検出スイッチ、光電スイッチ及び検出方法
【課題】経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を簡単な構成で回避することが可能な検出スイッチを提供する。
【解決手段】検出スイッチである光電スイッチは、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子24と、所定のオフセット及びゲインに従って受光量から検出値を生成する増幅回路25及びA/D変換器26と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部41と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部42と、任意の時点で受光素子24が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように増幅回路25のオフセット又はゲインを補正する補正部43とを備えている。
【解決手段】検出スイッチである光電スイッチは、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子24と、所定のオフセット及びゲインに従って受光量から検出値を生成する増幅回路25及びA/D変換器26と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部41と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部42と、任意の時点で受光素子24が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように増幅回路25のオフセット又はゲインを補正する補正部43とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物の物理状態に対応した物理量から得られた検出値をしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する検出スイッチ、特に光電スイッチとそれを用いた検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出スイッチの一種である光電スイッチは、検出対象領域に向けて光を投光し、検出対象領域からの光を受光し、その受光量から得られた検出値をしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出対象物の存否に対応する検出結果として外部に出力する。このような光電スイッチや近接スイッチ等の検出スイッチにおいて、検出対象物の物理状態に対応した物理量(例えば受光量)の経時変化によって誤判定が生じる場合がある。例えば、オン状態に対応する物理量が経時変化によって低下すると、物理量から得られる検出値が本来はしきい値より大きくなるように設定されているにもかかわらず、経時変化によってしきい値より小さくなってしまう。その結果、例えばオン状態を示す第2レベルが出力されるべきときにオフ状態を示す第1レベルを出力する誤判定が生じることになる。
【0003】
上記のような経時変化に起因する検出スイッチの誤判定を回避する従来の方法の一つとして、例えば特許文献1に記載された方法がある。この方法では、物理量の経時変化に応じてしきい値を変化させる。具体的には、オン状態(例えば第2レベルの出力)に対応する物理量とオフ状態(例えば第1レベルの出力)に対応する物理量とを所定数蓄積する。所定数の物理量が蓄積されれば、オン状態の物理量の分布とオフ状態の物理量の分布をそれぞれ求め、それらの中間値となるようにしきい値を再設定(更新)する。
【0004】
この方法では、所定数の物理量を蓄積する際に、オン状態に対応する物理量であるかオフ状態に対応する物理量であるかを検出スイッチの出力(判別結果)から判断している。このため、その時点で誤判定が生じるような物理量の経時変化が生じているような場合は適切なしきい値が設定できないことになる。また、例えば光電スイッチで複数種類の物体の存否を判定するような場合に、各物体の表面の光反射率が大きく異なれば、それに応じて物体からの反射光量(物理量)も大きく変化する。このような場合に、オン状態に対応する物理量の分布が広くなだらかな分布となり、上記の方法で適切なしきい値を設定することが困難になる。
【0005】
また、特許文献2には、取得された物理量の変化波形の微分値を求め、その微分値を微分しきい値と比較することによって物理量(検出対象の物理状態)が変化する箇所を判断し、複数の物理量から複数のしきい値を設定する検出スイッチが記載されている。この方法では、物理状態が異なる複数種類の物体を検出する場合、又は1つの物体の物理状態が異なる複数部位を検出する場合に、前後の物理量の中間値になるように複数のしきい値を設定することができる。この方法によってしきい値が適切に設定されると、上述のような経時変化に起因する検出スイッチの誤判定も回避される。しかし、この方法では、物理量の変化波形の微分値を求めて複数のしきい値を設定するしきい値設定モードを通常の計測モードである動作モードと分ける必要がある。つまり、しきい値の変更設定はしきい値設定モードでのみ実行され、動作モードでは実行されない。
【特許文献1】特開平9−284116号公報
【特許文献2】特開平8−340242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来は、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を、しきい値の自動再設定(更新)によって回避する検出スイッチが提案されているが、物理量から生成される検出値を物理量の経時変化に応じて補正することによって上記のような誤判定を回避するものは提案されていない。
【0007】
本発明は、上記のような従来の検出スイッチの問題に鑑み、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を簡単な構成で回避することが可能な検出スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による検出スイッチの第1の構成は、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得する物理量取得部と、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成する検出値生成部と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
ここでいう「差又は比が所定範囲内に入る」とは、差の場合はゼロを中心とし、比の場合は1を中心とする制御上の誤差範囲内に入ることを意味する。つまり、第1検出値と基準検出値との差又は比がゼロ又は1に近づくような制御(補正)を行うことを意味する。第1レベルは、例えば検出対象物が無いとき(オフ状態)であり、このときの物理量(第1物理量)は検出対象物が在るときに比べて安定している。これに対して第2レベルは、例えば検出対象物が在るとき(オン状態)であり、このときの物理量(第2物理量)は検出対象物の種類や状態(表面の光反射率や平坦性)によって変化しやすい。上記の構成によれば、比較的安定している第1物理量から生成された第1検出値が基準検出値となるように、物理量から検出値を生成する際のオフセット又はゲインを調整する補正が自動的に行われる。この補正によって、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を回避することができる。
【0010】
本発明による検出スイッチの第2の構成は、上記第1の構成において、基準検出値記憶部が、所定の時点で物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの検出値を基準検出値として記憶することを特徴とする。このような構成によれば、例えば検出スイッチが設置された設備の運転開始時等の所定の時点で、検出対象物が無いとき(オフ状態)の物理量から生成された検出値が自動的に基準検出値として設定され、記憶される。
【0011】
本発明による検出スイッチの第3の構成は、上記第2の構成において、基準検出値の取得を指示するための基準検出値取得指示部を更に備えている。このような構成によれば、適切な条件下で取得される物理量から生成される検出値が基準検出値として取得されるように、そのタイミングをユーザーが基準検出値取得指示部によって指示することができる。
【0012】
本発明による検出スイッチの第4の構成は、上記のいずれかの構成において、第1検出値と基準検出値との差又は比が予め定めた第1規定範囲内にあるか否かを判別する第1規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときのみ補正部によるオフセット又はゲインの補正を実行することを特徴とする。つまり、繰り返し実行される制御サイクルにおいて、上記のようなオフセット又はゲインを補正する処理を毎回実行するのではなく、第1検出値と基準検出値との差が予め定めた第1規定範囲内にあるときはそのような処理を実行しない。両者の差が第1規定範囲内を超えた時に初めてオフセット又はゲインの補正を実行する。こうすることにより、補正部を含むマイクロコンピュータ等の処理負担を軽減することができる。
【0013】
本発明による検出スイッチの第5の構成は、第1検出値と基準検出値との差又は比が第1規定範囲より広い第2規定範囲内にあるか否かを判別する第2規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときはエラー報知を実行する。エラー報知は、表示器やブザー、外部出力等を用いて行うことができる。このような構成によれば、上記のようなオフセット又はゲインの補正が不可能なまでに物理量の経時変化(劣化)が進んだ場合や検出スイッチの故障の場合に、ユーザーに報知することが可能となる。
【0014】
本発明による検出スイッチの第6の構成は、上記第4又は第5の構成において、第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、オフセット又はゲインの補正を実行するか否かを決める第1規定範囲や、エラー報知を実行するか否かを決める第2規定範囲の具体的な数値をユーザーが設定することが可能になる。
【0015】
本発明による検出スイッチの第7の構成は、上記いずれかの構成において、基準検出値又は第1検出値が、比較結果が第2レベルから第1レベルに反転した時点から所定の遅延時間後に取得される物理量から生成されることを特徴とする。検出スイッチで取得される物理量は通常は矩形波状に変化するが、その立上がりエッジや立下がりエッジは必ずしも急峻であるとは限らない。むしろ、積分波形のようになだらかになる場合が多い。本発明の構成によれば、比較結果が第2レベルから第1レベルに反転した直後の不安定なレベルを避けて、所定の遅延時間後に取得される物理量から安定した基準検出値又は第1検出値を得ることができる。
【0016】
本発明による検出スイッチの第8の構成は、上記第7の構成において、遅延時間を設定するための遅延時間設定部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、検出スイッチで取得される物理量の波形に応じて好ましい遅延時間を設定することが可能となる。
【0017】
本発明による検出スイッチの第9の構成は、上記いずれかの構成において、検出値、しきい値、及びゲイン又はオフセットのうちのいずれか2つを同時に表示する表示器を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、自動的に実行されるゲイン又はオフセットの補正に関する情報をユーザーが知ることができる。
【0018】
本発明による検出スイッチの第10の構成は、上記いずれかの構成において、基準検出値を増減調節するための基準検出値調節部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、特に第2の構成のように基準検出値が自動的に設定される場合に、周囲の環境(例えば照度等)に応じてユーザーが基準検出値を増減調節できるので一層好ましい。
【0019】
本発明による検出スイッチの第11の構成は、上記いずれかの構成において、しきい値を設定するためのしきい値設定部を更に備えていることを特徴とする。上記の各構成に記載されているように、本発明に係る検出スイッチは、取得される物理量に経時変化がある場合でもしきい値は一定でオフセット又はゲインを変えることによって検出値を補正することを特徴とするが、これに加えてしきい値を変更設定できることが好ましい。このような構成によれば、第1レベルに対応する検出値が基準検出値に補正されることを考慮して、しきい値を基準検出値に近い値に設定することができる。これにより、複数種類の検出対象物を検出する場合のように、第2レベルに対応する検出値が変動する場合であっても誤判定の可能性が小さくなる。なお、しきい値設定部は、自動的にしきい値を設定してもよいし、ユーザーが手動で設定できるようにしてもよい。
