説明

植物添加物を有するチューインガム組成物

本発明は、(a)水不溶性基剤成分、(b)水溶性基剤、および(c)ギンクゴビロバ、カメリアシネンシス、バッシニウムミルチルス、ビニスビチフェラ、オレアオイロペンシス、トリホリウムプラテンス、サリックス(アルバ)、ハルパゴフィツムプロクムベンス、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物の抽出物を含有する、新規チューインガム組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に、食品の分野、より具体的には、特定の植物に由来する活性成分(principle)を含有する新規チューインガム組成物、およびこれらのチューインガム製品の製造のためのこれらの活性成分の使用に関する。
【0002】
先行技術
多くの国々の天然医薬は、まさに植物において見出され、それらから水での抽出により多かれ少なかれ純粋な形態または濃縮された形態で得られ得る、種々の化学的な活性成分を依然使用し続けている。今日にあっても、後に薬理活性を有すると見出される、植物に由来する新規の活性成分が発見されることなく過ぎる日はほとんどない。典型的な例は、心筋梗塞を予防する、ワインにおいて見出されたポリフェノール、および紫クローバー(purple clover)の成分であり、心/循環器疾患を介する更年期障害からアルツハイマー病および癌に至るまでの一連の疾患に対して活性があると言われている、イソフラボン型植物ホルモンである。これらの活性成分またはそれらを含有する植物抽出物は、これらが代謝作用により代謝され得るように、局所的に適用されるよりむしろ経口投与されなければならず、用いられる生薬の商業上の形態は、一般に、糖衣錠、錠剤などである。しかしながら、かかる生薬形態は、これらが大抵、病気であると感じないと実際に誰も摂取したがらないという医薬としての欠点を有しているので、消費者の興味を引くことはほとんどない。
【0003】
従って、本発明が取り組むべき問題は、一方で消費者に受け入れられ、他方で活性成分が容易に取り込まれ、次に好ましくは遅延して、容易に放出され得ることを確かなものとするような、植物抽出物またはそれらの活性成分の経口適用のための新規の生薬形態を提供することである。
【0004】
発明の詳細な説明
本発明は、
(a)水不溶性基剤成分、
(b)水溶性成分、および
(c1)ギンクゴビロバ(Ginkgo biloba)、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)、バッシニウムミルチルス(Vaccinium myrtillus)、ビニスビチフェラ(Vinis vitifera)、オレアオイロペンシス(Olea europensis)、トリホリウムプラテンス(Trifolium pratense)、サリックスアルバ(Salix (alba))、ハルパゴフィツムプロクムベンス(Harpagophytum procumbens)、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物の抽出物、または
(c2)カテコール、フラボノイド、クエルシトリン、レスベラトロル、フラボノイドグリコシド、イソフラボン、イソフラボングリコシド、イリドイドグリコシド、ハーパーゴサイド、ハーパジド(harpagide)、プロアンビド(proambide)、アントシアノシド、およびサリチル酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、これらの植物に含有される活性成分、
を含有する、新規チューインガム組成物に関する。
【0005】
上記植物の抽出物、またはそれらに存在する活性成分を市販のチューインガム製品に配合することにより、消費者が植物由来の活性成分を投与形にて服用し、かくして老化の徴候、特に皮膚のたるみを回避し、そして例えば、尋常性座瘡、関節炎、更年期障害、心/循環器疾患、さらにはアルツハイマー病、糖尿病、そしてたとえ癌のような重篤な疾患に対する支持されている予防法を追求するという、許容可能な簡単な可能性が提供される。たとえ活性成分が、伝統的なチューインガムの構成成分として同等に十分存在し得、これにより、いわばヘルスケアに「付随的」に関与し得るとしても、チューインガム組成物は、「健康食品」という特性下で販売され得る。
【0006】
水不溶性基剤
「ガム基剤」(成分a)としても知られている水不溶性基剤は、典型的には、天然または合成エラストマー、樹脂、油脂、可塑剤、増量剤、軟化剤、着色料、および必要に応じてワックスを含む。基剤は通常、全体として組成物の5から95重量%、好ましくは、10から50重量%、より具体的には、20から35重量%を構成する。本発明の1つの典型的な実施態様において、該基剤は、20から60重量% 合成エラストマー、0から30重量% 天然エラストマー、5から55重量% 可塑剤、4から35重量% 増量剤、5から35重量% 軟化剤、および着色料、酸化防止剤などの少量の添加物(ただし、それらは多くても少量だが水に溶解する)からなる。
【0007】
エラストマー
適当な合成エラストマーは、例えば、平均分子量(GPCにより測定)10,000から100,000、好ましくは、50,000から80,000のポリイソブチレン、イソブチレン/イソプレン共重合体(「ブチルエラストマー」)、スチレン/ブタジエン共重合体(スチレン:ブタジエン比、例えば、1:3から3:1)、平均分子量(GPCにより測定)2,000から90,000、好ましくは、10,000から65,000のポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリエチレン、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル共重合体、およびそれらの混合物である。適当な天然エラストマーの例は、例えば、スモークドまたは液体ラッテクスまたはグアユールゴムのようなゴム、およびジェルトン、レチェカスピ(lechi caspi)、ペリロ(perillo)、ソルバ、マッサランドババラタ、マッサランドバチョコレート、ニスペロ、ロジンジンバ(rosindinba)、チクル、グッタハンカンのような天然ゴム、およびそれらの混合物である。合成および天然エラストマー、およびそれらの混合比の選択は本質的には、風船がチューインガム(風船ガム)により産生されるべきであるか否かに依存する。ジェルトン、チクル、ソルバ、およびマッサランドバを含有するエラストマー混合物が、好ましくは用いられる。
