説明

検体依存性反応における反応ラグ相を決定する方法

【課題】 反応キネティクスの反応ラグ相の特異的な決定をし、これにより反応キネティクスのより正確な評価、そしてさらに検体のより正確な決定を保証する、検体の濃度又は活性の決定方法を得る。
【解決手段】 本発明の方法は、以下の工程
a) 試料を少なくとも1つの試薬と混合し、それによって検体依存性反応を進行中に設定し;
b) 検体依存性反応の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を測定し、そして信号−時間曲線を保存し;
c) 信号−時間曲線における最大増加を決定し;
d) 信号−時間曲線の反応ラグ相を決定し;
e) 時間に関して反応ラグ相の後にある信号−時間曲線の少なくとも1つのパラメータにより検体の濃度又は活性を決定することからなり、
ここで反応ラグ相の決定は、最初の信号の時間(t0)から時間tlagまでの長さを決定することによって行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析技術の分野にあり、そして試料中の検体の濃度又は活性を決定するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の分析技術では、測定する検体のタイプに応じて、多くの異なる方法の原理が用いられる。例えば、タンパク質若しくはペプチドを定量的に検出するため、又はそれらを定性的に決定するためには、免疫化学的方法を用いることが好ましい。このために、検体を特異的に認識する抗体が慣用的に用いられる。例えば、酵素を検出するためには、検出すべき酵素によって特異的に修飾される標識化基質が使用される。特に有意義で正確な結果を得るためには、多くの場合、一定期間にわたって試験反応を観察してその経過を分析する必要がある。また、時間をかけて測定された反応依存性の変数における変化は、反応キネティクス(reaction kinetics)又は信号−時間曲線として表される。このタイプの曲線の種々のパラメータは評価に使用でき、そしてさらに検体の濃度又は活性の決定に用いることができる。
【0003】
反応キネティクスが評価される検出反応の例は、例えば粒子強化された(particle-enhanced)凝集アッセイであり、ここでは、粒子を結合した二価又は多価抗体が抗原と反応し、それによって強く光散乱する分子凝集体が形成される。これらの分子凝集体の検体依存性の形成は、散乱光強度の測定手段(比濁法)によって、又は透過率の増加若しくは減少の測定(濁度測定)を経て測定することができ、そして検体の濃度の決定に用いられる。さらなる例は、時間をかけて発色性基質の反応を測定する酵素ベースの試験方法である。発色性基質の検体依存性切断は、例えばある種の波長で透過率の増加又は減少の測定を経て測定することができ、そして検体の濃度又は活性の決定に使用される。別の例は、血液又は血漿試料中のフィブリン形成速度を測定することによって、単一又は多くの血液凝固因子の活性を決定する凝固試験である。このような凝固試験の典型的な例は、プロトロンビン時間(PT)、別称クイック試験(Quick test)若しくはトロンボプラスチン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、トロンビン時間(TT)、バトロキソビン時間(BT)又はエカリン時間(ECT)である。
【0004】
反応キネティクス(信号−時間曲線)の種々のパラメータを評価に用いることができる。知られているパラメータは、例えば最大反応速度又は最大反応速度が生じる時間である。また、多くの場合、反応キネティクスの評価のために、キネティクスの一次又は二次導関数が最初に形成される。また、反応キネティクスのさらに知られているパラメータは、例えば信号−時間曲線の一次導関数の下の面積である。その他の場合、信号が所定の閾値を超えた時間が決定されるか、又は所定時間で達成された信号レベルが決定される。次いで、測定の信頼性を確認するために反応曲線のさらなる経過が最初に評価される。
【0005】
検体を決定する方法の最も単純な場合、検体を含む試料を、例えば基質、結合パートナー、活性化剤等のような、検体の検出に必要な成分を含む試薬と混合する。慣用的には、試薬の添加から、すなわち時間t0から、適切な物理的信号の測定手段によって反応をモニターする。理想的には、測定信号はそれぞれの時点で反応に比例するようにふるまう。しかしながら、実際には、例えば測定装置中の誤差といったような種々の現象が生じ、これによりそれぞれの絶対的な測定信号は、反応に比例するようにふるまわなくなる。従って、慣用的に、例えば、よりなめらかな反応キネティクスを得るために種々の平滑化方法が用いられる。
【0006】
