説明

検体処理装置及び検体の搬送装置

【課題】 検体ラックが搬送路から外れることを抑制しつつ、搬送路間の検体ラックの移動を可能とした検体処理装置及び検体の搬送装置を提供する。
【解決手段】
検体処理装置1は、検体搬送ユニット3aを有する検体搬送装置3と、複数の測定ユニット及び情報処理ユニットを有する血液分析装置とを備える。検体搬送ユニット3aには、検体を保持する検体ラックを搬送する互いに平行な搬送ライン3F及び帰還ライン3Rが設けられ、これらの間に上下移動可能な仕切り部材342が設けられている。搬送ライン3Fから帰還ライン3Rへ検体ラックが移送されるときには、仕切り部材342が所定の基準位置に位置決めされ、搬送ライン3Fによって検体ラックLが搬送されるときには、仕切り部材342が基準位置より高い位置に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を搬送し、搬送された検体を処理する検体処理装置及び検体の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の測定ユニットと、当該複数の測定ユニットに検体ラックを搬送する搬送装置とを備えた分析装置が知られており、このような分析装置の搬送装置には、複数の搬送路が設けられたものもある。また、このような複数の搬送路が設けられた搬送装置には、搬送中の検体ラックを一の搬送路から他の搬送路に移動させる機構が設けられたものもある(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1に記載の搬送装置は、第1のサンプル送り用搬送ライン、第2のサンプル送り用搬送ライン及びサンプル戻し用搬送ラインを備えており、ラインチェンジャにより検体ラックを上記搬送路間で移動させる。ラインチェンジャは、上記搬送路間を移動可能なチェンジ用ガイドを備えている。このチェンジ用ガイドは、検体ラックを挿入可能な間隔を空けて設けられた2枚の板部材を備えており、チェンジ用ガイドが搬送路間を移動することにより、2枚の板部材に挟まれた検体ラックが搬送路間をスライドしながら移動する。このように検体ラックをスライドさせるため、上記搬送装置のラインチェンジャの移動範囲に対応する第1のサンプル送り用搬送ライン、第2のサンプル送り用搬送ライン及びサンプル戻し用搬送ラインの部分には、検体ラックの搬送方向への搬送を案内するガイドは設けられておらず、かつこれらの搬送ラインの検体ラックの設置面は段差のないバリアフリーな状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−74754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1の搬送装置では、検体ラックの搬送方向への搬送を案内するガイドが設けられていない部分が搬送装置に存在する。そのため、搬送ラインによって搬送される検体ラックが搬送路から外れるおそれがあった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体ラックが搬送路から外れることを抑制しつつ、搬送路間の検体ラックの移動を可能とした検体処理装置及び検体の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理装置は、検体を保持した検体ラックを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送された検体ラックに保持された検体を処理する検体処理部と、を備え、前記搬送装置は、検体ラックを搬送する第1搬送路と、前記第1搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第2搬送路と、検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動させるラック移動機構と、前記第1搬送路及び前記第2搬送路の間に上下方向へ移動可能に設けられ、所定位置にあるときには前記検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を許可し、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路の少なくとも一方によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する仕切り部材と、前記仕切り部材を上下移動させる駆動源と、を具備する。
【0008】
この態様においては、前記ラック移動機構が、前記仕切り部材が前記所定位置にあるときに、前記検体ラックを前記仕切り部材の上面においてスライドさせることにより、前記検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路へ移動させるように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記仕切り部材が、前記仕切り部材が前記所定位置にあるときに検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を案内するガイド部を具備することが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記仕切り部材が、前記仕切り部材が前記所定位置から上方へ移動したときに前記第1搬送路及び前記第2搬送路の少なくとも一方において搬送される検体ラックを停止させる搬送停止部を備えることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記仕切り部材が、前記第1搬送路及び前記第2搬送路によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する第1突出位置及び当該第1突出位置よりも上側に位置する第2突出位置に移動可能であり、前記搬送停止部が、前記仕切り部材が前記第1突出位置にあるときには検体ラックを停止させず、前記仕切り部材が前記第2突出位置に位置するときには検体ラックを停止させるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記第2搬送路を挟んで前記仕切り部材に対向して設けられ、前記第2搬送路上を搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する抑制壁をさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記ラック移動機構が、一方向にのみ検体ラックを移動可能に構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記搬送装置が、前記第1搬送路及び前記第2搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第3搬送路をさらに備えることが好ましい。
【0015】
また、上記態様においては、前記第3搬送路が、検体を前記検体処理部に供給するための検体供給位置を経由する搬送路であり、前記第1搬送路が、前記検体供給位置を経由せず、前記第3搬送路による搬送方向と同方向に検体ラックを搬送する搬送路であることが好ましい。
【0016】
また、上記態様においては、前記検体処理装置が、前記検体処理部による処理が終了した検体を保持した検体ラックを回収する回収部をさらに備え、前記第2搬送路が、前記検体処理部による処理が終了した検体を保持し、前記回収部に回収される検体ラックを搬送することが好ましい。
【0017】
