説明

椅子用流体制御システム

【課題】 最少の数の液圧回路制御構成で済む新規な椅子用流体制御システムを得る。
【解決手段】椅子アクチュエータ22,24と、流体を保持するレザバー44と、ポンプ42と、加圧流体を椅子アクチュエータ22,24に供給すると共に、流体をアクチュエータ22,24からレザバー44に復帰させ、ポンプ42をレザバー44、及びアクチュエータ22,24に作動するように連結する流体流回路は、アクチュエータ22,24から、レザバー44への流体の復帰を制御するよう選択的に作動する弁48,50と、ポンプ42−椅子アクチュエータ22,24間、及び椅子アクチュエータ22,24−弁48,50との間に連結された流体圧力アキュームレータ74,76と、椅子アクチュエータとアキュームレータとの間の回路に連結された流量制御弁54,56とを具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
上下動、及び傾動を行う椅子のように種々の作動を行う装置を作動させるのに使用する流体制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液圧駆動システム、即ち液圧制御システムは多数の作用を行うための多くの操作に使用されている。そのような例としては歯科用椅子のような動力で作動する椅子がある。このような椅子は加圧液圧流体システムによって作動し、このシステムには1個の液圧ラム、即ち液圧シリンダを作動させて、椅子を上昇させ、第2の液圧ラム、即ち第2の液圧シリンダを作動させて、椅子、又は椅子の一部を傾ける。過去、先行する多くの液圧駆動システムが開示されているが、それぞれ欠点を有している。
【0003】
若干の従来のシステムは駆動ポンプ、モータユニット、及び制御回路を使用して、駆動すべき物品を動かしているが、その運動は希望する程平滑でない。例えば、液圧作動椅子の場合、従来のシステムは余りにも早いか、余りにも遅い運動を発生し、多くのシステムは急激な始動作用と急激な停止作用を行うため、使用者にとって不快である。
【0004】
また、従来のシステムの構造はその機能を達成するために望まれるものに比較し、一層複雑で、高価である欠点がある。更に、従来の多くのシステムは好ましくない多数の作動弁を必要とするように製造され、破損や漏洩を生じ易い露出するホースや連結部を有するように製造されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は新規で、有効で、安価に製造し得る椅子用流体制御システムを得るにある。
本発明の他の目的はこのシステムによって作動する駆動される構成部分が平滑に作動する椅子用流体制御システムを得るにある。
また特に、本発明の目的は歯科用椅子のような椅子の昇降シリンダ、及び傾動シリンダを駆動するのに使用され、この椅子に座る人にとって快適な始動、停止、及び中間作動を提供し得る椅子用流体制御システムを得るにある。
【0006】
本発明の他の目的はシステム内の一方のシリンダに加圧流体を供給するにはポンプを一方向に作動させ、他方のシリンダに加圧流体を供給するにはポンプを反対方向に作動させ、椅子を上昇させるには椅子を傾けるより一層多くの動力を必要とすることに着目して、ポンプ用の電動機として、一方向に回転する時、反対方向に回転する時より一層大きなトルクを発生し得る電動機を使用し、椅子を上昇させるため、一層大きな出力トルクの方向にポンプを駆動し、椅子を傾けるため、小さな出力トルクの方向にポンプを駆動するようにし、加圧流体に実質的に脈動を生じない2方向クレセント歯車ポンプ、即ち内接式歯車ポンプを使用した椅子用流体制御システムを得るにある。
【0007】
更に本発明の目的は最少の数の液圧回路制御構成で済む新規な椅子用流体制御システムを得るにある。
また本発明の他の目的は複数個の孔を形成して有する一体の本体を有し、これ等の孔は本体の外面領域から内方に延びているが、本体を貫通しておらず、複数個の孔のうちの選択された孔は交差して、このシステムの流体供給回路、及び流体復帰回路に、希望する流体流チャネルを形成しており、この一体の本体は最少の機械加工操作で安価に製造でき、流体の漏洩も最少である椅子用流体制御システムを得るにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は上記の一体の本体の上記の孔のうちの選択された孔に作動可能に取り付けられ、このシステムの流体の流れを制御する弁組立体を具える椅子用流体制御システムを得るにある。
更に、本発明の他の目的は作動中、流体の加速作用を加減し、即ち調整するよう、流体の流れの始動を緩和する新規なクッション弁を具える椅子用流体制御システムを得るにある。
また本発明の目的は広範囲の作動状態にわたり、システム内の流体流量を有利に制御するように作動する新規な自己作動流量制御弁を有する椅子用流体制御システムを得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するため、座席と、バックレストとから成る上部構造を有する椅子の前記上部構造を第1流体作動シリンダによって、上下動し、前記バックレストを第2流体作動シリンダによって、傾けるようにした椅子に使用する流体制御システムにおいて、前記バックレストを傾けるため必要な流体圧力よりも、前記上部構造を上昇させるため前記第1流体作動シリンダを作動させるのに一層高い流体圧力を必要とする状態下に、第1流体作動シリンダに連結された第1流体供給回路と、前記第2流体作動シリンダに連結された第2流体供給回路と、前記第1流体供給回路、及び第2流体供給回路に作動可能に連結された2方向ポンプとを具え、前記ポンプを第1方向に作動させることによって加圧流体を前記第1流体供給回路に供給し、前記ポンプを反対方向の第2方向に作動させることによって加圧流体を前記第2流体供給回路に供給するよう構成し、前記第1方向に作動した時、反対方向の第2方向に作動した時より一層大きなトルクを供給し得る可逆電動機を設け、この電動機がその第1方向に作動する時、前記ポンプをその第1方向に駆動し、前記電動機がその第2方向に作動する時、前記ポンプをその第2方向に駆動するよう、前記電動機を前記ポンプに作動可能に連結したことを特徴とする。
【0010】
また、他の態様では、本発明はポンプから作動装置に加圧流体を導くための多数の流体供給回路と、前記作動装置から流体を復帰させる復帰回路とを有する流体制御システムにおいて、流体流路回路を形成すると共に、流体の流れを制御するため複数個の弁組立体を収容するための室を形成した一体の本体を具え、前記本体の外面領域から内方に延びるがこの本体を貫通していない複数個の孔を前記本体に形成して設け、前記複数個の孔の選択された孔を交差させて、このシステム内の前記流体供給回路、及び復帰回路内に希望する流体流チャネルを生ぜしめたことを特徴とする。
【0011】
本発明は加圧流体を使用して、椅子を上下させる流体制御システムにおいて、このシステムは自己作動流量制御弁を具え、この流量制御弁は室壁によって画成された室であって、この室の一領域の流体導入開口と、この流体導入開口から離間し前記室壁に貫通する流体送出ポートとを有する室と、前記流体導入口と流体送出ポートとの間に前記室内に移動するように設置された弁部材とを具え、前記流体送出ポートを通ずる前記室からの流体の流出を禁止するため、前記流体送出ポートから離間する第1位置から、前記流体送出ポートに隣接する第2位置まで移動するよう前記弁部材を押圧する流体圧力が作用するように、前記導入開口の方向に向くヘッドを前記弁部材に設け、更に前記流量制御弁は前記弁部材をその第1位置に変形して押圧するように作用する押圧装置を具えることを特徴とする。
【0012】
本発明は加圧流体を使用して椅子を上下させる流体制御システムにおいて、このシステムはクッション弁を具え、このクッション弁は室壁によって画成された弁室と、この弁室の一部に隣接する流体圧力導入口と、この流体圧力導入口から離間した領域内で前記室壁に貫通する流体送出ポートと、この流体送出ポートを通じて前記室から流体が流れるのを禁止するため前記流体送出ポートに隣接する第1位置と前記流体送出ポートを通じて前記室から流体がほぼ自由に流れるのを許容する第2位置との間に移動するよう前記室内に設置された弁組立体と、この弁組立体を前記第1位置に向け押圧すると共に、選択された圧力以上の圧力が前記流体導入口の領域からの流体によって前記弁組立体に作用した時、前記第2位置への前記弁組立体の移動を許容するように変形可能である押圧装置とを具えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は流体圧力で作動する椅子アクチュエータと、流体を保持するレザバーと、ポンプと、流体を前記レザバーから引き出して、加圧した流体を前記椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバー、及びアクチュエータに作動するように連結する流体流回路とを具え、前記流体流回路は前記アクチュエータから、前記レザバーへの流体の復帰を制御するよう選択的に作動する弁と、前記ポンプと前記椅子アクチュエータとの間、及び前記椅子アクチュエータと選択的に作動する弁との間の前記回路内に連結された流体圧力アキュームレータと、前記椅子アクチュエータと前記アキュームレータとの間の前記回路に連結された流量制御弁とを具えることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明は第1流体圧力作動椅子アクチュエータと、第2流体圧力作動椅子アクチュエータと、流体を保持するレザバーと、2方向ポンプと、前記ポンプが一方向に作動している時、前記ポンプにより前記レザバーから流体を引き出して、加圧した流体を前記第1椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記第1椅子アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバーと前記第1椅子アクチュエータとに作動するように連結した第1流体流回路とを具え、前記第1流体流回路は前記第1椅子アクチュエータから前記レザバーへの流体の復帰を制御するための第1選択作動弁と、前記ポンプと前記第1椅子アクチュエータとの間、及び前記第1椅子アクチュエータと前記第1選択作動弁との間で前記第1流体流回路に連結された第1流体圧力アキュームレータと、前記第1椅子アクチュエータと前記第1流体圧力アキュームレータとの間で前記第1流体流回路に連結した第1流量制御弁とを具え、更に、前記ポンプが前記一方向の反対方向に作動している時、前記ポンプにより前記レザバーから流体を引き出して、加圧した流体を前記第2椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記第2椅子アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバーと前記第2椅子アクチュエータとに作動するように連結した第2流体流回路を具え、前記第2流体流回路は前記第2椅子アクチュエータから前記レザバーへの流体の復帰を制御するための第2選択作動弁と、前記ポンプと前記第2椅子アクチュエータとの間、及び前記第2椅子アクチュエータと前記第2選択作動弁との間で前記第2流体流回路に連結された第2流体圧力アキュームレータと、前記第2椅子アクチュエータと前記第2流体圧力アキュームレータとの間で前記第2流体流回路に連結した第2流量制御弁とを具えることを特徴とする。
【実施例】
【0015】
まず、図1に、本発明流体制御システムによる液圧駆動システムを歯科用椅子10に使用している一状態を示す。この椅子は床14上に静止するようにしたベース12を有し、上部構造には座席部16と、背もたれ、即ちバックレスト18とを有する。伸長収縮ラム、即ち、昇降シリンダ22を有する昇降機構20に座席部16を取り付ける。このシリンダを伸長させると、即ち、シリンダのピストンロッドを突出させると、図1に実線で示す上昇位置に、椅子を上昇させる。シリンダを収縮させると、即ち、シリンダのピストンロッドを後退させると、図1に破線10aにて示す位置に椅子を下降させる。
本明細書中、シリンダの「突出」、又は「後退」と称するのはシリンダのピストンロッドを流体圧により、シリンダに対し、突出させ、又は 後退させることを意味する。
【0016】
バックレスト18を座席部16の後端に枢着し、傾動ラム即ち、傾動シリンダ24を有する傾動機構を作動させ、図1に実線で示すほぼ直立する位置と、破線10aにて示す後方傾動位置との間に、バックレスト18を傾ける。
【0017】
昇降シリンダ、及び傾動シリンダのための液圧駆動システムをベース12の切除部内に符号28によって示す。この液圧駆動システム28はモータ・ポンプ結合体32を有する基本駆動ユニットに液圧作動流体を供給するための流体供給タンク、即ち、レザバー30を有する。この供給タンク内の流体は以下に説明するベースマニホールド36の頂部の上方のレベルに保持される。
【0018】
図3、及び図4において、モータ・ポンプ結合体32はベースマニホールド36(本明細書中では「ベース」、又は「マニホールド」と略称することもある)を有し、その頂部に、可逆、即ち2方向電動機38を取り付ける。ここに説明する実施例で使用する電動機は交流電動機であるが、他の電動機でも使用することができる。クレセント歯車ポンプ組立体、即ち内接式歯車ポンプ組立体42をベースマニホールド36の底部に連結し、電動機38の軸110をベースマニホールド36に下方に貫通して、ポンプ42を駆動する。この歯車ポンプ、及びその組立体の構成部分を以下に一層、詳細に説明する。ベースマニホールドの下に流体保持タンク、即ち流体保持レザバー44を設け、レザバー30からの液圧流体をレザバー44に充填して、ポンプ42によって、レザバー44から汲み出し、昇降シリンダ22、傾動シリンダ24のような作動ラム、又はシリンダに供給し、動力を与えられる椅子の昇降機構、及び/又は傾動機構を作動させるために使用する。
【0019】
作動に当たり、バックレスト18を傾けるのに必要な動力よりも、椅子を上昇させるのに一層、多くの動力を必要とする。二方向に回転する電動機は一方向に回転作動する時、反対方向に回転作動するよりも一層多くの動力を供給することが可能である。従って、モータ・ポンプ結合体が椅子昇降エネルギーを供給するためには一層多くの動力、又はトルクを供給するように、モータ・ポンプ結合体をこのシステムに接続するのが好適である。
【0020】
このシステムの単純化した液圧図式線図を図2に示す。第1昇降ラム、即ち昇降シリンダ22の下端に、加圧流体を導入した時、椅子を上昇させるように、昇降シリンダ22を使用するように示している。椅子を種々に傾けるため、第2傾動ラム、即ち傾動シリンダ24を設ける。この傾動シリンダ24の下端に加圧流体を導入することによって、椅子を一方向に傾動させ、この加圧流体を解放した時、ばね、又は重力を利用して、傾動シリンダを後退状態に復帰させる。シリンダ22、24の他に、このシステムは上述した2方向電動機38、ポンプ42、及び流体保持レザバー44を有する。また、このシステムは1対のソレノイド作動弁48、50、流量制御弁54、56、クッション弁組立体60、62、及び一方向弁64、66、68、70を有する。更に、このシステムは1対の液圧アキュームレータ74、76、及び圧力リリーフ弁80、82を有する。
【0021】
操作者のタッチパッド、即ち足踏みスイッチ86を設け、次に一層詳細に説明するように、昇降シリンダ、及び傾動シリンダを希望するように作動させるため、電動機38、及びソレノイド48、50の作動を制御するよう、回路板88に足踏みスイッチ86を作動可能に接続する。
【0022】
複数個のフィルタ84をこの液圧回路に配置し、汚染物の除去を行い、このシステム内の液圧流体の清潔度を維持する。
【0023】
図2の線図に関連して記載するこの装置の作動を簡単に説明すれば、椅子を上昇させるため、シリンダ22を突出させることを希望する場合には、電動機38を一方向に作動させて、ポンプ42を作動させ、一方向弁、即ち逆止弁64を通じて、レザバー44から、液圧流体を引き出し、この液圧流体をポンプ42により汲み出して、その圧力を増大させる。更に、一方向弁、即ち逆止弁70、アキュムレータ76、流量制御弁56を通じて、昇降シリンダ22の下側、即ち下端にこの液圧流体を汲み出し、昇降シリンダ22を突出させる。逆止弁66、68は閉じたままである。これ等の構成部分、及び適切なコネクタは昇降シリンダのための流体供給回路を形成している。
【0024】
傾動シリンダ24を突出させることによって、椅子の傾きを変えることを希望する場合には、電動機38を反対方向に作動させ、ポンプ42を反対方向に作動させ、逆止弁68、ポンプ42を通じて、レザバー44から液圧流体を引き出し、逆止弁66、アキュームレータ74、及び流量制御弁54を通じて、加圧した流体圧力を傾動シリンダ24に達せしめる。逆止弁64、70は閉じたままである。両方のシリンダ22、24の作動中、ソレノイド弁48、50はこれ等のソレノイド弁に液圧流体が流れるのを禁止する図示の状態にある。従って、これ等のシリンダ22、24のいずれかから、レザバー44に液圧流体が復帰することがないように防止している。これ等の構成部分、及び適切なコネクタは傾動シリンダのための流体供給回路を形成している。
【0025】
昇降シリンダ22を後退させるには、ソレノイド作動弁50を作動させ、このソレノイド作動弁を通じて、矢印50aの方向に液圧流体を流す。椅子の重量(及び人が乗っていればその体重とも)により、流量制御弁56、アキュームレータ76、ソレノイド作動弁50、及びクッション弁組立体62を通じて、昇降シリンダ22から、液圧流体を流して、レザバー44に復帰させる。これ等の構成部分、及び適切なコネクタは昇降シリンダのための流体復帰回路を形成している。
【0026】
同様に、傾動シリンダ24を後退させることを希望する場合には、ソレノイド作動弁48を作動させ、このソレノイド作動弁48を通じて、矢印48aの方向に流体を流し、流量制御弁54、アキュームレータ74、ソレノイド作動弁48、及びクッション弁組立体60を通じて、レザバー44に流体を復帰させる。これ等の構成部分、及び適切なコネクタは傾動シリンダのための流体復帰回路を形成している。ばね、又は重力、及び人が椅子の上に居ればその体重が傾動シリンダに作用して、ソレノイド作動弁48を開いた時、この傾動シリンダから流体が流出する。
