検出センサ
【課題】 検出動作中に誤って作業者が操作キーに触れるなどしても設定条件が変更されてしまうことがないキーロック機能を備えた上で、操作性に優れ、かつ安価な検出センサを提供することを目的とする。
【解決手段】 ファイバセンサ1は、投光素子41、受光素子45からなる検出部40を備え、投光素子41から出射された光を受光素子45で受光し、受光量の変化に基づいて被検出物Wの有無について検出する。このファイバセンサ1は、キーロック機能が設けられ、しかも、これをスイッチ11、12、並びに回転操作子15により設定、すなわちセンサ側で設定できるようになっている。そのため、キーロックを働かせれば、検出中に誤って閾値が変更されてしまうことがなく、また、キーロックの設定、並びに、その解除もその場で簡単に行なうことが出来る。
【解決手段】 ファイバセンサ1は、投光素子41、受光素子45からなる検出部40を備え、投光素子41から出射された光を受光素子45で受光し、受光量の変化に基づいて被検出物Wの有無について検出する。このファイバセンサ1は、キーロック機能が設けられ、しかも、これをスイッチ11、12、並びに回転操作子15により設定、すなわちセンサ側で設定できるようになっている。そのため、キーロックを働かせれば、検出中に誤って閾値が変更されてしまうことがなく、また、キーロックの設定、並びに、その解除もその場で簡単に行なうことが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物体の有無等を検出可能な検出センサが知られている。この種のものは、被検出物の検出状態に応じて出力される検出信号を所定の閾値と比較することで、物体の有無等を検出している。また、この種の検出センサは、閾値等の設定値を、ボタンを押し操作することで変更することが出来るようになっている。
【0003】
このような変更機能を備えていると、使用用途に応じて閾値等の設定値を種々変更することが出来るから、検出にバリエーションを持たせることが出来、利便性が高まる反面、検出動作中に誤って作業者がボタンに触れるなどして設定条件が変更されてしまう虞がある。
係る問題を解決しうる構成として、特許文献1には、キーロックに関する技術が開示されている。このものは、検出センサ(光電センサ)とは別に、専用の光電センサ管理装置を設けており、当該管理装置から、検出センサ側にキーロック情報が送信されるようになっている。そして、キーロック情報を受信した検出センサは、キーロック情報の内容に基づいて、設定変更機能の一部を不能にするものである。
【特許文献1】特開2003−110415公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、検出センサとは別に、専用の管理装置を必要とするので、その分、コスト高となるし、更には、操作性の面で改善の余地がある。まず1点目としては、センサをキーロック状態にするのは、たとえば、センサに対して設定変更操作を行った後であるが、その際に、わざわざ管理装置まで行かないとセンサのキーロック機能を働かせることが出来ないという点である。
2点目としては、特許文献1のものは、設定機能の切り変えを行なうスイッチが、押しボタン式のスイッチであるが、このような押しボタン式のスイッチは、押圧回数に応じて値が変わるため、値を大きく変化させる場合には、押圧操作を数度となく行う必要があり、煩わしいという点である。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、検出動作中に誤って作業者が操作キーに触れるなどしても設定条件が変更されてしまうことがないキーロック機能を備えた上で、操作性に優れ、かつ安価な検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、所定の条件に基づいて被検出物の検出を行なう検出手段を備える検出センサであって、アナログ操作が可能な操作手段と、前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定値変更手段と、前記設定値変更手段による設定値の変更が禁止された禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り換える切換手段と、前記非禁止状態から前記禁止状態に切り換えられたときに、切り換え時の設定値を記憶する記憶手段と、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された記憶内容を保持させる記憶制御手段とを備え、前記設定値変更手段は、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された設定値を前記所定の条件に適用される設定値として定めるところに特徴を有する。
なお、「所定の条件」には、例えば、検出感度、出力される信号のタイミングや出力時間、光電センサにおける投光周期、などが含まれる。また、「設定値」としては、例えば、「条件」が検出感度であれば、閾値などが含まれ、「条件」が出力時間であれば、出力時間の延長時間などが含まれる。さらに、「アナログ操作」には、所定の方向に連続的に操作可能とされ、その操作方向及び操作量に応じて設定値を変更させることができるものが含まれる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記所定の条件に適用される設定値は前記検出手段の検出感度に関する設定値であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する前記検出手段とされた検出素子と、この検出素子から出力された検出信号のレベルと閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて前記被検出物の検出状態を判定する判定手段とを備え、この閾値が前記検出感度に関する設定値とされて、前記非禁止状態にあるときには、前記操作手段の操作に応じてその値を大小変更可能とされているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、表示手段と、前記禁止状態に切り替えられているときに、現在の状態が禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記表示制御手段に信号を入力可能な信号入力手段が設けられるとともに、当該表示制御手段は、前記信号入力手段を通じて入力される表示指令信号に基づいて、前記禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に行なわせるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記操作手段は操作が行なわれると、当該操作に応じた操作信号を前記表示制御手段に出力するよう構成されるとともに、前記表示制御手段は、前記禁止状態中に前記操作信号が入力されたときには、これを前記表示指令信号と判断するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記検出手段により被検出物の検出が行なわれるときには、前記表示手段に、検出された被検出物の検出値を表示させる制御を行なうが、同検出値を表示させているときに、前記表示指令信号の入力があった場合には、表示内容を切り替えて前記禁止状態を示す表示をさせるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記表示指令信号が継続して入力されている間は、前記表示手段に前記禁止状態を示す表示をさせる一方、前記表示指令信号の入力がされなくなると、表示内容を前記検出値を表示させる表示に変更させるところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記表示指令信号を受け取ると、前記表示手段に所定時間だけ前記禁止状態を示す表示をさせるところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記禁止状態であることを示す表示は、そのときに表示手段に表示されている表示内容を点滅表示させることであるところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のものにおいて、前記設定値変更手段は、前記検出手段で被検出物の検出を行なっているときにおいても、前記所定の条件に適用される設定値を変更可能であるところに特徴を有する。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のものにおいて、被検出物の検出を行なう検出モードと、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えを行なう変更モードと、を切り換えるモード切換手段を備え、前記変更モード中に、前記操作手段の操作を行なうと、前記禁止状態と前記非禁止状態とが選択的に変更されて、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えが出来るよう構成されているところに特徴を有する。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12に記載のものにおいて、前記表示手段はディジタル表示可能なディジタル表示部によって構成され、前記表示制御手段は、当該ディジタル表示部に対して、前記変更モード中には、前記非禁止状態、或いは前記禁止状態に応じた表示を行なわせるのに対し、前記検出モード中には、前記検出手段により検出された検出値或いは、前記設定値のうち少なくともいずれか一方を表示させるところに特徴を有する。
【0019】
請求項14の発明は、請求項13に記載のものにおいて、前記表示部は2つのディジタル表示部を備えてなるとともに、前記検出モード中において、前記表示制御手段は、いずれか一方のディジタル表示部に検出された被検出物の検出値を表示させるのに対し、他方のディジタル表示部に前記設定値を表示させるところに特徴を有する。
【0020】
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のものにおいて、前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されているところに特徴を有する。
【0021】
請求項16の発明は、請求項15に記載のものにおいて、前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、前記設定値変更手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については前記設定値を変化させないところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0022】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、操作手段はアナログ操作が可能であるから、設定変更等を行なう際において、大幅な変更を行なう場合であっても、数度の押圧操作を強いられることがなく操作性に優れる。また、検出センサは切換手段を備えており、この切換手段に対する操作により禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り替えることが出来る。このように、検出センサ側で、設定値の変更を禁止することが出来るから使い勝手がよい。
また、設定値変更の禁止は、記憶手段に記憶された記憶内容を保持させることにより行なっている。設定値変更を禁止するには、例えば、専用の部品を設けて、操作手段の操作を機械的に禁止することも可能であるが、この場合には部品点数が増えてしまうが、上記構成(記憶を保持させておくもの)であれば、専用部品が実質的に必要なく、部品増にもならない。
【0023】
<請求項2の発明>
検出感度について誤って設定が変更されてしまうと、測定自体が正しく行なわれたとしても、正しく判定がされないこととなり、センサの信頼性が低下する。請求項2の発明によれば、検出感度に関する設定値が誤って変更されることを、未然に回避することが出来るからセンサの信頼性が高まる。
【0024】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、検出状態の判定にもっとも重要な閾値が、誤って変更されることが未然に回避されるから、より一層、センサの信頼性が高まる。