また、上記態様においては、前記第2搬送路が、所定の第1方向に検体を搬送する搬送路であり、前記第3搬送路は、前記第1方向とは逆方向の第2方向に検体を搬送する搬送路であることが好ましい。
【0018】
また、上記態様においては、前記検体処理装置が、検体ラックを前記第2搬送路に移動させる場合には、前記検体ラックが前記仕切り部材を通過するときに前記仕切り部材が前記所定位置にあるように、前記駆動源による前記仕切り部材の上下移動を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、上記態様においては、前記制御部が、検体ラックを前記第1搬送路に移動させる場合には、前記仕切り部材が前記所定位置より上方にあるように、前記駆動源による前記仕切り部材の上下移動を制御することが好ましい。
【0020】
また、上記態様においては、前記仕切り部材が、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路よって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制するように構成されていることが好ましい。
【0021】
また、本発明の一の態様の搬送装置は、検体ラックを搬送する第1搬送路と、前記第1搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第2搬送路と、検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動させるラック移動機構と、前記第1搬送路及び前記第2搬送路の間に上下方向へ移動可能に設けられ、所定位置にあるときには前記検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を許可し、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する仕切り部材と、前記仕切り部材を上下移動させる駆動源と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る検体処理装置及び搬送装置によれば、検体ラックが搬送路から外れることを抑制しつつ、搬送路間の検体ラックの移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る検体処理装置の全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】検体ラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る血液分析装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図5】実施の形態に係る検体搬送ユニットの一部の構成を示す部分拡大斜視図。
【図6】検体搬送ユニットが備える仕切り部の正面側の構成を示す斜視図。
【図7】検体搬送ユニットが備える仕切り部の背面側の構成を示す斜視図。
【図8A】仕切り部材の基準位置を説明するための断面図。
【図8B】仕切り部材の第1突出位置を説明するための断面図。
【図8C】仕切り部材の第2突出位置を説明するための断面図。
【図9】実施の形態に係る塗抹標本作製装置用の検体搬送ユニットの構成を示す平面図。
【図10】実施の形態に係る血液分析装置が備える測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図11】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図12】実施の形態に係る検体搬送ユニットのラック搬送動作の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
本実施の形態は、検体を測定する複数の測定ユニットと、検体を保持した検体ラックを搬送する検体搬送装置とを備え、検体搬送装置が、測定ユニットに検体を供給するための検体供給位置を経由せずに一方向に検体ラックを搬送する搬送ライン(第1搬送路)と、前記搬送ラインと並行に設けられ、前記検体供給位置を経由せずに前記一方向の反対方向に検体ラックを搬送する帰還ライン(第2搬送路)と、前記検体供給位置に検体ラックを搬送する測定ライン(第3搬送路)と、前記搬送ラインと前記帰還ラインとの間に上下方向へ移動可能に設けられ、所定位置(基準位置)にあるときには検体ラックの搬送ラインから帰還ラインへの移動を許可し、前記基準位置から上方へ移動したときには搬送ライン及び帰還ラインよって搬送される検体ラックがラインから外れることを抑制する仕切り部材と、前記仕切り部材を上下移動させるモータとを具備する検体処理装置である。
【0026】
[検体処理装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理装置の全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理装置1は、検体投入回収装置2と、検体搬送装置3と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理装置1は、通信ネットワークを介して検査情報管理装置9と通信可能に接続されている。検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4を有し、これらの検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4は図中横方向に延びるように互いに直列的に接続されている。また、検体搬送装置3は、検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4の全てに亘って横方向に直線的に設けられ、複数の検体を保持した検体ラックを図中左方向へ搬送する搬送ライン3Fと、搬送ライン3Fに並行に設けられ、検体ラックを図中右方向へ搬送する帰還ライン3Rとを具備している。
【0027】
血液分析装置5は、3つの測定ユニット51,52,53と情報処理ユニット54を具備しており、検体搬送ユニット3aの後方には測定ユニット51が、検体搬送ユニット3bの後方には測定ユニット52が、検体搬送ユニット3cの後方には測定ユニット53が配置されている。また、検体搬送ユニット4の後方には塗抹標本作製装置6が配置されている。検体搬送ユニット3a,3b,3c及び4のそれぞれには、測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体を供給するために検体ラックLを搬送する測定ライン3Mが左右方向に延設されている。また、搬送ライン3Fと各測定ライン3Mとの間には、搬送ライン3Fから測定ライン3Mの起点へ検体ラックを移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析前ラック保持部33,43と、測定ライン3Mの終点から搬送ライン3Fへ検体ラックを移送するための移送路であって、また検体ラックを保持する領域である分析後ラック保持部34,44とが設けられている。
【0028】