【0027】
破線94、98は流体復帰ラインを示しており、作動構成部分に連結されたシールを通じて漏洩する流体が、これ等流体復帰ラインを通じて、レザバーに自由に復帰することができる。また、この流体復帰ラインはシリンダを突出させる時、シリンダのロッド端から空気を移送するためでもある。ライン96は圧力が過大になった時、電動機軸のシールを通気させる。ライン92、100は以下に一層詳細に説明するように、アキュームレータ74、76の低圧側をレザバー44に連結する。ライン92、100の制御オリフィス93、101を通じて、アキュームレータ74、76の低圧側から流体をレザバー44に復帰させる。このシステムを以下に一層、詳細に説明しているので、一層、明らかであるが、これ等のオリフィスはこの液圧システムに付加的な緩衝作用を与える。図3〜図12においては、マニホールド36はモノリシック、即ち一体のブロックに複数個の孔、及びその他の開口を機械加工して設けている。ベース、即ちマニホールドのブロック36はその上側に形成された電動機収容空所104を有し、図11に示すようにこの空所内に電動機38を嵌合する。
【0028】
図11において、電動機38は固定子106と、回転子108とを有し、回転子108はこの回転子から懸垂する駆動軸110を有する。軸シール112を設け、取り付けの際、軸110の周りに嵌着する。
【0029】
マニホールドの本体に垂直に貫通する孔114を設け、この孔に軸110を通す。ポンプ組立体の構成部分を収容するよう、マニホールドブロック36の底に形成した浅い円筒孔、又は円筒空所118内に、軸110の下端を開口する。図9に明示するように、浅い孔118、及びこの浅い孔内に開口する電動機軸孔114は同心でなく、偏心しており、これ等の中心軸線はずれている。これは、以下に一層詳細に説明するように、歯車ポンプ装置42を収容するためである。
【0030】
図9に明示するように、1対の腎臓形の開口120、122を空所118の頂部に形成し、即ち機械加工し、これ等開口を空所118からマニホールドブロック36内に、上方に、僅かな距離、延長する。これ等腎臓形の開口はそれぞれ後方傾動用歯車ポンプ供給用腎臓形開口、及び昇降用歯車ポンプ供給用腎臓形開口と称されており、電動機軸孔114の両側に対称に配置されている。
【0031】
図4、及び図5において、ポンプ組立体42は4個の基本構成部分を有する。これ等の構成部分にはベース板126を含み、このベース板に直立セパレータクレセント128を取り付ける。このクレセントはいわゆる三日月形で、凹形の内側と凸形の外側とを有するほぼ半円形の形態である。ピニオン駆動歯車130はベース板126上に、クレセント128の凹形の内側に静止する。被動環状歯車132はクレセント128の凸形の外側の周りに、ピニオン駆動歯車130の周りに位置し、この被動環状歯車132の内方に向く歯車の歯はピニオン駆動歯車130の外方に向く歯に噛合する。組み立てる時は、図11に明示するように、空所118内に、クレセント128、駆動歯車130、及び環状歯車132を配置して、ベース板126をマニホールドブロック36の下側にボルト締めする。駆動歯車130は駆動軸110によって駆動されるように、駆動軸の下端にキー止めする。
【0032】
この組み立てられた歯車ポンプは腎臓形開口120、122の下にあって、空所118内に位置している。作動に当たり、2方向電動機を作動させることによって、電動機の駆動軸110にキー止めされた内側の駆動歯車130を2方向のうちのいずれかの方向に回転させる。内側の駆動歯車130の歯は被動環状歯車132の内方に向く歯に噛合していて、駆動歯車130が回転すると、被動環状歯車132を駆動する。導入口側と考えられる歯の間の空所が開くことにより、また排出側に移動する歯の噛合によって、液圧流体はこのポンプを通じて移動する。静止しているクレセント、即ち三日月形の部分はポンプの吸入部と、排出部とを分離している。このようなポンプは平滑に作動し、殆ど脈動のない流れを汲み出すことができる。このポンプ組立体が空所118内に収容されて、電動機軸110に取り付けられた場合、作動中、電動機、及びポンプを一方向に作動させることにより、加圧した流体を腎臓形開口120、122の一方内に指向させると共に、反対方向に作動させることにより、加圧した流体を他方の腎臓形開口に指向させる。
【0033】
マニホールドブロック36を一層、詳細に説明すれば、ブロック36はその一端から内方に延びる複数個のほぼ水平に、縦方向に配置された孔132、134、136、138、140、142を有する。図4、及び図5に明示するように、側孔144はベース36の側部から側方、内方に延びる。これ等の全ての水平に延びる孔132〜144はマニホールドブロックの関連する表面から内方に延びているが、ブロックの反対側に開口する程は完全に貫通していない。
【0034】
図9、及び図11に明示するように、垂直に延びる孔148、150はそれぞれ、腎臓形開口120、122から上方に延び、孔136、138にそれぞれ交差している。
【0035】
複数個のほぼ平行な、垂直に延びる孔154、156、158、160、162、164、166、168はマニホールドブロック36の上側に開口している。また、この場合も、これ等の垂直に延びる孔はマニホールドブロック36の関連する表面から、内方に延びているが、反対側まで、ブロックに完全に貫通していない。
【0036】
図5、及び図9において、ブロック36の下側に、複数個の垂直に延びる孔170、172、174、176、178、180を形成する。この場合も、これ等の孔はマニホールドブロック36の関連する表面から内方に延びているが、ブロックの反対側まで、ブロックを完全に貫通することはない。
【0037】
マニホールドブロック上の所定位置に電動機を保持するためのボルト、即ちねじを取り付けるため、及び以下に一層詳細に説明するように、マニホールドブロックの下側に他の組立体の部片をボルト締め、即ちねじ止めするため、複数個の垂直に延びる孔をマニホールドブロックの底部と頂部とに設ける。
明らかなように、これ等の孔のうちの数個はこの組立体に他の素子を連結するためのねじを有する。
【0038】
上記の水平に配置された孔と、垂直に配置された孔とのうちの選択された孔を交差させることによって、マニホールドブロック内に流体流回路を設ける。図11に明らかなように、腎臓形開口120は垂直な孔148に交差しており、孔148は水平な孔136に交差している。同様に、腎臓形開口122は垂直な孔150に交差しており、孔150は水平な孔138に交差している。図12、及び図13において、孔136は垂直な孔160に交差しており、孔138は垂直な孔162に交差している。
【0039】
図12、及び図14(A)において、垂直な孔158はブロック36の一端に隣接する水平な孔134に交差し、更に、垂直な孔158はその一層中心部で垂直な孔170に交差している。この垂直な孔170はブロックの底に開口している。同様に、垂直な孔164はブロックの一端の近くで、水平な孔140に交差しており、この孔140はブロックの一層中心部において、垂直な孔172に交差しており、この孔172はブロックの底に開口している。
【0040】
図12、及び図13において、水平に配置された孔132はブロックの一端に隣接する垂直な孔154、156に交差し、更に、この孔132はブロックの一層、中心領域で、水平なインフィード孔144、及び垂直な孔170に交差しており、この孔170はブロックの底に開口している。同様に、ブロックの一端に隣接して水平に配置された孔142は垂直な孔166、168に交差し、ブロックの一層、中心の領域で、垂直な孔178に交差している。この孔178はブロックの底に開口している。
【0041】
図4、図5、及び図15において、ボール逆止弁64、68の構成組立部片を一層詳細に示す。ボール逆止弁はばね184、ボール186、及び弾性Oーリングシール188を有する。ばね、ボール、及びOリングを有する一組立体を孔176、178の一方に挿入し、他のばね、ボール、及びOリングの組立体を他方の孔に挿入する。図15に明示するように、付加的な逃げ190を各孔の口部に機械加工し、その関連するOリングを収容する。このボール逆止弁組立体をそれぞれの孔内に挿入した時、貫通する1対の流体流通孔194、196を有するカバー板192をマニホールドブロック36の下側に複数個のねじ198によって、ねじ止めする。これ等のねじ198は板192の収容孔に貫通し、マニホールドブロック36の下側のねじ孔に螺着される。この取り付けた逆止弁組立体を15図に示す。
【0042】
マニホールドブロック36の底側に、歯車ポンプ組立体42、及び逆止弁組立体64、68を取り付けた後、図15に符号200で示す複数個のねじを使用して、円形の浅いパン、即ちレザバー44をマニホールドブロックの下側に取り付ける。孔170、172、174、176、178、180、及び空所118を取り囲めるよう、このレザバーの直径は十分大きい。これ等の孔は全てマニホールドブロックの下側に開口しているので、これ等の孔はこのレザバーに連通する。
