楕円形ガレットを備えた丸鋸ブレード
【課題】疲労を軽減し、ブレードの寿命を延ばすように設計されたガレットを有する丸鋸ブレードを提供する。
【解決手段】円形コアと、円形コアの前記外縁部にある複数の切断要素と、円形コアの前記外縁部から半径方向内側に延びるガレットを含み、ガレットは、ブレードの周縁部から半径方向内側に延び、スリットを含む形状を有し、スリットは、ガレット構造の外形をたどり、円形の終点で終端し、前記複数の切断要素は、金属結合剤に保持された超砥粒を含む砥粒含有セグメントを含み、前記超砥粒は、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素の混合物を含み、前記金属結合は、鉄、銅、およびスズからなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記コアは、前記第1および第2の平面側間に配置された音波減衰材料の中間層を有するサンドイッチ型コアである丸鋸ブレード。
【解決手段】円形コアと、円形コアの前記外縁部にある複数の切断要素と、円形コアの前記外縁部から半径方向内側に延びるガレットを含み、ガレットは、ブレードの周縁部から半径方向内側に延び、スリットを含む形状を有し、スリットは、ガレット構造の外形をたどり、円形の終点で終端し、前記複数の切断要素は、金属結合剤に保持された超砥粒を含む砥粒含有セグメントを含み、前記超砥粒は、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素の混合物を含み、前記金属結合は、鉄、銅、およびスズからなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記コアは、前記第1および第2の平面側間に配置された音波減衰材料の中間層を有するサンドイッチ型コアである丸鋸ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法119条(e)に基づき、2008年1月22日に出願の米国仮特許出願第61/011,806号の利益を主張するものであり、また、2005年4月20日に出願の米国特許出願第11/110,525号の一部継続出願であり、これらの特許は共に参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0002】
本発明は、鋸ブレードに関し、より詳細には、疲労を軽減し、ブレードの寿命を延ばすように設計されたガレットを有する丸鋸ブレードに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の丸鋸ブレードは通常、その周縁部に沿って離間した一連のカッタまたは歯を有する鋼製の円形コアを含む。ブレードの周縁部から内側に延びる切欠きの形態のガレットは、カッタ間に空間を形成するようにしばしば配置されて、ブレードの応力を軽減し、切り屑を除去することにより切断に寄与する。様々なガレット構成を使用することができる。特定のブレードに採用される実際のガレット構成は、そのブレードを使用すると予想される切断用途によって決まる。
【0004】
比較的幅狭のガレットを有する鋸ブレードは、携帯用電動鋸を用いた建設材料の切断と、もう1つは、円滑な切断動作が望ましい固定機械での石の切断用途とに有用であると分かっている。切断動作の円滑性は、例えば、比較的幅狭のガレットを使用するなどして、カッタを互いに比較的近接して置くようにした場合に高くなることが分かっている。その一方で、特に、ブレードが高い半径方向圧力を受ける場合に、これらのガレットの小さい丸みの付いた端部からクラックが広がる傾向がある。この問題は、疲労境界(fatigue barrier)を超えたブレードで深刻になる。あるいは、比較的幅広のガレットを有する鋸ブレードを使用することもできる。これらのガレットは通常、それらの内側端部の半径が比較的大きくなっており、ブレードに比較的高い疲労強度をもたらすことが分かっている。したがって、これらのガレットは、他のブレードタイプでは応力によるクラックがガレットから広がるために不良になる傾向がある、アスファルトまたはコンクリートの床の切断などの比較的高応力の切断環境に有用である。
【0005】
鍵穴形状のガレットは、幅狭のガレットと幅広のガレットの両方の利点を併せ持とうとするものである。これらのガレットにより、(例えば、切断動作が円滑に行われるように)ブレードのカッタを互いに比較的近接して配置することが可能になり、その一方で、さらに、(例えば、クラックの形成を減らすのに寄与するように)その半径方向内側端部で各ガレットに比較的大きな半径が付与される。鍵穴ガレットは、用途によっては幅狭ガレットおよび幅広ガレットに勝る改良された特性を示すことができるが、欠点がないわけではない。例えば、鍵穴ガレットで得られる結果は、鋼や、比較的異種の加工材料混合物、例えば、鉄骨鉄筋コンクリートなどの切断が困難な材料を使用する用途では、決して最上のものではなかった。これらの条件下で、クラックがガレットの端部または側部から広がると分かっており、これは、使用者の安全および鋸の性能を損なう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、丸鋸ブレードに適した改良されたガレットが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は丸鋸ブレードを提供する。丸鋸ブレードは、第1の平面側および第2の平面側、中心軸穴、ならびに外縁部を有する円形コアを含む。複数の切断要素がコアの外縁部にある。さらに、コアの外縁部から半径方向内側に延びる1つまたは複数のガレットがある。各ガレットには、他のガレット領域と比べてクラックを生じやすいガレット領域の半径を拡大する少なくとも1つの長い湾曲部のある形状が含まれる。そのような一実施形態では、各ガレットには、3つの異なるガレット領域に対応する3つ以上の楕円形状が含まれる。具体的なそのような一構成では、ガレット形状には、それぞれが半径方向内側の湾曲した底部につなげられた2つの湾曲側部が含まれる。底部は、第1の楕円形状の長い側と同様の形状とされ、2つの側部はそれぞれ、第2の楕円形状の長い側と同様の形状とされる。そのような一例では、ガレットは、2つの側部および底部を画定する開口を含む。別のそのような例では、ガレットは、2つの側部および底部を画定するスリットを含む。別のそのような例では、第1および第2の楕円形状は、それらの各長軸および短軸に関して対称である。あるいは、第1および第2の楕円形状の少なくとも1つは、その長軸および短軸の少なくとも1つに関して非対称とすることができる。別のそのような例では、第1の楕円形状は、第2の楕円形状の各短軸および長軸よりも共に短い短軸および長軸を有する。コアは、(単層や、一体ブレードではなくて)例えば、結合材料および機械式留め具の少なくとも1つによって動作可能に結合された2つ以上の層を含むことができる。そのような一例では、コアは、第1および第2の平面側間で結合された、音波減衰材料(例えば、コルク、樹脂、銅、または軟鉄)の中間層を含むサンドイッチ型コアとされる。コアは、例えば、鋼および/または非金属材料で、あるいは他の好適な材料で作ることができる。切断要素には、例えば、固定砥粒セグメント、砥粒単層、または歯、あるいはそれらの組み合わせを含めることができる。特定の一構成では、隣接する切断要素間に少なくとも1つのガレットがある。