【0008】
可塑剤
多くの場合において、エラストマーは、満足のいく処理をするには固すぎるか、あるいは可塑性がないので、特別な可塑剤(もちろん、食品添加物としての許容性に関する具体的な条件も全て満たしていなければならない)を使用することが有利であるとされてきた。この点において適当な可塑剤は、とりわけ、樹脂酸エステル、例えば、完全または部分的に水素化されている低級脂肪族アルコールまたはポリオールのエステル、モノマーまたはオリゴマー樹脂酸である。特にメチル、グリセロール、またはペンタエリトリトールエステル、またはそれらの混合物がこの目的上用いられる。代わりに、α−ピネン、β−ピネン、δ−リモネン、またはそれらの混合物から誘導され得る、テルペン樹脂も用いられ得る。
【0009】
増量剤およびテキスツライザー(texturizer)
適当な増量剤またはテキスツライザーは、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウム、軽石の粉末、シリケート、特に、マグネシウムまたはアルミニウムシリケート、粘土、酸化アルミニウム、滑石粉、酸化チタン、モノリン酸カルシウム、ジリン酸カルシウムおよびトリリン酸カルシウム、およびセルロースポリマーである。
【0010】
軟化剤および乳化剤
適当な軟化剤または乳化剤は、獣脂、硬化獣脂、硬化または部分的硬化植物油、カカオ脂、部分グリセリド、レシチン、トリアセチン、および6から22個、好ましくは、12から18個の炭素原子を含有する飽和または不飽和脂肪酸、およびそれらの混合物である。
【0011】
着色料および漂白剤
適当な着色料および漂白剤は、例えば、FD&Cタイプ、食品を着色することが許可された植物および果物の抽出物、および酸化チタンである。
【0012】
ガム基剤は、ワックスを含有してもよいし、あるいはワックスを含まないものであってもよい。ワックスを含まない組成物の例は、特にUS5,286,500(この記載は、本明細書に具体的に取り込まれる)において見ることができる。
【0013】
水溶性成分
水不溶性ガム基剤に加えて、チューインガム製品は通常、例えば、軟化剤、甘味料、増量剤、香味料、風味増強剤、乳化剤、着色料、酸味料、酸化防止剤などにより形成される水溶性成分(成分b)(ただし、構成成分は少なくとも十分な水溶解性を有する)を含有する。従って、個々の構成成分は、特定の代表物の水溶解性に依存して、水不溶性相および水溶性相の両方に属し得る。しかしながら、組合せ、例えば、水溶性乳化剤および水不溶性乳化剤の組合せ(この場合、個々の代表物は異なる相に存在する)もまた用いられ得る。水不溶性成分は、通常、製品の5から95重量%、好ましくは、20から80重量%を構成する。
【0014】
軟化剤および可塑剤
水溶性軟化剤または可塑剤が、チューインガム組成物に添加され、咀嚼性(chewability)およびかみ心地が改善される。これは典型的には、混合物中に0.5から15重量%の量にて存在する。典型的な例は、グリセロール、レシチン、およびソルビトール水溶液、硬化デンプン加水分解物、またはコーンシロップである。
【0015】
甘味料
適当な甘味料は、糖含有化合物および糖不含化合物の両方であり、これらは、チューインガム組成物に対して5から95重量%、好ましくは、20から80重量%、より具体的には、30から60重量%の量にて用いられる。典型的な糖類甘味料は、スクロース、デキストロース、マルトース、デキストリン、乾燥転化糖、フルクトース、果糖、ガラクトース、コーンシロップ、およびそれらの混合物である。適当な糖置換体は、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、硬化デンプン加水分解物、マルチトール、およびそれらの混合物である。他の適当な添加物は、個々あるいは混合物の形のいずれかである、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム塩、アリタム(alitam)、サッカリンおよびサッカリン塩、シクラミン酸およびその塩、グリチルリシン、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリンなどのようないわゆる高感度人工甘味料(HIAS)である。疎水性HIAS(これは国際特許出願公開番号WO02/091849A1(Wrigleys)の対象である)はまた、特に効果的である。これらの物質が用いられる量は、主としてその感度で決定され、典型的には0.02から8重量%の範囲にある。
【0016】
増量剤
増量剤は、低カロリーチューインガムの製造に特に適しており、例えば、ポリデキストロース、ラフチロース(raftilose)、ラフチリン(raftilin)、フルクトオリゴ糖(NutraFlora)、パラチノーゼオリゴ糖、グアールガム加水分解物(Sun Fiber)、およびデキストリンから選択され得る。
【0017】
香味料および風味増強剤
香味料の選択は事実上制限されず、本発明の本質には重大ではない。これらは通常、チューインガム組成物の0.1から15重量%、好ましくは、0.2から5重量%を構成する。適当な香味料は、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、日本アニス油、カラウェー油、ユーカリ油、ウイキョウ油、カンキツ油、ウィンターグリーン油、丁子油、メントールなどのような例えば、エッセンシャルオイル、合成アロマなどである。
【0018】
他の補助剤および添加物
チューインガムは、例えば、クロルヘキシジン、CPC、またはトリクロサンのような、例えば、歯科治療、より具体的にはプラークおよび歯肉炎の制御に適した補助剤および添加物をさらに含有してもよい。それらはまた、pH調整剤(例えば、緩衝液または尿素)、虫歯予防薬(例えば、リン酸塩またはフッ化物)、生体物(抗体、酵素、カフェイン、植物抽出物)(ただし、これらの物質は、食品において許可され、かつ互いに非所望に相互作用しない)を含有してもよい。
【0019】
植物抽出物、およびそこに存在する活性成分
