説明

検索装置

【課題】音声認識した言葉に類似した単語を優先して出力することが可能な「検索装置」を提供することである。
【解決手段】それぞれが複数の音素にて構成される複数の単語が登録されたデータベースを有し、入力された音声から認識された言葉を構成する音素と、前記データベースに登録された各単語の音素とを比較し、前記認識された言葉に対応する単語を前記データベースに登録された複数の単語から検索する検索装置であって、前記データベースに登録された単語を構成する複数の音素のうち、前記認識された言葉に出現する音素の順番で並ぶ音素の数に基づいて、前記認識された言葉に対する前記単語の類似の度合を表す類似度を演算する類似度演算手段(S14〜S23)と、前記類似度の高い順に、前記データベースに登録された単語を検索結果として出力する検索結果出力手段とを有する検索装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声認識した言葉に対応する単語を検索する検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声を認識することによって取得された言葉を利用して、文書等の各種テキストを検索する検索装置が提案されている。例えば、音声認識手段が入力音声の音声認識を行って音素表記を出力し、この音素表記を検索対象テキストデータが言語モデルよりも小単位で分割されたテキスト検索辞書と同じ単位で照合単位変換手段によって分割し、分割結果を用いてテキスト検索手段によってテキスト検索辞書の検索をおこなう音声検索装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−262279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載の音声検索装置では、入力された音声を言語モデルよりも小単位で分割されたテキスト検索を行うことで、音声の類似したテキストデータを検索することが可能となっているため、従来利用されてきた単語単位で音声認識する音声検索装置に比べて、より精度の高い検索が可能となっていた。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の音声検索装置では、入力された音声を取得し、言語モデルよりも小単位で分割された音素単位でテキスト検索を行うため、当該入力された音素の数が多く含まれるテキストデータをより上位に表示するように設定されていた。これによって、音声認識された言葉を構成する音素の順序を考慮することなく、当該音素の数に基づいて検索を行うため、音声認識した単語に全く類似していない的外れな検索結果を出力することがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、音声認識した言葉に類似した単語を優先して出力することが可能な検索装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る検索装置は、それぞれが複数の音素にて構成される複数の単語が登録されたデータベースを有し、入力された音声から認識された言葉を構成する音素と、前記データベースに登録された各単語の音素とを比較し、前記認識された言葉に対応する単語を前記データベースに登録された複数の単語から検索する検索装置であって、前記データベースに登録された単語を構成する複数の音素のうち、前記認識された言葉に出現する音素の順番で並ぶ音素の数に基づいて、前記認識された言葉に対する前記単語の類似の度合を表す類似度を演算する類似度演算手段と、前記類似度の高い順に、前記データベースに登録された単語を検索結果として出力する検索結果出力手段とを有する構成とすることができる。
【0008】
このような構成によって、データベース内に登録された複数の音素のうち、認識された言葉に出現する音素の順番で並ぶ音素の数に基づいて、認識された言葉に対する前記単語の類似の度合を表わす類似度を演算し、当該類似度の高い順に、前記データベースに登録された単語を検索し、その検索結果を出力することができることから、ユーザは出力された検索結果を取得することによって、音声認識された単語により類似した順にデータベースに登録された単語を把握することができるようになる。
【0009】
本発明に係る検索装置において、前記類似度演算手段は、前記認識された言葉を構成する音素を所定の順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースに登録された単語内での順番を取得する順序取得手段(S16、S17)と、前記取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が、前記認識された言葉を構成する音素を選択する際の前記所定の順番に対応するものであるか否かを判定する順序判定手段(S18)と、該順序判定手段によって、前記取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が前記所定の順番に対応するものであると判定されたときに、前記認識された言葉に対する前記単語の前記類似度を表すポイント値を所定数だけ加算するポイント演算手段(S19)とを有する構成とすることができる。