【0008】
本明細書で説明する特徴および利点はすべてを含めたものではなく、特に、それ以上の多数の特徴および利点が、図面、明細書、および特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう。さらに、明細書で使用する専門用語は、主に可読性および教示目的で選択され、本発明の対象の範囲を限定するためではないことに留意されたい。
【0009】
添付の図面では、参照符号は、様々な図を通じて同じ部品を指す。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それよりも本発明の原理を図示することに重きを置いた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図1b】本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図1c】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図1d】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図1e】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図2a】本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図2b】本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図2c】そのような一実施形態による図2aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図2d】そのような一実施形態による図2aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図3a】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3b】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3c】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3d】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3e】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
丸鋸ブレード用の改良したガレットが開示される。本ガレット構造は、円形形状を採用する従来のガレット構造の1つまたは複数の「弱体」領域、例えば、典型的なガレット構造の半径方向最深箇所にある円形部分の各側部および底部などの半径を最大限にする1つまたは複数の楕円形状を採用する。切断歯を有するブレード、砥粒セグメントを有するブレード、および1つまたは複数の層で構成されるコアを有するブレードを含めた任意のタイプの丸鋸ブレードで、楕円形ガレットを採用することができる。
【0012】
総括
従来の鋸ブレードは通常、鋼コア(例えば単層および二重層コア、ならびにエポキシ、にかわ、コルク、樹脂、銅、または軟鉄などの異なる材料の中間層または「挟み込まれた」層を含むサンドイッチ型コア)を含む。前記のように、そのような既存のブレードは、ブレードの周縁部から内側に延びる切欠きの形態のガレットを有する。これらのガレットは、カッタ間に空間を形成するように配置されることが多く、切断を手助けし、切断作業中および製造工程時の応力を軽減する。従来のブレードによれば、ガレットは通常、クラックが生じやすい領域に円形形状を含む。
【0013】
対照的に、本発明の実施形態は、楕円性を有するガレットを採用する。特に、各楕円形ガレットは、円形ガレットに付随する弱体領域にその長軸が沿っている少なくとも1つの楕円形状を含む。この弱体領域には、例えば、(図3a、図3d、および図3eに示すような)円形部分につながる首部分を有する鍵穴型ガレットの半径方向内側にある円形部分の側部および底部が含まれる。首部分は、(図3dに最もよく示すように)斜めであってもよいし、または(図3eに最もよく示すように)矢印形状をとってもよい。他の例示的な弱体ガレット領域には、(図3bおよび図3cに示すような)幅狭および幅広ガレットの半径方向最深の半円部分が含まれる。1つまたは複数のこれら弱体箇所の半径を最大限にすることで、ガレットは、疲労およびクラックに対する抵抗性がより高まる。楕円形状の短軸は、クラックが自然に発生する可能性が低いガレット領域に沿って設けられる。
【0014】
この開示から明らかなように、楕円形ガレットは、その長軸および短軸に関して完全な対称性を有する、正確なまたは「真の」楕円を取り入れる必要はない。より正確に言えば、本明細書で説明する楕円形ガレットは、既知の弱体ガレット領域(例えば、前記のように、従来からの底部および2つの側部)の半径を非弱体ガレット領域を基準として拡大するように設計される。したがって、ガレット形状を説明するために本明細書で使用する「楕円形の」という用語は、正確な楕円性を有する形状だけでなく、長い湾曲部を有する形状も含めた、この目的を達成する形状のバリエーションすべてを対象とすることを意図されており、長い湾曲部は、(その長い湾曲部に真の/正確な楕円性がないにもかかわらず)1つまたは複数の既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する。
【0015】
さらに、ガレット構造の長軸が既知の弱体領域に維持される限り、楕円形ガレットの切欠き構造も同様に変えることができる。例えば、一実施形態では、概略的には開放型のしずく状ガレットが提供され、このしずく状ガレットは、(図1a〜1eを参照して説明するように)ガレット側部を長くするように、それぞれがブレードの半径方向にその長軸を有する第1の楕円形状対、および/またはガレット底部を長くするように、ブレードの軸方向にその長軸を有する第2の楕円形状を含む切欠きを有する。代替の実施形態では、(図2a〜2dを参照して説明するように)基本的に前記開放型のしずく状ガレットの外形をたどるスリットを有する概略的にはスリット型のガレットが提供される。公知のように、「軸方向の」という用語は通常、鋸ブレードの回転中心に対してほぼ平行な方向を指す。「半径方向の」という用語は通常、軸方向に対して垂直な方向を指す。
【0016】
前記のように、楕円形ガレットは、特定のタイプの鋸ブレードに限定されるものではない。より正確に言えば、楕円形ガレットは、(木材やプラスチックなどを切断するための)歯、または(石材や他の非常に硬い材料などを切断するための)砥粒セグメントを有するブレードと合わせて設けることができる。さらに、楕円形ガレットは、単層コア、二層コア、および(例えば、様々な切断用途での騒音を低減するための)サンドイッチ型コアを有するブレードと合わせて設けることができる。
