説明

植物栽培用容器

【課題】特別な器具を用いることなく、定植した苗を簡単に、かつ、確実に保持させることができ、また、多数の容器を同時に使用する場合でも、給排水系統を極めて簡単に構成することができる植物栽培用容器を提供する。
【解決手段】容器本体2と、上蓋3とによって構成され、容器本体2は、底部4と、底部4の長手方向の両側縁から上方へ向かってそれぞれ立設された二つの側壁部5a,5bとによって樋状に成形され、底部4には、長手方向と直交する方向へ傾斜する傾斜面4aが形成され、傾斜面4aの下方側には、排水用溝4bが長手方向に沿って形成され、上方側には、潅水用溝4cが形成され、上蓋3には、複合的な形状の定植孔6が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や花等の植物を栽培するための容器及び装置に関し、特に、容器内への給排水系統を備えた植物栽培用装置、及び、そのために用いられる植物栽培用容器、並びに、それらの装置或いは容器を用いた植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や花等の植物を栽培するための植物栽培用容器として、様々な種類のものが知られている。例えば、特開平6−125664には、基本形状が箱形で、上方のみが開放され、傾斜状の排水用溝を底部に形成した植物栽培用容器が開示されている。
【0003】
また、容器内空間を断熱し、外気温の変動による植物への悪影響を低減することを目的として、箱形容器の上面開放部を上蓋によって閉塞するようにした植物栽培用容器も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−125664
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の植物栽培用容器は、一つ一つが相互に独立しており、多数の容器を同時に使用する場合には、給排水系統を、主経路から各容器毎に分岐するように、また、各容器からの排水を主経路に集合させるように構成する必要があり、設置作業及びメンテナンスが非常に煩雑であるという問題がある。
【0006】
また、箱形容器の上面開放部を上蓋によって閉塞するタイプの植物栽培用容器においては、容器内へ苗を定植するための定植孔を形成することが必要になるところ、苗の根圏を保持する培地を通過させることができるように、定植孔の直径或いは開口面積を相応の大きさに設定する必要がある。より具体的には、培地は通常、一辺が10〜30mm程度のキューブ状、或いは、直径が10〜30mm程度の円筒状を呈しており、容器に上蓋をセットした状態で、一辺が30mmのキューブ状の培地を容器に差し込むためには、定植孔の直径を42.4mm以上に設定する必要がある。
【0007】
一方、定植時における苗の茎は、直径が3〜5mm程度と非常に細く、定植後しばらくの間は、茎が傾かないように、何らかの手段によって茎をサポートしてやる必要があるところ、直径42.4mm以上の定植孔に挿通された場合、苗の茎の自由度は非常に大きく、そのままでは茎をサポートすることは難しい。このため従来は、定植孔から苗及び培地を容器内へ差し込んだ後、茎をサポートするための器具(保持具)を定植孔に取り付ける等などの工夫をしていたが、定植した多数の苗に対して、そのような器具を一つ一つ手作業で取り付けなければならないとすると、非常に手間がかかり、また、コストも嵩むことになる。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術における問題を解決すべくなされたものであって、特別な器具を用いることなく、定植した苗を簡単に、かつ、確実に保持させることができ、また、多数の容器を同時に使用する場合でも、給排水系統を極めて簡単に構成することができる植物栽培用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の植物栽培用容器は、容器本体と、上蓋とによって構成され、容器本体は、底部と、当該底部の長手方向の両側縁から上方へ向かってそれぞれ立設された二つの側壁部とによって樋状に成形され、底部には、長手方向と直交する方向へ傾斜する傾斜面が形成され、傾斜面の下方側には、排水用溝が長手方向に沿って形成されていることを特徴としている。尚、ここに言う「樋状」とは、底部から上方へ立設された二つの側壁部によって側方のみが閉塞され、少なくとも一方の端部が閉塞されておらず、内部に導入された流体が、両端部、或いは、一方の端部から外側へ流出可能な状態を意味する。
【0010】
