説明

梱包陳列兼用箱体

【課題】商品の梱包で使用した箱体を利用して、安定性良く積み重ね可能な商品陳列用ケースを組立可能な梱包陳列兼用箱体を提供する。
【解決手段】複数個の商品2を収容する複数の内箱3と、複数の内箱3を収容する外箱10と、外箱10の内部と同じ高さを有し、外箱10の前後左右の側板11内面に沿った筒状に形成され、前部補強材21と後部補強材22とに分割可能な補強筒体20とを備え、外箱10の外箱上部10Uを外箱下部10Lから切り離し可能とする切取部17を外箱10に形成し、後部補強材22の上部に上方へ突出する複数の係止片23、24を形成し、係止片23、24に嵌合可能な係合孔14、15を外箱10に形成するとともに、係止片23、24に嵌合可能な係合凹部25、26を後部補強材22の下部に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の梱包で使用した箱体を利用して陳列用ケースを組立可能となした梱包陳列兼用箱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の梱包で使用した箱体を利用して陳列用ケースを組み立てて、箱体に梱包されていた商品を該陳列用ケースに陳列可能となした梱包陳列兼用箱体が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
ところが、特許文献1〜3記載の梱包陳列兼用箱体では、陳列用ケースを積み重ねて商品を展示することができず、しかも陳列用ケースに対する商品の陳列形態も1種類なので、陳列形態の自由度が少なく、販売店における展示位置などに応じた柔軟な展示形態を採用できないという問題があった。
【0004】
そこで、箱体の一対の側板形成片に連設して折り曲げられ、側板形成片に重なり合う補強用側板片を有し、補強用側板片と側板形成片とで側板を構成することで、積み重ね可能な十分な強度が得られるように構成した梱包陳列兼用箱体も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−262510号公報
【特許文献2】特開2009−269653号公報
【特許文献3】特開2008−62942号公報
【特許文献4】実用新案登録第3134204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献4記載の梱包陳列兼用箱体においては、前後左右の側板のうちの左右の側板だけが補強され、しかも陳列用ケースを積み重ねたときに、上下に配置される陳列用ケースの配設位置を規制する部材がないので、上下の陳列用ケースの位置ズレにより、上側の陳列用ケースの下端部が下側の陳列用ケースの上部内に嵌まり込み、積み重ねた陳列用ケースが崩れるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、商品の梱包で使用した箱体を利用して、安定性良く積み重ね可能な商品陳列用ケースを組立可能な梱包陳列兼用箱体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る梱包陳列兼用箱体は、複数個の商品を収容する複数の内箱と、前記複数の内箱を収容する外箱と、前記外箱内部と同じ高さを有し、前記外箱の前後左右の側板内面に沿った筒状に形成され、少なくとも前記外箱の前側板に沿って配置される前部補強材と、左右及び後の側板に沿って配置される後部補強材とに分割可能な補強筒体とを備え、前記外箱の左右及び後の側板の上部と、外箱の上板と、外箱の前側板とからなる外箱上部を、それ以外の外箱下部から切り離し可能とする切取部を外箱に形成し、前記後部補強材の上部に上方へ突出する複数の係止片を形成し、前記係止片に嵌合可能な係合孔を外箱に形成するとともに、前記係止片に嵌合可能な係合凹部を後部補強材の下部に形成したものである。
【0009】
