説明

椅子型マッサージ機

【課題】座部と背凭れ部をベース部に対して夫々直接支持し、座部と背凭れ部を独立して傾動させることのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】床面に載置されるベース部20と、該ベース部20に配備され被施療者の腰掛ける座部30と、該座部30の後端側に配備され被施療者の背中が当たる背凭れ部50とを有する椅子型マッサージ機10において、座部30及び背凭れ部50は、ベース部20に直接支持され、夫々傾動手段32,52を介して前後に傾動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部及び背凭れ部を夫々独立して傾動可能な椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機は、床面に載置されるベース部と、該ベース部に支持され被施療者の腰掛ける座部と、該座部に支持され背中の当たる背凭れ部と、座部の前端に支持され、ふくらはぎの当たる脚受部とを有し、これらに患部をマッサージするエアバッグや施療指等のマッサージ手段を内装し、被施療者が腰掛けた状態で、患部のマッサージを受けることができる。
被施療者が、リラックスした状態でマッサージを受けることができるように、座部、背凭れ部及び脚受部は傾動可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−344316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背凭れ部は、座部に直接傾動可能に支持されている。具体的には、背凭れ部は、座部後端の下面側に支持されている。このため、背凭れ部を後傾させると、背凭れ部の下端側が座部から離れる方向に移動する。従って、背凭れ部を後傾させたときには、被施療者の背中から臀部に係る部分が背凭れ部から離れて隙間が生じることがあり、被施療者が背凭れ部に背中から臀部を付けた楽な姿勢で、好適なマッサージを受けるためには、座位置を後方にずらす必要があった。逆に、背凭れ部を前傾させる場合には、座位置を前方にずらす必要があった。
【0005】
また、座部を傾動させると、背凭れ部も座部と一体に傾動してしまうから、座部のみの角度調節は、一回の操作で行なうことはできず、座部を一旦傾動させた後、背凭れ部の座面に対する角度を元に戻すための再調節が必要であった。あるいは、座部を後傾させる同時に背凭れ部を反対方向(起こす方向)に傾動させる必要があった。
さらに、背凭れ部を座部に対して最も後傾させた状態で、座部を後傾させると、背凭れ部が床面に衝突してしまうこともあった。
加えて、背凭れ部の傾動手段は、座部又は背凭れ部に配置する必要があるため、座部又は背凭れ部が重量化し、その結果、座部の支持構造や傾動手段を大型化する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、座部と背凭れ部をベース部に対して夫々直接支持し、座部と背凭れ部を独立して傾動させることのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
床面に載置されるベース部と、該ベース部に配備され被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端側に配備され被施療者の背中が当たる背凭れ部とを有する椅子型マッサージ機において、
座部及び背凭れ部は、ベース部に直接支持され、夫々傾動手段を介して前後に傾動可能とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、座部と背凭れ部の両方をベース部に直接傾動可能に支持させた構造としたことで、座部と背凭れ部を夫々独立して傾動させることができる。従って、座部のみの角度調節も一回の操作で行なうことができる。
また、座部と背凭れ部を夫々直接ベース部に支持したことにより、背凭れ部を傾動させたときに、座部に対して背凭れ部が離れてしまうことはなく、被施療者が座位置をずらす必要もない。
さらに、座部と背凭れ部を夫々直接ベース部に支持することで、座部及び背凭れ部の傾動手段をベース部に配置することができ、座部や背凭れ部の軽量化や傾動手段の小型化を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の椅子型マッサージ機(10)に被施療者が腰掛けた状態を示す側面図である。また、図2は、座部(30)及び背凭れ部(50)を後傾させた状態を示す側面図である。
