説明

検出回路、集積回路装置及びセンサー装置

【課題】有効な検出範囲をできるだけ確保しながら出力電圧範囲を所望の範囲に制限することが可能な検出回路、集積回路装置及びセンサー装置を提供すること。
【解決手段】検出回路30は、感度調整部(可変ゲインアンプ360)及びオフセット調整部(オフセット調整DAC342と同期検波回路340)の少なくとも一方と、電圧制限部(リミッター回路370)と、を含む。感度調整部(可変ゲインアンプ360)は、センサー素子4の検出感度に応じて検出信号(角速度信号)の電圧範囲を調整する。オフセット調整部(オフセット調整DAC342と同期検波回路340)は、センサー素子4の出力オフセットに応じて検出信号(角速度信号)の0点電圧を調整する。電圧制限部(リミッター回路370)は、感度調整部及びオフセット調整部の後段に設けられ、検出信号(角速度信号)の電圧を所望の範囲に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路、集積回路装置及びセンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、デジタルカメラ、ナビゲーション装置、携帯電話など、様々な電子機器にジャイロセンサーが搭載されている。近年、ジャイロセンサーの小型化と高い検出精度が要求されるようになり、これらの要求を満たすジャイロセンサーとして、例えば、水晶振動子の共振現象を利用した振動ジャイロセンサーが広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−292680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、角速度データを用いるアプリケーションの種類によっては、±数百dps(deg/sec)の広い検出範囲を有するジャイロセンサーが要求される場合がある。一方、ジャイロセンサーの後段の装置での入力電圧の許容範囲の制約等の様々な事情から、ジャイロセンサーの出力電圧を所望の範囲に制限したい場合がある。ところが、基準電圧(アナロググランド電圧)や感度など各パラメーターのばらつきや電源電圧の変動を加味すると、ジャイロセンサーの出力電圧を所望の範囲に制限するためには、検出範囲を狭くして多くのマージンを確保しなければならず、有効な検出範囲を広く確保することが難しかった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、有効な検出範囲をできるだけ確保しながら出力電圧範囲を所望の範囲に制限することが可能な検出回路、集積回路装置及びセンサー装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、所与の物理量を検出するセンサー素子の出力信号に基づいて前記物理量の大きさに応じた検出信号を生成する検出回路であって、前記センサー素子の検出感度に応じて前記検出信号の電圧範囲を調整する感度調整部及び前記センサー素子の出力オフセットに応じて前記検出信号の0点電圧を調整するオフセット調整部の少なくとも一方と、前記感度調整部及び前記オフセット調整部の後段に設けられ、前記検出信号の電圧を所望の範囲に制限する電圧制限部と、を含む。
【0007】
電圧制限部は、検出信号の電圧を、その上限値のみを制限することで所望の範囲に制限してもよいし、その下限値のみを制限することで所望の範囲に制限してもよいし、その上限値と下限値を制限することで所望の範囲に制限してもよい。
【0008】
本発明の検出回路によれば、電圧制限部を設けることで、基準電圧や感度など各パラメーターのばらつきや電源電圧の変動を考慮した過大なマージンを確保しなくてもよいので、有効な検出範囲を不要に狭くする必要がない。
【0009】
また、本発明の検出回路によれば、電圧制限部を感度調整部やオフセット調整部の後段に設けることで、センサー素子の特性に応じてオフセット調整や感度調整がされた信号に対して電圧値を制限するので、センサー素子の特性ばらつきによらず、できるだけ広い検出範囲を確保しながら出力電圧範囲を所望の範囲に制限することができる。
【0010】
(2)この検出回路において、前記電圧制限部は、当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第1の電圧とを比較する第1のコンパレーターと、前記第1のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも低い時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも高い時は第3の電圧を選択して出力する選択回路と、を含むようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、有効な検出範囲に対応する検出信号の電圧範囲の上限を第1の電圧に制限するとともに、有効な検出範囲を超えた場合の検出信号の電圧を第3の電圧にすることができる。例えば、第3の電圧は第1の電圧以下であってもよい。
【0012】
(3)この検出回路において、前記第1のコンパレーターは、当該電圧制限部の前段からの前記入力信号の電圧と前記第1の電圧とをヒステリシスを持って比較するようにしてもよい。
【0013】
このようにヒステリシスをもって電圧比較処理を行うことで、電圧制限部の前段からの入力信号に重畳されるノイズの影響による不安定な検出動作を防止することができる。
【0014】
(4)この検出回路において、前記第3の電圧は、前記第1の電圧と等しいようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、有効な検出範囲を超えた場合の検出信号の電圧を、有効な検出範囲の上限値に対応する第1の電圧にすることができる。
【0016】