反応キネティクスの評価における、そしてさらに検体の濃度又は活性の決定における、別の問題は、試料に対する試薬の添加直後に、しばしば、比較的急勾配で常に増加経過の曲線、すなわち高い反応速度を特徴とし、一般に分析的に最も重要な反応セクションを表す指数関数的反応相が生じる前に最初に反応経過における大きな変化及びばらつきが生じ、続いて遅れて反応が開始されるという事実よりなっている。しかしながら、最初の反応相は、反応ラグ相(reaction lag phase)ともよばれ、平らな経過曲線、すなわち低い反応速度を特徴としており、通常、評価に適していない。
【0007】
先行技術では、多くの評価方法において反応ラグ相を確実に含むはずの一定の時間帯t0〜tnは、最初に評価から除外される。慣用的には、実験的研究による特定の試験方法によってこの時間の長さが決定される。このために、必要な試験条件下で適当な数の測定が実施される。しかしながら、実際には、反応ラグ相の期間は、一定の試験条件下でさえ変わりやすいことがわかっている。反応ラグ相を確実に含むはずの一定期間t0〜tnを用いる欠点は、実際には反応ラグ相がより短い場合、評価に適切であると考えられる反応キネティクスの部分を使用することができず、一方、実際には反応ラグ相がより長い場合、評価に適切でない反応キネティクスの部分が使用されるという事実である。いずれの場合も、反応キネティクスの評価に誤差の危険性があり、従って、検体を誤測定する危険性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、本発明は、反応キネティクスの反応ラグ相の特異的な決定を可能とし、これにより反応キネティクスのより正確な評価、そしてさらに検体のより正確な決定を保証する、検体の濃度又は活性を決定する方法を入手可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
目的は、本発明により、請求項1に記載された方法によって達成される。
【0010】
本発明は、以下の工程
a) 試料を少なくとも1つの試薬と混合し、それによって検体依存性反応を進行中に設定し;
b) 検体依存性反応の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を測定し、そして信号−時間曲線を保存し;
c) 信号−時間曲線における最大増加を決定し;
d) 信号−時間曲線の反応ラグ相を決定し;
e) 時間に関して反応ラグ相の後にある信号−時間曲線の少なくとも1つのパラメータにより検体の濃度又は活性を決定し、
ここで反応ラグ相の決定は、最初の信号の時間(t0)から時間tlagまでの長さを決定することによって行なわれる:
からなる試料中の検体の濃度又は活性を決定する方法に関する。これについて、信号−時間曲線中の最大増加の時間tmaxが最初に決定される。続いて、−時間tmaxから出発して−時間tlagが決定され、ここでtlagはtmaxより小さく、すなわち、時間に関してtmaxの前にあり、そしてここでtlagは、信号−時間曲線中の増加が、−tmaxから出発して−初めて閾値に達しない時間に相当する。閾値は、信号−時間曲線中の最大増加の試験特異的な所定の画分に相当する。優先的に、閾値は、信号−時間曲線中の最大増加の1〜45%の比率に相当する。
【0011】
検体依存性反応の結果として、時間(t)にわたって変化する信号(x)の測定は、適切な検出装置を用いて実施される。信号は、例えば、反応バッチの光学的性質(例えば濁度、光散乱、蛍光、化学発光)、反応バッチの化学的性質(例えばpH、還元酸化電位、粘度、濃度)又は電気化学的性質(例えば伝導率、インピーダンス、抵抗)といったような、当業者に知られているあらゆるタイプの信号であって良い。
【0012】
時間(t)にわたる測定は、好ましくは、例えば1秒につき1測定といったように規則的な時間間隔で物理的信号を連続的に検出する手段によって慣用的に実施される。このようにして得られる信号−時間曲線は、その後の評価で利用するため保存される。用語「信号−時間曲線」は、これに関して広く理解すべきであり、対応する曲線の図式表示に制限されない。つまり、それは、秩序ある系列において測定値が付随する時間へ割り当てられていることを意味する。
【0013】
信号−時間曲線における最大増加の決定は、当業者に知られているあらゆる所望の方法で実施することができるが、優先的には信号−時間曲線の一次導関数を最初に形成して一次導関数の極大を決定することによって実施できる。一次導関数の極大の時間は、信号−時間曲線における最大増加の時間tmaxに相当する。
【0014】
