楽曲推奨システム及び楽曲推奨プログラム
【課題】ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する楽曲推奨システムを提供する。
【解決手段】ユーザ1のパーソナルコンピュータ5が、パーソナルコンピュータ5に蓄積した複数の楽曲データの中から、ユーザ1が運動中に聞く楽曲を推奨する。パーソナルコンピュータ5に蓄積された楽曲データの楽曲情報は、パーソナルコンピュータ5の楽曲情報データベース54に保存されている。音楽再生装置2は、反復運動テンポを検出するセンサを内蔵し、ユーザ1の腕等に装着され、パーソナルコンピュータ5と接続されているとき、種々のデータを相互に転送する。
【解決手段】ユーザ1のパーソナルコンピュータ5が、パーソナルコンピュータ5に蓄積した複数の楽曲データの中から、ユーザ1が運動中に聞く楽曲を推奨する。パーソナルコンピュータ5に蓄積された楽曲データの楽曲情報は、パーソナルコンピュータ5の楽曲情報データベース54に保存されている。音楽再生装置2は、反復運動テンポを検出するセンサを内蔵し、ユーザ1の腕等に装着され、パーソナルコンピュータ5と接続されているとき、種々のデータを相互に転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する楽曲推奨システム、及び、楽曲推奨プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽再生装置として、使用者の腕に装着し、使用者の運動ペース(反復運動テンポ)と脈拍とを検出し、使用者の運動に適した楽曲を再生する携帯型の音楽再生装置が製品化されている(非特許文献1,2、特許文献1,2参照)。
ここで、運動に適した楽曲とは、使用者の反復運動テンポとほぼ同じ値の音楽テンポを持つものである。
ユーザは、パーソナルコンピュータに、音楽用CD(オーディオコンパクトディスク)に記憶された楽曲をリッピング(コピー)したり、音楽配信サーバから楽曲をダウンロードしたりして、音楽再生装置に転送し、蓄積する。
しかし、音楽再生装置は、小型化、低価格化のために、その記憶容量を大きくすることに限界がある。そのため、ユーザは、反復運動テンポとほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲を十分に保存しておかないと、同じ曲がいつでも再生されてしまう。
【0003】
ところが、ユーザは、自分の反復運動テンポを正確に知ることが難しい。上述した非特許文献1に記載の装置では、運動ペースとして、単位走行距離を走る平均時間を画面に表示する。しかし、反復運動テンポそのものは表示されない。
一方、楽曲の音楽テンポの値は、楽曲データに付加されていない。また、ユーザが実際に楽曲を聞いても音楽テンポの値を推定することは困難である。
以上のことから、ユーザは、反復運動テンポの値とほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲を探し出し、音楽再生装置のフラッシュROMに保存することが難しい。
【0004】
もっとも、上述した非特許文献2に記載のアプリケーションプログラムを用いれば、楽曲データを、このプログラムが管理するハード磁気ディスクの領域に保存するときに、音楽テンポを自動解析し、解析結果を保存する。
音楽テンポの範囲を、ユーザが抽出条件として設定すれば、この条件を満たす楽曲を、自動的に「スマートプレイリスト」に設定することもできる。しかし、ユーザが、反復運動テンポの履歴に応じて、音楽テンポの範囲を考えなければならない。
【0005】
一方、ネットワークサービスにおいて、従来、ユーザが、楽曲データを楽曲配信サーバから購入する際、購入した楽曲、又は、ほしい物リスト(ウィッシュリスト)内にある楽曲に基づいて、その楽曲に近いジャンルやアーティストの楽曲、又は、その楽曲を購入した他のユーザが購入した楽曲がユーザに推奨(レコメンド)される。
しかし、音楽テンポの値が付加された楽曲データを配信したり、ユーザの運動に適した楽曲を推奨したりするシステムがない。
実際、配信しているすべての楽曲が運動中に聞くのに適したものとはいえないから、すべての楽曲の音楽テンポを自動解析するのは非効率である。
【0006】
また、携帯型音楽再生装置を用いて運動ペースを保存し、運動ペースの履歴をサーバに接続し、ユーザが、自分のランニングデータを保存したり、公開プレイリストを共有したりするサービスが知られている。
しかし、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨するものではない。
また、運動中に楽曲を聞く他のユーザが、どのような楽曲を実際に再生したり、実際に好んでいるのか等、ユーザが楽曲データを購入する際に参考となる有用な情報が検索できない。
【非特許文献1】BF-1 Owner's Manual Ver.1.1.d、[online]、インターネット、<http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/emi/english/others/bf1_en_om_v11d2.pdf>
【非特許文献2】BODiBEAT Station Owner's Manual、Ver.1.2c、[online]、インターネット、<http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/emi/english/others/bf1_en_ap_v12c2.pdf>
【特許文献1】特開2007−193907
【特許文献2】特開2008−242063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する楽曲推奨システム、楽曲推奨プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴データを保存する履歴情報保存手段と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積手段と、該楽曲データ蓄積手段に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースと、前記履歴情報保存手段に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定手段と、該推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、前記楽曲情報データベースを検索し、前記ユーザに提示する楽曲推奨手段を有するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の運動履歴データに基づいて音楽テンポが設定され、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲の推奨が自動的に実行される。
上述した運動履歴データは、例えば、ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、この場合、この反復運動テンポの履歴データの統計値を算出し、該統計値に対応した値をとることを推奨音楽テンポの条件とする。
【0009】
上述した履歴情報保存手段、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベース、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段は、音楽再生装置、パーソナルコンピュータ、サーバ装置を有するシステムにおいて、任意に機能を分担して実現される。
楽曲データ蓄積手段は、音楽再生装置以外の、パーソナルコンピュータ、サーバ装置に設けられる。楽曲データ蓄積手段をサーバ装置に設ける場合、オンラインストレージやネットワークアタッチトストレージに設置することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、前記楽曲推奨手段は、前記履歴情報保存手段を検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲に前記ユーザの操作により設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを取得する手段、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記楽曲に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有するものである。
従って、ユーザが楽曲に設定した、楽曲に対する再生優先度の順に、楽曲が推奨される。上述した楽曲に対する再生優先度は、例えば、ユーザによる楽曲に対するスキップ操作に伴って、操作される毎に低くされる。あるいは、専用の操作子の操作により変更される。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記楽曲情報データベースは、前記各楽曲の楽曲情報として、前記各楽曲の音楽テンポの値の他に、前記各楽曲の所定の属性に関する楽曲情報を保存し、前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、前記楽曲推奨手段は、前記履歴情報保存手段及び前記楽曲情報データベースを参照し、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに変換する手段と、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報を取得し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有するものである。
従って、ユーザにとって、所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲が推奨される。ここで、所定の属性とは、例えば、楽曲の曲調、ジャンル、又は、曲調及びジャンルの組合せである。
【0012】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、楽曲データ転送制御手段を有し、該楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、前記選択された楽曲の楽曲データを、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に転送させるものである。
従って、音楽再生装置に転送する楽曲を、ユーザ操作により、推奨楽曲の中から、音楽再生装置が蓄積可能な範囲で任意に選択することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、楽曲データ転送制御手段を有し、前記楽曲推奨手段は、提示する前に、提示しようとする前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲について、提示しようとする順に該楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示し、前記楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に一括転送させるものである。
従って、音楽再生装置が蓄積可能な範囲で楽曲が推奨されるので、推奨楽曲を、ユーザ操作により、音楽再生装置に一括転送することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明においては、請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの平均値を算出し、該平均値と該平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の反復運動テンポの履歴データが簡単かつ適切に考慮された楽曲が推奨される。
【0015】
請求項7に記載の発明においては、請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの頻度分布を算出し、該頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、前記推奨音楽テンポの条件として設定し、前記楽曲推奨手段は、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲の情報を、設定された選択確率で選択して前記ユーザに提示するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の反復運動テンポの履歴データが忠実に考慮された楽曲が推奨される。
【0016】
請求項8に記載の発明は、運動中に聞く楽曲をユーザに推奨する楽曲推奨プログラムであって、履歴情報保存装置と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積装置と、該楽曲データ蓄積装置に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースを用い、ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置から、前記ユーザが行った運動の運動履歴データを取得して前記履歴情報保存装置に保存する履歴情報取得ステップと、前記履歴情報保存装置に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定ステップと、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定ステップにより設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を前記ユーザに提示する楽曲推奨ステップ、をコンピュータに実行させるものである。
このプログラムは、上述した請求項1に記載の楽曲推奨システムを、パーソナルコンピュータで実現するためのプログラムである。すなわち、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおける、履歴情報保存手段、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベースを、ハードウエア装置として有するパーソナルコンピュータにおいて、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を、プログラムによりコンピュータに実行させている。
上述したデータ記録装置は、例えば、上述した音楽再生装置に備えられている。パーソナルコンピュータは、音楽再生装置に接続されたり、音楽再生装置との間で記録媒体を介したりして相互にデータ転送をする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の楽曲推奨システム、楽曲推奨プログラムによれば、楽曲データ蓄積手段に蓄積された楽曲データの中から、個々のユーザが運動中に聞くのに適した自分のランニングペースに合う楽曲が自動的に推奨されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の一形態である第1,第2の楽曲推奨システムと情報提供システムが適用されるネットワークの構成図である。
第1の楽曲推奨システムにおいては、ユーザ1のパーソナルコンピュータ5が、パーソナルコンピュータ5に蓄積した複数の楽曲データの中から、ユーザ1が運動中に聞く楽曲を推奨する。
また、情報提供システムは、前提として、複数の各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B、…が、ユーザ端末装置となって、各ユーザの個人情報とともに、各ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存する。楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、また、各ユーザのパーソナルコンピュータに保存されている楽曲情報を収集し保存する。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、個人情報及び又は使用状況の履歴情報に関する所定の指定条件を満たす楽曲の情報を提供する。
ここで、特に、推奨音楽テンポの条件を付加した推奨楽曲の要求に対して各ユーザの運動に適した楽曲の情報を提供する場合に、第2の楽曲推奨システムが構成される。
【0019】
最初に、ネットワーク構成の概要を説明する。
1及び図示しない7,8,18,19,20,…は運動をするユーザである。
2,7A,8A,18A,19A,20A,…は音楽再生装置であって、反復運動テンポを検出するセンサを内蔵し、ユーザ1の腕等に装着され、イヤフォン、ヘッドフォン等の電気音響変換器3、耳たぶ取付型脈拍センサ4が接続されている。
各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B、…は、対応する音楽再生装置2,7A,8A,18A,19A,20A、…との間で、種々のデータを転送したり、音楽再生装置2等に対する種々の設定や、自らが楽曲データを再生したりする機能を有する。
【0020】
パーソナルコンピュータ5は、ユーザ端末装置となって、直接的に、又は、ローカルエリアネットワーク(LAN)6のルータ(ブロードバンドルータ)9を経由してインターネットサービスプロバイダ(ISP)のアクセスポイント(AP)10に接続される。
LAN6は、例えば、ホームネットワーク、社内ネットワーク、地域ネットワークである。LAN6には、他のユーザ7等のパーソナルコンピュータ7B等がルータ9に接続されている。
【0021】
インターネット11には、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12、音楽配信サーバ13、汎用楽曲情報提供サーバ14が、それぞれ、AP15,16,17において接続されている。また、他の多数のユーザのパーソナルコンピュータ18B,19B,20B,…が、AP(ISP)21,22,23,…において接続されている。
インターネット11には、また、ファイルサーバ24が、AP25において接続されている。このファイルサーバ24に、ユーザ1のオンラインストレージという記憶領域が設けられる場合がある。ユーザ1のオンラインストレージは、パーソナルコンピュータ5の外部記憶装置として設置することができる。このオンラインストレージは、複数のユーザで共有することができる。
また、ローカルエリアネットワーク(LAN)6に、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)という一種のファイルサーバ26を接続し、これをパーソナルコンピュータ5の外部記憶装置とすることができる。この外部記憶装置も、複数のユーザで共有することができる。
【0022】
最初に、音楽再生装置2について説明する。
この音楽再生装置2は、加速度センサ又は振動センサにより、右又は左足で一歩(ステップ)を進めた時の衝撃を検出し、内蔵するマイクロコンピュータにより、歩行ステップのタイミングを抽出するアルゴリズムを実行し、反復運動テンポを計算する。ウォーキング、ジョギング等の場合、反復運動テンポの値とは、右足、左足を区別しない1歩(1ステップ)が、単位時間(例:1分)当たりに何回あったかを示すもので、その単位はBPM(Beat Per Minutes)である。
一方、耳たぶ取付型脈拍センサ4の出力に基づいて、脈拍数に等しい心拍数[BPM:Beat Per Minutes]が計算される。
【0023】
一般に、反復運動テンポと同値の音楽テンポの楽曲が、運動と音楽との一体感が得られ、運動中に聞くのに適している。また、使用者の反復運動テンポに合わせて音楽テンポの値を設定する「フリーワークアウトモード」では、この反復運動テンポの値の半分の値の音楽テンポを持つ楽曲(ハーフテンポの楽曲)も運動に適する。
【0024】
この音楽再生装置2は、1種類の音楽再生モード、3種類の運動モードとを備えている。音楽再生モードでは、一般的な携帯音楽プレーヤとして動作する。
音楽再生装置2で再生可能な楽曲データのファイル形式は、波形データ形式の楽曲データファイル、例えば、MP3(MPEG-1 Audio Layer-III)、WMA(Windows Media Audio)、AAC(Advanced Audio Coding)、WAV(PCM:pulse code modulation波形データ)等である。
楽曲データファイルは、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データのような演奏データ形式で記述された、例えば、SMF(スタンダードMIDIファイル)であってもよい。
しかし、波形データ、演奏データいずれの形式であっても、オリジナル音楽テンポで楽曲データを再生することが原則である。
【0025】
音楽再生装置2の第1の運動モードは、「フリーワークアウトモード」(フリーモード)である。ユーザは自分のペースで運動する。このときの反復運動テンポの変化に追従するように、この反復運動テンポに対応した値の音楽テンポの値を持つ楽曲データが再生される。
【0026】
第2の運動モードは、「フィットネスモード」(アシストモード)である。このモードは、ウォーキング用とジョギング用に分けて異なる運動モードとしてもよい。
それぞれに適した目標運動強度特性(時間的に変化してもよい)とする心拍数を、ユーザ1の予測最大心拍予備能(%HRR:Percentage of Heart Rate Reserve)を基に、設定しておく。
測定されている心拍数が、設定しておいた心拍数より小さい(運動が軽すぎる)ときは、音楽テンポの値を上げ、逆に大きいとき(運動がきつすぎる)は、音楽テンポの値を下げる。それぞれの音楽テンポの値を持つ楽曲データが選択されて自動演奏され、運動のペースを上げ下げするように促す。
【0027】
第3の運動モードは、「トレーニングモード」である。自分の運動目的に合わせて、運動強度(%HRR、心拍数、楽曲の音楽テンポ、反復運動テンポの中から1つを選択する)が周期的に変化する特性の運動プログラムを、あらかじめ組んでおく。このプログラムに沿った運動強度になるように、音楽テンポの値が決定され、決定された音楽テンポを持つ楽曲が自動再生される。
上述した第1〜第3の運動モードでは、飽きがこないように、楽曲データは、1曲の再生時間長を短く切ることが好ましい。1曲が終わると、同じ音楽テンポの条件を満たす別の楽曲に切り換わる。
【0028】
音楽再生装置2において、2aは下向きボタン、2bはディスプレイ、2cは上向きボタンである。
下向きボタン2a、上向きボタン2cは、指でディスプレイ2bの側に押すことによりスイッチがオンとなる。下向きボタン2a、上向きボタン2cは、ディスプレイ2bに表示されるカーソルを下方向、上方向に移動させ、同時に押すことにより、カーソルで選択されたメニューや設定値を確定する。
2dはLEDインジケータ、2eはメニュー選択ボタン、2fは電源ボタンである。
【0029】
音楽再生装置2が運動モードであるときに、下向きボタン2aを押すと、このボタンはスキップ操作スイッチとして機能し、現在において再生されている楽曲の再生を終了し、同じ音楽テンポの条件を満たす別の楽曲を自動再生する。
同じく運動モード中のときに、上向きボタン2cを押すと、このボタンは、リピート操作スイッチとして機能し、現在において再生されている楽曲を、その開始位置に戻って自動再生する。
【0030】
学習機能がオンのとき、スキップ操作がされた楽曲は、回数が多くなるほど、気に入らない曲とみなし、リピート操作がされた楽曲は、回数が多くなるほど気に入った曲とみなす。
ある楽曲について、スキップ操作をしたとき再生優先度を下げ(例えば、−1カウントする)、リピート操作したとき再生優先度を上げる(例えば、+1カウントする)。その結果、楽曲毎に再生優先度の値が、再生履歴の1つとして記憶される。
ここで、スキップ操作、リピート操作のいずれか一方にのみに学習機能を持たせてもよい。
上述した再生優先度は、楽曲に対するユーザの好みを表し、数値データで表現される再生優先度ポイントということもできる。この楽曲に対する再生優先度は、電源をオフにしても保存される。他の履歴情報と同様に、過去の所定回数のワークアウト(1回分の運動)まで、あるいは、リセット操作されるまで保存される。
【0031】
音楽再生装置2は、再生する楽曲リストの楽曲情報のほか、ユーザ1の個人情報を記録して記憶装置に保存している。音楽再生装置2は、また、純粋な音楽再生機能に加えて、履歴情報を自動的に記憶装置に保存するデータ記録装置(データロガー:data logger)の機能を備えている。例えば、時系列に沿って所定のサンプリング周期で情報を記録する。
上述した個人情報とは、例えば、氏名、生年月日、性別等であり、後述する図4(a)の第1段に示す。
楽曲情報とは、例えば、楽曲名、ジャンル、音楽テンポ等であって、図4(b)の一部に示す。
【0032】
履歴情報とは、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報であって、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴情報、及び、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報である。
運動履歴情報とは、例えば、運動した時間や距離、運動ペース、消費されたカロリ、心拍数などであり、図4(a)の第2段に示す。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報は、再生履歴情報を含む。再生履歴情報は、例えば、運動中に再生された楽曲(楽曲ID)、楽曲の再生回数、再生優先度などであり、図4(b)の一部に示す。
その他の使用状況の履歴情報は、例えば、図4(b)に示す、「運動モード」であり、第1〜第3の運動モードのうち、どの運動モードで使用されかを示す情報である。
【0033】
図2は、図1に示したパーソナルコンピュータ5の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
このフローチャートは、パーソナルコンピュータ5に音楽再生装置2が接続されたときに開始する。また、音楽再生装置用のアプリケーションプログラムを起動したときにも開始する。
【0034】
S31において、携帯型音楽再生装置との間で、個人情報、履歴情報の同期化をする。
そのため、パーソナルコンピュータ5の外部記憶装置、例えば、HDD(ハード磁気ディスク装置)の管理領域に蓄積されている楽曲データの総容量に比べ、音楽再生装置2のフラッシュROMの記憶容量が小さいときは、すべての楽曲データをフラッシュROMに蓄積することができない。そこでユーザに対し、ユーザが運動をしながら聞くに適した楽曲を推奨する。
【0035】
S32において、パーソナルコンピュータ5のHDDに記憶された楽曲データの総容量に比べ、音楽再生装置2において楽曲データを蓄積するフラッシュROMの空き容量が不足するか否かを判定する。不足する場合はS33に処理を進め、不足しない場合はS34に処理を進める。
【0036】
S33において、ユーザ1により、又は、デフォルトにより、推奨のための条件が指定される。パーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」(図3の54)に保存されている楽曲の中から、上述した条件を満たす楽曲を検索し、ディスプレイ5aに推奨楽曲リストを表示するなどして提示し、S35に処理を進める。
したがって、音楽再生装置2とパーソナルコンピュータ5とは、1対1の関係で、第1の楽曲推奨システムを構築している。
S33における処理の詳細は、図10を参照して後述する。
【0037】
S35において、ユーザ1により、推奨楽曲の楽曲データを、音楽再生装置2に転送する指示があればS36に処理を進め、ないときはS37に処理を進める。
S36において、パーソナルコンピュータ5から、推奨楽曲データを、音楽再生装置2に転送し、S38に処理を進める。音楽再生装置2のフラッシュROMに既に保存されていた楽曲データは消去される。
【0038】
一方、S32において、容量が不足していないときに処理が進められるS34においては、パーソナルコンピュータ5のHDDから、このアプリケーションプログラムで管理している管理領域にあるすべての楽曲データを、音楽再生装置2のフラッシュROMの空き領域に転送し、追加書き込みをして、S38に処理を進める。
この場合、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積されていない楽曲データのみ(差分)を転送すればよい。従って、「楽曲情報データベース」59に保存されている楽曲が、推奨楽曲に含まれているか否かを判定し、同一楽曲については、何らかの警告(アラート)が表示されるようにして、ユーザの選択操作により、同一楽曲データを転送しないようにする。
S38において、パーソナルコンピュータ5と音楽再生装置2の両方の「楽曲情報データベース」(図3の54,59)を更新し、S37に処理を進める。
なお、容量が不足していない場合もS33に処理を進めて楽曲推奨処理をしてもよい。
【0039】
パーソナルコンピュータ5は、プログラムにより、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対するユーザ端末としても機能する。
S37において、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、ユーザ1の個人情報、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報、及び、楽曲データに関する楽曲情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供し、S39に処理を進める。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報には、再生履歴を含む。パーソナルコンピュータ5は、ユーザ1が行った運動の運動履歴も保存しているが、この運動履歴は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供しない。
なお、S37の処理は、アプリケーションプログラムのユーザ登録時において、個人情報の提供を承諾したユーザに対してのみ実行される。
【0040】
S39において、ユーザ1の操作により、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に、情報を要求するときはS40に処理を進め、そうでないときはS42に処理を進める。
S40において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、ユーザ1により条件を指定して情報を要求し取得する。
従って、パーソナルコンピュータ5と楽曲情報・履歴情報提供サーバ12とは、複数ユーザ端末と共通のサーバとで構成される情報提供システムを構築している。
S41において、取得した履歴情報をディスプレイ5aに表示するなどして提示し、S42に処理を進める。
【0041】
パーソナルコンピュータ5に記憶されている楽曲データだけでは、ユーザ1が運動中に聞くのに適したものが十分に確保されているとは限らないし、音楽配信サーバ13など、インターネット上には、ユーザ1が運動中に聞くに適したものが多数あるはずである。
そこで、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12により、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する。
従って、パーソナルコンピュータ5と楽曲情報・履歴情報提供サーバ12とは、複数ユーザ端末と共通のサーバとで構成される第2の楽曲推奨システムを構築している。
【0042】
S42において、ユーザ1により推奨楽曲の要求があったときは、S43に処理を進め、そうでないときはS44に処理を進める。
S43において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、推奨音楽テンポ等の条件を指定して推奨楽曲を要求し、推奨楽曲のリストを取得し、ディスプレイ5aに表示するなどして提示し、S45に処理を進める。推奨のための条件としてデフォルトを用意しておき、自動的に楽曲が推奨されるようにしてもよい。
S43における処理は、図11を参照して後述する、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12側の処理に対するパーソナルコンピュータ5側の処理である。
楽曲データの提供サービス自体は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12では行わず、従来のように、音楽配信サーバ13が実行する。
【0043】
S45において、ユーザ1の操作によりダウンロードしたい楽曲を指定し、音楽配信サーバ13にアクセスし、楽曲データを購入し、パーソナルコンピュータ5の楽曲データ取得部(図3の52)を経て、「楽曲データ蓄積部」(図3の53)にダウンロードする。
S46において、ダウンロードした楽曲データに対応する楽曲情報を「楽曲情報データベース」(図3の54)に設定することにより、これを更新し、S44に処理を進める。
【0044】
S44において、その他の処理を実行し、S39に処理を戻す。
その他の処理として、例えば、楽曲データの解析、個人情報の設定、トレーニングプログラムの作成、楽曲データの再生をする。
また、ユーザ1の操作により、S31〜S36,S38の同期化処理、S37の楽曲情報・履歴情報提供サーバ12への情報提供をしたりする。
なお、S46の処理に続いて、ダウンロードした楽曲データを音楽再生装置2へ自動転送するとともに、音楽再生装置2とパーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」(図3の54,59)とを同期化してもよい。
【0045】
図3は、図1に示した音楽再生装置2、パーソナルコンピュータ5の機能構成の一例を示すブロック図である。本願の発明に関係深い機能のみを図示している。
パーソナルコンピュータ5内の機能は、音楽再生装置用のアプリケーションプログラムが、CPUに実現させる。
音楽再生装置2内の楽曲データ再生部61は音源LSIにより実現され、他の機能ブロックは、図示しないフラッシュROMに記憶されたファームウエア(制御プログラム)を用いて内蔵CPUに実現させる。
【0046】
最初に、パーソナルコンピュータ5において、楽曲データと、この楽曲データの楽曲情報を取得する機能を説明する。
オーディオCD51等の記録媒体に記録された楽曲データは、楽曲データ取得部52により、「楽曲データ蓄積部」53にコピーされる。その際、楽曲データ取得部52は、楽曲情報(楽曲名、ジャンル等)が楽曲データに付加されている場合、これらの楽曲情報を取得する。
【0047】
必要とする楽曲情報が付加されていない場合、楽曲データ取得部52は、汎用楽曲情報提供サーバ14(図1)にアクセスし、すでに取得されている楽曲情報や楽曲データ波形の一部を送信するなどして、必要な楽曲情報を取得する。
汎用楽曲情報提供サーバ14は、多数の楽曲に関して、その楽曲情報を蓄積している。例えば、グレースノートGracenote(登録商標)社の提供するサービスでは、GMIDという楽曲を特定する楽曲IDコードで、曲名、アーティスト名、ジャンル名等の楽曲情報のデータベースを備えている。
