダンボール紙にて構成され、その他の部材が通常のダンボール紙にて構成されていてもよい。
【0053】
・上記実施形態において、支柱30aの構造は角柱状に限定されず、円柱状又は角錐状をなすように構成してもよい。
・上記実施形態において、支柱30aの前側面部38は、ガラス板18の凭せ掛け方向と直交する垂直面をなすように形成してもよい。
【0054】
・上記実施形態において、支持部材25の肘掛け部31は、複数枚のダンボール紙を横置きに並列配置した状態で重合することでブロック状をなすように形成してもよい。
・上記実施形態において、肘掛け部31上に配置される緩衝部材はゴム部材53に限定されず、ガラス板18の荷重に対する緩衝性及び復元力を兼備した部材であれば他の部材を適用できる。
【0055】
・上記実施形態において、梱包装置11が梱包する薄板はガラス板18に限定されず、例えば半導体ウエハ等の薄板を梱包する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の梱包装置を示す斜視図。
【図2】本実施形態の梱包装置を示す分解斜視図。
【図3】本実施形態の支持部材を示す斜視図。
【図4】本実施形態の支持部材を構成する支柱を示す展開図。
【図5】本実施形態の支持部材を構成する支柱を示す斜視図。
【図6】本実施形態の支持部材を構成する肘掛け部を示す斜視図。
【図7】本実施形態の下敷を示す斜視図。
【図8】ガラス板が載置された状態の梱包装置を示す正面図。
【図9】図8の梱包装置を一部破断した要部拡大正面図。
【図10】別の実施形態の支持部材を示す概略斜視図。
【図11】図10の支持部材を示す概略正面図。
【符号の説明】
【0057】
11…梱包装置、18…薄板としてのガラス板、25…支持部材、30…凭せ掛け部としての支柱部、31…載置部としての肘掛け部、38…凭せ掛け面としての前側面部、43a〜43d…折れ線、53…緩衝部材としてのゴム部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして支持可能な支持部材を有し、該支持部材上に前記薄板を支持した状態において、該薄板を前記支持部材と共に梱包可能な梱包装置であって、
前記支持部材は、前記薄板の下端縁を載置可能な載置部と、該載置部上に前記薄板の下端縁が載置された場合に前記薄板の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部とを備え、少なくとも前記載置部がダンボール紙にて構成されると共に、該載置部上には、前記薄板の荷重を受けた場合には弾性変形する一方、その弾性変形状態において前記薄板の荷重が解消した場合には元の形状に復元する緩衝部材が設けられていることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包装置において、
前記載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されることによりブロック状に形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の梱包装置において、
前記凭せ掛け部は、前記薄板の下端縁が前記載置部上に載置された場合に前記薄板の背面と対向した状態となる凭せ掛け面を有しており、該凭せ掛け面は、その上端側の方が下端側よりも前記薄板の凭せ掛け方向の奥側に位置した傾斜面状をなすように形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記凭せ掛け部は、少なくとも1枚のダンボール紙が複数の折り線を介して折り曲げられることにより角柱状に形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記支持部材を少なくとも一対有し、互いに対をなす支持部材同士は、両者の凭せ掛け部同士が互いに背もたれ状態となるように配置されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記支持部材は、少なくとも前記載置部が強化ダンボール紙にて構成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記薄板はガラス板であることを特徴とする梱包装置。
【請求項1】
少なくとも1枚の薄板を縦置きの凭せ掛け状態にして支持可能な支持部材を有し、該支持部材上に前記薄板を支持した状態において、該薄板を前記支持部材と共に梱包可能な梱包装置であって、
前記支持部材は、前記薄板の下端縁を載置可能な載置部と、該載置部上に前記薄板の下端縁が載置された場合に前記薄板の背面を凭せ掛け可能な凭せ掛け部とを備え、少なくとも前記載置部がダンボール紙にて構成されると共に、該載置部上には、前記薄板の荷重を受けた場合には弾性変形する一方、その弾性変形状態において前記薄板の荷重が解消した場合には元の形状に復元する緩衝部材が設けられていることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包装置において、
前記載置部は、複数枚のダンボール紙が縦置きに並列配置された状態で重合されることによりブロック状に形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の梱包装置において、
前記凭せ掛け部は、前記薄板の下端縁が前記載置部上に載置された場合に前記薄板の背面と対向した状態となる凭せ掛け面を有しており、該凭せ掛け面は、その上端側の方が下端側よりも前記薄板の凭せ掛け方向の奥側に位置した傾斜面状をなすように形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記凭せ掛け部は、少なくとも1枚のダンボール紙が複数の折り線を介して折り曲げられることにより角柱状に形成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記支持部材を少なくとも一対有し、互いに対をなす支持部材同士は、両者の凭せ掛け部同士が互いに背もたれ状態となるように配置されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記支持部材は、少なくとも前記載置部が強化ダンボール紙にて構成されていることを特徴とする梱包装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の梱包装置において、
前記薄板はガラス板であることを特徴とする梱包装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−274732(P2009−274732A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126107(P2008−126107)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(598055910)AvanStrate株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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