説明

植物由来精油のマイクロ波抽出装置

【課題】マイクロ波を用いて、植物系バイオマスから連続的に効率よく精油を抽出することができる、植物由来精油のマイクロ波抽出装置を提供する。
【解決手段】植物系バイオマスAから抽出溶剤Sにより精油を抽出するためのマイクロ波抽出装置10であって、マイクロ波照射装置1と、該装置1から照射されるマイクロ波を伝達するためのマイクロ波透過性耐熱材料で形成された棒状または管状の構造体3を備えた精油抽出槽2と、該精油抽出槽2から排出された精油を含む抽出溶剤Sを貯留する抽出物貯留槽4と、を有するマイクロ波抽出装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来精油のマイクロ波抽出装置に関する。詳細には、マイクロ波を用いて、植物系バイオマスから該植物由来の精油を抽出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策の一環として、バイオマスを燃料に用いた発電技術がある。バイオマスとしては、都市ごみ、食品残渣、下水汚泥などの産業系バイオマスと、家畜糞尿などの動物系バイオマスと、栽培植物、伐採木や農作物残渣などの植物系バイオマスとがあり、植物系バイオマスは、粉砕物、炭化物、液化物、ガス化物などに加工された後、燃料として用いられる。
【0003】
これら上記のバイオマスは固体であり、嵩高く、収集・運搬に多くのエネルギーが必要とされるため、大量に調達して、バイオマスの発生源より遠方にて用いるには不向きな燃料である。そこで、この問題を解消するために、固体バイオマスを変換して、液化またはガス化することが行われており、液化では、バイオマスを醗酵させてエタノールに変換する、あるいは熱化学的にDMEに変換する、またガス化では、水蒸気と反応させて合成ガスに変換する等の技術開発が行われている。
【0004】
しかしながら、植物系バイオマスは様々な成分を含み、その中には付加価値の高い精油成分も存在するが、植物系バイオマスを燃料として利用する場合には、こうした付加価値の高い精油成分を取り出すことはせず、一括して燃料に変換され消費されてしまっているのが現状である。
【0005】
一方、植物系バイオマスからの微量成分の抽出は、香料や精油、染料等の抽出、利用として、従来行われてきた。植物系バイオマスから精油等を抽出する方法としては、水蒸気蒸留法、圧搾法、拭き取り法、油脂吸着法、温浸法(マセラション)、冷浸法(アンフルラージュ)、パーコレーション法、超臨界二酸化炭素抽出法、液化二酸化炭素抽出法などがある。
【0006】
しかし、水蒸気蒸留法、拭き取り法、油脂吸着法、温浸法(マセラション)、冷浸法(アンフルラージュ)、パーコレーション法は、一般に抽出に長時間を要し、そのために抽出された精油の劣化や手間暇を要し、大量処理し難い等という問題点がある。圧搾法は、抽出に時間はかからないが、精油含有量の低い樹木、葉、花などには適用できない問題点がある。超臨界二酸化炭素抽出法、液化二酸化炭素抽出法は、特殊な装置が必要であるため抽出コストが高くなる問題点がある。
【0007】
上記の問題点を一挙に解決しうる方法として、マイクロ波を加熱源に用いる抽出法がある(例えば、特許文献1〜6を参照)。
【0008】
具体的には、エタノールやグリセリンなどの抽出溶媒と粉砕した植物の混合液を、ガラスチューブに入れてマイクロ波を照射した後、濾過することにより、経時安定性が良く着色の少ない植物抽出物を得る方法(特許文献1参照)、あるいは、凍結粉砕した動植物由来の材料を溶剤抽出する際に、熱エネルギーとしてマイクロ波を利用する方法(特許文献2参照)などが提案されている。しかし、特許文献1の方法は、植物バイオマスをガラスチューブに入れその外側からマイクロ波を照射するものであり少量の植物抽出物を得るには良い方法であるが、大量の植物系バイオマスを処理するために装置を大きくすることは困難であり、大量の植物抽出物を得るのに適した方法とは言い難い。また、特許文献2は、バイオマス原料を、凍結してから粉砕し、しかる後に加熱して溶剤抽出するものであり、工程が煩雑であり、また一連の処理に大きなエネルギーコストを必要とする。
【0009】
