椎間板置換のためのシステムおよび方法
本発明は、人工椎間板補綴装置、および、その埋植と再置換のための方法と器具を提案する。各補綴装置は、上側および下側終板と、終板の関節面の間に配置された核を備えていてもよい。終板は、複数の食い込み歯部(self-cutting teeth)の設けられた平面骨係合面を有していてもよい。終板の関節面は平面であるか、または平坦部を有していてもよい。核は上側および下側関節面を有し、これらは平坦部を有していてもよく、核の関節面と終板が好ましい方向に置かれると、平坦および/または平面部分が位置合わせされる。各補綴装置は、屈曲/伸展、前方/後方並進、側屈および/または軸回転の自由度を提供してもよい。1つの実施形態は、屈曲/伸展と前方/後方並進を提供する第一の関節および、側屈と軸回転を提供する第二の関節を有する補綴装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、次の出願の一部継続出願である。
【0002】
係属中の先願である、2008年3月4日に出願された“JOINT PROSTHESES”と題する米国特許出願第12/041,910号(代理人整理番号SYD−4)。これは次の出願の一部継続出願である。
【0003】
係属中の先願である、2006年11月13日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第11/559,215号(代理人整理番号HO−P03203US2)。これは次の出願の一部継続出願である。
【0004】
係属中の先願である、2006年9月21日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第11/534,014号(代理人整理番号HO−P03203US1)。これは次の出願の一部係属出願である。
【0005】
係属中の出願である、2008年2月11日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第10/590,139号(代理人整理番号HO−P03203US0)。これは次の出願の米国国内出願として出願された。
【0006】
2005年6月30日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題するPCT出願第PCT/US05/023134号。これは以下の優先権を主張する。
【0007】
先願である、2005年3月4日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/658,161号と、
【0008】
先願である、2004年6月30日に出願された“ARTIFICIAL DISK FOR DEFORMITY CORRECTION”と題する米国仮特許出願第60/584,240号。
【0009】
本願は、以下の優先権も主張する。
【0010】
2007年10月25日に出願された“ALTERNATE ARTICULATION SURFACE ARTIFICIAL CERVICAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/982,627号(代理人整理番号SYD−01 PROV)。
【0011】
2007年10月29日に出願された“ALTERNATE ARTICULATION SURFACE ARTIFICIAL CERVICAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/983,500号(代理人整理番号SYD−02 PROV)。
【0012】
2008年1月23日に出願された“VERTEBRAL DISC REPLACEMENT INSTRUMENTS AND PROCEDURE”と題する米国仮特許出願第61/023,019号(代理人整理番号SYD−3 PROV)。
【0013】
2008年3月31日に出願された“VERTEBRAL DISC REPLACEMENT INSTRUMENTS AND PROCEDURE”と題する米国仮特許出願第61/041,086号(代理人整理番号SYD−5 PROV)。
【0014】
2008年5月5日に出願された“ARTIFICIAL DISC INSTRUMENTS AND METHODS”と題する米国仮特許出願第61/050,531号(代理人整理番号SYD−6 PROV)。
【0015】
2008年6月20日に出願された“COMPLIANT PROSTHESIS FOR BALANCE CONTROL ARTHROPLASTY”と題する米国仮特許出願第61/074,498号(代理人整理番号SYD−7 PROV)。
【0016】
上記の文書をここに、引用によって本願に援用する。
【0017】
本発明は、整形外科医療に関し、より詳しくは、椎間板障害および脊椎変形を人工椎間板置換によって治療する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0018】
人工脊椎置換術は、正常な脊椎の運動を回復し、および/または維持する可能性が期待される新しい分野である。人工脊椎置換術の目的は、手術レベルで脊椎の正常な生体力学を維持することによって、隣接椎間障害(ASD)を軽減または排除することである。これを実現するためには、人工頸椎補綴装置が天然の脊椎のバイオメカニクスにできるだけ近い機能、例えば、椎間板の軸方向高さの維持や天然脊椎の可動域全体にわたる角度調整等の機能を果たさなければならない。
【0019】
脊椎は、神経保護、荷重負担および運動において重要な役割を果たす。脊柱は、骨格の強力で可動的な中心軸であり、24個の椎体と75の安定した関節で構成される。椎間板は脊椎可動部分の基本的構成要素であり、緩衝材および弾性体としての機能を果たす。隣接椎骨は3つの関節によって相互に連結される。つまり、a)圧縮およびせん断荷重を伝達し、柔軟性を持たせる椎体と椎間板、およびb)椎間板を並進方向せん断応力から保護し、回転を制限する2つの面関節である。このような「3つの関節複合体」によって、脊椎の屈曲、伸展、側屈および回転が可能となる。
【0020】
椎間板は、髄核と呼ばれる内側のゲル状基質と、繊維輪と呼ばれる外側を取り囲む繊維帯と、からなる。脊椎に圧縮荷重がかかると、髄核の中の圧力上昇が繊維輪に伝えられ、繊維輪は外側に膨隆する。椎間板の変性カスケードの初期には、髄核の乾燥が起こる。弾力性が低下し、核からの水分浸潤が減少すると、繊維輪と関節面に伝達される負荷が大きくなる。繊維輪への応力の増大は、そのコラーゲン繊維のひび割れや横断裂の原因となる。さらに変性が進むと、椎間板の円周方向の膨隆、後縦靭帯穿破型および後縦靭帯非穿破型椎間板ヘルニア、椎間板の完全な乾燥が引き起こされる。この変性カスケードによって軸性疼痛が発生するが、その原因は繊維輪の痛み繊維への刺激や、脊髄神経根および/または脊髄の圧縮である。これらは、腕または脚あるいはその両方の運動障害、痛みおよび/または痺れとして現れることがある。
【0021】
椎間板の構造と機能は、繰り返し受ける応力、外傷、感染、腫瘍、変形、分節間不安定性よび炎症等の様々な要素によって変化しうる。椎間板の変性は、脊髄から生じる臨床的症状の最も一般的な病因である。脊椎変性は人間の加齢に一般的に付随する。頸椎に関しては、神経根の圧縮による首と腕の痛みは、成人の51%が経験していると推測される。脊椎症と加齢は密接に関係しており、脊椎症は有病率と重症度のどちらも加齢とともに増大する。幸運なことに、患者の大多数は手術せずに改善する。症例の約10−15%において、脊椎症に神経根と脊髄の継続的な圧縮および/または脊椎の痛みが伴い、わずかな割合にあたるものが最終的に手術を必要とする。
【0022】
脊椎の変性疾患(脊椎症)の治療として米国で用いられている最も一般的な手術は、脊椎固定術である。椎体間固定の場合、病変のある椎間板が除去され、患者の臀部から採取した楔状骨片、同種移植片または金属スペーサのいずれかが、椎間板が除去された椎骨間に設置される。これは機能的脊椎単位を固定する。この手術は可動性を失わせることにおいては有効であるが、欠点を伴う。固定術では、可動的で機能的な脊椎単位を、固定された非機能的なそれに変えるため、固定部分の隣接レベルでの歪みパターンが大きくなる。脊椎の一分節を固定すると、手術レベルにおける可動性が消失する。そのため、本来は手術部位の椎間板によって吸収されるはずの応力が、隣接する分節に伝わる。その結果、影響を受けたレベルに隣接する1つまたは複数の脊椎単位で隣接椎間障害(ASD)が発生する可能性がある。ASDは、以前に固定された可動分節に隣接して発生する症候性変性病変の臨床的症候群と定義することができる。後ろ向き調査(retrospective studies)によれば、頚椎のASDは年間2.9%の割合で発生し、10年生存率は26%と推定されている(非特許文献1)。
【0023】
頸椎に関しては、毎年何千人もの北米人が頸椎症の手術を受けている。そして、その処置の大部分において、脊髄および/または神経根の除圧を伴う前方椎間板切除が行われる。頸椎症の管理として手術を要とする主要適応疾患は、神経根障害、脊髄症および/または頸痛である。除圧に続き、前方椎体間固定が一般的に行われる。椎間板除去によって生じる空間の補綴に最もよく使用されるのは、腸骨稜から摘出した自家骨または死体骨である。他にも多くの解決策が提案されており、例えば、固定ケージその他のスペーサ等の金属装置、牛骨等の異種移植片、成長因子の使用等の生物学的戦略がある。椎体間固定に用いるインプラントは、その原因となった頸椎の変形を矯正するような形状にすることができる。インプラントの成形によって、前彎症を真っ直ぐな、または後彎した脊椎に回復させることができる。
【0024】
最近、脊椎固定術に代わって採用されているのが、損傷した椎間板を可動性維持装置と置換する方法であり、これには髄核置換と全椎間板置換(TDR)とがある。人工椎間板開発の理由となったのは、隣接椎間障害の防止である。人工椎間板装置は2つのカテゴリに大きく分けられ、1つは髄核だけを置換し、繊維輪と椎体終板をそのまま残すもので、もう1つは椎間板を置換するとともに、人工終板を付加するものである。どちらの方法も、椎間板機能の回復を目指している。人工髄核については、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。また、特許文献3でも、拘束ジャケット(constraining jacket)を周囲に設けたハイドロゲルコアを有する人工椎間板髄核が紹介されている。
【0025】
TDR用に設計された脊椎の頸部または腰部のための補綴装置が各種ある。例えば、Prodisc(商標)とCharite(商標)人工椎間板は、コバルトクロムの終板とポリエチレンのコアを組み合わせたものである。Prodisc(商標)は特許文献4に、またCharite(商標)人工椎間板は特許文献5と特許文献6にそれぞれ記載されている。Prestige(商標)人工椎間板は別の種類の人工椎間板であり、球関節状の金属−金属の設計による。頸椎に関して人気が高まっている、また別の人工椎間板は、Bryan(登録商標)人工椎間板であり、これは特許文献7、特許文献8、特許文献9で開示されている。Bryan(登録商標)人工椎間板は、低摩擦で耐耗性、弾力性のある核を2枚の関係金属板と関節接合させた複合的人工椎間板である。
【0026】
現在、世界で臨床試験が行われている人工頚椎椎間板置換システムには少なくとも4種類ある。その中の1つが、PCM頚椎椎間板をはじめとする非拘束型装置である。この非拘束型装置は、その可動範囲を制限するための機械的な停止手段を持たない。これに対し、Bryan(登録商標)Cervical人工椎間板、Prodisc(商標)CおよびPretige(商標)LP椎間板システムは、可動範囲を異なる角度に制限する。これらのシステムは、通常の可動範囲の外に機械的停止手段があるという点で、半拘束型と考えることができる。
【0027】
人工椎間板はこれまで、神経根障害、脊髄症および/または脊椎軸性疼痛を発生させる変性椎間板疾患の管理のために埋植されてきた。近年は、人工椎間板は外傷の治療にも用いられている。TDRの目的は、天然の椎間板のバイオメカニクスを再生することである。単椎間および多椎間椎間板置換に関する初期の臨床的および生体力学的研究では、手術レベルにおける良好な臨床成績と可動範囲保存の可能性が報告された。しかしながら、可動範囲の保存は人工椎間板の重要な特徴ではあるが、脊椎のバイオメカニクスの1つ尺度にすぎない。人工椎間板が手術レベルにおける角度、椎間板腔の平均高さ、全体的な脊椎アラインメント(矢状面と冠状面での均衡状態)に与える影響もまた考慮する必要がある。
【0028】
人工椎間板の導入によって多くの外科手術が成功を収めているが、現在の椎間板には依然として問題がある。例えば、現在の人工頚椎椎間板は全て、椎間板全体にわたって高さが固定されている。現時点で利用可能な人工椎間板は、患者が術後に立位姿勢を再開し、頭と体の重量を支えるようになると発生するかもしれない脊椎隣接分節における限局性後彎症または後彎症の問題がある。例えば、Bryan(登録商標)人工椎間板の場合、終板は全ての回転軸で自由に運動できるため、終板は、頭と首からインプラントに力が加えられた形の体勢をとり得る。時々、この体勢は、術中に椎間板が位置づけられた状態とは大きく異なることがある。Bryan(登録商標)頚椎椎間板置換システムについてこれまでに発表された研究結果によれば、人工椎間板の終板と頚椎のアラインメントによって術後に後彎症が発症する傾向にあると報告されている。[非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4。]このように人工椎間板が後彎の角度となるのは、インプラントが受動的な(可動的な核と可変的な瞬間回転軸により非拘束的運動を起こす)設計であることによる。現在のTDRシステムで、この主要合併症に対応しているものは皆無である。
【0029】
多くの椎間板障害患者において、変性プロセスの結果として、脊椎の矢状面でのアラインメントが損なわれる。さらに、程度の差はあれ、冠状面での不均衡も発生する可能性がある。現在利用可能な人工椎間板置換システムのいずれも、直背変形、局限的後彎/全後彎、あるいは冠状面変形のある脊椎を正常アラインメントに復元するようには設計されていない。既存の人工椎間板置換システムは、直線的、後彎または傾斜(angulated)分節のいずれかに挿入されると、関節面、靭帯および筋肉の力によって決定される角度と限局的バイオメカニクスに合わせた形をとりやすい。したがって、術前の脊椎形状が直線的であった患者では、術後、後彎症となる可能性があり、術前に脊椎が後彎していた患者の場合、術後はさらに変形を悪化させるかもしれない。脊椎の後彎は、分節の不安定性と、臨床的に有意な変性疾患の原因となっている。いくつかの臨床研究では、脊椎の矢状面または冠状面での均衡状態の変化は、臨床的に有意な脊椎軸性疼痛だけでなく、ASDの開始および/または加速を誘引するとされている。[非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9]
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第5,047,055号明細書
【特許文献2】米国特許第5,192,326号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0183848号明細書
【特許文献4】米国特許第5,314,477号明細書
【特許文献5】米国特許第5,401,269号明細書
【特許文献6】米国特許第5,556,431号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0098131号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/00544411号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0128715号明細書
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】ヒリブランド・AS、カールソン・GD、パルンボ・M、ジョーンズ・PK、ボールマン・HH:Radiculopathy and myelopathy at segments adjacent to the site of a previous anterior cervical arthrodesis. J Bone Joint Surg (Am) 81: 519-528, 1999
【非特許文献2】ピケット・GE、ミトシス(Mitsis)・DK、セコン(Sekhon)・LH他:Effects of a cervical disc prosthesis on segmental and cervical spine alignment. Neurosurg Focus 2004; 17(E5): 30-35
【非特許文献3】ジョンソン・JP、ローリッセン(Lauryssen)・C、カンブロン(Cambron)・HO他:Sagittal alignment and the Bryan(R) cervical disc. Neurosurg Focus 2004; 17(E14): 1-4
【非特許文献4】セコン・LHS:Cervical arthroplasty in the management of spondylotic myelopathy: 18 month results. Neurosurg Focus 2004; 17(E8): 55-61
【非特許文献5】川上M、玉置T、吉田M他:「頚部脊髄圧迫症患者の前方脊椎結合術後の軸性疼痛および頚椎アラインメント(Axial symptoms and cervical alignment after anterior spinal fusion for patients with cervical myelopathy)」 J. Spinal Disord 1999; 12: 50-60
【非特許文献6】ハリソン・DD、ハリソン・DE、ジャニック(Janik)・TJ他:Modeling of the sagittal cervical spine as a method to discriminate hypolordosis; results of elliptical and circular modeling in 72 asymptomatic subjects, 52 acute neck pain subjects, and 70 chronic neck pain subjects. Spine 2004; 29: 2485-2492
【非特許文献7】勝浦A、福田S、猿橋Y他:「前方頚椎結合後の後彎変形は隣接椎間板レベルの変性過程促進の1要因である。(Kyphotic malalignment after anterior cervical fusion is one of the factors promoting the degenerative process in adjacent intervertebral levels.)」Eur Spine J 2001; 10: 320-324
【非特許文献8】ファーチ(Ferch)・RD、シャド(Shad)・A、カドゥ−ハドソン(Cadoux-Hudson)・TA、テディ・PJ:Anterior correction of cervical kyphotic deformity; effects on myelopathy, neck pain, and sagittal alignment. J Neurosurg 2004; 100: S13-S19
【非特許文献9】勝浦A、福田S、今中T、宮本K、金本M:「変性疾患に使用される前方頚椎プレートは、頚椎前彎を維持し得る。(Anterior cervical plate used in degenerative disease can maintain cervical lordosis.)」J Spinal Disord 1996; 9: 470-476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
全回転軸での自由運動を保持しながら、単純に人工椎間板の終板または核を調整することによって変形を矯正しようという試みは、頭と体から人工椎間板に加わる力が、所望の補正を打ち消す可能性があるため、持続不能であろう。持続可能な矯正を実現するには、回転軸上の何らかの制限を設けるが必要となる。設計の面から見た目的は、変形(冠状面および矢状面)を矯正でき、正常動作範囲の外に機械的停止手段を有し(半拘束型)、好ましくは、瞬間回転軸(IAR)が可変的な人工椎間板を設計することである。
【0033】
回転軸上の制限は、2つの方式に分類される。1つは、矯正をサポートする軸(axis to support the correction)の永久的な回転または並進を利用して矯正を行うものである。これは、コアと終板そのものの幾何学形状を利用して実現され、「幾何学的定数」方式と呼ばれる。もう1つは、すべての軸での運動範囲は自由に保ち、材料のサポート(material support)を用いて矯正を行う。この種の設計では、矯正平面に、その平面における正常回転のための可塑性材料を取り付けることによって矯正を行う。これは、「材料定数」方式の設計である。
【0034】
変性椎間板疾患は、我々の社会の主な死亡原因である。これは、患者にとって経済的、感情的に深刻な問題をもたらしかねない。そのため、どちらの問題も軽減し、脊椎の変形(矢状面、冠状面または両方の面における)を矯正できる人工椎間板が必要とされる。
【0035】
本発明の、その構成と操作方法の両面での特徴と考えられる新規な特徴およびその他の目的と利点は、添付の図面に関連して以下の説明を考えることによって、よりよく理解できるであろう。しかしながら、各図面は、図解と説明のために設けられているに過ぎず、本発明の範囲を画定するものではないと明確に理解すべきである。本発明の上記およびその他の特徴は、添付の図面を参照しながら読むべき以下の説明から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】上側終板と、6°の前彎矯正を行う核と、下側終板とを備える人工椎間板補綴装置が椎骨の間に埋植されている、2つの頚椎椎骨の前方図である。
【図2】図1の上側終板、核、下側終板の分解上面斜視図である。
【図3】図1の上側終板、核、下側終板の分解底面斜視図である。
【図4A】図1の上側終板の上面斜視図である。
【図4B】図1の上側終板の側方図である。
【図5A】図1の核の上面図である。
【図5B】図1の核の底面図である。
【図6】図1の核の側方断面図である。
【図7A】図1の核の後方断面図である。
【図7B】図1の核の後方断面図である。
【図8】好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の側方図である。
【図9A】前彎矯正0°の人工椎間板の核の側面図である。
【図9B】前彎矯正3°の人工椎間板の核の側方図である。
【図9C】前彎矯正6°の人工椎間板の核の側方図である。
【図10A】屈曲−伸展自由度において好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図10B】伸展時の図1の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図11A】側屈自由度において好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の後方断面図である。
【図11B】側屈時の図1の人口椎間板補綴装置の後方断面図である。
【図12A】屈曲および側屈時の図1の人工椎間板補綴装置の側方図である。
【図12B】屈曲および側屈時の図1の人工椎間板補綴装置の前方図である。
【図13A】頭側/尾側軸での回転に関して中立方位にある図1の核と下側終板の上面図である。
【図13B】軸回転させた方位にある図1の核と下側終板の上面図である。
【図14】上側終板と、核と、下側終板と、を備える人工椎間板補綴装置の別の実施例の前方斜視図である。
【図15】図14の上側終板、核および下側終板の分解底面斜視図である。
【図16】図14の上側終板、核および下側終板の分解上面斜視図である。
【図17A】屈曲−伸張自由度に関する中立低エネルギー方位にある図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図17B】屈曲時の図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図17C】伸展時の図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図18】上側終板と、核と、保持要素と、下側終板と、を備える人工椎間板補綴装置の前方斜視図である。
【図19】図18の上側終板、核、保持要素および下側終板の分解上面斜視図である。
【図20】図18の上側終板、核、保持要素および下側終板の分解底面斜視図である。
【図21】2つの頚椎骨の間の部分椎間板切除を行った脊椎部分を示す図である。
【図22】図21の脊椎部分の中心線に位置合わせされたガイドツールを示す図である。
【図23A】図22のガイドツールの斜視図である。
【図23B】図22のガイドツールのヘッドの側面図である。
【図23C】ヘッドの側方斜視図である。
【図24】図22のガイドツールに挿入された錐(awl)を示す図である。
【図25】図24の錐の斜視図である。
【図26】ドライバツールでピンを椎体にねじ込んでいる状態の、図22のガイドツールと脊椎部分の矢状面断面図である。
【図27】2本のピンが隣接する椎体にねじ込まれた状態の、図21の脊椎部分の図である。
【図28】図27のピンに固定された調節式リテーナを示す図である。
【図29A】図28の調節式リテーナのラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めがニュートラル位置にある状態の図である。
【図29B】ラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めが圧縮のみ可能な位置にある状態の図である。
【図29C】ラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めが伸延のみ可能な位置にある状態の図である。
【図30】図28の調節式リテーナおよび別個の伸延用ツールを示す図である。
【図31】図28の調節式リテーナとともに使用できるやすりツールを示す図である。
【図32】かんなツールを案内している図28の調節式リテーナを示す図である。
【図33】図28の調節式リテーナと感触器(feeler)を示す図である。
【図34】トライアルを示す図である。
【図35】図34のトライアルの分解図である。
【図36】図28の調節式リテーナにより案内される図34のトライアルを示す図である。
【図37】図1のインプラントを把持するインプラント挿入器を示す図である。
【図38A】図37のインプラント挿入器の遠位端の側方図である。
【図38B】インプラント挿入器の遠位端の上面図である。
【図38C】インプラント挿入器の遠位端の端面図である。
【図38D】開いた状態にあるインプラント挿入器の遠位端の斜視図である。
【図39】図37のインプラント挿入器とインプラントの遠位端の上方断面図である。
【図40A】タンプ(tamp)を示す図である。
【図40B】タンプの遠位端の拡大図である。
【図41】図1のインプラントに取り付けられた図40のタンプの断面図である。
【図42】図1のインプラントを把持する抜去用ツールを示す図である。
【図43】図42の抜去用ツールの遠位端とインプラントの拡大図である。
【図44】図42の抜去用ツールの遠位端の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、人工椎間板置換を用いて椎間板障害と脊椎変形を治療するためのシステムと方法に関する。当業者であれば、以下の説明は単に本発明の原理を説明するものであり、その原理は各種の方法で活用し、各種の実施例として実現できることが分かるであろう。この説明は、本発明の一般的原理を説明することを目的としており、付属の特許請求範囲に記載された発明的概念を限定するものではない。
【0038】
脊椎は、正しく、健全なアラインメントであれば、自然な曲線を描き、矢状面と冠状面の適正な均衡状態が保たれ(柔軟性を有する)、椎骨間でバランスよく荷重が分散される。この曲線には、脊椎の頸部、胸部、腰部および仙骨部が含まれる。当然、曲線に順応できるように、機能的脊椎単位の間の関節角度と椎間腔の高さにおいてある程度の変化がなければならない。頸部および腰部は自然に前彎、つまり、前方に向かって凸状に湾曲している。脊椎に沿った異なる分節で、一般的に、椎体と椎間腔の高さに違いがある。さらに、椎間腔と椎間体の高さは、人によっても異なるかもしれない。
【0039】
各椎間腔には、前方領域と後方領域がある。前方から後方に向かって同じ高さを保つ頸部、胸部、腰部の人工椎間板は、異常なアラインメントの原因となることがあり、その結果、隣接する椎間板の前方または後方部分に余分な応力がかかる。また、装置全体への荷重の分散が不均一となり、過剰な量の相対的運動、磨耗によるデブリおよび短期間での故障を引き起こす。
【0040】
本明細書において、核、コアという用語は互換的に、損傷を受けた天然椎間板と置換される人工椎間装置を指す。人工コアは、単独でも、上位椎体に取り付けるための上側終板または下位椎間板に取り付けるための下側終板あるいはその両方と複合的にも提供できる。
【0041】
本明細書において、「上」、「下」という用語は、参照する図面に示される位置での、置換用椎間板のいずれかの側にある椎骨またはある部品の表面を指す。「上側」の板は機能的脊椎単位の中の上位椎骨に固定され、「下側」の板はその下位の椎骨に固定される。
【0042】
本明細書において、垂直、水平という用語は、解剖学的位置における直立する人間に関して使用される。「前方」は前に向かう領域を指し、「後方」は後ろに向かう領域を指す。「矢状」は、直立する人間の中央正中軸のいずれかの側の領域を指す。本明細書において、「矢状面」は、脊椎の椎体の正中軸に沿って延び、体を左右の側方領域に分割する垂直面を指す。「冠状面」とは、脊椎の椎体の正中軸に沿って延び、体を椎体の中央を通って前方領域と後方領域に分割する垂直面を指す。「頭側/尾側軸」とは、脊椎の椎体の中央正中軸に沿って延びる縦軸を指す。
【0043】
本明細書において、「非対称」という用語は、最大高さの軸が中央に位置付けられていない状態、または最大垂直軸が中央にない核または全椎間板置換(TDR)を指す。言い換えれば、最大高さが対象中心線の上になく、またはそこに軸を置かないため、TDRに対称軸の反対側の他の領域と形状または大きさが全く同じではない領域が含まれることになる。最大の荷重を負担する場所は、中心以外の場所に位置する。この用語は、最大高さの軸が略凸状の荷重負担表面の中央に位置していない、またはくぼみの最大深さの軸が、略凹状の荷重負担表面の中央に位置していない人口関節にも同義語的に使用される。
【0044】
本明細書において、「正常なアラインメント」という用語は、健康な関節の機能的コンポーネントの、相互および/または周辺組織に関する自然な位置付けを意味する。正常なアラインメントは、安静時の関節の、関節に応力や圧力が掛からない静的位置を指し、これはまた、屈曲または伸展時等、自然な機械的応力を受けている関節の動的位置を指す場合もある。正常なアラインメントは、自然な、健康な、または適正なアラインメントとも呼ばれる。本明細書において、「好ましい」または「所望の」アラインメントとは、自然の、または矯正されているが、関節コンポーネントが機能的、または所望の位置に置かれるような関節のアラインメントをさす。本明細書において、「好ましい方位」または「好ましい相対的方位」とは、自然に、または矯正されて、関節のコンポーネントが機能的または所望の位置にあるような、コンポーネントのアラインメントを指す。
【0045】
「好ましい相対的方位」という語句は、1つの軸、または複数の軸を中心とした方位を指すことがある。例えば、人工椎間板インプラントは、関節運動分節の適当な前彎または後彎を模倣する、好ましい前方−後方角度をなすように、内側から外側に延びる軸を中心とした好ましい相対的方位を確立するように設計されるかもしれない。あるいは、人工椎間板インプラントは、所望の角度の側屈を可能にする、好ましい内側−外側角度をなすように、略前方から後方に延びる軸を中心とした好ましい相対的方位を確立するように設計されるかもしれない。このような側屈は、健全な脊椎が真っ直ぐであることを示すゼロ度であっても、あるいは脊椎側彎症等の各種の病変を強制するために、左または右にゼロ以外であってもよい。別の例として、人工椎間板インプラントは、内側−外側軸と前方−後方軸の両方を中心とした好ましい相対的方位を確立して、適正な前彎または後彎状態が得られるようにするのと同時に、所望の側屈も可能となるように設計されるかもしれない。好ましい相対的方位はまた、関節が、運動停止手段のような抵抗点とは異なり、自然にそこに留まろうとするような低エネルギー位置であるかもしれない。
【0046】
「方位付け機能手段(feature)」とは、1つまたは複数の関節コンポーネント上の、そのコンポーネントが好ましい相対的方位となるのを支援するための機能手段である。例えば、関節コンポーネント上の対向する軸受表面は平坦な部分を有していてもよく、これらが協働してコンポーネントを好ましい相対的方位となるようにする。好ましい相対的方位であると、よりうまく位置合わせされるような、相互に合致する曲面もまた、方位付け機能手段である。平面や曲面以外の形態でも、方位付け機能手段を構成できる。
【0047】
これまでに、核の本体を完全に丸い(必ずしも球ではない)表面を持つ設計にすると、頭と首に様々な力が加わったときの確実な矯正効果に関する問題があることが分かっている。この問題に対応するために、核の本体に、平坦な、または隣接する表面と異なる形状を有する1つまたは複数の区分または部分を形成することができる。この部分は平坦部と呼ばれ、核の隣接表面と同じでない、あらゆる形状を指すものとする。このような平坦表面は、平面でもよく、あるいは、隣接する表面とは異なる曲率半径のわずかな凸状または凹状を含む、その他の形状であってもよい。このような平坦表面はまた、合成曲線またはその他の複合形状であってもよい。平坦部はさらに、二次元形状の直線的部分を指すこともある。前彎を矯正する例において、平坦部は、下位の椎体の上側終板に関して角度を付け、前方部の高さが後方部の高さより大きくなるようにすることができる。核本体の全体的形状は依然として非対称であるが、平坦部を取り入れることによって、変形を確実に矯正できる。この平坦部は、核を通じて作用するモーメントに抵抗して安定化させるもので、つまり、平らな部分の大きさが不十分である場合、前方負荷があると矯正効果が消失し、また後方負荷があると高度前彎曲過剰矯正(hyper-lordotic over correction)となる傾向がある(前彎矯正の場合)。上記のほかに、核に平坦区分を取り入れることによる利点は、装置が休止中のニュートラル位置から小さく動く間に、その領域で面接触を可能にし、これが応力と、おそらくは装置の磨耗を軽減するのに役立つかもしれない点ある。
【0048】
上述のような平坦表面は、前彎補正を行う場合、下位の椎体の上側終板に関して角度を付け(あるいはその逆、または両方)、前方端部の高さを後方端部の高さより大きくすることができる。コアの全体的形状は依然として非対称であるが、平坦表面を取り入れて、変形を確実に矯正することができる。あるいは、コアに平坦部を持たせて、しかも対称としてもよく、また終板を非対称にし、または角度を付けて前彎を矯正するようにしてもよい。
【0049】
本発明には、天然の椎間板の正常な可動範囲を提供すると共に、脊椎の変形を矯正できる新規な人工椎間板が含まれる。提案される椎間板によれば、機能的脊椎単位の半拘束的可動範囲が得られる。これは、全ての運動における術前の正常な脊椎の運動学的態様を再現する。特に、提案される椎間板では、屈曲伸展および側屈運動における独立した、可動的な回転中心が得られ、これは本装置に固有であるが、天然の脊椎の本来的な特徴である。この人工椎間板は最大限の耐久性と生体適合性を有し、長期間にわたって安定するように、この椎間板自体を脊椎の骨構造の中に一体化させる手段を備える。その挿入は安全、簡単であり、現行の手順と比較して手術時間が延びることはない。既存の椎間板置換システムと異なり、本装置により、外科医は脊椎の天然の運動学的態様を保持しながら、変形を矯正することができる。
【0050】
本発明の少なくとも1つの実施例において、人工椎間板は、幾何学的に対称ではない核を有する。人工椎間板の最大垂直軸は、椎間板の幾何学中心にはなくてもよい。最大垂直軸は、椎間板の前面、椎間板の背面に向かって、および/または椎間板の片側にあってもよい。最大垂直高さの位置づけと荷重負担能力は、矯正するべき変形の種類に応じて選択される。本発明はまた、椎間板/椎体病変、前彎症、後彎症および側湾症を、非対称的な人工椎間板を使って治療する方法を提案する。
【0051】
本発明の1つの利点は、「核」またはコアが、術中および術後に交換、変更可能であることである。器具を用いて矯正の必要性と矯正量を判断し、それから適正なインプラントを挿入することができる。核に補正を加えることで、外科医は、現在のシステムでは不可能な、柔軟性、挿入しやすさ、修正可能性という恩恵を受けることができる。
【0052】
本発明の人工椎間板には、各種の程度の変形矯正力を持たせることができる。本発明のこの態様に関して、外科医は患者にとって適当な矯正力を有する人工椎間板を選択できる。したがって、脊椎変形の治療方法が提案される。この方法は、人工椎間板埋植のために脊椎分節の準備を行うステップと、椎間腔の所望の角度を決定するステップと、所望の寸法を有する人工核を選択するステップと、上側終板を上位椎骨に固定するステップと、下側終板を下位骨に固定するステップと、上側と下側終板の間に選択された核を挿入するステップと、を含む。あるいは、終板−核−終板として組み立てたユニットを一度に挿入してもよい。このように事前に組み立てる構成の中の核の形状は、術中測定ツールを用いて、あるいは術前計算によって決定できる。術前計画の方法や器具も、挿入されるこの装置の大きさと方位を決定することができる。
【0053】
本システムの主な利点は、人工椎間板をより容易かつ迅速に挿入可能でき、核を矯正対象の変形の程度に応じて変更または修正できることである。これは特に、脊椎アラインメントが時間とともに変化する小児や青年において有益である。
【0054】
少なくとも1つの実施例において、頚椎の前彎矯正のために調整される非対称の核が提案される。外科医は、可動性を維持しながら、頚椎の後彎を復元することができる。核は、ポリウレタンやポリカーボネートポリウレタン等の低摩擦エラストマ、ポリエチレン(特にUHMWPE(超高分子量ポリエチレンまたは))等のポリマ、適当なセラミック、金属、チタンカーバイド等の金属基質複合材料、あるいはチタンまたはチタン合金等の金属合金、クロムコバルトモリブデン(CoCrMo)、コバルトクロム、ステンレススチールまたはその他の好適な材料で構成してもよい。核は、一般的に台形という幾何学設計を有し、最大高さ軸を核の幾何学中心の前方に置くことによって、各種の程度の前彎矯正力を持たせる。核の前方高さは、必要な前彎矯正の程度に応じて変わる。核は、例えば0、3°および6°の各種の前彎角度および異なる高さ(例えば4mm、6mm、8mm)でも利用できる。
【0055】
最終的な核の大きさを決定する前に、一式の具を挿入して、確実に前彎矯正を行うことができるが、これらの器具は、他の術前計画の方法や器具の確認にも使用できる。あるいは、術中器具を使って、他の術前計画の方法と器具を確認してもよい。
【0056】
1つの実施例において、インプラントは3つの部品、即ち上側終板と、下側終板と、核と、から構成される。終板は、解剖学的な違いに対応できるように、異なる大きさで作製される。これらは、チタン、チタンカーバイドまたはチタン合金、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)、コバルトクロム、ステンレススチール、金属基質複合材料またはその他、脊椎補綴用挿入物に適した材料で作製されていてもよい。これらはまた、主として1つまたは複数の材料で作製し、機械的性能や磨耗性能を最適化するために、別個のコーティング表面または材料の層を利用してもよい。コーティングは、潤滑性、低摩擦性、硬度増強、表面エネルギー低減、粗さその他、関節接合にとって好ましいその他の特徴を得るために利用できる。
【0057】
終板は、2つの主要な表面を有していてもよい。各々の終板の平坦表面は、椎体終板と接触し、骨の埋植装置への内部成長(ingrowth)を収容でき、チタン多孔体、リン酸カルシウム等の適当なコーティングを設けてあるか、あるいは長期的な安定性のために骨の内部成長を促進するその他の公知の表面を有している。終板はまた、すぐに固定できるようにするための、1つまたは複数の傍矢状竜骨や歯を有していてもよい。
【0058】