【0010】
このような構成によれば、認識された言葉を構成する音素を所定の順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースに登録された単語内での順番を取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が当該認識された言葉を構成する音素を選択する際の前記所定の順番に対応するものであるか否かを判定し、前記取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が前記所定の順番に対応するものであると判定されたときに、前記認識された言葉に対する前記単語の前記類似度を表すポイント値を所定数だけ加算することができることから、ポイント値が多く加算された単語を類似度の高い単語として出力することができるようになる。
【0011】
本発明に係る検索装置において、前記順序取得手段は、前記認識された言葉を構成する音素を当該言葉の先頭から順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースの登録された単語内での順番を取得する構成とすることができる。
【0012】
このような構成によれば、認識された言葉を構成する音素を当該言葉の先頭から順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースの登録された単語内での順番を取得することが可能となるので、よりスムーズに音声認識された単語に類似した順にデータベースに登録された単語を検索し、検索結果を出力することが可能となる。
【0013】
本発明に係る検索装置において、前記順序判定手段は、前記取得された順番が、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であるか否かを判定する構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、取得された順番が認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であるか否かを判定することが可能となるので、音声認識された言葉を構成する音素の順と判定される単語を構成する音素の順番が同じか否かを順序判定手段によって判定することが可能となる。
【0015】
本発明に係る検索装置において、前記ポイント演算手段は、前記順序判定手段によって、前記取得された順番が、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であると判定されたときに、ポイント値を1ポイントだけ加算する構成とすることができる。
【0016】
このような構成によれば、順序判定手段によって、取得された順番が、認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であると判定されたときに、ポイントを1ポイントだけ加算することができるので、音声認識された言葉の並びと同じデータベースに登録されている単語に対してのみ小刻みにポイントを加算することが可能となるため、より厳密に類似度の高い順に単語をデータベースから検索し、検索結果を出力することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検索装置によれば、データベース内に登録された複数の音素のうち、認識された言葉に出現する音素の順番で並ぶ音素の数に基づいて、認識された言葉に対する前記単語の類似の度合を表わす類似度を演算し、当該類似度の高い順に、前記データベースに登録された単語を検索し、その検索結果を出力することができるので、音声認識した言葉に類似した単語を優先して出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る検索装置が適用される車載ナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】記憶部(データベース)内に登録される複数の単語と当該単語を構成する音素とを対応付ける記憶テーブルを示す図である。
【図3】図2に示す記憶テーブルに登録される施設名称(単語)を構成する音素及び、当該音素の出現位置を示す図である。
【図4】図1に示す検索装置が適用される車載ナビゲーション装置における検索処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す検索装置が適用される車載ナビゲーション装置の検索処理手順の流れの一例を示す図(その1)である。
【図6】図1に示す検索装置が適用される車載ナビゲーション装置の検索処理手順の流れの一例を示す図(その2)である。
【図7】図1に示す車載ナビゲーション装置の検索結果表示画面を示す図である。
