説明

椅子用クッション

【課題】 本体を椅子に容易に取り付けることができるようにするとともに強固に固定することができるようにし、取り付け後の見栄えの向上を図る。
【解決手段】 座部Wa及び背もたれ部Wbを有し座部Waの後端部と背もたれ部Wbの下端部との間に間隙Wcが形成された車椅子Wの座部Waに載置され取付部材60を介して取り付けられる本体1を備えた椅子用クッションCにおいて、取付部材60を、本体1の後端4から後方に突出して設けられ間隙Wcに差し込まれて車椅子Wの座部Wa及び背もたれ部Wbに挾持されて保持される保持体61と、保持体61を本体1に止着する止着体62とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部及び背もたれ部を有し座部の後端部と背もたれ部の下端部との間に間隙が形成された椅子や車椅子等の座部に載置される椅子用クッションに係り、特に、椅子や車椅子等に取付部材を介して取り付けられる椅子用クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子用クッションとしては、例えば、特許文献1(特開2003−70844号公報)に掲載されたものが知られている。図14に示すように、この椅子用クッションCaは、座部及び背もたれ部を有し座部の後端部と背もたれ部の下端部との間に間隙が形成された椅子の座部に載置され取付部材101を介して取り付けられる本体100を備えて構成されている。
本体100は、矩形状の主クッション100aの前方上面に副クッション100bを配置し、この主クッション100a及び副クッション100bを袋カバー102で覆って形成されている。
取付部材101は、紐101aで構成され、本体100の四隅に夫々設けられている。
【0003】
この椅子用クッションCaを椅子に取り付けるときは、椅子の座部に本体100を載置し、例えば、椅子の脚部等の紐を結ぶことが可能な箇所に取付部材101としての紐101aを掛け、この紐101aを結んで固着する。
この椅子用クッションCaを取り付けた状態で椅子に着座すると、坐骨部及び左右両脚の大腿部が主クッション100a及び副クッション100bに支持されるようになり、そのため、着座時に坐骨部及び大腿部に掛かる負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−70844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の椅子用クッションCaにおいては、本体100を椅子の座部に載置した後に、本体100の四隅に設けられた紐101aを夫々椅子に結んで固着しなければならず、そのため、取付作業が煩雑であるという問題があった。また、本体100の取り付け後に紐101aが見えてしまい、それだけ、見栄えが悪くなるという問題もあった。更に、例えば、脚部のない座椅子や座部の中央部に一本の脚部を有した椅子等、紐を結ぶことが可能な箇所がない椅子に取り付ける場合、椅子の座部に本体100を載置するのみとなってしまい、そのため、本体100を椅子の座部に対して強固に固定することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、本体を椅子に容易に取り付けることができるようにするとともに強固に固定することができるようにし、取り付け後の見栄えの向上を図った椅子用クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の椅子用クッションは、座部及び背もたれ部を有し該座部の後端部と背もたれ部の下端部との間に間隙が形成された椅子の当該座部に載置され取付部材を介して取り付けられる本体を備えた椅子用クッションにおいて、上記取付部材を、上記本体の後端から後方に突出して設けられ上記間隙に差し込まれて上記椅子の座部及び背もたれ部に挾持されて保持される保持体と、該保持体を上記本体に止着する止着体とを備えて構成している。
【0008】
これにより、椅子用クッションを椅子に取り付けるときは、本体を椅子の座部に載置させるとともに、椅子の座部と背もたれ部との間隙に保持体を差し込む。この場合、保持体を差し込むだけなので、本体を椅子に比較的容易に取り付けることができる。また、保持体は座部及び背もたれ部に挾持されて保持され、この保持体が止着体で本体に止着されているので、本体を椅子に対して強固に固定することができる。更に、保持体は本体の後端から後方に突出して間隙に差し込まれるので、保持体が椅子の座部及び背もたれ部の間に埋もれるようになり、そのため、取付部材が外観から見えにくくなり、それだけ、本体を椅子に取り付けた後の見栄えを向上させることができる。
この椅子用クッションを取り付けた状態で椅子に着座すると、坐骨部及び左右両脚の大腿部が本体に支持されるようになり、そのため、着座時に坐骨部及び大腿部に掛かる負担が軽減される。
