説明

検査装置、検査システム及び検査方法

【課題】実際に印刷させることなく、記録ヘッドとプラテンとのギャップをより容易且つ適切に検査することのできる技術を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリンタ100のカバーヘッド162aと電気的に接続される接続用電極202及び電線203と、記録ヘッド162のカバーヘッド162aとプラテン163との間に必要なギャップと同じ厚さに形成された導体部材であって、ギャップの検査時にプラテン163に載置される検査用プレートPLと電気的に接続される電線206と、接続用電極202及び電線203と、電線206との間がカバーヘッド162a及び検査用プレートPLを介して導通したことを検知して報知する報知部204とを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置における、記録ヘッドとプラテンとのギャップを検査する検査装置、検査システム及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の一例であるインクジェット式プリンタにおいては、記録用の液体の一例としてのインクを吐出する記録ヘッドと、インクによる記録を行う記録媒体を支持するプラテンとのギャップを所定の範囲内に維持させておくことによって、より詳細に画像を記録媒体に記録することができるようになっている。
このため、インクジェット式プリンタを製造した場合には、出荷する前に、工場等において、記録ヘッドと、プラテンとのギャップが適正であるか否かの検査がされ、その検査結果に従って、ギャップの調整等が行われている。
記録ヘッドとプラテンとのギャップを検査する方法としては、例えば、記録ヘッドのカバーヘッドとプラテンとの間の適正なギャップと同じ厚さの検査用プレートをプラテンに載置し、記録ヘッドを搭載したキャリッジを移動させ、その際における検査用プレートの移動状態や、発生される音等によって、検査者がキャップが適正であるか否かを検査する方法が知られている。
また、実際に印刷されたパターンによって、印刷媒体面と、ヘッド往復方向との平行度を確認する発明も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−254776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来においては、記録ヘッドを搭載したキャリッジを移動させ、その際における検査用プレートの移動状態や、発生される音等によって、キャップが適正であるか否かを検査者が検査するようにしていた。
このような方法によると、キャリッジの移動により発生される音から、検査用プレートとヘッドとの接触音を聞き分ける必要があり、検査者には、かなりの熟練度が要求されていた。また、接触音により判断することとなるので、検査する検査者によって検査結果にバラツキが出てしまう虞もあった。
一方、特許文献1に記載されたように印刷パターンを用いる場合には、実際に印刷させる必要があり、印刷をしていない状態で出荷すべき製品については、適用することができないという問題がある。また、印刷を行うので、インクを無駄にしてしまうという問題もある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、実際に印刷させることなく、記録ヘッドとプラテンとのギャップをより容易且つ適切に検査することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的達成のため、本発明の一実施形態に係る検査装置は、記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置における、記録ヘッドとプラテンとのギャップを検査する検査装置であって、記録装置の記録ヘッドは、プラテン側に導体部材で形成されたカバーヘッドを有しており、カバーヘッドと電気的に接続される第1接続手段と、記録ヘッドのカバーヘッドとプラテンとの間に必要なギャップと同じ厚さに形成された導体部材であって、ギャップの検査時にプラテン上に載置される検査用プレートと電気的に接続される第2接続手段と、第1接続手段と第2接続手段との間がカバーヘッド及び検査用プレートを介して導通したことを検知して報知する報知手段とを有する。
かかる構成によると、カバーヘッドと検査用プレートとが接触すると、第1接続手段と第2接続手段との間がカバーヘッド及び検査用プレートを介して導通することとなるので、報知手段が第1接続手段と第2接続手段との間が導通したことを報知する。これによって、検査者は、カバーヘッドと検査用プレートとの接触を確実に認識することができる。このため、カバーヘッドとプラテンとのギャップの調整の必要性を適切に判断して、必要に応じてギャップの調整を適切に行うことができる。
【0005】
上記検査装置において、報知手段は、導通したことを検出した際に、光を発生させる光発生手段、または、音を発生させる音発生手段であってもよい。かかる構成によると、検査者は、光、又は音によって、カバーヘッドと検査用プレートとの接触を確実に認識することができる。
【0006】