【0043】
前に説明した流体供給レザバー、又はタンク30はホース連結部202(図3参照)を通じて、この組立体に作動するように連結する。このホース連結部202はマニホールドブロックの一側の孔144を通じて、孔132内に液圧流体を流し、次に、ブロックの底の孔170を通じて、レザバー44内に液圧流体を排出する(図13参照)。このようにして、このシステムに使用するため、利用できるよう、液圧流体はレザバー44内に自由に流入する。使用中、流体供給タンク30内の液圧流体はベースマニホールド36の頂部の上方のレベルに維持される。従って、レザバー44に直接連結されたこれ等の孔、及び組立体に、及びこれ等の孔、及び組立体の少なくとも一部に流体を供給することができる。これ等には例えば孔132、142、134、140、136、138、及びポンプ組立体42の部分が含まれる。このようにして、流体は電動機軸孔114を軸のシール112のレベルまで充満し、電動機軸を潤滑する。
【0044】
図3において、1対の液圧継手206、208をそれぞれ孔154、168のねじ付き外端部にねじ込む。これ等の継手はそれぞれ傾動シリンダ24、及び昇降シリンダ22に連結する液圧管、即ち液圧ホース210、212のための連結部となる。
【0045】
図13において、孔136内に傾動シリンダ逆止弁66を取り付け、昇降シリンダ逆止弁70を孔138内に取り付ける。逆止弁66、70は構造が類似しているので、一方のみを詳細に説明する。
【0046】
各逆止弁(66、70)はめねじを有する関連する孔内にねじ込むことができるおねじを有する円筒形逆止弁座部材216を有する。この弁座部材は縦方向に貫通する中心孔218を有する。孔218の内端領域218aは六角形であり、六角スパナによって、この弁座部材を回転することができ、関連する孔内にこの弁座部材をねじ込み、又は関連する孔から除去することができる。孔218の反対端218bは一層大きな円筒形横断面を有する。円錐形の弁座218cはこの孔の領域218a、218bの間に延在する。
【0047】
弁座218cに対し、孔218内で縦方向に移動するようシール組立体を取り付ける。このシール組立体は細長いステム220と、拡大ヘッド220aとを有する。このヘッド220aと弁座218cとの間にOリング222を介挿し、両者間にシール作用を生ぜしめる。逆止弁ばね224は変形して、逆止弁70について図示された閉塞位置に、この逆止弁組立体を押圧し、弁座218cに圧着しているOリング222に、ヘッド220を堅く押圧する。Oリングシール228を有する孔136のねじ付き外端内に、ねじ込んだねじ付きプラグ226によって、孔136の外端をシールすると共に、ばね224の一端の止めにもなるようにする。孔218の端部218aに流入する圧力流体は逆止弁組立体に作用し、ばね224の力に打ち勝ち、この弁を開き、加圧流体はこの弁から外方に流れる。ばね側の拡大ヘッド220aに加わる圧力流体は逆止弁をシールするように作用する。
【0048】
なお図13において、アキュームレータ74、76を非常に詳細に示す。これ等アキュームレータはその構成がほぼ類似するので、一方のみを詳細に説明する。アキュームレータ76はピストン体、即ちプランジャ234を有し、このプランジャ234はその周りに延在するU字状シール236を有する。このピストン体、及びシールは孔142内に摺動可能に取り付けられており、ばね238は変形して、ピストン体を孔142の外端に向け押圧する。アキュームレータ74に関連する孔132内のばね239はばね238より短く、押圧力が相違する。
【0049】
圧力リリーフ弁組立体82をピストン体234内に取り付ける。同様の圧力リリーフ弁組立体80を孔132内のアキュームレータ74のピストン体内に取り付ける。圧力リリーフ弁組立体82はOリング248を有する弁座246に向け、ばね244によって押圧される逆止弁素子242を有する。ばね238、244によって作用するばね力は相違する。ばね244によって抵抗し得る圧力を越える圧力の迅速な上昇がピストンヘッドに加わった場合には、逆止弁素子242は弁座246から離れて動き、ピストン体234を通じて、圧力流体を釈放し、孔178を通じて、この圧力流体をレザバーに逸出させる。これ等の構成部片は孔142内に摺動可能に収容されており、Oリングシール252を有する孔142のねじ付き端部に、ねじプラグ250をねじ込み、孔142の端部をシールし、内部の構成素子を保持する。
【0050】
図13には詳細に示さないが、孔170、178はそれぞれ選択された寸法の制御オリフィス93、100を保持することができ、孔132、142から、レザバー44に流体を制御された状態で復帰させる。
【0051】
図16において、自己作動流量制御弁54、56をそれぞれ垂直な孔154、168内に取り付ける。これ等流量制御弁は類似しているので、一方のみを詳細に説明する。底端が閉じ、上端が開いた細長い円筒コップ状の本体256を孔168内に収容する。Oリングシール258によって本体256と孔168との間の空間をシールする。図面から明らかなように、Oリングシール258より下の本体256の主要部は孔168より直径が小さいので、そこを経て、流体が流れる。上端に流体制御オリフィス262を有する円筒スプール260を本体256の内面に密接して、摺動可能に取り付ける。スプール260はばね264によって保持リング266に向け、屈撓するように上方に押圧される。流量制御弁56について示した位置に示すように、スプール260が保持リング266に接触している時、スプール260の下端に隣接して、本体256の少なくとも一側に側孔268が貫通している。
【0052】
孔154内における流量制御弁54と同様、流量制御弁をその関連する孔168内に摺動可能に挿入し、次に、液圧継手206、208を孔154、156のねじ付き外端部にねじ込み、この継手によって流量制御弁をその孔内に保持する(図3参照)。
【0053】
図16に示すように、孔168の下端を水平孔142に流体連通させる。孔142を通じて圧力流体を孔168に供給し作動流体をシリンダに指向させた時、この流量制御弁は流量制御弁56について図示した位置を占める。流体は孔142から、孔168内に入り、更に、側孔268を通じて、スプール260、オリフィス262に達する。このオリフィス262はこの流量を制御する。
【0054】
流体がシリンダから復帰する時、流体は復帰プロセスの始めは一層高い圧力にあり、従って、このような弁組立体を通ずる流体の流量を付加的に制限することが必要である。この目的のための流量制御弁の作用を図16の右側に流量制御弁54の作用として示している。この場合、孔154の頂部に入る一層高い圧力の流体(本発明によらなければこの流体は余りにも早い流速でシステム内に流れるはずであるが)はスプール260の頂部表面に力を加えるから、スプール260はばね264を圧縮し、スプール260は下方に摺動し、側孔268の少なくとも一部を閉じる。これにより、シリンダから復帰する流体の流れに対して、一時的に制限を追加する。最初の過剰な圧力上昇、又は過剰な流量が幾分か正常値に向け戻った後、スプール260は再び僅かに上方に押圧され、側孔268を一部、開き、スプールの上部オリフィス262を通ずる制御された流量を生ずる。この特定の流体の流量は制御オリフィス262の直径と、ばね264の強さとによって主に決定される。本体256とスプール260との間の嵌合の公差、スプール260の長さ、及び側孔268の位置、及び寸法もこの弁装置の機能に作用を及ぼす。
【0055】
図14(A)において、クッション弁組立体60、62をそれぞれ孔134、140内に収容する。これ等クッション弁組立体はほぼ同一なので一方のみについて詳細に説明する。クッション弁組立体60は孔134内に摺動可能に取り付けられた細長い、ほぼ円筒形のプランジャ、又は円筒素子274を有する。プランジャ274の閉端は孔134の外端に向け指向している。中空内孔276はプランジャの主要部に貫通し、プランジャの反対端に向け開口している。孔134の閉じた内端とプランジャ274との間に介挿されたばね278は変形してプランジャ274を孔134の外端に向け押圧する。下端に開口284aを有する保持スリーブ284と、円錐形弁座282との間に、孔276内に、逆止弁ボール280を収容する。スリーブ284はその一側に沿って、284bに示すように開口しており、スリーブを経て、流体を通過させる。弁座282に接触する閉塞位置(弁組立体62について示してある)と、弁座282から離間する開放位置(弁組立体60について示してある)との間に、ボール280に加わる流体圧力の作用を受けて、ボール280は孔276内で自由に動くことができる。横孔288は弁座282の前方で、プランジャ274の壁に貫通する。
【0056】
