説明

検査装置

【課題】簡単な構成で精度良く送液状態を検知することができる検査装置を提供することができる検査装置を提供する。
【解決手段】液体が流路を流れる方向と同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段と、撮像手段が所定の時間間隔で撮影した複数の画像情報を記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶されている画像情報に画像処理を行って液体の先頭位置を検出する画像処理手段と、を有することを特徴とする検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro Total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたミクロ化分析システムは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
【0003】
各種の分析、検査ではこれらの分析用チップ(マイクロチップ)における分析の定量性、解析の精度、経済性などが重要視される。そのためにはシンプルな構成で、高い信頼性の送液システムを確立することが課題であり、精度が高く、信頼性に優れるマイクロ流体制御素子が求められている。本出願人はこのような用途に好適なマイクロポンプの動作原理と制御方法を例えば特許文献2に開示している。
【0004】
また、本出願人は、マイクロチップの微細流路内に試薬などを封入し、マイクロポンプによって微細流路に液体を注入して試薬などを移動させ、反応部を構成する流路、次いで検出部を構成する流路へ流すことにより、反応結果を測定することができる検査装置を提案している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
このような検査装置では、複数のマイクロポンプを有するマイクロポンプユニットによって駆動液をマイクロチップに注入し、マイクロチップ内の所定の部位に液体を送り出すタイミング、液量、液量の変化率、送り方向などの送液制御を行っている。マイクロポンプの性能にはバラツキがあるので精度良く送液するためには、流路毎に精度良く送液状態を検知してマイクロポンプの制御にフィードバックする必要がある。
【0006】
送液状態を検知する方法としては、マイクロチップ内の流路の内壁面の一部に光の散乱が発生するような微細な凹凸を形成した光散乱面を設け、その光散乱面の透過光又は反射光の強度により流路を流れる液体の有無を検出する方法が記載されている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2004−28589号公報
【特許文献2】特開2001−322099号公報
【特許文献3】特開2006−149379号公報
【特許文献4】特開2004−340702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献4に開示されている方法は、一つの受光素子で受光した強度を調べることにより、マイクロチップ内の特定の部位における液体の有無を検知するものであり、このような方法では流路を流れる液体の先端位置を精度良く検出できない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で精度良く送液状態を検知することができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0010】
1.
ポンプを用いて流体をマイクロチップの流路に注入または吸引し、該流路に貯蔵された液体を移動させて、反応結果を測定する検査装置において、
前記液体が前記流路を流れる方向と同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段と、
前記撮像手段が所定の時間間隔で撮影した複数の画像情報を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶されている前記画像情報に画像処理を行って前記液体の先頭位置を検出する画像処理手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【0011】
2.
前記画像処理手段の検出した複数の前記先頭位置の情報に基づいて前記ポンプの駆動を制御するポンプ駆動制御手段を有することを特徴とする1に記載の検査装置。
【0012】
3.
前記画像処理手段の検出した複数の前記先頭位置の情報に基づいて前記液体が特定の位置に到達する時間を予測する到達時間予測手段を有することを特徴とする1または2に記載の検査装置。
【0013】
4.
前記到達時間予測手段の予測した前記時間に基づいて温度制御を開始し、前記流路の一部を一定の温度に制御する温度制御手段を有することを特徴とする3に記載の検査装置。
【0014】
5.
複数のポンプを用いてマイクロチップの複数の流路に流体をそれぞれ注入または吸引し、それぞれの流路に貯蔵された液体を移動させて、反応結果を測定する検査装置において、
前記流体が複数の前記流路を流れる方向とそれぞれ同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段と、
前記撮像手段が所定の時間間隔で撮影した画像情報を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶されている前記画像情報に画像処理を行って前記液体の先頭位置を検出する画像処理手段と、
前記画像処理手段の検出した複数の前記流路の前記先頭位置がそれぞれ所定の位置になるように対応するポンプをそれぞれ制御するポンプ駆動制御手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体が流路を流れる方向と同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段によってマイクロチップの流路を撮影した画像に画像処理を行って液体の先頭位置を検出するので、簡単な構成で精度良く送液状態を検知することができる検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態における検査システム80の外観図である。