検体ラックを投入可能な検体投入回収装置2は、オペレータが検体ラックを投入するための検体投入ユニット21、検体ラックに保持されている検体容器から検体バーコードを読み取る前処理ユニット22、及び処理が完了した検体を収容する検体ラックを回収する検体回収ユニット23を具備している。かかる検体投入回収装置2は、検体搬送装置3の右端に接続されており、当該検体投入回収装置2の検体投入ユニット21に投入された検体ラックは、前処理ユニット22によってラックID及び検体IDの読み取りが行われた後、検体搬送装置3の搬送ライン3Fにより搬送される。検体ラックは搬送ライン3Fから搬送先の測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に対応する検体搬送ユニット3a,3b,3c又は4における分析前ラック保持部33又は処理前ラック保持部43を経由して測定ライン3Mに移送され、測定ライン3M上を搬送されて、搬送先である測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6へ供給される。検体が測定ユニット51,52,53又は塗抹標本作製装置6に供給された後、検体ラックLは測定ライン3Mから分析後ラック保持部34又は処理後ラック保持部44を経由して帰還ライン3Rへ移送され、帰還ライン3Rにより右方向へ搬送されて、検体投入回収装置2の検体回収ユニット23に回収される。以下、かかる検体処理装置1の構成について詳細に説明する。
【0029】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、検体ラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部CPにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコード(検体バーコード)が印刷されている。検体ラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。検体ラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、検体ラックLの保持位置1と保持位置2の間の測定ユニット側の側面には、バーコードラベルが貼付されている(図示せず)。このバーコードラベルには、ラックIDを示すバーコード(ラックバーコード)が印刷されている。
【0030】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。
【0031】
図4は、検体搬送ユニット3aの構成を示す平面図である。ここでは、測定ユニット51の前側に配置されている検体搬送ユニット3aについて説明するが、測定ユニット52,53の前側に配置されている検体搬送ユニット3b,3cも同様の構成である。図4に示すように、検体搬送ユニット3aは、検体を搬送する搬送機構31と、搬送機構31を制御する制御部32とを備えている。搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、対応する測定ユニット51によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な分析後ラック保持部34と、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)へと検体ラックLを搬出する搬送ライン3F(第1搬送路)と、搬送下流側の装置(検体搬送ユニット3b)から検体ラックLを搬入し、この検体ラックLに収容された検体を測定ユニット51に供給せずに、搬送上流側の装置(検体投入回収装置2)へと検体ラックLを搬出する帰還ライン3R(第2搬送路)と、検体を測定ユニット51に供給するために、検体ラックLを図中矢印X1及びX2方向へ水平に直線移動させ、分析前ラック保持部33から受け付けた検体ラックLを分析後ラック保持部34へ搬送する測定ライン3M(第3搬送路)と、を備えている。
【0032】
搬送ライン3Fは、図中矢印X1方向へ延びており、検体ラックLを矢印X1方向(搬送方向下流側)へ水平に直線移動させることが可能である。搬送ライン3Fは、左右に配置された2つの環状ベルト321a,321bと、環状ベルト321a及び321bを駆動するステッピングモータ321cを有している。
【0033】
搬送ライン3Fから所定距離隔てた前方には、搬送ライン3Fと平行な帰還ライン3Rが設けられている。帰還ライン3Rは、検体ラックをX1方向と反対方向であるX2方向(搬送方向上流側)へ水平に直線移動させることが可能である。帰還ライン3Rは、環状のベルト331a及びステッピングモータ331bを有しており、ステッピングモータ331bの駆動力によってベルト331aを矢印X2方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト331aの上に載置された検体ラックLをX2方向へ移動可能である。
【0034】
また、分析前ラック保持部33の前側には、搬送ライン3Fを挟んで分析前ラック保持部33に対向するようにラック送出部322が配置されている。かかるラック送出部322は、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y1方向(後方)に水平に直線移動するように構成されている。これにより、搬送方向上流側の装置から搬送ライン3Fによって検体ラックLが搬入され、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の搬送ライン3F上の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)に検体ラックLが到達した場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析前ラック保持部33内に移動することが可能である。
【0035】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析前ラック保持部33の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前の検体ラックLが載置される。つまり、分析前ラック保持部33は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ371が取り付けられており、分析前ラック保持部33に配置された検体ラックLはラックセンサ371によって検出される。ラックセンサ371は、光学式センサであり、発光部371aと受光部371bとを備えている。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出している。ラックセンサ371により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが後方(測定ライン3Mに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部33bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0036】
測定ライン3Mは、図4に示すように、分析前ラック保持部33から移送された検体ラックLを、X1方向へと移送可能となっている。この測定ライン3Mによる検体ラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。測定ライン3Mは、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるように検体ラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体2つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、測定ライン3Mにより検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、検体ラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。測定ライン3Mは、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器Tが検体ラックLへ戻されるまでの間、検体ラックLの搬送を待機する。