この植物栽培用容器においては、傾斜面の上方側に、潅水チューブを保持させるための潅水用溝が形成されていることが好ましく、また、容器本体の一方の端部に、二つの側壁部の内側部分及び底部の上方部分が所定寸法分凹んだ状態の連結用凹部が形成され、容器本体の反対側の端部に、二つの側壁部の内側部分及び底部の上方部分が所定寸法分突出した状態の連結用凸部が形成され、連結用凹部に、他の容器本体の連結用凸部を嵌め込むことによって、複数の容器本体を連結できるように構成することが好ましい。また、排水用溝、及び、潅水用溝は、長手方向について水平に延在するように形成されていることが好ましい。
【0011】
更に、上蓋には、長手方向の中心線に沿って、複数の定植孔が形成され、それらの定植孔が、小開口部と、当該小開口部よりも大きく開口する大開口部とが組み合わされた複合的な形状となっていることが好ましく、また、小開口部と大開口部の間には、定植孔の内側へ向かって突出して狭小部を形成する一対の突出部が形成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る植物栽培装置は、上記植物栽培用容器の傾斜面上に不織布を配置するとともに、小孔が形成された潅水チューブを潅水用溝に配置したことを特徴としている。尚、この植物栽培装置においては、不織布及び潅水チューブを上方から覆うように防根シートを敷設することが好ましい。
【0013】
また、本発明の植物栽培方法は、上記植物栽培用容器の傾斜面上に不織布を配置するとともに、小孔が形成された潅水チューブを潅水用溝に配置し、更に、前記不織布及び潅水チューブを上方から覆うように防根シートを敷設し、養液タンクから潅水チューブへ養液を送給し、養液を潅水チューブの小孔から流出させて傾斜面上に供給することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る植物栽培用容器は、樋状に成形され、底部には長手方向と直交する方向へ傾斜する傾斜面が形成されるとともに、傾斜面の下方側に排水用溝が長手方向に沿って形成されているため、多数の植物栽培用容器を長手方向に連続して配置することによって、一本の長大な容器を形成することができ、給排水系統において分岐点や集合点を形成する作業を省略し、或いは、簡略化することができるほか、設置作業に関するコスト、及び、メンテナンスに関するコストを大幅に縮減することができる。
【0015】
また、植物栽培用容器の全体にわたって養液を均等に供給するためには、潅水チューブを適正に保持させる必要があるところ、本発明に係る植物栽培用容器において、傾斜面の上方側に潅水チューブを保持させるための潅水用溝を形成した場合には、特別な器具を用いることなく、極めて簡単な作業のみで、潅水チューブを適正な位置に保持させることができる。また、容器本体の端部に、連結用凹部及び連結用凸部を形成した場合には、隣接する植物栽培用容器同士を簡単に連結することができる。
【0016】
更に、上蓋に形成する定植孔を、小開口部と、大開口部とが組み合わされた複合的な形状とした場合には、定植孔の大開口部から培地を容器本体内へ簡単に差し込むことができる一方で、定植後においては、小開口部において苗の茎を好適に保持させることができる。また、一対の突出部を形成した場合には、より効果的に苗の茎を保持させることができる。
【0017】
また、本発明の植物栽培装置及び植物栽培方法は、傾斜面上に配置した不織布に養液を吸水させることにより、傾斜面上において養液を好適に滞留させることができ、かつ、過剰供給分(先行して供給された古い養液)を速やかに排出することができ、定植した植物に対し、常にフレッシュな養液を好適な条件で供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る植物栽培用容器1(第1の実施形態)の斜視図である。
【図2】図2は、図1の植物栽培用容器1における容器本体2の反対側の端部を示す図である。
【図3】図3は、図1の植物栽培用容器1における上蓋3に形成されている定植孔6の拡大平面図である。
【図4】図4は、図1の植物栽培用容器1の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に沿って本発明「植物栽培用容器」の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る植物栽培用容器1(第1の実施形態)の斜視図である。図示されているように、この植物栽培用容器1は、平面形状が略長方形の容器本体2と、上蓋3とからなり、容器本体2は、底部4と、長手方向に平行して延在する二つの側壁部5a,5bとによって構成されている。これらはいずれも、発泡ポリスチレンによってそれぞれ一体的に形成されている。
【0020】