【0009】
そして、必要に応じ、上記止着体を、上記本体の裏面に着脱手段を介して着脱可能に止着した構成としている。
これにより、製造時には、本体と取付部材とを夫々別途作成するので、一体に作成する場合に比較して製造が極めて容易に行なわれる。また、使用時には、取付部材を着脱手段を介して本体に取り付けるので、取り扱いが極めて容易になる。更に、非使用時には、止着体を取り外し、取付部材を本体から取り外すことができるので、例えば、椅子に用いない場合等に取付部材が邪魔になることがなく、そのため、本体を、例えば、座布団代わりに使用する等、種々に使用することが出来るので、それだけ、汎用性が向上する。また、止着体を本体の裏面に止着するので、着座時に止着体が邪魔になることがなく、それだけ、使用感が向上する。更に、止着体を本体の裏面に止着することにより、椅子の座部と本体とによって止着体が挾持されるようになるので、より一層確実に止着体を本体に止着させることができる。また、取付部材が劣化したり破損したりした場合、取付部材だけを交換することができるので、取付部材を本体に一体形成した場合に比較して、取付部材の保守が容易になる。
【0010】
また、必要に応じ、上記着脱手段を面状ファスナで構成し、該面状ファスナを、上記本体の裏面に設けられる一方ファスナと、上記取付部材の止着体に設けられる他方ファスナとを備えて構成している。
これにより、着脱手段を比較的簡易な構成とすることができる。また、面状ファスナなので、他方ファスナを一方ファスナの適宜の位置に取り付けることができ、そのため、取付部材の左右位置を微調整することができるので、椅子の座部の形状や間隙の形状に対応した箇所に取り付けることができるとともに、取付部材の本体への着脱を比較的容易に行なうことができ、それだけ、取り扱いが極めて容易になる。
【0011】
更に、必要に応じ、上記保持体を棒状に形成し、上記止着体を上記保持体から延び該保持体の軸方向に平行な方向の表裏面を有した可撓性の帯状部材で形成した構成としている。
これにより、保持体を棒状に形成したので、保持体を間隙に差し込みやすくなる。また、止着体が可撓性部材なので、椅子の座部の後端部にフィットするようになり、そのため、より一層確実に本体を椅子の座部に取り付けることができるようになる。
【0012】
更にまた、必要に応じ、上記止着体の一端部に上記保持体を収納する袋部を設けた構成としている。
これにより、袋部に保持体を収納するだけなので、取付部材の製造が比較的容易になる。
【0013】
そして、また、必要に応じ、上記保持体を弾性変形可能な弾性部材で構成している。
これにより、間隙が狭く形成された椅子に取付部材を取り付ける場合でも、保持体が弾性変形して差し込まれるので、確実に保持体を間隙に差し込むことができる。
【0014】
更に、必要に応じ、上記弾性部材を樹脂パイプで構成している。
これにより、保持体を比較的低コストで製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の椅子用クッションによれば、本体を椅子の座部に載置させるとともに、本体に止着体で止着され本体の後端から後方に突出した保持体を、椅子の座部と背もたれ部との間隙に差し込んで本体を椅子の座部に取り付ける。この場合、保持体を差し込むだけなので、本体を椅子に比較的容易に取り付けることができる。また、保持体は座部及び背もたれ部に挾持されて保持され、この保持体が止着体で本体に止着されているので、本体を椅子に対して強固に固定することができる。更に、保持体は本体の後端から後方に突出して間隙に差し込まれるので、保持体が椅子の座部及び背もたれ部の間に埋もれるようになり、そのため、取付部材が外観から見えにくくなり、それだけ、本体を椅子に取り付けた後の見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子用クッションを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る椅子用クッションを示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る椅子用クッションを示す底面図である。
【図4】図2中、A−A線断面図である。
