説明

棚板用受け具その他の接続具

【課題】縦部材への取付けを容易かつ確実で強固に行える棚板用受け具の提供。
【解決手段】棚板用受け具1は、各縦部材2の間に掛渡す棚板3に当接して支持する本体部4と、この本体部4の内部に縦部材2とは反対側の方向へスライド自在に設けた係止部5と、本体部4にその他方側から螺入しておりその螺入側先端部が係止部5に螺合している係止用ネジ部材6とを備えている。そして、係止用ネジ部材6およびその螺合部の作用で行われる係止用ネジ部材6の軸方向(縦部材2側とは反対側の方向)への係止部5のスライド動作によって、縦部材2の長手方向である上下に並んでいることから縦部材2の長手方向に延びる係止用溝2a内への挿入を容易に行える係止部5の両係止爪部5cを、縦部材2の係止用溝2aの開口部に引っ掛けて、縦部材2を棚板用受け具1側へ引き寄せるような状態にすると共に、縦部材2の長手方向と直交する方向へ間隔を拡げさせて、両係止爪部5cを係止用溝2aに強固に係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棚板用受け具その他の接続具、詳しくは、オフィスや展示場などの室内で用いる間仕切り、収納枠、作業台などにおいて、その各縦部材の間に掛渡す棚板を受ける棚板用受け具や、上記のような各種立体構造物の柱や梁などに相当する骨組部材に取付けられて、これら骨組部材の間に設けられる架設部材を支持するための接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各縦部材の間に掛渡す棚板を受ける受け金具としては、例えば、図12に示すように、ボルト頭の部分に狭持片31aを形成している取付け用ボルト31と、この取付け用ボルト31に螺合して棚板32を支持する支持用ナット33とからなるものが知られている。
この受け金具30で棚板を受けて支持させるには、先ず、図12に示すように、取付け用ボルト31の狭持片31aの長手方向を、縦部材34の長手方向へ延びる係止用溝34aに沿う状態にして、取付け用ボルト31の狭持片31aを係止用溝34aの内部に挿入した後、狭持片31a(取付け用ボルト31)を回転させて係止用溝34aの開口側部分に係止させる。
次に、係止用溝34aの内部に係止させた取付け用ボルト31への、支持用ナット33の螺入量を増大させる。このことで、図12に示すように、取付け用ボルト31の狭持片31aと支持用ナット33とが係止用溝34aの開口側部分を狭持することになる。
この狭持片31aと支持用ナット33とで係止用溝34aの開口側部分を狭持した時には、狭持片31aの支持用ナット33側の面と支持用ナット33の狭持片31a側の面とが、係止用溝34aの開口側部分に接触する。
そして、狭持片31aの支持用ナット33側の面および支持用ナット33の狭持片31a側の面と、係止用溝34aの開口側部分との接触面による摩擦力で、受け金具30が縦部材34に固定されて、受け金具30の縦部材34への取付けが行われると共に、この縦部材34に取付けた受け金具30によって、各縦部材34の間に掛渡す棚板32を受けて支持することになる。
このような受け金具としては、「狭持片の支持用ナット側の面と係止用溝の開口側部分」および「支持用ナットの狭持片側の面と係止用溝の開口側部分」というような限られた面積の接触面による少ない摩擦力で固定することから、縦部材への固定が確実に行われずに、受け金具が係止用溝に沿ってずり下がってしまうことが考えられる。従って、このような従来の受け金具では、棚板を確実に安定して支持することができないものである。
さらに、縦部材への取付け時には、「取付け用ボルトの狭持片を係止用溝の内部に挿入した後、狭持片(取付け用ボルト)を回転させて係止用溝の開口側部分に係止させる」という作業が必要になる。しかも、取付け用ボルトの狭持片と支持用ナットとで係止用溝の開口側部分を狭持すべく、支持用ナットを回転させて取付け用ボルトへの螺入量を増大させる時に、取付け用ボルトも一緒に回転してしまう恐れがある。そのため、この支持用ナットの回転(取付け用ボルトへの螺入)を、取付け用ボルトが回転しないようにして行う必要がある。
なお、この種の結合金具として、特許文献1に記載されたような技術も存在するが、本発明は別の視点に基づいて新規な発明を提供しようとするものである。
【特許文献1】特開平3−84205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、「縦部材の係止用溝内に挿入して係止させる部分」と「係止用溝外に位置する部分」とで係止用溝の開口側部分を狭持するタイプの棚板用受け具が、前述したように、「限られた面積の接触面による摩擦力で固定することから縦部材への固定が強固に行われずに、受け金具が縦部材の係止用溝に沿ってずり下がってしまう等、棚板を確実に安定した状態で支持することができない」ことと、「係止用溝内に挿入して係止させる部分を、縦部材の係止用溝に沿う状態にして係止用溝内へ挿入し回転させる作業と、係止用溝外に位置する部分の回転(所謂とも回り)を防止する作業という面倒な二つの作業が必要である等から、棚板を設ける作業全体を面倒なものとしている」ことである。
この発明は前述した事情に鑑みて創案されたもので、その目的は縦部材への取付けを容易かつ確実で強固に行える棚板用受け具その他の接合具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明(請求項1の発明)の棚板用受け具では、所定間隔で立設した各縦部材の間に掛渡す棚板に当接して支持する本体部と、この本体部内において縦部材とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部と、縦部材側とは反対側から前記本体部内に挿入されておりその挿入側の先端部が係止部に螺合している係止用ネジ部材とを備えている。
係止部は、係止用ネジ部材が螺合している縦部材とは反対側の底片と、この底片の両端から縦部材側の方向へ延びている両側片とから断面略コ字状に形成され、底片の係止用ネジ部材との螺合部により、係止用ネジ部材の軸方向である縦部材とは反対側の方向へスライド自在に設けられている。
係止部の両側片における一方の側片には、その縦部材の長手方向である上部に、係止用溝内に入り込んで係止する係止爪部が係止作用片を介して設けられていると共に、係止部の両側片における他方の側片には、その縦部材の長手方向である下部に、各縦部材の長手方向へ延びる係止用溝内に入り込んで係止する係止爪部が係止作用片を介して設けられている。
