説明

検体検査システムおよび検体検査方法

【課題】検体検査システムにおいて検体容器の数や検体の検査工程が増大しても、大規模なシステム構築を行うことなく検体や核酸検査に関する情報を容易に管理することができるようにする。
【解決手段】容器3を収容する収容部と無線タグ2とを有する容器パレット1と、核酸検査装置12Aと、容器パレット1を定位置に配置するパレット配置部14bと、無線タグ2と無線通信を行って無線タグ2に記憶された情報を核酸検査装置12Aに伝達し検査結果データを無線タグ2に伝達して記憶させるRIFDリーダー・ライター7と、無線タグ2から検査結果データを収集するデータ収集装置と、を備え、無線タグ2は、収容部の位置情報と、容器3を位置情報に関連付けて特定する容器識別情報と、核酸検査の検査条件情報と、容器識別情報に関連付けられた核酸検査の検査結果情報とを記憶する記憶領域を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸検査における検体検査システムおよび検体検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者等の被検者から検体を採取して核酸検査を行う場合、被検者の識別IDが貼付されたチューブ等の容器に採取し、複数の容器を容器パレットに収容し検査装置が設置された検査室に搬送して検査を行う。検査結果は、容器に付与された識別IDが記載された検査結果シートに出力されたり、識別IDに関連付けられたデータベースに記録されたりする。
近年の医療機関や検査機関では、クライアント・サーバー・システム(以下、CSシステムと略称する)を構築し、サーバー上に、例えば患者情報を記憶するカルテ情報データベースを設け、検査室に設置されたクライアント端末を通して検査結果をカルテ情報データベースに記録し、例えば診療室などの他の場所に配置されたクライアント端末から参照できるようにしている場合がある。
例えば、特許文献1には、クライアント端末と、医療施設に紹介する患者の診療情報提供書を出力する電子カルテ端末と、前記患者の検査に係る医療データを管理する管理サーバと、前記医療データを可搬型媒体に出力する出力装置とが通信ネットワークを介してデータ通信可能に接続された診療情報提供システムであって、前記電子カルテ端末が出力する前記診察情報提供書は、前記出力装置が出力すべき医療データを識別する識別情報を含み、前記クライアント端末は、前記診察情報提供書に含まれる前記識別情報を取得する取得手段と、通信手段と、前記取得手段によって取得された識別情報を前記管理サーバに対して前記通信手段に送信させる制御手段と、を備え、前記管理サーバは、前記医療データと当該医療データを識別する識別情報とが対応付けられたテーブルを記憶する記憶手段と、通信手段と、前記記憶手段に記憶されたテーブルに格納された識別情報と前記通信手段を介して前記クライアント端末から受信した識別情報とに基づいて前記医療データを出力するか否かを判断し、出力すると判断した場合、前記クライアント端末から受信した識別情報と対応する医療データを前記出力装置に出力させる制御手段と、を備えることを特徴とする診療情報提供システムが記載されている。
この診療情報提供システムでは、診療情報提供書にバーコード化された患者IDが設定され、バーコードリーダーで患者IDを読み取ることにより、テーブルの作成や入出力操作が行われる。
また、特許文献2には、検体が検査されるまでの途中工程を検証して、信頼性の高い検査結果を提供する検体管理システムであって、検体容器に固定され、固有情報が記録された非接触記録媒体と、検体内容の区分や、被験者のIDを前記非接触記録媒体に記録する医療機関端末に接続された検体関連情報読取り書込み装置と、分析センターの検体検査装置と、第1の保管状況情報、搬送中の搬送状況情報、第2の保管状況情報の少なくとも1つを前記非接触記録媒体に無線で記録する保管状況情報記録装置と、前記検体検査装置から各検体の検査結果を収集し、検査結果情報に前記固有情報または、および被験者IDを添付して検体情報を保管する検体情報管理装置と、を有することを特徴とする検体管理システムが記載されている。
この検体管理システムでは、非接触記録媒体としてRFIDタグを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−072675号公報
【特許文献2】特開2005−106667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の検体検査システムには以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、CSシステムによって検査データを管理するため、各検査室にLANケーブルを設置したりクライアント端末を配置したりする必要がある。このような検体検査システムは大規模なシステムとなって設置や維持のために多大のコストがかかるという問題がある。また、検査装置の変更、追加、検査室の変更などに迅速に対応しにくいという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、検体を収容する容器のRFIDタグに対して容器の識別情報や保管状況情報等の情報を無線によって読み書きできるため、個々の検体に対する情報入出力が容易となるものの、容器ごとにRFIDタグを設けたり、RFIDタグの識別IDに患者情報等を関連付けたりする作業が発生する。
実際の核酸検査では、検体を複数の容器に分注して多くの工程を有する複数種類の検査が行われることが多いため、1つの検体に関連付けるべき容器の数も多くなる。このため、容器の準備作業の手間が膨大になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、検体容器の数や検体の検査工程が増大しても、大規模なシステム構築を行うことなく検体や核酸検査に関する情報を容易に管理することができる検体検査システムおよび検体検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、核酸検査に用いる複数の検体容器を位置決めして収容する複数の収容部と、少なくとも一部が書き換え可能とされた記憶部および該記憶部に対して情報の読み書きを行う無線通信部を有する無線タグと、を有する容器パレットと、前記核酸検査を行う核酸検査装置と、該核酸検査装置との間で前記検体容器を授受するために前記容器パレットを定位置に配置するパレット配置部と、該パレット配置部に配置された前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶された情報を前記核酸検査装置に伝達するとともに、前記核酸検査装置による検査結果データを前記無線タグに伝達して記憶させる無線通信装置と、検査後の前記容器パレットの前記無線タグから前記検査結果データを収集するデータ収集装置と、を備え、前記無線タグの前記記憶部は、前記複数の収容部の前記容器パレット上における位置情報と、前記複数の収容部に収容された前記検体容器を前記位置情報に関連付けて特定する容器識別情報と、前記複数の検体容器を用いる前記核酸検査の検査条件情報と、前記容器識別情報に関連付けられた前記核酸検査の検査結果情報とを記憶する記憶領域を有する構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の検体検査システムにおいて、前記核酸検査装置は、前記パレット配置部に配置された前記容器パレットに対して前記検体容器を出し入れする容器搬送ロボットを備え、該容器搬送ロボットは、前記無線通信装置から伝達された前記無線タグに記憶された情報に基づいて、前記検体容器の出し入れを行う構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の検体検査システムにおいて、前記データ収集装置は、前記核酸検査装置が設けられた検査室とは別室に設けられたデータ収集室に配置され、検査後に前記検査室から前記データ収集室に移動された前記容器パレットから前記検査結果データの収集を行う構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体検査システムにおいて、前記核酸検査装置および前記パレット配置部が複数組設けられ、該複数組がそれぞれ異なる検査室に分散して配置された構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体検査システムにおいて、前記データ収集装置は、入力端末、表示端末、出力装置、および記憶装置の少なくともいずれかとデータ通信可能な有線通信ネットワークに接続された構成とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体検査システムにおいて、前記複数の検体容器が収容された前記容器パレットの前記無線タグの前記記憶部の前記記憶領域の情報を初期設定する初期設定装置を有する検査準備室を備える構成とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、検体検査方法において、核酸検査に用いる複数の検体容器を複数の収容部を有する容器パレットに位置決めして収容する検体容器収容工程と、前記容器パレットに設けられ、少なくとも一部が書き換え可能とされた記憶部と該記憶部に対して情報の読み書きを行う無線通信部とを有する無線タグの前記記憶部に、前記容器パレットを識別するパレット識別情報と、前記複数の収容部の前記容器パレット上における位置情報と、前記複数の収容部に収容された前記検体容器のそれぞれの容器識別情報と、前記複数の検体容器に関連する検査情報とを記憶する情報記憶工程と、前記複数の検体容器が収容される前記容器パレットを、核酸検査を行う核酸検査装置ごとに設けられたパレット配置部に配置するパレット配置工程と、前記パレット配置部に配置された前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶された情報を前記核酸検査装置に伝達する情報伝達工程と、該情報伝達工程で伝達された情報に基づいて前記検体容器ごとに前記核酸検査装置による核酸検査を行う検査工程と、該検査工程によって得られた前記検体容器ごとの検査結果データを、前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶させる検査結果データ記憶工程と、前記無線タグの前記記憶部に記憶された前記検査結果データを、前記無線タグと無線通信を行って収集するデータ収集工程と、を備える方法とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の検体検査システムおよび検体検査方法によれば、検体容器ごとの情報を容器パレットに設けられた無線タグに記憶させ、無線タグとの無線通信によって核酸検査と検査結果データの収集とを行うため、検体容器の数や検体の検査工程が増大しても、大規模なシステム構築を行うことなく検体や核酸検査に関する情報を容易に管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの模式的な配置図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる容器パレットの構成を示す模式的な斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる容器パレットの模式的な平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる無線タグの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる無線タグの記憶部に記憶されるデータ構成の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検体準備室およびデータ収集室に備えられた装置構成を示す模式的な斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検体準備室およびデータ収集室に備えられた装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検体準備室およびデータ収集室のパレット配置部の機能構成を示す模式的な斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検査室に備えられた装置構成を示す模式的な斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検査室に備えられた装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る検体検査方法の工程フローを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例に係る検体検査システムに用いる容器パレットの構成を示す模式的な斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る検体検査システムの模式的なシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの模式的な配置図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる容器パレットの構成を示す模式的な斜視図である。図3は、同じく容器パレットの模式的な平面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムに用いる無線タグの機能構成を示す機能ブロック図である。図5は、同じく無線タグの記憶部に記憶されるデータ構成の一例を示す模式図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検体準備室およびデータ収集室に備えられた装置構成を示す模式的な斜視図である。図7は同じくパレット配置部の機能構成を示す模式的な斜視図である。図8は、同じく検体準備室およびデータ収集室に備えられた装置の機能構成を示す機能ブロック図である。図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査システムの検査室に備えられた装置構成を示す模式的な斜視図である。図10は、同じく検査室に備えられた装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の検体検査システム100は、全体として1種類以上の検体を複数の検体容器に分けて、これら複数の検体容器を容器パレット1に収容した状態で移送して、検体容器ごとに検査を行うシステムである。
検体の種類は、生体試料中の核酸であることが好適である。
また、核酸検査は、1台以上の核酸検査装置を用いて1以上の核酸検査を行えばよいが、複数台の核酸検査装置を用いたり、1つの核酸検査に検体の移し替えなどが発生する複数工程を有する核酸検査を行ったりする場合に特に好適である。本実施形態では、一例として、3台の核酸検査装置を用いて核酸検査を行う場合の例で説明する。
【0018】
検体検査システム100は、検体準備室101、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104、およびデータ収集室105からなる各室に分散して配置された後述する装置群と、これらの間を図示の矢印に沿って移動する容器パレット1とを備える。
容器パレット1は、例えば、台車などに乗せて手動で移動させてもよいし、各室間で移動可能に設けられた自走搬送車両や、例えばコンベアやエレベータなどの搬送手段を用いて自動的に移動させてもよい。以下では一例として、容器パレット1を人手で移動する場合の例で説明する。
【0019】
容器パレット1は、本実施形態では、図2に示すように、裏面1gを水平面に載置して用いる直方体状の外形を有し、載置時に鉛直上方に向けられる上面1aに複数の収容穴1fが設けられている。容器パレット1の平面視の外形は、図3に示すように、前側面1b、右側面1c、左側面1d、および後側面1eで囲まれた矩形状である。
左側面1dと後側面1eとは、容器パレット1を水平方向に位置決めするため、基準面となっている。すなわち、左側面1dと後側面1eとの交線は、容器パレット1の水平方向の位置決め原点を規定している。