【0017】
鋸ブレードおよびガレット実施例
図1a〜1eは、本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。見て分かるように、丸鋸ブレード10は、一連の楕円形ガレット16によって分離された周縁切断要素12を有する。
【0018】
示した実施形態では、ブレード10は、軸穴14を有するコア21を含み、軸穴14を通じて、丸鋸のスピンドルまたは他の適切な機械に従来と同様に(例えば、ねじ付き留め具を用いて)取り付け、留めることができる。実施形態によっては、ブレード10は、米国特許出願公開第2006/0185492号明細書に記載のブッシュ、および/または米国特許出願公開第2006/0266176号明細書に記載の、複数の穴径に対処するためのアセンブリをさらに含むことができる。これらの特許出願のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0019】
本発明の実施形態に従って構成された鋸ブレードは、様々な用途に使用することができる。例えば、鋸ブレード10は、ガソリン駆動の携帯鋸(例えば、Andreas Stihl AGによって製造されるSTIHL TS760)に取り付けることができ、鋼板を乾式切断するのに使用できる。さらに、鋸ブレード10は、床鋸(例えば、Saint−Gobain SAによって製造されるClipper CSB1 P13)に取り付けることができ、コンクリートを湿式切断するのに使用することができる。さらに、鋸ブレード10は、自動式14馬力(10.3kW)切断鋸盤(例えば、HUARDによって製造されるHUARD 30V53)に取り付けることができ、鋼またはプラスチック管を切断するのに使用することができる。多数の適切な機械および用途が本開示から明らかになるであろう。
【0020】
示したように、コア21は形状が略円形である。例示的な一実施形態では、コアは、機械的に(例えば、溶接、リベット、ならびに/またはナットおよびボルト装置によって)互いに直接留められた2つの別個の外側層を含む。あるいは、コア21は、コルク、にかわ、エポキシ、または他の適切な制振材料(例えば、樹脂、銅、および軟鉄)などの騒音減衰材料の内側層を、2つの別個の外側層が挟み込むサンドイッチ型コアとすることもできる。あるいは、楕円形ガレット16を(例えば、現場で、プレス成形を経て機械加工して、またはその他の方法で形成して)設けることができさえすれば、コア21は、適切な計測または成形プロセス(例えば、金属鋳造、射出成形、熱間圧縮成形、冷間圧縮成形など)を通じて一体で形成することができる。コア21の外側層は、それらが実際上別個であるかまたは一体であるかにかかわらず、手近にあって、1つまたは複数の切断用途に対して十分な強度を有する実質的に任意の材料で製造することができる。適切な材料の例には、鋼、アルミニウム、チタン、青銅、それらの複合材および合金、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、ANSI4130鋼、アルミニウム合金2024、6065、7178)。あるいは、用途によっては、強化プラスチックまたは非金属複合材を使用してコア21を構築することができる。
【0021】
コア21は、切断要素12および楕円形ガレット16のほかに他の特徴部を有することができる。例えば、特定の一実施形態では、コア21は、軸穴14およびブレード10の周縁部と同軸に、かつそれらの間に配置された円周に沿って、主コア領域を貫通する1つまたは複数の孔を含む。これらの孔は、ブレード10の回転動作中に、所定の切り込み深さに対応する、コア21を貫通する環状窓を形成するように配置される。実施形態では、半径方向に最深の孔セット33は、第1の切り込み深さに対応する第1の環状窓を形成し、半径方向に最外の孔セット33は、第2の切り込み深さに対応する第2の環状窓を形成する。1つまたは複数の切り込み深さゲージを有する丸鋸ブレードについてのこれ以上の詳細は、例えば、米国特許第7,210,474号明細書に提示されており、この特許は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。ブレードのバランスをとる、ブレードの供給元を示す、ブレードの動作音を低減する、およびブレードの適切な取り付け示す、などの他の機能上の特徴を採用することもできる。
【0022】
図1c、図1d、図1eに最もよく示すように、この例示的な実施形態の各ガレット16は、鋸ブレード10の周縁部から半径方向内側に延びる平行な側壁によって画定される首部分18を含む。側壁は、首部分18の半径方向内側端で(図1dに最もよく示すように約45°で)互いからそれて、弓形ベース部20を形成する。示すように、ベース部20の底部は、楕円形状27の長い側と同様に成形されている。同様に、ベース部20の左側は、楕円形状25の長い側と同様に成形され、ベース部20の右側は、楕円形状26の長い側と同様に成形されている。本開示から明らかなように、これらの特定の位置(ガレットの底部および側部)でガレットの半径を長くすることにより、ブレード10の耐クラック性が改善される。ガレット16の構造内に具現化された(破線で示す)楕円形状のそれぞれに対して、各長軸および短軸両方の半径を含む例示的な寸法が示されている。ただし、前記のように、ガレット16は、完全な楕円形状を持たない細長い形状で構成することもできることに留意されたい。例えば、西洋梨形状もしくは波形状、または任意の細長い凹形状などの形状には、長軸(および/または短軸)に対して2つ以上の半径長さがあり得る。要するに、楕円形ガレット16は、非弱体ガレット領域の半径を基準として、既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する任意の構造を有することができる。
【0023】
ある実施形態では、切断要素12は、周縁部またはコア21に沿って離間した砥粒含有セグメントの形態をとる。セグメントは、例えば、周縁部またはコア21にろう付けされるか、あるいはその他の方法で固定される金属結合剤に保持された超砥粒を含むことができる。例えば、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素(cBN)などの超砥粒を、鉄、銅、およびスズなどの適切な金属結合剤と混合することで、超砥粒工具を製造することができる。次いで、その混合物を成形型内で圧縮して所望の形状(例えば、所望の幅、長さ、および曲率を有するセグメント)を形成する。次いで、「固まっていない」形成物を適切な温度で焼成して、多数の超砥粒が配置された結合セグメントを形成する。セグメントは、(例えば、ろう付け、アーク溶接、またはレーザ結合によって)コア21の周縁部に取り付けられる。
【0024】