以下に紹介する実施例には、2つの終板と1つの核の3つの部品でなる補綴装置が含まれているが、本願で開示される核を隣接する終板の1つと一体構造にして、2つの部品でなる実施例も実現できると理解される。この場合、一体構造にしたことによる可動性の喪失を補償するように表面の形状を変えることによって、残りの関節面の少なくとも1つを補強してもよい。
【0059】
図1は、脊椎の一部の2つの隣接する椎骨の間の椎間腔に埋植された人工椎間板置換装置の実施例を示す。人工椎間板補綴装置100は、上位椎体2に固定された上側終板102と、下位椎体4に固定された下側終板104と、上側および下側の終板の間に配置された核106と、を備える。終板を椎体に固定するステップは、終板を椎体に連結して、少なくとも骨の内部成長が起こるのに十分な期間だけ終板がその場に留まるようにするステップを含む。椎間板補綴装置100は、関節接合部を形成する複数の関節面を有し、終板の間で屈曲/伸展、前方/後方並進、側屈および軸回転等の椎間運動が回復できるようにする。椎間板補綴装置100はさらに、接合部が1つまたは複数の軸に関して好ましい方位に留まることができるようにする方位付け機能手段を有しており、好ましい方位とは、接合部が自然にそのまま維持しようとするニュートラルの低エネルギー位置であってもよい。
【0060】
図2、3は、椎間板置換装置100の分解斜視図であり、図2は頭側−外側から見た斜視図、図3は尾側−外側から見た斜視図である。終板102,104の各種の機能手段をこれらの図で見ることができる。各終板102,104の形状は一般に台形であるが、例えば、長方形、円形、楕円形またはインゲンマメ形等、本発明の他の実施例では他の形状も想定される。上側終板102は終板本体110を備え、本体110は前方端112、後方端114、左側面116、右側面118、上面120および下面122を有する。上面120には骨係合表面124があり、これは基本的に平坦で、天然の椎骨終板の表面と接触しやすい。平坦な骨係合表面を使用することにより、終板に適応するのに適した形状に椎骨を準備するための余分な手術時間を省くことができるかもしれない。しかしながら、本発明の他の実施例では、終板が平坦な骨係合表面を持たず、略凹状または凸状の形状の表面を有していてもよいと理解される。骨係合表面には、微細孔を設け、またチタン有孔体、リン酸カルシウムその他、コーティング、プラズマ溶射等の処理といった適当な処理を取り入れ、また表面の構造的改質を行い、骨の内部成長や埋植装置表面への付着(ongrowth)を促進し、長期間の安定性が得られるようにすることができる。終板102の前方部126には、骨の内部成長のための処理を行わずに、器具の挿入や器具による把持をしやすくしてもよい。本体の後方傾斜部128は、本体120の残りの部分から鋭角で尾方向に傾斜しており、埋植中に補綴装置を椎間腔に挿入しやすい。複数の第一の歯130と第二の歯131は、骨係合表面124から外に突出していてもよい。
【0061】
上側終板102の下面122は、基本的に平坦な関節面132を有する。左フランジ134と右フランジ135の2つのフランジは関節面から尾側に突出し、終板の側面116,118に沿った中央に配置されている。フランジ134,135は、核106に形成されたノッチによって形成されるギャップの中に嵌るように位置付けられる。他の実施例では、フランジが終板の隅または側面に沿った他の位置に配置されていてもよい。斜面136が左フランジ134の下面に形成され、斜面137が右フランジ135の下面に形成されている。補綴装置の埋植後、側屈運動中、斜面136または137は下側終板の上面に接触しないが、これは、核の下面が下側終板の上面と接触して、側屈運動時に軟停止するようになっているからである。フランジ134,135の高さは決まっておらず、斜面136,137の傾斜も決まっていない。フランジ134,135の前方−後方寸法は、核106のギャップの前方−後方寸法より小さくして、核に関する終板102の前方−後方並進が拘束されるようにしてもよい。UHMWPE等の材料からなる核等の第一のコンポーネントが、チタンその他の金属等、より硬質な材料からなる終板等の第二のコンポーネントと接触すると軟停止し、同じ方向に第一のコンポーネントがそれ以上動かないようになっていてもよい。反対に、移動する第一のコンポーネントをより硬質な材料とし、第二のコンポーネントを比較的柔らかい材料で構成してもよい。
【0062】
前方保持部材140が終板102の前面に沿って形成され、下側終板104に向かって尾方向に突出する。前方保持部材140は、核が終板の間からずれないようにするのに役立つが、これは、部材140が核106の前縁より前方に配置されているからである。部材140の内縁142は、装置が軸回転できるように、終板102に関する核の回転が限定されるように傾斜されている。この内縁142はまた、軸回転の量を制限するための軸回転停止手段としての役割も果たす。内縁142は、補綴装置挿入用具のグリップアームと係合するように、蟻継ぎ状になっている。部材140の前方部分にポケット144が形成され、補綴装置の埋植中、再置換または抜去中に器具を受けるための受容部となる。補綴装置の埋植後、脊椎の屈曲運動中、前方部材140は下側終板120と接触しないが、これは、核が下側終板と接触して、部材140が下側終板と接触する前に運動を停止させるからである。本発明の他の実施例では、上側終板の上に複数の前方部材を設けても、あるいは上側終板に前方部材を形成しなくてもよい。
【0063】
下側終板104は終板本体150を有し、本体150は、前端152、後端154、左側面156、右側面158、上面160および下面162を有する。基本的に平坦な上側関節面164は、終板本体150全体に延びる。後端154に後方保持部材166が形成され、上面160から突出する。後方保持部材は、終板104に関する核106の軸回転を制限するように傾斜された内縁168と、上面169によって限定され、上面169は伸展時の側屈を可能にするように外側と後方に向かって傾斜されていてもよい。傾斜した内縁172を有する前方保持部材170が前端152に沿って配置され、上面160から上側終板102に向かって突出する。保持部材170の中にポケット174が形成され、これが補綴装置の埋植、再置換または抜去中に器具を受け入れる受容部となる。保持部材170の上面176は、屈曲中の側屈が可能となるように、外側と前方に向かって傾斜されていてもよい。
【0064】
上面160からは、ピンまたはポスト180が、頭側方向に上側終板102に向かって突出する。ポスト180は、下側終板104の幾何学中心に配置してもよく、あるいは幾何学中心からずれていてもよい。ポスト180の位置と、これに対応する核のポケットが頭側/尾側軸を決定し、その周囲で核および対向する終板が下側終板102に関して回転してもよい。一般に、ポスト180は、頭側/尾側軸を中心に回転できるような円筒形であるが、球面肩部183のある周辺壁182を有し、これは核のポケットの壁と関節接合してもよい。頭側/尾側軸での回転を防止または制限するために、ポストは、例えば四角形または三角形等、非円筒形であってもよい。ポスト180はまた、核のポケットと協働して、軸回転と同時に側屈が可能であるようにしてもよい。
【0065】
下側終板104の下面162は、平坦な骨係合表面186を有し、その上に1つまたは複数の歯130,131が形成されていてもよい。前方部分188には骨の内部成長や表面付着のための処理を施さずに、器具と係合できるようにしてもよい。本体の後方傾斜部190は、骨係合表面186の残りの部分から鋭角で頭側方向に傾斜されており、その結果、前述のように、埋植中に補綴装置を椎間腔に挿入しやすい。
【0066】
図4A,4Bを参照すると、第一の食い込み歯部130と第二の食い込み歯部131を備える複数の骨係合用機能手段が上側および下側終板の骨係合表面124,186に形成されていてもよい。歯130,131は先の鋭利な前縁を有し、これが挿入中に椎体の中に食い込むため、椎体表面に事前に溝を切っておいたり、リーマで広げたりする、余分な準備ステップが不要となるかもしれない。第二の歯131の各々は、第一の歯130の真後ろ、またはその前方に配置してもよい。第一の歯130の各々は狭く傾斜した切り込み先端部202を有し、この先端部が終板102の後端114に向かう状態で配置される。終板が椎体の間に挿入される際、第一の歯130の各々の鋭利な切り込み先端部202が椎体表面に進路を刻む。終板がさらに進むと、第二の歯131が第一の歯130によって刻まれた進路に入って進み、第二の歯の第一の歯より広い切り込み先端部204が通路を広げる。
【0067】
第一の歯130の各々は、歯の上に設けられた尖端206を有し、これが一対の支持壁208と端壁210によって支持される。支持壁208は、骨係合表面124または186から尖端206へと、相互に向かって傾斜されている。この傾斜により、有利な点として、歯が椎体に侵入する際に隙間なく押し込まれ、即座に固定される。傾斜した壁208により、埋植後に終板102が椎体中に若干沈下し得るため、椎体からゆるむ危険性がなくなる。端壁210は垂直または略垂直として、椎体内に保持されやすく、椎体から予期せずに脱落するのを防止してもよい。本発明の他の実施例では、壁208を傾斜させず、相互に平行としてもよい。
【0068】
第二の歯131は各々、幅広い切り込み先端部204と、2枚の傾斜した支持壁212と、1枚の端壁216と、を有し、これらは尖端214を支持する。第二の歯131は、第一の歯と同様の構成であるが、壁の高さや切り込み先端部の角度と幅等の具体的な寸法は違ってもよい。例えば、図4Aに見られるように、第二の歯131は横方向に第一の歯130より広く、第一の歯130の切り込み先端部202は第二の歯131の切り込み先端部204より狭い。図4Bを見ると、第二の歯131の支持壁212と尖端214はより高く、第一の歯130の支持壁208と尖端206より縦の寸法が大きい。第一の歯130の後方前縁218は第二の歯131の後方前縁220より傾斜が緩やかであり、これも挿入の助けとなるかもしれない。第一と第二の歯130,131の全てに、骨係合表面124,186と同じように、骨の内部成長および表面付着のための処理を施してもよい。
【0069】
終板102,104はどちらも略横方向に対称であるが、別の実施例においては、終板の一方または両方の最大垂直寸法を横方向のいずれかの側に配置して、脊柱側彎矯正を可能にしてもよい。同様に、終板の一方または両方の最大垂直寸法を前方に配置して前彎矯正用とするか、あるいは最大垂直寸法を後方に配置して後彎矯正用とすることもできる。終板の個々の機能手段、例えば、これらに限られないが、骨係合用機能手段、運動停止手段、器具受け入れ用陥凹部およびポスト等を交換、逆転または反転させて、上側終板の上にある機能手段が、今度は下側終板の上にあるように、またその逆となるようにしてもよいことが理解される。さらに、別の実施形態では、終板上の機能手段を核に配置し、またその逆としてもよい。
【0070】
図5A,5B,6,7A,7Bは、椎間板核106の各種の図面である。終板102,104と同様に、核は一般に、丸みのついた台形であるが、別の実施形態では他の形状としてもよい。核106は、上面250、下面252、前端254、後端256、左側面258および右側面260を有する。上面250は核上側関節面262を有し、これはさらに3つの平坦部、つまり前方平坦部264、中央平坦部266、後方平坦部268を有する。第一の曲率(curvate)移行部270が前方平坦部264と中間平坦部266の間にあり、第二の曲率移行部272が中央平坦部266と後方平坦部268の間にある。3つの平坦部は、インプラントが椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎体の矢状面に対して垂直である。平坦部は、相互に関して同一平面ではないが、本発明の別の実施形態では、1つまたは複数の平坦部が同一平面であってもよい。前方平坦部264と中央平坦部266の間の角度a1は鋭角であり、中央平坦部266と後方平坦部268の間の角度a2と等しくなくてもよい。他の実施形態では、角度a1とa2が同じであってもよい。核下面252は、下側関節面280を有し、これは上側関節面と同様に、2つの曲率移行部によって分離される3つの平坦部を有する。右平坦部284は中央平坦部286から第一の曲率移行部290によって分離され、中央平坦部286は左平坦部288から第二の曲率移行部292によって分離される。3つの平坦部は同一平面ではない。平坦部は、インプラントが椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎体の冠状面に対して垂直である。右平坦部264と中央平坦部286の間の角度b1は鋭角であり、中央平坦部286と左平坦部288の間の鋭角b2と同じである。別の実施形態では、角度b1,b2を違えて、脊柱側彎矯正用としてもよい。
【0071】
核の両側に2つのノッチ、左ノッチ300と右ノッチ302が形成されている。左ノッチ300は左ギャップ304を画定し、核が終板102,104の間に配置されたときに、左フランジ134が左ギャップ304の中に延びる。右ノッチ302は右ギャップ306を画定し、その中に右フランジ135が延びてもよい。キャップ304,306はそれぞれ、各々の運動停止手段より前方−後方寸法いため、上側終板102が核106と下側終板に関して並進運動できる。図8は補綴装置の左側の側方図であり、補綴装置が前方−後方軸および内側−外側軸の両方での回転に関して低エネルギーニュートラル位置にあるときの、左フランジ134と左ノッチ300の関係を示す。矢印は、上側終板102の前方−後方並進を示す。図5Aに見られる陥凹部296を、前端254の中に、核の上面250に向かって形成してもよい。陥凹部は、上側終板の並進中に、上側終板102の前方保持部材140を受けるような形状とされる。
【0072】
図5Bを参照すると、ポケット310が、核106の下面252の陥凹部として形成され、ポスト180を受ける形状とされている。ポケット310はテーパの付いたスロットの形状であり、その内側−外側最大開口寸法312は、前方−後方最大開口寸法314より大きい。ポケット314を取り囲む支持壁316には、ポケットの端壁318からその開口部319に向かって外側にテーパが付けられている。支持壁316は、ポスト180の周囲壁182と関節接合していてもよい。卵形で傾斜した支持壁によって、核106と上側終板102は、側屈中にポート180に関して自由に動くことができる。
【0073】
補綴装置100が有する関節面と運動停止手段の組み合わせにより、第一の接合部での屈曲−伸展回転自由度と前方−後方並進および第二の接合部での側屈と軸回転自由度を持つことができる。各回転自由度のための回転中心は共有されてもよく、あるいは各回転自由度の回転中心は異なっていてもよい。第一の接合部は、核上側関節面262と上側終板102の下側関節面132との間の界面を構成する。屈曲−伸展中に、核上側関節面262は下側関節面132と関節接合する。屈曲は、前方平坦部264が下側関節面132と接触すると制限され、逆に、伸展は、後方平坦部268が下側関節面132に接触すると制限される。第一の接合部により、核106と下側終板104に関する上側終板102の前方−後方並進も可能となる。
【0074】
第二の接合部は、核下側関節面280と下側終板104の上側関節面164との間の界面をなす。側屈中、核下側関節面280は上側関節面164と関節接合する。左側屈運動は、左平坦部288が上側関節面164と接触すると制限され、右側屈運動は、右平坦部284が上側関節面164と接触すると制限される。第二の接合部では軸回転も起こるが、これは、核下側関節面280がポスト180の軸を中心として、上側関節面164に関して回転するからである。軸回転運動は、下側終板104の前方保持部材170と後方保持部材166の傾斜した内縁によって制限されてもよい。
【0075】
図9A,9B,9Cを参照すると、人工椎間板核の異なる実施形態が側方断面図として示されている。図9Aの核350では、上面352と下面354は相互に平行で、その間の角度は0度である。この核の場合、最大高さ軸356は人工椎間板の中心に位置する。図9Bの核360は、3°の前彎矯正用である。図9Cの人工椎間板核370は、6°の前彎矯正用である。図9B,9Cのように変形矯正が行われる場合、最大高さ軸356は核の幾何学中心からずれた位置に移動されてもよい。前方/後方の方向を逆にすると、後彎矯正が行われる。核は、各種の矯正角度とするように調整でき、場合によっては、矯正が不要である。核350,360,370を、終板102,104またはその他の終板と組み合わせて人工椎間板補綴装置を形成してもよい。核106は、6°の前彎矯正を行うものである。
【0076】
各々の核関節面上の中央平坦部によって、それぞれの接合部は、好ましい方位または安定した低エネルギー位置を確保できる。低エネルギー位置は、接合部が特定の地点以降、つまり運動停止手段を過ぎてから特定の方向に移動できなくなる運動制限位置と同じではない。低エネルギー位置は、接合部が安定し、接合部を低エネルギー位置から出すのにエネルギーが必要となるような接合部の方位である。図10Aは、上側終板102と核106の間の接合部が屈曲−進展自由度の低エネルギー位置にある状態の、補綴装置100の矢状面断面図である。下側関節面132は中央平面部266と面接触しており、補綴装置は上側および下側終板102,104の冠状面を通じて好ましい方位と低エネルギー位置にある。接合部がこの低エネルギー位置から動き出すためには、抵抗に打ち勝って、屈折時には第一の曲率移行部270の上で冠状面において前方に回転するか、あるいは伸展時には第二の曲率移行部272の上で後方に回転するのに十分なエネルギーが上側終板102にかけられなければならない。図10Bは、接合部が伸展している状態の10Aの補綴装置を示す。上側終板102は後方にひねられて、下側関節面132が後方平坦部268と接触して、伸展運動が停止する。
【0077】
図11A,11Bは、後方からの補綴装置100の冠状断面図であり、それぞれ、補綴装置が側屈自由度の低エネルギー位置にあるときと、側屈位置にあるときを示す。図11Aにおいて、核の下側関節面は好ましい方位にあり、下側終板104の、ポスト180周辺の上側関節面164と切れ目なく接触している。補綴装置がこの好ましい方位から動き出すためには、上側関節面164と接触した状態から片側を持ち上げるのに十分なだけ、核を矢状面で横方向に回転させるために必要なエネルギーが加えられなければならない。このような位置は、図11Bの側屈停止手段の部分に見られる。図12A,12Bは、屈曲と側屈が組み合わされたときの補綴装置100を示す。図12Aは左側方図で、上側終板102が屈折で前方に傾いているのと同時に、並進方向にシフトしており、核106は右に側屈している。図12Bは前方図であり、上側終板102が屈曲および前方並進中で、核106は側屈中に右に傾いている。この位置で、核の前方平坦部264は上側終板102の下側関節面132と接触し、屈曲が軟停止する。核の右平坦部284は、下側終板104の上側関節面164と接触し、側屈が軟停止する。
【0078】
図13A,13Bは、下側終板104に関する核106の軸回転を示す。図をわかりやすくするために、上側終板102は省略されている。図13Aでは、核106が中央の非回転位置にあり、図13Bでは、核106が左に回転している。運動停止手段170,166の傾斜した内縁172,168は、回転運動を制限する。これらの図には示されていないが、本発明は、屈曲伸展おび/または側屈および/または前後並進と軸回転が組み合わされて起こってもよいことが理解される。
【0079】
本発明の他の実施形態では、回転自由度の組み合わせおよび/または位置を交換または再分散させてもよいことが理解される。例えば、他の実施形態において、一方の接合部で屈曲−伸展と側屈および、もう一方の接合部で軸回転が行われてもよい。別の実施形態では、一方の接合部での屈曲−伸展と軸回転および、もう一方の接合部での側屈が行われてもよい。
【0080】
図14は、本発明のまた別の実施形態を示し、人工椎間板補綴装置400は、上側終板402、下側終板404、コアまたは核406を有する。上側終板は、骨接触用になされた上面と、核の上面を関節接合させるための下面上の少なくとも部分的に円筒形の表面を有する。核は、少なくとも部分的に円筒形の上面と平坦な下面および円筒形の外面を有する。下側終板は、核の下面と関節接合する平坦上面および、骨接触用になされた下面と円筒形内面を有する。補綴装置の第一の接合部により、屈曲−伸展および側屈自由度が得られ、第二の接合部により軸回転自由度が得られる。
【0081】
図15は、前方−下側から見た補綴装置400の分解図であり、図16は後方−上側から見た補綴装置の分解図である。上側終板402は、前端410、後端412、左側面414、右側面416を有する。把持用陥凹部417は側面の一方または両方に設置することができる。上側骨係合面418は骨接触用になされ、複数の食い込み歯部420および/または421が骨係合面418に分散的に設けられていてもよい。骨係合面と歯のどちらにも、前述のような骨の内部成長や装置表面への付着のための処理を行ってもよい。下側関節面424は、円筒形の一部のような形状の平坦部を有する。ポスト430は、下側関節面から尾側に向かって延び、ポスト関節面432を有し、ここには平坦部が含まれていてもよい。平らに平坦化された側方部426,428が下側関節面424の脇に設けられる。
【0082】
下側終板404は、前端440、後端442、左側面444、右側面446を有する。把持用陥凹部417が側面に設置されていてもよい。下側骨係合面450は、平面でもよく、下面448にあり、複数の食い込み歯部420,421を有していてもよい。歯と骨の係合面には、骨の内部成長または表面付着のための処理を施した領域があってもよい。図16を参照すると、平面の上側関節面456が終板の上面452にある。前方運動停止手段460が前端440に沿って、頭側に上側終板402に向かって延びる。内面462は円筒形で、核406の円筒形の外縁に対応し、上面464は円筒の一部の形状であり、屈曲中に上側終板402の下側関節面424と結合する。後方運動停止手段466も同様に、円筒形の上面468を有し、伸展中に下側関節面424と結合する。後方運動停止手段466はさらに、円筒形の内面470を有し、また、核406のタブを受けるような形状のアンダーカット部472を有する。傾斜した上面を有する左右の側方運動停止手段474,476が、上側終板402に向かって延びる。右側運動停止手段474と左側運動停止手段476の内面478,480が蟻継ぎ状であることにより、下側終板404に関する核の軸回転が制限される。
【0083】
核406は、部分的に円筒形状の上側関節面492を有する上面490と、平坦な下側関節面496を有する下面494を有する。前端497は、下側終板404の前方運動停止手段460と対応するように円筒形である。円筒形の後端499は、下側終板404の上のアンダーカット472中に嵌まり込む形状のタブ498を有する。タブ498は、核が下側終板から「持ち上がる」ことや核の位置ずれを防止することにより、脊柱管に向かう核の後方移動に抵抗する役割を果たす。図のように、タブ498は、核の初期挿入と術中または術後の核の交換を行いやすくするために、丸みを付け、面取りし、または斜角を付けることができる。
【0084】
上側関節面492は3つの平坦部を有し、その各々は円筒形の一部分の形状である。中央平坦部500は、核を内側−外側方向に、補綴装置の矢状面を横断するように延びる。第一の曲率移行部502は、中央部500と前方平坦部504の間にあり、第二の曲率移行部506が中央部500と後方平坦部508の間にある。略中央に位置するポケット510は、核の中を尾側に延び、内側−外側および前方−後方の両方向においてポストより大きく形成して、屈曲−進展時および側屈中に上側終板402の並進を限定するようにしてもよい。本発明の別の実施形態では、ポケット510をより小さくし、それがポスト430と接触して、屈曲/伸展および/または側屈のための運動停止手段を形成するようにしてもよい。別の実施形態は2つの部品からなる補綴装置としてもよく、この場合、核406が下側終板404と結合され、上側関節面492が上側終板402の下側関節面424と関節接合する。
【0085】
図17Aは、好ましい方位にある補綴装置400の矢状断面図である。図17Bは、屈曲時の補綴装置を示し、図17Cは、伸展時の補綴装置を示す。
【0086】
図18−20は、本発明のまた別の実施形態による人口椎間板補綴装置600を示す。補綴装置600は、第一の上側接合部で側屈自由度と、第二の下側接合部で屈曲−伸展および軸回転自由度を有する。この補綴装置は、上側終板602と、下側終板604と、終板の間に配置され、これと関節接合するコアまたは核606を有する。
【0087】
図19は、上側から見た補綴装置600の分解図あり、図20は、下側、側方から見た分解図である。上側終板602は、平坦骨係合面608を有し、複数の食い込み歯部610,611が骨係合面の上に形成されていてもよい。終板602の下面に、部分的に円筒形状の下側関節面612が形成される。前方保持部材614は前端に形成され、傾斜面616を有し、これは内側−外側方向に傾斜されて、屈曲中の側屈を可能にしている。補綴装置の埋植、再置換および/または抜去中に器具で把持するためのスロット618が、保持部材614の背後に形成される。保持部材614の前方部の中にポケット620が形成され、器具の受容体としての役割を果たす。終板602の後端を若干傾斜させ、椎間腔内に挿入しやすくしてもよい。
【0088】
下側終板604は平面骨係合面624を有し、その上に複数の食い込み歯部610,611が形成されていてもよい。上側終板602と同様に、終板の後端を若干傾斜させ、椎間腔内に挿入する際、終板の後端の形状が頭側−尾側の方向に小さくなるようにしてもよい。下側終板604の上面には上側関節面626があり、これが曲率移行部によって分離される3つの平坦部を有する。前方平坦部628、中央平坦部630、後方平坦部632は相互に関して同一平面ではなく、補綴装置600が椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎間体の矢状面に垂直である。中間平坦部630は核の平坦下面と協働して、屈曲−伸張自由度における補綴装置のニュートラルの低エネルギー位置または好ましい方位を確立する。前方平坦部628は、屈曲中に核の平坦下面と接触したときに運動を軟停止させ、後方平坦部632は、伸展時に核の平坦下面と接触したときに運動を軟停止させる。ポスト634が上側関節面626から突出し、核のポケットと協働して、屈曲−伸展中の前方−後方並進を可能にする。前方保持部材636は終板604からこれに対向する終板602に向かって突出し、ポケット621は終板の前端の、前方保持部材の下に形成される。左側方運動停止手段638と右側方運動停止手段640は、終板の側方縁辺に形成される。左右の側方運動停止手段の各々は、3方向に傾斜した上面を有し、側屈中の屈曲−伸展およびその逆の運動を可能にする。前端636の縁辺の内側において、左右の運動停止手段638,640も傾斜されて、ポスト634の軸での核の軸回転を可能にする。下側終板604の別の実施形態では、前彎または後彎矯正機能を持たせ、終板の最大垂直軸を終板の中心から前または後にずらしてもよい。
【0089】
核は、平坦下側関節面642と半円筒形上側関節面644を有する。平坦下側関節面642は、下側終板の上側関節面626と関節接合し、屈曲−伸展と軸回転を可能にし、上側関節面644は上側終板602の下側関節面612と関節接合し、側屈を可能にする。核の下面に長いポケット646が設けられ、ポスト634を受ける形状とされている。湾曲したタブ648が核から後方に突出し、タブの下にアンダーカット649が形成されている。
【0090】
別に形成され、上側終板602に溶接またはその他の手段で接合される保持部材650が核606と係合し、補綴装置の核606を保持し、また運動停止手段としての役割を果たしてもよい。保持部材650は、本体652、一対のアーム654および突起部656を有する。突起部656は核のアンダーカット649と嵌合し、アーム654は湾曲タブ648の上に取り付けられる。脊柱の運動中、保持要素は上側終板と一緒に移動する。本体652と突起656の下面は傾斜が付けられ、側屈と伸展の両方が可能である
【0091】
図1−20に示した椎間板インプラントは、生体適合金属等の生体適合材料またはその他の適正な強力な材料で作製することができる。インプラントを1つの生体適合材料で形成し、担持面を別の生体適合材料で形成してもよい。インプラントは各種の大きさ、各種の形状で作製し、患者によって異なる椎骨の大きさや椎骨の形状に適合させることができるようにしてもよい。特に、大、中、小の3つのサイズ、0°、3°、6°の3つの前彎矯正角度を有するインプラントを提供してもよい。
【0092】
インプラントのコンポーネントは、全部または一部を生体適合金属、例えばステンレススチール、チタン、チタン合金、コバルトクロム、CCM(コバルトクロムモリブデン)、アルミニウム、ジルコニウム、ニッケルチタン(NiTi/Nitinol)、形状記憶金属、超弾性金属、炭化チタン、炭化タングステン、タンタルまたはクロム等の金属基質複合材料その他で形成できる。インプラントのコンポーネントは、全部または一部を、アルミナ、ジルコニア、アルミナ−ジルコニアブレンドまたはその他のセラミック複合材料等の生体適合セラミック材料で形成することができる。インプラントのコンポーネントは、全部または一部を生体適合ポリマで形成することができ、この材料としては例えば、PEEK、カーボンまたはグラスファイバ補強ポリマ、ABS、ポリカーボネート、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ナイロンポリマ複合材料、ポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン複合材料、アセタル、ポリエステル、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、ポリL乳酸(PLLA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等の吸収性ポリマ、TCP、グリコリド、ラクチド、ハイドロゲル、シリコン、ニトリル、ブチル、熱可塑性エラストマ(TPE)等のエラストマ、またはエチレンビニルアセテート(EVA)がある。
【0093】
インプラントのコンポーネントは、全部または一部を、別の生体適合材料、例えば、ダイヤモンドまたはダイヤモンド様材料、カーボン、ハイドロゲル、パイロカーボン、熱分解カーボン(pyrolitic carbon)、同種移植骨、脱灰骨、コラーゲン、軟骨、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、PMMA−骨セメント(PMMA-bone cement)、たんぱく質、アミノ酸、核酸または糖分その他で作製することができる。
【0094】
インプラントのコンポーネントはまた、全体的または部分的に、窒化チタン、ホウ化チタン、炭化チタン、イオンコーティング、セラミックコーティング、酸化物コーティング、プラズマ、PTFEコーティング、低摩擦コーティング、疎水性または親水性コーティングあるいは蒸着コーティングその他の特殊コーティングで被覆してもよい。インプラントのコンポーネントの骨接触部は、微細孔を持つ、または持たない骨内部成長面を有していてもよい。
【0095】
本発明の他の態様では、補綴装置の関節面を全て、ポリマで形成することができ。前述のように、核は全体を、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、クロスリンクUHMWPE、セラミック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または他の種類の好適なポリマその他で形成することができる。骨内部成長表面は、プラズマ溶射による金属、ハイドロキシアパタイトその他の骨様コーティングで作製することができ、また骨成長因子のコーティングを設けることができる。終板の関節面には、適当なポリマ、セラミックその他の挿入部を形成することができる。終板の、骨と接する他の外部表面は、上述のような種類の骨内部成長面を持つように形成することができる。
【0096】
図21−41は、補綴装置100のような人工椎間板補綴装置を脊椎の一部に埋植する器具と方法を示している。各種のサイズのインプラントトライアルを含むツールキットを用意してもよい。図21を参照すると、患者は中立姿勢をとり、前方到達法により、脊椎の標的椎間板レベルを露出させる。標的とする椎間板腔において上位椎体2と下位椎体4の間の部分摘出を行う。図では頚椎体2,4がC4,C5レベル椎間板として描かれているが、手順は、脊椎のどの2つの連続する椎間板についても実行できると理解される。
【0097】
図22のように、椎体の矢状面正中線6を決め、露出された椎体にマークを付けてもよい。ガイド700を椎体の上に位置付け、このとき、矢状面インディケータ702,704,706が矢状面正中線6と一致するようにする。図23Aはガイド700全体を示しており、図23Bはガイドヘッド710の拡大側面図、図23Cは、ガイドヘッドの拡大斜視図である。ガイド700はハンドル712を備え、ハンドル712は近位側グリップ部714と遠位側シャフト部716を有する。シャフト716は、ヘッド710に溶接されている。ガイドヘッド710は、細長いループの形状で、円周壁718を有し、その中にガイドルーメン719が画定される。ガイドヘッド710には第一の面720と第二の面722があり、両面を貫通するポート724と側面位置合わせ穴726がある。ガイドタブ728は矢状面インディケータ706を有し、遠位方向に突出して、第一の面720と第二の面722の両方に連結されている。図22からわかるように、ガイド700を、ガイドタブ728が部分摘出によって作られた空間の中に入り、矢状面インディケータが矢状面正中線6と一致するように位置づける。さらに、ガイド700を操作して、面720の側面位置合わせ穴726が面722の側面位置合わせ穴726と一致するようにする。位置合わせの判断と制御には蛍光透視法を用いてもよい。
【0098】
図24,25のように、オール750を使って椎体に案内穴を開けてもよい。オール750の遠位端752と先端754は、ガイドルーメン719の間に適合するような形状である。オールの先端754を正中線と略中心体に沿って椎体2,4の各々に差し込み、ガイドピン用のパイロットホールを作ることができる。
【0099】
図26,27のように、必要に応じて案内穴を使用しながら、ガイドピン762を矢状面正中線上で椎体2の中に打ち込み、ガイドピン764を矢状面正中線上で隣接する椎体4の中に打ち込む。ガイドピン762,764はまったく同じであっても、長さが異なっていてもよい。ガイドピン762,764はそれぞれ、ねじ山を有する侵入先端770と、遠位シャフト部772、中間シャフト部775および近位シャフト部776を有する。ねじ係合部778が、これと対応するドライバツール780の打ち込み機能手段782と係合するように構成されており、ドライバツール780を回転させて、ピン762,764の各々をそれぞれの椎体の中にねじ込む。係合部778とこれに対応する打ち込み機能手段782の形状は、六角形またはその他であってもよい。ガイドピン762,764は、矢状面正中線の上で、略中心体に、標的の椎間腔と平行に設置される。ガイドピンが固定されれば、ガイド700を抜き取ってもよい。
【0100】
図28,29のように、リテーナ800をピン762,764の上に設置する。リテーナ800は調節可能なブラケットシステムであり、ピン762,764と係合するように設置され、ピンと、ピンが固定される椎体との間の距離を調節して保持でき、その結果、標的となる椎体の間の椎間腔の中に、到達可能な作業領域が設けられる。ラック・アンド・ピニオンシステムは、ピン、したがって椎体を相互に圧迫し、または離間させるように圧縮力または伸延力を加える。リテーナ800はまた、追加の器具のための案内枠組みを提供し、器具と補綴装置が椎体の矢状面正中線に関して好ましい方位になるように設置されるようにする。図28,29を参照すると、リテーナ800は、第一のブラケット802、第二のブラケット804、ラック・アンド・ピニオンシステム806、2つのプレート808,810を有し、プレートはピン762,764を受け入れて、これと係合するように構成されている。プレート808をピン762の上に嵌め、ロック809を係合させてピンをロックしてもよく、プレート810をピン764の上に嵌め、ロック809を係合させてピンをロックしてもよい。一対のリンク812,814が、プレート808,810をブラケット802,804にヒンジ式に連結する。プレート810と第二のブラケット804の間には別のリンク816とピボットピン817があり、その周囲でプレート810を旋回させ、補綴装置の埋植、再置換および/または抜去作業中にプレート810とピン762を円弧状に動かすことができる。図28に見られるように、カラー818は、カラー818がピボットピンを中心としたプレート810の旋回を防止する第一の位置と、プレート810が自由に旋回できる第二の位置の間でスライド可能である。プレート810を旋回できる状態では、プレート810、ピン762および関連する椎体2の角度を、プレート808、ピン764および関連する椎体4に関して平行な位置以外の位置になるように調節できる。このような調節は、トライアルを椎間腔に挿入する時または、埋植中の他のステップにおいて有益または必要かもしれない。
【0101】
図29A−29Cは、ブラケット802,804とラック・アンド・ピニオンシステム806の断面図である。ラック・アンド・ピニオンシステム806はブラケットハウジング805中に格納されているが、ラックはハウジングの外にあってもよい。ラック・アンド・ピニオンシステム806は、ラック歯部の列822を有するラック820を備える。ラック820は、溶接その他の手段で第一のブラケット802に堅牢に連結され、ハウジング805を貫通する。ピニオン824はピニオン歯部826を有し、ピニオンウィング828(図28に示されている)によって回転されることができる。歯止め830の位置で、リテーナがピン762,764に圧縮力または伸延力のどちらを加えるかを制御でき、歯止めは第一の位置、第二の位置、第三の位置の間で移動させることができる。歯止め830は第一の歯止め歯部832と第二の歯止め歯部834を有し、ピボットピン836を中心にして旋回できる。トグル838は、第一の位置、ニュートラル位置および第二の位置の間で切り換えることができ、歯止め830と係合するバネ840とプランジャ842を制御して、歯止め830を第一の位置、ニュートラル位置、第二の位置の間で移動させる。図29Aは、ニュートラル位置にあるトグル838とポール830を示す。ニュートラル位置では、歯止めはラック歯部822と噛み合っておらず、ピニオン824を回転させてラックと噛み合うようにすることで、ラック820を第二のブラケット840に関してどの位置にも移動させることができる。第一の、つまり伸延位置にするには、トグル838を第一の方向850に移動させると、図29Cに示されるように、プランジャ842が第一の歯止め歯部832を押し下げて、ラック820と係合させる。歯止めがこの第一の位置にあると、ラック820は、ピニオン824が回転されてラックと係合するときに、第二のブラケット804に関して850の方向にしか移動できない。ラック820は第一のブラケット802に連結されているため、第一のブラケット802も第二のブラケット804に関して850の方向に移動し、ブラケット802,804を相互に遠ざける。ブラケット802,804は、ピン762,764にロックされたプレート808,810と連結されているため、850の方向にラックが移動すると、ピン762,764と椎体2,4は伸延する。
【0102】
図29Bのように、トグル838がニュートラル位置を過ぎて第二の方向852に移動すると、プランジャ843が第二の歯止め歯部834を押し下げてラック820と係合させ、歯止め830は第二の、つまり圧縮位置となる。歯止めがこの第二の位置にあると、ラック820は、ピニオン824が回転されてラックと係合するときに、第二のブラケット804に関して852の方向にしか移動できず、ブラケット802,804は相互に近づく。ブラケット802,804が相互に近づくように移動すると、ピン762,764と椎体2,4は圧縮される。リテーナをピン762,764に取り付ける前は、歯止め830をニュートラル位置にして、ラックをどちらの方向にも自由に移動させて、ブラケットとプレートの間の距離をピンの間の距離に合わせて調節してもよい。プレート810,808をピン762,764の上に設置し、ロック809,811を係合させてプレートをピンにロックする。ドライバツール780を使って、ロック810,811を係合させてもよい。その後、上記の方法で伸延または圧縮が行うことができる。つまり、トグル838を第一の位置に移動させ、ピニオンを回転させて伸延だけできるようにし、またトグル838を第二の位置に移動させ、ピニオンを回転させて、圧縮だけできるようにする。あるいは、トグル838をニュートラル位置に設置し、伸延および/または圧縮を自由に行えるようにしてもよい。リテーナ800は、どの方向でピン752,764に取り付けてもよく、つまり、プレート808をピン764に取り付けて、プレート810をピン762の上に取りつけるか、あるいはその逆に、プレート810をピン764に、プレート808をピン762に取り付けてもよいと理解される。また、本発明の別の実施形態として、各ブラケットが、ラック・アンド・ピニオンシステムのような調節可能機能を有し、ブラケット、ピン、および関連する椎体の間の伸延と圧縮を行ってもよいと理解される。さらに、ピボットピン817とカラー818のような旋回機能を一方または両方のプレートに設けてもよい。
