説明

検索装置、検索プログラム及び検索方法

【課題】形状データを構成する要素の検索と、検索された要素へのアクセスとを容易にする検索装置、検索プログラム及び検索方法を提供する。
【解決手段】コンピュータ100に、利用者により入力された形状データを構成する要素を検索するための、コマンド、内部要素、要素名、及び、フリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれらに任意の組み合わせからなる検索内容が入力され、コンピュータ100は、この検索内容に基づいて要素の検索結果となるリスト103を作成する共に、リスト103上の要素が選択された場合に、形状データの当該要素に該当する要素を強調して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状データを構成する要素を検索する検索装置、検索プログラム及び検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Computer Aided Design(以下、単にCADという。)により作成された形状データを構成する要素を検索する技術が知られている。たとえば、このような技術として、コマンドに基づいて要素の検索を実行する装置やプログラムが知られている。ここで、形状データとは、CADなどのプログラムにより作成された図形のデータ(CADデータ)であり、例えば、シリンダ、立方体などの種々の要素により構成される。また、コマンドとは、CADにおいて要素を作成する際の指示である。
【0003】
【特許文献1】特開平9−265490号公報
【特許文献2】特開平10−177404号公報
【特許文献3】特開2000−172739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CADにより、例えば装置の部品の形状データを作成する場合、1つの部品の形状データを作成するには数多くの要素を作成する。そして、部品の設計時には意匠変更・性能向上・他部品との整合性をとるため、必ず形状の変更が発生する。そのため、利用者が、形状データを変更する際には、その数多くの要素の中から目的の要素を探し出す必要がある。
【0005】
また、形状データを作成する場合、コマンドのパラメータである内部要素を使用するが、内部要素の使用は更新(例えば形状修正後の長さなどの再計算時)のエラーの原因になる場合が多く、一般的な設計手順では推奨されていない。しかし、緊急時や初期の作図時には内部要素を使用することが多く、このような使用が推奨されていない内部要素は形状データ中に複数個ある。そのため、利用者は、後ほど、内部要素を使用した要素を検索し、修正する必要がある。しかし、従来技術は、CADにより作成した形状データを作成するために使用した内部要素をキーワードとして用いて要素を検索することができない。そのため、従来技術では、内部要素の有無を判断するためにコマンドを1つ1つ確認する必要があり、利用者は目的の要素を見つけ出すことが困難となり、要素の検索に時間がかかるという問題点を有している。
【0006】
また、従来技術では、形状データを構成する要素を検索する場合に、あらかじめメニュー上に設定されたキーワードを用いて検索を行う。そのため、この予め設定されたキーワードに関連していない要素を検索することはできなかった。そのため、利用者による要素の検索が困難であり、利用者がこのようなキーワードに関連していない要素に対して修正を行う場合、時間が多くかかるという問題点を有している。
【0007】
また、従来技術は、利用者は、CADで使用されるコマンドをキーワードとして用いて要素を検索するが、フリーワードによる要素の検索は実行できず、コマンド以外のキーワードによる検索ができない。そのため、従来技術は、利用者にわかり易い要素名を要素につける工夫をしても、この要素名による検索ができないため、利用者が要素が目的の要素であるか否かを1つ1つ確認していく必要があり、要素の検索に時間がかかるという問題点を有している。
【0008】
また、利用者が形状データを修正する場合、修正に時間がかかる場合があり、複数日に及ぶ場合もある。しかし、従来技術は、形状データから要素を検索した場合の検索条件や検索結果などを、メモリなどに保存することができなかった。そのため、利用者が後に、同じ要素を検索する場合、再度、検索条件を作成したり、同じ検索条件により検索を実行して検索結果を得る必要があり、同じ要素の検索に時間がかかるという問題点を有している。
【0009】
また、従来技術は、要素を検索する際に、複数個の検索のキーワードを設定して検索を実行することができない。そのため、従来技術は、複数個のキーワードで検索を行う場合は複数回の検索を実行しなければならず、要素の検索に時間がかかるという問題点を有している。
【0010】
また、利用者は、検索を行った結果、修正が必要な要素が複数個検索された場合、1つ1つ漏れなく修正の要否を確認し、必要な修正する必要がある。しかし、従来技術は、検索結果を装置の外部に出力することができなかった。そのため、従来技術は、利用者が検索された要素を確認しつつ、要素の修正作業を行うことができないという問題点を有している。
【0011】
