説明

植物病原体の制御のための化合物および関連する使用

下記の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物、並びにこれらの化合物の植物病原体真菌の制御におけるそれらの使用および/または非生物的および生物的ストレスの軽減における使用を開示する:
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、その植物病原体の制御のための化合物および関連する使用に関する。
【0002】
(背景技術)
アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、ヒドロキシスルホベタインのような両性界面活性剤は、その発泡性、増粘性、帯電防止性、軟化性について知られており、他のタイプの界面活性剤との優れた親和性並びに皮膚および眼に対する固有の低い刺激能力故に、洗浄剤および化粧品において広く使用されている化合物である。
また、上記の両性界面活性剤は、例えば、WO-A-97/47196号およびEP-B-0597488号並びに他の多くの特許において記載されているように、農薬製剤中の成分として使用し得ることも知られている。
さらにまた、EP-A2-1542023号は、適切な農業用途における、両性界面活性剤の既に市場にある農薬の“生物活性化剤”としての使用を特許請求している。とりわけ、両性界面活性剤を、例えば、グリホサート(Glyphosate)のような除草剤化合物と混合すると、その生物学的活性は改善される。“生物活性化剤”の効果は、植物組織または病原体表面内での農芸化学活性成分(除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤等)の増強された吸収性或いは興味ある生命体における農芸化学活性成分の増強された利用性において発揮されることを指摘しなければならない。
それ故に、EP-A2-1542023号に記載された組成物は、そのようにして添加した活性成分の適用濃度の低減を可能にしている。
EP-A2-1542023号においては、両性界面活性剤は、結果として、製剤成分の論理的役割に従い、それら界面活性剤を単純に一緒に混合している活性成分の担体として単に作用しているだけである。上記界面活性剤の生物学的活性は、明らかに除外されている。
さらにまた、農業分野においては、グリシンベタインは、果実植物に投与した場合、EP-A-0806897号に記載されているように、非生物的および栄養的繁殖ストレスの制御、果実の皮の不完全性および熟成するときに皮が破壊する性向の低減に寄与し、オスモライト(osmolyte)調節剤として作用することも知られている。
【0003】
(発明の開示)
本出願人は、今回、驚くべきことに、殺真菌剤および殺菌剤製品として、農業分野において驚くべき活性を有し、且つ植物病原体真菌および細菌に対する長期の保護作用を植物上で得るのを可能にする種々の両性化合物を見出した。
従って、本発明の目的は、下記の一般式(I)を有する、ベタインタイプの双性イオン構造に特徴を有する両性化合物である:
【化1】

(式中、R1は、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26ハロアルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルコキシル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキルチオ基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルケニル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルキニル基;必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基または必要に応じて置換したステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基;必要に応じて縮合させ、必要に応じて置換したC3〜C30シクロアルコキシル基;必要に応じて置換した複素環基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した糖タイプの線状または環状のC6〜C12基;0と異なるnにおいて必要に応じて置換したC1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミンを示し;
R2およびR3は、同一または異なるものであって、必要に応じて置換したC1〜C3アルキル基を示し;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、水素原子;或いは、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C6アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C6アルケニル基;必要に応じて置換したC3〜C6シクロアルキル基;ヒドロキシル基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した複素環基を示し;
R4およびR5は、個々に、R2と一緒に環を形成し得;
Xは、窒素またはイオウ原子を示し;
Zは、炭素またはイオウ原子を示し;
mは、1〜5の範囲の数を示し;
nおよびpは、0〜3の範囲の数を示し;
qは、X = イオウにおいて0の値、X = 窒素において1の値を有し;
sは、Z = 炭素において1の値、Z = イオウにおいて2の値を有する)。
【0004】
また、本出願人は、一般式(I)を有する化合物が、直接の殺真菌または殺菌作用を有する以外に、植物の生来の防御系を活性化し且つ植物自体において耐性を誘発し得ることも見出している;病害を制御し、非生物的ストレス(温度、塩分、日照等)および生物的ストレスを軽減するこの方法は、植物において既に存在する生来のプロセスを、これらの化合物を投与することによって増幅させることに基づくので、益々興味を有するようになっている。
また、本出願人は、驚くべきことに、一般式(I)を有するこれらの化合物が、生来の自然防御を増幅させるための遺伝子操作植物種においても植物病原体を制御する最適の形を示すことも見出している。
従って、本発明のさらなる目的は、下記の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物の、植物病原体真菌および細菌の制御および/または非生物的および生物的ストレスの軽減における使用に関する:
【化2】