(5)この検出回路において、前記電圧制限部は、当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第2の電圧とを比較する第2のコンパレーターをさらに含み、前記選択回路は、前記第1のコンパレーターの比較結果と前記第2のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧と前記第2の電圧との間に含まれる時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも高い時は前記第3の電圧を選択し、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも低い時は第4の電圧を選択して出力するようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、有効な検出範囲に対応する検出信号の電圧範囲を第1の電圧と第2の電圧の間に制限するとともに、有効な検出範囲外に対応する検出信号の電圧を第3の電圧又は第4の電圧にすることができる。例えば、第3の電圧は第1の電圧以下であり、第4の電圧は第2の電圧以上であってもよい。
【0018】
(6)この検出回路において、前記電圧制限部は、当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第2の電圧とを比較する第2のコンパレーターと、前記第2のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも高い時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも低い時は第4の電圧を選択して出力する選択回路と、を含むようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、有効な検出範囲に対応する検出信号の電圧範囲の下限を第2の電圧に制限するとともに、有効な検出範囲を下回った場合の検出信号の電圧を第4の電圧にすることができる。例えば、第4の電圧は第2の電圧以上であってもよい。
【0020】
(7)この検出回路において、 前記第2のコンパレーターは、
当該電圧制限部の前段からの前記入力信号の電圧と前記第2の電圧とをヒステリシスを持って比較するようにしてもよい。
【0021】
このようにヒステリシスをもって電圧比較処理を行うことで、電圧制限部の前段からの入力信号に重畳されるノイズの影響による不安定な検出動作を防止することができる。
【0022】
(8)この検出回路において、前記第4の電圧は、前記第2の電圧と等しいようにしてもよい。
【0023】
このようにすれば、有効な検出範囲を下回った場合の検出信号の電圧を、有効な検出範囲の下限値に対応する第2の電圧にすることができる。
【0024】
(9)この検出回路において、前記電圧制限部は、当該電圧制限部の前段からの前記入力信号をフィルター処理するフィルター回路をさらに含み、前記第1のコンパレーターは、前記フィルター回路がフィルター処理した信号と前記第1の電圧とを比較し、前記第2のコンパレーターは、前記フィルター回路がフィルター処理した信号と前記第2の電圧とを比較するようにしてもよい。
【0025】
このようにすれば、電圧制限部の前段からの前記入力信号に重畳される高周波成分の影響で、有効な検出範囲の検出信号の電圧に不要な制限がかかることを防止することができる。
【0026】
(10)本発明は、上記のいずれかの検出回路を含む、集積回路装置である。
【0027】
(11)本発明は、上記の集積回路装置と、所与の物理量を検出するセンサー素子と、を含む、センサー装置である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態のセンサー装置の一例である角速度検出装置の機能ブロック図。
【図2】本実施形態の検出回路の構成例を示す図。
【図3】本実施形態のリミッター回路の構成例を示す図。
【図4】本実施形態のリミッター回路に正弦波を入力した時の各信号の波形図。
【図5】変形例1のリミッター回路の構成図。
【図6】変形例2のリミッター回路の構成図。
【図7】変形例3のリミッター回路の構成図。
【図8】変形例4のリミッター回路の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0030】
1.センサー装置の構成
図1は、本実施形態のセンサー装置の一例である角速度検出装置の機能ブロック図である。本実施形態の角速度検出装置1は、センサー素子4と角速度検出用IC(集積回路装置)2を含んで構成されている。
【0031】
本実施形態のセンサー素子4は、2本のT型の駆動振動腕とともにその間に1本の検出振動腕を有するいわゆるダブルT型の水晶振動片に2つの駆動電極と2つの検出電極が形成され、不図示のパッケージに封止されている。ただし、センサー素子4の振動片は、ダブルT型でなくてもよく、例えば、音叉型やくし歯型であってもよいし、三角柱、四角柱、円柱状等の形状の音片型であってもよい。また、センサー素子4の振動片の材料としては、水晶(SiO)の代わりに、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)等の圧電単結晶やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いてもよいし、シリコン半導体を用いてもよい。また、例えば、シリコン半導体の表面の一部に、駆動電極に挟まれた酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)等の圧電薄膜を配置した構造であってもよい。
【0032】
センサー素子4の2本の駆動振動腕は、駆動信号として交流電圧信号が与えられると、逆圧電効果によって、互いの先端が接近と離間を繰り返す屈曲振動(励振振動)をする。この2本の駆動振動腕の屈曲振動の振幅が等しければ、2本の駆動振動腕は検出振動腕に対して常に線対称な関係で屈曲振動をするので、検出振動腕は振動を起こさない。
【0033】
この状態で、センサー素子4の励振振動面に垂直な軸を回転軸とする角速度が加わると、2本の駆動振動腕は、屈曲振動の方向と回転軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、2本の駆動振動腕の屈曲振動の対称性が崩れ、検出振動腕は、バランスを保つように屈曲振動をする。このコリオリ力に伴う検出振動腕の屈曲振動と駆動振動腕の屈曲振動(励振振動)とは位相が90°ずれている。