本発明の実施形態に従って構成され、切断要素12に適した砥粒セグメント構造を有する丸鋸ブレードのさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,518,443号明細書(砥粒の体積パーセントが交互に替わる砥粒セグメント)、米国特許第6,033,295号明細書(砥粒セグメント部分が硬化する)、および米国特許第5,868,125号明細書(刻み目のある砥粒セグメント)に提示されており、これら特許のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。さらに、セグメント数を少なくし、折れ/曲がりに対する抵抗性を改善し、製造コストを下げるために、ブレード直径に比例して砥粒セグメントを長くすることができる。そのような一実施形態では、砥粒セグメント長さ/ブレード直径比は最小で0.2である。前記のように、比較的困難な切断作業に(例えば、コンクリート、アスファルト、石、および他の硬質材料を切断するのに)砥粒セグメントを使用することができる。
【0025】
あるいは、鋸ブレード10には、木材、プラスチックなどの比較的軟質の材料の切断を意図した、適用性の広い丸鋸ブレードの典型である歯の形態の切断要素12を設けることができる。公知のように、歯は任意の大きさおよび形状とすることができる。さらに、歯には、タングステンカーバイドなどから作られる従来の硬化刃先を付けることができ、かつ/または砥粒を結合させることもできる。そのような例示的な一実施形態では、鋸ブレード10には、米国特許第6,817,936号明細書および米国特許第6,935,940号明細書に記載のように、各歯の少なくとも一部に化学的に結合された砥粒の単層を有する複数の歯を設けることができ、これらの特許はそれぞれ、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0026】
あるいは、鋸ブレード10には、(周縁部に結合セグメントを取り付けたり、または歯を設けたりするのではなく)コア21の周縁部にろう付けされるか、電気めっきされるか、またはその他の方法で付着された砥粒の単層の形態の切断要素12を設けることができる。本開示から明らかなように、切断要素12の様々な構成および材料を本発明の実施形態に使用することができる。本発明は、特定の切断要素構成または方式に限定されることを意図するものではない。
【0027】
例示的寸法(ミリメートル、mm)が図1a〜図1eにも示されている。これらの寸法は、製造可能な具体的かつ例示的な一実施形態として単に提示されているに過ぎない。一方、様々な寸法および楕円形ガレット構成を使用して、本発明の実施形態による鋸ブレードを構築できることが、本開示を考慮すれば容易に分かるであろう。本発明は、特定のセットまたは範囲のブレード寸法または構成に限定されることを意図するものではない。より正確に言えば、本発明の実施形態は、その意図した目的のために構築でき、本明細書で説明した楕円形ガレットを用いて構成できる任意の鋸ブレードを対象とすることを意図したものである。
【0028】
図2a〜2eは、本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットで構成された丸鋸ブレードを示している。見て分かるように、丸鋸ブレード10は、一連の楕円形ガレット216によって分離された周縁切断要素12を備えたコア21を有する。切断要素12およびコア21に関する説明を含む、図1a〜1eを参照した前記の説明は、この場合にも同様に適用可能であり、楕円形ガレット16(例示の寸法を含む)および鋸ブレード10に関する全般的な説明も適用可能である。図2a〜2dに示す実施形態の主な相違は、楕円形ガレット216の構造にある。孔33で形成される切り込み深さゲージのないことおよび寸法品質など、他の相違は明らかであろう。
【0029】
図2cおよび図2dに最もよく示すように、この例示的な実施形態の各ガレット216は、鋸ブレード10の周縁部から半径方向内側に延び、基本的に、ガレット16の構造の首部分18であった部分の中心から始まるスリット218を含む。スリット218は、(図2cに最もよく示すように約45°で)右に広がり、基本的に、ガレット16の構造の弓形ベース部20であった部分の外形をたどる。スリット218は、この軌跡の端部で内側に曲がり、円形の終点220で終端する。スリットの幅(切り口)は、例えば、50マイクロメートル〜5ミリメートルの範囲をとることができる(示した実施形態では約1ミリメートルである)。示すように、スリット218によって形成された軌跡の底部は、楕円形状227の長い側と同様に成形されている。同様に、スリット218によって形成された軌跡の左側は、楕円形状225の長い側と同様に成形され、スリット218によって形成された軌跡の右側は、楕円形状226の長い側と同様に成形されている。ガレット16と同様に、ガレット216も既知の弱体位置(ガレットの底部および側部)に長い半径を採用して、ブレード10の耐クラック性を改善している。ガレット216の構造内に具現化された(破線で示す)楕円形状のそれぞれに対して、各長軸および短軸両方の半径を含む例示的な寸法が示されている。ただし、前記のように、ガレット216は、完全な楕円形状を持たない細長い形状で構成することもできることに留意されたい。例えば、西洋梨形状もしくは波形状、または任意の細長い凹形状などの形状には、長軸(および/または短軸)に対して2つ以上の半径長さがあり得る。要するに、楕円形ガレット216は、非弱体ガレット領域の半径を基準として、既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する任意の構造を有することができる。
【0030】
本発明の実施形態についての前記の説明は、例示および説明のために提示された。前記の説明は、それに尽きること、または開示したそのままの形態に本発明を限定することを意図するものではない。本開示を考慮すれば、多数の修正および変形が実施可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定される。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法119条(e)に基づき、2008年1月22日に出願の米国仮特許出願第61/011,806号の利益を主張するものであり、また、2005年4月20日に出願の米国特許出願第11/110,525号の一部継続出願であり、これらの特許は共に参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0002】
本発明は、鋸ブレードに関し、より詳細には、疲労を軽減し、ブレードの寿命を延ばすように設計されたガレットを有する丸鋸ブレードに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の丸鋸ブレードは通常、その周縁部に沿って離間した一連のカッタまたは歯を有する鋼製の円形コアを含む。ブレードの周縁部から内側に延びる切欠きの形態のガレットは、カッタ間に空間を形成するようにしばしば配置されて、ブレードの応力を軽減し、切り屑を除去することにより切断に寄与する。様々なガレット構成を使用することができる。特定のブレードに採用される実際のガレット構成は、そのブレードを使用すると予想される切断用途によって決まる。
【0004】