(式中、R1は、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26ハロアルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルコキシル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキルチオ基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルケニル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルキニル基;必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基または必要に応じて置換したステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基;必要に応じて縮合させ、必要に応じて置換したC3〜C30シクロアルコキシル基;必要に応じて置換した複素環基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した糖タイプの線状または環状のC6〜C12基;0と異なるnにおいて必要に応じて置換したC1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミンを示し;
R2およびR3は、同一または異なるものであって、必要に応じて置換したC1〜C3アルキル基を示し;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、水素原子;或いは、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C6アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C6アルケニル基;必要に応じて置換したC3〜C6シクロアルキル基;ヒドロキシル基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した複素環基を示し;
R4およびR5は、個々に、R2と一緒に環を形成し得;
Xは、窒素またはイオウ原子を示し;
Zは、炭素またはイオウ原子を示し;
mは、1〜5の範囲の数を示し;
nおよびpは、0〜3の範囲の数を示し;
qは、X = イオウにおいて0の値、X = 窒素において1の値を有し;
sは、Z = 炭素において1の値、Z = イオウにおいて2の値を有する)。
【0005】
さらにまた、本発明の目的は、一般式(I)を有するベタインタイプの双方イオン構造を有する両性化合物の、非生物的および生物的ストレスからの植物の生来の防御系の活性化および植物自体の耐性の誘発における使用に関する。
とりわけ、植物病原体真菌の制御における一般式(I)を有する化合物の使用は、治癒的および/または予防的である。
さらにまた、上記植物病原体の制御における使用は、一般に遺伝子操作植物種においても行う。
また、本発明のさらなる目的は、一般式(I)を有する化合物の、例えば、プラスチック材、金属類、織物繊維、ガラス、木材、紙、発泡体、レンガ等のような非生命基体上の真菌病害の制御における使用にも関する。上記化合物は、基体表面へ、例えば、スプレー、塗布、浸漬、含浸等のような当該技術において周知の方法によって、材料の種類および基体が晒される条件に依存する投与量で適用し得る。
【0006】
C1〜C26アルキル基は、1個以上の同一または異なる置換基によって必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキル基を称する。
この基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、カプリル、ラウリル、ステアリル、エイコシル、ヘキサコシルである。
C1〜C26ハロアルキル基は、1個以上の同一または異なるハロゲン原子によって置換した線状または枝分れのアルキル基を称する。
この基の例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、パーフルオロオクタニル、パーフルオロドデシルである。
C1〜C26アルコキシル基は、その脂肪族成分が上記で定義したようなC1〜C26アルキルであるC1〜C26アルコキシル基を称する。
この基の例は、メトキシル、エトキシル、イソプロポキシル、シクロプロピルメトキシル、ラウリルオキシルである。
C1〜C26チオアルキル基は、その脂肪族成分が上記で定義したようなC1〜C26アルキルであるC1〜C26チオアルキル基を称する。
この基の例は、チオメチル、チオエチル、チオラウリル、チオカプリルである。
C2〜C26アルケニル基は、1個以上の同一または異なる置換基によって必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルケニル基を称する。
この基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-デセニル、8-ヘプタデセニル、8,11,14-ヘプタデカトリエニル、8,11-ヘプタデカジエニルである。
C2〜C26アルキニル基は、1個以上の同一または異なる置換基によって必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルキニル基を称する。
この基の例は、エチニル、プロパルギル、1-ドデシニル、1-オクタデシニルである。
【0007】
必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基は、その環が3〜30個の炭素原子からなり、1個以上の同一または異なる置換基によって必要に応じて置換したシクロアルキル基を称する。
この基の例は、シクロプロピル、2,2-ジクロロシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリン、アビエチルである。
ステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基は、17個の炭素原子からなり、1個以上の同一または異なる置換基によって必要に応じて置換したステロイド基を称する。
この基の例は、コラニル、ケノデオキシコラニル、ウルソデオキシコラニル、デオキシコラニル、イオデオキシコラニル、またはリトコラニルである。
C3〜C30シクロアルコキシル基は、その脂肪族成分が上記で定義したようなC3〜C30シクロアルキル基であるC3〜C30シクロアルコキシル基を称する。
この基の例は、シクロペントキシ、シクロヘキシルオキシ、コレステリルである。
C1〜C26アルキルアミンまたはC2〜C26ジアルキルアミン基は、その脂肪族成分が、それぞれ、上記で定義したようなC1〜C26または2個のC1〜C13アルキル基であるアルキルアミンまたはジアルキルアミン基を称する。
この基の例は、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミンである。
アリール基は、1個以上の同一または異なる基によって必要に応じて置換した炭素環式芳香族基を称する。
この基の例は、フェニル、ナフチルまたはフェナントリルである。
【0008】
ヘテロアリール基は、窒素、酸素、イオウから選ばれた1〜4個のヘテロ原子を含有し、1個以上の同一または異なる基によって必要に応じて置換されたベンゾ縮合型または複素二環式でもある5原子または6原子の複素環式芳香族基を称する。
ヘテロアリール基の例は、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾールピリジン、トリアゾールピリミジン、チアゾルトリゾール、クマリンである。
複素環基は、少なくとも窒素、酸素、イオウから選ばれたヘテロ原子を含み、他の芳香族または非芳香族環と必要に応じて縮合した3員〜12員を有する飽和または不飽和環を称する。
複素環基の例は、ピロリジン、ピペリジン、ジヒドロピリジン、ピペラジン、2,6-ジケトピペラジン、2-ケトアゼチジン、モルホリン、チアジン、インドリンである。
糖タイプの線状または環状C6〜C12基は、開鎖または閉鎖形の炭化水素基を称する。
この基の例は、グルコニル、グルコピラノシル、β-D-フルクトフラノシル-α-D-グルコピラノシル、4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-グルコシルである。
必要に応じて置換したとは、当該特許の全ての部分において、以下の基から選ばれる同一または異なる1個以上の置換基を意味する:ハロゲン原子;ハロゲン原子によって必要に応じて順次置換したC1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシル基およびC1〜C6アルキルチオ基;必要に応じてハロゲン化したC1〜C6アルキルカルボニル基およびC1〜C6アルコキシカルボニル基;必要に応じてハロゲン化したアミノカルボニル基、C1〜C6アルキルアミノカルボニル基、C2〜C12ジアルキルアミノカルボニル基;カルボキシル基;必要に応じてハロゲン化したC1〜C6アルキルカルボニルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;ヒドロキシル基;アミノ基;必要に応じて置換したアリールおよびヘテロ-アリール基。
【0009】
その活性について興味のある一般式(I)を有する化合物の例は、下記の化合物である:
・ラウリルベタイン;
・ステアリルベタイン;
・カプリル/カプリン酸アミドプロピルベタイン;
・セチルベタイン;
・ラウリルヒドロキシスルタイン;
・ラウリル/セチルベタイン;
・ラウリルアミドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルヒドロキシスルタイン;
・コレステリルカルボニルアミドプロピルベタイン;
・コラニルアミドプロピルベタイン;
・ケノデオキシコラニルアミドプロピルベタイン;
・デオキシコラニルアミドプロピルベタイン;
・リトコラニルアミドプロピルベタイン;
・シクロヘキシルオキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・グルコニルアミドプロピルベタイン;
・N,N-ジラウリルアミノプロピルベタイン;
・N-ヘキサデシルウレイドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルメチルアセトテチン;
・ラウリルアミドプロピルメチルアセトテチン;
・セチルメチルアセトテチン;
・N,N-ジオクチルウレイドプロピルベタイン;
・ラウリルアミドエチルベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]バリンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]プロリンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]アラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]フェニルグリシンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-フェニルアラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-4-クロロフェニルアラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-アラニンベタイン;
・コカミドプロピル[L]バリンベタイン;
・コカミドプロピル[L]プロリンベタイン;
・コカミドプロピル[L]アラニンベタイン;
・コカミドプロピル[L]フェニルグリシンベタイン;
・コカミドプロピル-β-フェニルアラニンベタイン;
・コカミドプロピル-β-4-クロロフェニルアラニンベタイン;
・コカミドプロピル-β-アラニンベタイン;
・デカヒドロ-2-ナフトキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・3,5-ジt-ブチルフェニルアミドプロピルベタイン;
・3,5-ジt-ブチルフェノキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・α-D-グルコピラノシル-β-D-フルクトフラノシルオキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・カルニチン。
【0010】
式(I)を有する上記化合物は、R1が、C1〜C26アルコキシル基、C1〜C26アルキルチオ基、C3〜C30シクロアルコキシル基、C1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミン基を除いて、上記で定義した意味を有する場合、0と異なるnにおいては下記の反応方式Aに従い、n = 0においては下記の反応方式Bに従い容易に得ることができる:
方式A
【化3】