プランジャ274は図14(A)、(B)、及び(C)に示す細長い円筒形の形態を有する。274a、274bに示すように、前端の両側を最前端に向け、徐々に内方に斜めにする。これ等の斜めの側面はプランジャの縦方向の中心部まで延びる。プランジャの前部の残りの部分は斜めの側面274a、274bの間でほぼ円筒形の形態を有し、この孔内でのプランジャの移動中、プランジャ274と、その関連する孔134との間が良好に摺動接触し、一線に掛合する。クッション弁62について示してある位置から、クッション弁60について示してある位置まで、プランジャがシフトする際、斜めの側面は孔134から孔170に流体の流通路を徐々に開く。
【0057】
プランジャ274は孔134の壁に対して緊密に閉じ込められておらず、即ち緊密にシールされておらず、従って、以下に一層、詳細に説明するように、種々の目的のため、若干の流体はそこから漏出する。
プラグ290を孔134、140の外端にねじ込み、孔とプラグとの間のOリングによって、これ等の孔の外端をシールする。
【0058】
それぞれ交差する孔170、172に隣接して、それぞれの孔134、140内にクッション弁組立体60、62を摺動可能に取り付ける。これ等クッション弁のプランジャはクッション弁組立体62について示した閉塞位置と、クッション弁組立体60について示した開放位置との間に、それぞれの孔内に、圧力の作用を受けてシフトすることができる。それぞれのプランジャ274は関連する孔134、140の横断面の形態に密接に補足し合う横断面の形態を有する。休止状態においては、孔134、140、170、172は供給タンク30に保持される液圧流体のレベルより下にあり、従って、クッション弁組立体60、62の構成部分は液圧流体内にある。液圧流体はプランジャ274の背後の空間、及びばね278の領域内に充満している。
【0059】
プランジャ274と、その関連する孔との間には僅かな間隙があって、密接して摺動するように両者は嵌着している。例示の実施例では、孔の直径は約6.35mm(0.250インチ)±0.0127mm(0.0005インチ) であり、プランジャの直径は6.30mm(0.248インチ) で、その公差はプラス側に0.025mm(0.001 インチ) 、マイナス側に0.000mm である。このような例示のシステムに使用する液圧流体、即ち油はUnocal Unax AW Grade 46 である。孔134、140内の復帰流体の圧力がプランジャ274のヘッドに作用する時、ばね278の領域からの流体がプランジャの壁と孔の壁との間から徐々に漏出し、送出ポート(170、172)内に出るから、組立体60のプランジャについて示した後退位置まで、プランジャは動く。
【0060】
孔134、140内の流体圧力が正常に戻った時、組立体60について図示した位置にあるクッション弁組立体のプランジャはばね278の押圧力を受けて、その突出位置に向け復帰し始める。ばね278の作用を受けて、プランジャが前方に動く時、プランジャの背後の空間はこの空間を満たす十分な液圧流体が不足している。孔134、170内に残っている流体は横孔288を通って流れ、プランジャ内の逆止弁ボール280を開き、ばね278によって、プランジャの背後の空間が伸長するにつれて、この空間内にこの流体は流入する。従って、弁組立体62について示す位置までプランジャが復帰すると、このプランジャの背後の空間は再び液圧流体で満たされる。この逆止弁はクッション弁の応動性を加速する。
【0061】
図3、図12、及び図17において、1対の電気作動ソレノイド弁48、50をマニホールドブロック36の頂部に取り付ける。ソレノイド弁48は孔156、158、160の上方にあり、ソレノイド弁50は孔162、164、166の上方にある。ソレノイド弁アダプタ294、296をその関連するソレノイド弁と、下にあるマニホールドブロックとの間に介挿する。それぞれの組のソレノイド弁及びその下にあるアダプタは同一なので、1組のソレノイド弁、及びアダプタのみを詳細に説明する。
【0062】
ソレノイド制御弁48、50はほぼ類似する。図12に明示するように、孔158と、それに隣接する孔156、160との間の流体の流れを制御するよう、ソレノイド制御弁48を位置させる。同様に、孔164と、それに隣接する孔162、166との間の流体の流れを制御するようにソレノイド制御弁50を位置させる。各ソレノイド制御弁はそれぞれベースアダプタ294、296に関連している。ねじ付き孔158、164の1個にアダプタをねじ込んだ時、アダプタ内の第2オリフィスは隣接する孔と一線をなす。詳細には図示しないが、ソレノイド制御弁はばね押圧プランジャを有する。このプランジャは平素、閉じており、即ちその関連するアダプタ内の孔の頂部に着座し、ここに流体が流れるのを防止している。このソレノイドを作動させると、プランジャは上昇して、流体の流れを許容する。
【0063】
図17〜図20において、アダプタ294は一体の本体を有し、この本体は関連する孔158のねじ付き上端内にねじ込めるようにしたねじ付き下部突出部298を有する。中心孔300はアダプタを垂直に貫通して、突出部298の中心に開口し、めねじ付きソレノイド収容空所302の中心に開口している。孔300の一部300aの寸法を選択して、ここに通る流体流量を制御する。孔300、及び孔の一部300aの横断面は流量制御弁組立体54、56のオリフィス262より一層大きくすべきである。これにより、弁組立体54、56はオリフィス300、300aが一層小さければなし得ない意図した機能を遂行する。
【0064】
円周チャネル304を本体294の下側の周りに延在し、本体36の両方の孔156、160の上端の上方にあるように円周チャネル304を位置させる。傾斜孔、又は側孔306によって、孔300の上端の一側にずれた領域の空所302にチャネル304を連結する。図17に明示するように、2個の付加的な一層小さい環状チャネル310、312をチャネル304に同心にし、この環状チャネル310、312にOリング314、316をそれぞれ収容し、アダプタ294と、ベース36との間をシールする。
【0065】
ねじ付き凹所302内にねじ込むことによって、アダプタ294の頂部にソレノイド48を取り付けて示す。垂直にシフトできるプランジャ320はこのソレノイドの作動によって制御される。孔300の頂部を閉じている図17に示すような平素の閉塞位置にプランジャ320はシフトすることができる。ソレノイドを作動させた時、プランジャ320は孔300の頂部から上昇し、孔300と傾斜孔302、306との間を流体連通させる。環状チャネル304を通じて、孔156、160は常に相互に連通していることは明らかである。
【0066】
ここに記載する実施例の作動を説明すれば、図1に示すように椅子は最初はその降下した位置にあって、破線10aに示すほぼ直立した位置にある。この位置では、昇降シリンダ22は後退した状態にあり、傾動シリンダ24は突出した状態にある。椅子を上昇させるためには、操作者はタッチパッド86の「上昇」ボタンを押し、これにより、回路板88に信号を送信し、この信号により電動機38を適切な方向に回転させて、ポンプ42を作動させ、シリンダ22を上昇させるための加圧流体を発生する。流体をレザバー44から引き出して、逆止弁64、ポンプ42、逆止弁70を通じ、アキュームレータ76を経て、流量制御弁56、及び他のフィルタ84を通じて、流体をラム、即ちシリンダ22の下端に送り、椅子を上昇させる。アキュームレータ76はシリンダの運動開始、及び停止の両方において、圧力流体の流れを加減し、即ち調整する。このアキュームレータとアクチュエータ、即ちシリンダ22との間の流体供給回路内に流量制御弁56を配置した場合、この制御弁56とアキュームレータとは共に作用して、いかなる流体圧力の急上昇をも加減し、調整する。更に説明すれば、最初の流体圧力の急上昇がポンプ42によって生じれば、そのような急上昇は弁56の制限オリフィスによって阻止され、アキュームレータ76のために、この圧力急上昇を吸収する時間が与えられる。上昇した椅子は図1に実線で示されている。
【0067】
図1に破線10bにて示す位置に椅子を後方に傾けるためには、図2において、操作者はタッチパッド86の「バックレスト傾斜」のボタンを押し、回路板88に信号を送信する。これにより回路板を通じて信号を送り、ソレノイド制御弁48を開く。次に患者の荷重、及びばね、又はシリンダに連結されたばねの作用により、流体はシリンダ24から復帰し、加圧された流体は開いたソレノイド制御弁48を通じて、レザバー44に復帰する。加圧流体が復帰する際、流量制御弁54、アキュムレータ74、及びクッション弁60は流体の流れを加減し、制御し、以下に一層詳細に説明するように、患者にとって快適な椅子の「作用」を生ずる。また特に、流体の復帰の始めに、主に流量制御弁、及びクッション弁によって、流体の流れの加減、即ち調整が得られる。流体の復帰が止む時、ソレノイド制御弁を閉じることにより、運動の終わりの流体の流量の調整はアキュームレータと流量制御弁との結合作用によって主に得られる。
【0068】