比較的幅狭のガレットを有する鋸ブレードは、携帯用電動鋸を用いた建設材料の切断と、もう1つは、円滑な切断動作が望ましい固定機械での石の切断用途とに有用であると分かっている。切断動作の円滑性は、例えば、比較的幅狭のガレットを使用するなどして、カッタを互いに比較的近接して置くようにした場合に高くなることが分かっている。その一方で、特に、ブレードが高い半径方向圧力を受ける場合に、これらのガレットの小さい丸みの付いた端部からクラックが広がる傾向がある。この問題は、疲労境界(fatigue barrier)を超えたブレードで深刻になる。あるいは、比較的幅広のガレットを有する鋸ブレードを使用することもできる。これらのガレットは通常、それらの内側端部の半径が比較的大きくなっており、ブレードに比較的高い疲労強度をもたらすことが分かっている。したがって、これらのガレットは、他のブレードタイプでは応力によるクラックがガレットから広がるために不良になる傾向がある、アスファルトまたはコンクリートの床の切断などの比較的高応力の切断環境に有用である。
【0005】
鍵穴形状のガレットは、幅狭のガレットと幅広のガレットの両方の利点を併せ持とうとするものである。これらのガレットにより、(例えば、切断動作が円滑に行われるように)ブレードのカッタを互いに比較的近接して配置することが可能になり、その一方で、さらに、(例えば、クラックの形成を減らすのに寄与するように)その半径方向内側端部で各ガレットに比較的大きな半径が付与される。鍵穴ガレットは、用途によっては幅狭ガレットおよび幅広ガレットに勝る改良された特性を示すことができるが、欠点がないわけではない。例えば、鍵穴ガレットで得られる結果は、鋼や、比較的異種の加工材料混合物、例えば、鉄骨鉄筋コンクリートなどの切断が困難な材料を使用する用途では、決して最上のものではなかった。これらの条件下で、クラックがガレットの端部または側部から広がると分かっており、これは、使用者の安全および鋸の性能を損なう恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、丸鋸ブレードに適した改良されたガレットが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は丸鋸ブレードを提供する。丸鋸ブレードは、第1の平面側および第2の平面側、中心軸穴、ならびに外縁部を有する円形コアを含む。複数の切断要素がコアの外縁部にある。さらに、コアの外縁部から半径方向内側に延びる1つまたは複数のガレットがある。各ガレットには、他のガレット領域と比べてクラックを生じやすいガレット領域の半径を拡大する少なくとも1つの長い湾曲部のある形状が含まれる。そのような一実施形態では、各ガレットには、3つの異なるガレット領域に対応する3つ以上の楕円形状が含まれる。具体的なそのような一構成では、ガレット形状には、それぞれが半径方向内側の湾曲した底部につなげられた2つの湾曲側部が含まれる。底部は、第1の楕円形状の長い側と同様の形状とされ、2つの側部はそれぞれ、第2の楕円形状の長い側と同様の形状とされる。そのような一例では、ガレットは、2つの側部および底部を画定する開口を含む。別のそのような例では、ガレットは、2つの側部および底部を画定するスリットを含む。別のそのような例では、第1および第2の楕円形状は、それらの各長軸および短軸に関して対称である。あるいは、第1および第2の楕円形状の少なくとも1つは、その長軸および短軸の少なくとも1つに関して非対称とすることができる。別のそのような例では、第1の楕円形状は、第2の楕円形状の各短軸および長軸よりも共に短い短軸および長軸を有する。コアは、(単層や、一体ブレードではなくて)例えば、結合材料および機械式留め具の少なくとも1つによって動作可能に結合された2つ以上の層を含むことができる。そのような一例では、コアは、第1および第2の平面側間で結合された、音波減衰材料(例えば、コルク、樹脂、銅、または軟鉄)の中間層を含むサンドイッチ型コアとされる。コアは、例えば、鋼および/または非金属材料で、あるいは他の好適な材料で作ることができる。切断要素には、例えば、固定砥粒セグメント、砥粒単層、または歯、あるいはそれらの組み合わせを含めることができる。特定の一構成では、隣接する切断要素間に少なくとも1つのガレットがある。
【0008】
本明細書で説明する特徴および利点はすべてを含めたものではなく、特に、それ以上の多数の特徴および利点が、図面、明細書、および特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう。さらに、明細書で使用する専門用語は、主に可読性および教示目的で選択され、本発明の対象の範囲を限定するためではないことに留意されたい。
【0009】
添付の図面では、参照符号は、様々な図を通じて同じ部品を指す。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それよりも本発明の原理を図示することに重きを置いた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図1b】本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図1c】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図1d】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図1e】そのような一実施形態による図1aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図2a】本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図2b】本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。
【図2c】そのような一実施形態による図2aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図2d】そのような一実施形態による図2aに示した楕円形ガレットに関する詳細図を示している。
【図3a】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3b】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3c】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3d】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【図3e】クラックを生じやすい円形形状の部分を有する従来のガレットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
丸鋸ブレード用の改良したガレットが開示される。本ガレット構造は、円形形状を採用する従来のガレット構造の1つまたは複数の「弱体」領域、例えば、典型的なガレット構造の半径方向最深箇所にある円形部分の各側部および底部などの半径を最大限にする1つまたは複数の楕円形状を採用する。切断歯を有するブレード、砥粒セグメントを有するブレード、および1つまたは複数の層で構成されるコアを有するブレードを含めた任意のタイプの丸鋸ブレードで、楕円形ガレットを採用することができる。