【図5】図2中、B−B線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る本体を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る本体を示す底面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る取付部材を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る取付部材を示す底面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る取付部材を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る取付部材を示す側面断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る椅子用クッションをその使用状態で示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る椅子用クッションをその使用状態で示す一部拡大側面図である。
【図14】従来の椅子用クッションの一例を示し、(A)は斜視図、(B)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る椅子用クッションを説明する。
図1乃至図13には、本発明の実施の形態に係る椅子用クッションCを示している。この椅子用クッションCは、座部Wa及び背もたれ部Wbを有し座部Waの後端部と背もたれ部Wbの下端部との間に間隙Wcが形成された椅子Wの座部Waに載置され取付部材60を介して取り付けられる本体1を備えて構成されている。本実施の形態では、図12及び図13に示すように、本椅子用クッションCを、車椅子Wの座部Waに取り付けて使用している。
【0018】
本体1は、図1乃至図7、図12及び図13に示すように、矩形状に形成され、着座時に坐骨部及び左右両脚の大腿部を支持する座面2と、座面2の反対側であって載置時に車椅子Wの座部Waに当接する裏面6とを有してなる。
【0019】
この本体1は、ベース板10と、ベース板10の上面11側に設けられるクッション部20と、クッション部20の上面に設けられ座面2を構成する表地30と、ベース板10の下面12に設けられ裏面6を構成する裏地40と、ベース板10に着脱可能に設けられる突起部50とを備えて構成され、層状に形成されている。
【0020】
ベース板10は、図1、図4及び図5に示すように、矩形状の剛性部材で構成されている。このベース板10の坐骨部に対応する部位には、ベース板10の上面11から下面12に貫通する坐骨孔13が設けられ、ベース板10の上面11であって左右両脚の大腿部に対応する部位には、ベース板10の上面11の一般面14より凹む一対の凹所15が形成されている。
【0021】
坐骨孔13は、矩形状に形成された貫通孔であり、左右の坐骨に対応するように一対設けられている。この坐骨孔13には、ウレタン等のクッション材からなる坐骨クッション16が夫々嵌合されている。この坐骨クッション16の下面には、坐骨クッション16を支持する網状の支持シート17が設けられている。実施の形態では、支持シート17は、伸縮性のある素材を用いて構成されている。この支持シート17は、ベース板10に取り付けられており、着座時に坐骨クッション16がベース板10の下面12側に抜け落ちることを防止している。
【0022】
凹所15は、ベース板10の前端18側に形成され、大腿部の付け根に対応する部分からベース板10の前端18側に向けて下り傾斜するように形成されている。また、大腿部の付け根に対応する部分からベース板10の前端18側に向けて徐々に幅広になるように形成されている。
【0023】
クッション部20は、図1、図4及び図5に示すように、上下面がベース板10と同型に形成されるメインクッション21と、メインクッション21の上面に設けられるサブクッション22と、メインクッション21の下面に設けられ本体1の後端縁部4a及び両側端縁部5を隆起させる隆起部23とを備えて構成されている。
【0024】
メインクッション21は、ウレタン等のクッション材で構成され、突起部50が設けられる部位に、突起部50に対応する形状に切欠き部24が形成されている。このメインクッション21は、実施の形態では、厚さが30mmに形成されている。
サブクッション22は、上下面がメインクッション21と同型に形成されている。このサブクッション22は、実施の形態では、厚さが10mmに形成されている。
【0025】
隆起部23は、本体1の後端縁部4aから両側端縁部5に亘ってコ字状に形成されるように、ベース板10に設けられている。この隆起部23は、実施の形態では、ウレタン等のクッション材で構成され、厚さが10mmに形成されている。この隆起部23の上面にメインクッション21の一部が当接しており、メインクッション21の他部はベース板10に当接しているので、メインクッション21の一部が隆起する状態となる。
【0026】
表地30は、図1、図2、図4乃至図6、図12及び図13に示すように、上下面がサブクッション22と同型に形成されサブクッション22の上面に設けられている。この表地30は、実施の形態では、合皮で形成されている。
裏地40は、図1、図3乃至図5、図7及び図13に示すように、上下面がベース板10と同型に形成されており、実施の形態では、布地で形成されている。