容器本体2の両側壁部5a,5bは、底部4の長手方向の両側縁から上方へ向かって立設され、容器本体2は、全体として樋状に形成されている。底部4は、長手方向と直交する方向へ僅かに傾斜している(傾斜面4a)。また、底部4の傾斜面4aの下方側には、排水用溝4bが長手方向に沿って水平に延在するように形成されており、底部4の傾斜面4aの上方側には、潅水チューブを保持させるための潅水用溝4cが、長手方向に沿って水平に延在するように形成されている。尚、本実施形態においては、傾斜面4aの傾斜角度は1.5°に設定されているが、必ずしもこの角度には限定されず、0.5〜10°の範囲内で適宜設定することができる。
【0021】
容器本体2の一方の端部には連結用凹部2aが形成され、反対側の端部には連結用凸部2bが形成されている。連結用凹部2aは、図1に示すように、両側壁部5a,5bから底部4にかけて形成され、両側壁部5a,5bの内側部分及び底部4の上方部分が、所定寸法分(本実施形態においては2cm)凹んだ状態となっている。また、反対側の端部に形成されている連結用凸部2bは、図2に示すように、両側壁部5a,5bから底部4にかけて形成され、両側壁部5a,5bの内側部分及び底部4の上方部分が、所定寸法分(本実施形態においては2cm)突出した状態となっている。
【0022】
連結用凹部2aと連結用凸部2bとは、相互に対応した形状(相補的な形状)となっており、容器本体2の連結用凹部2aに、他の容器本体2の連結用凸部2bを突き合わせると、連結用凸部2bが連結用凹部2a内に隙間なく嵌り込み、容器本体2の端部同士を連結できるようになっている。尚、容器本体2の長手方向と直交する方向についての断面は、連結用凹部2a及び連結用凸部2bが形成されている部分を除き同一形状となる。
【0023】
容器本体2の寸法は、本実施形態においては、長さ1m2cm(連結用凹部2aの突出寸法2cmを含む。)、横幅32cm、高さ14.5cmに設定されている。
【0024】
上蓋3は、平板状に形成され、長さ寸法は1m、横幅寸法は32cm、厚さ寸法は、中央部付近においては20mm、長手両側縁部においては15mmに設定されている。この上蓋3には、図1に示すように、長手方向の中心線に沿って、複数の定植孔6(貫通孔)が等間隔に形成されている。定植孔6は、図3(定植孔6の拡大平面図)に示すように、半円状の小開口部6aと、小開口部6aよりも大きく開口する半円状の大開口部6bと、小開口部6aと大開口部6bの間に位置し、定植孔6の内側へ向かって突出して孔の狭小部を形成する一対の突出部6c,6cとが組み合わされた複合的な形状となっている。
【0025】
より具体的には、小開口部6aの横幅寸法D1は、24mm、大開口部6bの横幅寸法D2は、50mm(小開口部6aの横幅寸法D1の約2倍)、対向する突出部6c,6c間の離間寸法D3は、16mm(小開口部6aの横幅寸法D1の2/3)、全体の長さ寸法(小開口部6aの端部から大開口部6bの端部までの寸法)D4は、50mmに設定されている。
【0026】
この上蓋3は、容器本体2内の空間を外部空間から遮断して断熱し、容器本体2内の温度を一定に保ち、外気温の変動による栽培植物への悪影響を低減する機能を有しているほか、栽培植物(苗)の茎を傾かないように保持させる機能をも有している。この点については後述する。
【0027】
ここで、この植物栽培用容器1の使用方法(植物栽培方法)について説明する。まず、図4に示すように、潅水用溝4cに潅水チューブ7をセットし、底部4の傾斜面4a上に、幅1〜3mm程度の厚さの不織布8を敷設する。不織布8を傾斜面4a上に敷設した場合、その保水力により、傾斜面4a上において養液を一時的に滞留させることができる。
【0028】
次に、不織布8の上に防根シート9を敷設する。防根シート9は、一端が潅水チューブ7を上方から覆うように、かつ、他端が排水用溝4b内側まで進入するように配置する。尚、この防根シート9は、透水性及び防根性を備えた薄地のポリエステル織物によって構成されており、防根シート9を敷設することにより、苗10の生長過程で根が伸長し、不織布8内、或いは、容器本体2を構成する発泡ポリスチレンの内部に侵入してしまったり、潅水チューブ7に形成されている小孔7aを閉塞してしまうという問題を回避することができる。
【0029】
そして、容器本体2の上に上蓋3をセットし、苗10、及び、苗10の根圏を保持している培地11を、定植孔6から容器本体2に差し込み、培地11を防根シート9上に載置して定植する。
【0030】