【0034】
ただし、実際には、コリオリ力が加わっていなくても2本の駆動振動腕の屈曲振動の振幅がわずかに異なるため、検出振動腕はバランスを保つようにわずかに屈曲振動をする。この屈曲振動は漏れ振動と呼ばれ、駆動信号とは同位相である。そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づく逆位相(位相が180°異なる)の交流電荷が2つの検出電極に発生する。コリオリ力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリ力の大きさ(言い換えれば、センサー素子4に加わる角速度の大きさ)に応じて変化するのに対して、漏れ振動に基づいて発生する交流電荷は、センサー素子4に加わる角速度の大きさに関係せず一定である。
【0035】
センサー素子4の2つの駆動電極は、それぞれ角速度検出用IC2のDS端子とDG端子に接続されている。また、センサー素子4の2つの検出電極は、それぞれ角速度検出用IC2のS1端子とS2端子に接続されている。
【0036】
本実施形態の角速度検出用IC2は、電源回路10、駆動回路20、検出回路30、基準回路40、不揮発メモリー50、シリアルインターフェース回路60を含んで構成されている。なお、本実施形態の角速度検出用IC2は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、新たな構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0037】
電源回路10は、VDD端子,VSS端子からそれぞれ電源電圧(例えば3V)とグランド電圧(0V)が供給され、角速度検出用IC2の内部の電源電圧を生成する。
【0038】
基準回路40は、電源回路10が生成する電源電圧から基準電圧(アナロググランド電圧やその他の一定電圧)や定電流を生成し、駆動回路20や検出回路30に供給する。
【0039】
駆動回路20は、センサー素子4を励振振動させるための駆動信号を生成し、DS端子を介してセンサー素子4の一方の駆動電極(第1の駆動電極)に供給する。また、駆動回路20は、センサー素子4の励振振動により他方の駆動電極(第2の駆動電極)に発生する駆動電流(水晶電流)がDG端子を介して入力され、この駆動電流の振幅が一定に保持されるように駆動信号の振幅レベルをフィードバック制御する。また、駆動回路20は、検出回路30に含まれる同期検波回路の参照信号やスイッチトキャパシタフィルター(SCF)のクロック信号を生成する。
【0040】
検出回路30は、S1端子とS2端子を介して、センサー素子4の2つの検出電極の各々に発生する交流電荷(検出電流)がそれぞれ入力され、これらの交流電荷(検出電流)に含まれる角速度成分のみを検出し、角速度の大きさに応じた電圧レベルの信号(角速度信号)を生成し、VO端子を介して外部に出力する。この角速度信号は、例えば、VO端子に接続された不図示のマイクロコンピューターにおいてA/D変換され、角速度データとして種々の処理に用いられる。なお、本実施形態の角速度検出用IC2にA/D変換器を内蔵し、角速度を表すデジタルデータを、例えばシリアルインターフェース回路60を介して外部に出力するようにしてもよい。
【0041】
不揮発メモリー50は、駆動回路20や検出回路30に対する各種の調整データを保持し、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)として構成することができる。
【0042】
シリアルインターフェース回路60は、CLK端子とDATA端子を介して、それぞれクロック信号とシリアルデータ信号による2線論理で不揮発メモリー50に対する調整データの書き込みや読み出しの処理などを行う。なお、不揮発メモリー50にデータを書き込む際は、メモリー素子に保持されているデータを反転させるのに十分なエネルギーを供給するため、VPP端子を介して高電源電圧(例えば15V以上)が供給される。
【0043】
2.検出回路の構成
図2は、本実施形態の検出回路30の構成例を示す図である。図2に示すように、本実施形態における検出回路30は、QVアンプ(チャージアンプ)300,302、差動アンプ310、ハイパスフィルター320、ACアンプ330、同期検波回路340、ローパスフィルター350、可変ゲインアンプ(PGA:Programmable Gain Amp.)360、リミッター回路370、スイッチトキャパシタフィルター(SCF)380を含んで構成されている。なお、本実施形態の検出回路30は、これらの一部の構成(要素)を省略したり、新たな構成(要素)を追加した構成としてもよい。
【0044】
QVアンプ300には、S1端子を介してセンサー素子4の一方の検出電極(第1の検出電極)から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷が入力される。同様に、QVアンプ302には、S2端子を介してセンサー素子4の他方の検出電極(第2の検出電極)から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷が入力される。このQVアンプ300及び302は、それぞれ入力された交流電荷を交流電圧信号に変換する。QVアンプ300の出力信号とQVアンプ302の出力信号の位相は互いに逆位相である(180°ずれている)。
【0045】
差動アンプ310は、QVアンプ300の出力信号とQVアンプ302の出力信号を差動増幅する。差動アンプ310により、同相成分はキャンセルされ、逆相成分は加算増幅される。
【0046】
ハイパスフィルター320は、差動アンプ310の出力信号に含まれる直流成分をキャンセルし、ACアンプ330は、ハイパスフィルター320の出力信号をAC増幅する。
【0047】
同期検波回路340は、ACアンプ330の出力信号を駆動回路20が生成する参照信号SDETで同期検波する。同期検波回路340は、例えば、参照信号SDETの電圧レベルがアナロググランド電圧よりも高い時はACアンプ330の出力信号をそのまま選択し、参照信号SDETの電圧レベルがアナロググランド電圧よりも低い時はACアンプ330の出力信号をアナロググランド電圧に対して反転した信号を選択するスイッチ回路として構成することができる。