本発明の目的に適した植物抽出物は、ポリフェノール型の薬理学的な活性成分、より具体的には、カテコール、フラボノイド、クエルシトリン、およびレスベラトロル(例えば、エピカテコール(epicatechol)、エピガロカテコール(epigallocatechol)、エピガロカテコールガラート、テアフラビン、テアフラビンモノ/ジガラート)、フラボノイドグリコシド(例えば、イソクェルシトリン、ケンフェロール、ケンフェロール−3−ラムノシド、イソラムネチン、ルテオリン、ルテオリングリコシド、シトステロールグリコシド、ギンゴライド、ビロバライド)、アントシアン(例えば、デルフィジン)、イソフラボンおよびそのグリコシド(例えば、ダイゼイン、ゲネステイン、フォルムオノネチン(formononentin)、ビオカニンA、オノニン、シスソトリン),イリドイドグリコシド、ハーパーゴサイド、ハーパジド、プロアンビド、アントシアノシド、およびサリチル酸塩(例えば、サリコルチン、トレムラシン(tremulacin))を含有する、植物抽出物である。以下のものが本目的に適している。
【0020】
ギンクゴビロバ
ギンクゴビロバの有効成分は、中でも(イソ)ケルセチン、ケンフェロール、ケンフェロール−3−ラムノシド、イソラムネチン、ルテオリン、ルテオリングリコシド、シトステロールグリコシド、およびギンゴライドまたはビロバライドとして知られているヘキササイクリックテルペンラクトンを含む、フラボノイドグリコシド(「ギンクゴフラボノイド」)である。ギンクゴの有効成分は、中でも遊離ラジカルを中和する能力について知られており、特に、生物、具体的には皮膚の老化の徴候の予防または制御において用いられる。
【0021】
カメリアシネンシス
カメリアシネンシスは、本質的にはポリフェノールである紅茶の有効成分(「お茶のタンニン」)のラテン名であり、すなわち、エピカテコール、エピガロカテコール、エピガロカテコールガラート、エピガロカテコールガラート、テアフラビン、テアフラビンモノガラートAまたはB、およびテアフラビンジガラートであり、抽出物に濃縮された形で存在する。
【化1】

【0022】
【表1】

【0023】
新鮮な乾燥茶葉は、一般に、20から25重量% カテコールを含有し、このうちエピガロカテコールガラートが単独で約50から70重量%を構成する。従って、この活性成分を特に高濃度で含有する調製物が好ましい。緑茶の有効成分は、中でも遊離ラジカルを中和する能力について知られており、特に、生物、具体的には皮膚の老化の徴候の予防または制御において用いられる。
【0024】
バッシニウムミルチルス
バッシニウムミルチルスは、一般的なビルベリーまたはブルーベリーのラテン名である。バッシニウムミルチルス抽出物は、活性成分として、少なくとも15種の異なるアントシアノシド、例えば、デルフィニジン:
【化2】

のようなアントシアノシドの混合物を含有する。
【0025】
バッシニウムミルチルス抽出物は、一般に、20から25重量% アントシアノシド、5から10重量% タンニン、少量の種々のアルカロイド(例えば、ミルチン(myrtin)およびエピミルチン(epimyrtin))、フェノール酸、およびクエルシトリン、イソクエルシトリン、およびヒペロシドを有するグリコシドを含有する。ブルーベリーの有効成分はまた、中でも、遊離ラジカルを中和する能力について知られており、特に、生物、具体的には皮膚の老化の徴候の予防または制御において用いられる。別の適用としては、視力の改善である。
【0026】
ビニスビチフェラ
ビニスビチフェラは、ブドウのラテン名である。ブドウの種子の抽出物は、ポリフェノール、特にカテコールを、一般的に最大15重量%、好ましくは、10から12重量%の量にて含有し:ブドウの葉の抽出物は、クエルシトリンを一般的に最大5重量%、好ましくは、3から4重量%の量にて含有し:そしてビニスビチフェラの皮の抽出物は、レスベラトロルを典型的には最大5重量%、好ましくは、3から4重量%の量にて含有する。個々の抽出物または有効成分、または(技術的な)それらの混合物が、本発明の目的上用いられる。つるの有効成分は、中でも遊離ラジカルを中和する能力について知られており、特に、生物、具体的には、皮膚の老化の徴候の予防または制御において用いられ得る。別の可能性のある適用は、心筋梗塞の予防である。
【0027】
オレアオイロペンシス
オレア抽出物(好ましくは、オリーブの木の葉から、あるいはオリーブ油を製造中にたまった排水から得られる)はポリフェノールが豊富であり、典型的には、乾燥抽出物に対して1から40重量%、好ましくは、5から30重量%、より好ましくは、10から25重量%、そして最も好ましくは、18から22重量% オーレウーロペンを含有する。オリーブの木の活性成分は、中でも遊離ラジカルを中和する能力について知られており、特に、生物、具体的には皮膚の老化の徴候の予防または制御において用いられ得る。
【0028】
トリホリウムプラテンス
トリホリウムプラテンスは、紫クローバーまたは一般的な紫三つ葉のラテン名であり、活性成分として、イソフラボンまたはイソフラボングリコシド、中でもダイゼイン、ゲネステイン、フォルムオノネチン、ビオカニンA、オノニン、および以下の一般式:
【化3】

を有するシッソストリン(sissostrin)を含有する。
【0029】
【表2】

【0030】
紫クローバーの活性成分は、中でも更年期障害、糖尿病、アルツハイマー病、心/循環器疾患、および癌の予防または処置のために用いられる。
【0031】
サリックスアルバ
サリックス(薬理学:サリックスコルテックス(Salix cortex))は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカの至るところに広く行きわたっている、ヤナギの植物科のラテン名である。ウィローバーク抽出物は、古代ギリシャでは、治療目的に用いられていた。ウィローを煎じたものは、中世において解熱薬として広く用いられていた。本発明において、サリックス抽出物は、例えば、サリックスアルバ、サリックスプルプレア(Salix purpurea)、サリックスフラギリス(Salix fragilis)、サリックスペンタンドラ(Salix pentandra)、および/またはサリックスダフノイデス(Salix daphnoides)に基づき得られた調製物であると解される。ウィロー抽出物は、フェノールグリコシド、具体的にはサリシン(以下参照)、サリコルチン、およびトレムラシンのような、主にサリチル酸塩である、活性成分により置き換えられていてもよい。
【化4】

【0032】