【0018】
検査装置82はマイクロチップ1に予め注入された検体と、試薬との反応を自動的に検出し、表示部84に結果を表示する装置である。検査システム80は、検査装置82とマイクロチップ1から構成される。
【0019】
検査装置82には挿入口83があり、マイクロチップ1を挿入口83に差し込んで検査装置82の内部にセットするようになっている。なお、挿入口83はマイクロチップ1を挿入時に挿入口83に接触しないように、マイクロチップ1の厚みより十分高さがある。85はメモリカードスロット、86はプリント出力口、87は操作パネル、88は入出力端子、89は電源スイッチである。
【0020】
検査担当者は電源スイッチ89をオンにした後、図1の矢印方向にマイクロチップ1を挿入し、操作パネル87を操作して検査を開始させる。検査装置82の内部では、マイクロチップ1内の反応の検査が自動的に行われ、検査が終了すると液晶パネルなどで構成される表示部84に結果が表示される。検査結果は操作パネル87の操作により、プリント出力口86よりプリントを出力したり、メモリカードスロット85に挿入されたメモリカードに記憶することができる。また、外部入出力端子88から例えばLANケーブルを使って、パソコンなどにデータを保存することができる。
【0021】
検査担当者は、検査終了後、マイクロチップ1を挿入口83から取り出す。
【0022】
次に、本発明の第1の実施形態に係わるマイクロチップ1の一例について、図2を用いて説明する。
【0023】
図2は本発明の実施形態におけるマイクロチップ1の外観図である。マイクロチップ1の説明は、図2に示す座標軸を基準に説明する。
【0024】
図2(a)のマイクロチップ1の側面図に示すように、マイクロチップ1は溝形成基板108と、溝形成基板108を覆う被覆基板109から構成されている。本実施形態では、流路を流れる液体を光学的に検知するので、少なくとも検知する流路を覆う部分はガラスや樹脂などの透明な部材で構成する必要がある。
【0025】
図2(b)はマイクロチップ1の平面図であり、透明な被覆基板109を通して見える溝形成基板108の溝を図示している。溝形成基板108の溝を被覆基板109が覆うことにより流路を形成している。マイクロチップ1には、検査、試料の処理などを行うための、微小な溝状の流路250(微細流路)および機能部品(流路エレメント)が、用途に応じた適当な態様で配設されている。
【0026】
流路はマイクロメーターオーダーで形成されており、例えば幅は数μm〜数百μm、好ましくは10〜200μmで、深さは25〜500μm程度、好ましくは25〜250μmである。流路はマーカ71の中心を座標の原点として各部が形成されている。
【0027】
本実施形態では、特定の遺伝子の増幅およびその検出を行う処理に用いるマイクロチップ1を例に説明する。
【0028】
図2(b)の110a、110bはマイクロチップ1内部の流路に連通する注入口であり、各注入口110から駆動液を注入し内部の検体や試薬等を駆動する。本実施形態のマイクロチップ1では図2(b)に示すように注入口110aから始まる流路の構成と、注入口110bから始まる流路の構成は全く同じであり、以降aチャンネル、bチャンネルと呼び区別する。また、各構成要素にはa、bを付けて区別する。
【0029】
121a、121bは検体を収容する検体収容部である。検体収容部121a、121bは所定量の検体を収容するために他の流路より溝が深くなっている。本実施形態では予め、検体収容部121a、121bには検体が収容されているものとして説明する。
【0030】
120a、120bは第1の試薬を収容する試薬収容部、122a、122bは第2の試薬を収容する試薬収容部、123a、123bは第3の試薬を収容する試薬収容部である。
【0031】
注入口110a、110bから駆動液を注入すると、検体収容部121a、121bに収容された検体は流路250に押し出されて、それぞれ下流の試薬収容部120a、120bに注入される。検体と試薬収容部120a、120bから押し出された第1の試薬は、それぞれ流路250を通って下流の試薬収容部122a、122bに注入される。検体と第1の試薬は第2の試薬を試薬収容部122a、122bから押し出す。
【0032】
検体と第1の試薬と第2の試薬は、それぞれ流路250を通って下流の試薬収容部123a、123bに注入され第3の試薬を押し出す。試薬収容部123a、123bの下流の70a、70bは後に詳しく説明する監視領域であり、図2には図示せぬ撮像部24で撮影した画像から監視領域70a、70bの流路250aa、250baを流れる液体の先頭位置を検出する。
【0033】
試薬収容部123a、123bのさらに下流には混合部130a、混合部130bと混合部131a、混合部131bが設けられており、流路250aa、流路250baを流れてきた検体、第1の試薬、第2の試薬、第3の試薬は各混合部で混合される。
【0034】
混合部130a、混合部130bの近くの上流側にあたる流路250aa、流路250baには液溜部140a、140bが設けられている。液溜部140a、140bは、混合部130a、混合部130bより溝が浅く、他の流路250より溝が深くなっている。
【0035】
混合部130a、混合部130bと混合部131a、混合部131bで混合された検体、第1の試薬、第2の試薬、第3の試薬は検出部111a、111bに注入される。後に説明するように、検査装置80の内部で検出部111a、111bを加熱または吸熱して所定の温度で検体と試薬とを所定の時間反応させる。
【0036】
検出部111a、111bは検体と試薬との反応を光学的に検出するために設けられ、所定量の検体と試薬を収容するために他の流路より溝が深くなっている。
【0037】
検出部111a、111bの下流には検出部111a、111bより溝が浅く、他の流路より溝が深い液溜部141a、141bが設けられている。
【0038】
図3は、本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を説明するための斜視図、図4は、本発明の実施形態における検査装置82の内部構成の一例を示す断面図、である。図3、図4に示すX、Y、Zの座標軸を基準に各部の説明を行う。
【0039】