【0048】
楽曲データ取得部52は、また、楽曲データの波形を解析し、この楽曲の音楽テンポ、曲調等、一般的ではない楽曲情報を取得する。取得した各種の楽曲情報は、「楽曲情報データベース」54に保存する。
一方、パーソナルコンピュータ5が、音楽配信サーバ13(図1)から楽曲データをダウンロードしたとき、必要とする楽曲情報が付加されていない場合がある。このような場合、楽曲データ取得部52はCD51のコピー時と同様の処理をすればよい。
【0049】
パーソナルコンピュータ5は、その外部記憶装置、例えば、ハード磁気ディスク装置(HDD)に「楽曲データ蓄積部」53と、この「楽曲データ蓄積部」53に存在する各楽曲データの楽曲情報である「楽曲情報データベース」54を記憶している。
「楽曲データ蓄積部」53の記憶領域は、フォルダを指定したり、楽曲データファイルを個別に指定したりすることにより、アプリケーションプログラムに管理されている。
【0050】
パーソナルコンピュータ5は、この「楽曲情報データベース」54を用いて、「楽曲データ蓄積部」53に蓄積している楽曲データを管理している。
「楽曲情報データベース」54は、楽曲情報として、楽曲の各種属性(楽曲の書誌的事項を含む)を表すデータだけでなく、楽曲データのファイルサイズ(ファイル容量)、楽曲データの保存場所を示すデータ等も合わせて保存する。従って、楽曲管理情報を保存しているということもできる。
【0051】
一方、音楽再生装置2は、そのフラッシュROMに、「楽曲データ蓄積部」58と「楽曲情報データベース」59を記憶している。この「楽曲情報データベース」59は、「楽曲データ蓄積部」58に存在する各楽曲データの楽曲情報を保存している。
音楽再生装置2は、この「楽曲情報データベース」59を用いて、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積している楽曲データを管理している。
【0052】
アプリケーションプログラムが開始されたとき、又は、同期設定部55により同期化指示があったとき、楽曲データ転送部56は、「楽曲データ蓄積部」53から、楽曲データを「楽曲データ蓄積部」58に転送する。同時に、楽曲情報同期化転送部57は、転送する楽曲データに対応する楽曲情報を、「楽曲情報データベース」54から「楽曲情報データベース」59に転送する。
なお、「楽曲情報データベース」54に保存されている複数の属性に関する楽曲情報のうち、音楽再生装置2で利用する属性に関する音楽情報のみを「楽曲情報データベース」59に転送すればよい。
また、この図では省略したが、「楽曲情報データベース」54にその楽曲情報が保存されている複数の楽曲の中から、一部の楽曲を選択して「プレイリスト」を設定でき、この「プレイリスト」を音楽再生装置2に転送することができる。
【0053】
次に、音楽再生装置2における、音楽再生機能について説明する。
制御部60は、音楽再生モードにおいて、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積された複数の楽曲データを、「楽曲情報データベース」59に保存されている全ての楽曲、又は、図示を省略した「プレイリスト」に保存されている一部の楽曲について、順番に、又は、ランダムに再生する。
制御部60は、運動モードにおいて、「楽曲情報データベース」59に保存されている複数の全楽曲の中から、又は、「プレイリスト」に保存されている楽曲の中から、反復運動テンポ検出器、脈拍(心拍数)検出器の検出出力、再生優先度変更操作(操作スイッチ)等の入力に応じて、「楽曲データ蓄積部」58から楽曲データ再生部61に対し、運動に適した楽曲データの読み出しを指示する。
【0054】
制御部60は、例えば、1回の一連の連続運動(ワークアウト)が終了したとき、使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)を「使用状況の履歴情報保存部」62に出力し、運動状態を「運動履歴情報保存部」63に出力する。
音楽再生装置2において、個人情報の設定が行われ、「個人情報保存部」64に設定値が保存される。
制御部60は、「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63、「個人情報保存部」64の各部に保存された情報に応じて、再生する楽曲の選択を制御する場合がある。
【0055】
アプリケーションプログラムを起動したとき、又は、同期設定部55によりユーザ1の操作による同期化操作があったとき、「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63、「個人情報保存部」64に保存された情報は、履歴情報・個人情報同期化転送部65により、それぞれ、「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67、「個人情報保存部」68に転送される。個人情報は、パーソナルコンピュータ5においても設定でき、「個人情報保存部」64,68の一方の個人情報を指定し、他方の個人情報を同期化する。
後述する図4(a)においては、「運動履歴情報保存部」67と「個人情報保存部」68とを一体化し、図4(b)においては、「使用状況の履歴情報保存部」66と「楽曲情報データベース」54とを一体化した例を示している。音楽再生装置2においても同様に、それぞれを一体化することができる。
【0056】
次に、パーソナルコンピュータ5の楽曲推奨機能について説明する。
パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に蓄積された楽曲データの少なくとも一部を、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に転送する際に、ユーザ1が運動中に聞く楽曲データとして適した楽曲を推奨する。
音楽再生装置2の複数の運動モードにおいて、各運動モードによっては多少の相違があるとしても、実際に再生される楽曲の音楽テンポは、ユーザの運動履歴情報に基づいて決定される。
ユーザ1の反復運動テンポと、ほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲データを再生する可能性が高い。しかし、ユーザ1の反復運動の値は全運動期間において一定ではない。そのため、統計値を用いて、ユーザ1の反復運動テンポの統計値とほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲データを推奨する。
【0057】
「運動履歴情報保存部」67は、ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データを保存している。
推奨音楽テンポ条件設定部70は、「運動履歴情報保存部」67に保存された、ユーザ1が行った運動の運動履歴データ、より具体的には、ユーザ1が行った運動の反復運動テンポの履歴データの統計値を算出し、その統計値に対応した値をとることを推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0058】
反復運動テンポの履歴データの統計値とは、例えば、所定期間における反復運動テンポの平均値、所定期間における最多ペース(最大頻度の反復運動テンポの値)、あるいは、所定期間における反復運動テンポの値の頻度分布である。
図4(a)の下段に示す運動履歴情報では、全運動期間における平均運動ペースが示されている。そのため、全運動期間における平均反復運動テンポが算出される。
しかし、他の統計値を採用する場合は、図4(a)の下段に示されていない、より詳細な運動履歴情報を保存しておく必要がある。
【0059】
反復運動テンポ統計値指定部69aは、ユーザ操作により統計をとる期間と統計値の種類とを指定する。
例えば、全運動期間の他、直近の1回分、直近の10回分、直近の1日分、直近の1ヶ月分のワークアウト等の期間を指定する。
統計値として平均値が指定されたとき、推奨音楽テンポ条件設定部70は、指定された所定期間における「運動履歴情報保存部」67に保存された反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの平均値を算出し、この平均値とこの平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0060】
一方、統計値として頻度分布が指定されたとき、推奨音楽テンポ条件設定部70は、指定された所定期間における、「運動履歴情報保存部」67に保存された反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0061】
上述した所定期間における最大頻度の反復運動テンポの値は、頻度分布のうち、最大頻度の反復運動テンポの値のみを考慮し、その他の値の出現頻度を足切り(切り捨て)したことに相当する。
最大頻度の反復運動テンポの値を統計値として指定する場合は、上述した平均値と同様に、この最大頻度の反復運動テンポの値と該最大頻度の反復運動テンポの値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された最大頻度の反復運動テンポの値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0062】
推奨音楽テンポ条件設定部70は、上述した反復運動テンポの履歴の統計値に対応した値そのものを推奨音楽テンポの値としてよい。しかし、対応した値そのものに加え、この値の半分の値の音楽テンポ(ハーフテンポ)の値であってもよい。ハーフテンポの音楽テンポでも、運動によく合う。ただし、第1の運動モード(フリーモード)で使用するときに限られる。
そこで、ハーフテンポ許容指定部69bは、ユーザ操作により、反復運動テンポの履歴の統計値に対応した値の半分の値(ハーフテンポ)も推奨音楽テンポとするか否かを指定する。
推奨音楽テンポ条件設定部70の具体的な処理は、図12,図13を参照して後述する。
【0063】
一方、「楽曲情報データベース」54は、複数楽曲について、その楽曲の属性の1つとして音楽テンポの値を保存している。
楽曲推奨部72は、上述した推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、「楽曲情報データベース」54に保存された複数の楽曲の中から検索し、転送制御部73に出力し、ユーザ1に提示する。例えば、ディスプレイ5a(図1)に楽曲名のリストを表示する。
【0064】
なお、上述した推奨音楽テンポ条件設定部70が、「選択確率付き音楽テンポの条件」を設定した場合、楽曲推奨部72は、「楽曲情報データベース」54を検索し、推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、設定された選択確率で選択してユーザ1に提示する。
【0065】
転送制御部73は、楽曲データ転送部56を制御する。提示された楽曲リストの中から、ユーザ1が転送したい曲を手動操作により指示する。転送制御部73は、指示された楽曲データを、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に転送させる。
その際、楽曲データ転送部56は、楽曲情報同期化転送部57を制御し、転送される楽曲データの楽曲情報を、「楽曲情報データベース」54から「楽曲情報データベース」59に転送する。その結果、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積される楽曲データと、「楽曲情報データベース」59に保存される楽曲情報とはリンクしており、対応関係にある。
【0066】
楽曲推奨部72は、ユーザの好み(嗜好)を反映させた楽曲を推奨することができる。
例えば、楽曲に対する好みの大きい楽曲ほど、優先的に推奨し、その結果、優先的に転送できるようにする。楽曲に対する好み以外の好みを基準とすることができる。
好みの基準指定部71は、好みを反映させる場合、楽曲に対するユーザ1の好み、曲調、ジャンル等の所定の属性に関するユーザ1の好み等の基準を指定する。
【0067】
まず、楽曲に対する好みを反映させる場合について説明する。
「使用状況の履歴情報保存部」66は、ユーザ1の操作により「楽曲」(典型的には、ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度(ユーザの好み度)の履歴データを保存している。
楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66を検索し、推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」に、ユーザ1の操作により設定された、この「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図10のS120の処理に対応する)。
楽曲推奨部72は、また、上述した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、この楽曲の、上述した「楽曲」に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この「楽曲」に対する再生優先度の高いものから順にユーザ1に提示する(図10のS121の処理に対応する)。
【0068】
次に、楽曲の、曲調、ジャンルなど、ある所定の属性に関する楽曲情報(所定の属性に関する楽曲情報の組合せを含む)に対する好みを反映させる場合について説明する。
例えば、曲調に関する楽曲情報として、ある「曲調」を持ち、かつ、ジャンルに関する楽曲情報として、ある「ジャンル」を持つ(以下、単に、ある「曲調&ジャンル」を持つと表記する)楽曲に対する好みを反映させる。
【0069】
「楽曲情報データベース」54は、各楽曲の楽曲情報として、各楽曲の音楽テンポの値の他に、各楽曲の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報として、「曲調&ジャンル」を保存している。
「使用状況の履歴情報保存部」66は、ユーザ1の操作により楽曲(ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
【0070】
楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66、及び、「楽曲情報データベース」54を参照し、ユーザ1の操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する。
より詳細には、例えば、「使用状況の履歴情報保存部」66を検索し、ユーザ1の操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図10のS119の処理に対応する)。
次に、「楽曲情報データベース」54を検索し、上述した楽曲に対する再生優先度の履歴データが取得された楽曲について、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し(図10のS123の処理に対応する)、この楽曲の、この楽曲に対する再生優先度の履歴データを、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する(図10のS123の処理に対応する)。
【0071】
補足説明をすると、ユーザ1は再生されている、ある「楽曲」に対して再生優先度を設定している。ここで、その「楽曲」の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報が、ある具体的な「曲調&ジャンル」(例えば、走りやすさレベル1&ロック)であるとする。この場合、ユーザは、実質的に、この具体的な「曲調&ジャンル」に対して再生優先度を設定していると考えられる。
【0072】
この具体例では、異なる属性の楽曲情報が組み合わされている。そのため、個々の、楽曲情報「曲調」(走りやすさ)と、ある「ジャンル」(ロック)とに対して、それぞれ、再生優先度を設定していると考える。組合せの場合、両者の再生優先度を、演算、例えば、加算したものを、ある楽曲情報「曲調&ジャンル」に対して設定した再生優先度とする。
楽曲推奨部72は、「楽曲情報データベース」54を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、この推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の情報を、この楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の高いものから順にユーザ1に提示する(図10のS124,S125の処理に対応する)。
【0073】
上述したいずれの好みの場合でも、楽曲推奨部72は、推奨音楽テンポの条件を満足する全ての楽曲を提示してよい。ユーザの好みを反映させる場合は、ユーザの好みの大きい楽曲から順に提示する。
転送制御部73は、楽曲推奨部72が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、選択された楽曲の楽曲データを、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に転送させる。
【0074】
例えば、ユーザ1は提示された楽曲の中から転送する楽曲を選択した上で、転送制御部73に転送制御をさせる。その際、転送制御部73は、ユーザ1が転送する楽曲を選択操作するごとに、既に転送する設定をした楽曲データのデータ容量を累積加算し、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えたときに、最後に選択した楽曲は転送できない旨を表示する。既に転送する設定をした楽曲の選択を取り消すこともできる。
【0075】
これに代えて、楽曲推奨部72は、楽曲の情報を提示する前に、提示しようとする推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報について、提示しようとする順に楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示するようにしてもよい。
この場合、転送制御部73は、楽曲推奨部72により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に一括転送させる。
【0076】
後者の場合、ユーザ1に提示された楽曲リストにより、「推奨楽曲プレイリスト」を作成し、この「推奨楽曲プレイリスト」を音楽再生装置2に転送することもできる。「推奨楽曲プレイリスト」に含まれる楽曲データであって、音楽再生装置2にまだ蓄積されていない楽曲データとその楽曲情報のみを、楽曲データ転送部56、楽曲情報同期化転送部57を制御して、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58、「楽曲情報データベース」59に転送させる。
なお、いずれの場合においても蓄積可能なデータ容量が少ない場合、あるいは、転送するデータ量をユーザの設定により、制限した場合は、優先順序の大きいものだけを転送することになる。
【0077】
上述した説明では、楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67のそれぞれに保存されている再生履歴情報、運動履歴情報を用いて楽曲推奨機能を実現していた。
これに代えて、再生履歴情報、運動履歴情報を音楽再生装置2の「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63から直接に転送を受けてもよい。この場合、「再生履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67を設けなくてもよい。
【0078】
図4は、図1,図3に示したパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2に保存される、ユーザ1の個人情報及び運動履歴情報、楽曲情報及び音楽再生装置の使用状況の履歴情報、図1に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存される楽曲情報・履歴情報の一例を示す説明図である。記載されている数値等の情報は説明用のものである。
【0079】
図4(a)は、図1のパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2に保存されるユーザ1の個人情報及び運動履歴情報の一例を示す説明図である。
ここでは、個人情報と運動履歴情報とを一体化して1テーブルとしている。しかし、図3においては、「個人情報保存部」68,64と、「運動履歴情報保存部」67,63とに分けている。分ける場合は、運動履歴情報にも、ユーザIDをキーとして付加しておく。
【0080】
図4(a)の上段は個人情報の属性である。
図示の例では、ユーザIDを「キー1」として個人情報及び運動履歴情報を管理する。ユーザIDは、例えば、ソフトウエアプログラムのユーザ登録時に楽曲情報・履歴情報提供サーバ12により付与される。
【0081】
歩幅[cm]は、1歩(1ステップ)の長さであり、ジョギング時とウォーキング時とで異なる値が設定される。
最小テンポ(ジョギング)、最大テンポ(ジョギング)[beat/min]は、ジョギング運動時における最小、最大の反復運動テンポの値である。同様に、最小テンポ(ウォーキング)、最大テンポ(ウォーキング)は、ウォーキング運動時における最小、最大の反復運動テンポの値である。
音楽テンポについても、上述した反復運動テンポの値と同じ最小値と最大値を設定して、楽曲データを選択する。運動開始時は、最小値の音楽テンポから開始される。
【0082】
図4(a)の第2段は過去の全運動期間(情報が保存されている範囲内で)についての運動履歴の属性である。全時間は運動モードにおいて運動した過去の全運動期間の時間[時:分:秒]である。全距離は、過去の全運動期間の距離である。
全時間、全距離は、各回のワークアウトにおける開始時のウオーミングアップ、主運動期間、終了時のクールダウンの期間の内、原則として主運動期間のみとする。ただし、ウオーミングアップの期間が長い場合は、本運動期間にウオーミングアップの期間を加えることが望ましい。
【0083】
平均運動ペースは、過去の全運動期間の運動ペース[分:秒/km]の平均値である。予め設定された歩幅に平均反復運動テンポを乗算して求める。
全カロリは過去の全運動期間の運動により消費された全カロリ[kcal]、過去の全運動期間の平均心拍数[bpm]である。
【0084】
個人情報として、図4(a)の1段目の最後に示した「運動レベル」の属性を設けてもよい。この「運動レベル」は、ユーザの総合的な運動能力の指標であり、例えば、図4(a)の2段目の平均運動ペースや平均心拍数を考慮して計算式を使って算出したり、ユーザが設定操作子を用いたりして設定する。
また、図示を省略したが、どのような走り方、走り込みの経験をもっているかを表す、「ランニングスタイル」の属性を設けてもよい。例えば、図4(a)の2段目の平均運動ペースや、月間走行距離等に応じて算出したり、ユーザが設定操作子を用いたりして設定する。
【0085】
なお、反復運動テンポの値の履歴データの統計期間、統計値の設定を任意に選択できるようにするには、より詳細な反復運動テンポのデータが必要である。従って、反復運動テンポの値を、時系列に沿って記録したものを、そのまま、あるいは、ワークアウト単位で、保存しておく。
【0086】
図4(b)は、楽曲情報及び使用状況(音楽再生装置の使用状況)の履歴情報の一例である。この使用状況の履歴情報には、再生履歴を含んでいる。
ここでは、楽曲情報と使用状況の履歴情報保存部とを、1テーブルとして保存する場合を示している。
図3に示したパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2のように、「楽曲情報データベース」54,59と、「使用状況の履歴情報保存部」66,62とを分けて保存してもよい。この場合、「使用状況の履歴情報保存部」に楽曲IDをキーとして付加しておく。
【0087】
楽曲情報及び使用状況の履歴情報は、楽曲IDを「キー2」として管理する。楽曲情報及び再生履歴情報は、少なくとも一部を「ミュージックライブラリ」として、ディスプレイ5aに表示することができる。
楽曲情報及び使用状況の履歴情報は、各楽曲毎に、複数の属性について、その値やその内容が1レコードとして記述されている。
【0088】
楽曲IDは、楽曲データを識別するコードである。例えば、図3に示した楽曲データ取得部52が、汎用楽曲情報提供サーバ14(図1)にアクセスしたときに、楽曲IDを取得するか、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が独自に楽曲IDを発行して付与してもよい。
楽曲名、アーティスト、アルバム、ジャンル、再生時間は、図3において、CD51をコピーする場合に、CDの楽曲データに付加されたTEXTの情報から得られる。
ジャンルの属性には、その具体的な楽曲情報として、ポップミュージック、ジャズ等がある。
また、音楽テンポ、「走りやすさ」、「エネルギーレベル」の属性は、CDをコピーする際に、パーソナルコンピュータ5が、楽曲データを解析して得る。
【0089】
上述した「走りやすさ」(第1の曲調)、「エネルギーレベル」(第2の曲調)等の曲調は、数値化された曲調評価パラメータということができる。音楽波形データを、予め作成されたアルゴリズムに基づいて解析することにより得られる。
曲調の属性は、一般に、ユーザが音楽を聴いたときに、音楽の内容から受ける心理的な感情を分析した、音楽の一属性であり、例えば、明るい、暗い、楽しい、嬉しい、激しい、ゆったり、ビートがはっきりしている、などがある。
【0090】
図示の例では、「走りやすさ」(第1の曲調)、「エネルギーレベル」(第2の曲調)という、特に運動中に再生される楽曲を評価するにふさわしい2種類の曲調を採用しており、ユーザの好みを判定するために使用される。
ユーザの好みを判定する場合、キーワードで判定するか、又は、上述した曲調評価パラメータのような数値化されたものは、数値の属する範囲で判定する。
【0091】
例えば、「走りやすさ」が、1〜100の範囲で定義されているとすると、数値が70以上のものを、「走りやすさレベル1」の曲調であるとする。一方、数値が30以下のものを、「走りやすさレベル3」の曲調であるとする。数値が70未満で30を超えるものを「走りやすさレベル2」の曲調であるとする。
また、「エネルギーレベル」が、1〜10の範囲で定義されているとすると、数値が7以上のものを、「エネルギーレベル1」の曲調であるとする。一方、数値が3以下のものを、「エネルギーレベル3」の曲調であるとする。数値が7未満で3を超えるものを「エネルギーレベル2」の曲調であるとする。
【0092】
楽曲情報としては、この他に、相対音量、アルバム音量、オーディオファイルかMIDIファイルかの種別データがある。この他、ファイル管理情報として、楽曲データのファイルサイズ(ファイル容量)、楽曲データを保存しているディレクトリ、インポート日時(プログラムが管理している領域にコピー又はダウンロードされた日時)などがある。
【0093】
なお、楽曲データを入手したユーザ元によって、同じ楽曲IDを有する楽曲であっても、楽曲解析結果にばらつきが生じたり、相違したりする場合がある。
このような場合、ある同じ楽曲IDの複数の楽曲情報を1セットと名付けたとき、複数のユーザから複数セットを収集したとき、複数の楽曲の属性について、各楽曲情報の一致度が高い楽曲情報のセット及び対応する楽曲データを選定し、選定された楽曲情報のセット及び楽曲データを、正規のものとして「楽曲情報データベース」85に保存すればよい。
【0094】
音楽再生装置の使用状況の履歴(再生履歴を含む)は、過去の全運動期間中の使用状況の履歴を保存している。ただし、リセットが可能であり、また、前回再生日時(この楽曲が最後に再生された日時)の属性のデータを保存している場合、再生日時の範囲を絞って検索することができ、例えば、昔に再生したような楽曲を除いて検索することができる。
再生履歴のうち、再生回数、再生優先度は、ユーザ1が音楽再生装置2で再生した楽曲の再生回数(プレイカウント)、再生優先度(再生優先度ポイント)のデータである。
図3に示した「使用状況の履歴情報保存部」66,62は、未再生の楽曲も保存し、その再生回数を0としているが、1回でも再生された楽曲のみを保存してもよい。図4(b)のように、楽曲情報と再生履歴とを一括保存する場合、再生回数が0の楽曲も、その楽曲情報を保存している。
再生優先度は、図1を参照して説明したように、楽曲に対するユーザ1の好みを表すパラメータである。
図4(b)の例では、初期値を0とし、スキップ操作により再生優先度を1ポイント下げることのみを実行し、再生優先度の値を0以下のマイナスの値としている。
【0095】
ウォーキングやジョギングの主運動期間における、スキップ操作、リピート操作と、ウオーミングアップの期間におけるスキップ操作、リピート操作とは、再生優先度の重みを異ならせてもよい。主運動期間におけるスキップ操作、リピート操作の再生優先度の重みを大きくすることが好ましい。
再生優先度の変更は、上述した操作以外の他の操作に伴って変更操作されてもよい。また、いわゆる星マークを付ける「マイレート」を入力する操作子を用いて再生優先度を変更してもよい。また、楽曲に対する再生優先度を変更するための専用の、お気に入り操作子を用いてもよい。
【0096】
再生優先度は、図3を参照して説明したように、典型的には、ユーザ1の操作により、ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲に設定する。
しかし、ユーザ操作により、楽曲データを再生することなく、直接的に、「使用状況の履歴情報保存部」66,62に保存された再生優先度を変更することも可能にしてもよい。
なお、上述した再生優先度は、「楽曲」に対する再生優先度であった。これに代えて、「楽曲情報データベース」54,59(図3)に記述されている属性であれば、1つの属性又は複数の属性の任意の組合せに対し、ユーザが直接的に再生優先度を設定できるようにしてもよい。
【0097】
なお、図4(b)に示す運動モードの属性を設けてもよい。この運動モードの履歴情報は、再生履歴とは言いにくいが、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報である。
この運動モードは、図4(b)に示す複数の運動モードにおいて、どのモードで、この楽曲データを再生したかを示すデータである。図1に示した音楽再生装置2は、第1〜第3つの運動モードを有していた。第2の運動モードについては、さらに、ウォーキングとジョギングのサブモードに分けてもよい。
しかし、同じ楽曲を複数のモードで再生する場合があり得る。この場合は、各運動モード毎に、同じ楽曲IDの楽曲情報のセット(1レコード)が作成され、「楽曲情報データベース」54,59に保存する。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報としては、この他、使用した1日の時間帯(朝昼夜)や、使用した季節等の情報がある。
【0098】
図4(c)は、図1の楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存される楽曲情報・履歴情報の一例を示す説明図である。
これらの楽曲情報及び履歴情報は、各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B,…に記憶された、各ユーザについての、図4(a)の個人情報,図4(b)に示す楽曲情報及び音楽再生装置2の使用状況の履歴情報を収集したものである。
【0099】
なお、楽曲情報については、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、独自に、音楽配信サーバ13等から楽曲データを取得して、この楽曲データを解析したものを保存してもよい。
図5,図6,図8に示す楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、「楽曲情報データベース」85と、「履歴情報データベース」84とを分けているが、この図4(d)では、楽曲情報と履歴情報とを、1テーブルとした場合を示している。
【0100】
図示の例では、楽曲IDとユーザIDとを2個の「キー」として、「楽曲」のキーと「ユーザ」のキーの1つの組合せに対し、図示の1レコードを構成し、全ての組合せのレコードを集め、1テーブルを構成する。
1レコードは、楽曲情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報(再生履歴情報を含む)、個人情報が1組のセットになっている。後述する楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、運動履歴情報を収集・保存しないが、収集・保存することも可能である。
【0101】
図4(c)に示す楽曲情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報(再生履歴情報を含む)、個人情報は、図4(a)、図4(b)に示した音楽再生装置2やパーソナルコンピュータ5に保存されている情報をすべて含む必要はない。他のユーザに提供しない属性、あるいは、検索条件に応じて検索範囲を絞り込む際に必要のない属性については、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が収集・保存する必要がない。
【0102】
図5〜図9は、図1に示したパーソナルコンピュータ5等がユーザ端末となり、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、情報収集、楽曲推奨を含む楽曲情報の提供等をするシステムを、機能別に説明するブロック図である。
【0103】
図5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、ユーザ端末から情報を収集する機能を実現するためのブロック図である。図中、図1、図3と同様な部分には同じ符号を付している。
パーソナルコンピュータ(ユーザ1のユーザ端末)5において、81は「履歴情報保存部」であり、図3に示した「使用状況の履歴情報保存部」66,「個人情報保存部」68を示したものである。
従って、「履歴情報保存部」81に保存された履歴情報は、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報であって、ユーザ1の属性に関する個人情報を含む。
【0104】
情報提供部82は、「履歴情報保存部」81に保存された個人情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に転送する。この実施形態では、運動履歴情報を収集しない。楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の情報収集部83は、複数の各ユーザのパーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5,7B,8B,18B,19B,20B,…から、これらの情報を「履歴情報データベース」84に保存する。