ウィローの活性成分の活性成分は、中でも関節リウマチの予防または処置のために用いられる。
【0033】
ハルパゴフィツムプロクムベンス
ハルパゴフィツムプロクムベンス(薬理学:ハルパゴフィツムラジキス(Harpagophyti radix))は、デビルズクローの根のラテン名である。カラハリ砂漠およびナミビア共和国、マダガスカル共和国、および南アフリカの草原地帯の生息地において、デビルズクローの名は、果物をおおうフックからもたらされたものである。デルビスクローは、伝統的なアフリカ医薬の確立した成分であり、中でも鎮痛特性および高炎症特性について賞賛されている。しかしながら、抗リウマチ特性もデビルズクローに起因するのに、インビトロおよびインビボの研究により、相反する結果が生じている。化学用語において、ハルパゴフィツム抽出物は、中でもイリドイドグリコシド、ハーパーゴサイド、ハーパジド、およびプロクンビデス(procumbides)を含有する。
【化5】

【0034】
ハルパゴフィツム抽出物はまた、スタキオース、遊離およびグリコシド化フィトステロール(例えば、β−シトステロール)、フラボノイド(例えば、ケンフェロール、ルテオリン)、フェノール酸、およびグリコシドフェニルプロパン酸エステル(例えば、ベルバコシド(verbacoside)、イソアセトシド(isoacetoside))を含有する。デビルズクローの活性成分は、中でも関節リウマチの予防または処置に用いられる。
【0035】
抽出物
抽出物は、それ自体知られた方法、すなわち、例えば、植物またはそれらの一部分、あるいは葉または果実の水性、アルコールまたは水性/アルコール抽出物により調製され得る。適当な抽出方法は、浸漬、再浸漬、消化、攪拌浸漬、ボルテックス抽出、超音波抽出、向流抽出、濾過、再濾過、エバコレーション(evacolation)(減圧下での抽出)、ジアコレーション(diacolation)、および連続的還流下での固体/液体抽出のような通常の抽出方法のいずれかである。濾過は産業上の利用に有利である。新鮮な植物またはそれらの一部分は出発物質として適しているが、乾燥植物および/または植物の部分(抽出前、機械的にサイズを小さくされていてもよい)が通常用いられる。当業者に知られた任意のサイズを小さくする方法、例えば、凍結粉砕法が用いられ得る。抽出方法の好ましい溶媒は、有機溶媒、水(好ましくは、80℃、より具体的には95℃より高い温度の温水)、または有機溶媒と水との混合物、より具体的には、多少の水を含有している低分子量のアルコールである。メタノール、エタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、酢酸エチルおよび混合物、およびそれらの混合物を含有する水での抽出が、特に好ましい。抽出方法は、一般に、20から100℃、好ましくは、30から90℃、より具体的には60から80℃にて行われる。1つの好ましい実施態様において、抽出方法は、抽出物成分の酸化を避けるために不活性なガス雰囲気下で行われる。これは、抽出が40℃より高い温度で行われる場合、特に重要である。抽出時間は、出発物質、抽出方法、抽出温度、原料に対する溶媒の割合等に依存して、当業者により選択される。抽出方法終了後、得られた粗抽出物は、必要に応じて、例えば、精製、濃縮、および/または脱色のような他の典型的な工程の対象とされる。所望なら、このようにして調製された抽出物は、例えば、個々の非所望の成分の選択的除去の対象とされてもよい。抽出方法は、任意の程度まで行われ得るが、通常、限界まで続けられる。乾燥葉の抽出物における典型的な収率(=用いられた原料の量に対する抽出乾燥物)は、3から15、より具体的には、6から10重量%の範囲にある。本発明は、抽出条件および最終抽出物の収率が、所望の適用に従い選択され得るという知見を含む。一般に、0.5から10重量% 活性な物質(=個体含有物)を有するこれらの抽出物は、そのようなものとして用いられてもよいが、溶媒が、乾燥、より具体的には、噴霧乾燥または凍結乾燥により完全に除去されると、深紅色の固体が後に残る。出発物質がより単純かつ安価な方法により合成されることができないなら、抽出物が上記の純粋な活性な物質を製造するための出発物質として用いられてもよい。従って、抽出物中の活性な物質の含有量は、5から100重量%、より好ましくは、50から95重量%の範囲てあってもよい。抽出物それ自体は、調製物を含有する水として、および/または有機溶媒に溶解された調製物として、および噴霧乾燥または凍結乾燥された水不含固体として存在してもよい。この点に適した有機溶媒は、例えば、1から6個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール(例えば、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、クロロホルムまたは塩化メチレン)、低級エステル、またはポリオール(例えば、グリセロール、またはグリコール)である。
【0036】
キトサンマイクロカプセル
本発明の好ましい実施態様において、植物抽出物、またはそれらに存在する活性成分は、噛んでいる間ゆっくり放出され、風味が長く持続するように、カプセル化された形で用いられてもよい。「マイクロカプセル」は、少なくとも1つの一続きのメンブレンで囲まれた少なくとも1個の固体または液体コアを含有する、直径約0.0001から約5mmの球状の集合体であることは、当業者に理解される。より正確には、それらは、フィルム形成ポリマーでコートされた、よく分散した液体または固体相である(それらの製造において、ポリマーは、乳化およびコアセルベーション、または界面重合後にカプセル化されるべき原料上に沈着する)。キトサンマイクロカプセル、およびその製造方法は、出願人により出願された本願より前の特許出願[WO01/01926、WO01/01927、WO01/01928、WO01/01929]の対象である。平均直径0.0001から5mm、好ましくは、0.001から0.5mm、より具体的には、0.005から0.1mmのマイクロカプセル(これは、メンブレン、および活性成分を含有するマトリックスからなり、成分(c)として適している)は、好ましくは、
(a1)マトリックスをゲル形成剤、キトサン、および活性成分から調製し、
(a2)必要に応じて、該マトリックスを油相に分散させ、次に
(a3)分散させたマトリックスをアニオン性ポリマー水溶液で処理し、必要に応じて、該工程において油相を取り出してもよく、