一方、抽出溶剤をリサイクル使用する抽出法として、ヘキサンなどのマイクロ波透過性の有機溶剤と水分含有率25%以上の植物とを混合し、該混合物にマイクロ波を照射した後、処理済みの混合物を分離し、さらに分離した溶液から抽出溶剤を分離する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この方法では、マイクロ波の照射装置に特段の工夫がなく、処理量を多くするために装置を単に相似的に大きくした場合に、マイクロ波の均一照射が困難になるため、大量の植物系バイオマスを処理するのに適した方法とは言い難い。
【0010】
さらに、特許文献4〜6に開示されている、マイクロ波を用いて植物系バイオマスから精油を抽出する方法は、基本的には水溶媒を用いて、水蒸気蒸留する方式であるため、植物系バイオマスは水の沸点程度まで加熱される。そのため、長時間の抽出を行った場合には、精油が熱劣化する、植物系バイオマスが焦げるなどの問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−089786号公報
【特許文献2】特表昭63−502090号公報
【特許文献3】特開平4−183796号公報
【特許文献4】特開2007−231196号公報
【特許文献5】特開2007−098383号公報
【特許文献6】特開2007−313442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、マイクロ波を用いて、植物系バイオマスから効率よく精油を抽出することができる、植物由来精油のマイクロ波抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、下記の装置を提供する。
【0014】
(1)植物系バイオマスから抽出溶剤により精油を抽出するためのマイクロ波抽出装置であって、マイクロ波照射装置と、該装置から照射されるマイクロ波を伝達するためのマイクロ波透過性耐熱材料で形成された棒状または管状の構造体を備えた精油抽出槽と、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤を貯留する抽出物貯留槽と、を有するマイクロ波抽出装置。
(2)精油抽出槽は、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤を貯留する抽出物貯留槽内に配置されており、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤が、導管を通して、抽出物貯留槽に排出されるように構成されている(1)に記載のマイクロ波抽出装置。
(3)精油を含む抽出溶剤から精油と抽出溶剤を分離するための蒸発装置と、蒸発した抽出溶剤を凝縮するための凝縮装置と、凝縮した抽出溶剤を貯蔵する抽出溶剤槽と、抽出溶剤槽から精油抽出槽へ抽出溶剤を供給するための抽出溶剤供給手段をさらに有する(1)または(2)に記載のマイクロ波抽出装置。
(4)抽出溶剤がプロトン性極性溶剤である(1)〜(3)のいずれかに記載のマイクロ波抽出装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明のマイクロ波抽出装置は、マイクロ波照射装置から発振されたマイクロ波が効率よく植物系バイオマスに伝達、照射されるため、植物系バイオマスから低温で一度に大量の植物由来精油を抽出することが可能になると共に、抽出した精油を含む溶剤は、マイクロ波が当たらない抽出物貯留槽に排出されるため、抽出した精油が熱劣化するおそれが無い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るマイクロ波抽出装置の概略を示す構成図(正面図)である。
【図2】精油抽出槽の上面図である。
【図3】本発明に係るマイクロ波抽出装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るマイクロ波抽出装置の好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るマイクロ波抽出装置の好ましい一例を示す概略構成図である。図1において、マイクロ波抽出装置(10)は、マイクロ波照射装置(1)と、該装置から照射されるマイクロ波を伝達するためのマイクロ波透過性耐熱材料で形成された棒状または管状の構造体(3)を備えた精油抽出槽(2)と、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤を貯留する抽出物貯留槽(4)と、を有するものである。