【0020】
本発明による光電スイッチの第1の構成(請求項12)は、検出対象領域に向けて光を投光するための発光素子を含む投光部と、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、所定のオフセット及びゲインに従って受光量から検出値を生成する検出値生成部と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部とを備えていることを特徴とする。この光電スイッチの構成は上述の検出スイッチの第1の構成に対応するものであり、同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
本発明による光電スイッチの第2の構成(請求項13)は、検出対象領域に向けて光を投光するための発光量可変の発光素子を含む投光部と、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、受光量に相当する検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように発光素子の発光量を補正する補正部とを備えていることを特徴とする。この構成は、光電スイッチに固有の構成、すなわち、投光側の光量(発光量)を変えることによって検出対象物から取得される物理量である受光量を調整可能である点を利用して、物理用の経時変化を補正するものである。この構成では、オフセット又はゲインを補正することなく、同様の効果が得られる。
【0022】
本発明による検出方法(請求項14)は、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得するステップと、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成するステップと、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力するステップと、予め設定した基準検出値を記憶するステップと、任意の時点で取得された物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るようにオフセット又はゲインを補正するステップとを備えていることを特徴とする。この検出方法は、上述の検出スイッチの第1の構成に対応するものであり、同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0024】
図1は本発明の実施例に係る光電スイッチ本体の外観を示す斜視図である。この光電スイッチは検出スイッチの一種であり、一例として光ファイバ型の光電スイッチを示している。光電スイッチ本体1は、薄型直方体形状のケース10の前面側に投光側光ファイバ及び受光側光ファイバの接続部(挿入口)11及び12が設けられている。背面側には、電源供給や検出信号出力等のためのケーブル接続部(図示せず)が設けられている。光電スイッチ本体1の下面の窪み部13は、DINレール(機器取付用規格レール)に光電スイッチ本体1を取り付けるための取付部である。通常は複数の光電スイッチ本体1を重ねるように並べてDINレールに取り付ける。
【0025】
光電スイッチ本体1の上面には、8桁(4桁×2)の7セグメントLEDを用いた表示器15と、検出出力のオン状態及びオフ状態を点灯又は消灯で2値表示するための出力インジケータ(発光ダイオード)16が設けられている。また、検出判定のためのしきい値の設定、動作モードや表示モードの切り替え等に使用される押釦スイッチ17〜20が設けられている。押釦スイッチ18は、スイングタイプのアップダウン押釦スイッチである。
【0026】
図2は、本発明の実施例に係る光電スイッチの回路構成を示すブロック図である。この例では、投光ヘッド3aが取り付けられた投光側光ファイバ3と受光ヘッド4aが取り付けられた受光側光ファイバ4が光電スイッチ本体1(の光ファイバ接続部11及び12)に接続され、反射型の光電スイッチを構成している。光電スイッチ本体1には投光側光ファイバ3の基端側に接続される発光素子(発光ダイオード)22と、受光側光ファイバ4の基端側に接続される受光素子(フォトダイオード)24が内蔵されている。発光素子22及び投光側光ファイバ3が投光部を構成し、受光側光ファイバ4及び受光素子24が受光部を構成している。
【0027】
発光素子22から出た光は投光側光ファイバ3を伝播し、その先端(投光ヘッド3a)から図2に破線LBで示すように投光される。図では検出対象物であるワークWKに向けて投光されているが、実際にはワークWKの存否を検出するために、所定の検出対象領域に向けて光LBが投光されることになる。検出対象領域にワークWKが存在する場合は、そのワークWKで反射した光の一部が受光ヘッド4aから受光側光ファイバ4に入射し、受光側光ファイバ4を伝播して受光素子24に至る。このとき、受光素子24による受光量が増加する。検出対象領域にワークWKが存在しない場合は、そのような反射光が受光素子24に至ることがなく、受光素子24による受光量の増加は検出されない。
【0028】
したがって、受光素子24による受光量から生成された検出値を予め定めたしきい値と比較すれば、その比較結果である第1レベル(低レベル)又は第2レベル(高レベル)がワークWKの存否に対応する検出結果として得られる。以下の説明において、検出対象領域にワークWKが存在しない場合(オフ状態)に比較結果が第1レベル(低レベル)になり、ワークWKが存在する場合(オン状態)に比較結果が第2レベル(高レベル)になるものとする。なお、反射型の光電スイッチを構成する場合は、投光ヘッド3a及び受光ヘッド4aを一体化したヘッド部が使用される。
【0029】
また、投光ヘッド3aと受光ヘッド4aとを互いに向き合うように配置すれば、透過型の光電スイッチを構成することも可能である。この場合は、投光ヘッド3aから受光ヘッド4aに至る光路をワークWKが遮ったときに受光素子24の受光量が低下するので、受光量から生成された検出値を予め定めたしきい値と比較すれば上記と同様にワークWKの存否に対応する検出結果が得られる。その他にも、光電スイッチには種々のタイプがある。例えばアンプ分離型と呼称されるものでは、ヘッド部に発光素子及び受光素子が内蔵され、ヘッド部とセンサアンプとの間は光ファイバではなく電気ケーブルによって接続される。本発明は、種々のタイプの光電スイッチを含む検出スイッチに適用可能である。
【0030】
図2において、光電スイッチ本体1には、発光素子22の駆動回路23及びそれを制御する処理部(マイクロコンピュータ)28が内蔵されている。また、受光素子24から出力された受光量に相当する電気信号を増幅する増幅回路25と、増幅回路25の出力電圧をディジタル値に変換するA/D変換器26が光電スイッチ本体1に内蔵されている。増幅回路25は、所定のゲイン及びオフセットに従って受光量に相当する電気信号を増幅し、このゲイン及びオフセットは処理部28によって調整(補正)可能である。
【0031】
A/D変換器26から得られるディジタル値は、検出値として処理部28に入力される。処理部28は、入力された検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル(例えばLレベル)又は第2レベル(例えばHレベル)を検出結果として外部に出力する。すなわち、ワークWKの存否を示す二値信号である検出結果が出力回路27から外部機器へ出力される。なお、例えば12ビットのA/D変換器26が使用される場合、A/D変換器26から得られる検出値は0〜4095(10進数)の範囲内のディジタル値となる。
【0032】
また、前述の表示器15及び出力インジケータ16に対応する表示回路30及び押釦スイッチ17〜20に対応する押釦スイッチ回路31も光電スイッチ本体1に内蔵され、処理部28はこれらの制御も司る。なお、図2において、処理部28の入出力信号のうち受光量及び検出値に関係するデータの流れを実線の矢印で示し、それ以外の制御信号を破線の矢印で示している。
【0033】
図3は、図1に示した光電スイッチの上面図である。光電スイッチ本体1に備えられた表示器15は、8桁の7セグメント表示器であり、4桁からなる第1表示部15aと、同じく4桁からなる第2表示部15bが左右に並ぶように構成されている。例えば、検出動作中は、第1表示部15a(下位4桁)で検出値を10進数表示し、第2表示部15b(上位4桁)でしきい値(設定値)を10進数表示するような使用形態が可能である。あるいは、第1表示部15a又は第2表示部15bに増幅回路25のゲイン又はオフセットを表示してもよい。後述するように、本実施例の光電スイッチは、経時劣化に起因する受光量の変化を補償するためにオフセット又はゲインの自動補正が行われる。この場合、オフセット又はゲインを表示することにより、補正量すなわち経時劣化に起因する受光量の変化をユーザーが容易に知ることができる。
【0034】
次に、押釦スイッチ17〜20の使用例について簡単に説明する。各押釦スイッチは複数の機能に兼用されており、以下の使用例はその一部の機能に関するものである。先ず、しきい値を設定する際は押釦スイッチ17(以下、セットSWと記す)と押釦スイッチ18(以下、アップダウンSWと記す)が使用される。例えば、図2に示すようにワークWKを配置した状態でセットSW17を押下し、次にワークWKを光路LBから除いた状態でセットSW17を再度押下する。その結果、ワークWKが検出対象領域に存在するときの受光量に相当する検出値(例えば3000)と、存在しないときの受光量に相当する検出値(例えば1000)との中間値(例えば2000)がしきい値として自動設定される。設定されたしきい値は前述のように表示器15の第2表示部15b(又は第1表示部15a)に4桁表示される。また、上記のようにして設定されたしきい値をアップダウンSW18を用いて増減変更することができる。
【0035】
次に、動作モードの設定には、押釦スイッチ19(以下、モードSWと記す)とアップダウンSW18が使用される。モードSW19を一定時間(例えば2秒)以上押しつづけると動作モードの設定変更が可能となり、アップダウンSW18を用いて動作モードを順番に選択することができる。このとき、表示器15に選択された動作モードが簡略化されたアルファベットで表示される。例えば図4に示すように、「ファイン」、「ターボ」、「スーパーターボ」、「ウルトラターボ」、「ハイスピード」、「スーパーファイン」の6種類の動作モードがアップダウンSW18の押下によって正逆両方向に変化する。
【0036】
なお、6種類の動作モードは、ワークWK(検出対象物)の大きさや距離等に応じて適切な発光量(発光素子22の駆動電流)や感度(増幅回路25の増幅度)等の回路条件を最適化するために備えられている。例えば、「ファイン」モードは、投光ヘッド3aからワークWKまでの距離が100mm程度の用途に最適化されている。「ターボ」モードは200mm程度、「スーパーターボ」モードは300mm程度、「ウルトラターボ」は400mm程度の用途にそれぞれ最適化されている。「ハイスピード」モードは、光路LBを比較的速く横切るワークWKを検出できるように、応答速度を速くした動作モードである。「スーパーファイン」モードは、発光量又は感度(増幅率)を「ファイン」モードよりも更に下げている。これにより、投光ヘッド3aからワークWKまでの距離を「ファイン」モードより更に縮めた場合でも、増幅回路25又はA/D変換器26が飽和し難くしている。
【0037】
上記の動作モードの他にも、検出値の変化の微分演算を行い立上がり又は立下りのエッジ検出信号を出力する微分モード、立上がり又は立下りのエッジから遅延時間(設定可能)後の受光量から検出値を生成するタイマーモード等、種々のモードを備えている。また、表示器15による表示モードについても前述の表示例を含む複数のモードが備えられている。それらのモード切り替えについても、押釦スイッチ17〜20の押す順序や押し方(例えば2秒以上の押下、2回押し等)を組み合わせることによって変更することができる。
【0038】
次に、本実施例の光電スイッチにおける経時変化に起因する受光量の変化の補正方法について説明する。光電スイッチは一般に、経時変化(劣化)によって受光量が低下していく傾向を有する。その主な要素は発光素子22の劣化や受光側の汚れ等によるものであり、従来の光電スイッチの中には発光素子22の発光量をモニター受光素子で受光し、発光量が一定になるように発光素子22の駆動電流をフィードバック制御するものがある。あるいは、背景技術の説明で述べたように、検出結果を出力する際の比較の基準となるしきい値を受光量の低下に合わせて変更設定するものがある。