【0103】
図28に見られるように、リンク812はプレート808をブラケット802に連結し、リンク814,816がプレート10をブラケット804に連結する。リンクとブラケットをヒンジ式に連結し、椎骨の頭尾軸を中心に片側から反対側に回転させて、手術部位の可視化と同部位へのアクセスが最適化されるようにしてもよい。
【0104】
図30に見られるように、必要または希望に応じて、伸延器900をリテーナ800と一緒に使い、椎体2,4の間が十分に伸延されるようにしてもよい。伸延器900のプロング902,904を椎間腔に挿入して、レバー906,908を相互に圧縮させることによって伸延できる。ラチェット機構910によってレバーを固定位置にロックすると、板ばね912が伸延の抵抗となる。このような伸延が行われるのは、リテーナ歯止め830がニュートラル位置または第一の位置にあるときである。椎体が十分に伸延されたところで、リテーナ歯止め830が第一の位置に戻っていなければ、リテーナ歯止め830を第一の位置まで移動させて、椎体間のスペースを保持してもよい。伸延器900は、レバー906,908とプロング902,904を解放時まで固定位置に保持するためのロッキング機能を供えていてもよい。
【0105】
椎体が十分に伸延されたら、骨鉗子、キュレット、オステオトーム等の公知の器具を使って切除と減圧を行う。骨鉗子、かんな、やすり、バリとり工具(burr tool)その他の器具を使って、椎骨終板に平坦な表面を作ってもよく、これは、表面が平らであると、補綴装置の終板と椎骨終板とが非常によく接合するからである。終板の準備としては、補綴装置の歯や竜骨に対応する溝を形成すること、補綴装置との適合性を高め、あるいは骨の内部成長を促進して補綴装置を安定させるために表面を粗くし、または円滑にすること、および/または終板の形状を整えることなどがある。図31はやすり950の図であり、このやすりを椎体2,4の間に挿入して、終板を掻き均し、平滑にしてもよい。やすり950は、グリップ部952、シャフト954、一対のウィング956およびやすりヘッド958を備える。やすりヘッドは、複数の切刃964を備える。ウィング956はウィングプレート960,962からなり、これらはそれぞれシャフト954の両側に、やすりヘッド958と垂直に取り付けられている。ウィング956は案内機能として、やすり950をリテーナ800と位置合わせした状態で椎間腔に挿入することができる。図28を参照して考えると、やすり950をプレート808,810の間に、ウィングプレート960,962がリテーナプレート808,810の上で一定方向にスライドできるように挿入してもよい。やすり950をこのように配置すると、やすりヘッド958が脊椎終板に平行な向きで、椎間腔の中に入る。本明細書で開示するその他の器具にも、同様のウィングプレートを案内機能として設けて、リテーナプレート808,810との位置合わせと矢状面に関する器具の正しい方向付けを可能にしてもよいことが理解される。図32は、別の実施形態において、終板の平坦化と準備に使用できるかんなを示している。かんな970は、グリップ部972、シャフト974、一対のウィング976および、切刃979を備えるかんなヘッド978で構成される。
【0106】
図33を参照すると、感触器980を用いて、椎間腔の形状を評価し、終板の平坦さを査定して、どの大きさのインプラントがその空間に最もフィットするかを判断してもよい。感触器980は、ハンドル982、シャフト984、平らな側面を有するパドル986を有する。感触器には、小、中、大と各種の大きさのものがあり、それぞれパドルの大きさが補綴装置100のような補綴装置に適合するものとなる。図33から分かるように、感触器は、リテーナのプレート808,810の間に挿入し、パドル986が椎間腔の中に入ったところで停止する。視覚的観察や蛍光透視法によって、脊椎終板に関するパドル986の大きさを観察し、適当な補綴装置の大きさを決定してもよい。パドル986を準備の整った脊椎終板に圧迫し、または擦り付けて、終板の平坦さを査定してもよく、および/または蛍光透視法を使ってパドルの形状と比較した終板の形状を観察することにより、平坦さを査定してもよい。感触器には各種の大きさがあり、感触器の他の実施形態では、やすり950のウィングを設けることにより、リテーナ800によって正確に案内されるようにしてもよい。椎体終板の平坦さの査定が終了したら、やすり、かんな、ハンマ、バリとりおよび/またはその他のツールによるその他の準備作業を必要に応じて実行し、終板表面上の陥凹、隆起、その他の不規則性を解消してもよい。これらの評価と準備のステップは、必要に応じて繰り返してもよい。
【0107】
図34−36に関して、トライアル(複数でもよい)を準備の整った椎間腔内に挿入し、前彎矯正が必要であれば、どれだけ矯正すべきかを判断してもよい。トライアルは、感触器と補綴装置の大きさに合うように、各種の大きさのものが入手できる。図34はトライアル1010を示し、図35はトライアルの遠位端の部分的分解図である。トライアル1010は、第一のトライアルプレート1002と第二のトライアルプレート1004を有するヘッド1000を備える。このプレート1002はペグ1006(図35では見えない)を有し、これによって第一のレベル1012に連結され、トライアルプレート1004はペグ1007を有し、これによって第二のレバー1014に連結される。プレート1002,1004は、それぞれのペグを各レバーの遠位端の対応する穴に挿入して挿入器に固定してもよい。あるいは、プレートは永久的にレバーに溶接されていてもよい。
【0108】
トライアル1010はさらに、第一のレバー1012と第二のレバー1014を備える。レバー10102,1014は近位端で、ラチェット機構1016により連結される。レバー1012にはリベット1016が結合され、このリベット1015がレバー1017のスロット1017の中に入り、レバーは相互に関して移動できるが、この運動はスロット1017の長さによって制約される。第一のレバー1012は第一のウィング1018を有し、第二のレバー1014は第二のウィング1019を有し、これらのウィングは、挿入器がリテーナ800のプレート上でスライドして、挿入器をピン762,764および標的となる椎間腔に関して正しく位置付けるように配置される。ピボットピン1020によってレバー1012,1014はその遠位端で連結され、これによってレバーはピン1020を中心に回転し、相互に関して旋回できる。
【0109】
図36は、準備の整った終板の間の椎間腔の中にトライアル1010を挿入する様子を示す。トライアルは、感触器を使って判断された適当な大きさのものを選択する。レバーの近位端を、遠位端が相互に略平行になり、トライアルプレート1002,1004もまた相互に平行になるように位置付ける。トライアル1010をリテーナプレート808,810の間に挿入し、レバーを、ウィング1019,1018がプレート808,810と側面同士で並ぶように位置づけると、ヘッド1000が矢状面に関して正しい方位に位置付けられる。ヘッド1000を椎間腔の中へとさらに挿入する。蛍光透視法を使って、椎間腔の中の所望の位置にヘッドを位置付けてもよい。
【0110】
所望の前彎矯正程度は、椎間腔内のトライアルプレート1002、1004の角度を調節することによって決定してもよい。レバー1012,1014は相互に噛み合わされて、その遠位端がピボットピン1020を中心に旋回して離間するようになっており、トライアルプレート1002,1004は旋回し、所望の程度の前彎矯正度に到達するまで離れる。これは、蛍光透視法で視覚化してもよい。トライアル1010のマーキングを使って前彎矯正度を測定してもよい。前彎矯正度が得られたところで、トライアル挿入器1010を解除すると、トライアルプレート1002,1004は平行な位置に戻って抜去できる状態となり、ヘッド1000が椎間腔から抜き取られる。大きさと前彎矯正度の観察結果を利用して、埋植に適した形状の補綴装置を選択することができる。
【0111】
図37−41は、椎間板補綴装置100を、脊椎2,4の間の準備の整った椎間腔の中に挿入する様子を示す。ここで紹介する方法と器具は、補綴装置400,600またはその他同様の人工椎間板補綴装置の埋植にも使用できると理解される。図37を参照すると、インプラント挿入器1050が補綴装置100を把持している様子が示されている。インプラント挿入器は、回転自在ハンドル1052、固定ハンドル部1053、シャフト1054、ウィング1056、把持機構1058を有する。シャフト1054は、外管1060と管内に設置されたロッド1062を有していてもよい。外管1060には複数のクリーニング用スロット1061がある。回転自在ハンドル部1052はロッド1062に連結され、回転自在ハンドル部1052を回転させると、ロッド1062が遠位または近位方向に移動する。ロッドはその遠位端において把持機構1058に連結されている。ロッド1062が遠位方向に移動して第一の位置に到達すると、把持機構1058がカムによって開位置となり、ロッドが近位側に移動して第二の位置に到達すると、把持機構はカムによって閉位置となり、補綴装置100をしっかりと把握して埋植可能な状態となる。ウィング1056は、埋植時にリテーナプレート808,810の上でスライドして、側面同士で並び、器具と補綴装置が矢状面に関して正しい方位になるように構成されている。
【0112】
図38A−38Dを参照すると、挿入器と把持機構の遠位端の拡大図が示されている。把持機構は、第一の位置合わせ面1070と、第一の面と反対にある第二の位置合わせ面1072を有する。位置合わせ面1070,1072はウィング1056に対して垂直で、埋植中に補綴装置を正しい方位に向ける。各位置合わせ部材は、複数のプロング1074を有しており、これは位置合わせ面の終端より先まで延び、把持機構によって把持された補綴装置を挟み、取扱や挿入をできるようにする。プロングは、挿入しやすいように、補綴装置終板102,104の上の歯と並ぶように位置づけられる。位置合わせ面1070の遠位端は、補綴装置終板102の前端を補完するような形状であり、ここに第一のキー1076が設けられており、このキーは終板102の前端の上のポケット144に嵌合する形状である。位置合わせ面1072は、第一のキーより大きく、終板104の前端のポケット174に嵌るような形状の第二のキー1078を有する。キーとポケットは、特に、補綴装置が唯一の正しい位置でしか挿入器1050に取り付けられないようなサイズである。挿入器1050の他の実施形態では、インプラント400または600の把持用陥凹部、ポケット、その他の機能手段と係合するような形状のキー嵌合機能手段を有していてもよいと理解される。
【0113】
把持機構はさらに、2つの旋回可能な対向するアーム1080,1082を有する。内側ロッド1062が遠位方向に移動すると、図38Dに示されるように、アーム1080,1082はカムによって開位置となって補綴装置100を受ける。補綴装置を挿入器に、挿入器のキー1076,1078が補綴装置100のポケット144,174に嵌合するように取り付ける。図39を参照すると、次にロッドが第二の位置に移動し、アーム1080,1082を閉じ、これが運動停止手段140,170の蟻継ぎ式内縁142,172と係合して、補綴装置をしっかりと把持する。アーム1080,1082の各々は、位置合わせ穴1084を有する。蛍光透視法を使って位置合わせ穴を観察し、椎間腔に挿入される補綴装置を監視して、適切な埋植深さを判断してもよい。
【0114】
所望の補綴装置を選択して挿入器1050に取り付けたら、挿入器をリテーナ800の上に設置し、このとき、案内ウィング1056がリテーナプレート808,810の上に位置づけられるようにする。補綴装置の前端(後方端)を準備の整った椎間腔内に挿入する。この時点で、リテーナ800を若干圧縮して、終板を固定しやすいようにする。挿入器1050をハンマまたはマレット(図示せず)で軽く叩き、補綴装置をさらに椎間腔の中に打ち込む。補綴装置を挿入する際、先頭にある食い込み歯部130が脊骨終板に侵入路を刻み、より大きな第二の歯131がこの侵入路を広げる。リテーナによって圧縮と伸延を必要に応じて調整し、歯130,131が椎骨終板に確実に埋植されるようにする。インプラントが適正に設置されたところで、挿入器のハンドル1052をひねり、挿入器のアーム1080、1082をインプラントから外す。リテーナ800とピン762,764を抜去し、必要に応じて、蛍光透視法によって最終的なインプラントの埋植状態を確認する。
【0115】
必要に応じて、タンプを用いて、インプラントが十分に着座されるように微調整してもよい。図40Aはタンプ1100の図であり、これはハンドル1102、シャフト1104、タンプヘッド1106を有する。図40Bは、タンプヘッド1106の拡大図であり、これは本体1108と遠位湾曲縁辺1110を有し、そこからタブ1112が突出している。本体1108は、より広い上側部と、テーパのついた狭い下側部を有していてもよい。テーパをつけたことと、上側部をより広くしたことは、タンプおよび/または補綴装置が椎間腔内に深く押し込まれすぎないようにするためのブロッキング要素として機能する。湾曲縁辺1110は、終板102,104の前端112,152の形状を補完する形状である。図41に見られるように、タブ1112は終板のポケット144,174と嵌合する形状である。タンプ1100は、タブ1112がポケットの中に入った状態で、終板102,104の前端に取り付け、終板が相互に関して正しいアラインメント状態になるようにし、タンプをハンマまたはマレット(図示せず)で叩き、椎体に終板102,104を正しく着座させてもよい。その他の実施形態では、各終板を別々に着座させるように構成される単独終板用タンプを用いてもよい。補綴装置の正しい埋設とアラインメントを確認することによって、患者は最適な可動範囲を得ることができる。インプラントが所望の位置に埋設され、これが蛍光透視法で確認されたら、すべての器具を抜去し、手術部位を閉じる。
【0116】
本明細書で紹介した各インプラントは、記載されたものと同じまたはその後の手順で改変、抜去してもよい。インプラントを再置換または抜去するには、患者は再び中立姿勢をとり、前方到達法で脊椎の標的椎間板レベルを露出させる。任意で、調節可能リテーナ800とピン、または伸延器具を使って、椎体を伸延させてもよい。図42は抜去前のインプラント100を握持している抜除ツール1150を示している。図43は、インプラント100を握持している抜去ツール1150の遠位端を示す。図44は、抜去ツール1150の遠位端の拡大図である。
【0117】
図42を参照すると、抜去ツール1150は、第一のレバー1152と第二のレバー1154を有し、これらは近位端においてラチェット機構1156により連結され、遠位端においてリベット1158により結合されている。一対の板ばね1160,1161は、インプラントを把持する際にレバーが相互に噛み合うときの抵抗となる。図43,44を参照すると、第一のレバー1152の遠位端には、最遠端に陥凹部1164を有する本体1162がある。2つのプロング1166,1168は相互に反対側から陥凹部を取り囲み、プロングの先端1170,1172が相互に対向するが、接触しないようになっている。先端1170,1172は、上位終板102の前方保持部材140の蟻継ぎ式内縁142と嵌合するように傾斜している(図3に見られる)。第二のレバー1154の遠位端には、ウェッジまたはチゼルポイント1178を有する本体1176がある。本体の内側において、リップ1180とフィレット1182が本体全体にわたって延びる。
【0118】
抜去ツール1150は、ラチェット機構を解除して、レバー1152,1154をその近位端において切り離すことにより開放され、リベット1158の周辺で回転する遠位端も離れる。第一のレバー1152の本体1162は、上位終板102の前方保持部材140が陥凹部1164の中に嵌り、プロング1166,1168が部材140とプロング先端1170,1172が蟻継ぎ式内縁142と結合する状態で、インプラントと係合する。第二のレバー1154のウェッジポイント1178が、上位終板102と椎体2の間に打ち込まれ、これをこじ開けて離間させる。あるいは、ウェッジポイント1178を、本体1162が上位終板102と係合する前またはこれと同時に利用してもよい。抜去ツールは、レバーを相互に噛み合わせることによって閉じ、本体1162,1176が相互に向かって移動し、上位終板102の前端112の周囲を挟む。終板102はしっかりと把持されるが、これは部材140が陥凹部1164に嵌まり込み、フィレット1182が終板の上位前端周辺にフィットしているからである。上位終板102は椎間腔から前方に引き出され、核と下側終板も、インプラントのコンポーネントと緊密に重複しているため、上位終板と一緒に引き出される。上位終板102が前方に引き出されると、その側方運動停止手段134,135が核106のノッチ300,302と係合し、核のポケット310が下位終板104のポスト180と係合するため、核と下位終板が上位終端板と一緒に引き出される。インプラントを抜去した後に、交換用の補綴装置を埋植してもよく、あるいは補綴装置を固定装置その他のシステムと置換してもよい。
【0119】
あるいは、抜去ツールを180°回転させて、終板の上位運動停止手段170が第一のレバー1152の陥凹部1164と嵌合し、またウェッジポイント1178が下位終板104と椎体4の間に挿入された状態で、下側終板104を把持してもよい。また別のケースとして、核がない、または補綴装置が伸びて、コンポーネントが近接していない場合には、各終板102,104を個々に取り外してもよい。
【0120】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、上記以外の具体的な形態で実施することができる。たとえば、上では人工椎間板補綴装置の各種の例を紹介した。上記の例の各種の特徴を混合し、適合させて、さまざまな他の変形例を作ることができることが理解され、それぞれが異なる担持表面構成または本発明による好ましい相対的方位を有していてもよい。したがって、上記の実施形態は、すべての点において例として捉えられるべきであり、制限するものとはみなされない。したがって、本発明の範囲は上記の説明ではなく付属の特許請求範囲により示される。特許請求範囲の意味と同等性の範囲内のすべての変更は、その範囲内に包含されるものである。
【0121】
本発明とその利点を詳細に説明したが、付属の特許請求範囲により定義される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、各種変更、置換え、改変を行うことができると理解すべきである。さらに、本願の範囲は、明細書に記載された事柄、手段、方法、ステップのプロセス、機械、製造、合成の特定の実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示内容から、既存の、また今後開発される、本明細書で説明した相応の実施形態と略同じ機能を果たし、略同じ結果を実現する事柄、手段、方法またはステップのプロセス、機械、製造、合成は、本発明に従って利用できると容易に理解するであろう。したがって、付属の特許請求範囲は、上記のような事柄、手段、方法またはステップのプロセス、機械、製造、合成をその範囲内に含めるものである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、次の出願の一部継続出願である。
【0002】
係属中の先願である、2008年3月4日に出願された“JOINT PROSTHESES”と題する米国特許出願第12/041,910号(代理人整理番号SYD−4)。これは次の出願の一部継続出願である。
【0003】
係属中の先願である、2006年11月13日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第11/559,215号(代理人整理番号HO−P03203US2)。これは次の出願の一部継続出願である。
【0004】
係属中の先願である、2006年9月21日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第11/534,014号(代理人整理番号HO−P03203US1)。これは次の出願の一部係属出願である。
【0005】
係属中の出願である、2008年2月11日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国特許出願第10/590,139号(代理人整理番号HO−P03203US0)。これは次の出願の米国国内出願として出願された。
【0006】
2005年6月30日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題するPCT出願第PCT/US05/023134号。これは以下の優先権を主張する。
【0007】
先願である、2005年3月4日に出願された“ARTIFICIAL SPINAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/658,161号と、
【0008】
先願である、2004年6月30日に出願された“ARTIFICIAL DISK FOR DEFORMITY CORRECTION”と題する米国仮特許出願第60/584,240号。
【0009】
本願は、以下の優先権も主張する。
【0010】
2007年10月25日に出願された“ALTERNATE ARTICULATION SURFACE ARTIFICIAL CERVICAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/982,627号(代理人整理番号SYD−01 PROV)。
【0011】
2007年10月29日に出願された“ALTERNATE ARTICULATION SURFACE ARTIFICIAL CERVICAL DISC”と題する米国仮特許出願第60/983,500号(代理人整理番号SYD−02 PROV)。
【0012】
2008年1月23日に出願された“VERTEBRAL DISC REPLACEMENT INSTRUMENTS AND PROCEDURE”と題する米国仮特許出願第61/023,019号(代理人整理番号SYD−3 PROV)。
【0013】
2008年3月31日に出願された“VERTEBRAL DISC REPLACEMENT INSTRUMENTS AND PROCEDURE”と題する米国仮特許出願第61/041,086号(代理人整理番号SYD−5 PROV)。
【0014】
2008年5月5日に出願された“ARTIFICIAL DISC INSTRUMENTS AND METHODS”と題する米国仮特許出願第61/050,531号(代理人整理番号SYD−6 PROV)。
【0015】
2008年6月20日に出願された“COMPLIANT PROSTHESIS FOR BALANCE CONTROL ARTHROPLASTY”と題する米国仮特許出願第61/074,498号(代理人整理番号SYD−7 PROV)。
【0016】
上記の文書をここに、引用によって本願に援用する。
【0017】
本発明は、整形外科医療に関し、より詳しくは、椎間板障害および脊椎変形を人工椎間板置換によって治療する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0018】
人工脊椎置換術は、正常な脊椎の運動を回復し、および/または維持する可能性が期待される新しい分野である。人工脊椎置換術の目的は、手術レベルで脊椎の正常な生体力学を維持することによって、隣接椎間障害(ASD)を軽減または排除することである。これを実現するためには、人工頸椎補綴装置が天然の脊椎のバイオメカニクスにできるだけ近い機能、例えば、椎間板の軸方向高さの維持や天然脊椎の可動域全体にわたる角度調整等の機能を果たさなければならない。
【0019】
脊椎は、神経保護、荷重負担および運動において重要な役割を果たす。脊柱は、骨格の強力で可動的な中心軸であり、24個の椎体と75の安定した関節で構成される。椎間板は脊椎可動部分の基本的構成要素であり、緩衝材および弾性体としての機能を果たす。隣接椎骨は3つの関節によって相互に連結される。つまり、a)圧縮およびせん断荷重を伝達し、柔軟性を持たせる椎体と椎間板、およびb)椎間板を並進方向せん断応力から保護し、回転を制限する2つの面関節である。このような「3つの関節複合体」によって、脊椎の屈曲、伸展、側屈および回転が可能となる。
【0020】
椎間板は、髄核と呼ばれる内側のゲル状基質と、繊維輪と呼ばれる外側を取り囲む繊維帯と、からなる。脊椎に圧縮荷重がかかると、髄核の中の圧力上昇が繊維輪に伝えられ、繊維輪は外側に膨隆する。椎間板の変性カスケードの初期には、髄核の乾燥が起こる。弾力性が低下し、核からの水分浸潤が減少すると、繊維輪と関節面に伝達される負荷が大きくなる。繊維輪への応力の増大は、そのコラーゲン繊維のひび割れや横断裂の原因となる。さらに変性が進むと、椎間板の円周方向の膨隆、後縦靭帯穿破型および後縦靭帯非穿破型椎間板ヘルニア、椎間板の完全な乾燥が引き起こされる。この変性カスケードによって軸性疼痛が発生するが、その原因は繊維輪の痛み繊維への刺激や、脊髄神経根および/または脊髄の圧縮である。これらは、腕または脚あるいはその両方の運動障害、痛みおよび/または痺れとして現れることがある。
【0021】
椎間板の構造と機能は、繰り返し受ける応力、外傷、感染、腫瘍、変形、分節間不安定性よび炎症等の様々な要素によって変化しうる。椎間板の変性は、脊髄から生じる臨床的症状の最も一般的な病因である。脊椎変性は人間の加齢に一般的に付随する。頸椎に関しては、神経根の圧縮による首と腕の痛みは、成人の51%が経験していると推測される。脊椎症と加齢は密接に関係しており、脊椎症は有病率と重症度のどちらも加齢とともに増大する。幸運なことに、患者の大多数は手術せずに改善する。症例の約10−15%において、脊椎症に神経根と脊髄の継続的な圧縮および/または脊椎の痛みが伴い、わずかな割合にあたるものが最終的に手術を必要とする。
【0022】
脊椎の変性疾患(脊椎症)の治療として米国で用いられている最も一般的な手術は、脊椎固定術である。椎体間固定の場合、病変のある椎間板が除去され、患者の臀部から採取した楔状骨片、同種移植片または金属スペーサのいずれかが、椎間板が除去された椎骨間に設置される。これは機能的脊椎単位を固定する。この手術は可動性を失わせることにおいては有効であるが、欠点を伴う。固定術では、可動的で機能的な脊椎単位を、固定された非機能的なそれに変えるため、固定部分の隣接レベルでの歪みパターンが大きくなる。脊椎の一分節を固定すると、手術レベルにおける可動性が消失する。そのため、本来は手術部位の椎間板によって吸収されるはずの応力が、隣接する分節に伝わる。その結果、影響を受けたレベルに隣接する1つまたは複数の脊椎単位で隣接椎間障害(ASD)が発生する可能性がある。ASDは、以前に固定された可動分節に隣接して発生する症候性変性病変の臨床的症候群と定義することができる。後ろ向き調査(retrospective studies)によれば、頚椎のASDは年間2.9%の割合で発生し、10年生存率は26%と推定されている(非特許文献1)。
【0023】
頸椎に関しては、毎年何千人もの北米人が頸椎症の手術を受けている。そして、その処置の大部分において、脊髄および/または神経根の除圧を伴う前方椎間板切除が行われる。頸椎症の管理として手術を要とする主要適応疾患は、神経根障害、脊髄症および/または頸痛である。除圧に続き、前方椎体間固定が一般的に行われる。椎間板除去によって生じる空間の補綴に最もよく使用されるのは、腸骨稜から摘出した自家骨または死体骨である。他にも多くの解決策が提案されており、例えば、固定ケージその他のスペーサ等の金属装置、牛骨等の異種移植片、成長因子の使用等の生物学的戦略がある。椎体間固定に用いるインプラントは、その原因となった頸椎の変形を矯正するような形状にすることができる。インプラントの成形によって、前彎症を真っ直ぐな、または後彎した脊椎に回復させることができる。
【0024】
最近、脊椎固定術に代わって採用されているのが、損傷した椎間板を可動性維持装置と置換する方法であり、これには髄核置換と全椎間板置換(TDR)とがある。人工椎間板開発の理由となったのは、隣接椎間障害の防止である。人工椎間板装置は2つのカテゴリに大きく分けられ、1つは髄核だけを置換し、繊維輪と椎体終板をそのまま残すもので、もう1つは椎間板を置換するとともに、人工終板を付加するものである。どちらの方法も、椎間板機能の回復を目指している。人工髄核については、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。また、特許文献3でも、拘束ジャケット(constraining jacket)を周囲に設けたハイドロゲルコアを有する人工椎間板髄核が紹介されている。
【0025】
TDR用に設計された脊椎の頸部または腰部のための補綴装置が各種ある。例えば、Prodisc(商標)とCharite(商標)人工椎間板は、コバルトクロムの終板とポリエチレンのコアを組み合わせたものである。Prodisc(商標)は特許文献4に、またCharite(商標)人工椎間板は特許文献5と特許文献6にそれぞれ記載されている。Prestige(商標)人工椎間板は別の種類の人工椎間板であり、球関節状の金属−金属の設計による。頸椎に関して人気が高まっている、また別の人工椎間板は、Bryan(登録商標)人工椎間板であり、これは特許文献7、特許文献8、特許文献9で開示されている。Bryan(登録商標)人工椎間板は、低摩擦で耐耗性、弾力性のある核を2枚の関係金属板と関節接合させた複合的人工椎間板である。
【0026】
現在、世界で臨床試験が行われている人工頚椎椎間板置換システムには少なくとも4種類ある。その中の1つが、PCM頚椎椎間板をはじめとする非拘束型装置である。この非拘束型装置は、その可動範囲を制限するための機械的な停止手段を持たない。これに対し、Bryan(登録商標)Cervical人工椎間板、Prodisc(商標)CおよびPretige(商標)LP椎間板システムは、可動範囲を異なる角度に制限する。これらのシステムは、通常の可動範囲の外に機械的停止手段があるという点で、半拘束型と考えることができる。
【0027】
人工椎間板はこれまで、神経根障害、脊髄症および/または脊椎軸性疼痛を発生させる変性椎間板疾患の管理のために埋植されてきた。近年は、人工椎間板は外傷の治療にも用いられている。TDRの目的は、天然の椎間板のバイオメカニクスを再生することである。単椎間および多椎間椎間板置換に関する初期の臨床的および生体力学的研究では、手術レベルにおける良好な臨床成績と可動範囲保存の可能性が報告された。しかしながら、可動範囲の保存は人工椎間板の重要な特徴ではあるが、脊椎のバイオメカニクスの1つ尺度にすぎない。人工椎間板が手術レベルにおける角度、椎間板腔の平均高さ、全体的な脊椎アラインメント(矢状面と冠状面での均衡状態)に与える影響もまた考慮する必要がある。
【0028】
人工椎間板の導入によって多くの外科手術が成功を収めているが、現在の椎間板には依然として問題がある。例えば、現在の人工頚椎椎間板は全て、椎間板全体にわたって高さが固定されている。現時点で利用可能な人工椎間板は、患者が術後に立位姿勢を再開し、頭と体の重量を支えるようになると発生するかもしれない脊椎隣接分節における限局性後彎症または後彎症の問題がある。例えば、Bryan(登録商標)人工椎間板の場合、終板は全ての回転軸で自由に運動できるため、終板は、頭と首からインプラントに力が加えられた形の体勢をとり得る。時々、この体勢は、術中に椎間板が位置づけられた状態とは大きく異なることがある。Bryan(登録商標)頚椎椎間板置換システムについてこれまでに発表された研究結果によれば、人工椎間板の終板と頚椎のアラインメントによって術後に後彎症が発症する傾向にあると報告されている。[非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4。]このように人工椎間板が後彎の角度となるのは、インプラントが受動的な(可動的な核と可変的な瞬間回転軸により非拘束的運動を起こす)設計であることによる。現在のTDRシステムで、この主要合併症に対応しているものは皆無である。
【0029】
多くの椎間板障害患者において、変性プロセスの結果として、脊椎の矢状面でのアラインメントが損なわれる。さらに、程度の差はあれ、冠状面での不均衡も発生する可能性がある。現在利用可能な人工椎間板置換システムのいずれも、直背変形、局限的後彎/全後彎、あるいは冠状面変形のある脊椎を正常アラインメントに復元するようには設計されていない。既存の人工椎間板置換システムは、直線的、後彎または傾斜(angulated)分節のいずれかに挿入されると、関節面、靭帯および筋肉の力によって決定される角度と限局的バイオメカニクスに合わせた形をとりやすい。したがって、術前の脊椎形状が直線的であった患者では、術後、後彎症となる可能性があり、術前に脊椎が後彎していた患者の場合、術後はさらに変形を悪化させるかもしれない。脊椎の後彎は、分節の不安定性と、臨床的に有意な変性疾患の原因となっている。いくつかの臨床研究では、脊椎の矢状面または冠状面での均衡状態の変化は、臨床的に有意な脊椎軸性疼痛だけでなく、ASDの開始および/または加速を誘引するとされている。[非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9]
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第5,047,055号明細書
【特許文献2】米国特許第5,192,326号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0183848号明細書
【特許文献4】米国特許第5,314,477号明細書
【特許文献5】米国特許第5,401,269号明細書
【特許文献6】米国特許第5,556,431号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2004/0098131号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/00544411号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0128715号明細書
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】ヒリブランド・AS、カールソン・GD、パルンボ・M、ジョーンズ・PK、ボールマン・HH:Radiculopathy and myelopathy at segments adjacent to the site of a previous anterior cervical arthrodesis. J Bone Joint Surg (Am) 81: 519-528, 1999
【非特許文献2】ピケット・GE、ミトシス(Mitsis)・DK、セコン(Sekhon)・LH他:Effects of a cervical disc prosthesis on segmental and cervical spine alignment. Neurosurg Focus 2004; 17(E5): 30-35
【非特許文献3】ジョンソン・JP、ローリッセン(Lauryssen)・C、カンブロン(Cambron)・HO他:Sagittal alignment and the Bryan(R) cervical disc. Neurosurg Focus 2004; 17(E14): 1-4
【非特許文献4】セコン・LHS:Cervical arthroplasty in the management of spondylotic myelopathy: 18 month results. Neurosurg Focus 2004; 17(E8): 55-61
【非特許文献5】川上M、玉置T、吉田M他:「頚部脊髄圧迫症患者の前方脊椎結合術後の軸性疼痛および頚椎アラインメント(Axial symptoms and cervical alignment after anterior spinal fusion for patients with cervical myelopathy)」 J. Spinal Disord 1999; 12: 50-60
【非特許文献6】ハリソン・DD、ハリソン・DE、ジャニック(Janik)・TJ他:Modeling of the sagittal cervical spine as a method to discriminate hypolordosis; results of elliptical and circular modeling in 72 asymptomatic subjects, 52 acute neck pain subjects, and 70 chronic neck pain subjects. Spine 2004; 29: 2485-2492
【非特許文献7】勝浦A、福田S、猿橋Y他:「前方頚椎結合後の後彎変形は隣接椎間板レベルの変性過程促進の1要因である。(Kyphotic malalignment after anterior cervical fusion is one of the factors promoting the degenerative process in adjacent intervertebral levels.)」Eur Spine J 2001; 10: 320-324
【非特許文献8】ファーチ(Ferch)・RD、シャド(Shad)・A、カドゥ−ハドソン(Cadoux-Hudson)・TA、テディ・PJ:Anterior correction of cervical kyphotic deformity; effects on myelopathy, neck pain, and sagittal alignment. J Neurosurg 2004; 100: S13-S19
【非特許文献9】勝浦A、福田S、今中T、宮本K、金本M:「変性疾患に使用される前方頚椎プレートは、頚椎前彎を維持し得る。(Anterior cervical plate used in degenerative disease can maintain cervical lordosis.)」J Spinal Disord 1996; 9: 470-476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
全回転軸での自由運動を保持しながら、単純に人工椎間板の終板または核を調整することによって変形を矯正しようという試みは、頭と体から人工椎間板に加わる力が、所望の補正を打ち消す可能性があるため、持続不能であろう。持続可能な矯正を実現するには、回転軸上の何らかの制限を設けるが必要となる。設計の面から見た目的は、変形(冠状面および矢状面)を矯正でき、正常動作範囲の外に機械的停止手段を有し(半拘束型)、好ましくは、瞬間回転軸(IAR)が可変的な人工椎間板を設計することである。
【0033】
回転軸上の制限は、2つの方式に分類される。1つは、矯正をサポートする軸(axis to support the correction)の永久的な回転または並進を利用して矯正を行うものである。これは、コアと終板そのものの幾何学形状を利用して実現され、「幾何学的定数」方式と呼ばれる。もう1つは、すべての軸での運動範囲は自由に保ち、材料のサポート(material support)を用いて矯正を行う。この種の設計では、矯正平面に、その平面における正常回転のための可塑性材料を取り付けることによって矯正を行う。これは、「材料定数」方式の設計である。
【0034】
変性椎間板疾患は、我々の社会の主な死亡原因である。これは、患者にとって経済的、感情的に深刻な問題をもたらしかねない。そのため、どちらの問題も軽減し、脊椎の変形(矢状面、冠状面または両方の面における)を矯正できる人工椎間板が必要とされる。
【0035】
本発明の、その構成と操作方法の両面での特徴と考えられる新規な特徴およびその他の目的と利点は、添付の図面に関連して以下の説明を考えることによって、よりよく理解できるであろう。しかしながら、各図面は、図解と説明のために設けられているに過ぎず、本発明の範囲を画定するものではないと明確に理解すべきである。本発明の上記およびその他の特徴は、添付の図面を参照しながら読むべき以下の説明から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】上側終板と、6°の前彎矯正を行う核と、下側終板とを備える人工椎間板補綴装置が椎骨の間に埋植されている、2つの頚椎椎骨の前方図である。
【図2】図1の上側終板、核、下側終板の分解上面斜視図である。
【図3】図1の上側終板、核、下側終板の分解底面斜視図である。
【図4A】図1の上側終板の上面斜視図である。