図3及び図4は、椅子型マッサージ機(10)の要部構造を示す説明図である。
図5は、図3の線A−Aに沿う傾動手段(32)(52)の要部断面図である。
【0010】
図に示すように、本発明の椅子型マッサージ機(10)は、床面(100)に載置されるベース部(20)と、被施療者が腰掛ける座部(30)、被施療者の背中が当たる背凭れ部(50)、被施療者のふくらはぎが当たる脚受部(70)、及び、被施療者が肘を置く左右一対の肘置部(40)、マッサージ機(10)の操作を行なう操作部(80)を具える。
座部(30)、背凭れ部(50)、脚受部(70)及び肘置部(40)には、必要に応じて、エアバッグや施療指等のマッサージ手段(12)が配備される。
【0011】
ベース部(20)は、前後に延びる脚部(22)と、該脚部(22)から上向きに形成されたベース部本体(24)とを有している。ベース部本体(24)は、前側が床面(100)とほぼ平行に形成され、後側が上向きに突出している。
図5に示すように、ベース部本体(24)の後端突出部(26)には、背凭れ部用傾動手段(52)が設けられており、該背凭れ部用傾動手段(52)を介して背凭れ部(50)が傾動可能に支持されている。
また、前記背凭れ部用傾動手段(52)の下側には、座部用傾動手段(32)が設けられており、該座部用傾動手段(32)を介して座部(30)が傾動可能に支持されている。
【0012】
背凭れ部(50)は、図1及び図2に示すように、座部(30)の後端側に配備され、外周がクッション、布カバー及び樹脂製カバー等により包囲されている。背凭れ部(50)の内部には、施療指等のマッサージ手段(12)を長手方向に上下動可能に配備することができる。
上記及び図3乃至図5に示すように、背凭れ部(50)は、ベース部(20)に支持軸(59)によって軸支されており、以下で説明する背凭れ部用傾動手段(52)によって、ベース部(20)に直接傾動可能となっている。
【0013】
背凭れ部用傾動手段(52)は、ベース部本体(24)に取り付けられたモータ等の駆動手段(54)を駆動源とし、該駆動手段(54)には、ベース部本体(24)に回転可能に支持された駆動側ギア部材(55)が動力伝達可能に連繋されている。
背凭れ部(50)の下端前方には、図に示すようにフランジ(57)が形成されており、該フランジ(57)の周面には、前記駆動側ギア部材(55)に噛合する可動側ギア部材(58)が刻設されている。
【0014】
駆動手段(54)は、操作部(80)の操作により、後述する制御手段(90)からの操作命令を受けて駆動する。駆動手段(54)を駆動すると、駆動側ギア部材(55)が回転し、可動側ギア部材(58)が従動して、背凭れ部(50)が支持軸(59)を中心として前後に傾動する。
なお、背凭れ部(50)の傾動角度を測定するには、リミットスイッチやエンコーダ等の測定手段を配備すればよい。
【0015】
座部(30)は、図に示すように、ベース部本体(24)の上側に配備され、外周がクッション、布カバー及び樹脂製カバー等により包囲されている。座部(30)の内部には、マッサージ手段(図示せず)を配備することができる。
座部用傾動手段(32)は、ベース部本体(24)に取り付けられたモータ等の駆動手段(34)を駆動源とし、該駆動手段(34)には、ベース部本体(24)に回転可能に支持された駆動側ギア部材(35)が動力伝達可能に連繋されている。
【0016】
被施療者の腰掛ける座面の後端には、下向きにフランジ(37)が突設されており、該フランジ(37)は、図3乃至図5に示すように、ベース部本体(24)に支持軸(39)によって軸支されている。フランジ(37)の周面には、前記駆動側ギア部材(35)に噛合する可動側ギア部材(38)が刻設されている。
【0017】
駆動手段(34)は、操作部(80)の操作により、制御手段(90)からの操作命令を受けて駆動する。駆動手段(34)を駆動すると、駆動側ギア部材(35)が回転し、可動側ギア部材(38)が従動して、座部(30)が支持軸(39)を中心として前後に傾動する。
なお、座部(30)の傾動角度を測定するには、リミットスイッチやエンコーダ等の測定手段を配備すればよい。
【0018】
座部(30)には、図1及び図2に示すように、左右に肘置部(40)が上向きに突設されており、一方の肘置部(40)にはマッサージ機(10)を操作する操作部(80)が配備されている。操作部(80)は、図に示すように、肘置部(40)から上向きに突設された支持棒(42)の先端に取り付けることができる。