【図8】従来の検索方法によって検索された検索結果表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の形態に係る検索装置が適用される車載ナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。
【0021】
図1において、ナビゲーション装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、車両ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17、センサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ等)、及び、地図情報及び各種情報(施設名称等)を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13と、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等からなる操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0022】
処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18からの各種情報及び記憶部14から読み出した地図情報を基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行し、表示部13にナビゲーションに係る地図とともに車両位置マーク及び案内経路等を表示させるようになっている。さらに、処理ユニット11は、記憶部14に記憶された情報に基づいて車両ナビゲーションの目的地の設定等に係る処理を行なうことができるようになっている。
【0023】
また、処理ユニット11には、音声入力回路20が接続されている。この音声入力回路20には、音声を集音するマイク21が接続されており、マイク21から入力された音声が音声信号として音声入力回路20を介して処理ユニット11に供給されるようになっている。さらに、処理ユニット11には、音声認識エンジン19が接続されており、この音声認識エンジン19は音声入力回路20から処理ユニット11に供給された音声信号を取得し、その音声(言葉)に対する音声認識処理を実行する。この車載ナビゲーション装置100は、乗員の発する音声(言葉)によって目的地等の設定を行うことが可能となっており、処理ユニット11は、音声認識エンジン19によって音声認識された音声(言葉)を取得し、当該音声認識した音声(言葉)に対応する単語(施設名称)を、前述した記憶部14に格納された施設名称に係る記憶テーブルから検索し、その検索結果を表示部13に表示する検索装置としての機能を有する。
【0024】
記憶部14に記憶される施設名称に係る記憶テーブルは、例えば、図2に示すように構成される。この記憶テーブルは、登録された各施設名称(単語)を構成する各音素(ヨミ文字)の当該施設名称での出現位置を表す出現位置ビットをその属する施設名称を特定する識別子(POI INDEX)に対応付けて表している。各施設名称(単語)対応付けられた各音素の出現位置ビットは、例えば、施設名称「アクアマリン福島」(POI INDEX=1)について、図3に示すように決められる。
【0025】
図3において、表の横方向には、「ましくふんりまあくあ」と音素を読み方向と逆方向に示されており、縦方向には当該「あくあまりんふくしま」を構成する7つの音素が縦方向に「あ」、「く」、「ま」、「り」、「ん」、「ふ」、「し」と示されている。例えば、音素「あ」については、「ましくふんりまあくあ」の8番目と10番目に出現することから、8番目と10番目に「1」を表記し、それ以外(出現しない番目)に「0」を表記する。これによって、施設名称「あくあまりんふくしま」における音素「あ」の出現位置は「0000000101」と表記され、これを16進法表記の出現位置ビット「0×00000005」として表す。さらに、音素「く」については、「ましくふんりまあくあ」の3番目と9番目に出現することから、3番目と9番目に「1」を表記し、それ以外に「0」を表記する。これによって、音素「く」の出現位置は「0010000010」と表記され、これを16進法表記の出現位置ビット「0×00000082」として表す。このようにして全ての音素について同様に、各施設名称を構成する各音素出現位置ビットが決められる。この出現位置ビットを利用することによって、各施設名称(単語)を構成する音素の出現位置(音素の順番)を取得することができる。
【0026】
例えば、目的地を設定するために乗員が施設名称を発声すると、処理ユニット11は、音声認識エンジン19での音声認識処理にて得られた言葉が表す施設名称を前述した記憶テーブル(図2参照)に登録された施設名称から検索する処理を図4に示す手順に従って実行する。
【0027】