この梱包陳列兼用箱体では、商品の梱包時には、補強筒体が外箱の側板の補強材として機能し、商品を梱包した梱包箱への側方からの衝撃を補強筒体で吸収できるとともに、梱包箱を複数段積み重ねたときにおける荷重を外箱の側板と補強筒体とで効率的に吸収することができ、輸送時や保管時等における商品の破損等を効果的に防止できる。
【0010】
一方、商品を陳列するときには、外箱から切取部を切り取って、外箱の左右及び後の側板の上部と、外箱の上板と、外箱の前側板とからなる外箱上部と、補強筒体の前部補強材を取り外し、外箱下部と後部補強材とで陳列用ケースを構成することになる。また、内箱の上半部を取り外して商品を露出させて、陳列用ケースに商品を陳列することになる。なお、内箱は、外箱に対する商品の梱包時に、予めその上半部を取り外しておいてもよいし、販売店において商品を陳列するときに、上半部を取り外してもよい。このように陳列用ケースに商品を陳列した状態で、少なくとも外箱の上面と前面とが開放されて、陳列用ケース内の商品を十分に目視観察することができる。
【0011】
また、陳列用ケースを積み重ねるときには、下側に配置する陳列用ケースの後部補強材の上端部の係止片を、上側に配置する陳列用ケースの外箱の係合孔に挿入するとともに、該陳列用ケースの後部補強材の係合凹部に嵌合させて、陳列用ケースを上下に複数段積み重ねることになる。そして、このように、係止片を係合させて上下の陳列用ケースを積み重ねるので、上側に積み重ねた陳列用ケースが左右方向や前後方向に位置ズレして見栄えが悪くなったり、位置ズレにより上側の陳列用ケースが崩れたりするという問題を効果的に防止できる。しかも、下側の陳列用ケースの後部補強材の直上位置に上側の陳列用ケースの後部補強材が配置されるので、陳列用ケースを積み重ねたときにおける荷重を、後部補強材により効果的に受け止めることができる。なお、前記係合孔は、梱包箱の状態で、外箱の外部に露出するように形成されるが、外箱の内側には商品を収納した複数の内箱が密に配置されるので、この係合孔は内箱の底面で隙間無く閉塞されることになる。また、外箱に、係合孔の形成位置に対応させてミシン目を形成し、ミシン目に沿って外箱を切り抜いて係合孔を形成することも可能である。
【0012】
ここで、前記外箱内部を複数等分する縦向きの仕切板を設けることが好ましい実施の形態である。このように構成すると、仕切板により上下方向や前後左右方向からの荷重に対する外箱の強度を高めることができる。特に、仕切板を外箱内部と同じ高さに構成すると、梱包箱の形態又は陳列用ケースの形態で梱包陳列兼用箱体を積み重ねたときに、外箱及び補強筒体に作用する荷重の一部を、仕切板により受け止めることができるので、外箱として極力薄手のダンボール等を採用しつつ、該荷重に対する梱包箱や陳列用ケースの強度剛性を一層向上できる。
【0013】
前記仕切板を前記外箱内部と同じ高さに構成して、前記外箱内部の左右方向の中央部に配置し、外箱の上側の左右のフラップの遊端部に差込片を形成して、前記左右のフラップの差込片を仕切板の上部内に差し込んで、左右のフラップで外箱の上面開口を閉塞可能となすことも好ましい実施の形態である。このように構成すると、上側の左右のフラップの遊端部を仕切板により支持して、該フラップの支持強度を高め、外箱として極力薄手のダンボール等を採用しつつ、外箱上部の強度剛性を向上できる。
【0014】
前後方向に延びる複数の吊下げ棒と、吊下げ棒をその後端部において片持ち状に支持する支持棒とを有するハンガー部材を設け、前記ハンガー部材を前記後部補強材の上部に着脱可能に設けることも好ましい実施の形態である。この場合には、後部補強材にハンガー部材を取付けて、商品をハンガー部材の支持棒に支持させて陳列することができ、販売店の陳列位置などに応じて、商品の陳列形態を、商品を内箱に縦向きに装填して陳列した陳列形態と、ハンガー部材に吊下げて陳列した陳列形態に切り替えることができ、陳列形態の自由度を一層高めることができる。
【0015】