位置決め原点および位置決め原点に設定される座標系は、容器パレット1の各部位の位置、形状を認識するための基準を構成している。
【0020】
収容穴1fは、一端に開口3aが形成されたチューブからなる容器3(検体容器)を鉛直に立てて収容するものであり、図3に示すように、容器3を挿入可能な角穴が、正方格子状に配列されている。
具体的には、収容穴1fの配列は、前側面1bおよび後側面1eに平行な行がM行あり、右側面1cおよび左側面1dに平行な列がN列あり、合計M×N個設けられている(ただし、M、Nは正の整数)。
以下では、第m行目(ただし、mは1以上M以下の整数)、第n列目(ただし、nは1以上N以下の整数)の収容穴1fを収容穴Hm,nと称する。図3に示す例では、M=4、N=6である。
また、各収容穴1fの深さは、各容器3の開口3aが同一高さに揃う深さとされている。
【0021】
各収容穴1fの中心の位置は、水平方向の位置決めの基準面である左側面1dと後側面1eとの交線の位置を原点Oとして、左側面1dに沿う軸をx軸、後側面1eに沿う軸をy軸としたxy座標(x,y)で表される。ここで、x、yはそれぞれ収容穴Hm,n中心のx座標値、y座標値を示す。
このため、各収容穴1fは、一意に決まるxy座標によって識別が可能になっている。これにより、収容穴1fの全体は、複数の容器3を位置決めして収容する複数の収容部を構成している。
【0022】
また、図3では、正方格子状配列のため、行のピッチ(x方向のピッチ)と列のピッチ(y方向のピッチ)とが一致する場合を描いているが、行のピッチと列のピッチとが異なる格子状でもよい。さらに、場所によってピッチが変化してもよい。場所によって行のピッチと列のピッチを変えると、上面1a上で、複数の容器3をそれぞれx方向、y方向に離間させることができるため、例えば、容器3を検体種類や検査種類によってグループ化する場合など、配置によって視覚的にグループを識別することができる。
【0023】
また、容器パレット1の右側面1cには、無線タグ2が貼り付けられている。
無線タグ2は、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる適宜の無線タグを採用することができる。本実施形態では、図4に示すように、外部と無線通信を行うためのアンテナ部2Bと、アンテナ部2Bを介して無線通信により情報の送受信を行うとともに記憶領域に対して情報の読み書き制御を行うIC部2Aとを備えるパッシブタイプのICタグを採用している。
IC部2Aは、書き換え可能な記憶領域を少なくとも一部に有する記憶部2aと、通信部2b(無線通信部)とを備える。
通信部2bは、アンテナ部2Bを通して受信した信号を解析してコマンドとデータとを識別し、コマンドの要求に応じて受信したデータを記憶部2aに書き込む動作と、コマンドの要求に応じて記憶部2aに記憶された情報を読み取って無線送信する動作とが可能である。
通信部2bによる通信方式は、特に限定されず、書き換え可能な無線タグに使用可能な適宜周波数による適宜の通信プロトコルに基づく通信方式を採用することができる。
【0024】
次に、本実施形態における記憶部2aの記憶領域のデータ構成の一例について説明する。
記憶部2aに記憶されるデータは、図5に示すように、パレット情報テーブルT、位置情報テーブルT、容器情報テーブルTU11、…、TUmn、…、TUMN、検体情報テーブルT、検査条件情報テーブルT等のテーブルに格納されている。
【0025】
パレット情報テーブルTは、容器パレット1に固有の情報であるパレット情報を記憶するテーブルである。パレット情報としては、例えば、容器パレット1を識別するためのパレットID(パレット識別情報)、容器パレット1に収容する容器3の収容数Pnum、パレット情報を入力または更新した時刻である入力時刻Tinput、容器パレット1に固有の各収容穴1fの配列情報が格納されている。
パレットIDとしては、容器パレット1に固有のコードPIDが格納されている。
収容数Pnumは、容器パレット1に収容された容器3の数であり、M×N以下の数値である。収容数Pnumは、容器3を収容し直すたびに書き換えられる。
収容位置情報としては、例えば、原点座標P、行数M、列数Nが記憶されている。
原点座標Pは、容器パレット1の水平方向の位置決め原点を、上記のxy座標で表わした座標である。本実施形態では、容器パレット1の位置決め原点は、xy座標の原点Oと一致しているため、原点座標Pは、(0,0)である。
【0026】
位置情報テーブルTは、収容穴Hm,nに付与された収容穴IDであるコードhmnに関連付けられて、上記xy座標による位置情報である(x,y)と、収容穴Hm,nに収容された容器3に付与された容器ID(容器識別情報)であるコードUmnとが格納されたテーブルである。特定の収容穴1fが空いていて容器3が収容されていない場合には、容器IDはNULL値が設定される。
このように、本実施形態では、容器3を識別するためのバーコードやICタグは容器3には設けられていないが、位置情報テーブルTによって、容器3が収容された収容穴1fの位置情報に関連付けられた収容穴IDと、容器IDとが互いに関連付けられているため、容器パレット1内では各容器3を個々に識別できるようになっている。
【0027】
容器情報テーブルTU11、…、TUmn、…、TUMNは、容器IDに関連付けられたテーブルである。
例えば、容器情報テーブルTUmnには、容器IDとしてコードUmnが付与された容器3に入れられた検体に付与された検体ID、容器3を用いて行われる検査に付与された検査IDが、それぞれ、コードSamplId、コードTestIdとして格納されている。
核酸検査によっては、容器3が空であって、検査工程で検体が移し替えられたり分注されたりする場合や、最初に入れられた検体が検査工程の途中で他の容器3に移し替えられる場合もあるため、検体を含んでいない場合には、検体IDにNULL値が設定される。
検体IDは、容器3の検体が移し替えられる等が発生したときには、追記や書き換えが行われる。
【0028】
また、容器情報テーブルTUmnには、複数の核酸検査に対応して、検査時刻を記憶する検査時刻レコードと、検査結果を記憶する検査結果レコードが設けられている。
例えば、核酸検査が特性A、B、Cの3種類の核酸検査である場合、検査時刻レコードには、特性A、B、Cの検査時刻がそれぞれ数値データであるTtestA、TtestB、TtestCとして記憶可能になっている。
なお、容器3が検体の移し替えのみに用いられる場合には、検査時刻として移し替えが行われた時刻が記憶される。
また、検査結果レコードには、特性A、B、Cの検査結果が検査結果データRa、Rb、Rcとして記憶可能になっている。ここで、検査結果データRa、Rb、Rcのデータ形式は特に限定されない。例えば、選択肢で表現可能な検査結果であれば、コード化されたデータで表すことができる。また、核酸検査装置から送信される検査結果の数値データ、テキストデータ、画像データなどをそのまま記憶してもよい。
【0029】
検体情報テーブルTは、検体に関する情報(検体情報)を検体IDに関連付けて格納するテーブルである。検体情報としては、少なくとも核酸検査に用いるすべての検体に関する情報が格納されている。また、本実施形態では、最終的に検査結果を出力する際に検体を説明する情報はすべて含まれている。
具体的な検体情報の例としては、検体の識別のために設定された検体番号、検体の名称、量、濃度、状態、検体の採取元、採取時刻、検査履歴などの例を挙げることができる。
ただし、必要な検体情報が、検体番号のみである場合には、検体IDのコードSamplIdとして検体番号を採用することにより、検体情報テーブルTを省略することができる。
【0030】
検査条件情報テーブルTは、容器3を用いて行う検査条件情報を検査IDに関連付けて格納するテーブルである。検査条件情報としては、例えば、核酸検査を行う検査装置コード、検査順序、核酸検査装置における検査条件の設定値などの例を挙げることができる。
また、容器3に検体が入れられておらず、検査工程において、検体の移し替え、分注などに用いられる場合には、これらの動作を指示する情報が格納される。
【0031】