反応ラグ相の末端として定義される時間tlagの決定は、信号−時間曲線中のtmaxから出発して、信号−時間曲線中の増加が最初に閾値に達しない時間を調べることによって実施され、この時間は、tmaxより小さく、すなわち、時間に関してtmaxの前になければならない。tmaxから出発して、最初に信号−時間曲線中の増加が閾値に達しない時間を調べることは、もっぱら測定値記録の開始時に起こりうる極端な変化により反応ラグ相を誤って決定することがないという利点がある。t0から出発して、信号−時間曲線中の増加が初めて閾値を超える時間を調べる場合、もっぱら試料と試薬との間の混合方法による測定の開始時にしばしば生じうるこのタイプの極端な変化により、反応ラグ相を誤って極端に短く決定することがある(例えば図3参照)。
【0015】
閾値は、試験に特異的な、信号−時間曲線中の最大増加の所定の画分に対応する。信号−時間曲線中の最大増加のどの画分が特定の試験方法に適切であるかは、単純な一連の試験によって、前もって経験的に決定することができる。予備的な閾値を用いて算出された反応ラグ相と予想される反応ラグ相とが一致し、この一致が多数の試料測定で確認できる場合、適切な閾値が見いだされたことになる。閾値は、信号−時間曲線中の最大増加の1〜45%の比率に対応するように優先して選ばれる。一般に、閾値について、特定の試験方法では、信号−時間曲線中の最大増加のより小さな画分を選ぶほど、慣用的により急傾斜で信号−時間曲線が増加すると言える。
【0016】
反応ラグ相(t0−tlag)の始めと終わりを決定した後、時間に関して反応ラグ相の後にある信号−時間曲線の少なくとも1つのパラメータによって検体の濃度又は活性を決定する。
【0017】
本発明の意味における「試料」は、おそらく検出される物質、すなわち検体を含む材料を意味するものとして理解すべきである。用語「試料」には、例えば特にヒト及び動物の、体液又は組織、例えば血液、血漿、血清、唾液、痰、滲出液、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、関節液、精液、膣粘液、糞便、尿、脳脊髄液、毛、皮膚、組織試料又は切片が含まれる。細胞培養試料、植物の液又は組織、法医学的試料、水及び排水試料、食物及び薬剤がさらに含まれる。必要に応じて、検出方法で利用できる検体にするために、又は妨害となる試料成分を除去するために、試料を前処理しなければならない。このタイプの試料の前処理には、細胞の分離及び/又は溶解、例えばタンパク質のような試料成分の沈殿、加水分解若しくは変性、試料の遠心分離、例えばアルコール、特にメタノールのような有機溶媒による試料の処理;又は洗浄剤による試料の処理が含まれる。多くの場合、試料は、可能ならば、検出方法を妨げることのない、別の、通常は、水性媒体に移される。
【0018】
用語「検体」は、本発明の意味において、検出すべき物体(用語「検体」の例については、EP 515 194 A2, 第8-15頁参照)、又は別に、生理学的なプロセスの状態、若しくは多段式の多くの要素からなる反応系についての情報を得る、生物学的パラメータを意味するものとして理解すべきである。このような生物学的パラメータの例は、例えば種々の知られている凝固時間、例えばプロトロンビン時間(PT)又は活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)であり、これらから血液凝固カスケード又は線維素溶解系の種々の部分に関する情報が得られる。
【0019】
本発明による方法の好ましい実施態様において、検体依存性反応は、抗原−抗体反応又は酵素−基質反応である。
【0020】
検体依存性反応が全血又は血漿試料中の線維素塊の形成である方法はさらに好ましい。
【0021】
トロンビン、好ましくは内因性トロンビンの濃度又は活性を測定するための本発明による方法は、特に好ましい。このために、試料を、プロトロンビンをトロンビンに活性化する試薬と混合するのが慣用的である。トロンビンの情報を誘導するために、例えばCa2+イオン及びさらに例えばトロンボプラスチン又は接触活性化剤、例えばカオリン、リン脂質、ヘビ毒又はトロンボモジュリン及び活性化プロテインCを含む溶液を使用することができる。診断法の問題に応じて、当業者は、凝固系の一部又は全体のいずれかを考慮して、大多数の知られている血液凝固の活性化剤から選ぶことができる。内因性トロンビンの測定に必要なトロンビン基質の転換キネティクスの測定には、調べる試料を、例えばトロンビン形成活性化剤の添加によってトロンビン形成が誘発され、反応したトロンビン基質の物理的又は化学的性質が時間の関数として測定されるトロンビン基質を用いて処理する必要がある(また、EP 420 332 B1参照)。
【0022】