検査装置82は、温度調節ユニット152、検出ユニット22、マイクロポンプユニット75、パッキン90、駆動液タンク91、撮像部24、レンズ25、照明部26、送りネジ301、ジョイント302、検出ユニット駆動モータ61などから構成される。図3、図4はマイクロチップ1をパッキン90bに密着させている状態を示している。撮像部24は本発明の撮像手段である。
【0040】
以下、図3、図4を用いて検査システム80の内部構成の例を説明する。
【0041】
温度調節ユニット152とマイクロチップ1は、図示せぬ駆動部材により駆動され、Z軸方向に移動可能である。初期状態において、駆動部材により温度調節ユニット152を、図3の状態からマイクロチップ1の厚み以上上昇させる。すると、マイクロチップ1はX軸方向に挿抜可能であり、検査担当者は挿入口83から図示せぬ規制部材に当接するまでマイクロチップ1を挿入する。所定の位置までマイクロチップ1を挿入するとフォトインタラプタなどを用いたチップ検知部95がマイクロチップ1を検知し、オンになる。
【0042】
温度調節ユニット152は、ペルチェ素子、電源装置、温度センサなどを内蔵し、発熱または吸熱を行ってマイクロチップ1の面を所定の温度に調節するユニットである。
【0043】
次に、駆動部材により温度調節ユニット152とマイクロチップ1を下降させて、マイクロチップ1を温度調節ユニット152とパッキン90bに密着させる。
【0044】
図4に示す撮像部24は、レンズ25と照明部26を備えた例えばデジタルスチルカメラであり、図2(b)に示すマイクロチップ1の流路を撮影し、画像データを出力する。撮像部24は、本発明の撮像手段である。
【0045】
レンズ25を通った光束は、撮像部24の内部に備えられたセンサの一例であるCCD(電荷結合素子)上に結像するように配置されている。なお、センサは、CCDに代えて、MOSセンサ、CIDセンサ等の固体撮像素子であってもよい。
【0046】
CCDは、微細な画素群で構成される撮像素子であり、レンズ25によって結像される被写体の光像(被写体像)を一定の周期で画像信号に光電変換する。画像信号は図示せぬ信号処理回路によりデジタル信号に変換された後、ガンマ補正等を行って順次画像データを得る。画像データは、図3、図4には図示せぬ制御部99に順次送信される。
【0047】
本実施形態では、撮像部24は数百万画素以上の画素数を有するエリアセンサを備え、図2(b)に示すマイクロチップ1の流路全体を撮影するものとする。エリアセンサ上に結像した監視領域70a、70bの流路250aa、250baを流れる流体と同じ方向に複数の画素が配置されており、画素ピッチは、エリアセンサ上に結像した監視領域70a、70b内の流路250aa、250baの長さに対して少なくとも1/2以下である。
【0048】
なお、本実施形態ではエリアセンサを備えた撮像部24を用いて流路を流れる液体の先端位置を検出する例を説明するが、撮像部24のセンサはエリアセンサに限定されるものではなく結像した監視領域70a、70bの流路250aa、250baと同じ方向にそれぞれ複数の画素が配置されるようにラインセンサを2つ用いても良い。
【0049】
また、本実施形態では撮像部24が白黒の画像データを出力する例について説明するが、検体の色情報から流路の送液状態を解析する場合は、カラーの画像データを出力する撮像部24を用いれば良い。また、撮像部24は制御部99からの指令に応じて撮影した静止画像を出力するデジタルスチルカメラに限定されるものではなく、動画像を出力するビデオカメラでも良い。
【0050】
照明部26はLED、ランプ等の照明手段であり、撮像部24が撮影するマイクロチップ1の面を照明するために設けられている。
【0051】
第1の実施形態では、マイクロチップ1の監視領域70a、70bを通過する液体の先端位置を画像処理により検出する例を説明する。
【0052】
図4に示すようにレンズ25からの点線で示す範囲が撮像部24の撮影範囲であり、撮像部24により図2(b)に示すマイクロチップ1の流路全体を撮影できるように構成されている。本実施形態では、マイクロチップ1を撮影したデータから、後に詳しく説明する手順で監視領域70a、70bの画像データを切り出し画像処理を行う。
【0053】
検出ユニット22は図示せぬ発光部と受光部から成り、検出部111に光を照射して検体と反応した試薬が発光する蛍光を、光学的に分離して受光部に受光するように構成されている。検出ユニット22は送りネジ301と螺合するネジ部を有し、送りネジ301が回転することによりY軸方向に移動する。送りネジ301は直線Fと平行に配設されており、検出ユニット22が送りネジ301によって移動すると、検出部111a、111bのそれぞれの中心部に、検出ユニット22のレンズ23の光軸が一致するように配置されている。検出ユニット22は、所定の位置に移動した後、検出部111a、111bにレンズ23から順次励起光を照射し、蛍光物質が発光する蛍光を受光して電気信号を出力する。
【0054】
送りネジ301は検出ユニット駆動モータ61によりジョイント302を介して駆動される。検出ユニット駆動モータ61は例えばパルスモータであり、パルスにより所定量回転する。位置センサ41は検出ユニット22の初期位置を検知するために設けられたフォトリフレクタなどのセンサまたはメカニカルスイッチなどである。
【0055】
なお、検出ユニット22には回転防止用に図3には図示せぬガイド穴が設けられており、ガイド穴を貫通するガイド棒に沿って移動する。ガイド棒は送りネジ301と平行に配設されている。
【0056】
図4では、検出ユニット22は検出部111(検出部111a、111bの何れか)でおこる試薬の反応結果を光学的に検出できる位置にある場合を図示している。
【0057】
マイクロチップ1の駆動液注入口110は、マイクロチップ1をパッキン90bを介してマイクロポンプ75と密着させたときに、パッキン90bに設けられた対応する開口とそれぞれ連通する位置に設けられている。
【0058】
マイクロポンプユニット75の吸入口145は、パッキン90aを介して駆動液タンク91が接続され、駆動液タンク91に充填された駆動液をパッキン90aを介して吸い込むようになっている。一方、吐出口146はパッキン90bを介してマイクロチップ1の駆動液注入口110と連通している。
【0059】
