説明

検体判定装置

【課題】複数の検体容器内の検体の判定を効率的に行うことができる検体判定装置を提供する。
【解決手段】複数の検体容器が一列に立てられた検体ラックを載置する検体ラック載置部と、前記検体ラック載置部を、前記検体ラックに立てられた前記検体容器の列の方向に直交する水平線回りに所定の角度に傾斜させる傾斜部12と、前記検体ラックに立てられた前記検体容器にX線を照射する照射部6と、前記照射部により前記検体容器に照射されたX線を検出する検出部7と、前記検出部による検出結果に基づいて前記検体容器内の検体の液面の角度を判定する液面判定部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器内の検体の凝固と検体量を判定する検体判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液試料を収容する検体容器を撮像し、撮像画像に基づいて検体容器内の血液試料が凝固しているか否かを判定する血液試料分析装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。この血液試料分析装置においては、試料容器傾倒機構により傾斜させた検体容器を撮像し、撮像画像における検体容器内の血液試料の液面から突出する凝集塊の有無に基づいて、検体容器内の血液試料の凝固の判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−38657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の血液試料分析装置においては、検体ラックに配列された検体容器を1本ずつ取り出して凝固の判定を行う必要があるため、複数の検体容器内の血液試料の凝固の判定を効率的に行うことは困難であった。また、検体容器にはラベルが貼付されることが多く、検体容器の全周にラベルが貼付された場合には、検体容器の外観から凝固や検体量の判定を行うことは非常に困難であった。
【0005】
本発明は、複数の検体容器内における検体の凝固と検体量の判定を効率的に行うことができる検体判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検体判定装置は、複数の検体容器が一列に立てられた検体ラックを載置する検体ラック載置部と、前記検体ラック載置部を、前記検体ラックに立てられた前記検体容器の列の方向に直交する水平線回りに所定の角度傾斜させる傾斜部と、前記検体ラックに立てられた前記検体容器にX線を照射する照射部と、前記照射部により前記検体容器に照射されたX線を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記検体容器内の検体の液面の角度を判定する液面判定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の検体判定装置は、前記液面判定部が前記検体容器内の前記検体の液面角度から前記検体の液面上部の水平異常を検出し、前記検体の凝固を判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の検体判定装置は、前記液面判定部が更に前記液面の位置を判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の検体判定装置は、前記液面判定部は、前記液面の位置の判定により、前記検体の液面上部が所定の許容範囲内か否かを検出し、前記検体の量を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の検体判定装置は、前記検体ラック載置部が前記検体ラックを移動させ、前記検体ラックに立てられた前記検体容器を順次前記照射部と前記検出部の間に位置させる移動部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の検体判定装置は、前記移動部が前記検体ラックを移動させるコンベア及び前記検体ラックを静止させるラック止めを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検体判定装置によれば、複数の検体容器内の検体の判定を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る検体判定装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る検体判定処理を示す図である。
【図3】実施形態に係る検体判定処理を示す図である。
【図4】実施形態に係る検体判定処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る検体判定装置ついて説明する。図1は、実施形態に係る検体判定装置のシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように、検体判定装置2は、検体判定装置2の各部を統括的に制御する制御部4を備えている。制御部4には、X線を照射するX線照射部6とX線照射部6から照射されたX線を検出するX線検出部7とを備えるX線アナライザ8、検体容器22が配列された検体ラック24が載置される検体ラック載置部30に設けられているコンベア32(図2及び図3参照)を駆動させるコンベア駆動部10、検体ラック載置部30を所定の角度傾斜させる回転駆動部12、ネットワークを介して接続されたホストコンピュータ16との間で行われる通信を制御する通信制御部14が接続されている。ここで、コンベア32には、コンベア32に載置された検体ラック24を搬送するためのコンベアベルト32aが設けられ、コンベアベルト32aの表面には、検体ラック24を静止させる矩形状のラック止め32bが設けられている。
【0015】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の実施形態に係る検体判定装置2による検体ラック24の搬送及び検体容器22内の検体の判定について説明する。先ず図2(a)に示すように、検体容器22が一列に10本の立てられた検体ラック24が、搬送コンベア20aにより検体ラック載置部30まで搬送される。制御部4は、図2(b)に示すように、検体ラック24が検体ラック載置部30に載置されると、コンベア駆動部10によりコンベア32を駆動させ、検体ラック24の先端面24aがX線アナライザ8の付近に位置するように検体ラック24を搬送する。なお、コンベア駆動部10によりコンベア32が駆動される際にラック止め32bが検体ラック24の後方に移動する。
【0016】
