説明

棒状砂中子を用いる鋳造方法及び棒状砂中子の変形防止具

【課題】簡単な構造の中空の棒状砂中子を用いて精度のよい鋳造を行うことができる鋳造方法及びこれに用いられる棒状砂中子の変形防止具を提供する。
【解決手段】中空構造の棒状砂中子14を金型12の中に設置して金型12及び棒状砂中子14で形成される空間に溶湯16を注湯する棒状砂中子を用いる鋳造方法であって、棒状砂中子14の中に棒状の変形防止具18を挿入してから金型12及び棒状砂中子14で形成される空間に溶湯16を注湯するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金型内に棒状砂中子を設置して金型及び棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯する鋳造方法及び棒状砂中子の変形防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば筒状の部品のような中空構造の部品を鋳造するために棒状砂中子が用いられている。金型及び棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯し、溶湯が凝固した後に棒状砂中子を振動等により破壊して除去することにより中空構造の鋳造部品が得られる。砂中子は一般的に外皮部分だけが製品の造形に寄与するので中空構造とすることができ、又、中空構造とすることで砂中子の材料の量を抑制できる。又、中空構造の砂中子の方が中実構造の砂中子よりも砂中子を構成する材料の量が少ないので鋳巣等の欠陥の原因となるガスの発生も少ない。更に、中空構造の砂中子の方が中実構造の砂中子よりも溶湯が凝固した後の砂中子の破壊、除去が容易である。このような理由により棒状砂中子についても中空構造であることが好ましいと考えられる。
【0003】
一方、棒状砂中子は溶湯中に浸されることにより生じる浮力や溶湯からの伝熱によって変形することがあり、中空の棒状砂中子は中実構造の棒状砂中子よりも変形しやすいという事情がある。棒状砂中子が変形すると鋳造製品はそれだけ本来の形状から外れた形状に成形されることになる。例えばパワーステアリングのシリンダチューブのような長尺の筒状の鋳造部品の場合、鋳造製品に偏心した孔が形成され、偏肉(肉厚のばらつき)が生じることがある。これにより製品の歩留まりが低下するという問題がある。
【0004】
これに対し、円筒状の金属やセラミックの芯材の周りに砂材が一体で成形された(砂材が芯材で補強された)中空構造の棒状砂中子が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。又、リベット状の冷やし金が埋め込まれた中実構造の棒状砂中子を用い、先端付近の溶湯の冷却を促進すると共に、棒状砂中子の先端付近に溶湯が回り込みやすくなるようにする手法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−76249号公報
【特許文献2】特開平5−57394号公報
【特許文献3】特開2002−361366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、砂材に加えて金属やセラミックの芯材又は冷やし金も備える構造の棒状砂中子はコスト増加の要因となりうる。又、棒状砂中子の外周面の形状は必ずしも単純な円筒面ではなく、鋳造製品よっては例えば内周面が段付き形状のものもあり、これに対応して外周面が段付き軸のような形状の棒状砂中子が要求される場合がある。円筒状の芯材の周りに砂材を一体で成形してこのような段付き形状の棒状砂中子を作成する場合、細い部分よりも太い部分の肉厚が厚くなり、中空構造とすることによって砂材の量を抑制する効果が減殺される。又、細い部分は太い部分よりも変形しやすいが、細い部分の方が太い部分よりも肉厚が薄くなり構造上アンバランスである。尚、芯材や冷やし金を用いずに砂材だけを用い、棒状砂中子の細い部分を補強するために細い部分だけを中実構造とすることも考えられるが、細い部分を中実としても砂材だけでは細い部分の変形を充分に抑制できないことがあった。又、細い部分を中実とすると溶湯が凝固した後に中実の細い部分を破壊、除去することが困難であった。