説明

椅子及びこれに使用するレバーユニット

【課題】椅子のレバーユニットにおいて、操作レバーの取り付けの容易性は損なうことなく、部材の破損を防止する。
【解決手段】レバーユニット45は操作レバー25とマウント部材43とで構成されている。マウント部材43は、ベース6に固定される基板54と、基板54の前後両端にヒンジ部57を介して一体に設けられた受け部56とを有する。受け部56には軸受け穴58が空いており、軸受け穴58に操作レバー25の軸部46が嵌まっている。前後の受け部56の間隔を広げることで、軸部46を軸受け穴58に嵌合できる。マウント部材43を受け座に固定すると、受け部56は凹部59に嵌まって倒れ不能に保持される。受け部56を回動させるにおいてヒンジ部57に負担はかからないため、マウント部材43が破損するような問題は生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、椅子及びこれに使用するレバーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスで多用されている回転椅子では、一般に、座の高さを調節するためのレバーや背もたれの傾動を制御するためのレバーなどの操作手段を設けている。この操作手段はスライド式レバーやプッシュボタン式もあるが、回動式レバーが大半である。
【0003】
いずれにしても、操作レバーは座等の支持部に取付けねばならない。そして、回動式の操作レバーの取り付け構造として、特許文献1には、座の前後位置を調節するためのレバーに関して、座体のフレームにビスで固定される取付部材(マウント部材)にレバーをピンで取り付けることが開示されている。
【0004】
他方、本願出願人の出願である特許文献2には、樹脂製のレバーにその回動中心となる支軸を形成するにおいて、レバーのうち支軸が突出している部位に、支軸の軸線と直交した方向に切り開かれたスリットを形成することにより、支軸が突出している部位を弾性変形可能となして、弾性変形を利用して一対の支軸の間隔を狭め得るようにした構成が開示されている。この特許文献2では、レバーの取り付け部には支軸が嵌まる軸受け穴が一対空いており、支軸の間隔を狭めた状態でレバーを取り付け部に押し込むと、支軸が軸受け穴に嵌まるのと同時に弾性力によって支軸は元の姿勢に戻り、このレバーは離脱不能に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−22923号公報
【特許文献2】特開2011−136013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようにピンを使用した連結構造は作業が面倒であるのみならず、ピンの管理にも手間がかかるという問題がある。レバーを取り外してから再び取り付け直す場合、ピンを紛失してしまって組み立て不能になってしまうことも有り得る。これに対して特許文献2のようにレバーの弾性変形を利用して取り付ける方式は、取り付けをワンタッチ的に行えると共に、部材管理の手間も抑制できる利点がある。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、取り付けの容易性や部材管理の手間抑制といった特許文献2の利点を保持しつつ、部材の耐久性向上等を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、椅子とレバーユニットとを含んでいる。請求項1の発明は椅子に関するもので、この発明は、操作レバーがマウント部材を介して支持部に回動自在に取り付けられている構成において、前記操作レバーには回動中心になる一対の軸部又は軸受け穴が形成されている一方、前記マウント部材には、前記操作レバーの軸部又は軸受け穴に嵌まる嵌合部を有する一対の受け部が、前記嵌合部の間隔が広がるように弾性変形可能に形成されており、前記受け部を変形させることで前記嵌合部に操作レバーの軸部又は軸受け穴を嵌脱できるようになっており、かつ、前記マウント部材は、前記左右受け部の間隔を広げることができない状態で前記支持部に取り付けられている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記レバーに、チューブにスライド自在に挿入されたワイヤーの一端が取り付くワイヤー保持部を設けている一方、前記マウント部材には、前記チューブの一端をスライド不能に保持するチューブ保持部が形成されている。
【0010】
