説明

検査装置用搬送装置

【課題】検査ステーションを通過する被検査物の搬送量が増大する場合であっても検査装置の異物の検出率を向上させることができること。
【解決手段】粉状物からなる被検査物に対する検査を行う検査ステーションに該被検査物を供給する被検査物供給ラインに配され、該被検査物の搬送方向に対して略直交する方向に延びる複数の凹部および該凹部を含み該被検査物に混入した異物を搬送動作に伴い該被」検査物の表層部に露出させる凹凸部を、該被検査物が載置される搬送面部における搬送量調整部材が設けられる位置よりも下流側に有するフィーダートラフと、駆動部を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物としての粉状物を搬送する検査装置用搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顆粒または粉末等の粉状物とされる薬剤を生産する生産設備において、生産される薬剤において混入された異物の有無を検出する検査装置が実用に供されている。そのような検査装置は、例えば、特許文献1にも示されるように、薬剤を連続して搬送する搬送経路における検査ステーションに設けられている。
【0003】
そのような搬送経路には、製造工程で被検査物としての薬剤に混入した異物を確実に検出するために薬剤を比較的薄くかつ均一な所定の厚さで最大限に広く分布させた状態で搬送する搬送装置が備えられている。その搬送装置は、例えば、薬剤が配される載置面を搬送経路に沿って有する搬送ベルトと、搬送ベルトが巻き掛けられる一対の搬送ローラユニットと、搬送ローラユニットを駆動させる駆動用モータとを主な要素として構成されている。また、特許文献1にも示されるように、そのような搬送装置よりもさらに上流側には、薬剤供給部(粉体供給部)からの薬剤を搬送しその搬送ベルトの載置面における上流側端部近傍に落下させる搬送装置が設けられている。その薬剤供給部は、薬剤を所定量、貯留するとともに順次下流側に所定量ずつ供給するホッパと、ホッパから送出され搬送される薬剤を所定の均一な厚さの薄い層に形成するスクイーズローラとを含んで構成されている。
【0004】
このような構成においては、所定の厚さをもって搬送される薬剤の薄い層が順次、上述の搬送ベルトの載置面における上流側端部近傍に落下せしめられることにより、薬剤に混入された異物が、検査装置により容易に検出できるように薬剤の薄い層の表層部に浮き上がり露出することとなる。従って、検査装置における混入した異物の検出率が向上することとなる。
【0005】
【特許文献1】特許第3595928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように薄い層に形成されて搬送される薬剤の搬送量が比較的大量となる場合、搬送される薬剤の層の厚さが増大するにつれて異物が薬剤の内部に潜り込み、特に、潜り込みの度合いが大きいとされる毛髪等の比較的比重の大きい異物の検出率が低下する虞がある。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、被検査物としての粉状物を搬送する検査装置用搬送装置であって、検査ステーションを通過する被検査物の搬送量が増大する場合であっても検査装置の異物の検出率を向上させることができる検査装置用搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る検査装置用搬送装置は、粉状物からなる被検査物に対する検査を行なう検査ステーションに被検査物を供給する被検査物供給ラインに配され、被検査物の搬送方向に対して略直交する方向に延びる複数の凹部および凹部相互間に凸部を含み被検査物に混入した異物を搬送動作に伴い被検査物の表層部に露出させる凹凸部を、被検査物が載置される搬送面部における搬送量調整部材が設けられる位置よりも下流側に有するフィーダートラフと、フィーダートラフに、被検査物を検査ステーションに供給すべく、搬送動作を行わせる駆動部と、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る検査装置用搬送装置によれば、フィーダートラフが、被検査物の搬送方向に対して略直交する方向に延びる複数の凹部および凹部相互間に凸部を含み被検査物に混入した異物を搬送動作に伴い被検査物の表層部に露出させる凹凸部を、被検査物が載置される搬送面部における搬送量調整部材が設けられる位置よりも下流側に有するので検査ステーションを通過する被検査物の搬送量が増大する場合であっても検査装置の異物の検出率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図3は、本発明に係る検査装置用搬送装置の一例が備えられる被検査物供給ラインの構成を、それに連結される検査ラインおよび被検査物回収ラインとともに概略的に示す。