あるいは
(b1)マトリックスをゲル形成剤、アニオン性ポリマー、および活性成分から調製し、
(b2)必要に応じて、該マトリックスを油相に分散させ、次に、
(b3)分散させたマトリックスを水性キトサン溶液で処理し、必要に応じて、該工程において油相を取り出してもよく、
あるいは、
(c1)水性の活性成分を油成分により乳化剤の存在下で処理し、o/w型乳濁液を形成し、
(c2)得られた乳濁液をアニオン性ポリマー水溶液で処理し、
(c3)このようにして得られたマトリックスを水性キトサン溶液と接触させ、次に、
(c4)このようにして得られたカプセル化された生成物を水相から取り出す、
ことにより、得られてもよい。
【0037】
ゲル形成剤
本発明の目的に好ましいゲル形成剤は、水性溶液中、40℃より高い温度でゲルを形成することができる物質である。かかるゲル形成剤の典型的な例は、ヘテロ多糖類およびタンパク質である。好ましい熱ゲル化ヘテロ多糖類は、紅藻から得られる寒天の形で存在し得るアガロースであり、これは、最大30重量% 非ゲル形成アガロペクチンと一緒であってもよい。アガロースの作用物質の構成成分は、D−ガラクトース、および代わりにβ−1,3−およびβ−1,4−グリコシド結合を有する3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースの線状多糖類である。ヘテロ多糖類は、好ましくは、分子量110,000から160,000を有し、芳香および風味は共にない。適当な代替物は、ペクチン、キサン(キサンガムを含む)、およびそれらの混合物である。他の好ましい種類は、1重量% 水溶液において、80℃より低い温度で溶解せず40℃より高い温度で再び凝固するゲルを依然形成するものである。熱でゲル形成するタンパク質群由来の例は、種々のゼラチンである。
【0038】
キトサン
キトサンは、親水コロイド群に属する生体高分子である。化学的には、それらは、以下
【化6】

で同定されるモノマー単位を含有する、分子量の異なる部分的に脱アセチル化されたキチン質である。
【0039】
生物学的pH値で負に荷電する多くの親水コロイドとは対照的に、キトサンは、これらの条件下で陽イオン生体高分子である。正に荷電したキトサンは、逆に荷電した表面と相互作用することができ、そのため、化粧用ヘアケアおよびボディーケア商品、および医薬製品において用いられる。キトサンは、キチン、好ましくは、安価な原料物質として大量に利用できる亀甲類の貝殻残留物から作られる。Hackmann等により初めて記載された方法では、キチンは、通常、まず塩基の付加により脱タンパクされ、無機酸の付加により脱塩され、最後に強塩基の付加により脱アセチル化され、広範囲に分布する分子量となる。好ましい種類は、平均分子量10,000から500,000ダルトン、または800,000から1,200,000ダルトン、および/またはブルックフィールド粘度(グリコール酸中の1重量%)5,000mPas未満、脱アセチル化の程度80から88%、および0.3重量%未満 灰分を含有するものである。水中でのより高い溶解度にのために、キトサンは、一般的に、その塩、好ましくは、グリコール酸塩の形で用いられる。
【0040】
油相
メンブレンの形成前、マトリックスは、必要に応じて、油相に分散される。この目的に適した油は、例えば、6から18個、好ましくは、8から10個の炭素原子を含有する、脂質アルコールベースのグエルベト(Guerbet)アルコール、直鎖状C6−22脂肪アルコールを有する直鎖状C6−22脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチリル、パルミチン酸ミリスチリル、ステアリン酸ミリスチリル、イソステアリン酸ミリスチリル、オレイン酸ミリスチリル、ベヘン酸ミリスチリル、エルカ酸ミリスチリル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル、およびエルカ酸エルシルのような直鎖状C6−22脂肪アルコールを有する分枝状C6−13カルボン酸のエステルである。分枝状アルコール、より具体的には2−エチルヘキサノールを有する直鎖状C6−22脂肪酸のエステル、直鎖状または分枝状C6−22脂肪アルコール、より具体的には、リンゴ酸ジオクチルを有するヒドロキシカルボン酸のエステル、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジオール二量体またはトリオール三量体)および/またはグエルベトアルコールを有する直鎖状および/または分枝状脂肪酸のエステル、C6−10脂肪酸に基づくトリグリセリド、C6−18脂肪酸に基づく液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、芳香族カルボン酸、より具体的には、安息香酸を有するC6−22脂肪アルコールおよび/またはグエルベトアルコールのエステル、1から22個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状アルコール、または2から10個の炭素原子および2から6個のヒドロキシル基を含有するポリオールを有するC2−12ジカルボン酸のエステル、植物油、分枝状第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖状または分枝状C6−22脂肪アルコール炭酸塩、グエルベト炭酸塩、直鎖状および/または分枝状C6−22アルコール(例えば、Finsolv[登録商標]TN)を有する安息香酸のエステル、1個のアルキル基当たり6から22個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状対称または非対称のジアルキルエーテル、ポリオールを有するエポキシ化脂肪酸の開環生成物、シリコン油、および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素、例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンもまた好ましい。
【0041】
アニオン性ポリマー
アニオン性ポリマーの機能は、キトサンと共にメンブレンを形成することである。好ましいアニオン性ポリマーはアルギン酸の塩である。アルギン酸は、以下
【化7】