方式B
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、Z、m、p、qおよびsは、上記で定義した意味を有し;Yは、塩素原子、臭素原子、RSO3-基(式中、Rは、必要に応じて置換したC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキルまたはフェニルを示す)のような出発基を示す)。
【0011】
一般式(I)を有する化合物は、反応方式Aに従い、適切なR1残基のカルボン酸および縮合剤と、必要に応じて有機または水性溶媒中の塩基の存在下に、当該技術において、例えば、Comprehensive Organic Transformations 1989, R.C. Larockにおいて周知の方法に従い、X = 窒素においては、適切なN',N'-ジアルキルアミノ-N-アルキルアミンとを縮合させ、X = イオウにおいては、適切なω-アルキルチオアルキルアミンとを縮合させて、相応するアミドを調製することによって得ることができる。
そのようにして得られた中間体を、引続き、水中または有機溶媒中の出発基Yを有する適切な有機酸の、例えば、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属の塩との、室温〜100℃範囲の温度で、強塩基溶液の制御された添加によりpHをおよそ7.5の値に維持する反応によるアルキル化に供する。
一般式(I)を有する化合物は、反応方式Bに従い、有機または水性溶媒中の塩基の存在下に、当該技術において、例えば、Comprehensive Organic Transformations 1989, R.C. Larockにおいて周知の方法に従い、出発基Yを有する所望のR1残基により、X = 窒素においては、適切なN',N'-ジアルキルアミノ-N-アルキルアミンをアルキル化し、X = イオウにおいては、適切なω-アルキルチオアルキルアミンをアルキル化して、相応する第三級アミンを調製することによって得ることができる。
そのようにして得られた中間体を、引続き、この場合も水中または有機溶媒中の出発基Yを有する適切な有機酸の、例えば、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属の塩との、室温〜100℃範囲の温度で、強塩基溶液の制御された添加によりpHをおよそ7.5の値に維持する反応によるアルキル化に供する。
【0012】
式(I)を有する上記化合物は、R1が、C1〜C26アルコキシル基、C1〜C26アルキルチオ基、C3〜C30シクロアルコキシル基、C1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミン基の意味を有する場合、0と異なるnにおいては下記の反応方式Cに従い容易に取得し得る:
方式C
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、Z、m、p、qおよびsは、上記で定義した意味を有し;Yは、塩素原子、臭素原子、RSO3-基(式中、Rは、必要に応じて置換したC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキルまたはフェニルを示す)のような出発基を示す)。
【0013】
一般式(I)を有する化合物は、反応方式Cに従い、有機または水性溶媒中のホスゲン、または、例えば、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1'-カルボニルジイミダゾールのようなその官能置換基の1つの存在下に、当該技術において、例えば、Comprehensive Organic Transformations 1989, R.C. Larockにおいて周知の方法に従い、R1が、それぞれ、C1〜C26アルコキシル基、C3〜C30シクロアルコキシル基、C1〜C26アルキルチオ基、C1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミン基の意味を有する場合のアルコール官能基、チオアルコール官能基またはアミノ官能基を有する所望のR1残基と、X = 窒素においては、適切なN',N'-ジアルキルアミノ-N-アルキルアミンとを反応させ、X = イオウにおいては、適切なω-アルキルチオアルキルアミンとを反応させて、相応するカルバメート、チオカルバメートまたは尿素を調製することによって得ることができる。
そのようにして得られた中間体を、引続き、この場合も水中または有機溶媒中の出発基Yを有する適切な有機酸の、例えば、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属の塩との、室温〜100℃範囲の温度で、強塩基溶液の制御された添加によりpHをおよそ7.5の値に維持する反応によるアルキル化に供する。
上記の各反応は、水性または不活性有機溶媒中で、室温から反応混合物の沸点までの範囲の温度で、必要に応じて無機または有機塩基の存在下において好都合に実施し得る。
上記反応を実施するための好ましい溶媒の例は、エーテル類(エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等);エステル類(酢酸エチル等);塩素化炭化水素類(塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等);芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等);脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等);非プロトン性双極性溶媒類(N.N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等)である。
好ましい無機塩基の例は、アルカリまたはアルカリ土類金属(ナトリウム、カリウム、カルシウム等)の水酸化物または炭酸塩である。
好ましい有機塩基の例は、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、脂肪族アミン類(トリエチルアミン等)、環状アミン類(モルホリン、ピペリジン等)である。
【0014】
置換基R1、R2、R3、R4、R5が、光学または幾何異性中心を有する場合、一般式(I)を有する上記化合物は、全ての可能性ある立体配置異性体形で存在し得る。
従って、本発明の範囲は、農業分野における植物病原体真菌の制御のための、一般式(I)を有する上記化合物の任意の割合の異性体混合物として使用、さらにまた、単一異性体の配合および使用も含む。
天然抽出物に由来する場合、一般式(I)を有する上記化合物は、その同類生成物の混合物中に存在し得、従って、本発明の範囲は、一般式(I)を有する上記化合物の、任意の割合のその同類生成物の混合物としての農業分野における植物病原体真菌および細菌の制御のための使用も含む。
また、一般式(I)を有する上記化合物は、任意の数の水分子の配位による水和形でも存在し得、水溶液中で得られ、農業目的において直接使用することもできる。
また、一般式(I)を有する上記化合物は、その構造内に、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウムのような他の金属カチオンも含有し、おそらくは配位し得、これらカチオンの数は、一般式(I)を有する上記化合物の合成において使用する製造方法に関連して変動し得る。
従って、本発明の範囲は、上記塩を含有する一般式(I)を有する化合物の上記溶液の、農業分野における植物病原体真菌および細菌の制御のための使用も含む。
一般式(I)を有する化合物は、数多くの真菌および細菌植物病原体を、これも他の殺真菌剤に対する低減された感受性でもって制御し得る。