【0019】
前記精油抽出槽(2)は、植物系バイオマス(A)および抽出溶剤(S)を収容すると共に、これらにマイクロ波を照射して植物系バイオマスおよび抽出溶剤を加熱し、加熱された抽出溶剤により、短時間で植物系バイオマスから植物由来精油を抽出する槽である。精油抽出槽(2)は、単数または複数の前記構造体(3)を備えている。そのため、前記マイクロ波照射装置(1)から発振されたマイクロ波は、該構造体の上部に照射された後、該構造体の内部を伝達(伝播)し、その後、構造体周辺の植物系バイオマスに照射される。
【0020】
図1において、ステンレス製の精油抽出槽(2)には、植物系バイオマスの細片(A)が充填されている。精油抽出槽(2)には、マイクロ波を透過する耐熱性材料で形成された棒状の構造体(3)が、その一部が植物系バイオマス(A)の充填層から突出するように分散して配置されている。この構造体の存在により、マイクロ波照射装置から発振されたマイクロ波が植物系バイオマスの隅々まで伝達される効果がある。
【0021】
構造体(3)の形状は、特に限定されるものではなく、棒状または管状が好ましいが、ファイバー状或いはこれらの組合せであって良い。また、構造体の内部は中空でも良い。構造体(3)の大きさや配置の形態、配置数も任意であるが、マイクロ波を万遍なく植物系バイオマスに届かせるようにするためには、図2に示すように、複数の構造体を配置し、各構造体のマイクロ波到達円が六方細密充填になるように配置することが好ましい。
【0022】
上記の構造体(3)の材質は、特に限定されるものではなく、マイクロ波を透過する材質であれば、セラミック;テフロン(登録商標)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンサルフォン(PPSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリエステル(LCP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル等の耐熱性樹脂;ガラス等の双極子を持たない材料或いは双極子モーメントが小さい材料;等を用いることができる。
【0023】
精油抽出槽(2)の下部には、セラミック製またはガラス製またはテフロン(登録商標)製の多孔板(5)などを設置しておくと、植物系バイオマスと精油を含む抽出溶剤とが分離されやすくなる。
【0024】
本発明のマイクロ波抽出装置を用いて植物由来精油の抽出を行う場合は、先ず、精油抽出槽(2)に植物系バイオマスの細片(A)を充填する。該細片は、植物系バイオマスをそのまま、もしくは乾燥後のものを、ミキサーなどを用いて、適当な大きさに切断または粉砕したものであれば良い。一度、抽出に用いられた植物系バイオマスの廃物を用いることもできる。植物系バイオマスの細片を用いることで、抽出溶剤との接触面積が大きくなり、精油の抽出効率が高められることで短時間に抽出を終了することができる。好ましい植物系バイオマスは、植物の実、葉、茎、幹、根、花等である。
【0025】
次いで、植物系バイオマスの細片が充填された精油抽出槽(2)に、抽出溶剤を供給する。抽出溶剤の供給は、例えば、精油抽出槽(2)の上部に設けた開口(8)を通して、供給管(9)を介して行うことができる。抽出溶剤の供給量は、植物系バイオマスの細片が浸る程度の量とする。
【0026】
次いで、マイクロ波照射装置(1)より、植物系バイオマスの細片および抽出溶剤にマイクロ波を照射することによって、これらが加熱されることで、植物系バイオマスから精油が抽出される。
【0027】
精油抽出槽(2)に導入された抽出溶剤および植物系バイオマスの細片は、マイクロ波照射装置から照射されるマイクロ波によって加熱されるため、加熱された溶剤分子は、加熱された植物系バイオマスの細片(A)の間を通過しながら、流下する間に精油を抽出する。充填された植物系バイオマスは、平衡水分量に近い水分を保有しているので、保有水分がマイクロ波によって活性化され、水と抽出溶剤とが混ざりやすくなりかつ、活性化された水がバイオマス繊維や組織を内側から膨潤させるため、植物系バイオマスに含まれる精油が、通常の溶剤抽出よりも抽出されやすくなる。