【0027】
突起部50は、図1、図2、図4乃至図6及び図12に示すように、本体1の前端3側であってベース板10の一対の凹所15間に、着座時に左右両脚の大腿部間に臨むように着脱可能に設けられている。
この突起部50は、ベース板10に着脱可能に取り付けられる上下面を有したベース体51と、ベース体51の上面に設けられるクッション体52と、クッション体52の上面に設けられる突起部表地53と、ベース体51をベース板10に対して着脱可能にする着脱機構54とを備えて構成されている。
【0028】
ベース体51は、上下面が台形に形成されている。このベース体51は、実施の形態では、ベース板10と同様の素材で構成されている。
クッション体52は、ウレタン等のクッション材で構成され、上下面がベース体51と同型の台形に形成されている。このクッション体52は、実施の形態では、厚さが30mmに形成されている。
【0029】
突起部表地53は、上下面がクッション体52と同型に形成されクッション体52を被覆する被覆部53aと、被覆部53aの前側に一体形成され被覆部53aから垂下して裏地40の裏面6に例えば面ファスナ等で着脱可能に取り付けられるベロ部53bとを備えて構成されている。この突起部表地53は、実施の形態では、表地30と同様の合皮で形成されている。
【0030】
着脱機構54は、ベース体51に設けられるナット55と、ベース板10の上面11から下面12に貫通するボルト挿通孔56と、ボルト挿通孔56に挿通されてナット55に螺合するボルト57とを備えて構成されている。ナット55及びボルト挿通孔56は、挿通されたボルト57がベース板10の前後方向に移動可能になるように長孔に形成されている。また、裏地40のボルト挿通孔56に対応する位置には、穴部41が形成されている。
【0031】
取付部材60は、図1乃至図5及び図8乃至図13に示すように、本体1の後端4から後方に突出して設けられ間隙Wcに差し込まれて車椅子Wの座部Wa及び背もたれ部Wbに挾持されて保持される保持体61と、保持体61を本体1に止着する止着体62とを備えて構成されている。
【0032】
保持体61は、弾性変形可能な弾性部材を用いて棒状に形成されている。本実施の形態では、保持体61は樹脂パイプで形成されている。
【0033】
止着体62は、保持体61から延び保持体61の軸方向に平行な方向の表裏面を有した可撓性の帯状部材で形成され、本体1の裏面6に着脱手段63を介して着脱可能に止着されている。実施の形態では、この止着体62は、その一端部62aに保持体61を収納する袋部64が設けられ、この袋部64に樹脂パイプからなる保持体61が収納されている。
【0034】
着脱手段63は、面状ファスナ65で構成されている。詳しくは、この面状ファスナ65は、本体1の裏面6に設けられる一方ファスナ65aと、取付部材60の止着体62に設けられる他方ファスナ65bとを備えて構成されている。
【0035】
一方ファスナ65aは、本体1の前端3側の中央部に設けられている。この一方ファスナ65aは、図7に示すように、本体1の前端3から後端4に向けて延びる矩形状に形成され、所定間隔で複数設けられている。
【0036】
他方ファスナ65bは、止着体62の長手方向に沿う方向に延びる矩形状に形成され、止着体62の両端部に一対設けられている。
【0037】
このように構成される本体1を製造するときは、クッション部20内の空気を抜いて、表地30を被覆している。実施の形態では、支持シート17及び裏地40が通気性の素材で構成されているので、クッション部20を押圧すると、支持シート17及び裏地40からクッション部20内の空気が抜けていき、クッション部20をある程度圧縮させることができるので、表地30で被覆し易くすることができる。
そして、クッション部20内の空気を抜いて、隆起部23より内側のベース板10,クッション部20及び表地30の層の最大厚さHを、20mm≦H≦45mmに形成する。望ましくは、30mm≦H≦35mmに形成する。実施の形態では、H=30mmに形成している。
本体1には、予め上記の着脱手段63としての一方ファスナ65aを設けておく。
【0038】
また、取付部材60を製造するときは、帯状部材を適宜切断縫製して、一端部62aに袋部64を作り、その袋部64に保持体61としての樹脂パイプを収納して縫合する。この場合、袋部64に保持体61を収納するだけなので、取付部材60の製造が比較的容易に行なわれる。また、保持体61を樹脂パイプで構成したので、保持体61を比較的低コストで製造することができる。
また、製造時には、本体1と取付部材60とを夫々別途作成するので、一体に作成する場合に比較して製造が極めて容易に行なわれる。
【0039】