さらに、従来技術では、検索された要素と形状データとの間に関連性がなく、利用者が要素の検索結果から、この検索された要素に該当する形状データ中の要素を認識し、この要素にアクセスすることは困難であった。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、形状データを構成する要素の検索と、検索された要素へのアクセスとを容易にする検索装置、検索プログラム及び検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の検索装置は、作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容を受信する検索内容受信手段と、前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索手段と、前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成手段と、前記検索の結果を保存する保存手段と、前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力手段と、前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力手段とを備える。
【0014】
また、本発明の検索装置は、前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択手段と、前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示手段とを備える。
【0015】
また、本発明の検索装置は、前記内部要素には、前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる。
【0016】
また、本発明の検索装置は、前記検索内容において、検索位置を指定することにより、
要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する。
【0017】
また、本発明の検索プログラムは、コンピュータを、作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容が入力される検索内容受信手段、前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索手段、前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成手段、前記検索の結果を保存する保存手段、前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力手段、及び、前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力手段として機能させる。
【0018】
また、本発明の検索プログラムは、前記コンピュータを、前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択手段、及び、前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示手段として機能させる。
【0019】
また、本発明の検索プログラムは、前記内部要素には、前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる。
【0020】
また、本発明の検索プログラムは、前記検索内容において、検索位置を指定することにより、要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する。
【0021】
また、本発明の検索方法は、検索内容受信手段が、作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容を受信する検索内容受信工程と、要素検索手段が、前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索工程と、リスト作成手段が、前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成工程と、保存手段が、前記検索の結果を保存する保存工程と、リスト出力手段が、前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力工程と、外部出力手段が、前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力工程とを備える。
【0022】
また、本発明の検索方法は、リスト内容選択手段が、前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択工程と、選択要素表示手段が、前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示工程とを備える。
【0023】
また、本発明の検索方法は、前記内部要素には、前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる。
【0024】
また、本発明の検索方法は、前記検索内容において、検索位置を指定することにより、要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、形状データから、コマンド、内部要素、要素名、フリーワードのいずれか又はこれらの任意の組み合わせを少なくとも用いて要素を検索し、検索された要素をリストとして出力することができるため、従来のようにコマンドのみをキーワードとして用いて要素を検索する場合と異なり、利用者の要望に沿って柔軟に要素の検索を実行することができ、要素の検索時間の短縮を図ることができ、要素の検索を容易にすることができる。