前記内箱を上下に分割可能に構成して、上部を切り離した内箱の下部内に商品を装填した状態で、内箱の下部及び商品を外箱に装填し、外箱の上部内に商品を押さえる押さえ板を着脱自在に設けることも好ましい実施の形態である。この場合には、販売店において、内箱を上部と下部とに切り離して、内箱から商品を露出させるという作業を省略することができる。また、梱包した状態で、商品を押さえる押さえ板を設けることで、輸送時等における振動で、外箱内において商品がバラけることを防止できる。
【0016】
前記後部補強材の左右の補強側板の前端部が前方下がりの傾斜状に切り欠かれるように、後部補強材と前部補強材とを分割可能となすことも好ましい実施の形態である。陳列用ケースの形態において、後部補強板は、前面を開放した状態となり、陳列用ケースを積み重ねたときにおける上側からの荷重が、補強側板の前部に作用することになるが、補強側板の前端部を前方下がりの傾斜状に形成すると、該荷重を効果的に受け止めることが可能となるので好ましい。
【0017】
前記下部外箱に外箱の前側板の下部が残存するように、上部外箱と下部外箱とを切り離し可能となすことも好ましい実施の形態である。下部外箱の前面全体を開口させることも可能であるが、前側板の下部が残存するように構成することで、該残存部分の前面を商品の広告面として利用することができるので好ましい。また、前側板の下部を残存させて、商品を吊下げたときに、商品の下部が前側板の下部に接触できるように構成すると、陳列用ケースの移動時などにおいて、商品の下部が外側へ移動して、商品がフックから外れて脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る梱包陳列兼用箱体によれば、梱包箱の形態では、補強筒体により積み重ね荷重を支持でき、陳列用ケースの形態では、補強筒体の後部補強材により積み重ね荷重を支持できるので、外箱として比較的薄手のダンボール紙などを採用することができ、梱包箱全体を厚手のダンボール紙で構成する場合と比較して、製作コストを安くしつつ、積み重ねたときにおける十分な強度剛性を確保できる。また、陳列用ケースを積み重ねないで商品を陳列することもできるし、陳列用ケースを複数段積み重ねて商品を陳列することもでき、販売店における陳列位置などに応じて陳列形態を変更できる。しかも、下側に配置する陳列用ケースの後部補強材の係止片を、上側に配置する陳列用ケースの外箱の係合孔に挿入するとともに、該陳列用ケースの後部補強材の係合凹部に嵌合させて、陳列用ケースを上下に複数段積み重ねるので、上側に積み重ねられる陳列用ケースの前後左右への位置ズレを防止して、安定性良く複数の陳列用ケースを積み重ねることが可能となる。しかも、梱包箱の形態や陳列用ケースの形態で、これらを複数積み重ねたときに、補強筒体や後部補強材に上側からの荷重を確実に作用させて、これらの荷重を受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】上部のフラップを開放した状態における梱包箱の斜視図
【図2】梱包箱の分解斜視図
【図3】陳列用ケースの斜視図
【図4】外箱の展開図
【図5】後部補強材の展開図
【図6】商品を縦置きした陳列形態での陳列用ケースの斜視図
【図7】商品を吊下げた陳列形態での陳列用ケースの斜視図
【図8】ハンガー部材の斜視図
【図9】積み重ね状態での陳列用ケースの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図8に示すように、梱包陳列兼用箱体1は、輸送や保管のために商品2を梱包する図1に図示の梱包箱1Aと、商品2を陳列するための図6、図7、図9に図示の陳列用ケース1Bとにその使用形態を切換え可能となしたものである。また、陳列用ケース1Bとしての使用形態では、図6に示すように、複数の商品2を内箱3の下半部に縦置きした陳列形態と、図7に示すように、複数の商品2をハンガー部材30に吊下げた陳列形態と、陳列用ケース1Bを個別に平置きする陳列形態と、図9に示すように、複数の陳列用ケース1Bを積み重ねた陳列形態とに切換え可能に構成されている。
【0021】