まず、ユーザによって音声が発生され、当該音声をマイク21が取得し、音声入力回路20を介し処理ユニット11に供給される。これによって処理ユニット11は、供給された音声信号を音声認識エンジン19に供給し、当該音声認識エンジン19によって音声認識された音声(言葉)が処理ユニット11に供給される。このようにして処理ユニット11に供給された音声認識された音声(言葉)を当該音声を構成する音素の状態に分解する(S11)。例えば、このときユーザーによって発せられた音声(言葉)が「ふくしまのあくあまりん」であったときの処理について、詳しく説明する。そして処理ユニット11は、全ての施設名称を検索したか否かを判定(S12)し、全ての施設名称を検索していないと判定された(S12でNO)ときに、Count(カウント)及びPosition(ポジション)を「0」に、iを「1」に初期設定する(S13)。このカウントは、これから検索する単語と音声認識された音声(言葉)との類似度をわかりやすく表示するものであって、例えば、カウントが高ければ高いほど類似度が高いことを示すようになっている。また、ポジションは、音声認識された音素が対応する記憶テーブル内に登録された単語の音素の出現する位置を示しており、例えば、図5に示すように音声認識された言葉が「ふくしまのあくあまりん」であった場合において「ふ」のポジションは、記憶テーブル内に登録された施設名称の1つである「あくあまりんふくしま」の「ふ」のポジションを取得するようになっており、即ち、「あくあまりんふくしま」では「ふ」は7番目であるため、このポジションは「7」となる。加えて、iは、音声認識した言葉のi番目の音素を示す英文字である。
【0028】
そして処理ユニット11は、処理S13において初期設定が済むと音声認識された言葉を構成する音素の全音を検索したか否かを判定する(S14)。例えば、このとき処理ユニット11は、前述した「i>n」(nは音声認識した言葉を構成する音素の数、例えば現在の音声認識された言葉は、「ふくしまのあくあまりん」なので、n=11)か否かを判定する。これによって、前述した処理S13において「i=1」に設定されているので、「i<n」となる。よって、音声認識された言葉を構成する音素の全音を検索していない(S14でNO)と判定されると、処理ユニット11は、p(i)が記憶テーブルに記憶された施設名称内に存在するか否かを判定する(S16)。p(i)とは、音声認識された音声を構成するi番目の音素を示しており、例えば、現在「i=1」に設定されているためp(1)は、音声認識された言葉「ふくしまのあくあまりん」の「ふ」である。
【0029】
これによって、p(1)である「ふ」が施設名称内にあると判定された(S16でYES)ときに、処理ユニット11は、p(i)のポジションを取得する(S17)。具体的には、「ふ」が記憶テーブルに登録された単語の1つである施設名称(あくあまりんふくしま)に含まれるか否かを判定する。このとき、「あくあまりんふくしま」にp(1)である「ふ」が含まれていることから、記憶テーブルに登録された施設情報である「あくあまりんふくしま」を構成する音素のポジション「7」(「ふ」は、「あくあまりんふくしま」の7番目に出現する為)をニューポジションとして取得する(S16及びS17、順序取得手段)。そして処理ユニット11は、ニューポジション(「7」)がポジション(前述した通り、「0」)より大きいか否かを判定する(S18)。つまり、ニューポジション「7」が前述したポジション「0」より大きいか否かを判定する(順序判定手段)。これによって、ニューポジションがポジションより大きいと判定された(S18でYES)のときに、処理ユニット11は、カウントに「1」を加え(ポイント演算手段)、次の処理に移行する(S19)。一方、ニューポジションがポジションより大きくないと判定された(S18でNO)ときに、処理ユニット11は、前述した処理S19に示すような処理を行なわず、次の処理S20へと移行する。
【0030】
そして、処理ユニット11は、ニューポジションが記憶テーブル内に登録された施設名称の末端であるか否かを判定する(S20)。これによって、ニューポジションが記憶テーブル内に登録された施設名称の末端でないと判定された(S20でNO)ときに、処理ユニット11は、ポジションをニューポジションへと変更する。具体的には、前述した処理S17で取得したニューポジション「7」は、施設名称(「あくあまりんふくしま」)の末端ではないことから、ポジションは、「1」からニューポジションである「7」へと変更される。一方、ニューポジションが施設名称の末端であると判定された(S20でYES)のときに、処理ユニット11は、ポジションを「0」に戻し、処理S23へと移行する。また、処理S16において、p(i)が施設名称内に存在しないと判定された(S16でNO)ときにも同じく、処理ユニット11は処理S23へと移行する。このような処理を行なった後に、処理ユニット11は、iに「1」を加える処理をおこない(S23)、処理S14へと再度移行する。
【0031】