又、中実部分はそれだけ砂材を結合するレジン等の含有量も多いため多くのガスが発生しやすく、対応する鋳造製品の鋳肌に鋳巣等の欠陥が発生しやすいという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、簡単な構造の中空の棒状砂中子を用いて精度のよい鋳造を行うことができる鋳造方法及びこれに用いられる棒状砂中子の変形防止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、中空構造の棒状砂中子を金型の中に設置して金型及び棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯する棒状砂中子を用いる鋳造方法であって、棒状砂中子の中に棒状の変形防止具を挿入してから金型及び棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯するようにしたことにより上記課題を解決したものである。
【0009】
このように棒状砂中子の中に変形防止具を挿入することにより棒状砂中子の重量を増加したような効果が得られる。従って、溶湯中で生じる浮力による棒状砂中子の変形を抑制できる。
【0010】
尚、変形防止具として棒状砂中子の内周面の少なくとも一部に密着する棒状部材を棒状砂中子の中に挿入するとよい。このように変形防止具が棒状砂中子の内周面に密着することで、棒状砂中子の剛性を高めたような効果も得られる。従って、棒状砂中子の変形を抑制する効果を更に高めることができる。
【0011】
又、棒状砂中子は段付き形状で最も細い部分も中空構造であり、変形防止具として棒状砂中子における最も細い部分の内周面に密着する棒状部材を棒状砂中子の中に挿入してもよい。このように段付き形状の棒状砂中子において変形が生じやすい最も細い部分の内周面に密着する変形防止具を棒状砂中子の中に挿入することにより、段付き形状の棒状砂中子の変形を効果的に抑制できる。
【0012】
又、本発明は、棒状部材であり、中空構造の棒状砂中子への挿入及び棒状砂中子からの抜出しが自在である棒状砂中子の変形防止具により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な構造の中空の棒状砂中子を用いて精度のよい鋳造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る棒状砂中子を用いる鋳造方法を模式的に示す断面図を含む側面図
【図2】同鋳造方法で用いられる棒状砂中子の変形防止具の形状を示す斜視図
【図3】同鋳造方法の流れを示すフローチャート
【図4】本発明の第2実施形態に係る棒状砂中子を用いる鋳造方法を模式的に示す断面図を含む側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1に示されるように、本発明の第1実施形態は、鋳造機10の金型12の中に棒状砂中子14を設置して金型12及び棒状砂中子14で形成される空間に溶湯16を注湯する鋳造方法に関し、棒状砂中子14の中に図1及び図2に示されるような棒状の変形防止具18を挿入してから溶湯16を注湯することを特徴としている。これ以外については従来の棒状砂中子を用いる鋳造方法と同じ又は類似しており本第1実施形態の理解のために重要とは思われないため説明を適宜省略する。
【0016】
金型12は、可動型20と固定型22とを有し、可動型20及び固定型22は型締めされた状態で棒状砂中子14をその一方の端部が露出するように挟んで保持するようになっている。尚、棒状砂中子14の他方の端部は可動型20及び固定型22内に埋め込まれるように収容され露出しない。又、固定型22には溶湯を注湯するための湯溜り22Aが設けられている。尚、図1では便宜上、固定型22における湯溜り22Aと連通する孔を棒状砂中子14の露出する側の端部の下端に隣接して描いているが、棒状砂中子14の露出する側の端部は固定型22におけるこの孔以外の部分と接している。これら可動型20、固定型22及び棒状砂中子14は筒状の空間を形成するようになっている。鋳造機10は傾斜式重力鋳造機であり、水平方向に平行で、且つ、この筒状の空間の中心軸に対して垂直な回転中心軸24Aの周りに可動型20及び固定型22を回転させるための傾斜機構24を備えており、筒状の空間は水平な状態から任意の傾斜角に傾斜する姿勢に姿勢が変化可能である。又、鋳造機10は可動型20及び固定型22を型締めするための図示しない型締め機構を備えている。
【0017】