従って、この実施の形態に係る椅子用クッションCを車椅子Wに取り付けるときは、先ず、突起部50を適宜の位置で固定する。詳しくは、着脱機構54のボルト57を緩めてボルト挿通孔56に挿通させた状態でベース板10の前後方向にスライド移動させ、適宜の位置でボルト57を締めて固定する。この場合、着座する人の体型に対応して突起部50を取り付けることができる。
また、取付部材60を、着脱手段63により適宜の箇所に取り付ける。この場合、一方ファスナ65aが本体1に所定間隔で複数設けられているので、他方ファスナ65bを一方ファスナ65aの適宜の位置に取り付けることができ、そのため、取付部材60の左右位置を微調整することができるので、車椅子Wの座部Waの形状や間隙Wcの形状に対応した箇所に取り付けることができるとともに、着脱手段63が比較的簡易な構成である面状ファスナ65であるので、取付部材60の本体1への着脱を比較的容易に行なうことができ、それだけ、取り扱いが極めて容易になる。
【0040】
そして、図12及び図13に示すように、本体1を車椅子Wの座部Waに載置させるとともに、車椅子Wの座部Waと背もたれ部Wbとの間隙Wcに保持体61を差し込む。この場合、保持体61を差し込むだけなので、本体1を車椅子Wに比較的容易に取り付けることができる。また、保持体61は弾性部材で棒状に形成されているので、保持体61を間隙Wcに差し込みやすく、間隙Wcが狭く形成された車椅子Wであっても、保持体61が弾性変形して差し込まれるので、確実に保持体61を間隙Wcに差し込むことができる。
【0041】
この状態では、図13に示すように、保持体61は座部Wa及び背もたれ部Wbに挾持されて保持され、この保持体61が止着体62で本体1に止着されているので、本体1が車椅子Wに対して強固に固定される。また、止着体62が本体1の裏面6に止着されているので、車椅子Wの座部Waと本体1とによって止着体62が挾持されるようになり、そのため、止着体62を本体1に確実に止着させることができ、それだけ、本体1が車椅子Wに対して強固に固定される。更に、止着体62は可撓性部材なので、車椅子Wの座部Waの後端部にフィットするようになり、そのため、より一層確実に本体1を車椅子Wの座部Waに取り付けることができる。
【0042】
また、保持体61は本体1の後端4から後方に突出して間隙Wcに差し込まれるので、保持体61が車椅子Wの座部Wa及び背もたれ部Wbの間に埋もれるようになり、そのため、取付部材60が外観から見えにくくなり、それだけ、本体1を車椅子Wに取り付けた後の見栄えを向上させることができる。
【0043】
本体1を車椅子Wに取り付けた状態で、使用者は、本体1の座面2に着座する。このとき、座面2は、隆起部23によって、その後端縁部4a及び両側端縁部5が隆起しており、また、突起部50も左右両脚の大腿部間に臨むように座面2よりも高くなっているので、この隆起部23と突起部50とで囲繞された場所に、坐骨部及び大腿部が位置するように着座する。即ち、左右両脚の大腿部が突起部50を跨いで位置するように着座する。これによって、大腿部の左右へのズレを防止できるとともに前後へのズレも防止でき、そのため、着座位置がズレることを防止することができる。また、左右両脚の大腿部が突起部50を跨いで位置するようになるので、大腿部を確実に押さえて支持を安定させることができる。更に、左右両脚がやや開いた状態で着座するようになるので、着座姿勢を楽にすることができる。
【0044】
使用者が座面2に着座すると、坐骨部が坐骨孔13の位置に位置し、体重により坐骨部が坐骨孔13に入り込もうとする。また、左右両脚の大腿部が一対の凹所15の位置に位置し、体重により大腿部が凹所15に入り込もうとする。このとき、ベース板10の上面11側にはクッション部20が設けられており、坐骨部及び大腿部はクッション部20によって支持される。即ち、着座時では、クッション部20を介して、坐骨部が坐骨孔13に入り込み、大腿部が凹所15に入り込むので、坐骨部及び大腿部を夫々押さえて支持することができ、そのため、着座時の坐骨部及び大腿部の支持が安定する。この本体1は、クッション部20をある程度圧縮させているので、着座時のクッション部20の型崩れが抑制され、この点でも、着座時の坐骨部及び大腿部の支持が安定する。
【0045】
また、坐骨孔13及び凹所15をベース板10に形成してこれをクッション部20で覆っているので、クッション材に直接坐骨孔13及び凹所15を形成した場合と比較して、坐骨孔13及び凹所15の位置や形状が変化することがないことから、ガイドがしっかりしており、そのため、着座時の坐骨部及び大腿部の支持が安定する。この凹所15は、大腿部の付け根に対応する部分からベース板10の前端18側に向けて下り傾斜するように形成されているので、凹所15が大腿部に倣ってこれを支持することができ、大腿部をより確実に押さえることができるので、支持を安定させることができ、着座姿勢を楽にすることができる。