梱包陳列兼用箱体1は、複数個の商品2を収容する複数の内箱3と、複数の内箱3を収容する外箱10と、外箱10の内部と同じ高さを有し、外箱10の前後左右の側板11F、11B、11L、11Rの内面に沿った筒状に形成され、少なくとも外箱10の前側板11Fに沿って配置される前部補強材21と、左右及び後の側板11に沿って配置される後部補強材22とに分割可能な補強筒体20と、外箱10の内部を左右に仕切る仕切板4と、商品2上部を押さえる押さえ板5とを備えている。
【0022】
本実施の形態では、商品2としてブリスターケースに収容した歯ブラシを採用したが、歯ブラシ以外の商品2を採用することも可能である。特に、内箱3の下半部を構成する下部内箱3Lに差し込んだ縦置き形態と、ハンガー部材30に吊下げた吊下げ形態とに陳列可能なもの、例えば歯磨きペースト、ボールペンやマジック、修正ペンなどの細長い商品2の陳列に好適に利用できる。商品2の高さは、吊下げ形態で陳列できるように、外箱10の内部の高さよりも一段低く設定されている。
【0023】
梱包陳列兼用箱体1を構成する、内箱3、外箱10、補強筒体20、仕切板4、押さえ板5の紙素材は、特に限定はないが、廃棄処分やリサイクル処理が容易なことから、ダンボールまたは板紙を使用することが好ましい。また、これらの箱構成材は、同じ紙素材で構成することも可能であるが、補強筒体20、仕切板4及び押さえ板5、外箱10、内箱3の順番で強度剛性が低くなるように設定することで、梱包箱1A及び陳列用ケース1Bとしての強度剛性を十分に確保しつつ、製作コストを安くすることができるので好ましい。具体的には、補強筒体20として、厚さ5〜6mmの厚手のダンボールを採用し、仕切板4及び押さえ板5として、厚さ2〜4mmのダンボールを採用し、外箱10として、厚さ1〜2mmのダンボールを採用し、内箱3として、米坪量260〜270g/m2の紙を採用することができる。
【0024】
(外箱)
外箱10は、前後左右の側板11F、11B、11L、11Rと、底板12を構成する前後左右のフラップLF、LB、LL、LRと、上板13を構成する前後左右のフラップUF、UB、UL、URとを備えている。前後左右の側板11F、11B、11L、11Rは、図4の展開図において、後側板11Bの左端部に形成された糊代部11Pを右側板11Rの右端部に接着することで、角筒状に組み立てられている。
【0025】
底板12を構成する前後のフラップLF、LBは、その突合せ部が外箱10のやや後側に配置されるように、前側のフラップLFが後側のフラップLBよりもやや長めに設定され、底板12を構成する左右のフラップLL、LRは、外箱10の左右の長さの約1/2の長さに設定されている。外箱10の底板12は、左右のフラップLL、LRで外箱10の下面開口を閉塞した後、前後のフラップLF、LBを左右のフラップLL、LRの下側に重ね合わせて粘着テープなどで貼り合わせることで、外箱10の下面開口を閉塞するように設けられている。なお、前後左右のフラップLF、LB、LL、LRによる外箱10の下面開口の閉塞構造としては、例示した以外の周知の閉塞構造を採用することも可能である。
【0026】
上板13を構成する前後のフラップUF、UBは、外箱10の前後の長さの約1/2の長さに設定され、底板12を構成する左右のフラップUL、URは、外箱10の左右の長さの約1/2の長さに設定されている。前後左右のフラップUF、UB、UL、URは、左右のフラップUL、URで外箱10の上面開口を閉塞した後、前後のフラップUF、UBを左右のフラップUL、URの上側に重ね合わせて粘着テープなどで貼り合わせることで、上面開口を閉塞するように設けられている。なお、前後左右のフラップUF、UB、UL、URによる外箱10の上面開口の閉鎖構造としては、例示した以外の周知の閉塞構造を採用することも可能である。
【0027】