本体部は、係止用ネジ部材が螺合している縦部材側とは反対側の端壁と、係止部の係止作用片が貫通して係止部の両係止爪部を本体部から突出させる係止作用溝が形成されている縦部材側の端壁と、縦部材側および縦部材側とは反対側の両端壁を連結している両側壁とから略ロ字形状に形成されている。
そして、係止部のスライド動作によって、係止作用片が係止作用溝の開口部に当接することで、係止部の両係止爪部がそれぞれ反対方向へ移動して、両係止爪部が上下に並んだ縦部材の係止用溝内への挿入状態と、縦部材の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた、縦部材の係止用溝への係止状態とが構成される。
なお、この発明(請求項2の発明)の本体部における縦部材側とは反対側の端壁には、縦部材側とは反対側の方向へ延びており、棚板に当接して支持する支持補強壁が設けられている。
請求項3の発明は、立体構造物の骨組部材に、その長手方向へ延びる係止用溝に係止することで取り付けられて、前記骨組部材の間に設けられる架設部材を支持する接続具であって、
前記架設部材が支持される本体部と、この本体部内において前記骨組部材側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部と、前記骨組部材側とは反対側から前記本体部内に挿入されてその挿入側の先端部が前記係止部に螺合している係止用ネジ部材とを備えており、
前記係止部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記骨組部材側とは反対側の底片と、この底片の端部から前記骨組部材側の方向へ延びている側片とを備え、前記底片の係止用ネジ部材との螺合部により、係止用ネジ部材の軸方向である骨組部材とは反対側の方向へスライド自在に設けられており、
前記係止部は、前記係止用溝内に入り込んで係止する一対の係止爪部を備え、
一方の係止爪部は、前記係止部の底片の−方端部側から延びる側片に、係止作用片を介して設けられていると共に、他方の係止爪部は、前記係止部の底片の他方端部側から延びる側片に、係止作用片を介して設けられており、
前記本体部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記骨組部材側とは反対側の端壁と、前記係止部の両係止爪部を前記本体部から突出させる開口部が形成されている骨組部材側の端壁と、前記骨組部材側とは反対側および骨組部材側の両端壁を連結している側壁と、前記開口部の近傍に位置して前記係止部の係止作用片に係合可能な係止作用部とを備え、
前記係止部のスライド動作によって、前記係止作用片が前記係止作用部に当接することで、前記係止部の両係止爪部がそれぞれ反対方向へ移動して、前記両係止爪部が前記骨組部材の係止用溝内へ挿入された状態と、前記骨組部材の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた前記係止用溝への係止状態とが構成される。
請求項4の発明は、前記一対の係止爪部は、前記骨組部材の長手方向に並設されている。
請求項5の発明は、前記本体部における前記骨組部材側とは反対側の端壁には、前記骨組部材側とは反対側の方向へ延びており、前記架設部材を支持するための接続部が設けられている。
請求項6の発明は、前記本体部に対して前記骨組部材側と反対側から外嵌される架設部材に係合すると共に、この係合状態において、前記本体部を前記架設部材に対して前記骨組部材側と反対側へ移動させるスライド機構を、前記接続部に備えている。
請求項7の発明は、前記スライド機構は、前記架設部材に形成された透孔に嵌合可能な回転操作部と、該回転操作部の内側に偏心的に設けられると共に前記接続部に形成された透孔に遊嵌状態に配設される偏心カムとを備え、前記回転操作部及び偏心カムは、弾性部材を介して前記接続部に取り付けられ、前記接続部の内側方向への押込みと前記弾性部材による復帰が可能なように構成されている。
【発明の効果】
【0005】
この発明(請求項1の発明)の棚板用受け具によれば、受け具の本体部内にスライド自在に設けた係止部を、縦部材側とは反対側の方向(係止用ネジ部材の軸方向)へスライドさせることによって、即ち、螺入する係止用ネジ部材とその底片への螺合部との作用で行われる係止用ネジ部材の軸方向への係止部のスライド動作によって、係止部の両係止爪部を縦部材の係止用溝の開口部に引っ掛けて、縦部材を棚板用受け具側へ引き寄せるような状態にできると共に、係止部の係止作用片が係止作用溝の開口部に当接することで、係止部の上下に並んだ両係止爪部が、それぞれ反対の方向で縦部材の長手方向と直交する方向へ移動して、縦部材の長手方向と直交する方向へ間隔を拡げることができる。
そのため、係止部の両係止爪部が縦部材の長手方向である上下に並んでいることから、縦部材の長手方向に延びる係止用溝内への挿入を容易に行うことができると共に、係止部の両係止爪部が縦部材の係止用溝に強固に係止することができて、棚板用受け具を、縦部材の長手方向(係止用溝の延びる方向)の任意位置に容易かつ強固に取付けることができる。
また、本体部内の係止部の両係止爪部を縦部材の係止用溝に挿入すると共に、係止用ネジ部材を螺入するという一連の簡単な作業によって、係止部の両係止爪部を係止用溝に係止させて行う棚板用受け具の縦部材への取付け作業を、容易かつ確実に行うことができる。
しかも、係止部の両係止爪部が縦部材の長手方向である上下に並んでいることから、棚板用受け具の幅方向(縦部材の長手方向と直交する方向)を最小限にして、縦部材への取付け時において棚板用の受け具として目立たない大きさにすることができると共に、棚板用受け具の幅方向を最小限とし目立たない大きさにしても、本体部に設けた支持補強壁の利用によって、棚板を確実に安定した状態で支持することができる。
さらに、この発明の棚板用受け具によれば、縦部材に強固に取付けられることと、幅方向を最小限にできることと、支持補強壁を利用することによって、棚板以外の間仕切りや収納枠などを構成する横部材も支持することができる。
請求項3の発明の接続具によれば、接続具の本体部内にスライド自在に設けた係止部を、骨組部材側とは反対側の方向(係止用ネジ部材の軸方向)へスライドさせることによって、即ち、螺入する係止用ネジ部材とその底片への螺合部との作用で行われる係止用ネジ部材の軸方向への係止部のスライド動作によって、係止部の両係止爪部を骨組部材の係止用溝の開口部に引っ掛けて、骨組部材を接続具側へ引き寄せるような状態にできると共に、係止部の係止作用片が係止作用部に当接することで、両係止爪部が、それぞれ反対の方向で骨組部材の長手方向と直交する方向へ移動して、骨組部材の長手方向と直交する方向へ間隔を拡げることができる。