適切なトロンビン基質は、例えばオリゴペプチドであり、それはトロンビンについての特異的な認識配列を含む部分、及び測定可能な物理特性を有する脱離信号基から構成される。切断後に改変された物理特性を優先的に有する脱離信号基は、例えば、その性質を測定することができる色素体の、化学発光性の又は蛍光性の基であって良い。その光学的性質が光度分析的に測定される色素体の信号基、例えばパラ−ニトロアニリド(pNA)が好ましく、その吸収は、トロンビンにより切断された後、405nmの波長で測定することができる。
【0023】
内因性トロンビンの濃度又は活性の決定は、「内因性トロンビン生成能」(ETP)によって優先的に実施される。これについて、反応ラグ相を決定した後、信号−時間曲線の一次導関数の下の面積を測定する。内因性トロンビン生成能の決定の特に好ましい変異体は、EP 1 669 761 A2に記載されている。
【0024】
さらに、本発明は、検体の活性又は濃度を決定するため本発明の方法を自動的に実施することができる装置に関する。このタイプの装置は、a)検体依存性反応の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を決定する手段(例えば光度計、pHメータ、線量計、照度計、螢光計等)、b)信号−時間曲線を保存する手段(例えば半導体メモリ、光学的又は磁気記憶媒体、例えばハードディスク)、c)保存された信号−時間曲線中の最大増加の時間tmaxを決定する手段(例えばソフトウェア、コンピュータプログラム、アルゴリズム)及び時間tlagを決定するための請求項1に記載された方法における工程ii)の実施を制御する手段(例えばソフトウェア、コンピュータプログラム、アルゴリズム)を有することを特徴とする。優先して、装置は、測定結果を出力するための手段(例えば電子的なディスプレイ装置、モニター、データレコーダ、プリンタ及び/又はデータ伝送線)を有する。
【0025】
下記の実施例は、本発明の個々の態様の典型的な説明に役立つが、制限されるものとして理解すべきではない:
【0026】
〔実施例〕
ヒト血漿試料中の種々の検体を決定するための種々の知られている試験方法を自動凝固分析器で実施した(BCSR(R)システム, Dade Behring Marburg GmbH, Marburg, Germany)。さらに反応ラグ相を決定するために本発明の方法を自動的に実施できるソフトウェアを装置にインストールした。
【0027】
トロンビン生成の決定では、血漿試料を、パラ-ニトロアニリド結合したトロンビン特異的なペプチド基質と混合し、そしてInnovin(R)(組換え型ヒト組織因子及び合成リン脂質の混合物からなる試薬;Dade Behring Marburg GmbH, Marburg, Germany)及びCaCl2の添加又はActin(R) FS(APTT試薬, Dade Behring Marburg GmbH, Marburg, Germany)及びCaCl2の添加によってトロンビン生成を開始した。反応キネティクスを図1及び図2に示す。本明細書の図1は、最初の100秒の測定時間の拡大部分を示す。全測定時間は、Innovin(R)で活性化した場合、20分であり、そしてActin(R) FSで活性化した場合、50分であった。ラグ相は、Innovin(R)(図1)を用いた場合、30.2秒であり、そしてActinR FS(図2)を用いた場合、960.2秒であった。
【0028】
プロトロンビン時間(PT)の決定では、製造者の説明書に従って血漿試料をInnovin(R)と混合した。全測定期間は、120秒であった。ラグ相は、17.3秒と決定された。ラグ相を決定するための本発明の方法は、測定の開始時に信号障害及び信号雑音に対して強力に対応して正しくラグ相を評価する(図3)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】血漿試料中のトロンビン生成反応の信号−時間曲線の反応ラグ相の決定。これはInnovin(R)の添加によって開始された。上の図は、時間とともに測定された値[mU]を示す。破線の垂直線は、時間tlagを示す。下の図は、これらの反応キネティクスの一次導関数を示す。破線の垂直線は、一次導関数の極大の時間を示し、それは信号−時間曲線中の最大増加の時間tmaxに相当する。一次導関数の極大は、cmax=102.86mU/分である。閾値について、あらかじめ一次導関数の極大信号の20%と決定した。tmaxから出発して、そこから得た閾値20.572mU/分(実線の水平線)に、0.503分(=30.2秒)で初めて達しなくなった。この時間がtlagに相当する。
【図2】血漿試料中のトロンビン生成反応の信号−時間曲線の反応ラグ相の決定。これはActin(R) FSの添加によって開始された。破線の垂直線は、960.2秒で時間tlagを示す。