【図4B】図1の上側終板の側方図である。
【図5A】図1の核の上面図である。
【図5B】図1の核の底面図である。
【図6】図1の核の側方断面図である。
【図7A】図1の核の後方断面図である。
【図7B】図1の核の後方断面図である。
【図8】好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の側方図である。
【図9A】前彎矯正0°の人工椎間板の核の側面図である。
【図9B】前彎矯正3°の人工椎間板の核の側方図である。
【図9C】前彎矯正6°の人工椎間板の核の側方図である。
【図10A】屈曲−伸展自由度において好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図10B】伸展時の図1の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図11A】側屈自由度において好ましい方位にある図1の人工椎間板補綴装置の後方断面図である。
【図11B】側屈時の図1の人口椎間板補綴装置の後方断面図である。
【図12A】屈曲および側屈時の図1の人工椎間板補綴装置の側方図である。
【図12B】屈曲および側屈時の図1の人工椎間板補綴装置の前方図である。
【図13A】頭側/尾側軸での回転に関して中立方位にある図1の核と下側終板の上面図である。
【図13B】軸回転させた方位にある図1の核と下側終板の上面図である。
【図14】上側終板と、核と、下側終板と、を備える人工椎間板補綴装置の別の実施例の前方斜視図である。
【図15】図14の上側終板、核および下側終板の分解底面斜視図である。
【図16】図14の上側終板、核および下側終板の分解上面斜視図である。
【図17A】屈曲−伸張自由度に関する中立低エネルギー方位にある図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図17B】屈曲時の図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図17C】伸展時の図14の人工椎間板補綴装置の矢状面断面図である。
【図18】上側終板と、核と、保持要素と、下側終板と、を備える人工椎間板補綴装置の前方斜視図である。
【図19】図18の上側終板、核、保持要素および下側終板の分解上面斜視図である。
【図20】図18の上側終板、核、保持要素および下側終板の分解底面斜視図である。
【図21】2つの頚椎骨の間の部分椎間板切除を行った脊椎部分を示す図である。
【図22】図21の脊椎部分の中心線に位置合わせされたガイドツールを示す図である。
【図23A】図22のガイドツールの斜視図である。
【図23B】図22のガイドツールのヘッドの側面図である。
【図23C】ヘッドの側方斜視図である。
【図24】図22のガイドツールに挿入された錐(awl)を示す図である。
【図25】図24の錐の斜視図である。
【図26】ドライバツールでピンを椎体にねじ込んでいる状態の、図22のガイドツールと脊椎部分の矢状面断面図である。
【図27】2本のピンが隣接する椎体にねじ込まれた状態の、図21の脊椎部分の図である。
【図28】図27のピンに固定された調節式リテーナを示す図である。
【図29A】図28の調節式リテーナのラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めがニュートラル位置にある状態の図である。
【図29B】ラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めが圧縮のみ可能な位置にある状態の図である。
【図29C】ラック・アンド・ピニオンシステムの、歯止めが伸延のみ可能な位置にある状態の図である。
【図30】図28の調節式リテーナおよび別個の伸延用ツールを示す図である。
【図31】図28の調節式リテーナとともに使用できるやすりツールを示す図である。
【図32】かんなツールを案内している図28の調節式リテーナを示す図である。
【図33】図28の調節式リテーナと感触器(feeler)を示す図である。
【図34】トライアルを示す図である。
【図35】図34のトライアルの分解図である。
【図36】図28の調節式リテーナにより案内される図34のトライアルを示す図である。
【図37】図1のインプラントを把持するインプラント挿入器を示す図である。
【図38A】図37のインプラント挿入器の遠位端の側方図である。
【図38B】インプラント挿入器の遠位端の上面図である。
【図38C】インプラント挿入器の遠位端の端面図である。
【図38D】開いた状態にあるインプラント挿入器の遠位端の斜視図である。
【図39】図37のインプラント挿入器とインプラントの遠位端の上方断面図である。
【図40A】タンプ(tamp)を示す図である。
【図40B】タンプの遠位端の拡大図である。
【図41】図1のインプラントに取り付けられた図40のタンプの断面図である。
【図42】図1のインプラントを把持する抜去用ツールを示す図である。
【図43】図42の抜去用ツールの遠位端とインプラントの拡大図である。
【図44】図42の抜去用ツールの遠位端の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、人工椎間板置換を用いて椎間板障害と脊椎変形を治療するためのシステムと方法に関する。当業者であれば、以下の説明は単に本発明の原理を説明するものであり、その原理は各種の方法で活用し、各種の実施例として実現できることが分かるであろう。この説明は、本発明の一般的原理を説明することを目的としており、付属の特許請求範囲に記載された発明的概念を限定するものではない。
【0038】
脊椎は、正しく、健全なアラインメントであれば、自然な曲線を描き、矢状面と冠状面の適正な均衡状態が保たれ(柔軟性を有する)、椎骨間でバランスよく荷重が分散される。この曲線には、脊椎の頸部、胸部、腰部および仙骨部が含まれる。当然、曲線に順応できるように、機能的脊椎単位の間の関節角度と椎間腔の高さにおいてある程度の変化がなければならない。頸部および腰部は自然に前彎、つまり、前方に向かって凸状に湾曲している。脊椎に沿った異なる分節で、一般的に、椎体と椎間腔の高さに違いがある。さらに、椎間腔と椎間体の高さは、人によっても異なるかもしれない。
【0039】
各椎間腔には、前方領域と後方領域がある。前方から後方に向かって同じ高さを保つ頸部、胸部、腰部の人工椎間板は、異常なアラインメントの原因となることがあり、その結果、隣接する椎間板の前方または後方部分に余分な応力がかかる。また、装置全体への荷重の分散が不均一となり、過剰な量の相対的運動、磨耗によるデブリおよび短期間での故障を引き起こす。
【0040】
本明細書において、核、コアという用語は互換的に、損傷を受けた天然椎間板と置換される人工椎間装置を指す。人工コアは、単独でも、上位椎体に取り付けるための上側終板または下位椎間板に取り付けるための下側終板あるいはその両方と複合的にも提供できる。
【0041】
本明細書において、「上」、「下」という用語は、参照する図面に示される位置での、置換用椎間板のいずれかの側にある椎骨またはある部品の表面を指す。「上側」の板は機能的脊椎単位の中の上位椎骨に固定され、「下側」の板はその下位の椎骨に固定される。
【0042】
本明細書において、垂直、水平という用語は、解剖学的位置における直立する人間に関して使用される。「前方」は前に向かう領域を指し、「後方」は後ろに向かう領域を指す。「矢状」は、直立する人間の中央正中軸のいずれかの側の領域を指す。本明細書において、「矢状面」は、脊椎の椎体の正中軸に沿って延び、体を左右の側方領域に分割する垂直面を指す。「冠状面」とは、脊椎の椎体の正中軸に沿って延び、体を椎体の中央を通って前方領域と後方領域に分割する垂直面を指す。「頭側/尾側軸」とは、脊椎の椎体の中央正中軸に沿って延びる縦軸を指す。
【0043】
本明細書において、「非対称」という用語は、最大高さの軸が中央に位置付けられていない状態、または最大垂直軸が中央にない核または全椎間板置換(TDR)を指す。言い換えれば、最大高さが対象中心線の上になく、またはそこに軸を置かないため、TDRに対称軸の反対側の他の領域と形状または大きさが全く同じではない領域が含まれることになる。最大の荷重を負担する場所は、中心以外の場所に位置する。この用語は、最大高さの軸が略凸状の荷重負担表面の中央に位置していない、またはくぼみの最大深さの軸が、略凹状の荷重負担表面の中央に位置していない人口関節にも同義語的に使用される。
【0044】
本明細書において、「正常なアラインメント」という用語は、健康な関節の機能的コンポーネントの、相互および/または周辺組織に関する自然な位置付けを意味する。正常なアラインメントは、安静時の関節の、関節に応力や圧力が掛からない静的位置を指し、これはまた、屈曲または伸展時等、自然な機械的応力を受けている関節の動的位置を指す場合もある。正常なアラインメントは、自然な、健康な、または適正なアラインメントとも呼ばれる。本明細書において、「好ましい」または「所望の」アラインメントとは、自然の、または矯正されているが、関節コンポーネントが機能的、または所望の位置に置かれるような関節のアラインメントをさす。本明細書において、「好ましい方位」または「好ましい相対的方位」とは、自然に、または矯正されて、関節のコンポーネントが機能的または所望の位置にあるような、コンポーネントのアラインメントを指す。
【0045】
「好ましい相対的方位」という語句は、1つの軸、または複数の軸を中心とした方位を指すことがある。例えば、人工椎間板インプラントは、関節運動分節の適当な前彎または後彎を模倣する、好ましい前方−後方角度をなすように、内側から外側に延びる軸を中心とした好ましい相対的方位を確立するように設計されるかもしれない。あるいは、人工椎間板インプラントは、所望の角度の側屈を可能にする、好ましい内側−外側角度をなすように、略前方から後方に延びる軸を中心とした好ましい相対的方位を確立するように設計されるかもしれない。このような側屈は、健全な脊椎が真っ直ぐであることを示すゼロ度であっても、あるいは脊椎側彎症等の各種の病変を強制するために、左または右にゼロ以外であってもよい。別の例として、人工椎間板インプラントは、内側−外側軸と前方−後方軸の両方を中心とした好ましい相対的方位を確立して、適正な前彎または後彎状態が得られるようにするのと同時に、所望の側屈も可能となるように設計されるかもしれない。好ましい相対的方位はまた、関節が、運動停止手段のような抵抗点とは異なり、自然にそこに留まろうとするような低エネルギー位置であるかもしれない。
【0046】
「方位付け機能手段(feature)」とは、1つまたは複数の関節コンポーネント上の、そのコンポーネントが好ましい相対的方位となるのを支援するための機能手段である。例えば、関節コンポーネント上の対向する軸受表面は平坦な部分を有していてもよく、これらが協働してコンポーネントを好ましい相対的方位となるようにする。好ましい相対的方位であると、よりうまく位置合わせされるような、相互に合致する曲面もまた、方位付け機能手段である。平面や曲面以外の形態でも、方位付け機能手段を構成できる。
【0047】
これまでに、核の本体を完全に丸い(必ずしも球ではない)表面を持つ設計にすると、頭と首に様々な力が加わったときの確実な矯正効果に関する問題があることが分かっている。この問題に対応するために、核の本体に、平坦な、または隣接する表面と異なる形状を有する1つまたは複数の区分または部分を形成することができる。この部分は平坦部と呼ばれ、核の隣接表面と同じでない、あらゆる形状を指すものとする。このような平坦表面は、平面でもよく、あるいは、隣接する表面とは異なる曲率半径のわずかな凸状または凹状を含む、その他の形状であってもよい。このような平坦表面はまた、合成曲線またはその他の複合形状であってもよい。平坦部はさらに、二次元形状の直線的部分を指すこともある。前彎を矯正する例において、平坦部は、下位の椎体の上側終板に関して角度を付け、前方部の高さが後方部の高さより大きくなるようにすることができる。核本体の全体的形状は依然として非対称であるが、平坦部を取り入れることによって、変形を確実に矯正できる。この平坦部は、核を通じて作用するモーメントに抵抗して安定化させるもので、つまり、平らな部分の大きさが不十分である場合、前方負荷があると矯正効果が消失し、また後方負荷があると高度前彎曲過剰矯正(hyper-lordotic over correction)となる傾向がある(前彎矯正の場合)。上記のほかに、核に平坦区分を取り入れることによる利点は、装置が休止中のニュートラル位置から小さく動く間に、その領域で面接触を可能にし、これが応力と、おそらくは装置の磨耗を軽減するのに役立つかもしれない点ある。
【0048】
上述のような平坦表面は、前彎補正を行う場合、下位の椎体の上側終板に関して角度を付け(あるいはその逆、または両方)、前方端部の高さを後方端部の高さより大きくすることができる。コアの全体的形状は依然として非対称であるが、平坦表面を取り入れて、変形を確実に矯正することができる。あるいは、コアに平坦部を持たせて、しかも対称としてもよく、また終板を非対称にし、または角度を付けて前彎を矯正するようにしてもよい。
【0049】
本発明には、天然の椎間板の正常な可動範囲を提供すると共に、脊椎の変形を矯正できる新規な人工椎間板が含まれる。提案される椎間板によれば、機能的脊椎単位の半拘束的可動範囲が得られる。これは、全ての運動における術前の正常な脊椎の運動学的態様を再現する。特に、提案される椎間板では、屈曲伸展および側屈運動における独立した、可動的な回転中心が得られ、これは本装置に固有であるが、天然の脊椎の本来的な特徴である。この人工椎間板は最大限の耐久性と生体適合性を有し、長期間にわたって安定するように、この椎間板自体を脊椎の骨構造の中に一体化させる手段を備える。その挿入は安全、簡単であり、現行の手順と比較して手術時間が延びることはない。既存の椎間板置換システムと異なり、本装置により、外科医は脊椎の天然の運動学的態様を保持しながら、変形を矯正することができる。
【0050】
本発明の少なくとも1つの実施例において、人工椎間板は、幾何学的に対称ではない核を有する。人工椎間板の最大垂直軸は、椎間板の幾何学中心にはなくてもよい。最大垂直軸は、椎間板の前面、椎間板の背面に向かって、および/または椎間板の片側にあってもよい。最大垂直高さの位置づけと荷重負担能力は、矯正するべき変形の種類に応じて選択される。本発明はまた、椎間板/椎体病変、前彎症、後彎症および側湾症を、非対称的な人工椎間板を使って治療する方法を提案する。
【0051】
本発明の1つの利点は、「核」またはコアが、術中および術後に交換、変更可能であることである。器具を用いて矯正の必要性と矯正量を判断し、それから適正なインプラントを挿入することができる。核に補正を加えることで、外科医は、現在のシステムでは不可能な、柔軟性、挿入しやすさ、修正可能性という恩恵を受けることができる。
【0052】
本発明の人工椎間板には、各種の程度の変形矯正力を持たせることができる。本発明のこの態様に関して、外科医は患者にとって適当な矯正力を有する人工椎間板を選択できる。したがって、脊椎変形の治療方法が提案される。この方法は、人工椎間板埋植のために脊椎分節の準備を行うステップと、椎間腔の所望の角度を決定するステップと、所望の寸法を有する人工核を選択するステップと、上側終板を上位椎骨に固定するステップと、下側終板を下位骨に固定するステップと、上側と下側終板の間に選択された核を挿入するステップと、を含む。あるいは、終板−核−終板として組み立てたユニットを一度に挿入してもよい。このように事前に組み立てる構成の中の核の形状は、術中測定ツールを用いて、あるいは術前計算によって決定できる。術前計画の方法や器具も、挿入されるこの装置の大きさと方位を決定することができる。
【0053】
本システムの主な利点は、人工椎間板をより容易かつ迅速に挿入可能でき、核を矯正対象の変形の程度に応じて変更または修正できることである。これは特に、脊椎アラインメントが時間とともに変化する小児や青年において有益である。
【0054】
少なくとも1つの実施例において、頚椎の前彎矯正のために調整される非対称の核が提案される。外科医は、可動性を維持しながら、頚椎の後彎を復元することができる。核は、ポリウレタンやポリカーボネートポリウレタン等の低摩擦エラストマ、ポリエチレン(特にUHMWPE(超高分子量ポリエチレンまたは))等のポリマ、適当なセラミック、金属、チタンカーバイド等の金属基質複合材料、あるいはチタンまたはチタン合金等の金属合金、クロムコバルトモリブデン(CoCrMo)、コバルトクロム、ステンレススチールまたはその他の好適な材料で構成してもよい。核は、一般的に台形という幾何学設計を有し、最大高さ軸を核の幾何学中心の前方に置くことによって、各種の程度の前彎矯正力を持たせる。核の前方高さは、必要な前彎矯正の程度に応じて変わる。核は、例えば0、3°および6°の各種の前彎角度および異なる高さ(例えば4mm、6mm、8mm)でも利用できる。
【0055】
最終的な核の大きさを決定する前に、一式の具を挿入して、確実に前彎矯正を行うことができるが、これらの器具は、他の術前計画の方法や器具の確認にも使用できる。あるいは、術中器具を使って、他の術前計画の方法と器具を確認してもよい。
【0056】
1つの実施例において、インプラントは3つの部品、即ち上側終板と、下側終板と、核と、から構成される。終板は、解剖学的な違いに対応できるように、異なる大きさで作製される。これらは、チタン、チタンカーバイドまたはチタン合金、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)、コバルトクロム、ステンレススチール、金属基質複合材料またはその他、脊椎補綴用挿入物に適した材料で作製されていてもよい。これらはまた、主として1つまたは複数の材料で作製し、機械的性能や磨耗性能を最適化するために、別個のコーティング表面または材料の層を利用してもよい。コーティングは、潤滑性、低摩擦性、硬度増強、表面エネルギー低減、粗さその他、関節接合にとって好ましいその他の特徴を得るために利用できる。
【0057】
終板は、2つの主要な表面を有していてもよい。各々の終板の平坦表面は、椎体終板と接触し、骨の埋植装置への内部成長(ingrowth)を収容でき、チタン多孔体、リン酸カルシウム等の適当なコーティングを設けてあるか、あるいは長期的な安定性のために骨の内部成長を促進するその他の公知の表面を有している。終板はまた、すぐに固定できるようにするための、1つまたは複数の傍矢状竜骨や歯を有していてもよい。
【0058】
以下に紹介する実施例には、2つの終板と1つの核の3つの部品でなる補綴装置が含まれているが、本願で開示される核を隣接する終板の1つと一体構造にして、2つの部品でなる実施例も実現できると理解される。この場合、一体構造にしたことによる可動性の喪失を補償するように表面の形状を変えることによって、残りの関節面の少なくとも1つを補強してもよい。
【0059】
図1は、脊椎の一部の2つの隣接する椎骨の間の椎間腔に埋植された人工椎間板置換装置の実施例を示す。人工椎間板補綴装置100は、上位椎体2に固定された上側終板102と、下位椎体4に固定された下側終板104と、上側および下側の終板の間に配置された核106と、を備える。終板を椎体に固定するステップは、終板を椎体に連結して、少なくとも骨の内部成長が起こるのに十分な期間だけ終板がその場に留まるようにするステップを含む。椎間板補綴装置100は、関節接合部を形成する複数の関節面を有し、終板の間で屈曲/伸展、前方/後方並進、側屈および軸回転等の椎間運動が回復できるようにする。椎間板補綴装置100はさらに、接合部が1つまたは複数の軸に関して好ましい方位に留まることができるようにする方位付け機能手段を有しており、好ましい方位とは、接合部が自然にそのまま維持しようとするニュートラルの低エネルギー位置であってもよい。
【0060】
図2、3は、椎間板置換装置100の分解斜視図であり、図2は頭側−外側から見た斜視図、図3は尾側−外側から見た斜視図である。終板102,104の各種の機能手段をこれらの図で見ることができる。各終板102,104の形状は一般に台形であるが、例えば、長方形、円形、楕円形またはインゲンマメ形等、本発明の他の実施例では他の形状も想定される。上側終板102は終板本体110を備え、本体110は前方端112、後方端114、左側面116、右側面118、上面120および下面122を有する。上面120には骨係合表面124があり、これは基本的に平坦で、天然の椎骨終板の表面と接触しやすい。平坦な骨係合表面を使用することにより、終板に適応するのに適した形状に椎骨を準備するための余分な手術時間を省くことができるかもしれない。しかしながら、本発明の他の実施例では、終板が平坦な骨係合表面を持たず、略凹状または凸状の形状の表面を有していてもよいと理解される。骨係合表面には、微細孔を設け、またチタン有孔体、リン酸カルシウムその他、コーティング、プラズマ溶射等の処理といった適当な処理を取り入れ、また表面の構造的改質を行い、骨の内部成長や埋植装置表面への付着(ongrowth)を促進し、長期間の安定性が得られるようにすることができる。終板102の前方部126には、骨の内部成長のための処理を行わずに、器具の挿入や器具による把持をしやすくしてもよい。本体の後方傾斜部128は、本体120の残りの部分から鋭角で尾方向に傾斜しており、埋植中に補綴装置を椎間腔に挿入しやすい。複数の第一の歯130と第二の歯131は、骨係合表面124から外に突出していてもよい。
【0061】
上側終板102の下面122は、基本的に平坦な関節面132を有する。左フランジ134と右フランジ135の2つのフランジは関節面から尾側に突出し、終板の側面116,118に沿った中央に配置されている。フランジ134,135は、核106に形成されたノッチによって形成されるギャップの中に嵌るように位置付けられる。他の実施例では、フランジが終板の隅または側面に沿った他の位置に配置されていてもよい。斜面136が左フランジ134の下面に形成され、斜面137が右フランジ135の下面に形成されている。補綴装置の埋植後、側屈運動中、斜面136または137は下側終板の上面に接触しないが、これは、核の下面が下側終板の上面と接触して、側屈運動時に軟停止するようになっているからである。フランジ134,135の高さは決まっておらず、斜面136,137の傾斜も決まっていない。フランジ134,135の前方−後方寸法は、核106のギャップの前方−後方寸法より小さくして、核に関する終板102の前方−後方並進が拘束されるようにしてもよい。UHMWPE等の材料からなる核等の第一のコンポーネントが、チタンその他の金属等、より硬質な材料からなる終板等の第二のコンポーネントと接触すると軟停止し、同じ方向に第一のコンポーネントがそれ以上動かないようになっていてもよい。反対に、移動する第一のコンポーネントをより硬質な材料とし、第二のコンポーネントを比較的柔らかい材料で構成してもよい。
【0062】
前方保持部材140が終板102の前面に沿って形成され、下側終板104に向かって尾方向に突出する。前方保持部材140は、核が終板の間からずれないようにするのに役立つが、これは、部材140が核106の前縁より前方に配置されているからである。部材140の内縁142は、装置が軸回転できるように、終板102に関する核の回転が限定されるように傾斜されている。この内縁142はまた、軸回転の量を制限するための軸回転停止手段としての役割も果たす。内縁142は、補綴装置挿入用具のグリップアームと係合するように、蟻継ぎ状になっている。部材140の前方部分にポケット144が形成され、補綴装置の埋植中、再置換または抜去中に器具を受けるための受容部となる。補綴装置の埋植後、脊椎の屈曲運動中、前方部材140は下側終板120と接触しないが、これは、核が下側終板と接触して、部材140が下側終板と接触する前に運動を停止させるからである。本発明の他の実施例では、上側終板の上に複数の前方部材を設けても、あるいは上側終板に前方部材を形成しなくてもよい。
【0063】
下側終板104は終板本体150を有し、本体150は、前端152、後端154、左側面156、右側面158、上面160および下面162を有する。基本的に平坦な上側関節面164は、終板本体150全体に延びる。後端154に後方保持部材166が形成され、上面160から突出する。後方保持部材は、終板104に関する核106の軸回転を制限するように傾斜された内縁168と、上面169によって限定され、上面169は伸展時の側屈を可能にするように外側と後方に向かって傾斜されていてもよい。傾斜した内縁172を有する前方保持部材170が前端152に沿って配置され、上面160から上側終板102に向かって突出する。保持部材170の中にポケット174が形成され、これが補綴装置の埋植、再置換または抜去中に器具を受け入れる受容部となる。保持部材170の上面176は、屈曲中の側屈が可能となるように、外側と前方に向かって傾斜されていてもよい。
【0064】
上面160からは、ピンまたはポスト180が、頭側方向に上側終板102に向かって突出する。ポスト180は、下側終板104の幾何学中心に配置してもよく、あるいは幾何学中心からずれていてもよい。ポスト180の位置と、これに対応する核のポケットが頭側/尾側軸を決定し、その周囲で核および対向する終板が下側終板102に関して回転してもよい。一般に、ポスト180は、頭側/尾側軸を中心に回転できるような円筒形であるが、球面肩部183のある周辺壁182を有し、これは核のポケットの壁と関節接合してもよい。頭側/尾側軸での回転を防止または制限するために、ポストは、例えば四角形または三角形等、非円筒形であってもよい。ポスト180はまた、核のポケットと協働して、軸回転と同時に側屈が可能であるようにしてもよい。
【0065】
下側終板104の下面162は、平坦な骨係合表面186を有し、その上に1つまたは複数の歯130,131が形成されていてもよい。前方部分188には骨の内部成長や表面付着のための処理を施さずに、器具と係合できるようにしてもよい。本体の後方傾斜部190は、骨係合表面186の残りの部分から鋭角で頭側方向に傾斜されており、その結果、前述のように、埋植中に補綴装置を椎間腔に挿入しやすい。
【0066】
図4A,4Bを参照すると、第一の食い込み歯部130と第二の食い込み歯部131を備える複数の骨係合用機能手段が上側および下側終板の骨係合表面124,186に形成されていてもよい。歯130,131は先の鋭利な前縁を有し、これが挿入中に椎体の中に食い込むため、椎体表面に事前に溝を切っておいたり、リーマで広げたりする、余分な準備ステップが不要となるかもしれない。第二の歯131の各々は、第一の歯130の真後ろ、またはその前方に配置してもよい。第一の歯130の各々は狭く傾斜した切り込み先端部202を有し、この先端部が終板102の後端114に向かう状態で配置される。終板が椎体の間に挿入される際、第一の歯130の各々の鋭利な切り込み先端部202が椎体表面に進路を刻む。終板がさらに進むと、第二の歯131が第一の歯130によって刻まれた進路に入って進み、第二の歯の第一の歯より広い切り込み先端部204が通路を広げる。
【0067】
第一の歯130の各々は、歯の上に設けられた尖端206を有し、これが一対の支持壁208と端壁210によって支持される。支持壁208は、骨係合表面124または186から尖端206へと、相互に向かって傾斜されている。この傾斜により、有利な点として、歯が椎体に侵入する際に隙間なく押し込まれ、即座に固定される。傾斜した壁208により、埋植後に終板102が椎体中に若干沈下し得るため、椎体からゆるむ危険性がなくなる。端壁210は垂直または略垂直として、椎体内に保持されやすく、椎体から予期せずに脱落するのを防止してもよい。本発明の他の実施例では、壁208を傾斜させず、相互に平行としてもよい。
【0068】
第二の歯131は各々、幅広い切り込み先端部204と、2枚の傾斜した支持壁212と、1枚の端壁216と、を有し、これらは尖端214を支持する。第二の歯131は、第一の歯と同様の構成であるが、壁の高さや切り込み先端部の角度と幅等の具体的な寸法は違ってもよい。例えば、図4Aに見られるように、第二の歯131は横方向に第一の歯130より広く、第一の歯130の切り込み先端部202は第二の歯131の切り込み先端部204より狭い。図4Bを見ると、第二の歯131の支持壁212と尖端214はより高く、第一の歯130の支持壁208と尖端206より縦の寸法が大きい。第一の歯130の後方前縁218は第二の歯131の後方前縁220より傾斜が緩やかであり、これも挿入の助けとなるかもしれない。第一と第二の歯130,131の全てに、骨係合表面124,186と同じように、骨の内部成長および表面付着のための処理を施してもよい。
【0069】
終板102,104はどちらも略横方向に対称であるが、別の実施例においては、終板の一方または両方の最大垂直寸法を横方向のいずれかの側に配置して、脊柱側彎矯正を可能にしてもよい。同様に、終板の一方または両方の最大垂直寸法を前方に配置して前彎矯正用とするか、あるいは最大垂直寸法を後方に配置して後彎矯正用とすることもできる。終板の個々の機能手段、例えば、これらに限られないが、骨係合用機能手段、運動停止手段、器具受け入れ用陥凹部およびポスト等を交換、逆転または反転させて、上側終板の上にある機能手段が、今度は下側終板の上にあるように、またその逆となるようにしてもよいことが理解される。さらに、別の実施形態では、終板上の機能手段を核に配置し、またその逆としてもよい。
【0070】
図5A,5B,6,7A,7Bは、椎間板核106の各種の図面である。終板102,104と同様に、核は一般に、丸みのついた台形であるが、別の実施形態では他の形状としてもよい。核106は、上面250、下面252、前端254、後端256、左側面258および右側面260を有する。上面250は核上側関節面262を有し、これはさらに3つの平坦部、つまり前方平坦部264、中央平坦部266、後方平坦部268を有する。第一の曲率(curvate)移行部270が前方平坦部264と中間平坦部266の間にあり、第二の曲率移行部272が中央平坦部266と後方平坦部268の間にある。3つの平坦部は、インプラントが椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎体の矢状面に対して垂直である。平坦部は、相互に関して同一平面ではないが、本発明の別の実施形態では、1つまたは複数の平坦部が同一平面であってもよい。前方平坦部264と中央平坦部266の間の角度a1は鋭角であり、中央平坦部266と後方平坦部268の間の角度a2と等しくなくてもよい。他の実施形態では、角度a1とa2が同じであってもよい。核下面252は、下側関節面280を有し、これは上側関節面と同様に、2つの曲率移行部によって分離される3つの平坦部を有する。右平坦部284は中央平坦部286から第一の曲率移行部290によって分離され、中央平坦部286は左平坦部288から第二の曲率移行部292によって分離される。3つの平坦部は同一平面ではない。平坦部は、インプラントが椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎体の冠状面に対して垂直である。右平坦部264と中央平坦部286の間の角度b1は鋭角であり、中央平坦部286と左平坦部288の間の鋭角b2と同じである。別の実施形態では、角度b1,b2を違えて、脊柱側彎矯正用としてもよい。
【0071】
核の両側に2つのノッチ、左ノッチ300と右ノッチ302が形成されている。左ノッチ300は左ギャップ304を画定し、核が終板102,104の間に配置されたときに、左フランジ134が左ギャップ304の中に延びる。右ノッチ302は右ギャップ306を画定し、その中に右フランジ135が延びてもよい。キャップ304,306はそれぞれ、各々の運動停止手段より前方−後方寸法いため、上側終板102が核106と下側終板に関して並進運動できる。図8は補綴装置の左側の側方図であり、補綴装置が前方−後方軸および内側−外側軸の両方での回転に関して低エネルギーニュートラル位置にあるときの、左フランジ134と左ノッチ300の関係を示す。矢印は、上側終板102の前方−後方並進を示す。図5Aに見られる陥凹部296を、前端254の中に、核の上面250に向かって形成してもよい。陥凹部は、上側終板の並進中に、上側終板102の前方保持部材140を受けるような形状とされる。
【0072】
図5Bを参照すると、ポケット310が、核106の下面252の陥凹部として形成され、ポスト180を受ける形状とされている。ポケット310はテーパの付いたスロットの形状であり、その内側−外側最大開口寸法312は、前方−後方最大開口寸法314より大きい。ポケット314を取り囲む支持壁316には、ポケットの端壁318からその開口部319に向かって外側にテーパが付けられている。支持壁316は、ポスト180の周囲壁182と関節接合していてもよい。卵形で傾斜した支持壁によって、核106と上側終板102は、側屈中にポート180に関して自由に動くことができる。
【0073】
補綴装置100が有する関節面と運動停止手段の組み合わせにより、第一の接合部での屈曲−伸展回転自由度と前方−後方並進および第二の接合部での側屈と軸回転自由度を持つことができる。各回転自由度のための回転中心は共有されてもよく、あるいは各回転自由度の回転中心は異なっていてもよい。第一の接合部は、核上側関節面262と上側終板102の下側関節面132との間の界面を構成する。屈曲−伸展中に、核上側関節面262は下側関節面132と関節接合する。屈曲は、前方平坦部264が下側関節面132と接触すると制限され、逆に、伸展は、後方平坦部268が下側関節面132に接触すると制限される。第一の接合部により、核106と下側終板104に関する上側終板102の前方−後方並進も可能となる。
【0074】
第二の接合部は、核下側関節面280と下側終板104の上側関節面164との間の界面をなす。側屈中、核下側関節面280は上側関節面164と関節接合する。左側屈運動は、左平坦部288が上側関節面164と接触すると制限され、右側屈運動は、右平坦部284が上側関節面164と接触すると制限される。第二の接合部では軸回転も起こるが、これは、核下側関節面280がポスト180の軸を中心として、上側関節面164に関して回転するからである。軸回転運動は、下側終板104の前方保持部材170と後方保持部材166の傾斜した内縁によって制限されてもよい。
【0075】
図9A,9B,9Cを参照すると、人工椎間板核の異なる実施形態が側方断面図として示されている。図9Aの核350では、上面352と下面354は相互に平行で、その間の角度は0度である。この核の場合、最大高さ軸356は人工椎間板の中心に位置する。図9Bの核360は、3°の前彎矯正用である。図9Cの人工椎間板核370は、6°の前彎矯正用である。図9B,9Cのように変形矯正が行われる場合、最大高さ軸356は核の幾何学中心からずれた位置に移動されてもよい。前方/後方の方向を逆にすると、後彎矯正が行われる。核は、各種の矯正角度とするように調整でき、場合によっては、矯正が不要である。核350,360,370を、終板102,104またはその他の終板と組み合わせて人工椎間板補綴装置を形成してもよい。核106は、6°の前彎矯正を行うものである。
【0076】
各々の核関節面上の中央平坦部によって、それぞれの接合部は、好ましい方位または安定した低エネルギー位置を確保できる。低エネルギー位置は、接合部が特定の地点以降、つまり運動停止手段を過ぎてから特定の方向に移動できなくなる運動制限位置と同じではない。低エネルギー位置は、接合部が安定し、接合部を低エネルギー位置から出すのにエネルギーが必要となるような接合部の方位である。図10Aは、上側終板102と核106の間の接合部が屈曲−進展自由度の低エネルギー位置にある状態の、補綴装置100の矢状面断面図である。下側関節面132は中央平面部266と面接触しており、補綴装置は上側および下側終板102,104の冠状面を通じて好ましい方位と低エネルギー位置にある。接合部がこの低エネルギー位置から動き出すためには、抵抗に打ち勝って、屈折時には第一の曲率移行部270の上で冠状面において前方に回転するか、あるいは伸展時には第二の曲率移行部272の上で後方に回転するのに十分なエネルギーが上側終板102にかけられなければならない。図10Bは、接合部が伸展している状態の10Aの補綴装置を示す。上側終板102は後方にひねられて、下側関節面132が後方平坦部268と接触して、伸展運動が停止する。
【0077】
図11A,11Bは、後方からの補綴装置100の冠状断面図であり、それぞれ、補綴装置が側屈自由度の低エネルギー位置にあるときと、側屈位置にあるときを示す。図11Aにおいて、核の下側関節面は好ましい方位にあり、下側終板104の、ポスト180周辺の上側関節面164と切れ目なく接触している。補綴装置がこの好ましい方位から動き出すためには、上側関節面164と接触した状態から片側を持ち上げるのに十分なだけ、核を矢状面で横方向に回転させるために必要なエネルギーが加えられなければならない。このような位置は、図11Bの側屈停止手段の部分に見られる。図12A,12Bは、屈曲と側屈が組み合わされたときの補綴装置100を示す。図12Aは左側方図で、上側終板102が屈折で前方に傾いているのと同時に、並進方向にシフトしており、核106は右に側屈している。図12Bは前方図であり、上側終板102が屈曲および前方並進中で、核106は側屈中に右に傾いている。この位置で、核の前方平坦部264は上側終板102の下側関節面132と接触し、屈曲が軟停止する。核の右平坦部284は、下側終板104の上側関節面164と接触し、側屈が軟停止する。
【0078】
図13A,13Bは、下側終板104に関する核106の軸回転を示す。図をわかりやすくするために、上側終板102は省略されている。図13Aでは、核106が中央の非回転位置にあり、図13Bでは、核106が左に回転している。運動停止手段170,166の傾斜した内縁172,168は、回転運動を制限する。これらの図には示されていないが、本発明は、屈曲伸展おび/または側屈および/または前後並進と軸回転が組み合わされて起こってもよいことが理解される。
【0079】
本発明の他の実施形態では、回転自由度の組み合わせおよび/または位置を交換または再分散させてもよいことが理解される。例えば、他の実施形態において、一方の接合部で屈曲−伸展と側屈および、もう一方の接合部で軸回転が行われてもよい。別の実施形態では、一方の接合部での屈曲−伸展と軸回転および、もう一方の接合部での側屈が行われてもよい。
【0080】
図14は、本発明のまた別の実施形態を示し、人工椎間板補綴装置400は、上側終板402、下側終板404、コアまたは核406を有する。上側終板は、骨接触用になされた上面と、核の上面を関節接合させるための下面上の少なくとも部分的に円筒形の表面を有する。核は、少なくとも部分的に円筒形の上面と平坦な下面および円筒形の外面を有する。下側終板は、核の下面と関節接合する平坦上面および、骨接触用になされた下面と円筒形内面を有する。補綴装置の第一の接合部により、屈曲−伸展および側屈自由度が得られ、第二の接合部により軸回転自由度が得られる。
【0081】
図15は、前方−下側から見た補綴装置400の分解図であり、図16は後方−上側から見た補綴装置の分解図である。上側終板402は、前端410、後端412、左側面414、右側面416を有する。把持用陥凹部417は側面の一方または両方に設置することができる。上側骨係合面418は骨接触用になされ、複数の食い込み歯部420および/または421が骨係合面418に分散的に設けられていてもよい。骨係合面と歯のどちらにも、前述のような骨の内部成長や装置表面への付着のための処理を行ってもよい。下側関節面424は、円筒形の一部のような形状の平坦部を有する。ポスト430は、下側関節面から尾側に向かって延び、ポスト関節面432を有し、ここには平坦部が含まれていてもよい。平らに平坦化された側方部426,428が下側関節面424の脇に設けられる。
【0082】
下側終板404は、前端440、後端442、左側面444、右側面446を有する。把持用陥凹部417が側面に設置されていてもよい。下側骨係合面450は、平面でもよく、下面448にあり、複数の食い込み歯部420,421を有していてもよい。歯と骨の係合面には、骨の内部成長または表面付着のための処理を施した領域があってもよい。図16を参照すると、平面の上側関節面456が終板の上面452にある。前方運動停止手段460が前端440に沿って、頭側に上側終板402に向かって延びる。内面462は円筒形で、核406の円筒形の外縁に対応し、上面464は円筒の一部の形状であり、屈曲中に上側終板402の下側関節面424と結合する。後方運動停止手段466も同様に、円筒形の上面468を有し、伸展中に下側関節面424と結合する。後方運動停止手段466はさらに、円筒形の内面470を有し、また、核406のタブを受けるような形状のアンダーカット部472を有する。傾斜した上面を有する左右の側方運動停止手段474,476が、上側終板402に向かって延びる。右側運動停止手段474と左側運動停止手段476の内面478,480が蟻継ぎ状であることにより、下側終板404に関する核の軸回転が制限される。
【0083】