そのため、係止用溝内へ挿入された両係止爪部を骨組部材の係止用溝に強固に係止することができる。
また、本体部内の係止部の両係止爪部を骨組部材の係止用溝に挿入すると共に、係止用ネジ部材を螺入するという一連の簡単な作業によって、係止部の両係止爪部を係止用溝に係止させて行う接続具の骨組部材への取付け作業を、容易かつ確実に行うことができる。
請求項4の発明は、一対の係止爪部が骨組部材の長手方向に並設されていることから、骨組部材の長手方向に延びる係止用溝内への挿入を容易に行うことができる。
しかも、一対の係止爪部が骨組部材の長手方向に並設されていることから、接続具の幅方向(骨組部材の長手方向と直交する方向)を最小限にして、骨組部材への取付け時において接続具として目立たない大きさにすることができる。
請求項5の発明は、本体部における骨組部材側とは反対側の端壁には、骨組部材側とは反対側の方向へ延びる、前記架設部材を支持するための接続部が設けられているため、この接続部を利用することによって、架設部材を確実に安定した状態で支持することができる。
請求項6の発明は、本体部に対して骨組部材側と反対側から外嵌される架設部材に係合すると共に、この係合状態において、本体部を架設部材に対して骨組部材側と反対側へ移動させるスライド機構を、接続部に備えている。このため、係止部の両係止爪部を係止用溝に係止させて接続具を骨組部材へ取り付けた後、本体部に対して骨組部材側と反対側から架設部材を外嵌して係合させ、この架設部材の端部面が骨組部材の壁面にほぼ当接する状態で、スライド機構を作動させ、本体部を架設部材に対して骨組部材側と反対側へ移動させることによって、骨組部材の係止用溝に係止している係止爪部がさらに骨組部材と反対側へと引っ張られ、これにより、係止爪部の係止溝への係止がさらに強固に行われるとともに、架設部材を強固に支持することができる。
請求項7の発明は、前記スライド機構は、架設部材に形成された透孔に嵌合可能な回転操作部と、該回転操作部の内側に偏心的に設けられると共に前記接続部に形成された透孔に遊嵌状態に配設される偏心カムとを備えているため、この回転操作部を回転させる簡単な操作によって本体部がスライドして係止爪部の係止溝への係止をさらに強固にすることができる。また、前記回転操作部及び偏心カムは、弾性部材を介して前記接続部に取り付けられ、前記接続部の内側方向への押込みと前記弾性部材による復帰が可能なように構成されているため、架設部材の本体部に対する外嵌も簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
【実施例1】
【0007】
図1はこの発明の棚板用受け具を示す概略図で、図2はこの発明の棚板用受け具を示す概略斜視図で、図3〜図6はこの発明の棚板用受け具の縦部材への取付け状態を示す概略図で、図7はこの発明の棚板用受け具の係止部を示す概略図で、図8はこの発明の棚板用受け具の本体部を示す概略図で、図9はこの発明の棚板用受け具による棚板の支持状態を示す概略図である。
そして、各図において、符号1は棚板用受け具で、4は受け具1の本体部で、5は本体部4の内部にスライド自在に設けた係止部で、6は本体部4の他方側からその内部に螺入した係止用ネジ部材である。
棚板用受け具1(請求項1の発明)は、所定間隔で立設した各縦部材2の間に掛渡す棚板3に当接して支持する本体部4と、この本体部4内において、縦部材2側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部5と、縦部材2側とは反対側から本体部4内に螺入して、その螺入側の先端部6aが係止部5に螺合している係止用ネジ部材6とを備えている。
また、係止部5は、本体部4内の縦部材2側とは反対側に配置されており、係止用ネジ部材6が螺合している底片5aと、この底片5aの両端から縦部材2側の方向へ延びている両側片5bとから断面略コ字状に形成されて、底片5aの係止用ネジ部材6との螺合部6bにより、係止用ネジ部材6の軸方向である縦部材2側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている。
さらに、係止部5の両側片5bにおける一方の側片5bには、その縦部材2の長手方向である上部に、係止用溝2a内に入り込んで係止する係止爪部が係止作用片5dを介して設けられていると共に、係止部5の両側片5bにおける他方の側片5bには、その縦部材の長手方向である下部に、係止用溝2a内に入り込んで係止する係止爪部5cが係止作用片5dを介して設けられている。
また、本体部4は、係止用ネジ部材6が螺合している縦部材2側とは反対側の端壁4aと、係止部5の係止作用片5dが貫通して係止部5の両係止爪部5cを本体部4から突出させる係止作用溝4eが形成されている縦部材側の端壁4bと、縦部材側とは反対側および縦部材側の両端壁4a、4bを連結している両側壁4cとから略ロ字形状に形成されている。
そして、係止部5のスライド動作によって、係止作用片5dが係止作用溝4eの開口部に当接することで、係止部5の両係止爪部5cがそれぞれ反対方向へ移動して、両係止爪部5cが上下に並んだ係止用溝2a内への挿入状態(図1(b)および図3参照)と、縦部材2の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた係止用溝2aへの係止状態(図4参照)とが構成される。
この実施形態での本体部4(図1および図8参照)は、縦部材2側とは反対側の端壁4aと、縦部材2側の端壁4bと、この両端壁4a、4bを連結している両側壁4cとから略ロ字形状に形成されている。そして、端壁4aには、縦部材2側とは反対側の方向へ延びており、棚板3に当接して支持する支持補強壁4dが設けられていると共に、係止用ネジ部材6が貫通している。また、端壁4bには、係止部5における係止作用片5dが貫通して係止爪部5cを本体部4から突出させる係止作用溝4eが形成されていると共に、係止部5の両係止爪部5cを縦部材2の係止用溝2a内に挿入する時のガイド用突起4fが設けられている。
この実施形態の支持補強壁4dには、固定ネジ用ネジ孔4hが形成されており、当接するだけでなく棚板3に固定ネジ8(図1(a)参照)で固着することにより、棚板3をより強固に支持することもできる。
この実施形態での係止部5(図1および図7参照)は、底片5aおよび側片5bから略L字状の板体に形成されていると共に、側片5bにおける縦部材2の長手方向である上部に、係止爪部5cが係止作用片5dを介して一体に形成されている第一係止部5eと、底片5aと側片5bとから略L字状の板体に形成されていると共に、側片5bにおける縦部材2の長手方向である下部に、係止爪部5cが係止作用片5dを介して一体に形成されている第二係止部5fとからなっている。