【0046】
更に、着座時に坐骨部及び大腿部を確実にクッション部20で支持することができるので、このクッション部20により着座時に坐骨部及び大腿部に掛かる負担が軽減される。従って、着座時における坐骨部及び大腿部での血流の阻害を最小限に抑えることができ、そのため、長時間着座しても疲労し難くすることができる。特に、坐骨部は、クッション部20と坐骨クッション16とで支持されるので、着座時における坐骨部での血流の阻害をより一層抑えることができ、そのため、長時間着座しても疲労し難くすることができる。また、長時間着座しても疲労し難いことから、常時正しい着座姿勢を保つことができ、そのため、着座姿勢が改善される等の姿勢矯正効果も得ることができる。
【0047】
更にまた、支持シート17で坐骨クッション16を支持しているので、坐骨クッション16が坐骨孔13から外れることを防止することができる。この支持シート17は網状に形成されているので、通気性が良く、そのため、坐骨クッション16を清潔に保つことができる。特に、支持シート17を伸縮性のある素材で構成した場合、この支持シート17の反発作用によって、坐骨クッション16がへたりにくくなり、そのため、クッションとしての機能を維持することができるとともに、長期的に使用することができる。
【0048】
また、着座時には、隆起部23が大腿部の外側と臀部とに当接するようになるので、坐骨部及び大腿部の支持がより一層安定し、坐骨部及び大腿部が前後左右に動こうとしても、これを規制することができる。また、坐骨部及び大腿部が前後左右に動こうとすると、大腿部が突起部50に衝突するが、この場合も、突起部50がクッション体52を用いて構成されているので、このクッション体52が衝撃を吸収し、そのため、大腿部に掛かる負担が低減される。更に、止着体62を本体1の裏面6に止着するので、着座時に止着体62が邪魔になることがなく、それだけ、使用感が向上する。
【0049】
本発明の椅子用クッションCは、本体1をベース板10を用いて構成しているので、繰り返し使用してもへたりにくく、クッションとしての機能を維持して、座り心地を維持することができる。また、突起部50もベース体51を用いて構成しているので、繰り返し使用してもへたりにくく、クッションとしての機能を維持することができる。
【0050】
また、使用時に取付部材60が劣化したり破損したりした場合、取付部材60だけを交換することができるので、取付部材60を本体1に一体形成した場合に比較して、取付部材60の保守が容易になる。
【0051】
また、突起部50をベース板10に対して着脱可能にしているので、突起部50がへたったり汚れたりした場合は、この突起部50を着脱機構54により取り外して他の突起部50を着脱機構54により取り付け、新しい突起部50と取り替えることができる。詳しくは、突起部50を取り付けるときは、ベース体51を、そのナット55をベース板10のボルト挿通孔56と対応させてベース板10に当接させ、その後、ボルト57をボルト挿通孔56に挿入し、ナット55に螺合させる。また、突起部50を取り外すときは、ボルト57とナット55との螺合を解除し、ボルト57をナット55及びボルト挿通孔56から取り外す。ボルト57をナット55に螺合,螺合解除するだけで良いので、比較的容易に突起部50の取り付け,取り外しを行なうことができる。
更に、本体1の前端3側、特に突起部50の前側は使用により擦れて劣化しやすいが、この場合、突起部50の突起部表地53を、被覆部53aとベロ部53bとを備えて構成しているので、ベロ部53bだけを新しいものに取り替えることができる。そのため、突起部50の保守が容易になる。
【0052】
また、着座時に坐骨部及び大腿部が前後左右に動こうとしても、本体1は取付部材60により車椅子Wに対して強固に取り付けられているので、車椅子Wの座部Waから本体1が前方にずれ落ちる事態を防止することができる。
【0053】
更に、本実施の形態のように、車椅子Wの座部Waに本体1を載せて使用する場合、本体1の厚さが厚いと、車椅子Wの座部Waに載せたとき、本体1の厚さで座高が高くなり、着座姿勢が不安定になって、坐骨部及び大腿部の血流の阻害が生じる等の問題があるが、本発明の椅子用クッションCは、ベース板10に坐骨孔13及び凹所15を形成しているので、クッション部20の厚さを薄く形成しても、坐骨部及び大腿部を確実に支持でき、そのため、クッション部20の厚さを薄くして、座高を低く抑えることができる。また、隆起部23より内側の最大厚さHを、20mm≦H≦45mmに形成しているので、本体1の厚さを適度な厚さにでき、座高を適度な高さにすることができる。即ち、車椅子Wの座部Waに本体1を載置して使用する場合でも、着座姿勢を安定させ、着座時における坐骨部及び大腿部での血流の阻害を最小限に抑えることができ、そのため、長時間着座しても疲労し難くすることができる。特に、肘掛け付きの車椅子Wの場合、座高が高くなると、肘が肘掛けに乗らずに浮いてしまい、着座姿勢を保持することが困難になるが、この場合も、本発明の椅子用クッションCは、クッション部20の厚さを薄くして、座高を低く抑えることができるので、着座姿勢を安定して保持させ、着座時における坐骨部及び大腿部での血流の阻害を最小限に抑えることができ、そのため、長時間着座しても疲労し難くすることができる。