【0048】
ACアンプ330の出力信号には角速度成分と振動漏れ成分が含まれているが、この角速度成分は参照信号SDETと同位相であるのに対して、振動漏れ成分は逆位相である。そのため、同期検波回路340により角速度成分は検波されるが、振動漏れ成分は検波されないようになっている。
【0049】
また、同期検波回路340では、オフセット調整DAC342の出力電圧に応じたオフセット調整(0点調整)が行われる。オフセット調整DAC342は、不揮発メモリー50に記憶されたオフセット調整データが入力され、オフセット調整データに応じた電圧を出力する。検査工程において、センサー素子4の特性に応じたオフセット調整データを求めて不揮発メモリー50に記憶させておくことで、センサー素子4の特性ばらつきを吸収し、0点電圧が一定電圧(例えばアナロググランド電圧)になるようにオフセット調整を行うことができる。
【0050】
ローパスフィルター350は、同期検波回路340の出力信号に含まれる高周波成分(参照信号SDET及びその高調波成分など)を低減させるとともに仕様で決められる周波数範囲の信号を抽出して出力する。また、ローパスフィルター350は、後段のスイッチトキャパシタフィルター(SCF)380に対するプリフィルターとしても機能する。
【0051】
可変ゲインアンプ360は、不揮発メモリー50に記憶されたゲイン調整データが入力され、ローパスフィルター350の出力信号をゲイン調整データに応じて増幅又は減衰させて出力する。検査工程において、センサー素子4の特性に応じたゲイン調整データを求めて不揮発メモリー50に記憶させておくことで、センサー素子4の特性ばらつきを吸収し、角速度の検出範囲が一定になるように感度調整を行うことができる。
【0052】
リミッター回路370(電圧制限部の一例)は、可変ゲインアンプ360の出力信号と、基準回路が生成する電圧を各種の一定電圧(VREF1,VREF2,VREF3,VREF4)とを比較し、可変ゲインアンプ360の出力信号の電圧レベルを所望の範囲を超えないように制限する。
【0053】
スイッチトキャパシタフィルター(SCF)380は、駆動回路20が生成するクロック信号SCFCLKに基づいてリミッター回路370の出力信号をローパス処理する。本実施形態では、スイッチトキャパシタフィルター(SCF)380の出力信号が角速度信号としてVO端子から出力される。
【0054】
3.リミッター回路の構成
図3は、本実施形態のリミッター回路370の構成例を示す図である。図3に示すように、本実施形態のリミッター回路370は、7個のスイッチ371a,371b,373a,373b,376,377,378、2個のアンプ372,374及びNOR素子375を含んで構成されている。
【0055】
スイッチ371aの一端には一定電圧VREF1が供給され、スイッチ371bの一端には一定電圧VREF2が供給される。また、スイッチ373aの一端には一定電圧VREF3が供給され、スイッチ373bの一端には一定電圧VREF4が供給される。ここで、VREF1>VREF2>VREF3>VREF4である。
【0056】
スイッチ371aの他端とスイッチ371bの他端は、ともにアンプ372の反転入力端子(−入力端子)に接続されている。また、スイッチ373aの他端とスイッチ373bの他端は、ともにアンプ374の非反転入力端子(+入力端子)に接続されている。
【0057】
アンプ372の非反転入力端子(+入力端子)とアンプ374の反転入力端子(−入力端子)は、ともに可変ゲインアンプ360の出力端子に接続されており、可変ゲインアンプ360の出力信号が入力される。
【0058】
アンプ372の出力端子は、NOR素子375の一方の入力端子に接続され、アンプ374の出力端子は、NOR素子375の他方の入力端子に接続されている。従って、NOR素子375の出力信号は、アンプ372の出力信号とアンプ374の出力信号がともにローレベルであればハイレベル、アンプ372の出力信号とアンプ374の出力信号の少なくとも一方がハイレベルであればローレベルとなる。
【0059】
スイッチ371aとスイッチ371bのオン/オフ(開閉)は、アンプ372の出力信号により排他的に制御される。具体的には、アンプ372の出力信号がローレベルであればスイッチ371aがオンする(閉じる)とともにスイッチ371bがオフし(開き)、アンプ372の出力信号がハイレベルであればスイッチ371aがオフする(開く)とともにスイッチ371bがオンする(閉じる)。
【0060】
同様に、スイッチ373aとスイッチ373bのオン/オフ(開閉)は、アンプ374の出力信号により排他的に制御される。具体的には、アンプ374の出力信号がローレベルであればスイッチ373aがオフする(開く)とともにスイッチ373bがオンし(閉じ)、アンプ374の出力信号がハイレベルであればスイッチ373aがオンする(閉じる)とともにスイッチ373bがオフする(開く)。
【0061】
スイッチ376の一端は、可変ゲインアンプ360の出力端子に接続されており、可変ゲインアンプ360の出力信号が供給される。また、スイッチ377の一端には一定電圧VREF1が供給され、スイッチ378の一端には一定電圧VREF4が供給される。
【0062】
スイッチ376の他端、スイッチ377の他端及びスイッチ378の他端は、ともにスイッチトキャパシタフィルター(SCF)380の入力端子に接続されている。
【0063】
スイッチ376のオン/オフ(開閉)は、NOR素子375の出力信号により制御される。具体的には、NOR素子375の出力信号がローレベルであればスイッチ376がオフし(開き)、NOR素子375の出力信号がハイレベルであればスイッチ376がオンする(閉じる)。
【0064】
スイッチ377のオン/オフ(開閉)は、アンプ372の出力信号により制御される。具体的には、アンプ372の出力信号がローレベルであればスイッチ377がオフし(開き)、アンプ372の出力信号がハイレベルであればスイッチ377がオンする(閉じる)。
【0065】