そして、この係止部5は、第一係止部5eと第二係止部5fとがそれぞれの底片5aにおいて固定され、それぞれの両側片5bとで断面略コ字状となるように形成されている。また、底片5aには、貫通した係止用ネジ部材6が螺号する螺合部6bとしてナット5g(図1(b)参照)が固定されている。
なお、この実施形態での係止部5が第一係止部5eと第二係止部5fとからなることに伴い、この実施形態での本体部4の端壁4bには、図8に示すように、その縦部材2の長手方向である上部に、第一係止部5eの係止作用片5dが貫通して係止爪部5cを本体部4から突出させる係止作用溝4eが、その縦部材2の長手方向である下部に、第二係止部5fの係止作用片5dが貫通して係止爪部5cを本体部4から突出させる係止作用溝4eがそれぞれ形成されている。
そして、係止部5のスライド動作により、図4〜図6に示すように、各係止作用片5dが係止作用溝4eの開口部に当接することで、係止部5の両係止爪部5cが、それぞれ反対方向で縦部材2の長手方向と直交する方向へ移動して、間隔を拡げた縦部材2の係止用溝2aへの係止状態となるように構成されている。
このような構成からなるこの発明の棚板用受け具1を、例えば、オフィスや展示場などの室内で用いる間仕切り、収納枠、作業台(図示せず)などを構成している縦部材2に取付けるには、次に述べるようにして行う。
先ず、図3に示すように、棚板用受け具1の係止部5(第一係止部5eおよび第二係止部5f)の両係止爪部5c、即ち、縦部材2の長手方向の上下に並んだ状態の両係止爪部5cを、縦部材2の係止用溝2a内に挿入する。
なお、この両係止爪部5cの係止用溝2a内への挿入は、棚板用受け具1の本体部4に設けたガイド用突起4fにガイドされて、本体部4から突出した係止部5の両係止爪部5cが干渉するようなことがなく、容易に行うことができる。
次に、本体部4の縦部材2側とは反対側(本体部4の端壁4a側)から、本体部4外となっているネジ頭6cを利用して、係止用ネジ部材6を一定量回転させる。
この時、係止用ネジ部材6の螺合部6bとして、係止部5の底片5aに設けたナット5gに、係止用ネジ部材6の先端部6aが螺合していることから、係止用ネジ部材6の回転により、図4に示すように、ナット5gが係止用ネジ部材6の軸方向へ移動(スライド)しようとすることで、ナット5gが設けられている係止部5も、係止用ネジ部材6の軸方向である縦部材2側とは反対側の方向へ移動(スライド)する。
そして、この係止部5のスライド動作により、図4〜図6に示すように、係止部5(第一係止部5eおよび第二係止部5f)の各係止作用片5dが、縦部材2側とは反対側の方向へ移動して、本体部4の係止作用溝4eの開口部に当接する。
この各係止作用片5dが係止作用溝4eの開口部に当接することにより、図4に示すように、各係止作用片5dがそれぞれ反対の方向で縦部材2の長手方向と直交する方向へ移動して、両係止爪部5cが縦部材2の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた状態が形成され、両係止爪部5cが縦部材2の係止用溝2aに係止することとなる。
また、同時に、各係止作用片5dが縦部材2側とは反対側の方向へ移動することで、縦部材2を引き寄せるようにして、棚板用受け具1の両係止爪部5cが縦部材2の係止用溝2aに係止することとなる。
この「間隔を拡げて」と「縦部材2を引き寄せるようにして」との形態で、係止部5の両係止爪部5cが縦部材2の係止用溝2aに係止することにより、棚板用受け具1が縦部材2に取付けられる。そして、この縦部材2に取付けられた棚板用受け具1(本体部4および支持補強壁4d)の上面に棚板3の下面を当接させることにより(図9参照)、棚板3を支持することとなる。
このように、この発明の棚板用受け具1によれば、係止部5(第一係止部5dおよび第二係止部5d)の両係止爪部5cを縦部材2の係止用溝2aに挿入すると共に、係止用ネジ部材6を螺入して係止部5をスライドさせるという一連の簡単な作業によって、係止用溝2aに係止させて行う棚板用受け具1の縦部材2への取付け作業を容易かつ確実に行うことができる。
また、係止用ネジ部材6の螺入によって、棚板用受け具1の本体部4の内部で、係止部5が、縦部材2側とは反対側の方向(係止用ネジ部材6の軸方向)へ移動(スライド)することにより、係止部5(第一係止部5dおよび第二係止部5d)の両係止爪部5cが、縦部材2を引き寄せるようにして縦部材2の係止用溝2aに係止することとなる。
しかも、この係止部5のスライド動作で、係止部5(第一係止部5dおよび第二係止部5d)の各係止作用片5dが本体部4の係止作用溝4eの開口部に当接することにより、係止部5(第一係止部5dおよび第二係止部5d)の両係止爪部5cが、縦部材2の長手方向と直交する方向に間隔を拡げて、縦部材2の係止用溝2aに係止することとなる。
従って、このような「引き寄せての係止」と「間隔を拡げての係止」とによって、係止部5(第一係止部5dおよび第二係止部5d)の両係止爪部5cが、縦部材2の係止用溝2aに強固に係止できると共に、その係止状態を、「本体部4の係止作用溝4eの開口部に当接する係止部5の係止作用片5d」と、「係止用ネジ部材6の螺合部6b(係止部5の底片5aに設けたナット5g)」とによって、確実に保持することができる。
なお、この実施形態の棚板用受け具1は、棚板3の支持だけでなく、図10に示すように、支持補強壁4dの利用で固着することにより、例えば、間仕切りや収納枠等を構成するための横部材7も支持することができる。
また、この横部材7の断面形状を、例えば、図10(b)、図10(c)および図11に示すように、棚板用受け具1の上面に当接する低壁7aおよび両側壁7bから下方に開口した断面略コ字状に形成した本体7cと、この本体7cの両側壁7bに設けた支持壁7dとからなるように形成すれば、例えば、図10(b)、図10(c)に示すように、支持壁7dで棚板3を支持するなどが行えて、多様な形態の間仕切りや収納枠等を構成できるようになる。
【実施例2】
【0008】
図13はこの発明の接続具(請求項3〜7の発明の相当する実施例2)を示すもので(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、図14は同接続具の構造を示す断面図、図15は係止部15を示す概略斜視図、図16は弾性部材26を示す概略斜視図、図17は同接続具の骨組部材への取付け状態を示す概略図、図18は同接続具への架設部材の取付け状態を説明する概略図である。