【0011】
図3において、後述する検査ライン10に対し上流側となる位置に配される被検査物供給ライン40から所定量、順次、検査ライン10に供給される被検査物の例としては、例えば、直径約20μm乃至約1mmの範囲の微粒子からなる粉状物である薬剤とされる。また、各被検査物の粘性は、そのでんぷん、糖分、各薬効成分の含有量により種々異なっている。
【0012】
その被検査物は、被検査物供給ライン40から1時間あたりの所定の搬送量、例えば、約20(kg/Hr)から約100(kg/Hr)程度までの範囲で検査ライン10に供給され、同期して後述する下流側の検査ライン10を通過するものとされる。
【0013】
検査ライン10に対し下流側となる位置に配される被検査物回収ライン8には、後述の検査ライン10の検査/異物除去ステーション5により検査され、異物等が除去された被検査物ME'が検査ライン10から順次同期して供給される。そして、被検査物回収ライン8は、供給された被検査物ME'を例えば、包装ラインに向けて搬送する。
【0014】
被検査物供給ライン40は、図3および図4に示されるように、被検査物としての例えば、粉状の薬剤Poを内部に貯留するとともに、所定量ごとに順次、送出する送出部を最下端に有するホッパ42と、ホッパ42の送出部から順次供給される薬剤Poを受けるとともに、それを所定量ずつ順次、後述する搬送ベルト12の載置面12aに供給するフィーダートラフ44と、フィーダートラフ44を複数の弾性部材を介して所定の傾斜角度をもって支持するとともに、所定の搬送方向にフィーダートラフ44全体を振動させる振動駆動部48とを備えている。
【0015】
振動駆動部48は、例えば、フィーダートラフ44の外周部の底面と基台とを連結する複数の板ばねと、フィーダートラフ44とその基台との間に配され、選択的に交流電流が印加されることにより、板ばねを介してフィーダートラフ44をその基台に向けて近づけ、または、解放するソレノイド部材とを含んで構成されている。
【0016】
この構成により、振動駆動部48は、所定の周波数の振動を発生し、それを図示が省略される弾性部材としての複数の板ばねを介してフィーダートラフ44に伝達するものとされる。これにより、フィーダートラフ44全体が薬剤Poの搬送方向、即ち、図3に示される矢印の示す方向であって、その先端部が若干斜め上方向に微小振動されることとなる。なお、振動駆動部48が発生する振動の振幅量の制御は、図示が省略される制御部により、制御される。
【0017】
フィーダートラフ44は、図1および図2に示されるように、ホッパ42の送出部の真下となる位置に配され薬剤Poを受け搬送させる平坦な搬送面44Uと、搬送面44Uの下流側の端部に連なる平坦な搬送面44Dとを有している。搬送面44Uにおける三辺および搬送面44Dにおける相対向する二辺は、一対の相対向する側壁44Rおよび44Lと、側壁44Rの一端と側壁44Lの一端とを連結する後壁44Bとにより囲まれている。
【0018】
搬送面44Uの端部と搬送面44Dの端部との境界部分には、図5に拡大されて示されるように、搬送面44Uから所定の高さで搬送面44Dまで立ち上がった堰のような段差部44Eが、図1に示される矢印Wの示す幅方向に沿って形成されている。段差部44Eの高さDPは、例えば、約2mm程度に設定されている。図2に示されるように、下流側の端部から段差部44Eまでの距離Lは、例えば、約100mmに設定されている。搬送面44Uから送られた薬剤Poを搬送経路の下流側に向けて搬送する搬送面44Dの下流側の端部の所定の領域には、凹凸部が形成されている。
【0019】
その凹凸部は、複数の円弧状の凹部44d1、44d2、および、44d3と、各凹部相互間を仕切る仕切壁44tとから構成されている。
【0020】
互いに同一形状および同一寸法とされる凹部44d1、44d2、および、44d3は、所定の間隔をもって互いに平行に形成されている。図2に示されるように、下流側の端部から凹部44d1、44d2、44d3の中心位置までの距離A、B,Cは、それぞれ、例えば、約15mm、約25mm、約35mmに設定されている。凹部44d1は、薬剤Poの搬送方向に略直交する図1に示される矢印Wの示す幅方向に沿って側壁44Rの内面から側壁44Lの内面まで延びている。凹部44d1〜44d3の底面を形成する円弧面の深さは、約1mmに設定され、また、その曲率半径Rは、例えば、10.5mmに設定されている。
【0021】
上述の隣接する円弧面の端を互いに連結させる仕切壁44tの頂部における薬剤の搬送方向の長さは、約1mmに設定されている。
【0022】