【0039】
本実施例の光電スイッチでは、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値が予め設定した基準検出値になるように、増幅回路25のオフセット又はゲイン、あるいは発光量を補正する。ワークWKが存在するときの受光量はワークWKの種類や状態等の条件によって変動するが、ワークWKが存在しないときの受光量、すなわち背景光による受光量は比較的安定している。そこで、上記のようにワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値を用いて補正を行う。以下、いくつかの実施例に分けて説明する。
【実施例1】
【0040】
この実施例では、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値を用いて増幅回路25のオフセットの補正を行う。なお、受光量はワークWKの物理状態(存否)に対応した物理量に相当する。また、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値は、検出結果(比較結果)が第1レベル(オフレベル)であるときの第1検出値に相当する。
【0041】
図5は、本発明の実施例1の構成を示す機能ブロック図である。受光素子24は、検出対象物(ワークWK)の物理状態(存否)に対応した物理量(受光量)を取得する物理量取得部に相当する。増幅回路25及びA/D変換器26は、所定のオフセット及びゲインに従って受光量(物理量)から検出値を生成する検出値生成部に相当する。処理部(マイクロコンピュータ)28には、入力された検出値を予め定めたしきい値と比較する比較部41と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部42と、任意の時点で取得されたオフレベルに相当する受光量から生成された第1検出値が基準検出値になるように増幅回路25のオフセットを補正する補正部43が含まれている。
【0042】
また、しきい値の設定を行うしきい値設定部44、設定されたしきい値を記憶するしきい値記憶部45、及び基準検出値の取得及び記憶を指示するための基準検出値取得指示部46が処理部28に含まれている。処理部28に含まれるこれら各部41〜46は、マイクロコンピュータに内蔵された演算処理部とROMに予め記憶されたプログラム、そしてデータメモリであるRAM等によって構成されている。後述する補正部43の内部の機能構成についても同様である。
【0043】
しきい値設定部44は、前述のような操作によってしきい値を求め、しきい値記憶部45に記憶させる。前述の操作例では、ワークWKが検出対象領域に存在しないときの検出値(第1検出値)と存在するときの検出値(第2検出値)との中間値がしきい値として自動設定され、設定されたしきい値をアップダウンSW18を用いて増減変更することができることを説明した。本実施例の光電スイッチでは第1検出値が基準検出値になるように補正され安定している。一方、第2検出値はワークWKの種類や状態等の条件によって変動する。したがって、複数種類のワークWKが入り混じって搬送ライン上を流れ、光電スイッチの検出対象領域を順次通過するような場合は、両者の中間値よりも第1検出値寄りにしきい値を設定した方が誤判定の可能性が小さくなり有利である。
【0044】
比較部41は、検出値生成部を構成するA/D変換器26から入力された検出値を上記のしきい値と比較し、その比較結果である第1レベル(オフレベル)又は第2レベル(オンレベル)を検出結果として出力する。この検出結果は出力回路27を介して外部機器へ出力される。また、図1及び図2を用いて説明したように、検出結果のオフレベル又はオンレベルに応じて出力インジケータ16が消灯状態又は点灯状態となるように表示制御される。
【0045】
図6は、補正部43の内部機能構成を示すブロック図である。補正部43による増幅回路25のオフセットの補正は、第1検出値が基準検出値になるように、正確には第1検出値と基準検出値との差(誤差)が所定範囲内に入るように実行される。ここでいう所定範囲はゼロを中心とする制御上の誤差範囲を意味する。したがって、第1検出値と基準検出値との差が限りなくゼロに近づくようにオフセットの補正が実行される。この処理のために、補正部43には、基準検出値記憶部42から読み出された基準検出値とA/D変換器26から入力された第1検出値との差を算出する比較演算部431が設けられている。
【0046】
例えば、基準検出値が1000であり、第1検出値が800であると仮定すれば、両者の差200が比較演算部431から出力される。この差200は第1規定範囲判別部432を介して補正実行部433に与えられる。補正実行部433は、この差200に相当するオフセットの増加を増幅回路25に指示することによって、差がゼロになるように制御(補正)を行う。
【0047】
第1規定範囲判別部432は、比較演算部431から出力された第1検出値と基準検出値との差が第1規定範囲(例えば0〜100)内にあるか否かを判別し、第1規定範囲を超えているときのみにその差を補正実行部433に与える。つまり、第1検出値と基準検出値との差が第1規定範囲内にあるときは上記のようなオフセットの補正は実行されず、第1規定範囲を超えた時点でオフセットの補正が実行される。これにより、処理部28の処理負担を軽減している。第1規定範囲判別部432は省略可能である。
【0048】
また、第2規定範囲判別部434が備えられており、これは、第1検出値と基準検出値との差が上記の第1規定範囲より広い第2規定範囲(例えば0〜500)内にあるか否かを判別する。差が第2規定範囲を超えている場合はエラー信号が出力され、処理部28はエラー信号にしたがってエラー報知を実行する。具体的なエラー報知の例として、表示器15の第1表示部15a(又は第2表示部15b)に「Err」のエラー表示を行うことが可能である。ブザー等によるエラー報知を行ってもよい。このエラー報知は、発光素子22の劣化が進み、又は故障等に起因して上記のようなオフセットの補正が不可能又は困難な状態になっていることをユーザーに報知するものである。
【0049】
また、上記の第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部435が備えられている。ユーザーは、図3を用いて説明したような表示器15及び押釦スイッチ17〜20を用いて第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の入力を行うことができる。入力された第1規定範囲又は第2規定範囲は、規定範囲設定部435が第1規定範囲判別部432又は第2規定範囲判別部434のメモリに設定する。第2規定範囲判別部434及び規定範囲設定部435の一方又は両方についても、第1規定範囲判別部432と同様に省略可能である。
【0050】
図5に戻って、この実施例の光電スイッチにおける基準検出値記憶部42は、基準検出値取得指示部46からの指示にしたがって、所定の時点でA/D変換器26から入力された第1検出値(オフレベルに対応する検出値)を基準検出値として記憶する。ユーザーは、例えば光電スイッチの設置時点、あるいは定期的な時点(例えば週の初めの設備起動時)に、表示器15及び押釦スイッチ17〜20や外部入力等を用いて基準検出値の取得を指示することができる。この際に、検出対象領域にワークWKが存在しない状態にしておく必要がある。基準検出値取得指示部46は、ユーザーの操作による指示にしたがって、基準検出値の取得と記憶を基準検出値記憶部42に指示する。あるいは、光電スイッチが通電されたときに処理部28のプログラムが1度だけ実行するイニシャル処理ルーチンにおいて、自動的に基準検出値の取得と記憶を実行するように構成してもよい。
【0051】
また、図5に破線のブロックで示すように、上記のようにして設定された基準検出値を増減変更する基準検出値調節部47を設けてもよい。前述のしきい値の増減変更と同様に、ユーザーは、表示器15とアップダウンSW18を用いて基準検出値の増減変更を行うことができる。基準検出値調節部47は、ユーザーの増減変更操作に従って、基準検出値記憶部42に記憶されている基準検出値の増減変更を行う。あるいは、基準検出値取得指示部46の動作やA/D変換器26からの入力と関係無しに、ユーザーが適切な基準検出値を手動で設定できるようにしてもよい。表示器15と押釦スイッチ17〜20を用いてそのような手動設定が可能である。なお、同じく図5に破線のブロックで示されている遅延時間設定部48は、後述のように、基準検出値又は第1検出値を生成する際の取得タイミング(遅延時間)の設定を可能にするためのものである。
【0052】
図7は、オフセットの補正に関して処理部28が実行する処理のフローチャートである。図5及び図6の機能ブロック図を用いて説明した動作を処理部28のプログラムが実行する処理の流れとして示したものである。重複をできるだけ避けながら簡単に説明する。処理部28はステップ#101において、検出値を取得する。取得した検出値がオフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値でない場合(ステップ#102のNo)、すなわちオンレベル(第2レベル)に対応する第2検出値である場合は、ステップ#103以降の処理はスキップされる。
【0053】
取得した検出値が第1検出値である場合(ステップ#102のYes)は、ステップ#103で基準検出値と第1検出値との差Dを算出する。次のステップ#104で差Dと第2規定範囲を比較する。差Dが第2規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#105でエラー処理を実行する。差Dが第2規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#106で差Dと第1規定範囲を比較する。差Dが第1規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#107で前述のように差Dに応じてオフセットの補正を実行する。差Dが第1規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#107をスキップして終了する。
【0054】
図8は、基準検出値又は第1検出値を生成する際の受光量の取得タイミングを示す図である。この図における受光量(検出値)の変化を示す波形は、複数種類のワークWKが入り混じって搬送ライン上をほぼ一定間隔で流れ、光電スイッチの検出対象領域を順次通過するような場合を想定している。したがって受光量(検出値)は略矩形波状に変化するが、その立上がり及び立下がりにはある程度の時間を要し、その間は不安定なレベルとなる。したがって、検出結果(比較結果)が第2レベルから第1レベルに反転した直後の不安定なレベルを避けて、所定の遅延時間(t1)後に取得される受光量から基準検出値又は第1検出値を生成することが好ましい。この遅延時間(t1)は、前述の遅延時間設定部48によってユーザーが手動設定可能であることが好ましい。
【0055】
また、遅延時間(t1)後であっても、受光量(検出値)は一定にはならず、図8に例示するようにある程度の振幅で変動するのが通常である。そこで、基準検出値については、一定期間(t2)にサンプリングされた複数の値の平均をとるようにしてもよい。それら複数の値のうちの最小値を基準検出値としてもよい。あるいは、一定期間(t2)に検出された複数の極小値の平均値を基準検出値としてもよい。この遅延時間(t2)も、ユーザーが手動設定可能であることが好ましい。なお、図8では、前述の理由に従って第1検出値(第1受光量)寄りにしきい値が設定されている。これにより、ワークWKの種類に応じて第2検出値(第2受光量)のレベルが変動する場合であっても誤判定の可能性が低減される。
【0056】
上記のように、本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、オフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のオフセットが補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【0057】
また、本実施例の特徴として、検出スイッチが、外部入力ではなく検出対象物の存否等に対応する信号から補正実行タイミングを生成し、検出スイッチの自動補正を実現している。これにより、検出スイッチの補正を行うために例えば検出対象物の搬送用コンベアを止めて検出スイッチを設定モードに変更したり、外部装置から補正実行命令を検出スイッチに与えたりする必要が無くなり、検出スイッチが設置された設備のメンテナンス性が向上する。
【実施例2】
【0058】