【0015】
一般式(I)を有する上記化合物により有効に対抗し得る植物病原体真菌および細菌の例としては下記のものがある:
‐穀物に対するヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)亜種;
‐穀物に対するうどん粉病菌属(Erysiphe)亜種;
‐穀物に対するさび病菌属(Puccinia)亜種;
‐ブドウに対するベト病菌(Plasmopara viticola);
‐野菜に対する土壌病菌属(Pythium)亜種;
‐野菜に対するエキ病菌属(Phytophthora)亜種;
‐穀物に対する雲形病菌属(Rhynchosporium)亜種;
‐穀物に対するセプトリア菌属(Septoria)亜種;
‐ウリ科(例えば、キュウリ)に対するウリ類うどん粉病菌(Sphaerotheca fuliginea);
‐リンゴの木に対するリンゴうどん粉病菌(Podosphaera leucotricha);
‐米に対するイネイモチ病菌(Pyricularia oryzae);
‐ブドウに対するブドウうどん粉病菌(Uncinula necator);
‐果樹に対する黒星病属(Venturia)亜種;
‐ブドウおよび野菜に対する灰色カビ病菌(Botrytis cinerea);
‐穀物に対する穀類のフザリウム属(Fusarium)亜種;
‐果樹および野菜に対するアルテルナリア属(Alternaria)亜種;
‐甜菜に対するサーコスポラ属(Cercospora)亜種;
‐キサントモナス属(Xantomonas);
‐バチルス属(Bacillus)亜種。
【0016】
一般式(I)を有する化合物は、治癒性および予防性双方の殺真菌作用を示し得、低いまたはゼロの植物毒性を有する。
従って、本発明のさらなる目的は、直接の殺真菌および殺菌活性を有する一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物を適用することによる農作物中の植物病原体真菌および細菌の制御方法、並びに一般式(I)を有するベタインタイプの双方イオン構造を有する両性化合物を適用することによる非生物的ストレス(温度、塩分、日照等)および生物的ストレスからの植物生来の防御系の活性化方法および植物自体の耐性の誘発方法に関する。
所望する効果を得るために適用する化合物の量は、例えば、使用する化合物、保護する作物、病原体のタイプ、感染の度合、気候条件、適用方法および使用する配合のような種々の要因に関連して変動し得る。
1ヘクタール当り10g〜5kgの範囲の化合物の投与量は、一般に十分な制御を与える。
実際の農業における使用においては、一般式(I)を有するベタインタイプの双方イオン構造を有する1種以上の両性化合物を含有する殺真菌組成物を使用するのが、多くの場合有用である。
これらの組成物の適用は、植物の全ての部分に対して、例えば、葉、茎、枝および根に、または植付け前の種子自体に対して、或いは植物が繁殖する土地に対して実施し得る。
組成物は、乾燥粉末、水和剤、乳化性濃縮物、微細エマルジョン、ペースト、顆粒、溶液、懸濁液等の剤形で使用し得る;組成物のタイプの選択は、特定の用途によるであろう。
【0017】
上記組成物は、既知の方法で、例えば、上記活性物質を、溶媒および/または固形希釈剤により、必要に応じて界面活性剤の存在下に希釈または溶解することによって製造する。
使用し得る固形希釈剤または支持体は、例えば、シリカ、カオリン、ベントナイト、タルク、滴虫土、ドロマイト、炭酸カルシウム、マグネシア、石膏、クレー、合成ケイ酸塩、アタパルガイト、セピオライトである。
水以外に使用し得る液体希釈剤は、例えば、芳香族有機溶媒類(キシレンまたはアルキルベンゼン混合物、クロロベンゼン等)、パラフィン類(石油留分)、アルコール類(メタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、グリセリン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸イソブチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、アセトン、アセトフェノン、イソホロン、エチルアミルケトン等)、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等)である。
使用し得る界面活性剤は、ナトリウム、カルシウム、トリエチルアミンまたはトリエタノールアミンの塩類;アルキルスルホン酸塩;アルキルアリールスルホン酸塩;ポリエトキシル化アルキルフェノール;ソルビトールのポリエトキシル化エステル;リグニンスルホン酸塩等である。
また、上記組成物は、特定目的の特定の添加剤、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート等のような接着剤も含有し得る。
また、農業実務においては、一般式(I)を有する化合物の殺真菌作用は、多くの他の殺真菌剤活性成分の殺真菌活性と組合せた場合に、とりわけ有効であり、それによって耐性防止戦略の優れた手段を創生し、適用量のさらなる低減を可能にし、植物の生来の防御を活性化させることも見出している。
さらに詳細には、高い相乗効果が、一般式(I)を有する上記化合物を、サリチル酸、アセチルサリチル酸、アセチルサリチル酸の銅(II)塩ASA2Cu、2,6-ジクロロイソニコチン酸(INA)、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル-7-チオカルボン酸(BTH)の1'S-メチルエステル、サッカリンのような植物生来の防御を活性化し得ることも知られている他の化合物と混合し、それによって生物学的活性を有効且つ安全な方法で増強し、調節することにより、観察されている。
【0018】
とりわけ、下記の化合物の生物学的活性の増強が、一般式(I)を有する上記化合物と組合せた場合に観察されている:
・例えば、K2HPO3、KH2PO3、Na2HPO3、NaH2PO3、(NH4)2HPO3、NH4H2PO3、ホセチルアルミニウムのような、リン酸、その誘導体、その塩およびそれらの混合物;
・ベナラキシル(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・殺真菌性ジペプチド IR5885(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・テトラコナゾール(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・例えば、アセチルサリチル酸の銅(II)塩 ASA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SACuのように例示される、サリチル酸、その誘導体および第二銅塩、アセチルサリチル酸、その誘導体およびその第二銅塩;2,6-ジクロロイソニコチン酸(INA);ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル-7-チオカルボン酸(BTH)の1'S-メチルエステル;サッカリンのような耐性誘発剤;
・例えば、水酸化銅、酸塩化銅、キュプロカルシウム酸塩化物、三塩基性硫酸銅のような第二銅塩;
・イプロバリカルブ;
・ベンチアバリカルブ-イソプロピル;
・シアゾファミド。
上記の殺真菌化合物は、市販の化合物であるか、或いはほぼ即商品化し得る。
それらの説明は、技術文献において、例えば、www. Agrowreports. Comにおける “The Pesticide Manual”, 2000, XII edition, British Crop Council Ed.において容易に見出し得る。