スイッチ378のオン/オフ(開閉)は、アンプ374の出力信号により制御される。具体的には、アンプ374の出力信号がローレベルであればスイッチ378がオフし(開き)、アンプ374の出力信号がハイレベルであればスイッチ378がオンする(閉じる)。
【0066】
次に、リミッター回路370の動作について説明する。図4は、リミッター回路370に正弦波を入力した時の各信号の波形図である。
【0067】
可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF3とVREF2の間にある時は、アンプ372の出力信号とアンプ374の出力信号はともにローレベルであり、NOR素子375の出力信号がハイレベルである。そのため、スイッチ376がオン、スイッチ377,378はともにオフである。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0068】
さらに、アンプ372の出力信号がローレベルなので、スイッチ371aがオン、スイッチ371bがオフであり、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371aを介してVREF1が供給される。また、アンプ374の出力信号がローレベルなので、スイッチ373aがオフ、スイッチ373bがオンであり、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373bを介してVREF4が供給される。
【0069】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF1を超えると、アンプ372の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。一方、アンプ374の出力信号はローレベルのままである。
【0070】
これにより、NOR素子375の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。そのため、スイッチ376がオンからオフになり、スイッチ377がオフからオンになり、スイッチ378はオフのままである。従って、一定電圧VREF1がスイッチ377を介してリミッター回路370から出力される。
【0071】
さらに、アンプ372の出力信号がローレベルからハイレベルに変化するので、スイッチ371aがオンからオフに、スイッチ371bがオフからオンに変化し、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371bを介してVREF2が供給される。また、アンプ374の出力信号がローレベルのままなので、スイッチ373aがオフ、スイッチ373bがオンのままであり、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373bを介してVREF4が供給される。
【0072】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF2を下回ると、アンプ372の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。一方、アンプ374の出力信号はローレベルのままである。
【0073】
これにより、NOR素子375の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。そのため、スイッチ376がオフからオンになり、スイッチ377がオンからオフになり、スイッチ378はオフのままである。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0074】
さらに、アンプ372の出力信号がハイレベルからローレベルに変化するので、スイッチ371aがオフからオンに、スイッチ371bがオンからオフに変化し、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371aを介してVREF1が供給される。また、アンプ374の出力信号がローレベルのままなので、スイッチ373aがオフ、スイッチ373bがオンのままであり、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373bを介してVREF4が供給される。
【0075】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF4を下回ると、アンプ374の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。一方、アンプ372の出力信号はローレベルのままである。
【0076】
これにより、NOR素子375の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。そのため、スイッチ376がオンからオフになり、スイッチ378がオフからオンになり、スイッチ377はオフのままである。従って、一定電圧VREF4がスイッチ378を介してリミッター回路370から出力される。
【0077】
さらに、アンプ372の出力信号がローレベルのままなので、スイッチ371aがオン、スイッチ371bがオフのままであり、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371aを介してVREF1が供給される。また、アンプ374の出力信号がローレベルからハイレベルに変化するので、スイッチ373aがオフからオンに、スイッチ373bがオンからオフに変化し、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373aを介してVREF3が供給される。
【0078】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF3を超えると、アンプ374の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。一方、アンプ372の出力信号はローレベルのままである。
【0079】