各図において、符号11は接続具で、14は接続具11の本体部で、15は本体部14の内部にスライド自在に設けた係止部で、16は本体部14の他方側からその内部に螺入した係止用ネジ部材である。
接続具11は、立体構造物の、例えば所定間隔で立設した骨組部材12の間に掛渡す架設部材13を支持する本体部14と、この本体部14内において、骨組部材12側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部15と、骨組部材12側とは反対側から本体部14内に螺入して、その螺入側の先端部16aが係止部15に螺合している係止用ネジ部材16とを備えている。
また、係止部15は、本体部14内の骨組部材12側とは反対側に配置されており、係止用ネジ部材16が螺合している底片15aと、この底片15aの端部から骨組部材12側の方向へ延びている側片15bとを備え、底片15aの係止用ネジ部材16との螺合部16bにより、係止用ネジ部材16の軸方向である骨組部材12側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている。
さらに、係止部15は、骨組部材12の係止用溝12a内に入り込んで係止する一対の係止爪部15cを備えている。係止爪部15cは先端がU字状に屈曲された形状をなしている。この実施例2では、係止爪部15cを含む係止部15が、対となって互いに逆向きに骨組部材12の長手方向に並設されており、一方の係止爪部15cは、係止部15の底片15aの一方端部側から延びる側片15bに、係止作用片15dを介して設けられていると共に、他方の係止爪部15cは、係止部15の底片15aの他方端部側から延びる側片15bに、係止作用片15dを介して設けられている。各係止部15の底片15aは互いに独立しており、各底片15aに設けた螺合部16bに係止用ネジ部材16が螺合している。
すなわち、この実施例2での係止部15(図13〜図15参照)は、底片15aおよび側片15bから略L字状の板体に形成されていると共に、側片15bにおける骨組部材12の長手方向である一方の側に、係止爪部15cが係止作用片15dを介して一体に形成されている第一係止部15eと、底片15aと側片15bとから略L字状の板体に形成されていると共に、側片15bにおける骨組部材12の長手方向である他方の側に、係止爪部15cが係止作用片15dを介して一体に形成されている第二係止部15fとからなっている。
そして、この係止部15は、第一係止部15eと第二係止部15fとがそれぞれの側片15bを介してそれぞれの底片15aにおいて固定され、互いに逆向きに骨組部材12の長手方向に並設されている。また、各底片15aには、貫通した係止用ネジ部材16が螺号する螺合部16bとしてナット15g(図14参照)が固定されている。
また、本体部14は、係止用ネジ部材16が螺合している骨組部材12側とは反対側の端壁14aと、係止部15の両係止爪部15cを本体部14から突出させる開口部14jが形成されている骨組部材側の端壁14bと、骨組部材12側とは反対側および骨組部材12側の両端壁を連結している側壁14cと、開口部14jの近傍に位置して係止部15の係止作用片15dに係合可能な係止作用部14kとを備えている。さらに、本体部14は、骨組部材12の長手方向に対向配置された一対の副側壁14lを有している(図13参照)。
係止作用部14kは、開口部14jの近傍において、各係止作用片15dの内側に位置して、一対の副側壁14l間に架設された棒状部材として構成されている。
また、本体部14の副側壁14lの骨組部材12側の端部には、係止部15の両係止爪部15cを骨組部材12の係止用溝12a内に挿入する時のガイド用突起14fが、設けられている。ガイド用突起14fは、係止爪部15cの外側にあって係止爪部15cをガードする作用も奏する。
本体部14の内部にそれぞれ独立して配置された係止部15の間には、本体部14の両側壁14c同士を連結する補強壁14mが設けられている(図13参照)。
また、本体部14の骨組部材12側とは反対側の端壁14aには、骨組部材12側とは反対側の方向へ延びており、架設部材13を支持するための接続部20が設けられている。
しかして、係止部15のスライド動作によって、係止作用片15dが係止作用部14kに当接することで、係止部15の両係止爪部15cがそれぞれ反対方向(骨組部材12の長手方向と直交する方向)へ移動して、両係止爪部15cが骨組部材12の長手方向に並んで係止用溝12a内へ挿入された状態と、骨組部材12の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた係止用溝12aへの係止状態とが構成される(図17参照)。
このような構成からなるこの発明の接続具は11を、例えば、オフィスや展示場などの室内で用いる間仕切り、収納枠、作業台(図示せず)などを構成する骨組部材12に取り付けるには、次に述べるようにして行う。
先ず、図17(a)に示す状態から矢印に示すように、接続具11の係止部15(第一係止部15eおよび第二係止部15f)の両係止爪部15c、即ち、骨組部材12の長手方向の上下に並んだ状態の両係止爪部15cを、骨組部材12の係止用溝12a内に挿入して図17(b)の状態とする。
なお、この両係止爪部15cの係止用溝12a内への挿入は、接続具11の本体部14に設けたガイド用突起14fにガイドされて、容易に行うことができる。
次に、両係止爪部15cが係止用溝12a内へ挿入された図17(b)に示す状態から、本体部14の骨組部材12側とは反対側(本体部14の端壁14a側)から、本体部14外となっているネジ頭16cを利用して、係止用ネジ部材16を一定量回転させる。
この時、係止用ネジ部材16の螺合部16bとして、係止部15の底片15aに設けたナット15gに、係止用ネジ部材16の先端部16aが螺合していることから、係止用ネジ部材16の回転により、ナット15gが係止用ネジ部材16の軸方向へ移動(スライド)しようとすることで、ナット15gが設けられている係止部15も、係止用ネジ部材16の軸方向である骨組部材12側とは反対側の方向へ移動(スライド)する。
そして、この係止部15のスライド動作により、図17(c)に示すように、係止部15(第一係止部15eおよび第二係止部15f)の各係止作用片15dが、骨組部材2側とは反対側の方向へ移動して、本体部14の係止作用部14kに当接する。
この各係止作用片15dが係止作用部14kに当接して曲げられることにより、図17(c)に示すように、各係止作用片15dがそれぞれ反対の方向で骨組部材12の長手方向と直交する方向へ移動して、両係止爪部15cが骨組部材12の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた状態が形成され、両係止爪部15cが骨組部材12の係止用溝12aに係止することとなる。