図2において、昇降シリンダを後退させるためには、タッチパッドの「下降」ボタンを作動させ、信号を回路板に送り、ソレノイド制御弁50を開く。椅子の関係者、及び/又は椅子自体の重量によって生ずる圧力を受けて、流体はシリンダ22から復帰する。流体がシリンダ22から、ソレノイド制御弁50を通じて、レザバー44まで流れるから、流体の運動、従って、更に、シリンダ、及び椅子の運動は以下に一層詳細に説明するように、流量制御弁56、アキュームレータ76、及びクッション弁62の作用によって、加減され、即ち調整される。また特に、流体の復帰の始めには、流体の流れの加減、即ち調整は流量制御弁、及びクッション弁によって、主に生ずる。流体の復帰が止んだ時、ソレノイド制御弁を閉じることにより、運動の終わりの流体の流量の加減、即ち調整はアキュームレータ、及び流量制御弁の結合作用によって主に生ずる。
【0069】
図1に破線10bで示すバックレストの傾動位置から、実線で示す位置に復帰させるためには、操作者はタッチパッド86の「傾動復帰」ボタンを押す。これにより、電動機38を適切な方向に回転させ、ポンプ42を作動させて、加圧流体を傾動シリンダ24に供給する。流体をレザバー44から引き出し、逆止弁68、ポンプ42、逆止弁66、アキュームレータ74、流量制御弁54を通じて、ラム、即ち傾動シリンダ24の下端に流体を送る。アキュームレータ74は圧力流体の最初の流れを加減し、即ち調整し、その作動を平滑にする。アキュームレータ76と流量制御弁56との作動について前に説明したように、流量制御弁はこの流れを加減し、調整する作用を助ける。上述の図2につき説明した線図とは異なり、図13〜図17の実施例の物理的な構造においては、昇降シリンダ22への流体の供給と復帰とを制御するための作動素子はシリンダ22が突出もせず、後退もしていない休止状態に示している。これ等の図面においては、このような組立体は閉じている逆止弁64(図15参照)、逆止弁70(図13では閉じている)、アキュームレータ76、及びその圧力リリーフ弁80(図13参照)、流量制御弁56(図16参照)、及びクッション弁62(図14参照)に関連している。ピストン体234の実際の位置は椅子の位置によって、従って、ピストン体に作用する流体の圧力によって、若干、後退している。
【0070】
昇降シリンダの制御回路の側における弁組立体の作動も、傾動シリンダの場合とほぼ同一であるから、このような弁組立体の作動状態を傾動シリンダ24の作動に関して、最初に説明する。
【0071】
図11、図13、及び図15において、傾動シリンダ24を突出させるように流体を供給する回転方向に、電動機38、及びポンプ42を作動させると、逆止弁68を通じて、レザバー44から流体を引き上げる。逆止弁68においては、図15に示すように、ばね184の押圧力に抗して、ボール186をOリングシール190から離し、流体は孔178を上昇して、孔138内に入る。次に、流体は孔150を通じて、腎臓形開口122内に下方に流入して、クレセント歯車ポンプ組立体42の作用を受ける。このポンプ組立体は一層高い圧力の流体を腎臓形開口120を通じて、汲み出し、孔148を通じて、水平孔136に入れる。このようにして、水平孔136に供給された圧力流体は図15に示すように、ボール逆止弁64を閉塞して保持し、図13に示すように、逆止弁組立体66を開く。逆止弁組立体66が開いていて、ヘッド220a、及びシールリング222が座218cが離れている場合、流体はアダプタ294(図17に示すように)の環状チャネル304の下方の垂直孔160を通じて、上方に流れ、孔156を通じて、下方に、孔132内に流れる。アキュームレータ74のピストン体の実際の最初の位置は患者の体重、及びバックレストの位置(ばねで負荷を受ける)によって、僅かに圧縮されているばね239によって、若干、後退している。付加的なピストンの移動は流体の最初の急増の結果である。加圧流体がアキュームレータ74のピストン234の圧力側の孔132に入ると、この加圧流体はばね239の変形による押圧力に抗して、ピストンの低圧側と考えられている側に、ピストンを後方に動かす。これにより、傾動シリンダ24に向け動く加圧流体の最初の急激な増加を加減し、調整する。
【0072】
ピストン234の低圧側(ばね239の側)の孔132は平素、流体で充満しているから、このような流体の一部は強制的に孔170を通じて、孔132から、レザバーに復帰する。
【0073】
圧力リリーフ弁82も加圧流体を解放して、この圧力リリーフ弁に通して、加圧流体を動かし、アキュームレータのピストン体の圧力側から低圧側に流す。供給された流体の圧力がこの圧力リリーフ弁82によって制御される圧力より一層高ければ、この流体を孔170から、レザバーに戻す。
【0074】
アキュームレータを過ぎて移動する流体は(図13、及び図16に明らかなように)孔154に入り、流量制御弁54に入る。この流体はサイドポート、即ち、孔268を通じ、スプール260のオリフィス262に流れ、ここから、傾動シリンダ24に向け流れる。流体が傾動シリンダに向け流れている時、流量制御弁54は図16に、弁56について示す位置にある。ポート、即ち孔268はそこを流体が流れるように開いており、その流量はスプール260の端部のオリフィス262の寸法のみによって制御される。アキュームレータと流量制御弁との調整作用は椅子の使用者にとって、快適な傾動速度を生ずる。
この作用を通じて、ソレノイド制御弁48、50は閉じたままである。また、逆止弁64、70も閉じたままである。
【0075】
このシステムを作動させ、シリンダ22を突出させて、椅子を上昇させるためには、流体をレザバー44から上方に引き上げて、ボール逆止弁64を通じて、水平に配置された孔136内に流し、孔148を通じて、腎臓形開口120内に入れる。このようにして、歯車ポンプに送給された流体は加圧されて、腎臓形開口122を通じて、孔150、及び水平に配置された孔138内に汲み出される。これにより、ボール逆止弁68を閉じ、孔138内の逆止弁70を開く。流体は孔162を通じて上方に流れ、ソレノイドアダプタの環状チャネル304を経て、垂直孔166を通じて、下方にアキュームレータ孔142内に入り、アキュームレータピストン234に衝撃を与える。以前にアキュームレータピストン74について説明したように、このアキュームレータピストンはそのヘッドの一側に加わる流体圧力、及びばね238の作用を受け、更に、反対側の孔142内の流体の作用を受けて、孔142の縦方向にシフトし、流体圧力の急上昇を加減し、調整する。次に流体は孔142から垂直孔168内に入り、流量制御弁56を通じて、昇降シリンダに入る。昇降シリンダに流体を供給する回路内の弁、及び弁組立体は傾動シリンダに流体を供給する回路につき説明した弁、及び弁組立体の作動に類似する。
【0076】
傾動ラム24のような傾動シリンダを後退させるには、プランジャ320(図17参照)を上昇させることにより、ソレノイド制御弁48を開く。これにより流体を傾動シリンダ24から流出させ、このシリンダ24を後退させる。圧力が加わる流体は最初、流量制御弁54内に流入する。最初の高い圧力流体の急激な増大はスプール260のヘッドに衝撃を加え、図16に示すように、ばね264の変形による押圧力に抗して、スプール260のヘッドを押圧して、下方に動かす。スプールの下端は側孔268の一部を覆うから、この弁に通る流体の流れの流量に対する付加的な制御を行うことができる。
【0077】
最初の流体の急激な増大後、スプール260はスリーブ256内で安定した状態に達し、流体は制御された流量で、ここから外方に、アキュームレータの孔132に流れ、ここで、流体の圧力、及び流量に対する付加的調整が行われる。
【0078】
流体はアキュームレータの孔132から上方に、孔156を通じて、チャネル304の周りに流れ、孔306に達する。この時点で、逆止弁66は閉じているので、この流体の唯一の逸出流体はアダプタの孔300の上端(プランジャ320を上昇させることにより孔300は開いている)を経て、孔300、及び158を経て下方に流れる。図12、及び図14(A)に明示するように、孔158は水平に配置された孔134に交差している。ここに流れる流体はクッション弁62について図14(A)の左側に示す位置に最初位置しているプランジャ274のヘッド端に衝撃を加える。孔134内の加圧流体はばね278の押圧力に抗して、プランジャを後方に押圧するから、プランジャの背後のばね278の領域内に捕捉されている流体はプランジャの周縁の周りに外方に漏出し、レザバーまで達する流体復帰孔170を通じて流出する。プランジャのストロークの長さと、プランジャと孔の壁との間の密接する嵌合とに基因し、このプランジャを通っての流体の漏出は限定されたものに過ぎず、従って、シリンダの後退の始めに、急激な後退を緩和するクッション作用を生ずる。最終的には、プランジャ274の背後の領域から、十分な流体が漏出し、図14(A)の右側に、このプランジャのために示した位置にプランジャが達すると、孔134からの流体の流れのため、孔170の大部分を露出する。
【0079】
ソレノイド弁48が閉じている時、孔134内の流体圧力は減少し、プランジャ274はばね278の作用を受けて、孔134と、ソレノイド制御弁との間に閉じ込められた流体に抗して、前方に押圧される。このことが発生した際、流体はプランジャの後側から絞り出されているので、ばね278の作用を受けて、プランジャ274が前方に移動するにつれて、ばね278の区域に一層低い圧力を生じ、孔134、及び170内の流体を横孔288に進入させ、ボール280を座から離し、再び、プランジャの背後の空間を流体で充満し、次の復帰サイクルのためのクッション作用、即ち急激な作用に対する緩和作用を生ずるための位置にプランジャを位置させる。このことは迅速に発生するから、傾動運動は迅速であり、タッチパッドの速やかな付勢に応動する。