核406は、部分的に円筒形状の上側関節面492を有する上面490と、平坦な下側関節面496を有する下面494を有する。前端497は、下側終板404の前方運動停止手段460と対応するように円筒形である。円筒形の後端499は、下側終板404の上のアンダーカット472中に嵌まり込む形状のタブ498を有する。タブ498は、核が下側終板から「持ち上がる」ことや核の位置ずれを防止することにより、脊柱管に向かう核の後方移動に抵抗する役割を果たす。図のように、タブ498は、核の初期挿入と術中または術後の核の交換を行いやすくするために、丸みを付け、面取りし、または斜角を付けることができる。
【0084】
上側関節面492は3つの平坦部を有し、その各々は円筒形の一部分の形状である。中央平坦部500は、核を内側−外側方向に、補綴装置の矢状面を横断するように延びる。第一の曲率移行部502は、中央部500と前方平坦部504の間にあり、第二の曲率移行部506が中央部500と後方平坦部508の間にある。略中央に位置するポケット510は、核の中を尾側に延び、内側−外側および前方−後方の両方向においてポストより大きく形成して、屈曲−進展時および側屈中に上側終板402の並進を限定するようにしてもよい。本発明の別の実施形態では、ポケット510をより小さくし、それがポスト430と接触して、屈曲/伸展および/または側屈のための運動停止手段を形成するようにしてもよい。別の実施形態は2つの部品からなる補綴装置としてもよく、この場合、核406が下側終板404と結合され、上側関節面492が上側終板402の下側関節面424と関節接合する。
【0085】
図17Aは、好ましい方位にある補綴装置400の矢状断面図である。図17Bは、屈曲時の補綴装置を示し、図17Cは、伸展時の補綴装置を示す。
【0086】
図18−20は、本発明のまた別の実施形態による人口椎間板補綴装置600を示す。補綴装置600は、第一の上側接合部で側屈自由度と、第二の下側接合部で屈曲−伸展および軸回転自由度を有する。この補綴装置は、上側終板602と、下側終板604と、終板の間に配置され、これと関節接合するコアまたは核606を有する。
【0087】
図19は、上側から見た補綴装置600の分解図あり、図20は、下側、側方から見た分解図である。上側終板602は、平坦骨係合面608を有し、複数の食い込み歯部610,611が骨係合面の上に形成されていてもよい。終板602の下面に、部分的に円筒形状の下側関節面612が形成される。前方保持部材614は前端に形成され、傾斜面616を有し、これは内側−外側方向に傾斜されて、屈曲中の側屈を可能にしている。補綴装置の埋植、再置換および/または抜去中に器具で把持するためのスロット618が、保持部材614の背後に形成される。保持部材614の前方部の中にポケット620が形成され、器具の受容体としての役割を果たす。終板602の後端を若干傾斜させ、椎間腔内に挿入しやすくしてもよい。
【0088】
下側終板604は平面骨係合面624を有し、その上に複数の食い込み歯部610,611が形成されていてもよい。上側終板602と同様に、終板の後端を若干傾斜させ、椎間腔内に挿入する際、終板の後端の形状が頭側−尾側の方向に小さくなるようにしてもよい。下側終板604の上面には上側関節面626があり、これが曲率移行部によって分離される3つの平坦部を有する。前方平坦部628、中央平坦部630、後方平坦部632は相互に関して同一平面ではなく、補綴装置600が椎間腔内に正しく埋植されたときに、椎間体の矢状面に垂直である。中間平坦部630は核の平坦下面と協働して、屈曲−伸張自由度における補綴装置のニュートラルの低エネルギー位置または好ましい方位を確立する。前方平坦部628は、屈曲中に核の平坦下面と接触したときに運動を軟停止させ、後方平坦部632は、伸展時に核の平坦下面と接触したときに運動を軟停止させる。ポスト634が上側関節面626から突出し、核のポケットと協働して、屈曲−伸展中の前方−後方並進を可能にする。前方保持部材636は終板604からこれに対向する終板602に向かって突出し、ポケット621は終板の前端の、前方保持部材の下に形成される。左側方運動停止手段638と右側方運動停止手段640は、終板の側方縁辺に形成される。左右の側方運動停止手段の各々は、3方向に傾斜した上面を有し、側屈中の屈曲−伸展およびその逆の運動を可能にする。前端636の縁辺の内側において、左右の運動停止手段638,640も傾斜されて、ポスト634の軸での核の軸回転を可能にする。下側終板604の別の実施形態では、前彎または後彎矯正機能を持たせ、終板の最大垂直軸を終板の中心から前または後にずらしてもよい。
【0089】
核は、平坦下側関節面642と半円筒形上側関節面644を有する。平坦下側関節面642は、下側終板の上側関節面626と関節接合し、屈曲−伸展と軸回転を可能にし、上側関節面644は上側終板602の下側関節面612と関節接合し、側屈を可能にする。核の下面に長いポケット646が設けられ、ポスト634を受ける形状とされている。湾曲したタブ648が核から後方に突出し、タブの下にアンダーカット649が形成されている。
【0090】
別に形成され、上側終板602に溶接またはその他の手段で接合される保持部材650が核606と係合し、補綴装置の核606を保持し、また運動停止手段としての役割を果たしてもよい。保持部材650は、本体652、一対のアーム654および突起部656を有する。突起部656は核のアンダーカット649と嵌合し、アーム654は湾曲タブ648の上に取り付けられる。脊柱の運動中、保持要素は上側終板と一緒に移動する。本体652と突起656の下面は傾斜が付けられ、側屈と伸展の両方が可能である
【0091】
図1−20に示した椎間板インプラントは、生体適合金属等の生体適合材料またはその他の適正な強力な材料で作製することができる。インプラントを1つの生体適合材料で形成し、担持面を別の生体適合材料で形成してもよい。インプラントは各種の大きさ、各種の形状で作製し、患者によって異なる椎骨の大きさや椎骨の形状に適合させることができるようにしてもよい。特に、大、中、小の3つのサイズ、0°、3°、6°の3つの前彎矯正角度を有するインプラントを提供してもよい。
【0092】
インプラントのコンポーネントは、全部または一部を生体適合金属、例えばステンレススチール、チタン、チタン合金、コバルトクロム、CCM(コバルトクロムモリブデン)、アルミニウム、ジルコニウム、ニッケルチタン(NiTi/Nitinol)、形状記憶金属、超弾性金属、炭化チタン、炭化タングステン、タンタルまたはクロム等の金属基質複合材料その他で形成できる。インプラントのコンポーネントは、全部または一部を、アルミナ、ジルコニア、アルミナ−ジルコニアブレンドまたはその他のセラミック複合材料等の生体適合セラミック材料で形成することができる。インプラントのコンポーネントは、全部または一部を生体適合ポリマで形成することができ、この材料としては例えば、PEEK、カーボンまたはグラスファイバ補強ポリマ、ABS、ポリカーボネート、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ナイロンポリマ複合材料、ポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン複合材料、アセタル、ポリエステル、ポリプロピレン、PTFE、ePTFE、ポリL乳酸(PLLA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等の吸収性ポリマ、TCP、グリコリド、ラクチド、ハイドロゲル、シリコン、ニトリル、ブチル、熱可塑性エラストマ(TPE)等のエラストマ、またはエチレンビニルアセテート(EVA)がある。
【0093】
インプラントのコンポーネントは、全部または一部を、別の生体適合材料、例えば、ダイヤモンドまたはダイヤモンド様材料、カーボン、ハイドロゲル、パイロカーボン、熱分解カーボン(pyrolitic carbon)、同種移植骨、脱灰骨、コラーゲン、軟骨、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、PMMA−骨セメント(PMMA-bone cement)、たんぱく質、アミノ酸、核酸または糖分その他で作製することができる。
【0094】
インプラントのコンポーネントはまた、全体的または部分的に、窒化チタン、ホウ化チタン、炭化チタン、イオンコーティング、セラミックコーティング、酸化物コーティング、プラズマ、PTFEコーティング、低摩擦コーティング、疎水性または親水性コーティングあるいは蒸着コーティングその他の特殊コーティングで被覆してもよい。インプラントのコンポーネントの骨接触部は、微細孔を持つ、または持たない骨内部成長面を有していてもよい。
【0095】
本発明の他の態様では、補綴装置の関節面を全て、ポリマで形成することができ。前述のように、核は全体を、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、クロスリンクUHMWPE、セラミック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または他の種類の好適なポリマその他で形成することができる。骨内部成長表面は、プラズマ溶射による金属、ハイドロキシアパタイトその他の骨様コーティングで作製することができ、また骨成長因子のコーティングを設けることができる。終板の関節面には、適当なポリマ、セラミックその他の挿入部を形成することができる。終板の、骨と接する他の外部表面は、上述のような種類の骨内部成長面を持つように形成することができる。
【0096】
図21−41は、補綴装置100のような人工椎間板補綴装置を脊椎の一部に埋植する器具と方法を示している。各種のサイズのインプラントトライアルを含むツールキットを用意してもよい。図21を参照すると、患者は中立姿勢をとり、前方到達法により、脊椎の標的椎間板レベルを露出させる。標的とする椎間板腔において上位椎体2と下位椎体4の間の部分摘出を行う。図では頚椎体2,4がC4,C5レベル椎間板として描かれているが、手順は、脊椎のどの2つの連続する椎間板についても実行できると理解される。
【0097】
図22のように、椎体の矢状面正中線6を決め、露出された椎体にマークを付けてもよい。ガイド700を椎体の上に位置付け、このとき、矢状面インディケータ702,704,706が矢状面正中線6と一致するようにする。図23Aはガイド700全体を示しており、図23Bはガイドヘッド710の拡大側面図、図23Cは、ガイドヘッドの拡大斜視図である。ガイド700はハンドル712を備え、ハンドル712は近位側グリップ部714と遠位側シャフト部716を有する。シャフト716は、ヘッド710に溶接されている。ガイドヘッド710は、細長いループの形状で、円周壁718を有し、その中にガイドルーメン719が画定される。ガイドヘッド710には第一の面720と第二の面722があり、両面を貫通するポート724と側面位置合わせ穴726がある。ガイドタブ728は矢状面インディケータ706を有し、遠位方向に突出して、第一の面720と第二の面722の両方に連結されている。図22からわかるように、ガイド700を、ガイドタブ728が部分摘出によって作られた空間の中に入り、矢状面インディケータが矢状面正中線6と一致するように位置づける。さらに、ガイド700を操作して、面720の側面位置合わせ穴726が面722の側面位置合わせ穴726と一致するようにする。位置合わせの判断と制御には蛍光透視法を用いてもよい。
【0098】
図24,25のように、オール750を使って椎体に案内穴を開けてもよい。オール750の遠位端752と先端754は、ガイドルーメン719の間に適合するような形状である。オールの先端754を正中線と略中心体に沿って椎体2,4の各々に差し込み、ガイドピン用のパイロットホールを作ることができる。
【0099】
図26,27のように、必要に応じて案内穴を使用しながら、ガイドピン762を矢状面正中線上で椎体2の中に打ち込み、ガイドピン764を矢状面正中線上で隣接する椎体4の中に打ち込む。ガイドピン762,764はまったく同じであっても、長さが異なっていてもよい。ガイドピン762,764はそれぞれ、ねじ山を有する侵入先端770と、遠位シャフト部772、中間シャフト部775および近位シャフト部776を有する。ねじ係合部778が、これと対応するドライバツール780の打ち込み機能手段782と係合するように構成されており、ドライバツール780を回転させて、ピン762,764の各々をそれぞれの椎体の中にねじ込む。係合部778とこれに対応する打ち込み機能手段782の形状は、六角形またはその他であってもよい。ガイドピン762,764は、矢状面正中線の上で、略中心体に、標的の椎間腔と平行に設置される。ガイドピンが固定されれば、ガイド700を抜き取ってもよい。
【0100】
図28,29のように、リテーナ800をピン762,764の上に設置する。リテーナ800は調節可能なブラケットシステムであり、ピン762,764と係合するように設置され、ピンと、ピンが固定される椎体との間の距離を調節して保持でき、その結果、標的となる椎体の間の椎間腔の中に、到達可能な作業領域が設けられる。ラック・アンド・ピニオンシステムは、ピン、したがって椎体を相互に圧迫し、または離間させるように圧縮力または伸延力を加える。リテーナ800はまた、追加の器具のための案内枠組みを提供し、器具と補綴装置が椎体の矢状面正中線に関して好ましい方位になるように設置されるようにする。図28,29を参照すると、リテーナ800は、第一のブラケット802、第二のブラケット804、ラック・アンド・ピニオンシステム806、2つのプレート808,810を有し、プレートはピン762,764を受け入れて、これと係合するように構成されている。プレート808をピン762の上に嵌め、ロック809を係合させてピンをロックしてもよく、プレート810をピン764の上に嵌め、ロック809を係合させてピンをロックしてもよい。一対のリンク812,814が、プレート808,810をブラケット802,804にヒンジ式に連結する。プレート810と第二のブラケット804の間には別のリンク816とピボットピン817があり、その周囲でプレート810を旋回させ、補綴装置の埋植、再置換および/または抜去作業中にプレート810とピン762を円弧状に動かすことができる。図28に見られるように、カラー818は、カラー818がピボットピンを中心としたプレート810の旋回を防止する第一の位置と、プレート810が自由に旋回できる第二の位置の間でスライド可能である。プレート810を旋回できる状態では、プレート810、ピン762および関連する椎体2の角度を、プレート808、ピン764および関連する椎体4に関して平行な位置以外の位置になるように調節できる。このような調節は、トライアルを椎間腔に挿入する時または、埋植中の他のステップにおいて有益または必要かもしれない。
【0101】
図29A−29Cは、ブラケット802,804とラック・アンド・ピニオンシステム806の断面図である。ラック・アンド・ピニオンシステム806はブラケットハウジング805中に格納されているが、ラックはハウジングの外にあってもよい。ラック・アンド・ピニオンシステム806は、ラック歯部の列822を有するラック820を備える。ラック820は、溶接その他の手段で第一のブラケット802に堅牢に連結され、ハウジング805を貫通する。ピニオン824はピニオン歯部826を有し、ピニオンウィング828(図28に示されている)によって回転されることができる。歯止め830の位置で、リテーナがピン762,764に圧縮力または伸延力のどちらを加えるかを制御でき、歯止めは第一の位置、第二の位置、第三の位置の間で移動させることができる。歯止め830は第一の歯止め歯部832と第二の歯止め歯部834を有し、ピボットピン836を中心にして旋回できる。トグル838は、第一の位置、ニュートラル位置および第二の位置の間で切り換えることができ、歯止め830と係合するバネ840とプランジャ842を制御して、歯止め830を第一の位置、ニュートラル位置、第二の位置の間で移動させる。図29Aは、ニュートラル位置にあるトグル838とポール830を示す。ニュートラル位置では、歯止めはラック歯部822と噛み合っておらず、ピニオン824を回転させてラックと噛み合うようにすることで、ラック820を第二のブラケット840に関してどの位置にも移動させることができる。第一の、つまり伸延位置にするには、トグル838を第一の方向850に移動させると、図29Cに示されるように、プランジャ842が第一の歯止め歯部832を押し下げて、ラック820と係合させる。歯止めがこの第一の位置にあると、ラック820は、ピニオン824が回転されてラックと係合するときに、第二のブラケット804に関して850の方向にしか移動できない。ラック820は第一のブラケット802に連結されているため、第一のブラケット802も第二のブラケット804に関して850の方向に移動し、ブラケット802,804を相互に遠ざける。ブラケット802,804は、ピン762,764にロックされたプレート808,810と連結されているため、850の方向にラックが移動すると、ピン762,764と椎体2,4は伸延する。
【0102】
図29Bのように、トグル838がニュートラル位置を過ぎて第二の方向852に移動すると、プランジャ843が第二の歯止め歯部834を押し下げてラック820と係合させ、歯止め830は第二の、つまり圧縮位置となる。歯止めがこの第二の位置にあると、ラック820は、ピニオン824が回転されてラックと係合するときに、第二のブラケット804に関して852の方向にしか移動できず、ブラケット802,804は相互に近づく。ブラケット802,804が相互に近づくように移動すると、ピン762,764と椎体2,4は圧縮される。リテーナをピン762,764に取り付ける前は、歯止め830をニュートラル位置にして、ラックをどちらの方向にも自由に移動させて、ブラケットとプレートの間の距離をピンの間の距離に合わせて調節してもよい。プレート810,808をピン762,764の上に設置し、ロック809,811を係合させてプレートをピンにロックする。ドライバツール780を使って、ロック810,811を係合させてもよい。その後、上記の方法で伸延または圧縮が行うことができる。つまり、トグル838を第一の位置に移動させ、ピニオンを回転させて伸延だけできるようにし、またトグル838を第二の位置に移動させ、ピニオンを回転させて、圧縮だけできるようにする。あるいは、トグル838をニュートラル位置に設置し、伸延および/または圧縮を自由に行えるようにしてもよい。リテーナ800は、どの方向でピン752,764に取り付けてもよく、つまり、プレート808をピン764に取り付けて、プレート810をピン762の上に取りつけるか、あるいはその逆に、プレート810をピン764に、プレート808をピン762に取り付けてもよいと理解される。また、本発明の別の実施形態として、各ブラケットが、ラック・アンド・ピニオンシステムのような調節可能機能を有し、ブラケット、ピン、および関連する椎体の間の伸延と圧縮を行ってもよいと理解される。さらに、ピボットピン817とカラー818のような旋回機能を一方または両方のプレートに設けてもよい。
【0103】
図28に見られるように、リンク812はプレート808をブラケット802に連結し、リンク814,816がプレート10をブラケット804に連結する。リンクとブラケットをヒンジ式に連結し、椎骨の頭尾軸を中心に片側から反対側に回転させて、手術部位の可視化と同部位へのアクセスが最適化されるようにしてもよい。
【0104】
図30に見られるように、必要または希望に応じて、伸延器900をリテーナ800と一緒に使い、椎体2,4の間が十分に伸延されるようにしてもよい。伸延器900のプロング902,904を椎間腔に挿入して、レバー906,908を相互に圧縮させることによって伸延できる。ラチェット機構910によってレバーを固定位置にロックすると、板ばね912が伸延の抵抗となる。このような伸延が行われるのは、リテーナ歯止め830がニュートラル位置または第一の位置にあるときである。椎体が十分に伸延されたところで、リテーナ歯止め830が第一の位置に戻っていなければ、リテーナ歯止め830を第一の位置まで移動させて、椎体間のスペースを保持してもよい。伸延器900は、レバー906,908とプロング902,904を解放時まで固定位置に保持するためのロッキング機能を供えていてもよい。
【0105】
椎体が十分に伸延されたら、骨鉗子、キュレット、オステオトーム等の公知の器具を使って切除と減圧を行う。骨鉗子、かんな、やすり、バリとり工具(burr tool)その他の器具を使って、椎骨終板に平坦な表面を作ってもよく、これは、表面が平らであると、補綴装置の終板と椎骨終板とが非常によく接合するからである。終板の準備としては、補綴装置の歯や竜骨に対応する溝を形成すること、補綴装置との適合性を高め、あるいは骨の内部成長を促進して補綴装置を安定させるために表面を粗くし、または円滑にすること、および/または終板の形状を整えることなどがある。図31はやすり950の図であり、このやすりを椎体2,4の間に挿入して、終板を掻き均し、平滑にしてもよい。やすり950は、グリップ部952、シャフト954、一対のウィング956およびやすりヘッド958を備える。やすりヘッドは、複数の切刃964を備える。ウィング956はウィングプレート960,962からなり、これらはそれぞれシャフト954の両側に、やすりヘッド958と垂直に取り付けられている。ウィング956は案内機能として、やすり950をリテーナ800と位置合わせした状態で椎間腔に挿入することができる。図28を参照して考えると、やすり950をプレート808,810の間に、ウィングプレート960,962がリテーナプレート808,810の上で一定方向にスライドできるように挿入してもよい。やすり950をこのように配置すると、やすりヘッド958が脊椎終板に平行な向きで、椎間腔の中に入る。本明細書で開示するその他の器具にも、同様のウィングプレートを案内機能として設けて、リテーナプレート808,810との位置合わせと矢状面に関する器具の正しい方向付けを可能にしてもよいことが理解される。図32は、別の実施形態において、終板の平坦化と準備に使用できるかんなを示している。かんな970は、グリップ部972、シャフト974、一対のウィング976および、切刃979を備えるかんなヘッド978で構成される。
【0106】
図33を参照すると、感触器980を用いて、椎間腔の形状を評価し、終板の平坦さを査定して、どの大きさのインプラントがその空間に最もフィットするかを判断してもよい。感触器980は、ハンドル982、シャフト984、平らな側面を有するパドル986を有する。感触器には、小、中、大と各種の大きさのものがあり、それぞれパドルの大きさが補綴装置100のような補綴装置に適合するものとなる。図33から分かるように、感触器は、リテーナのプレート808,810の間に挿入し、パドル986が椎間腔の中に入ったところで停止する。視覚的観察や蛍光透視法によって、脊椎終板に関するパドル986の大きさを観察し、適当な補綴装置の大きさを決定してもよい。パドル986を準備の整った脊椎終板に圧迫し、または擦り付けて、終板の平坦さを査定してもよく、および/または蛍光透視法を使ってパドルの形状と比較した終板の形状を観察することにより、平坦さを査定してもよい。感触器には各種の大きさがあり、感触器の他の実施形態では、やすり950のウィングを設けることにより、リテーナ800によって正確に案内されるようにしてもよい。椎体終板の平坦さの査定が終了したら、やすり、かんな、ハンマ、バリとりおよび/またはその他のツールによるその他の準備作業を必要に応じて実行し、終板表面上の陥凹、隆起、その他の不規則性を解消してもよい。これらの評価と準備のステップは、必要に応じて繰り返してもよい。
【0107】
図34−36に関して、トライアル(複数でもよい)を準備の整った椎間腔内に挿入し、前彎矯正が必要であれば、どれだけ矯正すべきかを判断してもよい。トライアルは、感触器と補綴装置の大きさに合うように、各種の大きさのものが入手できる。図34はトライアル1010を示し、図35はトライアルの遠位端の部分的分解図である。トライアル1010は、第一のトライアルプレート1002と第二のトライアルプレート1004を有するヘッド1000を備える。このプレート1002はペグ1006(図35では見えない)を有し、これによって第一のレベル1012に連結され、トライアルプレート1004はペグ1007を有し、これによって第二のレバー1014に連結される。プレート1002,1004は、それぞれのペグを各レバーの遠位端の対応する穴に挿入して挿入器に固定してもよい。あるいは、プレートは永久的にレバーに溶接されていてもよい。
【0108】
トライアル1010はさらに、第一のレバー1012と第二のレバー1014を備える。レバー10102,1014は近位端で、ラチェット機構1016により連結される。レバー1012にはリベット1016が結合され、このリベット1015がレバー1017のスロット1017の中に入り、レバーは相互に関して移動できるが、この運動はスロット1017の長さによって制約される。第一のレバー1012は第一のウィング1018を有し、第二のレバー1014は第二のウィング1019を有し、これらのウィングは、挿入器がリテーナ800のプレート上でスライドして、挿入器をピン762,764および標的となる椎間腔に関して正しく位置付けるように配置される。ピボットピン1020によってレバー1012,1014はその遠位端で連結され、これによってレバーはピン1020を中心に回転し、相互に関して旋回できる。
【0109】
図36は、準備の整った終板の間の椎間腔の中にトライアル1010を挿入する様子を示す。トライアルは、感触器を使って判断された適当な大きさのものを選択する。レバーの近位端を、遠位端が相互に略平行になり、トライアルプレート1002,1004もまた相互に平行になるように位置付ける。トライアル1010をリテーナプレート808,810の間に挿入し、レバーを、ウィング1019,1018がプレート808,810と側面同士で並ぶように位置づけると、ヘッド1000が矢状面に関して正しい方位に位置付けられる。ヘッド1000を椎間腔の中へとさらに挿入する。蛍光透視法を使って、椎間腔の中の所望の位置にヘッドを位置付けてもよい。
【0110】
所望の前彎矯正程度は、椎間腔内のトライアルプレート1002、1004の角度を調節することによって決定してもよい。レバー1012,1014は相互に噛み合わされて、その遠位端がピボットピン1020を中心に旋回して離間するようになっており、トライアルプレート1002,1004は旋回し、所望の程度の前彎矯正度に到達するまで離れる。これは、蛍光透視法で視覚化してもよい。トライアル1010のマーキングを使って前彎矯正度を測定してもよい。前彎矯正度が得られたところで、トライアル挿入器1010を解除すると、トライアルプレート1002,1004は平行な位置に戻って抜去できる状態となり、ヘッド1000が椎間腔から抜き取られる。大きさと前彎矯正度の観察結果を利用して、埋植に適した形状の補綴装置を選択することができる。
【0111】
図37−41は、椎間板補綴装置100を、脊椎2,4の間の準備の整った椎間腔の中に挿入する様子を示す。ここで紹介する方法と器具は、補綴装置400,600またはその他同様の人工椎間板補綴装置の埋植にも使用できると理解される。図37を参照すると、インプラント挿入器1050が補綴装置100を把持している様子が示されている。インプラント挿入器は、回転自在ハンドル1052、固定ハンドル部1053、シャフト1054、ウィング1056、把持機構1058を有する。シャフト1054は、外管1060と管内に設置されたロッド1062を有していてもよい。外管1060には複数のクリーニング用スロット1061がある。回転自在ハンドル部1052はロッド1062に連結され、回転自在ハンドル部1052を回転させると、ロッド1062が遠位または近位方向に移動する。ロッドはその遠位端において把持機構1058に連結されている。ロッド1062が遠位方向に移動して第一の位置に到達すると、把持機構1058がカムによって開位置となり、ロッドが近位側に移動して第二の位置に到達すると、把持機構はカムによって閉位置となり、補綴装置100をしっかりと把握して埋植可能な状態となる。ウィング1056は、埋植時にリテーナプレート808,810の上でスライドして、側面同士で並び、器具と補綴装置が矢状面に関して正しい方位になるように構成されている。
【0112】
図38A−38Dを参照すると、挿入器と把持機構の遠位端の拡大図が示されている。把持機構は、第一の位置合わせ面1070と、第一の面と反対にある第二の位置合わせ面1072を有する。位置合わせ面1070,1072はウィング1056に対して垂直で、埋植中に補綴装置を正しい方位に向ける。各位置合わせ部材は、複数のプロング1074を有しており、これは位置合わせ面の終端より先まで延び、把持機構によって把持された補綴装置を挟み、取扱や挿入をできるようにする。プロングは、挿入しやすいように、補綴装置終板102,104の上の歯と並ぶように位置づけられる。位置合わせ面1070の遠位端は、補綴装置終板102の前端を補完するような形状であり、ここに第一のキー1076が設けられており、このキーは終板102の前端の上のポケット144に嵌合する形状である。位置合わせ面1072は、第一のキーより大きく、終板104の前端のポケット174に嵌るような形状の第二のキー1078を有する。キーとポケットは、特に、補綴装置が唯一の正しい位置でしか挿入器1050に取り付けられないようなサイズである。挿入器1050の他の実施形態では、インプラント400または600の把持用陥凹部、ポケット、その他の機能手段と係合するような形状のキー嵌合機能手段を有していてもよいと理解される。
【0113】
把持機構はさらに、2つの旋回可能な対向するアーム1080,1082を有する。内側ロッド1062が遠位方向に移動すると、図38Dに示されるように、アーム1080,1082はカムによって開位置となって補綴装置100を受ける。補綴装置を挿入器に、挿入器のキー1076,1078が補綴装置100のポケット144,174に嵌合するように取り付ける。図39を参照すると、次にロッドが第二の位置に移動し、アーム1080,1082を閉じ、これが運動停止手段140,170の蟻継ぎ式内縁142,172と係合して、補綴装置をしっかりと把持する。アーム1080,1082の各々は、位置合わせ穴1084を有する。蛍光透視法を使って位置合わせ穴を観察し、椎間腔に挿入される補綴装置を監視して、適切な埋植深さを判断してもよい。
【0114】
所望の補綴装置を選択して挿入器1050に取り付けたら、挿入器をリテーナ800の上に設置し、このとき、案内ウィング1056がリテーナプレート808,810の上に位置づけられるようにする。補綴装置の前端(後方端)を準備の整った椎間腔内に挿入する。この時点で、リテーナ800を若干圧縮して、終板を固定しやすいようにする。挿入器1050をハンマまたはマレット(図示せず)で軽く叩き、補綴装置をさらに椎間腔の中に打ち込む。補綴装置を挿入する際、先頭にある食い込み歯部130が脊骨終板に侵入路を刻み、より大きな第二の歯131がこの侵入路を広げる。リテーナによって圧縮と伸延を必要に応じて調整し、歯130,131が椎骨終板に確実に埋植されるようにする。インプラントが適正に設置されたところで、挿入器のハンドル1052をひねり、挿入器のアーム1080、1082をインプラントから外す。リテーナ800とピン762,764を抜去し、必要に応じて、蛍光透視法によって最終的なインプラントの埋植状態を確認する。
【0115】
必要に応じて、タンプを用いて、インプラントが十分に着座されるように微調整してもよい。図40Aはタンプ1100の図であり、これはハンドル1102、シャフト1104、タンプヘッド1106を有する。図40Bは、タンプヘッド1106の拡大図であり、これは本体1108と遠位湾曲縁辺1110を有し、そこからタブ1112が突出している。本体1108は、より広い上側部と、テーパのついた狭い下側部を有していてもよい。テーパをつけたことと、上側部をより広くしたことは、タンプおよび/または補綴装置が椎間腔内に深く押し込まれすぎないようにするためのブロッキング要素として機能する。湾曲縁辺1110は、終板102,104の前端112,152の形状を補完する形状である。図41に見られるように、タブ1112は終板のポケット144,174と嵌合する形状である。タンプ1100は、タブ1112がポケットの中に入った状態で、終板102,104の前端に取り付け、終板が相互に関して正しいアラインメント状態になるようにし、タンプをハンマまたはマレット(図示せず)で叩き、椎体に終板102,104を正しく着座させてもよい。その他の実施形態では、各終板を別々に着座させるように構成される単独終板用タンプを用いてもよい。補綴装置の正しい埋設とアラインメントを確認することによって、患者は最適な可動範囲を得ることができる。インプラントが所望の位置に埋設され、これが蛍光透視法で確認されたら、すべての器具を抜去し、手術部位を閉じる。
【0116】
本明細書で紹介した各インプラントは、記載されたものと同じまたはその後の手順で改変、抜去してもよい。インプラントを再置換または抜去するには、患者は再び中立姿勢をとり、前方到達法で脊椎の標的椎間板レベルを露出させる。任意で、調節可能リテーナ800とピン、または伸延器具を使って、椎体を伸延させてもよい。図42は抜去前のインプラント100を握持している抜除ツール1150を示している。図43は、インプラント100を握持している抜去ツール1150の遠位端を示す。図44は、抜去ツール1150の遠位端の拡大図である。
【0117】
図42を参照すると、抜去ツール1150は、第一のレバー1152と第二のレバー1154を有し、これらは近位端においてラチェット機構1156により連結され、遠位端においてリベット1158により結合されている。一対の板ばね1160,1161は、インプラントを把持する際にレバーが相互に噛み合うときの抵抗となる。図43,44を参照すると、第一のレバー1152の遠位端には、最遠端に陥凹部1164を有する本体1162がある。2つのプロング1166,1168は相互に反対側から陥凹部を取り囲み、プロングの先端1170,1172が相互に対向するが、接触しないようになっている。先端1170,1172は、上位終板102の前方保持部材140の蟻継ぎ式内縁142と嵌合するように傾斜している(図3に見られる)。第二のレバー1154の遠位端には、ウェッジまたはチゼルポイント1178を有する本体1176がある。本体の内側において、リップ1180とフィレット1182が本体全体にわたって延びる。
【0118】
抜去ツール1150は、ラチェット機構を解除して、レバー1152,1154をその近位端において切り離すことにより開放され、リベット1158の周辺で回転する遠位端も離れる。第一のレバー1152の本体1162は、上位終板102の前方保持部材140が陥凹部1164の中に嵌り、プロング1166,1168が部材140とプロング先端1170,1172が蟻継ぎ式内縁142と結合する状態で、インプラントと係合する。第二のレバー1154のウェッジポイント1178が、上位終板102と椎体2の間に打ち込まれ、これをこじ開けて離間させる。あるいは、ウェッジポイント1178を、本体1162が上位終板102と係合する前またはこれと同時に利用してもよい。抜去ツールは、レバーを相互に噛み合わせることによって閉じ、本体1162,1176が相互に向かって移動し、上位終板102の前端112の周囲を挟む。終板102はしっかりと把持されるが、これは部材140が陥凹部1164に嵌まり込み、フィレット1182が終板の上位前端周辺にフィットしているからである。上位終板102は椎間腔から前方に引き出され、核と下側終板も、インプラントのコンポーネントと緊密に重複しているため、上位終板と一緒に引き出される。上位終板102が前方に引き出されると、その側方運動停止手段134,135が核106のノッチ300,302と係合し、核のポケット310が下位終板104のポスト180と係合するため、核と下位終板が上位終端板と一緒に引き出される。インプラントを抜去した後に、交換用の補綴装置を埋植してもよく、あるいは補綴装置を固定装置その他のシステムと置換してもよい。
【0119】
あるいは、抜去ツールを180°回転させて、終板の上位運動停止手段170が第一のレバー1152の陥凹部1164と嵌合し、またウェッジポイント1178が下位終板104と椎体4の間に挿入された状態で、下側終板104を把持してもよい。また別のケースとして、核がない、または補綴装置が伸びて、コンポーネントが近接していない場合には、各終板102,104を個々に取り外してもよい。
【0120】
本発明は、その精神または本質的特徴から逸脱することなく、上記以外の具体的な形態で実施することができる。たとえば、上では人工椎間板補綴装置の各種の例を紹介した。上記の例の各種の特徴を混合し、適合させて、さまざまな他の変形例を作ることができることが理解され、それぞれが異なる担持表面構成または本発明による好ましい相対的方位を有していてもよい。したがって、上記の実施形態は、すべての点において例として捉えられるべきであり、制限するものとはみなされない。したがって、本発明の範囲は上記の説明ではなく付属の特許請求範囲により示される。特許請求範囲の意味と同等性の範囲内のすべての変更は、その範囲内に包含されるものである。
【0121】
本発明とその利点を詳細に説明したが、付属の特許請求範囲により定義される本発明の精神と範囲から逸脱することなく、各種変更、置換え、改変を行うことができると理解すべきである。さらに、本願の範囲は、明細書に記載された事柄、手段、方法、ステップのプロセス、機械、製造、合成の特定の実施例に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示内容から、既存の、また今後開発される、本明細書で説明した相応の実施形態と略同じ機能を果たし、略同じ結果を実現する事柄、手段、方法またはステップのプロセス、機械、製造、合成は、本発明に従って利用できると容易に理解するであろう。したがって、付属の特許請求範囲は、上記のような事柄、手段、方法またはステップのプロセス、機械、製造、合成をその範囲内に含めるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板補綴装置であって、
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、さらに第一の関節面を有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、さらに第二の関節面を有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板の間に設置されて、前記第一と第二の終板とは別に形成される核であって、前記第一または第二の関節面の一方と協働して、前記第二の終板に関する前記第一の終板の内側/外側軸を中心とした好ましい方位を提供するような第一の方位付け機能手段を有する核と、
を備え、
前記核はさらに、前記第一または第二の関節面の一方と協働し、前記第二の終板に関する前記第一の終板の前方/後方軸を中心とした好ましい方位を提供することを特徴とする椎間板補綴装置。
【請求項2】
前記核は、
前記第一の関節面と関節接合して、前記第一の方位付け機能手段を有する第三の関節面と、
前記第二の関節面と関節接合し、前記第二の関節面と協働して、前記第二の終板に関する前記第一の終板の好ましい側方方位を提供する第二の方位付け機能手段を有する第四の関節面と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項3】
前記第一と第二の関節面の各々は、略全体が平面であることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項4】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第三の関節面は前記第一の関節面と関節接合し、
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の前記第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備えることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項5】
前記核は、前記第二の関節面と関節接合する第四の関節面をさらに備え、
前記第二の方位付け機能手段は前記第四の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備えることを特徴とする請求項4に記載の椎間板補綴装置。
【請求項6】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第三の関節面は前記第一の関節面と関節接合し、
前記第一の方位付け機能手段は、円筒の一部からなることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項7】
前記核は、前記第二の関節面と関節接合する第四の関節面をさらに有し、
前記第二の方位付け機能手段は前記第二の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第二の関節面の前記第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備え、
前記第二の方位付け機能手段は、前記第一の方位付け機能手段に垂直であることを特徴とする請求項6に記載の椎間板補綴装置。