そして処理ユニット11は、図5に示すようにすべての音素において、処理S14から処理S23までの処理を繰り返し行なう。これによって、音声認識された言葉「ふくしまのあくあまりん」を構成する全ての音素について処理S14〜処理S23に示す処理を行なった結果、カウント(スコア値)は、「9」となる。このようにして音声認識された言葉を構成する音素の全音を検索が終了した(S14でYES)ときに、処理ユニット11は、このカウント(スコア値「9」)を施設名称に対応付けて、記憶部14に記憶させる(S15)。このようにして1つの施設名称のスコア値を演算した後に、処理ユニット11は、記憶テーブルに登録された全て施設名称(単語)を検索したか否かを判定する(S12)。これによって、全ての施設名称を検索された(S12でYES)ときに、処理ユニット11は、検索処理を終了させる。一方、全ての施設名称が検索されていないと判定された(S12でNO)ときに、再度、Count(カウント)及びPosition(ポジション)を「0」に、iを「1」に初期設定する(S13)。
【0032】
これによって処理ユニット11は、前述した処理S14によって、音声認識した音素の全音素の検索をしていないと判定された(S14でNO)ときに、p(i)(「ふ」)が記憶テーブルに記憶された施設名称内に存在するか否かを判定する(S16)。これによって、p(i)(「ふ」)が施設名称内にあると判定された(S16でYES)ときに、処理ユニット11は、p(i)のポジションを取得する(S17)。具体的には、「ふ」が記憶テーブルに登録された単語の1つである施設名称(ふくのあさましんくりやまてん)に含まれるか否かを判定する。このとき、「ふくのあさましんくりやまてん」にp(i)である「ふ」が含まれていることから、記憶テーブルに登録された施設情報である「ふくのあさましんくりやまてん」を構成する音素のポジション「1」(「ふ」は、「ふくのあさましんくりやまてん」の1番目に出現する為)をニューポジションとして取得する。そして処理ユニット11は、ニューポジション(「1」)がポジション(前述した通り、「0」)より大きいか否かを判定する(S18)。これによって、ニューポジションがポジションより大きいと判定された(S18でYES)のときに、処理ユニット11は、カウントに「1」を加え次の処理に移行する。一方、ニューポジションがポジションより大きくないと判定された(S18でNO)ときに、処理ユニット11は、前述した処理S19に示すような処理を行なわず、次の処理S20へと移行する。
【0033】
そして、処理ユニット11は、ニューポジションが記憶テーブル内に登録された施設名称の末端であるか否かを判定する(S20)。これによって、ニューポジションが記憶テーブル内に登録された施設名称の末端でないと判定された(S20でNO)ときに、処理ユニット11は、ポジションをニューポジションへと変更するが、今回の施設名称においては、前述した処理S17で取得したニューポジション「1」は、施設名称(「ようふくのあさましんくりやまてん」)の末端ではないことから、ポジションは「1」のまま維持される。一方、ニューポジションが施設名称の末端であると判定された(S20でYES)のときに、処理ユニット11は、ポジションを「0」に戻し、処理S23へと移行する。また、処理S16において、p(i)が施設名称内に存在しないと判定された(S16でNO)ときにも同じく、処理ユニット11は処理S23へと移行する。このような処理を行なった後に、処理ユニット11は、iに「1」を加える処理をおこない(S23)、処理S14へと再度移行する。
【0034】
そして処理ユニット11は、図6に示すようにすべての音素において、処理S14から処理S23までの処理を繰り返し行なう。これによって、音声認識された言葉「ふくしまのあくあまりん」を構成する全ての音素について処理S14〜処理S23に示す処理を行なった結果、カウント(スコア値)は、「8」となる。このようにして音声認識された言葉を構成する音素の全音を検索が終了した(S14でYES)ときに、処理ユニット11は、このカウント(スコア値「8」)を施設名称「ふくのあさましんくりやまてん」に対応付けて、記憶部14に記憶させる(S15)。このようにして2つめの施設名称のスコア値を演算した後に、処理ユニット11は、記憶テーブルに登録された全て施設名称を検索したか否かを判定する(S12)。これによって、全ての施設名称を検索された(S12でYES)ときに、処理ユニット11は、検索処理を終了させる。一方、全ての施設名称が検索されていないと判定された(S12でNO)ときに、再度、Count(カウント)及びPosition(ポジション)を「0」に、iを「1」に初期設定する(S13)。
【0035】
以上のような処理手順によって、処理ユニット11は、記憶部14内に記憶された記憶テーブルに登録された施設名称(単語)を検索し、スコア値の高いもの、即ち、類似度の高い順に検索結果を、例えば、図7に示すように表示部13に表示させるようになっている。図7において、前述した処理によってスコア値の付与された施設名称がそのスコア値の高い順に表示されている。これによって、ユーザはより音声認識された音声(言葉)に類似した言葉(施設名称)を優先して出力された検出結果を把握することが可能となる。加えて、検索装置が適用される車載ナビゲーション装置100は、音声認識された言葉に類似した順に単語(施設名称)を把握することができるようになることから、より目的地をスムーズに決定することができるようになる。