請求項3の発明はレバーユニットに関するもので、この発明は、操作レバーと、前記操作レバーが取り付くマウント部材とから成り、前記マウント部材は椅子の支持部に取り付けられるようになっている構成において、前記操作レバーには回動中心になる一対の軸部又は軸受け穴が形成されている一方、前記マウント部材には、前記操作レバーの軸部又は軸受け穴に嵌まる嵌合部を有する一対の受け部が、互いの間隔を広げ得る状態で形成されており、前記受け部の間隔を広げることで嵌合部に操作レバーの軸部又は軸受け穴を嵌脱できるようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、マウント部材における受け部の間隔を広げてからレバーをセットし、その状態で椅子の支持部にマウント部材を取り付けると、一対の受け部は広がり変形不能に保持されて、レバーは抜け不能に保持される。このように、支持部にマウント部材を取り付けることでレバーも抜け不能に保持されるため、レバーの取り付け作業を簡単に行えると共に、ピンは不要であるため部材管理の手間も抑制できる。
【0012】
そして、マウント部材の受け部はレバーを外側から挟んでいるため設計の自由性は高く、特定の部位に応力を集中させることなく変形させて嵌合部の間隔を大きく広げることができる。このため、受け部が変形によって折損することはなくて品質を向上できると共に、嵌合部と軸部又は軸受け穴との嵌合深さを大きくしてレバーの取り付け強度も向上できる。
【0013】
レバーの動きをガスシリンダ等に伝達する手段として、チューブにワイヤーがスライド自在に挿通されている索導管を使用することが行われているが、請求項2のようにチューブ保持部をマウント部材に設けると、チューブとワイヤーとの位置関係を正確に設定できるため、精度を向上できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る椅子の外観を示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図、(D)は背面図、(E)は部分的な斜視図である。
【図2】(A)は全体の分離斜視図、(B)はベースをひっくり返した状態での分離斜視図である。
【図3】ベースを中心にした支持機構部の図で、(A)は一部省略斜視図、(B)は部分的な分離斜視図である。
【図4】座を中心にした部分の側断面図である。
【図5】(A)は図4のVA-VA 視部分断面図、(B)は図4のVB-VB 視部分断面図である。
【図6】(A)は図4の VIA-VIA視部分断面図、(B)は図3の VIB-VIB視部分断面図である。
【図7】(A)はレール部材の箇所の分離斜視図、(B)はレール部材とベースとの分離斜視図である。
【図8】(A)はレバーを装着した部位の分離斜視図、(B)はレバーユニットの上から見た斜視図、(C)はマウント部材の斜視図、(D)は脚支柱の上端部の斜視図である。
【図9】(A)はレバーユニットとベースとの分離斜視図、(B)はレバーユニットを下から見た分離斜視図、(C)はレバーユニットの分離側面図、(D)はレバーユニットの分離平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この文言は普通に着座した人の向きを基準にしている。但し、正面視は着座した人と対向した方向をいう。「内」「外」の文言も使用するが、正面視で椅子の中心を向いた方向を内向きとし、正面視で椅子の中心から左右外側を向いた方向を外向きとしている。
【0016】
(1).椅子の概要
まず、図1〜図4に基づいて椅子の概要を説明する。本実施形態は回転椅子に適用しており、椅子は、図1に示すように、座1と背もたれ2とが一体に連続した身体受け部3と、ガスシリンダである脚支柱4を有する脚装置5と、脚支柱4の上端に取り付けたベース6と、ベース6に後傾動自在に連結した背フレーム7とを有している。脚装置5は放射方向に延びる枝足を有しており、各枝足の先端にはキャスタを設けている。
【0017】
身体受け部3はシェル板とこれに一体成形したクッションとを有している。シェル板は、座1を構成する座シェル板8と、座シェル板8の後部に一体に繋がった下部背シェル板9と、下部背シェル板9とは別体の上部背シェル板10とを有しており、上部背シェル板10の下端部が下部背シェル板9の上端部に連結されている。
【0018】
図2に示すように、ベース6は概ね平面視四角形状で上下に開口した枠構造になっており、このため、リアメンバー11と左右サイドメンバー12とフロントメンバー13とを有する。リアメンバー11の左右中間部に脚支柱取り付け穴14が空いていると共に、リアメンバー12の後端部に後ろ向き張り出し部15を形成し、この後ろ向き張り出し部15に背フレーム7が左右横長の支軸16で回動可能に連結されている。
【0019】
ベース6の後面と背フレーム7の下部の前端との間のうち後ろ向き張り出し部20の左右両側には、図1(B)から理解できるように空間が空いているが、この空間の間隔は、ロッキングによって背フレーム7が傾動した状態であっても一般成人の指よりも大きい寸法が保持されるように設定している。従って、仮に人がベース6と背フレーム7との間の隙間に指先を差し込んでも挟まれることはない。
【0020】