【0026】
また、本発明は、要素を検索した場合の検索結果を保存することができる。この保存される検索結果には、例えば検索条件を含めることができる。また、本発明の検索装置は、形状データから要素を検索した結果である検索結果リストを保存する。よって、本発明の検索装置では、利用者は、後に同様の検索条件や検索結果を利用する場合であっても、再度検索条件の入力や検索の実行などを行う必要がなくなるため、要素の検索を容易にし、要素の検索に必要な時間を短縮させることができる。
【0027】
また、本発明は、例えばコマンドと内部要素とのANDやOR検索というように、複数個の検索キーワードを用いて要素の検索を行うことができるため、さらに、利用者の要望に沿った要素の検索を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明は、作成されたリストを、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクやメモリースティックなどの媒体に記憶させたり、紙などの媒体にプリントアウトして出力するなどの方法で、外部に出力することができる。そのため、本発明の検索装置を用いた利用者は、この出力結果を参照しつつ検索結果たる要素を修正箇所として認識し、この修正箇所の修正箇所を1つ1つ確認しながら修正作業を行えることとなり、修正箇所の漏れを抑制することができ、修正作業をより正確に行うことができる。
【0029】
また、本発明は、形状データから要素を検索し、この検索された要素のリストを作成し、利用者がこのリスト上の要素を選択することにより、画面に表示された形状データにおいて選択された要素に該当する要素を他の要素から区別可能に表示しているため、利用者が、形状データ内において検索された要素の位置を確認することが容易になり、利用者が検索された要素にアクセスすることが容易になり、利用者は検索された要素の修正作業を容易に実行することができる。
【0030】
このように、本発明は、修正が必要な要素、又は、形状修正が必要と予想される要素を短時間で検索し、この検索された要素に対して短時間で修正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の検索装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態の構成は例示であり、本発明は実施の形態の構成に限定されない。また、以下に説明する本発明の検索装置の一実施形態の説明は、本発明の検索方法及び検索プログラムの一実施形態の説明を兼ねる。
【0032】
まず、図1を参照して本発明の検索装置の一実施形態の動作の概略について説明する。図1は、本発明の検索装置の一実施形態の動作の概略図である。図1に示されるように、本発明の検索装置はコンピュータ100上で動作する装置として機能する。
【0033】
そして、本発明の検索装置の一実施形態では、利用者が要素を検索するために使用する検索キーワードにより構成される検索内容を指示する。利用者により指示された検索内容
は、入力データ101となってコンピュータ100に入力される。本発明の検索装置の一実施形態では、検索内容としての入力データ101には、セット検索と個別検索とがある。図1では説明のため、セット検索と個別検索との双方を記載しているが、利用者は実際には、セット検索と個別検索とのいずれか一方のみを入力するとしても良い。
【0034】
セット検索とは、複数の検索内容を組み合わせた検索条件である。例えば、検索キーワードがAとBとの2つである場合、このAとBとのセット検索は、利用者の選択により、Aかつ(AND)Bと、A又は(OR)Bとのいずれかによる検索となる。また、個別検索は、1つの検索キーワードで要素の検索を行うための検索条件である。本発明の検索装置の一実施形態では、利用者が、セット検索か個別検索かを選択することができる。
【0035】
個別検索の検索キーワードには、図1に示されるように、コマンド、内部要素、要素名、フリーワードなどがある。コマンドとは、前述のように、CADにおいて要素を作成する際の指示である。このコマンドには、直線を作成する「直線」や、角をまるめる処理である「フィレット」などがある。もちろん、本発明の検索装置の一実施形態に使用されるコマンドには、これらに限定されるものではなく、その他のコマンドも含めることができる。
【0036】
内部要素とは、コマンドのパラメータの情報である。ただし、この内部要素は数値の情報のみではなく、パラメータ名などの文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなる情報や、真偽情報や、正負情報なども含む。この内部要素について図2を参照して説明する。図2は、本発明の検索装置の一実施形態において使用される内部要素の概念図である。内部要素には、例えば、頂点、エッジ、フェース、プロパティなどに関連する数値や名称などが含まれる。ただ、本発明の検索装置の一実施形態において使用される内部要素としてはこれらに限定されるものではなく、その他の内部要素も用いることができる。
【0037】
フリーワードとは、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるものである。このフリーワードは、要素と関連して保存された情報を検索対象として、検索キーワードとして用いられる。
【0038】