【0025】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、表示手段の表示内容を視認するだけで、作業者はセンサの状態が禁止状態であるか、否かを確認することが出来る。従って、表示手段を確認するようにさえしておけば、禁止状態の設定、或いは解除のし忘れが、少なく出来る。
【0026】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、表示制御手段は表示指令信号を受信すると、禁止状態であることを示す表示を表示手段に行なわせる。このような構成であれば、例えば、作業者に注意を促がしたい場合に表示指令信号を出力させるようにしておけば、そのときだけ、禁止状態であることを示す表示をさせることが可能となる。言い換えれば、それ以外の場合には、表示手段に異なる表示をさせておくことが可能となり、使用性が高まる。
【0027】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、作業者が操作手段の操作を行なうと、操作手段から表示制御手段に操作信号が送られる。そして、これが禁止状態中である場合には、入力された操作信号を、表示制御手段は表示指令信号と判定することで、表示手段には、禁止状態であることを示す表示がされる。これにより、作業者に、自己が誤った操作をしていることを、知らしめることが出来る。
【0028】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、検出中、表示手段には検出値が表示されるが、表示指令信号が入力されると、表示内容が切り替わって禁止状態を示す表示がなされる。
【0029】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、禁止状態の表示が必要最小限の時間だけ行なわれる。換言すれば、検出値が表示される時間が長く取れるから、センサの本来的な機能が損なわれることがない。
【0030】
<請求項9の発明>
請求項9の発明によれば、表示指令信号が表示制御手段に入力された後、所定時間を経過すると、センサの表示が自動的に切り替わるから、それ専用の表示切換操作を必要とせず、操作性に優れるものとなる。
【0031】
<請求項10の発明>
請求項10の発明によれば、表示内容を点滅表示させて、禁止状態を示している。このような構成であれば、表示内容を表示したままの状態で、これと同時に、禁止状態の表示を行なうことが可能となる。
【0032】
<請求項11の発明>
被検出物の検出中に設定値の変更が可能なものは、特に、作業者が誤って設定変更をしてしまうことが予想されるから、係るものに設定値変更禁止機能を設けることで、大きな効果が期待できる。
【0033】
<請求項12の発明>
請求項12の発明によれば、設定値の変更操作並びに、禁止状態と非禁止状態との選択操作をいずれも操作手段により行なうことが出来るから、操作系の統一が図られ構成がシンプルになる。
【0034】
<請求項13の発明>
請求項13の発明によれば、表示手段はディジタル式の表示を行なうから、アナログ式の場合に比べて表示内容が見易くなる。また、モードに応じてその表示内容が切り換えられる。このような構成であれば、作業者は表示画面を参照しつつ、状態(禁止状態、或いは非禁止状態)の設定作業を行なうことが出来るから、状態の設定誤り(本来的には禁止状態に設定するところを、誤って非禁止状態に設定する等)が少なくなる。
【0035】
<請求項14の発明>
検出値と設定値が同時に表示される構成であれば、作業者は検出値と設定値を比較することで、現在の検出状態を自ら判断することが可能となる。
【0036】
<請求項15の発明>
アナログ式の操作手段としては、左右に移動させて設定値の変更を行うスライドスイッチがあるが、このものは、スイッチをスライドさせるためのスペースを専用に確保する必要があり、センサの小型化の妨げとなるが、回転式のものであれば、そのようなスペースを必要としないから、センサ全体を小型化できる。
【0037】
<請求項16の発明>
回転操作子の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子が壊れるおそれがあるが、請求項16の発明によれば、回転操作子の回転数に制限がないため、回転操作子が壊れることを防止できる。また、回転操作子の回転が無限に出来るとすると、誤って、回転操作子を必要以上に回転させてしまう状況が起こり得るが、この場合には、設定値の変化が所定の範囲内に留め置かれるから、設定値が所定範囲(限度範囲)を超えて変更されてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8を参照しつつ説明する。
1.ファイバセンサの構成
本実施形態は本発明の検出センサをファイバセンサ1に適用したものである。ファイバセンサ1は、内部に投光素子41並びに受光素子45からなる検出部(本発明の検出手段に相当)40を収容する本体ケース10を備え、投光素子41から出射された光を受光素子45で受光し、受光量の変化に基づいて被検出物Wの有無について検出するものである。
詳細には、図示されていないが、本体ケース10の前面には一対の光ファイバ(図示せず)が各基端部を本体ケース10内に収容される投光素子41並びに受光素子45にそれぞれ突き合わせた状態で差し込まれている。そして、投光素子41から出射された光が一方の光ファイバ内を伝わって被検出物Wに照射され、その反射光が他方の光ファイバを通って受光素子45にて受光されるようになっている。尚、投光素子41、受光素子45が本発明の検出素子に相当する。
【0039】
また、図1に示すように本体ケース10の上面10Aの中央よりの位置にはデジタル表示器(本発明のディジタル表示部に相当)20が設けられるとともに、その左側に動作表示灯34と安定表示灯35が並んで配置され、ディジタル表示器20の右側に、L/Dスイッチ11、回転操作子15(本発明の操作手段に相当)、モード切換スイッチ(本発明のモード切換手段に相当)12が設けられている。
【0040】
ディジタル表示器20は、左右に併設された二つの表示部、すなわち第一表示部21と第二表示部22とからなる。これら両表示部21、22は共に4桁の7セグメントLEDからなる。このデジタル表示器20には、主として検出値、並びに被検出物Wの有無の判定基準となる閾値(本発明の所定の条件に適用される設定値に相当)が表示される他、後述するモードの切り換えに応じて表示内容が種々変更されるようになっている。
【0041】
L/Dスイッチ11は、左右にスライド可能になっており、一方にスライドさせると、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定され(ライトオン)、他方にスライドさせると閾値よりも小さい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定されるようになっている(ダークオン)。なお、本実施形態では、L/Dスイッチ11は、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定(ライトオン)するように設定されているものとして説明する。
【0042】
回転操作子15は、図2に示すように、同図における上下方向に延びる軸部16の上端部に径方向外向きに張り出す操作部17を備えてなる。この回転操作子15は本体ケース10に設けられる受け部13に対して軸を中心として回転可能な状態で保持されている。これにより、回転操作子15を軸を中心に回転させると、同じ方向に際限なく、回転するようになっている。
【0043】
そして、回転操作子15の軸部16の下端部がロータリーエンコーダ(以下、単にエンコーダと呼ぶものとする)19の円盤19Aを貫通している。回転操作子15とエンコーダ19の円盤19Aとは相対回動が不能な状態に保持されており、回転操作子15が回転されると、これと一体的に円盤19Aが回転し、エンコーダ19からは回転量に応じた数のパルス信号(本発明の操作信号に相当)Sbが後述するCPU30に対して出力されるようになっている。また、操作部17には、図1に示すように、十字のスリット17Aが切られており、そこに、回転操作を行うための治具を差し込むことが出来るようになっている。
【0044】
また、詳細には後述するが、ファイバセンサ1には、検出モードと変更モードの2つのモードが設けられており、これを、先のモード切換スイッチ12の操作によって切り換えることが出来るようになっている。検出モードとは検出部40によって被検出物Wの有無について閾値を基準として判定を行なうモードであるのに対し、変更モードは閾値の変更を禁止するキーロック状態(本発明の禁止状態に相当)或いは、キーロック状態を解除して設定値の変更を可能とするキーロックオフ状態(本発明の非禁止状態に相当)にセンサの状態を切り換えるモードである。
【0045】
動作表示灯34は、被検出物Wの検出の可否を表示するためのものであって、被検出物Wの検出時には点灯し、非検出時には消灯する。安定表示灯35は、被検出物Wの検出が安定して行われたときに点灯する。
【0046】
2.検出センサの電気的構成
図3は、ファイバセンサ1の電気的構成を示すブロック図であり、符号30はセンサ全体の制御を行なうCPU、符号40は被検出物Wに対して検出光を出射して、それを受光する検出動作を行なう検出部、符号20は検出結果等が表示されるディジタル表示部であり、CPU30に対しては、L/Dスイッチ11、モード切換スイッチ12等の各種スイッチ、並びにエンコーダ19が電気的に連なっており、CPU30の入力ポートに対してこれら各装置から信号が入力されるようになっている。
尚、これら各入力ポートのうち、図3に示すP1はエンコーダ19からの信号が入力されるポートとなっており、これが、本発明の信号入力手段に相当するものである。また、CPU30が、本発明の比較手段、判定手段に相当するものである。
【0047】
また、同図における符号51はROM、符号55はRAM(本発明の記憶手段に相当)である。ROM51内には、各モードを実行するための各種プログラムが格納されている。また、RAM55は閾値を設定・変更するためのワーキングメモリとされており、CPU30はRAM55に記憶されている値を閾値として設定するようになっている。
【0048】
3.モードの切り換えについて
センサのモードは、検出モードと変更モードとがあるが、常には検出モードにモード設定されるようになっている。図4の(a)は、検出モード時の表示例を示してあり、第一表示部21には検出値が表示され、第二表示部22には閾値がそれぞれ表示されるようにCPU30により表示制御されている。
【0049】
そして、この状態から、モード切換スイッチ12を押し操作することで、モード切換スイッチ12からモード切換信号SaがCPU30に送信される。これにより、CPU30によって、センサのモードが検出モードから変更モードに切り換えられる処理が行なわれ、ディジタル表示器20の表示内容が変更モード用の表示内容に変更される。それ以降は、表示内容を参照しつつ、回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12を操作することで、キーロック状態或いは、キーロックオフ状態のいずれかの状態にセンサをセットすることが出来る。
【0050】
具体的に説明すると、モード切換スイッチ12が押されて、モードが検出モードから変更モードに切り換えられると、図4の(a)の表示が、図4の(b)の表示に変更される。すなわち、第一表示部21に「LOC」の文字が表示される。その後、スイッチが元の状態に復帰、すなわち作業者がスイッチから手を離と、ディジタル表示器20の表示内容が、図5に示す(a)の状態に変更される。すなわち、第一表示部21には引き続き「LOC」の文字が表示され、第二表示部22には「OFF」の文字が表示される。
【0051】
次に、上記した表示状態から、回転操作子15を操作してやると、エンコーダ19からCPU30にパルス信号Sbが入力されることで、CPU30はデジタル表示部20に「LOC ON」、「LOC OFF」を交互に表示させる。尚、この「ON」の表示は、キーロック状態に対応しており、「OFF」の表示は、キーロックオフ状態に対応している。
【0052】
そして、所望の表示がされたところで、再度モード切換スイッチ12を押してやれば、モード切換スイッチ12からCPU30に信号が送られることで、そのときに、ディジタル表示器20に表示されている状態、すなわち、表示が「LOC ON」であればキーロック状態にセットされ、表示が「LOC OFF」であれば、キーロックオフ状態にセットされる。尚、図5の(c)には、キーロック状態が選択された場合の表示を例示してある。
【0053】