【0037】
また、測定ライン3Mは、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトと、2つのベルトをそれぞれ駆動するステッピングモータ351e及び352eとを有している。
【0038】
測定ライン3Mを挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するようにラック送出部39が配置されている。かかるラック送出部39は、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y2方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)に検体ラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、検体ラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了した検体ラックLが、測定ライン3Mから分析後ラック保持部34へ送出される。
【0039】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その横方向の長さは検体ラックLの長さより若干大きくなっている。また、分析後ラック保持部34の幅(前後方向の長さ)は、検体ラックLの2つ分の幅よりも若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了した検体ラックLが載置される。つまり、分析後ラック保持部34は2つの検体ラックLを同時に保持可能である。この分析後ラック保持部34の近傍には、ラックセンサ372が取り付けられており、分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLはラックセンサ372によって検出される。ラックセンサ372は、光学式センサであり、発光部372aと受光部372bとを備えている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突設されている。ラックセンサ372により検体ラックLが検出されたときに、このラック送込部34bが前方(搬送ライン3F及び帰還ライン3Rに近接する方向)へ移動することにより、ラック送込部34bが検体ラックLと係合し、検体ラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。また、分析後ラック保持部34は、搬送ライン3F及び帰還ライン3Rと連なっており、ラック送込部34bは分析後ラック保持部34に配置された検体ラックLを搬送ライン3F及び帰還ライン3Rへ移送することができる。
【0040】
図5は、検体搬送ユニット3aの一部の構成を示す部分拡大斜視図である。搬送ライン3Fと帰還ライン3Rとの間であって、前記分析後ラック保持部34の前方の位置には、仕切り部341が設けられている。この仕切り部341は、平面視において四角形状をなしており、その幅が搬送ライン3Fと帰還ライン3Rとの間の距離より若干小さくなっている。また、仕切り部341の前方には、帰還ライン3Rを挟んで仕切り部341と対向する壁部36が設けられている。かかる壁部36は、帰還ライン3Rの全長に亘って設けられており、帰還ライン3Rの搬送面より上方に突出している。これにより、検体ラックLが帰還ライン3Rにより搬送されるときに、壁部36により検体ラックLが帰還ライン3Rから外れることが抑制される。
【0041】
図6は、仕切り部341の正面側の構成を示す斜視図であり、図7は、仕切り部341の背面側の構成を示す斜視図である。仕切り部341は、金属板が屈曲されて形成された仕切り部材342と、当該仕切り部材342を下方から支持する支持部材343とを備えている。仕切り部材342と支持部材343との間は、2つの棒状の連結部材344によって連結されている。また、仕切り部材342を駆動するステッピングモータ345が設けられており、当該ステッピングモータ345の出力軸にプーリ345aを介してベルト346が取り付けられている。ステッピングモータ345の出力軸の上方には、前記プーリ345aと対になるプーリ(図示せず)が回転自在に設けられており、前記ベルト346は両プーリ間を巻回している。また、前記支持部材343はベルト346の一部に固着されている。かかる構成により、ステッピングモータ345が動作することによりベルト346が上下方向に離隔して配置されたプーリ間において回転し、これに応じて支持部材343が上下方向に移動する。この結果、仕切り部材342が上下方向に移動することとなる。
【0042】
仕切り部材342の上端には平面部342aが形成されており、その平面部342aの搬送ライン3F側(後側)には当該平面部342aと連なる傾斜部342bが設けられている。傾斜部342bは、搬送ライン3Fに近付くにしたがって低くなるように、平面部342aに対して所定角度傾斜している。
【0043】
また、支持部材343には図示しない検出片が取り付けられており、この検出片を検出するための光学式センサ347が、ステッピングモータ345が取り付けられているベース部材345cに固着されている。支持部材343が上下方向に移動することにより、検出片も上下方向に移動し、光学式センサ347の検出位置に到達することで光学式センサ347によって検出片が検出される。当該検出片が光学式センサ347によって検出されるとき、仕切り部材342は特定の位置にあることから、仕切り部材342の位置が特定される。
【0044】
また、仕切り部材342の搬送方向下流側の端部には、搬送ライン3Fによって搬送される検体ラックを停止させるための搬送停止部348が固着されている。この搬送停止部348は、仕切り部材342から後方へ延設された立板であり、図4に示すように、搬送ライン3Fのベルト321bとその搬送方向下流側の壁部との間隙に配置される。また、搬送停止部348は、仕切り部材342への一端(搬送方向下流側端)から上方に突出したガイド部349aを有している。仕切り部材342の他端(搬送方向上流側端)は、上方へ向けて直角に折り曲げられており、この部分がガイド部349bとされている。これらのガイド部349a,349bにより、搬送ライン3Fから帰還ライン3Rへ検体ラックLが移送される際に、検体ラックLの移動が案内される。
【0045】
図8A、図8B及び図8Cは、仕切り部材342の位置を説明するための断面図である。図8Aには、仕切り部材342の基準位置P0を示している。この基準位置P0は、仕切り部材342の平面部342aが、搬送ライン3F及び帰還ライン3Rのそれぞれの上面と実質的に同一の高さとなる仕切り部材342の位置である。仕切り部材342が基準位置P0にあるときには、分析後ラック保持部34から、搬送ライン3F及び仕切り部材342を経て、検体ラックLが帰還ライン3Rに搬送される。ラック送込部33bは分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rまでの間を移動可能であり(図5参照)、分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLが帰還ライン3Rによって検体投入回収装置2に回収されるときには、仕切り部材342は平面部342aが基準位置P0に位置するように位置決めされ、ラック送込部33bが前方へ移動されることにより、検体ラックLが分析後ラック保持部34、搬送ライン3F、及び仕切り部材342のそれぞれの上面をスライドし、帰還ライン3Rに移送される。このとき、ガイド部349a,349bの間を検体ラックLが通過することとなり、ガイド部349a,349bにより検体ラックLの移動が案内される。また、平面部342aが基準位置P0に位置するときには、傾斜部342bの先端が搬送ライン3Fのベルト321bの上面より低い位置にあり、このため搬送ライン3Fから仕切り部材342へ検体ラックLが移送される際に、検体ラックLが仕切り部材342の角部等に引っ掛かって移送が妨げられるようなことがなく、検体ラックLの移送が円滑に行われる。