図2に示すように、ベース6の左右サイドメンバー12には前後長手のレール部材17が前後スライド自在に装着されており、レール部材17に座シェル板8が装着されている。レール部材17はこれに内蔵したばね18に抗して後退動する。
【0021】
例えば図2(A)に示すように、背フレーム7は、その下端を構成する左右横長の基部7aを有しており、この基部7aの左右中間部が、軸受けブラケット19を介してベース6の後ろ向き張り出し部15に支軸16で連結されている。また、同じく図2(A)から理解できるように、背フレーム7における基部7aの左右両端部には、レール部材17の後端に設けた左右軸受け部20の間に位置する上向きの軸受けリブ21が突設されており、軸受け部20と軸受けリブ21とが左右横長のピン22で連結されている。
【0022】
背フレーム7における基部7aの左右両端部には背支柱7bが一体に形成されており、背支柱7bの上端部に上部背シェル板10がねじ23で締結されている。例えば図3に示すように、ベース6における右側のサイドメンバー12の後部に、脚支柱4のバルブを操作するための操作レバー25を取り付けている。この部分が本実施形態の核心部あるが、操作レバー25の説明に先立って、ベース6のサイドメンバー12に設けている支持機構部を補足説明しておく。
【0023】
(2).支持機構部の補足説明
図5〜7に示すように、レール部材17は下向きに開口したチャンネル状(コ字状)の形態であり、座シェル板8には、レール部材17を左右両側から囲う下向き規制リブ28が左右一対ずつ突設されている。図5(B)に示すように、下向き規制リブ28にはレール部材17に内外から近接する位置決め部29が一体に形成されており、かつ、レール部材17に切り起こし形成した前後長手の横向きストッパー30に、下向き規制リブ28に形成した係合爪31を下方から当てている。
【0024】
図3(B)や図4(A)に示すように、レール部材17の前端部には左右横長のガイドピン32が前後動不能に挿通されている。ガイドピン32は、ベース6のサイドメンバー12に固定されたガイド体33に形成しているガイド穴34に挿通している。ガイド穴34は前後長手の長穴になっており、このためレール部材17は座シェル板8と一緒に前後スライドし得る。
【0025】
図3(B)や図6(A)に示すように、レール部材17のうち概ね前後中間部には、前部ばね受け35が取り付けられており、ばね(圧縮コイルばね)18を手前側から支持している。他方、例えば図8(A)に示すように、ベース6におけるサイドメンバー12の後端部にはばね受け突起36が一体に形成されており、このばね受け突起36に後部ばね受け37が上から嵌め込み装着されている。ばね受け突起36は正面視で逆U形の形態になっている。他方、後部ばね受け37の下端には内向きに張り出したフランジ片37aが一体に形成されており、フランジ片37aがビス38でベース6に固定されている。
【0026】
例えば図8から理解できるように、ベースのリアメンバー11は上向きに開口した形態であり、その内部に補強リブ39が多数形成されている。また、図3や図4に示すように、リアメンバー11は上からカバー40で覆われている。
【0027】
(3).操作レバー及びその取り付け構造
次に、操作レバー25を説明する。例えば図9から容易に理解できるように、操作レバー25はマウント部材43に装着されており、マウント部材43がビス44でベース6のサイドメンバー12に固定されている。従って、操作レバー25とマウント部材43とでレバーユニット45が構成されている。
【0028】
操作レバー25は基本的には板状になっており、その基端部には、回動中心となる軸部46が前後外向きに突設されている。また、操作レバー25の基端部には下向きに突出したワイヤー保持部47を一体に設けており、このワイヤー保持部47に、チューブ48にスライド自在に挿通したワイヤー49の一端が係止されている。具体的には、ワイヤー49の一端にはボール50が固定されており、ワイヤー保持部47に、ボール50が抜け不能に保持されてワイヤー49が通る係止溝51を形成している。
【0029】
係止溝51のうちボール50が嵌まる部分51aは内側に開口していると共に、係止溝51のうちワイヤー49が嵌まる細い部分は前後方向と左右方向とに向いたL形になっており、このため、ワイヤー49は、いったんボール50を内向きにした姿勢で係止溝51に嵌め込み、次いで下向きに姿勢を変えるという手順を採ることにより、抜け不能に保持される。
【0030】
図8や図9に示すように、マウント部材43は、ベース6のサイドメンバー12に設けた受け座42にビス44で固定される前後長手の基板54を有しており、基板54から前後一対の外向き突起55が一体に形成されている。前後外向き突起55には上向きの受け部56がヒンジ部57を介して一体に形成されており、前後受け部56の上端部に形成した軸受け穴58に操作レバー25の軸部46が嵌まっている。受け座42は請求項に記載した支持部の一例であり、軸受け穴58は請求項に記載した嵌合部の一例である。