本実施形態においては、上述の通り、定植孔6が、小開口部6aと、大開口部6bと、一対の突出部6c,6cとが組み合わされた複合的な形状となっており、大開口部6bの横幅寸法D2が50mm、全体の長さ寸法D4が50mmとなっているため、一辺が30mmのキューブ状の培地11でも、また、直径が30mmの円筒状の培地11でも、余裕をもって定植孔6の中を通過させることができ、かつ、培地11の通過後に、苗10及び培地11を小開口部6a側へ寄せることにより、苗10の茎の自由度を小さくすることができ、横幅寸法の小さい小開口部6a及び定植孔6の狭小部を形成する一対の突出部6c,6cによって、苗10の茎を、傾かないように保持させることができる。
【0031】
この状態で、潅水チューブ7の一端を、図示しない養液タンクに接続し、養液タンクから潅水チューブ7内へ養液(水、或いは、液肥等を添加した水)を送給する。そうすると、潅水チューブ7において所定間隔毎に形成されている小孔7aから養液が流出し、傾斜面4a上に供給される。傾斜面4a上に供給された養液は不織布8に吸収され、傾斜面4a上において滞留し、苗10に吸収される。尚、不織布8の最大保水量を超えて養液が傾斜面4a上に供給されると、先行して供給された不織布8中の養液が、新たに供給された養液によって押し出されて入れ替わり、過剰分として排水用溝4bへ流下し、容器本体2の端部(連結用凹部2a側の端部、及び/又は、連結用凸部2b側の端部)から容器本体2の外側へ流出する。
【0032】
容器本体2外へ流出した養液については、受け皿等によって回収し、必要に応じて成分やpHを適宜調整した上で養液タンクに戻すように構成することが好ましいが、養液として水道水、井戸水、雨水等を使用する場合には、容器本体2外へ流出した養液をそのまま廃棄するように構成しても良い。
【0033】
本発明に係る植物栽培用容器1は、単独で用いることもできるが、複数個(例えば、2〜30個)を長手方向に連結して用いることもできる。連結して用いる場合には、容器本体2の連結用凹部2a内に、隣接する他の容器本体2の連結用凸部2bを嵌め込んで一体化する。
【0034】
この場合、両端に位置する容器本体2の非接続側端部に、適当な板材、フィルム、或いは、シートなどを配設して、容器本体2内の空間を閉塞するようにしても良い。但し、潅水チューブ7と養液タンクとを接続するための経路を確保する必要があるほか、排水のため、排水用溝4bの少なくともいずれか一方の開口端を開放しておくか、或いは、排水される養液を回収するためのパイプを接続できるように構成する必要がある。植物栽培用容器1を単独で用いる場合も同様である。容器本体2の端部を閉塞した場合、断熱効果を期待することができ、容器本体2内の温度を一定に保ち、外気温の変動による苗10に対する悪影響を低減することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、排水用溝4bが、長手方向について水平に延在するように形成されているため、複数の容器本体2を長手方向に連結した場合、高低差のない一本の連続した溝を形成することができ、養液の過剰供給分(先行して供給された古い養液)を円滑に容器外へ排出することができる。また、潅水用溝4cも、同様に一本の連続した溝となるため、高低差を生じさせずに潅水チューブ7を水平に保持することができ、連結した容器本体2の全体にわたって養液を均等に供給することができる。
【0036】
尚、本実施形態においては、容器本体2及び上蓋3の寸法について詳細に規定しているが、上記の寸法には限定されず、栽培する植物の種類等に応じて適宜設定することができる。また、定植孔6の小開口部6a、大開口部6b、及び、突出部6cの各寸法についても、上記のものには限定されず、大開口部6bについては、定植しようとする苗10の培地11を通過させることができればどのような大きさでもよく、培地11の大きさに応じて適宜設定することができ、また、小開口部6aについては、大開口部6bの横幅寸法の1/2以下、或いは、2/3以下であれば、苗10の茎の寸法に応じて適宜設定することができる。突出部6c,6c間の離間寸法についても同様である。
【0037】
また、本実施形態においては、底部4の傾斜面4a上に不織布8を直に載置しているが、多数の植物栽培用容器1を連結して使用する場合には、連結後における容器の全体を覆うことができる大きさの防水性の高いフィルムを被せ、それらを容器全体の内側面(両側壁部5a,5bの各内壁面、傾斜面4a、排水用溝4bの内面、及び、潅水用溝4cの内面)に沿わせ、その上に潅水チューブ7、不織布8等を設置するように構成することもできる。この場合、連結用凹部2aと連結用凸部2bとの連結部分からの漏水を好適に防止することができる。また、この防水性フィルムによって容器本体2の全体を覆うように構成する場合や、その他の手段によって連結部分の漏水対策を十分に行った場合には、植物栽培用容器1として、容器本体2の両端において連結用凹部2a及び連結用凸部2bを省略したもの(容器本体2における長手方向と直交する断面が、一方の端部から反対側の端部まで、完全に同一となる形状のもの)を用いることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1:植物栽培用容器、