次に、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された第1検出値を用いて増幅回路25のゲインの補正を行う実施例について説明する。この実施例の機能構成についても、図3及び図6に示したブロック図を用いて説明することができる。本実施例が実施例1の構成と異なる点に絞って説明する。
【0059】
本実施例では、補正部43は任意の時点で取得されたオフレベルに相当する受光量から生成された第1検出値が基準検出値になるように増幅回路25のゲインを補正する。正確には第1検出値と基準検出値との比が所定範囲内に入るように実行される。ここでいう所定範囲は1を中心とする制御上の誤差範囲を意味する。したがって、第1検出値と基準検出値との比が限りなく1に近づくようにゲインの補正が実行される。
【0060】
図6における比較演算部431は、本実施例では基準検出値記憶部42から読み出された基準検出値とA/D変換器26から入力された第1検出値との比を算出する。例えば、基準検出値が1000であり、第1検出値が800であると仮定すれば、両者の比1.25が比較演算部431から出力される。この比1.25は第1規定範囲判別部432を介して補正実行部433に与えられる。補正実行部433は、この比1.25に相当するゲインの増加を増幅回路25に指示することによって、比がゼロになるように制御(補正)を行う。第1規定範囲判別部432及び第2規定範囲判別部434の基本動作は実施例1と同様であるが、第1規定範囲及び第2規定範囲が差の範囲ではなく比の範囲で規定される点が異なる。規定範囲設定部435で設定される規定範囲についても同様である。
【0061】
図9は、ゲインの補正に関して処理部28が実行する処理のフローチャートである。上述の機能ブロック図に沿って説明した動作を処理部28のプログラムが実行する処理の流れとして示したものである。重複をできるだけ避けながら簡単に説明する。処理部28はステップ#201において、検出値を取得する。取得した検出値がオフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値でない場合(ステップ#202のNo)、すなわちオンレベル(第2レベル)に対応する第2検出値である場合は、ステップ#203以降の処理はスキップされる。
【0062】
取得した検出値が第1検出値である場合(ステップ#202のYes)は、ステップ#203で基準検出値と第1検出値との比Rを算出する。次のステップ#204で比Rと第2規定範囲を比較する。比Rが第2規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#205でエラー処理を実行する。比Rが第2規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#206で比Rと第1規定範囲を比較する。比Rが第1規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#207で前述のように比Rに応じてゲインの補正を実行する。比Rが第1規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#207をスキップして終了する。
【0063】
このように、本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のゲインが補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【実施例3】
【0064】
次に、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された第1検出値を用いて発光素子22の発光量の補正を行う実施例について説明する。この実施例が実施例1又は実施例2の構成と異なる点に絞って説明する。
【0065】
図10は本発明の実施例3の構成を示す機能ブロック図である。この実施例では、補正部43の制御(補正)対象は発光素子22の駆動回路23である。駆動回路23は、発光素子22に供給する電流を増減することによって発光素子22の発光量を増減することができる。発光素子22がパルス駆動される場合は、そのデューティファクターを増減することによって発光素子22に供給する平均電流を増減し、その発光量を増減することができる。したがって、処理部28の補正部43は、第1検出値が基準検出値に近づくように駆動回路23を介して発光素子22の発光量をフィードバック制御することができる。
【0066】
発光量の補正に関して処理部28が実行する処理は、図7又は図9に示した実施例1又は2のフローチャートと同様である。ステップ#107又はステップ#207において、オフセット又はゲインの代わりに発光量を補正すればよい。本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように発光量が補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【0067】
なお、上記の実施例1、実施例2及び実施例3を適切に組み合わせて実施してもよい。例えば、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のオフセット及びゲインの両方を補正するように構成してもよい。オフセット又はゲインの補正と発光量の補正とを組み合わせてもよい。
【0068】
また、実施例3の構成は光電スイッチに特有の実施形態であるが、実施例1及び2の構成は光電スイッチに限らず、磁気センサーを用いた近接スイッチ、静電容量センサーを用いた近接スイッチ等、種々の検出スイッチに適用することができる。つまり、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得し、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成し、検出値を予め定めたしきい値と比較することによって第1レベル又は第2レベルの検出結果を出力する検出スイッチに広く本発明を適用することができる。
【0069】
また、実施例1及び実施例2では検出値生成部が増幅回路25のオフセット又はゲインを補正することによって第1検出値が基準検出値に近づくように制御されるが、これに代わる補正を処理部28のプログラムによる内部処理で実行してもよい。つまり、A/D変換器の出力であるディジタル値にオフセットに相当するディジタル量を加え、ゲインに相当するディジタル量を乗算する処理を処理部28が実行し、いずれか又は両方のディジタル量を調整することによって第1検出値が基準検出値に近づくように制御してもよい。
【0070】
また、図7及び図9のフローチャートに示したような補正処理を制御サイクルごとに毎回実行してもよいが、所定時間(例えば10分)ごと(正確には所定時間前後で検出値が第1レベルであるとき)に実行するようにしてもよい。この場合は前述のように、第1規定範囲判別部432を省略することが好ましい。
【0071】
また、各実施例の説明では、背景光による受光量(検出対象物が存在しないときの受光量)が比較的安定しているので、このときの検出レベル(オフレベル)を第1レベル又は基準検出値として扱っている。しかし、オフレベルよりオンレベルの方が安定しているような用途ではオンレベルを第1レベル又は基準検出値として扱うことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る光電スイッチ本体の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光電スイッチの回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した光電スイッチの上面図である。
【図4】動作モードの表示遷移例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】補正部の内部機能構成を示すブロック図である。
【図7】オフセットの補正に関して処理部が実行する処理のフローチャートである。
【図8】基準検出値及び第1検出値を生成する際の受光量の取得タイミングを示す図である。
【図9】ゲインの補正に関して処理部が実行する処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
15 表示器
22 発光素子
24 受光素子(物理量取得部)
25 増幅回路(検出値生成部)
26 A/D変換器(検出値生成部)
28 処理部
41 比較部
42 基準検出値記憶部
43 補正部
44 しきい値設定部
45 しきい値記憶部
46 基準検出値取得指示部
47 基準検出値調節部
432 第1規定範囲判別部
434 第2規定範囲判別部
435 規定範囲設定部
WK ワーク(検出対象物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物の物理状態に対応した物理量から得られた検出値をしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する検出スイッチ、特に光電スイッチとそれを用いた検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出スイッチの一種である光電スイッチは、検出対象領域に向けて光を投光し、検出対象領域からの光を受光し、その受光量から得られた検出値をしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出対象物の存否に対応する検出結果として外部に出力する。このような光電スイッチや近接スイッチ等の検出スイッチにおいて、検出対象物の物理状態に対応した物理量(例えば受光量)の経時変化によって誤判定が生じる場合がある。例えば、オン状態に対応する物理量が経時変化によって低下すると、物理量から得られる検出値が本来はしきい値より大きくなるように設定されているにもかかわらず、経時変化によってしきい値より小さくなってしまう。その結果、例えばオン状態を示す第2レベルが出力されるべきときにオフ状態を示す第1レベルを出力する誤判定が生じることになる。
【0003】
上記のような経時変化に起因する検出スイッチの誤判定を回避する従来の方法の一つとして、例えば特許文献1に記載された方法がある。この方法では、物理量の経時変化に応じてしきい値を変化させる。具体的には、オン状態(例えば第2レベルの出力)に対応する物理量とオフ状態(例えば第1レベルの出力)に対応する物理量とを所定数蓄積する。所定数の物理量が蓄積されれば、オン状態の物理量の分布とオフ状態の物理量の分布をそれぞれ求め、それらの中間値となるようにしきい値を再設定(更新)する。
【0004】
この方法では、所定数の物理量を蓄積する際に、オン状態に対応する物理量であるかオフ状態に対応する物理量であるかを検出スイッチの出力(判別結果)から判断している。このため、その時点で誤判定が生じるような物理量の経時変化が生じているような場合は適切なしきい値が設定できないことになる。また、例えば光電スイッチで複数種類の物体の存否を判定するような場合に、各物体の表面の光反射率が大きく異なれば、それに応じて物体からの反射光量(物理量)も大きく変化する。このような場合に、オン状態に対応する物理量の分布が広くなだらかな分布となり、上記の方法で適切なしきい値を設定することが困難になる。
【0005】
また、特許文献2には、取得された物理量の変化波形の微分値を求め、その微分値を微分しきい値と比較することによって物理量(検出対象の物理状態)が変化する箇所を判断し、複数の物理量から複数のしきい値を設定する検出スイッチが記載されている。この方法では、物理状態が異なる複数種類の物体を検出する場合、又は1つの物体の物理状態が異なる複数部位を検出する場合に、前後の物理量の中間値になるように複数のしきい値を設定することができる。この方法によってしきい値が適切に設定されると、上述のような経時変化に起因する検出スイッチの誤判定も回避される。しかし、この方法では、物理量の変化波形の微分値を求めて複数のしきい値を設定するしきい値設定モードを通常の計測モードである動作モードと分ける必要がある。つまり、しきい値の変更設定はしきい値設定モードでのみ実行され、動作モードでは実行されない。
【特許文献1】特開平9−284116号公報
【特許文献2】特開平8−340242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来は、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を、しきい値の自動再設定(更新)によって回避する検出スイッチが提案されているが、物理量から生成される検出値を物理量の経時変化に応じて補正することによって上記のような誤判定を回避するものは提案されていない。
【0007】