【0031】
ヒンジ部57は、薄肉でかつ側面視で上向き凹状に湾曲している。このため、図9(C)に一点鎖線で示すように、受け部56は上端間の間隔が広がるように姿勢変更可能であり、また、ヒンジ部57の弾性変形により、若干ながら全体的に接近・離反し得る。いずれにしても、前後受け部56は、その上端部が大きく広がるように変形(又は姿勢変更)させ得るのであり、これより、操作レバー25の軸部46を軸受け穴58に嵌め込むことができる。
【0032】
そして、例えば図9(A)に明示するように、ベース6には、マウント部材43がすっぽり嵌まる凹部59が形成されており、凹部59の前後内側面59aにより、マウント部材43の前後受け部56が倒れ変形不能に保持されている。従って、レバーユニット45をベース6にセットした状態では、操作レバー25は抜け不能に保持されている。凹部59には、マウント部材43の受け部56を外側から囲う外壁59bを形成している。このため受け部56の安定性が高い。
【0033】
また、図7(B)及び図9(A)に示すように、ベース6における凹部59の底面には、マウント部材43における受け部56の下端が嵌まる囲い59cを設けている。このため、受け部56は水平方向にずれ動くことなく安定した状態に保持される。
【0034】
マウント部材43の基板54には、チューブ48の一端を前向き抜け不能に保持するチューブ保持部60が下向きに突設されている。チューブ保持部60には下向きに開口したチューブ保持溝61が形成されている一方、チューブ48の一端部には環状溝62aを有するホルダー62が固定されており、チューブ保持溝61に、ホルダー62の環状溝62aに噛み合う突条61aを形成している。これにより、チューブ48は内向き抜け不能に保持される。
【0035】
例えば図9(A)に示すように、ベース6の受け座42には、マウント部材43のチューブ保持部60が嵌まる凹所63がえぐり形成されており、チューブ48の一端部は凹所63の底面によって落下不能に保持されている。従って、チューブ48の一端部のホルダー62はチューブ保持溝61から抜け不能に保持されている。図9(B)から理解できるように、操作レバー25の基端部のうちワイヤー保持部47の前後両側に回動規制ストッパー25aを下向きに突設している一方、マウント部材43における外向き突起55の右外端には、回動規制ストッパー25aが当たることで操作レバー25の起こし回動姿勢を規制するストッパー受け55aが形成されている。
【0036】
チューブ48は後部ばね受け37の手前に這わせている。そこで、後部ばね受け37の手前には、チューブ48が嵌まり込む切欠き部64を形成している。また、ベース6のリアメンバー11の内部には既述のとおり補強リブ39が形成されているが、図9(A)に示すように、補強リブ39にもチューブ48が嵌まる切欠き64を形成している。また、図7(A)(B)に示すように、後部ばね受け37にも前向きに延びるチューブ押さえ部37bを設けている。このため、チューブ48の安定性が一層向上する。さて、従来はチューブ48の安定的に這わせることについて考慮されていない。これに対して本実施形態で、切欠き64やチューブ押さえ部37b等によってこの問題も解消している。この点、本実施形態の利点の一つである。
【0037】
図8(D)に示すように、ガスシリンダである脚支柱4の上端には、固定式のチューブ受け65と、チューブ受け65に向けて倒れ回動し得るバルブレバー66とが突設されている。チューブ48のうち他端よりやや内側にずれた部位には大径部67を設けている一方、脚支柱4のチューブ受け65にはチューブ48の他端が嵌まる穴68が空いており、このため、チューブ48はバルブレバー66の方向に向いてはずれ不能に保持されている。
【0038】
他方、バルブレバー66には、ワイヤー49の他端が上から嵌まる上向き開口のボール保持溝67が形成されており、ワイヤー49の他端に固定したボール69がバルブレバー66に当接している。このため、操作レバー25の上向き回動操作によってワイヤー49が引かれると、バルブレバー66がチューブ受け65に向けて倒れ回動し、その結果、脚支柱4のロックが解除される。ボール69の抜けを阻止するため、ボール保持溝67の下端はボール69が嵌まる大径部67aになっている。
【0039】
(4).まとめ
既に説明したように、操作レバー25はマウント部材43の受け部56を広げることにより、マウント部材43に簡単に取り付けることができ、かつ、マウント部材43をベース6に固定すると受け部56は倒れ不能になって操作レバー25はマウント部材43から抜け不能に保持される。そして、マウント部材43の受け部56はヒンジ部57の変形によって倒れ回動するが、ヒンジ部57は他の部材によって規制されることなく容易に変形する大きさに設定できるため、例えば冬季のように樹脂が変形しにくくなっている状態でも、破損することなく確実に変形する。