圧電素子112を駆動することにより、マイクロポンプユニット75から送り出された駆動液は、マイクロチップ1の駆動液注入口110からマイクロチップ1内に形成された流路250に注入される。このようにして、マイクロポンプユニット75から駆動液注入口110に駆動液を注入する。
【0060】
マイクロポンプユニット75には少なくとも一つのマイクロポンプが設けられている。図2に図示したマイクロチップ1を駆動する場合は、2つの駆動液注入口110a、110bに対応する2つのマイクロポンプが必要である。
【0061】
図5は、本発明の第1の実施形態における検出装置82の回路ブロック図である。
【0062】
制御部99は、CPU98(中央処理装置)とRAM97(Random Access Memory)、ROM96(Read Only Memory)等から構成され、不揮発性の記憶部であるROM96に記憶されているプログラムをRAM97に読み出し、当該プログラムに従って検出装置80の各部を集中制御する。
【0063】
以下、いままでに説明した機能と同一機能を有する機能ブロックには同番号を付し、説明を省略する。
【0064】
CPU98は画像処理部410、ポンプ駆動制御部411、流速算出部412、検出ユニット駆動制御部413、撮像制御部414を有する。画像処理部410は本発明の画像処理手段、流速算出部412は本発明の流速算出手段である。
【0065】
RAM97は本発明の画像記憶手段である画像記憶部970を有する。
【0066】
ROM96は監視領域記録部910を有し、流路の状態を監視する複数の監視領域70の情報がROM96に記憶されている。なお、監視領域70の情報はRAM97に記憶しても良い。
【0067】
撮像部24で撮像した画像情報は画像記憶部970に順次記憶される。画像処理部410は、プログラムに基づいて画像記憶部970から画像情報を読み出し、画像処理を行って液体の先頭位置を検出する。流速算出部412は、プログラムに基づいて画像処理部410が検出した複数の流体の先端位置から流体の流速を算出する。
【0068】
検出ユニット駆動制御部413は、プログラムに基づいて検出ユニット駆動検出ユニット駆動モータ61に指令し検出ユニット22を移動させる。
【0069】
撮像制御部414は、プログラムに基づいて照明部26に指令して照明をオン、オフし、撮像部24に指令して撮影を開始または終了させる。
【0070】
ポンプ駆動部500は、各マイクロポンプの圧電素子112を駆動する駆動部である。ポンプ駆動制御部411はプログラムに基づいて、所定量の駆動液を注入または吸入するようにポンプ駆動部500を制御する。ポンプ駆動部500はポンプ駆動制御部411の指令を受けて、駆動電圧を発生して圧電素子112を駆動する。
【0071】
CPU98は所定のシーケンスで検査を行い、検査結果をRAM97に記憶する。検査結果は、操作部87の操作によりメモリカード501に記憶したり、プリンタ503によってプリントすることができる。
【0072】
図6は、本発明の実施形態における監視領域70を説明するための説明図である。本実施形態では、マイクロチップ1の流路250を流れる液体57の先端位置を検出する例を説明する。図6に示す監視領域70は、図2(b)に示す監視領域70a、70bの何れかの拡大図であり、監視領域70a、70bを特に区別せずに説明する。
【0073】
図6(a)は監視領域70の流路250に液体57の先端が流入した状態である。監視領域70は一辺がLの正方形であり、監視領域70中心は流路250の幅方向の中心と一致している。
【0074】
監視領域記録部910に記録されている監視領域70の情報は、例えば中心の座標X、Yと監視領域の幅Lであり、n個の監視領域70をそれぞれ(Xn、Yn、Ln)のように記録する。監視領域70の座標は図2のマーカ71の中心を原点として図6の紙面右手方向をX軸正方向、紙面上方向をY軸正方向としている。
【0075】
図6(a)の液体57の先頭位置は監視領域70の左辺からm1の位置である。図6(b)はT秒後に撮影した画像であり、液体57の先頭位置は監視領域70の左辺からm2の位置に移動している。図6(c)は2T秒後に撮影した画像であり、液体57の先頭位置は監視領域70の左辺からm3の位置に移動している。
【0076】
次に、本発明の第1の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出してポンプ制御を行う手順を図7、図8を用いて説明する。
【0077】
図7は本発明の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出してポンプ制御を行う手順を説明するフローチャート、図8は本発明の実施形態の画像処理部410が画像処理を行う手順を説明するフローチャートである。
【0078】
以下、図7のフローチャートの順に説明する。
【0079】
S11:監視領域の情報を取得するステップである。
【0080】
画像処理ルーチンは、監視領域記録部910から監視領域70の中心の座標X、Yと監視領域の幅L(Xn、Yn、Ln)の情報を取得する。
【0081】
S12:送液を開始するステップである。
【0082】
ポンプ駆動制御部411は、ポンプ駆動部500に指令し、マイクロポンプユニット75から所定の順でマイクロチップ1に送液を行う。
【0083】
S13:先頭位置検出ルーチンをコールするステップである。
【0084】
本ステップで監視領域70の状態を撮影し、液体57の先頭位置を検出する。引数として与えるのは、監視領域70の情報(Xn、Yn、Ln)などである。
【0085】
S14:先頭位置が検出されたか、否か、判定するステップである。
【0086】
CPU98は、先頭位置検出ルーチンの戻り値から先頭位置が検出されたか、否か、判定する。
【0087】
先頭位置が検出されなかった場合、(ステップS14;No)、ステップS13に戻る。
【0088】
先頭位置が検出された場合、(ステップS14;Yes)、ステップS15に進む。
【0089】
このステップで検出された液体57の状態は、例えば図6(a)の状態であり、本ステップで液体57の先頭位置m1が取得される。
【0090】
S15:所定時間待機するステップである。
【0091】
CPU98は、所定時間T秒の間待機する。
【0092】
S16:先頭位置検出ルーチンをコールするステップである。