なお、上述の凹凸部は、搬送面44Dの下流側の端部近傍だけに3個形成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、搬送面44Dの下流側の端部から上述の段差部44Eまでさらに多くの凹凸部が形成されてもよい。また、凹部の断面形状は、上述の例では円弧状とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、薬剤Poが滞留することなく搬送され得る略三角形、楕円形状等の他の断面形状であってもよい。
【0023】
フィーダートラフ44の底部における搬送面44Dに対応する裏面側には、搬送面44Dに対し所定の角度をなす斜面部44Sが形成されている。斜面部44Sは、搬送ベルト12に対して略平行に配されている。
【0024】
これにより、フィーダートラフ44の断面形状は、図5に示されるように、その下流側の端部に向かうにつれて先細となる形状となっている。従って、フィーダートラフ44におけるその下流側の端部の剛性は、上流側部分の剛性に比して小となっているのでフィーダートラフ44が作動状態のとき、フィーダートラフ44におけるその下流側の端部の振動数は、上流側の振動数に比べて大となる。
【0025】
フィーダートラフ44における側壁44Rおよび44Lの下流側部分近傍には、それぞれ、スキージ支持部材50の両端が固定されている。これにより、スキージ支持部材50がフィーダートラフ44における側壁44Rおよび44Lに跨るように配置されることとなる。
【0026】
スキージ支持部材50には、フィーダートラフ44が作動状態とされる場合、薬剤Poの薄い層Po’を搬送面44D上に形成するスキージ52の先端と搬送面44Dとの隙間を調整する隙間調整機構部60が設けられている。隙間調整機構部60は、そのねじ軸60CLの軸線がスキージ支持部材50の支持面に略直交するように設けられている。隙間調整機構部60は、例えば、スキージ52に連結される既知のマイクロメーターを備えている。マイクロメーターにおけるスキージ52の先端と搬送面44Dとの隙間調整値は、薬剤の処理量に応じて例えば、約1mm以上5mm以下の範囲に設定される。そのマイクロメーターのねじ軸60CLの先端には、搬送量調整部材としてのスキージ52が連結されている。スキージ52の先端の位置は、凹部44d3の位置よりもさらに上流側であって段差部44Eよりも下流側の位置である。
【0027】
これにより、スキージ52の先端は、隙間調整機構部60のねじ軸60CLの移動量に応じて搬送面44Dに対して略垂直方向に近接または離隔することとなる。スキージ52は、図1において矢印Wの示す搬送面44Dの幅方向に沿って所定の長さ延びている。スキージ52の先端は、例えば、図5において、右斜め上方に傾斜する斜面部を有している。従って、薬剤Poが搬送面44Dにおいて搬送される場合、スキージ52の先端よりも下流側部分および凹凸部には、隙間調整値に対応した均一な厚さの薄い層Po’が広がって形成されることとなる。
【0028】
そして、図5に示されるように、被検査物供給ライン40におけるフィーダートラフ44の終端から順次落下した薬剤Poは、検査ライン10において、所定の速度で同期して移動している搬送ベルト12の載置面12aに順次落下することとなる。従って、被検査物の所定の厚さの均一な層が搬送ベルト12の載置面12a上に形成されることとなる。その際、載置面12aの幅方向の両端には、それぞれ、被検査物が載置されない部分が所定の幅で搬送方向に沿って形成されている。
【0029】
検査ライン10には、被検査物供給ライン40の終端から順次落下した薬剤Poを下流側に向けて搬送する搬送装置が備えられている。
【0030】
その搬送装置は、被検査物供給ライン40側に配される搬送用駆動ローラ18および被検査物回収ライン8側に配されるテンションローラ20と、搬送用駆動ローラ18とテンションローラ20との間に巻掛けられる搬送ベルト12と、搬送用駆動ローラに連結され駆動力を出力する駆動用モータと、後述する被検査物ブロックユニット14と、クリーニングユニット16とを主な要素として構成されている。
【0031】
搬送用駆動ローラ18は、図3において薬剤Poの搬送方向、即ち、矢印の示す方向に対し直交する方向(紙面に対し垂直方向)に延在している。搬送用駆動ローラ18の両端部は、回動可能に図示が省略される筐体に支持されている。
【0032】
搬送用駆動ローラ18には、図示が省略されるが、無端とされる搬送ベルト12を片寄ることなく、所定位置に規制する片寄り防止機構が設けられている。
【0033】