尚、回転操作子15を操作することで、デジタル表示部20に「LOC ON」、「LOC OFF」が交互に表示されて、キーロック状態、或いはキーロックオフ状態を選択可能とすることが、本発明の切換手段の果たす機能に相当する。
【0054】
上記要領で、キーロック状態或いは、キーロックオフ状態のいずれかが選択された後、所定時間を経過すると、CPU30は自動的にモードの切り換えを行なって、再び、モードを検出モードに変更する処理を行なう。尚、上記したように、CPU30がモードの変更、並びに回転操作子15の操作等に応じて、ディジタル表示部20の表示内容を切り換えることが、本発明の表示制御手段の果たす機能に相当する。
【0055】
4.検出モードにおける検出動作
次に、キーロックオフ状態が選択された場合、並びにキーロック状態が選択された場合についてそれぞれ、検出モード中の検出動作が如何に行なわれるか説明を行なうが、両状態の相違は回転操作子15の操作により検出の判定基準となる閾値が変更されるか、否かが違うだけで、回転操作子15の操作がされなければ、同じ検出動作を行なうので、まず、これについて説明する。尚、検出に先立って、RAM55には、予め所定値(ここでは、2000)が記憶されているものとして説明を進める。
【0056】
測定が開始されると、投光素子41から検出光が出射され、これが被検出物Wに照射される。照射された光は被検出物Wで反射し、これが受光素子45によって受光される。すると、受光素子45からは受光信号(本発明の検出信号に相当)が出力され、これがCPU30に入力される。
CPU30は受光信号が入力されると、RAM55にアクセスして閾値の読み出しを行なう。RAM55には値2000が記憶されているから、CPU30は閾値を2000とし、この閾値を基準に被検出物Wの有無について判定を行なう。すなわち、受光レベル(受光信号の信号レベル)が閾値を上回っていれば、「物体あり」と判定し、それ以外の場合には「物体なし」と判定する。
【0057】
そして、CPU30は判定結果に応じて、各種表示灯34、35の点灯制御を行なうとともに、ディジタル表示器20の表示制御を行なう。これにより、第一表示部21には検出値(例えば、受光信号の信号レベル)が表示され、第二表示部22には閾値が表示される(図6の(a)参照)。また、出力回路33には判定結果に応じた制御信号が出力される。
【0058】
さて、キーロックオフ状態が選択されている状態で、検出動作中に回転操作子15が操作されると、エンコーダ19から回転量に応じた数のパルス信号Sbが出力される。そして、係る場合に、CPU30はキーロックオフ用の信号処理を行なう。すなわち、キーロックオフ状態の場合には、パルス信号Sbが入力されると、CPU30はこれを閾値更新信号と判断し、入力されたパルス信号Sbの入力数に基づいてRAM55に記憶されている値を書き換える処理を行なう。
より具体的に言えば、回転操作子15が増加方向に操作されるとRAM55に記憶された値は、元の値より大きな値(操作量に応じた値を加算した値)に書き換えられる。一方、減少方向に操作されると、元の値より小さな値(操作量に応じた値を減算した値)に書き換えられる。
【0059】
先にも述べたように、CPU30はRAM55に記憶された値を閾値とするから、検出モード中に、回転操作子15の操作が行われてRAM55に記憶された値が更新されると、更新後の値に閾値が変更されることとなる。そのため、それ以降は変更された閾値に基づいて、被検出物Wの有無について判定が行なわれる。尚、CPU30が、入力されたパルス信号Sbの入力数に基づいてRAM55に記憶されている値を書き換える処理を行い、これを閾値として設定する機能が、本発明の設定値変更手段の果たす機能に相当する。
【0060】
従って、回転操作子15が操作される前後で同じ受光レベルであったとしても、例えば、回転操作子15の操作により閾値が大きくなるように変更されてしまった場合には、操作前は、受光レベルが閾値を上回った状態にあって「物体あり」と判定されていたものが、操作後は、受光レベルが閾値を下回る状態となって、「物体なし」と判定されることが、起こり得る。図6には、閾値が2000から2100に変更された状態を例示してある。
【0061】
また、RAM55に書き込まれる値には、予めCPU30により制限が設けられており、決められた制限範囲(請求項16の所定範囲に相当)を超えない、すなわちパルス信号Sbが入力された場合であっても、それ以上は値を更新させない設定としてある。
【0062】
次に、キーロック状態が選択されている状態で、回転操作子15が操作された場合について説明を行なう。キーロック状態が選択された場合に、パルス信号Sbが入力されると、CPU30はこれを閾値更新信号と判断せず、表示指令信号と判断して、RAM55に記憶された値を書き換える処理を一切行なわず(言い換えれば、記憶された値を保持する)、表示内容を切り換える処理のみを行なう。
このように、CPU30がキーロック状態において、記憶手段たるRAM55に記憶された値を保持する機能が、本発明における記憶制御手段の果たす機能に相当する。
【0063】
従って、キーロック状態が選択されていれば、検出動作中に回転操作子15が操作されたとしても、RAM55に記憶されている値は保持されるから、これにより、閾値は変更されず、当初の閾値(より具体的に言えば、キーロックオフ状態からキーロック状態に切り換えられたときの閾値)のまま、判定が行なわれることとなる(図8参照)。
【0064】
また、表示内容の切り換えについては、図7に示す通りであり、図7の(a)は切換前(回転操作前)の表示内容、図7の(b)は切換後(回転操作後)の表示内容である。すなわち、切り換え前においては、第一表示部21には検出値が、第二表示部22には閾値がそれぞれ表示されているものが、切り換え後には、第一表示部21の表示が「LOC」に変更され、第二表示部22の表示が「ON」にそれぞれ変更される。
【0065】
すなわち、現在の状態が閾値の変更が禁止されたキーロック状態である旨の表示が行なわれる。そして、このキーロック状態である旨の表示は、回転操作子15が操作されてから、所定時間だけ表示され、その後は、ディジタル表示部20の表示は元の検出値等を表示するものに自動的に切り換わるようになっている。これは、作業者にキーロック状態であることを知らせることができれば、それ以上、キーロック状態である旨の表示を継続させておく必要がないからである。
尚、所定時間経過後に、表示を自動的に切り換えるには、例えば、タイマ等によって所定時間を計時させ、計時の完了に続いて、表示を元の状態に切り換えるような制御を行なえばよい。
【0066】
また、CPU30は先にも述べたように、RAM55に記憶されている値に基づいて閾値を決定するから、キーロック状態中に、回転操作子15の操作が行われたとしても、キーロック状態からキーロックオフ状態に切り換えが行なわれたときの閾値に、その影響が及ばないようになっている。より具体的に言えば、キーロック状態においてRAM55に記憶された値が、例えば2000であった場合には、キーロック状態中の回転操作子15の操作に拘わらず、キーロック状態解除後においてRAM55に記憶されている値は2000であるから、解除直後の閾値は2000の値にセットされることとなる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、キーロック状態の設定が可能となっており、その間は、回転操作子15を操作しても、閾値が変更されないようになっている。そのため、検出モード中に、検出の判定基準となる閾値が誤操作により変更されてしまうといった事態を未然に回避することが可能となり、センサの信頼性が高まる。また、キーロック状態の設定、並びにその解除は、本体ケース10に設けられる回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12で行なうことが出来る。このような構成でれば、キーロック状態、キーロックオフ状態の切り換えをセンサ側で出来るから、使い勝手がよい。
【0068】
キーロック機能を実現するには、例えば、専用の部品を設けて、回転操作子15の操作を機械的に禁止することも可能であるが、この場合には部品点数が増えてしまう。この点に関し、本実施形態のように、RAM55に記憶された値を保持させることで閾値の変更を禁止するものであれば、専用部品が実質的に必要なく、部品増にもならない。
【0069】
また、本実施形態のものは、ディジタル式の表示を行なうから、アナログ式の場合に比べて表示内容が見やすくなる。また、ディジタル表示器20の表示内容はモードに応じてその表示内容が切り換えられるようになっており、しかも、変更モードでは、ディジタル表示器20の表示内容を参照しつつ、状態(キーロック状態、キーロックオフ状態のいずれかの状態)の選択を行なうことが出来るようになっている。そのため、状態の選択誤り(本来的にはキーロック状態に設定するところを、誤ってキーロックオフ状態に設定する等)が少なくなる。
【0070】
また、本実施形態では、キーロック状態において、検出中に回転操作子15による操作がおこなわれると、ディジタル表示器20の表示内容が切り替わって、「LOC ON」の文字列、すなわち、現在の状態が閾値の変更が禁止されたキーロック状態である旨の表示がされる。これにより、作業者に対して、自己が誤った操作を行っていることを知らしめることが出来る。加えて、係る表示は、回転操作子15の操作が行われた後、所定時間を経過すると、元の表示(例えば、検出値等の表示)に自動的に切り換わるようになっているから、それ専用の表示切換操作を必要とせず、操作性に優れるものとなる。
【0071】
また、本実施形態のものは、回転操作子15をアナログ操作して閾値等の設定変更を行なうものである。すなわち、連続操作が可能であるから、閾値を大きく変更する場合であっても、操作に煩わしさがなく、操作性に優れる。加えて、閾値の変更操作並びに、キーロック状態とキーロックオフ状態の選択操作をいずれも回転操作子15により行なうことが出来るから、操作系の統一が図られ構成がシンプルになる。
【0072】
また、回転操作子15の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子15が壊れるおそれがあるが、本実施形態のものは、回転操作子15の回転数に制限がないため、回転操作子15が壊れることを防止できる。また、回転操作子15の回転が無限に出来るとすると、誤って、回転操作子15を必要以上に回転させてしまう状況が起こり得るが、本実施形態のものは、RAM55に書き込まれる値には、予め制限が設けられており、決められた制限範囲を超えないようになっており、閾値の変化が所定の範囲内に留め置かれるから、閾値が所定範囲を超えて変更されてしまうことがない。
【0073】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図9を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1に対して状態表示灯60を追加したものであり、その他の構成については、実施形態1と同一であるため、同一部品には、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
状態表示灯60は例えば、赤色発光LEDより構成され、ディジタル表示器20の右側部に配されている。CPU30は、変更モードにおいてキーロック状態が選択された場合には、状態表示灯60を点灯させるべく点灯指令を行ない、これとは反対に、キーロックオフ状態が選択された場合には、消灯指令を行なう。
【0075】
これにより、キーロック状態で検出が行なわれている間は、状態表示灯60が常時点灯された状態となるから、作業者は、状態表示灯60を目視することで、センサの状態がキーロック状態であるのか、キーロックオフ状態であるのかを一目で判断できる。また、このような構成であれば、ディジタル表示器20には、常に、検出値並びに、閾値を表示させておくことが可能となる。
【0076】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図10ないし図12を参照して説明する。
実施形態1では、センサのモードには、検出モードと変更モードの2つのモード設定があったが、実施形態3のものは、これに設定変更モードを加えたものであり、実施形態1と同様にモード切換スイッチ12の操作により、ディジタル表示器20の表示内容がモードに応じた表示に切り換わるようになっている(図10参照)。
尚、図10に示す(a)は検出モードの表示であり、(b)は設定変更モードの表示であり、(c)は変更モードの表示である。
【0077】