【0046】
仕切り部材342は前記基準位置P0から上方へ移動され、基準位置P0より上方の第1突出位置P1に平面部342aが位置するように位置決めされる。図8Bには、仕切り部材342の第1突出位置P1を示している。この第1突出位置P1に仕切り部材342があるときには、仕切り部材342が搬送ライン3F及び帰還ライン3Rのそれぞれの上面から突出している。分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLが搬送ライン3Fによって後段の装置へ搬送されるときには、仕切り部材342が第1突出位置P1に位置決めされ、ラック送込部34bが前方へ移動されることにより、分析後ラック保持部34に保持された検体ラックLが、搬送ライン3Fに移送される。ここで仕切り部材342が搬送ライン3Fの上面よりも上方に突出しているため、検体ラックLが仕切り部材342を越えて帰還ライン3Rへ搬送されることはない。また、このとき搬送停止部348は搬送ライン3Fの上面よりも低い位置にあり、搬送ライン3Fによる検体ラックLの搬送が搬送停止部348により妨げられることはない。さらに、仕切り部材342が搬送ライン3Fの上面よりも上方に突出しているため、検体ラックLが搬送ライン3Fにより搬送されるときに、仕切り部材342により検体ラックLが搬送ライン3Fから外れることが抑制される。
【0047】
仕切り部材342は前記第1突出位置P1からさらに上方へ移動され、第1突出位置P1より上方の第2突出位置P2に平面部342aが位置するように位置決めされる。図8Cには、仕切り部材342の第2突出位置P2を示している。この第2突出位置P2に仕切り部材342があるときには、仕切り部材342が搬送ライン3F及び帰還ライン3Rのそれぞれの上面から突出しており、また搬送停止部348が搬送ライン3Fの上面より高い位置にある。このため、搬送ライン3Fにより検体ラックLが搬送されたときでも、検体ラックLの搬送が搬送停止部348により妨げられ、検体ラックLが搬送停止部348よりも搬送方向下流側へ搬送されることがない。
【0048】
上記のような構成の搬送機構31は、主として制御部32によって制御される。制御部32は、CPU、ROM、及びRAM等から構成されており、ROMに格納された搬送機構31の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部32は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット54及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0049】
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送ユニット4が配置されている。この検体搬送ユニット4は、その右側端が、3つの検体搬送ユニット3a,3b,3cの内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送ユニット3cと接続されている。
【0050】
図9は、検体搬送ユニット4の構成を示す平面図である。検体搬送ユニット4は、検体を搬送する搬送機構41と、搬送機構41を制御する制御部42とを備えている。搬送機構41は、塗抹標本の作製が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理前ラック保持部43と、塗抹標本作製装置6によって検体が吸引された検体容器Tを保持する検体ラックLを一時的に保持することが可能な処理後ラック保持部44と、搬送上流側の検体搬送ユニット3cから検体ラックLを搬入し、当該検体ラックLをX1方向へ搬送する搬送ライン3F(第1搬送路)と、検体の塗抹標本の作製が完了した検体ラックLを検体投入回収装置2に回収させるために、搬送上流側の検体搬送ユニット3cへと当該検体ラックLを搬出する帰還ライン3R(第2搬送路)と、検体を塗抹標本作製装置6に供給するために、検体ラックLをX1方向へ水平に直線移動させ、処理前ラック保持部43から受け付けた検体ラックLを処理後ラック保持部44へ搬送する測定ライン3M(第3搬送路)と、を備えている。また、搬送ライン3F421と帰還ライン3Rとの間であって、処理後ラック保持部44の前方の位置には、仕切り部材442を有する仕切り部441が設けられている。さらに、仕切り部441の前方には、帰還ライン3Rを挟んで仕切り部441と対向する壁部46が設けられている。なお、検体搬送装置4は、構成部品の大きさ、形状及び位置が検体搬送ユニット3a,3b,3cと異なっているが、機能は同様であるので、その構成についての説明を省略する。
【0051】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51,52,53と、測定ユニット51,52,53から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット54とを備えている。
【0052】
図10は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図10に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送ユニット3aの測定ライン3Mによって搬送された検体ラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、検体ラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0053】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0054】
試料調製部512は、複数の反応チャンバ(図示せず)を備えている。また、試料調製部512は、図示しない試薬容器に接続されており、染色試薬、溶血剤、及び希釈液等の試薬を反応チャンバに供給することが可能である。試料調製部512は、検体吸引部511の吸引管とも接続されており、吸引管により吸引された血液検体を反応チャンバに供給することが可能である。かかる試料調製部512は、反応チャンバ内で検体と試薬とを混合撹拌し、検出部513による測定用の試料(測定試料)を調製する。
【0055】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能である。このシースフローDC検出法によるRBC及びPLTの検出においては、検体と希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりRBC数及びPLT数の計数が行われる。また、検出部513は、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であり、WBC(白血球)の検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。この検出部513では、検体と、溶血剤と、希釈液とが混合された測定試料の測定が行われ、これにより得られた測定データを情報処理ユニット54が解析処理することによりWBC数の計数及びWBCの5分類が行われる。