2:容器本体、
2a:連結用凹部、
2b:連結用凸部、
3:上蓋、
4:底部、
4a:傾斜面、
4b:排水用溝、
4c:潅水用溝、
5a,5b:側壁部、
6:定植穴、
6a:小開口部、
6b:大開口部、
6c:突出部、
7:潅水チューブ、
7a:小孔、
8:不織布、
9:防根シート、
10:苗、
11:培地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体、及び、上蓋からなる植物栽培用容器であって、
前記容器本体は、底部と、当該底部の長手方向の両側縁から上方へ向かってそれぞれ立設された二つの側壁部とによって樋状に成形され、
前記底部には、長手方向と直交する方向へ傾斜する傾斜面が形成され、
前記傾斜面の下方側には、排水用溝が長手方向に沿って形成されていることを特徴とする植物栽培用容器。
【請求項2】
前記傾斜面の上方側には、潅水チューブを保持させるための潅水用溝が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の植物栽培用容器。
【請求項3】
前記容器本体の一方の端部には、前記二つの側壁部の内側部分及び底部の上方部分が所定寸法分凹んだ状態の連結用凹部が形成されるとともに、前記容器本体の反対側の端部には、前記二つの側壁部の内側部分及び底部の上方部分が所定寸法分突出した状態の連結用凸部が形成され、
前記連結用凹部に、他の容器本体の連結用凸部を嵌め込むことによって、複数の容器本体を連結できるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の植物栽培用容器。
【請求項4】
前記排水用溝が、長手方向について水平に延在するように形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の植物栽培用容器。
【請求項5】
前記潅水用溝が、長手方向について水平に延在するように形成されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の植物栽培用容器。
【請求項6】
前記上蓋には、長手方向に沿って、複数の定植孔が形成され、
前記定植孔は、小開口部と、当該小開口部よりも大きく開口する大開口部とが組み合わされた複合的な形状となっていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の植物栽培用容器。
【請求項7】
前記小開口部と前記大開口部の間に、前記定植孔の内側へ向かって突出して狭小部を形成する一対の突出部が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の植物栽培用容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の植物栽培用容器の前記傾斜面上に不織布を配置するとともに、小孔が形成された潅水チューブを前記潅水用溝に配置したことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項9】
前記不織布及び潅水チューブを上方から覆うように防根シートを敷設したことを特徴とする、請求項8に記載の植物栽培装置。
【請求項10】
請求項2〜7のいずれかに記載の植物栽培用容器の前記傾斜面上に不織布を配置するとともに、小孔が形成された潅水チューブを前記潅水用溝に配置し、更に、前記不織布及び潅水チューブを上方から覆うように防根シートを敷設し、
養液タンクから前記潅水チューブへ養液を送給し、
養液を前記潅水チューブの小孔から流出させて前記傾斜面上に供給することを特徴とする植物栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−167157(P2011−167157A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36066(P2010−36066)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000201641)全国農業協同組合連合会 (69)
【出願人】(501276315)三秀工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】