【0105】
上述した「履歴情報データベース」84に保存されている履歴情報は、音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動中に音楽を聴くという共通の目的で音楽を聴いているユーザ群における、個人情報及び音楽再生装置の使用状況の履歴情報である。
その結果、「履歴情報データベース」84を検索すれば、このようなユーザ群の特徴をさらに分析し、分析結果の情報を提供したり、「楽曲情報データベース」85を検索する際に、検索範囲を絞り込むために使用したりすることができる。
【0106】
情報提供部82は、また、「楽曲情報データベース」54(図3)に保存されていた複数楽曲の各種属性の楽曲情報を、「楽曲情報データベース」85に保存する。
なお、楽曲情報のみを収集する際には、ユーザを識別する情報を要しないが、図4(b)に示したような、再生履歴情報とともに収集する場合は、ユーザを識別する情報を要する。
【0107】
「楽曲情報データベース」85に保存される各楽曲情報もまた、音楽再生装置2等を使用して楽曲を再生しながら運動中に音楽を聴くという、共通の目的で音楽を聴いているユーザ群において蓄積されている楽曲の楽曲情報である。従って、反復運動テンポが通常取りうる範囲の音楽テンポ値をもつ楽曲や、曲調が運動に適している楽曲である可能性が高い。かつ、一般のユーザが既に入手していることから、人気のあるポピュラーな楽曲の楽曲情報であるという特徴がある。
その結果、汎用楽曲情報提供サーバ14のように、膨大な数の楽曲について楽曲情報を蓄積するよりも、ユーザが運動中に聴くにふさわしい楽曲の楽曲情報が効率的に収集される。また、「楽曲情報データベース」85の規模が小さくなるから、その管理が容易となる。
【0108】
しかも、収集された楽曲情報は、楽曲データを解析した結果得られた、音楽テンポや曲調等の、運動しながら聞くのに適した楽曲を検索するのに必要な楽曲情報を含んでいる。これらは、CDに記録されている楽曲や、一般の音楽配信サーバ13から提供される楽曲データには付加されていないし、汎用楽曲情報提供サーバ14からも得られない。一方、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12において、収集する楽曲の全てについて楽曲データを解析することは処理の負担が大きくなるので難しい。
【0109】
上述した説明では、情報提供部82は、パーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲情報の全てを提供していた。
これに代えて、情報提供部82が、一部の楽曲データのみを提供するように制限してもよい。例えば、情報提供部82は、「使用状況の履歴情報保存部」66(図3)を参照し、「楽曲情報データベース」54(図3)の中から、各ユーザが1回以上再生した再生楽曲の楽曲情報のみを、情報収集部83に提供し、再生されていない楽曲(再生回数=0)の楽曲情報については提供しないようにしてもよい。
【0110】
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、上述したようにして「履歴情報データベース」84と「楽曲情報データベース」85とが自動的に構築され、複数のユーザが、これらのデータベースを共有し、各ユーザ端末からの要求に応じて情報提供をすることができる。
また、上述した説明では、「履歴情報データベース」84に、各ユーザの運動履歴情報を保存していない。しかし、複数ユーザの運動履歴情報も検索対象とする場合は、各ユーザの「運動履歴情報保存部」67に保存された運動履歴情報を、情報提供部82、情報収集部83を経由して「履歴情報データベース」84に保存するようにしてもよい。
【0111】
図6は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から、ユーザ1のパーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5に、情報を提供する機能を実現するためのブロック図である。
図中、図5と同じブロックに同じ符号を付している。
パーソナルコンピュータ(ユーザ1のユーザ端末)5において、条件指定部91は、要求する情報を得るための所定の条件を指定する。
【0112】
所定の条件としては、情報の種類を指定する条件と、この情報を取得するための検索範囲を絞り込む条件とがある。情報の種類としては、「履歴情報データベース」84又は「楽曲情報データベース」85に保存されたものであればよい。
検索範囲を絞り込む条件としては、「履歴情報データベース」84又は「楽曲情報データベース」85に保存された属性の具体的な情報を指定すればよい。
【0113】
条件指定部91は、所定の指定条件(例えば、ユーザ1の個人情報、及び、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報に関する所定の指定条件)を設定する。
情報要求部92は、このような所定の指定条件を満たす情報(例えば、楽曲の情報)を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対して要求する。
情報要求取得部93は、パーソナルコンピュータ5から、上述した所定の指定条件を満たす情報を取得し、情報提供部86に与える。
【0114】
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84、及び又は、「楽曲情報データベース」85における、所定の指定条件を満たす情報を検索し、検索して得た情報を、情報要求したパーソナルコンピュータ5の情報取得部94に提供する。情報取得部94は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から提供された情報を取得し、情報提示部95は、取得された情報をユーザ1に提示する。
【0115】
図7は、図6に示した情報を提供する機能により、ユーザに提示される情報の一例を示す図である。
図7(a)は、所定のユーザ範囲に属する複数のユーザにおける、楽曲の再生回数(又は%)の多いもの順に、その楽曲の楽曲名と音楽テンポ値、その再生回数の統計分布とともに、ディスプレイ5a(図1)にポップアップウインドウにて提示した例である。
図7(a)に示した情報を提示するためには、上述した図6において次のようにする。「所定の指定条件を満たす情報」の要求を、「所定のユーザ範囲に含まれるユーザが再生した再生楽曲」の要求とする。
【0116】
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84を検索し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザが運動中に再生した再生楽曲の履歴情報を取得し、履歴情報を取得した再生楽曲について、今度は、「楽曲情報データベース」85を検索し、取得していた再生楽曲について、その楽曲情報として、楽曲名と音楽テンポ値とを取得し、これを、情報の要求をしたユーザ1のパーソナルコンピュータ5に提供する。
その際、情報提示部95は、再生楽曲の再生回数の大きい楽曲情報から順番に表示させる。棒グラフは、再生回数を表示する。すなわち、再生回数の大きさに基づいて表示の優先順位を与える。
【0117】
図7(b)は、所定のユーザ範囲に属する複数のユーザにおける、個人情報の1つである、「運動レベル」のランクを統計分布グラフとともに、ポップアップウインドウにて提示した例である。
横軸は「運動レベル」のランクA〜ランクDを示し、縦軸は各ランクのユーザ数(又は%)を示す。数値を表示してもよい。
情報要求をしたユーザが属するランクの棒グラフの色、文字色等を、他のランクの、棒グラフの色、文字色と異ならせるなどして、ユーザ本人が属しているランクを目立つようにする。また、ユーザが属しているランクの表示を、最初に表示するなど、優先順位を決めたり、マーキングや書体を変えたりするとよい。
【0118】
図7(b)に示した情報を提示するためには、上述した図6において次のようにする。
「所定の指定条件を満たす情報」の要求を、「所定のユーザ範囲に含まれるユーザの運動レベル」の要求とする。表示の優先順位は、ランクA〜Dの順とする。
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84を検索し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの個人情報「運動レベル」の情報を取得し、「ランクA」〜「ランクD」別に、ユーザの総数を算出する。これを、情報の要求をしたユーザ1のユーザ端末装置5に提供する。
【0119】
上述した条件指定部91において、検索対象とするユーザ範囲を、個人情報に含まれるユーザ属性で絞り込むことができる。すなわち、条件指定部91は、指定されたユーザ属性の条件を満たすことを条件とする。
例えば、図4(a)に示したテーブルに示されている、現在の年齢(生年月日と現在の日時とから得られる)、性別、運動レベルのランクなどを指定する。数値で表されるユーザ属性については、数値の範囲を指定すればよい。
【0120】
ユーザ属性は、複数のユーザ属性の組合せ、例えば、「性別」と「年齢」の組合せでもよい。また、情報を要求したユーザと所定のユーザ属性が一致又は類似していることを条件として、ユーザの範囲を設定してもよい。例えば、「同性」、「同世代」(例えば、年齢差が所定範囲内)、「運動レベル」が同じランク、「ランニングスタイル」が同じ、等で指定すると、ユーザ範囲の設定が的確にできる。
情報の提供を要求したユーザと「同性」かつ「同世代」という指定ができる。さらに加えて、情報の提供を要求したユーザと「運動レベル」が同じランク、という指定もできる。
ユーザ範囲として、「全ユーザ」(実質的にユーザ範囲を条件付けていないことになる)、「本人」(情報の提供を要求したユーザ、ユーザIDや氏名を指定)という選択肢を設けてもよい。
【0121】
情報要求取得部93により、ユーザ範囲に含まれるユーザを特定するために、ユーザ属性が取得されたとき、情報提供部86は、条件指定部91において指定されたユーザの属性を持つことを条件として、前記ユーザ範囲に含まれるユーザを特定する。
具体的には、ユーザの属性の具体的な内容をキーワード、又は、数値の範囲として、「履歴情報データベース」84を検索することにより、ユーザ範囲に含まれるユーザを特定する。
図7(a)を参照して説明した再生楽曲の例では、特定されたユーザ範囲に含まれるユーザが再生した楽曲の楽曲IDを、「履歴情報データベース」84を検索して取得し、取得した楽曲IDの楽曲情報を、「楽曲情報データベース」85を検索して取得する。
【0122】
なお、図8、図9、図11を参照して後述する楽曲推奨機能においては、ユーザの範囲を指定して、このユーザ範囲に含まれるユーザの好みを反映させている。
そこで、後述する楽曲推奨機能において、推奨音楽テンポの条件を指定しない(すべての音楽テンポを許容する)で機能を実行すれば、指定されたユーザの範囲に含まれるユーザの好みの楽曲の情報を検索して取得することができるようになる。
【0123】
パーソナルコンピュータ5において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12によって楽曲の情報が提供されたとき、ユーザ1は、提示されたリストを見て、自身の楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲データがあって、この楽曲データを取得したいときは、音楽配信サーバ13(図1)にアクセスし、この楽曲データを購入してダウンロードする。
この場合、楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲の情報と既に蓄積している楽曲の情報とが、提示されたリストにおける表示態様の相違により容易に識別できるようにすることができる。図9を参照して後述する楽曲推奨の機能において、その具体的な方法を説明している。
【0124】
図8は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から、ユーザ1のパーソナルコンピュータ5に、推奨楽曲を提供する機能を実現するためのブロック図である。図中、図5,図6と同じブロックには同じ符号を付している。
条件指定部91は、「ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲」であるという条件を指定する。
条件指定部91は、図3に示した反復運動テンポ統計値指定部69a、ハーフテンポ許容指定部69b、好みの基準指定部71を合わせた機能に相当し、情報要求部92は、推奨音楽テンポ条件設定部70の機能を含む。
【0125】
推奨音楽テンポの条件は、図3の推奨音楽テンポ条件設定部70と同様に、「運動履歴情報保存部」67(図3)から取得された、情報の要求をするユーザ1が行った運動の運動履歴データに基づいた値をとる音楽テンポである。
従って、情報要求部92は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ装置12に対し、保存された運動履歴データに基づいた推奨音楽テンポの条件を付加してユーザ1の運動に適した楽曲の情報を要求する。
【0126】
ここで、運動履歴データに基づいた値とは、より具体的には、ユーザ1が行った運動の反復運動テンポの履歴データの統計値である。
統計値として、ユーザ設定により平均値が指定された場合、情報要求部92は、反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの平均値を算出し、この平均値とこの平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0127】
一方、統計値として、ユーザ設定により頻度分布が指定された場合、情報要求部92は、反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
この場合、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の情報提供部86に対し、複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、設定された選択確率で選択して、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提供させる。
【0128】
ユーザの好みを反映させる指示が伴わない情報要求の場合について説明する。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12における情報要求取得部93は、ユーザ1のユーザ端末装置5から、推奨音楽テンポの条件が付加された各ユーザの運動に適した楽曲の情報要求を取得し、情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、上述した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、楽曲の情報を要求したユーザ1のユーザ端末装置5に提供する。
パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5における情報取得部94は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から提供された楽曲の情報を取得し、情報提示部95は、取得された楽曲の情報をユーザ1に提示する。
【0129】
また、条件指定部91は、ユーザの好みを反映させる場合、好みの基準を指定する。その際、好みを調べる対象とするユーザ範囲を指定することができ、このユーザ範囲に属するユーザの好みを基準とする。これは、図3の好みの基準指定部71にはない機能である。
好みを調べる対象とするユーザ範囲の設定は、図6に示した情報提供における条件指定部91におけるユーザ範囲の設定と同様である。1又は複数のユーザ属性の組合せで指定することもできる。また、ユーザ属性を、情報を要求したユーザの属性との相対関係で指定することもできる。「ランニングスタイル」が同じ、で指定する。情報の提供を要求したユーザと「同性」かつ「同世代」という指定ができる。ユーザ範囲として、「全ユーザ」、「本人」という選択肢を設けることもできる。
【0130】
最初に、楽曲に対する好みを反映させる場合を説明する。
情報要求部92は、推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの好みに合う楽曲の情報要求をする。
「履歴情報データベース」84には、各ユーザのユーザ端末装置から収集した使用状況の履歴情報として、各ユーザの操作により楽曲(典型的には、各ユーザが運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
情報要求取得部93は、ユーザ1が行った運動の運動履歴データに基づいた推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの好みに合う楽曲の情報要求を取得する。
【0131】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を取得する(図11のS132の処理に対応する)。
情報提供部86は、また、「履歴情報データベース」84を検索し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲(各ユーザが運動中に再生した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)に、当該各ユーザの操作により設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図11のS138に対応する)。
情報提供部86は、さらにまた、推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の情報を、この「楽曲」の、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この「楽曲」に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提示する(図11のS139,S140,S136に対応する)。
推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲が、所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザによって再生されたことのない楽曲である場合は、再生されることなく各ユーザによって直接に設定されていない限り、再生優先度は基準値、図4(b)ではゼロ、になっている。
【0132】
次に、楽曲の所定の属性、例えば、曲調&ジャンルに対する好みを反映させる場合を説明する。
情報要求部92は、推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報に対する好みに合う楽曲の情報要求をする。
「楽曲情報データベース」85は、各楽曲の楽曲情報として、各楽曲の音楽テンポの値の他に、各楽曲の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報を保存している。
「履歴情報データベース」84には、各ユーザのパーソナルコンピュータ(ユーザ端末装置)から収集した使用状況の履歴情報として、各ユーザの操作により楽曲(各ユーザが運動中に再生した楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
「情報要求取得部」93は、推奨音楽テンポの条件が付加されることによりユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報に対する好みに合う楽曲の情報要求を取得する。
【0133】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を取得する(図11のS132の処理に対応する)。
情報提供部86は、また、「履歴情報データベース」84及び「楽曲情報データベース」85を参照し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、当該各ユーザの操作により「楽曲」(各ユーザが運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを、上述した所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する。
より詳細には、例えば、「履歴情報データベース」84を検索し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、この各ユーザの操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図11のS137の処理に対応する)。
次に、「楽曲情報データベース」85を検索し、楽曲に対する再生優先度の履歴データが取得された楽曲について、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、この楽曲の、この楽曲に対する再生優先度の履歴データを、上述した所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する(図11のS141の処理に対応する)。
【0134】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、この楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに基づいて、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提示する(図11のS142,S143,S140,S136の処理に対応する)。
【0135】
なお、上述した説明では、「履歴情報データベース」84に、各ユーザの運動履歴情報(反復運動テンポの履歴データ)が保存されていないので、情報を要求するユーザの側で、推奨音楽テンポの条件を決定していた。
これに対し、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、各ユーザの運動履歴情報(反復運動テンポの履歴データ)も収集し、「履歴情報データベース」84に保存するシステムの場合は、情報提供部85において、推奨音楽テンポの条件を決定することができる。
【0136】
パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12によって推奨を受けたリストを見て、自身の楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲があったときは、音楽配信サーバ13(図1)にアクセスし、この楽曲データを購入してダウンロードする。
図9は、図8の情報提示部95に提示される推奨楽曲を、図1のディスプレイ5aに表示される画像として示す図である。画面右側の垂直方向のスクロールバーにある「つまみ」101をマウスでドラッグすることにより、楽曲情報のリストがスクロールされ、より多数の楽曲が表示される。図示しない、次頁ボタンの他、前頁ボタンや頁指定ボタンをマウスクリックすることにより、複数頁に移動できる。
【0137】
図示の例では、原則として各行に1つの楽曲が割り当てられ、その各列に、楽曲名(ソング)の他、他の属性名として、アーティスト名、音楽テンポ[BPM]、走りやすさ(第1の曲調)、ジャンルが配列されている。ただし、アーティスト名は、各楽曲名の下に配置されている。
ユーザの操作により、属性の1つを選択してソートして配列順序を変更することができる。一番上の行に表示される各属性名の領域をマウスでクリックすると、クリックされた属性で、楽曲情報が楽曲単位でソートされる。従って、「アーティスト」でソートすれば、同じ「アーティスト」が連続して配列されるので、ユーザが気に入っている「アーティスト」の楽曲を選択しやすくなる。
【0138】
配信サービスの列に、「購入」のボタンが表示されている。ユーザ1は、取得したい楽曲(例えば、ソングW)がある場合、取得したいソングWの「購入ボタン」をマウスクリックすると、図1に示した音楽配信サーバ13における、このソングWの購入手続をする画面にアクセスし、ソングWの楽曲データを、ダウンロードすることができる。
【0139】
ユーザが作曲して制作したオリジナル楽曲や、入手困難な楽曲については、楽曲データの入手先にアクセスするための情報、例えば、URLを、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供しておき、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12内の「楽曲情報データベース」85に保存しておけばよい。
あるいは、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、このような楽曲データを蓄積しておき、ユーザに配信できるようにしてもよい。
上述した「購入ボタン」と同様なボタンを表示しておき、このボタンをクリックすると、上述したオリジナル楽曲等の入手先、あるいは、この楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に蓄積されたオリジナル楽曲にアクセスできるようにすればよい。
【0140】
情報要求したユーザ1の「楽曲データ蓄積部」53(図3)に楽曲データが蓄積され、かつ、「楽曲情報データベース」54(図3)に管理されている既存の楽曲を含めて推奨楽曲を表示し、既存の楽曲であるか否かは、表示の態様を変えて提示すればよい。
例えば、蓄積されていない楽曲についてのみ、その「購入」ボタンの操作を有効とし、音楽配信サーバ13へリンクできるようにし、既存の楽曲の「購入」ボタンはグレイ表示として操作ができないようにしておけばよい。
これに代えて、「楽曲データ蓄積部」53(図3)に蓄積されていない楽曲のみを推奨楽曲として提示してもよい。
【0141】
図10〜図12は、これまで説明した一部の機能ブロックについて、処理の詳細を説明するフローチャートである。これまでの説明と重複する内容は簡略化して説明する。
図10は、図2のS33の処理の詳細を示すフローチャートであり、図3に示した推奨音楽テンポ条件設定部70、楽曲推奨部72の機能を実行する。
【0142】
S111において、ユーザ設定された指定条件を取得する。
S112において、「運動履歴情報保存部」67(図3)に保存されている反復運動テンポに応じて、推奨音楽テンポ条件を設定する。
この処理を、先に、図12、図13を参照して説明する。
【0143】
図12は、図10におけるS112の処理の詳細を示すフローチャートである。
S151において、ユーザ設定により指定された統計期間において連続的に、例えば、1秒毎に記録された反復運動テンポの値を取得する。
S152において、ユーザ設定により統計値として平均値を使用するか否かを判定し、平均値を使用する場合はS153に処理を進め、頻度分布を使用する場合はS154に処理を進める。
【0144】
S153において、取得した反復運動テンポの値の平均値を算出し、この平均値を含む所定範囲内の値を推奨音楽テンポの値とする。すなわち、平均値と、この平均値に近い値、例えば、平均値を中心とする±3[bpm]の所定範囲内の値を持つことを、推奨音楽テンポの値とし、S155に処理を進める。
ここで、ユーザ設定により、所定範囲を差でなく、平均値に対する比率、例えば±3%として設定してもよい。また、ユーザ設定により、所定範囲の幅を変更してもよい。
一方、S154において、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、選択確率付きの推奨音楽テンポの条件として、S155に処理を進める。この選択確率付きの推奨音楽テンポの条件が指定されたときには、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、それぞれに設定された選択確率で選択する。
【0145】
図13は、反復運動テンポの頻度分布と、この反復運動テンポの累積加算値を示す説明図である。
図13(a)は、パーソナルコンピュータ5の「運動履歴情報保存部」67に保存されている反復運動テンポの頻度分布を示している。実際、ポップアップ画面でユーザに表示してもよい。横軸は反復運動テンポの値[bpm]、縦軸はその反復運動テンポで運動した運動時間(又はその%)が示される。図示の数値は説明用であって実測値ではない。
【0146】
反復運動テンポの値は、代表値を中心にして所定範囲内に入るもの(図示の例では、代表値±10bpm)について、その運動時間が示される。例えば、代表値80[bpm]に対し、70[bpm]以上90[bpm]未満を80[bpm]の範囲としている。
代表値80[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がa、代表値120[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がb、以後、同様にして、代表値200[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がfであったとする。
図13(b)に、各運動時間a〜fを累積加算したものを示す。運動時間を%で表したときには、累積加算値が100[%]となる。
【0147】
図示を簡単にするため、反復運動テンポを20[bpm]の範囲に区分して、各範囲に入る選択確率を求めている。実際には、5[bpm]程度の範囲が適切である。反復運動テンポは、その分解可能な最小単位、例えば、1[bpm]を範囲として区分してもよいし、ユーザ設定により、上述した範囲を変更できるようにしてもよい。
【0148】
図12のS155において、ハーフテンポの楽曲データを許容するユーザ設定であるか否かを判定し、許容するときはS156に処理を進め、許容しないときは推奨音楽テンポ条件の設定を終了する。
S156においては、既に設定した複数の音楽テンポの値に加えて、それぞれの半分の値の音楽テンポも推奨音楽テンポの値とする。
【0149】
このように、反復運動テンポの、平均値に対応する所定範囲内の値をとる音楽テンポの楽曲データや、頻度分布に応じた分布で音楽テンポの値が分布する楽曲データを蓄積しておけば、出現頻度が高い反復運動テンポで運動している時でも、同じ楽曲データが繰り返し再生される頻度が少なくなるので、ユーザは音楽や運動に飽きにくい。
ただし、出現する可能性が皆無ではない反復運動テンポについても、その反復運動テンポに応じた音楽テンポの楽曲を少しは蓄積しておくことが望ましい。
【0150】
そのため、上述したS154においては、反復運動テンポの値の頻度分布に、一定のオフセット値を加えた頻度分布に変換して、選択確率付きの音楽テンポの値を設定してもよい。
あるいは、推奨音楽テンポ条件を設定するのは、ユーザ設定により、音楽再生装置2に蓄積可能なデータ容量の所定割合x[%]又は指定曲数とし、残りの(1−x)[%]のデータ容量分については、推奨音楽テンポの条件を付けないで楽曲を推奨してもよい。
具体的には、推奨音楽テンポ条件を設定して推奨楽曲の提示を受け、蓄積可能なデータ容量の所定割合x[%]分のデータ容量となる楽曲データを音楽再生装置2に転送する。その後、推奨音楽テンポの条件を付けないで、残りの(1−x)[%]のデータ容量分を超えない範囲で、ランダムに楽曲を選択したり、ユーザの好みに合う楽曲を選択したりすればよい。
【0151】
図10に戻って説明を続ける。
S113において、「楽曲情報データベース」54(図3)を検索(検索aという)し、S112で設定された推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲」(以下、「楽曲a」という)を取得し、S114に処理を進める。
ここで、推奨音楽テンポの条件に選択確率条件が付いている場合、「楽曲情報データベース」54から、その選択確率に応じて楽曲を検索する。
【0152】
再び、図13(b)を参照する。1から100までの整数値を一様にとる乱数の最大値100を、運動時間a〜fの累積加算値(再生確率母数)に対応させる。運動時間を%で表したときには、累積加算値が100[%]になり、乱数の値と対応する。
1つの乱数値を出力する度に、出力された乱数値が、どの反復運動テンポの運動時間a〜fの範囲に属するかに応じて、音楽テンポの値を、その範囲に属する運動時間に対応する反復運動テンポの値に決定する。運動時間a〜fの境界値を予め計算しておくことにより、どの範囲に属するかがわかる。
【0153】
すなわち、1〜100の範囲の一様乱数を用い、乱数値によって、1つの音楽テンポを指定し、この音楽テンポを有する楽曲を1曲検索して1回の処理とし、この処理を、多数回行えばよい。何回行うかは、出力する楽曲の数やデータ容量等による。
例えば、乱数値が50のとき、運動時間dの範囲にあるから、音楽テンポ値として150[bpm]以上170[bpm]未満の範囲を指定して、「楽曲情報データベース」54を検索し、1曲の楽曲を出力する。同様にして、一様乱数値を繰り返し出力すれば、反復運動テンポの頻度分布と同じ頻度分布を有する音楽テンポの値が得られる。
【0154】
S114において、ユーザの好みを反映させるか否かを、S111で取得した指定条件により判定し、反映させるときはS115に処理を進め、反映させないときはS116に処理を進める。
まず、S116において、S113の検索aで得た、推奨音楽テンポの値を満足する「楽曲a」の中から、音楽再生装置2が蓄積可能な容量を超えない範囲で、楽曲をランダムに選択する。
【0155】
すなわち、決定された推奨音楽テンポの値(ハーフテンポを許容する場合は、その半分の値を含む)を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、ランダムに選択する。
ここで、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58(図3)に蓄積可能な容量を超えない、最大限の楽曲を提示する他に、「10曲選択」、蓄積可能な容量の「1割選択」といった提示がユーザ設定できるようにしてもよい。この場合、「楽曲データ蓄積部」58に追加書き込みする場合に適している。
【0156】
S117において、ランダムに選択された楽曲を並べて、推奨楽曲リストのデータを作成し、S118において、推奨楽曲リストのデータを、頁毎にディスプレイ5aに表示させ、ユーザ1の操作により頁切り換えを行う。リスト表示は、楽曲名のみを表示し、その他の楽曲情報は、プロパティのポップアップ画面で表示させることができる。
【0157】
一方、S114においてユーザの好みを反映させるときは、S115において、所定の属性(以下、曲調&ジャンルの場合を説明する)についての好みか否かを、S111で取得した指定条件により判定し、そうであればS119に処理を進め、そうでなければS120に処理を進める。
まず、S120において、「使用状況の履歴情報保存部」(図3の66)を検索し、検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、「楽曲a」に対する再生優先度を取得する。
S121において、取得した再生優先度に基づいて、「楽曲a」に優先順位を与える。