検査ライン10の略中間位置には、搬送ベルト12の進行方向側の内周面を支持する一対の従動ローラ26が検査ステーション4に対応して所定の相互間隔で配されている。また、一対の従動ローラ26が配されている部分の下方には、一対の従動ローラ26にそれぞれ相対向して搬送ベルト12の戻り方向側の内周面を支持する一対の従動ローラ24が配されている。一対の従動ローラ26および一対の従動ローラ24における紙面に垂直方向の両端部は、それぞれ、回動可能に図示が省略される筐体に支持されている。搬送ベルト12は、例えば、白色透明のウレタンゴムにより成形されている。
【0034】
検査ステーション4は、搬送ベルト12の載置面12a上の所定範囲の薬剤Poを撮影しその撮像データを送出するラインセンサー型CCDカメラ30と、薬剤Poの撮影のための照明用光源としてのハロゲンランプ32、34、および36と、搬送ベルト12に帯磁した静電気を除去する除電器38とを主な要素として含んで構成されている。
【0035】
ラインセンサー型CCDカメラ30は、搬送ベルト12の進行方向側の上方に、例えば、4台、配されている。各ラインセンサー型CCDカメラ30は、その真下を通過する薬剤Poにおける所定範囲ごとに得られた撮像データを所定のタイミングで図示が省略される制御部に供給する。その制御部は、各ラインセンサー型CCDカメラ30からの撮像データに基づいて薬剤Poに含まれる異物の有無および異物の位置について判定を行う。そして、制御部は、その判定結果に基づいて後述する異物吸引除去ユニット6についての動作制御を行う。なお、その制御部の制御についての詳細は、本出願人が既に出願した特許第3595928号公報に記載されている内容と同様とされる。
【0036】
検査ライン10における検査ステーション4よりも下流側部分には、搬送ベルト12の進行方向側の内周面を支持する3個の従動ローラ22が薬剤Poの搬送方向に沿って所定の相互間隔で配されている。
【0037】
また、検査ステーション4により検出された異物を順次、吸引除去する異物吸引除去ユニット6が所定の間隔で3箇所に搬送ベルト12を挟んで3個の従動ローラ22に対向して設けられている。従って、検査ステーション4および異物吸引除去ユニット6により、検査/異物除去ステーション5が形成されることとなる。
【0038】
各異物吸引除去ユニット6は、搬送ベルト12の幅方向に沿って所定の長さをもって形成される細長いスリットを複数個円周上に有し、回動可能に支持される円筒状の吸引パイプと、吸引パイプに対し相対回転可能に吸引パイプの内側に支持され、吸引パイプのスリットに対応した細長い孔を有するバルブパイプと、バルブパイプを通じて異物を吸引する吸引ポンプとを含んで構成されている。
【0039】
なお、各異物吸引除去ユニット6の構成および動作の詳細は、本出願人が既に出願した特開2000−84496号公報に記載されている内容と同様とされる。
【0040】
また、各吸引パイプの両端部には、搬送ベルト12の幅方向の両端部近傍にそれぞれ対応して被検査物ブロックユニット14を構成する一対の空気噴出部ユニット支持体が設けられている。
【0041】
クリーニングユニット16は、搬送ベルト12における下流側の終端部近傍に対向して配されている。クリーニングユニット16は、空気の噴流をテンションローラ20に巻き掛けられた搬送ベルト12の載置面の端部近傍に吹き付ける空気噴出部ユニットと、空気噴出部ユニットの両端部をそれぞれ回動可能に支持するブラケット部材とを主な要素として含んで構成されている。
【0042】
これにより、載置面12aに付着した検査済みの被検査物ME'は、空気噴出部ユニットのスリットからの噴流により、搬送ベルト12の載置面12aの終端から確実にかつ強制的に吹き飛ばされ被検査物回収ライン8に向けて落下することとなる。
【0043】
なお、被検査物ブロックユニット14およびクリーニングユニット16から噴出されるガスは、空気に限られることなく、被検査物に適切な他のガスであってもよいことは勿論である。
【0044】
斯かる構成において、振動駆動部48が作動状態とされることにより、フィーダートラフ44が搬送状態とされる場合、ホッパ42から順次送出された薬剤Poの下流側部分は、図5に示されるように、薬剤Poの処理量に応じた所定の隙間を形成するように調整されたスキージ52における上流側の端面により、受け止められ、また、薬剤Poの下流側部分の一部分は、スキージ52の先端と搬送面44Dとの隙間CLを通じてさらに下流側に向かって搬送される。これにより、所定の厚さを有する薬剤Poの薄い層Po’が凹凸部全体にわたって広がり形成される。また、凹部44d1〜44d3および仕切壁44tに配された薬剤Poは、搬送面44Dに対して所定の角度をなす図5において示される矢印Cの示すフィーダートラフ44の振動方向に向かって搬送されることとなる。
【0045】