【0056】
測定ユニット52及び53は、測定ユニット51と同様の構成であり、検体吸引部、試料調製部、検出部、及び検体容器搬送部を備えている。
【0057】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0058】
図11は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図11に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0059】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送ユニット4の測定ライン3M上を搬送された検体ラックLの検体容器Tの蓋部CPに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0060】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。
【0061】
[検体処理装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体処理装置1の動作について説明する。
【0062】
検体処理装置1による検体処理を開始する場合には、検体処理の開始の指示を検体処理装置1に与える。この状態で検体ラックLが検体投入ユニット21に投入されると、検体ラックLは、前処理ユニット22へ送出される。この検体ラックLに保持された各検体容器Tの検体ID及び当該検体ラックLのラックIDが前処理ユニット22によって読み取られる。検体投入回収装置2は、読み取ったラックID、保持位置及び検体IDをシステム制御装置8へ送信する。ラックID、保持位置及び検体IDを受信したシステム制御装置8は、検査情報管理装置9へ測定オーダの問い合わせを行い、ラックID、保持位置及び検体IDに対応付けて測定オーダを記憶する。また、システム制御装置8は、記憶した測定オーダ及び測定ユニット51,52,53の稼動状況に応じて検体ラックLの搬送先をリアルタイムに更新する。そして、検体ラックLは、前処理ユニット22から検体搬送ユニット3aに搬送される。
【0063】
検体ラックLを搬入した検体搬送ユニット3aは、その検体ラックLの搬送先が、当該検体搬送ユニット3aに対応する測定ユニット51であれば、搬送ライン3Fから分析前ラック保持部33へ検体ラックLを移送する。一方、搬送先が搬送方向下流側の検体搬送ユニット3b,3c,4に対応する測定ユニット52,53又は塗抹標本作製装置6である場合には、仕切り部材342が位置P1に移動された後、搬送ライン3Fによって検体ラックLが搬送され、そのまま後段の検体搬送ユニット3bへと当該検体ラックLが搬出される。
【0064】
検体ラックLが分析前ラック保持部33に移送された後、検体ラックLは、分析前ラック保持部33から測定ライン3Mへ搬送される。検体ラックLは、さらに測定ライン3Mによって検体供給位置35cへ搬送され、検体ラックLに保持されている検体容器Tは、測定ユニット51によって測定される。検体ラックLに保持されている全ての検体について測定が完了すると、検体ラックLが測定ライン3Mによって分析後ラック送出位置391に移送され、さらにラック送出部39によって分析後ラック保持部34へ移送される。
【0065】
検体ラックLが分析後ラック保持部34に移送された後における検体搬送ユニット3aの動作について、図面にしたがって説明する。図12は、本実施の形態に係る検体搬送ユニット3aのラック搬送動作の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8は、検体搬送ユニット3a,3b,3c,4と通信を行い、検体ラックの搬送状況をリアルタイムで更新している。分析後ラック保持部34に保持されている検体ラックLの搬送先が決まっていない場合、例えば、測定ユニット51による測定の結果が取得されておらず、その結果によっていずれかの測定ユニット51での再検査が必要となる場合には、システム制御装置8は検体搬送ユニット3a,3b,3c,4に対して搬送の待機を指示するデータ(待機指示データ)を送信する。一方、検体ラックLの搬送先が決まった場合、システム制御装置8は検体搬送ユニット3a,3b,3c,4に対して搬送先を指示するデータ(搬送指示データ)を送信する。検体搬送ユニット3a(3b,3c,4)の制御部32は、システム制御装置8から待機指示データ又は搬送指示データを受信すると、図12に示す処理を開始する。
【0066】
検体搬送ユニット3aの制御部32は、受信データに基づいて、システム制御装置8から搬送待機の指示が与えられたか否かを判定する(ステップS1)。受信データが待機指示データの場合、即ち、システム制御装置8から検体ラックLの搬送待機の指示が与えられた場合には(ステップS1においてYES)、制御部32は、仕切り部材342を位置P2に移動させる(ステップS2)。その後、制御部32は、搬送先の指示が与えられたか否かを判定する(ステップS3)。ここで搬送先の指示が与えられなければ、つまり搬送指示データがシステム制御装置8から送信されない場合には(ステップS3においてNO)、制御部32は、搬送先の指示が与えられるまでステップS3の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS1において受信データが待機指示データでない場合、即ち、受信データが搬送指示データである場合(ステップS1においてNO)、又はステップS3においてシステム制御装置8から搬送先の指示が与えられた場合には(ステップS3においてYES)、制御部32は、搬送先が検体回収ユニット23であるか、搬送方向下流側の装置であるかを判定する(ステップS4)。搬送先が検体回収ユニット32の場合には(ステップS4において「回収部」)、搬送機構31を駆動制御し、仕切り部材342を位置P0に移動させ、さらに検体ラックLを分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rへ移送した後、仕切り部材342を位置P1に移動させ、帰還ライン3Rにより当該検体ラックLを上流側(X2方向)へ搬送し(ステップS5)、処理を終了する。このとき、検体ラックLは分析後ラック保持部34、搬送ライン3F、及び仕切り部材342の上面をスライドし、分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rへ移送される。また、搬送ライン3Fから帰還ライン3Rへ検体ラックLが移送される際、ガイド部349a,349bの間を検体ラックLが通過することにより、検体ラックLの移動が案内される。また、検体ラックLが帰還ライン3Rに移送された後に仕切り部材342を位置P1に移動させることで、帰還ライン3Rによって搬送される検体ラックLは、位置P1にある仕切り部材342と壁部36とによって挟まれ、帰還ライン3Rから外れることが防止される。
【0068】
一方、ステップS4において搬送先が搬送方向下流側の装置である場合には(ステップS4において「下流の装置」)、制御部32は搬送機構31を駆動制御し、仕切り部材342を位置P1に移動させ、さらに検体ラックLを分析後ラック保持部34から搬送ライン3Fへ移送し、搬送ライン3Fにより当該検体ラックLを下流側(X1方向)へ搬送し(ステップS6)、処理を終了する。このように仕切り部材342を位置P1に移動させることで、搬送ライン3Fによって搬送される検体ラックLは、位置P1にある仕切り部材342によって片側をサポートされ、搬送ライン3Fから外れることが抑制される。
