説明

検査振分装置

【課題】搬送される物品の検査を行って、その検査結果に基づいてエアジェット式で物品の振り分けを行う検査振分装置において、物品を振り分けるためのコンベアを不要とし、且つ、圧縮エアを噴出するノズルの位置調整を簡易とする。
【解決手段】検査対象となる物品を所定間隔で下流側へ搬送する送込コンベア3aを備えた送込部3と、送込部3によって搬送されてくる物品を下流側へ搬送しつつ検査を行う検査コンベア4aを備えた検査部4と、検査部4の下流側に配置されて、検査部4における検査結果に応じて搬送されてくる物品を振り分ける振分部21とを検査振分装置100に備えた。振分部21は、物品検出センサ22と、エアノズル23と、振分確認センサ24とを、上流側から順に一体的に取り扱えるユニットとして備え、各々の物品の搬送方向の相対位置が一定となるように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される物品の検査を行って、検査結果に基づいてその物品の所定の振り分けを行う検査振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装された食品などの物品を生産する生産ラインには、物品の品質を検査するために種々の検査装置が備えられている。例えば、物品の重量を検査する重量検出器、物品や包装袋の中に異物が混入していないかを検査する金属検出器やX線検査機器、物品の包装状態を検査するシールチェッカなどが、生産ラインの各所に検査装置として配置されている。
【0003】
また、このような検査装置の物品搬送下流側には、検査に合格しなかった物品を生産ラインの外に振り分ける振分装置が配備されていることが多い。振分装置は、アーム(フリッパ)式、エアジェット式、フィン(シュート)式、ドロップ振分アーム(プッシャ)式、ドロップベルト(シングルスイング)式など種々の方式があって、何れも正規の物品搬送路(生産ライン)から不良品を外に振り分ける機能を有している。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された検査振分装置(物品振分機能付き検査装置)は、物品を規則的に後段へ搬送する送込部と、送込部により搬送されてくる物品の検査を行う検査部と、検査部における検査結果に応じて搬送されてくる物品を振り分ける振分部とを備えている。これらの送込部、検査部、及び振分部の各機能部は、物品搬送路を形成するコンベアをそれぞれに有し、各機能部ではコンベアで物品を搬送しながら所定の動作を行うように構成されている。
【0005】
また、特許文献2には、エアジェット式の振分装置が設けられた検査装置(重量選別機)が示されている。エアジェット式の振分装置では、不合格品に対してエアノズルからエアを噴出し、不合格品を吹き飛ばして正規の物品搬送路から排除する。エアジェット式の振分装置は、アーム式などの他の振分方式と比較して高速な振分が可能であり、比較的軽量名商品の振分に適している。
【特許文献1】特開2006−81973号公報
【特許文献2】特開2004−361156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、上記のような検査振分装置は、生産ラインを形成している搬送用のコンベアを分断して、その分断された部分に介在するように生産ラインに組み込まれている。通常、検査振分装置では、特許文献1に記載されているように、送込部、検査部、及び振分部のそれぞれにコンベアを有し、これらのコンベアは直列に配列されているため物品の搬送方向の装置長さが長くなりがちであり、この結果、物品の生産ライン自体が長くなってしまう。物品の生産ラインが長くなると、そのぶん、生産ラインのためのスペースが必要となる。
【0007】
また、検査振分装置の振分部では、検査部のコンベアから振分部のコンベアに物品が移動したことを検出して、アームや圧縮エアを噴出するノズルを動作させるように構成されているが、特にエアジェット式では圧縮エアを瞬間的に噴出することから、コンベアの搬送速度とノズルの位置とが厳密に調整されていなければならなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、搬送される物品の検査を行って、その検査結果に基づいてエアジェット式で物品の振り分けを行う検査振分装置であって、物品を振り分けるためのコンベアを不要とし、物品の搬送方向の装置長さを短縮することが可能であり、且つ、圧縮エアを噴出するノズルの位置