例えば、「楽曲a」が、図4(b)の「楽曲」(ID=XXXXXX)であるとき、「楽曲a」に、この「楽曲a」に対する再生優先度=−1を与える。
【0158】
S122において、検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)を、その優先順位に従って並び替えし、ファイル容量の累積加算値が、音楽再生装置2の楽曲データ蓄積部58が蓄積可能な容量を超えない範囲で並べて、推奨楽曲リストのデータ(楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する)を作成し、先に説明したS118に処理を進める。
その際、指定されたユーザ範囲に含まれるユーザが再生していない「楽曲」に設定されている、「楽曲」に対する再生優先度は、ユーザが再生することなく直接に再生優先度を設定していない限り、0(基準値)であるから、この「楽曲」の優先順位は、再生優先度がマイナスのものよりも高くなっている。
なお、ファイル容量の累積加算値が、楽曲データ蓄積部58が蓄積可能な容量を超えた場合にも、全ての「楽曲」を並べて表示させてもよい。この場合、蓄積可能な容量を超えるまでの「楽曲」の表示態様と、超えた後の表示態様とを異ならせてもよい。
【0159】
一方、S115において、好みの対象が「曲調&ジャンル」であるときは、S119に処理を進める。
S119において、「使用状況の履歴情報保存部」(図3の66)を検索し、保存されている「楽曲」(以下、楽曲bという)について、ユーザ1の操作によりこの「楽曲b」に設定された、「楽曲b」に対する再生優先度を取得する。
S123において、「楽曲情報データベース」(図3の54)を検索し、S119において再生優先度を取得した「楽曲b」について、所定の属性(曲調の属性とジャンルの属性)に関する、個々の楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する。
ここで、S119において再生優先度=0(基準値)を取得した「楽曲b」については、個々の楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する必要はない。
「楽曲b」に対する再生優先度を、「楽曲b」の「曲調」、「楽曲b」の「ジャンル」のそれぞれに付与し、全「楽曲b」について累積加算することにより、全ての各「曲調」、全ての各「ジャンル」に対する再生優先度に変換する。
【0160】
例えば、「楽曲b」が、図4(b)に示した楽曲ID=XXXXXXの楽曲であれば、楽曲ID=XXXXXXの「楽曲b」に対する再生優先度が「−1」であり、「走りやすさ」(曲調)は「走りやすさレベル1」、「ジャンル」は「ロック」である(走りやすさ=72は、「走りやすさレベル1」とする)。この場合、「楽曲b」の「走りやすさレベル1」に「−1」、「ロック」に「−1」を付与する。
【0161】
「楽曲b」の走りやすさ、ジャンルに付与した再生優先度を、「使用状況の履歴情報データベース」(図3の66)に保存されている全ての「楽曲b」について累積加算することにより、全ての走りやすさ(「走りやすさレベル1」、「走りやすさレベル2」、「走りやすさレベル3」)に対する再生優先度に変換する。同時に、全てのジャンル(「Rock」、「Jazz」、「R&B」等)に対する再生優先度に変換する。
その結果、様々な「楽曲b」に対して設定されていた再生優先度の履歴データが、所定の属性(曲調&ジャンル)の、ある「走りやすさレベル1&ジャズ」に対する再生優先度の履歴データに変換される。
上述した処理では、属性の組合せ(曲調&ジャンル)に対し、曲調に対する再生優先度と、ジャンルに対する再生優先度とを同じ重みで加算しているが、曲調、ジャンル等の属性に応じて、重みを異ならせて加算してもよい。
【0162】
S124において、「楽曲情報データベース」54を検索し、先の検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、その所定の属性(曲調,ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する。
「楽曲a」の「曲調」,「ジャンル」のそれぞれに、S123において得られた、「曲調」,「ジャンル」に対する再生優先度を与え、両者を加算することにより、「楽曲a」の、「曲調&ジャンル」の組合せに対する再生優先度を得る。
【0163】
例えば、先の検索aで得た「楽曲a」が、図4(b)に示した楽曲ID=YYYYYYの楽曲であったとすると、曲調が「走りやすさレベル3」、ジャンルが「ジャズ」である。走りやすさ=23は、「走りやすさレベル3」とする。
ここで、「走りやすさレベル3」に対する再生優先度=−50、「ジャズ」に対する再生優先度=−10であったと仮定する。このとき、「走りやすさレベル3&ジャズ」に対する再生優先度は、−50−10=−60となる。
上述したS123,S124の処理により、「楽曲a」の、「楽曲」に対する再生優先度が、「楽曲a」の、「曲調&ジャンル」に対する再生優先度に変換される。
【0164】
S125において、「曲調&ジャンル」の再生優先度に基づいて、先の検索aで得た「楽曲a」に優先順位(所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する)を与え、先に説明したS122に処理を進める。
例えば、上述した先の検索aで得た「楽曲」が、楽曲ID=YYYYYYの楽曲であって、「走りやすさレベル3&ジャズ」に対する再生優先度が「−60」となれば、この楽曲ID=YYYYYYの楽曲の優先順位は、−60となる。
【0165】
上述したS120からS122に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、各「楽曲a」に対する再生優先度(例えば、スキップ回数の少ない楽曲)に基づいて優先順位を与えて選択していることになる。
一方、上述したS125からS122に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、ユーザの好みの属性(曲調&ジャンル)に対する再生優先度に基づいて優先順位を与えて選択していることになる。
次のS118で推奨楽曲を提示した後、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の楽曲データを転送することができる。
【0166】
なお、図示のフローチャートでは、曲調及びジャンルの組合せに対して再生優先度を算出した。これに代えて、単一の属性に対する再生優先度であってもよい。
S111で設定された好みの対象が、曲調のみであれば、S123と同様な累積加算により、「楽曲」に対する再生優先度を、「曲調」に対する再生優先度に変換し、S125に処理を進める。
「曲調」、「ジャンル」に限らず、「楽曲情報データベース」(図3の54)に存在する他の属性(複数の属性の組合せを含む)、例えば、「アーティスト」に対する再生優先度を算出して、その再生優先度の大きさに基づいて、優先順位を与えることができる。
【0167】
上述したS118において、推奨楽曲リストをユーザが気に入らない場合がある。このような場合のため、「再実行ボタン」を表示画面に表示し、これにクリック操作があったときは、ユーザ操作による指定条件の再設定を受け付けた後に、処理をS111に戻し、推奨処理をやりなおしてもよい。
【0168】
なお、S119において、「楽曲b」に代えて、S113で得られた「楽曲a」について、「楽曲a」に対する再生優先度を取得する(S120と同じ処理となる)ことも可能である。S123においては、「楽曲b」を「楽曲a」に読み替える。
この場合、様々な音楽テンポを有する「楽曲b」の母集団に代えて、推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」の母集団において、楽曲のある属性(「曲調&ジャンル」)に関するユーザの好みを調べて反映させることになる。
また、図10のフローチャートにおいて、S112を省略し(推奨音楽テンポの条件を設けない)、S113において、「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲を全て取得し、後続のS114以下に処理を進めれば、指定された好みの基準に従った優先順位で「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲の全てをリスト表示することができる。その内、優先順位の高い楽曲のみを、例えば、所定曲数をリスト表示させれば、好み度が大きい楽曲のみが提示される。
【0169】
また、推奨楽曲リストの中から、ユーザが手動選択した楽曲情報と楽曲データとを音楽再生装置2に自動的に転送してもよい。
表示画面に「自動転送ボタン」を設け、これにクリック操作があったときは、一覧表示された楽曲の全体を「推奨プレイリスト」とし、この「推奨プレイリスト」のフォルダをパーソナルコンピュータ5に設けるとともに、「推奨プレイリスト」を音楽再生装置2に転送してもよい。
【0170】
その際、音楽再生装置2の「楽曲情報データベース」59で管理されていない楽曲であれば、その楽曲情報と楽曲データも音楽再生装置2に転送する。
後に再び楽曲が推奨される場合も、同じ「推奨プレイリスト」を更新すればよい。
この「推奨プレイリスト」は、運動の種類別に、例えば、「ジョギング用推奨プレイリスト」、「ウォーキング用推奨プレイリスト」というように、複数種類あってもよい。
【0171】
図11は、図1に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバ12がパーソナルコンピュータ5に、推奨楽曲の情報を提供する動作の一例を示すフローチャートである。
図8の情報提供部86の機能を実現する処理であり、図2に示したパーソナルコンピュータ5におけるS43の処理と連携する、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12側の処理である。
図10に示した、パーソナルコンピュータ5が音楽再生装置2に推奨楽曲を提供する動作と同様な処理については簡単に説明し、これとは異なる処理について詳しく説明する。
S131において、推奨楽曲を取得するための要求条件を取得する。図10のS111と異なり、情報要求をしたユーザ1の反復運動テンポに応じた推奨音楽テンポ条件は、ユーザ端末である、パーソナルコンピュータ5において設定し、情報要求時に、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に転送する。推奨音楽テンポ条件の設定処理は、図12に示した通りである。
また、好みの対象に加えて、好みを調べるユーザの範囲を指定することができる。
【0172】
S132において、「楽曲情報データベース」85(図8)を検索(以下、検索aという)し、S131で設定された推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」を取得する。推奨音楽テンポに選択確率条件が付いている場合、その選択確率に応じて楽曲を検索(検索a)する。S132の処理は、図10のS113と同様の処理である。
S133において、S131でユーザの好みを反映する設定であれば、S134に処理を進め、そうでなければS135に処理を進める。
まず、S135においては、検索aで得られた「楽曲a」を、ランダムに並び替えして、推奨楽曲リストのデータを作成し、S136において、推奨楽曲リストのデータを、パーソナルコンピュータ5の情報取得部94(図8)に転送する。推奨楽曲リストが複数頁にわたる場合、情報要求ユーザの指示により、頁切り換えを行う。
【0173】
一方、S134において、S131で設定された好みの基準が、所定の属性に関する好み(図示の例では、「曲調&ジャンル」に対する好み)であれば、S137に処理を進め、そうでなければS138に処理を進める。
最初に、S138を説明する。「履歴情報データベース」84(図8)を検索し、先にS131において指定された所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、この「楽曲a」に対する、上述した各ユーザの操作により設定された再生優先度を取得し、S139に処理を進める。
【0174】
ここで、上述した各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲」についての、「楽曲」に対する再生優先度とは、指定された所定のユーザ範囲内の個々の各ユーザが、「楽曲」に対して設定した、「楽曲」に対する再生優先度の総和(累積加算値)である。
例えば、2人のユーザが、共に、ある「楽曲」を再生している場合、この「楽曲」に対する再生優先度は、各ユーザが、この「楽曲」に対して設定した、「楽曲」に対する再生優先度を加算したものである。
【0175】
S138では、「履歴情報データベース」84(図8)に保存されている全ての「楽曲」について再生優先度を取得する必要はなく、検索aで得た「楽曲a」が含まれているとき、この「楽曲a」について再生優先度を取得すればよい。
なお、ユーザ範囲を指定していない検索aで得られた「楽曲a」の中には、指定されたユーザ範囲(全範囲指定でない場合)内に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されていない楽曲であったり、保存されていても、個々の各ユーザが設定した、「楽曲」に対する再生優先度がゼロ(基準値)の楽曲であったりする場合がある。
このような楽曲に該当する「楽曲a」は、その「楽曲a」に対する再生優先度が0(基準値)となる。
【0176】
S139において、取得した再生優先度に基づいて、「楽曲a」に優先順位を与える。
S140において、検索aで得た、「楽曲a」(推奨音楽テンポ条件を満たす楽曲)を、その優先順位に従って並び替えし、推奨楽曲リストのデータを作成し、先に説明したS136に処理を進める。
【0177】
一方、S137は、上述したS134において、好みの基準が所定の属性(曲調&ジャンル)であったときに処理が進められる。「履歴情報データベース」84を検索し、指定されたユーザ範囲内の各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲」(以下、「楽曲b」という)の、「楽曲b」に対する再生優先度を取得する。
先に、S138について説明したように、「楽曲」に対する再生優先度は、指定されたユーザ範囲内の個々の各ユーザが、この「楽曲」に対して設定した再生優先度の総和(累積加算値)である。
【0178】
S141において、「楽曲情報データベース」85(図8)を検索し、先のS137において再生優先度を取得した「楽曲b」の「曲調」,「ジャンル」を取得する。
このS141と以下のS142,S143については、図10のS123〜S125と同様の処理であるため、説明を省略する。
ただし、図11における「楽曲b」は、S137で得られるものであるから、図10における「楽曲b」とは異なるものである。
なお、検索aで得られた「楽曲a」の中には、ユーザ範囲を指定(全範囲指定でない場合)した検索bで得られた「楽曲b」に含まれていない楽曲がありうる。このような「楽曲a」であっても、この「楽曲a」の「曲調&ジャンル」に応じて、基準値(0)でない再生優先度が与えられる場合がある。
【0179】
上述したS139からS140に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、楽曲を、「楽曲a」の再生優先度(例えば、スキップ回数の少ない楽曲)に基づいて優先順位を与えている。
一方、上述したS143からS140に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、指定されたユーザ範囲に含まれるユーザの好みの属性(曲調&ジャンル)に対する再生優先度に基づいて優先順位を与えている。
【0180】
図示のフローチャートでは、曲調及びジャンルの組合せに対し再生優先度を算出したが、図10のS123に関連して説明したように、楽曲データの属性であれば、他の楽曲情報(複数の楽曲情報の組合せを含む)について再生優先度を計算して、その再生優先度に基づいて優先順位を与えることができる。
【0181】
なお、S137において、「楽曲b」に代えて、S132で得られた「楽曲a」について、指定されたユーザ範囲内の各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲a」に対する再生優先度を取得する(S138と同じ処理となる)ことも可能である。S141においては、「楽曲b」を「楽曲a」に読み替える。
この場合、様々な音楽テンポを有する「楽曲b」の母集団に代えて、推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」の母集団において、楽曲のある属性(「曲調&ジャンル」)に関するユーザの好みを調べて反映させることになる。
また、図11のフローチャートにおいて、推奨音楽テンポの条件を設けないでもよい。この場合は、図6に示した情報提供システムの一例となる。
S132において、「楽曲情報データベース」85(図8)に保存されている楽曲を全て取得し、後続のS133以下に処理を進めれば、指定された好みの基準に従った優先順位で「楽曲情報データベース」85に保存されている楽曲の全てをリスト表示することができる。そのうち、優先順位の高い楽曲のみを、例えば、所定曲数をリスト表示させれば、好み度が大きい楽曲のみが提示される。
【0182】
図10、図11を参照した説明では、「楽曲情報データベース」54(85)の検索を複数回行い、「楽曲情報データベース」54又は85の検索と「使用状況の履歴情報保存部」66(「履歴情報データベース」84)の検索を1回行っている。
これに代えて、検索の順序を変更したり、複数の検索をまとめて同時に行うようにしてもよい。
【0183】
上述した説明では、図1の音楽再生装置2、パーソナルコンピュータ5、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12で構成されるシステムについて説明した。
パーソナルコンピュータ5は、音楽再生装置2に対し、パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に蓄積され、「楽曲情報データベース」54に保存されたものの中から、楽曲を推奨している。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、複数のユーザ1、7,8,…に対し、そのパーソナルコンピュータ5,7B,8Bをユーザ端末として、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の「楽曲情報データベース」85に保存されたものの中から、楽曲を推奨している。
【0184】
以下に、図1を参照して説明したシステムの変形例を説明する。
上述したシステムでは、音楽再生装置2として、背景技術で説明した非特許文献1に記載のものを例にして説明した。しかし、ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報を記録するものであればよい。
また、音楽再生装置2として、音楽再生専用の装置でなくても、例えば、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯電子機器でもよい。
音楽再生装置2は、音楽再生機能と、ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置(データロガー)とを分離した個別の装置としてもよい。
【0185】
反復運動は道路を走るランニングやウォーキングに限らない。自転車型エルゴメータ(ergo meter)、トレッドミル(tredmill)、ストレングスマシン(strength machine)等のトレーニング機械を使用した運動、体操、ダンスなどの、反復運動をしながら音楽を聴く場合に本発明を適用できる。反復運動の種類に応じて、加速度センサを人体の適切な部分に装着するとともに、反復の1ステップとする加速度特性を決め、この反復の1ステップを検出するアルゴリズムを設計すればよい。
トレーニング機械を用いた場合、音楽再生装置2は、トレーニング機械に組み込まれていればよい。
【0186】
上述したパーソナルコンピュータ5,7B,8B,…は、必ずしもパーソナルコンピュータの形態である必要はない。例えば、電子楽器、地上波ディジタルテレビジョン、その他、家庭内電子機器(いわゆる、「デジタル家電」)等であって、インターネットに接続可能な端末装置であればよい。
音楽再生装置2は、USBフラッシュROM等の取り外し可能な記憶装置を着脱可能に接続できるものとすることができる。この場合、このUSBフラッシュROMを音楽再生装置2から取り外し、パーソナルコンピュータ5に接続することにより、音楽再生装置2を直接的にパーソナルコンピュータ5に接続した場合と同様に、楽曲データ等のデータ転送ができるようにすることができる。
【0187】
上述した説明では、ユーザ1の音楽再生装置2とユーザ1のパーソナルコンピュータ5とは、1対1対応していた。また、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対するユーザ端末装置としても機能していた。
この場合、パーソナルコンピュータ5は、音楽再生装置2に対する、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベース、履歴情報保存手段、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を有していた。このうち、楽曲データ蓄積手段以外は、パーソナルコンピュータ5になく、音楽再生装置2にあってもよい。
【0188】
上述したシステムに代えて、複数のユーザ1,7,8,…の音楽再生装置2,7A,8Aが、1台のパーソナルコンピュータ5に、直接的に接続されるようにするか、パーソナルコンピュータ5がローカルエリアネットワーク6内の共有のサーバとなって、他のユーザ7,8のパーソナルコンピュータ7B,8Bからアクセスを受けるようにしてもよい。
【0189】
この場合、パーソナルコンピュータ5は、例えば、音楽再生装置2,7A,8Aのそれぞれに対する、「楽曲データ蓄積部」、「楽曲情報データベース」、「履歴情報保存部」、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を有する。このうち、「楽曲データ蓄積部」、「楽曲情報データベース」は、各ユーザ間で共有することもできる。
ここで、「楽曲データ蓄積部」以外は、パーソナルコンピュータ5になく、それぞれの、音楽再生装置2,7A,8Aにあってもよい。
また、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対して、複数のユーザ1,7,8のそれぞれのユーザ端末として機能することができる。また、このパーソナルコンピュータ5自体が、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の機能を実現することもできる。
【0190】
また、音楽再生装置2は、直接的に、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスできるようにして、パーソナルコンピュータ5の機能もまた、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12で実現させるようにしてもよい。パーソナルコンピュータ5が不要になる。
例えば、図1に示したLAN5を、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANとし、音楽再生装置2自体が、無線LANを介してAP10に接続される。あるいは、音楽再生装置2の機能を携帯電話端末機に持たせ、携帯電話ネットワークを経由して、AP10に接続される。
これらの場合、パーソナルコンピュータ5における「楽曲データ蓄積部」53、「楽曲情報データベース」54、履歴情報保存部(「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67)、推奨音楽テンポ条件設定部70、楽曲推奨部72のうち、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、少なくとも「楽曲データ蓄積部」53を有するようにする。
これらの場合、音楽再生装置2が、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の、これまで説明した本来の楽曲情報・履歴情報提供サーバに対するユーザ端末となる。
【0191】
また、上述した種々のシステムにおいて、「楽曲データ蓄積部」53、「楽曲情報データベース」54、履歴情報保存部(「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67)のうち、少なくとも、「楽曲データ蓄積部」53を、インターネット11上のファイルサーバ24にある、「オンラインストレージ」、又は、ローカルエリアネットワーク(LAN)6のファイルサーバ26にある「ネットワークアタッチトストレージ」に設けてもよい。この場合、音楽再生装置2は、パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に代えて、「オンラインストレージ」、又は、「ネットワークアタッチトストレージ」に設けられた「楽曲データ蓄積部」を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施の一形態である第1,第2の楽曲推奨システムと情報提供システムが適用されるネットワークの構成図である。
【図2】図1に示したパーソナルコンピュータの動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した音楽再生装置、パーソナルコンピュータの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1のパーソナルコンピュータ、音楽再生装置、及び、楽曲情報・履歴情報提供サーバに保存される履歴情報、楽曲情報の一例を示す説明図である。
【図5】楽曲情報・履歴情報提供サーバが、ユーザ端末から情報を収集する機能を実現するためのブロック図である。
【図6】楽曲情報・履歴情報提供サーバから、ユーザのパーソナルコンピュータに、情報を提供する機能を実現するためのブロック図である。
【図7】図6に示した情報を提供する機能により、ユーザに提示される情報の一例を示す図である。
【図8】楽曲情報・履歴情報提供サーバから、ユーザのパーソナルコンピュータに、推奨楽曲を提供する機能を実現するためのブロック図である。
【図9】図8の情報提示部に提示される推奨楽曲を、図1のディスプレイに表示される画像として示す図である。
【図10】図2のS33の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図1、図8に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバがパーソナルコンピュータに、推奨楽曲の情報を提供する動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図10におけるS112の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】反復運動テンポの頻度分布と、この反復運動テンポの累積加算値を示す説明図である。
【符号の説明】
【0193】
1…ユーザ、2…音楽再生装置(データ記録装置)、2b…ディスプレイ、7A,8A,18A,19A,20A…音楽再生装置(データ記録装置)、3…電気音響変換器、4…耳たぶ取付型脈拍センサ、5…パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)、5a…ディスプレイ、7B,8B,18B,19B,20B…パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)、6…ローカルエリアネットワーク(LAN)、9…ルータ、10,15,16,17,21,22,23,25…アクセスポイント(AP)、11…インターネット、12…楽曲情報・履歴情報提供サーバ、13…音楽配信サーバ、14…汎用楽曲情報提供サーバ、24…ファイルサーバ、26…ファイルサーバ
51…CD、52…楽曲データ取得部、53…楽曲データ蓄積部、54…楽曲情報データベース、55…同期設定部、56…楽曲データ転送部、57…楽曲情報同期化転送部、58…楽曲データ蓄積部、59…楽曲情報データベース、60…制御部、61…楽曲データ再生部、62…使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)保存部、63…運動履歴情報保存部、64…個人情報保存部、65…履歴情報・個人情報同期化転送部、66…使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)保存部、67…運動履歴情報保存部、68…個人情報保存部、69a…反復運動テンポ統計値指定部、69b…ハーフテンポ許容指定部、70…推奨音楽テンポ条件設定部、71…好みの基準指定部、72…楽曲推奨部、73…転送制御部
81…履歴情報保存部、82…情報提供部、83…情報収集部、84…履歴情報データベース、85…楽曲情報データベース、86…情報提供部、86a…推奨音楽テンポ条件設定部、91…条件指定部、92…情報要求部、93…情報要求取得部、94…情報取得部、95…情報提示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する楽曲推奨システム、及び、楽曲推奨プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽再生装置として、使用者の腕に装着し、使用者の運動ペース(反復運動テンポ)と脈拍とを検出し、使用者の運動に適した楽曲を再生する携帯型の音楽再生装置が製品化されている(非特許文献1,2、特許文献1,2参照)。
ここで、運動に適した楽曲とは、使用者の反復運動テンポとほぼ同じ値の音楽テンポを持つものである。
ユーザは、パーソナルコンピュータに、音楽用CD(オーディオコンパクトディスク)に記憶された楽曲をリッピング(コピー)したり、音楽配信サーバから楽曲をダウンロードしたりして、音楽再生装置に転送し、蓄積する。
しかし、音楽再生装置は、小型化、低価格化のために、その記憶容量を大きくすることに限界がある。そのため、ユーザは、反復運動テンポとほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲を十分に保存しておかないと、同じ曲がいつでも再生されてしまう。
【0003】
ところが、ユーザは、自分の反復運動テンポを正確に知ることが難しい。上述した非特許文献1に記載の装置では、運動ペースとして、単位走行距離を走る平均時間を画面に表示する。しかし、反復運動テンポそのものは表示されない。
一方、楽曲の音楽テンポの値は、楽曲データに付加されていない。また、ユーザが実際に楽曲を聞いても音楽テンポの値を推定することは困難である。
以上のことから、ユーザは、反復運動テンポの値とほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲を探し出し、音楽再生装置のフラッシュROMに保存することが難しい。
【0004】
もっとも、上述した非特許文献2に記載のアプリケーションプログラムを用いれば、楽曲データを、このプログラムが管理するハード磁気ディスクの領域に保存するときに、音楽テンポを自動解析し、解析結果を保存する。
音楽テンポの範囲を、ユーザが抽出条件として設定すれば、この条件を満たす楽曲を、自動的に「スマートプレイリスト」に設定することもできる。しかし、ユーザが、反復運動テンポの履歴に応じて、音楽テンポの範囲を考えなければならない。
【0005】
一方、ネットワークサービスにおいて、従来、ユーザが、楽曲データを楽曲配信サーバから購入する際、購入した楽曲、又は、ほしい物リスト(ウィッシュリスト)内にある楽曲に基づいて、その楽曲に近いジャンルやアーティストの楽曲、又は、その楽曲を購入した他のユーザが購入した楽曲がユーザに推奨(レコメンド)される。
しかし、音楽テンポの値が付加された楽曲データを配信したり、ユーザの運動に適した楽曲を推奨したりするシステムがない。
実際、配信しているすべての楽曲が運動中に聞くのに適したものとはいえないから、すべての楽曲の音楽テンポを自動解析するのは非効率である。
【0006】
また、携帯型音楽再生装置を用いて運動ペースを保存し、運動ペースの履歴をサーバに接続し、ユーザが、自分のランニングデータを保存したり、公開プレイリストを共有したりするサービスが知られている。
しかし、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨するものではない。
また、運動中に楽曲を聞く他のユーザが、どのような楽曲を実際に再生したり、実際に好んでいるのか等、ユーザが楽曲データを購入する際に参考となる有用な情報が検索できない。
【非特許文献1】BF-1 Owner's Manual Ver.1.1.d、[online]、インターネット、<http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/emi/english/others/bf1_en_om_v11d2.pdf>
【非特許文献2】BODiBEAT Station Owner's Manual、Ver.1.2c、[online]、インターネット、<http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/emi/english/others/bf1_en_ap_v12c2.pdf>
【特許文献1】特開2007−193907
【特許文献2】特開2008−242063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する楽曲推奨システム、楽曲推奨プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴データを保存する履歴情報保存手段と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積手段と、該楽曲データ蓄積手段に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースと、前記履歴情報保存手段に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定手段と、該推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、前記楽曲情報データベースを検索し、前記ユーザに提示する楽曲推奨手段を有するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の運動履歴データに基づいて音楽テンポが設定され、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲の推奨が自動的に実行される。