設定変更モードでは、ディジタル表示器20の表示内容を参照しつつ、回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12を操作することで、出力に関する条件並びに、投光素子41の投光周期を変更できるようになっている。尚、出力に関する条件とは、出力信号のタイミングや出力信号の出力時間の調整等である。図11を参照して出力時間について説明すると、CPU30から出力回路33に出力される出力信号(パルス信号)のパルス幅を、所定時間Tだけ延長させる(オンディレイ)ことで、信号の出力時間の調整を行なっている。
これにより、例えば、被検出物Wが小さくて出力信号が出力される時間(パルス幅)が短いため、通常の出力時間では被検出物Wを検出できない場合であっても、検出可能な出力時間(パルス幅)に延長することで、当該被検出物Wの検出が可能となる。
【0078】
また、図12に示すように、設定変更モードが選択されている場合であっても、キーロック状態にセンサの状態がセットされていると、出力に関する条件並びに、投光素子41の投光周期を変更出来ないようになっている。すなわち、実施形態1の閾値の決定と同様に、これらの値もRAM55に記憶される値に基づいて決定され、しかも、その値はキーロック状態においては、回転操作子15の操作に拘わらず、保持されるようになっている。このような設定とすることで、出力に関する条件並びに投光素子41の投光周期(いずれも、本発明の所定の条件に適用される設定値に相当)が、作業者の誤操作により変更されるないようになっている。
【0079】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる
【0080】
(1)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、検出中に回転操作子15の操作(誤操作)が行われると、ディジタル表示器20の表示内容を検出状態を示す表示から「LOC ON」なる表示に切り換えることで、作業者にセンサがキーロック状態にあることを知らせたが、表示内容に基づいてキーロック状態にあることが分かるものであればよく、例えば、回転操作子15による操作が行われると、表示色を変更させたり、或いは表示を点滅させるものであってもよい。
【0081】
(2)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、誤操作が行われ、回転操作子15からパルス信号Sbが出力されると、CPU30は、これを表示指令信号と判断して、ディジタル表示器20の表示内容を「LOC ON」なる表示に切り換える表示制御をおこなったが、外部装置から入力される信号に基づいて表示を切り換えるものであってもよい。すなわち、外部装置において誤操作を検知するようにしておき、外部装置から検知信号が出力されると、センサのCPU30はそれを受信して、表示内容の切り換えを行なうのである。
【0082】
(3)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、誤操作が行われると、ディジタル表示器20の表示内容を「LOC ON」なる表示に、所定時間だけ切り換えて、その後は、元の表示内容に自動的に切り替わるようにしたが、表示が自動的に切り替わる構成であればよく、例えば、回転操作子15が誤操作されている間、或いは上記のように外部装置から検知信号が出力されている間だけ、表示を切り換えるようにしておいてもよい。
【0083】
(4)また、上記実施形態では、光電式のセンサを例にとって説明したが、例えば、磁気式の近接センサ或いは、圧力センサ等にも適用可能である。
【0084】
(5)また、実施形態1では、キーロックオフ状態における閾値をディジタル的な処理により変更した。すなわち、回転操作子15が操作されると、操作量に応じたパルス数のパルス信号Sbがエンコーダ19から出力され、CPU30は、出力されたパルス数に基づいて閾値(RAM55に記憶された値)を変更した。この閾値を変更する処理に関しては、上記したディジタル的な処理に限らず、例えば、アナログ的な処理、すなわち、回転操作子15の操作量と連続して値が変更されるようなディバイス(例えば、操作量に応じて抵抗値の大きさが変わる可変抵抗器等)を新たに設けて、追加されたディバイスの物理値(例えば、抵抗値)に基づいて閾値の変更を行なってもよい。
【0085】
尚、この場合においても、キーロック状態においては、実施形態1と同様の形式、すなわち、RAM55に変更直前の閾値を記憶させるとともに、記憶させた値をキーロック中は保持しておくことによって、閾値の変更を禁止するのである。そして、キーロック状態においては、RAM55の値を保持することで閾値の変更を禁止し、キーロックオフ状態においては閾値の変更を上記した抵抗値に基づいて定める場合の懸念事項としては、キーロック状態中においては閾値は、回転操作子15の操作によらず保持されるものの、キーロック状態からキーロックオフ状態に変更されると、変更後は抵抗値に基づいて閾値が決定されてしまうから、キーロック中の操作の影響がキーロック解除後に現れる点である。そのため、キーロック中に回転操作子15が操作された場合には、その影響を排除するべく、補正処理を行なってやればよい。すなわち、キーロック状態からキーロックオフ状態に移行した後の抵抗値をAとし、キーロック状態中における抵抗値の変化量をBとすると、移行後は、実際には抵抗値の大きさがAであるところをA−Bとしてやるのである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態1に係るファイバセンサの平面図
【図2】回転操作子の支持構造を示す断面図
【図3】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図
【図4】モードに応じて、ディジタル表示部の表示内容が切り換えられた状態を示す図
【図5】変更モードが選択された後、回転操作子の操作により表示内容が切り替わる様子を示す図
【図6】検出モード(キーロックオフ状態)中に、回転操作子が操作されることで、閾値が変更された様子を示す図
【図7】検出モード(キーロック状態)中に、回転操作子が操作されることで、キーロック状態を示す表示に変更された様子を示す図
【図8】キーロック状態に設定された場合の、回転操作子の操作に対するRAMに記憶された値の更新の可否の関係を示す図
【図9】実施形態2に係るファイバセンサの平面図
【図10】実施形態3に係るファイバセンサの平面図
【図11】CPUから出力回路に出力される出力信号の波形を示す図
【図12】キーロック状態に設定された場合の、回転操作子の操作に対する設定条件(投光周期等)の変更の可否の関係を示す図
【符号の説明】
【0087】
12…モード切換スイッチ
15…回転操作子(切換手段)
30…CPU(記憶制御手段、設定値変更手段)
55…RAM(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物体の有無等を検出可能な検出センサが知られている。この種のものは、被検出物の検出状態に応じて出力される検出信号を所定の閾値と比較することで、物体の有無等を検出している。また、この種の検出センサは、閾値等の設定値を、ボタンを押し操作することで変更することが出来るようになっている。
【0003】
このような変更機能を備えていると、使用用途に応じて閾値等の設定値を種々変更することが出来るから、検出にバリエーションを持たせることが出来、利便性が高まる反面、検出動作中に誤って作業者がボタンに触れるなどして設定条件が変更されてしまう虞がある。
係る問題を解決しうる構成として、特許文献1には、キーロックに関する技術が開示されている。このものは、検出センサ(光電センサ)とは別に、専用の光電センサ管理装置を設けており、当該管理装置から、検出センサ側にキーロック情報が送信されるようになっている。そして、キーロック情報を受信した検出センサは、キーロック情報の内容に基づいて、設定変更機能の一部を不能にするものである。
【特許文献1】特開2003−110415公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、検出センサとは別に、専用の管理装置を必要とするので、その分、コスト高となるし、更には、操作性の面で改善の余地がある。まず1点目としては、センサをキーロック状態にするのは、たとえば、センサに対して設定変更操作を行った後であるが、その際に、わざわざ管理装置まで行かないとセンサのキーロック機能を働かせることが出来ないという点である。
2点目としては、特許文献1のものは、設定機能の切り変えを行なうスイッチが、押しボタン式のスイッチであるが、このような押しボタン式のスイッチは、押圧回数に応じて値が変わるため、値を大きく変化させる場合には、押圧操作を数度となく行う必要があり、煩わしいという点である。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、検出動作中に誤って作業者が操作キーに触れるなどしても設定条件が変更されてしまうことがないキーロック機能を備えた上で、操作性に優れ、かつ安価な検出センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、所定の条件に基づいて被検出物の検出を行なう検出手段を備える検出センサであって、アナログ操作が可能な操作手段と、前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定値変更手段と、前記設定値変更手段による設定値の変更が禁止された禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り換える切換手段と、前記非禁止状態から前記禁止状態に切り換えられたときに、切り換え時の設定値を記憶する記憶手段と、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された記憶内容を保持させる記憶制御手段とを備え、前記設定値変更手段は、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された設定値を前記所定の条件に適用される設定値として定めるところに特徴を有する。
なお、「所定の条件」には、例えば、検出感度、出力される信号のタイミングや出力時間、光電センサにおける投光周期、などが含まれる。また、「設定値」としては、例えば、「条件」が検出感度であれば、閾値などが含まれ、「条件」が出力時間であれば、出力時間の延長時間などが含まれる。さらに、「アナログ操作」には、所定の方向に連続的に操作可能とされ、その操作方向及び操作量に応じて設定値を変更させることができるものが含まれる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記所定の条件に適用される設定値は前記検出手段の検出感度に関する設定値であるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する前記検出手段とされた検出素子と、この検出素子から出力された検出信号のレベルと閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて前記被検出物の検出状態を判定する判定手段とを備え、この閾値が前記検出感度に関する設定値とされて、前記非禁止状態にあるときには、前記操作手段の操作に応じてその値を大小変更可能とされているところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、表示手段と、前記禁止状態に切り替えられているときに、現在の状態が禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記表示制御手段に信号を入力可能な信号入力手段が設けられるとともに、当該表示制御手段は、前記信号入力手段を通じて入力される表示指令信号に基づいて、前記禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に行なわせるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記操作手段は操作が行なわれると、当該操作に応じた操作信号を前記表示制御手段に出力するよう構成されるとともに、前記表示制御手段は、前記禁止状態中に前記操作信号が入力されたときには、これを前記表示指令信号と判断するところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記検出手段により被検出物の検出が行なわれるときには、前記表示手段に、検出された被検出物の検出値を表示させる制御を行なうが、同検出値を表示させているときに、前記表示指令信号の入力があった場合には、表示内容を切り替えて前記禁止状態を示す表示をさせるところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記表示指令信号が継続して入力されている間は、前記表示手段に前記禁止状態を示す表示をさせる一方、前記表示指令信号の入力がされなくなると、表示内容を前記検出値を表示させる表示に変更させるところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7に記載のものにおいて、前記表示制御手段は、前記表示指令信号を受け取ると、前記表示手段に所定時間だけ前記禁止状態を示す表示をさせるところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記禁止状態であることを示す表示は、そのときに表示手段に表示されている表示内容を点滅表示させることであるところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のものにおいて、前記設定値変更手段は、前記検出手段で被検出物の検出を行なっているときにおいても、前記所定の条件に適用される設定値を変更可能であるところに特徴を有する。