本発明は、上記のような従来の検出スイッチの問題に鑑み、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を簡単な構成で回避することが可能な検出スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による検出スイッチの第1の構成は、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得する物理量取得部と、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成する検出値生成部と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
ここでいう「差又は比が所定範囲内に入る」とは、差の場合はゼロを中心とし、比の場合は1を中心とする制御上の誤差範囲内に入ることを意味する。つまり、第1検出値と基準検出値との差又は比がゼロ又は1に近づくような制御(補正)を行うことを意味する。第1レベルは、例えば検出対象物が無いとき(オフ状態)であり、このときの物理量(第1物理量)は検出対象物が在るときに比べて安定している。これに対して第2レベルは、例えば検出対象物が在るとき(オン状態)であり、このときの物理量(第2物理量)は検出対象物の種類や状態(表面の光反射率や平坦性)によって変化しやすい。上記の構成によれば、比較的安定している第1物理量から生成された第1検出値が基準検出値となるように、物理量から検出値を生成する際のオフセット又はゲインを調整する補正が自動的に行われる。この補正によって、経時変化に伴う物理量の変動に起因する誤判定を回避することができる。
【0010】
本発明による検出スイッチの第2の構成は、上記第1の構成において、基準検出値記憶部が、所定の時点で物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの検出値を基準検出値として記憶することを特徴とする。このような構成によれば、例えば検出スイッチが設置された設備の運転開始時等の所定の時点で、検出対象物が無いとき(オフ状態)の物理量から生成された検出値が自動的に基準検出値として設定され、記憶される。
【0011】
本発明による検出スイッチの第3の構成は、上記第2の構成において、基準検出値の取得を指示するための基準検出値取得指示部を更に備えている。このような構成によれば、適切な条件下で取得される物理量から生成される検出値が基準検出値として取得されるように、そのタイミングをユーザーが基準検出値取得指示部によって指示することができる。
【0012】
本発明による検出スイッチの第4の構成は、上記のいずれかの構成において、第1検出値と基準検出値との差又は比が予め定めた第1規定範囲内にあるか否かを判別する第1規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときのみ補正部によるオフセット又はゲインの補正を実行することを特徴とする。つまり、繰り返し実行される制御サイクルにおいて、上記のようなオフセット又はゲインを補正する処理を毎回実行するのではなく、第1検出値と基準検出値との差が予め定めた第1規定範囲内にあるときはそのような処理を実行しない。両者の差が第1規定範囲内を超えた時に初めてオフセット又はゲインの補正を実行する。こうすることにより、補正部を含むマイクロコンピュータ等の処理負担を軽減することができる。
【0013】
本発明による検出スイッチの第5の構成は、第1検出値と基準検出値との差又は比が第1規定範囲より広い第2規定範囲内にあるか否かを判別する第2規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときはエラー報知を実行する。エラー報知は、表示器やブザー、外部出力等を用いて行うことができる。このような構成によれば、上記のようなオフセット又はゲインの補正が不可能なまでに物理量の経時変化(劣化)が進んだ場合や検出スイッチの故障の場合に、ユーザーに報知することが可能となる。
【0014】
本発明による検出スイッチの第6の構成は、上記第4又は第5の構成において、第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、オフセット又はゲインの補正を実行するか否かを決める第1規定範囲や、エラー報知を実行するか否かを決める第2規定範囲の具体的な数値をユーザーが設定することが可能になる。
【0015】
本発明による検出スイッチの第7の構成は、上記いずれかの構成において、基準検出値又は第1検出値が、比較結果が第2レベルから第1レベルに反転した時点から所定の遅延時間後に取得される物理量から生成されることを特徴とする。検出スイッチで取得される物理量は通常は矩形波状に変化するが、その立上がりエッジや立下がりエッジは必ずしも急峻であるとは限らない。むしろ、積分波形のようになだらかになる場合が多い。本発明の構成によれば、比較結果が第2レベルから第1レベルに反転した直後の不安定なレベルを避けて、所定の遅延時間後に取得される物理量から安定した基準検出値又は第1検出値を得ることができる。
【0016】
本発明による検出スイッチの第8の構成は、上記第7の構成において、遅延時間を設定するための遅延時間設定部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、検出スイッチで取得される物理量の波形に応じて好ましい遅延時間を設定することが可能となる。
【0017】
本発明による検出スイッチの第9の構成は、上記いずれかの構成において、検出値、しきい値、及びゲイン又はオフセットのうちのいずれか2つを同時に表示する表示器を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、自動的に実行されるゲイン又はオフセットの補正に関する情報をユーザーが知ることができる。
【0018】
本発明による検出スイッチの第10の構成は、上記いずれかの構成において、基準検出値を増減調節するための基準検出値調節部を更に備えていることを特徴とする。このような構成によれば、特に第2の構成のように基準検出値が自動的に設定される場合に、周囲の環境(例えば照度等)に応じてユーザーが基準検出値を増減調節できるので一層好ましい。
【0019】
本発明による検出スイッチの第11の構成は、上記いずれかの構成において、しきい値を設定するためのしきい値設定部を更に備えていることを特徴とする。上記の各構成に記載されているように、本発明に係る検出スイッチは、取得される物理量に経時変化がある場合でもしきい値は一定でオフセット又はゲインを変えることによって検出値を補正することを特徴とするが、これに加えてしきい値を変更設定できることが好ましい。このような構成によれば、第1レベルに対応する検出値が基準検出値に補正されることを考慮して、しきい値を基準検出値に近い値に設定することができる。これにより、複数種類の検出対象物を検出する場合のように、第2レベルに対応する検出値が変動する場合であっても誤判定の可能性が小さくなる。なお、しきい値設定部は、自動的にしきい値を設定してもよいし、ユーザーが手動で設定できるようにしてもよい。
【0020】
本発明による光電スイッチの第1の構成(請求項12)は、検出対象領域に向けて光を投光するための発光素子を含む投光部と、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、所定のオフセット及びゲインに従って受光量から検出値を生成する検出値生成部と、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部とを備えていることを特徴とする。この光電スイッチの構成は上述の検出スイッチの第1の構成に対応するものであり、同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
本発明による光電スイッチの第2の構成(請求項13)は、検出対象領域に向けて光を投光するための発光量可変の発光素子を含む投光部と、検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、受光量に相当する検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、任意の時点で受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように発光素子の発光量を補正する補正部とを備えていることを特徴とする。この構成は、光電スイッチに固有の構成、すなわち、投光側の光量(発光量)を変えることによって検出対象物から取得される物理量である受光量を調整可能である点を利用して、物理用の経時変化を補正するものである。この構成では、オフセット又はゲインを補正することなく、同様の効果が得られる。
【0022】
本発明による検出方法(請求項14)は、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得するステップと、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成するステップと、検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力するステップと、予め設定した基準検出値を記憶するステップと、任意の時点で取得された物理量から生成された検出値であって比較結果が第1レベルであるときの第1検出値と基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るようにオフセット又はゲインを補正するステップとを備えていることを特徴とする。この検出方法は、上述の検出スイッチの第1の構成に対応するものであり、同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0024】
図1は本発明の実施例に係る光電スイッチ本体の外観を示す斜視図である。この光電スイッチは検出スイッチの一種であり、一例として光ファイバ型の光電スイッチを示している。光電スイッチ本体1は、薄型直方体形状のケース10の前面側に投光側光ファイバ及び受光側光ファイバの接続部(挿入口)11及び12が設けられている。背面側には、電源供給や検出信号出力等のためのケーブル接続部(図示せず)が設けられている。光電スイッチ本体1の下面の窪み部13は、DINレール(機器取付用規格レール)に光電スイッチ本体1を取り付けるための取付部である。通常は複数の光電スイッチ本体1を重ねるように並べてDINレールに取り付ける。
【0025】
光電スイッチ本体1の上面には、8桁(4桁×2)の7セグメントLEDを用いた表示器15と、検出出力のオン状態及びオフ状態を点灯又は消灯で2値表示するための出力インジケータ(発光ダイオード)16が設けられている。また、検出判定のためのしきい値の設定、動作モードや表示モードの切り替え等に使用される押釦スイッチ17〜20が設けられている。押釦スイッチ18は、スイングタイプのアップダウン押釦スイッチである。
【0026】
図2は、本発明の実施例に係る光電スイッチの回路構成を示すブロック図である。この例では、投光ヘッド3aが取り付けられた投光側光ファイバ3と受光ヘッド4aが取り付けられた受光側光ファイバ4が光電スイッチ本体1(の光ファイバ接続部11及び12)に接続され、反射型の光電スイッチを構成している。光電スイッチ本体1には投光側光ファイバ3の基端側に接続される発光素子(発光ダイオード)22と、受光側光ファイバ4の基端側に接続される受光素子(フォトダイオード)24が内蔵されている。発光素子22及び投光側光ファイバ3が投光部を構成し、受光側光ファイバ4及び受光素子24が受光部を構成している。
【0027】
発光素子22から出た光は投光側光ファイバ3を伝播し、その先端(投光ヘッド3a)から図2に破線LBで示すように投光される。図では検出対象物であるワークWKに向けて投光されているが、実際にはワークWKの存否を検出するために、所定の検出対象領域に向けて光LBが投光されることになる。検出対象領域にワークWKが存在する場合は、そのワークWKで反射した光の一部が受光ヘッド4aから受光側光ファイバ4に入射し、受光側光ファイバ4を伝播して受光素子24に至る。このとき、受光素子24による受光量が増加する。検出対象領域にワークWKが存在しない場合は、そのような反射光が受光素子24に至ることがなく、受光素子24による受光量の増加は検出されない。
【0028】
したがって、受光素子24による受光量から生成された検出値を予め定めたしきい値と比較すれば、その比較結果である第1レベル(低レベル)又は第2レベル(高レベル)がワークWKの存否に対応する検出結果として得られる。以下の説明において、検出対象領域にワークWKが存在しない場合(オフ状態)に比較結果が第1レベル(低レベル)になり、ワークWKが存在する場合(オン状態)に比較結果が第2レベル(高レベル)になるものとする。なお、反射型の光電スイッチを構成する場合は、投光ヘッド3a及び受光ヘッド4aを一体化したヘッド部が使用される。