上述した運動履歴データは、例えば、ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、この場合、この反復運動テンポの履歴データの統計値を算出し、該統計値に対応した値をとることを推奨音楽テンポの条件とする。
【0009】
上述した履歴情報保存手段、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベース、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段は、音楽再生装置、パーソナルコンピュータ、サーバ装置を有するシステムにおいて、任意に機能を分担して実現される。
楽曲データ蓄積手段は、音楽再生装置以外の、パーソナルコンピュータ、サーバ装置に設けられる。楽曲データ蓄積手段をサーバ装置に設ける場合、オンラインストレージやネットワークアタッチトストレージに設置することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、前記楽曲推奨手段は、前記履歴情報保存手段を検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲に前記ユーザの操作により設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを取得する手段、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記楽曲に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有するものである。
従って、ユーザが楽曲に設定した、楽曲に対する再生優先度の順に、楽曲が推奨される。上述した楽曲に対する再生優先度は、例えば、ユーザによる楽曲に対するスキップ操作に伴って、操作される毎に低くされる。あるいは、専用の操作子の操作により変更される。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記楽曲情報データベースは、前記各楽曲の楽曲情報として、前記各楽曲の音楽テンポの値の他に、前記各楽曲の所定の属性に関する楽曲情報を保存し、前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、前記楽曲推奨手段は、前記履歴情報保存手段及び前記楽曲情報データベースを参照し、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに変換する手段と、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報を取得し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有するものである。
従って、ユーザにとって、所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲が推奨される。ここで、所定の属性とは、例えば、楽曲の曲調、ジャンル、又は、曲調及びジャンルの組合せである。
【0012】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、楽曲データ転送制御手段を有し、該楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、前記選択された楽曲の楽曲データを、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に転送させるものである。
従って、音楽再生装置に転送する楽曲を、ユーザ操作により、推奨楽曲の中から、音楽再生装置が蓄積可能な範囲で任意に選択することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、楽曲データ転送制御手段を有し、前記楽曲推奨手段は、提示する前に、提示しようとする前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲について、提示しようとする順に該楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示し、前記楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に一括転送させるものである。
従って、音楽再生装置が蓄積可能な範囲で楽曲が推奨されるので、推奨楽曲を、ユーザ操作により、音楽再生装置に一括転送することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明においては、請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの平均値を算出し、該平均値と該平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の反復運動テンポの履歴データが簡単かつ適切に考慮された楽曲が推奨される。
【0015】
請求項7に記載の発明においては、請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システムにおいて、前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの頻度分布を算出し、該頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、前記推奨音楽テンポの条件として設定し、前記楽曲推奨手段は、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲の情報を、設定された選択確率で選択して前記ユーザに提示するものである。
従って、ユーザがこれまでに行った運動の反復運動テンポの履歴データが忠実に考慮された楽曲が推奨される。
【0016】
請求項8に記載の発明は、運動中に聞く楽曲をユーザに推奨する楽曲推奨プログラムであって、履歴情報保存装置と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積装置と、該楽曲データ蓄積装置に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースを用い、ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置から、前記ユーザが行った運動の運動履歴データを取得して前記履歴情報保存装置に保存する履歴情報取得ステップと、前記履歴情報保存装置に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定ステップと、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定ステップにより設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を前記ユーザに提示する楽曲推奨ステップ、をコンピュータに実行させるものである。
このプログラムは、上述した請求項1に記載の楽曲推奨システムを、パーソナルコンピュータで実現するためのプログラムである。すなわち、請求項1に記載の楽曲推奨システムにおける、履歴情報保存手段、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベースを、ハードウエア装置として有するパーソナルコンピュータにおいて、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を、プログラムによりコンピュータに実行させている。
上述したデータ記録装置は、例えば、上述した音楽再生装置に備えられている。パーソナルコンピュータは、音楽再生装置に接続されたり、音楽再生装置との間で記録媒体を介したりして相互にデータ転送をする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の楽曲推奨システム、楽曲推奨プログラムによれば、楽曲データ蓄積手段に蓄積された楽曲データの中から、個々のユーザが運動中に聞くのに適した自分のランニングペースに合う楽曲が自動的に推奨されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の一形態である第1,第2の楽曲推奨システムと情報提供システムが適用されるネットワークの構成図である。
第1の楽曲推奨システムにおいては、ユーザ1のパーソナルコンピュータ5が、パーソナルコンピュータ5に蓄積した複数の楽曲データの中から、ユーザ1が運動中に聞く楽曲を推奨する。
また、情報提供システムは、前提として、複数の各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B、…が、ユーザ端末装置となって、各ユーザの個人情報とともに、各ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存する。楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、また、各ユーザのパーソナルコンピュータに保存されている楽曲情報を収集し保存する。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、個人情報及び又は使用状況の履歴情報に関する所定の指定条件を満たす楽曲の情報を提供する。
ここで、特に、推奨音楽テンポの条件を付加した推奨楽曲の要求に対して各ユーザの運動に適した楽曲の情報を提供する場合に、第2の楽曲推奨システムが構成される。
【0019】
最初に、ネットワーク構成の概要を説明する。
1及び図示しない7,8,18,19,20,…は運動をするユーザである。
2,7A,8A,18A,19A,20A,…は音楽再生装置であって、反復運動テンポを検出するセンサを内蔵し、ユーザ1の腕等に装着され、イヤフォン、ヘッドフォン等の電気音響変換器3、耳たぶ取付型脈拍センサ4が接続されている。
各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B、…は、対応する音楽再生装置2,7A,8A,18A,19A,20A、…との間で、種々のデータを転送したり、音楽再生装置2等に対する種々の設定や、自らが楽曲データを再生したりする機能を有する。
【0020】
パーソナルコンピュータ5は、ユーザ端末装置となって、直接的に、又は、ローカルエリアネットワーク(LAN)6のルータ(ブロードバンドルータ)9を経由してインターネットサービスプロバイダ(ISP)のアクセスポイント(AP)10に接続される。
LAN6は、例えば、ホームネットワーク、社内ネットワーク、地域ネットワークである。LAN6には、他のユーザ7等のパーソナルコンピュータ7B等がルータ9に接続されている。
【0021】
インターネット11には、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12、音楽配信サーバ13、汎用楽曲情報提供サーバ14が、それぞれ、AP15,16,17において接続されている。また、他の多数のユーザのパーソナルコンピュータ18B,19B,20B,…が、AP(ISP)21,22,23,…において接続されている。
インターネット11には、また、ファイルサーバ24が、AP25において接続されている。このファイルサーバ24に、ユーザ1のオンラインストレージという記憶領域が設けられる場合がある。ユーザ1のオンラインストレージは、パーソナルコンピュータ5の外部記憶装置として設置することができる。このオンラインストレージは、複数のユーザで共有することができる。
また、ローカルエリアネットワーク(LAN)6に、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)という一種のファイルサーバ26を接続し、これをパーソナルコンピュータ5の外部記憶装置とすることができる。この外部記憶装置も、複数のユーザで共有することができる。
【0022】
最初に、音楽再生装置2について説明する。
この音楽再生装置2は、加速度センサ又は振動センサにより、右又は左足で一歩(ステップ)を進めた時の衝撃を検出し、内蔵するマイクロコンピュータにより、歩行ステップのタイミングを抽出するアルゴリズムを実行し、反復運動テンポを計算する。ウォーキング、ジョギング等の場合、反復運動テンポの値とは、右足、左足を区別しない1歩(1ステップ)が、単位時間(例:1分)当たりに何回あったかを示すもので、その単位はBPM(Beat Per Minutes)である。
一方、耳たぶ取付型脈拍センサ4の出力に基づいて、脈拍数に等しい心拍数[BPM:Beat Per Minutes]が計算される。
【0023】
一般に、反復運動テンポと同値の音楽テンポの楽曲が、運動と音楽との一体感が得られ、運動中に聞くのに適している。また、使用者の反復運動テンポに合わせて音楽テンポの値を設定する「フリーワークアウトモード」では、この反復運動テンポの値の半分の値の音楽テンポを持つ楽曲(ハーフテンポの楽曲)も運動に適する。
【0024】
この音楽再生装置2は、1種類の音楽再生モード、3種類の運動モードとを備えている。音楽再生モードでは、一般的な携帯音楽プレーヤとして動作する。
音楽再生装置2で再生可能な楽曲データのファイル形式は、波形データ形式の楽曲データファイル、例えば、MP3(MPEG-1 Audio Layer-III)、WMA(Windows Media Audio)、AAC(Advanced Audio Coding)、WAV(PCM:pulse code modulation波形データ)等である。
楽曲データファイルは、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データのような演奏データ形式で記述された、例えば、SMF(スタンダードMIDIファイル)であってもよい。
しかし、波形データ、演奏データいずれの形式であっても、オリジナル音楽テンポで楽曲データを再生することが原則である。
【0025】
音楽再生装置2の第1の運動モードは、「フリーワークアウトモード」(フリーモード)である。ユーザは自分のペースで運動する。このときの反復運動テンポの変化に追従するように、この反復運動テンポに対応した値の音楽テンポの値を持つ楽曲データが再生される。
【0026】
第2の運動モードは、「フィットネスモード」(アシストモード)である。このモードは、ウォーキング用とジョギング用に分けて異なる運動モードとしてもよい。
それぞれに適した目標運動強度特性(時間的に変化してもよい)とする心拍数を、ユーザ1の予測最大心拍予備能(%HRR:Percentage of Heart Rate Reserve)を基に、設定しておく。
測定されている心拍数が、設定しておいた心拍数より小さい(運動が軽すぎる)ときは、音楽テンポの値を上げ、逆に大きいとき(運動がきつすぎる)は、音楽テンポの値を下げる。それぞれの音楽テンポの値を持つ楽曲データが選択されて自動演奏され、運動のペースを上げ下げするように促す。
【0027】
第3の運動モードは、「トレーニングモード」である。自分の運動目的に合わせて、運動強度(%HRR、心拍数、楽曲の音楽テンポ、反復運動テンポの中から1つを選択する)が周期的に変化する特性の運動プログラムを、あらかじめ組んでおく。このプログラムに沿った運動強度になるように、音楽テンポの値が決定され、決定された音楽テンポを持つ楽曲が自動再生される。
上述した第1〜第3の運動モードでは、飽きがこないように、楽曲データは、1曲の再生時間長を短く切ることが好ましい。1曲が終わると、同じ音楽テンポの条件を満たす別の楽曲に切り換わる。
【0028】
音楽再生装置2において、2aは下向きボタン、2bはディスプレイ、2cは上向きボタンである。
下向きボタン2a、上向きボタン2cは、指でディスプレイ2bの側に押すことによりスイッチがオンとなる。下向きボタン2a、上向きボタン2cは、ディスプレイ2bに表示されるカーソルを下方向、上方向に移動させ、同時に押すことにより、カーソルで選択されたメニューや設定値を確定する。
2dはLEDインジケータ、2eはメニュー選択ボタン、2fは電源ボタンである。
【0029】
音楽再生装置2が運動モードであるときに、下向きボタン2aを押すと、このボタンはスキップ操作スイッチとして機能し、現在において再生されている楽曲の再生を終了し、同じ音楽テンポの条件を満たす別の楽曲を自動再生する。
同じく運動モード中のときに、上向きボタン2cを押すと、このボタンは、リピート操作スイッチとして機能し、現在において再生されている楽曲を、その開始位置に戻って自動再生する。
【0030】
学習機能がオンのとき、スキップ操作がされた楽曲は、回数が多くなるほど、気に入らない曲とみなし、リピート操作がされた楽曲は、回数が多くなるほど気に入った曲とみなす。
ある楽曲について、スキップ操作をしたとき再生優先度を下げ(例えば、−1カウントする)、リピート操作したとき再生優先度を上げる(例えば、+1カウントする)。その結果、楽曲毎に再生優先度の値が、再生履歴の1つとして記憶される。
ここで、スキップ操作、リピート操作のいずれか一方にのみに学習機能を持たせてもよい。
上述した再生優先度は、楽曲に対するユーザの好みを表し、数値データで表現される再生優先度ポイントということもできる。この楽曲に対する再生優先度は、電源をオフにしても保存される。他の履歴情報と同様に、過去の所定回数のワークアウト(1回分の運動)まで、あるいは、リセット操作されるまで保存される。
【0031】
音楽再生装置2は、再生する楽曲リストの楽曲情報のほか、ユーザ1の個人情報を記録して記憶装置に保存している。音楽再生装置2は、また、純粋な音楽再生機能に加えて、履歴情報を自動的に記憶装置に保存するデータ記録装置(データロガー:data logger)の機能を備えている。例えば、時系列に沿って所定のサンプリング周期で情報を記録する。
上述した個人情報とは、例えば、氏名、生年月日、性別等であり、後述する図4(a)の第1段に示す。
楽曲情報とは、例えば、楽曲名、ジャンル、音楽テンポ等であって、図4(b)の一部に示す。
【0032】
履歴情報とは、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報であって、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴情報、及び、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報である。
運動履歴情報とは、例えば、運動した時間や距離、運動ペース、消費されたカロリ、心拍数などであり、図4(a)の第2段に示す。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報は、再生履歴情報を含む。再生履歴情報は、例えば、運動中に再生された楽曲(楽曲ID)、楽曲の再生回数、再生優先度などであり、図4(b)の一部に示す。
その他の使用状況の履歴情報は、例えば、図4(b)に示す、「運動モード」であり、第1〜第3の運動モードのうち、どの運動モードで使用されかを示す情報である。
【0033】
図2は、図1に示したパーソナルコンピュータ5の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
このフローチャートは、パーソナルコンピュータ5に音楽再生装置2が接続されたときに開始する。また、音楽再生装置用のアプリケーションプログラムを起動したときにも開始する。
【0034】
S31において、携帯型音楽再生装置との間で、個人情報、履歴情報の同期化をする。
そのため、パーソナルコンピュータ5の外部記憶装置、例えば、HDD(ハード磁気ディスク装置)の管理領域に蓄積されている楽曲データの総容量に比べ、音楽再生装置2のフラッシュROMの記憶容量が小さいときは、すべての楽曲データをフラッシュROMに蓄積することができない。そこでユーザに対し、ユーザが運動をしながら聞くに適した楽曲を推奨する。
【0035】
S32において、パーソナルコンピュータ5のHDDに記憶された楽曲データの総容量に比べ、音楽再生装置2において楽曲データを蓄積するフラッシュROMの空き容量が不足するか否かを判定する。不足する場合はS33に処理を進め、不足しない場合はS34に処理を進める。
【0036】
S33において、ユーザ1により、又は、デフォルトにより、推奨のための条件が指定される。パーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」(図3の54)に保存されている楽曲の中から、上述した条件を満たす楽曲を検索し、ディスプレイ5aに推奨楽曲リストを表示するなどして提示し、S35に処理を進める。
したがって、音楽再生装置2とパーソナルコンピュータ5とは、1対1の関係で、第1の楽曲推奨システムを構築している。
S33における処理の詳細は、図10を参照して後述する。
【0037】
S35において、ユーザ1により、推奨楽曲の楽曲データを、音楽再生装置2に転送する指示があればS36に処理を進め、ないときはS37に処理を進める。
S36において、パーソナルコンピュータ5から、推奨楽曲データを、音楽再生装置2に転送し、S38に処理を進める。音楽再生装置2のフラッシュROMに既に保存されていた楽曲データは消去される。
【0038】
一方、S32において、容量が不足していないときに処理が進められるS34においては、パーソナルコンピュータ5のHDDから、このアプリケーションプログラムで管理している管理領域にあるすべての楽曲データを、音楽再生装置2のフラッシュROMの空き領域に転送し、追加書き込みをして、S38に処理を進める。
この場合、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積されていない楽曲データのみ(差分)を転送すればよい。従って、「楽曲情報データベース」59に保存されている楽曲が、推奨楽曲に含まれているか否かを判定し、同一楽曲については、何らかの警告(アラート)が表示されるようにして、ユーザの選択操作により、同一楽曲データを転送しないようにする。
S38において、パーソナルコンピュータ5と音楽再生装置2の両方の「楽曲情報データベース」(図3の54,59)を更新し、S37に処理を進める。
なお、容量が不足していない場合もS33に処理を進めて楽曲推奨処理をしてもよい。
【0039】
パーソナルコンピュータ5は、プログラムにより、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対するユーザ端末としても機能する。
S37において、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、ユーザ1の個人情報、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報、及び、楽曲データに関する楽曲情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供し、S39に処理を進める。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報には、再生履歴を含む。パーソナルコンピュータ5は、ユーザ1が行った運動の運動履歴も保存しているが、この運動履歴は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供しない。
なお、S37の処理は、アプリケーションプログラムのユーザ登録時において、個人情報の提供を承諾したユーザに対してのみ実行される。
【0040】
S39において、ユーザ1の操作により、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に、情報を要求するときはS40に処理を進め、そうでないときはS42に処理を進める。
S40において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、ユーザ1により条件を指定して情報を要求し取得する。
従って、パーソナルコンピュータ5と楽曲情報・履歴情報提供サーバ12とは、複数ユーザ端末と共通のサーバとで構成される情報提供システムを構築している。
S41において、取得した履歴情報をディスプレイ5aに表示するなどして提示し、S42に処理を進める。
【0041】
パーソナルコンピュータ5に記憶されている楽曲データだけでは、ユーザ1が運動中に聞くのに適したものが十分に確保されているとは限らないし、音楽配信サーバ13など、インターネット上には、ユーザ1が運動中に聞くに適したものが多数あるはずである。
そこで、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12により、ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲を推奨する。
従って、パーソナルコンピュータ5と楽曲情報・履歴情報提供サーバ12とは、複数ユーザ端末と共通のサーバとで構成される第2の楽曲推奨システムを構築している。
【0042】
S42において、ユーザ1により推奨楽曲の要求があったときは、S43に処理を進め、そうでないときはS44に処理を進める。
S43において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスし、推奨音楽テンポ等の条件を指定して推奨楽曲を要求し、推奨楽曲のリストを取得し、ディスプレイ5aに表示するなどして提示し、S45に処理を進める。推奨のための条件としてデフォルトを用意しておき、自動的に楽曲が推奨されるようにしてもよい。
S43における処理は、図11を参照して後述する、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12側の処理に対するパーソナルコンピュータ5側の処理である。
楽曲データの提供サービス自体は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12では行わず、従来のように、音楽配信サーバ13が実行する。
【0043】
S45において、ユーザ1の操作によりダウンロードしたい楽曲を指定し、音楽配信サーバ13にアクセスし、楽曲データを購入し、パーソナルコンピュータ5の楽曲データ取得部(図3の52)を経て、「楽曲データ蓄積部」(図3の53)にダウンロードする。
S46において、ダウンロードした楽曲データに対応する楽曲情報を「楽曲情報データベース」(図3の54)に設定することにより、これを更新し、S44に処理を進める。
【0044】
S44において、その他の処理を実行し、S39に処理を戻す。
その他の処理として、例えば、楽曲データの解析、個人情報の設定、トレーニングプログラムの作成、楽曲データの再生をする。
また、ユーザ1の操作により、S31〜S36,S38の同期化処理、S37の楽曲情報・履歴情報提供サーバ12への情報提供をしたりする。
なお、S46の処理に続いて、ダウンロードした楽曲データを音楽再生装置2へ自動転送するとともに、音楽再生装置2とパーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」(図3の54,59)とを同期化してもよい。
【0045】
図3は、図1に示した音楽再生装置2、パーソナルコンピュータ5の機能構成の一例を示すブロック図である。本願の発明に関係深い機能のみを図示している。
パーソナルコンピュータ5内の機能は、音楽再生装置用のアプリケーションプログラムが、CPUに実現させる。
音楽再生装置2内の楽曲データ再生部61は音源LSIにより実現され、他の機能ブロックは、図示しないフラッシュROMに記憶されたファームウエア(制御プログラム)を用いて内蔵CPUに実現させる。
【0046】
最初に、パーソナルコンピュータ5において、楽曲データと、この楽曲データの楽曲情報を取得する機能を説明する。
オーディオCD51等の記録媒体に記録された楽曲データは、楽曲データ取得部52により、「楽曲データ蓄積部」53にコピーされる。その際、楽曲データ取得部52は、楽曲情報(楽曲名、ジャンル等)が楽曲データに付加されている場合、これらの楽曲情報を取得する。
【0047】
必要とする楽曲情報が付加されていない場合、楽曲データ取得部52は、汎用楽曲情報提供サーバ14(図1)にアクセスし、すでに取得されている楽曲情報や楽曲データ波形の一部を送信するなどして、必要な楽曲情報を取得する。
汎用楽曲情報提供サーバ14は、多数の楽曲に関して、その楽曲情報を蓄積している。例えば、グレースノートGracenote(登録商標)社の提供するサービスでは、GMIDという楽曲を特定する楽曲IDコードで、曲名、アーティスト名、ジャンル名等の楽曲情報のデータベースを備えている。
【0048】
楽曲データ取得部52は、また、楽曲データの波形を解析し、この楽曲の音楽テンポ、曲調等、一般的ではない楽曲情報を取得する。取得した各種の楽曲情報は、「楽曲情報データベース」54に保存する。
一方、パーソナルコンピュータ5が、音楽配信サーバ13(図1)から楽曲データをダウンロードしたとき、必要とする楽曲情報が付加されていない場合がある。このような場合、楽曲データ取得部52はCD51のコピー時と同様の処理をすればよい。
【0049】
パーソナルコンピュータ5は、その外部記憶装置、例えば、ハード磁気ディスク装置(HDD)に「楽曲データ蓄積部」53と、この「楽曲データ蓄積部」53に存在する各楽曲データの楽曲情報である「楽曲情報データベース」54を記憶している。
「楽曲データ蓄積部」53の記憶領域は、フォルダを指定したり、楽曲データファイルを個別に指定したりすることにより、アプリケーションプログラムに管理されている。
【0050】
パーソナルコンピュータ5は、この「楽曲情報データベース」54を用いて、「楽曲データ蓄積部」53に蓄積している楽曲データを管理している。
「楽曲情報データベース」54は、楽曲情報として、楽曲の各種属性(楽曲の書誌的事項を含む)を表すデータだけでなく、楽曲データのファイルサイズ(ファイル容量)、楽曲データの保存場所を示すデータ等も合わせて保存する。従って、楽曲管理情報を保存しているということもできる。
【0051】
一方、音楽再生装置2は、そのフラッシュROMに、「楽曲データ蓄積部」58と「楽曲情報データベース」59を記憶している。この「楽曲情報データベース」59は、「楽曲データ蓄積部」58に存在する各楽曲データの楽曲情報を保存している。
音楽再生装置2は、この「楽曲情報データベース」59を用いて、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積している楽曲データを管理している。
【0052】
アプリケーションプログラムが開始されたとき、又は、同期設定部55により同期化指示があったとき、楽曲データ転送部56は、「楽曲データ蓄積部」53から、楽曲データを「楽曲データ蓄積部」58に転送する。同時に、楽曲情報同期化転送部57は、転送する楽曲データに対応する楽曲情報を、「楽曲情報データベース」54から「楽曲情報データベース」59に転送する。
なお、「楽曲情報データベース」54に保存されている複数の属性に関する楽曲情報のうち、音楽再生装置2で利用する属性に関する音楽情報のみを「楽曲情報データベース」59に転送すればよい。
また、この図では省略したが、「楽曲情報データベース」54にその楽曲情報が保存されている複数の楽曲の中から、一部の楽曲を選択して「プレイリスト」を設定でき、この「プレイリスト」を音楽再生装置2に転送することができる。
【0053】
次に、音楽再生装置2における、音楽再生機能について説明する。
制御部60は、音楽再生モードにおいて、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積された複数の楽曲データを、「楽曲情報データベース」59に保存されている全ての楽曲、又は、図示を省略した「プレイリスト」に保存されている一部の楽曲について、順番に、又は、ランダムに再生する。
制御部60は、運動モードにおいて、「楽曲情報データベース」59に保存されている複数の全楽曲の中から、又は、「プレイリスト」に保存されている楽曲の中から、反復運動テンポ検出器、脈拍(心拍数)検出器の検出出力、再生優先度変更操作(操作スイッチ)等の入力に応じて、「楽曲データ蓄積部」58から楽曲データ再生部61に対し、運動に適した楽曲データの読み出しを指示する。
【0054】
制御部60は、例えば、1回の一連の連続運動(ワークアウト)が終了したとき、使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)を「使用状況の履歴情報保存部」62に出力し、運動状態を「運動履歴情報保存部」63に出力する。
音楽再生装置2において、個人情報の設定が行われ、「個人情報保存部」64に設定値が保存される。
制御部60は、「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63、「個人情報保存部」64の各部に保存された情報に応じて、再生する楽曲の選択を制御する場合がある。
【0055】
アプリケーションプログラムを起動したとき、又は、同期設定部55によりユーザ1の操作による同期化操作があったとき、「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63、「個人情報保存部」64に保存された情報は、履歴情報・個人情報同期化転送部65により、それぞれ、「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67、「個人情報保存部」68に転送される。個人情報は、パーソナルコンピュータ5においても設定でき、「個人情報保存部」64,68の一方の個人情報を指定し、他方の個人情報を同期化する。
後述する図4(a)においては、「運動履歴情報保存部」67と「個人情報保存部」68とを一体化し、図4(b)においては、「使用状況の履歴情報保存部」66と「楽曲情報データベース」54とを一体化した例を示している。音楽再生装置2においても同様に、それぞれを一体化することができる。
【0056】
次に、パーソナルコンピュータ5の楽曲推奨機能について説明する。
パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に蓄積された楽曲データの少なくとも一部を、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に転送する際に、ユーザ1が運動中に聞く楽曲データとして適した楽曲を推奨する。
音楽再生装置2の複数の運動モードにおいて、各運動モードによっては多少の相違があるとしても、実際に再生される楽曲の音楽テンポは、ユーザの運動履歴情報に基づいて決定される。
ユーザ1の反復運動テンポと、ほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲データを再生する可能性が高い。しかし、ユーザ1の反復運動の値は全運動期間において一定ではない。そのため、統計値を用いて、ユーザ1の反復運動テンポの統計値とほぼ同じ値の音楽テンポを持つ楽曲データを推奨する。
【0057】
「運動履歴情報保存部」67は、ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データを保存している。
推奨音楽テンポ条件設定部70は、「運動履歴情報保存部」67に保存された、ユーザ1が行った運動の運動履歴データ、より具体的には、ユーザ1が行った運動の反復運動テンポの履歴データの統計値を算出し、その統計値に対応した値をとることを推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0058】