次に、容器パレット1が移動する検体準備室101、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104、およびデータ収集室105における装置構成について説明する。
【0032】
検体準備室101は、複数の容器3が収容された容器パレット1の無線タグ2の記憶部2aの記憶領域の情報を初期設定するため、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104とは別に設けられた部屋である。
検体準備室101には、図6に示すように、容器パレット1に容器3を収容する作業や、容器3を収容した容器パレット1の無線タグ2に情報を初期設定する作業(以下、初期設定作業と称する)を行うための作業台4が設けられ、作業台4の上面4a上に、入出力端末6(初期設定装置)、操作入力部6A、バーコードスキャナ8、RIFDリーダー・ライター7(無線通信装置)、出力装置9、表示装置10、および記憶装置11が配置されている。
【0033】
作業台4の上面4aには、容器パレット1を定位置において水平に載置する角穴状のパレット配置部4bが設けられている。
また、パレット配置部4bの近傍には、パレット配置部4bに載置された容器パレット1の無線タグ2と無線通信可能な位置に、無線タグ2と無線通信を行う送受信アンテナ5が設置されている。
また、パレット配置部4bは、図7に示すように、後側面1eをx軸方向に位置決めする位置決め面4Xと、容器パレット1の左側面1dをy軸方向に位置決めする位置決め面4Yとを備えている。上面4a上で位置決め面4X、4Yの交差する点Qは、容器パレット1が位置決めされた状態では容器パレット1の原点Oの位置と一致される。
このため、例えば、点Qを原点として、位置決め面4Yに沿う方向にX軸、位置決め面4Xに沿う方向にY軸を設けることにより、作業台4に固定されたXY座標系と、位置決めされた容器パレット1上のxy座標系が対応するため、容器パレット1の各収容穴1fの位置を、XY座標系で特定することができる。
【0034】
入出力端末6は、初期設定作業を行う端末であり、図8に示すように、インタフェース部50、演算処理部51、および記憶部52を備えている。本実施形態では、スタンドアローン・コンピュータによって構成されている。
インタフェース部50は、操作入力部6A、バーコードスキャナ8、RIFDリーダー・ライター7、出力装置9、表示装置10、および記憶装置11(以下、これらを入出力機器と総称する場合がある)と通信を行って、これらの動作制御信号や、通信データの送受信を行うものである。
演算処理部51は、入出力機器の動作を制御する動作制御信号を生成したり、入出力機器から受信した通信データを記憶部52に記憶したり、記憶部52に記憶されたデータに演算処理を施してRIFDリーダー・ライター7、出力装置9、表示装置10、および記憶装置11の少なくともいずれかに出力する情報を生成するものである。
記憶部52には、コンピュータのメモリであり、初期設定作業を行うための制御プログラムと、制御プログラムの演算に必要なデータとが記憶される。
このような構成により、入出力端末6は、複数の容器3が収容された容器パレット1の無線タグ2の記憶部2aの記憶領域の情報を初期設定する初期設定装置を構成している。
【0035】
操作入力部6Aは、入出力端末6に電気的に接続され、入出力端末6に操作を行うとともに、初期設定作業に用いる情報を入出力端末6に入力する入力装置であり、例えばマウスやキーボードなどからなる。
バーコードスキャナ8は、入出力端末6に電気的に接続され、初期設定作業に用いる情報のうちバーコード化された情報を読み取って、入出力端末6に入力する入力装置である。
【0036】
RIFDリーダー・ライター7は、パレット配置部4bに配置された容器パレット1の無線タグ2との間で無線通信を行って、無線タグ2の記憶部2aに記憶された情報を入出力端末6に伝達するとともに、入出力端末6から出力される情報を、無線タグ2に伝達して記憶させる無線通信装置である。このため、RIFDリーダー・ライター7は、入出力端末6および送受信アンテナ5に電気的に接続されている。
【0037】
出力装置9は、入出力端末6に電気的に接続され、入出力端末6からの制御信号に応じて、入出力端末6からの出力情報を印刷するもので、例えば、レーザプリンタやインクジェットプリンタなどプリンタからなる。
記憶装置11は、入出力端末6に電気的に接続され、入出力端末6との間で、データの読み書きを行うためのもので、例えばハードディスクドライブやリムーバブルメディアからなる。記憶装置11には、例えば、初期設定作業に必要な情報に関するデータベース、例えば、容器パレット1の形状情報や、核酸検査に用いられる検体に関する情報や、核酸検査装置や核酸検査装置を用いる場合の検査条件情報などのデータベースが構築されている。
【0038】
第1検査室102は、検体の特性Aの核酸検査を行うため、検体準備室101とは別に設けられた部屋である。
第1検査室102には、図9(a)に示すように、特性Aを核酸検査する核酸検査装置12Aが設けられている。
核酸検査装置12Aの上面14aには、容器パレット1を定位置において水平に載置するパレット配置部14bが設けられている。パレット配置部14bの構成は、パレット配置部4bと同様の構成からなる。図9(b)にはパレット配置部14bに容器パレット1を載置した様子を示す。
パレット配置部14bの近傍には、パレット配置部14bに載置された容器パレット1の無線タグ2と無線通信可能な位置に、無線タグ2と無線通信を行う送受信アンテナ5が設置されている。
【0039】
また、上面14aには、特性Aの核酸検査を行う検査ロボット13Aと、検体準備室101と同様に、送受信アンテナ5に電気的に接続されたRIFDリーダー・ライター7が配置されている。
検査ロボット13Aは、核酸検査を行う検査部13aと、容器パレット1に収容された容器3を収容穴1fから検査部13aに移動し検査終了後に容器3を取り出した収容穴1fに戻す搬送ロボット部13b(搬送ロボット)とを備える。また、検査ロボット13Aが行う核酸検査に分注が必要である場合には分注部を備えている。
検査ロボット13A、RIFDリーダー・ライター7は、それぞれの動作制御を行う制御ユニット15に電気的に接続されている。
【0040】
制御ユニット15は、図10に示すように、インタフェース部53、検査制御部54、および記憶部55を備えており、インタフェース部53を介して、検査ロボット13Aと、RIFDリーダー・ライター7と、核酸検査の開始、終了や、検査結果の表示などを行うための操作入力を行う操作入力部16と、検査条件や検査結果を表示する表示装置17とが電気的に接続されている。
検査制御部54は、操作入力部16またはRIFDリーダー・ライター7から検査条件情報を取得し、この検査条件情報に基づいて、検査ロボット13Aの動作を制御するものである。
【0041】
また、検査制御部54は、検査部13aによって得られた検査結果を記憶部55の記憶し、検査終了後に、検査時刻と検査結果とを、インタフェース部53に接続されたRIFDリーダー・ライター7を介して無線タグ2の記憶部2aにおける容器情報テーブルTUmnに書き込むことができるようになっている。
容器情報テーブルTUmnに書き込みが終了した検査結果は、記憶部55に保持しておいてもよいし、記憶部55から削除してもよい。
【0042】
第2検査室103(第3検査室104)は、検体の特性B(特性C)の核酸検査を行うため、検体準備室101とは別に設けられた部屋である。
第2検査室103(第3検査室104)には、図9(a)、(b)、図10に示すように、特性B(特性C)を核酸検査する核酸検査装置12B(12C)が設けられている。
核酸検査装置12B(12C)は、核酸検査装置12Aの検査ロボット13Aに代えて、検査部13aが特性B(特性C)を核酸検査する点のみが異なる検査ロボット13B(13C)を備える。その他の構成は、核酸検査装置12Aと同じであるため、説明を省略する。
【0043】
データ収集室105は、検査後の複数の容器3が収容された容器パレット1の無線タグ2に記憶された検査結果データを収集する作業(以下、データ収集作業と称する)を行うため、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104とは別に設けられた部屋である。