【0080】
昇降シリンダ22の後退も多くの点で同様に達成することができるが、この場合はソレノイド制御弁50を開き、流量制御弁56、アキュームレータ76、及びクッション弁62によって得られるクッション作用、及び流量制御を行う。
【0081】
ここに開示する装置、及びその作動方法は従来のシステムに比較し多くの利点を有する。第1に、このシステムは椅子を昇降させ、傾動させるための液圧制御回路、及び電気制御回路は共に簡単である。クレセント歯車駆動ポンプを使用することによって、一層平滑で、一層静粛な流動、及び作動で、一層高い圧力を使用することができる。本発明装置では、歯車はインボリュートの輪郭に形成されているので、歯の間の厳密な公差を必要としない利点がある。一実施例では、平滑で静粛な作動のため、ピニオンの歯数は14、被動歯車の歯数は19である。
【0082】
一体のマニホールドに機械加工した多数の交差する孔を有し、これ等の孔はブロックの表面から内方に延びているが、完全に貫通しておらず、これ等の孔に複数個の弁、及び制御組立体を収容し、シール付きの閉塞プラグを有する構造により、漏洩の可能性が最小のコンパクトで有効なシステムを提供する。更に、選択したシステムに使用するため、一層コンパクトにさせる小さな外部形態を有するシステムを提供する。
【0083】
開示されたアキュームレータは製作し、操作するのに安価であり、簡単である利点がある。アキュームレータのピストンの後側をレザバーに連結するから、潤滑の目的で、ばねとピストンとを油の中に浸漬することができ、ピストンのシールを横切るいかなる僅かな漏洩も、組立体の性能に大きな影響を及ぼすことはない。更に、アキュームレータ組立体全体をベースに、即ちマニホールドに組み込んでいるから、アキュームレータのために、外部のホース、又はコネクタを必要としない。
【0084】
自己作動性の圧力補正流量制御による規制を行うから、アキュームレータの弁は適正に機能し、負荷を補正することができ、従って、椅子に加わる負荷に無関係に、同一の一般速度で、シリンダを後退させることができる。この装置によって、圧力降下を行うことができるから、広い範囲の患者の体重に対して、アキュームレータが働くことができる。
【0085】
アキュームレータのピストンに圧力リリーフ弁を設けることによって、過大な圧力を生じた場合でも、液圧流体のためのリリーフ路を発生させるための安価な方法を達成する。このような圧力限定装置を加えることによって、リミットスイッチを使用しないで済む利点がある。リミットスイッチが働くと、シリンダが完全に伸長していても、ポンプを停止させなければならない欠点があるため、リミットスイッチを使用しなくともよいことは有利である。
【0086】
タイマを回路板に設け、ポンプを作動させる時間を限定することができる。更に、類似の時間制限をソレノイドに設け、ソレノイドを開き、即ち、シリンダの復帰作用を生ぜしめる時間を限定することができる。
【0087】
この導入口の逆止弁組立体は簡単であり、一方向のシールと、他方向の最少の圧力降下での自由な流れに対する要求を安価に達成することができる。特に注目すべきはユニットのベースにおける逆止弁のOリングあり、これ等逆止弁は漏洩を生じ易い硬質弁座形弁より著しく改良されている。設けたOリングは軟質のシールとして、トラブルの無いシールを行っている。
【0088】
離間する孔の間に油のための循環路を生じているソレノイドアダプタベースは希望する流体路を生ずるための便利な方法を提供すると共に、種々の寸法のオリフィス、及びソレノイドを組み込んでおり、種々の用途への適用を可能にしている。
【0089】
クッション弁は椅子の下降、又は傾動復帰作用の開始を平滑にしている。これ等の弁は最初、椅子の運動を平滑にし、緩やかにし、次に、中間の作動では一層迅速に移動させている。
【0090】
単一のベース、即ちマニホールドの設計は栓をした孔の数が最少であり、このマニホールドを生産するためのマシニングセンタでの部片の機械待ちを最適にする。また、これ等の部片をポンプ組立体に組み合わせることによって、価格を最低にし、漏洩の可能性がある部分を減少させ、便利な設置と、使用とのため組立体の容積を最小にしている。更に、組立体の高さが最小であることによって、従来のユニットよりも一層低い位置まで、椅子を動かすことができる。
【0091】
マニホールド、即ちベースに腎臓形の開口を機械加工した場合、歯車ポンプの歯車に対し、これ等の開口は正確に位置するから、歯車ポンプの静粛で平滑な作動を助ける。
本発明の好適な実施例を説明したが、本発明は本発明の範囲内において、種々の変更を加え得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施例による液圧駆動システムにより作動する昇降傾動機構を有する液圧作動椅子の側面図である。
【図2】本発明の要旨を組み込んだ液圧駆動システムの線図である。
【図3】本発明による液圧駆動システムの主要部の上方から見た斜視図である。
【図4】図3に示すシステムの構成部分の数個の分解斜視図である。
【図5】歯車ポンプ、及び逆止弁の部片を設置した本発明システムのマニホールドブロックの下から見た斜視図である。
【図6】図5のブロックのみの上方から見た斜視図である。
【図7】図5のマニホールドブロックの上方から見た平面図である。
【図8】図7の8−8線の方向に見たマニホールドブロックの端面図である。
【図9】図5のマニホールドブロックの底面図である。
【図10】図7の10−10線に沿うマニホールドブロックの横断面図である。
【図11】電動機、歯車ポンプ、及び流体レザバーを取り付けた図7の11−11線に沿うマニホールドブロックの横断面図である。
【図12】マニホールドブロックに取り付けた1対のソレノイド作動弁を示す図7の12−12線に沿う横断面図である。
【図13】マニホールドの孔内の種々の弁を示す図8の13−13線に沿う拡大横断面図である。
【図14】マニホールドの孔内のクッション弁を示す図であり、(A)は図8の14−14線に沿う拡大断面図で、(B)は図14の(A)の14A−14A線に沿う拡大断面図で、(C)は図14の(B)の14B−14B線に沿う断面図である。
【図15】マニホールドの孔内の逆止弁、及びマニホールドに取り付けた流体レザバーを示す図7の15−15線に沿う拡大横断面図である。
【図16】マニホールドブロックの孔の中の流量制御弁を示す図7の16−16線に沿う拡大横断面図である。
【図17】マニホールドブロックに連結したアダプタと共に、図12図に示したソレノイド弁の1個の拡大断面図である。
【図18】図17のアダプタの側面図である。
【図19】図18のアダプタの平面図である。
【図20】図19のアダプタの底面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 歯科用椅子
16 座席部、座席
18 背もたれ、バックレスト
20 昇降機構
22 昇降シリンダ、昇降ラム
24 傾動シリンダ、傾動ラム
28 液圧駆動システム
30 流体供給タンク、レザバー
32 モータ・ポンプ結合体
36 ベースマニホールド、マニホールドブロック、ベース、ブロック
38 二方向電動機
42 クレセント歯車ポンプ装置、内接式歯車ポンプ装置
44 流体保持レザバー
48、50 ソレノイド作動弁
54、56 流量制御弁
60、62 クッション弁組立体
64、66、68、70 一方向弁、ボール逆止弁
74、76 液圧アキュームレータ
80、82 圧力リリーフ弁
93、101 制御オリフィス
120、122 腎臓形の開口
128 クレセント
130 ピニオン駆動歯車
132 被動環状歯車
132、134、136、138、140、142、148 孔
154、156、158、160、162、164、166、168 孔
170、172、174、176、178、180 孔
188 Oリングシール
202 ホース連結部
206、208 液圧継手
210、212 液圧ホース
216 円筒形逆止弁座部材
234 プランジャ、ピストン体
238、244、264、278 ばね
242 逆止弁素子
246 弁座
256 円筒コップ状本体
260 円筒スプール
262 流体制御オリフィス
274 プランジャ
288 横孔
294、296 ベースアダプタ
320 プランジャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧力で作動する椅子アクチュエータと、
流体を保持するレザバーと、
ポンプと、
前記ポンプにより流体を前記レザバーから引き出して、加圧した流体を前記椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバー、及びアクチュエータに作動するように連結する流体流回路とを具え、