【請求項8】
前記第一の終板は、前記第一の骨係合面から突出して骨の中に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備え、
前記第二の終板は、前記第二の骨係合面から突出して骨の中に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項9】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各関節面に突出する円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状の、テーパの付けられたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパのつけられたスロットと関節接合して、前記核が前記頭側/尾側軸を中心として相対的に回転し、前記核が前記終板の前方−後方軸を中心として相対的に回転できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項10】
前記第一の終板、前記第二の終板、または前記核は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔の中に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸、または前記第一と第二の椎体の前方/後方軸のいずれかを中心とした前記第一の終板と前記第二の終板の可動範囲を制限する少なくとも1つの停止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項11】
前記第一の方位付け機能手段は少なくとも2つの平面部分を有し、前記平面部分は前記平面部分の間に鋭角を画定する曲率移行表面部によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項12】
人工椎間板補綴装置であって、
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、第一の関節面をさらに有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、第二の関節面をさらに有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核であって、第三の関節面と第四の関節面を有する核と、
を備え、
前記第一と第三の関節面は協働して、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした回転のためのニュートラルな好ましい方位を有する第一の関節接合部を画定し、
前記第二と第四の関節面は協働して、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のためのニュートラルな好ましい方位を有する第二の関節接合部を画定する
ことを特徴とする人工椎間板補綴装置。
【請求項13】
前記第三の関節面は前記核の頭側に位置付けられ、前記第四の関節面は前記核の尾側に位置付けられることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項14】
前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第一の停止要素と、
前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第二の停止要素と、
前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限する第三の停止要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項15】
前記第一と第二の関節面の各々は略全体に平面であることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項16】
前記第三の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第一の平坦部は、前記第一の関節面と協働して、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のための好ましい方位に前記第一の関節接合部を留まらせることを特徴とする請求項15に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項17】
前記第四の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に連続して位置付けられた第二の平坦部を有し、
前記第二の平坦部は、前記第二の関節面と協働して、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のための好ましい方位に前記第二の関節接合部を留まらせることを特徴とする請求項16に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項18】
前記第一の関節接合部は、第一の曲率半径を有する第一の湾曲面を有し、
前記第二の関節接合部は、第二の曲率半径を有する第二の湾曲面を有し、
前記第一の曲率半径は前記第二の曲率は権威と等しくないことを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項19】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する略円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパの付けられたスロットと関節接合し、前記頭側/尾側軸を中心とした前記終板の相対的回転し、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転を可能にすることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項20】
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、略全体に平面である第一の関節面を有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、略全体に平面である第二の関節面を有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板とは別に形成されて、第三と第四の関節面を有する核と、
を備え、
前記核は、前記第三の関節面が前記第一の関節面と関節接合し、前記第四の関節面が前記第二の関節面と関節接合するように、前記第一と第二の終板の間に配置されることを特徴とする椎間板補綴装置。
【請求項21】
前記第三の関節面は少なくとも2つの平坦部を有し、
前記平坦部は、前記平坦部の間に鋭角を画定する曲率移行部によって接続されることを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項22】
前記第三の関節面は第三の平面部をさらに有し、
各平坦部は、他の平坦部と同一平面ではなく、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の矢状面を通って延びることを特徴とする請求項21に記載の椎間板補綴装置。
【請求項23】
前記第四の関節面は第一、第二および第三の平坦部を有し、
各平坦部は、他の平坦部と同一平面ではなく、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の冠状面を通って延びることを特徴とする請求項21に記載の椎間板補綴装置。
【請求項24】
前記第一の終板は、前記第一の骨係合面から突出して骨に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備え、
前記第二の終板は、前記第二の骨係合面から突出して骨に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備えること特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項25】
前記第一と第二の骨係合面の少なくとも一方は、骨の内部成長または表面付着を可能にする多孔面または粗い面を有することを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項26】
前記第一と第二の終端板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通じて突出する円筒形ポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付いたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパの付いたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記終板の相対的回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転を可能にすることを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項27】
前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第一の停止要素と、
前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第二の停止要素と、
前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限する第三の停止要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項28】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植する方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は第一の関節面をさらに備える、ステップと、
第二の終板の第一の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は第二の関節面をさらに備える、ステップと、
前記第一の終板の周囲に前記第二の終板に関する好ましい方位を、前記第一と第二の終板の間に核を位置付けることによって確立するステップであって、前記核は、前記核の第一の方位付け機能手段が前記第一と第二の関節面の一方と協働して、前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位が確立されるように、前記第一と第二の終板とは別に形成される、ステップと、
を含み、
前記核を前記第一と第二の終板の間に位置付けるステップは、前記第二の終板に関する前記第一の終板の前方/後方軸を中心とした好ましい方位を確立するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記核の前記第三の関節面を前記第一の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含み、
前記第三の関節面は前記第一の方位付け機能手段を備え、
前記第二の終板に関する前記第一の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、第四の関節面を前記第二の関節面と関節接合するように位置付けて、前記第四の関節面の第二の方位付け機能手段が前記第二の関節面と協働するようにするステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第一と第二の関節面は略全体に平面であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第三の関節面を前記第一の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記核は、前記第二の方位付け機能手段を有する第四の関節面をさらに有し、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第四の関節面を前記第二の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第一の方位付け機能手段は前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第一の方位付け機能手段は円筒形の一部を含み、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第三の関節面を前記第一の関節面と係合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第二の方位付け機能手段は前記第二の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第二の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の方位付け機能手段は、前記第一の方位付け機能手段に対して垂直であり、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第四の関節面を前記第二の関節面に関節接合させるように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第一の骨係合面を前記第一の椎体に固定するステップは、前記第一の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含み、
前記第二の骨係合面を前記第二の椎体に固定するステップは、前記第二の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する略円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受ける形状のテーパの付いたスロットを有し、
前記核を前記第一と第二の終板の間に位置付けるステップは、前記ポストが前記テーパの付いたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側−外側軸を中心とした前記核の相対的運動と、を可能にするように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の終板、前記第二の終板、または前記核は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸、または前記第一と第二の椎体の前方/後方軸野の内の一方を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する少なくとも1つの停止要素を備えることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも2つの平坦表面部を有し、前記平坦表面部は、前記平坦表面部の間に鋭角を画定する曲率移行表面部によって接続されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項39】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植するための方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は第一の関節面をさらに備える、ステップと、
第二の終板の第一の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は第二の関節面をさらに備える、ステップと、
前記第一の関節面と協働して、前記第一と第二の椎体の前方後方軸を中心とした回転のためのニュートラルの好ましい方位を有する第一の関節接合部を画定するように、核の第三の関節面を位置付けるステップと、
前記第二の関節面と協働して、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のためのニュートラルの好ましい方位を有する第二の関節接合部を画定するように、前記核の第四の関節面を位置付けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記第三の関節面を位置付けるステップは、前記核を、前記第三の関節面前記核の頭側の面にあるように位置付けるステップをさらに含み、
第四の関節面を位置付けるステップは、前記核を、前記第四の関節面が前記核の尾側の面にあるように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第一の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第二の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第三の停止要素は、前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限することを特徴とする請求項39に記載の方法
【請求項42】
前記第一と第二の関節面の各々が椎間腔内にあることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記第三の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第三の関節面を位置付けるステップは、前記第一の関節面と協働して、前記第一の関節接合部を前記第一と第二の椎体の前記内側/外側軸を中心とした回転のための前記好ましい方位に留まらせるように、前記第一の平坦部を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第四の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第二の平坦部を有し、
前記第四の関節面を位置付けるステップは、前記第二の関節面と協働して、前記第二の関節接合部を前記第一と第二の椎体の前記前方/後方軸を中心とした回転のための前記好ましい方位に留まらせるように、前記第二の平坦部を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第一の関節接合部は、第一の曲率半径の第一の湾曲面を有し、
第二の関節接合部は、第二の曲率半径の第二の湾曲面を有し、
前記第一の曲率半径は、前記第二の曲率半径と等しくないことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記方法は、前記ポストが前記テーパのつけられたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の相対的回転と、前記終板の前方/後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転と、を可能にするように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項47】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植するための方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は略全体に平面である第一の関節面を有する、ステップと、
第二の終板の第二の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は略全体に平面である第二の関節面を有する、ステップと、
前記核の第三の関節面が前記第一の関節面と関節接合し、前記核の第四の関節面が前記第二の関節面と関節接合するように、前記第一と第二の終板の間に核を位置付けるステップであって、前記核が前記第一と第二の終板とは別に形成される、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記第三の関節面は、少なくとも2つの平面部を有し、前記平面部は、前記平面部の間に鋭角を画定する曲率移行部によって接続されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第三の関節面は、第三の平面部をさらに有し、
各平面部は、前記その他の平面部と同一平面ではなく、
前記核を位置付けるステップは、前記第三の関節面の各平坦部が前記第一と第二の椎体の矢状面を通って延びるように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第四の関節面は、第一、第二および第三の平坦部を有し、
各平坦部は、前記その他の平面部と同一平面ではなく、
前記核を位置付けるステップは、前記第四の関節面の各平坦部が、前記第一と第二の椎体の冠状面を通って延びるように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第一の骨係合面を前記第一の椎体に固定するステップは、前記第一の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に侵入させるステップをさらに含み、
前記第二の骨係合面を前記第二の椎体に固定するステップは、前記第二の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通じて突出する円筒形ポストを有し、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記核を位置付けるステップは、前記ポストを、前記テーパの付いたスロットと関節接合させて、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の相対的回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転と、を可能にするように位置付けるステップを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項53】
第一の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成されて、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第二の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成されて、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第三の停止要素は、前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出して、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限することを特徴とする請求項47に記載の方法
【請求項54】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換するためのシステムであって、
ヘッド部を有するガイドツールであって、前記ヘッド部は、第一の開放端と第二の開放端と、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第一の壁と、前記第一の壁に平行で前記第一の壁から離れている第二の壁であって、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第二の壁と、前記ヘッド部を前記第一と第二の椎体の中央正中軸に平行に方位付けやすくするように動作する第一の基準機能手段と、前記ヘッド位置を前記中央正中軸に平行な予備方位から前記中央正中軸に平行で前記第一と第二の椎体の冠状面に垂直な好ましい方位に方位付けやすくするように動作する第二の基準機能手段と、を備えるガイドツールと、
前記第一の開放端と前記第二の開放端の中に挿入可能な第一の遠位端を有する第一のガイドピンであって、前記第一のガイドピンが前記ヘッド部の中にあるときに、前記第一の遠位端を前記第一の椎体の中に埋植可能であるような第一のガイドピンと、
前記第一の開放端と前記第二の開放端の中に挿入可能な第二の遠位端を有する第二のガイドピンであって、前記第一と第二のガイドピンが前記ヘッド部の中にあるとき、前記第二の遠位端を前記第二の椎体の中に、前記第二のガイドピンが前記第一のガイドピンと同一平面になるように埋植可能であるような第二のガイドピンと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
前記第一の基準機能手段は、前記冠状面に垂直な視点から見たとき、前記ヘッド位置が前記予備方位にあるときに、目に見えるように相互に一致する少なくとも2つの線形マーキングで構成されることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記第二の基準機能手段は、前記第一の壁の第一の穴と前記第二の壁の第二の穴で構成され、
前記第一と第二の穴は、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに相互に同心円的に見えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記第一と第二の遠位端がねじ山部を有することを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
リテーナをさらに備え、前記リテーナは、
前記第一のピンに取り付けられた第一の脚と、
前記第二のピンに取り付けられた第二の脚と、
前記第一の脚と前記第二の脚に連結されたラチェット機構と、
を備え、
前記ラチェット機構は、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を制御するように動作させることができることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
前記ラチェット機構は、歯止めを備え、前記歯止めは、
前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、
前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、
を有することを特徴とする請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記椎間腔に挿入可能な椎間板トライアルをさらに備え、
前記トライアルは、前記第一と第二のピンに連結して、前記トライアルを前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位にする位置合わせ部材を備え、
前記トライアルは、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するよう移動可能であることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項61】
椎間板補綴装置と、
前記椎間板補綴装置を解放自在に把持できる椎間板補綴装置挿入器と、
をさらに備え、
前記挿入器は、前記第一と第二のピンに連結して、前記補綴装置を前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させることができる位置合わせ部材を備えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項62】
補綴装置嵌合機能手段を備える椎間板補綴装置と、
前記椎間板補綴装置と係合可能な遠位ヘッドを有するタンプと、
をさらに備え、
前記遠位ヘッドは、前記補綴装置嵌合機能手段と同軸的に結合可能なタンプ嵌合機能手段を有し、
前記タンプ嵌合機能手段は、前記遠位置ヘッドが正しい側方位置において前記椎間板補綴装置と係合するときにのみ、前記補綴装置嵌合機能手段と結合することを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項63】
第一の接合機能手段を有する第一の終板と、第二の接合機能手段を有する第二の終位置と、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核と、を備える椎間板補綴装置と、
前記第一と第二の終板のいずれかを解放自在に把持することができる椎間板補綴装置抜去器と、
をさらに備え、
前記抜去器は、こじ開け用機能手段を有する第一のレバーと、前記第一と第二の接合機能手段のいずれかと結合する形状の抜去器接合機能手段を有する第二のレバーと、を有し、
前記第一と第二のレバーは、開位置と閉位置の間で回転可能であることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項64】
第一の椎体と第二の椎体の間の椎間腔内において椎間板を置換するシステムであって、
前記第一の椎体に固定可能な第一のガイドピンと、
前記第二の椎体に固定可能な第二のガイドピンと、
第一の脚、第二の脚、および、前記第一の脚と前記第二の脚に接続可能なラチェット機構と、を備えるリテーナと、
を備え、
前記第一と第二の脚は、前記ガイドピンが前記椎体に固定されたときに、それぞれ前記第一と第二のガイドピンを受け、
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけでき、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項65】
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大または減少させることができる第三の設定位置をさらに有することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記ラチェット機構はピニオンをさらに備え、前記ピニオンを回転させると前記ラチェット機構が作動することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項67】
前記ラチェット機構は、歯止めと直接接触するプランジャをさらに備え、
前記歯止めは第一の歯と第二の歯を備え、
前記プランジャは、前記第一の歯止めの歯が前記プランジャによって押し下げられて、前記第一の設定位置が実現される第一の位置と、前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって押し下げられて、前記第二の設定位置が実現される第二の位置と、の間で切り替え可能であることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項68】
前記プランジャは、前記第一の歯と前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって等しく押し下げられて、第三の設定位置が実現される第三の位置に切り替えるステップを含み、これにより、前記第三の設定位置において、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大または減少させることができることを特徴とする請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記第一と第二の脚の少なくとも一方は、前記脚の角度が調整可能な第一の位置と、前記脚の角度がしっかりと固定される第二の位置と、の間で移動可能なカラーをさらに備えることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項70】
前記リテーナは、第一のロッキング部材をさらに備え、前記第一のロッキング部材を作動させると、前記第一の脚が前記第一のガイドピンにロックされ、
前記リテーナは第二のロッキング部材をさらに備え、前記第二のロッキング部材を作動させると、前記第二の脚は前記第二のガイドピンにロックされることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項71】
前記椎間腔内に挿入可能なやすりをさらに備え、
前記やすりは、前記やすりを前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記やすりを、前記第一と第二の椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備えることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項72】
前記椎間腔内に挿入可能な椎間板トライアルをさらに備え、
前記トライアルは、前記トライアルを前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記トライアルを、前記椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備え、
前記トライアルは、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するように移動できることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項73】
椎間板補綴装置挿入器をさらに備え、
前記挿入器は、前記挿入器を前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記挿入器を、前記椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備え、
前記挿入器は、椎間板補綴装置を解放自在に把持することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項74】
前記椎間板補綴装置は、第一の終板と、第二の終板と、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核と、を備えることを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
やすり、かんな、刃、擦り砕き器(grater)、カッタ、感触器、トライアル、椎間板補綴装置挿入器からなるグループの中から選択される器具をさらに備え、
前記器具は、第一のウィングと第二のウィングを備える位置合わせ部材を有し、
前記第一と第二のウィングは相互に平行であり、前記第一と第二のウィングの間に第一の空間を画定して、前記第一の空間が前記第一の脚をスライド自在に受けるようにし、また、前記第二の脚をスライド自在に受けることができる第二の空間を画定することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項76】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を交換するシステムであって、
前記椎間腔内に挿入可能なトライアルを備え、前記トライアルは、
第一の板に接続される第一のレバーと、
第二の板に接続される第二のレバーと、
前記第一のレバーを前記第二のレバーに連結するピボットと、
を備え、
前記第一と第二のレバーの少なくとも一方は、前記第一と第二の板を前記ピホットの周囲で移動させて、前記トライアルが前記椎間腔内にあるときに、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を変更するように作動させることができることを特徴とするシステム。
【請求項77】
前記トライアルは、前記トライアルが前記椎間腔内にあるときに、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を示す基準機能手段をさらに備えることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項78】
前記角度は、0°、3°、6°からなるグループの中が選択されることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項79】
前記トライアルは、前記第一のレバーを前記第二のレバーに接続して、前記第一の板と前記第二の板との間の角度を保持するラチェット機構をさらに備えることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項80】
第一の椎体と第二の椎体の間の椎間腔内において椎間板を置換するシステムであって、
椎間板補綴装置挿入器の上に取り付け可能な椎間板補綴装置であって、第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段を有する第一の終板と、第二の蟻継ぎ式嵌合機能手段を有する第二の終板と、を備える椎間板補綴装置を備え、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置をしっかりと把持し、前記挿入器は第一のアームと第二のアームを備え、
前記第一と第二のアームは、開位置と閉位置の間で移動可能であり、
前記第一と第二のアームの各々は、前記第一と第二の蟻継ぎ式嵌合機能手段の両方と結合可能な表面を有することを特徴とするシステム。
【請求項81】
前記椎間板補綴装置は、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核をさらに有することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記椎間板補綴装置挿入器は、第一の端と第二の端を有するロッドをさらに備え、
前記第二の端は前記第一と第二のアームに係合し、
前記第一の端は、前記第一と第二のアームを、前記開位置から前記閉位置の間で移動させるように動作できることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項83】
前記ロッドは、前記アームが前記開位置にある第一の遠位側位置と、前記アームが前記閉位置にある第二の近位側位置と、の間で長さ方向に移動可能であることを特徴とする請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記アームが前記閉位置にあって、前記補綴装置が前記挿入器に取り付けられているときに、前記椎間板補綴装置をしっかりと把持することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項85】
前記第一の終板は、骨係合面と、前記第一の終板の、前記骨係合側と反対側にある関節面と、をさらに有し、
前記第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段は前記関節面に配置されていることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項86】
前記関節面に形成された保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段を形成する、傾斜した内縁を有することを特徴とする請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記椎間板補綴装置挿入器に形成された挿入器嵌合機能手段と、
前記椎間板補綴装置に形成された補綴装置嵌合機能手段と、
を備え、
前記挿入器嵌合機能手段は、前記椎間板補綴装置が1つの位置において前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときにだけ、前記補綴装置嵌合機能手段と結合することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項88】
前記挿入器嵌合機能手段は、前記椎間板補綴物挿入器の遠位端に形成された第一の突起部と、前記椎間板補綴物挿入器の前記遠位端に形成された第一の突起部と、を備え、
前記第一の突起部は前記第二の突起部より大きく、
前記補綴装置嵌合機能手段は、前記第一の終板の前端に形成された第一の陥凹部と、前記第二の終板の前端に形成された第二の陥凹部と、を有し、
前記第一の陥凹部は前記第二の陥凹部より大きく、
前記第一の突起部は、前記第一の陥凹部の中に同軸的に嵌まり込むような形状であり、
前記第二の突起部は、前記第二の陥凹部の中に同軸的に嵌まり込むような形状であることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記第一の終板は、前記第一の終板の骨係合面に経緯された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記第二の終板は、前記第二の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置挿入器の前記残りの部分から遠位方向に延びる複数のプロングをさらに備え、
各プロングは、前記椎間板補綴装置が前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときに、少なくとも1つの歯と横方向に位置合わせされるように位置付けられることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項90】
前記第一と第二のアームの各々は開口部を有し、