操作部(80)には、図7に示すように、複数の操作ボタン(82)(84)(85)(86)(88)等が配備されており、被施療者が所望に応じて各操作ボタン(82)(84)等を操作することで、座部(30)、背凭れ部(50)、脚受部(70)の角度調節や、種々のマッサージを受けることができる。
【0019】
座部(30)の前端には、脚受部(70)が傾動可能に配備される。脚受部(70)は、被施療者の膝よりも下側を挿入する左右一対の凹状の受部(図示せず)を有しており、各受部には、エアバッグや施療指等のマッサージ手段が配備される。
脚受部用傾動手段(72)は、座部(30)に配備されたモータ等の駆動手段(74)を駆動源とし、該駆動手段(74)には、座部(30)に回転可能に支持された駆動側ギア部材(75)が動力伝達可能に連繋されている。
脚受部(70)は、上端後方に後ろ向きにフランジ(77)が突設されており、該フランジ(77)は、図3及び図4に示すように、座部(30)に支持軸(79)によって軸支されている。フランジ(77)の周面には、前記駆動側ギア部材(75)に噛合する可動側ギア部材(78)が刻設されている。
駆動手段(74)は、操作部(80)の操作により、制御手段(90)からの操作命令を受けて駆動する。駆動手段(74)を駆動すると、駆動側ギア部材(75)が回転し、可動側ギア部材(78)が従動して、脚受部(70)が支持軸(79)を中心として前後に傾動する。
なお、脚受部(70)の傾動角度を測定するには、リミットスイッチやエンコーダ等の測定手段を配備すればよい。
【0020】
上記椅子型マッサージ機(10)の制御手段(90)のブロック図を図6に示す。なお、図6は、座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)の傾動動作に関する要部ブロック図である。
制御手段(90)は、マッサージ機(10)の適所に配置され、図6に示すように、マイコン(92)を主体として構成される。マイコン(92)には、上記傾動手段(32)(52)(72)の駆動手段(34)(54)(74)が、モータ駆動回路(94)(95)(96)を介して電気的に接続されており、マイコン(92)からの駆動信号及び方向信号を受信して、正転、逆転駆動可能となっている。
【0021】
操作命令は、マイコン(92)に有線又は無線により通信可能である操作部(80)によって入力される。操作部(80)には、図6及び図7に示すように、座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)を夫々起こす方向に操作するための「起スイッチ」(82a)(82b)(82c)と、倒す方向に操作するための「倒スイッチ」(84a)(84b)(84c)を具える。
また、座部(30)と背凭れ部(50)が、形成角度を一定に保ったまま起き上がるための「起スイッチ」(82d)と、形成角度を一定に保ったまま倒れる「倒スイッチ」(84d)を具えることもできる。
さらに、座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)を、すべて被施療者の予め設定した所望の位置まで自動的に傾動させるための「全体リクライニングスイッチ」(85)を配備することもできる。
【0022】
「起スイッチ」(82a)(82b)(82c)又は(82d)が操作されると、マイコン(92)は、該当する駆動手段(34)(54)(74)のモータ駆動回路(94)(95)(96)に駆動信号と方向信号を送信し、駆動手段(34)(54)(74)の何れか、又は、駆動手段(34)と駆動手段(54)を同時に作動させる。
例えば、座部(30)の「起スイッチ」(82a)が操作されると、座部(30)のモータ駆動回路(94)に駆動信号と方向信号が送信され、座部用駆動手段(34)が回転駆動する。
座部用駆動手段(34)の駆動により、図4に示す状態から、駆動側ギア部材(35)が回転する。駆動側ギア部材(35)の回転は可動側ギア部材(38)に伝達され、座部(30)のみを図3に示すように、支持軸(39)を中心に前方に傾動させることができる。
【0023】
背凭れ部(50)の「起スイッチ」(82b)が操作されると、背凭れ部(50)のモータ駆動回路(95)に駆動信号と方向信号が送信され、背凭れ部用駆動手段(54)が回転駆動する。
背凭れ部用駆動手段(54)の駆動により、図4に示す状態から、駆動側ギア部材(55)が回転する。駆動側ギア部材(55)の回転は可動側ギア部材(58)に伝達され、背凭れ部(50)のみを図3に示すように、支持軸(59)を中心に前方に傾動させることができる。