【0017】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のものにおいて、被検出物の検出を行なう検出モードと、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えを行なう変更モードと、を切り換えるモード切換手段を備え、前記変更モード中に、前記操作手段の操作を行なうと、前記禁止状態と前記非禁止状態とが選択的に変更されて、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えが出来るよう構成されているところに特徴を有する。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12に記載のものにおいて、前記表示手段はディジタル表示可能なディジタル表示部によって構成され、前記表示制御手段は、当該ディジタル表示部に対して、前記変更モード中には、前記非禁止状態、或いは前記禁止状態に応じた表示を行なわせるのに対し、前記検出モード中には、前記検出手段により検出された検出値或いは、前記設定値のうち少なくともいずれか一方を表示させるところに特徴を有する。
【0019】
請求項14の発明は、請求項13に記載のものにおいて、前記表示部は2つのディジタル表示部を備えてなるとともに、前記検出モード中において、前記表示制御手段は、いずれか一方のディジタル表示部に検出された被検出物の検出値を表示させるのに対し、他方のディジタル表示部に前記設定値を表示させるところに特徴を有する。
【0020】
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のものにおいて、前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されているところに特徴を有する。
【0021】
請求項16の発明は、請求項15に記載のものにおいて、前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、前記設定値変更手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については前記設定値を変化させないところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0022】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、操作手段はアナログ操作が可能であるから、設定変更等を行なう際において、大幅な変更を行なう場合であっても、数度の押圧操作を強いられることがなく操作性に優れる。また、検出センサは切換手段を備えており、この切換手段に対する操作により禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り替えることが出来る。このように、検出センサ側で、設定値の変更を禁止することが出来るから使い勝手がよい。
また、設定値変更の禁止は、記憶手段に記憶された記憶内容を保持させることにより行なっている。設定値変更を禁止するには、例えば、専用の部品を設けて、操作手段の操作を機械的に禁止することも可能であるが、この場合には部品点数が増えてしまうが、上記構成(記憶を保持させておくもの)であれば、専用部品が実質的に必要なく、部品増にもならない。
【0023】
<請求項2の発明>
検出感度について誤って設定が変更されてしまうと、測定自体が正しく行なわれたとしても、正しく判定がされないこととなり、センサの信頼性が低下する。請求項2の発明によれば、検出感度に関する設定値が誤って変更されることを、未然に回避することが出来るからセンサの信頼性が高まる。
【0024】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、検出状態の判定にもっとも重要な閾値が、誤って変更されることが未然に回避されるから、より一層、センサの信頼性が高まる。
【0025】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、表示手段の表示内容を視認するだけで、作業者はセンサの状態が禁止状態であるか、否かを確認することが出来る。従って、表示手段を確認するようにさえしておけば、禁止状態の設定、或いは解除のし忘れが、少なく出来る。
【0026】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、表示制御手段は表示指令信号を受信すると、禁止状態であることを示す表示を表示手段に行なわせる。このような構成であれば、例えば、作業者に注意を促がしたい場合に表示指令信号を出力させるようにしておけば、そのときだけ、禁止状態であることを示す表示をさせることが可能となる。言い換えれば、それ以外の場合には、表示手段に異なる表示をさせておくことが可能となり、使用性が高まる。
【0027】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、作業者が操作手段の操作を行なうと、操作手段から表示制御手段に操作信号が送られる。そして、これが禁止状態中である場合には、入力された操作信号を、表示制御手段は表示指令信号と判定することで、表示手段には、禁止状態であることを示す表示がされる。これにより、作業者に、自己が誤った操作をしていることを、知らしめることが出来る。
【0028】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、検出中、表示手段には検出値が表示されるが、表示指令信号が入力されると、表示内容が切り替わって禁止状態を示す表示がなされる。
【0029】
<請求項8の発明>
請求項8の発明によれば、禁止状態の表示が必要最小限の時間だけ行なわれる。換言すれば、検出値が表示される時間が長く取れるから、センサの本来的な機能が損なわれることがない。
【0030】
<請求項9の発明>
請求項9の発明によれば、表示指令信号が表示制御手段に入力された後、所定時間を経過すると、センサの表示が自動的に切り替わるから、それ専用の表示切換操作を必要とせず、操作性に優れるものとなる。
【0031】
<請求項10の発明>
請求項10の発明によれば、表示内容を点滅表示させて、禁止状態を示している。このような構成であれば、表示内容を表示したままの状態で、これと同時に、禁止状態の表示を行なうことが可能となる。
【0032】
<請求項11の発明>
被検出物の検出中に設定値の変更が可能なものは、特に、作業者が誤って設定変更をしてしまうことが予想されるから、係るものに設定値変更禁止機能を設けることで、大きな効果が期待できる。
【0033】
<請求項12の発明>
請求項12の発明によれば、設定値の変更操作並びに、禁止状態と非禁止状態との選択操作をいずれも操作手段により行なうことが出来るから、操作系の統一が図られ構成がシンプルになる。
【0034】
<請求項13の発明>
請求項13の発明によれば、表示手段はディジタル式の表示を行なうから、アナログ式の場合に比べて表示内容が見易くなる。また、モードに応じてその表示内容が切り換えられる。このような構成であれば、作業者は表示画面を参照しつつ、状態(禁止状態、或いは非禁止状態)の設定作業を行なうことが出来るから、状態の設定誤り(本来的には禁止状態に設定するところを、誤って非禁止状態に設定する等)が少なくなる。
【0035】
<請求項14の発明>
検出値と設定値が同時に表示される構成であれば、作業者は検出値と設定値を比較することで、現在の検出状態を自ら判断することが可能となる。
【0036】
<請求項15の発明>
アナログ式の操作手段としては、左右に移動させて設定値の変更を行うスライドスイッチがあるが、このものは、スイッチをスライドさせるためのスペースを専用に確保する必要があり、センサの小型化の妨げとなるが、回転式のものであれば、そのようなスペースを必要としないから、センサ全体を小型化できる。
【0037】
<請求項16の発明>
回転操作子の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子が壊れるおそれがあるが、請求項16の発明によれば、回転操作子の回転数に制限がないため、回転操作子が壊れることを防止できる。また、回転操作子の回転が無限に出来るとすると、誤って、回転操作子を必要以上に回転させてしまう状況が起こり得るが、この場合には、設定値の変化が所定の範囲内に留め置かれるから、設定値が所定範囲(限度範囲)を超えて変更されてしまうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図8を参照しつつ説明する。
1.ファイバセンサの構成
本実施形態は本発明の検出センサをファイバセンサ1に適用したものである。ファイバセンサ1は、内部に投光素子41並びに受光素子45からなる検出部(本発明の検出手段に相当)40を収容する本体ケース10を備え、投光素子41から出射された光を受光素子45で受光し、受光量の変化に基づいて被検出物Wの有無について検出するものである。
詳細には、図示されていないが、本体ケース10の前面には一対の光ファイバ(図示せず)が各基端部を本体ケース10内に収容される投光素子41並びに受光素子45にそれぞれ突き合わせた状態で差し込まれている。そして、投光素子41から出射された光が一方の光ファイバ内を伝わって被検出物Wに照射され、その反射光が他方の光ファイバを通って受光素子45にて受光されるようになっている。尚、投光素子41、受光素子45が本発明の検出素子に相当する。
【0039】
また、図1に示すように本体ケース10の上面10Aの中央よりの位置にはデジタル表示器(本発明のディジタル表示部に相当)20が設けられるとともに、その左側に動作表示灯34と安定表示灯35が並んで配置され、ディジタル表示器20の右側に、L/Dスイッチ11、回転操作子15(本発明の操作手段に相当)、モード切換スイッチ(本発明のモード切換手段に相当)12が設けられている。
【0040】
ディジタル表示器20は、左右に併設された二つの表示部、すなわち第一表示部21と第二表示部22とからなる。これら両表示部21、22は共に4桁の7セグメントLEDからなる。このデジタル表示器20には、主として検出値、並びに被検出物Wの有無の判定基準となる閾値(本発明の所定の条件に適用される設定値に相当)が表示される他、後述するモードの切り換えに応じて表示内容が種々変更されるようになっている。
【0041】
L/Dスイッチ11は、左右にスライド可能になっており、一方にスライドさせると、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定され(ライトオン)、他方にスライドさせると閾値よりも小さい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定するように設定されるようになっている(ダークオン)。なお、本実施形態では、L/Dスイッチ11は、閾値よりも大きい受光量が検出されたときに被検出物Wの検出と判定(ライトオン)するように設定されているものとして説明する。
【0042】