【0093】
再度監視領域70の状態を撮影し、移動した液体57の先頭位置を検出する。図6の例ではT秒後に液体57の先頭位置は図6(b)の位置に移動している。本ステップで液体57の先頭位置m2が取得される。
【0094】
S17:流速を算出するステップである。
【0095】
流速算出部412は、ステップS14で取得した先頭位置m1とステップS16で取得した先頭位置m2の差分から液体57が移動した距離を算出し、この間の経過時間T秒で割ることにより液体57の流速Vを求める。
【0096】
S18:ポンプを制御するステップである。
【0097】
ポンプ駆動制御部410は、ステップ17で求めた流速Vと目標の流速Voとの比に応じて、ポンプ駆動部500が圧電素子112を駆動する例えば周波数を変更するように指令する。
【0098】
このように、監視領域70の流路250を移動する液体57の先頭位置を検出して流速を算出し、ポンプの駆動を制御するので精度良く流速の制御が行える。
【0099】
次に、図8の先頭位置検出ルーチンのフローチャートについて説明する。
【0100】
先頭位置検出ルーチンは、メインルーチンから監視領域70の座標X、Yと監視領域の幅L(Xn、Yn、Ln)についての情報を得て処理を実行する。
【0101】
S20:撮影するステップである。
【0102】
撮像制御部414は、照明部26と撮像部24に指令し、撮影した画像データを制御部99に送信させる。制御部99が受信した画像データは順次画像記憶部970に記憶される。
【0103】
S21:監視領域70の画像データを抽出するステップである。
【0104】
画像処理部410は、監視領域70の情報に基づいて画像記憶部970に記憶されている画像データから監視領域70に相当する領域の画像データを抽出する。
【0105】
S22:先頭位置を検出するステップである。
【0106】
画像処理部410は、監視領域70の画像データに輪郭抽出などの画像処理を行って、流路250を流れる液体57を検出し、その先頭位置を検出する。先頭位置は例えば図6のように監視領域70の左辺からの距離を算出し戻り値とする。先頭位置を検出できなかった場合は、例えば負の値を戻り値とする。
【0107】
このように、高画素の撮像部24で撮影した画像データから画像処理を行うので、精度良く先頭位置を求めることができる。
【0108】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、監視領域70の流路250を流れる液体57の先頭位置の情報から、例えば液体57が検出部111に到達する時刻を予測し、液体57が到達する時刻には検出部111が所定の温度になるように制御している。
【0109】
検出装置82の回路ブロック図は第1の実施形態とほとんど同じであるが、異なる点を説明する。
【0110】
図9は、本発明の第2の実施形態における検出装置82の回路ブロック図である。
【0111】
CPU98は画像処理部410、ポンプ駆動制御部411、流速算出部412、検出ユニット駆動制御部413、撮像制御部414に加えて温度制御部415、到達時間算出部416を有する。温度制御部415は本発明の温度制御手段、到達時間算出部416は本発明の到達時間予測手段である。
【0112】
到達時間算出部416は、液体57の2つの先頭位置の情報に基づいて液体57が特定の位置に到達する時刻を算出し、到達時間を予測する。
【0113】
温度制御部415は、温度調節ユニット152が所定の温度になるように制御する。
【0114】
そのほかの構成は第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0115】
次に、本発明の第2の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出して温度制御を行う手順を図10、図11を用いて説明する。
【0116】
図10は本発明の第2の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出して温度制御を行う手順を説明するフローチャート、図11は本発明の実施形態の反応測定を行う手順を説明するフローチャートである。
【0117】
以下、図10のフローチャートの順に説明する。
【0118】
S41:監視領域の情報を取得するステップである。
【0119】
画像処理ルーチンは、監視領域記録部910から監視領域70の座標X、Yと監視領域の幅L(Xn、Yn、Ln)の情報を取得する。
【0120】
S42:送液を開始するステップである。
【0121】
ポンプ駆動制御部411は、ポンプ駆動部500に指令し、マイクロポンプユニット75から所定の順でマイクロチップ1に送液を行う。
【0122】
S43:先頭位置検出ルーチンをコールするステップである。
【0123】
本ステップで監視領域70の状態を撮影し、液体57の先頭位置を検出する。引数として与えるのは、監視領域70の情報(Xn、Yn、Ln)などである。
【0124】
S44:先頭位置が検出されたか、否か、判定するステップである。
【0125】
CPU98は、先頭位置検出ルーチンの戻り値から先頭位置が検出されたか、否か、判定する。
【0126】
先頭位置が検出されなかった場合、(ステップS44;No)、ステップS43に戻る。
【0127】
先頭位置が検出された場合、(ステップS44;Yes)、ステップS45に進む。
【0128】
このステップで検出された液体57の状態は、例えば図6(a)の状態であり、本ステップで液体57の先頭位置m1が取得される。
【0129】
S45:所定時間待機するステップである。
【0130】
CPU98は、所定時間T秒の間待機する。
【0131】
S46:先頭位置検出ルーチンをコールするステップである。
【0132】
再度監視領域70の状態を撮影し、移動した液体57の先頭位置を検出する。図6の例ではT秒後に液体57の先頭位置は図6(b)の位置に移動している。本ステップで液体57の先頭位置m2が取得される。
【0133】
S47:流速を算出するステップである。
【0134】
流速算出部412は、ステップS14で取得した先頭位置m1とステップS16で取得した先頭位置m2の差分から液体57が移動した距離を算出し、この間の経過時間T秒で割ることにより液体57の流速Vを求める。