調整が簡易となる検査振分装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の本発明の検査振分装置は、検査対象となる物品を所定間隔で下流側へ搬送する送込コンベアを備えた送込部と、搬送されてくる前記物品を下流側へ搬送しつつ検査を行う検査コンベアを備えた検査部と、前記検査部の下流側に配置されて、前記検査部における検査結果に応じて搬送されてくる前記物品を振り分ける振分部とを備え、前記振分部は、前記検査部から搬送されてくる前記物品を検出する物品検出センサと、前記物品検出センサの下流側に前記物品検出センサに対する物品の搬送方向の相対位置が一定となるように配置されて、前記物品に対して圧縮エアを噴出するエアノズルとを、1つの振分ユニットとして備えているものである。
【0010】
上記構成の検査振分装置によれば、振分部を構成するエアノズル及びセンサを一つのユニットとして取り扱うことができるので、振分部の装置本体への取付作業や、振分部のエアノズルと物品検出センサとの位置調整作業が、容易となる。さらに、装置に、物品を振り分けるためのステージを形成する振分コンベアが不要であり、従来の検査振分装置が備えていた振分コンベアのぶんだけ物品の搬送方向の装置長さを短縮することができる。そして、検査振分装置とは別体の生産ラインに備え付けられたコンベアの搬送面を物品を振り分けるためのステージとして用いれば、生産ラインの長さを短縮することができる。
【0011】
前記検査振分装置において、前記振分ユニットは、前記エアノズルの下流側に配置されて、前記物品が振り分けられたことを検出する振分確認センサを備えていることがよい。これにより、振分部で物品が正常に振り分けられたことを確認することができる。
【0012】
上記において、前記検査振分装置に、前記送込コンベアと前記検査コンベアとを支持する基台と、前記基台から前記検査部の下流側へ延びる被取付体とを、備え、前記振分ユニットを前記被取付体に取り付けることができる。
【0013】
さらに、前記検査振分装置において、前記振分ユニットは、前記被取付体に取り付けるための取付具を含み、前記物品検出センサ及び前記エアノズルは、前記検査部から搬送されてくる前記物品対して上下方向の位置を調整可能に前記取付具に取り付けられていることが好ましい。これにより、物品の大きさに応じてエアノズル及び物品検出センサの高さ位置を調整して、効果的な圧縮エアの吹き付け及び効率的な物品の検出を行うことができる。
【0014】
さらに、前記検査振分装置において、前記被取付体は前記物品の搬送方向へ伸縮可能に構成されていることが好ましい。これにより、検査部に対する振分ユニットの位置を調整することができるとともに、不使用時や搬送時には被取付体を最短まで短縮させて装置をコンパクトに収めることができる。
【0015】
また、前記検査振分装置において、前記検査部は、重量検出器、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器、及びランク選別器の少なくともいずれか1つを有している。これにより、検査振分装置で、所望の検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明によれば、振分部の装置本体への取付作業や、振分部のエアノズルとセンサとの位置調整作業が、容易となる。さらに、検査振分装置に、物品を振り分けるためのステージを形成する振分コンベアが不要であるので、従来の検査振分装置が備えていた振分コンベアのぶんだけ検査振分装置の物品の搬送方向の装置長さを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0019】
(実施の形態)
〔検査振分装置の構成概略〕
はじめに、本発明の実施の形態に係る検査振分装置(物品振分機能付き検査装置)の概略構成について説明する。なお、以下では、検査振分装置の一形態として、検査部に重量検出器としての機能を備えた重量選別装置について説明する。但し、本発明に係る検査振分装置は、重量選別装置に限定されず、検査部に、例えば、重量検出器、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器、及びランク選別器のうち少なくともいずれか1つの機能を備えて、所望の検査を行うことができる。
【0020】