また、上記目的達成のため、本発明の一実施形態に係る検査システムは、記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置と、記録ヘッドとプラテンとのギャップを検査する検査装置とを有する検査システムであって、記録装置の記録ヘッドは、プラテン側に導体部材で形成されたカバーヘッドを有しており、検査装置は、カバーヘッドと電気的に接続される第1接続手段と、記録ヘッドとプラテンとの間の必要なギャップと同じ厚さに導体部材で形成され、プラテン上に載置されるギャップ検査用プレートと電気的に接続される第2接続手段と、第1接続手段と第2接続手段との間がカバーヘッド及び検査用プレートを介して導通したことを検知して検査者が認識可能に報知する報知手段とを有する。
かかる構成によると、カバーヘッドと検査用プレートが接触すると、第1接続手段と第2接続手段との間がカバーヘッド及び検査用プレートを介して導通することとなるので、報知手段が第1接続手段と第2接続手段との間が導通したことを報知する。これによって、検査者は、カバーヘッドと検査用プレートとの接触を確実に認識することができる。このため、カバーヘッドとプラテンとのギャップの調整の必要性を適切に判断して、必要に応じてギャップの調整を適切に行うことができる。
【0007】
また、上記目的達成のため、本発明の一実施形態に係る検査方法は、記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置における、記録ヘッドとプラテンとのギャップを検査する検査方法であって、記録装置の記録ヘッドは、プラテン側に導体部材で形成されたカバーヘッドを有しており、プラテン上に、記録ヘッドのカバーヘッドとプラテンとの間の必要なギャップと同じ厚さに形成された導体部材である検査用プレートを載置するステップと、カバーヘッドと検査用プレートとが導通したことを検知して報知する報知ステップとを有する。
かかる方法によると、カバーヘッドと検査用プレートとが導通したことを報知するので、検査者は、カバーヘッドと検査用プレートとの接触を確実に認識することができる。このため、カバーヘッドとプラテンとのギャップの調整の必要性を適切に判断して、必要に応じてギャップの調整を適切に行うことができる。
【0008】
上記方法において、記録装置の記録ヘッドは、所定の方向に移動可能なキャリッジに搭載されており、報知ステップは、キャリッジを所定の方向へ移動させた際において、カバーヘッドと検査用プレートとが導通したことを検知して報知するようにしてもよい。かかる方法によると、キャリッジを移動させた際においても、検査者は、カバーヘッドと検査用プレートとの接触を確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
まず、本発明の一実施形態に係る検査システムに備えられた記録装置の一例であるインクジェット式プリンタについて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るプリンタの外観構成の全体を示す斜視図、図2は、その内部構造を示す斜視図、図3は、その内部構造を示す概略側面図である。インクジェット式プリンタ100は、例えば名刺、カード、L判/2L判、ハガキ、六切、JIS規格のA6判からA4判までのサイズの単票紙、CD−R(Compact Disc-Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disk-Recordable)等の光ディスクのレーベル面等に記録することができる機能を備えている。
【0011】
インクジェット式プリンタ100は、図1に示すように、全体が略直方体状のハウジング101で覆われている。そして、ハウジング101の上面における前面側には操作部110が配設され、前面における図示右側にはメモリカードスロット部120が配設され、上面における背面側には給紙部130が配設され、前面側には排紙部140が配設されている。更に、このインクジェット式プリンタ100の内部には、図2及び図3に示すように、用紙搬送部150、記録部160、ディスク搬送部200プラテン163が配設されている。
【0012】
操作部110は、図1に示すように、略矩形状の操作パネル111を備え、この操作パネル111の略中央部に操作状態等を表示する液晶パネル112が配設され、この液晶パネル112の両側にパワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等のボタン113が配設されている。ユーザは、液晶パネル112を見て確認しながらボタン113を操作することができるので、誤操作を防止することができる。
メモリカードスロット部120は、図1に示すように、図示矢印a方向に開閉自在なカバー121で覆われている。このメモリカードスロット部120は、例えば3つのスロットが形成された図示しないスロット部を備え、3種類のメモリカード(装着物)に対応可能に構成されている。ユーザは、インクジェット式プリンタ100をパーソナルコンピュータに接続しなくても、インクジェット式プリンタ100単独の状態でスロット部のスロットにメモリカードを差し込むのみで、メモリカードに格納されている画像等を記録することができる。
【0013】