図2の(a)に示されるように、立方体を一例に上げて内部要素を説明すると、頂点とは、立方体の一角をいい、エッジとは、立方体の端部をいい、フェースとは、立方体の一面をいい、これらの位置情報、個数情報などが内部要素となる。また、プロパティには、方向、数値、名前が含まれる。例えば、図2の(b)に示されるように、このプロパティについて直線上に点を作成した場合を例に説明すると、直線の原点から点への方向を内部要素としての方向の情報とし、原点から直線上の点までの距離を内部要素としての距離の情報とし、作成された点の名前を内部要素としての名前の情報とする。
【0039】
次に、図1に示されるように、利用者が設定する検索内容である入力データ101をコンピュータ100に入力した場合、コンピュータ100は、入力データ101の検索内容に基づいて形状データ(CADデータ)102に対して要素の検索を行う。そして、コン
ピュータ100は、検索された要素が含まれた検索結果をリスト103として出力する。この出力されたリスト103は、コンピュータ100の外部に、紙などの媒体104に印刷されて出力される。この媒体104へのリストの印刷は例えばコンピュータ100と接続されたプリンタなどにより実行されるとして良い。なお、リスト103を、フロッピー(登録商標)ディスクやメモリースティック等のデータを記憶する媒体にデータとして記憶させることにより、外部に出力するとしても良い。
【0040】
さらに、利用者が、リスト103上の検索結果105の要素名を例えばマウスを用いて
クリックするなどにより選択すると、その選択された要素に対応する形状データ102の部分が、利用者に確認可能なように表示される。この表示は、例えば形状データのうちの選択された要素の部分の色が変化するなど強調されて表示されるとして良い。
【0041】
次に、本発明の検索装置の内部構成について図3を参照して説明する。図3は、本発明の検索装置の一実施形態の内部ブロック図である。図3に示されるように、本発明の検索装置の一実施形態は、利用者が入力した検索内容の情報を受信する検索内容受信部301と、検索対象となる形状データを記憶部312から読み出す形状データ取得部302とを備える。
【0042】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態は、検索内容受信部301において入力された検索内容から、検索に使用する検索キーワードを取得する検索内容取得部303と、検索キーワードに基づいて、形状データから、検索キーワードと関連する要素を検索する要素検索部304とを備える。ここで、本実施形態において、形状データを構成する各要素には、コマンド、内部要素、要素名、及び、要素に関連したフリーワードなどが関連して保存されている。
【0043】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態は、検索された要素をリスト上に記載して検索結果たる要素のリストを作成するリスト作成部305と、利用者により入力された検索内容に基づいてすべての検索が行われたか否かを判断する判断部306とを備える。リスト作成部305により作成されたリストには、例えば検索結果たる要素や検索条件などが記載される。
【0044】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態は、リスト作成部305において作成されたリストを画面に表示するリスト出力部307と、利用者の選択動作に基づく要素の選択情報を受信するリスト内容選択部308とを備える。
【0045】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態は、利用者により選択されたリスト上の要素に対応する形状データの部分を、利用者に認識可能なように表示する選択要素表示部309と、利用者による要素の修正作業の情報を受信する修正部310とを備える。
【0046】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態は、作成されたリストを例えばプリントアウトなどにより紙である媒体に印刷して外部に出力するリスト外部出力部311と、形状データや形状データを構成する要素データや、検索結果などを記憶する記憶部312とを備える。なお、リスト外部出力部311は、作成されたリストを、フロッピー(登録商標)ディスクやメモリースティック等のデータを記憶する媒体にデータとして記憶させることにより、外部に出力するとしても良い。ここで、記憶部312に記憶されている形状データには、要素が含まれ、各要素にはそれぞれ検索キーワードに対応した情報が設定されている。例えば、立方体の要素には、内部要素として頂点やエッジなどが設定されている。なお、図3に示される各部の機能の少なくともいずれかは、CPUとメモリに格納されたプログラムとが協働することにより実現されるとして良い。
【0047】
次に、本発明の検索装置の一実施形態の動作について図4を参照して説明する。図4は、本発明の検索装置の一実施形態の動作のフローチャートである。まず、本発明の検索装置は、コンピュータ上で動作しているCADが検索対象データを準備する(S401)。ここで、検索対象データを準備するとは、CADが検索対象データをメモリなどに読み出すことをいう。
【0048】
次に、S402において、利用者がコンピュータに対して検索セットの設定を行う。この検索セットとは、形状データを構成する要素を検索するための検索キーワード構成のこ
とをいう。このS402における検索セットの設定動作について図5を参照して説明する。図5は、本発明の検索装置の一実施形態における、検索セットを設定する際にコンピュータに表示される画面の概略図である。
【0049】