図1は本実施の形態に係る検査振分装置を示す図である。図1に示すように、検査振分装置100は、送込コンベア3aを有する送込部3と、検査コンベア4aを有する検査部4と、エアノズル23を有する振分部21と、検査振分装置100の動作を制御する演算制御部70(図6)とを備えている。
【0021】
この検査振分装置100は、物品の搬送路(生産ライン)を形成している2つの搬送コンベア(以下、「搬入コンベア13」と「搬出コンベア15」と呼ぶ)の間に配置され、搬入コンベア13、送込コンベア3a、検査コンベア4a、及び搬出コンベア15が直列に並べられて物品の搬送路が形成されている。そして、検査振分装置100では、搬入コンベア13から搬出コンベア15へ物品を移送する間に、検査部4で搬送される物品の重量を測定し、演算制御部70で測定された物品の重量に基づいて物品の合格・不合格を判別し、振分部21で不合格品を生産ラインから排除するように構成されている。
【0022】
検査振分装置100の送込コンベア3aと検査コンベア4aとは、1つの基台10に支持されている。基台10は、2つの上下逆U字状の脚部フレーム7,7と、これらの脚部フレーム7,7を連結する連結桿12,12とで構成され、4本の脚を有している。連結桿12,12の上には、支持板を介して送込コンベア3a及び検査コンベア4aが固定されている。さらに、連結桿12には、上端にガードバー9が固設されたステー8,8の下端が固設されている。このガードバー9は、送込コンベア3a及び検査コンベア4aの両側方に物品の搬送方向に沿って配設されて、送込コンベア3a及び検査コンベア4aの搬送面に作業者をはじめとする異物が侵入しないように防御するものである。
【0023】
さらに、基台10には、電装品収納ボックス2が取り付けられている。電装品収納ボックス2には、演算制御部70などの電装部品が格納されている。また、電装品収納ボックス2の表面には、操作設定表示部1や、検査振分装置100の電源のON−OFFを操作するための電源ON−OFFスイッチ14が設けられている。
【0024】
基台10の高さは、脚部フレーム7,7を伸縮させることにより可変であって、搬入コンベア13、搬出コンベア15、送込コンベア3a、及び検査コンベア4aの上面(搬送面)の高さが等しくなるように基台10の高さが調整されている。
【0025】
〔送込部3〕
ここで、送込部3について説明する。送込部3が備える送込コンベア3aは、搬入コンベア13によって搬送されてくる物品を順次連続してコンベア上に受け取り、コンベア上の物品の間隔を略一定に調整したのち、検査コンベア4aに移送するものである。これにより、検査コンベア4aで複数の物品が同時に計量されることを防止することができる。
【0026】
〔検査部4〕
次に、検査部4について説明する。検査部4が備える検査コンベア4aは、送込コンベア3aによって搬送されてくる物品を順次連続してコンベア上に受け取り、コンベアの重量変化より、コンベア上の物品の重量を計量するものである。本実施の形態において、検査コンベア4aは、コンベアがロードセルからなる重量センサ38(図6)によって支持されていて、重量センサ38によってコンベアの重量変化が計量される。また、検査部4では、物品検出センサ5の検出信号に応じて物品が検査コンベア上に位置することを検出してから計量が行われる。
【0027】
物品検出センサ5は、送込コンベア3aと検査コンベア4aとの間の物品の移動を検出するものであって、送込コンベア3aと検査コンベア4aとの間に設けられている。物品検出センサ5は、投光部5aと受光部5bとで構成され、投光部5aから発した光が受光部5bで受光されなかったことにより、物品が検出される。本実施の形態において、物品検出センサ5の投光部5a及び受光部5bは、何れも基台10に設けられたガードバー9,9にブラケット6,6を介して固定されている。
【0028】
〔振分部21〕
続いて、振分部21について説明する。図2は振分部(振分ユニット)を示す図、図3は振分部の分解構成図、図4は振分部の構成要素の可動方向を説明する図、図5は振分部の別態様を示す図である。
【0029】
図1〜3に示すように、振分部21はエアジェット式であって、振分部21は、エアポンプ36(図6)から送気管35を通じて送られてきた圧縮エアを物品に対して噴出するエアノズル23と、圧縮エアを吹き付ける対象となる検査部4から搬送されてくる物品を検出する物品検出センサ22と、物品が圧縮エアの吹き付けにより振り分けられたこと(搬送路から排出されたこと)を検出する振分確認センサ24とが、一体的に取り扱うことができる1つのユニット(以下、これらを「振分ユニット」ともいう)として構成されている。そして、この振分ユニットにおいて、物品検出センサ22、エアノズル23、及び振分確認センサ24は、物品の搬送方向の相対的位置は固定されている。つまり、物品検出センサ22に対するエアノズル23の物品の搬送方向の距離は一定に固定されており、エアノズル23に対する振分確認センサ24の物品の搬送方向の距離は一定に固定されている。