回転操作子15は、図2に示すように、同図における上下方向に延びる軸部16の上端部に径方向外向きに張り出す操作部17を備えてなる。この回転操作子15は本体ケース10に設けられる受け部13に対して軸を中心として回転可能な状態で保持されている。これにより、回転操作子15を軸を中心に回転させると、同じ方向に際限なく、回転するようになっている。
【0043】
そして、回転操作子15の軸部16の下端部がロータリーエンコーダ(以下、単にエンコーダと呼ぶものとする)19の円盤19Aを貫通している。回転操作子15とエンコーダ19の円盤19Aとは相対回動が不能な状態に保持されており、回転操作子15が回転されると、これと一体的に円盤19Aが回転し、エンコーダ19からは回転量に応じた数のパルス信号(本発明の操作信号に相当)Sbが後述するCPU30に対して出力されるようになっている。また、操作部17には、図1に示すように、十字のスリット17Aが切られており、そこに、回転操作を行うための治具を差し込むことが出来るようになっている。
【0044】
また、詳細には後述するが、ファイバセンサ1には、検出モードと変更モードの2つのモードが設けられており、これを、先のモード切換スイッチ12の操作によって切り換えることが出来るようになっている。検出モードとは検出部40によって被検出物Wの有無について閾値を基準として判定を行なうモードであるのに対し、変更モードは閾値の変更を禁止するキーロック状態(本発明の禁止状態に相当)或いは、キーロック状態を解除して設定値の変更を可能とするキーロックオフ状態(本発明の非禁止状態に相当)にセンサの状態を切り換えるモードである。
【0045】
動作表示灯34は、被検出物Wの検出の可否を表示するためのものであって、被検出物Wの検出時には点灯し、非検出時には消灯する。安定表示灯35は、被検出物Wの検出が安定して行われたときに点灯する。
【0046】
2.検出センサの電気的構成
図3は、ファイバセンサ1の電気的構成を示すブロック図であり、符号30はセンサ全体の制御を行なうCPU、符号40は被検出物Wに対して検出光を出射して、それを受光する検出動作を行なう検出部、符号20は検出結果等が表示されるディジタル表示部であり、CPU30に対しては、L/Dスイッチ11、モード切換スイッチ12等の各種スイッチ、並びにエンコーダ19が電気的に連なっており、CPU30の入力ポートに対してこれら各装置から信号が入力されるようになっている。
尚、これら各入力ポートのうち、図3に示すP1はエンコーダ19からの信号が入力されるポートとなっており、これが、本発明の信号入力手段に相当するものである。また、CPU30が、本発明の比較手段、判定手段に相当するものである。
【0047】
また、同図における符号51はROM、符号55はRAM(本発明の記憶手段に相当)である。ROM51内には、各モードを実行するための各種プログラムが格納されている。また、RAM55は閾値を設定・変更するためのワーキングメモリとされており、CPU30はRAM55に記憶されている値を閾値として設定するようになっている。
【0048】
3.モードの切り換えについて
センサのモードは、検出モードと変更モードとがあるが、常には検出モードにモード設定されるようになっている。図4の(a)は、検出モード時の表示例を示してあり、第一表示部21には検出値が表示され、第二表示部22には閾値がそれぞれ表示されるようにCPU30により表示制御されている。
【0049】
そして、この状態から、モード切換スイッチ12を押し操作することで、モード切換スイッチ12からモード切換信号SaがCPU30に送信される。これにより、CPU30によって、センサのモードが検出モードから変更モードに切り換えられる処理が行なわれ、ディジタル表示器20の表示内容が変更モード用の表示内容に変更される。それ以降は、表示内容を参照しつつ、回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12を操作することで、キーロック状態或いは、キーロックオフ状態のいずれかの状態にセンサをセットすることが出来る。
【0050】
具体的に説明すると、モード切換スイッチ12が押されて、モードが検出モードから変更モードに切り換えられると、図4の(a)の表示が、図4の(b)の表示に変更される。すなわち、第一表示部21に「LOC」の文字が表示される。その後、スイッチが元の状態に復帰、すなわち作業者がスイッチから手を離と、ディジタル表示器20の表示内容が、図5に示す(a)の状態に変更される。すなわち、第一表示部21には引き続き「LOC」の文字が表示され、第二表示部22には「OFF」の文字が表示される。
【0051】
次に、上記した表示状態から、回転操作子15を操作してやると、エンコーダ19からCPU30にパルス信号Sbが入力されることで、CPU30はデジタル表示部20に「LOC ON」、「LOC OFF」を交互に表示させる。尚、この「ON」の表示は、キーロック状態に対応しており、「OFF」の表示は、キーロックオフ状態に対応している。
【0052】
そして、所望の表示がされたところで、再度モード切換スイッチ12を押してやれば、モード切換スイッチ12からCPU30に信号が送られることで、そのときに、ディジタル表示器20に表示されている状態、すなわち、表示が「LOC ON」であればキーロック状態にセットされ、表示が「LOC OFF」であれば、キーロックオフ状態にセットされる。尚、図5の(c)には、キーロック状態が選択された場合の表示を例示してある。
【0053】
尚、回転操作子15を操作することで、デジタル表示部20に「LOC ON」、「LOC OFF」が交互に表示されて、キーロック状態、或いはキーロックオフ状態を選択可能とすることが、本発明の切換手段の果たす機能に相当する。
【0054】
上記要領で、キーロック状態或いは、キーロックオフ状態のいずれかが選択された後、所定時間を経過すると、CPU30は自動的にモードの切り換えを行なって、再び、モードを検出モードに変更する処理を行なう。尚、上記したように、CPU30がモードの変更、並びに回転操作子15の操作等に応じて、ディジタル表示部20の表示内容を切り換えることが、本発明の表示制御手段の果たす機能に相当する。
【0055】
4.検出モードにおける検出動作
次に、キーロックオフ状態が選択された場合、並びにキーロック状態が選択された場合についてそれぞれ、検出モード中の検出動作が如何に行なわれるか説明を行なうが、両状態の相違は回転操作子15の操作により検出の判定基準となる閾値が変更されるか、否かが違うだけで、回転操作子15の操作がされなければ、同じ検出動作を行なうので、まず、これについて説明する。尚、検出に先立って、RAM55には、予め所定値(ここでは、2000)が記憶されているものとして説明を進める。
【0056】
測定が開始されると、投光素子41から検出光が出射され、これが被検出物Wに照射される。照射された光は被検出物Wで反射し、これが受光素子45によって受光される。すると、受光素子45からは受光信号(本発明の検出信号に相当)が出力され、これがCPU30に入力される。
CPU30は受光信号が入力されると、RAM55にアクセスして閾値の読み出しを行なう。RAM55には値2000が記憶されているから、CPU30は閾値を2000とし、この閾値を基準に被検出物Wの有無について判定を行なう。すなわち、受光レベル(受光信号の信号レベル)が閾値を上回っていれば、「物体あり」と判定し、それ以外の場合には「物体なし」と判定する。
【0057】
そして、CPU30は判定結果に応じて、各種表示灯34、35の点灯制御を行なうとともに、ディジタル表示器20の表示制御を行なう。これにより、第一表示部21には検出値(例えば、受光信号の信号レベル)が表示され、第二表示部22には閾値が表示される(図6の(a)参照)。また、出力回路33には判定結果に応じた制御信号が出力される。
【0058】
さて、キーロックオフ状態が選択されている状態で、検出動作中に回転操作子15が操作されると、エンコーダ19から回転量に応じた数のパルス信号Sbが出力される。そして、係る場合に、CPU30はキーロックオフ用の信号処理を行なう。すなわち、キーロックオフ状態の場合には、パルス信号Sbが入力されると、CPU30はこれを閾値更新信号と判断し、入力されたパルス信号Sbの入力数に基づいてRAM55に記憶されている値を書き換える処理を行なう。
より具体的に言えば、回転操作子15が増加方向に操作されるとRAM55に記憶された値は、元の値より大きな値(操作量に応じた値を加算した値)に書き換えられる。一方、減少方向に操作されると、元の値より小さな値(操作量に応じた値を減算した値)に書き換えられる。
【0059】
先にも述べたように、CPU30はRAM55に記憶された値を閾値とするから、検出モード中に、回転操作子15の操作が行われてRAM55に記憶された値が更新されると、更新後の値に閾値が変更されることとなる。そのため、それ以降は変更された閾値に基づいて、被検出物Wの有無について判定が行なわれる。尚、CPU30が、入力されたパルス信号Sbの入力数に基づいてRAM55に記憶されている値を書き換える処理を行い、これを閾値として設定する機能が、本発明の設定値変更手段の果たす機能に相当する。
【0060】
従って、回転操作子15が操作される前後で同じ受光レベルであったとしても、例えば、回転操作子15の操作により閾値が大きくなるように変更されてしまった場合には、操作前は、受光レベルが閾値を上回った状態にあって「物体あり」と判定されていたものが、操作後は、受光レベルが閾値を下回る状態となって、「物体なし」と判定されることが、起こり得る。図6には、閾値が2000から2100に変更された状態を例示してある。
【0061】
また、RAM55に書き込まれる値には、予めCPU30により制限が設けられており、決められた制限範囲(請求項16の所定範囲に相当)を超えない、すなわちパルス信号Sbが入力された場合であっても、それ以上は値を更新させない設定としてある。
【0062】
次に、キーロック状態が選択されている状態で、回転操作子15が操作された場合について説明を行なう。キーロック状態が選択された場合に、パルス信号Sbが入力されると、CPU30はこれを閾値更新信号と判断せず、表示指令信号と判断して、RAM55に記憶された値を書き換える処理を一切行なわず(言い換えれば、記憶された値を保持する)、表示内容を切り換える処理のみを行なう。
このように、CPU30がキーロック状態において、記憶手段たるRAM55に記憶された値を保持する機能が、本発明における記憶制御手段の果たす機能に相当する。
【0063】
従って、キーロック状態が選択されていれば、検出動作中に回転操作子15が操作されたとしても、RAM55に記憶されている値は保持されるから、これにより、閾値は変更されず、当初の閾値(より具体的に言えば、キーロックオフ状態からキーロック状態に切り換えられたときの閾値)のまま、判定が行なわれることとなる(図8参照)。
【0064】
また、表示内容の切り換えについては、図7に示す通りであり、図7の(a)は切換前(回転操作前)の表示内容、図7の(b)は切換後(回転操作後)の表示内容である。すなわち、切り換え前においては、第一表示部21には検出値が、第二表示部22には閾値がそれぞれ表示されているものが、切り換え後には、第一表示部21の表示が「LOC」に変更され、第二表示部22の表示が「ON」にそれぞれ変更される。
【0065】
すなわち、現在の状態が閾値の変更が禁止されたキーロック状態である旨の表示が行なわれる。そして、このキーロック状態である旨の表示は、回転操作子15が操作されてから、所定時間だけ表示され、その後は、ディジタル表示部20の表示は元の検出値等を表示するものに自動的に切り換わるようになっている。これは、作業者にキーロック状態であることを知らせることができれば、それ以上、キーロック状態である旨の表示を継続させておく必要がないからである。
尚、所定時間経過後に、表示を自動的に切り換えるには、例えば、タイマ等によって所定時間を計時させ、計時の完了に続いて、表示を元の状態に切り換えるような制御を行なえばよい。
【0066】