また、同時に、各係止作用片15dが骨組部材12側とは反対側の方向へ移動することで、骨組部材12を引き寄せるようにして、接続具11の両係止爪部15cが骨組部材12の係止用溝12aに係止することとなる。
この「間隔を拡げて」と「骨組部材12を引き寄せるようにして」との形態で、係止部15の両係止爪部15cが骨組部材12の係止用溝12aに係止することにより、接続具11が骨組部材12に取付けられる。
このように、この接続具11によれば、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cを骨組部材12の係止用溝12aに挿入すると共に、係止用ネジ部材16を螺入して係止部15をスライドさせるという一連の簡単な作業によって、係止用溝12aに係止させて行う接続具11の骨組部材12への取付け作業を容易かつ確実に行うことができる。
また、係止用ネジ部材16の螺入によって、接続具11の本体部14の内部で、係止部15が、骨組部材12側とは反対側の方向(係止用ネジ部材16の軸方向)へ移動(スライド)することにより、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cが、骨組部材12を引き寄せるようにして骨組部材12の係止用溝12aに係止することとなる。
しかも、この係止部15のスライド動作で、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の各係止作用片15dが本体部4の係止作用部14kに当接することにより、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cが、骨組部材12の長手方向と直交する方向に間隔を拡げて、骨組部材12の係止用溝12aに係止することとなる。
従って、このような「引き寄せての係止」と「間隔を拡げての係止」とによって、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cが、骨組部材12の係止用溝12aに強固に係止できると共に、その係止状態を、「本体部14の係止作用部14kに当接する係止部15の係止作用片15d」と、「係止用ネジ部材16の螺合部16b(係止部15の底片15aに設けたナット15g)」とによって、確実に保持することができる。
また、係止爪部15cを含む係止部15が、それぞれ独立した側片15bおよび底片15aに設けられ、各底片15aに設けた螺合部16bに係止用ネジ部材16が螺合している態様であるため、各係止部15毎に係止爪部15cを係止溝部12aに確実に係止することができる。
さて、次に、この実施例2の接続部の構成について説明する。前記のとおり、本体部14の骨組部材12側とは反対側の端壁14aには、骨組部材12側とは反対側の方向へ延びており、架設部材13を支持するための接続部20が設けられている(図13および図14参照)。
この接続部20は、本体部14の一方の側壁14cの外面と同一面上に連設された板状部として形成されている。接続部20の幅方向の両端部(骨組部材12の長手方向)には、本体部14の副側壁14lに連設された補強壁20bが形成されている。また、図18に示すように、本体部14に対して骨組部材12側と反対側から外嵌される架設部材13に係合すると共に、この係合状態において、本体部14を架設部材13に対して骨組部材12側と反対側へ移動させるスライド機構21を備えている。
架設部材13は、その短手方向断面において接続具11の外径に適合する(ほぼ一致する)内径を有する角筒部を備えた部材として形成され、その長手方向の骨組部材12側の端部から所定長さの位置に透孔13aを備えている。
そして、スライド機構21は、図14および図18に示すように、架設部材13に形成された透孔13aに嵌合可能な回転操作部22と、該回転操作部22の内側に偏心的に設けられると共に接続部20に形成された透孔20aに遊嵌状態に配設される偏心カム23とを備えている。また、回転操作部22及び偏心カム23は、弾性部材26を介して接続部20に取り付けられており、接続部20の内側方向への押込みと弾性部材26による復帰が可能なように構成されている。
さらに詳しくは、回転操作部22は、架設部材13に形成された透孔13aに嵌合するようにこの透孔13aとほぼ同径の円盤状に形成され、接続部20の外面よりも突出状態に配設されている。回転操作部22の表面には、通常、回転操作部22を回転させるための、十字形あるいは六角孔等の工具受け部が設けられる(図示省略)。偏心カム23は、この回転操作部22よりも大径の円盤状に形成され、円形の透孔20a内に遊嵌状態に収められていると共に、回転操作部22の軸心に対して偏心した位置で回転操作部22に一体的に形成されている。偏心カム23の内側には、回転操作部22の軸心に位置する軸部24とさらに取付け片25が設けられ、軸部24において弾性部材26に取り付けられている。
弾性部材26は、回転操作部22及び偏心カム23の、接続部20の内側方向への押込みに対してこれを元の位置に戻すように付勢力を生じるものであればよい。この実施例では、弾性部材26は、板バネの形態のものを用いており、図16に示すように、上記付勢力を生じさせる平板部26aとこの平板部26aの一方端部から起立した取付部26bによってL字状に形成されている。平板部26aに形成された切欠状の係合部26cに軸部24が係合され取付け片25によってスライド機構21は所定位置に保持されている。弾性部材26の取付部26bは、本体部14の端壁14aに、係止用ネジ部材16を介して取り付けられている。
次に、この接続部20を用いた架設部材13の取付け方法について説明する。
前記のとおり、係止部15のスライド動作により、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cが、骨組部材12の長手方向と直交する方向に間隔を拡げて、骨組部材12の係止用溝12aに係止され、両係止爪部15cが、骨組部材12の係止用溝12aに強固に係止されるわけであるが、この後、架設部材13を接続具11に取り付ける時、架設部材13が比較的重量の重いものであるような場合など、係止爪部15cの係止用溝12aに対する係止が緩むことを確実に防止するために、上記接続部20が極めて有効に機能するものである。