【0036】
なお、図8に従来の方法(音声認識された言葉を構成する音素と同じ音素をより多く含む施設名称(言葉)をより上位に出力する方法)によって検索された検索完了画面を示す。図8において、例えば、音声認識された言葉が「ふくしまのあくあまりん」であったときに、記憶テーブルに記憶された施設名称内の「あくあまりんふくしま」と「ふくのあさましんくりやまてん」とを比較した場合、音声認識された言葉である「ふくしまのあくあまりん」を構成する音素のすべてが「ふくのあさましんくりやまてん」を構成する音素に全て含まれているため、スコア値が11となる。また、「あくあまりんふくしま」には、「ふくしまのあくあまりん」を構成する音素の1つである「の」が含まれていないため、スコア値が10となる。このため、音声認識された言葉「ふくしまのあくあまりん」により類似している「アクアマリン福島」よりも、その音声認識された言葉とは全く異なる「服の浅間新栗山店」が上位に出力されてしまう。
【0037】
これに対して、本発明の実施の形態に係る検索装置が適用される車載ナビゲーション装置100によれば、音声認識された言葉「ふくしまのあくあまりん」により類似した単語(施設名称)である「アクアマリン福島」を「服の浅間新栗山店」よりも、上位に出力することができる。このように、音声認識した言葉に類似した単語を優先してその検索結果として出力することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上、説明したように、本発明に係る検索装置は、音声認識した言葉に類似した単語を優先して出力することができるという効果を有し、音声認識した言葉に対応する単語を検索する検索装置として有用である。
【符号の説明】
【0039】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部(データベース)
15 出力回路
16 スピーカ
17 GPSユニット
18 センサ類(ジャイロセンサ、加速度センサ)
19 音声認識エンジン
20 音声入力回路
21 マイク
100 車載ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の音素にて構成される複数の単語が登録されたデータベースを有し、入力された音声から認識された言葉を構成する音素と、前記データベースに登録された各単語の音素とを比較し、前記認識された言葉に対応する単語を前記データベースに登録された複数の単語から検索する検索装置であって、
前記データベースに登録された単語を構成する複数の音素のうち、前記認識された言葉に出現する音素の順番で並ぶ音素の数に基づいて、前記認識された言葉に対する前記単語の類似の度合を表す類似度を演算する類似度演算手段と、
前記類似度の高い順に、前記データベースに登録された単語を検索結果として出力する検索結果出力手段とを有する検索装置。
【請求項2】
前記類似度演算手段は、前記認識された言葉を構成する音素を所定の順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースに登録された単語内での順番を取得する順序取得手段と、
前記取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が、前記認識された言葉を構成する音素を選択する際の前記所定の順番に対応するものであるか否かを判定する順序判定手段と、
該順序判定手段によって、前記取得された順番と、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番との関係が前記所定の順番に対応するものであると判定されたときに、前記認識された言葉に対する前記単語の前記類似度を表すポイント値を所定数だけ加算するポイント演算手段とを有する請求項1記載の検索装置。
【請求項3】
前記順序取得手段は、前記認識された言葉を構成する音素を当該言葉の先頭から順番に従って選択する過程で、その選択された音素と同じ音素の前記データベースの登録された単語内での順番を取得する請求項2記載の検索装置。
【請求項4】
前記順序判定手段は、前記取得された順番が、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であるか否かを判定する請求項3記載の検索装置。
【請求項5】
前記ポイント演算手段は、前記順序判定手段によって、前記取得された順番が、前記認識された言葉から前回選択された音素と同じ前記単語内の音素に対して取得された順番より後であると判定されたときに、ポイント値を1ポイントだけ加算する請求項4記載の検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−237930(P2011−237930A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107388(P2010−107388)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】