また、CPU30は先にも述べたように、RAM55に記憶されている値に基づいて閾値を決定するから、キーロック状態中に、回転操作子15の操作が行われたとしても、キーロック状態からキーロックオフ状態に切り換えが行なわれたときの閾値に、その影響が及ばないようになっている。より具体的に言えば、キーロック状態においてRAM55に記憶された値が、例えば2000であった場合には、キーロック状態中の回転操作子15の操作に拘わらず、キーロック状態解除後においてRAM55に記憶されている値は2000であるから、解除直後の閾値は2000の値にセットされることとなる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、キーロック状態の設定が可能となっており、その間は、回転操作子15を操作しても、閾値が変更されないようになっている。そのため、検出モード中に、検出の判定基準となる閾値が誤操作により変更されてしまうといった事態を未然に回避することが可能となり、センサの信頼性が高まる。また、キーロック状態の設定、並びにその解除は、本体ケース10に設けられる回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12で行なうことが出来る。このような構成でれば、キーロック状態、キーロックオフ状態の切り換えをセンサ側で出来るから、使い勝手がよい。
【0068】
キーロック機能を実現するには、例えば、専用の部品を設けて、回転操作子15の操作を機械的に禁止することも可能であるが、この場合には部品点数が増えてしまう。この点に関し、本実施形態のように、RAM55に記憶された値を保持させることで閾値の変更を禁止するものであれば、専用部品が実質的に必要なく、部品増にもならない。
【0069】
また、本実施形態のものは、ディジタル式の表示を行なうから、アナログ式の場合に比べて表示内容が見やすくなる。また、ディジタル表示器20の表示内容はモードに応じてその表示内容が切り換えられるようになっており、しかも、変更モードでは、ディジタル表示器20の表示内容を参照しつつ、状態(キーロック状態、キーロックオフ状態のいずれかの状態)の選択を行なうことが出来るようになっている。そのため、状態の選択誤り(本来的にはキーロック状態に設定するところを、誤ってキーロックオフ状態に設定する等)が少なくなる。
【0070】
また、本実施形態では、キーロック状態において、検出中に回転操作子15による操作がおこなわれると、ディジタル表示器20の表示内容が切り替わって、「LOC ON」の文字列、すなわち、現在の状態が閾値の変更が禁止されたキーロック状態である旨の表示がされる。これにより、作業者に対して、自己が誤った操作を行っていることを知らしめることが出来る。加えて、係る表示は、回転操作子15の操作が行われた後、所定時間を経過すると、元の表示(例えば、検出値等の表示)に自動的に切り換わるようになっているから、それ専用の表示切換操作を必要とせず、操作性に優れるものとなる。
【0071】
また、本実施形態のものは、回転操作子15をアナログ操作して閾値等の設定変更を行なうものである。すなわち、連続操作が可能であるから、閾値を大きく変更する場合であっても、操作に煩わしさがなく、操作性に優れる。加えて、閾値の変更操作並びに、キーロック状態とキーロックオフ状態の選択操作をいずれも回転操作子15により行なうことが出来るから、操作系の統一が図られ構成がシンプルになる。
【0072】
また、回転操作子15の回転数に制限があるものでは、作業者が制限値以上回転させようとした場合に回転操作子15が壊れるおそれがあるが、本実施形態のものは、回転操作子15の回転数に制限がないため、回転操作子15が壊れることを防止できる。また、回転操作子15の回転が無限に出来るとすると、誤って、回転操作子15を必要以上に回転させてしまう状況が起こり得るが、本実施形態のものは、RAM55に書き込まれる値には、予め制限が設けられており、決められた制限範囲を超えないようになっており、閾値の変化が所定の範囲内に留め置かれるから、閾値が所定範囲を超えて変更されてしまうことがない。
【0073】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図9を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1に対して状態表示灯60を追加したものであり、その他の構成については、実施形態1と同一であるため、同一部品には、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
状態表示灯60は例えば、赤色発光LEDより構成され、ディジタル表示器20の右側部に配されている。CPU30は、変更モードにおいてキーロック状態が選択された場合には、状態表示灯60を点灯させるべく点灯指令を行ない、これとは反対に、キーロックオフ状態が選択された場合には、消灯指令を行なう。
【0075】
これにより、キーロック状態で検出が行なわれている間は、状態表示灯60が常時点灯された状態となるから、作業者は、状態表示灯60を目視することで、センサの状態がキーロック状態であるのか、キーロックオフ状態であるのかを一目で判断できる。また、このような構成であれば、ディジタル表示器20には、常に、検出値並びに、閾値を表示させておくことが可能となる。
【0076】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図10ないし図12を参照して説明する。
実施形態1では、センサのモードには、検出モードと変更モードの2つのモード設定があったが、実施形態3のものは、これに設定変更モードを加えたものであり、実施形態1と同様にモード切換スイッチ12の操作により、ディジタル表示器20の表示内容がモードに応じた表示に切り換わるようになっている(図10参照)。
尚、図10に示す(a)は検出モードの表示であり、(b)は設定変更モードの表示であり、(c)は変更モードの表示である。
【0077】
設定変更モードでは、ディジタル表示器20の表示内容を参照しつつ、回転操作子15並びに、モード切換スイッチ12を操作することで、出力に関する条件並びに、投光素子41の投光周期を変更できるようになっている。尚、出力に関する条件とは、出力信号のタイミングや出力信号の出力時間の調整等である。図11を参照して出力時間について説明すると、CPU30から出力回路33に出力される出力信号(パルス信号)のパルス幅を、所定時間Tだけ延長させる(オンディレイ)ことで、信号の出力時間の調整を行なっている。
これにより、例えば、被検出物Wが小さくて出力信号が出力される時間(パルス幅)が短いため、通常の出力時間では被検出物Wを検出できない場合であっても、検出可能な出力時間(パルス幅)に延長することで、当該被検出物Wの検出が可能となる。
【0078】
また、図12に示すように、設定変更モードが選択されている場合であっても、キーロック状態にセンサの状態がセットされていると、出力に関する条件並びに、投光素子41の投光周期を変更出来ないようになっている。すなわち、実施形態1の閾値の決定と同様に、これらの値もRAM55に記憶される値に基づいて決定され、しかも、その値はキーロック状態においては、回転操作子15の操作に拘わらず、保持されるようになっている。このような設定とすることで、出力に関する条件並びに投光素子41の投光周期(いずれも、本発明の所定の条件に適用される設定値に相当)が、作業者の誤操作により変更されるないようになっている。
【0079】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる
【0080】
(1)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、検出中に回転操作子15の操作(誤操作)が行われると、ディジタル表示器20の表示内容を検出状態を示す表示から「LOC ON」なる表示に切り換えることで、作業者にセンサがキーロック状態にあることを知らせたが、表示内容に基づいてキーロック状態にあることが分かるものであればよく、例えば、回転操作子15による操作が行われると、表示色を変更させたり、或いは表示を点滅させるものであってもよい。
【0081】
(2)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、誤操作が行われ、回転操作子15からパルス信号Sbが出力されると、CPU30は、これを表示指令信号と判断して、ディジタル表示器20の表示内容を「LOC ON」なる表示に切り換える表示制御をおこなったが、外部装置から入力される信号に基づいて表示を切り換えるものであってもよい。すなわち、外部装置において誤操作を検知するようにしておき、外部装置から検知信号が出力されると、センサのCPU30はそれを受信して、表示内容の切り換えを行なうのである。
【0082】
(3)実施形態1では、センサがキーロック状態にセットされている状態で、誤操作が行われると、ディジタル表示器20の表示内容を「LOC ON」なる表示に、所定時間だけ切り換えて、その後は、元の表示内容に自動的に切り替わるようにしたが、表示が自動的に切り替わる構成であればよく、例えば、回転操作子15が誤操作されている間、或いは上記のように外部装置から検知信号が出力されている間だけ、表示を切り換えるようにしておいてもよい。
【0083】
(4)また、上記実施形態では、光電式のセンサを例にとって説明したが、例えば、磁気式の近接センサ或いは、圧力センサ等にも適用可能である。
【0084】
(5)また、実施形態1では、キーロックオフ状態における閾値をディジタル的な処理により変更した。すなわち、回転操作子15が操作されると、操作量に応じたパルス数のパルス信号Sbがエンコーダ19から出力され、CPU30は、出力されたパルス数に基づいて閾値(RAM55に記憶された値)を変更した。この閾値を変更する処理に関しては、上記したディジタル的な処理に限らず、例えば、アナログ的な処理、すなわち、回転操作子15の操作量と連続して値が変更されるようなディバイス(例えば、操作量に応じて抵抗値の大きさが変わる可変抵抗器等)を新たに設けて、追加されたディバイスの物理値(例えば、抵抗値)に基づいて閾値の変更を行なってもよい。
【0085】
尚、この場合においても、キーロック状態においては、実施形態1と同様の形式、すなわち、RAM55に変更直前の閾値を記憶させるとともに、記憶させた値をキーロック中は保持しておくことによって、閾値の変更を禁止するのである。そして、キーロック状態においては、RAM55の値を保持することで閾値の変更を禁止し、キーロックオフ状態においては閾値の変更を上記した抵抗値に基づいて定める場合の懸念事項としては、キーロック状態中においては閾値は、回転操作子15の操作によらず保持されるものの、キーロック状態からキーロックオフ状態に変更されると、変更後は抵抗値に基づいて閾値が決定されてしまうから、キーロック中の操作の影響がキーロック解除後に現れる点である。そのため、キーロック中に回転操作子15が操作された場合には、その影響を排除するべく、補正処理を行なってやればよい。すなわち、キーロック状態からキーロックオフ状態に移行した後の抵抗値をAとし、キーロック状態中における抵抗値の変化量をBとすると、移行後は、実際には抵抗値の大きさがAであるところをA−Bとしてやるのである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態1に係るファイバセンサの平面図
【図2】回転操作子の支持構造を示す断面図
【図3】ファイバセンサの電気的構成を示すブロック図
【図4】モードに応じて、ディジタル表示部の表示内容が切り換えられた状態を示す図
【図5】変更モードが選択された後、回転操作子の操作により表示内容が切り替わる様子を示す図
【図6】検出モード(キーロックオフ状態)中に、回転操作子が操作されることで、閾値が変更された様子を示す図
【図7】検出モード(キーロック状態)中に、回転操作子が操作されることで、キーロック状態を示す表示に変更された様子を示す図
【図8】キーロック状態に設定された場合の、回転操作子の操作に対するRAMに記憶された値の更新の可否の関係を示す図
【図9】実施形態2に係るファイバセンサの平面図
【図10】実施形態3に係るファイバセンサの平面図
【図11】CPUから出力回路に出力される出力信号の波形を示す図
【図12】キーロック状態に設定された場合の、回転操作子の操作に対する設定条件(投光周期等)の変更の可否の関係を示す図
【符号の説明】
【0087】
12…モード切換スイッチ
15…回転操作子(切換手段)
30…CPU(記憶制御手段、設定値変更手段)
55…RAM(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件に基づいて被検出物の検出を行なう検出手段を備える検出センサであって、
アナログ操作が可能な操作手段と、
前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定値変更手段と、
前記設定値変更手段による設定値の変更が禁止された禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り換える切換手段と、