IR5885、即ち、殺真菌活性を有するジペプチドは、特許出願EP 1028125号において特許請求されている化合物群のうちの1つの化合物を称する。
従って、本発明の目的は、一般式(I)を有する少なくとも1種の両性化合物を1種以上の下記の殺真菌性化合物と一緒に含み、上記2つの活性成分の単純な混合により意図する活性よりも驚くほど高い生物学的活性を有する上記組成物の使用に関する:
・例えば、K2HPO3、KH2PO3、Na2HPO3、NaH2PO3、(NH4)2HPO3、NH4H2PO3、ホセチルアルミニウムのような、リン酸、その誘導体、その塩類およびこれらの混合物;
・ベナラキシル(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・殺真菌性ジペプチドIR5885(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・テトラコナゾール(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・例えば、アセチルサリチル酸の銅(II)塩 ASA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SACuのように例示される、サリチル酸、その誘導体および第二銅塩、アセチルサリチル酸、その誘導体およびその第二銅塩;2,6-ジクロロイソニコチン酸(INA);ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル-7-チオカルボン酸(BTH)の1'S-メチルエステル;サッカリンのような耐性誘発剤;
・例えば、水酸化銅、酸塩化銅、キュプロカルシウム酸塩化物、三塩基性硫酸銅のような第二銅塩;
・イプロバリカルブ;
・ベンチアバリカルブ-イソプロピル;
・シアゾファミド。
【0019】
本発明に従う好ましい組成物は、下記から選択する:
‐グリシンベタインおよびK2HPO3
‐グリシンベタインおよびKH2PO3
‐グリシンベタインおよびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタインおよびK2HPO3
‐コカミドプロピルベタインおよびKH2PO3
‐コカミドプロピルベタインおよびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタインおよびテトラコナゾール;
‐コカミドプロピルベタインおよびテトラコナゾールR異性体;
‐コカミドプロピルベタインおよびIR5885;
‐コカミドプロピルベタインおよびイプロバリカルブ(iprovalicarb);
‐コカミドプロピルベタインおよびベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)-イソプロピル;
‐コカミドプロピルベタインおよびシアゾファミド(cyazofamide);
‐コカミドプロピルベタインおよびR異性体IR5885;
‐コカミドプロピルベタイン、IR5885およびK2HPO3 - KH2PO3
‐コカミドプロピルベタイン、IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐グリシンベタイン、IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタイン、R異性体IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐グリシンベタイン、R異性体IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタイン、R異性体IR5885およびK2HPO3-KH2PO3
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびIR5885;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびイプロバリカルブ;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびベンチアバリカルブ-イソプロピル;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびシアゾファミド;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびR異性体IR5885;
‐コカミドプロピルベタインおよびASA2Cu;
‐コカミドプロピルベタインおよびSA2Cu;
‐コカミドプロピルベタインおよびSACu;
‐カルニチンおよびK2HPO3
‐カルニチンおよびKH2PO3
‐カルニチン、K2HPO3-KH2PO3およびIR5885。
上記組成物中の活性成分の濃度は、活性化合物、組成物の予定する用途、環境条件および使用する製剤タイプに応じて、広範囲に変動し得る。
活性成分の濃度は、一般に1%〜90%、好ましくは5〜50%の範囲である。
【0020】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の例示としての且つ非限定的目的でもって、本発明のより一層良好な理解のために提示する。
実施例1
ラウリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアミンの調製
4.67gの3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミンを、50mlの塩化メチエレンおよび4.74mlのトリエチルアミン中の10gのラウロイルクロライド溶液に添加する。混合物を室温で1夜撹拌下に保つ。得られた生成物を抽出し、水洗し、Na2SO4で無水化して、乾燥後、12gの上記所望化合物を得る(収率:93%)。
元素分析 [%、分析値 (理論値)] = C 71.2 (71.6);H 12.5 (12.6);N 9.5 (9.8)。
実施例2
エイコシルジメチルアミンの調製
10.5mlの水溶液中40%ジメチルアミンを、水中10gのエイコシルブロマイド溶液に添加する。混合物を室温で1夜撹拌下に保つ。得られた生成物を抽出し、水洗し、Na2SO4で無水化して、乾燥後、8.1gの上記所望化合物を得る(収率:90%)。
元素分析 [%、分析値 (理論値)] = C 80.9 (81.1);H 14.3 (14.7);N 4.5 (4.3)。
【0021】
実施例3
コレステリルアミドプロピルジメチルアミンの調製
3.41gの3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミンを、70mlの塩化メチレンおよび3.49mlのトリエチルアミン中の15gのコレステリルクロロホルミエート溶液に添加する。混合物を室温で1夜撹拌下に保つ。得られた生成物を抽出し、水洗し、Na2SO4で無水化して、乾燥後、15.8gの上記所望化合物を得る(収率:92%)。
元素分析 [%、分析値(理論値)] = C 77.0 (76.8);H 11.9 (11.2);N 5.1 (5.4)。
実施例4
ラウリルアミドプロピルベタイン(化合物7)の調製
32mlの水中12gのラウリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアミンを反応器に装入し、4.9gのモノクロロ酢酸ナトリウムを添加する。反応混合物を98℃にゆっくり加熱し、pHを、水酸化ナトリウムの50質量%溶液を連続添加することによっておよそ7.5に維持する。約5時間後、出発生成物は完全に消費され、得られた溶液をそのままで使用する。
【0022】
上記各実施例において説明したのと同様にして、下記の各化合物を調製した:

表1

【0023】
実施例5
ブドウのべト病(peronospora) (ベト病菌)に対する殺真菌活性の測定
調節された環境(20±1℃、70%相対湿度)のつぼ内で生長させたブドウの葉(品種:ドルチェット(Dolcetto))を、ヒドロアセトン溶液中にアセトン中20容量%で分散させた化合物1、2および3を葉の両側にスプレーすることによって処理する。
調節された環境内に24時間そのままにした後、植物に、葉の両側で、ブドウべト菌の分生子の水性懸濁液をスプレーした(1cm3当り20,000個の分生子)。
植物を、湿度飽和環境内に、21℃で真菌のインキュベーション期間の間保つ。
この期間(7日間)の終了時に、殺真菌活性を、0(完全感染植物)から100(健常植物)までの評価パーセント尺度に従い評価する。

表2:一般式(I)を有する化合物のブドウべト病菌に対する7日間の予防活性

【0024】
表3:一般式(I)を有する化合物と他の殺真菌剤との混合物のブドウべト病菌に対する7日間の予防活性

*ppmでの投与量が亜リン酸カリウムに関する場合、これを等価の亜リン酸で表す。
【0025】
実施例6
コムギの分裂子(ウドンコ病菌(Erysiphe graminis))に対する殺真菌活性の測定
調節された環境(20±1℃、70%相対湿度)のつぼ内で生長させたコムギ植物の葉(品種:ゲミニ(Gemini))を、ヒドロアセトン溶液中にアセトン中20容量%で分散させた化合物1、2および3を葉の両側にスプレーすることによって処理する。
調節された環境内に24時間そのままにした後、植物に、葉の両側で、ウドンコ菌の分生子の水性懸濁液をスプレーした(1cm3当り200,000個の分生子)。
植物を、湿度飽和環境内に、18〜24℃の範囲の温度で真菌のインキュベーション期間の間保つ。
この期間(12日間)の終了時に、殺真菌活性を、0(完全感染植物)から100(健常植物)までの評価パーセント尺度に従い評価する。

表4:一般式(I)を有する化合物と他の殺真菌剤との混合物のウドンコ病に対する5日間の予防活性

【0026】
実施例7
コムギサビ病((wheat rust) (コムギ赤サビ病菌Puccinia recondita))に対する殺真菌活性の測定
調節された環境(20±1℃、70%相対湿度)のつぼ内で生長させたコムギ植物の葉(品種:ゲミニ(Gemini))を、ヒドロアセトン溶液中にアセトン中20容量%で分散させた化合物1、2および3を葉の両側にスプレーすることによって処理する。
調節された環境内に24時間そのままにした後、植物に、葉の両側で、コムギ赤サビ病菌の分生子の水性懸濁液をスプレーした(1cm3当り200,000個の分生子)。
植物を、湿度飽和環境内に、18〜24℃の範囲の温度で真菌のインキュベーション期間の間保つ。
この期間(14日間)の終了時に、殺真菌活性を、0(完全感染植物)から100(健常植物)までの評価パーセント尺度に従い評価する。

表5:一般式(I)を有する化合物と他の殺真菌剤との混合物のコムギ赤サビ病菌に対する5日間の予防活性

【0027】
実施例8
一般式(I)を有する化合物およびこれら化合物と他の殺真菌剤との混合物の遺伝応答の測定
シロイヌナズナ(arabidopsis thaliana)の4週齢の苗を、一般式(I)を有する化合物またはこれらの化合物と他の殺真菌剤との混合物で処理し、葉を、処理24時間後に採集した。
全RNAを、0.05gの新鮮組織から、“Genelute哺乳類全RNAキット(シグマ社)”を使用して、プロトコール指示書に従い抽出した。cDNAを、Fermentas Life Sciences社から販売されている“RevertAidTM M-MuLV Reverse Transcriptase”を使用して、次のプロトコールに従い合成した:2μgの全RNAを0.5μgのオリゴ(dT)18と混合した。
その後、脱イオン水(無ヌクリアーゼ)を添加して反応容量を11μlとし、引続き、反応物を70℃で5分間インキュベートし、次いで、氷中で冷却した。
その後、次の試薬を混合物に添加した:4μlの5×反応緩衝液、10mMのdNTP混合物、20単位のリボヌクリアーゼインヒビター。
反応物を37℃で5分間インキュベートし、次いで、200単位のRevertAidTM M-MuLV逆転写酵素を混合物に添加し、反応物を42℃で60分間インキュベートした。
その後、反応を、上記酵素を70℃で10分間不活化することによって遮断した。
【0028】
PCR分析
定量PCR分析を、9:1比のプライマー/内部標準としてのリボソームRNA 18Sのコンペティマーの混合物を使用して上記cDNAについて実施した。
PCR反応において使用したプライマーの配列を下記に示す:
プライマー1 前方:5' GTAGCTCTTGTAGGTGCTCT 3'
プライマー1 後方:5' CATCCTGCATATGATGCTCC 3'
PCR反応は、下記の成分を含む25μl中で実施した:
CDNA:0.5μl
10×反応緩衝液:2.5μl
50mM MgCl2 = 0.75μl
2.5mM dNTPs:0.5μl
5μM 18Sプライマー/コンペティマー混合物(比率9:1):0.5μl
12.5μM 遺伝子特異性プライマー前方:0.5μl
12.5μM 遺伝子特異性プライマー後方:0.5μl
Euroclone Taq (5u/μl):0.25μl。
94℃で2分間の変性後、下記の増幅プログラムを35回サイクルにおいて行った:
94℃:30秒
アニーリング温度プライマー1:48℃:30秒
72℃:1分。
引続き、72℃で10分間のさらなるサイクルを行った。
図1においては、
A) 12.5ppmのASA2Cu
B) 800ppmのグリシンベタイン
C) 1600ppmのグリシンベタイン
D) 800ppmの化合物 No.8
E) 1600ppmでの化合物 No.8
F) 12.5ppmのASA2Cu + 800ppmでの化合物 No.8
G) 対照としてのブランク
であり、ブランクとグリシンベタインとの比較は、化合物 No.8単独およびアセチルサリチル酸の銅(II)塩(ASA2Cu)との混合物の類のない遺伝子応答を特徴的に示していた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従う化合物の遺伝子応答についての比較PCR分析データを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)を有する、ベタインタイプの双性イオン構造に特徴を有する両性化合物:
【化1】