これにより、NOR素子375の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。そのため、スイッチ376がオフからオンになり、スイッチ378がオンからオフになり、スイッチ377はオフのままである。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0080】
このように、アンプ372と2個のスイッチ371a,371bによる回路は、リミッター回路370の出力電圧の上限を規定するヒステリシスコンパレーターとして機能し、アンプ374と2個のスイッチ373a,373bによる回路は、リミッター回路370の出力電圧の下限を規定するヒステリシスコンパレーターとして機能する。そして、リミッター回路370は、入力電圧がVREF1(第1の電圧の一例)を超えれば強制的にVREF1を出力し、VREF4(第2の電圧の一例)を下回れば強制的にVREF4を出力する。これにより、可変ゲインアンプ360の出力信号の電圧がVREF4からVREF1の範囲を外れたとしても、リミッター回路370の出力信号の電圧は必ずVREF4からVREF1の範囲になる。そのため、スイッチトキャパシタフィルター(SCF)380の出力信号(角速度信号)の電圧も必ずVREF4からVREF1の範囲にすることができる。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態のリミッター回路によれば、リミッター回路370を設けることで、基準電圧や感度など各パラメーターのばらつきや電源電圧の変動を考慮した過大なマージンを確保しなくてもよいので、有効な検出範囲を不要に狭くする必要がない。
【0082】
また、本実施形態によれば、リミッター回路370を感度調整部(可変ゲインアンプ360)とオフセット調整部(オフセット調整DAC342と同期検波回路340)の後段に設けることで、センサー素子4の特性に応じてオフセット調整と感度調整がされた角速度信号に対して電圧値を制限するので、センサー素子の特性ばらつきによらず、できるだけ広い検出範囲を確保しながら出力電圧範囲を所望の範囲(VREF4からVREF1の範囲)に制限することができる。
【0083】
また、リミッター回路370をスイッチトキャパシタフィルター(SCF)380の前段に設けることにより、スイッチトキャパシタフィルターの応答速度に影響を受けることなく、出力電圧範囲を所望の範囲に制限することが出来る。
【0084】
また、リミッター回路370の出力電圧の上限と下限を、それぞれヒステリシスをもって判定することで、リミッター回路370の入力信号(可変ゲインアンプ360の出力信号)に重畳されるノイズの影響による不安定な検出動作を防止することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、角速度検出装置を例にとり説明したが、本発明は、角速度、角加速度、加速度、力等を検出するセンサー装置にも適用することができる。
【0086】
4.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0087】
[変形例1]
図5は、変形例1のリミッター回路の構成図である。図5において、図3と同じ構成(要素)には同じ符号を付しており、図3との相違点のみ説明する。図5に示すように、変形例1のリミッター回路370は、図3の構成に対して、ローパスフィルター379が追加されている。
【0088】
ローパスフィルター379は、可変ゲインアンプ360の出力信号をローパス処理し、ローパス処理された信号は、アンプ372の非反転入力端子(+入力端子)とアンプ374の反転入力端子(−入力端子)に入力される。
【0089】
可変ゲインアンプ360の前段にある同期検波回路340の出力信号には、高周波成分(参照信号SDETの周波数成分とその高調波成分)が含まれる。前述の通り、ローパスフィルター350は、同期検波回路340の出力信号に含まれる高周波成分(参照信号SDET及びその高調波成分など)を低減させるが、ローパスフィルター350の出力信号にもこの高周波成分がわずかに含まれる。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号にも高周波成分が含まれるため、アンプ372の非反転入力端子(+入力端子)とアンプ374の反転入力端子(−入力端子)に可変ゲインアンプ360の出力信号をそのまま入力すると、この高周波数成分の影響でリミッター回路370の出力信号において不要なリミットがかかる可能性がある。そこで、この高周波成分を除去するためにローパスフィルター379が設けられている。
【0090】
また、ローパスフィルター379は、後段のスイッチトキャパシタフィルター(SCF)380の入力信号(リミッター回路370の出力信号)とクロック信号SCFCLKとのオーバーラップ容量により、クロック信号SCFCLKの周波数成分が、スイッチ376を介してアンプ372の非反転入力端子(+入力端子)とアンプ374の反転入力端子(−入力端子)に入力されるのを防ぐ役割も果たしている。
【0091】
このように、変形例1のリミッター回路によれば、同期検波回路340によりリミッター回路370の入力信号(可変ゲインアンプ360の出力信号)に重畳される高周波成分の影響で、有効な検出範囲の角速度信号の電圧に不要な制限がかかることを防止することができる。
【0092】
[変形例2]
図6は、変形例2のリミッター回路の構成図である。図6において、図3と同じ構成(要素)には同じ符号を付しており、図3との相違点のみ説明する。図6に示すように、変形例2のリミッター回路370は、図3の構成に対して、スイッチ377,378に、それぞれVREF1,VREF4に代えてVREF5,VREF6が供給される。
【0093】
変形例2のリミッター回路370では、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF1(第1の電圧の一例)を超えると、スイッチ377がオフからオンになり、基準回路40が生成する一定電圧VREF5(第3の電圧の一例)がスイッチ377を介してリミッター回路370から出力される。また、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF4(第2の電圧の一例)を下回ると、スイッチ378がオフからオンになり、基準回路40が生成する一定電圧VREF6(第4の電圧の一例)がスイッチ378を介してリミッター回路370から出力される。