前記非禁止状態から前記禁止状態に切り換えられたときに、切り換え時の設定値を記憶する記憶手段と、
前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された記憶内容を保持させる記憶制御手段とを備え、
前記設定値変更手段は、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された設定値を前記所定の条件に適用される設定値として定めることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記所定の条件に適用される設定値は前記検出手段の検出感度に関する設定値であることを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する前記検出手段とされた検出素子と、
この検出素子から出力された検出信号のレベルと閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて前記被検出物の検出状態を判定する判定手段とを備え、
この閾値が前記検出感度に関する設定値とされて、前記非禁止状態にあるときには、前記操作手段の操作に応じてその値を大小変更可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の検出センサ。
【請求項4】
表示手段と、
前記禁止状態に切り替えられているときに、現在の状態が禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項5】
前記表示制御手段に信号を入力可能な信号入力手段が設けられるとともに、
当該表示制御手段は、前記信号入力手段を通じて入力される表示指令信号に基づいて、前記禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に行なわせることを特徴とする請求項4に記載の検出センサ。
【請求項6】
前記操作手段は操作が行なわれると、当該操作に応じた操作信号を前記表示制御手段に出力するよう構成されるとともに、
前記表示制御手段は、前記禁止状態中に前記操作信号が入力されたときには、これを前記表示指令信号と判断することを特徴とする請求項5に記載の検出センサ。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記検出手段により被検出物の検出が行なわれるときには、前記表示手段に、検出された被検出物の検出値を表示させる制御を行なうが、同検出値を表示させているときに、前記表示指令信号の入力があった場合には、表示内容を切り替えて前記禁止状態を示す表示をさせることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の検出センサ。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記表示指令信号が継続して入力されている間は、前記表示手段に前記禁止状態を示す表示をさせる一方、
前記表示指令信号の入力がされなくなると、表示内容を前記検出値を表示させる表示に変更させることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記表示指令信号を受け取ると、前記表示手段に所定時間だけ前記禁止状態を示す表示をさせることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項10】
前記禁止状態であることを示す表示は、そのときに表示手段に表示されている表示内容を点滅表示させることであることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項11】
前記設定値変更手段は、前記検出手段で被検出物の検出を行なっているときにおいても、前記所定の条件に適用される設定値を変更可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項12】
被検出物の検出を行なう検出モードと、
前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えを行なう変更モードと、を切り換えるモード切換手段を備え、
前記変更モード中に、前記操作手段の操作を行なうと、前記禁止状態と前記非禁止状態とが選択的に変更されて、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えが出来るよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項13】
前記表示手段はディジタル表示可能なディジタル表示部によって構成され、
前記表示制御手段は、当該ディジタル表示部に対して、
前記変更モード中には、前記非禁止状態、或いは前記禁止状態に応じた表示を行なわせるのに対し、
前記検出モード中には、前記検出手段により検出された検出値或いは、前記設定値のうち少なくともいずれか一方を表示させることを特徴とする請求項12に記載の検出センサ。
【請求項14】
前記表示部は2つのディジタル表示部を備えてなるとともに、
前記検出モード中において、前記表示制御手段は、
いずれか一方のディジタル表示部に検出された被検出物の検出値を表示させるのに対し、他方のディジタル表示部に前記設定値を表示させることを特徴とする請求項13に記載の検出センサ。
【請求項15】
前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項16】
前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、
前記設定値変更手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については前記設定値を変化させないことを特徴とする請求項15に記載の検出センサ。
【請求項1】
所定の条件に基づいて被検出物の検出を行なう検出手段を備える検出センサであって、
アナログ操作が可能な操作手段と、
前記操作手段の操作に応じて前記所定の条件に適用される設定値を設定変更する設定値変更手段と、
前記設定値変更手段による設定値の変更が禁止された禁止状態と、禁止状態が解除された非禁止状態とを切り換える切換手段と、
前記非禁止状態から前記禁止状態に切り換えられたときに、切り換え時の設定値を記憶する記憶手段と、
前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された記憶内容を保持させる記憶制御手段とを備え、
前記設定値変更手段は、前記禁止状態においては、前記記憶手段に記憶された設定値を前記所定の条件に適用される設定値として定めることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
前記所定の条件に適用される設定値は前記検出手段の検出感度に関する設定値であることを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
【請求項3】
被検出物の検出状態に応じた検出信号を出力する前記検出手段とされた検出素子と、
この検出素子から出力された検出信号のレベルと閾値とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて前記被検出物の検出状態を判定する判定手段とを備え、
この閾値が前記検出感度に関する設定値とされて、前記非禁止状態にあるときには、前記操作手段の操作に応じてその値を大小変更可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の検出センサ。
【請求項4】
表示手段と、
前記禁止状態に切り替えられているときに、現在の状態が禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項5】
前記表示制御手段に信号を入力可能な信号入力手段が設けられるとともに、
当該表示制御手段は、前記信号入力手段を通じて入力される表示指令信号に基づいて、前記禁止状態であることを示す表示を前記表示手段に行なわせることを特徴とする請求項4に記載の検出センサ。
【請求項6】
前記操作手段は操作が行なわれると、当該操作に応じた操作信号を前記表示制御手段に出力するよう構成されるとともに、
前記表示制御手段は、前記禁止状態中に前記操作信号が入力されたときには、これを前記表示指令信号と判断することを特徴とする請求項5に記載の検出センサ。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記検出手段により被検出物の検出が行なわれるときには、前記表示手段に、検出された被検出物の検出値を表示させる制御を行なうが、同検出値を表示させているときに、前記表示指令信号の入力があった場合には、表示内容を切り替えて前記禁止状態を示す表示をさせることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の検出センサ。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記表示指令信号が継続して入力されている間は、前記表示手段に前記禁止状態を示す表示をさせる一方、
前記表示指令信号の入力がされなくなると、表示内容を前記検出値を表示させる表示に変更させることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記表示指令信号を受け取ると、前記表示手段に所定時間だけ前記禁止状態を示す表示をさせることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
【請求項10】
前記禁止状態であることを示す表示は、そのときに表示手段に表示されている表示内容を点滅表示させることであることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項11】
前記設定値変更手段は、前記検出手段で被検出物の検出を行なっているときにおいても、前記所定の条件に適用される設定値を変更可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項12】
被検出物の検出を行なう検出モードと、
前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えを行なう変更モードと、を切り換えるモード切換手段を備え、
前記変更モード中に、前記操作手段の操作を行なうと、前記禁止状態と前記非禁止状態とが選択的に変更されて、前記禁止状態と前記非禁止状態との切り換えが出来るよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項13】
前記表示手段はディジタル表示可能なディジタル表示部によって構成され、
前記表示制御手段は、当該ディジタル表示部に対して、
前記変更モード中には、前記非禁止状態、或いは前記禁止状態に応じた表示を行なわせるのに対し、
前記検出モード中には、前記検出手段により検出された検出値或いは、前記設定値のうち少なくともいずれか一方を表示させることを特徴とする請求項12に記載の検出センサ。
【請求項14】
前記表示部は2つのディジタル表示部を備えてなるとともに、
前記検出モード中において、前記表示制御手段は、
いずれか一方のディジタル表示部に検出された被検出物の検出値を表示させるのに対し、他方のディジタル表示部に前記設定値を表示させることを特徴とする請求項13に記載の検出センサ。
【請求項15】
前記操作手段は、回転可能な回転操作子により構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の検出センサ。
【請求項16】
前記回転操作子は、回転数に制限なく回転可能に構成されており、
前記設定値変更手段は、回転操作子の回転が所定範囲を超えると、前記所定範囲を超えた部分については前記設定値を変化させないことを特徴とする請求項15に記載の検出センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−13655(P2007−13655A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192486(P2005−192486)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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