【0030】
そして、振分部21では、物品検出センサ22により対象となる物品が振分部21に到来したことを検出し、検出した物品に対してエアノズル23から圧縮エアを噴出し、振分確認センサ24により物品が圧縮エアにより吹き飛ばされて搬送路から排出されたこと、即ち、物品が振り分けられたことを検出する。
【0031】
なお、本実施の形態に係る振分部21では、物品検出センサ22、エアノズル23、振分確認センサ24を1つの振分ユニットとして構成しているが、図5に示すように、振分確認センサ24を除いた物品検出センサ22とエアノズル23とを1つの振分ユニットとして構成してもよい。
【0032】
振分部21(振分ユニット)は、基台10に設けられたガードバー9を物品の搬送方向下流側へ延長するように、ガードバー9に片持ち状に接続された延長部材(被取付体)9aに取り付けられている。そして、振分部21は、延長部材9aにおいて検査コンベア4aよりも物品の搬送方向下流側に取り付けられており、振分部21は検査コンベア4aよりも物品の搬送方向下流側であって搬出コンベア15の上方に位置している。つまり、振分部21は、基台10から検査部4の下流側へ伸びる延長部材(被取付体)9aに取り付けられている。
【0033】
本実施の形態において、ガードバー9は筒状体であって、延長部材9aはガードバー9の内周に摺動して挿入可能な外径を有する棒状体又は筒状体である。そして、ガードバー9に内挿された延長部材9aは、ボルト等の固定具9bによりガードバー9に固定されている。延長部材9aのガードバー9への挿入度合いを変更することにより延長部材9a(正確には延長部材9aのガードバー9から突出する部分)が伸縮して、延長部材9aはその有効長を物品の搬送方向に変化させることができる。このように、延長部材9aが物品の搬送方向に伸縮することによって、検査コンベア4aに対する振分部21の位置を調整することができるとともに、不使用時や搬送時には延長部材9aを最短まで短縮させて装置をコンパクトに収めることができる。
【0034】
振分部21の物品検出センサ22、エアノズル23、及び振分確認センサ24は、延長部材9aに固定された取付具30に取り付けられている。取付具30は、エアノズル23が取り付けられたノズル取付部材31と、物品検出センサ22及び振分確認センサ24が取り付けられたセンサ取付部材33と、ノズル取付部材31及びセンサ取付部材33を延長部材9aに固定するユニット取付部材32とで構成されている。
【0035】
ノズル取付部材31は、略L字状に折り曲げられた板状体であって、その曲折部の一側がユニット取付部材32を取り付けるためのユニット取付部31aであり、同じく曲折部の他側がエアノズル23を取り付けるためのノズル取付部31bである。このユニット取付部31aとノズル取付部31bとに亘って、エアノズル23とユニット取付部材32とを取り付けるための取付溝31cが形成されている。そして、エアノズル23と、ワッシャ25と、ノズル取付部材31のノズル取付部31bの取付溝31cと、板状ナット26とを、順に貫通するボルト34によって、エアノズル23がノズル取付部材31に取り付けられている。このようにノズル取付部材31に取り付けられたエアノズル23は、図4に示すように、ノズル取付部材31のノズル取付部31bと略平行に回動して、圧縮エアの吹き出し方向を物品の搬送方向前後に調節することができる。
【0036】
センサ取付部材33には、ユニット取付部材32を取り付けるためのユニット取付部33aと、振分確認センサ24を取り付けるための第一センサ取付部33bと、物品検出センサ22を取り付けるための第二センサ取付部33dとが一体的に形成されている。このセンサ取付部材33において、第二センサ取付部33dが物品の搬送方向の最も上流側に位置するとともに第一センサ取付部33bが物品の搬送方向の最も下流側に位置し、第一センサ取付部33bと第二センサ取付部33dとの間にユニット取付部33aが位置している。ユニット取付部33aには、上下に2つの取付孔が穿設されている。また、第一センサ取付部33bと第二センサ取付部33dには、センサを取り付けるための上下方向の取付溝33c,33eがそれぞれに設けられている。そして、第一センサ取付部33bの取付溝33cには振分確認センサ24がボルト等の固定具により取り付けられ、第二センサ取付部33dの取付溝33eには物品検出センサ22がボルト等の固定具により取り付けられている。これらのセンサ22,24は、図4に示すように、第一センサ取付部33bの取付溝33c又は第二センサ取付部33dの取付溝33eの長さの範囲で取付位置(取付高さ)を調整することができる。