反復運動テンポの履歴データの統計値とは、例えば、所定期間における反復運動テンポの平均値、所定期間における最多ペース(最大頻度の反復運動テンポの値)、あるいは、所定期間における反復運動テンポの値の頻度分布である。
図4(a)の下段に示す運動履歴情報では、全運動期間における平均運動ペースが示されている。そのため、全運動期間における平均反復運動テンポが算出される。
しかし、他の統計値を採用する場合は、図4(a)の下段に示されていない、より詳細な運動履歴情報を保存しておく必要がある。
【0059】
反復運動テンポ統計値指定部69aは、ユーザ操作により統計をとる期間と統計値の種類とを指定する。
例えば、全運動期間の他、直近の1回分、直近の10回分、直近の1日分、直近の1ヶ月分のワークアウト等の期間を指定する。
統計値として平均値が指定されたとき、推奨音楽テンポ条件設定部70は、指定された所定期間における「運動履歴情報保存部」67に保存された反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの平均値を算出し、この平均値とこの平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0060】
一方、統計値として頻度分布が指定されたとき、推奨音楽テンポ条件設定部70は、指定された所定期間における、「運動履歴情報保存部」67に保存された反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0061】
上述した所定期間における最大頻度の反復運動テンポの値は、頻度分布のうち、最大頻度の反復運動テンポの値のみを考慮し、その他の値の出現頻度を足切り(切り捨て)したことに相当する。
最大頻度の反復運動テンポの値を統計値として指定する場合は、上述した平均値と同様に、この最大頻度の反復運動テンポの値と該最大頻度の反復運動テンポの値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された最大頻度の反復運動テンポの値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0062】
推奨音楽テンポ条件設定部70は、上述した反復運動テンポの履歴の統計値に対応した値そのものを推奨音楽テンポの値としてよい。しかし、対応した値そのものに加え、この値の半分の値の音楽テンポ(ハーフテンポ)の値であってもよい。ハーフテンポの音楽テンポでも、運動によく合う。ただし、第1の運動モード(フリーモード)で使用するときに限られる。
そこで、ハーフテンポ許容指定部69bは、ユーザ操作により、反復運動テンポの履歴の統計値に対応した値の半分の値(ハーフテンポ)も推奨音楽テンポとするか否かを指定する。
推奨音楽テンポ条件設定部70の具体的な処理は、図12,図13を参照して後述する。
【0063】
一方、「楽曲情報データベース」54は、複数楽曲について、その楽曲の属性の1つとして音楽テンポの値を保存している。
楽曲推奨部72は、上述した推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、「楽曲情報データベース」54に保存された複数の楽曲の中から検索し、転送制御部73に出力し、ユーザ1に提示する。例えば、ディスプレイ5a(図1)に楽曲名のリストを表示する。
【0064】
なお、上述した推奨音楽テンポ条件設定部70が、「選択確率付き音楽テンポの条件」を設定した場合、楽曲推奨部72は、「楽曲情報データベース」54を検索し、推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、設定された選択確率で選択してユーザ1に提示する。
【0065】
転送制御部73は、楽曲データ転送部56を制御する。提示された楽曲リストの中から、ユーザ1が転送したい曲を手動操作により指示する。転送制御部73は、指示された楽曲データを、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に転送させる。
その際、楽曲データ転送部56は、楽曲情報同期化転送部57を制御し、転送される楽曲データの楽曲情報を、「楽曲情報データベース」54から「楽曲情報データベース」59に転送する。その結果、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積される楽曲データと、「楽曲情報データベース」59に保存される楽曲情報とはリンクしており、対応関係にある。
【0066】
楽曲推奨部72は、ユーザの好み(嗜好)を反映させた楽曲を推奨することができる。
例えば、楽曲に対する好みの大きい楽曲ほど、優先的に推奨し、その結果、優先的に転送できるようにする。楽曲に対する好み以外の好みを基準とすることができる。
好みの基準指定部71は、好みを反映させる場合、楽曲に対するユーザ1の好み、曲調、ジャンル等の所定の属性に関するユーザ1の好み等の基準を指定する。
【0067】
まず、楽曲に対する好みを反映させる場合について説明する。
「使用状況の履歴情報保存部」66は、ユーザ1の操作により「楽曲」(典型的には、ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度(ユーザの好み度)の履歴データを保存している。
楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66を検索し、推奨音楽テンポ条件設定部70により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」に、ユーザ1の操作により設定された、この「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図10のS120の処理に対応する)。
楽曲推奨部72は、また、上述した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、この楽曲の、上述した「楽曲」に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この「楽曲」に対する再生優先度の高いものから順にユーザ1に提示する(図10のS121の処理に対応する)。
【0068】
次に、楽曲の、曲調、ジャンルなど、ある所定の属性に関する楽曲情報(所定の属性に関する楽曲情報の組合せを含む)に対する好みを反映させる場合について説明する。
例えば、曲調に関する楽曲情報として、ある「曲調」を持ち、かつ、ジャンルに関する楽曲情報として、ある「ジャンル」を持つ(以下、単に、ある「曲調&ジャンル」を持つと表記する)楽曲に対する好みを反映させる。
【0069】
「楽曲情報データベース」54は、各楽曲の楽曲情報として、各楽曲の音楽テンポの値の他に、各楽曲の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報として、「曲調&ジャンル」を保存している。
「使用状況の履歴情報保存部」66は、ユーザ1の操作により楽曲(ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
【0070】
楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66、及び、「楽曲情報データベース」54を参照し、ユーザ1の操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する。
より詳細には、例えば、「使用状況の履歴情報保存部」66を検索し、ユーザ1の操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図10のS119の処理に対応する)。
次に、「楽曲情報データベース」54を検索し、上述した楽曲に対する再生優先度の履歴データが取得された楽曲について、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し(図10のS123の処理に対応する)、この楽曲の、この楽曲に対する再生優先度の履歴データを、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する(図10のS123の処理に対応する)。
【0071】
補足説明をすると、ユーザ1は再生されている、ある「楽曲」に対して再生優先度を設定している。ここで、その「楽曲」の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報が、ある具体的な「曲調&ジャンル」(例えば、走りやすさレベル1&ロック)であるとする。この場合、ユーザは、実質的に、この具体的な「曲調&ジャンル」に対して再生優先度を設定していると考えられる。
【0072】
この具体例では、異なる属性の楽曲情報が組み合わされている。そのため、個々の、楽曲情報「曲調」(走りやすさ)と、ある「ジャンル」(ロック)とに対して、それぞれ、再生優先度を設定していると考える。組合せの場合、両者の再生優先度を、演算、例えば、加算したものを、ある楽曲情報「曲調&ジャンル」に対して設定した再生優先度とする。
楽曲推奨部72は、「楽曲情報データベース」54を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、この推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の情報を、この楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の高いものから順にユーザ1に提示する(図10のS124,S125の処理に対応する)。
【0073】
上述したいずれの好みの場合でも、楽曲推奨部72は、推奨音楽テンポの条件を満足する全ての楽曲を提示してよい。ユーザの好みを反映させる場合は、ユーザの好みの大きい楽曲から順に提示する。
転送制御部73は、楽曲推奨部72が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、選択された楽曲の楽曲データを、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に転送させる。
【0074】
例えば、ユーザ1は提示された楽曲の中から転送する楽曲を選択した上で、転送制御部73に転送制御をさせる。その際、転送制御部73は、ユーザ1が転送する楽曲を選択操作するごとに、既に転送する設定をした楽曲データのデータ容量を累積加算し、「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えたときに、最後に選択した楽曲は転送できない旨を表示する。既に転送する設定をした楽曲の選択を取り消すこともできる。
【0075】
これに代えて、楽曲推奨部72は、楽曲の情報を提示する前に、提示しようとする推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報について、提示しようとする順に楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58に蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示するようにしてもよい。
この場合、転送制御部73は、楽曲推奨部72により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、「楽曲データ蓄積部」53から「楽曲データ蓄積部」58に一括転送させる。
【0076】
後者の場合、ユーザ1に提示された楽曲リストにより、「推奨楽曲プレイリスト」を作成し、この「推奨楽曲プレイリスト」を音楽再生装置2に転送することもできる。「推奨楽曲プレイリスト」に含まれる楽曲データであって、音楽再生装置2にまだ蓄積されていない楽曲データとその楽曲情報のみを、楽曲データ転送部56、楽曲情報同期化転送部57を制御して、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58、「楽曲情報データベース」59に転送させる。
なお、いずれの場合においても蓄積可能なデータ容量が少ない場合、あるいは、転送するデータ量をユーザの設定により、制限した場合は、優先順序の大きいものだけを転送することになる。
【0077】
上述した説明では、楽曲推奨部72は、「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67のそれぞれに保存されている再生履歴情報、運動履歴情報を用いて楽曲推奨機能を実現していた。
これに代えて、再生履歴情報、運動履歴情報を音楽再生装置2の「使用状況の履歴情報保存部」62、「運動履歴情報保存部」63から直接に転送を受けてもよい。この場合、「再生履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67を設けなくてもよい。
【0078】
図4は、図1,図3に示したパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2に保存される、ユーザ1の個人情報及び運動履歴情報、楽曲情報及び音楽再生装置の使用状況の履歴情報、図1に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存される楽曲情報・履歴情報の一例を示す説明図である。記載されている数値等の情報は説明用のものである。
【0079】
図4(a)は、図1のパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2に保存されるユーザ1の個人情報及び運動履歴情報の一例を示す説明図である。
ここでは、個人情報と運動履歴情報とを一体化して1テーブルとしている。しかし、図3においては、「個人情報保存部」68,64と、「運動履歴情報保存部」67,63とに分けている。分ける場合は、運動履歴情報にも、ユーザIDをキーとして付加しておく。
【0080】
図4(a)の上段は個人情報の属性である。
図示の例では、ユーザIDを「キー1」として個人情報及び運動履歴情報を管理する。ユーザIDは、例えば、ソフトウエアプログラムのユーザ登録時に楽曲情報・履歴情報提供サーバ12により付与される。
【0081】
歩幅[cm]は、1歩(1ステップ)の長さであり、ジョギング時とウォーキング時とで異なる値が設定される。
最小テンポ(ジョギング)、最大テンポ(ジョギング)[beat/min]は、ジョギング運動時における最小、最大の反復運動テンポの値である。同様に、最小テンポ(ウォーキング)、最大テンポ(ウォーキング)は、ウォーキング運動時における最小、最大の反復運動テンポの値である。
音楽テンポについても、上述した反復運動テンポの値と同じ最小値と最大値を設定して、楽曲データを選択する。運動開始時は、最小値の音楽テンポから開始される。
【0082】
図4(a)の第2段は過去の全運動期間(情報が保存されている範囲内で)についての運動履歴の属性である。全時間は運動モードにおいて運動した過去の全運動期間の時間[時:分:秒]である。全距離は、過去の全運動期間の距離である。
全時間、全距離は、各回のワークアウトにおける開始時のウオーミングアップ、主運動期間、終了時のクールダウンの期間の内、原則として主運動期間のみとする。ただし、ウオーミングアップの期間が長い場合は、本運動期間にウオーミングアップの期間を加えることが望ましい。
【0083】
平均運動ペースは、過去の全運動期間の運動ペース[分:秒/km]の平均値である。予め設定された歩幅に平均反復運動テンポを乗算して求める。
全カロリは過去の全運動期間の運動により消費された全カロリ[kcal]、過去の全運動期間の平均心拍数[bpm]である。
【0084】
個人情報として、図4(a)の1段目の最後に示した「運動レベル」の属性を設けてもよい。この「運動レベル」は、ユーザの総合的な運動能力の指標であり、例えば、図4(a)の2段目の平均運動ペースや平均心拍数を考慮して計算式を使って算出したり、ユーザが設定操作子を用いたりして設定する。
また、図示を省略したが、どのような走り方、走り込みの経験をもっているかを表す、「ランニングスタイル」の属性を設けてもよい。例えば、図4(a)の2段目の平均運動ペースや、月間走行距離等に応じて算出したり、ユーザが設定操作子を用いたりして設定する。
【0085】
なお、反復運動テンポの値の履歴データの統計期間、統計値の設定を任意に選択できるようにするには、より詳細な反復運動テンポのデータが必要である。従って、反復運動テンポの値を、時系列に沿って記録したものを、そのまま、あるいは、ワークアウト単位で、保存しておく。
【0086】
図4(b)は、楽曲情報及び使用状況(音楽再生装置の使用状況)の履歴情報の一例である。この使用状況の履歴情報には、再生履歴を含んでいる。
ここでは、楽曲情報と使用状況の履歴情報保存部とを、1テーブルとして保存する場合を示している。
図3に示したパーソナルコンピュータ5、音楽再生装置2のように、「楽曲情報データベース」54,59と、「使用状況の履歴情報保存部」66,62とを分けて保存してもよい。この場合、「使用状況の履歴情報保存部」に楽曲IDをキーとして付加しておく。
【0087】
楽曲情報及び使用状況の履歴情報は、楽曲IDを「キー2」として管理する。楽曲情報及び再生履歴情報は、少なくとも一部を「ミュージックライブラリ」として、ディスプレイ5aに表示することができる。
楽曲情報及び使用状況の履歴情報は、各楽曲毎に、複数の属性について、その値やその内容が1レコードとして記述されている。
【0088】
楽曲IDは、楽曲データを識別するコードである。例えば、図3に示した楽曲データ取得部52が、汎用楽曲情報提供サーバ14(図1)にアクセスしたときに、楽曲IDを取得するか、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が独自に楽曲IDを発行して付与してもよい。
楽曲名、アーティスト、アルバム、ジャンル、再生時間は、図3において、CD51をコピーする場合に、CDの楽曲データに付加されたTEXTの情報から得られる。
ジャンルの属性には、その具体的な楽曲情報として、ポップミュージック、ジャズ等がある。
また、音楽テンポ、「走りやすさ」、「エネルギーレベル」の属性は、CDをコピーする際に、パーソナルコンピュータ5が、楽曲データを解析して得る。
【0089】
上述した「走りやすさ」(第1の曲調)、「エネルギーレベル」(第2の曲調)等の曲調は、数値化された曲調評価パラメータということができる。音楽波形データを、予め作成されたアルゴリズムに基づいて解析することにより得られる。
曲調の属性は、一般に、ユーザが音楽を聴いたときに、音楽の内容から受ける心理的な感情を分析した、音楽の一属性であり、例えば、明るい、暗い、楽しい、嬉しい、激しい、ゆったり、ビートがはっきりしている、などがある。
【0090】
図示の例では、「走りやすさ」(第1の曲調)、「エネルギーレベル」(第2の曲調)という、特に運動中に再生される楽曲を評価するにふさわしい2種類の曲調を採用しており、ユーザの好みを判定するために使用される。
ユーザの好みを判定する場合、キーワードで判定するか、又は、上述した曲調評価パラメータのような数値化されたものは、数値の属する範囲で判定する。
【0091】
例えば、「走りやすさ」が、1〜100の範囲で定義されているとすると、数値が70以上のものを、「走りやすさレベル1」の曲調であるとする。一方、数値が30以下のものを、「走りやすさレベル3」の曲調であるとする。数値が70未満で30を超えるものを「走りやすさレベル2」の曲調であるとする。
また、「エネルギーレベル」が、1〜10の範囲で定義されているとすると、数値が7以上のものを、「エネルギーレベル1」の曲調であるとする。一方、数値が3以下のものを、「エネルギーレベル3」の曲調であるとする。数値が7未満で3を超えるものを「エネルギーレベル2」の曲調であるとする。
【0092】
楽曲情報としては、この他に、相対音量、アルバム音量、オーディオファイルかMIDIファイルかの種別データがある。この他、ファイル管理情報として、楽曲データのファイルサイズ(ファイル容量)、楽曲データを保存しているディレクトリ、インポート日時(プログラムが管理している領域にコピー又はダウンロードされた日時)などがある。
【0093】
なお、楽曲データを入手したユーザ元によって、同じ楽曲IDを有する楽曲であっても、楽曲解析結果にばらつきが生じたり、相違したりする場合がある。
このような場合、ある同じ楽曲IDの複数の楽曲情報を1セットと名付けたとき、複数のユーザから複数セットを収集したとき、複数の楽曲の属性について、各楽曲情報の一致度が高い楽曲情報のセット及び対応する楽曲データを選定し、選定された楽曲情報のセット及び楽曲データを、正規のものとして「楽曲情報データベース」85に保存すればよい。
【0094】
音楽再生装置の使用状況の履歴(再生履歴を含む)は、過去の全運動期間中の使用状況の履歴を保存している。ただし、リセットが可能であり、また、前回再生日時(この楽曲が最後に再生された日時)の属性のデータを保存している場合、再生日時の範囲を絞って検索することができ、例えば、昔に再生したような楽曲を除いて検索することができる。
再生履歴のうち、再生回数、再生優先度は、ユーザ1が音楽再生装置2で再生した楽曲の再生回数(プレイカウント)、再生優先度(再生優先度ポイント)のデータである。
図3に示した「使用状況の履歴情報保存部」66,62は、未再生の楽曲も保存し、その再生回数を0としているが、1回でも再生された楽曲のみを保存してもよい。図4(b)のように、楽曲情報と再生履歴とを一括保存する場合、再生回数が0の楽曲も、その楽曲情報を保存している。
再生優先度は、図1を参照して説明したように、楽曲に対するユーザ1の好みを表すパラメータである。
図4(b)の例では、初期値を0とし、スキップ操作により再生優先度を1ポイント下げることのみを実行し、再生優先度の値を0以下のマイナスの値としている。
【0095】
ウォーキングやジョギングの主運動期間における、スキップ操作、リピート操作と、ウオーミングアップの期間におけるスキップ操作、リピート操作とは、再生優先度の重みを異ならせてもよい。主運動期間におけるスキップ操作、リピート操作の再生優先度の重みを大きくすることが好ましい。
再生優先度の変更は、上述した操作以外の他の操作に伴って変更操作されてもよい。また、いわゆる星マークを付ける「マイレート」を入力する操作子を用いて再生優先度を変更してもよい。また、楽曲に対する再生優先度を変更するための専用の、お気に入り操作子を用いてもよい。
【0096】
再生優先度は、図3を参照して説明したように、典型的には、ユーザ1の操作により、ユーザ1が運動中に再生した再生楽曲に設定する。
しかし、ユーザ操作により、楽曲データを再生することなく、直接的に、「使用状況の履歴情報保存部」66,62に保存された再生優先度を変更することも可能にしてもよい。
なお、上述した再生優先度は、「楽曲」に対する再生優先度であった。これに代えて、「楽曲情報データベース」54,59(図3)に記述されている属性であれば、1つの属性又は複数の属性の任意の組合せに対し、ユーザが直接的に再生優先度を設定できるようにしてもよい。
【0097】
なお、図4(b)に示す運動モードの属性を設けてもよい。この運動モードの履歴情報は、再生履歴とは言いにくいが、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報である。
この運動モードは、図4(b)に示す複数の運動モードにおいて、どのモードで、この楽曲データを再生したかを示すデータである。図1に示した音楽再生装置2は、第1〜第3つの運動モードを有していた。第2の運動モードについては、さらに、ウォーキングとジョギングのサブモードに分けてもよい。
しかし、同じ楽曲を複数のモードで再生する場合があり得る。この場合は、各運動モード毎に、同じ楽曲IDの楽曲情報のセット(1レコード)が作成され、「楽曲情報データベース」54,59に保存する。
音楽再生装置2の使用状況の履歴情報としては、この他、使用した1日の時間帯(朝昼夜)や、使用した季節等の情報がある。
【0098】
図4(c)は、図1の楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に保存される楽曲情報・履歴情報の一例を示す説明図である。
これらの楽曲情報及び履歴情報は、各ユーザのパーソナルコンピュータ5,7B,8B,18B,19B,20B,…に記憶された、各ユーザについての、図4(a)の個人情報,図4(b)に示す楽曲情報及び音楽再生装置2の使用状況の履歴情報を収集したものである。
【0099】
なお、楽曲情報については、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、独自に、音楽配信サーバ13等から楽曲データを取得して、この楽曲データを解析したものを保存してもよい。
図5,図6,図8に示す楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、「楽曲情報データベース」85と、「履歴情報データベース」84とを分けているが、この図4(d)では、楽曲情報と履歴情報とを、1テーブルとした場合を示している。
【0100】
図示の例では、楽曲IDとユーザIDとを2個の「キー」として、「楽曲」のキーと「ユーザ」のキーの1つの組合せに対し、図示の1レコードを構成し、全ての組合せのレコードを集め、1テーブルを構成する。
1レコードは、楽曲情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報(再生履歴情報を含む)、個人情報が1組のセットになっている。後述する楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、運動履歴情報を収集・保存しないが、収集・保存することも可能である。
【0101】
図4(c)に示す楽曲情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報(再生履歴情報を含む)、個人情報は、図4(a)、図4(b)に示した音楽再生装置2やパーソナルコンピュータ5に保存されている情報をすべて含む必要はない。他のユーザに提供しない属性、あるいは、検索条件に応じて検索範囲を絞り込む際に必要のない属性については、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が収集・保存する必要がない。
【0102】
図5〜図9は、図1に示したパーソナルコンピュータ5等がユーザ端末となり、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、情報収集、楽曲推奨を含む楽曲情報の提供等をするシステムを、機能別に説明するブロック図である。
【0103】
図5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、ユーザ端末から情報を収集する機能を実現するためのブロック図である。図中、図1、図3と同様な部分には同じ符号を付している。
パーソナルコンピュータ(ユーザ1のユーザ端末)5において、81は「履歴情報保存部」であり、図3に示した「使用状況の履歴情報保存部」66,「個人情報保存部」68を示したものである。
従って、「履歴情報保存部」81に保存された履歴情報は、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報であって、ユーザ1の属性に関する個人情報を含む。
【0104】
情報提供部82は、「履歴情報保存部」81に保存された個人情報、音楽再生装置の使用状況の履歴情報を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に転送する。この実施形態では、運動履歴情報を収集しない。楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の情報収集部83は、複数の各ユーザのパーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5,7B,8B,18B,19B,20B,…から、これらの情報を「履歴情報データベース」84に保存する。
【0105】
上述した「履歴情報データベース」84に保存されている履歴情報は、音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動中に音楽を聴くという共通の目的で音楽を聴いているユーザ群における、個人情報及び音楽再生装置の使用状況の履歴情報である。
その結果、「履歴情報データベース」84を検索すれば、このようなユーザ群の特徴をさらに分析し、分析結果の情報を提供したり、「楽曲情報データベース」85を検索する際に、検索範囲を絞り込むために使用したりすることができる。
【0106】
情報提供部82は、また、「楽曲情報データベース」54(図3)に保存されていた複数楽曲の各種属性の楽曲情報を、「楽曲情報データベース」85に保存する。
なお、楽曲情報のみを収集する際には、ユーザを識別する情報を要しないが、図4(b)に示したような、再生履歴情報とともに収集する場合は、ユーザを識別する情報を要する。
【0107】
「楽曲情報データベース」85に保存される各楽曲情報もまた、音楽再生装置2等を使用して楽曲を再生しながら運動中に音楽を聴くという、共通の目的で音楽を聴いているユーザ群において蓄積されている楽曲の楽曲情報である。従って、反復運動テンポが通常取りうる範囲の音楽テンポ値をもつ楽曲や、曲調が運動に適している楽曲である可能性が高い。かつ、一般のユーザが既に入手していることから、人気のあるポピュラーな楽曲の楽曲情報であるという特徴がある。
その結果、汎用楽曲情報提供サーバ14のように、膨大な数の楽曲について楽曲情報を蓄積するよりも、ユーザが運動中に聴くにふさわしい楽曲の楽曲情報が効率的に収集される。また、「楽曲情報データベース」85の規模が小さくなるから、その管理が容易となる。
【0108】
しかも、収集された楽曲情報は、楽曲データを解析した結果得られた、音楽テンポや曲調等の、運動しながら聞くのに適した楽曲を検索するのに必要な楽曲情報を含んでいる。これらは、CDに記録されている楽曲や、一般の音楽配信サーバ13から提供される楽曲データには付加されていないし、汎用楽曲情報提供サーバ14からも得られない。一方、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12において、収集する楽曲の全てについて楽曲データを解析することは処理の負担が大きくなるので難しい。
【0109】
上述した説明では、情報提供部82は、パーソナルコンピュータ5の「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲情報の全てを提供していた。
これに代えて、情報提供部82が、一部の楽曲データのみを提供するように制限してもよい。例えば、情報提供部82は、「使用状況の履歴情報保存部」66(図3)を参照し、「楽曲情報データベース」54(図3)の中から、各ユーザが1回以上再生した再生楽曲の楽曲情報のみを、情報収集部83に提供し、再生されていない楽曲(再生回数=0)の楽曲情報については提供しないようにしてもよい。
【0110】
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12においては、上述したようにして「履歴情報データベース」84と「楽曲情報データベース」85とが自動的に構築され、複数のユーザが、これらのデータベースを共有し、各ユーザ端末からの要求に応じて情報提供をすることができる。
また、上述した説明では、「履歴情報データベース」84に、各ユーザの運動履歴情報を保存していない。しかし、複数ユーザの運動履歴情報も検索対象とする場合は、各ユーザの「運動履歴情報保存部」67に保存された運動履歴情報を、情報提供部82、情報収集部83を経由して「履歴情報データベース」84に保存するようにしてもよい。
【0111】
図6は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から、ユーザ1のパーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5に、情報を提供する機能を実現するためのブロック図である。
図中、図5と同じブロックに同じ符号を付している。
パーソナルコンピュータ(ユーザ1のユーザ端末)5において、条件指定部91は、要求する情報を得るための所定の条件を指定する。
【0112】
所定の条件としては、情報の種類を指定する条件と、この情報を取得するための検索範囲を絞り込む条件とがある。情報の種類としては、「履歴情報データベース」84又は「楽曲情報データベース」85に保存されたものであればよい。
検索範囲を絞り込む条件としては、「履歴情報データベース」84又は「楽曲情報データベース」85に保存された属性の具体的な情報を指定すればよい。
【0113】
条件指定部91は、所定の指定条件(例えば、ユーザ1の個人情報、及び、ユーザ1が音楽再生装置2を使用して楽曲を再生しながら運動した状況における、音楽再生装置2の使用状況の履歴情報に関する所定の指定条件)を設定する。
情報要求部92は、このような所定の指定条件を満たす情報(例えば、楽曲の情報)を、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対して要求する。
情報要求取得部93は、パーソナルコンピュータ5から、上述した所定の指定条件を満たす情報を取得し、情報提供部86に与える。
【0114】
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84、及び又は、「楽曲情報データベース」85における、所定の指定条件を満たす情報を検索し、検索して得た情報を、情報要求したパーソナルコンピュータ5の情報取得部94に提供する。情報取得部94は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から提供された情報を取得し、情報提示部95は、取得された情報をユーザ1に提示する。
【0115】
図7は、図6に示した情報を提供する機能により、ユーザに提示される情報の一例を示す図である。
図7(a)は、所定のユーザ範囲に属する複数のユーザにおける、楽曲の再生回数(又は%)の多いもの順に、その楽曲の楽曲名と音楽テンポ値、その再生回数の統計分布とともに、ディスプレイ5a(図1)にポップアップウインドウにて提示した例である。
図7(a)に示した情報を提示するためには、上述した図6において次のようにする。「所定の指定条件を満たす情報」の要求を、「所定のユーザ範囲に含まれるユーザが再生した再生楽曲」の要求とする。
【0116】
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84を検索し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザが運動中に再生した再生楽曲の履歴情報を取得し、履歴情報を取得した再生楽曲について、今度は、「楽曲情報データベース」85を検索し、取得していた再生楽曲について、その楽曲情報として、楽曲名と音楽テンポ値とを取得し、これを、情報の要求をしたユーザ1のパーソナルコンピュータ5に提供する。