データ収集室105には、図6に示すように、検体準備室101に配置されたのと同様な作業台4、入出力端末6、操作入力部6A、バーコードスキャナ8、RIFDリーダー・ライター7(無線通信装置)、出力装置9、表示装置10、および記憶装置11が配置されている。
ただし、入出力端末6における制御プログラムが変更されることにより、これらの装置群は、無線タグ2から検査結果データを収集したり、収集した検査結果データ適宜の書式やデータ形式に変換して出力、表示、記憶したりすることができるようになっている。
すなわち、データ収集室105の入出力端末6は、検査後の容器パレット1の無線タグ2から検査結果データを収集するデータ収集装置を構成している。
【0044】
このように本実施形態では、初期設定装置とデータ収集装置との装置構成が共通であるため、入出力端末6に初期設定作業用の制御プログラムとデータ収集作業用の制御プログラムとの両方をインストールすることにより、1室に設けられた同一の装置群によって、初期設定作業とデータ収集作業との両方が行えるようにしてもよい。すなわち、データ収集室105は、検体準備室101を兼ねていてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の検体検査システム100を用いた検体検査方法について説明する。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る検体検査方法の工程フローを示すフローチャートである。
【0046】
本実施形態の検体検査方法は、図11に示すように、検体容器収容工程S1、情報記憶工程S2、パレット配置工程S3、情報伝達工程S4、検査工程S5、検査結果データ記憶工程S6、およびデータ収集工程S8を備える。
本実施形態では、検体容器収容工程S1、情報記憶工程S2は検体準備室101で行う工程である。また、パレット配置工程S3、情報伝達工程S4、検査工程S5、検査結果データ記憶工程S6は、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104で繰り返して行う工程である。また、データ収集工程S8は、データ収集室105で行う工程である。
【0047】
検体容器収容工程S1は、核酸検査に用いる複数の容器3を容器パレット1に位置決めして収容する工程である。
容器パレット1にはM×N本の容器3を収容できるため、容器3の収容数PnumをM×N個までの範囲で決定し、容器3に入れる検体を用意する。また、これらの容器3を用いた核酸検査を実行する手順から検査プランを決定し、検査プランに応じて、容器パレット1における容器3の配置プランを決定する。配置プランは、収容する各容器3の収容位置のレイアウトと、容器3を収容する収容穴1fごとの検体の有無、検体の種類、量などの条件からなる。
次に、検体準備室101において、容器パレット1を作業台4のパレット配置部4bに位置決めして配置し、配置プランに基づいて、検体を入れた容器3または空の容器3を収容穴1fに収容する。これにより、配置プランに基づく容器3の位置決めが行われる。
以上で、検体容器収容工程S1が終了する。
【0048】
なお、本工程は、パレット配置部4bの近傍に分注ロボットを配置し、パレット配置部4bに容器3を収容済みの容器パレット1を位置決めして配置してから、分注ロボットを操作して容器3に検体を入れるようにしてもよい。
【0049】
次に、情報記憶工程S2を行う。本工程は、容器パレット1の無線タグ2の記憶部2aに、各収容穴1fの容器パレット1上における位置情報と、各収容穴1fに収容される容器3を位置情報に関連付けて特定する容器IDと、容器3を用いる検査の検査条件情報と、を記憶する工程である。
本実施形態では、上記に説明した検査プラン、配置プランに基づいて、入出力端末6に適宜必要な情報を入力すると、入出力端末6の制御プログラムによって、記憶部52に、パレット情報テーブルT、位置情報テーブルT、容器情報テーブルTU11、…、TUmn、…、TUMN、検体情報テーブルT、検査条件情報テーブルTが作成されるようになっている。このとき、検査時刻レコード、検査結果レコードは、空レコードとして生成される。
これらの作成に必要な入力情報は、操作入力部6Aを介して手動入力してもよいが、入力する可能性のある情報をデータベース化して記憶装置11に保存しておき、入出力端末6上で入力情報を検索して対話的に入力できるようにしておくことが好ましい。
作成された各テーブルは、インタフェース部50を介して、RIFDリーダー・ライター7に出力する。
RIFDリーダー・ライター7は、入出力端末6からデータの送信を受けると、無線タグ2に伝達するため、通信方式に準拠したコマンドシーケンスを生成し、送受信アンテナ5を介して、無線タグ2に対する無線通信を開始する。
無線タグ2は、送受信アンテナ5からの信号をアンテナ部2Bによって受信し、受信した信号を通信部2bによって解析し、パレット情報テーブルT、位置情報テーブルT、容器情報テーブルTU11、…、TUmn、…、TUMN、検体情報テーブルT、検査条件情報テーブルTを記憶部2aに記憶する。
以上で、情報記憶工程S2が終了する。
【0050】
情報記憶工程S2が終了した容器パレット1は、本実施形態では、例えば人手によって第1検査室102に移動する。そして、第1検査室102において、パレット配置工程S3、情報伝達工程S4、検査工程S5、検査結果データ記憶工程S6を順次行う。
【0051】
パレット配置工程S3は、容器3が収容された容器パレット1を、核酸検査を行う核酸検査装置12Aのパレット配置部14bに配置する工程である。
本実施形態では、図7に示すように、容器パレット1の左側面1d、後側面1eが、パレット配置部14bの位置決め面4Y、4Xに当接して位置決めされるように、パレット配置部14bの上方から容器パレット1を挿入して、パレット配置部4b内に配置する。
以上で、パレット配置工程S3が終了する。
これにより、図9(b)に示すように、容器パレット1が核酸検査装置12Aの上面14a上の定位置に配置される。このとき、収容穴1fの位置を規定するxy座標系の原点Oと、核酸検査装置12A上の水平方向の位置を規定するXY座標系の原点Q(図9(a)参照)との位置関係が固定される。
【0052】
次に、情報伝達工程S4を行う。本工程は、パレット配置部14bに配置された容器パレット1の無線タグ2との間で無線通信を行って、無線タグ2の記憶部2aに記憶された情報を核酸検査装置12Aに伝達する工程である。
核酸検査装置12Aの操作者は、容器パレット1がパレット配置部14bに配置されたことを確認した後、操作入力部16から通信開始の操作入力を行う。これにより、検査制御部54は、核酸検査装置12AのRIFDリーダー・ライター7を駆動して無線タグ2との無線通信を開始し、RIFDリーダー・ライター7を介して検査を行うために必要な情報を記憶部2aから取得する。
例えば、記憶部2aのパレット情報テーブルTの情報を読み取り、検査条件情報テーブルTを検索して検査装置コードが一致する検査IDを取得する。そして、検査IDに記憶された検査条件情報を読み取るとともに、検査IDをキーとして容器情報テーブルTUmnを検索して、検体ID、容器IDを取得し、これら検体ID、容器IDに関連付けられた情報を、検体情報テーブルTおよび位置情報テーブルTから読み取り、これらの情報を、検査条件情報とともに記憶部55に記憶する。これにより、検査を行うために必要な情報が記憶部2aから取得され、核酸検査装置12Aに伝達される。
以上で情報伝達工程S4が終了する。
【0053】
次に、検査工程S5を行う。本工程は、情報伝達工程S4で伝達された情報に基づいて容器3ごとに核酸検査装置12Aによる核酸検査を行う工程である。
検査制御部54は、情報伝達工程S4で伝達され記憶部55に記憶された情報によって、これから行う核酸検査について、使用する容器3や検体の情報、検査条件情報を、核酸検査を開始するかどうか問い合わせるメッセージとともに表示装置17に表示させる。
操作者は、核酸検査の内容を確認し、操作入力部16から、検査開始の操作入力を行う。
これにより、検査制御部54は、検査を開始する。