前記開口部は、前記アームが前記閉位置にあって、前記椎間板補綴装置が前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときに相互に同軸的に位置合わせされ、
前記椎体に関する前記開口部の位置は、観察可能であって、前記椎間板補綴装置の深さを判断できることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項91】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
ガイドツールを前記椎間腔の範囲にわたるように位置付けるステップであって、前記ガイドツールはヘッド部を備え、前記ヘッド部は、第一の開放端と第二の開放端と、前記開放端から前記第二の開放端に延びる第一の壁と、前記第一の壁に平行で、これから離れている第二の壁であって、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第二の壁と、第一の基準機能手段と第二の基準機能手段と、を有する、ステップと、
前記第一の基準機能手段を観察して、前記第一と第二の椎体の中央正中軸に関する前記ヘッド部の方位を判断するステップと、
前記ヘッド部を前記中央正中軸に平行な予備方位に調節するステップと、
前記第二の基準機能手段を観察して、前記第一と第二の椎体の冠状面に関する前記ヘッド部の方位を判断するステップと、
前記ヘッド部を、前記中央正中軸に平行で、前記冠状面に垂直な好ましい方位に調節するステップと、
前記第一と第二の開放端から第一のガイドピンの第一の遠位端を通すステップと、
前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端を前記第一の椎体に埋植するステップと、
前記第一と第二の開放端から第二のガイドピンの第二の遠位端を通すステップと、
前記第二のガイドピンの前記第二の遠位端を、前記第二のガイドピンが前記第一のガイドピンと同一平面となるように前記第二の椎体に埋植するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端が前記第一の椎体内に埋植されたときに、前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端が前記椎間腔に平衡となるように、前記第一のガイドピンを位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記第一の基準機能手段は、前記冠状面に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記予備方位にあるとき、相互に関して一致するのが見える少なくとも2つの線状マーキングを備え、
前記ヘッド部を前記予備方位に調節するステップは、前記冠状面に垂直な視点から見たときに、前記線形マーキングが相互に関して一致するのが見えるようになるまで、前記ヘッド部を位置付けるステップを含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記第二の基準機能手段は、前記第一の壁の第一の穴と、前記第二の壁の第二の穴と、を備え、前記第一と第二の穴は、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに相互に同心円状に見え、
前記ヘッド部を前記好ましい方位に調節するステップは、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記第一と第二の穴が相互に同心円状に見えるようになるまで、前記ヘッド部を方向付けるステップを含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに、前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端を前記第一の椎体に埋植するステップをさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項96】
リテーナの第一の脚を前記第一のガイドピンに取り付けるステップと、
前記リテーナの第二の脚を前記第二のガイドピンに取り付けるステップと、
をさらに含み、
前記リテーナは、前記第一の脚と前記第二の脚に接続されたラチェット機構を備え、前記ラチェット機構は、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を制御するように動作できることを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記ラチェット機構は、歯止めをさらに備え、
前記歯止めは、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体との間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体との間を圧縮させる第二の設定位置と、を有し、
前記歯止めを前記第一の設定位置に移動させるステップと、
前記ラチェット機構を作動させて、前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記歯止めを前記第二の設定位置に移動させるステップと、
前記ラチェット機構を作動させて、前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の前記距離を増大または減少させることができる第三の設定位置を有することを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項100】
椎間板補綴装置トライアルを前記椎間腔の中に挿入するステップであって、前記トライアルは、前記第一と第二のピンに接続されて、前記トライアルを前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させる位置合わせ部材を備えるステップと、
前記トライアルを移動させて、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項91に記載方法。
【請求項101】
椎間板補綴装置を把持する椎間板補綴装置挿入器を前記椎間腔内に進めるステップであって、前記挿入器は、前記第一と第二のピンに接続されて、前記補綴装置を前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させるための位置合わせ部材を備える、ステップと、
前記挿入器を作動させて、前記椎間板補綴装置を解放するステップと、
前記挿入器を前記椎間腔から引き抜くステップと、
をさらに含み、
前記椎間板補綴装置は前記椎間腔内に留まることを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項102】
前記第一と第二の椎体の矢状面正中線の上に少なくとも1つの基準マークを表示するステップと、
前記第一の基準機能手段を前記基準マークと位置合わせするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項103】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
第一のガイドピンを前記第一の椎体に固定するステップと、
第二のガイドピンを前記第二の椎体に固定するステップと、
リテーナの第一の脚を前記第一のガイドピンに取り付けるステップと、
前記リテーナの第二の脚を前記第二のガイドピンに取り付けるステップと、
を含み、
前記リテーナは、前記第一の脚と前記第二の脚に接続されたラチェット機構をさらに備え、
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンとの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、を有することを特徴とする方法。
【請求項104】
ピニオンを回転させて、前記ラチェット機構を作動させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ラチェット機構のプランジャを第一または第二の位置のいずれかに切り換えるステップをさらに含み、
前記プランジャは歯止めと直接接触しており、
前記歯止めは第一の歯と第二の歯を備え、
前記第一の位置において、前記第一の歯止めの歯は前記プランジャによって押し下げられて前記第一の設定位置を実現し、
前記第二の位置において、前記第二の歯止めの歯は前記プランジャによって押し下げられて前記第二の設定位置を実現することを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記プランジャを、前記第一の歯と前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって等しく押し下げられて前記第三設定位置が実現する第三の位置に切り換えるステップをさらに含み、これによって前記第三の設定位置において、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンとの間の距離を増大または減少させることができることを特徴とする請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第一と第二の脚の少なくとも一方の上のカラーを、前記脚の角度を調整できる第一の位置にスライドさせるステップと、
前記脚の角度を調整するステップと、
前記カラーを、前記脚の角度がしっかりと固定される第二の位置にスライドさせるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記リテーナの第一のロッキング部材を作動させて、前記第一の脚を前記第一のガイドピンにロックするステップと、
前記リテーナの第二のロッキング部材を作動させて、前記第二の脚を前記第二のガイドピンにロックするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項109】
やすりの位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記やすりを前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含み、
前記位置合わせ部材は、前記やすりを、前記第一と第二の椎体の矢状面に関して好ましい方位に移動させることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項110】
椎間板トライアルの位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記椎間板トライアルを前記椎間腔内に挿入するステップであって、前記位置合わせ部材は、前記トライアルを前記椎体の矢状面に関して好ましい方位に移動させる、ステップと、
前記椎間板トライアルを移動させて、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項111】
椎間板補綴装置を椎間板補綴装置挿入器に取り付けるステップと、
前記椎間板補綴装置挿入器の位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記椎間板補綴装置挿入器を前記椎間腔内に進め、これによって前記椎間板補綴装置を前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含み、
前記位置合わせ部材は、前記椎間板補綴装置を前記椎体の矢状面に関する好ましい方位に移動させることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項112】
やすり、かんな、刃、擦り砕き器、カッタ、感触器、トライアル、椎間板補綴装置挿入器からなるグループの中から選択される器具を備え、前記器具は、第一のウィングと第二のウィングを備える位置合わせ部材を有し、前記第一と第二のウィングは、相互に平行であって、前記第一と第二のウィングの間に第一の空間を画定し、前記第一と第二のウィングの間に第二の空間を画定し、
前記第一の空間の中で前記第一の脚を受けるステップと、
前記第二の空間の中で前記第二の脚を受けるステップと、
前記器具を前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項113】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
椎間板トライアルを前記椎間腔内に挿入するステップであって、前記椎間板トライアルは、第一の板に接続された第一のレバーと、第二の板に接続された第二のレバーと、前記第一のレバーを前記第二のレバーを接続するピボットと、を備える、ステップと、
前記第一と第二のレバーの少なくとも一方を作動させて、前記第一と第二の板を前記ピボットの周囲で移動させ、前記椎間板トライアルが前記椎間腔内にある間に、前記第二の板に関する前記第一のプレートの角度を変更させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項114】
前記トライアルが前記椎間腔内にある間に、前記椎間板トライアルの基準機能手段を観察して、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を判断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記基準機能手段を観察するステップは、蛍光透視法を用いるステップを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記トライアルは前記第一のレバーを前記第一のレバーに接続するラチェット機構をさらに備え、
前記ラチェット機構を係合させて、前記第一の板と前記第二の板の間の角度を保持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項117】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
椎間板補綴装置を椎間板補綴装置挿入器の上に取り付けるステップであって、前記補綴手段は、第一の蟻継ぎ式接合機能手段を有する第一の終板と、第二の蟻継ぎ式接合機能手段を有する第二の終板と、を備え、前記挿入器は第一のアームと第二のアームを備え、前記第一と第二のアームは開位置と閉位置の間で移動可能であり、前記第一と第二のアームの各々は、前記第一と第二の蟻継ぎ式接合機能手段の両方と結合可能な表面を有する、ステップと、
前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に挿入されるように、前記椎間板補綴装置ホルダを前記椎間腔の中に進めるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項118】
前記椎間板補綴装置は、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核をさらに備えることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記椎間板補綴装置挿入のロッドの第一の端を作動させ、前記第一と第二のアームの前記傾斜表面が前記第一と第二の蟻継ぎ式接合機能手段の両方と結合するように、前記第一と第二のアームを前記閉位置に移動させるステップをさらに含み、前記ロッドは、前記第一と第二のアームと係合する第二の端を有し、
前記第一の端を作動させると、前記第二の端を長手方向に移動させることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記椎間板補綴装置に形成された挿入器嵌合機能手段を、前記椎間板補綴装置に形成された補綴装置嵌合機能手段に結合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記挿入器嵌合機能手段は、椎間板補綴装置の遠位端に形成された第一の突起部と、椎間板補綴装置の前記遠位端に形成された第二の突起部と、を備え、前記第一の突起部は前記第二の突起部より大きく、
前記補綴装置嵌合機能手段は、前記第一の終板の前端に形成された第一の陥凹部と、前記第二の終板の前端に形成された第二の陥凹部と、を備え、前記第一の陥凹部は前記第二の陥凹部より大きく、
前記挿入器嵌合機能手段を前記補綴装置嵌合機能手段に結合するステップは、前記第一の突起部を前記第一の陥凹部の中に同軸的に結合させるステップと、前記第二の突起部を前記第二の陥凹部の中に同軸的に結合させるステップと、を含むことを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記第一の終板は、前記第一の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、前記第二の終板は、前記第二の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置挿入器の残りの部分から遠位方向に延びる複数のプロングをさらに備え、
前記椎間板補綴装置を前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けるステップは、各プロングを前記少なくとも1つの歯と線形に位置合わせするステップを含むことを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記第一の終板を前記第二の終板に向かって好ましい方位へと圧縮するステップと、
前記第一と第二の終板が前記好ましい方位にある間に、前記第一と第二の終板を前記プロングの間でスライドさせるステップと、
前記第一と第二の終板を、前記第一と第二の終板が前記プロング間で前記好ましい方位に保持されるように解放するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項122に記載の方法。
【請求項1】
椎間板補綴装置であって、
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、さらに第一の関節面を有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、さらに第二の関節面を有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板の間に設置されて、前記第一と第二の終板とは別に形成される核であって、前記第一または第二の関節面の一方と協働して、前記第二の終板に関する前記第一の終板の内側/外側軸を中心とした好ましい方位を提供するような第一の方位付け機能手段を有する核と、
を備え、
前記核はさらに、前記第一または第二の関節面の一方と協働し、前記第二の終板に関する前記第一の終板の前方/後方軸を中心とした好ましい方位を提供することを特徴とする椎間板補綴装置。
【請求項2】
前記核は、
前記第一の関節面と関節接合して、前記第一の方位付け機能手段を有する第三の関節面と、
前記第二の関節面と関節接合し、前記第二の関節面と協働して、前記第二の終板に関する前記第一の終板の好ましい側方方位を提供する第二の方位付け機能手段を有する第四の関節面と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項3】
前記第一と第二の関節面の各々は、略全体が平面であることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項4】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第三の関節面は前記第一の関節面と関節接合し、
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の前記第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備えることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項5】
前記核は、前記第二の関節面と関節接合する第四の関節面をさらに備え、
前記第二の方位付け機能手段は前記第四の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備えることを特徴とする請求項4に記載の椎間板補綴装置。
【請求項6】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第三の関節面は前記第一の関節面と関節接合し、
前記第一の方位付け機能手段は、円筒の一部からなることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項7】
前記核は、前記第二の関節面と関節接合する第四の関節面をさらに有し、
前記第二の方位付け機能手段は前記第二の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第二の関節面の前記第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられる第一の平坦部を備え、
前記第二の方位付け機能手段は、前記第一の方位付け機能手段に垂直であることを特徴とする請求項6に記載の椎間板補綴装置。
【請求項8】
前記第一の終板は、前記第一の骨係合面から突出して骨の中に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備え、
前記第二の終板は、前記第二の骨係合面から突出して骨の中に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項9】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各関節面に突出する円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状の、テーパの付けられたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパのつけられたスロットと関節接合して、前記核が前記頭側/尾側軸を中心として相対的に回転し、前記核が前記終板の前方−後方軸を中心として相対的に回転できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項10】
前記第一の終板、前記第二の終板、または前記核は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔の中に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸、または前記第一と第二の椎体の前方/後方軸のいずれかを中心とした前記第一の終板と前記第二の終板の可動範囲を制限する少なくとも1つの停止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項11】
前記第一の方位付け機能手段は少なくとも2つの平面部分を有し、前記平面部分は前記平面部分の間に鋭角を画定する曲率移行表面部によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の椎間板補綴装置。
【請求項12】
人工椎間板補綴装置であって、
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、第一の関節面をさらに有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、第二の関節面をさらに有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核であって、第三の関節面と第四の関節面を有する核と、
を備え、
前記第一と第三の関節面は協働して、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした回転のためのニュートラルな好ましい方位を有する第一の関節接合部を画定し、
前記第二と第四の関節面は協働して、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のためのニュートラルな好ましい方位を有する第二の関節接合部を画定する
ことを特徴とする人工椎間板補綴装置。
【請求項13】
前記第三の関節面は前記核の頭側に位置付けられ、前記第四の関節面は前記核の尾側に位置付けられることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項14】
前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第一の停止要素と、
前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第二の停止要素と、
前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限する第三の停止要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項15】
前記第一と第二の関節面の各々は略全体に平面であることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項16】
前記第三の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第一の平坦部は、前記第一の関節面と協働して、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のための好ましい方位に前記第一の関節接合部を留まらせることを特徴とする請求項15に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項17】
前記第四の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に連続して位置付けられた第二の平坦部を有し、
前記第二の平坦部は、前記第二の関節面と協働して、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のための好ましい方位に前記第二の関節接合部を留まらせることを特徴とする請求項16に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項18】
前記第一の関節接合部は、第一の曲率半径を有する第一の湾曲面を有し、
前記第二の関節接合部は、第二の曲率半径を有する第二の湾曲面を有し、
前記第一の曲率半径は前記第二の曲率は権威と等しくないことを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項19】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する略円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパの付けられたスロットと関節接合し、前記頭側/尾側軸を中心とした前記終板の相対的回転し、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転を可能にすることを特徴とする請求項12に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項20】
第一の椎体に固定可能な第一の骨係合面を有する第一の終板であって、略全体に平面である第一の関節面を有する第一の終板と、
第二の椎体に固定可能な第二の骨係合面を有する第二の終板であって、略全体に平面である第二の関節面を有する第二の終板と、
前記第一と第二の終板とは別に形成されて、第三と第四の関節面を有する核と、
を備え、
前記核は、前記第三の関節面が前記第一の関節面と関節接合し、前記第四の関節面が前記第二の関節面と関節接合するように、前記第一と第二の終板の間に配置されることを特徴とする椎間板補綴装置。
【請求項21】
前記第三の関節面は少なくとも2つの平坦部を有し、
前記平坦部は、前記平坦部の間に鋭角を画定する曲率移行部によって接続されることを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項22】
前記第三の関節面は第三の平面部をさらに有し、
各平坦部は、他の平坦部と同一平面ではなく、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の矢状面を通って延びることを特徴とする請求項21に記載の椎間板補綴装置。
【請求項23】
前記第四の関節面は第一、第二および第三の平坦部を有し、
各平坦部は、他の平坦部と同一平面ではなく、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の冠状面を通って延びることを特徴とする請求項21に記載の椎間板補綴装置。
【請求項24】
前記第一の終板は、前記第一の骨係合面から突出して骨に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備え、
前記第二の終板は、前記第二の骨係合面から突出して骨に侵入する少なくとも1つの骨係合機能手段を備えること特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項25】
前記第一と第二の骨係合面の少なくとも一方は、骨の内部成長または表面付着を可能にする多孔面または粗い面を有することを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項26】
前記第一と第二の終端板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通じて突出する円筒形ポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付いたスロットを有し、
前記ポストは前記テーパの付いたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記終板の相対的回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転を可能にすることを特徴とする請求項20に記載の椎間板補綴装置。
【請求項27】
前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第一の停止要素と、
前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する第二の停止要素と、
前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限する第三の停止要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の人工椎間板補綴装置。
【請求項28】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植する方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は第一の関節面をさらに備える、ステップと、
第二の終板の第一の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は第二の関節面をさらに備える、ステップと、
前記第一の終板の周囲に前記第二の終板に関する好ましい方位を、前記第一と第二の終板の間に核を位置付けることによって確立するステップであって、前記核は、前記核の第一の方位付け機能手段が前記第一と第二の関節面の一方と協働して、前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位が確立されるように、前記第一と第二の終板とは別に形成される、ステップと、
を含み、
前記核を前記第一と第二の終板の間に位置付けるステップは、前記第二の終板に関する前記第一の終板の前方/後方軸を中心とした好ましい方位を確立するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記核の前記第三の関節面を前記第一の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含み、
前記第三の関節面は前記第一の方位付け機能手段を備え、
前記第二の終板に関する前記第一の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、第四の関節面を前記第二の関節面と関節接合するように位置付けて、前記第四の関節面の第二の方位付け機能手段が前記第二の関節面と協働するようにするステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第一と第二の関節面は略全体に平面であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の方位付け機能手段は、前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/外側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第三の関節面を前記第一の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記核は、前記第二の方位付け機能手段を有する第四の関節面をさらに有し、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第四の関節面を前記第二の関節面と関節接合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第一の方位付け機能手段は前記核の第三の関節面の一部であり、
前記第一の方位付け機能手段は円筒形の一部を含み、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記内側/側軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第三の関節面を前記第一の関節面と係合するように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第二の方位付け機能手段は前記第二の関節面の一部であり、
前記第二の方位付け機能手段は、少なくとも1つの断面において、前記第二の関節面の第一と第二の曲面部の間に、これらと連続して位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第二の方位付け機能手段は、前記第一の方位付け機能手段に対して垂直であり、
前記第二の終板に関する前記第一の終板の前記前方/後方軸を中心とした前記好ましい方位を確立するステップは、前記第四の関節面を前記第二の関節面に関節接合させるように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第一の骨係合面を前記第一の椎体に固定するステップは、前記第一の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含み、
前記第二の骨係合面を前記第二の椎体に固定するステップは、前記第二の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する略円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受ける形状のテーパの付いたスロットを有し、
前記核を前記第一と第二の終板の間に位置付けるステップは、前記ポストが前記テーパの付いたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側−外側軸を中心とした前記核の相対的運動と、を可能にするように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記第一の終板、前記第二の終板、または前記核は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸、または前記第一と第二の椎体の前方/後方軸野の内の一方を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限する少なくとも1つの停止要素を備えることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第一の方位付け機能手段は、少なくとも2つの平坦表面部を有し、前記平坦表面部は、前記平坦表面部の間に鋭角を画定する曲率移行表面部によって接続されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項39】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植するための方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は第一の関節面をさらに備える、ステップと、
第二の終板の第一の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は第二の関節面をさらに備える、ステップと、
前記第一の関節面と協働して、前記第一と第二の椎体の前方後方軸を中心とした回転のためのニュートラルの好ましい方位を有する第一の関節接合部を画定するように、核の第三の関節面を位置付けるステップと、
前記第二の関節面と協働して、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした回転のためのニュートラルの好ましい方位を有する第二の関節接合部を画定するように、前記核の第四の関節面を位置付けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記第三の関節面を位置付けるステップは、前記核を、前記第三の関節面前記核の頭側の面にあるように位置付けるステップをさらに含み、
第四の関節面を位置付けるステップは、前記核を、前記第四の関節面が前記核の尾側の面にあるように位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第一の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第二の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板および前記核のいずれかに形成され、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第三の停止要素は、前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出し、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限することを特徴とする請求項39に記載の方法
【請求項42】
前記第一と第二の関節面の各々が椎間腔内にあることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記第三の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第三の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第一の平坦部を有し、
前記第三の関節面を位置付けるステップは、前記第一の関節面と協働して、前記第一の関節接合部を前記第一と第二の椎体の前記内側/外側軸を中心とした回転のための前記好ましい方位に留まらせるように、前記第一の平坦部を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第四の関節面は、少なくとも1つの断面において、前記第四の関節面の第一と第二の曲面部の間に連続的に位置付けられた第二の平坦部を有し、
前記第四の関節面を位置付けるステップは、前記第二の関節面と協働して、前記第二の関節接合部を前記第一と第二の椎体の前記前方/後方軸を中心とした回転のための前記好ましい方位に留まらせるように、前記第二の平坦部を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第一の関節接合部は、第一の曲率半径の第一の湾曲面を有し、
第二の関節接合部は、第二の曲率半径の第二の湾曲面を有し、
前記第一の曲率半径は、前記第二の曲率半径と等しくないことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通って突出する円筒形のポストを備え、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記方法は、前記ポストが前記テーパのつけられたスロットと関節接合して、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の相対的回転と、前記終板の前方/後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転と、を可能にするように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項47】