給紙部130は、図1に示すように、上方に向かって矩形状に開口した給紙口131を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートする機能を併せ持ったペーパーサポート132を備えている。このペーパーサポート132は、後端の回転軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、ペーパーサポート132の図示左側のハウジング101に設けられた穴133に指を差し込んでペーパーサポート132の図示左側を持ってペーパーサポート132を開閉することができるので、インクジェット式プリンタ100を使用するときは、ペーパーサポート132を開けて用紙の差し入れを容易に行うようにすることができ、インクジェット式プリンタ100を使用しないときは、ペーパーサポート132を閉じて給紙口131内への埃の侵入を防止することができる。
【0014】
ペーパーサポート132は、図2に示すように、用紙の裏面をサポートする第1サポート31及び第2サポート32と、用紙の両サイドエッジをガイドする固定エッジガイド33と可動エッジガイド34等を備えている。第1サポート31は、平板状に形成されて後端の回転軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。第2サポート32は、平板状に形成されて第1サポート31に格納・引出自在に配設されている。これにより、使用時は種々のサイズの用紙を確実にサポートすることができ、また不使用時は第2サポート32を第1サポート31に格納し、第1サポート31を給紙口131に被せているので、コンパクトに格納しておくことができる。
【0015】
また、固定エッジガイド33は、図示右側壁に沿う形状でホッパ51と一体形成され、可動エッジガイド34は、図示左側壁に沿う形状に形成され、左側壁と右側壁の間を後壁と略平行に移動可能なように取り付けられている。固定エッジガイド33と可動エッジガイド34は、用紙のサイズが異なっても確実に用紙の両側縁をガイドすることができるので、給送を高精度に行うことができる。
【0016】
排紙部140は、図1に示すように、前方に向かって矩形状に開口した排紙口141を開閉する機能と、排紙される用紙を1枚もしくは複数枚スタックする機能を併せ持ったスタッカ142を備えている。このスタッカ142は、下端の回転軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、スタッカ142の上部に設けられた取っ手143に指を掛けてスタッカ142を開閉することができるので、インクジェット式プリンタ100を使用するときには、スタッカ142を開けることにより、セッティングを容易に行うことができ、インクジェット式プリンタ100を使用しないときには、スタッカ142を閉じることにより、排紙口141内への埃の侵入を防止することができる。更に、記録後の用紙は常に前面側から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。
【0017】
スタッカ142は、図2に示すように、第1スタッカ41及び第2スタッカ42を備えている。第1スタッカ41は、平板状に形成されて後端の回転軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。第2スタッカ42は、平板状に形成されて第1スタッカ41に格納・引出自在に配設されている。これにより、使用時は種々のサイズの排紙される用紙を確実に積層載置することができ、また不使用時は第2スタッカ42を第1スタッカ41に格納し、第1スタッカ41を排紙口141に被せているので、コンパクトに格納しておくことができる。
【0018】
用紙搬送部150は、図3に示すように、給紙部130から排紙部140に掛けて配設されており、自動給紙機構151、搬送機構152、排紙機構153を備えている。自動給紙機構151は、ペーパーサポート132にサポートされている用紙を給送するために持ち上げるホッパ51、このホッパ51により持ち上げられた用紙を取り出す給紙ローラ52、この給紙ローラ52により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラ53、このリタードローラ53により分離された残りの用紙をホッパ51へ戻す紙戻しレバー54等を備えている。
【0019】
ホッパ51は、用紙が載置可能な平板状に形成されて後壁と略平行に配設されており、下端が給紙ローラ52の近傍に位置し、上端が後壁頂部に近接して位置するように配設されている。そして、ホッパ51は、後壁に一端が取り付けられた図示しない圧縮バネの他端が下端側の裏面に取り付けられており、この圧縮バネの伸縮により上端側を中心に下端側が旋回するように配設されている。
給紙ローラ52は、断面の一部が切り欠かれたD字状に形成されてホッパ51の下端近傍に配設されており、間欠的に回転してホッパ51により持ち上げられた用紙を摩擦給送するようになっている。リタードローラ53は、給紙ローラ52と当接可能に配設されており、給紙ローラ52により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。紙戻しレバー54は、爪状に形成されて給紙ローラ52の近傍に配設されており、リタードローラ53により分離された下層の用紙を爪に掛けてホッパ51へ戻すようになっている。
【0020】
搬送機構152は、記録動作に同期して副走査方向に用紙を送る紙送りローラ55とその従動ローラ56等が配設されている。紙送りローラ55は、プラテン163の搬送上流側に配設されており、給紙ローラ52により給送される用紙を従動ローラ56と共に挟持してプラテン163へ送り出すようになっている。