外箱10の底板12の左右両側縁部には前後方向に細長い角孔状の前後1対の側部係合孔14が形成され、前後の側部係合孔14は外箱10の前後方向の3等分位置よりもやや後部側に形成され、外箱10の底板12の後縁部には左右方向に細長い角孔状の左右1対の後部係合孔15が形成されている。ただし、この側部係合孔14及び後部係合孔15は、外箱10のダンボールをブランキングするときに打ち抜き形成してもよいし、外箱10のダンボールをブランキングするときに側部係合孔14及び後部係合孔15に沿ってミシン目を形成して、販売店等への輸送後にミシン目に沿って切り抜くことにより形成してもよい。なお、符号16は、左右のフラップUL、URを開閉するための指挿入用の挿入孔である。
【0028】
外箱10の左右及び後の側板11L、11R、11Bの上部には上部切取部17Uが略水平に形成され、前側板11Fの下部には下部切取部17Lが略水平に形成され、左右の側板11L、11Rの前部には前方下がりの傾斜状の傾斜切取部17Bが形成され、上部切取部17Uと下部切取部17Lと傾斜切取部17Bとから連続的な切取部17が形成されている。そして、外箱10から切取部17を切り離すことで、外箱10は、外箱10の左右及び後の側板11L、11R、11Bの上部と、外箱10の上板13と、外箱10の前側板11Fの下部を除く部分とからなる外箱上部10Uと、それ以外の外箱下部10Lとに切り離されるように構成されている。外箱10の前側板11Fの下部は外箱下部10Lに前側裾板11Sとして残存するように構成され、この前側裾板11Sの前面を商品2の広告面等として活用できるように構成されている。前側裾板11Sの上部には補助切取部17Sが切取可能に設けられ、商品2を下部内箱3Lに縦置きして陳列する場合には、補助切取部17Sを残して下部内箱3Lの外倒れを防止できるように構成し、商品2を吊下げて陳列する際には、補助切取部17Sを切り取って、商品2の取出性を高めるように構成されている。なお、切取部17は直線的に形成することも可能であるが、曲線状に形成して、陳列用ケース1Bの形態における意匠性が高くなるように構成することも可能である。
【0029】
切取部17の切断部分の長さは、外箱10の強度と切り取り形状を考慮して、20〜70mmに設定することが好ましい。また、接続部分の長さは、長すぎると切断時にダンボールの表層破れを引き起こし、切り屑が残りやすく見栄えが悪くなり、短すぎると、外箱10の落下時や外箱10を粗雑に取り扱ったときに接合部が破断して、外箱10が崩壊することが懸念されるので、3〜6mmに設定することが好ましい。
なお、外箱10の大きさは、それに収容する内箱3の大きさや個数に応じて適宜に設定することができる。
【0030】
(仕切板)
外箱10の左右方向の中央部には、外箱10の内部の高さと同じ高さの仕切板4が着脱自在に縦向きに設けられている。仕切板4は、ダンボールをU字状に折り曲げて製作され、仕切板4の厚さ方向の中央部には外箱10を構成するダンボールの厚さの2倍の隙間が形成されている。左右のフラップUL、URの遊端部には差込片18が形成され、左右のフラップUL、URは、仕切板4の上端部に差込片18を差し込むことにより両端支持され、これにより上側からの荷重に対する外箱10の上部の強度剛性が高められている。
【0031】
なお、仕切板4の枚数は任意に設定可能であるが、外箱10の内部を等分に区画するように配置することが好ましい。また、仕切板4を十文字状や格子状に配置して外箱10内を区画することも可能である。更に、外箱10の内部の高さと同じ高さの仕切板4を用いることもできるし、外箱10の内部の高さよりも低い仕切板4を用いたり、両者を併用したりすることも可能である。仕切板4の高さを外箱10の内部の高さと同じに設定すると、外箱10の上板13に作用する上側からの荷重を仕切板4で受け止めることができるので、梱包箱1Aや陳列用ケース1Bの積み重ね時における荷重を仕切板4により効果的に受け止めることができる。
【0032】
(補強筒体)
補強筒体20は、外箱10の内部と同じ高さを有し、外箱10の前後左右の側板11F、11B、11L、11Rの内面に沿った筒状に形成され、少なくとも外箱10の前側板11Fに沿って配置される前部補強材21と、左右及び後の側板11L、11R、11Bに沿って配置される後部補強材22とに分割可能に構成されている。
【0033】