棒状砂中子14は、小径部14A、中径部14B及び大径部14Cがこの順で長手方向に並んだ段付き形状であり、大径部14Cの側の端部に開口部14Dを有する中空構造である。棒状砂中子14は小径部(最も細い部分)14Aも中空構造である。尚、小径部14Aの側の端部は閉塞されており開口部は存在しない。又、棒状砂中子14は内周面も段付き形状であり、小径部14Aの内径よりも中径部14Bの内径が大きく、中径部14Bの内径よりも大径部14Cの内径が大きい。棒状砂中子14の材料は例えば、珪砂等の砂材と砂材を結合するための熱硬化性樹脂との混合物である。
【0018】
変形防止具18は、棒状砂中子14の中空部への挿入及び棒状砂中子14の中空部からの抜出しが自在である棒状部材である。より詳細には、変形防止具18は、外径が棒状砂中子14の小径部14Aの内径とほぼ等しい丸棒状の部材であり、小径部14Aの内周面に密着可能である。変形防止具18の長さは棒状砂中子14の中空部分の長さよりも若干長い。又、変形防止具18の先端の全部又は一部は長手方向に対して斜めにカットされたような傾斜面となっている。図2は変形防止具18の先端の全部が斜めにカットされた例を示している。変形防止具18の材料は、例えば機械構造用炭素鋼材等の鉄系材料や銅系材料のような金属材料である。
【0019】
次に、図3のフローチャートに沿って変形防止具18を用いる鋳造方法について説明する。まず、一方の端部に開口部14Dを有する中空構造の棒状砂中子14を用意する(S102:棒状砂中子用意工程)。棒状砂中子14は例えばシェルモールド法により作製することができる。具体的には、棒状砂中子14の外周面に対応する内周面を有する金型の中に珪砂等の砂材と熱硬化性樹脂との混合物を充填して加熱する。金型に充填された砂材と熱硬化性樹脂との混合物は金型に接する外周面から硬化し始める。加熱温度や加熱時間を調整することにより硬化される部分の厚さを調整できる。棒状砂中子14の中空部分が硬化しないように加熱温度や加熱時間を調整する。その後、所定の厚さの部分が硬化した砂材と熱硬化性樹脂との混合物を金型から取り出し、内側の硬化していない部分を開口部14Dから外側に排出し除去する。尚、除去された砂材と熱硬化性樹脂との混合物は後続の他の棒状砂中子14の材料として再利用できる。
【0020】
次に、棒状砂中子14を金型12の中に開口部14Dが金型12から露出するように設置する(S104:棒状砂中子設置工程)。具体的には、可動型20と固定型22とで棒状砂中子14をその開口部14Dの側の端部が露出するように挟んで、可動型20及び固定型22を型締めする。尚、可動型20、固定型22及び棒状砂中子14で形成される筒状の空間は水平な状態にしておく。
【0021】
次に、棒状砂中子14の中に開口部14Dから変形防止具18を挿入する(S106:変形防止具設置工程)。この際、小径部14Aの内周面に密着するように棒状砂中子14の中に変形防止具18を挿入する。棒状砂中子14の内周面及びその近傍の部分は硬化の度合いが低く比較的脆いので、小径部14Aの内周面の内径が変形防止具18の外径よりも若干小さい場合でも、変形防止具18をねじ込むように回転させながら挿入することで小径部14Aの内周面やその近傍の部分は容易に削りとられ変形防止具18が小径部14Aの内周面に密着する。尚、変形防止具18は棒状砂中子14に同心的に設置されることが好ましいが、中径部14B及び大径部14Cには密着しないので中径部14Bや大径部14Cの中心に対して偏心して設置されることもある。このように偏心する場合、左右(水平方向)の偏心をできるだけ抑制し下方にのみ偏心するように棒状砂中子14の中に変形防止具18を挿入することが好ましい。
【0022】
次に、金型12及び棒状砂中子14で形成される空間に溶湯16を注湯する(S108:注湯工程)。具体的には、湯溜り22Aの中に溶湯16を注入し傾斜機構24で金型12を少しずつ傾斜させる。これにより、溶湯16は湯溜り22Aから金型12内に注湯され、金型12及び棒状砂中子14で形成される空間内に溶湯16が小径部14Aの側から充填される。尚、溶湯16は例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。棒状砂中子14が溶湯16中に浸されることによって棒状砂中子14には浮力が生じる。又、棒状砂中子14は溶湯16からの伝熱で加熱される。このような浮力や加熱は棒状砂中子14の変形の要因となる。より詳細には、棒状砂中子14が浮力によって上側に向かって反るような変形の要因となる。一方、棒状砂中子14の中には変形防止具18が挿入されているので棒状砂中子14の重量を増加したような効果が得られる。従って、溶湯16の浮力による棒状砂中子14の変形が抑制される。更に、段付き形状の棒状砂中子14において変形が生じやすい小径部(最も細い部分)14Aの内周面に変形防止具18が密着しているので、小径部14Aの剛性を高めたような効果も得られ段付き形状の棒状砂中子14の変形が効果的に抑制される。