排紙機構153は、排紙ローラ57と第1ギザローラ58a及び第2ギザローラ58b等を備えている。第1ギザローラ58aは、プラテン163の搬送下流側に配設され、第2ギザローラ58bと排紙ローラ57は、第1ギザローラ58aの搬送下流側に対向配設されており、プラテン163を通過してくる用紙を先ず第1ギザローラ58aで排送し、続いて第2ギザローラ58bと排紙ローラ57で挟持してスタッカ142上へ排紙するようになっている。尚、第1ギザローラ58a及び第2ギザローラ58bは、図示しない同一の保持部材により保持されている。
【0021】
記録部160には、記録動作に同期して主走査方向に移動するキャリッジ161、記録動作に同期して記録用の液体の一例であるインクを吐出する記録ヘッド162、記録時の用紙を平坦に保持するプラテン163等が配設されている。キャリッジ161は、プラテン163の上方で、導体部材で形成されたキャリッジガイド軸164に貫装されてキャリッジベルト165に連結されており、図示しないキャリッジモータによってキャリッジベルト165が作動すると、キャリッジベルト165の動きに連行され、キャリッジガイド軸164に案内されて往復移動するようになっている。このキャリッジ161には、複数のインクカートリッジが抜き差し可能なカートリッジ収納部61が形成されている。
【0022】
記録ヘッド162は、キャリッジ161に搭載されており、例えばブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、イエロー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタの5色のインクをそれぞれ吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド162は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口がノズルプレートに設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口から用紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。
【0023】
キャリッジガイド軸164の左右の端部は、それぞれガイド軸調整部166を調整することによって、プラテン163に対する垂直方向の間隔を調整できるようになっている。したがって、このガイド軸調整部166を調整することにより、キャリッジ161に搭載されている記録ヘッド162と、プラテン163との間隔(ギャップ)を調整することができるようになっている。なお、本実施形態に係るインクジェット式プリンタ100は、出荷前において、後述するギャップ調整処理が実行されるので、出荷時には、適切な間隔へと調整されることとなる。
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る検査システムについて図を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る検査システムの構成図である。なお、図4においては、インクジェット式プリンタ100については、一部分を取り出して示している。
検査システム10は、インクジェット式プリンタ100と、検査装置201とを有している。インクジェット式プリンタ100において、プラテン163には、主走査方向の断面が略台形状であって、用紙搬送方向(図面手前側)に延びるレール状の複数のリブ64が形成されている。リブ64は、プラテン163上に搬送される用紙を下部から支持するようになっている。
また、キャリッジ161には、記録ヘッド162が搭載されており、当該記録ヘッド162のプラテン163側には、記録ヘッド162のノズルプレートを保護するようにカバーヘッド162aが設けられている。カバーヘッド162aは、ノズルプレートのノズルからプラテン側へのインク吐出される領域について、開口部が形成されている。
カバーヘッド162aは、例えば、導体である金属によって形成されており、キャリッジガイド軸164との間で電気的に接続されている。すなわち、カバーヘッド162aとキャリッジガイド軸164との間で電気を流すことができるようになっている。
キャリッジガイド軸164は、左右の端部においてガイド軸調整部166と接続されており、それぞれの端部において、プラテン163に対して垂直な方向dの高さを調整できるようになっている。
【0025】
検査装置201は、第1接続手段の一例としての接続用電極202及び電線203と、報知手段の一例としての報知部204と、電源205と、第2接続手段の一例としての電線206とを有する。
接続用電極202は、導電性の電線203と接続されている。また、接続用電極202は、例えば、クリップ状に形成され、所定の部材に接続できるようになっており、当該接続された部材と電線203との間に電流を流すことできるようになっている。本実施形態では、接続用電極202は、インクジェット式プリンタ100のカバーヘッド162aとの間で電流を通すことができる部位、例えば、キャリッジガイド軸164に接続される。
報知部204は、電線203につながった側と、電線206につながった側とが導通したことを検出した場合に、導通したことを検査者が認識可能な態様で報知する。本実施形態では、報知部204は、例えば、2つの端子を有し、2つの端子間に電流が流れた場合に、光を発生する電球であり、一方の端子が電線203と接続され、他方の端子が電源205と接続されている。