【0012】
総括
従来の鋸ブレードは通常、鋼コア(例えば単層および二重層コア、ならびにエポキシ、にかわ、コルク、樹脂、銅、または軟鉄などの異なる材料の中間層または「挟み込まれた」層を含むサンドイッチ型コア)を含む。前記のように、そのような既存のブレードは、ブレードの周縁部から内側に延びる切欠きの形態のガレットを有する。これらのガレットは、カッタ間に空間を形成するように配置されることが多く、切断を手助けし、切断作業中および製造工程時の応力を軽減する。従来のブレードによれば、ガレットは通常、クラックが生じやすい領域に円形形状を含む。
【0013】
対照的に、本発明の実施形態は、楕円性を有するガレットを採用する。特に、各楕円形ガレットは、円形ガレットに付随する弱体領域にその長軸が沿っている少なくとも1つの楕円形状を含む。この弱体領域には、例えば、(図3a、図3d、および図3eに示すような)円形部分につながる首部分を有する鍵穴型ガレットの半径方向内側にある円形部分の側部および底部が含まれる。首部分は、(図3dに最もよく示すように)斜めであってもよいし、または(図3eに最もよく示すように)矢印形状をとってもよい。他の例示的な弱体ガレット領域には、(図3bおよび図3cに示すような)幅狭および幅広ガレットの半径方向最深の半円部分が含まれる。1つまたは複数のこれら弱体箇所の半径を最大限にすることで、ガレットは、疲労およびクラックに対する抵抗性がより高まる。楕円形状の短軸は、クラックが自然に発生する可能性が低いガレット領域に沿って設けられる。
【0014】
この開示から明らかなように、楕円形ガレットは、その長軸および短軸に関して完全な対称性を有する、正確なまたは「真の」楕円を取り入れる必要はない。より正確に言えば、本明細書で説明する楕円形ガレットは、既知の弱体ガレット領域(例えば、前記のように、従来からの底部および2つの側部)の半径を非弱体ガレット領域を基準として拡大するように設計される。したがって、ガレット形状を説明するために本明細書で使用する「楕円形の」という用語は、正確な楕円性を有する形状だけでなく、長い湾曲部を有する形状も含めた、この目的を達成する形状のバリエーションすべてを対象とすることを意図されており、長い湾曲部は、(その長い湾曲部に真の/正確な楕円性がないにもかかわらず)1つまたは複数の既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する。
【0015】
さらに、ガレット構造の長軸が既知の弱体領域に維持される限り、楕円形ガレットの切欠き構造も同様に変えることができる。例えば、一実施形態では、概略的には開放型のしずく状ガレットが提供され、このしずく状ガレットは、(図1a〜1eを参照して説明するように)ガレット側部を長くするように、それぞれがブレードの半径方向にその長軸を有する第1の楕円形状対、および/またはガレット底部を長くするように、ブレードの軸方向にその長軸を有する第2の楕円形状を含む切欠きを有する。代替の実施形態では、(図2a〜2dを参照して説明するように)基本的に前記開放型のしずく状ガレットの外形をたどるスリットを有する概略的にはスリット型のガレットが提供される。公知のように、「軸方向の」という用語は通常、鋸ブレードの回転中心に対してほぼ平行な方向を指す。「半径方向の」という用語は通常、軸方向に対して垂直な方向を指す。
【0016】
前記のように、楕円形ガレットは、特定のタイプの鋸ブレードに限定されるものではない。より正確に言えば、楕円形ガレットは、(木材やプラスチックなどを切断するための)歯、または(石材や他の非常に硬い材料などを切断するための)砥粒セグメントを有するブレードと合わせて設けることができる。さらに、楕円形ガレットは、単層コア、二層コア、および(例えば、様々な切断用途での騒音を低減するための)サンドイッチ型コアを有するブレードと合わせて設けることができる。
【0017】
鋸ブレードおよびガレット実施例
図1a〜1eは、本発明の実施形態による楕円形ガレットを用いて構成された丸鋸ブレードを示している。見て分かるように、丸鋸ブレード10は、一連の楕円形ガレット16によって分離された周縁切断要素12を有する。
【0018】
示した実施形態では、ブレード10は、軸穴14を有するコア21を含み、軸穴14を通じて、丸鋸のスピンドルまたは他の適切な機械に従来と同様に(例えば、ねじ付き留め具を用いて)取り付け、留めることができる。実施形態によっては、ブレード10は、米国特許出願公開第2006/0185492号明細書に記載のブッシュ、および/または米国特許出願公開第2006/0266176号明細書に記載の、複数の穴径に対処するためのアセンブリをさらに含むことができる。これらの特許出願のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0019】
本発明の実施形態に従って構成された鋸ブレードは、様々な用途に使用することができる。例えば、鋸ブレード10は、ガソリン駆動の携帯鋸(例えば、Andreas Stihl AGによって製造されるSTIHL TS760)に取り付けることができ、鋼板を乾式切断するのに使用できる。さらに、鋸ブレード10は、床鋸(例えば、Saint−Gobain SAによって製造されるClipper CSB1 P13)に取り付けることができ、コンクリートを湿式切断するのに使用することができる。さらに、鋸ブレード10は、自動式14馬力(10.3kW)切断鋸盤(例えば、HUARDによって製造されるHUARD 30V53)に取り付けることができ、鋼またはプラスチック管を切断するのに使用することができる。多数の適切な機械および用途が本開示から明らかになるであろう。
【0020】
示したように、コア21は形状が略円形である。例示的な一実施形態では、コアは、機械的に(例えば、溶接、リベット、ならびに/またはナットおよびボルト装置によって)互いに直接留められた2つの別個の外側層を含む。あるいは、コア21は、コルク、にかわ、エポキシ、または他の適切な制振材料(例えば、樹脂、銅、および軟鉄)などの騒音減衰材料の内側層を、2つの別個の外側層が挟み込むサンドイッチ型コアとすることもできる。あるいは、楕円形ガレット16を(例えば、現場で、プレス成形を経て機械加工して、またはその他の方法で形成して)設けることができさえすれば、コア21は、適切な計測または成形プロセス(例えば、金属鋳造、射出成形、熱間圧縮成形、冷間圧縮成形など)を通じて一体で形成することができる。コア21の外側層は、それらが実際上別個であるかまたは一体であるかにかかわらず、手近にあって、1つまたは複数の切断用途に対して十分な強度を有する実質的に任意の材料で製造することができる。適切な材料の例には、鋼、アルミニウム、チタン、青銅、それらの複合材および合金、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、ANSI4130鋼、アルミニウム合金2024、6065、7178)。あるいは、用途によっては、強化プラスチックまたは非金属複合材を使用してコア21を構築することができる。
