説明

植物の保存液及び製造方法

【課題】この発明は、植物の生体組織の鮮度を保つ保存液及び製造方法を提供する。
【解決手段】植物の生体組織に作用する深層水を含む精製水との調合液において、深度の異なる深度600mと深度1,400mの2種類の深層水と軟水処理した精製水を調合し加熱してあり、深層水は0.000001〜0.0000001重量%であり、加熱温度は110℃〜120℃である植物の保存液及び製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、深度600mと深度1,400mの深層水と精製水による調合により植物全般の鮮度保持技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物特に野菜は、温度と湿度が鮮度を保つ上で重要な要素である。また、植物自身が老化ホルモンと呼ばれる植物ホルモンの一種のエチレンを生成するので野菜の貯蔵に関しては注意が必要である。そのために、植物の品目毎に貯蔵最適温度、貯蔵最適湿度、エチレン負荷を軽減する除去方法が見出されてきた。市場から遠隔地にある生産地では、鮮度を保持する重要性から航空輸送に依存せざるを得ないが、輸送コストが高く移出野菜の生産を振興する上で大きな課題となっている。また、消費者の調理の利便性からカット野菜に対する需要が増えつつあるが、カット野菜は鮮度落ちが早く遠隔地にある生産地では、航空機輸送に依存しない経済的で安全な鮮度保持の方法確立が急がれている。健康野菜として注目されているニガウリの例では、10℃の貯蔵温度で一本の果実そのままでは収穫日より7〜12日間が賞味期限であるが、同じ貯蔵温度で果肉厚さ5mmほどの輪切りカットニガウリでは賞味期限が3〜4日に落ちる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
<イ>本発明は、植物の生体組織を活性させる安全な植物の保存液を提供することにある。
<ロ>また、本発明は、野菜から果樹の広範囲の植物の保存液を提供することにある。
<ハ>また、本発明は、海草、海藻の海に生息する広範囲の植物の保存液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、植物の生体組織に作用する保存液において、深度の異なる深度600mと深度1,400mの2種類の深層水を調合し、更に軟水処理した精製水との調合により深層水の濃度が0.000001〜0.0000001重量%に希釈して110℃〜120℃で加熱処理することを特徴とする植物の保存液及び製造方法にある。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、次のような効果を得ることができる。本発明は、植物の生体組織を活性させる安全な植物の保存液を提供することができる。また、本発明は、野菜から果樹、海草、海藻の広範囲の植物の保存液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0006】
植物の保存液
本出願人は鮮度液として水産物、臓器、食品添加物、食品、皮膚塗布材に関する出願を行っている(特開2002−302401)。鮮度液は深層水が0.01〜0.001重量%であり、本発明の保存液は0.000001〜0.0000001重量%で特開2002−302401とは異なる。保存液の原液の製造方法の例を図1に示す。深度600mと深度1,400mの深層水を調合して深層水の調合液を生成する。深度600mと深度1,400mの深層水の調合割合は特開2002−302401に記載された内容である。次に調合した深層水を精製水に調合する。この場合の深層水の調合液と精製水の調合比率は10,000〜20,000倍である。次に再度精製水による調合を行う。この時の調合比率は10,000〜20,000倍である。このようにして得られた深層水と精製水の調合液は、深層水が0.000001〜0.0000001重量%の範囲となる。このようにして生成された深層水と精製水の調合液を110〜120℃で加熱し冷却する。
【0007】
ニガウリの保存処理方法
加工されていない一本物のニガウリを、植物の保存液に浸漬する試験区と水道水に浸漬する対照区について鮮度保持の効果を調べた。処理方法は以下の様である。試験区、対照区のそれそれのニガウリを水道水で水洗いした。定量の水道水を5℃に冷却し、対照区はその冷却水にニガウリを完全に没水させて10分以上浸漬し、浸漬後は吸水紙にて果皮部分の水分をふき取りポリエチレン製の密閉袋に入れて5℃の冷蔵庫に貯蔵した。試験区は5℃に冷却した水道水に植物の保存液を0.1〜0.5重量%の範囲で添加し、対照区と同様にニガウリを完全に没水させて10分以上浸漬し、浸漬後は吸水紙にて果皮部分の水分をふき取りポリエチレン製の密閉袋に入れて5℃の冷蔵庫に貯蔵した。
【0008】
試験結果
貯蔵開始より22日に冷蔵庫より取り出し、果実を縦に二つ割りにして観察した。


【0009】
カットニガウリの保存処理方法
一本物のニガウリを縦に切って果実内の綿と種子を除き、3〜5mmの肉厚で半円弧状の輪切りとし、植物の保存液に浸漬する試験区の鮮度保持の効果を調べた。処理方法は以下の様である。一本物のニガウリを水道水で水洗いした。5℃に冷却した水道水に植物の保存液を0.1〜0.5重量%の範囲で添加し、ニガウリを完全に没水させて10分以上浸漬した。浸漬後はニガウリを縦に切って果実内の綿と種子を除き、3〜5mmの肉厚で半円弧状の輪切りのカットニガウリとした。その後5℃に冷却した次亜塩素酸ナトリウム希釈液に浸漬して殺菌処理後水切りした後5℃の無菌水にて洗浄し脱水処理を行った。その後ポリエチレン製の密閉袋に入れて5℃と10℃の冷蔵庫に貯蔵した。
【0010】
試験結果
明確に保存冷蔵温度が8〜10℃で加工日の自明な市販のカットニガウリと、10℃にて貯蔵した試験区のカットニガウリの鮮度の比較を行った。

【0011】
試験結果

【0012】
花卉カーネーションの保存処理方法
カーネーションは、老化ホルモンであるエチレンの産出率は非常に低いがエチレンに対する影響度は大きく、主な反応としては花が下を向たり、葉がカールする事が特徴である。
麻製の布を植物の保存液に浸漬後乾燥させ、切り花のカーネーションの茎に巻き付け花の日持ち効果を調べた。試験区は対照区のカーネーションに較べ蕾の開花が進んでいる切り花のカーネーションとした。試験区、対照区とも15本ずつ準備し、試験区は植物の保存液に浸漬後乾燥させた布を茎に巻き付け水道水に水差し常温静置とした。対照区は水道水に水差し常温静置とした。
【0013】
試験結果

【図面の簡単な説明】
【図1】植物の保存液の製法の説明図
【図2】ニガウリの貯蔵による品質
【図3】植物の保存液原液の成分
【図4】野菜の最適貯蔵条件を示した図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の生体組織を活性化する保存液において、利用する1つの深層水は深度600mであり、もう1つは深度1,400mであり、濃度は0.000001〜0.0000001重量%であることを特徴とする植物の保存液及び製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の保存液において、深度600mと深度1,400mの調合した海水を軟水処理した精製水に添加して110℃〜120℃で加熱処理して冷却することを特徴とする植物の保存液及び製造方法。
【請求項3】
請求項1の記載において、野菜、果物、花卉、海草、海藻の保存方法として使用されることを特徴とする植物の保存液及び製造方法。
【請求項4】
請求項1において、紙、布を含む包材に塗布、浸漬後乾燥させて野菜、果物、花卉に接触させる保存方法として使用されることを特徴とする植物の保存液及び製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−204463(P2007−204463A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49206(P2006−49206)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(502060854)株式会社アクアサイエンス研究所 (1)
【出願人】(501132871)沖縄県海洋深層水開発協同組合 (1)
【出願人】(506065965)
【出願人】(506065334)
【出願人】(506065345)
【出願人】(506065356)
【出願人】(506065367)
【出願人】(506065378)
【Fターム(参考)】