図5に示されるように、検索セットを設定する場合には、初めにコントロール画面501が表示される。コントロール画面501は、検索セットの設定を開始する際に表示される画面である。そして、利用者が、設定ボタン503を押下する(例えばマウスによりポインタを設定ボタン503に合わせ、左クリックを行う)と、コンピュータの画面に設定画面502が表示される。
【0050】
設定画面502には、コマンド名入力欄504と、検索位置入力欄505と、条件入力欄506と、設定した検索キーワードを検索セットに追加する追加ボタン507とが備えられている。
【0051】
コマンド名入力欄504には、利用者が検索する際のキーワードとして使用するコマンド名が入力される。このコマンド名入力欄504に入力されるコマンドには、例えば、コマンドを指定しないことを示すすべてや、基準を作成するコマンドであるデータムや、図形から一部分を抽出するコマンドである抽出や、線分の結合点などの角を丸める処理を行うフィレットや、図形を平行移動させ新たな曲面を作成するスイープや、ある曲線の一部を最大点又は最小点の極値とする極値や、直線などの外部のデータを参照して図形作成に用いる外部参照や、形状変更手順の一例であり体積を変更するコマンドであるボリュームフィーチャなどがある。もちろん、本発明の検索装置の一実施形態に使用されるコマンドとしてこれらに限定されるものではなく、その他のコマンドを使用することもできる。
【0052】
また、検索位置の入力欄505に入力される検索位置には、位置の指定をせずにすべての位置を示すすべてや、面を張る方向を示すスパインや、一定の方向(例えばX軸方向)を示す方向などがある。もちろん、本発明の検索装置の一実施形態に使用される検索位置としてこれらに限定されるものではなく、その他の検索位置を使用することもできる。
【0053】
また、条件の入力欄506には、利用者が指定する検索条件が入力される。図5に示される例では、内部エッジや、特に条件を指定しないことを意味するすべてや、シェイプフィレットを除く条件や、デフォルト値を検索する条件や、反転防止が未使用である旨の条件などが示されている。
【0054】
さらに、本発明の検索装置の一実施形態に使用される条件には、前述の図1、図2を参照して説明したように、これらの条件を複数組み合わせてセット検索とすることもできる。また、検索条件に使用されるキーワードには、内部要素や、要素名や、フリーワードなどが含まれる。
【0055】
そして、図5に示されるように、利用者がコマンド名や、検索位置や、検索条件を設定した後、検索内容を設定するボタンである追加ボタン507を押すと、これらの組み合わせによる検索セットがコンピュータに記録され、後に形状データから要素を検索する際に利用者に利用可能となる。
【0056】
次に、図4に示されるフローチャートの説明に戻る。S403に示されるように、コンピュータは、形状データが利用者により指定されると、形状データの情報を取得する。次に、コンピュータは、利用者により入力された検索セットの内容から検索に使用する検索キーワードを1つ取得する(S404)。次に、コンピュータは、取得した検索キーワードに基づいて、形状データから要素を検索する(S405)。
【0057】
次に、S406に示されるように、コンピュータは、検索された要素をリストに記載して検索結果のリストを作成する。ここで、上記S403からS406までの動作について図6を参照して説明する。図6は、本発明の検索装置の一実施形態の動作の概念図である。
【0058】
図6に示されるように形状データ(CADデータ)601がCADにより作成されている場合、この形状データ601は複数の要素から構成される。すなわち、形状データ601は、形状情報602に示される情報から構成されている。この形状情報602がS403においてコンピュータに取得されている形状データの情報である。
【0059】
この形状情報602には、例えば、コマンド名604と、検索位置605と、要素の作成条件である条件606と、要素の内容を示す内容607とが含まれる。そして、S405に示されるように、この形状情報602に対してコンピュータが検索を行うと、コントローラ上の検索結果表示画面603にリスト608,609が含められて出力される。図6に示されるリスト608の例では、検索内容を、コマンドに対して指定をしない「すべて」とし、検索位置を指定しない「すべて」とし、条件を「内部エッジ」として検索したものである。また、図6に示されるリスト609の例では、検索内容を、コマンドとして「データム」を指定し、検索位置を指定しない「すべて」とし、検索条件を指定しない「すべて」として検索した場合である。
【0060】
次に、図4に示されるフローチャートの説明に戻る、コンピュータは、S407において、利用者により設定された検索セットの内容(キーワード)により検索が実行されたか否かを判断し、検索セットの最後の内容により検索が実行されていない場合(NO)はS404に移行し、検索セットの最後の内容により検索が実行されている場合は(YES)、S408に移行する。
【0061】
次に、コンピュータは、S408においてリストの内容を記憶部に保存する。すなわち、記憶部には、図6に示されるリスト608,609等のリストが記憶されることとなる。このS408の保存動作により、記憶部に検索結果や検索条件などが保存される。次に、S409において、コンピュータはリストの内容を画面に表示して出力する。この表示の後、利用者の動作の選択により、S410以下の修正作業、又は、S415のリストの内容の外部への出力のいずれか又は双方が実施される。