【0037】
ユニット取付部材32は、その内股で延長部材9aに接触した状態で延長部材9aを上下に跨ぐ形状を有しており、延長部材9aを跨いで両側に取付孔が穿設されている。そして、ユニット取付部材32が延長部材9aを跨いだ状態で、センサ取付部材33のユニット取付部33aの一方の取付孔と、ノズル取付部材31のユニット取付部31aの取付溝31cと、ユニット取付部材32の一方の取付孔とを、順にボルト27aが貫通している。また、センサ取付部材33のユニット取付部33aの他方の取付孔と、ノズル取付部材31のユニット取付部31aの取付溝31cと、ユニット取付部材32の他方の取付孔とを、順にフラットクランプレバー27bの螺子部が貫通している。このようにして、ノズル取付部材31及びセンサ取付部材33がユニット取付部材32により延長部材9aに取り付けられている。ノズル取付部材31は、ノズル取付部材31のユニット取付部31aに設けられた取付溝31cの範囲で取付位置(取付高さ)を調整することができ、これによりエアノズル23の取付位置(取付高さ)を調整することができる。
【0038】
上述のように、取付具30に取り付けられたエアノズル23、物品検出センサ22、及び振分確認センサ24は、物品の搬送方向の相互の相対的な位置関係が一定に保持されている。一方で、振分部21を取付具30を含めて一体的に延長部材9a上で物品の搬送方向(延長部材9aの伸びる方向)へ移動させてその位置を調節することができ、さらに、図4に示すように、振分部21を取付具30を含めて一体的に延長部材9aを中心として回動させてその取付位置(仰角)を調整することができる。
【0039】
さらに、取付具30に取り付けられたエアノズル23、物品検出センサ22、及び振分確認センサ24は、何れも延長部材9aに対して個別に高さ方向の取付位置を調節可能である。つまり、取付具30に取り付けられたエアノズル23、物品検出センサ22、及び振分確認センサ24は、検査部4から搬送されてくる物品(搬出コンベア15の搬送面上にある物品)対して上下方向の位置を調整可能に取付具30に取り付けられている。これにより、物品の大きさに応じてエアノズル23、物品検出センサ22、及び振分確認センサ24の位置を調整すれば、効果的な圧縮エアの吹き付け及び効率的な物品の検出を行うことができる。
【0040】
従来の検査振分装置では、物品検出センサとエアノズルとは別々に設置されており、物品検出センサで対象となる物品を検出したのち、物品検出センサとエアノズルとの距離及び物品の搬送速度からタイミングを調整して、エアノズルから圧縮エアを噴出するように構成されていた。これに対し、本実施の形態に係る検査振分装置100の振分部21では、エアノズル23、物品検出センサ22、及び振分確認センサ24が1つの振分ユニットとして構成されることにより、これら相互の物品の搬送方向における位置関係が固定されているとともに物品検出センサ22とエアノズル23とが近接して配置されているため、物品検出センサ22で物品が検出されてからエアノズル23で圧縮エアを噴き出すまでのタイミングがほぼ一定に定まり、個別にタイミングを調整したり変更したりする必要がない。よって、振分部21の基台10側への取り付け作業や、振分部21のエアノズル23とセンサ22,24との位置調整作業が、容易となる。
【0041】
さらに、従来の検査振分装置では、振分部にもコンベアを設けているが、本実施の形態に係る検査振分装置100では、搬出コンベア15の搬送面を、振分部21により物品を振り分けるためのステージとして利用している。この搬出コンベア15は、物品の生産ラインを形成しているコンベアであって、検査振分装置100とは別体である。つまり、検査振分装置100は物品を振り分けるためのコンベアを備えないので、検査振分装置100の物品の搬送方向の装置長さを従来の検査振分装置と比較して短縮することができる。これにより、生産ラインの短縮化に寄与することができ、さらに、検査振分装置100の小型化及び低価格化に寄与することができる。
【0042】