【0069】
上記の如き構成とすることにより、仕切り部材342,442が基準位置P0より上方の第1突出位置P1にあるときには、検体ラックLが搬送ライン3F及び帰還ライン3Rにより搬送される場合に搬送ライン3F及び帰還ライン3Rから外れることが抑制される。また、仕切り部材342,442が基準位置P0にあるときには、検体ラックLを搬送ライン3Fから帰還ライン3Rへ移送することが可能となり、検体ラックLを効率的に検体投入回収装置2へ回収することができる。
【0070】
また、仕切り部材342が基準位置P0にあるときには、仕切り部材342の上面の高さが、搬送ライン3F及び帰還ライン3Rの上面の高さと実質的に同一となるため、検体ラックLを搬送ライン3F、仕切り部材342、及び帰還ライン3Rの上面を円滑にスライドさせることができる。よって、分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rへ検体ラックLを押動可能なラック送込部34bを設けておけば、複雑な構成を必要とせずに検体ラックLを分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rへ移動させることができる。
【0071】
また、仕切り部材342の両端には、ガイド部349a,349bが設けられており、検体ラックLを分析後ラック保持部34から帰還ライン3Rへ移動させるときに、検体ラックLがガイド部349a,349bの間を通ることとなるので、ガイド部349a,349bにより検体ラックLの移動が案内され、検体ラックLの移送経路上における引っ掛かり等の移送不良を防止することができる。
【0072】
また、仕切り部材342に搬送停止部348を設けたため、検体ラックLを搬送ライン3Fにおいて搬送する準備が完了していないとき、又は搬送する必要がないときに、搬送ライン3Fにおける検体ラックLの搬送が搬送停止部348により確実に妨げられ、検体ラックLが搬送停止部348よりも搬送方向下流側へ搬送されることがない。
【0073】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、仕切り部材342,442を、基準位置P0、第1突出位置P1及び第2突出位置P2の3つの位置に移動させることが可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体ラックLを分析後ラック保持部34,44から帰還ライン3Rへ移動させるときの基準位置P0と、検体ラックLを搬送ライン3FによってX1方向へ搬送するときの第1突出位置P1の2位置において移動可能な構成としてもよい。
【0074】
また、上述した実施の形態においては、仕切り部材342に搬送停止部348が取り付けられ、仕切り部材342と搬送停止部348とが一体的に移動する構成について述べたが、これに限定されるものではない。搬送停止部を仕切り部材とは別個に設け、仕切り部材と搬送停止部とをそれぞれ独立して移動可能な構成としてもよい。この場合、仕切り部材を上記のように2位置において移動可能とし、仕切り部材が搬送ライン3F及び帰還ライン3Rの上面から突出した位置(第1突出位置P1)にあるときに、搬送ライン3Fにおける他の検体ラックLの搬送状況に応じて搬送停止部を搬送ライン3F上に進退させる構成としてもよいし、仕切り部材を上記の実施の形態と同様に3位置において移動可能とし、仕切り部材の移動と連動して搬送停止部を移動させ、仕切り部材が第2突出位置P2にあるときには搬送停止部が搬送ライン3Fの上面よりも上側に突出し、仕切り部材が基準位置P0又は第1突出位置P1にあるときには搬送停止部が搬送ライン3Fの上面よりも下側に位置するようにしてもよい。
【0075】
また、上述した実施の形態においては、仕切り部材342によって、搬送ライン3Fによって搬送される検体ラックL及び帰還ライン3Rによって搬送される検体ラックLが両方のラインから外れることを抑制しているが、これに限定されるものではない。仕切り部材342によって、搬送ライン3Fによって搬送される検体ラックLのみが外れることを抑制してもよいし、帰還ライン3Rによって搬送される検体ラックLのみが外れることを抑制してもよい。また、搬送ライン3Fによって搬送される検体ラックLのみが外れることを抑制する仕切り部材と、帰還ライン3Rによって搬送される検体ラックLのみが外れることを抑制する仕切り部材とを別個に設けてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態においては、仕切り部材342が搬送ライン3Fと帰還ライン3Rとの間に設けられ、検体ラックLが搬送ライン3Fから帰還ライン3Rに移送される構成について述べたが、仕切り部材342が搬送ライン3Fと帰還ライン3Rとの間に設けられ、検体ラックLが帰還ライン3Rから搬送ライン3Fに移送される構成としてもよいし、仕切り部材342が測定ライン3Mと搬送ライン3Fとの間に設けられる構成としてもよい。
【0077】
なお、上述した実施の形態においては、測定ライン3Mの検体供給位置35cにある検体容器Tを測定ユニット51,52,53内に取り込み、かかる検体容器Tから検体が吸引される構成について述べたが、測定ユニット51,52,53が、測定ライン3M上の検体ラックLに保持されたままの検体容器Tから直接検体を吸引する構成としてもよい。
【0078】
また、上述した実施の形態においては、検体搬送装置3がそれぞれ独立した検体搬送ユニット3a,3b,3c,4によって構成されているものについて説明したが、これに限定されるものではない。一体不可分な構成の検体搬送装置が測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6の前側に配置され、これによって各測定ユニット51,52,53及び塗抹標本作製装置6へ検体ラックLが搬送される構成としてもよい。この場合、1つの搬送ラインと1つの帰還ラインとが並行に設けられ、搬送ラインと帰還ラインとの間に上下移動可能な一又は複数の仕切り部材が設けられる。
【0079】
また、上述した実施の形態においては、検体処理装置1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5及び塗抹標本を作製する塗抹標本作製装置6を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理装置が、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の臨床検体分析装置を備え、かかる臨床検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態においては、血液分析装置5が3つの測定ユニット51,52,53及び情報処理ユニット54を備えた構成について述べたが、これに限定されるものではない。測定ユニットは1つでも複数でもよく、測定ユニットと情報処理ユニットとが一体的に構成されていてもよい。また、情報処理ユニット54によって測定ユニット51,52,53の機構の制御を行うのではなく、それぞれの測定ユニットがCPU及びメモリ等からなる制御部を備え、これらの制御部によって各測定ユニットの制御が行われ、それぞれの測定ユニットによって得られた測定データを情報処理ユニットが処理して検体の分析結果を生成する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の検体処理装置及び検体の搬送装置は、検体を搬送し、搬送された検体を処理する検体処理装置及び検体の搬送装置として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 検体処理装置