【0135】
S48:到達時間を算出するステップである。
【0136】
到達時間算出部416は、ステップ17で求めた流速Vと予めROM96に記憶されている監視領域70から検出部111までの流路の長さから、液体57が検出部111に到達するまでの時間Txを算出し、到達時間の予測値とする。
【0137】
S49:タイマーをセットするステップである。
【0138】
本ステップでは、液体57が検出部111に到達した時に、ちょうど検出部111が所定の温度になるようにCPU98の内部タイマーをセットする。
【0139】
到達時間算出部416は、液体57が検出部111に到達する時間Txから検出部111を所定の温度にするために必要な時間Tzを引いた時間を内部タイマーにセットする。
【0140】
S50:所定時間経過したか、否か、判定するステップである。
【0141】
所定時間経過していない場合、(ステップS50;No)、ステップS50に戻る。
【0142】
所定時間経過した場合、(ステップS50;Yes)、ステップS51に進む。
【0143】
S51:温度制御を開始するステップである。
【0144】
温度制御部415は、温度調節ユニット152を所定の温度になるように制御する。
【0145】
S52:反応結果を測定するステップである。
【0146】
CPU98は、反応測定ルーチンをコールし、結果をRAM97に記憶する。
【0147】
先頭位置を検出して温度制御を行う手順の説明は以上である。
【0148】
次に、反応測定ルーチンについて図11のフローチャートの順に説明する。
【0149】
S301:検出ユニット22を移動するステップである。
【0150】
検出ユニット駆動制御部413は、検出ユニット駆動モータ61に所定の数のパルスを送り図3の矢印S2方向に検出ユニット22を移動させ、検出ユニット22が検出部111bの反応結果を検出する位置に停止させる。
【0151】
S302:反応結果を測定するステップである。
【0152】
所定の時間経過後、CPU98は、検出ユニット22の発光部を発光させ、検出ユニット22からの出力信号レベルを測定し、結果をRAM97に記憶する。
【0153】
S303:検出ユニット22を移動するステップである。
【0154】
検出ユニット駆動制御部413は、検出ユニット駆動検出ユニット駆動モータ61に所定の数のパルスを送り図4の矢印S2方向に検出ユニット22をさらに移動させ、検出部111aの反応結果を検出する位置に停止させる。
【0155】
S304:反応結果を測定するステップである。
【0156】
CPU98は、検出ユニット22の発光部を発光させ、検出ユニット22からの出力信号レベルを測定し、結果をRAM97に記憶する。
【0157】
以上検査を終了し、検出ユニット駆動制御部413は、検出ユニット22を初期位置に戻す。
【0158】
反応測定ルーチンの手順の説明は以上である。
【0159】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、図2のマイクロチップ1のように2つの同じ構成の流路を流れる液体の先頭位置を、対応するポンプをそれぞれ制御して所定の位置になるように制御している。このようにすることにより、例えばそれぞれの流路の試薬と検体を同じタイミングで反応させて比較することが可能になる。
【0160】
先頭位置を揃える場所は任意に設定できるが、本実施形態では液溜部140aと液溜部140b、および液溜部141aと液溜部141bの図12に示す位置にそれぞれの流路を流れる液体の先頭位置を揃える例について説明する。なお、検査装置82の回路は第1の実施形態または第2の実施形態で説明した回路部ロック図の何れでも良い。
【0161】
図12は、液溜部140、液溜部141を監視する監視領域72、監視領域73を説明するための説明図である。図12に示す液溜部140と液溜部141は、図2(b)に示す液溜部140a、140bと液溜部141a、141bの何れかの拡大図であり、aチャンネル、bチャンネルを特に区別せずに説明する。
【0162】
図12(a)は監視領域72の液溜部140に液体57の先端が監視領域72の左辺からm5の位置まで流入した状態である。監視領域72は一辺がLの正方形であり、監視領域72中心は液溜部140の幅方向の中心と一致している。
【0163】
図12(b)は監視領域73の液溜部141に液体57の先端が監視領域73の左辺からm4の位置まで流入した状態である。監視領域73は一辺がLの正方形であり、監視領域73中心は液溜部141の幅方向の中心と一致している。
【0164】
監視領域記録部910には監視領域70と同様に監視領域72、監視領域73の中心の座標X、Yと監視領域の幅Lの情報が記録されている。
【0165】
次に、図13と図14を用いて第3の実施形態の送液の手順を説明する。図13は、本発明の第3の実施形態の検査の手順を説明するフローチャート、図14は液体の到達を検知する手順を説明するフローチャートである。
【0166】
最初に、図13のフローチャートの順に検査の概略の手順を説明する。
【0167】
マイクロチップ1は、図4のように検査が可能な位置にセットされ、操作部87の操作によってCPU98に検査の開始が指令されているものとする。また、検知基板21と検出ユニット22は図4に示す初期位置にあるものとする。画像処理部410は、予め監視領域記録部910から監視領域72、監視領域73の情報を読み出しているものとする。エラーフラッグの初期値は0とする。
【0168】
S201:ポンプを始動するステップである。
【0169】
ポンプ駆動制御部411は、ポンプ駆動部500に指令しマイクロポンプユニット75からマイクロチップ1に送液を行う。
【0170】
S202:液到達を検知するステップである。
【0171】
CPU98は、後に詳しく説明する液到達検知ルーチンをコールし、液溜部140a、液溜部140bの所定の位置に液体の先頭部分が到達したことを検知してポンプの駆動を停止する。このステップでaチャンネル、bチャンネルの流路を流れる試薬等の先頭位置を液溜部140a、液溜部140bの所定の位置に揃えることができるので、後のステップ208でポンプを始動すると混合部130a、混合部130bに同時に試薬等を注入することができる。
【0172】
S203:エラーフラッグを判定するステップである。