【0024】
脚受部(70)の「起スイッチ」(82c)が操作されると、脚受部(70)のモータ駆動回路(96)に駆動信号と方向信号が送信され、脚部用駆動手段(74)が回転駆動する。
脚部用駆動手段(74)の駆動により、図4に示す状態から、駆動側ギア部材(75)が回転する。駆動側ギア部材(75)の回転は可動側ギア部材(78)に伝達され、脚受部(70)のみを図3に示すように、支持軸(79)を中心に前方に傾動させることができる。
【0025】
さらに、座部(30)及び背凭れ部(50)の両方を同時に傾動させるには、「起スイッチ」(82d)を操作すればよい。これにより、座部(30)と背凭れ部(50)の駆動手段(34)(54)が夫々回転し、上記要領で、座部(30)と背凭れ部(50)が前方に傾動する。なお、駆動手段(34)(54)の回転を同期させることで、座部(30)と背凭れ部(50)は、一定の形成角度を保ったまま前方に傾動させることができる。
【0026】
「倒スイッチ」(84a)(84b)(84c)又は(84d)が操作されると、マイコン(92)は、該当する駆動手段(34)(54)(74)のモータ駆動回路(94)(95)(96)に駆動信号と方向信号を送信し、駆動手段(34)(54)(74)の何れか、又は、駆動手段(34)と駆動手段(54)を同時に作動させる。
例えば、座部(30)の「倒スイッチ」(84a)が操作されると、座部(30)のモータ駆動回路(94)に駆動信号と方向信号が送信され、座部用駆動手段(34)が回転駆動する。
座部用駆動手段(34)の駆動により、図3に示す状態から、駆動側ギア部材(35)が回転する。駆動側ギア部材(35)の回転は可動側ギア部材(38)に伝達され、座部(30)のみを図4に示すように、支持軸(39)を中心に後方に傾動させることができる。
【0027】
背凭れ部(50)の「倒スイッチ」(84b)が操作されると、背凭れ部(50)のモータ駆動回路(95)に駆動信号と方向信号が送信され、背凭れ部用駆動手段(54)が回転駆動する。
背凭れ部用駆動手段(54)の駆動により、図3に示す状態から、駆動側ギア部材(55)が回転する。駆動側ギア部材(55)の回転は可動側ギア部材(58)に伝達され、背凭れ部(50)のみを図4に示すように、支持軸(59)を中心に後方に傾動させることができる。
【0028】
脚受部(70)の「倒スイッチ」(84c)が操作されると、脚受部(70)のモータ駆動回路(96)に駆動信号と方向信号が送信され、脚部用駆動手段(74)が回転駆動する。
脚部用駆動手段(74)の駆動により、図3に示す状態から、駆動側ギア部材(75)が回転する。駆動側ギア部材(75)の回転は可動側ギア部材(78)に伝達され、脚受部(70)のみを図4に示すように、支持軸(79)を中心に前方に傾動させることができる。
【0029】
さらに、座部(30)及び背凭れ部(50)の両方を同時に傾動させるには、「倒スイッチ」(84d)を操作すればよい。これにより、座部(30)と背凭れ部(50)の駆動手段(34)(54)が夫々回転し、上記要領で、座部(30)と背凭れ部(50)が後方に傾動する。なお、駆動手段(34)(54)の回転を同期させることで、座部(30)と背凭れ部(50)は、一定の形成角度を保ったまま後方に傾動させることができる。
【0030】
座部(30)を後傾させたときに、図2及び図4に示すように、肘置部(40)が座部(30)と一体に後傾する。これにより、肘置部(40)に配置された操作部(80)も共に後傾するから、被施療者と操作部(80)との相対位置は、座部(30)の後傾に拘わらず一定となり、操作部(80)を視認し易く、また、操作も容易に行なうことができる。
【0031】
上記前傾、後傾動作は、座部(30)、背凭れ部(50)又は脚受部(70)の傾動角度を測定するリミットスイッチ等の測定手段によって、これらの許容傾動角度に達した場合には停止するよう制御する。これにより、背凭れ部(50)が倒れすぎて、床面に当たるようなことを防止できる。
【0032】
被施療者が「全体リクライニングスイッチ」(85)を操作すると、傾動手段(32)(52)(72)を駆動して、被施療者が予め設定した最適な傾動角度に座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)を傾動させる。