まず、核酸検査に用いる容器3を特定してその位置情報を取得し、搬送ロボット部13bを駆動して、核酸検査を行う容器3を把持し検査部13aに移動させる。また、核酸検査に当たって分注が必要な場合には、分注ロボットを駆動して容器3間に検体を分注してから、検査対象の検体が入った容器3を検査部13aに移動させる。
【0054】
容器3が検査部13aに移動されたら、検査制御部54は、記憶部2aから取得した情報に基づいて、特性Aの核酸検査を実行する制御信号を核酸検査装置12Aに送出する。これにより、検査部13aによって特性Aの核酸検査が実行される。
検査制御部54は、検査終了後、検査結果データを制御ユニット15に送出する。検査制御部54は、受信した検査結果データRaを検査時刻TtestAとともに記憶部55に記憶させる。また、検査制御部54は、検査結果データRaと検査時刻TtestAとを、この核酸検査の検体情報や検査条件情報ともに表示装置17に表示させる。
操作者は、表示装置17の表示を見て、核酸検査が終了したことが確認できたら、操作入力部16から検査終了の操作入力を行う。
これにより、検査制御部54は、搬送ロボット部13bを駆動して検査部13aの容器3を容器パレット1における元の収容位置に戻す。
【0055】
次に、検査制御部54は、記憶部55に記憶された検査条件情報に基づいて、他の容器3について核酸検査を行うかどうかを判断し、他に核酸検査を行う容器3があれば、上記と同様にして、他の容器3の核酸検査を行う。
このようにして、容器パレット1において核酸検査装置12Aが行うべきすべての核酸検査が終了したら、表示装置17にそのメッセージを表示する。
以上で、検査工程S5が終了する。
【0056】
次に、検査結果データ記憶工程S6を行う。本工程は、検査工程S5によって得られた容器3ごとの検査結果データを、容器パレット1の無線タグ2との間で無線通信を行って、無線タグ2の記憶部2aに記憶させる工程である。
検査制御部54は、すべての核酸検査が終了したことを表示装置17に表示したら、RIFDリーダー・ライター7を駆動して、記憶部55に記憶された検査工程S5における各容器3の検査時刻TtestA、検査結果データRaを、送受信アンテナ5を通して送信し、記憶部2aの容器情報テーブルTUmnにおける検査時刻レコードおよび検査結果レコードに書き込むことにより記憶部2aに記憶する。
検査制御部54は、すべての検査結果データの書き込みが終了すると、検査結果データの書き込みが終了したことを表示装置17に表示する。
以上で、検査結果データ記憶工程S6が終了する。
【0057】
検査結果データ記憶工程S6の次には、ステップS7を行う。
本ステップは、他の核酸検査装置による検査予定があるかどうかを判定する工程である。
容器パレット1を人手によって移動する場合には、検査結果データ記憶工程S6の終了後に、検査制御部54が記憶部55に記憶された検査条件情報から、次の検査の有無や次の検査を行う核酸検査装置の情報を読み取り、次の検査予定を表示装置17に表示する。容器パレット1の搬送者は、この表示に基づいて、容器パレット1を次の核酸検査を行う部屋へ移動させる。
本実施形態では、第1検査室102での検査の次に、第2検査室103、第3検査室104で、それぞれ特性B、Cの核酸検査を行う。このため、容器パレット1は第2検査室103に移動され、上記と同様にパレット配置工程S3、情報伝達工程S4、検査工程S5、検査結果データ記憶工程S6、ステップS7が順次行われる。さらにその後、容器パレット1は第3検査室104に移動され、上記と同様にパレット配置工程S3、情報伝達工程S4、検査工程S5、検査結果データ記憶工程S6、ステップS7が順次行われる。
これにより、容器パレット1の無線タグ2の記憶部2aの容器情報テーブルTUmnには、検査時刻TtestB、TtestCや、検査結果データRb、Rcが書き込まれる。
【0058】
第3検査室104において、ステップS7が終了したら、容器パレット1をデータ収集室105に移動する。
データ収集室105ではデータ収集工程S8が行われる。本工程は、無線タグ2の記憶部2aに記憶された検査結果データを、無線タグ2と無線通信を行って収集する工程である。
【0059】
まず、データ収集室105に移動した容器パレット1を、データ収集室105の作業台4のパレット配置部4bに位置決めして配置する。
操作者は、入出力端末6を操作して、容器パレット1の無線タグ2との間で無線通信を行い、記憶部2aに記憶された検査結果データを収集する。収集された検査結果データは、操作入力部6Aからの操作入力に応じて、入出力端末6の演算処理部51によって適宜の書式やデータ形式に変換され、例えば、出力装置9に出力したり、表示装置10に表示したり、記憶装置11に記憶したりすることができる。
以上で、本実施形態の検体検査方法が終了する。
【0060】
本実施形態の検体検査システム100およびこれを用いた検体検査方法によれば、容器3ごとの情報を容器パレット1に設けられた無線タグ2に記憶させ、無線タグ2との無線通信によって核酸検査と、および検査結果データの収集とを行うため、容器3の数や検体の検査工程が増大しても、大規模なシステム構築を行うことなく検体や核酸検査に関する情報を容易に管理することができる。
すなわち、検査条件情報と検査結果データとは無線タグ2に記憶され、情報の入出力が検体準備室101、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104、データ収集室105にそれぞれ設けられた入出力端末6や制御ユニット15との間でローカルに行われるため、検査室やデータ収集室の間に、CSシステムを構築することなく情報の管理を行うことができる。
また、無線タグ2には、容器パレット1の各収容穴1fの位置情報に関連付けられて容器3が収容されているため、容器3自体には、バーコードや無線タグを設けなくても、複数の容器3の情報を管理することができる。このため、容器3の準備作業が容易となる。
【0061】
また、検体検査システム100では、容器3の検体情報や検査条件情報を記憶させるため無線タグ2を容器パレット1に設けるため、容器3に無線タグを貼り付ける場合に比べて、記憶領域が大きい無線タグ2を採用することができる。このため、大量の検査結果データを記憶できる。
また、容器3に無線タグ2を貼り付けず、複数の検査でも繰り返し使用が可能な容器パレット1に設けるため、検査終了後、容器3を廃棄しなければならない場合にも、無線タグ2が無駄にならず、また廃棄された容器3を通して検体の情報が流出したりするおそれがなくなる。
【0062】
[変形例]
次に、上記第1の実施形態の変形例に係る検体検査システムについて説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る検体検査システムに用いる容器パレットの構成を示す模式的な斜視図である。
【0063】
本変形例は、上記第1の実施形態の容器パレット1に代えて、図12に示す容器パレット20を用い、上記第1の実施形態のパレット配置部4b、14bに円柱状の主基準突起4cおよび従基準突起4dを追加し、送受信アンテナ5をパレット配置部4b、14bの内側に設置したものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0064】
容器パレット20は、容器3を挿通する円孔状の挿入孔20fが4行6列に格子状に設けられた矩形外形を有する上枠部20Aと、矩形板状の底板部20Bとが、それぞれの四隅において支柱部20Cによって連結された枠体からなる。
上枠部20Aと底板部20Bとの間隔は、容器3を挿入孔20fに挿入したときに、上枠部20Aの上面20aから、各容器3が同一高さに突出し、各開口3aが水平に整列するように設定する。
上枠部20Aの上面20aにおける挿入孔20fの中心の位置は、上記実施形態と同様に、上枠部20Aの1つの隅を原点Oとし、上枠部20Aの側面に沿って設けられたxy座標系を用いて、上記第1の実施形態と同様に規定されている。
底板部20Bには、主基準突起4cと嵌合する円孔状の主基準孔20c、従基準突起4dと嵌合するU字切欠きまたは長孔からなる従基準孔20dが設けられている。このため、容器パレット20は、主基準孔20c、従基準孔20dをそれぞれパレット配置部4b(14b)の主基準突起4c、従基準突起4dに嵌合させることにより、パレット配置部4b、14b上の定位置において水平面に載置することができるようになっている。