【図3】血漿試料中のプロトロンビン時間凝固反応の信号−時間曲線の反応ラグ相の決定。これはInnovin(R)の添加によって開始された。破線の垂直線は、17.3秒で時間tlagを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a) 試料を少なくとも1つの試薬と混合し、それによって検体依存性反応を進行中に設定し;
b) 検体依存性反応の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を測定し、そして信号−時間曲線を保存し;
c) 信号−時間曲線中の最大増加を決定し;
d) 信号−時間曲線の反応ラグ相を決定し;
e) 時間に関して反応ラグ相の後にある、信号−時間曲線の少なくとも1つのパラメータによって検体の濃度又は活性を決定し、
ここにおいて、反応ラグ相の決定は、最初の信号の時間(t0)から時間tlagまでの期間を決定することによって実施し、
ここで、
i) 信号−時間曲線中の最大増加の最初の時間tmaxを決定し;
ii) 次いで、時間tmaxから出発して、時間tlagを決定し、ここでtlagはtmaxより小さく、そしてtlagは信号−時間曲線中の増加が初めて閾値に達しない時間に相当し、そして閾値は信号−時間曲線中の最大増加の試験特異的な所定の画分に相当する:
からなる、試料中の検体の濃度又は活性を決定する方法。
【請求項2】
閾値が信号−時間曲線中の最大増加の1〜45%の画分に相当する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全血、血漿、血清、尿、糞便、唾液又は脳脊髄液からなる群からの生体試料中の検体の濃度又は活性を決定する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
検体依存性反応が抗原−抗体反応又は酵素−基質反応である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
散乱光、濁度、蛍光及び化学発光からなる群からの信号を測定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
トロンビンの濃度又は活性を決定するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
試料を、プロトロンビンをトロンビンに活性化する試薬と混合する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
試料を、トロンビン基質を含む試薬と混合する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
トロンビン依存性基質切断の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を測定して信号−時間曲線を保存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
内因性トロンビンの形成及び阻害を決定するための、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
凝固時間を決定するための、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、トロンビン時間、バトロキソビン時間及びエカリン時間からなる群からの凝固時間を決定するための、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
a) 検体依存性反応の結果として時間(t)にわたって変化する信号(x)を測定する手段、
b) 信号−時間曲線を保存するための手段、及び
c) 保存された信号−時間曲線において最大増加の時間tmaxを決定する手段
からなり、さらに時間tlagを決定するため、請求項1に記載の方法における工程ii)の実施を制御するための手段を含む、
試料中の検体の濃度又は活性を決定する方法を自動的に実施するための装置。
【請求項14】
請求項1に記載の方法における工程ii)の実施を制御するための手段がインストールされたソフトウェアである、請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−281560(P2008−281560A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−106370(P2008−106370)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(398032751)デイド・ベーリング・マルブルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】