【0062】
まず、修正作業が実施される場合、コンピュータは、S410において、利用者にリストの内容を選択させる。この選択は、例えば、利用者がマウスを用いてリスト上の要素に対してポインタを移動させた後、利用者がクリックすることにより実施される。
【0063】
次に、S411において、コンピュータは、利用者により選択された要素が形状データのどの部分の要素であるのかを判別可能なように表示する。この表示は、後述する図7に示されるように選択された要素の色を強調する表示であって良い。
【0064】
次に、S412において、コンピュータは、利用者が選択された要素のデータに対してアクセスした後(S412)、利用者により実施される要素に対する修正作業の内容を受け付ける(S413)。ここで、利用者が要素のデータに対してアクセスするとは、利用者が、要素のデータをメモリなどに読み出すことをコンピュータに指示することをいう。このアクセスにより、CADなどのプログラムにおいて、利用者に選択されたデータが直ちに利用可能となる。
【0065】
そして、コンピュータは、利用者による要素の修正作業が完了したか否かを判断し(S414)、完了していなければ(NO)、S410に移行し、完了していれば動作を終了
する。他方、S415においてリストの内容を外部に出力する場合、コンピュータは、作成されたリストを、例えばプリントアウトするなどして紙の媒体に印刷して外部に出力したり、フロッピー(登録商標)ディスクやメモリースティック等のデータを記憶する媒体にデータとして記憶させることにより、外部に出力する。
【0066】
ここで、上述のS409からS415までの動作について図7を参照して説明する。図7は、本発明の検索装置の一実施形態の動作の概念図である。図7において、図7上段の図がコンピュータの画面の一例であり、図7中段の図がこの画面に表示されているリストであり、図7下段の図が、紙などに印刷されるリストの一例である。図7に示されるように、コンピュータにより出力されたリスト608,609は、コンピュータの画面に表示されている。ここで、リスト608,609の行に該当する部分(横軸)が要素を示す。
【0067】
そして、利用者がリスト608,609のうちのいずれかの要素を選択すると、コンピュータの画面に表示されている形状データ701のうち、この選択された要素に対応する部分702が強調された表示となる。この強調表示により、本実施形態の検索装置では、検索された要素が、他の要素や形状の部分から区別可能に表示される。なお、コンピュータの画面には、リストと形状データとが共に表示されているとして良い。一方、コンピュータがリストを出力する場合は、リスト608,609が紙などの媒体703にプリントアウトされて出力される。
【0068】
このように、本発明の検索装置の一実施形態にれば、形状データの要素に対して、コマンド、内部要素、要素名、フリーワードなどを単独で、又は組み合わせて検索キーワードとして用いて検索するため、要素の検索を利用者の要望に沿って実施することができ、要素の検索を容易にし、要素の検索時間を短縮することができる。
【0069】
また、本発明の検索装置の一実施形態にれば、検索結果をリストとし、このリストを保存し、さらに外部に出力することが可能となっているため、過去に用いた検索条件や検索結果の利用が容易となり、出力された検索結果を用いることにより検索された要素を修正する場合などのチェックを容易にすることができる。
【0070】
また、本発明の検索装置の一実施形態にれば、検索された要素を利用者が選択した場合、形状データの表示画面において、その選択された要素に対応する部分を利用者に他の要素や形状の部分から区別可能に表示するため、利用者は、選択された要素を適切に認識することができ、要素の修正作業などをさらに容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の検索装置の一実施形態の動作の概略図である。
【図2】本発明の検索装置の一実施形態において使用される内部要素の概念図である。
【図3】本発明の検索装置の一実施形態の内部ブロック図である。
【図4】本発明の検索装置の一実施形態の動作のフローチャートである。
【図5】本発明の検索装置の一実施形態における、検索セットを設定する際にコンピュータに表示される画面の概略図である。
【図6】本発明の検索装置の一実施形態の動作の概念図である。
【図7】本発明の検索装置の一実施形態の動作の概念図である。
【符号の説明】
【0072】
100 コンピュータ
101 入力データ
102 形状データ
103 リスト
104 媒体
105 検索結果
301 検索内容受信部(検索内容受信手段)
302 形状データ取得分
303 検索内容取得分
304 要素検索部(要素検索手段)
305 リスト作成部(リスト作成手段)
306 判断部
307 リスト出力部(リスト出力手段)
308 リスト内容選択部(リスト内容選択手段)
309 選択要素表示部(選択要素表示手段)
310 修正部
311 リスト外部出力部(外部出力手段)
312 記憶部(保存手段)
501 コントロール画面
502 設定画面
503 設定ボタン
504 コマンド名入力欄
505 検索位置入力欄
506 条件入力欄
507 追加ボタン
601 形状データ
602 形状情報
603 検索結果表示画面
604 コマンド名
605 検索位置
606 条件
607 内容
608,609 リスト
701 形状データ
702 要素に対応する部分