後部補強材22は、後部補強板22Bと、後部補強板22Bから前方へ延びる左右1対の側部補強板22L、22Rとで構成され、側部補強板22L、22Rの前端上部は前方下がりの傾斜状に切り欠かれ、前部補強板21Fの前端下部には受け部22Cが前方へ向けて突出状に形成されている。前部補強材21は、前部補強板21Fと、前部補強板21Fの左右両側縁から後方へ延びる左右の側部補強板21L、21Rとで構成され、前部補強材21の側部補強板21L、21Rの下側に、後部補強板22Bの受け部22Cが配置されることで、梱包箱1Aの形態において、前部補強材21の両側部に作用する上方からの荷重を無理なく受け止めることができるように構成されている。また、後部補強材22の左右の側部補強板22L、22Rの前端上部が前方下がりの傾斜状に切り欠かれることで、梱包時や陳列時に後部補強材22の左右の側部補強板22L、22Rに作用する上側からの荷重を効果的に受け止めることができるように構成されている。
【0034】
後部補強材22の左右の側部補強板22L、22Rの上部には前後1対の側部係止片23が上方へ突出状に形成され、後部補強板22Bの上部には左右1対の後部係止片24が上方へ突出状に形成されている。後部補強材22の左右の側部補強板22L、22Rの下部には前後1対の側部係合凹部25が形成され、後部補強板22Bの下部には左右1対の後部係合凹部26が形成されている。後部補強材22の側部係合凹部25と外箱10の側部係合孔14は、側部係止片23に対応させて形成され、後部補強材22の後部係合凹部26と外箱10の後部係合孔15とは、後部係止片24に対応させて形成され、陳列用ケース1Bを積み重ねるときには、下側の陳列用ケース1Bの左右の側部係止片23を、上側の陳列用ケース1Bの側部係合孔14及び側部係合凹部25に嵌合させるとともに、下側の陳列用ケース1Bの後部係止片24を、上側の陳列用ケース1Bの後部係合孔15及び後部係合凹部26に嵌合させることで、上側の陳列用ケース1Bを位置ズレしないように積み重ねることができる。なお、係止片23、24の個数や大きさは、箱体1の大きさなどに応じて任意に設定することができる。
【0035】
(内箱)
内箱3は、複数本の商品2、本実施の形態では6本の歯ブラシを収容可能な直方体状に形成され、高さ方向の途中部において上部内箱3Uと下部内箱3Lとに分割できるように構成されている。この内箱3は、上部内箱3Uと下部内箱3Lとに分割しない状態で外箱10に収納することもできるが、販売店等への輸送後に、分割する作業が煩雑になるので、予め工場等において分割しておき、下部内箱3L内に商品2を装填した状態で、これを外箱10内に収容することが好ましい。なお、内箱3の大きさは、それに収容する商品2の大きさや個数に応じて適宜に設定することができる。
【0036】
(押さえ板)
押さえ板5は、輸送時などにおける振動で、内箱下部から商品2が飛び出すことを防止するためのもので、商品2の上側に配置される長方形の押さえ部5aと、押さえ部5aの前後両端から上方へ延びる折曲部5bとを備え、押さえ部5aの下面が商品2の上端部に当接し、折曲部5bの上端部が外箱10の上板13下面に当接することで、輸送時等の振動で下部内箱3Lから商品2が飛び出さないように構成されている。ただし、商品2を内箱3に収容する場合には、この押さえ板5は省略することも可能である。
【0037】
(ハンガー部材)
図7、図8に示すように、ハンガー部材30を陳列用ケース1Bの上部に取付けて、商品2を吊下げ形態で陳列することも可能である。ハンガー部材30としては、前後方向に延びる複数の吊下げ棒31と、吊下げ棒31をその後端部において片持ち状に支持する支持棒32とを有するものを採用できる。ハンガー部材30を陳列用ケース1Bに固定するため、少なくとも2本の吊下げ棒31には後方へ延びる略L字状の係止部31aが形成され、支持棒32の両端部は前方へ延びて、その前端部にはフック部32aが形成され、後部補強材22の後部補強板22Bの上部には係止部31aが挿通する嵌合孔27が形成され、後部補強材22の左右の側部補強板22L、22Rの上部には下方へ延びる係合スリット28が形成され、ハンガー部材30は、係止部31aを嵌合孔27に挿通させるとともに、フック部32aを係合スリット28に上方から係合させて、陳列用ケース1Bの上部に着脱自在に略水平に固定支持されている。このハンガー部材30は、全ての梱包箱1Aに付属させることも可能であるが、何度でも繰り返して使用できるので、販売店毎に必要個数を提供することが好ましい。