これにより、被施療者は、個々の起スイッチ、倒スイッチを操作することなく、「全体リクライニングスイッチ」(85)を一つ操作するだけで、所望の角度位置まで座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)を傾動させることができる。なお、再度「全体リクライニングスイッチ」(85)を操作した場合には、予め設定された初期位置(ホームポジション)まで、座部(30)、背凭れ部(50)及び脚受部(70)の角度を戻すようにすることもできる。
【0033】
所望角度の一例として、座部(30)が床面に対し約30度後傾し、座部(30)と背凭れ部(50)との角度が約110度、座部(30)と脚受部(70)との角度が約110度になるように、傾動手段(32)(52)(72)を駆動する。このようなポジションは、最も筋肉への負担が少なく、リラックスした状態が得られる。
また、異なる例として、座部(30)が床面に対し約30度後傾し、座部(30)と背凭れ部(50)の角度が約120〜130度、座部(30)と脚受部(70)との角度が約170度で、脚が伸びた状態で、被施療者の臀部より足先が高く位置し、頭部が心臓の上に位置するようなポジションが挙げられる。このポジションは、脚の血流がよくなるので、脚受部(70)に設けたマッサージ手段での足のマッサージに適している。
なお、これら2つのポジションへの傾動は、座部(30)、背凭れ部(50)がベース部(20)に傾動自在に直接支持された椅子型マッサージ機の他に、背景技術に例示した座部に背凭れ部が傾動自在に支持された椅子型マッサージ機にも適用でき、効果的なマッサージが可能となる。
【0034】
なお、座部(30)を後傾させた場合には、被施療者の重心は後方に移動するから、被施療者の背中が背凭れ部(50)に強く当たることとなる。従って、被施療者が背中等に強いマッサージを所望する場合には、背凭れ部(50)のマッサージ手段(12)の作動に合わせて、座部用傾動手段(32)を駆動し、座部(30)を後傾させるようにすることが望ましい。
逆に、被施療者が背中等に弱いマッサージを所望する場合には、座部(30)を前傾させることが望ましい。
この制御は、例えば、図7に示す操作部(80)において、上半身強さ調節スイッチ(86)を操作したときに実行されるようにすればよい。
【0035】
図8は、上記実施例の椅子型マッサージ機(10)において、座部(30)と背凭れ部(50)の支持軸(39)(59)を同心としている。座部(30)と背凭れ部(50)の回転中心を共通させたことで、座部(30)又は背凭れ部(50)の一方のみを傾動させた場合や、座部(30)と背凭れ部(50)の両方を傾動させたときに、座部(30)と背凭れ部(50)との相対的な位置関係が安定し、被施療者が、座部(30)や背凭れ部(50)の傾動に対して、ズレや違和感を感じることがなく、また、これらの傾動に際し、被施療者の重心移動を小さくすることができる利点がある。
【0036】
また、座部(30)と背凭れ部(50)の支持軸を共通させ、該支持軸に座部(30)や背凭れ部(50)を軸支することで部品点数の削減を図ることもできる。
上記した座部(30)と背凭れ部(50)の支持軸を同心、即ち、これらの回転中心を共通させる構造は、座部(30)と背凭れ部(50)の傾動手段(32)(52)を夫々ベース部(20)に配備した椅子型マッサージ機に限らず、背凭れ部(50)の傾動手段(52)を座部(30)に配備した椅子型マッサージ機にも実現でき、上記と同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、制御手段(90)にメモリを配置し、被施療者が最適と感じるマッサージ中の背凭れ部、座部、又は、脚受部の角度を記憶させるようにしてもよい。また、被施療者が複数の場合には、各々が所望の角度を記憶させることができるようにしてもよい。角度の記憶は、例えば、図7に示す操作部(80)に複数の被施療者に対応して複数のメモリボタン(88)(88)を配置し、該メモリボタン(88)(88)の操作により実行することができる。また、角度の読出し及び背凭れ部等の動作も、メモリボタン(88)(88)の操作で実行すればよい。
【0038】
上記実施例では、駆動手段(34)(54)(74)はモータを例示しているが、シリンダ駆動、ネジ推力によるアクチュエータ駆動等の他の駆動源を用いることもでき、また、ギア部材(35)(38)(55)(58)(75)(78)に代えてベルト等で動力伝達可能な構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、座部と背凭れ部を夫々独立して傾動させることができる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図2】背凭れ及び座部を後傾させた状態を示す本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図3】本発明の椅子型マッサージ機の要部説明図である。