【0040】
また、軸受け穴58は上下に長い受け部56の先端部に設けており、ヒンジ部57を僅かに変形させるだけで前後軸受け穴58の間隔を大きく広げることができるため、ヒンジ部57への負担も少ない。この点からも、ヒンジ部57の破断を確実に防止して品質を向上できる。
【0041】
本実施形態のように、マウント部材43にチューブ保持部60を形成しつつ、チューブ48の一端をベース6で下から支える構成を採用すると、マウント部材43にはチューブ48が下向きに抜けるのを阻止するための手段を講じる必要がない。このためマウント部材43の構造をできるだけ簡単化できる利点がある。
【0042】
また、本実施形態のように、脚支柱4として上端面からチューブ受け65とバルブレバー66とが突設されたものを使用すると、脚支柱4の上面とカバー40との間の間隔をできるだけ小さくしてベース6を薄型化できる利点がある。更に、チューブ48が露出していると組み立て時に物が引っ掛かるおそれがあるが、本実施形態のようにチューブ48をばね18の下方にくぐらせた状態にすると、チューブ48の露出を無くして組み立て時に物が引っ掛かる問題も解消できる。また、ばね18やばね受け35,37等から成るスライド支持機構部は、チューブ48に規制されることなく自由に設計できる。
【0043】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば適用対象たる椅子は回転椅子や背座一体方式には限らず、固定式の椅子やロッキングしない椅子など、各種の形態の椅子に適用できる。操作レバーは座の昇降のためのものである必要はなく、背もたれの傾動を制御するためのものや座の前後位置を調節するためのものなど、様々なレバーに適用できる。
【0044】
マウント部材の受け部に軸部を設けて、レバーに軸受け穴を設けることも可能である。また、一対の嵌合部の間隔を広げる手段としては、必ずしもヒンジ部を設ける必要はないのであり、受け部を全体的に撓み変形させることも可能である。また、一対の受け部のうち片側だけが変形又は姿勢変更する構成を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明は椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0046】
4 脚支柱
6 ベース
7 背フレーム
12 ベースのサイドメンバー
25 座の高さを調節するための操作レバー
37 後部ばね受け
43 マウント部材
45 レバーユニット
46 軸部
47 ワイヤー保持部
48 チューブ
49 ワイヤー
50,62 ボール
42 支持部の一例としての受け座
56 受け部
57 ヒンジ部
58 軸受け穴
59 凹部
60 チューブ保持部
65 脚支柱のチューブ受け
66 脚支柱のバルブレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーがマウント部材を介して支持部に回動自在に取り付けられている椅子であって、
前記操作レバーには回動中心になる一対の軸部又は軸受け穴が形成されている一方、前記マウント部材には、前記操作レバーの軸部又は軸受け穴に嵌まる嵌合部を有する一対の受け部が、前記嵌合部の間隔が広がるように弾性変形可能に形成されており、前記受け部を変形させることで前記嵌合部に操作レバーの軸部又は軸受け穴を嵌脱できるようになっており、かつ、前記マウント部材は、前記左右受け部の間隔を広げることができない状態で前記支持部に取り付けられている、
椅子。
【請求項2】
前記レバーに、チューブにスライド自在に挿入されたワイヤーの一端が取り付くワイヤー保持部を設けている一方、前記マウント部材には、前記チューブの一端をスライド不能に保持するチューブ保持部が形成されている、
請求項1に記載した椅子。
【請求項3】
操作レバーと、前記操作レバーが取り付くマウント部材とから成り、前記マウント部材は椅子の支持部に取り付けられるようになっているレバーユニットであって、
前記操作レバーには回動中心になる一対の軸部又は軸受け穴が形成されている一方、前記マウント部材には、前記操作レバーの軸部又は軸受け穴に嵌まる嵌合部を有する一対の受け部が、互いの間隔を広げ得る状態で形成されており、前記受け部の間隔を広げることで嵌合部に操作レバーの軸部又は軸受け穴を嵌脱できるようになっている、
椅子のレバーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63175(P2013−63175A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203606(P2011−203606)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】