【0026】
電源205は、所定の電圧を印加する装置である。本実施形態では、電源205は、2つの電極を有し、一方の電極は電線206に接続され、他方の電極は報知部204と接続され、この電極間に電圧を印加する。
電線206は、検査用プレートPLに接続されており、検査用プレートPLとの間で電流が流れるようになっている。なお、電線206は、検査用プレートPLと着脱自在となっていてもよい。
検査用プレートPLは、直方体に形成された導体(例えば、金属)である。検査用プレートPLは、厚さgが、記録ヘッド162のノズルプレートと、プラテン163のリブ64とが最適な間隔となる際における、カバーヘッド162aとリブ64との間隔と同じ長さとなるように形成されている。
【0027】
このような構成において、検査用プレートPLと、カバーヘッド162aとが接触すると、電線206、検査用プレートPL、カバーヘッド162a、キャリッジガイド軸164、接続用電極202、電線203を介して、電源205からの電流が報知部204に流れる。これによって報知部204が導通したことを検査者が認識可能な態様(例えば、光を発生して)により報知する。
これによって、検査者は、検査用プレートPLとカバーヘッド162aとが接触したことを確実に把握することができる。
【0028】
次に、本発明の一実施形態に係る検査システム10によるギャップ検査処理を含むギャップ調整処理について図を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る検査システムによるギャップ調整処理のフローチャートである。
まず、ギャップ調整処理においては、調整対象となるインクジェット式プリンタ100のキャリッジガイド軸164と検査装置201の接続用電極202とを接続し(ステップS1)、ギャップを検査すべきプラテン163の位置に検査用プレートPLを載置する(ステップS2)。なお、検査用プレートPLには、電線206が接続されているものとする。
【0029】
この後に、記録ヘッド162のノズルプレートとプラテン163とのギャップが適正であるか否かのギャップ検査処理(ステップS3〜S5)を実行する。
すなわち、キャリッジ161をキャリッジガイド軸164に沿って移動させ(ステップS3)、キャリッジ161を移動させた際における報知部204による報知がされるか否か、検査用プレートPLが移動したか否か等を観察し、記録ヘッド162のノズルプレートとプラテン163のリブ64とのギャップが適切であるか否かを検査者が判定する(ステップS4)。
【0030】
ここで、報知部204により報知がされない場合には、ノズルプレートとプラテン163とのギャップが広いと判定できる。一方、報知部204により報知がされた場合にあっては、検査用プレートPLとカバーヘッド162aとが接触したことを意味するが、この場合には、ノズルプレートとプラテン163とのギャップが適度である場合だけでなく、ギャップが狭い場合も含まれる。この場合には、検査用プレートPLが移動したか否かを観察することによって、検査用プレートPLが動いた場合には、ギャップが狭いと判断でき、動かない場合には、ギャップが適切であると判断できる。ここで、動かない場合においても、さらに接触音を参考にギャップがより適切か否かを判断することもできる。
上記判定においては、接触音が全く聞き取れない場合であっても、報知部204により報知がされた場合には、確実に検査用プレートPLとカバーヘッド162aとが接触したことを意味するので、適切なギャップであると適切に判断できる。
【0031】
次いで、判定の結果、ギャップが適正であると判定した場合(ステップS5のYES)には、次のステップS7に進む一方、ギャップが適正でないと判定した場合(ステップS5のNO)には、判定結果に応じてキャリッジガイド軸164の高さをガイド軸調整部166により調整を行う(ステップS6)。すなわち、ギャップが狭い場合には、ガイド軸調整部166により、キャリッジガイド軸164をギャップが広がる方向(上方)に移動させる調整を行う一方、ギャップが広い場合には、ガイド軸調整部166により、キャリッジガイド軸164をギャップが狭まる方向(下方)に移動させる調整を行う。
このように調整した後、再びステップS3からギャップ検査処理を実行し、調整後のギャップが適正であるか否かの検査を行う。
そして、ギャップが適正であると判定した場合には(ステップS5のYES)、プラテン163の他の位置においてギャップを検査する必要があるか否かを判断し(ステップS7)、必要がある場合には、検査用プレートPLをその位置に載置させて(ステップS2)、ギャップ検査処理を実行する一方、他の位置において検査する必要がない場合には、ギャップ調整処理を終了する。
【0032】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