【0021】
コア21は、切断要素12および楕円形ガレット16のほかに他の特徴部を有することができる。例えば、特定の一実施形態では、コア21は、軸穴14およびブレード10の周縁部と同軸に、かつそれらの間に配置された円周に沿って、主コア領域を貫通する1つまたは複数の孔を含む。これらの孔は、ブレード10の回転動作中に、所定の切り込み深さに対応する、コア21を貫通する環状窓を形成するように配置される。実施形態では、半径方向に最深の孔セット33は、第1の切り込み深さに対応する第1の環状窓を形成し、半径方向に最外の孔セット33は、第2の切り込み深さに対応する第2の環状窓を形成する。1つまたは複数の切り込み深さゲージを有する丸鋸ブレードについてのこれ以上の詳細は、例えば、米国特許第7,210,474号明細書に提示されており、この特許は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。ブレードのバランスをとる、ブレードの供給元を示す、ブレードの動作音を低減する、およびブレードの適切な取り付け示す、などの他の機能上の特徴を採用することもできる。
【0022】
図1c、図1d、図1eに最もよく示すように、この例示的な実施形態の各ガレット16は、鋸ブレード10の周縁部から半径方向内側に延びる平行な側壁によって画定される首部分18を含む。側壁は、首部分18の半径方向内側端で(図1dに最もよく示すように約45°で)互いからそれて、弓形ベース部20を形成する。示すように、ベース部20の底部は、楕円形状27の長い側と同様に成形されている。同様に、ベース部20の左側は、楕円形状25の長い側と同様に成形され、ベース部20の右側は、楕円形状26の長い側と同様に成形されている。本開示から明らかなように、これらの特定の位置(ガレットの底部および側部)でガレットの半径を長くすることにより、ブレード10の耐クラック性が改善される。ガレット16の構造内に具現化された(破線で示す)楕円形状のそれぞれに対して、各長軸および短軸両方の半径を含む例示的な寸法が示されている。ただし、前記のように、ガレット16は、完全な楕円形状を持たない細長い形状で構成することもできることに留意されたい。例えば、西洋梨形状もしくは波形状、または任意の細長い凹形状などの形状には、長軸(および/または短軸)に対して2つ以上の半径長さがあり得る。要するに、楕円形ガレット16は、非弱体ガレット領域の半径を基準として、既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する任意の構造を有することができる。
【0023】
ある実施形態では、切断要素12は、周縁部またはコア21に沿って離間した砥粒含有セグメントの形態をとる。セグメントは、例えば、周縁部またはコア21にろう付けされるか、あるいはその他の方法で固定される金属結合剤に保持された超砥粒を含むことができる。例えば、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素(cBN)などの超砥粒を、鉄、銅、およびスズなどの適切な金属結合剤と混合することで、超砥粒工具を製造することができる。次いで、その混合物を成形型内で圧縮して所望の形状(例えば、所望の幅、長さ、および曲率を有するセグメント)を形成する。次いで、「固まっていない」形成物を適切な温度で焼成して、多数の超砥粒が配置された結合セグメントを形成する。セグメントは、(例えば、ろう付け、アーク溶接、またはレーザ結合によって)コア21の周縁部に取り付けられる。
【0024】
本発明の実施形態に従って構成され、切断要素12に適した砥粒セグメント構造を有する丸鋸ブレードのさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,518,443号明細書(砥粒の体積パーセントが交互に替わる砥粒セグメント)、米国特許第6,033,295号明細書(砥粒セグメント部分が硬化する)、および米国特許第5,868,125号明細書(刻み目のある砥粒セグメント)に提示されており、これら特許のそれぞれは、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。さらに、セグメント数を少なくし、折れ/曲がりに対する抵抗性を改善し、製造コストを下げるために、ブレード直径に比例して砥粒セグメントを長くすることができる。そのような一実施形態では、砥粒セグメント長さ/ブレード直径比は最小で0.2である。前記のように、比較的困難な切断作業に(例えば、コンクリート、アスファルト、石、および他の硬質材料を切断するのに)砥粒セグメントを使用することができる。
【0025】
あるいは、鋸ブレード10には、木材、プラスチックなどの比較的軟質の材料の切断を意図した、適用性の広い丸鋸ブレードの典型である歯の形態の切断要素12を設けることができる。公知のように、歯は任意の大きさおよび形状とすることができる。さらに、歯には、タングステンカーバイドなどから作られる従来の硬化刃先を付けることができ、かつ/または砥粒を結合させることもできる。そのような例示的な一実施形態では、鋸ブレード10には、米国特許第6,817,936号明細書および米国特許第6,935,940号明細書に記載のように、各歯の少なくとも一部に化学的に結合された砥粒の単層を有する複数の歯を設けることができ、これらの特許はそれぞれ、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0026】
あるいは、鋸ブレード10には、(周縁部に結合セグメントを取り付けたり、または歯を設けたりするのではなく)コア21の周縁部にろう付けされるか、電気めっきされるか、またはその他の方法で付着された砥粒の単層の形態の切断要素12を設けることができる。本開示から明らかなように、切断要素12の様々な構成および材料を本発明の実施形態に使用することができる。本発明は、特定の切断要素構成または方式に限定されることを意図するものではない。
【0027】
例示的寸法(ミリメートル、mm)が図1a〜図1eにも示されている。これらの寸法は、製造可能な具体的かつ例示的な一実施形態として単に提示されているに過ぎない。一方、様々な寸法および楕円形ガレット構成を使用して、本発明の実施形態による鋸ブレードを構築できることが、本開示を考慮すれば容易に分かるであろう。本発明は、特定のセットまたは範囲のブレード寸法または構成に限定されることを意図するものではない。より正確に言えば、本発明の実施形態は、その意図した目的のために構築でき、本明細書で説明した楕円形ガレットを用いて構成できる任意の鋸ブレードを対象とすることを意図したものである。
【0028】
図2a〜2eは、本発明の別の実施形態による、楕円形ガレットで構成された丸鋸ブレードを示している。見て分かるように、丸鋸ブレード10は、一連の楕円形ガレット216によって分離された周縁切断要素12を備えたコア21を有する。切断要素12およびコア21に関する説明を含む、図1a〜1eを参照した前記の説明は、この場合にも同様に適用可能であり、楕円形ガレット16(例示の寸法を含む)および鋸ブレード10に関する全般的な説明も適用可能である。図2a〜2dに示す実施形態の主な相違は、楕円形ガレット216の構造にある。孔33で形成される切り込み深さゲージのないことおよび寸法品質など、他の相違は明らかであろう。