(式中、R1は、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26ハロアルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルコキシル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキルチオ基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルケニル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルキニル基;必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基または必要に応じて置換したステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基;必要に応じて縮合させ、必要に応じて置換したC3〜C30シクロアルコキシル基;必要に応じて置換した複素環基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した糖タイプの線状または環状のC6〜C12基;0と異なるnにおいて必要に応じて置換したC1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミンを示し;
R2およびR3は、同一または異なるものであって、必要に応じて置換したC1〜C3アルキル基を示し;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、水素原子;或いは、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C6アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C6アルケニル基;必要に応じて置換したC3〜C6シクロアルキル基;ヒドロキシル基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した複素環基を示し;
R4およびR5は、個々に、R2と一緒に環を形成し得;
Xは、窒素またはイオウ原子を示し;
Zは、炭素またはイオウ原子を示し;
mは、1〜5の範囲の数を示し;
nおよびpは、0〜3の範囲の数を示し;
qは、X = イオウにおいて0の値、X = 窒素において1の値を有し;
sは、Z = 炭素において1の値、Z = イオウにおいて2の値を有する)。
【請求項2】
前記線状または枝分れのC1〜C26アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、カプリル、ラウリル、ステアリル、エイコシル、ヘキサコシルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記C1〜C26ハロアルキル基が、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、パーフルオロオクタニル、パーフルオロドデシルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記C1〜C26アルコキシル基が、メトキシル、エトキシル、イソプロポキシル、シクロプロピルメトキシル、ラウリルオキシルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記C1〜C26チオアルキル基が、チオメチル、チオエチル、チオラウリル、チオカプリルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
前記C2〜C26アルケニル基が、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-デセニル、8-ヘプタデセニル、8,11,14-ヘプタデカトリエニル、8,11-ヘプタデカジエニルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
前記C2〜C26アルキニル基が、エチニル、プロパルギル、1-ドデシニル、1-オクタデシニルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
前記必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基が、シクロプロピル、2,2-ジクロロシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリン、アビエチルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
前記ステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基が、コラニル、ケノデオキシコラニル、ウラソデオキシコラニル、デオキシコラニル、イオデオキシコラニル、またはリトコラニルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
前記C3〜C30シクロアルコキシル基が、シクロペントキシ、シクロヘキシルオキシ、コレステリルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
前記C1〜C26アルキルアミンまたはC2〜C26ジアルキルアミン基が、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ジデシルアミンから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
前記アリール基が、フェニル、ナフチルまたはフェナントリルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
前記ヘテロ-アリール基が、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾピラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾールピリジン、トリアゾールピリミジン、チアゾルトリゾール、クマリンから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
前記複素環基が、ピロリジン、ピペリジン、ジヒドロピリジン、ピペラジン、2,6-ジケトピペラジン、2-ケトアゼチジン、モルホリン、チアジン、インドリンから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
前記糖タイプの線状または環状C6〜C12基が、グルコニル、グルコピラノシル、β-D-フルクトフラノシル-α-D-グルコピラノシル、4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-グルコシルから選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が下記から選ばれることに特徴を有する、請求項1記載の化合物:
・ラウリルベタイン;
・ステアリルベタイン;
・カプリル/カプリン酸アミドプロピルベタイン;
・セチルベタイン;
・ラウリルヒドロキシスルタイン;
・ラウリル/セチルベタイン;
・ラウリルアミドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルヒドロキシスルタイン;
・コレステリルカルボニルアミドプロピルベタイン;
・コラニルアミドプロピルベタイン;
・ケノデオキシコラニルアミドプロピルベタイン;
・デオキシコラニルアミドプロピルベタイン;
・リトコラニルアミドプロピルベタイン;
・シクロヘキシルオキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・グルコニルアミドプロピルベタイン;
・N,N-ジラウリルアミノプロピルベタイン;
・N-ヘキサデシルウレイドプロピルベタイン;
・コカミドプロピルメチルアセトテチン;
・ラウリルアミドプロピルメチルアセトテチン;
・セチルメチルアセトテチン;
・N,N-ジオクチルウレイドプロピルベタイン;
・ラウリルアミドエチルベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]バリンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]プロリンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]アラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル[L]フェニルグリシンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-フェニルアラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-4-クロロフェニルアラニンベタイン;
・ラウリルアミドプロピル-β-アラニンベタイン;
・コカミドプロピル[L]バリンベタイン;
・コカミドプロピル[L]プロリンベタイン;
・コカミドプロピル[L]アラニンベタイン;
・コカミドプロピル[L]フェニルグリシンベタイン;
・コカミドプロピル-β-フェニルアラニンベタイン;
・コカミドプロピル-β-4-クロロフェニルアラニンベタイン;
・コカミドプロピル-β-アラニンベタイン;
・デカヒドロ-2-ナフトキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・3,5-ジt-ブチルフェニルアミドプロピルベタイン;
・3,5-ジt-ブチルフェノキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・α-D-グルコピラノシル-β-D-フルクトフラノシルオキシカルボニルアミドプロピルベタイン;
・カルニチン。
【請求項17】
前記化合物が、置換基R1、R2、R3、R4、R5が光学または幾何異性中心を有する場合、全ての立体配位異性体形を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が、前記化合物が天然抽出物に由来する場合、任意の割合の同族生成物の混合物からなる、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、任意の数の水分子の配位による水和形で存在する、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、ナトリウム、カルシウム、カリウムのような他の金属カチオンも、一般式(I)を有する化合物の合成において使用する調製方法に応じて変動する数で含有し且つ必要に応じてその構造中に配位する、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
下記の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物の、植物病原体真菌および細菌の制御および/または非生物的および生物的ストレスの軽減における使用:
【化2】