【0038】
次に、この梱包陳列兼用箱体1を用いた商品2の梱包方法について説明する。
この梱包陳列兼用箱体1を用いて、商品2を梱包した梱包箱1Aを組み立てる際には、先ず外箱10の内側に補強筒体20を装填するとともに、内箱3を上下に分割して、上部内箱3Uを取り外し、外箱10の中央部内に仕切板4を縦向き姿勢で配置しながら、複数の商品2を装填した下部内箱3Lを外箱10に密に装填する。ただし、内箱3を分割しないで、これをそのまま外箱10内に装填することも可能である。
【0039】
次に、仕切板4の両側の商品2の上側に押さえ板5を載置し、上側の左右のフラップUL、URの差込片18を仕切板4の上部に差し込んで、上側の左右のフラップUL、URを閉じ、その上側に前後のフラップUF、UBを配置させて、前後のフラップUF、UBを粘着テープで固定して、梱包箱1Aを組み立てることになる。
【0040】
次に、この箱体1を用いた商品2の陳列方法について説明する。
販売店等において、外箱10の切取部17を切り取って、外箱上部10Uを取り外すとともに、前部補強材21及び押さえ板5を取り外して、図6に示すように、陳列用ケース1Bを組み立て、これをそのままテーブルや商品棚に載置したり、図9に示すように、複数の陳列用ケース1Bを積み重ねたりして陳列することになる。積み重ねる場合には、図9に示すように、下側の陳列用ケース1Bの係止片23、24を上側の陳列用ケース1Bの係合孔14、15から挿入して、係合凹部25、26に係合させることになる。そして、このように係止片23、24を係合孔14、15及び係合凹部25、26に係合させるので、上下の陳列用ケース1Bの位置ズレを防止して、上側の陳列用ケース1Bの荷重を下側の陳列用ケース1Bの後部補強材22で確実に受け止めることが可能となる。
【0041】
また、商品2を吊下げて陳列する場合には、陳列用ケース1Bから商品2を取り出した後、図7に示すように、ハンガー部材30の係合部を後部補強材22の後部補強板22Bの嵌合孔27に挿通させるとともに、フック部32aを係合スリット28に上側から係合させて、陳列用ケース1Bの上部にハンガー部材30を略水平に取り付け、吊下げ棒31に商品2を吊下げて陳列することになる。なお、商品2を吊下げたこの陳列形態においても、前記と同様に、陳列用ケース1Bを上下複数積み重ねることができる。
【0042】
このように、この梱包陳列兼用箱体1によれば、梱包箱1Aの形態では、補強筒体20により積み重ね荷重を支持でき、陳列用ケース1Bの形態では、補強筒体20の後部補強材22により積み重ね荷重を支持できるので、外箱10として比較的薄手のダンボール紙などを採用することができ、梱包箱1A全体を厚手のダンボール紙で構成する場合と比較して、製作コストを安くしつつ、積み重ねたときにおける十分な強度剛性を確保できる。また、陳列用ケース1Bを積み重ねないで商品2を陳列することもできるし、陳列用ケース1Bを複数段積み重ねて商品2を陳列することもでき、販売店における陳列位置などに応じて陳列形態を変更できる。しかも、下側に配置する陳列用ケース1Bの後部補強材22の係止片23、24を、上側に配置する陳列用ケース1Bの外箱10の係合孔14、15に挿入するとともに、該陳列用ケース1Bの後部補強材22の係合凹部25、26に嵌合させて、陳列用ケース1Bを上下に複数段積み重ねるので、上側に積み重ねられる陳列用ケース1Bの前後左右への位置ズレを防止して、安定性良く複数の陳列用ケース1Bを積み重ねることが可能となる。しかも、梱包箱1Aの形態や陳列用ケース1Bの形態で、これらを複数積み重ねたときに、補強筒体20や後部補強材22に上側からの荷重を確実に作用させて、これらの荷重を受け止めることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 梱包陳列兼用箱体 1A 梱包箱