【0029】
図2cおよび図2dに最もよく示すように、この例示的な実施形態の各ガレット216は、鋸ブレード10の周縁部から半径方向内側に延び、基本的に、ガレット16の構造の首部分18であった部分の中心から始まるスリット218を含む。スリット218は、(図2cに最もよく示すように約45°で)右に広がり、基本的に、ガレット16の構造の弓形ベース部20であった部分の外形をたどる。スリット218は、この軌跡の端部で内側に曲がり、円形の終点220で終端する。スリットの幅(切り口)は、例えば、50マイクロメートル〜5ミリメートルの範囲をとることができる(示した実施形態では約1ミリメートルである)。示すように、スリット218によって形成された軌跡の底部は、楕円形状227の長い側と同様に成形されている。同様に、スリット218によって形成された軌跡の左側は、楕円形状225の長い側と同様に成形され、スリット218によって形成された軌跡の右側は、楕円形状226の長い側と同様に成形されている。ガレット16と同様に、ガレット216も既知の弱体位置(ガレットの底部および側部)に長い半径を採用して、ブレード10の耐クラック性を改善している。ガレット216の構造内に具現化された(破線で示す)楕円形状のそれぞれに対して、各長軸および短軸両方の半径を含む例示的な寸法が示されている。ただし、前記のように、ガレット216は、完全な楕円形状を持たない細長い形状で構成することもできることに留意されたい。例えば、西洋梨形状もしくは波形状、または任意の細長い凹形状などの形状には、長軸(および/または短軸)に対して2つ以上の半径長さがあり得る。要するに、楕円形ガレット216は、非弱体ガレット領域の半径を基準として、既知の弱体ガレット領域の半径を効果的に拡大する任意の構造を有することができる。
【0030】
本発明の実施形態についての前記の説明は、例示および説明のために提示された。前記の説明は、それに尽きること、または開示したそのままの形態に本発明を限定することを意図するものではない。本開示を考慮すれば、多数の修正および変形が実施可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面側および第2の平面側、中心軸穴、ならびに外縁部を有する円形コアと、
前記コアの前記外縁部にある複数の切断要素と、
前記コアの前記外縁部から半径方向内側に延びる1つまたは複数のガレットを含み、
前記ガレットは、鋸ブレードの周縁部から半径方向内側に延び、ガレットの構造の首部分から始まるスリットを含む形状を有し、
前記スリットは、約45°で広がり、基本的に、ガレット構造の外形をたどり、円形の終点で終端し、
前記複数の切断要素は、金属結合剤に保持された超砥粒を含む砥粒含有セグメントを含み、
前記超砥粒は、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素の混合物を含み、前記金属結合は、鉄、銅、およびスズからなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記コアは、前記第1および第2の平面側間に配置された音波減衰材料の中間層を有するサンドイッチ型コアである、
丸鋸ブレード。
【請求項2】
前記円形コアを貫通する複数の孔を有する、請求項1に記載の丸鋸ブレード。
【請求項3】
前記円形コアは、非金属材料からなる、請求項1または2に記載の丸鋸ブレード。
【請求項4】
前記円形コアは、鋼からなる、請求項1または2に記載の丸鋸ブレード。
【請求項5】
前記切断要素は切断歯をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の丸鋸ブレード。
【請求項6】
ブレード直径に対する前記砥粒含有セグメントの比は0.2以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の丸鋸ブレード。
【請求項1】
第1の平面側および第2の平面側、中心軸穴、ならびに外縁部を有する円形コアと、
前記コアの前記外縁部にある複数の切断要素と、
前記コアの前記外縁部から半径方向内側に延びる1つまたは複数のガレットを含み、
前記ガレットは、鋸ブレードの周縁部から半径方向内側に延び、ガレットの構造の首部分から始まるスリットを含む形状を有し、
前記スリットは、約45°で広がり、基本的に、ガレット構造の外形をたどり、円形の終点で終端し、
前記複数の切断要素は、金属結合剤に保持された超砥粒を含む砥粒含有セグメントを含み、
前記超砥粒は、ダイヤモンドおよび立方窒化ホウ素の混合物を含み、前記金属結合は、鉄、銅、およびスズからなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記コアは、前記第1および第2の平面側間に配置された音波減衰材料の中間層を有するサンドイッチ型コアである、
丸鋸ブレード。
【請求項2】
前記円形コアを貫通する複数の孔を有する、請求項1に記載の丸鋸ブレード。
【請求項3】
前記円形コアは、非金属材料からなる、請求項1または2に記載の丸鋸ブレード。
【請求項4】
前記円形コアは、鋼からなる、請求項1または2に記載の丸鋸ブレード。
【請求項5】
前記切断要素は切断歯をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の丸鋸ブレード。
【請求項6】
ブレード直径に対する前記砥粒含有セグメントの比は0.2以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の丸鋸ブレード。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【公開番号】特開2013−18118(P2013−18118A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235203(P2012−235203)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2010−543308(P2010−543308)の分割
【原出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【出願人】(507169495)サン−ゴバン アブラジフ (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2010−543308(P2010−543308)の分割
【原出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【出願人】(507169495)サン−ゴバン アブラジフ (41)
【Fターム(参考)】
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