先ず、前記したように、本体部14内の係止部15のスライド動作により、係止部15(第一係止部15dおよび第二係止部15d)の両係止爪部15cを、骨組部材12の長手方向と直交する方向に間隔を拡げて、骨組部材12の係止用溝12aに係止する(図17(c)の状態)。この状態において、図18(a)に示すように、本体部14に対して骨組部材12側と反対側から架設部材13を外嵌する。このとき、回転操作部22(及び偏心カム23)を、弾性部材26の付勢力に抗して接続部20の内側方向(図18(a)に矢印で表示)へ押し込むことにより、接合具11が架設部材13内に挿入されるようにすることができる。接合具11に架設部材13が被せられた後、回転操作部22の押込みによって生じる弾性部材26の付勢力によって、回転操作部22は、架設部材13の透孔13aに嵌合して元の位置に復帰する。これによって、本体部14が骨組部材12側と反対側から外嵌される架設部材13に係合した状態が形成される(図18(a)参照)。また、この状態は、架設部材13の端部面13bが骨組部材12の壁面にほぼ当接する状態でもある。
次いで、この状態において、本体部14を架設部材13に対して骨組部材12側と反対側へ移動させる接続部20のスライド機構21を作動させる。すなわち、架設部材13の表面に露出した回転操作部22を所定量回転させると、この回転操作部22と軸心位置の異なる偏心カム23が接続部20の透孔20a内において回転し、この回転に伴い、接続部20と一体をなす本体部14は、骨組部材12と反対側へと引っ張られる。同時に、骨組部材12の係止用溝12aに係止している係止爪部15cがさらに骨組部材12と反対側へと引っ張られ、これにより、係止爪部15cの係止溝12aへの付勢力が増大して係止がさらに強固に行われる。すなわち、接続部20のスライド機構21を作動させることにより、一旦係止溝12aに係止された係止爪部15に対し、さらに係止溝12aへの係止力が付加される。また、架設部材13が、骨組部材12と当接して強固に接合されることとなり、架設部材13の支持が確実に行われる。
【実施例3】
【0009】
図19はこの発明の接続具の実施例3を示す概略図である。
接続具11の本体部14(長さTで示す領域)は、前記実施例2あるいは実施例1で説明した構成と同様の構成とすることができるので、その説明を省略する。
実施例3の接続具11は、実施例2に示したような、本体部に対して骨組部材側と反対側から外嵌される架設部材に係合すると共に、この係合状態において、本体部を架設部材に対して骨組部材側と反対側へ移動させるスライド機構を、接続部に備えていない。
その代わりに、本体部14における骨組部材12側とは反対側の端壁14cには、骨組部材12側とは反対側の方向へ延びており、複数の架設部材13を支持するための複数の接続部40,41が設けられている。
この接続部40,41は、本体部14の端壁14cから骨組部材12とは反対側へ張り出した板状をなし、その板面が骨組部材12に沿う方向に形成されており、本体部14の、骨組部材の長手方向における中央部において互いに対向する中央面部40b,41bを備えた一対の部材として構成されている。さらに、接続部40,41は、互いに対向する中央面部40b,41bから、本体部材14の、骨組部材12の長手方向側において互いに反対方向に延びる延長部40a,41aを備えている。
延長部40a,41a及び互いに対向する中央面部40b,41bには架設部材を取り付けるための孔40c,41c及び孔40d,41dが形成されており、孔40c,41cにはそれぞれ別部材である架設部材13,13′が固定可能である。また、孔40d,41dの一方あるいは両方に架設部材13′′が固定可能である。
このように、本発明の接続具11は、図20(a)に示す(接合具の設置箇所を○印で示している。)ように、棚板や梁部材に相当する水平方向に架け渡す架設部材を支持する接続具のみならず、接続部40の形態を変更することにより、図20(b)に示すように、各種立体構造物のトラス構造などを構築するための接続具として使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 (a)はこの発明の棚板用受け具を示す概略図で、(b)は(a)のA−A線矢視図で、(c)は(a)のB−B線矢視図である。
【図2】 この発明の棚板用受け具を示す概略斜視図である。
【図3】 この発明の棚板用受け具の縦部材への取付け状態を示す概略図である。
【図4】 この発明の棚板用受け具の縦部材への取付け状態を示す概略図である。
【図5】 この発明の棚板用受け具の縦部材への取付け状態を示す概略図である。
【図6】 この発明の棚板用受け具の縦部材への取付け状態を示す概略図である。
【図7】 (a)はこの発明の棚板用受け具の係止部を示す概略図で、(b)は(a)のC−C線矢視図で、(c)は(a)のD−D線矢視図である。
【図8】 (a)はこの発明の棚板用受け具の本体部を示す概略図で、(b)は(a)のE−E線矢視図で、(c)は(a)のF−F線矢視図である。
【図9】 この発明の棚板用受け具による棚板の支持状態を示す概略図である。
【図10】 (a)はこの発明の棚板用受け具への横部材の取付け状態を示す断面図で、(b)は(a)のG−G線断面図で(c)はこの発明の棚板用受け具に取付ける横部材の別形態を示す概略断面図である。
【図11】 この発明の棚板用受け具への横部材の取付け状態を示す概略斜視図である。
【図12】 従来の受け金具の縦部材への取付け状態を示す概略斜視図である。
【図13】 実施例2を示すもので(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図である。
【図14】 同接続具の構造を示す断面図である。
【図15】 係止部15を示す概略斜視図である。
【図16】 弾性部材26を示す概略斜視図である。
【図17】 実施例2の接続具の骨組部材への取付け状態を示す概略図である。
【図18】 同接続具への架設部材の取付け状態を説明する概略図である。
【図19】 実施例3の接続具を示す概略図である。
【図20】 接続具の取付け部位を例示する立体構造物の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0011】
1 棚板用受け具
2 縦部材
2a 係止用溝
3 棚板
4 本体部
4a 端壁
4b 端壁
4c 側壁
4d 支持補強壁
4e 係止作用溝
4f ガイド用突起
4h 固定ネジ用ネジ孔
5 係止部
5a 底片
5b 側片
5c 係止爪部
5d 係止作用片
5e 第一係止部
5f 第二係止部
5g ナット
6 係止用ネジ部材
6a 先端部
6b 螺合部
6c ネジ頭
7 横部材
7a 低壁
7b 側壁
7c 本体
7d 支持壁
8 固定ネジ
11 接続具
12 骨組部材
12a 係止用溝
13 架設部材
13a 透孔
14 本体部
14a 端壁