1B 陳列用ケース
2 商品 3 内箱
3L 下部内箱 3U 上部内箱
4 仕切板 5 押さえ板
5a 押さえ部 5b 折曲部
10 外箱 10L 外箱下部
10U 外箱上部
11 側板 11F 前側板
11B 後側板 11L 左側板
11R 右側板 11P 糊代部
11S 前側裾板
12 底板 LF フラップ
LB フラップ LL フラップ
LR フラップ
13 上板 UF フラップ
UB フラップ UL フラップ
UR フラップ
14 側部係合孔 15 後部係合孔
16 挿入孔 17 切取部
17L 下部切取部 17U 上部切取部
17B 傾斜切取部 17S 補助切取部
18 差込片
20 補強筒体 21 前部補強材
21F 前部補強板 21L 側部補強板
22 後部補強材 22B 後部補強板
22R 側部補強板 22L 側部補強板
22C 受け部
23 側部係止片 24 後部係止片
25 側部係合凹部 26 後部係合凹部
27 嵌合孔 28 係合スリット
30 ハンガー部材 31 吊下げ棒
31a 係止部 32 支持棒
32a フック部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の商品を収容する複数の内箱と、前記複数の内箱を収容する外箱と、前記外箱内部と同じ高さを有し、前記外箱の前後左右の側板内面に沿った筒状に形成され、少なくとも前記外箱の前側板に沿って配置される前部補強材と、左右及び後の側板に沿って配置される後部補強材とに分割可能な補強筒体とを備え、
前記外箱の左右及び後の側板の上部と、外箱の上板と、外箱の前側板とからなる外箱上部を、それ以外の外箱下部から切り離し可能とする切取部を外箱に形成し、
前記後部補強材の上部に上方へ突出する複数の係止片を形成し、
前記係止片に嵌合可能な係合孔を外箱に形成するとともに、前記係止片に嵌合可能な係合凹部を後部補強材の下部に形成した、
ことを特徴とする梱包陳列兼用箱体。
【請求項2】
前記外箱内部を複数等分する縦向きの仕切板を設けた請求項1記載の梱包陳列兼用箱体。
【請求項3】
前記仕切板を前記外箱内部と同じ高さに構成して、前記外箱内部の左右方向の中央部に配置し、外箱の上側の左右のフラップの遊端部に差込片を形成して、前記左右のフラップの差込片を仕切板の上部内に差し込んで、左右のフラップで外箱の上面開口を閉塞可能となした請求項2記載の梱包陳列兼用箱体。
【請求項4】
前後方向に延びる複数の吊下げ棒と、吊下げ棒をその後端部において片持ち状に支持する支持棒とを有するハンガー部材を設け、前記ハンガー部材を前記後部補強材の上部に着脱可能に設けた請求項1〜3のいずれか1項記載の梱包陳列兼用箱体。
【請求項5】
前記内箱を上下に分割可能に構成して、上部を切り離した内箱の下部内に商品を装填した状態で、内箱の下部及び商品を外箱に装填し、外箱の上部内に商品を押さえる押さえ板を着脱自在に設けた請求項1〜4のいずれか1項記載の梱包陳列兼用箱体。
【請求項6】
前記後部補強材の左右の補強側板の前端部が前方下がりの傾斜状に切り欠かれるように、後部補強材と前部補強材とを分割可能となした請求項1〜5のいずれか1項記載の梱包陳列兼用箱体。
【請求項7】
前記下部外箱に外箱の前側板の下部が残存するように、上部外箱と下部外箱とを切り離し可能となした請求項1〜6のいずれか1項記載の梱包陳列兼用箱体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−81981(P2012−81981A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229337(P2010−229337)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】