〔演算制御部70〕
ここで、演算制御部70について説明する。図6は演算制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【0043】
図6に示すように、演算制御部70は、演算部66及び記憶部67を有する制御回路72と、コンベア駆動回路73と、振分部駆動回路74と、A/D変換回路75と、I/O回路76とを備えている。演算制御部70の演算部66は、入力部71と表示部77とを有する操作設定表示部1と接続されている。
【0044】
制御回路72の演算部66は、CPU等一般的な演算装置で構成されている。そして、演算部66は、重量センサ38、検出センサ5及び記憶部67に格納された情報に基づいて、コンベア駆動回路73と、振分部駆動回路74とを制御する。記憶部67は、メモリ等一般的な記憶装置で構成されている。そして、記憶部67には、演算部66が実行するプログラムや、入力部71から入力された重量選別に関する設定情報(例えば、物品の品名コードに対応する基準値、上限偏差値及び下限偏差値など)や、演算制御部70が制御した制御結果の情報などが記憶されている。
【0045】
コンベア駆動回路73は、演算部66からの制御信号に基づいて、送込コンベア3a及び検査コンベア4aの各コンベアの動作を制御するように構成されている。振分部駆動回路74は、演算部66からの制御信号に基づいて、不合格品を搬送路から排除すべく、振分部21の動作を制御するように構成されている。A/D変換回路75は、検査部4が備える重量センサ38の検出信号をA/D変換して演算部66に送るように構成されている。I/O回路76は、物品検出センサ5の検出信号、並びに、振分部21に設けられた物品検出センサ22及び振分確認センサ24の検出信号を、所定レベルの検出信号に変換して演算部66に送るように構成されている。
【0046】
入力部71と表示部77は、本実施の形態において、電装品収納ボックス2に設けられた操作設定表示部1として一体的に設けられている。操作設定表示部1は、液晶スクリーンにタッチパネルを貼設して成るタッチスクリーンである。操作設定表示部1は、重量選別の設定に関する情報を演算制御部70の演算部66へ入力する入力部71として機能するとともに、入力部71の入力情報及び演算制御部70の制御情報(振分部21での振り分け条件の設定、計量値を蓄積した計量値データ、振分部21が振り分けた物品の集計データなど)を演算制御部70の演算部66からの出力を受けて表示する表示部77として機能する。
【0047】
〔検査振分装置100の動作〕
ここで、上記構成の検査振分装置100の動作について説明する。演算制御部70の演算部66は、記憶部67に格納された所定の運転プログラムを読み出し、これを実行することにより、以下に示すように検査振分装置100の各構成要素を制御して物品の検査及び不合格品の振り分けを行う。
【0048】
まず、演算制御部70の演算部66は、コンベア駆動回路73を介して送込コンベア3aと検査コンベア4aとを動作させて、これらのコンベア3a,4aで検査される物品を搬送する。そして、演算部66は、I/O回路76を介して物品検出センサ5から供給された検出信号により送込コンベア3aから検査コンベア4aへ物品が移動することを検出してから、所定時間が経過したときにタイミング信号を発生させる。ここで、「所定時間」とは、物品が送込コンベア3aから検査コンベア4aへ移動してから、その先端が検査コンベア4aの測定位置(コンベアの出口端)に到達するまでに要する時間である。
【0049】
演算部66は、記憶部67から検査される物品の品名コードに対応する基準値、上限偏差値及び下限偏差値等を読み出して、物品の重量の上限値及び下限値を算出する。そして、演算部66は、タイミング信号が供給されたときに、A/D変換回路75を介して重量センサ38の計量信号(検出信号)を取得し、この計量信号が上限値以上であるか、上限値と下限値との間にあるか、下限値以下であるかの判定を行う。演算部66は、計量信号が上限値と下限値との間に存在する場合に「合格品」と判定し、計量信号が上限値以上であるか或いは下限値以下である場合に「不合格品」と判定する。
【0050】