(式中、R1は、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26ハロアルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルコキシル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C26アルキルチオ基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルケニル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C26アルキニル基;必要に応じて縮合させたC3〜C30シクロアルキル基または必要に応じて置換したステロイドタイプの縮合C17シクロアルキル基;必要に応じて縮合させ、必要に応じて置換したC3〜C30シクロアルコキシル基;必要に応じて置換した複素環基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した糖タイプの線状または環状のC6〜C12基;0と異なるnにおいて必要に応じて置換したC1〜C26アルキルアミン基またはC2〜C26ジアルキルアミンを示し;
R2およびR3は、同一または異なるものであって、必要に応じて置換したC1〜C3アルキル基を示し;
R4およびR5は、同一または異なるものであって、水素原子;或いは、必要に応じて置換した線状または枝分れのC1〜C6アルキル基;必要に応じて置換した線状または枝分れのC2〜C6アルケニル基;必要に応じて置換したC3〜C6シクロアルキル基;ヒドロキシル基;必要に応じて置換したアリール基;必要に応じて置換したヘテロアリール基;必要に応じて置換した複素環基を示し;
R4およびR5は、個々に、R2と一緒に環を形成し得;
Xは、窒素またはイオウ原子を示し;
Zは、炭素またはイオウ原子を示し;
mは、1〜5の範囲の数を示し;
nおよびpは、0〜3の範囲の数を示し;
qは、X = イオウにおいて0の値、X = 窒素において1の値を有し;
sは、Z = 炭素において1の値、Z = イオウにおいて2の値を有する)。
【請求項22】
請求項2〜20のいずれか1項記載の化合物の、植物病原体真菌および細菌の制御および/または非生物的および生物的ストレスの軽減における使用。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか1項記載の化合物の、非生物的および生物的ストレスからの植物生来の防御系の活性化および植物自体の耐性の誘発における使用。
【請求項24】
請求項21、22または23記載の、前記使用が治癒的および/または予防的である使用。
【請求項25】
前記一般式(I)を有する化合物を1ヘクタール当り10g〜5kgの範囲の量で使用する、請求項21〜24のいずれか1項記載の使用。
【請求項26】
一般式(I)を有する化合物の、単一異性体としてまたは任意の割合の異性体混合物としての、請求項21〜25のいずれか1項記載の使用。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか1項記載の、遺伝子操作植物種における使用。
【請求項28】
請求項1〜20のいずれか1項記載の化合物の、プラスチック材、金属類、織物繊維、ガラス、木材、紙、発泡体、レンガのような非生命物質上の真菌症の制御における使用。
【請求項29】
表面へのスプレー、塗布、浸漬、含浸による基体への適用による、請求項28記載の使用。
【請求項30】
請求項1〜20のいずれか1項記載の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物を適用することによる農作物の植物病原体真菌および細菌の制御および/または非生物的および生物的ストレスの軽減方法。
【請求項31】
請求項1〜20のいずれか1項記載の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する両性化合物を適用することによる農作物の非生物的および生物的ストレスからの植物生来の防御系の活性化および植物自体の耐性の誘発方法。
【請求項32】
請求項1〜20のいずれか1項記載の一般式(I)を有するベタインタイプの双性イオン構造を有する1種以上の両性化合物を含む殺真菌組成物。
【請求項33】
前記組成物が、他の活性成分を含有する、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
さらなる活性成分として少なくとも1つの下記の成分を含有する、請求項33記載の組成物:
・例えば、K2HPO3、KH2PO3、Na2HPO3、NaH2PO3、(NH4)2HPO3、NH4H2PO3、ホセチルアルミニウムのような、リン酸、その誘導体、その塩類およびこれらの混合物;
・ベナラキシル(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・殺真菌性ジペプチドIR5885(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・テトラコナゾール(そのラセミ体形のまたは光学活性R異性体として);
・例えば、アセチルサリチル酸の銅(II)塩 ASA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SA2Cu、サリチル酸の銅(II)塩 SACuのように例示される、サリチル酸、その誘導体および第二銅塩、アセチルサリチル酸、その誘導体およびその第二銅塩;2,6-ジクロロイソニコチン酸(INA);ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル-7-チオカルボン酸(BTH)の1'S-メチルエステル;サッカリンのような耐性誘発剤;
・例えば、水酸化銅、銅酸塩化物、キュプロカルシウム酸塩化物、三塩基性硫酸銅のような第二銅塩;
・イプロバリカルブ;
・ベンチアバリカルブ-イソプロピル;
・シアゾファミド。
【請求項35】
前記組成物が下記から選ばれる、請求項34記載の組成物:
‐グリシンベタインおよびK2HPO3
‐グリシンベタインおよびKH2PO3
‐グリシンベタインおよびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタインおよびK2HPO3
‐コカミドプロピルベタインおよびKH2PO3
‐コカミドプロピルベタインおよびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタインおよびテトラコナゾール;
‐コカミドプロピルベタインおよびテトラコナゾールR異性体;
‐コカミドプロピルベタインおよびIR5885;
‐コカミドプロピルベタインおよびイプロバリカルブ;
‐コカミドプロピルベタインおよびベンチアバリカルブ-イソプロピル;
‐コカミドプロピルベタインおよびシアゾファミド;
‐コカミドプロピルベタインおよびR異性体IR5885;
‐コカミドプロピルベタイン、IR5885およびK2HPO3 - KH2PO3
‐コカミドプロピルベタイン、IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐グリシンベタイン、IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタイン、R異性体IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐グリシンベタイン、R異性体IR5885およびホセチルアルミニウム;
‐コカミドプロピルベタイン、R異性体IR5885およびK2HPO3-KH2PO3
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびIR5885;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびイプロバリカルブ;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびベンチアバリカルブ-イソプロピル;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびシアゾファミド;
‐グリシンベタイン、K2HPO3-KH2PO3およびR異性体IR5885;
‐コカミドプロピルベタインおよびASA2Cu;
‐コカミドプロピルベタインおよびSA2Cu;
‐コカミドプロピルベタインおよびSACu;
‐カルニチンおよびK2HPO3
‐カルニチンおよびKH2PO3
‐カルニチン、K2HPO3-KH2PO3およびIR5885。
【請求項36】
活性成分の濃度が、1%〜90%、好ましくは5%〜50%の範囲である、請求項32〜35のいずれか1項記載の組成物。
【請求項37】
請求項32〜36のいずれか1項記載の組成物の、植物病原体真菌および細菌の制御および/または非生物的および生物的ストレスの軽減における使用。
【請求項38】
請求項32〜36のいずれか1項記載の組成物の、非生物的または生物的ストレスからの植物の自然防御系の活性化および植物自体の耐性誘発における使用。
【請求項39】
前記組成物の適用を、植物の全ての部分;葉、茎、枝および根;植付ける前の種子自体;または、植物が生長する土地に対して行う、請求項37または38記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−514807(P2009−514807A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535938(P2008−535938)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009813
【国際公開番号】WO2007/045386
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(505225979)イサグロ リチェルカ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【Fターム(参考)】