【0028】
精油抽出の際は、精油抽出槽(2)の温度(すなわち、抽出溶剤の温度)は、抽出溶剤の沸点未満に保持するのが良い。抽出溶剤の温度を低く保持することにより、精油成分の分解を防止することができる。また、抽出溶剤の蒸気圧を低く保持することによって、供給管(9)から供給される抽出溶剤が逆流するのを防止することができる。
【0029】
マイクロ波を照射しながら、抽出溶剤を連続的に供給して行く。抽出溶剤の供給量が、精油抽出槽(2)の側管(6)の高さを超えると、精油を含む抽出溶剤は、精油抽出槽から溢れ出て抽出物貯留槽(4)に溜められる。この抽出物貯留槽(4)には、マイクロ波は照射されないため、抽出溶剤に含まれる精油が熱劣化するおそれが無い。
【0030】
抽出溶剤は、マイクロ波照射による植物系バイオマスの焦げおよび精油の分解防止、ならびに、精油の溶剤への移行を円滑にするため、水より沸点の低い極性プロトン性有機溶剤を用いることが好ましい。この極性プロトン性有機溶剤は、誘電率が高いほどマイクロ波吸収性が高い。
【0031】
好ましい有機溶剤としては、沸点および誘電率の点から、1−プロパノール(沸点97℃、誘電率20)、2−プロパノール(沸点82℃、誘電率18)、アセトニトリル(沸点82℃、誘電率37)エタノール(沸点79℃、誘電率24)、メタノール(沸点65℃、誘電率33)、アセトン(沸点56℃、誘電率21)などがあげられる。なかでも、安全面から言えば、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノール、アセトンがより好ましい。これらの有機溶剤は、水(誘電率78.5)に比べると誘電率は低いが、ヘキサンなどの非極性溶剤とは異なり水との相溶性があるため、精油の抽出速度は大きい。
【0032】
次いで、抽出物貯留槽(4)の精油を含む抽出溶剤を、開口(7)を通して、抽出物貯留槽(4)の外に取り出し、通常の方法にて、精油と抽出溶剤を分離した後、分離した抽出溶剤を必要に応じて精製した後、再度精油抽出槽(2)に供給すれば良い。これにより、抽出溶剤のリサイクル使用、および、植物系バイオマスからの連続抽出が可能になる。
【0033】
本発明のマイクロ波抽出装置を用いた抽出法では、マイクロ波発生装置から照射するマイクロ波の出力、周波数および照射方法は、特に限定されないが、マイクロ波を連続的または間欠的に照射しながら、溶剤抽出温度が所定の範囲に保持できるよう、電気的に制御可能な方法が好ましく採用される。
【0034】
マイクロ波の出力は、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とすることが望ましい。マイクロ波の周波数は0.5〜10GHzが望ましい。0.5GHz未満の周波数では溶媒分子が電界の向きに追従可能で加熱効率が悪くなるため加熱不十分となり、10GHzを超える周波数では、出力が高すぎて植物系バイオマスの焦げ、溶媒の突沸や急激な蒸発が起こることがあり好ましくない。
【0035】
マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
【0036】
本発明のマイクロ波抽出装置を用いた抽出法では、植物系バイオマスに元々含まれる水分の存在によって、マイクロ波エネルギーが優先的に植物系バイオマスの加熱に用いられる。そのため、通常の溶剤抽出法に比べて精油の抽出効率が高い。また、プロトン性極性溶剤を用いることで、従来の水蒸気蒸留法に比べて、抽出エネルギーを7割以下にすることができる。
【0037】
本発明に係るマイクロ波抽出装置は、新しい抽出溶剤を供給しながら精油を抽出する、連続式精油抽出を可能にする装置である、また、最初に必要量の抽出溶剤を入れて抽出した後、精油を含む抽出溶剤を回収する、バッチ式精油抽出を可能にする装置でもある。精油抽出装置内に充填可能な量の植物系バイオマスを入れれば、一度に大量の植物系バイオマスを処理することが可能となり、抽出の効率化が望める。特に、葉などの水分が多く柔らかい植物系バイオマスに適した装置である。