【0023】
溶湯16が凝固したら可動型20を固定型22から離間させて鋳造製品を取り出し、コアノックマシン等により振動を付与して鋳造製品の中空部に残存する棒状砂中子14を破壊し、更に破壊された棒状砂中子14を鋳造製品の中空部から除去する(S110:中子除去工程)。棒状砂中子14は小径部(最も細い部分)14Aも中空構造であるので棒状砂中子14の破壊及び除去が容易である。これにより筒状の鋳造製品が完成する。以後、所望の個数の鋳造製品を得るまで上記と同様の工程を繰り返す。変形防止具18は他の製品の鋳造に再利用できる。
【0024】
このように棒状砂中子14の中に変形防止具18を挿入してから溶湯16を注湯するので棒状砂中子14の変形を抑制でき、簡単な構造の中空の棒状砂中子14を用いて精度のよい鋳造を行うことができる。
【0025】
又、変形防止具18は熱伝導率が高い金属材料であるので、溶湯16の冷却を促進する効果が得られ生産効率の向上に寄与する。
【0026】
又、変形防止具18は構造が簡単な棒状部材であると共に、棒状砂中子14と一体不可分の部材ではなく棒状砂中子14への挿入及び棒状砂中子14からの抜出しが自在であり、他の製品の鋳造に再利用できるので低コストである。
【0027】
尚、本第1実施形態において、棒状砂中子14は、小径部14A、中径部14B及び大径部14Cがこの順で長手方向に並んだ3段の段付き形状であるが、中径部、小径部及び大径部がこの順で長手方向に並んだ3段の段付き形状や大径部、小径部及び大径部がこの順で長手方向に並んだ3段の段付き形状の棒状砂中子を用いる鋳造にも本第1実施形態を適用可能である。又、2段の段付き形状や4段以上の段付き形状の棒状砂中子を用いる鋳造にも本第1実施形態を適用可能である。これらの場合も、棒状砂中子における最も細い部分の内周面に密着する変形防止具を棒状砂中子の中に挿入することが好ましい。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態の棒状砂中子14は段付き形状であるのに対し、図4に示されるように本第2実施形態の棒状砂中子30は単純な円筒形状であることを特徴としている。又、変形防止具設置工程(S106)において変形防止具18は棒状砂中子30の内周面のほぼ全部に密着するように挿入される。これら以外は前記第1実施形態と同じ又は類似しているので同じ又は類似しているものについては前記図1と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0029】
このように、棒状砂中子30が単純な円筒形状である場合も、棒状砂中子30の中に変形防止具18を挿入してから溶湯16を注湯することにより棒状砂中子30の変形が抑制される。従って、簡単な構造の中空の棒状砂中子30を用いて精度のよい鋳造を行うことができる。又、溶湯16の冷却を促進する効果も得られる。
【0030】
尚、前記第1及び第2実施形態において、変形防止具設置工程(S106)は棒状砂中子設置工程(S104)と注湯工程(S108)との間で実行されているが、棒状砂中子設置工程の前に変形防止具設置工程を実行し、変形防止具を挿入済みの棒状砂中子を棒状砂中子設置工程において金型の中に設置してもよい。又、棒状砂中子設置工程において棒状砂中子の中に変形防止具を挿入しながら棒状砂中子を金型の中に設置してもよい。
【0031】
又、前記第1及び第2実施形態において、変形防止具設置工程(S106)において変形防止具18は棒状砂中子14又は30の内周面の少なくとも一部に密着するように棒状砂中子14又は30の中に挿入されるが、外径が棒状砂中子の中空部分の最も細い部分の内径よりも小さく変形防止具の内周面に密着しない変形防止具を用いてもよい。この場合も、棒状砂中子の中に変形防止具が挿入されることで棒状砂中子の重量を増加したような効果は得られるので、溶湯の浮力による棒状砂中子の変形を抑制できる。又、変形防止具は例えば断面が四角形や六角形の角棒のような丸棒以外の棒状部材であってもよい。
【0032】