演算部66は、物品を合格品と判定した場合には、合格品をそのまま搬送路に沿って搬送させ、この物品の検査結果に関する情報を作成して記憶部67に格納する。一方、演算部66は、物品を不合格品と判定した場合には、I/O回路76を介して物品検出センサ22から供給された検出信号により、振分部21に不合格品が到来したことを検知し、振分部駆動回路74を介して電磁弁36を動作させる。これにより、搬出コンベア15上を搬送されている不合格品に対してエアノズル23から圧縮エアが吹き付けられ、不合格品が圧縮エアにより搬送路より吹き飛ばされる。そして、演算部66は、I/O回路76を介して振分確認センサ24から供給された検出信号により、不合格品が正常に振り分けられて搬出コンベア15上に不合格品が存在しないことを検知して、この物品の検査結果に関する情報を作成して記憶部67に格納する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、物品を検査する検査部と、検査した物品を所定の条件に応じて振り分ける振分部とを備えた検査振分装置に、広く適用させることができる。検査部は、上述の実施の形態に係る検査振分装置が備える重量検出器に限定されず、例えば、重量検出器、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器及びランク選別器のいずれか1つ又は複数の組合せとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係る検査振分装置を示す図である。
【図2】振分部(振分ユニット)を示す図である。
【図3】振分部の分解構成図である。
【図4】振分部の構成要素の可動方向を説明する図である。
【図5】振分部の別態様を示す図である。
【図6】演算制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 操作設定表示部
2 電装品収納ボックス
3 送込部
4 検査部
5 物品検出センサ
9 ガードバー
9a 延長部材(被取付体)
10 基台
13 搬入コンベア
15 搬出コンベア
21 振分部(振分ユニット)
22 物品検出センサ
23 エアノズル
24 振分確認センサ
25 ワッシャ
26 板状ナット
30 取付具
31 ノズル取付部材
32 ユニット取付部材
33 センサ取付部材
38 重量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる物品を所定間隔で下流側へ搬送する送込コンベアを備えた送込部と、
搬送されてくる前記物品を下流側へ搬送しつつ検査を行う検査コンベアを備えた検査部と、
前記検査部の下流側に配置されて、前記検査部における検査結果に応じて搬送されてくる前記物品を振り分ける振分部とを備え、
前記振分部は、前記検査部から搬送されてくる前記物品を検出する物品検出センサと、前記物品検出センサの下流側に前記物品検出センサに対する物品の搬送方向の相対位置が一定となるように配置されて、前記物品に対して圧縮エアを噴出するエアノズルとを、1つの振分ユニットとして備えている、
検査振分装置。
【請求項2】
前記振分ユニットは、前記エアノズルの下流側に配置されて、前記物品が振り分けられたことを検出する振分確認センサを備えている、
請求項1に記載の検査振分装置。
【請求項3】
前記送込コンベアと前記検査コンベアとを支持する基台と、前記基台から前記検査部の下流側へ延びる被取付体とを、備え、
前記振分ユニットは前記被取付体に取り付けられている、
請求項1又は請求項2に記載の検査振分装置。
【請求項4】
前記振分ユニットは、前記被取付体に取り付けるための取付具を含み、
前記物品検出センサ及び前記エアノズルは、前記検査部から搬送されてくる前記物品対して上下方向の位置を調整可能に前記取付具に取り付けられている、
請求項3に記載の検査振分装置。
【請求項5】
前記被取付体は前記物品の搬送方向へ伸縮可能に構成されている、
請求項3又は請求項4に記載の検査振分装置。
【請求項6】
前記検査部は、重量検出器、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器、及びランク選別器の少なくともいずれか1つを有している、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の検査振分装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−94652(P2010−94652A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269870(P2008−269870)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】