制御部4は、検体ラック24がX線アナライザ8の付近に位置すると、コンベア駆動部10による駆動を一時停止し、図2(c)に示すように、回転駆動部12により検体ラック載置部30を検体ラック24に立てられた検体容器22の列の方向に直行する水平線回りに所定の角度α傾斜させる。検体ラック載置部30を角度α傾斜させたことにより、検体ラック24の位置がコンベア32の傾斜した方向に下がるように移動した場合には、ラック止め32bにより検体ラック24が静止する。ここで、X線アナライザ8は、検体ラック載置部30が角度α傾斜した状態で検体ラック24に配列される検体容器22内の検体の液面の判定を行うことができるように、水平面に対して所定の角度傾斜した状態で設置されている。また、図2(c)及び図4においては、X線アナライザ8のX線照射部6のみを示しているが、X線照射部6とX線検出部7は、検体ラック載置部30を挟んだ位置に対向して配置されている。
【0017】
制御部4は、検体ラック載置部30が角度α傾斜した状態でコンベア駆動部10を駆動し検体ラック24を搬送し、X線アナライザ8により検体ラック24に配列されている検体容器22の1本ずつに対して順に検体の液面の判定を行う。
【0018】
例えば、図4に示す検体ラック24に配列された各検体容器22a〜22jのそれぞれに対して検体の液面の判定を行う場合には、先ず制御部4は、コンベア駆動部10によりコンベア32を駆動させ、検体容器22aをX線照射部6とX線検出部7の間に位置するように検体ラック24を搬送する。また、X線照射部6により検体容器22aに対してX線を照射し、X線検出部7により検体容器22aを透過したX線を検出する。
【0019】
制御部4は、検体容器22aに対して照射したX線の検出結果に基づいて検体容器22a内の検体の液面の角度及び位置を判定する。具体的には、検体の液面上部が水平である場合には検体が凝固していない、検体の液面上部が水平でない場合、即ち水平異常である場合には検体が凝固している(完全凝固)と判定する。また、検体の液面の位置の判定により、検体容器22a内の検体の液面上部が所定の許容範囲内に位置する場合には正常、所定の許容範囲外であり所定の量を上回る場合には過多、所定の許容範囲外であり所定の量を下回る場合には過少であるとして検体の量を判定する。検体容器22aの場合には、検体容器22a内の検体は凝固しておらず検体の量は正常と判定する。
【0020】
制御部4は、検体容器22aについて検体の液面の判定を終了すると、コンベア駆動部10によりコンベア32を駆動させ検体容器22b〜22jを順次X線照射部6とX線検出部7の間に位置するように検体ラック24を搬送する。ここで、検体容器22aに対する液面の判定と同様に、X線アナライザ8により検体容器22b〜22jに対して検体の液面の判定を行う。この場合には、検体容器22bについては、検体容器22b内の検体は凝固しておらず、検体の量は過少と判定される。検体容器22c,22dについては、検体容器22c,22d内の検体は凝固しておらず、検体の量は正常と判定される。検体容器22eについては、検体容器22e内の検体は凝固しておらず、検体の量は過多と判定される。検体容器22fについては、検体容器22f内の検体は完全凝固であると判定される。検体容器22g〜22jについては、検体容器22g〜22j内の検体は凝固しておらず、検体の量は正常と判定される。
【0021】
制御部4は、図3(a)に示すように、検体ラック24内の全ての検体容器22について判定が終了すると、通信制御部14により判定の結果をホストコンピュータに送信する。また、回転駆動部12により検体ラック載置部30を検体ラック24に立てられた検体容器22の列の方向に直行する水平線回りに角度−α傾斜させ、検体ラック載置部30を元の状態に戻す。また、図3(b)に示すように、コンベア駆動部10によりコンベア32を駆動させ、検体ラック24を搬送コンベア20bまで搬送する。そして、図3(c)に示すように、検体ラック24は搬送コンベア20bにより次の工程に搬送される。
【0022】
本発明の実施形態に係る検体判定装置によれば、複数の検体容器内の検体の判定を効率的に行うことができる。また、X線を用いて検体容器内の検体の判定を行っているため、検体容器内の検体の状態が視認できない場合でも検体容器内の検体の判定を行うができる。
【符号の説明】
【0023】
2…検体判定装置、4…制御部、6…X線照射部、7…X線検出部、8…X線アナライザ、10…コンベア駆動部、12…回転駆動部、22…検体容器、24…検体ラック、30…検体ラック載置部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体容器が一列に立てられた検体ラックを載置する検体ラック載置部と、
前記検体ラック載置部を、前記検体ラックに立てられた前記検体容器の列の方向に直交する水平線回りに所定の角度傾斜させる傾斜部と、
前記検体ラックに立てられた前記検体容器にX線を照射する照射部と、
前記照射部により前記検体容器に照射されたX線を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記検体容器内の検体の液面の角度を判定する液面判定部と
を備えることを特徴とする検体判定装置。
【請求項2】
前記液面判定部は、前記検体容器内の前記検体の液面角度から前記検体の液面上部の水平異常を検出し、前記検体の凝固を判定することを特徴とする請求項1記載の検体判定装置。
【請求項3】
前記液面判定部は、更に前記液面の位置を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の検体判定装置。
【請求項4】
前記液面判定部は、前記液面の位置の判定により、前記検体の液面上部が所定の許容範囲内か否かを検出し、前記検体の量を判定することを特徴とする請求項3記載の検体判定装置。
【請求項5】
前記検体ラック載置部は、前記検体ラックを移動させ、前記検体ラックに立てられた前記検体容器を順次前記照射部と前記検出部の間に位置させる移動部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の検体判定装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記検体ラックを移動させるコンベア及び前記検体ラックを静止させるラック止めを備えることを特徴とする請求項5に記載の検体判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−252854(P2011−252854A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128225(P2010−128225)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(390037006)株式会社エスアールエル (29)
【Fターム(参考)】