その際、薬剤Poに混入した異物、例えば、毛髪等の端が振動によって、フィーダートラフ44の下流側の最先端部、および、3箇所にそれぞれ形成される仕切壁44tの端部近傍(凹部44d1〜44d3を形成する各円弧部の上流側の一端)に衝突されることにより、毛髪等を薬剤Poの内部から層Po’の表層部に向かって跳ね上がらせる力が毛髪等に作用することとなる。即ち、そのような力が薬剤Po内に沈んでいる異物をより表層部に向かって浮かすように作用することとなる。
【0046】
従って、毛髪等が薬剤Poの薄い層Po’の表層部に露出することとなる。そして、毛髪等が薬剤Poの薄い層Po’の表層部に露出した状態で、薬剤Poが搬送ベルト12の載置面12aに供給されることとなるので上述の検査ステーション4において従来に比べて高い検出率で毛髪等の異物が検出されることとなる。
【0047】
斯かる効果については、本願の発明者によって、上述のような凹凸部が設けられていないことを除き、同一形状のフィーダートラフを用いた搬送装置(比較例)で薬剤Poが供給される検査ステーション10(図3参照)の検出率と、本願発明の実施例に対応するフィーダートラフ44を用いた搬送装置で薬剤Poが供給される検査ステーション10の検出率との比較実験により検証されている。
【0048】
その実験は、異物としての3種類のサンプルをそれぞれ、30本ずつ中心粒径300〜350μmの被検査物としての粉状物内に混入させた状態で、所定の搬送量(処理量)で上述の検査ステーション10により検出を行なった。
なお、各サンプルは、例えば、長さ3mmのタングステン線(線径30μm)、長さ3mmの釣り糸(ステンレス線:線径30μm)、長さ3mmの体毛(線径30μm)である。
【0049】
その実験結果によれば、搬送量が30kg/Hrの場合、比較例の実験においては、各サンプルの検出率が、それぞれ、76.7.76.7,79.3(%)であるのに対し、一方、本願の実施例に対応する実験においては、それぞれ、90、100、100(%)であった。
【0050】
従って、その実験結果より明らかなように、本願発明におけるフィーダートラフ44の
凹凸部は、検査ステーション10の検出率を高める効果があることが確認された。
【0051】
図6は、本発明に係る検査装置用搬送装置の一例に用いられるフィーダートラフ44の他の一例を示す。
【0052】
図5に示される例においては、スキージ52が凹凸部に対して少し上流側に設けられているが、図6に示される例においては、凹凸部よりも上流側にある段差部44’Eよりもさらに上流側にスキージ52が配置される構成とされる。なお、図6においては、図5に示される例における同一の構成要素については同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0053】
フィーダートラフ44’は、図6に示されるように、ホッパ42の送出部の真下となる位置に配され薬剤Poを受け搬送させる平坦な搬送面44’Uと、搬送面44’Uの下流側の端部に連なる平坦な搬送面44’Dとを有している。搬送面44’Uにおける三辺および搬送面44’Dにおける相対向する二辺は、一対の相対向する側壁44’Rおよび44’Lと、側壁44’Rの一端と側壁44’Lの一端とを連結する後壁とにより囲まれている。
【0054】
搬送面44’Uの端部と搬送面44’Dの端部との境界部分には、図6に拡大されて示されるように、搬送面44’Uから所定の高さで搬送面44’Dまで立ち上がった堰のような段差部44’Eが、図1に示される矢印Wの示す幅方向に沿って形成されている。段差部44’Eの高さは、例えば、約2mm程度に設定されている。下流側の端部から段差部44’Eまでの距離Lは、例えば、約100mmに設定されている。搬送面44’Dの下流側の端部には、凹凸部が形成されている。
【0055】
その凹凸部は、複数の凹部44’d1、44’d2、および、44’d3と、各凹部相互間を仕切る仕切壁44’tとから構成されている。
【0056】
互いに同一形状とされる凹部44’d1、44’d2、および、44’d3は、所定の間隔をもって互いに平行に形成されている。図2に示されるように、下流側の端部から凹部44’d1、44’d2、44’d3の中心位置までの距離A、B,Cは、上述の例と同様に、それぞれ、例えば、約15mm、約25mm、約35mmに設定されている。凹部44’d1は、薬剤Poの搬送方向に略直交する図1に示される矢印Wの示す幅方向に沿って側壁44’Rの内面から側壁44’Lの内面まで延びている。凹部44’d1〜44’d3の底部を形成する円弧面の深さは、約1mmに設定され、また、その曲率半径Rは、例えば、10.5mmに設定されている。
【0057】
隣接する円弧面の端を互いに連結させる仕切壁44’tの頂部における薬剤の搬送方向の長さは、約1mmに設定されている。