例えば、上記実施形態では、報知部204は、光を発生することによって報知するようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、音を発生することにより報知するようにしてもよい。この場合には、検査者が認識しやすい音量であってもよく、また、検査者が認識しやすい音であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、報知部204は、検査用プレートPL、カバーヘッド162aを介して流れた電流を直接利用して報知動作を行う構成となっていたが、本発明はこれに限られず、検査用プレートPL、カバーヘッド162aを介して流れた電流を検知し、これ以外の電流を利用して動作するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、接続用電極202をキャリッジガイド軸164と接続するようにしていたが、本発明はこれに限られず、カバーヘッド162aとの間で電流を流すことができれば、キャリッジガイド軸164以外の部分と接続するようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、インクを吐出する記録装置を一例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いる色材を吐出する記録装置、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)を吐出する記録装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する記録装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの外観構成の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリンタの内部構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る検査システムの構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る検査システムによるギャップ調整処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 検査システム、100 インクジェット式プリンタ、110 操作部、120 メモリカードスロット部、130 給紙部、140 排紙部、150 用紙搬送部、160 記録部、162 記録ヘッド、162a カバーヘッド、163 プラテン、201 検査装置、202 接続用電極、203 電線、204 報知部、205 電源、206 電線、PL 検査用プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置における、前記記録ヘッドと前記プラテンとのギャップを検査する検査装置であって、
前記記録装置の前記記録ヘッドは、前記プラテン側に導体部材で形成されたカバーヘッドを有しており、
前記カバーヘッドと電気的に接続される第1接続手段と、
前記記録ヘッドの前記カバーヘッドと前記プラテンとの間に必要なギャップと同じ厚さに形成された導体部材であって、前記ギャップの検査時に前記プラテン上に載置される検査用プレートと電気的に接続される第2接続手段と、
前記第1接続手段と前記第2接続手段との間が、前記カバーヘッド及び前記検査用プレートを介して導通したことを検知して報知する報知手段とを有する検査装置。
【請求項2】
前記報知手段は、導通したことを検出した際に、光を発生させる光発生手段、または、音を発生させる音発生手段であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置と、前記記録ヘッドと前記プラテンとのギャップを検査する検査装置とを有する検査システムであって、
前記記録装置の前記記録ヘッドは、前記プラテン側に導体部材で形成されたカバーヘッドを有しており、
前記検査装置は、
前記カバーヘッドと電気的に接続される第1接続手段と、
前記記録ヘッドとプラテンとの間の必要なギャップと同じ厚さに導体部材で形成され、前記プラテン上に載置されるギャップ検査用プレートと電気的に接続される第2接続手段と、
前記第1接続手段と前記第2接続手段との間が前記カバーヘッド及び前記検査用プレートを介して導通したことを検知して検査者が認識可能に報知する報知手段とを有する検査システム。
【請求項4】
記録用の液体を吐出する記録ヘッドと、記録時に記録媒体を支持するプラテンとを備えた記録装置における、前記記録ヘッドと前記プラテンとのギャップを検査する検査方法であって、
前記記録装置の前記記録ヘッドは、前記プラテン側に導電性部材で形成されたカバーヘッドを有しており、
前記プラテン上に、前記記録ヘッドの前記カバーヘッドと前記プラテンとの間の必要なギャップと同じ厚さに形成された導体部材である検査用プレートを載置するステップと、
前記カバーヘッドと前記検査用プレートとが導通したことを検知して報知する報知ステップと
を有する検査方法。
【請求項5】
前記記録ヘッドは、所定の方向に移動可能なキャリッジに搭載されており、
前記報知ステップは、前記キャリッジを前記所定の方向へ移動させた際において、前記カバーヘッドと前記検査用プレートとが導通したことを検知して報知することを特徴とする請求項4に記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−216625(P2007−216625A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42463(P2006−42463)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】