【0173】
CPU98は、エラーフラッグを判定する。液到達検知ルーチンが所定時間内に正常終了した場合はエラーフラッグが0であり、液溜部140a、液溜部140bに液体が到達した状態でマイクロポンプユニット75は停止している。一方、所定時間内に正常終了しなかった場合は、エラーフラッグが1になっている。
【0174】
エラーフラッグが1の場合、(ステップS203;Yes)、ステップS204に進む。
【0175】
S204:警告を表示するステップである。
【0176】
制御部99は、表示部84にエラーの警告を表示し、検査装置80を停止する。
【0177】
エラーフラッグが0の場合、(ステップS203;No)、ステップS205に進む。
【0178】
S205:ポンプを始動するステップである。
【0179】
ポンプ駆動制御部411は、ポンプ駆動部500に指令し、マイクロポンプユニット75からマイクロチップ1に送液を行う。
【0180】
S206:液到達を検知するステップである。
【0181】
CPU98は液到達検知ルーチンをコールし、液溜部141a、液溜部141bの所定の位置に液体が到達したことを検知してポンプの駆動を停止する。このステップでaチャンネル、bチャンネルの流路を流れる検体と試薬の混合液の先頭部分を液溜部141a、液溜部141bの所定の位置に揃えるので、混合液が検出部111a、検出部111bに充填された状態にすることができる。
【0182】
S207:エラーフラッグを判定するステップである。
【0183】
CPU98は、エラーフラッグを判定する。液到達検知ルーチンが所定時間内に正常終了した場合はエラーフラッグが0であり、液溜部141a、液溜部141bに液体が到達した状態でマイクロポンプユニット75は停止している。一方、所定時間内に正常終了しなかった場合は、エラーフラッグが1になっている。
【0184】
エラーフラッグが1の場合、(ステップS207;Yes)、ステップS211に進む。
【0185】
S211:警告を表示するステップである。
【0186】
制御部99は、表示部84にエラーの警告を表示し、検査装置80を停止する。
【0187】
エラーフラッグが0の場合、(ステップS207;No)、ステップS213に進む。
【0188】
S213:反応結果を測定するステップである。
【0189】
所定の時間経過後、CPU98は反応測定ルーチンをコールし、検出部111a、検出部111bから反応結果を測定する。
【0190】
メインルーチンの説明は以上である。
【0191】
次に、図14のフローチャートを用いて液到達検知ルーチンを説明する。
【0192】
以下の説明では、液溜部140aまたは液溜部141aをaチャンネルの液溜部、液溜部140bまたは液溜部141bをbチャンネルの液溜部、監視領域72aまたは監視領域73aを監視領域a、監視領域72bまたは監視領域73bを監視領域bと呼ぶ。また、注入口110aから駆動液を注入するポンプをaチャンネルのポンプ、注入口110bから駆動液を注入するポンプをbチャンネルのポンプと呼ぶ。
【0193】
S101:マイクロチップ1を撮影するステップである。
【0194】
撮像制御部414は、照明部26を発光させ、撮像部24に撮影するように指令する。撮像部24は撮影した画像データを画像記憶部970に記憶させる。
【0195】
S102:監視領域aの画像データを抽出するステップである。
【0196】
画像処理部410は、監視領域aの情報に基づいて画像記憶部970に記憶されている画像データから監視領域aに相当する領域の画像データを抽出する。
【0197】
S103:先頭位置を検出し所定の位置か、否か、判定するステップである。
【0198】
画像処理部410は、監視領域aの画像データに輪郭抽出などの画像処理を行って、流路250を流れる液体57を検出し、その先頭位置を検出する。先頭位置が検出できた場合、検出した先頭位置が所定の位置か、否かを判定する。
【0199】
先頭位置が所定の位置の場合、(ステップS103;Yes)、ステップS104に進む。
【0200】
S104:aチャンネルのポンプを停止するステップである。
【0201】
ポンプ駆動制御部411は、aチャンネルのポンプを停止する。aチャンネルの液溜部の所定の位置に液体の先頭部分が到達するとポンプ駆動制御部411は、aチャンネルのポンプを停止し、bチャンネルと流路を流れる液体の先頭の位置を揃える。
【0202】
先頭位置が所定の位置ではない場合、(ステップS103;No)、ステップS105に進む。
【0203】
S105:監視領域bの画像データを抽出するステップである。
【0204】
画像処理部410は、監視領域bの情報に基づいて画像記憶部970に記憶されている画像データから監視領域bに相当する領域の画像データを抽出する。
【0205】
S106:先頭位置を検出し所定の位置か、否か、判定するステップである。
【0206】
画像処理部410は、監視領域bの画像データに輪郭抽出などの画像処理を行って、流路250を流れる液体57を検出し、その先頭位置を検出する。先頭位置が検出できた場合、検出した先頭位置が所定の位置か、否かを判定する。
【0207】
先頭位置が所定の位置の場合、(ステップS106;Yes)、ステップS107に進む。
【0208】
S107:bチャンネルのポンプを停止するステップである。
【0209】
ポンプ駆動制御部411は、bチャンネルのポンプを停止する。bチャンネルの液溜部の所定の位置に液体の先頭部分が到達するとポンプ駆動制御部411は、bチャンネルのポンプを停止し、aチャンネルと流路を流れる液体の先頭の位置を揃える。
【0210】
先頭位置が所定の位置ではない場合、(ステップS106;No)、ステップS108に進む。
【0211】
S108:a、b両チャンネルのポンプが停止したか、否か、を判定するステップである。
【0212】
ポンプ駆動制御部411は、a、b両チャンネルのポンプが停止したか、否か、を判定する。
【0213】
a、b両チャンネルのポンプが停止した場合、(ステップS108;Yes)、処理を終了し元のルーチンに戻る。
【0214】
aまたはbチャンネルのポンプが停止していない場合、(ステップS108;No)、ステップS109に進む。
【0215】
S109:タイムアウトか、否か、を判定するステップである。
【0216】