【0029】
また、投光ヘッド3aと受光ヘッド4aとを互いに向き合うように配置すれば、透過型の光電スイッチを構成することも可能である。この場合は、投光ヘッド3aから受光ヘッド4aに至る光路をワークWKが遮ったときに受光素子24の受光量が低下するので、受光量から生成された検出値を予め定めたしきい値と比較すれば上記と同様にワークWKの存否に対応する検出結果が得られる。その他にも、光電スイッチには種々のタイプがある。例えばアンプ分離型と呼称されるものでは、ヘッド部に発光素子及び受光素子が内蔵され、ヘッド部とセンサアンプとの間は光ファイバではなく電気ケーブルによって接続される。本発明は、種々のタイプの光電スイッチを含む検出スイッチに適用可能である。
【0030】
図2において、光電スイッチ本体1には、発光素子22の駆動回路23及びそれを制御する処理部(マイクロコンピュータ)28が内蔵されている。また、受光素子24から出力された受光量に相当する電気信号を増幅する増幅回路25と、増幅回路25の出力電圧をディジタル値に変換するA/D変換器26が光電スイッチ本体1に内蔵されている。増幅回路25は、所定のゲイン及びオフセットに従って受光量に相当する電気信号を増幅し、このゲイン及びオフセットは処理部28によって調整(補正)可能である。
【0031】
A/D変換器26から得られるディジタル値は、検出値として処理部28に入力される。処理部28は、入力された検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル(例えばLレベル)又は第2レベル(例えばHレベル)を検出結果として外部に出力する。すなわち、ワークWKの存否を示す二値信号である検出結果が出力回路27から外部機器へ出力される。なお、例えば12ビットのA/D変換器26が使用される場合、A/D変換器26から得られる検出値は0〜4095(10進数)の範囲内のディジタル値となる。
【0032】
また、前述の表示器15及び出力インジケータ16に対応する表示回路30及び押釦スイッチ17〜20に対応する押釦スイッチ回路31も光電スイッチ本体1に内蔵され、処理部28はこれらの制御も司る。なお、図2において、処理部28の入出力信号のうち受光量及び検出値に関係するデータの流れを実線の矢印で示し、それ以外の制御信号を破線の矢印で示している。
【0033】
図3は、図1に示した光電スイッチの上面図である。光電スイッチ本体1に備えられた表示器15は、8桁の7セグメント表示器であり、4桁からなる第1表示部15aと、同じく4桁からなる第2表示部15bが左右に並ぶように構成されている。例えば、検出動作中は、第1表示部15a(下位4桁)で検出値を10進数表示し、第2表示部15b(上位4桁)でしきい値(設定値)を10進数表示するような使用形態が可能である。あるいは、第1表示部15a又は第2表示部15bに増幅回路25のゲイン又はオフセットを表示してもよい。後述するように、本実施例の光電スイッチは、経時劣化に起因する受光量の変化を補償するためにオフセット又はゲインの自動補正が行われる。この場合、オフセット又はゲインを表示することにより、補正量すなわち経時劣化に起因する受光量の変化をユーザーが容易に知ることができる。
【0034】
次に、押釦スイッチ17〜20の使用例について簡単に説明する。各押釦スイッチは複数の機能に兼用されており、以下の使用例はその一部の機能に関するものである。先ず、しきい値を設定する際は押釦スイッチ17(以下、セットSWと記す)と押釦スイッチ18(以下、アップダウンSWと記す)が使用される。例えば、図2に示すようにワークWKを配置した状態でセットSW17を押下し、次にワークWKを光路LBから除いた状態でセットSW17を再度押下する。その結果、ワークWKが検出対象領域に存在するときの受光量に相当する検出値(例えば3000)と、存在しないときの受光量に相当する検出値(例えば1000)との中間値(例えば2000)がしきい値として自動設定される。設定されたしきい値は前述のように表示器15の第2表示部15b(又は第1表示部15a)に4桁表示される。また、上記のようにして設定されたしきい値をアップダウンSW18を用いて増減変更することができる。
【0035】
次に、動作モードの設定には、押釦スイッチ19(以下、モードSWと記す)とアップダウンSW18が使用される。モードSW19を一定時間(例えば2秒)以上押しつづけると動作モードの設定変更が可能となり、アップダウンSW18を用いて動作モードを順番に選択することができる。このとき、表示器15に選択された動作モードが簡略化されたアルファベットで表示される。例えば図4に示すように、「ファイン」、「ターボ」、「スーパーターボ」、「ウルトラターボ」、「ハイスピード」、「スーパーファイン」の6種類の動作モードがアップダウンSW18の押下によって正逆両方向に変化する。
【0036】
なお、6種類の動作モードは、ワークWK(検出対象物)の大きさや距離等に応じて適切な発光量(発光素子22の駆動電流)や感度(増幅回路25の増幅度)等の回路条件を最適化するために備えられている。例えば、「ファイン」モードは、投光ヘッド3aからワークWKまでの距離が100mm程度の用途に最適化されている。「ターボ」モードは200mm程度、「スーパーターボ」モードは300mm程度、「ウルトラターボ」は400mm程度の用途にそれぞれ最適化されている。「ハイスピード」モードは、光路LBを比較的速く横切るワークWKを検出できるように、応答速度を速くした動作モードである。「スーパーファイン」モードは、発光量又は感度(増幅率)を「ファイン」モードよりも更に下げている。これにより、投光ヘッド3aからワークWKまでの距離を「ファイン」モードより更に縮めた場合でも、増幅回路25又はA/D変換器26が飽和し難くしている。
【0037】
上記の動作モードの他にも、検出値の変化の微分演算を行い立上がり又は立下りのエッジ検出信号を出力する微分モード、立上がり又は立下りのエッジから遅延時間(設定可能)後の受光量から検出値を生成するタイマーモード等、種々のモードを備えている。また、表示器15による表示モードについても前述の表示例を含む複数のモードが備えられている。それらのモード切り替えについても、押釦スイッチ17〜20の押す順序や押し方(例えば2秒以上の押下、2回押し等)を組み合わせることによって変更することができる。
【0038】
次に、本実施例の光電スイッチにおける経時変化に起因する受光量の変化の補正方法について説明する。光電スイッチは一般に、経時変化(劣化)によって受光量が低下していく傾向を有する。その主な要素は発光素子22の劣化や受光側の汚れ等によるものであり、従来の光電スイッチの中には発光素子22の発光量をモニター受光素子で受光し、発光量が一定になるように発光素子22の駆動電流をフィードバック制御するものがある。あるいは、背景技術の説明で述べたように、検出結果を出力する際の比較の基準となるしきい値を受光量の低下に合わせて変更設定するものがある。
【0039】
本実施例の光電スイッチでは、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値が予め設定した基準検出値になるように、増幅回路25のオフセット又はゲイン、あるいは発光量を補正する。ワークWKが存在するときの受光量はワークWKの種類や状態等の条件によって変動するが、ワークWKが存在しないときの受光量、すなわち背景光による受光量は比較的安定している。そこで、上記のようにワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値を用いて補正を行う。以下、いくつかの実施例に分けて説明する。
【実施例1】
【0040】
この実施例では、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値を用いて増幅回路25のオフセットの補正を行う。なお、受光量はワークWKの物理状態(存否)に対応した物理量に相当する。また、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された検出値は、検出結果(比較結果)が第1レベル(オフレベル)であるときの第1検出値に相当する。
【0041】
図5は、本発明の実施例1の構成を示す機能ブロック図である。受光素子24は、検出対象物(ワークWK)の物理状態(存否)に対応した物理量(受光量)を取得する物理量取得部に相当する。増幅回路25及びA/D変換器26は、所定のオフセット及びゲインに従って受光量(物理量)から検出値を生成する検出値生成部に相当する。処理部(マイクロコンピュータ)28には、入力された検出値を予め定めたしきい値と比較する比較部41と、予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部42と、任意の時点で取得されたオフレベルに相当する受光量から生成された第1検出値が基準検出値になるように増幅回路25のオフセットを補正する補正部43が含まれている。
【0042】
また、しきい値の設定を行うしきい値設定部44、設定されたしきい値を記憶するしきい値記憶部45、及び基準検出値の取得及び記憶を指示するための基準検出値取得指示部46が処理部28に含まれている。処理部28に含まれるこれら各部41〜46は、マイクロコンピュータに内蔵された演算処理部とROMに予め記憶されたプログラム、そしてデータメモリであるRAM等によって構成されている。後述する補正部43の内部の機能構成についても同様である。
【0043】
しきい値設定部44は、前述のような操作によってしきい値を求め、しきい値記憶部45に記憶させる。前述の操作例では、ワークWKが検出対象領域に存在しないときの検出値(第1検出値)と存在するときの検出値(第2検出値)との中間値がしきい値として自動設定され、設定されたしきい値をアップダウンSW18を用いて増減変更することができることを説明した。本実施例の光電スイッチでは第1検出値が基準検出値になるように補正され安定している。一方、第2検出値はワークWKの種類や状態等の条件によって変動する。したがって、複数種類のワークWKが入り混じって搬送ライン上を流れ、光電スイッチの検出対象領域を順次通過するような場合は、両者の中間値よりも第1検出値寄りにしきい値を設定した方が誤判定の可能性が小さくなり有利である。
【0044】
比較部41は、検出値生成部を構成するA/D変換器26から入力された検出値を上記のしきい値と比較し、その比較結果である第1レベル(オフレベル)又は第2レベル(オンレベル)を検出結果として出力する。この検出結果は出力回路27を介して外部機器へ出力される。また、図1及び図2を用いて説明したように、検出結果のオフレベル又はオンレベルに応じて出力インジケータ16が消灯状態又は点灯状態となるように表示制御される。
【0045】
図6は、補正部43の内部機能構成を示すブロック図である。補正部43による増幅回路25のオフセットの補正は、第1検出値が基準検出値になるように、正確には第1検出値と基準検出値との差(誤差)が所定範囲内に入るように実行される。ここでいう所定範囲はゼロを中心とする制御上の誤差範囲を意味する。したがって、第1検出値と基準検出値との差が限りなくゼロに近づくようにオフセットの補正が実行される。この処理のために、補正部43には、基準検出値記憶部42から読み出された基準検出値とA/D変換器26から入力された第1検出値との差を算出する比較演算部431が設けられている。
【0046】
例えば、基準検出値が1000であり、第1検出値が800であると仮定すれば、両者の差200が比較演算部431から出力される。この差200は第1規定範囲判別部432を介して補正実行部433に与えられる。補正実行部433は、この差200に相当するオフセットの増加を増幅回路25に指示することによって、差がゼロになるように制御(補正)を行う。
【0047】
第1規定範囲判別部432は、比較演算部431から出力された第1検出値と基準検出値との差が第1規定範囲(例えば0〜100)内にあるか否かを判別し、第1規定範囲を超えているときのみにその差を補正実行部433に与える。つまり、第1検出値と基準検出値との差が第1規定範囲内にあるときは上記のようなオフセットの補正は実行されず、第1規定範囲を超えた時点でオフセットの補正が実行される。これにより、処理部28の処理負担を軽減している。第1規定範囲判別部432は省略可能である。
【0048】
また、第2規定範囲判別部434が備えられており、これは、第1検出値と基準検出値との差が上記の第1規定範囲より広い第2規定範囲(例えば0〜500)内にあるか否かを判別する。差が第2規定範囲を超えている場合はエラー信号が出力され、処理部28はエラー信号にしたがってエラー報知を実行する。具体的なエラー報知の例として、表示器15の第1表示部15a(又は第2表示部15b)に「Err」のエラー表示を行うことが可能である。ブザー等によるエラー報知を行ってもよい。このエラー報知は、発光素子22の劣化が進み、又は故障等に起因して上記のようなオフセットの補正が不可能又は困難な状態になっていることをユーザーに報知するものである。