脊椎の一部に椎間板補綴装置を埋植するための方法であって、
第一の終板の第一の骨係合面を第一の椎体に固定するステップであって、前記第一の終板は略全体に平面である第一の関節面を有する、ステップと、
第二の終板の第二の骨係合面を第二の椎体に固定するステップであって、前記第二の終板は略全体に平面である第二の関節面を有する、ステップと、
前記核の第三の関節面が前記第一の関節面と関節接合し、前記核の第四の関節面が前記第二の関節面と関節接合するように、前記第一と第二の終板の間に核を位置付けるステップであって、前記核が前記第一と第二の終板とは別に形成される、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
前記第三の関節面は、少なくとも2つの平面部を有し、前記平面部は、前記平面部の間に鋭角を画定する曲率移行部によって接続されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第三の関節面は、第三の平面部をさらに有し、
各平面部は、前記その他の平面部と同一平面ではなく、
前記核を位置付けるステップは、前記第三の関節面の各平坦部が前記第一と第二の椎体の矢状面を通って延びるように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第四の関節面は、第一、第二および第三の平坦部を有し、
各平坦部は、前記その他の平面部と同一平面ではなく、
前記核を位置付けるステップは、前記第四の関節面の各平坦部が、前記第一と第二の椎体の冠状面を通って延びるように、前記核を位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第一の骨係合面を前記第一の椎体に固定するステップは、前記第一の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に侵入させるステップをさらに含み、
前記第二の骨係合面を前記第二の椎体に固定するステップは、前記第二の骨係合面から突出する少なくとも1つの骨係合機能手段を骨に進入させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記第一と第二の終板の一方は、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の椎間腔内に正しく埋植されたときに、略頭側/尾側軸に沿って前記各々の関節面を通じて突出する円筒形ポストを有し、
前記核は、前記ポストを受けるような形状のテーパの付けられたスロットを有し、
前記核を位置付けるステップは、前記ポストを、前記テーパの付いたスロットと関節接合させて、前記頭側/尾側軸を中心とした前記核の相対的回転と、前記終板の前方−後方軸および/または前記終板の内側/外側軸を中心とした前記核の相対的回転と、を可能にするように位置付けるステップを含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項53】
第一の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成されて、前記椎間板補綴装置が前記第一と第二の椎体の間の前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の内側/外側軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第二の停止要素は、前記第一の終板、前記第二の終板、および前記核のいずれかに形成されて、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の前方/後方軸を中心とした、前記第一の終板と前記第二の終板の間の可動範囲を制限し、
第三の停止要素は、前記第一と第二の関節面の少なくとも一方から突出して、前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に正しく埋植されたときに、前記第一と第二の椎体の頭側/尾側軸を中心とした前記核の回転運動範囲を制限することを特徴とする請求項47に記載の方法
【請求項54】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換するためのシステムであって、
ヘッド部を有するガイドツールであって、前記ヘッド部は、第一の開放端と第二の開放端と、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第一の壁と、前記第一の壁に平行で前記第一の壁から離れている第二の壁であって、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第二の壁と、前記ヘッド部を前記第一と第二の椎体の中央正中軸に平行に方位付けやすくするように動作する第一の基準機能手段と、前記ヘッド位置を前記中央正中軸に平行な予備方位から前記中央正中軸に平行で前記第一と第二の椎体の冠状面に垂直な好ましい方位に方位付けやすくするように動作する第二の基準機能手段と、を備えるガイドツールと、
前記第一の開放端と前記第二の開放端の中に挿入可能な第一の遠位端を有する第一のガイドピンであって、前記第一のガイドピンが前記ヘッド部の中にあるときに、前記第一の遠位端を前記第一の椎体の中に埋植可能であるような第一のガイドピンと、
前記第一の開放端と前記第二の開放端の中に挿入可能な第二の遠位端を有する第二のガイドピンであって、前記第一と第二のガイドピンが前記ヘッド部の中にあるとき、前記第二の遠位端を前記第二の椎体の中に、前記第二のガイドピンが前記第一のガイドピンと同一平面になるように埋植可能であるような第二のガイドピンと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項55】
前記第一の基準機能手段は、前記冠状面に垂直な視点から見たとき、前記ヘッド位置が前記予備方位にあるときに、目に見えるように相互に一致する少なくとも2つの線形マーキングで構成されることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記第二の基準機能手段は、前記第一の壁の第一の穴と前記第二の壁の第二の穴で構成され、
前記第一と第二の穴は、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに相互に同心円的に見えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項57】
前記第一と第二の遠位端がねじ山部を有することを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項58】
リテーナをさらに備え、前記リテーナは、
前記第一のピンに取り付けられた第一の脚と、
前記第二のピンに取り付けられた第二の脚と、
前記第一の脚と前記第二の脚に連結されたラチェット機構と、
を備え、
前記ラチェット機構は、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を制御するように動作させることができることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
前記ラチェット機構は、歯止めを備え、前記歯止めは、
前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、
前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、
を有することを特徴とする請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記椎間腔に挿入可能な椎間板トライアルをさらに備え、
前記トライアルは、前記第一と第二のピンに連結して、前記トライアルを前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位にする位置合わせ部材を備え、
前記トライアルは、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するよう移動可能であることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項61】
椎間板補綴装置と、
前記椎間板補綴装置を解放自在に把持できる椎間板補綴装置挿入器と、
をさらに備え、
前記挿入器は、前記第一と第二のピンに連結して、前記補綴装置を前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させることができる位置合わせ部材を備えることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項62】
補綴装置嵌合機能手段を備える椎間板補綴装置と、
前記椎間板補綴装置と係合可能な遠位ヘッドを有するタンプと、
をさらに備え、
前記遠位ヘッドは、前記補綴装置嵌合機能手段と同軸的に結合可能なタンプ嵌合機能手段を有し、
前記タンプ嵌合機能手段は、前記遠位置ヘッドが正しい側方位置において前記椎間板補綴装置と係合するときにのみ、前記補綴装置嵌合機能手段と結合することを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項63】
第一の接合機能手段を有する第一の終板と、第二の接合機能手段を有する第二の終位置と、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核と、を備える椎間板補綴装置と、
前記第一と第二の終板のいずれかを解放自在に把持することができる椎間板補綴装置抜去器と、
をさらに備え、
前記抜去器は、こじ開け用機能手段を有する第一のレバーと、前記第一と第二の接合機能手段のいずれかと結合する形状の抜去器接合機能手段を有する第二のレバーと、を有し、
前記第一と第二のレバーは、開位置と閉位置の間で回転可能であることを特徴とする請求項54に記載のシステム。
【請求項64】
第一の椎体と第二の椎体の間の椎間腔内において椎間板を置換するシステムであって、
前記第一の椎体に固定可能な第一のガイドピンと、
前記第二の椎体に固定可能な第二のガイドピンと、
第一の脚、第二の脚、および、前記第一の脚と前記第二の脚に接続可能なラチェット機構と、を備えるリテーナと、
を備え、
前記第一と第二の脚は、前記ガイドピンが前記椎体に固定されたときに、それぞれ前記第一と第二のガイドピンを受け、
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけでき、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項65】
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大または減少させることができる第三の設定位置をさらに有することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
前記ラチェット機構はピニオンをさらに備え、前記ピニオンを回転させると前記ラチェット機構が作動することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項67】
前記ラチェット機構は、歯止めと直接接触するプランジャをさらに備え、
前記歯止めは第一の歯と第二の歯を備え、
前記プランジャは、前記第一の歯止めの歯が前記プランジャによって押し下げられて、前記第一の設定位置が実現される第一の位置と、前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって押し下げられて、前記第二の設定位置が実現される第二の位置と、の間で切り替え可能であることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項68】
前記プランジャは、前記第一の歯と前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって等しく押し下げられて、第三の設定位置が実現される第三の位置に切り替えるステップを含み、これにより、前記第三の設定位置において、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大または減少させることができることを特徴とする請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記第一と第二の脚の少なくとも一方は、前記脚の角度が調整可能な第一の位置と、前記脚の角度がしっかりと固定される第二の位置と、の間で移動可能なカラーをさらに備えることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項70】
前記リテーナは、第一のロッキング部材をさらに備え、前記第一のロッキング部材を作動させると、前記第一の脚が前記第一のガイドピンにロックされ、
前記リテーナは第二のロッキング部材をさらに備え、前記第二のロッキング部材を作動させると、前記第二の脚は前記第二のガイドピンにロックされることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項71】
前記椎間腔内に挿入可能なやすりをさらに備え、
前記やすりは、前記やすりを前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記やすりを、前記第一と第二の椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備えることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項72】
前記椎間腔内に挿入可能な椎間板トライアルをさらに備え、
前記トライアルは、前記トライアルを前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記トライアルを、前記椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備え、
前記トライアルは、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するように移動できることを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項73】
椎間板補綴装置挿入器をさらに備え、
前記挿入器は、前記挿入器を前記第一と第二の脚にスライド自在に連結させて、前記挿入器を、前記椎体の矢状面に関して好ましい位置に移動させる位置合わせ部材を備え、
前記挿入器は、椎間板補綴装置を解放自在に把持することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項74】
前記椎間板補綴装置は、第一の終板と、第二の終板と、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核と、を備えることを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
やすり、かんな、刃、擦り砕き器(grater)、カッタ、感触器、トライアル、椎間板補綴装置挿入器からなるグループの中から選択される器具をさらに備え、
前記器具は、第一のウィングと第二のウィングを備える位置合わせ部材を有し、
前記第一と第二のウィングは相互に平行であり、前記第一と第二のウィングの間に第一の空間を画定して、前記第一の空間が前記第一の脚をスライド自在に受けるようにし、また、前記第二の脚をスライド自在に受けることができる第二の空間を画定することを特徴とする請求項64に記載のシステム。
【請求項76】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を交換するシステムであって、
前記椎間腔内に挿入可能なトライアルを備え、前記トライアルは、
第一の板に接続される第一のレバーと、
第二の板に接続される第二のレバーと、
前記第一のレバーを前記第二のレバーに連結するピボットと、
を備え、
前記第一と第二のレバーの少なくとも一方は、前記第一と第二の板を前記ピホットの周囲で移動させて、前記トライアルが前記椎間腔内にあるときに、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を変更するように作動させることができることを特徴とするシステム。
【請求項77】
前記トライアルは、前記トライアルが前記椎間腔内にあるときに、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を示す基準機能手段をさらに備えることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項78】
前記角度は、0°、3°、6°からなるグループの中が選択されることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項79】
前記トライアルは、前記第一のレバーを前記第二のレバーに接続して、前記第一の板と前記第二の板との間の角度を保持するラチェット機構をさらに備えることを特徴とする請求項76に記載のシステム。
【請求項80】
第一の椎体と第二の椎体の間の椎間腔内において椎間板を置換するシステムであって、
椎間板補綴装置挿入器の上に取り付け可能な椎間板補綴装置であって、第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段を有する第一の終板と、第二の蟻継ぎ式嵌合機能手段を有する第二の終板と、を備える椎間板補綴装置を備え、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置をしっかりと把持し、前記挿入器は第一のアームと第二のアームを備え、
前記第一と第二のアームは、開位置と閉位置の間で移動可能であり、
前記第一と第二のアームの各々は、前記第一と第二の蟻継ぎ式嵌合機能手段の両方と結合可能な表面を有することを特徴とするシステム。
【請求項81】
前記椎間板補綴装置は、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核をさらに有することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記椎間板補綴装置挿入器は、第一の端と第二の端を有するロッドをさらに備え、
前記第二の端は前記第一と第二のアームに係合し、
前記第一の端は、前記第一と第二のアームを、前記開位置から前記閉位置の間で移動させるように動作できることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項83】
前記ロッドは、前記アームが前記開位置にある第一の遠位側位置と、前記アームが前記閉位置にある第二の近位側位置と、の間で長さ方向に移動可能であることを特徴とする請求項82に記載のシステム。
【請求項84】
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記アームが前記閉位置にあって、前記補綴装置が前記挿入器に取り付けられているときに、前記椎間板補綴装置をしっかりと把持することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項85】
前記第一の終板は、骨係合面と、前記第一の終板の、前記骨係合側と反対側にある関節面と、をさらに有し、
前記第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段は前記関節面に配置されていることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項86】
前記関節面に形成された保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記第一の蟻継ぎ式嵌合機能手段を形成する、傾斜した内縁を有することを特徴とする請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記椎間板補綴装置挿入器に形成された挿入器嵌合機能手段と、
前記椎間板補綴装置に形成された補綴装置嵌合機能手段と、
を備え、
前記挿入器嵌合機能手段は、前記椎間板補綴装置が1つの位置において前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときにだけ、前記補綴装置嵌合機能手段と結合することを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項88】
前記挿入器嵌合機能手段は、前記椎間板補綴物挿入器の遠位端に形成された第一の突起部と、前記椎間板補綴物挿入器の前記遠位端に形成された第一の突起部と、を備え、
前記第一の突起部は前記第二の突起部より大きく、
前記補綴装置嵌合機能手段は、前記第一の終板の前端に形成された第一の陥凹部と、前記第二の終板の前端に形成された第二の陥凹部と、を有し、
前記第一の陥凹部は前記第二の陥凹部より大きく、
前記第一の突起部は、前記第一の陥凹部の中に同軸的に嵌まり込むような形状であり、
前記第二の突起部は、前記第二の陥凹部の中に同軸的に嵌まり込むような形状であることを特徴とする請求項87に記載のシステム。
【請求項89】
前記第一の終板は、前記第一の終板の骨係合面に経緯された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記第二の終板は、前記第二の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置挿入器の前記残りの部分から遠位方向に延びる複数のプロングをさらに備え、
各プロングは、前記椎間板補綴装置が前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときに、少なくとも1つの歯と横方向に位置合わせされるように位置付けられることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項90】
前記第一と第二のアームの各々は開口部を有し、
前記開口部は、前記アームが前記閉位置にあって、前記椎間板補綴装置が前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けられたときに相互に同軸的に位置合わせされ、
前記椎体に関する前記開口部の位置は、観察可能であって、前記椎間板補綴装置の深さを判断できることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項91】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
ガイドツールを前記椎間腔の範囲にわたるように位置付けるステップであって、前記ガイドツールはヘッド部を備え、前記ヘッド部は、第一の開放端と第二の開放端と、前記開放端から前記第二の開放端に延びる第一の壁と、前記第一の壁に平行で、これから離れている第二の壁であって、前記第一の開放端から前記第二の開放端に延びる第二の壁と、第一の基準機能手段と第二の基準機能手段と、を有する、ステップと、
前記第一の基準機能手段を観察して、前記第一と第二の椎体の中央正中軸に関する前記ヘッド部の方位を判断するステップと、
前記ヘッド部を前記中央正中軸に平行な予備方位に調節するステップと、
前記第二の基準機能手段を観察して、前記第一と第二の椎体の冠状面に関する前記ヘッド部の方位を判断するステップと、
前記ヘッド部を、前記中央正中軸に平行で、前記冠状面に垂直な好ましい方位に調節するステップと、
前記第一と第二の開放端から第一のガイドピンの第一の遠位端を通すステップと、
前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端を前記第一の椎体に埋植するステップと、
前記第一と第二の開放端から第二のガイドピンの第二の遠位端を通すステップと、
前記第二のガイドピンの前記第二の遠位端を、前記第二のガイドピンが前記第一のガイドピンと同一平面となるように前記第二の椎体に埋植するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端が前記第一の椎体内に埋植されたときに、前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端が前記椎間腔に平衡となるように、前記第一のガイドピンを位置付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記第一の基準機能手段は、前記冠状面に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記予備方位にあるとき、相互に関して一致するのが見える少なくとも2つの線状マーキングを備え、
前記ヘッド部を前記予備方位に調節するステップは、前記冠状面に垂直な視点から見たときに、前記線形マーキングが相互に関して一致するのが見えるようになるまで、前記ヘッド部を位置付けるステップを含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記第二の基準機能手段は、前記第一の壁の第一の穴と、前記第二の壁の第二の穴と、を備え、前記第一と第二の穴は、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに相互に同心円状に見え、
前記ヘッド部を前記好ましい方位に調節するステップは、前記中央正中軸に垂直な視点から見たときに、前記第一と第二の穴が相互に同心円状に見えるようになるまで、前記ヘッド部を方向付けるステップを含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記ヘッド部が前記好ましい方位にあるときに、前記第一のガイドピンの前記第一の遠位端を前記第一の椎体に埋植するステップをさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項96】
リテーナの第一の脚を前記第一のガイドピンに取り付けるステップと、
前記リテーナの第二の脚を前記第二のガイドピンに取り付けるステップと、
をさらに含み、
前記リテーナは、前記第一の脚と前記第二の脚に接続されたラチェット機構を備え、前記ラチェット機構は、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を制御するように動作できることを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記ラチェット機構は、歯止めをさらに備え、
前記歯止めは、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体との間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体との間を圧縮させる第二の設定位置と、を有し、
前記歯止めを前記第一の設定位置に移動させるステップと、
前記ラチェット機構を作動させて、前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項96に記載のシステム。
【請求項98】
前記歯止めを前記第二の設定位置に移動させるステップと、
前記ラチェット機構を作動させて、前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の前記距離を増大または減少させることができる第三の設定位置を有することを特徴とする請求項97に記載の方法。
【請求項100】
椎間板補綴装置トライアルを前記椎間腔の中に挿入するステップであって、前記トライアルは、前記第一と第二のピンに接続されて、前記トライアルを前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させる位置合わせ部材を備えるステップと、
前記トライアルを移動させて、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項91に記載方法。
【請求項101】
椎間板補綴装置を把持する椎間板補綴装置挿入器を前記椎間腔内に進めるステップであって、前記挿入器は、前記第一と第二のピンに接続されて、前記補綴装置を前記椎体の前記矢状面に関して好ましい方位に移動させるための位置合わせ部材を備える、ステップと、
前記挿入器を作動させて、前記椎間板補綴装置を解放するステップと、
前記挿入器を前記椎間腔から引き抜くステップと、
をさらに含み、
前記椎間板補綴装置は前記椎間腔内に留まることを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項102】
前記第一と第二の椎体の矢状面正中線の上に少なくとも1つの基準マークを表示するステップと、
前記第一の基準機能手段を前記基準マークと位置合わせするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項91に記載の方法。
【請求項103】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
第一のガイドピンを前記第一の椎体に固定するステップと、
第二のガイドピンを前記第二の椎体に固定するステップと、
リテーナの第一の脚を前記第一のガイドピンに取り付けるステップと、
前記リテーナの第二の脚を前記第二のガイドピンに取り付けるステップと、
を含み、
前記リテーナは、前記第一の脚と前記第二の脚に接続されたラチェット機構をさらに備え、
前記ラチェット機構は、前記ラチェット機構を作動させると前記第一のピンと前記第二のピンとの間の距離を増大させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を伸延させる第一の設定位置と、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンの間の距離を減少させることだけができ、これによって前記第一の椎体と前記第二の椎体の間を圧縮させる第二の設定位置と、を有することを特徴とする方法。
【請求項104】
ピニオンを回転させて、前記ラチェット機構を作動させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ラチェット機構のプランジャを第一または第二の位置のいずれかに切り換えるステップをさらに含み、
前記プランジャは歯止めと直接接触しており、
前記歯止めは第一の歯と第二の歯を備え、
前記第一の位置において、前記第一の歯止めの歯は前記プランジャによって押し下げられて前記第一の設定位置を実現し、
前記第二の位置において、前記第二の歯止めの歯は前記プランジャによって押し下げられて前記第二の設定位置を実現することを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記プランジャを、前記第一の歯と前記第二の歯止めの歯が前記プランジャによって等しく押し下げられて前記第三設定位置が実現する第三の位置に切り換えるステップをさらに含み、これによって前記第三の設定位置において、前記ラチェット機構を作動させると、前記第一のピンと前記第二のピンとの間の距離を増大または減少させることができることを特徴とする請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第一と第二の脚の少なくとも一方の上のカラーを、前記脚の角度を調整できる第一の位置にスライドさせるステップと、
前記脚の角度を調整するステップと、
前記カラーを、前記脚の角度がしっかりと固定される第二の位置にスライドさせるステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記リテーナの第一のロッキング部材を作動させて、前記第一の脚を前記第一のガイドピンにロックするステップと、
前記リテーナの第二のロッキング部材を作動させて、前記第二の脚を前記第二のガイドピンにロックするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項109】
やすりの位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記やすりを前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含み、
前記位置合わせ部材は、前記やすりを、前記第一と第二の椎体の矢状面に関して好ましい方位に移動させることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項110】
椎間板トライアルの位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記椎間板トライアルを前記椎間腔内に挿入するステップであって、前記位置合わせ部材は、前記トライアルを前記椎体の矢状面に関して好ましい方位に移動させる、ステップと、
前記椎間板トライアルを移動させて、前記椎間腔の角度を相互作用的に測定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項111】
椎間板補綴装置を椎間板補綴装置挿入器に取り付けるステップと、
前記椎間板補綴装置挿入器の位置合わせ部材を前記第一と第二の脚の上にスライドさせるステップと、
前記椎間板補綴装置挿入器を前記椎間腔内に進め、これによって前記椎間板補綴装置を前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含み、
前記位置合わせ部材は、前記椎間板補綴装置を前記椎体の矢状面に関する好ましい方位に移動させることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項112】
やすり、かんな、刃、擦り砕き器、カッタ、感触器、トライアル、椎間板補綴装置挿入器からなるグループの中から選択される器具を備え、前記器具は、第一のウィングと第二のウィングを備える位置合わせ部材を有し、前記第一と第二のウィングは、相互に平行であって、前記第一と第二のウィングの間に第一の空間を画定し、前記第一と第二のウィングの間に第二の空間を画定し、
前記第一の空間の中で前記第一の脚を受けるステップと、
前記第二の空間の中で前記第二の脚を受けるステップと、
前記器具を前記椎間腔内に挿入するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項113】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
椎間板トライアルを前記椎間腔内に挿入するステップであって、前記椎間板トライアルは、第一の板に接続された第一のレバーと、第二の板に接続された第二のレバーと、前記第一のレバーを前記第二のレバーを接続するピボットと、を備える、ステップと、
前記第一と第二のレバーの少なくとも一方を作動させて、前記第一と第二の板を前記ピボットの周囲で移動させ、前記椎間板トライアルが前記椎間腔内にある間に、前記第二の板に関する前記第一のプレートの角度を変更させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項114】
前記トライアルが前記椎間腔内にある間に、前記椎間板トライアルの基準機能手段を観察して、前記第二の板に関する前記第一の板の角度を判断するステップをさらに含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記基準機能手段を観察するステップは、蛍光透視法を用いるステップを含むことを特徴とする請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記トライアルは前記第一のレバーを前記第一のレバーに接続するラチェット機構をさらに備え、
前記ラチェット機構を係合させて、前記第一の板と前記第二の板の間の角度を保持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項113に記載の方法。
【請求項117】
第一の椎体と第二の椎体との間の椎間腔内において椎間板を置換する方法であって、
椎間板補綴装置を椎間板補綴装置挿入器の上に取り付けるステップであって、前記補綴手段は、第一の蟻継ぎ式接合機能手段を有する第一の終板と、第二の蟻継ぎ式接合機能手段を有する第二の終板と、を備え、前記挿入器は第一のアームと第二のアームを備え、前記第一と第二のアームは開位置と閉位置の間で移動可能であり、前記第一と第二のアームの各々は、前記第一と第二の蟻継ぎ式接合機能手段の両方と結合可能な表面を有する、ステップと、
前記椎間板補綴装置が前記椎間腔内に挿入されるように、前記椎間板補綴装置ホルダを前記椎間腔の中に進めるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項118】
前記椎間板補綴装置は、前記第一と第二の終板の間に位置付けられた核をさらに備えることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記椎間板補綴装置挿入のロッドの第一の端を作動させ、前記第一と第二のアームの前記傾斜表面が前記第一と第二の蟻継ぎ式接合機能手段の両方と結合するように、前記第一と第二のアームを前記閉位置に移動させるステップをさらに含み、前記ロッドは、前記第一と第二のアームと係合する第二の端を有し、
前記第一の端を作動させると、前記第二の端を長手方向に移動させることを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記椎間板補綴装置に形成された挿入器嵌合機能手段を、前記椎間板補綴装置に形成された補綴装置嵌合機能手段に結合するステップをさらに含むことを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記挿入器嵌合機能手段は、椎間板補綴装置の遠位端に形成された第一の突起部と、椎間板補綴装置の前記遠位端に形成された第二の突起部と、を備え、前記第一の突起部は前記第二の突起部より大きく、
前記補綴装置嵌合機能手段は、前記第一の終板の前端に形成された第一の陥凹部と、前記第二の終板の前端に形成された第二の陥凹部と、を備え、前記第一の陥凹部は前記第二の陥凹部より大きく、
前記挿入器嵌合機能手段を前記補綴装置嵌合機能手段に結合するステップは、前記第一の突起部を前記第一の陥凹部の中に同軸的に結合させるステップと、前記第二の突起部を前記第二の陥凹部の中に同軸的に結合させるステップと、を含むことを特徴とする請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記第一の終板は、前記第一の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、前記第二の終板は、前記第二の終板の骨係合面に形成された少なくとも1つの歯をさらに有し、
前記椎間板補綴装置挿入器は、前記椎間板補綴装置挿入器の残りの部分から遠位方向に延びる複数のプロングをさらに備え、
前記椎間板補綴装置を前記椎間板補綴装置挿入器に取り付けるステップは、各プロングを前記少なくとも1つの歯と線形に位置合わせするステップを含むことを特徴とする請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記第一の終板を前記第二の終板に向かって好ましい方位へと圧縮するステップと、
前記第一と第二の終板が前記好ましい方位にある間に、前記第一と第二の終板を前記プロングの間でスライドさせるステップと、
前記第一と第二の終板を、前記第一と第二の終板が前記プロング間で前記好ましい方位に保持されるように解放するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項122に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公表番号】特表2011−500294(P2011−500294A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531315(P2010−531315)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081338
【国際公開番号】WO2009/055796
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510116521)
【出願人】(510116532)
【出願人】(510116543)
【出願人】(510116554)
【出願人】(510116565)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/081338
【国際公開番号】WO2009/055796
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510116521)
【出願人】(510116532)
【出願人】(510116543)
【出願人】(510116554)
【出願人】(510116565)
【Fターム(参考)】
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