【0065】
本変形例の無線タグ2は、底板部20Bの裏面20bに設けられた角溝に裏面20bから突出しないよう状態で貼り付けられている。無線タグ2が設けられた位置は、容器パレット20をパレット配置部4b(14b)上の定位置に配置したときに、送受信アンテナ5に重なる位置とされている。
本変形例の無線タグ2に記憶される情報は、上記第1の実施形態と同様であるが、本変形例では、原点座標Pとしては、xy座標系における主基準孔20cの中心(後述する点Q)の座標(x,y)が記憶されている。
そして、変形例の入出力端末6(制御ユニット15)では、パレット配置部4b(14b)に設けられた主基準突起14c、従基準突起の中心をそれぞれQ、Qとするとき、中心Qが原点、直線QがX軸となるような作業台4(核酸検査装置12A、12B、12C)に固定されたXY座標系が設定されている。したがって、このXY座標系によって、パレット配置部4b(14b)に位置決めされた容器パレット20上の各挿入孔20fの位置が特定できるようになっている。
すなわち、挿入孔20fの位置情報(x,y)は、原点座標Pを用いれば、例えば、次式(1)、(2)に示すように、収容穴Hm,nの位置を容器パレット1の位置決め原点を原点とした座標系による位置情報(X、Y)に変換することができる。
【0066】
=x−x ・・・(1)
=y−y ・・・(2)
【0067】
本変形例によれば、容器パレット20をパレット配置部4b、14bに配置したときに、無線タグ2が送受信アンテナ5と重なるようにすることができるため、無線タグ2として、電波の到達範囲が短いタイプのICタグを用いることができる。
【0068】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る検体検査システム200について説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る検体検査システムの模式的なシステム構成図である。
【0069】
本実施形態の検体検査システム200は、例えば、患者から採取された検体を核酸検査するため、病院などの施設に構築されたシステムである。検体検査システム200は、図13に示すように、上記第1の実施形態の検体準備室101、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104、データ収集室105に加えて、少なくとも検体準備室101、データ収集室105を含む複数の部屋間に設置されたLAN回線40(有線通信ネットワーク)と、LAN回線40にそれぞれ接続された管理サーバー32、クライアント端末36、33、患者カルテ端末31、最終検査データ入力端末30、および出力装置39とを備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0070】
管理サーバー32は、患者の識別コードをキーとするデータベースを保有し、LAN回線40上のクライアントからの要求に応じて、データベースへのアクセスを許すサーバーである。
クライアント端末36は、上記第1の実施形態の検体準備室101の入出力端末6に代えて設けられた初期設定装置であり、LAN回線40に接続されている。
クライアント端末33は、LAN回線40に接続されたクライアント端末のうち、検体準備室101以外の場所に設けられたものである。
患者カルテ端末31は、管理サーバー32のデータベースに患者カルテ情報を入力するためにLAN回線40に接続された遠隔入力端末である。
最終検査データ入力端末30は、データ収集室105の入出力端末6に代えて設けられたデータ収集装置であり、LAN回線40に接続されている。
出力装置39は、LAN回線40に接続されたプリンタであり、LAN回線40に接続された各端末の要求に応じて、プリンタ出力を行えるようになっている。
【0071】
本実施形態の検体検査システム200は、上記第1の実施形態と同様の検体検査方法を行うことができる。
ただし、上記第1の実施形態の入出力端末6に代えて、LAN回線40に接続されたクライアント端末36、最終検査データ入力端末を有するため、情報記憶工程S2において入力する情報を、LAN回線40上に接続された各種の接続機器から入手することができるため、入力作業が容易となる。すなわち、検査の指示が患者カルテの指示基づく場合、検体に関する情報、検査条件情報は、予め患者カルテ端末31等から入力され管理サーバー32のデータベースの患者のレコードに格納されているため、それらの情報を管理サーバー32から取得するだけでよい。
【0072】
本実施形態のデータ収集工程S8では、最終検査データ入力端末30によって、無線タグ2に記憶された検査結果データを収集する。そして、最終検査データ入力端末30によって収集された検査結果データは、LAN回線40を介して、管理サーバー32のデータベースに必要に応じて登録することができる。
管理サーバー32のデータベースは、LAN回線40の他のクライアント端末、例えば、クライアント端末33からアクセスすることができ、出力装置39に適宜出力することができる。このため、収集されたデータをデータ収集室105以外でもただちに遠隔アクセスして、情報を共有することができる。
【0073】
このように本実施形態では、検体準備室101、データ収集室105のクライアント端末36、最終検査データ入力端末30がLAN回線40を介して管理サーバー32に接続されているため、LAN回線40上でのデータの共有、管理が容易となる。
一方、検査装置との間の情報の授受は、無線タグ2とRIFDリーダー・ライター7との無線通信によって行うため、検査室にまでLAN回線40を敷設する必要がなく、全体として簡素なシステムとすることができる。
また、検査装置はスタンドアローン機器であることが多いため、LAN接続するためには、検査室に検査装置とは別にLAN回線40に接続されたクライアント端末を設置し、クライアント端末に検査結果データ等のデータ転送する必要があるが、本実施形態では、これらを省略することができる。このため、安価なシステムとなるとともに、検査装置の更新や移動があっても柔軟に対応することができる。
【0074】
なお、上記の説明では、検体準備室101、第1検査室102、第2検査室103、第3検査室104、データ収集室105がそれぞれ別々の部屋である場合の例で説明したが、これらは適宜組み合わせて1室にまとめたり、すべてを1室にまとめたりすることができる。
【0075】
また、上記の説明では、容器パレット1を人手で移動する場合の例で説明したが、容器パレット1の移動経路に沿って、自走する搬送車両、移送ロボット、コンベア等の搬送手段を設けて、自動的に搬送するようにしてもよい。この場合、容器パレット1の移動先の情報も無線タグ2に記憶しておき、搬送手段が無線通信により無線タグ2に記憶された移動先の情報を取得する構成を採用することができる。
【0076】
また、上記の説明では、容器パレット1が同形状の容器3を収容する場合の例で説明したが、容器パレット1は、容器3に入れる検体の量や、検査の必要に応じて、複数種類の形状の容器3を収容できるように収容穴1fの形状を変えてもよい。
また、容器3を他の収容穴に間違えて入れてしまうことがないように、容器3が特定の位置にしか収容できないように、容器3または収容穴1fの形状を変えた構成としてもよい。
【0077】
また、上記の説明では、容器パレット1の収容穴1fを正方格子状等に配列した場合の例で説明したが、収容穴1fの配置は位置情報によって特定されるため、不規則な配列を含む適宜の配列を採用することができる。
【0078】
また、上記の説明では、容器パレット1から検査部13aへの移動を核酸検査装置の搬送ロボット部13bが行う場合の例で説明したが、人手によって移動させてもよい。
この場合、人手によって、容器3の収容位置を狂わせてしまうミスが発生しないように、容器3にマーキングなどを施し、容器パレット1側に容器3のマーキングなどを検出して誤挿入を検知できるようにしてもよい。