【0054】
また、非使用時には、止着体62を着脱手段63により取り外し、取付部材60を本体1から取り外すことができるので、例えば、車椅子Wに用いない場合等に取付部材60が邪魔になることがなく、そのため、本体1を、例えば、座布団代わりに使用する等、種々に使用することが出来るので、それだけ、汎用性が向上する。
【0055】
尚、上記実施の形態において、椅子用クッションCを車椅子Wの座部Waに載置して使用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、座部Wa及び背もたれ部Wbを有し座部Waの後端部と背もたれ部Wbの下端部との間に間隙Wcが形成された車椅子Wであれば良く、適宜変更して差支えない。また、例えば、椅子用クッションCの下面に脚部を設け、椅子用クッションCを用いて形成される椅子としても良い。この場合、取付部材60を本体1から取り外すことにより、取付部材60が邪魔になることがなく、使用感を向上させることができるとともに、見栄えを向上させることができる。
【0056】
尚また、本発明に係る本体1は、上記実施の形態で用いたものに限定されるものではなく、着座時に坐骨部及び左右両脚の大腿部を支持するクッションを備えたものであれば良く、適宜変更して差支えない。例えば、周知の座布団等に、取付部材60を着脱手段63により取り付けても良い。
更に、本体1及び取付部材60を構成する素材は、上記のものに限定されるものではないことは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
C 椅子用クッション
W 車椅子
Wa 座部
Wb 背もたれ部
Wc 間隙
1 本体
2 座面
3 前端
4 後端
4a 後端縁部
5 両側端縁部
6 裏面
10 ベース板
11 上面
12 下面
13 坐骨孔
14 一般面
15 凹所
16 坐骨クッション
17 支持シート
18 前端
20 クッション部
21 メインクッション
22 サブクッション
23 隆起部
24 切欠き部
30 表地
40 裏地
41 穴部
50 突起部
51 ベース体
52 クッション体
53 突起部表地
53a 被覆部
53b ベロ部
54 着脱機構
55 ナット
56 ボルト挿通孔
57 ボルト
60 取付部材
61 保持体
62 止着体
63 着脱手段
64 袋部
65 面状ファスナ
65a 一方ファスナ
65b 他方ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部及び背もたれ部を有し該座部の後端部と背もたれ部の下端部との間に間隙が形成された椅子の当該座部に載置され取付部材を介して取り付けられる本体を備えた椅子用クッションにおいて、
上記取付部材を、上記本体の後端から後方に突出して設けられ上記間隙に差し込まれて上記椅子の座部及び背もたれ部に挾持されて保持される保持体と、該保持体を上記本体に止着する止着体とを備えて構成したことを特徴とする椅子用クッション。
【請求項2】
上記止着体を、上記本体の裏面に着脱手段を介して着脱可能に止着したことを特徴とする請求項1記載の椅子用クッション。
【請求項3】
上記着脱手段を面状ファスナで構成し、該面状ファスナを、上記本体の裏面に設けられる一方ファスナと、上記取付部材の止着体に設けられる他方ファスナとを備えて構成したことを特徴とする請求項2記載の椅子用クッション。
【請求項4】
上記保持体を棒状に形成し、上記止着体を上記保持体から延び該保持体の軸方向に平行な方向の表裏面を有した可撓性の帯状部材で形成したことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の椅子用クッション。
【請求項5】
上記止着体の一端部に上記保持体を収納する袋部を設けたことを特徴とする請求項4記載の椅子用クッション。
【請求項6】
上記保持体を弾性変形可能な弾性部材で構成したことを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の椅子用クッション。
【請求項7】
上記弾性部材を樹脂パイプで構成したことを特徴とする請求項6記載の椅子用クッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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