【0058】
なお、上述の凹凸部は、搬送面44’Dの下流側の端部近傍だけに3個形成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、搬送面44’Dの下流側の端部から上述の段差部44’Eまでさらに多くの凹凸部が形成されてもよい。また、凹部の断面形状は、上述の例では円弧状とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、薬剤Poが滞留することなく搬送され得る略三角形、楕円形状等の他の断面形状であってもよい。
【0059】
フィーダートラフ44’の底部における搬送面44’Dに対応する裏面側には、搬送面44’Dに対し所定の角度をなす斜面部44’Sが形成されている。斜面部44’Sは、搬送ベルト12に対して略平行に配されている。
【0060】
フィーダートラフ44における段差部44’Eよりもさらに上流側となる側壁44’Rおよび44’Lの上流側部分近傍には、それぞれ、スキージ支持部材50の両端が固定されている。これにより、スキージ支持部材50がフィーダートラフ44’における側壁44’Rおよび44’Lに跨るように配置されることとなる。従って、スキージ52の先端は、段差部44’Eよりもさらに上流側となる位置に配されることとなるので薬剤Poが搬送される場合、その下流側部分には、隙間調整値に対応した均一な厚さの薄い層Po’が形成されることとなる。
【0061】
このようにスキージ支持部材50およびスキージ52が配置される場合、フィーダートラフ44が作動状態とされ、薬剤Poが搬送されるとき、搬送される薬剤Poに混入された異物が段差部44’Eより薄い層Po’の表層部に露出され、また、その下流側においては、上述したように、凹凸部において、毛髪等が薬剤Poの薄い層Po’の表層部に露出することとなる。そして、毛髪等が薬剤Poの薄い層の表層部に露出した状態で、薬剤Poが搬送ベルト12の載置面12aに落下し供給されることとなるので上述の検査ステーション4において従来に比べて高い検出率で毛髪等の異物が検出されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る検査装置用搬送装置の一例に用いられるフィーダートラフを示す平面図である。
【図2】図1に示される例におけるII−II線に沿って示される断面図である。
【図3】本発明に係る検査装置用搬送装置の一例の全体の構成を概略的に示す構成図である。
【図4】図3に示される例における被検査物供給ラインの構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示されるフィーダートラフの構成を、被検査物とともに示す部分断面図である。
【図6】本発明に係る検査装置用搬送装置の一例に用いられるフィーダートラフの他の例の構成を、被検査物とともに示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0063】
40 被検査物供給ライン
10 検査ライン
44、44’ フィーダートラフ
44d1、44d2、44d3 凹部
44E 段差部
52 スキージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状物からなる被検査物に対する検査を行なう検査ステーションに該被検査物を供給する被検査物供給ラインに配され、該被検査物の搬送方向に対して略直交する方向に延びる複数の凹部および該凹部相互間に凸部を含み該被検査物に混入した異物を搬送動作に伴い該被検査物の表層部に露出させる凹凸部を、該被検査物が載置される搬送面部における搬送量調整部材が設けられる位置よりも下流側に有するフィーダートラフと、
前記フィーダートラフに、前記被検査物を検査ステーションに供給すべく、搬送動作を行わせる駆動部と、
を具備して構成される検査装置用搬送装置。
【請求項2】
前記フィーダートラフは、段差部を前記搬送面部における凹凸部と前記搬送量調整部材との間に有することを特徴とする請求項1記載の検査装置用搬送装置。
【請求項3】
前記フィーダートラフの底部の断面形状は、下流側に向かうにつれて先細となる形状であることを特徴とする請求項1記載の検査装置用搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−314941(P2006−314941A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141225(P2005−141225)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】