14b 端壁
14c 側壁
14e 係止作用溝
14f ガイド用突起
14j 開口部
14k 係止作用部
15 係止部
15a 底片
15b 側片
15c 係止爪部
15d 係止作用片
15e 第一係止部
15f 第二係止部
15g ナット
16 係止用ネジ部材
16a 先端部
16b 螺合部
16c ネジ頭
20 接続部
20a 透孔
21 スライド機構
22 回転操作部
23 偏心カム
26 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で立設した各縦部材に、その長手方向へ延びる係止用溝に係止することで取付けられて、前記各縦部材の間に掛渡す棚板を受ける棚板用受け具であり、
前記棚板に当接して支持する本体部と、この本体部内において前記縦部材側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部と、縦部材側とは反対側から前記本体部内に挿入されてその挿入側の先端部が前記係止部に螺合している係止用ネジ部材とを備えており、
前記係止部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記縦部材側とは反対側の底片と、この底片の両端から前記縦部材側の方向へ延びている両側片とから断面略コ字状に形成されており、前記底片の係止用ネジ部材との螺合部により、係止用ネジ部材の軸方向である縦部材とは反対側の方向へスライド自在に設けられており、
前記係止部の両側片における一方の側片には、その前記縦部材の長手方向である上部に、前記係止用溝内に入り込んで係止する係止爪部が係止作用片を介して設けられていると共に、前記係止部の両側片における他方の側片には、その前記縦部材の長手方向である下部に、前記係止用溝内に入り込んで係止する係止爪部が係止作用片を介して設けられており、
前記本体部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記縦部材側とは反対側の端壁と、前記係止部の係止作用片が貫通して前記係止部の両係止爪部を前記本体部から突出させる係止作用溝が形成されている縦部材側の端壁と、前記縦部材側とは反対側および縦部材側の両端壁を連結している両側壁とから略ロ字形状に形成されており、
前記係止部のスライド動作によって、前記係止作用片が前記係止作用溝の開口部に当接することで、前記係止部の両係止爪部がそれぞれ反対方向へ移動して、前記両係止爪部が上下に並んだ前記係止用溝内への挿入状態と、前記縦部材の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた前記係止用溝への係止状態とが構成されることを特徴とする棚板用受け具。
【請求項2】
前記本体部における前記縦部材側とは反対側の端壁には、前記縦部材側とは反対側の方向へ延びており、前記棚板に当接して支持する支持補強壁が設けられていることを特徴とする請求項1記載の棚板用受け具。
【請求項3】
立体構造物の骨組部材に、その長手方向へ延びる係止用溝に係止することで取り付けられて、前記骨組部材の間に設けられる架設部材を支持する接続具であって、
前記架設部材が支持される本体部と、この本体部内において前記骨組部材側とは反対側の方向へスライド自在に設けられている係止部と、前記骨組部材側とは反対側から前記本体部内に挿入されてその挿入側の先端部が前記係止部に螺合している係止用ネジ部材とを備えており、
前記係止部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記骨組部材側とは反対側の底片と、この底片の端部から前記骨組部材側の方向へ延びている側片とを備え、前記底片の係止用ネジ部材との螺合部により、係止用ネジ部材の軸方向である骨組部材とは反対側の方向へスライド自在に設けられており、
前記係止部は、前記係止用溝内に入り込んで係止する一対の係止爪部を備え、
一方の係止爪部は、前記係止部の底片の一方端部側から延びる側片に、係止作用片を介して設けられていると共に、他方の係止爪部は、前記係止部の底片の他方端部側から延びる側片に、係止作用片を介して設けられており、
前記本体部は、前記係止用ネジ部材が螺合している前記骨組部材側とは反対側の端壁と、前記係止部の両係止爪部を前記本体部から突出させる開口部が形成されている骨組部材側の端壁と、前記骨組部材側とは反対側および骨組部材側の両端壁を連結している側壁と、前記開口部の近傍に位置して前記係止部の係止作用片に係合可能な係止作用部とを備え、
前記係止部のスライド動作によって、前記係止作用片が前記係止作用部に当接することで、前記係止部の両係止爪部がそれぞれ反対方向へ移動して、前記両係止爪部が前記骨組部材の係止用溝内へ挿入された状態と、前記骨組部材の長手方向と直交する方向に間隔を拡げた前記係止用溝への係止状態とが構成されることを特徴とする接続具。
【請求項4】
前記一対の係止爪部は、前記骨組部材の長手方向に並設されている請求項3記載の接続具。
【請求項5】
前記本体部における前記骨組部材側とは反対側の端壁には、前記骨組部材側とは反対側の方向へ延びており、前記架設部材を支持するための接続部が設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の接続具。
【請求項6】
前記本体部に対して前記骨組部材側と反対側から外嵌される架設部材に係合すると共に、この係合状態において、前記本体部を前記架設部材に対して前記骨組部材側と反対側へ移動させるスライド機構を、前記接続部に備えていることを特徴とする請求項5記載の接続具。
【請求項7】
前記スライド機構は、前記架設部材に形成された透孔に嵌合可能な回転操作部と、該回転操作部の内側に偏心的に設けられると共に前記接続部に形成された透孔に遊嵌状態に配設される偏心カムとを備え、前記回転操作部及び偏心カムは、弾性部材を介して前記接続部に取り付けられ、前記接続部の内側方向への押込みと前記弾性部材による復帰が可能なように構成されていることを特徴とする請求項6記載の接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−292173(P2006−292173A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106881(P2006−106881)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(598167800)エヌエスプランニング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】