マーキングとしては、光学的な検知や電磁的な検知が可能なマーキングの例を挙げることができる。
【0079】
また、上記の説明では、容器パレット1をパレット配置部4b、14bに位置決めして定位置に配置する場合の例で説明したが、無線タグ2に記憶された収容穴1fの位置情報が核酸検査装置に伝達されれば、厳密な位置決めは必要ではない。
例えば、容器パレット1の上面1aに原点Oや位置情報を記述するxy座標系の情報を示す円や十字マークなどを印刷しておき、核酸検査装置には、これらのマークを画像認識して、核酸検査装置に対する上面1a上のxy座標系の相対位置を認識できるようにしておいてもよい。このような場合、容器パレット1は、マークの画像認識可能な範囲となる一定の領域内の位置に配置されればよい。
【0080】
また、上記の説明では、検体容器収容工程S1を行ってから、情報記憶工程S2を行う場合の例で説明したが、これらを入れ替えて、無線タグ2に容器パレット1を収容する予定の容器3の位置情報等を記憶させてから、無線タグ2からこれらの情報を読み取ることにより、容器3を収容穴1fに収容する作業を行ってもよい。この場合、容器3に指定の検体を分注したり、容器3を収容穴1fに収容したりするロボットを設け、このロボットに無線タグ2から読み取った情報を入力すれば、収容作業を自動化することができる。
【0081】
また、上記の説明では、検査工程において容器3は、容器パレット1に最初に収容された収容穴1fに戻すようにした場合の例で説明したが、無線タグ2の容器情報テーブルTUmnを更新することで位置情報との整合をとることにより、容器3の収容位置を変更してもよい。
【0082】
また、上記の説明では、容器3にバーコード、無線タグ、識別ラベル等を設けない場合の例で説明したが、容器パレット1外で容器3を識別するために、無線タグ2とは別に、これらのバーコード、無線タグ、識別ラベル等からなる識別手段を設けてもよい。この場合、検査結果データ等の情報量が多いデータが無線タグ2に記憶されるため、識別手段は簡素なものでよい。
【0083】
また、上記の実施形態で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0084】
1、20 容器パレット
1f 収容穴(収容部)
2 無線タグ
2A IC部
2B アンテナ部
2a 記憶部
2b 通信部(無線通信部)
3 容器(検体容器)
4b、14b パレット配置部
5 送受信アンテナ
6 入出力端末(初期設定装置、データ収集装置)
7 RIFDリーダー・ライター(無線通信装置)
12A、12B、12C 核酸検査装置
13A、13B、13C 検査ロボット
13a 検査部
13b 搬送ロボット部(搬送ロボット)
15 制御ユニット
20f 挿入孔(収容部)
30 最終検査データ入力端末(データ収集装置)
31 患者カルテ端末
32 管理サーバー
33 クライアント端末
36 クライアント端末(初期設定装置)
40 LAN回線(有線通信ネットワーク)
100、200 検体検査システム
101 検体準備室
102 第1検査室
103 第2検査室
104 第3検査室
105 データ収集室
Ra、Rb、Rc 検査結果データ
S1 検体容器収容工程
S2 情報記憶工程
S3 パレット配置工程
S4 情報伝達工程
S5 検査工程
S6 検査結果データ記憶工程
S8 データ収集工程
パレット情報テーブル
位置情報テーブル
検体情報テーブル
検査条件情報テーブル
U11、TUmn、TUMN 容器情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸検査に用いる複数の検体容器を位置決めして収容する複数の収容部と、少なくとも一部が書き換え可能とされた記憶部および該記憶部に対して情報の読み書きを行う無線通信部を有する無線タグと、を有する容器パレットと、
前記核酸検査を行う核酸検査装置と、
該核酸検査装置との間で前記検体容器を授受するために前記容器パレットを定位置に配置するパレット配置部と、
該パレット配置部に配置された前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶された情報を前記核酸検査装置に伝達するとともに、前記核酸検査装置による検査結果データを前記無線タグに伝達して記憶させる無線通信装置と、
検査後の前記容器パレットの前記無線タグから前記検査結果データを収集するデータ収集装置と、
を備え、
前記無線タグの前記記憶部は、
前記複数の収容部の前記容器パレット上における位置情報と、前記複数の収容部に収容された前記検体容器を前記位置情報に関連付けて特定する容器識別情報と、前記複数の検体容器を用いる前記核酸検査の検査条件情報と、前記容器識別情報に関連付けられた前記核酸検査の検査結果情報とを記憶する記憶領域を有する
ことを特徴とする検体検査システム。
【請求項2】
前記核酸検査装置は、
前記パレット配置部に配置された前記容器パレットに対して前記検体容器を出し入れする容器搬送ロボットを備え、
該容器搬送ロボットは、
前記無線通信装置から伝達された前記無線タグに記憶された情報に基づいて、前記検体容器の出し入れを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の検体検査システム。
【請求項3】
前記データ収集装置は、
前記核酸検査装置が設けられた検査室とは別室に設けられたデータ収集室に配置され、検査後に前記検査室から前記データ収集室に移動された前記容器パレットから前記検査結果データの収集を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検体検査システム。
【請求項4】
前記核酸検査装置および前記パレット配置部が複数組設けられ、該複数組がそれぞれ異なる検査室に分散して配置された
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項5】
前記データ収集装置は、
入力端末、表示端末、出力装置、および記憶装置の少なくともいずれかとデータ通信可能な有線通信ネットワークに接続された
こと特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項6】
前記複数の検体容器が収容された前記容器パレットの前記無線タグの前記記憶部の前記記憶領域の情報を初期設定する初期設定装置を有する検査準備室を備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の検体検査システム。
【請求項7】
核酸検査に用いる複数の検体容器を複数の収容部を有する容器パレットに位置決めして収容する検体容器収容工程と、
前記容器パレットに設けられ、少なくとも一部が書き換え可能とされた記憶部と該記憶部に対して情報の読み書きを行う無線通信部とを有する無線タグの前記記憶部に、前記複数の収容部の前記容器パレット上における位置情報と、前記複数の収容部に収容される前記検体容器を前記位置情報に関連付けて特定する容器識別情報と、前記複数の検体容器を用いる前記核酸検査の検査条件情報と、を記憶する情報記憶工程と、
前記複数の検体容器が収容された前記容器パレットを、核酸検査を行う核酸検査装置ごとに設けられたパレット配置部に配置するパレット配置工程と、
前記パレット配置部に配置された前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶された情報を前記核酸検査装置に伝達する情報伝達工程と、
該情報伝達工程で伝達された情報に基づいて前記検体容器ごとに前記核酸検査装置による核酸検査を行う検査工程と、
該検査工程によって得られた前記検体容器ごとの検査結果データを、前記容器パレットの前記無線タグとの間で無線通信を行って、前記無線タグの前記記憶部に記憶させる検査結果データ記憶工程と、
前記無線タグの前記記憶部に記憶された前記検査結果データを、前記無線タグと無線通信を行って収集するデータ収集工程と、
を備えることを特徴とする検体検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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