【図4】背凭れ及び座部を後傾させた状態を示す本発明の椅子型マッサージ機の要部説明図である。
【図5】傾動手段の拡大断面図である。
【図6】制御手段のブロック図である。
【図7】操作部の平面図である。
【図8】本発明の椅子型マッサージ機の他の実施例を示す要部説明図である。
【符号の説明】
【0041】
(10) 椅子型マッサージ機
(20) ベース部
(30) 座部
(32) 座部用傾動手段
(50) 背凭れ部
(52) 背凭れ部用傾動手段
(70) 脚受部
(72) 脚部用傾動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に載置されるベース部と、該ベース部に配備され被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端側に配備され被施療者の背中が当たる背凭れ部とを有する椅子型マッサージ機において、
座部及び背凭れ部は、ベース部に直接支持され、夫々傾動手段を介して前後に傾動可能であることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
傾動手段は、
座部及び背凭れ部を夫々ベース部に軸支する支持軸と、該支持軸を回転中心として構成される可動側ギア部材と、
ベース部に配備され、前記ギア部材と噛合する駆動側ギア部材と、該駆動側ギア部材を回転させる駆動手段と、
を具える請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
傾動手段は、座部及び背凭れ部の支持軸を同心に配備している請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
床面に載置されるベース部と、該ベース部に配備され被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端側に配備され被施療者の背中が当たる背凭れ部とを有し、座部及び背凭れ部は、夫々独立して前後に傾動可能となるように傾動手段によって支持された椅子型マッサージ機において、
傾動手段は、座部を傾動させたときに、座部と背凭れ部の形成角度が一定となるように、背凭れ部を傾動させるよう制御することを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項5】
傾動手段は、座部と背凭れ部との形成角度が一定となるように後傾させたときに、背凭れ部の後傾角度が所定値に達したときには、背凭れ部の傾動を停止する請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
座部には、被施療者の肘を置く肘置部が、座部と一体に傾動可能に設けられている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
肘置部には、操作部を具える請求項6に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
床面に載置されるベース部と、該ベース部に配備され被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端側に配備され被施療者の背中が当たる背凭れ部とを有し、座部及び背凭れ部は、夫々独立して前後に傾動可能となるように傾動手段によって支持された椅子型マッサージ機において、
座部及び背凭れ部は、ベース部に同心の支持軸を介して傾動可能に支持されることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項9】
背凭れ部の傾動手段は、座部に配備される請求項8に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−312881(P2007−312881A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143688(P2006−143688)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】