【0049】
また、上記の第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部435が備えられている。ユーザーは、図3を用いて説明したような表示器15及び押釦スイッチ17〜20を用いて第1規定範囲又は第2規定範囲又は両方の規定範囲の入力を行うことができる。入力された第1規定範囲又は第2規定範囲は、規定範囲設定部435が第1規定範囲判別部432又は第2規定範囲判別部434のメモリに設定する。第2規定範囲判別部434及び規定範囲設定部435の一方又は両方についても、第1規定範囲判別部432と同様に省略可能である。
【0050】
図5に戻って、この実施例の光電スイッチにおける基準検出値記憶部42は、基準検出値取得指示部46からの指示にしたがって、所定の時点でA/D変換器26から入力された第1検出値(オフレベルに対応する検出値)を基準検出値として記憶する。ユーザーは、例えば光電スイッチの設置時点、あるいは定期的な時点(例えば週の初めの設備起動時)に、表示器15及び押釦スイッチ17〜20や外部入力等を用いて基準検出値の取得を指示することができる。この際に、検出対象領域にワークWKが存在しない状態にしておく必要がある。基準検出値取得指示部46は、ユーザーの操作による指示にしたがって、基準検出値の取得と記憶を基準検出値記憶部42に指示する。あるいは、光電スイッチが通電されたときに処理部28のプログラムが1度だけ実行するイニシャル処理ルーチンにおいて、自動的に基準検出値の取得と記憶を実行するように構成してもよい。
【0051】
また、図5に破線のブロックで示すように、上記のようにして設定された基準検出値を増減変更する基準検出値調節部47を設けてもよい。前述のしきい値の増減変更と同様に、ユーザーは、表示器15とアップダウンSW18を用いて基準検出値の増減変更を行うことができる。基準検出値調節部47は、ユーザーの増減変更操作に従って、基準検出値記憶部42に記憶されている基準検出値の増減変更を行う。あるいは、基準検出値取得指示部46の動作やA/D変換器26からの入力と関係無しに、ユーザーが適切な基準検出値を手動で設定できるようにしてもよい。表示器15と押釦スイッチ17〜20を用いてそのような手動設定が可能である。なお、同じく図5に破線のブロックで示されている遅延時間設定部48は、後述のように、基準検出値又は第1検出値を生成する際の取得タイミング(遅延時間)の設定を可能にするためのものである。
【0052】
図7は、オフセットの補正に関して処理部28が実行する処理のフローチャートである。図5及び図6の機能ブロック図を用いて説明した動作を処理部28のプログラムが実行する処理の流れとして示したものである。重複をできるだけ避けながら簡単に説明する。処理部28はステップ#101において、検出値を取得する。取得した検出値がオフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値でない場合(ステップ#102のNo)、すなわちオンレベル(第2レベル)に対応する第2検出値である場合は、ステップ#103以降の処理はスキップされる。
【0053】
取得した検出値が第1検出値である場合(ステップ#102のYes)は、ステップ#103で基準検出値と第1検出値との差Dを算出する。次のステップ#104で差Dと第2規定範囲を比較する。差Dが第2規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#105でエラー処理を実行する。差Dが第2規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#106で差Dと第1規定範囲を比較する。差Dが第1規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#107で前述のように差Dに応じてオフセットの補正を実行する。差Dが第1規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#107をスキップして終了する。
【0054】
図8は、基準検出値又は第1検出値を生成する際の受光量の取得タイミングを示す図である。この図における受光量(検出値)の変化を示す波形は、複数種類のワークWKが入り混じって搬送ライン上をほぼ一定間隔で流れ、光電スイッチの検出対象領域を順次通過するような場合を想定している。したがって受光量(検出値)は略矩形波状に変化するが、その立上がり及び立下がりにはある程度の時間を要し、その間は不安定なレベルとなる。したがって、検出結果(比較結果)が第2レベルから第1レベルに反転した直後の不安定なレベルを避けて、所定の遅延時間(t1)後に取得される受光量から基準検出値又は第1検出値を生成することが好ましい。この遅延時間(t1)は、前述の遅延時間設定部48によってユーザーが手動設定可能であることが好ましい。
【0055】
また、遅延時間(t1)後であっても、受光量(検出値)は一定にはならず、図8に例示するようにある程度の振幅で変動するのが通常である。そこで、基準検出値については、一定期間(t2)にサンプリングされた複数の値の平均をとるようにしてもよい。それら複数の値のうちの最小値を基準検出値としてもよい。あるいは、一定期間(t2)に検出された複数の極小値の平均値を基準検出値としてもよい。この遅延時間(t2)も、ユーザーが手動設定可能であることが好ましい。なお、図8では、前述の理由に従って第1検出値(第1受光量)寄りにしきい値が設定されている。これにより、ワークWKの種類に応じて第2検出値(第2受光量)のレベルが変動する場合であっても誤判定の可能性が低減される。
【0056】
上記のように、本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、オフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のオフセットが補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【0057】
また、本実施例の特徴として、検出スイッチが、外部入力ではなく検出対象物の存否等に対応する信号から補正実行タイミングを生成し、検出スイッチの自動補正を実現している。これにより、検出スイッチの補正を行うために例えば検出対象物の搬送用コンベアを止めて検出スイッチを設定モードに変更したり、外部装置から補正実行命令を検出スイッチに与えたりする必要が無くなり、検出スイッチが設置された設備のメンテナンス性が向上する。
【実施例2】
【0058】
次に、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された第1検出値を用いて増幅回路25のゲインの補正を行う実施例について説明する。この実施例の機能構成についても、図3及び図6に示したブロック図を用いて説明することができる。本実施例が実施例1の構成と異なる点に絞って説明する。
【0059】
本実施例では、補正部43は任意の時点で取得されたオフレベルに相当する受光量から生成された第1検出値が基準検出値になるように増幅回路25のゲインを補正する。正確には第1検出値と基準検出値との比が所定範囲内に入るように実行される。ここでいう所定範囲は1を中心とする制御上の誤差範囲を意味する。したがって、第1検出値と基準検出値との比が限りなく1に近づくようにゲインの補正が実行される。
【0060】
図6における比較演算部431は、本実施例では基準検出値記憶部42から読み出された基準検出値とA/D変換器26から入力された第1検出値との比を算出する。例えば、基準検出値が1000であり、第1検出値が800であると仮定すれば、両者の比1.25が比較演算部431から出力される。この比1.25は第1規定範囲判別部432を介して補正実行部433に与えられる。補正実行部433は、この比1.25に相当するゲインの増加を増幅回路25に指示することによって、比がゼロになるように制御(補正)を行う。第1規定範囲判別部432及び第2規定範囲判別部434の基本動作は実施例1と同様であるが、第1規定範囲及び第2規定範囲が差の範囲ではなく比の範囲で規定される点が異なる。規定範囲設定部435で設定される規定範囲についても同様である。
【0061】
図9は、ゲインの補正に関して処理部28が実行する処理のフローチャートである。上述の機能ブロック図に沿って説明した動作を処理部28のプログラムが実行する処理の流れとして示したものである。重複をできるだけ避けながら簡単に説明する。処理部28はステップ#201において、検出値を取得する。取得した検出値がオフレベル(第1レベル)に対応する第1検出値でない場合(ステップ#202のNo)、すなわちオンレベル(第2レベル)に対応する第2検出値である場合は、ステップ#203以降の処理はスキップされる。
【0062】
取得した検出値が第1検出値である場合(ステップ#202のYes)は、ステップ#203で基準検出値と第1検出値との比Rを算出する。次のステップ#204で比Rと第2規定範囲を比較する。比Rが第2規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#205でエラー処理を実行する。比Rが第2規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#206で比Rと第1規定範囲を比較する。比Rが第1規定範囲を超えている場合(Yes)はステップ#207で前述のように比Rに応じてゲインの補正を実行する。比Rが第1規定範囲内にある場合(No)は、ステップ#207をスキップして終了する。
【0063】
このように、本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のゲインが補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【実施例3】
【0064】
次に、ワークWKが存在しないときの受光量から生成された第1検出値を用いて発光素子22の発光量の補正を行う実施例について説明する。この実施例が実施例1又は実施例2の構成と異なる点に絞って説明する。
【0065】
図10は本発明の実施例3の構成を示す機能ブロック図である。この実施例では、補正部43の制御(補正)対象は発光素子22の駆動回路23である。駆動回路23は、発光素子22に供給する電流を増減することによって発光素子22の発光量を増減することができる。発光素子22がパルス駆動される場合は、そのデューティファクターを増減することによって発光素子22に供給する平均電流を増減し、その発光量を増減することができる。したがって、処理部28の補正部43は、第1検出値が基準検出値に近づくように駆動回路23を介して発光素子22の発光量をフィードバック制御することができる。
【0066】
発光量の補正に関して処理部28が実行する処理は、図7又は図9に示した実施例1又は2のフローチャートと同様である。ステップ#107又はステップ#207において、オフセット又はゲインの代わりに発光量を補正すればよい。本実施例の光電スイッチでは、経時変化(劣化)によってワークWKの存否に対応した物理量である受光量が低下した場合でも、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように発光量が補正される。これによって、誤判定が発生する可能性が低減される。
【0067】
なお、上記の実施例1、実施例2及び実施例3を適切に組み合わせて実施してもよい。例えば、第1レベルに対応する第1検出値が予め設定した基準検出値に近づくように増幅回路25のオフセット及びゲインの両方を補正するように構成してもよい。オフセット又はゲインの補正と発光量の補正とを組み合わせてもよい。
【0068】
また、実施例3の構成は光電スイッチに特有の実施形態であるが、実施例1及び2の構成は光電スイッチに限らず、磁気センサーを用いた近接スイッチ、静電容量センサーを用いた近接スイッチ等、種々の検出スイッチに適用することができる。つまり、検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得し、所定のオフセット及びゲインに従って物理量から検出値を生成し、検出値を予め定めたしきい値と比較することによって第1レベル又は第2レベルの検出結果を出力する検出スイッチに広く本発明を適用することができる。
【0069】