【0038】
図3は、本発明に係るマイクロ波抽出装置を用いて得られた精油を含む抽出溶剤のリサイクル使用を可能にする抽出装置の一例を示す図である。
【0039】
図3に示す抽出装置は、前記のマイクロ波抽出装置(10)と、精油を含む抽出溶剤から精油と抽出溶剤を分離するための蒸発装置(20)と、蒸発した抽出溶剤を凝縮するための凝縮装置(30)と、凝縮した抽出溶剤を貯蔵する抽出溶剤槽(40)と、抽出溶剤槽から精油抽出槽へ抽出溶剤を供給するための供給手段(12)と、を有するものである。
【0040】
精油を含む抽出溶剤を、抽出物貯留槽(4)の下部に設けられた開口(7)を通して、循環ポンプ(11)を介し、精油と抽出溶剤とを分離するための蒸発装置(20)に導入する。そして、該蒸発装置(20)により精油と抽出溶剤を分離する。次いで、蒸発した抽出溶剤は、凝縮装置(30)で凝縮される。凝縮された抽出溶剤は、抽出溶剤槽(40)に貯蔵される。そして、ポンプなどの汎用の溶剤供給手段(12)を介して、精油抽出槽(2)の上部開口(8)を通し、供給管(9)から、精油抽出槽(2)へ抽出溶剤を供給する。これにより、精油と抽出溶剤との分離、および抽出溶剤のリサイクル使用が可能になる。
【0041】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらの本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のマイクロ波抽出装置によれば、植物系バイオマスから様々な植物由来精油を抽出でき、抽出した精油を製薬、化粧品、食品、芳香剤、染色剤などの様々な産業分野で利用することが可能となる。本発明のマイクロ波抽出装置によれば、マイクロ波の均一照射が可能となるので、装置の大きさを適宜設計することにより、小規模の抽出試験はもとより、大量の植物系バイオマスからの精油抽出まで実施することができ、抽出処理後の植物系バイオマスは燃料として利用される。
【符号の説明】
【0043】
A 植物系バイオマス
S 抽出溶剤
1 マイクロ波照射装置
2 精油抽出槽
3 構造体
4 抽出物貯留槽
5 多孔板
6 側管
7,8 開口
9 供給管
10 マイクロ波抽出装置
12 抽出溶剤供給手段
20 蒸発装置
30 凝縮装置
40 抽出溶剤槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系バイオマスから抽出溶剤により精油を抽出するためのマイクロ波抽出装置であって、マイクロ波照射装置と、該装置から照射されるマイクロ波を伝達するためのマイクロ波透過性耐熱材料で形成された棒状または管状の構造体を備えた精油抽出槽と、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤を貯留する抽出物貯留槽と、を有するマイクロ波抽出装置。
【請求項2】
精油抽出槽は、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤を貯留する抽出物貯留槽内に配置されており、該精油抽出槽から排出された精油を含む抽出溶剤が、導管を通して、抽出物貯留槽に排出されるように構成されている請求項1に記載のマイクロ波抽出装置。
【請求項3】
精油を含む抽出溶剤から精油と抽出溶剤を分離するための蒸発装置と、蒸発した抽出溶剤を凝縮するための凝縮装置と、凝縮した抽出溶剤を貯蔵する抽出溶剤槽と、抽出溶剤槽から精油抽出槽へ抽出溶剤を供給するための抽出溶剤供給手段をさらに有する請求項1または2に記載のマイクロ波抽出装置。
【請求項4】
抽出溶剤がプロトン性極性溶剤である請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ波抽出装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−188312(P2010−188312A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37365(P2009−37365)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】