又、前記第1及び第2実施形態において、変形防止具18の材料として鉄系材料や銅系材料が例示されているが、これら以外の金属材料やセラミック等の非金属材料の棒状部材を用いてもよい。尚、溶湯の冷却を促進するためには、変形防止具の材料は熱伝導率が高い材料であることが好ましい。
【0033】
又、前記第1及び第2実施形態において、棒状砂中子用意工程(S102)においてシェルモールド法により中空構造の棒状砂中子を作製する例が示されているが、例えば炭酸ガス法により中空構造の棒状砂中子を作製してもよい。この場合、棒状砂中子の材料として砂材と砂材を結合するための水ガラスとの混合物を用いればよい。
【0034】
又、前記第1及び第2実施形態において、溶湯16としてアルミニウム又はアルミニウム合金が例示されているが、鉄等の他の金属の鋳造にも本発明は適用可能である。
【0035】
又、前記第1及び第2実施形態において、筒状の製品を鋳造する例が示されているが、棒状砂中子を用いる鋳造であれば筒状以外の形状の中空構造の製品の鋳造にも本発明は適用可能である。
【0036】
又、前記第1及び第2実施形態において、鋳造機10は傾斜式重力鋳造機であるが、他のタイプの鋳造機を用いる鋳造にも本発明は適用可能である。尚、傾斜式重力鋳造機を用いる場合のように棒状砂中子が常時又は一時的に水平な状態又は傾斜した状態で溶湯中に浸される場合、溶湯中で棒状砂中子には上側に向かって反るような浮力が作用するのでこのような場合に本発明は特に有効である。一方、棒状砂中子が常時垂直な状態で溶湯中に浸される鋳造でも、溶湯からの伝熱による加熱が棒状砂中子を変形させる要因となりうる。従って、このような場合も棒状の変形防止具を棒状砂中子の内周面の少なくとも一部に密着するように棒状砂中子の中に挿入することで変形を抑制する効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば自動車、家電製品、各種設備で用いられる中空構造の鋳造製品の鋳造に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
10…鋳造機
12…金型
14、30…棒状砂中子
14A…小径部
14B…中径部
14C…大径部
16…溶湯
18…変形防止具(棒状部材)
20…可動型
22…固定型
22A…湯溜り
24…傾斜機構
S102…棒状砂中子用意工程
S104…棒状砂中子設置工程
S106…変形防止具設置工程
S108…注湯工程
S110…中子除去工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造の棒状砂中子を金型の中に設置して前記金型及び前記棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯する棒状砂中子を用いる鋳造方法であって、
前記棒状砂中子の中に棒状の変形防止具を挿入してから前記金型及び前記棒状砂中子で形成される空間に溶湯を注湯するようにしたことを特徴とする棒状砂中子を用いる鋳造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記変形防止具として前記棒状砂中子の内周面の少なくとも一部に密着する棒状部材を前記棒状砂中子の中に挿入することを特徴とする棒状砂中子を用いる鋳造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記棒状砂中子は段付き形状で最も細い部分も中空構造であり、
前記変形防止具として前記棒状砂中子における前記最も細い部分の内周面に密着する棒状部材を前記棒状砂中子の中に挿入することを特徴とする棒状砂中子を用いる鋳造方法。
【請求項4】
棒状部材であり、中空構造の棒状砂中子への挿入及び前記棒状砂中子からの抜出しが自在であることを特徴とする棒状砂中子の変形防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−192418(P2012−192418A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56482(P2011−56482)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(511067949)株式会社原工業所 (1)
【出願人】(500132214)学校法人明星学苑 (23)
【Fターム(参考)】