で同定されるモノマー単位を有する多糖類含有カルボキシルの混合物である。
【0042】
アルギン酸またはアルギン酸塩の平均分子量は、150,000から250,000の範囲にある。アルギン酸の塩、およびその完全および部分的中和産物は、具体的には、アルカリ金属塩、好ましくは、アルギン酸ナトリウム(「アルギン」)、およびアンモニウムおよびアルカリ土類金属塩である。混合アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウム/マグネシウム、またはアルギン酸ナトリウム/カルシウムが特に好ましい。しかしながら、本発明の代わりの実施態様において、アニオン性キトサン誘導体、例えば、カルボキシル化、中でもスクシニル化生成物も本目的に適している。代わりに、平均分子量5,000から50,000ダルトンのポリ(メト)アクリル酸塩、および種々のカルボキシメチルセルロースも用いられ得る。アニオン性ポリマーの代わりに、アニオン性界面活性剤、または例えば、ピロリン酸塩のような低分子量の無機酸塩もまたメンブレン形成に用いられ得る。
【0043】
乳化剤
適当な乳化剤は、例えば、少なくとも一つの以下の群:
2から30mol エチレンオキシドおよび/または0から5mol プロピレンオキシドを、直鎖状C8−22脂肪アルコール、C12−22脂肪酸、アルキル基において8から15個の炭素原子を含有するアルキルフェノール、アルキル基において8から22個の炭素原子を含有するアルキルアミンに付加した生成物;
アルキル(アルケニル)基に8から22個の炭素原子を含有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシル化類似体;
1から15mol エチレンオキシドをヒマシ油および/または硬化ヒマシ油に付加した生成物;
15から60mol エチレンオキシドをヒマシ油および/または硬化ヒマシ油に付加した生成物;
12から22個の炭素原子を含有する不飽和直鎖状または飽和分枝状脂肪酸、および/または3から18個の炭素原子を含有するヒドロキシカルボン酸を有するグリセロールおよび/またはソルビタンの部分エステル、およびそれらを1から30mol エチレンオキシドに付加した生成物;
12から22個の炭素原子を含有する飽和および/または不飽和の直鎖状または分枝状脂肪酸、および/または3から18個の炭素原子を含有するヒドロキシカルボン酸を有するポリグリセロール(自己縮合の程度2から8)、ポリエチレングリコール(分子量400から5,000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグリコシド(例えば、メチルグリコシド、ブチルグリコシド、ラウリルグリコシド)、およびポリグリコシド(例えば、セルロース)の部分エステル、およびそれらを1から30mol エチレンオキシドに付加した生成物;
ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸、および脂肪アルコールの混合エステル、および/または6から22個の炭素原子を含有する脂肪酸、メチル、およびポリオール、好ましくは、グリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル;
モノ−、ジ−、およびトリアルキルリン酸塩、およびモノ−、ジ−、および/またはトリ−PEG−アルキルリン酸塩、およびそれらの塩;
羊毛脂アルコール;
ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテル共重合体、および対応する誘導体;
ブロック共重合体、例えば、ポリエチレングリコール−30 ジポリヒドロキシステアリン酸塩;
ポリマー型乳化剤、例えば、グッドリッチのペムレン(Pemulen)型(TR−1、TR−2);
ポリアルキレングリコール;および
グリセロール炭酸塩;
から由来の非イオン性界面活性剤である。
【0044】
キトサンマイクロカプセルの製造
マイクロカプセルを製造するために、1から10、好ましくは、2から5重量% ゲル形成剤水溶液、好ましくは、寒天が通常調製され、還流下で加熱される。キトサンを0.1から2、好ましくは、0.25から0.5重量%の量にて、そして活性成分を0.1から25、好ましくは、0.25から10重量%の量にて含有する第2の水溶液が、沸騰熱下、好ましくは、80から100℃で添加される(この混合物をマトリックスと呼ぶ)。従って、活性物質を有するマイクロカプセルの充填はまた、カプセルの重量に対して0.1から25重量%となり得る。所望なら、水不溶性構成成分、例えば、無機顔料が、一般的に水性または水性/アルコール分散物中での粘度を調節するためにこの段階で添加されてもよい。さらに、活性な物質を乳化または分散させるために、乳化剤および/または可溶化剤をマトリックスに添加するのも有用であり得る。ゲル形成剤、キトサン、および活性成分から調製後、マトリックスは、必要に応じて、連続するカプセル化工程において小さな粒子を形成するために、激しく剪断されることで油相に非常によく分散されてもよい。マトリックスを40から60℃の範囲の温度に温め、一方油相を10から20℃に冷却することは、この点で特に有利であると証明されている。実際のカプセル化、すなわち、マトリックス中のキトサンをアニオン性ポリマーと接触させることによるメンブレンの形成は、最後の再び強制的な工程で生じる。このため、必要に応じて、油相に分散されたマトリックスを、約1から50、好ましくは、10から15重量% アニオン性ポリマー水溶液で、40から100℃、好ましくは、50から60℃の温度で処理し、必要なら、同時またはその後油相を除去することが賢明である。得られた水性調製物は、一般的に、1から10重量% マイクロカプセルを含有する。ある場合においては、ポリマー溶液が、他の成分、例えば、乳化剤または保存剤を含有することも有利であり得る。濾過後、好ましくは、平均直径約1mmのマイクロカプセルが得られる。一定のサイズ分布を確かにするため、カプセルをふるいにかけることも有利である。このようにして得られたマイクロカプセルは、生産に関連する制限の範囲内でいずれの形状とすることもできるが、好ましくは、実質的に球形である。代わりに、アニオン性ポリマーがマトリックスの調製に用いられてもよく、そしてカプセル化はキトサンで行われてもよい。
【0045】