前記流体流回路は前記アクチュエータから、前記レザバーへの流体の復帰を制御するよう選択的に作動する弁と、前記ポンプと前記椅子アクチュエータとの間、及び前記椅子アクチュエータと選択的に作動する弁との間の前記回路内に連結された流体圧力アキュームレータと、前記椅子アクチュエータと前記アキュームレータとの間の前記回路に連結された流量制御弁とを具えることを特徴とする椅子用制御システム。
【請求項2】
前記流体流回路は前記アクチュエータから前記レザバーに流体を復帰させる流体復帰回路を具え、前記流量制御弁が前記アクチュエータと前記アキュームレータとの間に配置されるよう前記流体復帰回路内に前記アキュームレータと前記流量制御弁とを位置させた請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記流体復帰回路は前記アキュームレータと前記レザバーとの間に配置されたクッション弁組立体を更に具える請求項2の制御システム。
【請求項4】
前記クッション弁組立体は室壁によって画成される弁室と、この弁室の一部に隣接する流体圧力導入領域と、この導入領域から離間した領域内で前記室壁に貫通する流体送出ポートと、弁組立体とを具え、この弁組立体は前記送出ポートを通じて前記室から流体が流出するのを禁止するよう前記送出ポートに隣接する第1位置と前記送出ポートを通じて前記室から流体が流出するのを禁止する程度が少ない第2位置との間に移動するよう前記室内に取り付けたプランジャと、前記第1位置に向け前記プランジャを押圧すると共に、選択された圧力以上の圧力が前記流体導入領域から前記プランジャ組立体に作用すると、前記第2位置への前記プランジャの移動を変形して許容する押圧装置とを具える請求項3の制御システム。
【請求項5】
前記流体流回路は前記レザバーから前記椅子アクチュエータに流体を供給する流体供給回路を具え、前記流量制御弁が前記アキュームレータと前記椅子アクチュエータとの間に配置されるよう前記流体供給回路内に前記アキュームレータと前記流量制御弁とを位置させた請求項1の制御システム。
【請求項6】
前記アキュームレータは細長い円筒室と、この円筒室の一部の圧力流体導入口と、前記円筒室の軸線方向に摺動するよう前記円筒室内にシールするように設置され、一方の面が前記圧力流体導入口に向き、反対側の面が前記圧力流体導入口から離れる方向に向いているピストンと、前記圧力流体導入口の方向に変形して前記ピストンを押圧する押圧装置と、前記ピストンの前記反対側の面が向いている前記ピストンの側にあって前記円筒室からの低圧流体送出口とを具える請求項1の制御システム。
【請求項7】
圧力が加わる前記椅子アクチュエータから流体が復帰するよう構成し、前記流量制御弁は自己作動弁を具え、この自己作動弁は室壁によって画成された室であって、この室の一領域の流体導入開口と、この導入開口から離間して前記室壁に貫通する流体送出ポートとを有する室と、前記導入開口と送出ポートとの間で前記室内で移動するように取り付けられたプランジャとを具え、前記送出ポートを通じて前記室から流体が流出するのを禁止するため、前記送出ポートから離間した第1位置から、この送出ポートに隣接する第2位置に向け前記プランジャを動かすように押圧するため流体圧力が作用するよう前記導入開口の方向に向くヘッド部を前記プランジャに設け、更に、前記流体制御弁は前記プランジャをその第1位置に向け押圧する押圧装置を具える請求項1の制御システム。
【請求項8】
前記流体流回路はクッション弁組立体を更に具える請求項1の制御システム。
【請求項9】
前記クッション弁組立体は室壁によって画成された弁室と、この弁室の一部に隣接する流体圧力導入領域と、この導入領域から離間した領域内で前記室壁に貫通する流体送出ポートと、弁組立体とを具え、この弁組立体は前記送出ポートを通じて前記室から流体が流出するのを禁止するよう前記送出ポートに隣接する第1位置と前記送出ポートを通じて前記室から流体が流出するのを禁止する程度が少ない第2位置との間の多数の異なる位置に移動するよう前記室内に取り付けたプランジャと、前記第1位置に向け前記プランジャを押圧すると共に、選択された圧力以上の圧力が前記流体導入領域から前記プランジャ組立体に作用すると、前記第2位置への前記プランジャ組立体の移動を変形して許容する押圧装置とを具える請求項8の制御システム。
【請求項10】
前記プランジャは前記室内で摺動できるよう前記室壁の形態にほぼ補足し合うほぼ不透過性の側壁形態を有するプランジャ体と、前記導入領域の方向に向く前記プランジャ体の一端のほぼ閉じたヘッド部と、前記導入領域の反対側の前記プランジャ体の端部に向け開口する内孔と、この内孔内への制御された流体の流れを許容するよう前記ヘッド部に隣接して形成された流体流制御オリフィスと、前記プランジャ体の前記反対端への前記オリフィスを通ずる流体の流れを許容するよう開放位置に押圧され、前記内孔内に取り付けられた常閉逆止弁とを具える請求項9の制御システム。
【請求項11】
前記導入領域の部分から離間する閉端を前記弁室に設け、前記流体送出ポートを前記導入領域の部分と前記閉端との間に位置させ、前記室壁の内面にほぼ補足し合う外側形態を前記プランジャに有せしめ、前記室壁に密接して摺動接触するよう前記プランジャを前記室内に収容し、前記プランジャの前記第2位置への運動を妨げるよう一定量の妨害流体を保持し得るよう前記プランジャと前記室の前記閉端との間に保持空間を画成し、前記プランジャが緩やかに前記第2位置に移動するよう前記一定量の妨害流体を前記保持空間から前記流体送出ポートに緩やかに絞り出すよう前記プランジャを前記室壁に整合させた請求項9の制御システム。
【請求項12】
前記弁組立体は前記導入領域の部分に向け指向する前記プランジャの一部に貫通する流体流オリフィスと、このオリフィスから前記保持空間への流体の流れを許容するが、反対方向への流体の流れを禁止する逆止弁とを更に具える請求項11の制御システム。
【請求項13】
第1流体圧力作動椅子アクチュエータと、
第2流体圧力作動椅子アクチュエータと、
流体を保持するレザバーと、
2方向ポンプと、
前記ポンプが一方向に作動している時、前記ポンプにより前記レザバーから流体を引き出して、加圧した流体を前記第1椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記第1椅子アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバーと前記第1椅子アクチュエータとに作動するように連結した第1流体流回路とを具え、
前記第1流体流回路は前記第1椅子アクチュエータから前記レザバーへの流体の復帰を制御するための第1選択作動弁と、前記ポンプと前記第1椅子アクチュエータとの間、及び前記第1椅子アクチュエータと前記第1選択作動弁との間で前記第1流体流回路に連結された第1流体圧力アキュームレータと、前記第1椅子アクチュエータと前記第1流体圧力アキュームレータとの間で前記第1流体流回路に連結した第1流量制御弁とを具え、
更に、前記ポンプが前記一方向の反対方向に作動している時、前記ポンプにより前記レザバーから流体を引き出して、加圧した流体を前記第2椅子アクチュエータに供給すると共に、流体を前記第2椅子アクチュエータから前記レザバーに復帰させるため、前記ポンプを前記レザバーと前記第2椅子アクチュエータとに作動するように連結した第2流体流回路を具え、
前記第2流体流回路は前記第2椅子アクチュエータから前記レザバーへの流体の復帰を制御するための第2選択作動弁と、前記ポンプと前記第2椅子アクチュエータとの間、及び前記第2椅子アクチュエータと前記第2選択作動弁との間で前記第2流体流回路に連結された第2流体圧力アキュームレータと、前記第2椅子アクチュエータと前記第2流体圧力アキュームレータとの間で前記第2流体流回路に連結した第2流量制御弁とを具えることを特徴とする椅子用制御システム。
【請求項14】
前記第1流体流回路は第1クッション弁を具え、前記第2流体流回路は第2クッション弁を具える請求項13のシステム。
【請求項15】
前記第1流体流回路、及び第2流体流回路は前記ポンプが前記一方向に作動している時、前記ポンプから前記第2椅子アクチュエータへの加圧された流体の流れを禁止すると共に、前記ポンプが前記反対方向に作動している時、前記ポンプから前記第1椅子アクチュエータへの加圧された流体の流れを禁止する逆止弁を具える請求項13のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−212705(P2008−212705A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113022(P2008−113022)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願2002−265383(P2002−265383)の分割
【原出願日】平成14年9月11日(2002.9.11)
【出願人】(592139245)エイ−デック インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】A−DEC, INCORPORATED
【Fターム(参考)】