【0094】
なお、VREF5とVREF6は、異なる電圧であってもよいし、同じ電圧であってもよい。後者の場合、例えば、VREF5とVEF6をアナロググランド電圧と一致させてもよい。
【0095】
このように、変形例2のリミッター回路によれば、有効な検出範囲に対応する角速度信号の電圧範囲をVREF1とVREF4の間に制限するとともに、有効な検出範囲を超えた場合の角速度信号の電圧をVREF5に、有効な検出範囲を下回った場合の角速度信号の電圧をVREF6にすることができる。
【0096】
[変形例3]
図7は、変形例3のリミッター回路の構成図である。図7において、図3と同じ構成(要素)には同じ符号を付しており、図3との相違点のみ説明する。図7に示すように、変形例3のリミッター回路370は、図3の構成に対して、スイッチ373a,373b,378、アンプ374及びNOR素子375が削除されるとともに、スイッチ376のオン/オフ制御論理が異なっている。
【0097】
本変形例では、アンプ372の出力信号がローレベルであればスイッチ371aがオフする(開く)とともにスイッチ371bがオンし(閉じ)、アンプ372の出力信号がハイレベルであればスイッチ371aがオンする(閉じる)とともにスイッチ371bがオフする(開く)。また、アンプ372の出力信号がローレベルであればスイッチ376がオンし(閉じ)、アンプ372の出力信号がハイレベルであればスイッチ376がオフする(開く)。
【0098】
可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF1よりも低い時は、アンプ372の出力信号はローレベルであり、スイッチ376がオン、スイッチ377はオフである。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0099】
さらに、アンプ372の出力信号がローレベルなので、スイッチ371aがオン、スイッチ371bがオフであり、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371aを介してVREF1が供給される。
【0100】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF1を超えると、アンプ372の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。
【0101】
これにより、スイッチ376がオンからオフになり、スイッチ377がオフからオンになる。従って、一定電圧VREF1がスイッチ377を介してリミッター回路370から出力される。
【0102】
さらに、アンプ372の出力信号がローレベルからハイレベルに変化するので、スイッチ371aがオンからオフに、スイッチ371bがオフからオンに変化し、アンプ372の反転入力端子(−入力端子)にはスイッチ371bを介してVREF2が供給される。
【0103】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF2を下回ると、アンプ372の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。
【0104】
これにより、スイッチ376がオフからオンになり、スイッチ377がオンからオフになる。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0105】
このように、変形例3のリミッター回路によれば、検出範囲の上限に対してのみリミットをかけることができる。例えば、アナロググランド電圧が電源電圧によらず一定であれば、電源電圧に応じて検出範囲の上限は変動するが下限は変動しない場合がある。このような場合、検出範囲の下限が所望の電圧を下回る可能性がなければ、上限のみにリミットをかければよい。
【0106】
[変形例4]
図8は、変形例4のリミッター回路の構成図である。図8において、図3と同じ構成(要素)には同じ符号を付しており、図3との相違点のみ説明する。図8に示すように、変形例4のリミッター回路370は、図3の構成に対して、スイッチ371a,371b,377、アンプ372及びNOR素子375が削除されるとともに、スイッチ376のオン/オフ制御論理が異なっている。
【0107】
本変形例では、アンプ374の出力信号がローレベルであればスイッチ373aがオフする(開く)とともにスイッチ373bがオンし(閉じ)、アンプ374の出力信号がハイレベルであればスイッチ373aがオンする(閉じる)とともにスイッチ373bがオフする(開く)。また、アンプ372の出力信号がローレベルであればスイッチ376がオンし(閉じ)、アンプ372の出力信号がハイレベルであればスイッチ376がオフする(開く)。
【0108】
可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF4よりも高い時は、アンプ374の出力信号はローレベルであり、スイッチ376がオン、スイッチ378はオフである。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0109】
さらに、アンプ374の出力信号がローレベルなので、スイッチ373aがオフ、スイッチ373bがオンであり、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373bを介してVREF4が供給される。
【0110】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF4を下回ると、アンプ374の出力信号がローレベルからハイレベルに変化する。
【0111】
これにより、スイッチ376がオンからオフになり、スイッチ378がオフからオンになる。従って、一定電圧VREF3がスイッチ378を介してリミッター回路370から出力される。
【0112】