また、実施例1及び実施例2では検出値生成部が増幅回路25のオフセット又はゲインを補正することによって第1検出値が基準検出値に近づくように制御されるが、これに代わる補正を処理部28のプログラムによる内部処理で実行してもよい。つまり、A/D変換器の出力であるディジタル値にオフセットに相当するディジタル量を加え、ゲインに相当するディジタル量を乗算する処理を処理部28が実行し、いずれか又は両方のディジタル量を調整することによって第1検出値が基準検出値に近づくように制御してもよい。
【0070】
また、図7及び図9のフローチャートに示したような補正処理を制御サイクルごとに毎回実行してもよいが、所定時間(例えば10分)ごと(正確には所定時間前後で検出値が第1レベルであるとき)に実行するようにしてもよい。この場合は前述のように、第1規定範囲判別部432を省略することが好ましい。
【0071】
また、各実施例の説明では、背景光による受光量(検出対象物が存在しないときの受光量)が比較的安定しているので、このときの検出レベル(オフレベル)を第1レベル又は基準検出値として扱っている。しかし、オフレベルよりオンレベルの方が安定しているような用途ではオンレベルを第1レベル又は基準検出値として扱うことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る光電スイッチ本体の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光電スイッチの回路構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した光電スイッチの上面図である。
【図4】動作モードの表示遷移例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】補正部の内部機能構成を示すブロック図である。
【図7】オフセットの補正に関して処理部が実行する処理のフローチャートである。
【図8】基準検出値及び第1検出値を生成する際の受光量の取得タイミングを示す図である。
【図9】ゲインの補正に関して処理部が実行する処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施例3の構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
15 表示器
22 発光素子
24 受光素子(物理量取得部)
25 増幅回路(検出値生成部)
26 A/D変換器(検出値生成部)
28 処理部
41 比較部
42 基準検出値記憶部
43 補正部
44 しきい値設定部
45 しきい値記憶部
46 基準検出値取得指示部
47 基準検出値調節部
432 第1規定範囲判別部
434 第2規定範囲判別部
435 規定範囲設定部
WK ワーク(検出対象物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得する物理量取得部と、
所定のオフセット及びゲインに従って前記物理量から検出値を生成する検出値生成部と、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部と
を備えていることを特徴とする検出スイッチ。
【請求項2】
前記基準検出値記憶部は、所定の時点で前記物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの検出値を基準検出値として記憶することを特徴とする
請求項1記載の検出スイッチ。
【請求項3】
前記基準検出値の取得を指示するための基準検出値取得指示部を更に備えていることを特徴とする
請求項2記載の検出スイッチ。
【請求項4】
前記第1検出値と前記基準検出値との差又は比が予め定めた第1規定範囲内にあるか否かを判別する第1規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときのみ前記補正部によるオフセット又はゲインの補正を実行することを特徴とする
請求項1、2又は3記載の検出スイッチ。
【請求項5】
前記第1検出値と前記基準検出値との差又は比が前記第1規定範囲より広い第2規定範囲内にあるか否かを判別する第2規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときはエラー報知を実行することを特徴とする
請求項4記載の検出スイッチ。
【請求項6】
前記第1規定範囲又は前記第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項4又は5記載の検出スイッチ。
【請求項7】
前記基準検出値又は前記第1検出値は、前記比較結果が前記第2レベルから前記第1レベルに反転した時点から所定の遅延時間後に取得される物理量から生成されることを特徴とする
請求項1から6のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項8】
前記遅延時間を設定するための遅延時間設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項7記載の検出スイッチ。
【請求項9】
前記検出値、前記しきい値、及び前記ゲイン又はオフセットのうちのいずれか2つを同時に表示する表示器を更に備えていることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項10】
前記基準検出値を増減調節するための基準検出値調節部を更に備えていることを特徴とする
請求項1から9のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項11】
前記しきい値を設定するためのしきい値設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項1から10のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項12】
検出対象領域に向けて光を投光するための発光素子を含む投光部と、
前記検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、
所定のオフセット及びゲインに従って前記受光量から検出値を生成する検出値生成部と、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部と
を備えていることを特徴とする光電スイッチ。
【請求項13】
検出対象領域に向けて光を投光するための発光量可変の発光素子を含む投光部と、
前記検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、
前記受光量に相当する検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記発光素子の発光量を補正する補正部と
を備えていることを特徴とする光電スイッチ。
【請求項14】
検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得するステップと、
所定のオフセット及びゲインに従って前記物理量から検出値を生成するステップと、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力するステップと、
予め設定した基準検出値を記憶するステップと、
任意の時点で取得された前記物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記オフセット又はゲインを補正するステップと
を備えていることを特徴とする検出スイッチによる検出方法。
【請求項1】
検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得する物理量取得部と、
所定のオフセット及びゲインに従って前記物理量から検出値を生成する検出値生成部と、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部と
を備えていることを特徴とする検出スイッチ。
【請求項2】
前記基準検出値記憶部は、所定の時点で前記物理量取得部が取得した物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの検出値を基準検出値として記憶することを特徴とする
請求項1記載の検出スイッチ。
【請求項3】
前記基準検出値の取得を指示するための基準検出値取得指示部を更に備えていることを特徴とする
請求項2記載の検出スイッチ。
【請求項4】
前記第1検出値と前記基準検出値との差又は比が予め定めた第1規定範囲内にあるか否かを判別する第1規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときのみ前記補正部によるオフセット又はゲインの補正を実行することを特徴とする
請求項1、2又は3記載の検出スイッチ。
【請求項5】
前記第1検出値と前記基準検出値との差又は比が前記第1規定範囲より広い第2規定範囲内にあるか否かを判別する第2規定範囲判別部を更に備え、その判別結果が否定であるときはエラー報知を実行することを特徴とする
請求項4記載の検出スイッチ。
【請求項6】
前記第1規定範囲又は前記第2規定範囲又は両方の規定範囲の設定を行うための規定範囲設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項4又は5記載の検出スイッチ。
【請求項7】
前記基準検出値又は前記第1検出値は、前記比較結果が前記第2レベルから前記第1レベルに反転した時点から所定の遅延時間後に取得される物理量から生成されることを特徴とする
請求項1から6のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項8】
前記遅延時間を設定するための遅延時間設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項7記載の検出スイッチ。
【請求項9】
前記検出値、前記しきい値、及び前記ゲイン又はオフセットのうちのいずれか2つを同時に表示する表示器を更に備えていることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項10】
前記基準検出値を増減調節するための基準検出値調節部を更に備えていることを特徴とする
請求項1から9のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項11】
前記しきい値を設定するためのしきい値設定部を更に備えていることを特徴とする
請求項1から10のいずれか1項記載の検出スイッチ。
【請求項12】
検出対象領域に向けて光を投光するための発光素子を含む投光部と、
前記検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、
所定のオフセット及びゲインに従って前記受光量から検出値を生成する検出値生成部と、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記検出値生成部のオフセット又はゲインを補正する補正部と
を備えていることを特徴とする光電スイッチ。
【請求項13】
検出対象領域に向けて光を投光するための発光量可変の発光素子を含む投光部と、
前記検出対象領域からの光を受光し、その受光量を取得するための受光素子を含む受光部と、
前記受光量に相当する検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力する比較部と、
予め設定した基準検出値を記憶する基準検出値記憶部と、
任意の時点で前記受光量取得部が取得した受光量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記発光素子の発光量を補正する補正部と
を備えていることを特徴とする光電スイッチ。
【請求項14】
検出対象物の物理状態に対応した物理量を取得するステップと、
所定のオフセット及びゲインに従って前記物理量から検出値を生成するステップと、
前記検出値を予め定めたしきい値と比較し、比較結果である第1レベル又は第2レベルを検出結果として外部に出力するステップと、
予め設定した基準検出値を記憶するステップと、
任意の時点で取得された前記物理量から生成された検出値であって前記比較結果が前記第1レベルであるときの第1検出値と前記基準検出値との差又は比が所定範囲内に入るように前記オフセット又はゲインを補正するステップと
を備えていることを特徴とする検出スイッチによる検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−80896(P2006−80896A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262666(P2004−262666)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]