703 媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容を受信する検索内容受信手段と、
前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索手段と、
前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成手段と、
前記検索の結果を保存する保存手段と、
前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力手段と、
前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力手段とを備える検索装置。
【請求項2】
前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択手段と、
前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示手段とを備える請求項1記載の検索装置。
【請求項3】
前記内部要素には、
前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる請求項1記載の検索装置。
【請求項4】
前記検索内容において、検索位置を指定することにより、要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する請求項1、2または3記載の検索装置。
【請求項5】
コンピュータを、
作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容が入力される検索内容受信手段、
前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索手段、
前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成手段、
前記検索の結果を保存する保存手段、
前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力手段、及び、
前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力手段として機能させるための検索プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択手段、及び、
前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示手段として機能させるための請求項5記載の検索プログラム。
【請求項7】
前記内部要素には、
前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作
図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる請求項5記載の検索プログラム。
【請求項8】
前記検索内容において、検索位置を指定することにより、要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する請求項5、6または7記載の検索プログラム。
【請求項9】
検索内容受信手段が、作図対象の形状データを構成する要素を検索するため、要素を作成する際の指示を示すコマンド、前記コマンドのパラメータである内部要素、前記要素の名を示す要素名、及び、利用者により設定された任意の文字、数字及び記号の少なくともいずれかの組み合わせからなるフリーワードのうちの、少なくともいずれか1つ又はこれら任意の組み合わせからなる、利用者により入力された検索内容を受信する検索内容受信工程と、
要素検索手段が、前記入力された検索内容に基づいて前記形状データから要素を検索する要素検索工程と、
リスト作成手段が、前記検索された要素により構成されるリストを作成するリスト作成工程と、
保存手段が、前記検索の結果を保存する保存工程と、
リスト出力手段が、前記作成されたリストを画面に出力するリスト出力工程と、
外部出力手段が、前記作成されたリストを媒体に出力する外部出力工程とを備える検索方法。
【請求項10】
リスト内容選択手段が、前記画面に出力されたリストの中から、利用者が選択した要素がいずれの要素であるのかの情報を取得するリスト内容選択工程と、
選択要素表示手段が、前記形状データを構成する要素のうち、前記利用者により選択された要素に該当する要素を利用者に他の要素から区別可能に表示する選択要素表示工程とを備える請求項9記載の検索方法。
【請求項11】
前記内部要素には、
前記要素を構成する、作図対象の頂点の情報、作図対象の端部であるエッジの情報、作図対象の面を示すフェースの情報、方向や距離などの数値や設定された名前を示すプロパティの情報うちの少なくともいずれかが含まれる請求項9記載の検索方法。
【請求項12】
前記検索内容において、検索位置を指定することにより、要素を作成する際の指示における具体的な指示内容を限定した上で検索する請求項9、10または11記載の検索方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−233811(P2007−233811A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56052(P2006−56052)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(502424056)株式会社マクシス (7)
【Fターム(参考)】