さらに、アンプ374の出力信号がローレベルからハイレベルに変化するので、スイッチ373aがオフからオンに、スイッチ373bがオンからオフに変化し、アンプ374の非反転入力端子(+入力端子)にはスイッチ373aを介してVREF3が供給される。
【0113】
この状態で、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)の電圧がVREF3を超えると、アンプ374の出力信号がハイレベルからローレベルに変化する。
【0114】
これにより、スイッチ376がオフからオンになり、スイッチ378がオンからオフになる。従って、可変ゲインアンプ360の出力信号(リミッター回路370の入力信号)がスイッチ376を介してリミッター回路370から出力される。
【0115】
このように、変形例4のリミッター回路によれば、検出範囲の下限に対してのみ制限をかけることができる。
【0116】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0117】
1 角速度検出装置、2 角速度検出用IC、4 センサー素子、10 電源回路、20 駆動回路、30 検出回路、40 基準回路、50 不揮発メモリー、60 シリアルインターフェース回路、300,302 QVアンプ(チャージアンプ)、310 差動アンプ、320 ハイパスフィルター、330 ACアンプ、340 同期検波回路、350 ローパスフィルター、360 可変ゲインアンプ(PGA)、370 リミッター回路、371a,371b,373a,373b,376,377,378 スイッチ、372,374 アンプ、375 NOR素子、379 ローパスフィルター、380 スイッチトキャパシタフィルター(SCF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の物理量を検出するセンサー素子の出力信号に基づいて前記物理量の大きさに応じた検出信号を生成する検出回路であって、
前記センサー素子の検出感度に応じて前記検出信号の電圧範囲を調整する感度調整部及び前記センサー素子の出力オフセットに応じて前記検出信号の0点電圧を調整するオフセット調整部の少なくとも一方と、
前記感度調整部及び前記オフセット調整部の後段に設けられ、前記検出信号の電圧を所望の範囲に制限する電圧制限部と、を含む、検出回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記電圧制限部は、
当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第1の電圧とを比較する第1のコンパレーターと、
前記第1のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも低い時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも高い時は第3の電圧を選択して出力する選択回路と、を含む、検出回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のコンパレーターは、
当該電圧制限部の前段からの前記入力信号の電圧と前記第1の電圧とをヒステリシスを持って比較する、検出回路。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第3の電圧は、前記第1の電圧と等しい、検出回路。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記電圧制限部は、
当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第2の電圧とを比較する第2のコンパレーターをさらに含み、
前記選択回路は、
前記第1のコンパレーターの比較結果と前記第2のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧と前記第2の電圧との間に含まれる時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第1の電圧よりも高い時は前記第3の電圧を選択し、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも低い時は第4の電圧を選択して出力する、検出回路。
【請求項6】
請求項1において、
前記電圧制限部は、
当該電圧制限部の前段からの入力信号の電圧と第2の電圧とを比較する第2のコンパレーターと、
前記第2のコンパレーターの比較結果に基づいて、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも高い時は前記入力信号を選択し、前記入力信号の電圧が前記第2の電圧よりも低い時は第4の電圧を選択して出力する選択回路と、を含む、検出回路。
【請求項7】
請求項5又は6において、
前記第2のコンパレーターは、
当該電圧制限部の前段からの前記入力信号の電圧と前記第2の電圧とをヒステリシスを持って比較する、検出回路。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかにおいて、
前記第4の電圧は、前記第2の電圧と等しい、検出回路。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれかにおいて、
前記電圧制限部は、
当該電圧制限部の前段からの前記入力信号をフィルター処理するフィルター回路をさらに含み、
前記第1のコンパレーターは、
前記フィルター回路がフィルター処理した信号と前記第1の電圧とを比較し、
前記第2のコンパレーターは、
前記フィルター回路がフィルター処理した信号と前記第2の電圧とを比較する、検出回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の検出回路を含む、集積回路装置。
【請求項11】
請求項10に記載の集積回路装置と、
所与の物理量を検出するセンサー素子と、を含む、センサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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