その際、情報提示部95は、再生楽曲の再生回数の大きい楽曲情報から順番に表示させる。棒グラフは、再生回数を表示する。すなわち、再生回数の大きさに基づいて表示の優先順位を与える。
【0117】
図7(b)は、所定のユーザ範囲に属する複数のユーザにおける、個人情報の1つである、「運動レベル」のランクを統計分布グラフとともに、ポップアップウインドウにて提示した例である。
横軸は「運動レベル」のランクA〜ランクDを示し、縦軸は各ランクのユーザ数(又は%)を示す。数値を表示してもよい。
情報要求をしたユーザが属するランクの棒グラフの色、文字色等を、他のランクの、棒グラフの色、文字色と異ならせるなどして、ユーザ本人が属しているランクを目立つようにする。また、ユーザが属しているランクの表示を、最初に表示するなど、優先順位を決めたり、マーキングや書体を変えたりするとよい。
【0118】
図7(b)に示した情報を提示するためには、上述した図6において次のようにする。
「所定の指定条件を満たす情報」の要求を、「所定のユーザ範囲に含まれるユーザの運動レベル」の要求とする。表示の優先順位は、ランクA〜Dの順とする。
情報提供部86は、「履歴情報データベース」84を検索し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの個人情報「運動レベル」の情報を取得し、「ランクA」〜「ランクD」別に、ユーザの総数を算出する。これを、情報の要求をしたユーザ1のユーザ端末装置5に提供する。
【0119】
上述した条件指定部91において、検索対象とするユーザ範囲を、個人情報に含まれるユーザ属性で絞り込むことができる。すなわち、条件指定部91は、指定されたユーザ属性の条件を満たすことを条件とする。
例えば、図4(a)に示したテーブルに示されている、現在の年齢(生年月日と現在の日時とから得られる)、性別、運動レベルのランクなどを指定する。数値で表されるユーザ属性については、数値の範囲を指定すればよい。
【0120】
ユーザ属性は、複数のユーザ属性の組合せ、例えば、「性別」と「年齢」の組合せでもよい。また、情報を要求したユーザと所定のユーザ属性が一致又は類似していることを条件として、ユーザの範囲を設定してもよい。例えば、「同性」、「同世代」(例えば、年齢差が所定範囲内)、「運動レベル」が同じランク、「ランニングスタイル」が同じ、等で指定すると、ユーザ範囲の設定が的確にできる。
情報の提供を要求したユーザと「同性」かつ「同世代」という指定ができる。さらに加えて、情報の提供を要求したユーザと「運動レベル」が同じランク、という指定もできる。
ユーザ範囲として、「全ユーザ」(実質的にユーザ範囲を条件付けていないことになる)、「本人」(情報の提供を要求したユーザ、ユーザIDや氏名を指定)という選択肢を設けてもよい。
【0121】
情報要求取得部93により、ユーザ範囲に含まれるユーザを特定するために、ユーザ属性が取得されたとき、情報提供部86は、条件指定部91において指定されたユーザの属性を持つことを条件として、前記ユーザ範囲に含まれるユーザを特定する。
具体的には、ユーザの属性の具体的な内容をキーワード、又は、数値の範囲として、「履歴情報データベース」84を検索することにより、ユーザ範囲に含まれるユーザを特定する。
図7(a)を参照して説明した再生楽曲の例では、特定されたユーザ範囲に含まれるユーザが再生した楽曲の楽曲IDを、「履歴情報データベース」84を検索して取得し、取得した楽曲IDの楽曲情報を、「楽曲情報データベース」85を検索して取得する。
【0122】
なお、図8、図9、図11を参照して後述する楽曲推奨機能においては、ユーザの範囲を指定して、このユーザ範囲に含まれるユーザの好みを反映させている。
そこで、後述する楽曲推奨機能において、推奨音楽テンポの条件を指定しない(すべての音楽テンポを許容する)で機能を実行すれば、指定されたユーザの範囲に含まれるユーザの好みの楽曲の情報を検索して取得することができるようになる。
【0123】
パーソナルコンピュータ5において、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12によって楽曲の情報が提供されたとき、ユーザ1は、提示されたリストを見て、自身の楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲データがあって、この楽曲データを取得したいときは、音楽配信サーバ13(図1)にアクセスし、この楽曲データを購入してダウンロードする。
この場合、楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲の情報と既に蓄積している楽曲の情報とが、提示されたリストにおける表示態様の相違により容易に識別できるようにすることができる。図9を参照して後述する楽曲推奨の機能において、その具体的な方法を説明している。
【0124】
図8は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から、ユーザ1のパーソナルコンピュータ5に、推奨楽曲を提供する機能を実現するためのブロック図である。図中、図5,図6と同じブロックには同じ符号を付している。
条件指定部91は、「ユーザが運動中に聞くのに適した楽曲」であるという条件を指定する。
条件指定部91は、図3に示した反復運動テンポ統計値指定部69a、ハーフテンポ許容指定部69b、好みの基準指定部71を合わせた機能に相当し、情報要求部92は、推奨音楽テンポ条件設定部70の機能を含む。
【0125】
推奨音楽テンポの条件は、図3の推奨音楽テンポ条件設定部70と同様に、「運動履歴情報保存部」67(図3)から取得された、情報の要求をするユーザ1が行った運動の運動履歴データに基づいた値をとる音楽テンポである。
従って、情報要求部92は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ装置12に対し、保存された運動履歴データに基づいた推奨音楽テンポの条件を付加してユーザ1の運動に適した楽曲の情報を要求する。
【0126】
ここで、運動履歴データに基づいた値とは、より具体的には、ユーザ1が行った運動の反復運動テンポの履歴データの統計値である。
統計値として、ユーザ設定により平均値が指定された場合、情報要求部92は、反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの平均値を算出し、この平均値とこの平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
【0127】
一方、統計値として、ユーザ設定により頻度分布が指定された場合、情報要求部92は、反復運動テンポの履歴データに基づいて、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、推奨音楽テンポの条件として設定する。
この場合、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の情報提供部86に対し、複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、設定された選択確率で選択して、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提供させる。
【0128】
ユーザの好みを反映させる指示が伴わない情報要求の場合について説明する。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12における情報要求取得部93は、ユーザ1のユーザ端末装置5から、推奨音楽テンポの条件が付加された各ユーザの運動に適した楽曲の情報要求を取得し、情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、上述した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、楽曲の情報を要求したユーザ1のユーザ端末装置5に提供する。
パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)5における情報取得部94は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12から提供された楽曲の情報を取得し、情報提示部95は、取得された楽曲の情報をユーザ1に提示する。
【0129】
また、条件指定部91は、ユーザの好みを反映させる場合、好みの基準を指定する。その際、好みを調べる対象とするユーザ範囲を指定することができ、このユーザ範囲に属するユーザの好みを基準とする。これは、図3の好みの基準指定部71にはない機能である。
好みを調べる対象とするユーザ範囲の設定は、図6に示した情報提供における条件指定部91におけるユーザ範囲の設定と同様である。1又は複数のユーザ属性の組合せで指定することもできる。また、ユーザ属性を、情報を要求したユーザの属性との相対関係で指定することもできる。「ランニングスタイル」が同じ、で指定する。情報の提供を要求したユーザと「同性」かつ「同世代」という指定ができる。ユーザ範囲として、「全ユーザ」、「本人」という選択肢を設けることもできる。
【0130】
最初に、楽曲に対する好みを反映させる場合を説明する。
情報要求部92は、推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの好みに合う楽曲の情報要求をする。
「履歴情報データベース」84には、各ユーザのユーザ端末装置から収集した使用状況の履歴情報として、各ユーザの操作により楽曲(典型的には、各ユーザが運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
情報要求取得部93は、ユーザ1が行った運動の運動履歴データに基づいた推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの好みに合う楽曲の情報要求を取得する。
【0131】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を取得する(図11のS132の処理に対応する)。
情報提供部86は、また、「履歴情報データベース」84を検索し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲(各ユーザが運動中に再生した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)に、当該各ユーザの操作により設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図11のS138に対応する)。
情報提供部86は、さらにまた、推奨音楽テンポの条件を満たす「楽曲」の情報を、この「楽曲」の、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データに基づいて、この「楽曲」に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提示する(図11のS139,S140,S136に対応する)。
推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲が、所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザによって再生されたことのない楽曲である場合は、再生されることなく各ユーザによって直接に設定されていない限り、再生優先度は基準値、図4(b)ではゼロ、になっている。
【0132】
次に、楽曲の所定の属性、例えば、曲調&ジャンルに対する好みを反映させる場合を説明する。
情報要求部92は、推奨音楽テンポの条件が付加され、ユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報に対する好みに合う楽曲の情報要求をする。
「楽曲情報データベース」85は、各楽曲の楽曲情報として、各楽曲の音楽テンポの値の他に、各楽曲の所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報を保存している。
「履歴情報データベース」84には、各ユーザのパーソナルコンピュータ(ユーザ端末装置)から収集した使用状況の履歴情報として、各ユーザの操作により楽曲(各ユーザが運動中に再生した楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを保存している。
「情報要求取得部」93は、推奨音楽テンポの条件が付加されることによりユーザ1の運動に適し、所定のユーザ範囲に含まれるユーザの、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報に対する好みに合う楽曲の情報要求を取得する。
【0133】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を取得する(図11のS132の処理に対応する)。
情報提供部86は、また、「履歴情報データベース」84及び「楽曲情報データベース」85を参照し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、当該各ユーザの操作により「楽曲」(各ユーザが運動中に再生した再生楽曲)に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを、上述した所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する。
より詳細には、例えば、「履歴情報データベース」84を検索し、上述した所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている、この各ユーザの操作により「楽曲」に設定された、「楽曲」に対する再生優先度の履歴データを取得する(図11のS137の処理に対応する)。
次に、「楽曲情報データベース」85を検索し、楽曲に対する再生優先度の履歴データが取得された楽曲について、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、この楽曲の、この楽曲に対する再生優先度の履歴データを、上述した所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに変換する(図11のS141の処理に対応する)。
【0134】
情報提供部86は、「楽曲情報データベース」85を検索し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)を取得し、推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、この楽曲の、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の履歴データに基づいて、所定の属性(曲調&ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調&ジャンル」)に対する再生優先度の高いものから順に、楽曲の情報を要求したユーザのユーザ端末装置に提示する(図11のS142,S143,S140,S136の処理に対応する)。
【0135】
なお、上述した説明では、「履歴情報データベース」84に、各ユーザの運動履歴情報(反復運動テンポの履歴データ)が保存されていないので、情報を要求するユーザの側で、推奨音楽テンポの条件を決定していた。
これに対し、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、各ユーザの運動履歴情報(反復運動テンポの履歴データ)も収集し、「履歴情報データベース」84に保存するシステムの場合は、情報提供部85において、推奨音楽テンポの条件を決定することができる。
【0136】
パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12によって推奨を受けたリストを見て、自身の楽曲データ蓄積部53(図3)に蓄積していない楽曲があったときは、音楽配信サーバ13(図1)にアクセスし、この楽曲データを購入してダウンロードする。
図9は、図8の情報提示部95に提示される推奨楽曲を、図1のディスプレイ5aに表示される画像として示す図である。画面右側の垂直方向のスクロールバーにある「つまみ」101をマウスでドラッグすることにより、楽曲情報のリストがスクロールされ、より多数の楽曲が表示される。図示しない、次頁ボタンの他、前頁ボタンや頁指定ボタンをマウスクリックすることにより、複数頁に移動できる。
【0137】
図示の例では、原則として各行に1つの楽曲が割り当てられ、その各列に、楽曲名(ソング)の他、他の属性名として、アーティスト名、音楽テンポ[BPM]、走りやすさ(第1の曲調)、ジャンルが配列されている。ただし、アーティスト名は、各楽曲名の下に配置されている。
ユーザの操作により、属性の1つを選択してソートして配列順序を変更することができる。一番上の行に表示される各属性名の領域をマウスでクリックすると、クリックされた属性で、楽曲情報が楽曲単位でソートされる。従って、「アーティスト」でソートすれば、同じ「アーティスト」が連続して配列されるので、ユーザが気に入っている「アーティスト」の楽曲を選択しやすくなる。
【0138】
配信サービスの列に、「購入」のボタンが表示されている。ユーザ1は、取得したい楽曲(例えば、ソングW)がある場合、取得したいソングWの「購入ボタン」をマウスクリックすると、図1に示した音楽配信サーバ13における、このソングWの購入手続をする画面にアクセスし、ソングWの楽曲データを、ダウンロードすることができる。
【0139】
ユーザが作曲して制作したオリジナル楽曲や、入手困難な楽曲については、楽曲データの入手先にアクセスするための情報、例えば、URLを、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に提供しておき、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12内の「楽曲情報データベース」85に保存しておけばよい。
あるいは、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、このような楽曲データを蓄積しておき、ユーザに配信できるようにしてもよい。
上述した「購入ボタン」と同様なボタンを表示しておき、このボタンをクリックすると、上述したオリジナル楽曲等の入手先、あるいは、この楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に蓄積されたオリジナル楽曲にアクセスできるようにすればよい。
【0140】
情報要求したユーザ1の「楽曲データ蓄積部」53(図3)に楽曲データが蓄積され、かつ、「楽曲情報データベース」54(図3)に管理されている既存の楽曲を含めて推奨楽曲を表示し、既存の楽曲であるか否かは、表示の態様を変えて提示すればよい。
例えば、蓄積されていない楽曲についてのみ、その「購入」ボタンの操作を有効とし、音楽配信サーバ13へリンクできるようにし、既存の楽曲の「購入」ボタンはグレイ表示として操作ができないようにしておけばよい。
これに代えて、「楽曲データ蓄積部」53(図3)に蓄積されていない楽曲のみを推奨楽曲として提示してもよい。
【0141】
図10〜図12は、これまで説明した一部の機能ブロックについて、処理の詳細を説明するフローチャートである。これまでの説明と重複する内容は簡略化して説明する。
図10は、図2のS33の処理の詳細を示すフローチャートであり、図3に示した推奨音楽テンポ条件設定部70、楽曲推奨部72の機能を実行する。
【0142】
S111において、ユーザ設定された指定条件を取得する。
S112において、「運動履歴情報保存部」67(図3)に保存されている反復運動テンポに応じて、推奨音楽テンポ条件を設定する。
この処理を、先に、図12、図13を参照して説明する。
【0143】
図12は、図10におけるS112の処理の詳細を示すフローチャートである。
S151において、ユーザ設定により指定された統計期間において連続的に、例えば、1秒毎に記録された反復運動テンポの値を取得する。
S152において、ユーザ設定により統計値として平均値を使用するか否かを判定し、平均値を使用する場合はS153に処理を進め、頻度分布を使用する場合はS154に処理を進める。
【0144】
S153において、取得した反復運動テンポの値の平均値を算出し、この平均値を含む所定範囲内の値を推奨音楽テンポの値とする。すなわち、平均値と、この平均値に近い値、例えば、平均値を中心とする±3[bpm]の所定範囲内の値を持つことを、推奨音楽テンポの値とし、S155に処理を進める。
ここで、ユーザ設定により、所定範囲を差でなく、平均値に対する比率、例えば±3%として設定してもよい。また、ユーザ設定により、所定範囲の幅を変更してもよい。
一方、S154において、反復運動テンポの頻度分布を算出し、この頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、選択確率付きの推奨音楽テンポの条件として、S155に処理を進める。この選択確率付きの推奨音楽テンポの条件が指定されたときには、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を、それぞれに設定された選択確率で選択する。
【0145】
図13は、反復運動テンポの頻度分布と、この反復運動テンポの累積加算値を示す説明図である。
図13(a)は、パーソナルコンピュータ5の「運動履歴情報保存部」67に保存されている反復運動テンポの頻度分布を示している。実際、ポップアップ画面でユーザに表示してもよい。横軸は反復運動テンポの値[bpm]、縦軸はその反復運動テンポで運動した運動時間(又はその%)が示される。図示の数値は説明用であって実測値ではない。
【0146】
反復運動テンポの値は、代表値を中心にして所定範囲内に入るもの(図示の例では、代表値±10bpm)について、その運動時間が示される。例えば、代表値80[bpm]に対し、70[bpm]以上90[bpm]未満を80[bpm]の範囲としている。
代表値80[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がa、代表値120[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がb、以後、同様にして、代表値200[bpm]の範囲内の反復運動テンポであった運動時間がfであったとする。
図13(b)に、各運動時間a〜fを累積加算したものを示す。運動時間を%で表したときには、累積加算値が100[%]となる。
【0147】
図示を簡単にするため、反復運動テンポを20[bpm]の範囲に区分して、各範囲に入る選択確率を求めている。実際には、5[bpm]程度の範囲が適切である。反復運動テンポは、その分解可能な最小単位、例えば、1[bpm]を範囲として区分してもよいし、ユーザ設定により、上述した範囲を変更できるようにしてもよい。
【0148】
図12のS155において、ハーフテンポの楽曲データを許容するユーザ設定であるか否かを判定し、許容するときはS156に処理を進め、許容しないときは推奨音楽テンポ条件の設定を終了する。
S156においては、既に設定した複数の音楽テンポの値に加えて、それぞれの半分の値の音楽テンポも推奨音楽テンポの値とする。
【0149】
このように、反復運動テンポの、平均値に対応する所定範囲内の値をとる音楽テンポの楽曲データや、頻度分布に応じた分布で音楽テンポの値が分布する楽曲データを蓄積しておけば、出現頻度が高い反復運動テンポで運動している時でも、同じ楽曲データが繰り返し再生される頻度が少なくなるので、ユーザは音楽や運動に飽きにくい。
ただし、出現する可能性が皆無ではない反復運動テンポについても、その反復運動テンポに応じた音楽テンポの楽曲を少しは蓄積しておくことが望ましい。
【0150】
そのため、上述したS154においては、反復運動テンポの値の頻度分布に、一定のオフセット値を加えた頻度分布に変換して、選択確率付きの音楽テンポの値を設定してもよい。
あるいは、推奨音楽テンポ条件を設定するのは、ユーザ設定により、音楽再生装置2に蓄積可能なデータ容量の所定割合x[%]又は指定曲数とし、残りの(1−x)[%]のデータ容量分については、推奨音楽テンポの条件を付けないで楽曲を推奨してもよい。
具体的には、推奨音楽テンポ条件を設定して推奨楽曲の提示を受け、蓄積可能なデータ容量の所定割合x[%]分のデータ容量となる楽曲データを音楽再生装置2に転送する。その後、推奨音楽テンポの条件を付けないで、残りの(1−x)[%]のデータ容量分を超えない範囲で、ランダムに楽曲を選択したり、ユーザの好みに合う楽曲を選択したりすればよい。
【0151】
図10に戻って説明を続ける。
S113において、「楽曲情報データベース」54(図3)を検索(検索aという)し、S112で設定された推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲」(以下、「楽曲a」という)を取得し、S114に処理を進める。
ここで、推奨音楽テンポの条件に選択確率条件が付いている場合、「楽曲情報データベース」54から、その選択確率に応じて楽曲を検索する。
【0152】
再び、図13(b)を参照する。1から100までの整数値を一様にとる乱数の最大値100を、運動時間a〜fの累積加算値(再生確率母数)に対応させる。運動時間を%で表したときには、累積加算値が100[%]になり、乱数の値と対応する。
1つの乱数値を出力する度に、出力された乱数値が、どの反復運動テンポの運動時間a〜fの範囲に属するかに応じて、音楽テンポの値を、その範囲に属する運動時間に対応する反復運動テンポの値に決定する。運動時間a〜fの境界値を予め計算しておくことにより、どの範囲に属するかがわかる。
【0153】
すなわち、1〜100の範囲の一様乱数を用い、乱数値によって、1つの音楽テンポを指定し、この音楽テンポを有する楽曲を1曲検索して1回の処理とし、この処理を、多数回行えばよい。何回行うかは、出力する楽曲の数やデータ容量等による。
例えば、乱数値が50のとき、運動時間dの範囲にあるから、音楽テンポ値として150[bpm]以上170[bpm]未満の範囲を指定して、「楽曲情報データベース」54を検索し、1曲の楽曲を出力する。同様にして、一様乱数値を繰り返し出力すれば、反復運動テンポの頻度分布と同じ頻度分布を有する音楽テンポの値が得られる。
【0154】
S114において、ユーザの好みを反映させるか否かを、S111で取得した指定条件により判定し、反映させるときはS115に処理を進め、反映させないときはS116に処理を進める。
まず、S116において、S113の検索aで得た、推奨音楽テンポの値を満足する「楽曲a」の中から、音楽再生装置2が蓄積可能な容量を超えない範囲で、楽曲をランダムに選択する。
【0155】
すなわち、決定された推奨音楽テンポの値(ハーフテンポを許容する場合は、その半分の値を含む)を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、ランダムに選択する。
ここで、音楽再生装置2の「楽曲データ蓄積部」58(図3)に蓄積可能な容量を超えない、最大限の楽曲を提示する他に、「10曲選択」、蓄積可能な容量の「1割選択」といった提示がユーザ設定できるようにしてもよい。この場合、「楽曲データ蓄積部」58に追加書き込みする場合に適している。
【0156】
S117において、ランダムに選択された楽曲を並べて、推奨楽曲リストのデータを作成し、S118において、推奨楽曲リストのデータを、頁毎にディスプレイ5aに表示させ、ユーザ1の操作により頁切り換えを行う。リスト表示は、楽曲名のみを表示し、その他の楽曲情報は、プロパティのポップアップ画面で表示させることができる。
【0157】
一方、S114においてユーザの好みを反映させるときは、S115において、所定の属性(以下、曲調&ジャンルの場合を説明する)についての好みか否かを、S111で取得した指定条件により判定し、そうであればS119に処理を進め、そうでなければS120に処理を進める。
まず、S120において、「使用状況の履歴情報保存部」(図3の66)を検索し、検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、「楽曲a」に対する再生優先度を取得する。
S121において、取得した再生優先度に基づいて、「楽曲a」に優先順位を与える。
例えば、「楽曲a」が、図4(b)の「楽曲」(ID=XXXXXX)であるとき、「楽曲a」に、この「楽曲a」に対する再生優先度=−1を与える。
【0158】
S122において、検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)を、その優先順位に従って並び替えし、ファイル容量の累積加算値が、音楽再生装置2の楽曲データ蓄積部58が蓄積可能な容量を超えない範囲で並べて、推奨楽曲リストのデータ(楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する)を作成し、先に説明したS118に処理を進める。
その際、指定されたユーザ範囲に含まれるユーザが再生していない「楽曲」に設定されている、「楽曲」に対する再生優先度は、ユーザが再生することなく直接に再生優先度を設定していない限り、0(基準値)であるから、この「楽曲」の優先順位は、再生優先度がマイナスのものよりも高くなっている。
なお、ファイル容量の累積加算値が、楽曲データ蓄積部58が蓄積可能な容量を超えた場合にも、全ての「楽曲」を並べて表示させてもよい。この場合、蓄積可能な容量を超えるまでの「楽曲」の表示態様と、超えた後の表示態様とを異ならせてもよい。
【0159】
一方、S115において、好みの対象が「曲調&ジャンル」であるときは、S119に処理を進める。
S119において、「使用状況の履歴情報保存部」(図3の66)を検索し、保存されている「楽曲」(以下、楽曲bという)について、ユーザ1の操作によりこの「楽曲b」に設定された、「楽曲b」に対する再生優先度を取得する。
S123において、「楽曲情報データベース」(図3の54)を検索し、S119において再生優先度を取得した「楽曲b」について、所定の属性(曲調の属性とジャンルの属性)に関する、個々の楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する。
ここで、S119において再生優先度=0(基準値)を取得した「楽曲b」については、個々の楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する必要はない。
「楽曲b」に対する再生優先度を、「楽曲b」の「曲調」、「楽曲b」の「ジャンル」のそれぞれに付与し、全「楽曲b」について累積加算することにより、全ての各「曲調」、全ての各「ジャンル」に対する再生優先度に変換する。
【0160】
例えば、「楽曲b」が、図4(b)に示した楽曲ID=XXXXXXの楽曲であれば、楽曲ID=XXXXXXの「楽曲b」に対する再生優先度が「−1」であり、「走りやすさ」(曲調)は「走りやすさレベル1」、「ジャンル」は「ロック」である(走りやすさ=72は、「走りやすさレベル1」とする)。この場合、「楽曲b」の「走りやすさレベル1」に「−1」、「ロック」に「−1」を付与する。
【0161】
「楽曲b」の走りやすさ、ジャンルに付与した再生優先度を、「使用状況の履歴情報データベース」(図3の66)に保存されている全ての「楽曲b」について累積加算することにより、全ての走りやすさ(「走りやすさレベル1」、「走りやすさレベル2」、「走りやすさレベル3」)に対する再生優先度に変換する。同時に、全てのジャンル(「Rock」、「Jazz」、「R&B」等)に対する再生優先度に変換する。
その結果、様々な「楽曲b」に対して設定されていた再生優先度の履歴データが、所定の属性(曲調&ジャンル)の、ある「走りやすさレベル1&ジャズ」に対する再生優先度の履歴データに変換される。
上述した処理では、属性の組合せ(曲調&ジャンル)に対し、曲調に対する再生優先度と、ジャンルに対する再生優先度とを同じ重みで加算しているが、曲調、ジャンル等の属性に応じて、重みを異ならせて加算してもよい。
【0162】
S124において、「楽曲情報データベース」54を検索し、先の検索aで得た「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、その所定の属性(曲調,ジャンル)に関する楽曲情報(「曲調」,「ジャンル」)を取得する。
「楽曲a」の「曲調」,「ジャンル」のそれぞれに、S123において得られた、「曲調」,「ジャンル」に対する再生優先度を与え、両者を加算することにより、「楽曲a」の、「曲調&ジャンル」の組合せに対する再生優先度を得る。
【0163】
例えば、先の検索aで得た「楽曲a」が、図4(b)に示した楽曲ID=YYYYYYの楽曲であったとすると、曲調が「走りやすさレベル3」、ジャンルが「ジャズ」である。走りやすさ=23は、「走りやすさレベル3」とする。
ここで、「走りやすさレベル3」に対する再生優先度=−50、「ジャズ」に対する再生優先度=−10であったと仮定する。このとき、「走りやすさレベル3&ジャズ」に対する再生優先度は、−50−10=−60となる。
上述したS123,S124の処理により、「楽曲a」の、「楽曲」に対する再生優先度が、「楽曲a」の、「曲調&ジャンル」に対する再生優先度に変換される。
【0164】
S125において、「曲調&ジャンル」の再生優先度に基づいて、先の検索aで得た「楽曲a」に優先順位(所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する)を与え、先に説明したS122に処理を進める。
例えば、上述した先の検索aで得た「楽曲」が、楽曲ID=YYYYYYの楽曲であって、「走りやすさレベル3&ジャズ」に対する再生優先度が「−60」となれば、この楽曲ID=YYYYYYの楽曲の優先順位は、−60となる。
【0165】
上述したS120からS122に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、各「楽曲a」に対する再生優先度(例えば、スキップ回数の少ない楽曲)に基づいて優先順位を与えて選択していることになる。
一方、上述したS125からS122に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の、1又は複数の楽曲を、ユーザの好みの属性(曲調&ジャンル)に対する再生優先度に基づいて優先順位を与えて選択していることになる。
次のS118で推奨楽曲を提示した後、音楽再生装置2に蓄積可能な容量分の楽曲データを転送することができる。
【0166】
なお、図示のフローチャートでは、曲調及びジャンルの組合せに対して再生優先度を算出した。これに代えて、単一の属性に対する再生優先度であってもよい。
S111で設定された好みの対象が、曲調のみであれば、S123と同様な累積加算により、「楽曲」に対する再生優先度を、「曲調」に対する再生優先度に変換し、S125に処理を進める。
「曲調」、「ジャンル」に限らず、「楽曲情報データベース」(図3の54)に存在する他の属性(複数の属性の組合せを含む)、例えば、「アーティスト」に対する再生優先度を算出して、その再生優先度の大きさに基づいて、優先順位を与えることができる。