本発明によるマイクロカプセルの製造の代わりの方法において、油成分の代わりに有効量の乳化剤、水、および活性成分を含有するo/w型乳濁液がまず調製される。マトリックスを生成するために、適当な量の水性アニオン性ポリマー溶液がこの調製物に激しく攪拌しながら添加される。メンブレンは、キトサン溶液の添加により形成される。完全な方法は、好ましくは、pH3から4の中程度の酸性範囲で行われる。必要に応じて、pHは、無機酸の添加により調節される。メンブレンの形成後、pHは、5から6に、例えば、トリエタノールアミンまたは別の塩基の添加により上げられる。これにより、例えば、ポリサッカライド、より具体的には、キサンガム、グアールガム(guar guar)、寒天、アルギン酸塩およびタイロシス、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、脂肪酸、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドのそれぞれ高分子量のポリエチレングリコールモノ−およびジエステルなどのような他の増粘剤の添加により支持され得る、粘度の増加が生じる。最終的に、マイクロカプセルは、水相からデカンテーション、濾過、または遠心により取り出される。キトサンマイクロカプセルは、チューインガム製品中0.1から10重量%、好ましくは、0.5から8重量%、より具体的には、1から5重量%の量にて存在してもよい。
【0046】
チューインガム組成物の製造
成分は、具体的には、異なる融点を有する成分をより上手く一緒に処理され得るように融解することを含む、任意の既知かつ慣習的方法により混合され得る。次に、最終調製物は、個々の断片、例えば、細長い一片、塊、球形などの形に変えられ得る。基礎となるガムがまず製造され、次に、選択された成分でコートされる。典型的には、チューインガム製品は、以下の成分:
(a)5から49重量% 水不溶性基剤成分、
(b)5から49重量% 水溶性成分、および
(c)2から10重量% 必要に応じてカプセル化された、植物抽出物またはその活性成分、
(ただし、示した量は合計して最大100重量%である)
を有する。
【0047】
商業的適用
新規チューインガム製品は、植物に由来する活性成分の含有量に基づいて、それらは、生物、具体的には皮膚の老化の徴候を打ち消し、例えば、関節炎のような重篤な疾患に対する予防に相当するという事実により、区別される。癌に対する予防効果も多くの研究報告によって示唆されているが、まだ決定的には示されていない。従って、本発明はまた、ギンクゴビロバ、カメリアシネンシス、バッシニウムミルチルス、ビニスビチフェラ、オレアオイロペンシス、トリホリウムプラテンス、サリックスアルバ、ハルパゴフィツムプロクムベンス、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物の抽出物、およびそれらに存在する活性成分、より具体的には、カテコール、フラボノイド、クエルシトリン、レスベラトロル、フラボノイドグリコシド、イソフラボン、イソフラボングリコシド、イリドイドグリコシド、ハーパーゴサイド、ハーパジド、プロアンビド、アントシアノシドおよびサリチル酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものの、チューインガム製品の製造のための使用(ここで、それらは、0.1から10重量%、好ましくは、0.5から8重量%、より具体的には1から5重量%の量にて存在し得る)に関する。多くの典型的な処方を以下の表1に示す。
【0048】
実施例
実施例1
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水 200mlに溶解した。まず、グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に、10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥ギンクゴビロバ抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃に温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0049】
実施例2
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水200mlに溶解した。まず、グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に、10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥カメリアシネンシス抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃に温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0050】
実施例3
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水200mlに溶解した。まず、グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に、10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥バッシニウムミルチルス抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃に温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0051】
実施例4
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水200mlに溶解した。まず、グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥ビニスビチフェラ抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃に温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0052】
実施例5