2 検体投入回収装置
21 検体投入ユニット
22 前処理ユニット
23 検体回収ユニット
3 検体搬送装置
3a,3b,3c,4 検体搬送ユニット
3F 搬送ライン
3R 帰還ライン
3M 測定ライン
31 搬送機構
32 制御部
33 分析前ラック保持部
34 分析後ラック保持部
341 仕切り部
342,442 仕切り部材
343 支持部材
344 連結部材
345 ステッピングモータ
348 搬送停止部
349a,349b ガイド部
35c 検体供給位置
5 血液分析装置
51,52,53 測定ユニット
511 検体吸引部
512 試料調製部
513 検出部
54 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
9 検査情報管理装置
L 検体ラック
T 検体容器
P0 基準位置
P1 第1突出位置
P2 第2突出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を保持した検体ラックを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送された検体ラックに保持された検体を処理する検体処理部と、
を備え、
前記搬送装置は、
検体ラックを搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第2搬送路と、
検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動させるラック移動機構と、
前記第1搬送路及び前記第2搬送路の間に上下方向へ移動可能に設けられ、所定位置にあるときには前記検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を許可し、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路の少なくとも一方によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する仕切り部材と、
前記仕切り部材を上下移動させる駆動源と、
を具備する検体処理装置。
【請求項2】
前記ラック移動機構は、前記仕切り部材が前記所定位置にあるときに、前記検体ラックを前記仕切り部材の上面においてスライドさせることにより、前記検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路へ移動させるように構成されている、請求項1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
前記仕切り部材は、前記仕切り部材が前記所定位置にあるときに検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を案内するガイド部を具備する、請求項1又は2に記載の検体処理装置。
【請求項4】
前記仕切り部材は、前記仕切り部材が前記所定位置から上方へ移動したときに前記第1搬送路及び前記第2搬送路の少なくとも一方において搬送される検体ラックを停止させる搬送停止部を備える、請求項1乃至3の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項5】
前記仕切り部材は、前記第1搬送路及び前記第2搬送路によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する第1突出位置及び当該第1突出位置よりも上側に位置する第2突出位置に移動可能であり、
前記搬送停止部は、前記仕切り部材が前記第1突出位置にあるときには検体ラックを停止させず、前記仕切り部材が前記第2突出位置に位置するときには検体ラックを停止させるように構成されている、請求項4に記載の検体処理装置。
【請求項6】
前記搬送装置は、前記第2搬送路を挟んで前記仕切り部材に対向して設けられ、前記第2搬送路上を搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する抑制壁をさらに備える、請求項1乃至5の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項7】
前記ラック移動機構は、一方向にのみ検体ラックを移動可能に構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置は、前記第1搬送路及び前記第2搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第3搬送路をさらに備える、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項9】
前記第3搬送路は、検体を前記検体処理部に供給するための検体供給位置を経由する搬送路であり、
前記第1搬送路は、前記検体供給位置を経由せず、前記第3搬送路による搬送方向と同方向に検体ラックを搬送する搬送路である、請求項8に記載の検体処理装置。
【請求項10】
前記検体処理部による処理が終了した検体を保持した検体ラックを回収する回収部をさらに備え、
前記第2搬送路は、前記検体処理部による処理が終了した検体を保持し、前記回収部に回収される検体ラックを搬送する、請求項8又は9に記載の検体処理装置。
【請求項11】
前記第2搬送路は、所定の第1方向に検体を搬送する搬送路であり、前記第3搬送路は、前記第1方向とは逆方向の第2方向に検体を搬送する搬送路である、請求項10に記載の検体処理装置。
【請求項12】
検体ラックを前記第2搬送路に移動させる場合には、前記検体ラックが前記仕切り部材を通過するときに前記仕切り部材が前記所定位置にあるように、前記駆動源による前記仕切り部材の上下移動を制御する制御部をさらに備える、請求項8乃至11の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、検体ラックを前記第1搬送路に移動させる場合には、前記仕切り部材が前記所定位置より上方にあるように、前記駆動源による前記仕切り部材の上下移動を制御する、請求項12に記載の検体処理装置。
【請求項14】
前記仕切り部材は、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路よって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制するように構成されている、請求項1乃至13の何れかに記載の検体処理装置。
【請求項15】
検体ラックを搬送する第1搬送路と、
前記第1搬送路と並行して設けられ、検体ラックを搬送する第2搬送路と、
検体ラックを前記第1搬送路から前記第2搬送路に移動させるラック移動機構と、
前記第1搬送路及び前記第2搬送路の間に上下方向へ移動可能に設けられ、所定位置にあるときには前記検体ラックの前記第1搬送路から前記第2搬送路への移動を許可し、前記所定位置から上方へ移動したときには前記第1搬送路及び前記第2搬送路によって搬送される検体ラックが搬送路から外れることを抑制する仕切り部材と、
前記仕切り部材を上下移動させる駆動源と、
を備える搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−69731(P2011−69731A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221210(P2009−221210)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】