【0167】
上述したS118において、推奨楽曲リストをユーザが気に入らない場合がある。このような場合のため、「再実行ボタン」を表示画面に表示し、これにクリック操作があったときは、ユーザ操作による指定条件の再設定を受け付けた後に、処理をS111に戻し、推奨処理をやりなおしてもよい。
【0168】
なお、S119において、「楽曲b」に代えて、S113で得られた「楽曲a」について、「楽曲a」に対する再生優先度を取得する(S120と同じ処理となる)ことも可能である。S123においては、「楽曲b」を「楽曲a」に読み替える。
この場合、様々な音楽テンポを有する「楽曲b」の母集団に代えて、推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」の母集団において、楽曲のある属性(「曲調&ジャンル」)に関するユーザの好みを調べて反映させることになる。
また、図10のフローチャートにおいて、S112を省略し(推奨音楽テンポの条件を設けない)、S113において、「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲を全て取得し、後続のS114以下に処理を進めれば、指定された好みの基準に従った優先順位で「楽曲情報データベース」54に保存されている楽曲の全てをリスト表示することができる。その内、優先順位の高い楽曲のみを、例えば、所定曲数をリスト表示させれば、好み度が大きい楽曲のみが提示される。
【0169】
また、推奨楽曲リストの中から、ユーザが手動選択した楽曲情報と楽曲データとを音楽再生装置2に自動的に転送してもよい。
表示画面に「自動転送ボタン」を設け、これにクリック操作があったときは、一覧表示された楽曲の全体を「推奨プレイリスト」とし、この「推奨プレイリスト」のフォルダをパーソナルコンピュータ5に設けるとともに、「推奨プレイリスト」を音楽再生装置2に転送してもよい。
【0170】
その際、音楽再生装置2の「楽曲情報データベース」59で管理されていない楽曲であれば、その楽曲情報と楽曲データも音楽再生装置2に転送する。
後に再び楽曲が推奨される場合も、同じ「推奨プレイリスト」を更新すればよい。
この「推奨プレイリスト」は、運動の種類別に、例えば、「ジョギング用推奨プレイリスト」、「ウォーキング用推奨プレイリスト」というように、複数種類あってもよい。
【0171】
図11は、図1に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバ12がパーソナルコンピュータ5に、推奨楽曲の情報を提供する動作の一例を示すフローチャートである。
図8の情報提供部86の機能を実現する処理であり、図2に示したパーソナルコンピュータ5におけるS43の処理と連携する、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12側の処理である。
図10に示した、パーソナルコンピュータ5が音楽再生装置2に推奨楽曲を提供する動作と同様な処理については簡単に説明し、これとは異なる処理について詳しく説明する。
S131において、推奨楽曲を取得するための要求条件を取得する。図10のS111と異なり、情報要求をしたユーザ1の反復運動テンポに応じた推奨音楽テンポ条件は、ユーザ端末である、パーソナルコンピュータ5において設定し、情報要求時に、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に転送する。推奨音楽テンポ条件の設定処理は、図12に示した通りである。
また、好みの対象に加えて、好みを調べるユーザの範囲を指定することができる。
【0172】
S132において、「楽曲情報データベース」85(図8)を検索(以下、検索aという)し、S131で設定された推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」を取得する。推奨音楽テンポに選択確率条件が付いている場合、その選択確率に応じて楽曲を検索(検索a)する。S132の処理は、図10のS113と同様の処理である。
S133において、S131でユーザの好みを反映する設定であれば、S134に処理を進め、そうでなければS135に処理を進める。
まず、S135においては、検索aで得られた「楽曲a」を、ランダムに並び替えして、推奨楽曲リストのデータを作成し、S136において、推奨楽曲リストのデータを、パーソナルコンピュータ5の情報取得部94(図8)に転送する。推奨楽曲リストが複数頁にわたる場合、情報要求ユーザの指示により、頁切り換えを行う。
【0173】
一方、S134において、S131で設定された好みの基準が、所定の属性に関する好み(図示の例では、「曲調&ジャンル」に対する好み)であれば、S137に処理を進め、そうでなければS138に処理を進める。
最初に、S138を説明する。「履歴情報データベース」84(図8)を検索し、先にS131において指定された所定のユーザ範囲に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲a」(推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲)について、この「楽曲a」に対する、上述した各ユーザの操作により設定された再生優先度を取得し、S139に処理を進める。
【0174】
ここで、上述した各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲」についての、「楽曲」に対する再生優先度とは、指定された所定のユーザ範囲内の個々の各ユーザが、「楽曲」に対して設定した、「楽曲」に対する再生優先度の総和(累積加算値)である。
例えば、2人のユーザが、共に、ある「楽曲」を再生している場合、この「楽曲」に対する再生優先度は、各ユーザが、この「楽曲」に対して設定した、「楽曲」に対する再生優先度を加算したものである。
【0175】
S138では、「履歴情報データベース」84(図8)に保存されている全ての「楽曲」について再生優先度を取得する必要はなく、検索aで得た「楽曲a」が含まれているとき、この「楽曲a」について再生優先度を取得すればよい。
なお、ユーザ範囲を指定していない検索aで得られた「楽曲a」の中には、指定されたユーザ範囲(全範囲指定でない場合)内に含まれる各ユーザの履歴情報として保存されていない楽曲であったり、保存されていても、個々の各ユーザが設定した、「楽曲」に対する再生優先度がゼロ(基準値)の楽曲であったりする場合がある。
このような楽曲に該当する「楽曲a」は、その「楽曲a」に対する再生優先度が0(基準値)となる。
【0176】
S139において、取得した再生優先度に基づいて、「楽曲a」に優先順位を与える。
S140において、検索aで得た、「楽曲a」(推奨音楽テンポ条件を満たす楽曲)を、その優先順位に従って並び替えし、推奨楽曲リストのデータを作成し、先に説明したS136に処理を進める。
【0177】
一方、S137は、上述したS134において、好みの基準が所定の属性(曲調&ジャンル)であったときに処理が進められる。「履歴情報データベース」84を検索し、指定されたユーザ範囲内の各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲」(以下、「楽曲b」という)の、「楽曲b」に対する再生優先度を取得する。
先に、S138について説明したように、「楽曲」に対する再生優先度は、指定されたユーザ範囲内の個々の各ユーザが、この「楽曲」に対して設定した再生優先度の総和(累積加算値)である。
【0178】
S141において、「楽曲情報データベース」85(図8)を検索し、先のS137において再生優先度を取得した「楽曲b」の「曲調」,「ジャンル」を取得する。
このS141と以下のS142,S143については、図10のS123〜S125と同様の処理であるため、説明を省略する。
ただし、図11における「楽曲b」は、S137で得られるものであるから、図10における「楽曲b」とは異なるものである。
なお、検索aで得られた「楽曲a」の中には、ユーザ範囲を指定(全範囲指定でない場合)した検索bで得られた「楽曲b」に含まれていない楽曲がありうる。このような「楽曲a」であっても、この「楽曲a」の「曲調&ジャンル」に応じて、基準値(0)でない再生優先度が与えられる場合がある。
【0179】
上述したS139からS140に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、楽曲を、「楽曲a」の再生優先度(例えば、スキップ回数の少ない楽曲)に基づいて優先順位を与えている。
一方、上述したS143からS140に処理を進めた場合、推奨音楽テンポの値を持つ「楽曲a」の中から、指定されたユーザ範囲に含まれるユーザの好みの属性(曲調&ジャンル)に対する再生優先度に基づいて優先順位を与えている。
【0180】
図示のフローチャートでは、曲調及びジャンルの組合せに対し再生優先度を算出したが、図10のS123に関連して説明したように、楽曲データの属性であれば、他の楽曲情報(複数の楽曲情報の組合せを含む)について再生優先度を計算して、その再生優先度に基づいて優先順位を与えることができる。
【0181】
なお、S137において、「楽曲b」に代えて、S132で得られた「楽曲a」について、指定されたユーザ範囲内の各ユーザの履歴情報として保存されている「楽曲a」に対する再生優先度を取得する(S138と同じ処理となる)ことも可能である。S141においては、「楽曲b」を「楽曲a」に読み替える。
この場合、様々な音楽テンポを有する「楽曲b」の母集団に代えて、推奨音楽テンポ条件を満たす「楽曲a」の母集団において、楽曲のある属性(「曲調&ジャンル」)に関するユーザの好みを調べて反映させることになる。
また、図11のフローチャートにおいて、推奨音楽テンポの条件を設けないでもよい。この場合は、図6に示した情報提供システムの一例となる。
S132において、「楽曲情報データベース」85(図8)に保存されている楽曲を全て取得し、後続のS133以下に処理を進めれば、指定された好みの基準に従った優先順位で「楽曲情報データベース」85に保存されている楽曲の全てをリスト表示することができる。そのうち、優先順位の高い楽曲のみを、例えば、所定曲数をリスト表示させれば、好み度が大きい楽曲のみが提示される。
【0182】
図10、図11を参照した説明では、「楽曲情報データベース」54(85)の検索を複数回行い、「楽曲情報データベース」54又は85の検索と「使用状況の履歴情報保存部」66(「履歴情報データベース」84)の検索を1回行っている。
これに代えて、検索の順序を変更したり、複数の検索をまとめて同時に行うようにしてもよい。
【0183】
上述した説明では、図1の音楽再生装置2、パーソナルコンピュータ5、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12で構成されるシステムについて説明した。
パーソナルコンピュータ5は、音楽再生装置2に対し、パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に蓄積され、「楽曲情報データベース」54に保存されたものの中から、楽曲を推奨している。
楽曲情報・履歴情報提供サーバ12は、複数のユーザ1、7,8,…に対し、そのパーソナルコンピュータ5,7B,8Bをユーザ端末として、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の「楽曲情報データベース」85に保存されたものの中から、楽曲を推奨している。
【0184】
以下に、図1を参照して説明したシステムの変形例を説明する。
上述したシステムでは、音楽再生装置2として、背景技術で説明した非特許文献1に記載のものを例にして説明した。しかし、ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況の履歴情報を記録するものであればよい。
また、音楽再生装置2として、音楽再生専用の装置でなくても、例えば、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯電子機器でもよい。
音楽再生装置2は、音楽再生機能と、ユーザが楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置(データロガー)とを分離した個別の装置としてもよい。
【0185】
反復運動は道路を走るランニングやウォーキングに限らない。自転車型エルゴメータ(ergo meter)、トレッドミル(tredmill)、ストレングスマシン(strength machine)等のトレーニング機械を使用した運動、体操、ダンスなどの、反復運動をしながら音楽を聴く場合に本発明を適用できる。反復運動の種類に応じて、加速度センサを人体の適切な部分に装着するとともに、反復の1ステップとする加速度特性を決め、この反復の1ステップを検出するアルゴリズムを設計すればよい。
トレーニング機械を用いた場合、音楽再生装置2は、トレーニング機械に組み込まれていればよい。
【0186】
上述したパーソナルコンピュータ5,7B,8B,…は、必ずしもパーソナルコンピュータの形態である必要はない。例えば、電子楽器、地上波ディジタルテレビジョン、その他、家庭内電子機器(いわゆる、「デジタル家電」)等であって、インターネットに接続可能な端末装置であればよい。
音楽再生装置2は、USBフラッシュROM等の取り外し可能な記憶装置を着脱可能に接続できるものとすることができる。この場合、このUSBフラッシュROMを音楽再生装置2から取り外し、パーソナルコンピュータ5に接続することにより、音楽再生装置2を直接的にパーソナルコンピュータ5に接続した場合と同様に、楽曲データ等のデータ転送ができるようにすることができる。
【0187】
上述した説明では、ユーザ1の音楽再生装置2とユーザ1のパーソナルコンピュータ5とは、1対1対応していた。また、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対するユーザ端末装置としても機能していた。
この場合、パーソナルコンピュータ5は、音楽再生装置2に対する、楽曲データ蓄積手段、楽曲情報データベース、履歴情報保存手段、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を有していた。このうち、楽曲データ蓄積手段以外は、パーソナルコンピュータ5になく、音楽再生装置2にあってもよい。
【0188】
上述したシステムに代えて、複数のユーザ1,7,8,…の音楽再生装置2,7A,8Aが、1台のパーソナルコンピュータ5に、直接的に接続されるようにするか、パーソナルコンピュータ5がローカルエリアネットワーク6内の共有のサーバとなって、他のユーザ7,8のパーソナルコンピュータ7B,8Bからアクセスを受けるようにしてもよい。
【0189】
この場合、パーソナルコンピュータ5は、例えば、音楽再生装置2,7A,8Aのそれぞれに対する、「楽曲データ蓄積部」、「楽曲情報データベース」、「履歴情報保存部」、推奨音楽テンポ条件設定手段、楽曲推奨手段を有する。このうち、「楽曲データ蓄積部」、「楽曲情報データベース」は、各ユーザ間で共有することもできる。
ここで、「楽曲データ蓄積部」以外は、パーソナルコンピュータ5になく、それぞれの、音楽再生装置2,7A,8Aにあってもよい。
また、パーソナルコンピュータ5は、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12に対して、複数のユーザ1,7,8のそれぞれのユーザ端末として機能することができる。また、このパーソナルコンピュータ5自体が、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の機能を実現することもできる。
【0190】
また、音楽再生装置2は、直接的に、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12にアクセスできるようにして、パーソナルコンピュータ5の機能もまた、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12で実現させるようにしてもよい。パーソナルコンピュータ5が不要になる。
例えば、図1に示したLAN5を、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANとし、音楽再生装置2自体が、無線LANを介してAP10に接続される。あるいは、音楽再生装置2の機能を携帯電話端末機に持たせ、携帯電話ネットワークを経由して、AP10に接続される。
これらの場合、パーソナルコンピュータ5における「楽曲データ蓄積部」53、「楽曲情報データベース」54、履歴情報保存部(「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67)、推奨音楽テンポ条件設定部70、楽曲推奨部72のうち、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12が、少なくとも「楽曲データ蓄積部」53を有するようにする。
これらの場合、音楽再生装置2が、楽曲情報・履歴情報提供サーバ12の、これまで説明した本来の楽曲情報・履歴情報提供サーバに対するユーザ端末となる。
【0191】
また、上述した種々のシステムにおいて、「楽曲データ蓄積部」53、「楽曲情報データベース」54、履歴情報保存部(「使用状況の履歴情報保存部」66、「運動履歴情報保存部」67)のうち、少なくとも、「楽曲データ蓄積部」53を、インターネット11上のファイルサーバ24にある、「オンラインストレージ」、又は、ローカルエリアネットワーク(LAN)6のファイルサーバ26にある「ネットワークアタッチトストレージ」に設けてもよい。この場合、音楽再生装置2は、パーソナルコンピュータ5の「楽曲データ蓄積部」53に代えて、「オンラインストレージ」、又は、「ネットワークアタッチトストレージ」に設けられた「楽曲データ蓄積部」を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施の一形態である第1,第2の楽曲推奨システムと情報提供システムが適用されるネットワークの構成図である。
【図2】図1に示したパーソナルコンピュータの動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した音楽再生装置、パーソナルコンピュータの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1のパーソナルコンピュータ、音楽再生装置、及び、楽曲情報・履歴情報提供サーバに保存される履歴情報、楽曲情報の一例を示す説明図である。
【図5】楽曲情報・履歴情報提供サーバが、ユーザ端末から情報を収集する機能を実現するためのブロック図である。
【図6】楽曲情報・履歴情報提供サーバから、ユーザのパーソナルコンピュータに、情報を提供する機能を実現するためのブロック図である。
【図7】図6に示した情報を提供する機能により、ユーザに提示される情報の一例を示す図である。
【図8】楽曲情報・履歴情報提供サーバから、ユーザのパーソナルコンピュータに、推奨楽曲を提供する機能を実現するためのブロック図である。
【図9】図8の情報提示部に提示される推奨楽曲を、図1のディスプレイに表示される画像として示す図である。
【図10】図2のS33の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図1、図8に示した楽曲情報・履歴情報提供サーバがパーソナルコンピュータに、推奨楽曲の情報を提供する動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】図10におけるS112の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】反復運動テンポの頻度分布と、この反復運動テンポの累積加算値を示す説明図である。
【符号の説明】
【0193】
1…ユーザ、2…音楽再生装置(データ記録装置)、2b…ディスプレイ、7A,8A,18A,19A,20A…音楽再生装置(データ記録装置)、3…電気音響変換器、4…耳たぶ取付型脈拍センサ、5…パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)、5a…ディスプレイ、7B,8B,18B,19B,20B…パーソナルコンピュータ(ユーザ端末)、6…ローカルエリアネットワーク(LAN)、9…ルータ、10,15,16,17,21,22,23,25…アクセスポイント(AP)、11…インターネット、12…楽曲情報・履歴情報提供サーバ、13…音楽配信サーバ、14…汎用楽曲情報提供サーバ、24…ファイルサーバ、26…ファイルサーバ
51…CD、52…楽曲データ取得部、53…楽曲データ蓄積部、54…楽曲情報データベース、55…同期設定部、56…楽曲データ転送部、57…楽曲情報同期化転送部、58…楽曲データ蓄積部、59…楽曲情報データベース、60…制御部、61…楽曲データ再生部、62…使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)保存部、63…運動履歴情報保存部、64…個人情報保存部、65…履歴情報・個人情報同期化転送部、66…使用状況の履歴情報(含む:再生履歴情報)保存部、67…運動履歴情報保存部、68…個人情報保存部、69a…反復運動テンポ統計値指定部、69b…ハーフテンポ許容指定部、70…推奨音楽テンポ条件設定部、71…好みの基準指定部、72…楽曲推奨部、73…転送制御部
81…履歴情報保存部、82…情報提供部、83…情報収集部、84…履歴情報データベース、85…楽曲情報データベース、86…情報提供部、86a…推奨音楽テンポ条件設定部、91…条件指定部、92…情報要求部、93…情報要求取得部、94…情報取得部、95…情報提示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴データを保存する履歴情報保存手段と、
複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積手段と、
該楽曲データ蓄積手段に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースと、
前記履歴情報保存手段に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定手段と、
該推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、前記楽曲情報データベースを検索し、前記ユーザに提示する楽曲推奨手段を有し、
運動中に聞く楽曲をユーザに推奨することを特徴とする楽曲推奨システム。
【請求項2】
前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、
前記楽曲推奨手段は、
前記履歴情報保存手段を検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲に前記ユーザの操作により設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを取得する手段、
前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記楽曲に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲推奨システム。
【請求項3】
前記楽曲情報データベースは、前記各楽曲の楽曲情報として、前記各楽曲の音楽テンポの値の他に、前記各楽曲の所定の属性に関する楽曲情報を保存し、
前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、
前記楽曲推奨手段は、
前記履歴情報保存手段及び前記楽曲情報データベースを参照し、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに変換する手段と、
前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報を取得し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲推奨システム。
【請求項4】
楽曲データ転送制御手段を有し、
該楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、前記選択された楽曲の楽曲データを、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に転送させる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項5】
楽曲データ転送制御手段を有し、
前記楽曲推奨手段は、提示する前に、提示しようとする前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲について、提示しようとする順に該楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示し、
前記楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に一括転送させる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項6】
前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、
前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの平均値を算出し、該平均値と該平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項7】
前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、
前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの頻度分布を算出し、該頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、前記推奨音楽テンポの条件として設定し、
前記楽曲推奨手段は、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲の情報を、設定された選択確率で選択して前記ユーザに提示する、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項8】
履歴情報保存装置と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積装置と、該楽曲データ蓄積装置に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースを用い、
ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置から、前記ユーザが行った運動の運動履歴データを取得して前記履歴情報保存装置に保存する履歴情報取得ステップと、
前記履歴情報保存装置に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定ステップと、
前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定ステップにより設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を前記ユーザに提示する楽曲推奨ステップ、
をコンピュータに実行させ、運動中に聞く楽曲をユーザに推奨する楽曲推奨プログラム。
【請求項1】
ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら行った運動の運動履歴データを保存する履歴情報保存手段と、
複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積手段と、
該楽曲データ蓄積手段に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースと、
前記履歴情報保存手段に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定手段と、
該推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、前記楽曲情報データベースを検索し、前記ユーザに提示する楽曲推奨手段を有し、
運動中に聞く楽曲をユーザに推奨することを特徴とする楽曲推奨システム。
【請求項2】
前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、
前記楽曲推奨手段は、
前記履歴情報保存手段を検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲に前記ユーザの操作により設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを取得する手段、
前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記楽曲に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記楽曲に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲推奨システム。
【請求項3】
前記楽曲情報データベースは、前記各楽曲の楽曲情報として、前記各楽曲の音楽テンポの値の他に、前記各楽曲の所定の属性に関する楽曲情報を保存し、
前記履歴情報保存手段は、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを保存し、
前記楽曲推奨手段は、
前記履歴情報保存手段及び前記楽曲情報データベースを参照し、前記ユーザの操作により楽曲に設定された、楽曲に対する再生優先度の履歴データを、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに変換する手段と、
前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報を取得し、前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を、当該楽曲の、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の履歴データに基づいて、前記所定の属性に関する楽曲情報に対する再生優先度の高いものから順に前記ユーザに提示する手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲推奨システム。
【請求項4】
楽曲データ転送制御手段を有し、
該楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段が提示した推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の中から、ユーザ操作により選択された楽曲のデータ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲で、前記選択された楽曲の楽曲データを、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に転送させる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項5】
楽曲データ転送制御手段を有し、
前記楽曲推奨手段は、提示する前に、提示しようとする前記推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲について、提示しようとする順に該楽曲の楽曲データ容量を累積加算し、累積加算値が前記音楽再生装置の蓄積可能なデータ容量を超えない範囲までの楽曲の情報を提示し、
前記楽曲データ転送制御手段は、前記楽曲推奨手段により提示された楽曲の楽曲データを、ユーザ操作により、前記楽曲データ蓄積装置から前記音楽再生装置に一括転送させる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項6】
前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、
前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの平均値を算出し、該平均値と該平均値を中心とする所定の範囲とを設定し、設定された平均値を中心とする設定された所定の範囲の音楽テンポを持つことを、推奨音楽テンポの条件として設定する、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項7】
前記運動履歴データは、前記ユーザが行った運動の反復運動テンポの履歴データであり、
前記推奨音楽テンポ条件設定手段は、前記反復運動テンポの履歴データに基づいて、前記反復運動テンポの頻度分布を算出し、該頻度分布に対応した複数の値と選択確率とを設定し、設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲を設定された選択確率で選択することを、前記推奨音楽テンポの条件として設定し、
前記楽曲推奨手段は、前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定手段により設定された複数の値の音楽テンポを持つ楽曲の情報を、設定された選択確率で選択して前記ユーザに提示する、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の楽曲推奨システム。
【請求項8】
履歴情報保存装置と、複数の楽曲データを蓄積する楽曲データ蓄積装置と、該楽曲データ蓄積装置に蓄積された複数の楽曲データについて、各楽曲データの音楽テンポの値を保存する楽曲情報データベースを用い、
ユーザが音楽再生装置を使用して楽曲を再生しながら運動した状況を履歴情報として記録するデータ記録装置から、前記ユーザが行った運動の運動履歴データを取得して前記履歴情報保存装置に保存する履歴情報取得ステップと、
前記履歴情報保存装置に保存された前記運動履歴データに基づいて推奨音楽テンポの条件を設定する推奨音楽テンポ条件設定ステップと、
前記楽曲情報データベースを検索し、前記推奨音楽テンポ条件設定ステップにより設定された推奨音楽テンポの条件を満たす楽曲の情報を前記ユーザに提示する楽曲推奨ステップ、
をコンピュータに実行させ、運動中に聞く楽曲をユーザに推奨する楽曲推奨プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−139647(P2010−139647A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314696(P2008−314696)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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