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水200mlに溶解した。まず、グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に、10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥トリホリウムプラテンス抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃まで温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0053】
実施例6
攪拌機および還流冷却器を取り付けた500mlの三口フラスコにて、寒天3gを沸騰水200mlに溶解した。グリセロール(10g)の水(90ml)中溶液、そして次に、10重量% 水溶液の形態のアルギン酸ナトリウム(2.5g)、乾燥オレアオイロペンシス抽出物(1g)、Phenonip[登録商標](0.5g)、およびPolysorbate-20(Tween[登録商標]20,ICI)(0.5g)の水(64g)中調製物を、該混合物に約30分かけて激しく攪拌しながら添加した。得られたマトリックスを濾取し、60℃に温め、1重量% キトサングリコール酸水中溶液に滴下した。同じ直径のマイクロカプセルを得るために、次に該調製物をふるいにかけた。
【0054】
多くの処方例を以下の表1に示す。
表1
処方例(重量%としての量)
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水不溶性基剤成分、
(b)水溶性成分、および
(c)ギンクゴビロバ(Ginkgo biloba)、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)、バッシニウムミルチルス(Vaccinium myrtillus)、ビニスビチフェラ(Vinis vitifera)、オレアオイロペンシス(Olea europensis)、トリホリウムプラテンス(Trifolium pratense)、サリックスアルバ(Salix (alba))、ハルパゴフィツムプロクムベンス(Harpagophytum procumbens)、およびそれらの混合物からなる群から選択される植物の抽出物、
を含有する、チューインガム組成物。
【請求項2】
(a)水不溶性基剤成分、
(b)水溶性成分、および
(c)カテコール、フラボノイド、クエルシトリン、レスベラトロル、フラボノイドグリコシド、イソフラボン、イソフラボングリコシド、イリドイドグリコシド、ハーパーゴサイド、ハーパジド、プロアンビド、アントシアノシド、およびサリチル酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、植物由来の活性成分、
を含有する、チューインガム組成物。
【請求項3】
成分(a)として天然または合成エラストマー、樹脂、油脂、可塑剤、増量剤、軟化剤、着色料、およびワックスからなる群から選択される水不溶性成分を含有することを特徴とする、請求項1および/または2記載の組成物。
【請求項4】
成分(a)を5から95重量%の量にて含有することを特徴とする、請求項1から3の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項5】
成分(b)として、軟化剤、甘味料、増量剤、香味料、風味増強剤、乳化剤、着色料、酸性化剤、および酸化防止剤からなる群から選択される水溶性成分を含有することを特徴とする、請求項1から4の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項6】
成分(b)を5から95重量%の量にて含有することを特徴とする、請求項1から5の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項7】
メンブレン、および植物抽出物および/または植物に由来する活性成分を含有するマトリックスからなり、
(a1)マトリックスをゲル形成剤、キトサン、および活性成分から調製し、
(a2)必要に応じて、該マトリックスを油相に分散させ、次に、
(a3)分散させたマトリックスをアニオン性ポリマーの水溶液で処理し、必要に応じて、油相を該工程において取り出してもよく、
あるいは、
(b1)マトリックスをゲル形成剤、アニオン性ポリマー、および活性成分から調製し、
(b2)必要に応じて、該マトリックスを油相に分散させ、次に、
(b3)該分散させたマトリックスを水性キトサン溶液で処理し、必要に応じて、油相を該工程において取り出してもよく、
あるいは、
(c1)水性の活性成分調製物を油成分により乳化剤の存在下で処理し、o/w型乳濁液を形成し、
(c2)得られた乳濁液をアニオン性ポリマー水溶液で処理し、
(c3)このようにして得られたマトリックスを水性キトサン溶液と接触させ、次に、
(c4)このようにして得られたカプセル化された生成物を水相から取り出す、
ことにより得られ得る、平均直径0.0001から5mmのマイクロカプセルを成分(c)として含有することを特徴とする、請求項1から6の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項8】
成分(c)を0.1から10重量%の量にて含有することを特徴とする、請求項1から7の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項9】
(a)5から49重量% 水不溶性基剤成分、
(b)5から49重量% 水溶性成分、および
(c)2から10重量% 必要に応じてカプセル化されている、植物抽出物および/またはそれらの活性成分、
(ただし、示した量は合計して最大100重量%である)
を含有することを特徴とする、請求項1から8の少なくとも1項記載の組成物。
【請求項10】
チューインガム製品の製造のための、請求項1記載の植物抽出物、または請求項2記載のそれらに含有される活性成分の使用。

【公表番号】特表2006−514061(P2006−514061A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566003(P2004−566003)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014600
【国際公開番号】WO2004/062639
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】