CPU98は、内部タイマーから経過時間を読み取り、タイムアウトの時間を経過したか、否か、を判定する。
【0217】
タイムアウトの場合、(ステップS109;Yes)、ステップS110に進む。
【0218】
S110:エラーフラッグを1にするステップである。
【0219】
CPU98は、エラーフラッグを1にして元のルーチンに戻る。
【0220】
タイムアウトではない場合、(ステップS109;No)、ステップS101に戻る。
【0221】
タイムアウトでない場合は、処理を継続し液溜部に液体が到達するのを待つ。
【0222】
液到達検知ルーチンの説明は以上である。
【0223】
以上このように、本発明によれば、簡単な構成で精度良く送液状態を検知することができる検査装置を提供することができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】本発明の実施形態における検査システム80の外観図である。
【図2】本発明の実施形態に係わるマイクロチップ1の説明図である。
【図3】本発明の実施形態の検査システム80の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の検査システム80の内部構成の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における検査システム80の回路ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における監視領域70を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出してポンプ制御を行う手順を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態の画像処理部410が画像処理を行う手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態における検出装置82の回路ブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の検査装置82が液体57の先頭位置を検出して温度制御を行う手順を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態の反応測定を行う手順を説明するフローチャートである。
【図12】液溜部140、液溜部141を監視する監視領域72、監視領域73を説明するための説明図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の検査の手順を説明するフローチャートである。
【図14】液体の到達を検知する手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0225】
1 マイクロチップ
22 検出ユニット
24 撮像部
25 レンズ
26 照明部
27 読み取り部
61 検出ユニット駆動モータ
75 マイクロポンプユニット
80 検査システム
82 検査装置
83 挿入口
84 表示部
87 操作ボタン
90 パッキン
110 駆動液注入口
111 検出部
113 検体注入部
121 検体収容部
141 液溜部
152 温度調整ユニット
250 流路
410 画像処理部
411 ポンプ駆動制御部
412 流速算出部
413 検出ユニット駆動制御部
414 撮像制御部
415 温度制御部
416 到達時間算出部
910 監視領域記録部
970 画像記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを用いて流体をマイクロチップの流路に注入または吸引し、該流路に貯蔵された液体を移動させて、反応結果を測定する検査装置において、
前記液体が前記流路を流れる方向と同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段と、
前記撮像手段が所定の時間間隔で撮影した複数の画像情報を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶されている前記画像情報に画像処理を行って前記液体の先頭位置を検出する画像処理手段と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記画像処理手段の検出した複数の前記先頭位置の情報に基づいて前記ポンプの駆動を制御するポンプ駆動制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記画像処理手段の検出した複数の前記先頭位置の情報に基づいて前記液体が特定の位置に到達する時間を予測する到達時間予測手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記到達時間予測手段の予測した前記時間に基づいて温度制御を開始し、前記流路の一部を一定の温度に制御する温度制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
複数のポンプを用いてマイクロチップの複数の流路に流体をそれぞれ注入または吸引し、それぞれの流路に貯蔵された液体を移動させて、反応結果を測定する検査装置において、
前記流体が複数の前記流路を流れる方向とそれぞれ同じ方向に複数の画素が配置されたセンサを備えた撮像手段と、
前記撮像手段が所定の時間間隔で撮影した画像情報を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶されている前記画像情報に画像処理を行って前記液体の先頭位置を検出する画像処理手段と、
前記画像処理手段の検出した複数の前記流路の前記先頭位置がそれぞれ所定の位置になるように対応するポンプをそれぞれ制御するポンプ駆動制御手段と、
を有することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−257988(P2009−257988A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108827(P2008−108827)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】